説明

ステージシステムキャリブレーション方法、ステージシステム、およびそのようなステージシステムを備えるリソグラフィ装置

【課題】エンコーダステージ位置測定の正確なキャリブレーションを実現する。
【解決手段】ステージのエンコーダ位置測定システムをキャリブレーションするためのキャリブレーション方法において、エンコーダ位置測定システムが、エンコーダ格子、ならびにエンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを含む方法であって、a)センサヘッドがエンコーダ格子に対して、またはその逆に移動されるように、ステージを移動させること、b)移動させることの間に、2つのセンサヘッドによって、エンコーダ格子に対するステージの位置を測定すること、c)2つのセンサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求めること、d)垂直位置データマップから水平位置データマップを計算すること、およびe)計算された水平位置データマップを利用することによって、エンコーダ位置測定システムをキャリブレーションすることを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、ステージのエンコーダ位置測定システムをキャリブレーション(較正)するためのキャリブレーション方法、ステージシステム、およびそのようなステージシステムを備えるリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に、通常は基板のターゲット部分上に与える機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用することができる。そのような場合には、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェーハ)上の(例えば1つまたは複数のダイの一部を含む)ターゲット部分上に転写することができる。パターンの転写は一般に、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層上への結像によるものである。一般に、単一の基板は、連続してパターニングされる、隣接するターゲット部分のネットワークを含む。従来型のリソグラフィ装置には、パターン全体をターゲット部分上に一度に露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、パターンを放射ビームによって所与の方向(「スキャン」方向)にスキャンしながら、それと同期して基板をその方向と平行に、または反平行にスキャンすることによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとがある。パターンを基板上にインプリントすることによって、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] リソグラフィでは、ステージの位置を測定するために、エンコーダシステムを使用することができる。さらに、格子プレート(grid plate)を設けることができ、格子プレートは、リソグラフィ装置の基準構造に取り付けられる。測定は、ステージに接続されたセンサヘッドによって行うことができる。2次元の感度を例えば斜入射角を有する測定ビームと回折格子との相互作用によって示すセンサヘッドを使用し、それにより、両次元のステージの移動に対する感度を呈する単一の出力信号をもたらすことができる。2つのそのようなセンサヘッドの出力信号を適切に組み合わせる(例えば加算する、減算する)などによって、一方の次元ならびに他方の次元の変位に関する情報を得ることができる。
【0004】
[0004] そのようなエンコーダ位置センサの精度は、一部には、回折格子のパターンの精度および反復精度によって決まる。回折格子のそのような不正確さによって発生する誤差を低減させるために、キャリブレーションを実施することができる。そのために、ステージが回折格子に対して、例えば一定速度で移動される。ステージの移動を制御するために、低帯域幅コントローラが利用される。コントローラの低帯域幅のため、ステージを格子の不規則性に従わせるためのフィードバック補正が遅くなる。低帯域幅コントローラの入力信号を測定することにより、ある一定の周波数範囲内の回折格子の不正確さに関して情報が得られる。次いで、この情報を利用して、キャリブレーションマップを埋めることができる。
【0005】
[0005] しかし、キャリブレーションは、ステージに取り付けられるケーブルなどによる外乱力、ステージなどを駆動するリニアモータのコギングの影響による外乱力などの外乱を被りやすい可能性がある。上記のキャリブレーション技法を使用すると、格子誤差ならびに他の外乱により、ステージ位置が不正確になる。したがって、そのようなキャリブレーションの精度が限定されることがある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] エンコーダステージ位置測定の正確なキャリブレーションを実現することが望ましい。
【0007】
[0007] 本発明の一実施形態によれば、ステージのエンコーダ位置測定システムをキャリブレーションするためのキャリブレーション方法において、エンコーダ位置測定システムが、エンコーダ格子、ならびにエンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを含む、キャリブレーション方法であって、センサヘッドがエンコーダ格子に対して、またはその逆に移動されるように、ステージを移動させること、移動させることの間に、エンコーダ格子およびセンサヘッドを使用して、ステージの位置を測定すること、
c)センサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求めること、d)垂直位置データマップから水平位置データマップを計算すること、ならびにe)計算された水平位置データマップに基づいてエンコーダ位置測定システムをキャリブレーションすることを含む、キャリブレーション方法が提供される。
【0008】
[0008] 本発明の別の実施形態では、可動ステージと、ステージの位置の測定を行うように構成された測定システムであって、エンコーダ格子、ならびにエンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを含む測定システムと、ステージの位置を制御するためのコントローラであって、センサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求め、垂直位置データマップから水平位置データマップを計算し、計算された水平位置データマップに基づいて測定システムをキャリブレーションするように構成されたコントローラとを含むステージシステムが提供される。
【0009】
[0009] 本発明の別の実施形態によれば、放射ビームの断面内にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成することができるパターニングデバイスを支持する構造になっている、パターニングデバイスサポートと、基板を保持する構造になっている基板サポートと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、それらのサポートのうち一方を移動させるように構成されたステージシステムであって、可動ステージ、ステージの位置の測定を行うように構成された測定システムであって、エンコーダ格子、ならびにエンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを備える測定システム、ならびに測定システムをキャリブレーションするように構成されたコントローラであって、a)センサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求め、b)垂直位置データマップから水平位置データマップを計算し、c)計算された水平位置データマップに基づいて測定システムをキャリブレーションするように構成されたコントローラを含むステージシステムとを含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0010】
[0010] 本発明の一実施形態によれば、機械実行可能命令を有するコンピュータ製品であって、命令が、ステージのエンコーダ位置測定システムをキャリブレーションする方法を実施するように、機械によって実行可能であり、エンコーダ位置測定システムが、エンコーダ格子、ならびにエンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを備え、方法が、センサヘッドがエンコーダ格子に対して、またはその逆に移動されるように、ステージを移動させること、移動させることの間に、エンコーダ格子およびセンサヘッドを使用して、ステージの位置を測定すること、センサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求めること、垂直位置データマップから水平位置データマップを計算すること、ならびに計算された水平位置データマップに基づいてエンコーダ位置測定システムをキャリブレーションすることを含む、コンピュータ製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011] 次に、本発明の諸実施形態を、ほんの一例として、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照して説明する。
【0012】
【図1】[0012]本発明の一実施形態を実現することができるリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】[0013]本発明の一実施形態によるキャリブレーションをそれに対してかけることができるエンコーダ位置測定システムの概略側面図である。
【図3】[0014]図2によるエンコーダ位置測定システムによる、格子上の測定点の概略上面図である。
【図4】[0015]本発明の一実施形態によるキャリブレーションの計算ステップが実施される連続する点の概略図である。
【図5】[0016]本発明の一実施形態によるエンコーダ測定結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0017] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射または他の任意の適切な放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持する構造になっており、かついくつかのパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1の位置決めデバイスPMに接続された、パターニングデバイスサポートまたはサポート構造(例えばマスクテーブル)MTとを含む。この装置はまた、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持する構造になっており、かついくつかのパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2の位置決めデバイスPWに接続された、基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTまたは「基板サポート」も含む。この装置はさらに、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つまたは複数のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSを含む。
【0014】
[0018] 照明システムは、放射を誘導、整形、または制御するために、屈折タイプ、反射タイプ、磁気タイプ、電磁タイプ、静電タイプ、もしくは他のタイプの光学コンポーネント、またはそれらの任意の組合せなど、さまざまなタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0015】
[0019] パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および例えばパターニングデバイスが真空環境内で保持されるか否かのような他の条件に応じる方式で、パターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスを保持するために、機械的クランプ技法、真空クランプ技法、静電クランプ技法、または他のクランプ技法を使用することができる。パターニングデバイスサポートは、例えばフレームでも、テーブルでもよく、それは必要に応じて固定されても、可動でもよい。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスが、例えば投影システムに対して所望の位置にあるようにすることができる。本明細書において「レチクル」または「マスク」という用語を使用している場合、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義語と見なすことができる。
【0016】
[0020] 本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを形成するために、放射ビームの断面内にパターンを付与するのに使用することができる任意のデバイスを指すものとして、広義に解釈すべきである。放射ビームに付与されたパターンは、例えば、パターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに厳密に対応しないことがあることに留意されたい。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路など、ターゲット部分内に形成されているデバイス内の、特定の機能層に対応する。
【0017】
[0021] パターニングデバイスは、透過型でも、反射型でもよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルがある。マスクは、リソグラフィにおいて公知であり、マスクには、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスクタイプ、ならびにさまざまなハイブリッドマスクタイプがある。プログラマブルミラーアレイの一例は、小型のミラーのマトリックス配列を使用しており、ミラーをそれぞれ、入射する放射ビームをさまざまな方向に反射するように個々に傾動することができる。傾動されたミラーにより、ミラーマトリックスによって反射された放射ビーム内にパターンが付与される。
【0018】
[0022] 本明細書で使用される「投影システム」という用語は、使用される露光放射に適した、または液浸液の使用もしくは真空の使用など、他の要因に適した、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁光学システム、および静電光学システム、またはそれらの任意の組合せを含む、任意のタイプの投影システムを包含するものとして、広義に解釈すべきである。本明細書において、「投影レンズ」という用語を使用している場合、より一般的な用語である「投影システム」と同義語と見なすことができる。
【0019】
[0023] ここで示したように、この装置は、(例えば、透過マスクを使用する)透過型である。あるいは、装置は、(例えば、上記で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、または反射マスクを使用する)反射型でもよい。
【0020】
[0024] このリソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルもしくは「基板サポート」(および/または2つ以上のマスクテーブルもしくは「マスクサポート」)を有するタイプのものでもよい。そのような「マルチステージ」の機械では、追加のテーブルまたはサポートを同時に使用しても、1つまたは複数のテーブルまたはサポート上で予備段階を実施している間に、1つまたは複数の他のテーブルまたはサポートを露光に使用してもよい。
【0021】
[0025] このリソグラフィ装置は、投影システムと基板の間の空間を埋めるように、基板の少なくとも一部分を、比較的高い屈折率を有する液体、例えば水で覆うことができるタイプのものでもよい。液浸液を、リソグラフィ装置内の他の空間、例えば、マスクと投影システムの間に与えることもできる。液浸技法は、投影システムの開口数を増大させるために使用することができる。「液浸」という用語は、本明細書では、基板などの構造が液体中に浸されなければならないことを意味するのではなく、露光中に、液体が投影システムと基板の間にあることを意味するにほかならない。
【0022】
[0026] 図1を参照すると、イルミネータILが、放射源SOから放射ビームを受け取る。放射源およびリソグラフィ装置は、例えば、放射源がエキシマレーザであるとき、別々のものとすることができる。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとは見なされず、放射ビームが、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILに渡される。別の場合には、例えば放射源が水銀ランプであるとき、放射源をリソグラフィ装置の一部とすることができる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ぶことができる。
【0023】
[0027] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の、少なくとも外側および/または内側半径範囲(一般に、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINやコンデンサCOなど、他のさまざまなコンポーネントを含むことができる。イルミネータは、放射ビームがその断面内に、所望の均一性および強度分布を有するように調整するために使用することができる。
【0024】
[0028] 放射ビームBが、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。放射ビームBは、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを経由して投影システムPSを通過し、投影システムPSが、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または容量センサ)を用いて、例えばさまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路中に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決めデバイスPMおよび(図1には明示的に図示されていない)もう1つの位置センサを使用して、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを、例えばマスクライブラリから機械的に取り出した後、またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることができる。一般に、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの一部を形成する、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現することができる。同様に、基板テーブルWTまたは「基板サポート」の移動は、第2のポジショナPWの一部を形成する、ロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現することができる。(スキャナとは対照的に)ステッパの場合には、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTをショートストロークアクチュエータだけに接続してもよく、固定してもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、および基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合せすることができる。図示の基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有しているが、ターゲット部分相互間の間隔内に配置することもできる(これは、けがき線アライメントマークとして知られる)。同様に、マスクMA上に2つ以上のダイが設けられている状況では、マスクアライメントマークを、ダイ相互間に配置することができる。
【0025】
[0029] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つのモードで使用することができる。
【0026】
[0030] 1.ステップモードでは、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」、および基板テーブルWTまたは「基板サポート」が基本的に固定されたまま、放射ビームに付与されたパターン全体が、ターゲット部分C上に一度に投影される(すなわち、単一静止露光)。次いで、異なるターゲット部分Cを露光することができるように、基板テーブルWTまたは「基板サポート」が、Xおよび/またはY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静止露光で像形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0027】
[0031] 2.スキャンモードでは、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」、および基板テーブルWTまたは「基板サポート」が同期スキャンされるとともに、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される(すなわち、単一動的露光)。パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」に対する基板テーブルWTまたは「基板サポート」の速度および方向は、投影システムPSの倍率(縮小率)および像の反転特性によって決まり得る。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向の)幅が制限され、スキャン運動の長さによって、ターゲット部分の(スキャン方向の)高さが決まる。
【0028】
[0032] 3.別のモードでは、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」が、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で基本的に固定されたままであり、基板テーブルWTまたは「基板サポート」が移動またはスキャンされるとともに、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分C上に投影される。このモードでは、一般にパルス放射源が使用され、基板テーブルWTまたは「基板サポート」が移動する毎にその後で、またはスキャン中に連続する放射パルスと放射パルスの間に、プログラマブルパターニングデバイスが必要に応じて更新される。この動作モードは、上記で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに、容易に適用することができる。
【0029】
[0033] 上述の使用モードの組合せおよび/または変形、あるいは全く異なる使用モードを使用することもできる。
【0030】
[0034] 図2は、2つのセンサヘッドSH1、SH2、および格子プレートを含むエンコーダを示し、このエンコーダは、格子プレートGPに対するセンサヘッドSH1、SH2の、またはその逆の位置を測定するためのものである。この例では、インクリメンタルエンコーダ(増分エンコーダ;incremental encoder)が利用され、それにより、格子プレートに対してセンサヘッドを移動させると周期的なセンサヘッド出力信号がもたらされる。位置情報は、センサヘッドの対応するセンサヘッド出力信号の周期性および位相から得ることができる。図示の実施形態では、センサヘッド組立体が、格子プレートに向かってそれぞれがそれぞれに対応する測定ビームMB1、MB2を放出する2つのセンサヘッドを含んだ状態として示されている。(1次元でも2次元でもよい)格子プレート上のパターンとの相互作用のため、図2に概略的に示すように、ビームがセンサヘッドに向かってある角度で戻されて、センサヘッドの適切なディテクタによって検出される。したがって、センサヘッドは、2度の測定、すなわち格子プレートGP上のAおよびBでの測定を行う。各測定は、水平ならびに垂直方向の感度をもたらす。センサヘッドのうち左側のセンサヘッドの感度は、ベクトルeaで概略的に示され、センサヘッドのうち右側のセンサヘッドの感度は、ebで概略的に示されている。現在の実際的な実施においては、水平方向に対するeaおよびebの角度が小さく、図2に示されているよりも小さい。実際、水平面に対するeaおよびebの角度は、説明のためにいくらか誇張されている。ここで、水平位置の測定値を、eaとebの加算から得ることができる。垂直位置の測定値は、以下の式に概説するように、eaとebの減算から得ることができる。
【0031】
【数1】

上式で、eyおよびezは、それぞれに対応する水平および垂直エンコーダ位置情報である。
【0032】
[0035] 図2に示すエンコーダは、リソグラフィ装置の基板ステージまたはパターニングデバイスステージなどのステージシステムの一部を形成することができる。格子の表面の不規則性、パターンの偏差など、多くの原因のため、格子の誤差が生じることがある。誤差の原因は、反復的に見られることもある。というのも、格子のパターンは、格子プレート上に、連続する、例えば同一パターン部分の反復プロセスによって設けることができ、その製造プロセスにより、複数の誤差がもたらされることがあるためである。
【0033】
[0036] 図2の実施形態では、センサヘッドSH1、SH2が可動ステージに結合され、格子プレートGPが実質的に固定である。しかし、本発明の別の実施形態では、格子プレートGPをステージに結合できることが理解されよう。この後者の構成では、センサヘッドSH1、SH2が固定である。
【0034】
[0037] そのような誤差、または他の誤差を考慮に入れるために、キャリブレーションを実施することができる。そのために、ステージが回折格子に対して、例えば一定速度で移動される。ステージの移動を制御するために、低帯域幅(low bandwidth)コントローラが利用される。コントローラの低帯域幅のため、ステージを格子の不規則性に従わせるためのフィードバック補正が遅くなる。低帯域幅コントローラの入力信号を測定することにより、ある一定の周波数範囲内の回折格子の不正確さに関して情報が得られる。次いで、この情報を利用して、キャリブレーションマップを形成することができる。以前の実施においては、(例えばy方向の)水平位置キャリブレーションマップが、eaとebの和から得られる上記のey情報から抽出されている。しかし、本発明の一実施形態によれば、以下により詳細に説明するように、水平(Y方向)格子プレート誤差を計算するために垂直位置データが利用される。
【0035】
[0038] y位置情報とz位置情報をどちらも2つのセンサヘッドによる測定から抽出することができるので、上記のキャリブレーションを実施すると、格子プレートの偏差がY座標およびZ座標において測定される。しかし、本発明者らには、両偏差が、垂直(平面度)誤差によってではなく、主として格子プレートの水平誤差によって生じ得ることが分かっている。さらに、本発明者らには、AおよびBでの測定が格子プレート上の異なる位置に位置付けられるので、AおよびBにおいて異なる水平誤差が、結局はZおよびYになることが分かっている。したがって、格子プレート自体には大幅なZ誤差がないかもしれないが、Zマップが非ゼロから偏差することがある。
【0036】
[0039] さらに、本発明者らには、キャリブレーション中に、水平(Y)方向の信号対雑音比が垂直(Z)方向の信号対雑音比から偏差する可能性があることが分かっている。というのも、2つの理由で、測定されたY誤差の方がZ誤差よりも測定が困難になることがあるためである。
第1に、水平方向のステージ挙動が、一部には、ステージのショートストロークモータに寄生的に影響を及ぼし得る、ステージのロングストロークモータなどのモータ内でのコギングの影響によって、方向依存となることがある。この影響は、水平方向にのみ存在し得る。さらに、例えばステージに取り付けられたケーブルまたはダクトによる、ステージにかかる外乱力が、実質的には水平方向となり得る。第2に、ベクトルeaおよびebの方向のため、位置測定自体におけるZ感度の方がY方向よりも大きくなり得るので、雑音に対するY方向の感度が、Z方向よりも大きくなり得る。
【0037】
[0040] 本発明の一実施形態によるキャリブレーション方法は、ステージのエンコーダ位置測定システムをキャリブレーションするためのキャリブレーション方法において、エンコーダ位置測定システムが、エンコーダ格子、ならびにエンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす2つのセンサヘッドを含む、キャリブレーション方法であって、a)ステージを移動させ、それにより、2つのセンサヘッドをエンコーダ格子に対して移動させること、b)移動させることの間に、2つのセンサヘッドによって、エンコーダ格子に対するステージの位置を測定すること、c)2つのセンサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求めること、d)垂直位置データマップから水平位置データマップを計算すること、およびe)計算された水平位置データマップを利用して、エンコーダ位置測定システムをキャリブレーションすることを含む、キャリブレーション方法と述べることができる。c)では、垂直位置データマップが、垂直方向の位置感度から、すなわちセンサヘッドによってもたらされる垂直位置情報から求められる。
【0038】
[0041] このキャリブレーション方法は、コントローラまたは制御システムを使用して実施されることが理解されよう。コントローラは、キャリブレーションを実施するために、センサヘッドSH1、SH2に動作可能に結合される。コントローラは、位置データマップを求め、またキャリブレーションを実施するのに所望のあらゆる手順(例えば計算およびセンサヘッドの制御)を実行するための、計算器を含むこともできる。
【0039】
[0042] したがって、本発明の一実施形態によれば、水平(Y方向)格子プレート誤差を計算するために垂直位置データが利用される。その結果、結果として生じる水平方向キャリブレーションは、雑音および水平方向のスキャンによる影響を受けにくいので、より正確になり得る。
【0040】
[0043] 一実施形態では、図3に示すように、位置(x1,y1)におけるYおよびZ誤差を測定する際、点A1およびB1から情報が使用される。次に、図4のように、エンコーダが(x1,y1)から(x2,y2)に線A1〜B1に沿って移動されると、位置(x1,y1)において、点B1は、(x2,y2)における測定に関連する点A2と全く同じ位置にあることが分かる。したがって、格子プレート全体にわたって全てのA測定値が既知である場合、B測定値は、(A測定値を含む)Aマップを距離dにわたってB1〜A1の方向に移動させることにより、容易に再構築することができる。さらに、Zは基本的にAとBの差であるため、A1およびZ(x1,y1)が既知である場合、B1(したがってA2)を計算することができる。したがって、測定されたZマップおよび開始点A1から、A1〜B1などに沿った全てのA点を計算することができる。このAマップから、Aを距離dにわたって移動させることによりBマップを計算することができる。このAマップとBマップを組み合わせると、Yマップが、基本的にそれらを加算することによりもたらされる。
【0041】
[0044] この実施形態に従ってZからYを計算することには、以下のことが含まれる。
1.プレートの縁部の領域内でのAの開始値を、YおよびZデータを使用して計算すること(この手順は、以下の計算用の開始値を作り出すために望ましい)。
これらのA開始値およびZ測定データから、(斜線に沿ってさらに距離d遠い)A値の次階層を、
【0042】
【数2】

を使用して計算する。
2.完全なAマップがこのように見い出されると、Aマップを斜線に沿って距離dにわたり移動させることによって、対応するBマップを形成することができる。
3.Yマップを、
【0043】
【数3】

を使用して計算する。上式では、pおよびqが、eaおよびebの角度を考慮に入れた定数である。水平方向に対するベクトルeaの角度φは、φ=py+qzに設定することができる。eaおよびebの方向は、垂直方向に向かうよりも大きく水平方向に向かうので、p>qである。センサヘッドは、位相シフトをセンサヘッドに対する格子の変位に応答して検出するので、pおよびqは、1ナノメートル(nm)当たりのラジアン(rad)単位で表現することができる。一実施形態では、pが約1/100rad/nmとなり、qが約1/1000rad/nmとなり得る。
【0044】
[0045] 上記の手順は、本発明の一実施形態によるキャリブレーション方法が、d)d1)開始点におけるセンサヘッド測定値を、垂直位置データマップ内の対応する垂直位置データ点、および初期水平位置データ点から計算すること、d2)計算されたセンサヘッド測定値、および垂直位置データマップ内の対応する垂直位置データから、後続のセンサヘッド測定値を計算すること、d3)後続のセンサヘッド測定値それぞれについて、d2)を反復すること、ならびにd4)計算されたセンサヘッド測定値から、計算された水平位置データマップを求めることを含むという点で述べることができる。
【0045】
[0046] 一実施形態では、d1〜d3が計算とは反対方向について(例えば、上記の例では右下ではなく左上隅から)反復され、計算された水平位置データマップが平均化され、したがって、両方向について得られる。それにより、より正確なキャリブレーションを達成することができる。
【0046】
[0047] 一実施形態では、計算された水平位置データマップに対して、計算の方向と実質的に直角をなす方向に、すなわち図3および4では線dと実質的に直角をなす方向に、ローパス(低域通過)フィルタをかけることができ、それが有用でない情報をフィルタリングし、それによりキャリブレーション精度が向上し得る。
【0047】
[0048] 次に、本発明によるキャリブレーションの別の実施形態について、図5を参照して説明する。図5は、図4の線dに沿って見られる、エンコーダセンサヘッドによって得られた測定結果のグラフを示す。図5の水平軸は、線dに沿った点を表す。ここで、センサヘッドによって得られた測定結果間の関係を遅延として表現し、それにより、フィルタリング等価物(filtering equivalent)A=z−dBをもたらすことができ、ただしAおよびBは、センサヘッドによる測定値を表す。次いで、ZおよびYに関する式を使用すると、これらの間のフィルタリング関係を
【0048】
【数4】

と記載することができる。遅延演算子(delay operator)zは位置に依存し、換言すれば、「空間遅延」(spatial delay)を形成することに留意されよう。したがって、斜線A〜B沿いに、YをZからこのフィルタを使用して直接計算することができる。AおよびBを最初に計算する必要はないが、縁部のところの測定されたYと合致させるようなフィルタ初期条件を使用することが望ましい。第1の方法と同様に、YがZから線ごとに計算され、したがって追加のローパス(低域通過)フィルタリングが直角方向に必要となり得る。dが非整数であり、それにより、このフィルタをわずかに修正したバージョン
【0049】
【数5】

が必要になり得ることに留意されたい。上式で、遅延はd=l+αとして表現され、lは整数である。
【0050】
[0049] 上記のキャリブレーションのいずれかの別の実施形態では、別の水平位置データマップが、ステージを移動させることの間に得られた、2つのセンサヘッドのセンサヘッド出力信号(の水平部分)から直接求められ、この別の水平位置データマップが、計算された水平位置データマップと組み合わされ、エンコーダ位置測定システムをキャリブレーションすることが、組み合わされた水平位置データマップを利用して実施される。それにより、センサヘッドからの水平位置データを利用する先にかけられたキャリブレーションが、水平位置をそこから抽出するために垂直位置データが利用される上記のキャリブレーションと組み合わされるので、キャリブレーション誤差の平均化を行うことができる。
【0051】
[0050] ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に対して、具体的な言及がこの説明において行われることがあるが、本明細書に記載のリソグラフィ装置には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用の誘導パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造など、他の適用分野があることを理解されたい。そのような代替適用分野の文脈では、本明細書において「ウェーハ」または「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、より一般的な用語である「基板」または「ターゲット部分」と同義語と見なすことができることが、当業者には理解されよう。本明細書において言及される基板は、露光前または後に、例えばトラック(一般に、レジストの層を基板に与え、露光後のレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツール内で処理することができる。適用可能な場合、本明細書における開示は、そのような基板処理ツール、および他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、例えば多層ICを形成するために、基板を2回以上処理することもでき、したがって、本明細書で使用される基板という用語は、複数の処理済みの層をすでに含む基板を指すこともある。
【0052】
[0051] 光リソグラフィの文脈において、本発明の諸実施形態の使用に対して、上記で具体的な言及を行ってきたかもしれないが、本発明を、他の適用分野、例えばインプリントリソグラフィで使用することができ、文脈が許容する場合は、光リソグラフィに限定されないことが理解されよう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが、基板上に形成されるパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジストの層へと押し込むことができ、その後すぐに、レジストは電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せを印加することによって硬化される。レジストが硬化された後、パターニングデバイスは、レジスト中にパターンを残した状態でそこから移される。
【0053】
[0052] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、(例えば、365、248、193、157もしくは126nmの波長、またはその近くの波長を有する)紫外(UV)放射、および(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)極端紫外(EUV)放射、ならびにイオンビームまたは電子ビームなどの粒子ビームを含む、あらゆるタイプの電磁放射を包含する。
【0054】
[0053] 「レンズ」という用語は、文脈が許容する場合、屈折光学コンポーネント、反射光学コンポーネント、磁気光学コンポーネント、電磁光学コンポーネント、および静電光学コンポーネントを含む、さまざまなタイプの光学コンポーネントのいずれか1つまたは組合せを指すことがある。
【0055】
[0054] 以上、本発明の具体的な諸実施形態について上記で説明してきたが、本発明を、説明した以外の方式で実施できることが理解されよう。例えば、本発明は、上記で開示した方法を記述した機械読取可能命令の1つもしくは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形、またはそのようなコンピュータプログラムが中に記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形をとることができる。
【0056】
[0055] 上記の説明は、限定するものではなく、例示のためのものである。したがって、添付の記載した特許請求の範囲から逸脱することなく、説明したように本発明に対して修正を行えることが、当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージのエンコーダ位置測定システムをキャリブレーションするためのキャリブレーション方法において、前記エンコーダ位置測定システムが、エンコーダ格子、ならびに前記エンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを備える、キャリブレーション方法であって、
前記センサヘッドが前記エンコーダ格子に対して、またはその逆に移動されるように、前記ステージを移動させること、
前記移動させることの間に、前記エンコーダ格子および前記センサヘッドを使用して、前記ステージの位置を測定すること、
前記センサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求めること、
前記垂直位置データマップから水平位置データマップを計算すること、ならびに
前記計算された水平位置データマップに基づいて前記エンコーダ位置測定システムをキャリブレーションすること、
を含むキャリブレーション方法。
【請求項2】
前記ステージの前記位置が、ステージコントローラによって制御され、前記ステージコントローラに、前記ステージの前記測定された位置を含むフィードバック信号がもたらされ、前記ステージコントローラによって形成される制御ループが、前記エンコーダ格子内のピッチ誤差過渡事象(pitch error transient)に比べて遅い前記ステージの応答をもたらすように低帯域幅を有する、
請求項1に記載のキャリブレーション方法。
【請求項3】
前記水平データマップを計算することが、
a)開始点におけるセンサヘッド測定値を、前記垂直位置データマップ内の対応する垂直位置データ点、および初期水平位置データ点から計算すること、
b)前記計算されたセンサヘッド測定値および/または先に計算されたセンサヘッド測定値、ならびに前記垂直位置データマップ内の対応する垂直位置データから、複数の後続のセンサヘッド測定値を計算すること、ならびに
c)前記計算されたセンサヘッド測定値から、前記計算された水平位置データマップを求めること、
を含む請求項1に記載のキャリブレーション方法。
【請求項4】
a)〜b)を前記垂直位置データマップ内の計算とは反対方向について反復すること、および両方向について得られた前記計算された水平位置データマップを平均化することを含む、
請求項3に記載のキャリブレーション方法。
【請求項5】
前記計算された水平位置データマップに対して、前記垂直位置データマップ内の計算の方向と実質的に直角をなす方向にローパス(低域通過)フィルタをかけることを含む、
請求項3に記載のキャリブレーション方法。
【請求項6】
前記水平位置データマップを計算することが、前記垂直位置データマップをフィルタによってフィルタリングして、前記水平位置データマップを形成することを含み、前記フィルタが、前記エンコーダ格子上の同じ点で測定を行う際の前記2つのセンサヘッド間の空間距離を表すための空間遅延演算子を含む、
請求項1に記載のキャリブレーション方法。
【請求項7】
前記エンコーダ格子の縁部のところの前記水平位置データマップと合致させるようなフィルタ初期条件を利用することをさらに含む、
請求項6に記載のキャリブレーション方法。
【請求項8】
前記得られた水平位置データマップに対して、前記垂直位置データマップに対してかけられたフィルタリングの方向と実質的に直角をなす方向にローパス(低域通過)フィルタをかけることをさらに含む、
請求項6に記載のキャリブレーション方法。
【請求項9】
別の水平位置データマップが、前記ステージを前記移動させることの間に得られた前記センサヘッド出力信号から求められ、前記別の水平位置データマップが、前記計算された水平位置データマップと組み合わされ、前記エンコーダ位置測定システムを前記キャリブレーションすることが、前記組み合わされた水平位置データマップを利用して実施される、
請求項1に記載のキャリブレーション方法。
【請求項10】
前記垂直位置マップを求める際に、前記垂直位置データマップが、前記センサヘッドによってもたらされる垂直位置情報から求められる、
請求項1に記載のキャリブレーション方法。
【請求項11】
可動ステージと、
前記ステージの位置の測定を行うように構成された測定システムであって、エンコーダ格子、ならびに前記エンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを備える測定システムと、
前記測定システムをキャリブレーションするように構成されたコントローラであって、
前記センサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求め、
前記垂直位置データマップから水平位置データマップを計算し、
前記計算された水平位置データマップに基づいて前記測定システムをキャリブレーションする
ように構成されたコントローラと、
を備えるステージシステム。
【請求項12】
前記コントローラがさらに、前記センサヘッドが前記エンコーダ格子に対して、またはその逆に移動されるように、前記ステージを移動させ、かつ前記移動の間に、前記測定システムを、前記エンコーダ格子および前記センサヘッドを使用して前記ステージの位置を測定するように制御するように構成される、
請求項11に記載のステージシステム。
【請求項13】
放射ビームの断面内にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成することができるパターニングデバイスを支持する構造になっている、パターニングデバイスサポートと、
基板を保持する構造になっている基板サポートと、
前記パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、
前記サポートのうち一方を移動させるように構成されたステージシステムであって、
可動ステージ、
前記ステージの位置の測定を行うように構成された測定システムであって、エンコーダ格子、ならびに前記エンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを備える測定システム、ならびに
前記測定システムをキャリブレーションするためのコントローラであって、
前記2つのセンサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求め、
前記垂直位置データマップから水平位置データマップを計算し、
前記計算された水平位置データマップに基づいて前記測定システムをキャリブレーションする、
ように構成されたコントローラを備えるステージシステムと、
を備えるリソグラフィ装置。
【請求項14】
前記コントローラがさらに、前記センサヘッドが前記エンコーダ格子に対して、またはその逆に移動されるように、前記ステージを移動させ、かつ前記移動の間に、前記測定システムを、前記エンコーダ格子および前記センサヘッドを使用して前記ステージの位置を測定するように制御するように構成される、
請求項13に記載のリソグラフィ装置。
【請求項15】
機械実行可能命令を有するコンピュータ製品であって、前記命令が、ステージのエンコーダ位置測定システムをキャリブレーションする方法を実施するように、機械によって実行可能であり、前記エンコーダ位置測定システムが、エンコーダ格子、ならびに前記エンコーダ格子と協働する、水平および垂直方向の位置感度を示すセンサヘッド出力信号をそれぞれがもたらす少なくとも2つのセンサヘッドを備え、前記方法が、
前記センサヘッドが前記エンコーダ格子に対して、またはその逆に移動されるように、前記ステージを移動させること、
前記移動させることの間に、前記エンコーダ格子および前記センサヘッドを使用して、前記ステージの位置を測定すること、
前記センサヘッドのセンサヘッド出力信号から垂直位置データマップを求めること、
前記垂直位置データマップから水平位置データマップを計算すること、ならびに
前記計算された水平位置データマップに基づいて前記エンコーダ位置測定システムをキャリブレーションすること、
を含む製品。
【請求項16】
前記水平データマップを計算することが、
a)開始点におけるセンサヘッド測定値を、前記垂直位置データマップ内の対応する垂直位置データ点、および初期水平位置データ点から計算すること、
b)前記計算されたセンサヘッド測定値および/または先に計算されたセンサヘッド測定値、ならびに前記垂直位置データマップ内の対応する垂直位置データから、複数の後続のセンサヘッド測定値を計算すること、ならびに
c)前記計算されたセンサヘッド測定値から、前記計算された水平位置データマップを求めること、
を含む請求項15に記載の製品。
【請求項17】
a)〜b)を前記垂直位置データマップ内の計算とは反対方向について反復すること、および両方向について得られた前記計算された水平位置データマップを平均化することを含む、
請求項16に記載の製品。
【請求項18】
前記計算された水平位置データマップに対して、前記垂直位置データマップ内の計算の方向と実質的に直角をなす方向にローパス(低域通過)フィルタをかけることを含む、
請求項16に記載の製品。
【請求項19】
前記水平位置データマップを計算することが、前記垂直位置データマップをフィルタによってフィルタリングして、前記水平位置データマップを形成することを含み、前記フィルタが、前記エンコーダ格子上の同じ点で測定を行う際の前記2つのセンサヘッド間の空間距離を表すための空間遅延演算子を含む、
請求項16に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−271062(P2009−271062A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−95375(P2009−95375)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】