説明

不揮発性半導体記憶素子及び不揮発性半導体記憶装置

【課題】ベリファイ操作が省略可能で2種類を超えるしきい値電圧の実現が可能な不揮発性半導体記憶素子及び不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体基板1と、半導体基板に設けられた第一の導電型の半導体領域2cと、離間して設けられた第二の導電型のソースおよびドレイン領域2a、2bと、ソースおよびドレイン領域の間に設けられた第一の絶縁層3と、第一の絶縁層上に設けられ、少なくとも三層の導電体膜4a、4c、4e、4gと、導電体膜間に設けられた導電体間絶縁膜4b、4d、4fとの積層構造を有し、半導体基板から遠く離れて位置している導電体間絶縁膜の誘電率は、半導体基板の近くに位置している導電体間絶縁膜の誘電率よりも高く且つ導電体間絶縁膜の誘電率は第一の絶縁層3の誘電率より低い電荷蓄積層4と、電荷蓄積層上に設けられ導電体間絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層5と、導電体層6と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は不揮発性半導体記憶素子及びそれを含む不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の不揮発性半導体記憶素子は、制御ゲート電極とソース・ドレイン領域と半導体基板との電位を調節する事でチャネル領域と制御ゲート電極との間に設けた電荷蓄積層に電荷を注入ないし放出させる事に依り、電荷蓄積層の内部の電荷量を調節し、それに依って素子のしきい値電圧(素子のソースとドレインとの間のオン状態(導通状態)とオフ状態(非導通状態)との切り替わる制御ゲート電圧)を変える事で情報の記憶を行っている。この方式の不揮発性半導体記憶素子に於いて本来はしきい値電圧を二通りに変化させる事で一つの記憶素子あたり1ビットの情報を記憶していた。それ故、集積度の向上を図る為には個々の記憶素子あたり1ビットを越える情報を記憶させる必要が在る。1ビットを超える多値の情報を記憶させる為には、電荷蓄積層中の電荷の量を微調整する事で2種類を超えるしきい値電圧を実現し、その結果として1ビットを越える情報を記憶する方法が在る。(例えば非特許文献1、2参照)
【非特許文献1】Masayuki Ichige, et al., “A novel self-aligned shallow trench isolation cell for 90 nm 4Gbit NAND Flash EEPROMs,” in Technical Digest of 2003 Symposium on VLSI Technology pp.89-90
【非特許文献2】Osama Khouri, et al., “Program and Verify Word-Line Voltage Regulator for Multilevel Flash Memories,” in Analog Integrated Circuits and Signal Processing, vol. 34 (2003) pp.119-131
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、一般に素子特性にバラツキが存在する。そして上述した、電荷蓄積層中の電荷の量を微調整する等の方法で2種類を超えるしきい値電圧を実現する方法では、電荷蓄積層への電荷の例えば注入を行う場合に制御ゲート電極に少しずつ高くしながら電圧を印加しつつ、所望のしきい値電圧が実現されたか否かを確認する工程、すなわちベリファイ操作(非特許文献2参照)を行う事が必要となる。それ故、情報の書き込みを行う為の操作が複雑になり、この事は不揮発性半導体記憶素子及びこれらの素子が集積された不揮発性半導体記憶装置の高速動作化の大きな妨げとなっていた。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたもので、ベリファイ操作が省略可能で2種類を超えるしきい値電圧の実現が可能な不揮発性半導体記憶素子及び不揮発性半導体記憶装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による不揮発性半導体記憶素子は、半導体基板と、前記半導体基板に設けられ第一の導電型の不純物を含む半導体領域と、前記半導体領域に離間して設けられ第二の導電型の不純物を含むソースおよびドレイン領域と、前記ソースおよびドレイン領域の間の前記半導体領域の上に設けられた第一の絶縁層と、前記第一の絶縁層上に設けられ、少なくとも三層の導電体膜と、隣接する前記導電体膜間に設けられた導電体間絶縁膜との積層構造を有し、前記半導体基板から遠く離れて位置している前記導電体間絶縁膜の誘電率は、前記半導体基板の近くに位置している前記導電体間絶縁膜の誘電率よりも高く且つ前記導電体間絶縁膜のそれぞれの誘電率は前記第一の絶縁層の誘電率より低い電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層上に設けられ前記導電体間絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層と、前記第二の絶縁層上に設けられた導電体層と、を備えた事を特徴とする。
【0006】
また、本発明の第2の態様による不揮発性半導体記憶素子は、半導体基板と、前記半導体基板に設けられ第一の導電型の不純物を含む板状の半導体領域と、板状の前記半導体領域の長手方向に離間して設けられ第二の導電型の不純物を含むソースおよびドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体領域に形成されるチャネル領域と、前記チャネル領域となる前記半導体領域の対向する一対の面を覆う第一の絶縁層と、前記第一の絶縁層の前記チャネル領域とは反対側の面上に設けられ、少なくとも三層の導電体膜と、隣接する前記導電体膜間に設けられた導電体間絶縁膜との積層構造を有し、前記チャネル領域から遠く離れて位置している前記導電体間絶縁膜の誘電率は、前記チャネル領域の近くに位置している前記導電体間絶縁膜の誘電率よりも高く且つ前記導電体間絶縁膜のそれぞれの誘電率は前記第一の絶縁層の誘電率より低い電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層の前記第一の絶縁層とは反対側の面上に設けられ前記導電体間絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層と、前記第二の絶縁層の前記電荷蓄積層とは反対側の面上に設けられた導電体層と、を備えた事を特徴とする。
【0007】
また、本発明の第3の態様による不揮発性半導体記憶素子は、半導体基板と、前記半導体基板に設けられ第一の導電型の不純物を含む半導体領域と、前記半導体領域に離間して設けられ第二の導電型の不純物を含むソースおよびドレイン領域と、前記ソースおよびドレイン領域の間の前記半導体領域の上に設けられた第一の絶縁層と、前記第一の絶縁層上に設けられ、少なくとも二層の電荷蓄積絶縁膜が積層された積層構造を有し、前記半導体基板から遠く離れて位置している前記電荷蓄積絶縁膜の誘電率は、前記半導体基板の近くに位置している前記電荷蓄積絶縁膜の誘電率よりも高く且つ前記電荷蓄積絶縁膜のそれぞれの誘電率は前記第一の絶縁層の誘電率より低い電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層上に設けられ前記電荷蓄積絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層と、前記第二の絶縁層上に設けられた導電体層と、を備えた事を特徴とする。
【0008】
また、本発明の第4の態様による不揮発性半導体記憶素子は、半導体基板と、前記半導体基板に設けられ第一の導電型の不純物を含む板状の半導体領域と、板状の前記半導体領域の長手方向に離間して設けられ第二の導電型の不純物を含むソースおよびドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体領域に形成されるチャネル領域と、前記チャネル領域となる前記半導体領域の対向する一対の面を覆う第一の絶縁層と、前記第一の絶縁層の前記チャネル領域とは反対側の面上に設けられ、少なくとも二層の電荷蓄積絶縁膜が積層された積層構造を有し、前記チャネル領域から遠く離れて位置している前記電荷蓄積絶縁膜の誘電率は、前記チャネル領域の近くに位置している前記電荷蓄積絶縁膜の誘電率よりも高く且つ前記電荷蓄積絶縁膜のそれぞれの誘電率は前記第一の絶縁層の誘電率より低い電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層の前記第一の絶縁層とは反対側の面上に設けられ前記電荷蓄積絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層と、前記第二の絶縁層の前記電荷蓄積層とは反対側の面上に設けられた導電体層と、を備えた事を特徴とする。
【0009】
また、本発明の第5の態様による不揮発性半導体記憶装置は、上記第1乃至第4の態様の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子が格子点状に配置され、且つ同一の行に含まれ且つ隣り合う不揮発性半導体記憶素子の前記ソースおよびドレイン領域は相互に結合され、且つ同一の列に含まれる不揮発性半導体記憶素子の前記導電体層は相互に結合されている事を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に依れば、ベリファイ操作が省略可能で2種類を超えるしきい値電圧の実現が可能な不揮発性半導体記憶素子及び不揮発性半導体記憶装置を提供する事ができる。
【発明の実施の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。また本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、例えば半導体記憶装置、システムLSI等に種々変更して用いる事ができる。
【0012】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶素子を図1に示す。
【0013】
本実施形態の不揮発性半導体記憶素子は、半導体基板1にソース・ドレイン領域2a、2bが離間して形成され、このソース領域2aとドレイン領域2bとの間のチャネルとなる半導体基板1の領域2c上に第一の絶縁層(トンネルゲート絶縁膜)3が形成されている。この第一の絶縁層3の上に電荷蓄積層4が形成され、この電荷蓄積層4は、複数層(本実施形態では4層)の導電体膜4a、4c、4e、4gが積層され、これらの導電体膜間に設けられた第1乃至第3の導電体間絶縁膜4b、4d、4fが積層された積層構造を有している。すなわち、電荷蓄積層4は、第一の絶縁層3上に、第一の導電体膜4a、第一の導電体間絶縁膜4b、第二の導電体膜4c、第二の導電体間絶縁膜4d、第三の導電体膜4e、第三の導電体間絶縁膜4f、および第四の導電体膜4gが順次積層された積層構造を有している。なお、本実施形態では、電荷蓄積層4の導電体膜は四層であったが、少なくとも三層の導電体膜が積層されていればよい。電荷蓄積層4上に第二の絶縁層(電極間絶縁膜)5が形成され、第二の絶縁層5上に導電体層(制御ゲート電極)6が形成されている。なお、図1於いては素子分離領域、層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。また、図1に於いて縮尺は正確ではない。以下の図面に於いても同様である。なお、本実施形態の素子に於いて配線の必要な端子は制御ゲート電極、基板、ソース領域、ドレイン領域の4端子で、従来構造の不揮発性半導体記憶素子と同様の配線で動作を行う事が可能であり、従来構造の不揮発性半導体記憶素子と比較して配線の複雑化は伴わない。
【0014】
本実施形態においては、電荷蓄積層4中の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの誘電率は半導体基板1から遠い導電体間絶縁膜ほど高く設定され、第一の絶縁層3及び第二の絶縁層5の誘電率は何れも電荷蓄積層4中の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの誘電率よりも高く設定されている。すなわち、第三の導電体間絶縁膜4fの誘電率は第二の導電体間絶縁膜4dの誘電率よりも高く、第二の導電体間絶縁膜4dの誘電率は第一の導電体間絶縁膜4bの誘電率よりも高く設定されている。
【0015】
この様な構成にすることにより、後述するように制御ゲート電極6に印加する電圧の増大に伴ってしきい値電圧が階段状に変化する。その結果として2種類を超えるしきい値電圧の実現が可能となるとともにベリファイ操作の省略が可能となる。以下にこの事を説明する。電荷蓄積層4を構成する導電体膜相互の間の電荷の移動は電荷蓄積層4中の導電体膜の間に形成されている導電体間絶縁膜を貫くトンネル電流を用いて行う。それ故、導電体間絶縁膜中の電場を特定の値よりも強くした場合には電荷が移動し、特定の値よりも弱くした場合には電荷が移動しないと言う様に不連続に変わるものではない。ここで、特定の導電体間絶縁膜の両側に電極を形成したMIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシターを考え、このMIMキャパシターに於いて電流値が予め定めておいた特定の値になるところの、その導電体間絶縁膜中の電場を「書き込み電場」と呼ぶ事にすると「書き込み電場」は明確に定義される。本明細書中ではこの言葉をここに記した意味で用いる。
【0016】
比較例として、先ず単層の導電体膜からなる電荷蓄積層を備えた不揮発性半導体記憶素子を考える。この比較例の不揮発性半導体記憶素子のチャネル領域を流れる電流に平行な方向の断面を図2(a)に示す。この図2(a)に示す比較例の不揮発性半導体記憶素子は、図1に示す本実施形態の不揮発性半導体記憶素子の電荷蓄積層4を単層の導電体膜からなる電荷蓄積層40に置き換えた構成となっている。
【0017】
制御ゲート電極6を含む積層構造を、簡単の為に図2(a)中の切断線B−Bで切った切り口を一次元化して考えると、図2(b)に示す様に電極間絶縁膜5の容量Cintとトンネルゲート絶縁膜3の容量Ctunnelとの直列接続と等価である。制御ゲート電極6の電位をVCG、チャネル領域2cの電位をVCHとし、電荷蓄積層40中に蓄えられている電荷をQとする。トンネルゲート絶縁膜3中の電場が書き込み電場となる電圧条件を「書き込み電圧条件」と本明細書中では呼ぶ事にする。ここではn型の素子を考える事にする。
【0018】
まず、書き込みを考える。電位VCGを書き込み電圧条件よりもΔV高く設定すると、電荷蓄積層40に電荷が注入される。この時に注入される電荷の符号は負であるので、電荷が注入されるに従ってトンネルゲート絶縁膜3中の電場は弱くなり、やがては電荷の注入が止まる。この状態で電荷蓄積層40に蓄えられている電荷QはQ=−Cint×ΔVで与えられる。それ故、この状態での素子のしきい値電圧VTHは電荷蓄積層40に電荷が存在しない場合のしきい値電圧VTH0を用いて
TH=VTH0−Q/Cint=VTH0+ΔV
で与えられる。それ故、∂VTH/∂VCG=1が成り立つ。
【0019】
消去も同様に考えるとやはり∂VTH/∂VCG=1が成り立つ事が解る。すなわち、電位VCGを増大させるのに伴ってしきい値電圧VTHも一様に増大する事になる。それ故、しきい値電圧を特定の精度で制御する為にはそれと等しい精度で、書き込みおよび消去時の制御ゲート電極6の電位を制御する必要があり、実際には次第に高い電位VCGを印加しつつベリファイ操作を行う必要が在る。なお、消去時の電荷蓄積層40からの電荷の放出は、制御ゲート電極6に、半導体基板1に対して負の電圧を印加して半導体基板1に電子を放出しても良いし、制御ゲート電極に、ソース・ドレイン領域に対して負の電位を印加してソース・ドレイン領域2a、2bに電子を放出してもよい。
【0020】
次に本実施形態の不揮発性半導体記憶素子に戻って考える。
【0021】
図1中の切断線A−Aで切った切り口を考える。制御ゲート電極6、第二の絶縁層5、第四の導電体膜4g、第三の導電体間絶縁膜4f、第三の導電体膜4e、第二の導電体間絶縁膜4d、第二の導電体膜4c、第一の導電体間絶縁膜4b、第一の導電体膜4a、第一の絶縁層3、および半導体基板1を、簡単の為に一次元化して考える。すると、本実施形態の不揮発性半導体記憶素子は、図3に示す様に第一の絶縁層3の容量Cと、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの容量Cint1、Cint2、Cint3と、第二の絶縁層5の容量Cと、の直列接続と等価となる。
【0022】
制御ゲート電極6の電位をVCG、チャネル領域2cの電位をVCHとする。そして第一乃至第四の導電体膜4a、4c、4e、4g中に蓄えられている電荷を各々Q、Q、Q、Qとする。また、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの誘電率を各々kint1、kint2、kint3とし、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4f中の電場を各々Eint1、Eint2、Eint3とする。そして第一および第二の絶縁層3、5の誘電率を各々k、kとし、第一及び第二の絶縁層3、5中の電場を各々E、Eとする。ここではn型の素子を考える事にする。また、各導電体膜は半導体で形成されているとし、各導電体膜中のキャリアは電子であるとする。p型の素子の場合ないし各導電体膜中のキャリアがホールである場合も電圧の極性を逆にすれば全く同様である。
【0023】
まず、書き込みを考える。先ず、導電体膜4a、4c、4e、4g中の電子は第一の導電体膜4a中にのみ存在しているとする。この状態に於けるしきい値電圧をVTH1とする。電荷の総量をQとするとQ=Q、Q=Q=Q=0である。各導電体膜4a、4c、4e、4g中のキャリアは電子であるとしているのでQ<0である。この時、静電気学のガウスの定理を用いると、
int1×Eint1=kint2×Eint2=kint3×Eint3=k×E
=k×E+|Q|
が成り立つ。上に記した様に、kint1<kint2<kint3<k、kと設定されているので、
int1>Eint2>Eint3>E、E
が成り立つ。それ故、VCHを一定値に保ってVCGを増大させると先ず、第一の導電体間絶縁膜4b中の電場Eint1のみが書き込み電場に達する。この時の制御ゲート電極16の電位VCGをVと記す。電位VCGをVよりもΔV高く設定すると、第一の導電体膜4a中に蓄えられていた電荷が第一の導電体間絶縁膜4bを通過して第二の導電体膜4cに電荷が注入される。この時に注入される電荷の符号は負であるので、電荷が注入されるに従って第一の導電体間絶縁膜4b中の電場は弱くなり、やがては電荷の注入が止まる。この状態で第二の導電体膜4cに蓄えられている電荷Q’は
Q’=−Cint1×ΔV
で与えられる。それ故、この状態での素子のしきい値電圧VTHは第一の導電体膜4aに電荷がQ存在している場合のしきい値電圧VTH1を用いて
TH=VTH1−Q’/Cint1=VTH1+ΔV
で与えられる。それ故、この電圧範囲では∂VTH/∂VCG=1が成り立つ。VCGを増大させ、VCG=V−Q/Cint1とすると、第一の導電体膜4a中に存在していた電荷はすべて第二の導電体膜4cに移動し、Q=Q、Q=Q=Q=0となる。
【0024】
以下ではV−Q/Cint1をV’と記す。Q<0であるのでV<V’である。なお、VCG=V’とした場合の第二の導電体膜2c中の電場Eint2は書き込み電場よりも弱いとする。これは、第一の導電体間絶縁膜4bの誘電率kint1よりも第二の導電体間絶縁膜4dの誘電率kint2を十分に高く設定する事により可能である。電位VCGを更に増大させると第二の導電体間絶縁膜4d中の電場Eint2が書き込み電場に達する。この時の電位VCGをVと記す。
【0025】
電位VCGがV’とVとの間にあると、第一の導電体間絶縁膜4b中の電場Eint1は書き込み電場よりも強いが、この状態では第一の導電体膜4a中に電子は存在しないので第一の導電体間絶縁膜4bを通過しての電荷の移動は起こらない。また第二乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d中の電場Eint2、Eint3並びに第一乃至第二の絶縁層3、5中の電場E、Eは何れも書き込み電場より弱いので第二乃至第三の導電体間絶縁膜4d、4fを通過しての電荷の移動も、第一乃至第二の絶縁層3、5を通過しての電荷の移動も起こらない。すなわちしきい値電圧VTHは一定の値に保たれる。この一定値をVTH2とする。
【0026】
電位VCGをVよりもΔV高く設定すると、第二の導電体膜4c中に蓄えられていた電荷が第二の導電体間絶縁膜4dを通過して第三の導電体膜4eに電荷が注入される。この時に注入される電荷の符号は負であるので、電荷が注入されるに従って第二の導電体間絶縁膜4d中の電場は弱くなり、やがては電荷の注入が止まる。この状態で第三の導電体膜4eに蓄えられている電荷Q’’はQ’’=−Cint2×ΔVで与えられる。それ故、この状態での素子のしきい値電圧VTHは第二の導電体膜4cに電荷Qが存在している場合のしきい値電圧VTH2を用いて
TH=VTH2−Q’’/Cint2=V+ΔV
で与えられる。それ故、この電圧範囲では∂VTH/∂VCG=1が成り立つ。VCGを増大させ、VCG=V−Q/Cint2とすると第二の導電体膜4c中に存在していた電荷はすべて第三の導電体膜4eに移動し、Q=Q、Q=Q=Q=0となる。
【0027】
以下ではV−Q/Cint2をV’と記す。Q<0であるのでV<V’である。なお、VCG=V’とした場合の第三の導電体間絶縁膜4f中の電場Eint3は書き込み電場よりも弱いとする。これは、第二の導電体間絶縁膜4dの誘電率kint2よりも第三の導電体間絶縁膜4fの誘電率kint3を十分に高く設定する事により可能である。電位VCGを更に増大させると第三の導電体間絶縁膜4f中の電場Eint3が書き込み電場に達する。この時の電位VCGをVと記す。VCGがV’とVとの間にあると、第一乃至第二の導電体間絶縁膜4b、4d中の電場Eint1乃至Eint2は書き込み電場よりも強いが、この状態では第一乃至第二の導電体膜4a、4c中に電子は存在しないので第一乃至第二の導電体間絶縁膜4b、4dを通過しての電荷の移動は起こらない。また第三の導電体間絶縁膜4f中の電場Eint3並びに第一乃至第二の絶縁層3、5中の電場E、Eは何れも書き込み電場より弱いので第三の導電体間絶縁膜4fを通過しての電荷の移動も、第一乃至第二の絶縁層3、5を通過しての電荷の移動も起こらない。すなわち、しきい値電圧VTHは一定の値に保たれる。この一定値をVTH3とする。電位VCGをVよりもΔV高く設定すると、第三の導電体膜4e中に蓄えられていた電荷が第三の導電体間絶縁膜4fを通過して第四の導電体膜4gに電荷が注入される。この時に注入される電荷の符号は負であるので、電荷が注入されるに従って第三の導電体間絶縁膜4f中の電場は弱くなり、やがては電荷の注入が止まる。この状態で第四の導電体膜4gに蓄えられている電荷Q’’’は
Q’’’=−Cint3×ΔV
で与えられる。それ故、この状態での素子のしきい値電圧VTHは第三の導電体膜4eに電荷Qが存在している場合のしきい値電圧VTH3を用いて
TH=VTH3−Q’’’/Cint3=VTH3+ΔV
で与えられる。それ故、この電圧範囲では∂VTH/∂VCG=1が成り立つ。
【0028】
電位VCGを更に増大させ、VCG=V−Q/Cint3とすると第三の導電体膜4e中に存在していた電荷はすべて第四の導電体膜4gに移動し、Q=Q、Q=Q=Q=0となる。以下ではV−Q/Cint3をV’と記す。Q<0であるのでV<V’である。なお、VCG=V’とした場合の第一乃至第二の絶縁層3、5中の電場E、Eは書き込み電場より弱いとする。これは、第三の導電体間絶縁膜4fの誘電率kint3よりも第一乃至第二の絶縁層3、5の誘電率k、kを十分に高く設定する事により可能である。
【0029】
電位VCGを更に増大させると第一の絶縁層3中の電場E乃至第二の絶縁層5中の電場Eが書き込み電場に達する。この時の電位VCGをVと記す。電位VCGがV’とVとの間にあると、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4f中の電場Eint1、Eint2、Eint3は書き込み電場より強いが、この状態では第一乃至第三の導電体膜4a、4c、4e中に電子は存在しないので第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fを通過しての電荷の移動は起こらない。また第一乃至第二の絶縁層3、5中の電場E、Eは何れも書き込み電場よりも弱いので第一乃至第二の絶縁層3、5を通過しての電荷の移動も起こらない。すなわちVTHは一定の値に保たれる。この一定値をVTH4とする。
【0030】
以上の操作の下での、制御ゲート電極に印加される電位VCGの変化に対するしきい値電圧VTHの変化を模式的に図4に実線で示す。破線と一点鎖線とに関しては後述する。図4に於いては横軸の範囲はVよりも低いとして、Vは示されていない。すなわち本実施形態の不揮発性半導体記憶素子に於いては、電位VCGの増大に伴ってしきい値電圧VTHは階段状に変化する。これは今回の検討で新たに得られた知見である。
【0031】
なお、本実施形態に於いては、電荷蓄積層4の導電体膜が4層である場合を例に取り説明を行ったので、不揮発性半導体記憶素子のしきい値電圧は4通りの値を取る事が可能であり、その結果として一つの不揮発性半導体記憶素子あたり4値を記憶する事が可能である。一般に、Nを正の整数として電荷蓄積層の導電体膜をN層設けると、不揮発性半導体記憶素子のしきい値電圧はN通りの値を取る事が可能であり、その結果として一つの不揮発性半導体記憶素子あたりN値を記憶する事が可能となる。それ故、Nを3以上とすると不揮発性半導体記憶素子のしきい値電圧は3通り以上の値を取る事が可能となり、その結果として一つの不揮発性半導体記憶素子あたり1ビットを越える情報の記憶が可能となる。その帰結として記憶容量の増大が図られると言う利点が得られる。そして上に示した様に、制御ゲート電極6に印加する電位VCGの増大に伴ってしきい値電圧VTHは階段状に変化するので、ベリファイ操作を省略する事が可能となり、その結果として記憶容量が大きく且つ高速動作の可能な不揮発性半導体記憶素子が実現される。特にNが2の冪の場合、すなわち導電体間絶縁膜の層数に1を加えた値が2の冪の場合には、一つの不揮発性半導体記憶素子あたりに記憶する事の可能な情報量が整数ビットとなる為に情報の処理が容易であると言う利点が得られる。
【0032】
(第1実施形態の製造方法)
次に本実施形態に依る不揮発性半導体記憶素子の製造方法について以下に説明する。ここではn型の不揮発性半導体記憶素子の場合を説明する。p型の不揮発性半導体記憶素子の場合も不純物の導電型を逆にすれば全く同様に製造することができる。
【0033】
先ず図5に示す様に、半導体基板1に素子分離領域(図示せず)を形成した後に、B(硼素)イオンを例えば30keVのエネルギー、1×1012原子/cmの濃度で注入した後に、例えば1050℃、30秒の熱工程を加える。続いて半導体基板1の上に例えば化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、以下では「CVD法」と記す)を用いて例えば厚さ30nmの第一のLaAlO(ランタンアルミネート)膜16を形成する。続いて、第一のLaAlO膜16上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAs(砒素)を例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第一の多結晶シリコン膜17を形成する。
【0034】
次に図6に示す様に、第一の多結晶シリコン膜17上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ8nmのSi(窒化シリコン)膜18を形成する。続いてSi膜18上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第二の多結晶シリコン膜19を形成する。
【0035】
次に図7に示す様に、第二の多結晶シリコン膜19上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ10nmのAl(酸化アルミニウム)膜20を形成する。続いてAl膜20上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第三の多結晶シリコン膜21を形成する。
【0036】
次に図8に示す様に、第三の多結晶シリコン膜21上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ25nmのHfO(酸化ハフニウム)膜22を形成する。続いてHfO膜22上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第四の多結晶シリコン膜23を形成する。
【0037】
次に図9に示す様に、第四の多結晶シリコン膜23上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ30nmの第二のLaAlO膜24を形成する。続いて第二のLaAlO膜24上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ50nmの例えばW(タングステン)膜25を形成する。
【0038】
次に図10に示す様に、例えば反応性イオンエッチング法(Reactive Ion Etching法、以下では「RIE法」と記す)等の方法を用いる事に依り、タングステン膜25、第二のLaAlO膜24、第四の多結晶シリコン膜23、HfO膜22、第三の多結晶シリコン膜21、Al膜20、第二の多結晶シリコン膜19、Si膜18、第一の多結晶シリコン膜17、および第一のLaAlO膜16をパターニングし、制御ゲート電極6、第二の絶縁層5、第四の導電体膜4g、第三の導電体間絶縁膜4f、第三の導電体膜4e、第二の導電体間絶縁膜4d、第二の導電体膜4c、第一の導電体間絶縁膜4b、第一の導電体膜4a、第一の絶縁層3を形成する。
【0039】
次に、例えばAsイオンを例えば5keVのエネルギー、1×1015原子/cmの濃度で注入し、熱工程を施す事に依りソース・ドレイン領域2a、2bを形成する。以後は周知の技術を用いて、従来の不揮発性半導体記憶素子と同様に、層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て図1に示す本実施形態の不揮発性半導体記憶素子が形成される。
【0040】
本実施形態に於いてはn型素子の場合を例に取って示したが、不純物の導電型を逆にすればp型素子の場合にも、そして光蝕刻法等の方法を用いて基板内の特定の領域にのみ不純物を導入すれば相補型の場合に対しても同様である。また、それらを一部として含む半導体装置にも用いる事ができる。
【0041】
また、本実施形態に於いては不揮発性半導体記憶素子のみの形成工程を示したが、不揮発性半導体記憶素子の他に、電界効果トランジスターやバイポーラー型トランジスターや単一電子トランジスター等の能動素子、または抵抗体やダイオードやインダクターやキャパシター等の受動素子、または例えば強誘電体を用いた素子や磁性体を用いた素子をも含む半導体装置の一部として不揮発性半導体記憶素子を形成する場合にも用いる事ができる。OEIC(オプト・エレクトリカル・インテグレーテッド・サーキット)やMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)の一部として不揮発性半導体記憶素子を形成する場合もまた同様である。不揮発性半導体記憶素子の周辺回路を含んで良い事は言うまでも無い。
【0042】
また、本実施形態に於いてはバルク基板上に形成する場合を例に取って説明したが、SOI(Semiconductor on Insulator)基板上に形成する場合も同様であり、同様の効果が得られる。
【0043】
また、本実施形態に於いては、n型半導体層を形成する為の不純物としてはAsを、p型半導体層を形成する為の不純物としてはBを用いたが、n型半導体層を形成する為の不純物として他のV族不純物を用い、p型半導体層を形成する為の不純物として他のIII族不純物を用いてもよい。また、III族やV族の不純物の導入はそれらを含む化合物の形で行ってもよい。
【0044】
また、本実施形態に於いては、ソース・ドレインへの不純物の導入はイオン注入を用いて行ったが、イオン注入以外の例えば固相拡散や気相拡散等の方法を用いて行ってもよい。また、不純物を含有する半導体を堆積するないしは成長させる等の方法を用いてもよい。また、本実施形態に於いては、導電体膜は不純物を含有する半導体を堆積させたが、半導体膜を形成した後に例えばイオン注入の方法または固相拡散や気相拡散等の方法を用いて不純物を導入してもよい。イオン注入の方法を用いるとn型素子とp型素子とを含む相補型の半導体装置の形成が容易であると言う利点が在り、不純物を含有する半導体を堆積する乃至固相拡散や気相拡散等の方法を用いて不純物の導入を行うと、高い不純物濃度の実現が容易であると言う利点が在る。
【0045】
また、本実施形態に於いては、素子のしきい値電圧を調節する為の不純物導入は行っていないが、ウエル形成の為の不純物導入とは別にしきい値電圧調節の為の不純物導入を行ってもよい。この様にするとしきい値電圧を所望の値に設定しやすくなると言う利点が得られる。また、本実施形態の様にすると工程の簡略化が図られると言う利点がある。
【0046】
また、本実施形態に於いては、シングルドレイン構造の素子を示したが、シングルドレイン構造以外の例えばエクステンション構造の素子を構築したとしてもよい。またハロー構造等の素子を構築してもよい。これらの様な構造とすると素子の短チャネル効果に対する耐性が向上するので好ましい。
【0047】
また、本実施形態に於いては、ソース・ドレイン領域2a、2bの形成を制御ゲート電極6ないし第一の絶縁層3の加工の後に行っているが、これらの順序は本質ではなく、逆の順序で行ってもよい。制御ゲート電極6ないし第一の絶縁層3の材質によっては熱工程を施す事が好ましくない場合がある。その様な場合にはソース・ドレイン領域2a、2bへの不純物の導入ないし活性化の熱工程を制御ゲート電極6ないし第一の絶縁層3の加工に先立って行う事が好ましい。
【0048】
また、本実施形態に於いては、電荷蓄積層4中の導電体膜4a、4c、4e、4gは多結晶シリコンを用いて形成しているが、他の材料を用いてもかまわない。例えばタングステン、チタン、タンタル等の金属や、タングステンナイトライド、チタンナイトライド、タンタルナイトライド等の金属窒化物、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、タンタルシリサイド等の金属珪化物等の化合物を用いて形成してもよい。また単結晶シリコンや非晶質シリコン等の多結晶シリコン以外の半導体を用いて形成してもよい。ないしは、それらの積層で形成してもよい。制御ゲート電極6に関しても同様である。
【0049】
半導体を用いて電荷蓄積層4中の導電体膜4a、4c、4e、4gを形成すると、図4に示す様に、制御ゲート電圧の増大に伴ってしきい値電圧が階段状に変化するので、ベリファイ操作を省略する事が可能となり、一つの不揮発性半導体記憶素子に1ビットを超える情報を記憶する事が可能で且つ動作の簡略化が図られると言う利点が在る。また、電荷蓄積層4は粒子状形状の金属ないし半導体等ないしそれらの化合物等を用いてもよい。また、金属ないし金属を含む化合物で制御ゲート電極6を形成すると制御ゲート電極6の抵抗が抑制されるので素子の高速動作が得られ、好ましい。また金属で制御ゲート電極6ないし電荷蓄積層4中の導電体膜4a、4c、4e、4gを形成すると酸化反応が進みにくいので、第一の絶縁層3、第二の絶縁層5、および導電体間絶縁膜4b、4d、4fと、制御ゲート電極6、チャネル領域2c、および電荷蓄積層中の導電体膜と、の界面に於ける準位が抑制される等の界面の制御性が良いと言う利点も有る。また、制御ゲート電極6ないし電荷蓄積層4の少なくとも一部に多結晶シリコン等の半導体を用いると仕事関数の制御が容易であるので素子のしきい値電圧の調節が容易になると言う別の利点がある。
【0050】
また、本実施形態に於いては、制御ゲート電極6ないし電荷蓄積層4の形成はそれらの材料を堆積した後に異方性エッチングを施すと言う方法を用いて形成しているが、例えばダマシンプロセス等のような埋め込み等の方法を用いて形成してもよい。制御ゲート電極6ないし電荷蓄積層4の形成に先立ってソース・ドレイン領域2a、2cを形成する場合には、ダマシンプロセスを用いるとソース・ドレイン領域2a、2bと制御ゲート電極6ないし電荷蓄積層4とが自己整合的に形成されるので好ましい。
【0051】
また、本実施形態に於いては、素子を流れる電流の主方向(図1の左右方向)に測った制御ゲート電極6の長さは、制御ゲート電極6の上部も下部も等しいが、この事は本質的ではない。例えば制御ゲート電極6の上部を測った長さの方が下部を測った長さよりも長いアルファベットの「T」の字の様な形であってもよい。この場合にはゲート抵抗を低減する事ができると言う利点が得られる。
【0052】
また、本実施形態に於いては明記していないが、配線の為の金属層の形成は例えばスパッタ法等を用いて行ってもよいし堆積法等の方法を用いて行ってもよい。また、金属の選択成長等の方法を用いてもよいしダマシン法等の方法を用いてもよい。また、配線金属の材料は例えばシリコンを含有するAl(アルミニウム)等を用いても、例えばCu(銅)等の金属を用いてもよい。特にCuは抵抗率が低いので好ましい。
【0053】
また、本実施形態に於いては、シリサイド工程には言及しなかったが、ソース・ドレイン領域2a、2b上にシリサイド層を形成してもよい。また、ソース・ドレイン領域2a、2b上に金属を含む層を堆積ないしは成長させる等の方法を用いてもよい。この様にするとソース・ドレイン領域2a、2bの抵抗が低減されるので好ましい。また、制御ゲート電極6を多結晶シリコン等で形成する場合には、制御ゲート電極6に対してシリサイド化を施してもよい。その場合にシリサイド化を施すとゲート抵抗が低減されるので好ましい。
【0054】
また、エレベート構造を用いてもよい。エレベート構造によってもソース・ドレイン領域の抵抗が低減されるので好ましい。
【0055】
また、本実施形態に於いては、制御ゲート電極6の上部は電極が露出する構造であるが、上部に例えば酸化シリコンや窒化シリコンや酸化窒化シリコン等の絶縁物を設けてもよい。特に制御ゲート電極6が金属を含む材料で形成されており、且つソース・ドレイン領域2a、2b上にシリサイド層を形成する場合等、製造工程の途中で制御ゲート電極6を保護する必要が在る場合等は制御ゲート電極6の上部に酸化シリコンや窒化シリコンや酸化窒化シリコン等の保護材料を設ける事は必須である。
【0056】
また、本実施形態に於いては、第一および第二の絶縁層3、5としてランタンアルミネート膜を用い、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fとして各々窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜を用いた。しかしながら、第一および第二の絶縁層3、5、乃至第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの何れかとして酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜等の絶縁膜、ないしはそれらの積層等の他の絶縁膜を用いてもよい。絶縁膜中に窒素が存在すると、制御ゲート電極6ないし電荷蓄積層4中の導電体膜4a、4c、4e、4gとして不純物を含有する多結晶シリコンを用いる場合に不純物が基板1中に拡散する事が抑制され、これにより、しきい値電圧のバラツキが抑制されると言う利点があるので好ましい。一方、第一および第二の絶縁層3、5、乃至第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの何れかとして酸化シリコンを用いると、絶縁層3、5、絶縁膜4b、4d、4fと、導電体膜4a、4c、4e、4f、制御ゲート電極6および基板1との界面の界面準位ないしは絶縁層、絶縁膜中の固定電荷が少ない為に素子特性のバラツキが抑制されると言う利点が得られる。
【0057】
なお、絶縁層ないし絶縁膜として或る物質の酸化物を用いる等の場合には、まずその物質の膜を形成しておいてそれを酸化する等の方法を用いてもよい。また、必ずしも昇温を伴わない励起状態の酸素気体に曝してもよい。昇温を伴わない励起状態の酸素気体に曝すと言う方法を用いて形成すれば、チャネル領域中の不純物が拡散に依り濃度分布を変える事が抑制されるので好ましい。更に酸化窒化シリコンを用いる場合には、先ず酸化シリコン膜を形成し、その後に昇温状態ないし励起状態の窒素を含む気体に曝す事に依り絶縁膜中に窒素を導入してもよい。昇温を伴わない励起状態の窒素気体に曝すと言う方法を用いて形成すれば、チャネル領域中の不純物が拡散に依り濃度分布を変える事が抑制されるので好ましい。または、先ず窒化シリコン膜を形成し、その後に昇温状態ないし励起状態の酸素を含む気体に曝す事に依り絶縁膜中に酸素を導入してもよい。昇温を伴わない励起状態の酸素気体に曝すと言う方法を用いて形成すれば、チャネル領域中の不純物が拡散に依り濃度分布を変える事が抑制されるので好ましい。
【0058】
また、第一および第二の絶縁層3、5、乃至第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの何れかとしてHf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、Ta(タンタル)、Al、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、ないしはランタノイド系列の元素等の金属等の酸化物等ないしはこれらの元素を初めとする様々な元素を含むシリケート材料等、ないしはそれらに窒素をも含有させた絶縁膜等、高誘電体膜ないしはそれらの積層等の他の絶縁膜を用いてもよい。
【0059】
本実施形態の本質は導電体間絶縁膜4b、4d、4f、第一の絶縁層3、および第二の絶縁層5の誘電率がそれぞれ異なる事に在り、その為には例えば導電体間絶縁膜4b、4d、4fの内で制御ゲート電極6の近くに形成されている導電体絶縁膜4f、第一の絶縁層3、および第二の絶縁層5の誘電率は高い必要が在る。特に、第一の絶縁層3および第二の絶縁層5の誘電率は高い必要が在る。例えばHf、Zr、Ti、Sc、Y、Ta、Al、La、Ce、Pr、ないしはランタノイド系列の元素等の金属等の酸化物等ないしはこれらの元素を初めとする様々な元素を含むシリケート材料等、ないしはそれらに窒素をも含有させた絶縁膜等、高誘電体膜は酸化シリコンないし窒化シリコンないし酸化窒化シリコン等と比較して高い誘電率を持つので、これらの材料を導電体間絶縁膜4b、4d、4fの内で制御ゲート電極6の近くに形成されている導電体絶縁膜4f、第一の絶縁層3、および第二の絶縁層5に用いる事は好ましい。特にこれらの材料を、第一の絶縁層3および第二の絶縁層5に用いる事は好ましい。
【0060】
また、導電体間絶縁膜4b、4d、4f、第一および第二の絶縁層3、5の膜厚が薄いと、絶縁膜を貫くトンネル電流を流す必要がない状況下でも絶縁膜を貫くトンネル電流が流れ、記憶してある情報が変動してしまう、すなわち情報の保持時間が短くなると言う問題が生ずる。それ故、導電体間絶縁膜4b、4d、4f、第一および第二の絶縁層3、5の膜厚は在る程度以上には厚く形成する事が好ましく、且つ制御ゲート電極6とチャネル領域2cとの間に電荷蓄積層4を介して形成される容量結合を強める為には導電体間絶縁膜4b、4d、4f、第一および第二の絶縁層3、5は従来用いられていた酸化シリコンよりも高い誘電率を持つ事が好ましい。また、絶縁膜の形成方法はCVD法に限るものではなく、熱酸化法等の方法、蒸着法ないしスパッタ法ないしエピタキシャル成長法等の他の方法を用いてもよい。
【0061】
既存の材料とプロセスを活用して各絶縁膜の誘電率の差異を設けるには、次の組み合わせが好ましい。すなわち、導電体間絶縁膜4bは酸化シリコン、窒化シリコン、および酸化窒化シリコンの何れかに依り形成され、導電体間絶縁膜4dは酸化アルミニウムに依り形成され、導電体間絶縁膜4fは酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウムシリケート、およびジルコニウムシリケートの何れかに依り形成され、第一および第二の絶縁層3、5はランタンアルミネートに依り形成されることである。
【0062】
また、絶縁層3、5、絶縁膜4b、4d、4f、導電体膜4a、4c、4e、4g、および制御ゲート電極6等の厚さは本実施形態の値に限るものではない。但し、容量結合の強さは幾何学的な膜厚ではなく酸化膜換算膜厚で決まり、且つ各導電体膜に電荷が存在する場合のしきい値電圧の差は導電体間絶縁膜の酸化膜換算膜厚に比例するので、各導電体間絶縁膜の酸化膜換算膜厚が等しいと、しきい値電圧が等間隔となり信号の処理が容易になると言う利点が得られる。本実施形態に於いては第一の導電体間絶縁膜4bとして厚さ8nmのSi膜を、第二の導電体間絶縁膜4dとして厚さ10nmのAl膜を、第三の導電体間絶縁膜4fとして厚さ25nmのHfO膜を、各々用いる場合を例示したが、これらの材料を用いて導電体間絶縁膜を形成すると導電体間絶縁膜の酸化膜換算膜厚は何れも実質的に4nmと等しい値となる。それ故、しきい値電圧がほぼ等間隔になると言う利点を有する不揮発性半導体記憶素子が具現化される。このように、酸化膜換算膜厚が実質的に等しい、すなわち酸化膜換算膜厚(nm)の小数点以下一桁を四捨五入したときの値が等しければ、しきい値電圧が実質的に等間隔といえる。
【0063】
更に、本実施形態に於いては第一および第二の絶縁層3、5として厚さ30nmのLaAlO膜を用いる場合を例示したが、第一および第二の絶縁層3、5としてLaAlO膜を用い且つ導電体間絶縁膜4b、4d、4fとして上記のSi膜、Al膜、HfO膜を用いると、第一および第二の絶縁層3、5の誘電率が導電体間絶縁膜の誘電率よりも高い不揮発性半導体記憶素子が具現化される。
【0064】
また、本実施形態に於いてはゲート側壁には言及していないが、制御ゲート電極6および電荷蓄積層4に側壁を設けてもよい。特に高誘電率材料で、第一の絶縁層3、第二の絶縁層5、および導電体間絶縁膜4b、4d、4fを形成する場合に高誘電率材料でゲート側壁を設けると、特許第3658564号広報に記されている様に制御ゲート電極6および導電体膜4a、4c、4e、4gの下端角近傍に於ける、第一および第二の絶縁層3、5中並びに導電体間絶縁膜4b、4d、4f中の電場が緩和される為、第一および第二の絶縁層3、5ならびに導電体間絶縁膜4b、4d、4fの信頼性の向上、誤書き込みおよび誤消去の防止と言う利点が得られるので好ましい。
【0065】
また、本実施形態に於いては、制御ゲート電極6および電荷蓄積層4の形成後の後酸化には言及していないが、制御ゲート電極6および電荷蓄積層4や、第一および第二の絶縁層3、5ならびに導電体間絶縁膜4b、4d、4fの材料等に鑑みて可能であれば、後酸化工程を行ってもよい。また、必ずしも後酸化に限らず、例えば薬液処理ないしは反応性の気体に曝す等の方法を用いて制御ゲート電極6ないし導電体膜4a、4c、4e、4gの角を丸める処理を行ってもよい。これらの工程が可能な場合にはそれに依り制御ゲート電極6および導電体膜4a、4c、4e、4gの下端角部の電場が緩和されるので第一の絶縁層3、第二の絶縁層5、および導電体間絶縁膜4b、4d、4fの信頼性が向上し、好ましい。
【0066】
また、本実施形態に於いては明記していないが、層間絶縁膜としては酸化シリコン膜を用いてもよいし、例えば低誘電率材料等の酸化シリコン以外の物質を層間絶縁膜に用いてもよい。層間絶縁膜の誘電率を低くすると素子の寄生容量が低減されるので素子の高速動作が得られると言う利点がある。
【0067】
また、コンタクト孔に関しては言及していないが、自己整合コンタクトを形成する事も可能である。自己整合コンタクトを用いると素子の面積を低減する事ができるので、集積度の向上が図られ、好ましい。
【0068】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による不揮発性半導体記憶素子の断面を図11に示す。本実施形態の不揮発性半導体記憶素子は半導体基板1に離間してソース・ドレイン領域2a、2bが形成され、ソース領域2aとドレイン領域2bとの間のチャネルとなる半導体基板1の領域2c上に第一の絶縁層3が形成されている。第一の絶縁層3上に電荷蓄積層4Aが形成されている。この電荷蓄積層4Aは、第一の絶縁層3上に形成された第一の電荷蓄積絶縁膜4hと、この第一の電荷蓄積絶縁膜4h上に形成された第二の電荷蓄積絶縁膜4iと、第二の電荷蓄積絶縁膜4i上に形成された第三の電荷蓄積絶縁膜4jとを有している。この電荷蓄積層4A上に第二の絶縁層5を介して制御ゲート電極6が形成されている。ここで第二の電荷蓄積絶縁膜4iの誘電率は第一の電荷蓄積絶縁膜4hの誘電率よりも高く設定され、第三の電荷蓄積絶縁膜4jの誘電率は第二の電荷蓄積絶縁膜4iの誘電率よりも高く設定され、第一の絶縁層3の誘電率および第二の絶縁層5の誘電率は第三の電荷蓄積絶縁膜4jの誘電率よりも高く設定されている。なお、図11に於いては素子分離領域、層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。また、図11に於いて縮尺は正確ではない。
【0069】
次に、本実施形態に依る不揮発性半導体記憶素子の製造方法について説明する。ここではn型の不揮発性半導体記憶素子の場合を説明する。p型の素子の場合も不純物の導電型を逆にすれば全く同様に製造することができる。
【0070】
先ず図12に示す様に、半導体基板1に素子分離領域(図示せず)を形成した後にBイオンを例えば30keVのエネルギー、1×1012原子/cmの濃度で注入した後に、例えば1050℃、30秒の熱工程を加える。続いて、半導体基板1の上に例えばCVD法を用いて例えば厚さ30nmの第一のLaAlO膜16を形成する。続いて、第一のLaAlO膜16上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ8nmのSi膜18を形成する。
【0071】
次に、図13に示す様に、Si膜18上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ10nmのAl膜20を形成する。続いて、Al膜20上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ25nmのHfO膜22を形成する。
【0072】
次に、図14に示す様に、HfO膜22上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ30nmの第二のLaAlO膜24を形成する。続いて、第二のLaAlO膜24上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ50nmの例えばW膜25を形成する。
【0073】
次に図15に示す様に例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、タングステン膜25、第二のLaAlO膜24、HfO膜22、Al膜20、Si膜18、第一のLaAlO膜16をパターニングし、制御ゲート電極6、第二の絶縁層5、第三の電荷蓄積絶縁膜4j、第二の電荷蓄積絶縁膜4i、第一の電荷蓄積絶縁膜4h、第一の絶縁層3を形成する。
【0074】
次に、例えばAsイオンを例えば5keVのエネルギー、1×1015原子/cmの濃度で注入し、熱工程を施す事に依りソース・ドレイン領域2a、2bを形成する。以後は周知の技術を用いて、従来の不揮発性半導体記憶素子と同様に、層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て図11に示す本実施形態の不揮発性半導体記憶素子を形成する。
【0075】
一般に、相異なる材料の界面には界面準位が存在し、その準位に電荷を蓄える事が可能である。それ故、本実施形態に示す構造の素子に於いてはその界面に存在する準位を第1実施形態の導電体膜と同様に用いる事が可能であり、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0076】
本実施形態の様に隣り合う絶縁膜の界面に存在する準位を第1実施形態の導電体膜として用いると、電荷蓄積層4Aを形成する積層の層数が少なくなる為に、製造工程が簡略化されると言う利点が得られる。また、本実施形態の様に隣り合う絶縁膜の界面に存在する準位を導電体膜として用いると、第一の絶縁層3、電荷蓄積層4A、第二の絶縁層5、および制御ゲート電極6に依り形成される積層構造の、基板表面に垂直な方向に測った長さが短くなる。それ故、他の素子との間に形成される静電容量が抑制され、その結果として他の素子との容量結合に起因する誤動作が抑制されると言う利点が得られる。
【0077】
一方、第1実施形態に示した様に隣り合う絶縁膜の間に導電体膜を形成すると、本実施形態に示した方法と比較して各導電体膜に蓄えられる電荷量の制御が容易であり、その結果としてしきい値電圧の切り替る制御ゲート電圧の制御が容易である、と言う利点が得られる。
【0078】
本実施形態に於いては何れの隣り合う絶縁膜の間にも導電体膜は形成されておらず界面に存在する準位が第1実施形態の導電体膜として用いられているが、この事は本質的ではなく、ある隣り合う絶縁膜の間には導電体膜が形成され且つ他のある隣り合う絶縁膜の間には導電体膜が形成されていなくても同様の効果が得られる。
【0079】
本実施形態に於いても上記実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
【0080】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による不揮発性半導体記憶素子の断面を模式的に図16に示す。本実施形態の不揮発性半導体記憶素子は、図1に示す第1実施形態の不揮発性半導体記憶素子において、第一の導電体膜4aは第一の絶縁層3より大きな膜面面積を持ち、第一の導電体間絶縁膜4bは第一の導電体膜4aより大きな膜面面積を持ち、第二の導電体膜4cは第一の導電体間絶縁膜4bより大きな膜面面積を持ち、第二の導電体間絶縁膜4dは第二の導電体膜4cより大きな膜面面積を持ち、第三の導電体膜4eは第二の導電体間絶縁膜4dより大きな膜面面積を持ち、第三の導電体間絶縁膜4fは第三の導電体膜4eより大きな膜面面積を持ち、第四の導電体膜4gは第三の導電体間絶縁膜4fより大きな膜面面積を持ち、第二の絶縁層5は第四の導電体膜4gより大きな膜面面積を持ち、制御ゲート電極6は第二の絶縁層5より大きな膜面面積を持つ様に構成されている。そして、第一の導電体膜4aは第一の絶縁層3を覆う様に形成され、第一の導電体間絶縁膜4bは第一の導電体膜4aを覆う様に形成され、第二の導電体膜4cは第一の導電体間絶縁膜4bを覆う様に形成され、第二の導電体間絶縁膜4dは第二の導電体膜4cを覆う様に形成され、第三の導電体膜4eは第二の導電体間絶縁膜4dを覆う様に形成され、第三の導電体間絶縁膜4fは第三の導電体膜4eを覆う様に形成され、第四の導電体膜4gは第三の導電体間絶縁膜4fを覆う様に形成され、第二の絶縁層5は第四の導電体膜4gを覆う様に形成され、制御ゲート電極6は第二の絶縁層5を覆う様に形成されている。なお、図16に於いては素子分離領域、層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。また、図16に於いて縮尺は正確ではない。
【0081】
次に、本実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造方法について以下に説明する。ここではn型の不揮発性半導体記憶素子の場合を説明する。p型の不揮発性半導体記憶素子の場合も不純物の導電型を逆にすれば全く同様に製造することができる。
【0082】
図5に示す工程までは第1実施形態で説明したと同じ工程で行う。図5に示す工程に続いて、図17に示す工程が行われる。すなわち、例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、第一の多結晶シリコン膜17および第一のLaAlO膜16をパターニングして、第一の導電体膜4aおよび第一の絶縁層3を形成する。
【0083】
次に図18に示す様に、例えばAsイオンを例えば5keVのエネルギー、1×1015 原子/cmの濃度で注入し、熱工程を施す事に依りソース・ドレイン領域2a、2bを形成する。このとき、ソース領域2aとドレイン領域2bとの間の半導体基板1の領域2cがチャネルとなる。
【0084】
次に図19に示す様に、第一の絶縁層3および第一の導電体膜4aを含む半導体基板1全面に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ8nmのSi膜18を形成する。続いてSi膜18上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第二の多結晶シリコン膜19を形成する。
【0085】
次に図20に示す様に、第二の多結晶シリコン膜19上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ10nmのAl膜20を形成する。続いてAl膜20上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第三の多結晶シリコン膜21を形成する。
【0086】
次に図21に示す様に、第三の多結晶シリコン膜21上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ25nmのHfO膜22を形成する。続いてHfO膜22上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/mの濃度で含む例えば厚さ5nmの第四の多結晶シリコン膜23を形成する。
【0087】
次に図22に示す様に、第四の多結晶シリコン膜23上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ30nmの第二のLaAlO膜24を形成する。続いて第二のLaAlO膜24上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ50nmの例えばW膜25を形成する。
【0088】
次に、例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、タングステン膜25、第二のLaAlO膜24、第四の多結晶シリコン膜23、HfO膜22、第三の多結晶シリコン膜21、Al膜20、第二の多結晶シリコン膜19、およびSi膜18からなる積層膜をパターニングし、制御ゲート電極6、第二の絶縁層5、第四の導電体膜4g、第三の導電体間絶縁膜4f、第三の導電体膜4e、第二の導電体間絶縁膜4d、第二の導電体膜4c、第一の導電体間絶縁膜4bを形成する。以後は、周知の技術を用いて、従来の不揮発性半導体記憶素子と同様の層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て図16に示す本実施形態の不揮発性半導体記憶素子を形成する。
【0089】
本実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子に於いては、上にも記した様に第一の導電体膜4aは第一の絶縁層3を覆う様に形成され、第一の導電体間絶縁膜4bは第一の導電体膜4aを覆う様に形成され、第二の導電体膜4cは第一の導電体間絶縁膜4bを覆う様に形成され、第二の導電体間絶縁膜4dは第二の導電体膜4cを覆う様に形成され、第三の導電体膜4eは第二の導電体間絶縁膜4dを覆う様に形成され、第三の導電体間絶縁膜4fは第三の導電体膜4eを覆う様に形成され、第四の導電体膜4gは第三の導電体間絶縁膜4fを覆う様に形成され、第二の絶縁層5は第四の導電体膜4gを覆う様に形成され、制御ゲート電極6は第二の絶縁層5を覆う様に形成されている。この様にすると仮に第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの誘電率が全て等しいとしても、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4f中の電界Eint1、Eint2、Eint3は、Eint1>Eint2>Eint3の関係が成り立つ。それ故、第1実施形態に於いて説明した様に制御ゲートの電位VCGの増大に伴って、しきい値電圧VTHは階段状に変化し、同様の効果が得られる。しかしこの様に第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの誘電率が全て等しいとすると、電界Eint1と電界Eint2との相異と比較して電界Eint2と電界Eint3との相異は小さくなる。それ故、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの誘電率が全て等しい場合には図4に破線で示す様に、V’とVとの差に比較してV’とVとの差は小さくなる。なお、ここに於いては簡単の為にV、V’、Vは第1実施形態のそれらと各々等しいと仮定して図4に示している。
【0090】
一方、本実施形態に示した様に、第一の導電体膜4aは第一の絶縁層3を覆う様に形成され、第一の導電体間絶縁膜4bは第一の導電体膜4aを覆う様に形成され、第二の導電体膜4cは第一の導電体間絶縁膜4bを覆う様に形成され、第二の導電体間絶縁膜4dは第二の導電体膜4cを覆う様に形成され、第三の導電体膜4eは第二の導電体間絶縁膜4dを覆う様に形成され、第三の導電体間絶縁膜4fは第三の導電体膜4eを覆う様に形成され、第四の導電体膜4gは第三の導電体間絶縁膜4fを覆う様に形成され、第二の絶縁層5は第四の導電体膜4gを覆う様に形成され、制御ゲート電極6は第二の絶縁層5を覆う様に形成され、且つ第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの誘電率をkint1<kint2<kint3と設定すると、それらが協調してEint1> Eint2>Eint3の不等式が更に効果的に実現される。その結果として、第1実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子と比較すると図4に一点鎖線で示す様に、V’とVとの差及びV’とVとの差は第1実施形態のそれらと比較して各々大きくなり、動作電圧の余裕を大きく取る事が可能になると言う利点が在る。
【0091】
また、第一の導電体膜4aは第一の絶縁層3を覆う様に形成され、第一の導電体間絶縁膜4bは第一の導電体膜4aを覆う様に形成され、第二の導電体膜4cは第一の導電体間絶縁膜4bを覆う様に形成され、第二の導電体間絶縁膜4dは第二の導電体膜4cを覆う様に形成され、第三の導電体膜4eは第二の導電体間絶縁膜4dを覆う様に形成され、第三の導電体間絶縁膜4fは第三の導電体膜4eを覆う様に形成され、第四の導電体膜4gは第三の導電体間絶縁膜4fを覆う様に形成され、第二の絶縁層5は第四の導電体膜4gを覆う様に形成され、制御ゲート電極6は第二の絶縁層5を覆う様に形成されている場合には、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの誘電率の何れかを相等しく設定する事も可能となる為に、第一乃至第三の導電体間絶縁膜4b、4d、4fの全てを相異なる材料で形成する必要はなく、材料の選択の自由度が増すと言う利点が得られる。
【0092】
一方、第1実施形態の構造の不揮発性半導体記憶素子を形成すると制御ゲート電極6ないし第二の絶縁層5、第四の導電体膜4g、第三の導電体間絶縁膜4f、第三の導電体膜4e、第二の導電体間絶縁膜4d、第二の導電体膜4c、第一の導電体間絶縁膜4b、第一の導電体膜4a、第一の絶縁層3を単一の工程で形成する事が可能であるので、形成工程が簡略になると言う利点がある。
【0093】
また、本実施形態の不揮発性半導体記憶素子に於いては、第一の導電体膜4aは第一の絶縁層3よりチャネル領域を流れる電流の主方向(チャネル長方向)に長く、第一の導電体間絶縁膜4bは第一の導電体膜4aよりチャネル領域を流れる電流の主方向に長く、第二の導電体膜4cは第一の導電体間絶縁膜4bよりチャネル領域を流れる電流の主方向に長く、第二の導電体間絶縁膜4dは第二の導電体膜4cよりチャネル領域を流れる電流の主方向に長く、第三の導電体膜4eは第二の導電体間絶縁膜4dよりチャネル領域を流れる電流の主方向に長く、第三の導電体間絶縁膜4fは第三の導電体膜4eよりチャネル領域を流れる電流の主方向に長く、第四の導電体膜4gは第三の導電体間絶縁膜4fよりチャネル領域を流れる電流の主方向に長く、第二の絶縁層5は第四の導電体膜4gよりチャネル領域を流れる電流の主方向に長く、制御ゲート電極6は第二の絶縁層5よりチャネル領域を流れる電流の主方向に長く形成されている。
【0094】
これに対して、図23に示す本実施形態の変形例のように、第一の導電体膜4aは第一の絶縁層3よりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向(チャネル幅方向)に長く、第一の導電体間絶縁膜4bは第一の導電体膜4aよりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向に長く、第二の導電体膜4cは第一の導電体間絶縁膜4bよりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向に長く、第二の導電体間絶縁膜4dは第二の導電体膜4cよりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向に長く、第三の導電体膜4eは第二の導電体間絶縁膜4dよりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向に長く、第三の導電体間絶縁膜4fは第三の導電体膜4eよりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向に長く、第四の導電体膜4gは第三の導電体間絶縁膜4fよりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向に長く、第二の絶縁層5は第四の導電体膜4gよりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向に長く、制御ゲート電極6は第二の絶縁層5よりチャネル領域を流れる電流の主方向に垂直な方向に長く形成されていてもよい。なお、図23において符号26で示す領域は素子分離領域である。また、ソース・ドレイン領域2a、2bのうちの一方(図23ではソース領域2a)は第一の絶縁層3から制御ゲート電極6までの積層膜の手前側に存在し、他方(ドレイン領域2b)は向こう側に存在するが、図23に於いては陰になっている為に示していない。なお、本変形例においては、第一の絶縁層3および第一の導電体膜4aのチャネル幅方向の長さはチャネル幅よりも長くなるように、すなわち素子分離領域26にも延在するように形成されている。また、図23に於いては層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。また、図23に於いて縮尺は正確ではない。本変形例においては、本実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子と異なり第二の導電体膜4cとソース・ドレイン領域2a、2bとの重なり部分に形成される容量が低減される為に寄生容量が低減されて素子の動作の高速化が図られると言う利点がある。
【0095】
一方、本実施形態においては、チャネルを流れる主方向に測った制御ゲート電極6の長さが長くなるので、ゲート抵抗の低減が図られ、素子の高速動作が可能になると言う利点が得られる。
【0096】
本実施形態に於いても第1実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
【0097】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による不揮発性半導体記憶素子を図24に示す。本実施形態の不揮発性半導体記憶素子は、図23に示す第3実施形態の変形例の不揮発性半導体記憶素子において、素子分離領域26と、第一の絶縁層3および第一の導電体膜4aとを自己整合的に形成した構成となっている。なお、図24に於いては、層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。また、図24に於いて縮尺は正確ではない。
【0098】
本実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造方法について以下に説明する。ここではn型の不揮発性半導体記憶素子の場合を説明する。p型の不揮発性半導体記憶素子の場合も不純物の導電型を逆にすれば全く同様に製造することができる。
【0099】
先ず図25に示す様に、半導体基板1にBイオンを例えば30keVのエネルギー、1×1012原子/cmの濃度で注入した後で、例えば1050℃、30秒の熱工程を加える。続いて半導体基板1の上に例えばCVD法を用いて例えば厚さ30nmの第一のLaAlO膜16を形成する。次に第一のLaAlO膜16上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第一の多結晶シリコン膜17を形成する。
【0100】
次に図26に示す様に、第一の多結晶シリコン膜17上に図示しないマスクを形成して例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、第一の多結晶シリコン膜17および第一のLaAlO膜16をパターニングする。続いて、上記マスクを用いて半導体基板1に溝を形成し、例えば酸化シリコン等の絶縁物を埋め込む事に依り素子分離領域26を形成する。その後、上記マスクを除去する。
【0101】
次に図27に示す様に、第一のLaAlO膜16および第一の多結晶シリコン膜17を含む半導体基板1全面に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ8nmのSi膜18を形成する。続いてSi膜18上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第二の多結晶シリコン膜19を形成する。
【0102】
次に図28に示す様に、第二の多結晶シリコン膜19上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ10nmのAl膜20を形成する。続いてAl膜20上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/mの濃度で含む例えば厚さ5nmの第三の多結晶シリコン膜21を形成する。
【0103】
次に図29に示す様に、第三の多結晶シリコン膜21上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ25nmのHfO膜22を形成する。続いてHfO膜22上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第四の多結晶シリコン膜23を形成する。
【0104】
次に図30に示す様に、第四の多結晶シリコン膜23上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ30nmの第二のLaAlO膜24を形成する。続いて第二のLaAlO膜24上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ50nmの例えばW膜25を形成する。
【0105】
次に図31に示す様に、例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、タングステン膜25、第二のLaAlO膜24、第四の多結晶シリコン膜23、HfO膜22、第三の多結晶シリコン膜21、Al膜20、第二の多結晶シリコン膜19、Si膜18、第一の多結晶シリコン膜17、第一のLaAlO膜16をパターニングし、制御ゲート電極6、第二の絶縁層5、第四の導電体膜4g、第三の導電体間絶縁膜4f、第三の導電体膜4e、第二の導電体間絶縁膜4d、第二の導電体膜4c、第一の導電体間絶縁膜4b、第一の導電体膜4a、および第一の絶縁層3を形成する。
【0106】
次に、例えばAsイオンを例えば5keVのエネルギー、1×1015原子/cmの濃度で注入し、熱工程を施す事に依りソース・ドレイン領域2a、2bを形成する。以後は周知の技術を用いて、従来の不揮発性半導体記憶素子と同様に層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て図24に示す本実施形態の不揮発性半導体記憶素子を形成する。
【0107】
本実施形態においては、素子分離領域26と第一の絶縁層3および第一の導電体膜4aとが自己整合的に形成されている。このため、素子分離領域26、第一の絶縁層3、および第一の導電体膜4aを同一のマスクを用いて形成する事が可能になり、製造工程の簡略化が図られると言う利点が在る。一方、上記実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子の様に形成を行うと、素子分離領域形成時の酸化シリコン等の絶縁膜を充填する工程の後に例えば化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing法、以下では「CMP法」と記す)を用いて、表面の平坦化を行う事が可能となり、その結果として素子分離領域の表面とチャネル領域の表面との間の段差を極めて小さくする事が可能となると言う利点がある。
【0108】
本実施形態に於いても上記実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
【0109】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態の不揮発性半導体記憶素子を図32に示す。本実施形態の不揮発性半導体記憶素子は、図23に示す第3実施形態の変形例の不揮発性半導体記憶素子において、素子分離領域26と、第一の絶縁層3および電荷蓄積層4からなる積層構造とを自己整合的に形成した構成となっている。なお、図32に於いては層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。また、図32に於いて縮尺は正確ではない。
【0110】
本実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造方法について以下に説明する。ここではn型の不揮発性半導体記憶素子の場合を説明する。p型の不揮発性半導体記憶素子の場合も不純物の導電型を逆にすれば全く同様に製造することができる。
【0111】
先ず図33に示す様に、半導体基板1にBイオンを例えば30keVのエネルギー、1×1012原子/cmの濃度で注入した後で、例えば1050℃、30秒の熱工程を加える。続いて半導体基板1の上に例えばCVD法を用いて例えば厚さ30nmの第一のLaAlO膜16を形成する。次に第一のLaAlO膜16上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第一の多結晶シリコン膜17を形成する。
【0112】
次に図34に示す様に、第一の多結晶シリコン膜17の上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ8nmのSi膜18を形成する。続いてSi膜18上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第二の多結晶シリコン膜19を形成する。
【0113】
次に図35に示す様に、前記第二の多結晶シリコン膜19上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ10nmのAl膜20を形成する。続いてAl膜20上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第三の多結晶シリコン膜21を形成する。
【0114】
次に図36に示す様に、第三の多結晶シリコン膜21上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ25nmのHfO膜22を形成する。続いてHfO膜22上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第四の多結晶シリコン膜23を形成する。
【0115】
次に図37に示す様に例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、第四の多結晶シリコン膜23、HfO膜22、第三の多結晶シリコン膜21、Al膜20、第二の多結晶シリコン膜19、Si膜18、第一の多結晶シリコン膜17、および第一のLaAlO膜16をパターニングする。続いて、半導体基板1に溝を形成し、例えば酸化シリコン等の絶縁物を埋め込む事に依り素子分離領域26を形成する。
【0116】
次に図38に示す様に、第一のLaAlO膜16、第一の多結晶シリコン膜17、Si膜18、第二の多結晶シリコン膜19、Al膜20、第三の多結晶シリコン膜21、HfO膜22、および第四の多結晶シリコン膜23を含む半導体基板1全面に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ30nmの第二のLaAlO膜24を形成する。続いて第二のLaAlO膜24上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ50nmの例えばW膜25を形成する。
【0117】
次に図39に示す様に、例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、タングステン膜25、第二のLaAlO膜24、第四の多結晶シリコン膜23、HfO膜22、第三の多結晶シリコン膜21、Al膜20、第二の多結晶シリコン膜19、Si膜18、第一の多結晶シリコン膜17、第一のLaAlO膜16をパターニングし、制御ゲート電極6、第二の絶縁層5、第四の導電体膜4g、第三の導電体間絶縁膜4f、第三の導電体膜4e、第二の導電体間絶縁膜4d、第二の導電体膜4c、第一の導電体間絶縁膜4b、第一の導電体膜4a、および第一の絶縁層3を形成する。第一の導電体膜4a、第一の導電体間絶縁膜4b、第二の導電体膜4c、第二の導電体間絶縁膜4d、第三の導電体膜4e、第三の導電体間絶縁膜4f、および第四の導電体膜4gが電荷蓄積層4を構成する。
【0118】
次に、例えばAsイオンを例えば5keVのエネルギー、1×1015原子/cmの濃度で注入し、熱工程を施す事に依りソース・ドレイン領域2a、2bを形成する。以後は周知の技術を用いて、従来の不揮発性半導体記憶素子と同様に層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て図32に示す本実施形態の不揮発性半導体記憶素子を形成する。
【0119】
本実施形態の構造の不揮発性半導体記憶素子を形成すると、素子分離領域26と、第一の絶縁層3および電荷蓄積層4からなる積層構造とが自己整合的に形成されているので、素子分離領域26と、第一の絶縁層3および電荷蓄積層4を同一のマスクを用いて形成する事が可能になり、製造工程の簡略化が図られると言う利点が在る。更に本実施形態の構造の不揮発性半導体記憶素子を形成するとチャネルを流れる電流の主方向に平行な方向にも垂直な方向にも、最小加工寸法の2倍の周期で素子を形成する事が可能となるので、素子一つあたりの面積を最小加工寸法の2乗の4倍とする事ができる。その結果として高い集積度が実現されると言う利点が在る。一方、第1乃至第3実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子の様に形成を行うと、素子分離領域形成時の酸化シリコン等の絶縁膜を充填する工程の後に例えばCMP法を用いて、表面の平坦化を行う事が可能となり、その結果として素子分離領域の表面とチャネル領域の表面との間の段差を極めて小さくする事が可能となると言う利点がある。
【0120】
本実施形態に於いても上記実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
【0121】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態による不揮発性半導体記憶素子を図40に示す。本実施形態の不揮発性半導体記憶素子は上記実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子と異なり、支持基板27の上に埋め込み絶縁膜28を介して半導体層の形成された、いわゆるSOI基板上に形成され、埋め込み絶縁膜28上の半導体層が板状に加工されており、板状半導体領域2の長手方向に離間してソース・ドレイン領域が形成されている。そして、チャネル領域となる、ソース領域とドレイン領域との間の板状半導体領域2を覆う様に、第一の絶縁層3、電荷蓄積層4、第二の絶縁層5、および制御ゲート電極6が形成されている。電荷蓄積層4は、第一の導電体膜4a、第一の導電体間絶縁膜4b、第二の導電体膜4c、第二の導電体間絶縁膜4d、第三の導電体膜4e、第三の導電体間絶縁膜4f、および第四の導電体膜4gが積層された積層構造を有している。なお、ソース・ドレイン領域の一方の領域は、第一の絶縁層3、電荷蓄積層4、第二の絶縁層5、および制御ゲート電極6の積層構造の手前側に存在し、他方の領域は上記積層構造の向こう側に存在していて図40に於いては陰になっている為に示していない。なお、図40に於いては素子分離領域、層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。また、図40に於いて縮尺は正確ではない。
【0122】
本実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造方法について以下に説明する。ここではn型の不揮発性半導体記憶素子の場合を説明する。p型の素子の場合も不純物の導電型を逆にすれば全く同様に製造することができる。
【0123】
先ず図41に示す様に、SOI基板の半導体層にBイオンを例えば30keVのエネルギー、1×1012原子/cmの濃度で注入した後で、例えば1050℃、30秒の熱工程を加える。続いて例えばRIE法等の方法を用いる事に依り半導体層を加工して板状半導体領域2を形成する。
【0124】
次に図42に示す様に、板状半導体領域2を含むSOI基板全面に例えばCVD法を用いて例えば厚さ30nmの第一のLaAlO膜16を形成する。続いて第一のLaAlO膜16上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第一の多結晶シリコン膜17を形成する。
【0125】
次に図43に示す様に、第一の多結晶シリコン膜17の上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ8nmのSi膜18を形成する。続いてSi膜18上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第二の多結晶シリコン膜19を形成する。
【0126】
次に図44に示す様に、第二の多結晶シリコン膜19上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ10nmのAl膜20を形成する。続いてAl膜20上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第三の多結晶シリコン膜21を形成する。
【0127】
次に図45に示す様に、第三の多結晶シリコン膜21上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ25nmのHfO膜22を形成する。続いてHfO膜22上に例えばCVD法等の方法を用いて例えばAsを例えば2×1018原子/cmの濃度で含む例えば厚さ5nmの第四の多結晶シリコン膜23を形成する。
【0128】
次に図46に示す様に、第四の多結晶シリコン膜23の上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ30nmの第二のLaAlO膜24を形成する。続いて第二のLaAlO膜24上に例えばCVD法等の方法を用いて例えば厚さ50nmの例えばW膜25を形成する。
【0129】
次に図47に示す様に、例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、W膜25、第二のLaAlO膜24、第四の多結晶シリコン膜23、HfO膜22、第三の多結晶シリコン膜21、Al膜20、第二の多結晶シリコン膜19、Si膜18、第一の多結晶シリコン膜17、第一のLaAlO膜16をパターニングし、制御ゲート電極6、第二の絶縁層5、第四の導電体膜4g、第三の導電体間絶縁膜4f、第三の導電体膜4e第二の導電体間絶縁膜4d、第二の導電体膜4c、第一の導電体間絶縁膜4b、第一の導電体膜4a、および第一の絶縁層3を形成する。
【0130】
次に、例えばAsイオンを例えば5keVのエネルギー、1×1015原子/cmの濃度で注入し、熱工程を施す事に依りソース・ドレイン領域を形成する。以後は周知の技術を用いて層間絶縁膜形成工程や配線工程等を行い図40に示す本実施形態の不揮発性半導体記憶素子を形成する。
【0131】
本実施形態の不揮発性半導体記憶素子に於いては、チャネル領域を覆う様に、第一の絶縁層3、電荷蓄積層4、第二の絶縁層5、および制御ゲート電極6が形成されているので、チャネル領域の電位に対する制御ゲート電極の制御性が増して素子の短チャネル効果が抑制される為に、素子の微細化が可能となり、その結果として高い集積度が実現されると言う利点が在る。また、本実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子に於いては、第1実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子とは異なり、第一の導電体膜4aは第一の絶縁層3を覆う様に形成され、第一の導電体間絶縁膜4bは第一の導電体膜4aを覆う様に形成され、第二の導電体膜4cは第一の導電体間絶縁膜4bを覆う様に形成され、第二の導電体間絶縁膜4dは第二の導電体膜4cを覆う様に形成され、第三の導電体膜4eは第二の導電体間絶縁膜4dを覆う様に形成され、第三の導電体間絶縁膜4fは第三の導電体膜4eを覆う様に形成され、第四の導電体膜4gは第三の導電体間絶縁膜4fを覆う様に形成され、第二の絶縁層5は第四の導電体膜4gを覆う様に形成され、制御ゲート電極6は第二の絶縁層5を覆う様に形成されている。それ故、第3実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子と同様に動作電圧の余裕を大きく取る事が可能になると言う利点が在る。
【0132】
一方、第1乃至第5実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子はいわゆるバルク基板上に形成されており、素子の形成工程が簡略であると言う利点が在る。また、第1乃至第3実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子に於いては、素子分離領域形成時の酸化シリコン等の絶縁膜を充填する工程の後に例えばCMP法を用いて、表面の平坦化を行う事が可能となり、その結果として素子分離領域の表面とチャネル領域の表面との間の段差を極めて小さくする事が可能となると言う利点がある。
【0133】
なお、本実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子に於いては、チャネル領域ないしソース・ドレイン領域の形成される板状半導体領域の、チャネルを流れる電流の主方向に垂直な断面は半導体基板の表面に平行に測った長さよりも、半導体基板の表面に垂直に測った長さの方が長いが、この事は本質ではなく、両者の長短が逆でも同様の効果が得られ、また両者が等しくても同様である。
【0134】
また、本実施形態に示した不揮発性半導体記憶素子に於いては、チャネル領域は電荷蓄積層4および制御ゲート電極6に上方と左右方向との三方向から囲まれているが、例えば左右方向の二方向のみから電荷蓄積層4および制御ゲート電極6に挟まれる様に形成しても同様の効果が得られる。左右方向の二方向ではなく、上下方向の二方向でも同様の効果が得られる。また、チャネルの形成される領域が電荷蓄積層4および制御ゲート電極6に完全に囲まれる例えば柱状構造の素子を形成したとしても同様の効果が得られる。
【0135】
また、本実施形態の電荷蓄積層4を第2実施形態の電荷蓄積層4Aで置き換えても同様の効果を得ることができる。
【0136】
本実施形態に於いても上記実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
【0137】
(第7実施形態)
次に本発明の不揮発性半導体記憶装置の実施形態を説明する。
【0138】
本実施形態の不揮発性半導体記憶装置の回路図を図48に示す。本実施形態の不揮発性半導体記憶装置は、上記第1乃至第6実施形態のいずれかの不揮発性半導体記憶素子が格子点状に配列されている。それらの不揮発性半導体記憶素子はM行N列に配置されており、合計でM×N個の不揮発性半導体記憶素子が含まれて居る。なお、図48に於いては上記第1乃至第6実施形態のいずれかの不揮発性半導体記憶素子を図49に示す様に記してある。図49に於いて符号SおよびDと記した端子は各々ソースおよびドレインを示し、符号C.G.と記した端子は制御ゲート電極を示す。なお、基板の端子は省略してある為に示されていない。
【0139】
本実施形態においては、不揮発性半導体記憶素子を図48中のTri,j(1<<M、1<<N)で示す。同一の行に含まれる不揮発性半導体記憶素子に於いては隣り合う素子のソース・ドレイン領域が結合されており、同一の列に含まれる不揮発性半導体記憶素子は制御ゲート電極が相互に結合されている。各行の第1列の不揮発性半導体記憶素子のソースおよび第N列の不揮発性半導体記憶素子のドレインは各々電界効果トランジスタTS,i、TD,i(1<<M)を介して共通の線に結合されており、それらの電位は各々V、Vとなっている。そしてTS,i、TD,i(1<<M)のゲート電極の電位は各々VS,i、VD,i(1<<M)となっている。TS,i、TD,i(1<<M)のしきい値電圧は、すべて揃っている必要はないがほぼ等しいとして、その値をVthとする。Vthはゼロと電源電圧VDDとの間に設定しておく。また、j列の相互に結合されている制御ゲート電極の電位はVCG,j(1<<N)となっている。そして、全てのTri,j(1<<M、1<<N)の基板電位は共通とする。なお、図48に於いては、ここに示す領域の外部の配線や外部の配線との接合領域等は省略してある。本実施形態の不揮発性半導体記憶装置は全体でL×M×Nビットの情報を記憶する事が可能である。但しLは一つの不揮発性半導体記憶素子の記憶可能なビット数を表す。その動作を以下に説明する。
【0140】
不揮発性半導体記憶素子はn型であり、電荷蓄積層中のキャリアは電子であるとし、第m行第n列に在る不揮発性半導体記憶素子Trm,nへの情報の書き込みと消去及びその読み出し方法を説明する。p型の不揮発性半導体記憶素子および電荷蓄積層中のキャリアがホールの場合も電圧の極性を逆にすれば全く同様の方法で行うことができる。ここでmとnとは各々1<<M、1<<Nを満たす任意の整数とする。
【0141】
先ず情報の書き込みは次の様にして行う。上記実施形態に記した様に、この不揮発性半導体記憶素子は様々なしきい値電圧を取る事が可能であり、それらを低い方から順に、VTH,1、VTH,2、…、VTH,Lとする。なお、VTH,k(2<<L‐1)はゼロと駆動電圧VDDとの間になる様に設定しておく。共通の基板の電位はゼロと設定する。VCG,j(1<<N)はVTH,Lよりも高い電位とする。但し導電体間絶縁膜を貫くトンネル電流は流れない、すなわち電荷蓄積層中の電荷の移動は起こらない電位とする。こうするとTri,j(1<<M、1<<N)はすべて導通状態となる。VS,i、VD,i(i≠m)はVthよりも低い値(例えばゼロ)、VS,m、VD,mはVthよりも高い値(例えばVDD)とする。こうするとTS,i、TD,i(i≠m)は全て非導通状態、TS,m、TD,mは導通状態となる。そしてV、Vはゼロとする。この様にするとTri,j(i≠m、1<<N)のソース・ドレイン領域は外部の回路と接続されていないので浮遊状態となり、Trm,j(1<<N)のソース・ドレイン領域は外部の回路と接続されているのでその電位はすべてゼロとなる。その結果、Trm,j(1<<N)のチャネル領域の電位もゼロとなる。この状態で共通の基板は浮遊状態とし、VCG,nを、Trm,nのしきい値が所望の値となる様な電位に設定すると、Trm,nのしきい値電圧を所望の値に制御する事が可能となる。ここでVCG,j(j≠n)はVTH,Lよりも高い電位に設定されているが、導電体間絶縁膜を貫くトンネル電流は流れない、すなわち電荷蓄積層中の電荷の移動は起こらない電位としてあるのでTri,j(1<<M、j≠n)のしきい値電圧は変化しない。そして上に記した様にTri,n(i≠m)のソース・ドレイン領域は浮遊状態であり、基板もまた浮遊状態であるので、Tri,n(i≠m)のチャネル領域もまた浮遊状態となっている。それ故、VCG,nを変化させるとTri,n(i≠m)のチャネル領域の電位は、第一の絶縁層3と電荷蓄積層4と第二の絶縁層5とを介した制御ゲート電極6との容量結合に依りVCG,nに追随する。その為にTri,n(i≠m)の第一および第二の絶縁層3、5中ならびに導電体間絶縁膜中の電場はあまり高い値にはならず、導電体間絶縁膜を貫くトンネル電流は流れない、すなわち電荷蓄積層中の電荷の移動は起こらない。それ故、Tri,n(i≠m)のしきい値電圧は変化しない。この様にして他のTri,j((i,j)≠(m,n))のしきい値電圧を変化させずにTrm,nのしきい値電圧のみを制御する事が可能である。この様にして書き込みが行われる。
【0142】
次に情報の消去を説明する。情報の消去は共通の列に配置されている不揮発性半導体記憶素子に対して同時に行う。第n列の不揮発性半導体記憶素子の情報を消去する方法を説明する。ここでnは1<<Nを満たす任意の列とする。共通の基板の電位はゼロとする。VS,i、VD,i(1<<M)はVthよりも低い値(例えばゼロ)とし、VCG,j(j≠n)も例えばゼロとする。そしてVCG,nは電荷蓄積層4中の導電体膜中に存在する電子がすべて最もチャネル領域に近い導電体膜まで導電体間絶縁膜を貫くトンネル電流に依り移動する様な、十分に低い電位に設定する。この様にするとTri,j(1<<M、1<<N)はすべて非導通状態となるので、ソース・ドレイン領域は浮遊状態となり、チャネル領域の電位は基板と等しくゼロとなる。この様にすると、Tri,j(1<<M、j≠n)の電荷蓄積層4中の導電体膜中の電子の移動は起こらず、Tri,n(1<<M)の電荷蓄積層4中の導電体膜に於いてのみは電子が最もチャネル領域に近い導電体膜に移動する。この様にしてTri,j(1<<M、j≠n)の情報は変化させずにTri,n(1<<M)の情報のみを消去する事が可能となる。なお、図48に示す全てのTri,j(1<<M、1<<N)に対して同時に情報を消去する事は、VS,i、VD,i(1<i<M)とVCG,j(1<<N)とに例えばゼロを印加して、共通となっている基板に、電荷蓄積層4中の導電体膜中に存在する電子がすべて最もチャネル領域に近い導電体膜まで導電体間絶縁膜を貫くトンネル電流に依り移動する様な、十分に高い電位を印加する事に依り可能である。この様にすると、全てのTri,j(1<<M、1<<N)に対して同時に情報を消去する事ができるので、操作が簡略になり、消去に要する時間が短縮されると言う利点がある。
【0143】
一方、初めに説明した方法を用いて消去を行うと、他の列に配置されている不揮発性半導体記憶素子の情報を変化させずに、特定の列に配置されている不揮発性半導体記憶素子の情報のみを選択的に消去する事が可能になると言う別の利点が得られる。
【0144】
以上説明した様にして書き込みと消去とが行われる。
【0145】
次に、読み出しの方法を説明する。第m行第n列のTrm,nの情報の読み出しは次の様にして行う。ここでmとnとは各々1<<M、1<<Nを満たす任意の整数とする。共通の基板の電位はゼロとする。VCG,j(j≠n)はVTH,Lよりも高い電位とする。但し導電体間絶縁膜を貫くトンネル電流は流れない、すなわち電荷蓄積層中の電荷の移動は起こらない電位とする。こうするとTri,j(1<<M、j≠n)はすべて導通状態となる。Vは例えばゼロ、Vは例えばVDDとする。VS,i、VD,i(i≠m)はVthよりも低い値(例えばゼロ)、VS,mとVD,mとは例えばVDDとする。こうするとTS,i、TD,i(i≠m)は全て非導通状態、TS,m、TD,mは導通状態となる。この様にするとTri,j(i≠m、1<<N)のソース・ドレイン領域は外部の回路と接続されていないので浮遊状態となる。Trm,j(1<<N)のソース・ドレイン領域は外部の回路と接続されているので、Trm,j(1<j<n)のソース・ドレイン領域及びTrm,nのソース・ドレイン領域の内で図48の左にある方の電位はゼロ、Trm,j(n<j<N)のソース・ドレイン領域及びTrm,nのソース・ドレイン領域の内で図48の右にある方の電位はVDDとなる。そしてVCG,nを例えばVDDとすると、Trm,nのしきい値電圧に応じた電流がVを印加した端子からVを印加した端子へと流れるので、この電流値を検出する事で、Trm,nに記憶されている情報の読み出しが可能となる。
【0146】
また、次の様にしてTrm,nに記憶されている情報の読み出しを行う事が可能である。VCG,nを例えばVDD/2として、Vを印加した端子からVを印加した端子へと電流が流れるか否かを検知すると、Trm,nのしきい値電圧がVDD/2よりも高いか低いかが判る。もし高ければVCG,nを例えば3×VDD/4としてVを印加した端子からVを印加した端子へと電流が流れるか否かを検知し、もし低ければVCG,nを例えばVDD/4としてVを印加した端子からVを印加した端子へと電流が流れるか否かを検知すると、Trm,nのしきい値電圧が3×VDD/4ないしVDD/4よりも高いか低いかが判る。この操作を繰り返す事でTrm,nのしきい値電圧を知る事ができる。
【0147】
前者の読出し方法であれば一度の操作でTrm,nに蓄えられている情報を読み出す事ができると言う利点が在り、後者の読出し方法であれば毎回の操作は電流が流れるか否かのみを検知すれば良いので例えばセンスアンプ等で増幅した上で検知を行う事が可能となり読み誤りが防止されると言う利点が在る。
【0148】
この様にして、不揮発性半導体記憶素子毎に独立にLビットの情報の記憶が可能であり、全体としてL×M×Nビットの情報を記憶する事が可能となる。
【0149】
本実施形態に於いても上記第1乃至第6実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
【0150】
以上説明したように、本発明の各実施形態によれば、制御ゲート電極に印加する電圧の増大に伴ってしきい値電圧が階段状に変化し、その結果として2種類を超えるしきい値電圧の実現が可能であるとともにベリファイ操作の省略が可能となり、その帰結として高速動作の可能な高性能の不揮発性半導体記憶素子及び不揮発性半導体記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶素子を示す断面図。
【図2】比較例の不揮発性半導体記憶素子の断面図および等価回路を示す図。
【図3】第1実施形態の不揮発性半導体記憶素子の等価回路を示す回路図。
【図4】制御ゲート電極に印加する電圧VCGの増大に伴う素子のしきい値電圧VTHの変化を示す特性図。
【図5】第1実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図6】第1実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図7】第1実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図8】第1実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図9】第1実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図10】第1実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図11】本発明の第2実施形態による不揮発性半導体記憶素子を示す断面図。
【図12】第2実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図13】第2実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図14】第2実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図15】第2実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図16】本発明の第3実施形態の不揮発性半導体記憶素子を示す断面図。
【図17】第3実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図18】第3実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図19】第3実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図20】第3実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図21】第3実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図22】第3実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す断面図。
【図23】第3実施形態の変形例による不揮発性半導体記憶素子を示す斜視図。
【図24】本発明の第4実施形態による不揮発性半導体記憶素子を示す斜視図。
【図25】第4実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図26】第4実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図27】第4実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図28】第4実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図29】第4実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図30】第4実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図31】第4実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図32】本発明の第5実施形態による不揮発性半導体記憶素子を示す斜視図。
【図33】第5実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図34】第5実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図35】第5実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図36】第5実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図37】第5実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図38】第5実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図39】第5実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図40】本発明の第6実施形態による不揮発性半導体記憶素子を示す斜視図。
【図41】第6実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図42】第6実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図43】第6実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図44】第6実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図45】第6実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図46】第6実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図47】第6実施形態の不揮発性半導体記憶素子の製造工程を示す斜視図。
【図48】本発明の第7実施形態による不揮発性半導体記憶装置を示す回路図。
【図49】第7実施形態に用いられる不揮発性半導体記憶素子の、図48の回路図に於ける記法を説明する図。
【符号の説明】
【0152】
1 半導体基板
2 半導体領域
2a ソース領域
2b ドレイン領域
2c チャネル領域
3 第一の絶縁層(トンネルゲート絶縁膜)
4 電荷蓄積層
4A 電荷蓄積層
4a 第一の導電体膜
4b 第一の導電体間絶縁膜
4c 第二の導電体膜
4d 第二の導電体間絶縁膜
4e 第三の導電体膜
4f 第三の導電体間絶縁膜
4g 第四の導電体膜
4h 第一の電荷蓄積絶縁膜
4i 第二の電荷蓄積絶縁膜
4j 第三の電荷蓄積絶縁膜
5 第二の絶縁層(電極間絶縁膜)
6 導電体層(制御ゲート電極)
16 第一のランタンアルミネート膜
17 第一の多結晶シリコン膜
18 窒化シリコン膜
19 第二の多結晶シリコン膜
20 酸化アルミニウム膜
21 第三の多結晶シリコン膜
22 酸化ハフニウム膜
23 第四の多結晶シリコン膜
24 第二のランタンアルミネート膜
25 タングステン膜
26 素子分離領域
27 支持基板
28 埋め込み絶縁膜
40 電荷蓄積層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられ第一の導電型の不純物を含む半導体領域と、
前記半導体領域に離間して設けられ第二の導電型の不純物を含むソースおよびドレイン領域と、
前記ソースおよびドレイン領域の間の前記半導体領域の上に設けられた第一の絶縁層と、
前記第一の絶縁層上に設けられ、少なくとも三層の導電体膜と、隣接する前記導電体膜間に設けられた導電体間絶縁膜との積層構造を有し、前記半導体基板から遠く離れて位置している前記導電体間絶縁膜の誘電率は、前記半導体基板の近くに位置している前記導電体間絶縁膜の誘電率よりも高く且つ前記導電体間絶縁膜のそれぞれの誘電率は前記第一の絶縁層の誘電率より低い電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層上に設けられ前記導電体間絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層と、
前記第二の絶縁層上に設けられた導電体層と、
を備えた事を特徴とする不揮発性半導体記憶素子。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられ第一の導電型の不純物を含む板状の半導体領域と、
板状の前記半導体領域の長手方向に離間して設けられ第二の導電型の不純物を含むソースおよびドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体領域に形成されるチャネル領域と、
前記チャネル領域となる前記半導体領域の対向する一対の面を覆う第一の絶縁層と、
前記第一の絶縁層の前記チャネル領域とは反対側の面上に設けられ、少なくとも三層の導電体膜と、隣接する前記導電体膜間に設けられた導電体間絶縁膜との積層構造を有し、前記チャネル領域から遠く離れて位置している前記導電体間絶縁膜の誘電率は、前記チャネル領域の近くに位置している前記導電体間絶縁膜の誘電率よりも高く且つ前記導電体間絶縁膜のそれぞれの誘電率は前記第一の絶縁層の誘電率より低い電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層の前記第一の絶縁層とは反対側の面上に設けられ前記導電体間絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層と、
前記第二の絶縁層の前記電荷蓄積層とは反対側の面上に設けられた導電体層と、
を備えた事を特徴とする不揮発性半導体記憶素子。
【請求項3】
前記電荷蓄積層中の前記導電体膜が不純物を含む半導体である事を特徴とする請求項1または2に記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項4】
前記電荷蓄積層中において、前記第一の絶縁層から遠く離れている前記導電体膜は、前記第一の絶縁層の近くに位置している前記導電体膜よりも大きな膜面面積を有するとともに前記第一の絶縁層の近くに位置している前記導電体間絶縁膜よりも大きな膜面面積を有し、
前記第一の絶縁層から遠く離れている前記導電体間絶縁膜は、前記第一の絶縁層の近くに位置している前記導電体間絶縁膜よりも大きな膜面面積を有するとともに前記第一の絶縁層の近くに位置している前記導電体膜よりも大きな膜面面積を有し、
前記第一の絶縁層に最も近い前記導電体膜は、前記第一の絶縁層より大きな膜面面積を有し、
前記第二の絶縁層は、前記第二の絶縁層に最も近い前記導電体膜よりも大きな膜面面積を有し、
前記導電体層は、前記第二の絶縁層よりも大きな膜面面積を有する事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項5】
前記導電体間絶縁膜の膜数に1を加えた値が2の冪である事を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項6】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられ第一の導電型の不純物を含む半導体領域と、
前記半導体領域に離間して設けられ第二の導電型の不純物を含むソースおよびドレイン領域と、
前記ソースおよびドレイン領域の間の前記半導体領域の上に設けられた第一の絶縁層と、
前記第一の絶縁層上に設けられ、少なくとも二層の電荷蓄積絶縁膜が積層された積層構造を有し、前記半導体基板から遠く離れて位置している前記電荷蓄積絶縁膜の誘電率は、前記半導体基板の近くに位置している前記電荷蓄積絶縁膜の誘電率よりも高く且つ前記電荷蓄積絶縁膜のそれぞれの誘電率は前記第一の絶縁層の誘電率より低い電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層上に設けられ前記電荷蓄積絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層と、
前記第二の絶縁層上に設けられた導電体層と、
を備えた事を特徴とする不揮発性半導体記憶素子。
【請求項7】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられ第一の導電型の不純物を含む板状の半導体領域と、
板状の前記半導体領域の長手方向に離間して設けられ第二の導電型の不純物を含むソースおよびドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体領域に形成されるチャネル領域と、
前記チャネル領域となる前記半導体領域の対向する一対の面を覆う第一の絶縁層と、
前記第一の絶縁層の前記チャネル領域とは反対側の面上に設けられ、少なくとも二層の電荷蓄積絶縁膜が積層された積層構造を有し、前記チャネル領域から遠く離れて位置している前記電荷蓄積絶縁膜の誘電率は、前記チャネル領域の近くに位置している前記電荷蓄積絶縁膜の誘電率よりも高く且つ前記電荷蓄積絶縁膜のそれぞれの誘電率は前記第一の絶縁層の誘電率より低い電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層の前記第一の絶縁層とは反対側の面上に設けられ前記電荷蓄積絶縁膜の何れよりも誘電率が高い第二の絶縁層と、
前記第二の絶縁層の前記電荷蓄積層とは反対側の面上に設けられた導電体層と、
を備えた事を特徴とする不揮発性半導体記憶素子。
【請求項8】
前記電荷蓄積層中において、前記第一の絶縁層から遠く離れている前記電荷蓄積絶縁膜は、前記第一の絶縁層の近くに位置している前記電荷蓄積絶縁膜よりも大きな膜面面積を有し、
前記第一の絶縁層に最も近い前記電荷蓄積絶縁膜は、前記第一の絶縁層より大きな膜面面積を有し、
前記第二の絶縁層は、前記第二の絶縁層に最も近い前記電荷蓄積絶縁膜よりも大きな膜面面積を有し、
前記導電体層は、前記第二の絶縁層よりも大きな膜面面積を有する事を特徴とする請求項6または7記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項9】
前記電荷蓄積絶縁膜の膜数に1を加えた値が2の冪である事を特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項10】
前記第一の絶縁層および前記第二の絶縁層の少なくとも一方は金属を含む事を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項11】
前記電荷蓄積層の絶縁膜の何れかは金属を含む事を特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項12】
前記電荷蓄積層の絶縁膜の誘電率が何れも酸化シリコンの誘電率よりも高い事を特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項13】
前記電荷蓄積層の絶縁膜は膜数が3でありかつ前記第一の絶縁層に最も近い第一の絶縁膜は酸化シリコン、窒化シリコン、および酸化窒化シリコンの何れかに依り形成され、前記第一の絶縁層に二番目に近い第二の絶縁膜は酸化アルミニウムに依り形成され、前記第一の絶縁層から最も遠い第三の絶縁膜は酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウムシリケート、およびジルコニウムシリケートの何れかに依り形成され、前記第一の絶縁層および前記第二の絶縁層の少なくとも一方はランタンアルミネートに依り形成されている事を特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項14】
前記電荷蓄積層の絶縁膜の酸化膜換算膜厚が相互に実質的に等しい事を特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れかに記載の不揮発性半導体記憶素子が格子点状に配置され、且つ同一の行に含まれ且つ隣り合う不揮発性半導体記憶素子の前記ソースおよびドレイン領域は相互に結合され、且つ同一の列に含まれる不揮発性半導体記憶素子の前記導電体層は相互に結合されている事を特徴とする不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2008−311325(P2008−311325A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155919(P2007−155919)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】