説明

内燃機関制御装置

【課題】 衝突の危険性が高い場合に、強いエンジンブレーキを発生することができる内燃機関制御装置を提供する。
【解決手段】 衝突の危険度を判定する衝突危険度判定装置40と、衝突等の危険を検知すると、エンジン1の点火時期を所定角度進角させて、エンジン1に逆回転方向のトルクを発生させるECU30とを有している。エンジン1に逆回転方向のトルクを発生させることで、より強いエンジンブレーキをかけることができる。従って車両の衝突等を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行時の追突事故を防止する内燃機関制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車走行時の追突事故を防止するために、自分が運転する自動車(以下「自車」と称する)から先行車両や障害物までの距離、相対速度に基づいて衝突の危険度を判断し、ドライバへの警報や自動減速を行う装置が開発されている。
【0003】
このような装置により衝突の危険性ありと判断すると、燃料の供給をカットしてエンジンの回転数を抑える、フットブレーキをアシストする、シートベルトを巻き上げ、運転者に危険を通知するなどの制御が行なわれている。
しかし衝突の危険度が高いと判断した場合には、フットブレーキ、エンジンブレーキだけでは不十分であり、衝突の危険を回避するためのより強いブレーキが必要となる。
【0004】
特許文献1及び2は、車両の衝突が予測される場合に、エンジンの点火時期を遅角制御することでトルクダウンを行なう技術を開示している。
【0005】
【特許文献1】特開平9−166214号公報
【特許文献2】特開2002−36919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように車両が衝突する危険性が高いと判断される場合には、衝突の危険を回避するためにより強いブレーキが必要となる。しかしながら特許文献1及び2記載のようにトルクダウンさせる程度のブレーキ力では、衝突が予測される場合には不十分であり、実際に衝突してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、衝突の危険性が高い場合に、強いエンジンブレーキを発生することができる内燃機関制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために本発明の内燃機関制御装置は、内燃機関の点火時期を所定角度進角させて、該内燃機関に逆回転方向のトルクを発生させる制御手段を有する構成としている。内燃機関に逆回転方向のトルクを発生させることで、より強いブレーキをかけることができる。従って車両の衝突等を防止することができる。
【0009】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記内燃機関に正回転方向のトルクを発生させる通常時の点火範囲よりも外側で点火が行なわれるように進角するとよい。通常使用する点火範囲の外側で点火が行なわれるように進角するので、内燃機関に逆回転方向のトルクを発生させ、強いブレーキをかけることができる。
【0010】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記逆回転方向のトルクを発生させる、予め設定された点火タイミングで前記内燃機関の点火制御を行うとよい。予め設定された点火タイミングで内燃機関の点火制御を行うので、発生トルクをコントロールし、強いブレーキをかけることができる。
【0011】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記逆回転方向用に用意されたマップに基づいて点火タイミングを算出するとよい。逆回転方向用に用意されたマップに基づいて点火タイミングを算出するので、発生トルクをコントロールし、強いブレーキをかけることができる。
【0012】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記内燃機関に前記正回転方向のトルクを発生させる通常時の点火時期を求めるマップから算出した点火時のクランク角度に、所定角度を加算して点火タイミングとするとよい。このように通常時の点火のクランク角度に、所定角度を加算して点火タイミングとすることで、演算などを行なわずに早急に過進角状態にすることができ、強いブレーキをかけることができる。
【0013】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記逆回転方向のトルクを発生させる時に、スロットル弁を所定角度開くとよい。スロットル弁を所定角度開くことで、逆回転方向に発生するトルクをコントロールすることができる。
【0014】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、要求されるトルクに応じて、前記スロットル弁の開度を設定するとよい。要求されるトルクが大きい場合には、スロットル弁の開度を大きくすることで、逆回転方向に大きなトルクを発生させることができる。また、要求されるトルクが小さい場合には、スロットル弁の開度を小さくすることで、必要な分だけのトルクを発生させて、内燃機関への負担を軽減させることができる。
【0015】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記逆回転方向のトルクを発生させる時に、前記内燃機関に供給する燃料を増量するとよい。内燃機関の点火時期を過進角状態として、内燃機関に供給する燃料を増量することで逆回転方向に大きなトルクを発生させることができる。
【0016】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、車両が衝突する危険度が高いと判定した場合に前記内燃機関に前記逆回転方向のトルクを発生させるとよい。衝突の危険を検知すると、内燃機関に逆回転方向のトルクを発生させ、より強いブレーキをかけることができる。従って車両の衝突等を防止することができる。
【0017】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、車両が衝突する危険度が高いことを装置外部から受信した場合に、前記内燃機関に前記逆回転方向のトルクを発生させるとよい。衝突の危険を検知すると、内燃機関に逆回転方向のトルクを発生させ、より強いブレーキをかけることができる。従って車両の衝突等を防止することができる。
【0018】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記衝突を回避できないと判定すると、前記衝突の直前に、前記内燃機関への燃料供給をカットするとよい。衝突直前に燃料供給をカットすることで、衝突直後の火災の発生を防止することができる。
【0019】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記衝突の回避を検知すると、前記内燃機関に正回転方向のトルクを発生させる通常時の点火時期で前記内燃機関の点火制御を行なうとよい。衝突を回避すると、通常の点火時期で前記内燃機関の点火を行なうので内燃機関への負担を軽減させることができる。
【0020】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記衝突の回避を検知すると、前記内燃機関の点火時期を遅角状態とし、その後段階的に進角させるとよい。内燃機関の点火時期を正回転方向の小さいトルクが発生する遅角状態とし、その後段階的に進角させるので、正回転方向のトルクを徐々に増やすことができ、ドライバビリティの悪化を防止することができる。
【0021】
上記の内燃機関制御装置において、前記制御手段は、前記衝突の回避を検知すると、前記スロットル弁を段階的に閉じて前記逆回転方向のトルクを減らし、通常の点火時期で前記内燃機関の点火を行ないながら前記スロットル弁を段階的に開くとよい。このようにスロットル弁の開度を調整することで、ドライバビリティの悪化を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、衝突の危険性が高い場合に、強いエンジンブレーキをかけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
添付図面を参照しながら本発明の最良の実施例を説明する。
【実施例1】
【0024】
図1に本実施例の構成を示す。図1に示すように本実施例は、内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)1と、衝突の危険性を判定する衝突危険度判定装置40と、これらの装置を制御する制御装置としてのECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)30とを有している。
【0025】
衝突危険度判定装置40は、電波(ミリ波)、レーザー、超音波、音波、可視光などの非接触距離センサ(プリクラッシュセンサ)を用いて車間距離を検知し、この車間距離や加速度状態を判断して衝突の危険度を判定する。例えば前述の非接触距離センサ(プリクラッシュセンサ)を衝突予知のための検知センサとして利用し、自車の走行速度、前方車あるいは障害物(被衝突物)との距離、相対速度等を検知し、システム内の衝突危険度判断回路等により、衝突発生の緊急度(危険度)を段階的にレベル評価し、その緊急度のレベルに応じた信号をECU30に通知する。
【0026】
図2は、エンジン1及びその周辺機器を示す概略構成図である。図2に示すエンジン1は、複数の気筒を備えており、エンジン1の吸気通路2にはエアクリーナ3からの空気が導入される。この吸気通路2途中には、ドライバ(運転者)の要求として図示しないアクセルペダル等の操作に連動して開閉されるスロットル弁11が配設されている。このスロットル弁11が開閉されることにより、吸気通路2への吸気量が調節される。また、この吸気量と同時に、図示しない燃料タンクから燃料ポンプにて圧送されプレッシャレギュレータを介して調圧された燃料が、エンジン1の吸気ポート4の近傍で吸気通路2に配設されたインジェクタ(燃料噴射弁)5から噴射供給される。そして、所定の燃料量及び吸気量からなる混合気が吸気バルブ6を介して燃焼室7内に吸入される。
【0027】
吸気通路2途中のスロットル弁11にはアクセルペダル踏込量等に応じたスロットル開度を検出するスロットル開度センサ21が配設されている。また、スロットル弁11の下流側には、吸気通路2内の吸気圧PMを検出する吸気圧センサ22が配設されている。そして、エンジン1のクランクシャフト13にはその回転に伴うクランク角〔°CA(Crank Angle)〕を検出するクランク角センサ23が配設されている。このクランク角 センサ23で検出されるクランク角に基づきエンジン1の回転数NEが算出される。
【0028】
また、エンジン1の燃焼室7内に向けて点火プラグ14が配設されている。この点火プラグ14にはクランク角センサ23で検出されるクランク角に同期して後述のECU30から出力される点火指令信号に基づき点火コイル/イグナイタ15からの高電圧が印加され、燃焼室7内の混合気に対する点火燃焼が行われる。このように、燃焼室7内の混合気が燃焼(膨張)され駆動力が得られ、この燃焼後の排出ガスは、排気バルブ8を介して排気マニホールドから排気通路9に導出され外部に排出される。
【0029】
ECU30は、周知の各種演算処理を実行する中央処理装置としてのCPU31、制御プログラムを格納したROM32、各種データを格納するRAM33、入出力回路34及びそれらを接続するバスライン35等からなる論理演算回路として構成されている。このECU30には、スロットル開度センサ21からのスロットル開度、吸気圧センサ22からの吸気圧、クランク角センサ23からのクランクシャフト13の回転角やエンジン回転速度NE等が入力されている。これら各種センサ情報に基づくECU30からの出力信号に基づき、燃料噴射時期及び燃料噴射量に関連するインジェクタ5、点火時期に関連する点火プラグ14、点火コイル/イグナイタ15等が適宜、制御される。
【0030】
上記構成を備える本実施例は、衝突の危険度が高いことを検知すると、エンジン1の点火時期を大幅に進角させて、エンジン1に逆回転方向のトルクを発生させる。通常時のエンジンブレーキとは異なり、逆回転方向にトルクを発生させて強いエンジンブレーキを働かせる。
【0031】
通常時には、燃料の噴射後、例えば図3(A)に示すようにBTDC50CA〜ATDC40CAといった範囲で点火を行い、正回転方向のトルクを発生させている。図3(A)には、通常制御時の正回転方向と逆回転方向の仕事の関係が示されている。通常時には、正回転方向の仕事(図3(A)に横線で示す領域)が、逆回転方向の仕事(図3(A)に斜線で示す領域)よりも大きい。なお、点火時期を決められた範囲内で行なっているのは、過進角状態で点火するとエンジン1が損傷する可能性が高いためであり、これ以上進角や遅角しないようにガードがかけられている。
【0032】
次に、衝突の危険度が高いと判定すると、ECU30は、ガードを解除し、点火時期を大きく進角させる。本実施例では、例えば図3(B)に示すようにBTDC90CAまで進角させる。図3(B)には、点火時期を大きく進角させた時の正回転方向と逆回転方向の仕事が示されている。図3(B)に示すように点火時期を大きく進角させることで、逆回転方向の仕事(図3(B)に斜線で示す領域)が、正回転方向の仕事(図3(B)に横線で示す領域)よりも大きい。これにより逆回転方向にトルクを発生させて強いエンジンブレーキを働かせることができる。
【0033】
なお、進角する角度は、上述したように予め設定した点火タイミング(例えば、BTDC90CA)を用いてもよいし、逆回転用に用意されたマップから求めてもよいし、通常時のマップから算出した点火時のクランク角度に、所定角度(αCA)を加算して点火タイミングとしてもよい。逆回転用のマップは、例えば図4に示すようにエンジンの回転数と負荷率とに基づいて進角する角度が決定されるものであり、エンジンの回転数が高くなるほど、又エンジン負荷率が低くなるほど大きく進角させることになる。
【0034】
また、逆回転方向のトルクを発生させるためには、スロットル弁11を開き、燃焼室7内で燃焼を起こさなければならない。このスロットル弁11の開度を制御することで発生させる逆回転方向のトルクを調整することができる。スロットル開度は、例えば、図5に示すように要求トルクが大きいほど、またエンジン回転数が高いほど、スロットル弁11を大きく開く。
【0035】
また本実施例では、測定した衝突までの予測時間や、衝突危険度判定装置40によって判定した危険度に応じて、スロットル開度を変更し、発生させる逆回転方向のトルクを変更する。衝突予測時間が短い場合には、スロットル弁11の開度を大きくすることで、逆回転方向に大きなトルクを発生させることができる。また、衝突予測時間が長い場合には、スロットル弁11の開度を小さくすることで、必要な分だけのトルクを発生させて、エンジン1への負担を軽減させることができる。
【0036】
また本実施例では衝突の危険を検知した場合には、エンジン1に供給する燃料を増量する。通常時には、吸気空気量に対して空燃比(A/F)が14.5となるように噴射量を決定しているが、大きなトルクが必要な場合には、燃料が増量される側に噴射量を決定する。例えば、空燃比(A/F)が12.5となるように燃料噴射量を補正する。
【0037】
次に、本実施例のECU30の動作手順を図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、衝突危険度判定装置40によって衝突の危険度を判定する。非接触距離センサ(プリクラッシュセンサ)を衝突予知のための検知センサとして利用し、自車の走行速度、前方車あるいは障害物(被衝突物)との距離、相対速度等を検知し、システム内の衝突危険度判断回路等により、衝突発生の緊急度(危険度)を段階的にレベル評価し、その緊急度のレベルに応じた信号をECU30に通知する。
【0038】
衝突危険度判定装置40により衝突の危険ありの信号が入力されると(ステップS1)、ECU30は、その危険度を判定する(ステップS2)。危険度が高くない場合には(ステップS3/NO)、エンジン1への燃料の供給をカットして通常のエンジンブレーキを働かせる(ステップS4)。
【0039】
また衝突危険度判定装置40により衝突の危険度が高いと判定すると(ステップS3/ YES)、その危険度に応じて、燃料噴射量(ステップS5)と、スロットル開度(ステップS6)と、点火時期(ステップS7)とを算出する。
【0040】
衝突の危険が高いと判定された場合には、ECU30は、エンジン1に逆回転方向のトルクを発生させるために燃料の噴射量を増量する(ステップS5)。エンジン1に発生するトルクが大きくなる空燃比(A/F値)、例えば12.5となるように噴射量を決定する。また衝突危険度判定装置40により判定された危険度、すなわち要求されたトルクや、エンジンの回転数に応じて、ECU30はスロットル開度を変更する(ステップS6)。図5に示すようにエンジン回転数が高いほど、要求されたトルクが大きいほど、ECU30は、スロットル開度を大きく設定する。また、ECU30は、逆回転方向のトルクを発生させるために、進角させる角度を求める。これは、予め設定された逆回転方向用の点火時期(例えば、BTDC90CA)を使用してもよいし、図4に示すように逆回転方向用の点火時期を算出するマップによって算出してもよい。さらに、通常のマップから算出した点火のクランク角度に所定角度を加算したものを点火時期としてもよい。これらの制御によりエンジン1には逆回転方向のトルクが発生し、強いエンジンブレーキを働かせることができる。
【0041】
次に、これらの制御によって衝突を回避することができたか否かを衝突危険度判定装置40からの信号に基づいて判定する(ステップS8)。衝突が回避できないと判断した場合には(ステップS8/NO)、車両火災の発生を防ぐため衝突の直前に燃料の供給をカットしたり、事故後は車両を退避させるために内燃機関の機能を制限した退避走行モードで制御したりする(ステップS9)。
【0042】
また衝突を回避できたと判定した場合には(ステップS8/YES)、エンジン1の点火時期を逆回転方向のトルクが発生する進角状態から、正回転方向の小さいトルクが発生する遅角状態とし、その後遅角状態から徐々に進角させて正回転方向のトルクを徐々に大きくしていくことにより(ステップS10)、トルクの急激な変化を抑える。また、点火時期の進角に合わせてスロットル開度の調整も行ない(ステップS11)、徐々に通常の制御に移行する。図7に示すように点火時期を過進角の状態から通常の制御範囲内の進角状態に戻すと、負のトルクが一気に正のトルクとなりドライバビリティを悪化させる。このため、エンジンの点火時期を遅角状態から徐々に進角させていく。また、衝突の回避を検知すると、スロットル弁11を段階的に閉じて逆回転方向のトルクを減らし、点火時期を通常の点火時期に修正しながらスロットル弁11を段階的に開く。このようにしてスロットル弁11の開度を調整することで、ドライバビリティの悪化を防止することができる。
【0043】
このように本実施例は、エンジン1に逆回転方向のトルクを発生させ、車両の衝突等を防止することができる。
【0044】
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但しこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施例では、衝突危険度判定装置40を設けて、衝突の危険度が高いと判定した場合に、点火時期の制御を行なっていたが、通常のエンジンブレーキのみでは、アクセルOFF時の減速感が不足するような場合にも適用することができる。例えば、専用のスイッチを設けて、このスイッチが押下されると、上述したエンジン点火時期の制御を行なってもよい。また、加速度センサ等により車両に急減速がかかった回数をカウントして、急ブレーキの回数が多いユーザに対しては、この逆回転方向のトルクを発生させたエンジンブレーキを使用するようにしてもよい。この場合、ブレーキの踏み込み量を検出するセンサを設けて踏み込み量を検出し、この踏み込み量が所定値を超えた場合に、エンジンの点火時期の制御を行なう。
【0045】
また、上述した実施例では、衝突危険度判定装置40により衝突の危険度を判定し、ECU30に通知しているが、ECU30で加速度センサや車間距離センサ等のセンサ情報を入力し、衝突の危険性を判定するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】エンジンとその周辺装置の構成を示す図である。
【図3】(A)は、正常制御時の点火時期とシリンダ燃焼圧との関係を示す図であり、(B)は、衝突の危険を検知した時の点火時期とシリンダ燃焼圧との関係を示す図である。
【図4】逆回転方向用の進角時期を算出するマップの一例を示す図
【図5】エンジン回転数と要求トルクとに応じたスロットル開度を算出するための図である。
【図6】ECUの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】点火時期と、発生するトルクとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 エンジン 2 吸気通路
3 エアクリーナ 4 吸気ポート
5 インジェクタ 6 吸気バルブ
7 燃焼室 8 排気バルブ
9 排気通路 11 スロットル弁
13 クランクシャフト 14 点火プラグ
15 点火コイル/イグナイナ 21 スロットル開度センサ
22 吸気センサ 23 クランク角センサ
30 ECU 31 CPU
32 ROM 33 RAM
34 入出力回路 35 バスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の点火時期を所定角度進角させて、該内燃機関に逆回転方向のトルクを発生させる制御手段を有することを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記内燃機関に正回転方向のトルクを発生させる通常時の点火範囲よりも外側で点火が行なわれるように進角することを特徴とする請求項1記載の内燃機関制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記逆回転方向のトルクを発生させる、予め設定された点火タイミングで前記内燃機関の点火制御を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記逆回転方向用に用意されたマップに基づいて点火タイミングを算出することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記内燃機関に前記正回転方向のトルクを発生させる通常時の点火時期を求めるマップから算出した点火時のクランク角度に、所定角度を加算して点火タイミングとすることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記逆回転方向のトルクを発生させる時に、スロットル弁を所定角度開くことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の内燃機関制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、要求されるトルクに応じて、前記スロットル弁の開度を設定することを特徴とする請求項6記載の内燃機関制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記逆回転方向のトルクを発生させる時に、前記内燃機関に供給する燃料を増量することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の内燃機関制御装置。
【請求項9】
前記制御手段は、車両が衝突する危険度が高いと判定した場合に前記内燃機関に前記逆回転方向のトルクを発生させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の内燃機関制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は、車両が衝突する危険度が高いことを装置外部から受信した場合に、前記内燃機関に前記逆回転方向のトルクを発生させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の内燃機関制御装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記衝突を回避できないと判定すると、前記衝突の直前に、前記内燃機関への燃料供給をカットすることを特徴とする請求項9又は10記載の内燃機関制御装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記衝突の回避を検知すると、前記内燃機関に正回転方向のトルクを発生させる通常時の点火時期で前記内燃機関の点火制御を行なうことを特徴とする請求項9又は10記載の内燃機関制御装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記衝突の回避を検知すると、前記内燃機関の点火時期を遅角状態とし、その後段階的に進角させることを特徴とする請求項9又は10記載の内燃機関制御装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記衝突の回避を検知すると、前記スロットル弁を段階的に閉じて前記逆回転方向のトルクを減らし、通常の点火時期で前記内燃機関の点火を行ないながら前記スロットル弁を段階的に開くことを特徴とする請求項9又は10記載の内燃機関制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−194172(P2006−194172A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7668(P2005−7668)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】