説明

ハンズフリー通話装置、通話制御方法、通話制御プログラム、および記録媒体

【課題】切断時や発信時における煩わしい操作を低減すること。
【解決手段】ハンズフリー通話装置100は、移動体に搭載され、相手先の通話装置(以下、「通話対象装置」という)とハンズフリー通話を可能にする。ハンズフリー通話装置100は、状態検出部101と、記録部102と、制御部103とを備える。状態検出部101は、通話対象装置との、着信状態または通話状態を検出する。記録部102は、状態検出部101によって検出された着信状態または通話状態にある通話対象装置の電話番号の情報を記録する。制御部103は、所定の入力情報に応じて、着信状態または通話状態にある通話対象装置に対して所定のメッセージを出力するとともに着信状態または通話状態を切断し、当該切断から所定時間経過後に当該通話対象装置に対してオートダイヤルをおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両などの移動体に搭載されるハンズフリー通話装置、通話制御方法、通話制御プログラム、および記録媒体に関する。ただし、この発明は、上述した、ハンズフリー通話装置、通話制御方法、通話制御プログラム、および記録媒体に限られるものではない。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車や原動機付自転車を運転中に、携帯電話装置を把持して通話したり、メールの閲覧等、携帯電話装置を把持して当該携帯電話装置の表示画面を注視したりした場合、道路交通法の罰則の対象となることがある。そこで、車内には、運転者が運転中に携帯電話装置を把持することなく、相手先との通話を可能にするハンズフリー通話装置が搭載されている。
【0003】
このようなハンズフリー通話装置としては、たとえば、運転中に相手先から電話がかかってきた場合、ディスプレイに着信通知が表示され、運転者がディスプレイに表示される「通話ボタン」を選択すると、移動体内のスピーカから相手先の音声が出力されるとともに、移動体内のマイクから当方の音声が入力されることにより、相手先との通話を可能にした技術が知られている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−27723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術は、通話している際にカーブや交差点付近など運転に集中しなければならない状況になった場合、通話を継続したとすれば運転に支障をきたして危険であり、また、通話を切断するために折り返し発信する旨を相手方に伝達してから通話を切断したとすれば利用者にとって煩わしいだけでなく危険であるといった問題が一例として挙げられる。また、相手先に何も言わずに通話を切断したとすれば、相手方に不快感を与えてしまうといった問題もある。このような問題は、通話時における通話状態のみならず、着信時における着信状態であっても同様に生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるハンズフリー通話装置は、移動体に搭載され、相手先の通話装置(以下「通話対象装置」という)とハンズフリー通話が可能なハンズフリー通話装置であって、前記通話対象装置との、着信状態または通話状態を検出する状態検出手段と、前記状態検出手段によって検出された前記着信状態または前記通話状態にある前記通話対象装置の電話番号の情報を記録する記録手段と、所定の入力情報に応じて、前記着信状態または前記通話状態にある通話対象装置に対して所定のメッセージを出力するとともに前記着信状態または前記通話状態を切断し、当該切断から所定時間経過後に当該通話対象装置に対して発信をおこなう制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項9に記載の通話制御方法は、移動体に搭載され、相手先の通話装置(以下「通話対象装置」という)とハンズフリー通話が可能なハンズフリー通話装置の通話制御方法であって、前記通話対象装置との、着信状態または通話状態を検出する状態検出工程と、前記状態検出工程にて検出された前記着信状態または前記通話状態にある前記通話対象装置の電話番号の情報を記録する記録工程と、所定の入力情報に応じて、前記着信状態または前記通話状態にある通話対象装置に対して所定のメッセージを出力して前記着信状態または前記通話状態を切断する切断工程と、前記切断工程による前記切断から所定時間経過後に前記通話対象装置に対して発信をおこなう発信工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項10に記載の通話制御プログラムは、請求項9に記載の通話制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項11の発明にかかる記録媒体は、請求項10に記載の通話制御プログラムをコンピュータに読み取り可能に記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるハンズフリー通話装置、通話制御方法、通話制御プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
(ハンズフリー通話装置の機能的構成)
この発明の実施の形態にかかるハンズフリー通話装置100の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかるハンズフリー通話装置100の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
ハンズフリー通話装置100は、車両などの移動体に搭載され、相手先の通話装置(以下「通話対象装置」という)とハンズフリー通話をおこなう装置である。相手先の通話対象装置は、携帯電話装置、PHS(Personal Handy System)、IP電話を含む固定電話機などである。当方が使用する車内の電話装置(以下「車内通話装置」という)は、車両内に持ち込まれる携帯電話装置や、車両に搭載される車載電話装置である。
【0013】
ハンズフリー通話装置100は、この車内通話装置と有線接続、または無線接続により、ハンズフリー通話を可能にする。有線接続をおこなうに際しては、コネクタを用いたケーブルが用いられる。無線接続をおこなうに際しては、近距離無線通信手段として、たとえば、Bluetoothデバイスが用いられる。なお、Bluetoothデバイスのほかにも、赤外線受信による送受信をおこなう機器を用いてもよい。なお、Bluetoothは、登録商標である。
【0014】
図1において、ハンズフリー通話装置100は、状態検出部101と、記録部102と、制御部103と、区域検出部104と、探索部105と、算出部106と、表示制御部107と、入力部108と、表示部109とを備えて構成される。
【0015】
状態検出部101は、通話対象装置との、着信状態または通話状態を検出する。着信状態は、車内通話装置の着呼状態である。通話状態は、具体的には、車内通話装置を用いて通話している状態、すなわち、ハンズフリー通話をおこなっている状態である。状態検出部101は、たとえば、車内通話装置から、着信時または通話時に転送される転送信号を検出することにより、着信状態または通話状態を検出する。
【0016】
記録部102は、状態検出部101によって検出された着信状態または通話状態にある通話対象装置の電話番号の情報を記録する。記録部102は、たとえば、着信時または発信時に車内通話装置のディスプレイに表示される相手先の電話番号の情報を記録する。記録部102は、少なくとも、直前におこなった着信または発信の相手先の電話番号を記録していればよく、したがって、他の着信または他の発信があった場合には、それまでに記録していた相手先の電話番号を消去し、他の着信または他の発信の相手先の電話番号を記録すればよい。
【0017】
制御部103は、所定の入力情報に応じて、着信状態または通話状態にある通話対象装置に対して所定のメッセージを出力するとともに着信状態または通話状態を切断し、当該切断から所定時間経過後に通話対象装置に対して発信をおこなう。所定の入力情報は、運転に危険な状況を検出した際の入力情報や、利用者が後でかけ直す旨の選択をおこなった際の入力情報である。運転に危険な状況を検出した際の入力情報は、具体的には、後述する「影響区域」を検出した際の情報であり、たとえば、交差点付近、分岐点付近、合流地点付近、カーブ付近、料金所付近、細街路、などに位置する場合のほか、ブレーキ操作やアクセル操作に基づく所定値以上の加速度を検知した場合などに検出される情報である。一方、利用者が後でかけ直す旨の選択をおこなった際の入力情報は、詳細については後述する。
【0018】
所定のメッセージは、具体的には、後でかけ直す旨のメッセージである。このメッセージには、所定時間経過後にかけ直す旨の情報を含めたり、運転に支障をきたすおそれのある地点を走行中である旨の情報を含めたりしてもよい。所定時間は、予め利用者により設定される任意の時間(たとえば10分など)としてもよいし、後述するように可変にすることもできる。制御部103は、たとえば、所定時間を10分とした場合、10分後にかけ直す旨のメッセージを出力するとともに、切断後の時間を計測し、10分経過した際に当該通話対象装置に発信する。なお、制御部103は、通話対象装置との接続を切断した後に、停車した場合など、具体的には、エンジンが停止した場合や、所定時間以上ハザードランプを点灯させて停車した場合に、所定時間が経過したものとして、通話対象装置に対する発信をおこなってもよい。
【0019】
また、制御部103は、記録部102に記録される電話番号の情報を用いて、通話対象装置に対する発信をおこなう。発信は、具体的には、発呼である。制御部103の制御により発信がおこなわれると、たとえば、車内のスピーカから呼び出し音が音声出力されるとともに、相手方が当該発呼により応答する(電話に出る)と、ハンズフリー通話を開始する。なお、制御部103は、状態検出部101により着信状態または通話状態が検出された際に、車両が停止している場合に、上述した制御をおこなわないようにし、すなわち、ハンズフリー通話に対する制限や折り返しの発信をおこなう機能を解除してもよい。
【0020】
区域検出部104は、移動体の運転操作に影響を及ぼす区域(以下「影響区域」という)を検出する。影響区域は、上述したように、交差点付近、分岐点付近、合流地点付近、カーブ付近、細街路、料金所付近などのほか、所定値以上の加速度を検知した地点付近などである。
【0021】
区域検出部104を備えた構成において、制御部103は、状態検出部101によって着信状態または通話状態が検出され且つ区域検出部104によって影響区域が検出された際に、着信状態または通話状態を切断する。また、制御部103は、区域検出部104によって影響区域が検出されなくなった際に、当該着信状態または通話状態にあった通話対象装置に対して発信をおこなう。すなわち、この場合、影響区域が検出されてから検出されなくなるまでが、上述した所定時間となる。したがって、後述する算出部106によって影響区域を通過するまでの時間を算出することにより、相手先に当該算出した時間を通知することも可能である。
【0022】
また、区域検出部104は、交差点から所定距離手前の地点を影響区域の始点として、当該交差点から所定距離離れた地点を影響区域の終点として影響区域を検出するようにしてもよい。所定距離は、たとえば、100m、200mといった距離である。なお、「交差点から所定距離手前の地点」の「所定距離」と、「交差点から所定距離離れた地点」の「所定距離」とは、必ずしも一致させる必要はない。すなわち、交差点から手前200mの地点を影響区域の始点とし、交差点から100m離れた地点を影響区域の終点としてもよい。
【0023】
さらに、区域検出部104は、交差点から所定距離手前にて、方向指示器が動作状態を示した地点を影響区域の始点として検出してもよい。方向指示器の動作状態は、具体的には、右方向または左方向を示す状態である。なお、複数レーンを有する道路における車線変更と右左折とを区別化するために、方向指示器の動作状態が所定時間以上(たとえば3秒)検知された場合に、当該地点を影響区域の始点として検出してもよい。
【0024】
また、区域検出部104は、所定の曲率半径を有するカーブにおける所定距離手前の地点を影響区域の始点として、当該カーブの終端から所定距離離れた地点を影響区域の終点として検出してもよい。所定の曲率半径は、通話した状態での走行が危険であると想定される半径であり、法定速度または指定速度に対応させて予め設定される。所定距離は、たとえば、100m、200mといった距離である。
【0025】
なお、「カーブから所定距離手前の地点」の「所定距離」と、「カーブから所定距離離れた地点」の「所定距離」とは、必ずしも一致させる必要はない。すなわち、カーブから手前200mの地点を影響区域の始点とし、カーブから100m離れた地点を影響区域の終点としてもよい。
【0026】
探索部105は、目的地までの経路を探索する。目的地は、たとえば、利用者からの入力により設定される施設や道路上の地点などである。探索部105による推奨経路の探索に際しては、ダイクストラ法またはこれに準じた手法が用いられる。
【0027】
探索部105を備えた構成において、区域検出部104は、探索部105によって探索された経路上に、右左折交差点が所定距離内に連続する区域、または、所定の曲率半径を有するカーブが所定距離内に連続する区域を、影響区域の連続する区域(以下「連続区域」という)として検出する。すなわち、本構成は、交差点やカーブが連続する場合に、複数の交差点やカーブを含む区域を連続区域として検出するものである。
【0028】
つまり、交差点やカーブを通過する度に、切断した相手先の通話対象装置に対して発信をおこなったとしても、すぐに、交差点やカーブが存在する場合には、当該通話を再度切断し、再度発信するということを繰り返しおこなわなければならず、利用者は落ち着いて通話することができない。このような連続区域が存在する場合は、当該連続区域を通過してから、すなわち、所定時間以上、通話状態が保たれる位置にて発信をおこなう。したがって、上述した「所定距離内に連続する区域」は、言い換えれば、利用者が落ち着いて通話することのできる時間的範囲を意味する。
【0029】
また、探索部105を備えた構成において、制御部103は、算出部106を備える。算出部106は、探索部105によって探索された経路上に連続区域が検出される際に、連続区域を通過するまでの時間を算出する。つまり、連続区域として最初に通過する交差点またはカーブの手前から、最後に通過する交差点またはカーブまでの通過時間を算出する。そして、制御部103は、算出部106によって算出された時間をメッセージに含めるとともに、切断後に当該時間が経過(連続区域を通過)した際に通話対象装置に対して発信をおこなう。
【0030】
なお、算出部106は、連続区域を通過するまでの時間を算出することに限らず、上述したように、1箇所ごとの影響区域を通過するまでの時間を算出するようにしてもよい。この場合、制御部103は、連続区域の場合と同様に、算出部106によって算出された時間をメッセージに含めるとともに、切断後に当該算出した時間が経過(影響区域を通過)した際に、通話対象装置に対して発信をおこなうようにすることも可能である。
【0031】
また、表示制御部107は、着信時における相手先の情報を表示させるとともに、所定時間経過後に発信する旨を示す選択ボタン(以下「発信制御ボタン」という)を含む複数の応答形式の選択ボタンを表示部109に表示させる。相手先の情報は、電話番号や氏名などの情報である。発信制御ボタンは、具体的には、「○分後にかけ直す」という選択ボタンである。複数の応答形式の選択ボタンは、具体的には、「通話」ボタン、「保留」ボタンである。入力部108は、表示制御部107により表示された選択ボタンのうち、いずれか一つのボタンに対する選択の入力を受け付ける。
【0032】
制御部103は、入力部108に発信制御ボタンが選択された入力があった場合に、具体的には、「○分後にかけ直す」という選択があった場合に、通話対象装置に対して所定のメッセージを出力して当該着信状態を切断するとともに、所定時間経過後に、通話対象装置に対して発信をおこなう。
【0033】
(ハンズフリー通話装置の通話制御処理手順)
つぎに、図2を用いて、ハンズフリー通話装置100の通話制御処理手順について説明する。図2は、本実施の形態にかかるハンズフリー通話装置100の通話制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0034】
図2のフローチャートにおいて、ハンズフリー通話装置100は、状態検出部101により、通話対象装置との着信状態または通話状態を検出するまで、待機状態にある(ステップS201:Noのループ)。通話対象装置との着信状態または通話状態を検出すると(ステップS201:Yes)、記録部102が通話対象装置の電話番号の情報を記録する(ステップS202)。そして、制御部103が所定の入力情報があるか否かを判断する(ステップS203)。なお、所定の入力情報は、上述したように、運転に危険な状況を検出した際に入力される情報や、利用者が後でかけ直す旨の選択をおこなった際に入力される情報である。
【0035】
ステップS203において、所定の入力情報がないと判断した場合(ステップS203:No)、通話対象装置との着信状態または通話状態が終了したか否かを判断する(ステップS204)。通話対象装置との着信状態または通話状態が終了したと判断した場合(ステップS204:Yes)、一連の処理を終了する。一方、通話対象装置との着信状態または通話状態が終了していないと判断した場合(ステップS204:No)、ステップS203における所定の入力情報があるか否かの判断を継続しておこなう。
【0036】
ステップS203において、所定の入力情報があると判断した場合(ステップS203:Yes)、制御部103は、通話対象装置へ所定のメッセージを出力させる(ステップS205)。そして、通話対象装置との着信状態または通話状態を切断する(ステップS206)。このあと、所定時間経過するまで待機状態となる(ステップS207:Noのループ)。所定時間経過すると(ステップS207:Yes)、通話対象装置に対して発信する制御をおこない(ステップS208)、一連の処理を終了する。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態にかかるハンズフリー通話装置100によれば、所定の入力情報に応じて、着信状態または通話状態にある通話対象装置に対して所定のメッセージを出力するとともに着信状態または通話状態を切断し、当該切断から所定時間経過後に通話対象装置に対して発信をおこなうようにしたので、相手方に不快感を与えることがないだけでなく、切断時や発信時における煩わしい操作を低減することができる。したがって、運転に支障をきたすことがなく、利用者は運転に集中することができる。
【0038】
また、影響区域を検出するようにし、影響区域が検出された際に着信状態または通話状態を切断し、影響区域が検出されなくなった際に通話対象装置に対して発信をおこなうようにすれば、走行に支障をきたす影響区域にて通話を切断するとともに、影響区域以外の区域にて通話が可能になるので、利用者は安全な区域にてハンズフリー通話をおこなうことができる。
【0039】
また、交差点から所定距離手前の地点を影響区域の始点として、当該交差点から所定距離離れた地点を影響区域の終点として影響区域を検出するようにすれば、走行に注意を要する交差点付近にて通話を切断するとともに、交差点以外の区域にて通話が可能になるので、利用者は安全な区域にてハンズフリー通話をおこなうことができる。
【0040】
また、交差点から所定距離手前にて、方向指示器が動作状態を示した地点を影響区域の始点として検出するようにすれば、特に注意を要する右左折交差点付近にて通話を切断することができる。
【0041】
また、所定の曲率半径を有するカーブにおける所定距離手前の地点を影響区域の始点として、当該カーブの終端から所定距離離れた地点を影響区域の終点として検出するようにすれば、走行に注意を要するカーブにて通話を切断するとともに、カーブ以外の区域にて通話が可能になるので、利用者は安全な区域にてハンズフリー通話をおこなうことができる。
【0042】
また、探索された経路上に、右左折交差点が所定距離内に連続する区域、または、所定の曲率半径を有するカーブが所定距離内に連続する区域を、連続区域として検出するようにすれば、交差点やカーブが連続する連続区域では、通話をおこなわないようにし、連続区域が過ぎてから通話をおこなわせることができる。したがって、交差点やカーブが連続する場合に、当該交差点やカーブを通過する度に、切断や発信を繰り返すことなく、一定の通話時間が確保できる状況にて通話をおこなわせることができる。
【0043】
また、経路上に連続区域が検出される際に、連続区域を通過するまでの時間を算出するようにし、算出した時間をメッセージに含めて出力するとともに、切断後に当該算出した時間が経過した際に通話対象装置に対して発信をおこなうようにすれば、折り返しまでに要する時間が長い場合であっても当該時間が通知されるので、相手先は不安になることなく折り返しの電話を待つことができる。
【0044】
また、着信状態にて、発信制御ボタンを含む複数の応答形式の選択ボタンを表示させるようにし、利用者から発信制御ボタンが選択された入力があった場合に、通話対象装置に対して所定のメッセージを出力して当該着信状態を切断するとともに、所定時間経過後に、通話対象装置に対して発信をおこなうようにすれば、着信状態にある相手先に対して、利用者が自ら折り返す旨を通知することなく、制御部103の制御により、メッセージを出力することができる。また、所定時間経過後に利用者が煩わしい操作をおこなうことなく、当該通話対象装置に対して発信することができる。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の説明においては、車両に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明のハンズフリー通話装置を実施した場合の一例について説明する。
【0046】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
図3を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
図3において、ナビゲーション装置300は、車両などの移動体に搭載されており、携帯電話装置330と近距離無線通信が可能になっており、携帯電話装置330のハンズフリー通話を可能にする。ナビゲーション装置300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(インターフェース)308と、マイク309と、スピーカ310と、入力デバイス311と、映像I/F312と、ディスプレイ313と、通信I/F314と、BT(Bluetooth)デバイス315と、GPSユニット316と、各種センサ317とを備えている。なお、Bluetoothは、登録商標である。また、各構成部301〜317はバス320によってそれぞれ接続されている。
【0048】
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302やフラッシュROM等の書換え可能な不揮発性メモリは、ブートプログラム、現在地点算出プログラム、経路探索プログラム、経路誘導プログラム、通話制御プログラム、通過時間算出プログラム、表示制御プログラムなどの各種プログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。また、RAM303は、直前に着信した相手先の電話番号、または、当方から発信した際の直前の相手先の電話番号を一時的に記録する。なお、RAM303は、上述した実施の形態における記録部102に相当する。
【0049】
現在地点算出プログラムは、たとえば、後述するGPSユニット316および各種センサ317の出力情報に基づいて、車両の現在地点(ナビゲーション装置300の現在地点)を算出させる。なお、上述した実施の形態における区域検出部104はCPU301によって実現される。具体的には、CPU301が、現在地点を算出するとともに、磁気ディスク305に記録される地図データを用いて、当該算出した現在地点が交差点またはカーブから所定距離手前に位置したか否かを判別することにより、区域検出部104としての機能を有する。
【0050】
経路探索プログラムは、後述する磁気ディスク305に記録されている地図データなどを利用して、出発地点から目的地点までの最適な経路を探索させる。ここで、最適な経路とは、目的地点までの最短(または最速)経路やユーザが指定した条件に最も合致する経路などである。探索された経路は、CPU301を介して音声I/F308や映像I/F312へ出力される。上述した実施の形態における探索部105は、CPU301によって実現される。すなわち、CPU301は、経路探索プログラムを実行することにより、探索部105としての機能を実現する。
【0051】
経路誘導プログラムは、経路探索プログラムを実行することによって探索された誘導経路情報、現在地点算出プログラムを実行することによって算出された車両の現在地点情報、磁気ディスク305から読み出された地図データに基づいて、リアルタイムな経路誘導情報を生成させる。生成された経路誘導情報は、CPU301を介して音声I/F308や映像I/F312へ出力される。
【0052】
通話制御プログラムは、所定の入力情報に応じて、着信状態またはハンズフリー通話状態にある相手先の通話装置(「通話対象装置」という)に対して、所定のメッセージを出力して当該着信状態または通話状態を切断するとともに、当該切断から所定時間経過後に、RAM303に記録される電話番号の情報を用いて、当該通話対象装置に対して発信(オートダイヤル)をおこなうプログラムである。上述した実施の形態における制御部103は、CPU301によって実現される。すなわち、CPU301は、通話制御プログラムを実行することにより、制御部103としての機能を実現する。
【0053】
通過時間算出プログラムは、探索された経路上の右左折交差点やカーブなどの影響区域、または影響区域が連続する連続区域を通過するまでに要する時間を算出するプログラムである。上述した実施の形態における算出部106は、CPU301によって実現される。すなわち、CPU301は、通過時間算出プログラムを実行することにより、算出部106としての機能を実現する。
【0054】
また、表示制御プログラムは、着信時における相手先の情報を表示させるとともに、所定時間経過後にオートダイヤルする旨を示す選択ボタン(以下「発信制御ボタン」という)を含む複数の応答形式の選択ボタンを表示させるプログラムである。上述した実施の形態における表示制御部107は、CPU301によって実現される。すなわち、CPU301は、表示制御プログラムを実行することにより、表示制御部107としての機能を実現する。
【0055】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。磁気ディスク305には、たとえば、交差点やカーブなどの情報を含む地図データや、通話対象装置との切断時に相手先に通知するメッセージなどを記録する。
【0056】
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱自在な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0057】
音声I/F308は、マイク309およびスピーカ310に接続される。マイク309は、たとえば、車両のサンバイザー付近に設置され、その数は単数でも複数でもよい。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。また、音声I/F308は、通話対象装置との切断時に、当該通話対象装置に対して所定のメッセージを出力するように制御する。
【0058】
スピーカ310は、音声を出力する。具体的には、スピーカ310からは、経路誘導に関する音声や、相手側の通話音声が出力される。入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、マウス、タッチパネルのうち、いずれか一つの形態によって実現されてもよいし、複数の形態によって実現されてもよい。入力デバイス311は、本実施の形態における入力部108に相当する。
【0059】
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、たとえば、ディスプレイ313全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ313を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0060】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ313は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。ディスプレイ313は、たとえば、車両のダッシュボード付近に設置される。ディスプレイ313からは、着信状態または通話状態の切断時に切断する旨や所定時間経過後にオートダイヤルする旨の情報などが表示される。なお、これら情報は、スピーカ310からも出力される。ディスプレイ313は、上述した実施の形態における表示部109に相当する。
【0061】
通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F314は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。
【0062】
また、通信I/F314は、BTデバイス315を含む。BTデバイス315は、携帯電話装置330と近距離無線通信をおこない、音声情報の送受信をおこなうほか、着信時における着信した旨の情報および相手先の情報の受信をおこなう。BTデバイス315は、たとえば、2.4GHzの電波を利用し、認証した周辺10m範囲内の携帯電話装置330と通信をおこなう。通信I/F314は、BTデバイス315により着信時または通話時に転送される転送信号を検出することにより、着信状態または通話状態を検出する。すなわち、通信I/F314は、上述した実施の形態における状態検出部101に相当する。
【0063】
GPSユニット316は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在地点を示す情報を出力する。GPSユニット316の出力情報は、後述する各種センサ317の出力値とともに、CPU301による車両の現在地点の算出に際して利用される。現在地点を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0064】
各種センサ317は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。また、各種センサ317は、このほかにも、方向指示器(ウィンカー)の動作状態を検知する検知センサを含む。各種センサ317の出力値は、CPU301による車両の現在地点の算出や、速度や方位の変化量の測定、ハンズフリー通話の制御などに用いられる。
【0065】
図1に示したハンズフリー通話装置100が備える状態検出部101と、記録部102と、制御部103と、区域検出部104と、探索部105と、表示制御部107と、算出部106と、入力部108と、表示部109とは、図3に示したナビゲーション装置300におけるやフラッシュROM等の書換え可能な不揮発性メモリ、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0066】
すなわち、本実施例のナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300における記録媒体としてのROM302に記録されている通話制御プログラムを実行することにより、図1に示したハンズフリー通話装置100が備える機能を、図2に示した通話制御処理手順で実行することができる。
【0067】
(ナビゲーション装置がおこなう通話制御処理の一例)
つぎに、図4を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置300がおこなう通話制御処理の一例について説明する。図4は、本実施例にかかるナビゲーション装置300がおこなう通話制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
図4において、ナビゲーション装置300のCPU301は、通信I/F314により携帯電話装置330の着信状態またはハンズフリー通話状態を検出したか否かを判断する(ステップS401)。着信状態またはハンズフリー通話状態を検出すると(ステップS401:Yes)、RAM303に相手先の電話番号を記録する(ステップS402)。なお、ハンズフリー通話状態の場合、電話番号の記録は、発信時または着信時に記録しておき、ステップS402において、記録した電話番号を読み込むようにしてもよい。
【0069】
このあと、各種センサ317の検知情報を用い、CPU301は、車両が走行中か否かを判断する(ステップS403)。車両が走行中であると判断した場合(ステップS403:Yes)、CPU301は、磁気ディスクドライブ304を制御して地図データを読み込み、地図データから交差点またはカーブの位置情報を取得する(ステップS404)。さらに、CPU301は、車両が影響区域に位置するか否かの判断として、現在地点が交差点またはカーブから100m手前に位置するか否かを判断する(ステップS405)。なお、交差点またはカーブから手前の距離は100mとしているが、これに限られるものではなく、200mや300mなどとすることも可能であり、任意に設定することが可能である。
【0070】
現在地点が交差点またはカーブから100m手前に位置するまで待機状態にあり(ステップS405:Noのループ)、現在地点が交差点またはカーブから100m手前に位置すると(ステップS405:Yes)、交差点の手前に位置しているか否かを判断する(ステップS406)。交差点の手前に位置していると判断した場合(ステップS406:Yes)、各種センサ317により方向指示器の動作状態を検出する(ステップS407)。
【0071】
そして、右折または左折の動作状態を検出したか否かを判断する(ステップS408)。右折または左折の動作状態を検出したと判断した場合(ステップS408:Yes)、磁気ディスク305に記録されるメッセージを読み込む(ステップS409)。一方、ステップS406において、交差点の手前に位置していないと判断した場合(ステップS406:No)、すなわち、カーブの手前に位置していると判断した場合、ステップS409に移行する。
【0072】
そして、ディスプレイ313に着信状態またはハンズフリー通話状態を切断する旨を表示する(ステップS410)。なお、ステップS410における表示画面の詳細については、図8を用いて後述する。このあと、メッセージを相手先に通知し(ステップS411)、着信状態またはハンズフリー通話状態を切断する(ステップS412)。そして、オートダイヤルするまでの時間が設定されているか否かを判断する(ステップS413)。設定されている時間は、たとえば、予めオートダイヤルする時間として利用者からの入力により設定されている時間である。
【0073】
ステップS413において、オートダイヤルするまでの時間が設定されている場合(ステップS413:Yes)、CPU301が内蔵するタイマーにより、切断後の時間を計測する(ステップS414)。そして、設定した時間が経過したか否かを判断する(ステップS415)。設定した時間が経過していないと判断した場合(ステップS415:No)、ステップS414における計測を継続する。設定した時間が経過したと判断すると(ステップS415:Yes)、RAM303に記録した電話番号にオートダイヤルする(ステップS416)。
【0074】
一方、ステップS413において、オートダイヤルするまでの時間が設定されていない場合(ステップS413:No)、車両が交差点またはカーブを通過し、現在地点が交差点またはカーブから所定距離離れたか否かを判断する(ステップS417)。現在地点が交差点またはカーブから所定距離離れるまで待機状態にあり(ステップS417:Noのループ)、現在地点が交差点またはカーブから所定距離離れた場合(ステップS417:Yes)、ステップS416における電話番号のオートダイヤルをおこなう。
【0075】
このあと、ナビゲーション装置300の電源がオフになったか否かを判断する(ステップS418)。なお、ステップS418においては、ナビゲーション装置300の電源がオフになったか否かの判断以外にも、携帯電話装置330の電源がオフになったか否かの判断や、携帯電話装置330が所定のクレードルから外されたか否かの判断としてもよい。ステップS418において、電源がオフになっていないと判断した場合(ステップS418:No)、ステップS401に移行する。電源がオフになったと判断した場合(ステップS418:Yes)、一連の処理を終了する。
【0076】
また、ステップS401において、着信状態またはハンズフリー通話状態ではないと判断した場合(ステップS401:No)、ステップS418に移行する。また、ステップS403において、走行中ではないと判断した場合(ステップS403:No)、着信状態またはハンズフリー通話状態を維持し(ステップS419)、ステップS418に移行する。また、ステップS408において、右折または左折の動作状態を検出しない場合(ステップS408:No)、すなわち、当該交差点において車両が直進する場合、ステップS418に移行する。
【0077】
上述した処理によれば、影響区域が検出された際に、着信状態または通話状態にある通話対象装置に対して所定のメッセージを出力するとともに着信状態または通話状態を切断し、当該切断から所定時間経過後に相手先に対してオートダイヤルするようにしたので、相手方に不快感を与えることがないだけでなく、切断時や発信時における煩わしい操作を低減することができる。したがって、運転に支障をきたすことがなく、利用者は運転に集中することができる。
【0078】
また、影響区域を検出するようにし、影響区域が検出された際に着信状態または通話状態を切断し、影響区域が検出されなくなった際に相手先に対してオートダイヤルをおこなうようにしたので、走行に支障をきたす影響区域にて通話を切断するとともに、影響区域以外の区域にて通話が可能になるので、利用者は安全な区域にてハンズフリー通話をおこなうことができる。
【0079】
また、交差点から所定距離手前の地点を影響区域の始点として、当該交差点から所定距離離れた地点を影響区域の終点として影響区域を検出するようにすれば、走行に注意を要する交差点付近にて通話を切断するとともに、交差点以外の区域にて通話が可能になるので、利用者は安全な区域にてハンズフリー通話をおこなうことができる。
【0080】
また、交差点から所定距離手前にて、方向指示器が動作状態を示した地点を影響区域の始点として検出するようにしたので、特に注意を要する右左折交差点付近にて通話を切断することができる。
【0081】
また、所定の曲率半径を有するカーブにおける所定距離手前の地点を影響区域の始点として、当該カーブの終端から所定距離離れた地点を影響区域の終点として検出するようにしたので、走行に注意を要するカーブにて通話を切断するとともに、カーブ以外の区域にて通話が可能になるので、利用者は安全な区域にてハンズフリー通話をおこなうことができる。
【0082】
(ナビゲーション装置がおこなう着信時における通話制御処理の一例)
つぎに、図5を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置300がおこなう着信時における通話制御処理の一例について説明する。図5は、本実施例にかかるナビゲーション装置300がおこなう着信時における通話制御処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、着信時に相手先の情報をディスプレイ313に表示するとともに、利用者によって発信制御ボタンが選択された場合のメッセージの出力、着信状態の切断、および所定時間経過後にオートダイヤルする場合の処理について説明する。
【0083】
図5のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300のCPU301は、通信I/F314により携帯電話装置330の着信状態を検出したか否かを判断する(ステップS501)。着信状態を検出するまで待機状態にあり(ステップS501:Noのループ)、着信状態を検出すると(ステップS501:Yes)、RAM303に相手先の電話番号を記録する(ステップS502)。そして、発信制御ボタンなど複数の応答形式のボタンが表示された選択画面を表示する(ステップS503)。ステップS503における表示画面の詳細については、図7を用いて後述する。
【0084】
ステップS503に表示された選択画面から、発信制御ボタンが選択された場合(ステップS504:Yes)、磁気ディスク305に記録されるメッセージを読み込む(ステップS505)。なお、このときのメッセージ内容は、上記の「所定時間」に対応しており、すなわち、ステップS504における選択画面において、発信制御ボタンとして「10分後に発信する」が選択された場合には、10分後に発信する旨のメッセージとなる。
【0085】
そして、相手先にメッセージを通知し(ステップS506)、着信状態を切断する(ステップS507)。このあと、ステップS506のメッセージにて通知した所定時間が経過するまで待機状態にある(ステップS508:No)。所定時間経過すると(ステップS508:Yes)、RAM303に記録した電話番号にオートダイヤルし(ステップS509)、一連の処理を終了する。なお、ステップS509においては、上述した影響区域(または後述する連続区域)に車両が位置していないことを判断した上で、オートダイヤルすることが望ましい。
【0086】
一方、ステップS504において、発信制御ボタンが選択されない場合(ステップS504:No)、すなわち、「通話」や「保留」が選択された場合、選択に応じた接続状態となり、一連の処理を終了する。
【0087】
なお、上述した処理では、車両の走行状態によらず、すなわち、着信を受けた場合に常に同じ表示やメッセージの出力などをおこなうようにした処理について説明したが、図4で説明した車両の走行状態を加味した制御をおこなうことも可能である。すなわち、ステップS503における「選択画面の表示」以降の処理を、影響区域(交差点またはカーブから100m手前の位置)において着信を受けた場合にのみおこなう処理として、限定することも可能である。具体的には、ステップS503の前段階で、図4に示したステップS403〜ステップS408の処理を挿入し、各ステップが「Yes」となる条件下でステップS503の処理を実行すればよい。
【0088】
上述した処理によれば、着信状態にて、発信制御ボタンを含む複数の応答形式の選択ボタンを表示させるようにし、利用者から発信制御ボタンが選択された入力があった場合に、相手先に対して所定のメッセージを出力して当該着信状態を切断するとともに、所定時間経過後に、相手先に対してオートダイヤルをおこなうようにしたので、着信状態にある相手先に対して、利用者が自ら折り返す旨を通知することなく、所定のメッセージを出力することができる。また、所定時間経過後に利用者が煩わしい操作をおこなうことなく、相手先に対してオートダイヤルすることができる。
【0089】
(オートダイヤルするまでの時間を算出する場合の通話制御処理の一例)
つぎに、図6を用いて、オートダイヤルするまでの時間を算出する場合の通話制御処理の一例について説明する。図6は、オートダイヤルするまでの時間を算出する場合の通話制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートでは、探索された目的地までの経路を走行中であることを前提とする。
【0090】
図6において、ナビゲーション装置300のCPU301は、通信I/F314により携帯電話装置330の着信状態またはハンズフリー通話状態を検出したか否かを判断する(ステップS601)。着信状態またはハンズフリー通話状態を検出するまで待機状態にあり(ステップS601:Noのループ)、着信状態またはハンズフリー通話状態を検出すると(ステップS601:Yes)、RAM303に相手先の電話番号を記録する(ステップS602)。なお、ハンズフリー通話状態の場合、電話番号の記録は、発信時または着信時に記録しておき、ステップS602において、記録した電話番号を読み込むようにしてもよい。
【0091】
このあと、車両が影響区域に位置しているか否かを判断する(ステップS603)。なお、影響区域は、たとえば、交差点またはカーブの手前100mから、当該交差点またはカーブの先100mである。車両が影響区域に位置していないと判断した場合(ステップS603:No)、着信状態またはハンズフリー通話状態が終了したか否かを判断する(ステップS604)。着信状態またはハンズフリー通話状態が終了していないと判断した場合(ステップS604:No)、ステップS603における影響区域の検出を継続しておこなう。一方、ステップS603において、車両が影響区域に位置していると判断すると(ステップS603:Yes)、連続区域か否かを判断する(ステップS605)。
【0092】
連続区域は、右左折交差点が所定距離内に連続する区域、または、所定の曲率半径を有するカーブが所定距離内に連続する区域である。具体例を挙げると、連続区域は、右左折交差点やカーブが連続し、5分程度通話が確保される直線道路(右左折交差点やカーブのない道路)に到達するまでの区域である。なお、5分程度通話が確保される直線道路は、時速30km/h(分速0.5km/m)の道路の場合、2.5kmほど、右左折やカーブのない道路である。したがって、この場合、2.5km以内に、右左折交差点やカーブが存在する場合には、全て、連続区域の領域内にあるものと判断される。
【0093】
ステップS605において、連続区域であると判断した場合(ステップS605:Yes)、最後の影響区域の終点までの所要時間を算出する(ステップS606)。そして、磁気ディスク305に記録されるメッセージを読み込むとともに、当該メッセージに算出した時間(たとえば5分)を合成することにより、メッセージ(たとえば「5分お待ち下さい」)を生成する(ステップS607)。一方、ステップS605において、連続区域ではないと判断した場合(ステップS605:No)、当該影響区域の終点までの所要時間を算出し(ステップS608)、ステップS607におけるメッセージの生成に移行する。
【0094】
そして、ディスプレイ313に着信状態またはハンズフリー通話状態を切断する旨を表示する(ステップS609)。なお、ステップS609における表示画面の詳細については、図8を用いて後述する。このあと、相手方にメッセージを通知し(ステップS610)、着信状態またはハンズフリー通話状態を切断する(ステップS611)。そして、CPU301が内蔵するタイマーを用いて時間を計測することにより、算出した時間が経過するまで待機状態にあり(ステップS612:Noのループ)、算出した時間が経過すると(ステップS612:Yes)、すなわち、連続区域または影響区域を通過すると、RAM303に記録した電話番号にオートダイヤルする(ステップS613)。
【0095】
このあと、ナビゲーション装置300の電源がオフになったか否かを判断する(ステップS614)。なお、ステップS614においては、ナビゲーション装置300の電源がオフになったか否かの判断以外にも、携帯電話装置330の電源がオフになったか否かの判断や、携帯電話装置330が所定のクレードルから外されたか否かの判断としてもよい。ステップS614において、電源がオフになっていないと判断した場合(ステップS614:No)、ステップS601に移行する。電源がオフになったと判断した場合(ステップS614:Yes)、一連の処理を終了する。また、ステップS604において、着信状態またはハンズフリー通話状態が終了したと判断した場合(ステップS604:Yes)、ステップS614に移行する。
【0096】
上述した処理によれば、探索された経路上に、右左折交差点が所定距離内に連続する区域、または、所定の曲率半径を有するカーブが所定距離内に連続する区域を、連続区域として検出するようにしたので、交差点やカーブが連続する連続区域では、通話をおこなわないようにし、連続区域が過ぎてから通話をおこなわせることができる。したがって、交差点やカーブが連続する場合に、当該交差点やカーブを通過する度に、切断や発信を繰り返すことなく、一定の通話時間が確保できる状況にて通話をおこなわせることができる。
【0097】
また、経路上に連続区域が検出される際に、連続区域を通過するまでの時間を算出するようにし、算出した時間をメッセージに含めて出力するとともに、切断後に当該算出した時間が経過した際に通話対象装置に対してオートダイヤルをおこなうようにしたので、折り返しまでに要する時間が長い場合であっても当該時間が通知されるので、相手先は不安になることなく折り返しの電話を待つことができる。
【0098】
また、連続区域に限らず、右左折交差点、または、所定の曲率半径を有するカーブなどの影響区域を通過するまでに要する時間を算出するようにしたので、影響区域ごとに、算出した時間をメッセージに含めて出力して切断し、切断後に当該算出した時間が経過した際に通話対象装置に対してオートダイヤルをおこなうことができる。したがって、相手先は不安になることなく折り返しの電話を待つことができる。
【0099】
(ディスプレイに表示される応答形式を選択する際の選択画面の一例)
つぎに、図7を用いて、ディスプレイ313に表示される応答形式を選択する際の選択画面の一例について説明する。図7は、ディスプレイ313に表示される応答形式を選択する際の選択画面の一例を示した説明図である。図7に示す表示画面は、着信時において表示される画面であり、図5のステップS503にて表示される画面である。
【0100】
ディスプレイ313には、着信した相手先の情報と、当該着信に対する応答形式を示すボタンが表示されている。応答形式のボタンは、「通話」や「保留」のボタンのほか、応答メッセージによる対応をおこなう発信制御ボタンとして「N分後にかける」、「N時間後にかける」、「後ほどかける」があり、タッチパネルにより利用者からの選択を受け付けることが可能になっている。「N分後にかける」が選択されると、着信状態から、相手先に「N分後にかけ直します」などの応答メッセージを通知する通知状態に切り替わり、メッセージを通知した後に通知状態を切断する。そして、N分後にオートダイヤルがおこなわれる。「N時間後にかける」が選択された場合も同様である。
【0101】
「後ほどかける」が選択されると、予め設定されている所定時間経過後にオートダイヤルするようにしてもよいし、車両が影響区域や連続区域に位置しない場合にオートダイヤルするようにしてもよい。「通話」が選択されると、着信状態から通話状態に切り替わり、ハンズフリー通話が可能になる。「保留」が選択されると、着信状態から保留状態に切り替わり、たとえば、「保留中です」等の相手先に保留の旨を示す情報を通知する。なお、車両が影響区域や連続区域に位置する場合には、「通話」や「保留」の選択を受け付けないようにし、すなわち、「N分後にかける」、「N時間後にかける」、「後ほどかける」の中からいずれか一つを受け付けるようにしてもよい。
【0102】
上述した表示画面によれば、着信状態にて、発信制御ボタンを含む複数の応答形式の選択ボタンを表示させるようにし、発信制御ボタンが選択された入力があった場合に、相手先に対して所定のメッセージを出力して当該着信状態を切断するとともに、所定時間経過後に、相手先に対してオートダイヤルをおこなうようにしたので、着信状態にある相手先に対して、利用者が自ら折り返す旨を通知することなく、所定のメッセージを出力することができる。また、所定時間経過後に利用者が煩わしい操作をおこなうことなく、相手先に対してオートダイヤルすることができる。
【0103】
(ディスプレイに表示される切断する旨を示した画面の一例)
つぎに、図8を用いて、ディスプレイ313に表示される切断する旨を示した画面の一例について説明する。図8は、ディスプレイ313に表示される切断する旨を示した画面の一例を示した説明図である。図8に示す表示画面は、着信状態またはハンズフリー通話状態の切断前に表示される画面であり、図4のステップS410、および図6のステップS609にて表示される画面である。
【0104】
図8に示す表示画面には、影響区域または連続区域である旨、切断する旨、10分後にオートダイヤルする旨、相手先にも同様の通知をおこなう旨、が表示されている。このような表示画面により、利用者は、通話が切断することが予期できるとともに、利用者自身が相手方に対して折り返す旨を通知するという煩わしさを伴うことなく、電話を切ることができる。
【0105】
なお、利用者への通知内容は、ディスプレイ313への表示出力に限らず、スピーカ310からの音声出力としてもよいし、表示出力および音声出力の併用としてもよい。この表示画面のあと、ディスプレイ313は、地図画面などに移行するが、たとえば、画面上の隅にオートダイヤルするまでの時間(10分)をカウントダウンするタイマーを表示させるようにしてもよく、このようにすれば、利用者は、オートダイヤルまでの時間を知ることができる。
【0106】
以上説明したように、本発明のハンズフリー通話装置、通話制御方法、通話制御プログラム、および記録媒体によれば、相手方に不快感を与えることがないだけでなく、切断時や発信時における煩わしい操作を低減することができる。したがって、運転に支障をきたすことがなく、利用者は運転に集中することができる。
【0107】
なお、本実施例で説明した通話制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本実施の形態にかかるハンズフリー通話装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかるハンズフリー通話装置の通話制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施例にかかるナビゲーション装置がおこなう通話制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施例にかかるナビゲーション装置がおこなう着信時における通話制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】オートダイヤルするまでの時間を算出する場合の通話制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】ディスプレイに表示される応答形式を選択する際の選択画面の一例を示した説明図である。
【図8】ディスプレイに表示される切断する旨を示した画面の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0109】
100 ハンズフリー通話装置
101 状態検出部
102 記録部
103 制御部
104 区域検出部
105 探索部
106 算出部
107 表示制御部
108 入力部
109 表示部
300 ナビゲーション装置
330 携帯電話装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、相手先の通話装置(以下「通話対象装置」という)とハンズフリー通話が可能なハンズフリー通話装置であって、
前記通話対象装置との、着信状態または通話状態を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段によって検出された前記着信状態または前記通話状態にある前記通話対象装置の電話番号の情報を記録する記録手段と、
所定の入力情報に応じて、前記着信状態または前記通話状態にある通話対象装置に対して所定のメッセージを出力するとともに前記着信状態または前記通話状態を切断し、当該切断から所定時間経過後に当該通話対象装置に対して発信をおこなう制御手段と、
を備えることを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項2】
前記移動体の運転操作に影響を及ぼす区域(以下「影響区域」という)を検出する区域検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記状態検出手段によって着信状態または通話状態が検出され且つ前記区域検出手段によって前記影響区域が検出された際に、着信状態または通話状態を切断し、前記区域検出手段によって前記影響区域が検出されなくなった際に、当該着信状態または通話状態にあった前記通話対象装置に対して発信をおこなうことを特徴とする請求項1に記載のハンズフリー通話装置。
【請求項3】
前記区域検出手段は、交差点から所定距離手前の地点を前記影響区域の始点として、当該交差点から所定距離離れた地点を前記影響区域の終点として前記影響区域を検出することを特徴とする請求項1または2に記載のハンズフリー通話装置。
【請求項4】
前記区域検出手段は、交差点から所定距離手前にて、方向指示器が動作状態を示した地点を前記影響区域の始点として検出することを特徴とする請求項3に記載のハンズフリー通話装置。
【請求項5】
前記区域検出手段は、所定の曲率半径を有するカーブにおける所定距離手前の地点を前記影響区域の始点として、当該カーブの終端から所定距離離れた地点を前記影響区域の終点として検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のハンズフリー通話装置。
【請求項6】
目的地までの経路を探索する探索手段をさらに備え、
前記区域検出手段は、前記探索手段によって探索された経路上に、右左折交差点が所定距離内に連続する区域、または、所定の曲率半径を有するカーブが所定距離内に連続する区域を、前記影響区域(以下「連続区域」という)として検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のハンズフリー通話装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記経路上に前記連続区域が検出される際に、前記連続区域を通過するまでの時間を算出する算出手段を備え、前記算出手段によって算出された時間を前記メッセージに含めて出力するとともに、切断後に前記算出した時間が経過した際に前記通話対象装置に対して発信をおこなうことを特徴とする請求項6に記載のハンズフリー通話装置。
【請求項8】
前記着信時における相手先の情報を表示させるとともに、所定時間経過後に発信する旨を示す選択ボタン(以下「発信制御ボタン」という)を含む複数の応答形式の選択ボタンを表示させる表示制御手段と、
前記表示制御手段により表示された前記選択ボタンのうち、いずれか一つの応答形式の選択に対する入力がおこなわれる入力手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記入力手段に前記発信制御ボタンが選択された入力があった場合に、前記通話対象装置に対して所定のメッセージを出力して当該着信状態を切断するとともに、所定時間経過後に、当該通話対象装置に対して発信をおこなうことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のハンズフリー通話装置。
【請求項9】
移動体に搭載され、相手先の通話装置(以下「通話対象装置」という)とハンズフリー通話が可能なハンズフリー通話装置の通話制御方法であって、
前記通話対象装置との、着信状態または通話状態を検出する状態検出工程と、
前記状態検出工程にて検出された前記着信状態または前記通話状態にある前記通話対象装置の電話番号の情報を記録する記録工程と、
所定の入力情報に応じて、前記着信状態または前記通話状態にある通話対象装置に対して所定のメッセージを出力して前記着信状態または前記通話状態を切断する切断工程と、
前記切断工程による前記切断から所定時間経過後に前記通話対象装置に対して発信をおこなう発信工程と、
を含むことを特徴とする通話制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の通話制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする通話制御プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の通話制御プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−239748(P2009−239748A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84891(P2008−84891)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】