半導体装置およびその製造方法
【課題】 電極層の電気的特性の悪化を抑制できるようにする。
【解決手段】 ゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を除去する工程の前に、ゲート電極形成領域GCに形成されたシリコン窒化膜10、WSi膜9、第3の多結晶シリコン層8、ONO膜7、第2の多結晶シリコン層6の側壁を保護するための保護膜14を形成しているため、これらの各層6〜10を保護することができ第1の多結晶シリコン層5をエッチング処理するときの各層6〜10の機能低下を抑制できる。
【解決手段】 ゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を除去する工程の前に、ゲート電極形成領域GCに形成されたシリコン窒化膜10、WSi膜9、第3の多結晶シリコン層8、ONO膜7、第2の多結晶シリコン層6の側壁を保護するための保護膜14を形成しているため、これらの各層6〜10を保護することができ第1の多結晶シリコン層5をエッチング処理するときの各層6〜10の機能低下を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子分離領域がゲート電極に対して自己整合的に形成された構造を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の設計ルールの縮小化に伴い、半導体装置は、素子分離領域がゲート電極に対して自己整合的に形成された構造が採用されている。この一例が、NAND型フラッシュメモリ装置として開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1によれば、NAND型フラッシュメモリ装置のメモリセル領域において次のように製造している。半導体基板の主表面にゲート絶縁膜として第1の絶縁膜を形成し、この第1の絶縁膜の上に浮遊ゲート電極として第1の電極層(電極層に相当)を形成する。次に、第1の電極層、第1の絶縁膜および半導体基板を選択的に除去することにより素子分離溝を形成し、この素子分離溝に対して絶縁膜(第2の絶縁膜に相当)を埋込み素子分離絶縁膜として形成する。次に、素子分離絶縁膜の一部を第1の電極層と第1の絶縁膜の中間の高さになるまで素子分離絶縁膜をエッチングする。第1の電極層および素子分離絶縁膜を覆うように全面にインターポリ絶縁膜として第2の絶縁膜(第3の絶縁膜に相当)を形成する。
【0003】
次に、第2の絶縁膜の上に第2の電極層(導電層および低抵抗化金属膜に相当)を形成し、この上にゲート加工用パターンを形成し、このゲート加工用パターンをマスクとして第2の電極層、第2の絶縁膜、第1の電極層を除去する。このとき、素子分離領域に形成された絶縁膜の上部が第1の絶縁膜の上面の高さ近くになるまで予めエッチング処理されているため、第2の絶縁膜の側壁における第1の電極層のエッチング残りを抑えることができゲート電極同士のショートを抑制できるようになる。
【特許文献1】特開2003−78047
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に開示されている製造方法では、第2の絶縁膜の上部を第1の絶縁膜の上面高さ近くになるまでエッチング除去するときには第1および第2の電極層の側壁が露出しているため、エッチング処理時には第1および第2の電極層の電気的特性の悪化が懸念される。特にこれらの電極層に低抵抗化金属膜が含まれている構成になっている場合には特に電気的特性の悪化が懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、電気的特性の悪化を抑制できる半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1の絶縁膜、電極層が順に積層された半導体基板に対して当該半導体基板の主表面の所定方向に沿って形成された第2の絶縁膜を覆うと共に前記電極層を覆うように第3の絶縁膜、導電層、低抵抗化金属膜を順次形成すると共に、前記主表面の所定方向に交差する交差方向に沿った複数のゲート電極形成領域に対してゲート加工用パターンを前記低抵抗化金属膜の上に形成する第1工程と、ゲート加工用パターンをマスクとして隣接したゲート電極形成領域間に挟まれたゲート電極分離領域における低抵抗化金属膜、導電層、第3の絶縁膜、電極層の上部を除去する第2工程と、低抵抗化金属膜、導電層、第3の絶縁膜、電極層を覆うように保護膜を形成する第3工程と、ゲート電極分離領域の電極層の上面に形成された保護膜を除去する第4工程と、ゲート電極分離領域の電極層を除去する第5工程と、保護膜を除去する第6工程とを備えたことを特徴としている。
【0006】
本発明の半導体装置は、半導体基板と、この半導体基板の上にゲート絶縁膜を介して形成された電極層と、この電極層の上に形成されたゲート間絶縁膜と、このゲート間絶縁膜の上に形成された導電層と、この導電層の上に形成された低抵抗化金属膜とを備え、ゲート間絶縁膜、導電層および低抵抗化金属膜は、その側端面が面一に形成されることにより夫々同一の所定幅に形成されており、電極層は、その少なくとも一部が前記所定幅よりも狭い形状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気的特性の悪化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を、NAND型フラッシュメモリ装置およびその製造方法に適用した一実施形態について図1ないし図11を参照しながら説明する。
図3(a)および図3(b)に示すように、半導体装置としてのNAND型フラッシュメモリ装置1は、メモリセル領域Mおよび周辺回路領域Pに区画されている。周辺回路領域Pには、メモリセル領域Mに形成されるメモリセルアレイArを駆動するための周辺回路(図示せず)が形成されている。本実施形態の特徴はメモリセル領域Mの構造および製造方法にあるためメモリセル領域Mの構造を中心に説明する。
【0009】
図2は、メモリセル領域Mにおける回路の一例を概略的に示している。メモリセル領域Mには、多数のNAND型のメモリセルアレイArが形成されている。このメモリセルアレイArは、所謂NANDセルアレイと称されている。各メモリセルアレイArは、ビット線BL側とソースS側にそれぞれ形成された複数の選択ゲートトランジスタTrsと、これらの複数の選択ゲートトランジスタTrs間に直列接続された複数個(例えば8個、16個:2のn乗個(nは正の整数))のメモリセルトランジスタTrmとを備えている。メモリセル領域Mには、これらのメモリセルアレイArが行列状に配列されている。
【0010】
図3(a)は、NAND型フラッシュメモリ装置1のメモリセル領域Mを構成する回路の一部M1の構造について平面図を模式的に示しており、図3(b)は、NAND型フラッシュメモリ装置1の周辺回路領域Pにおける回路の一部の平面図を模式的に示している。また、図1(a)は、図3(a)のA−A線に沿う模式的な断面図、図1(b)は、図3(a)のB−B線に沿う模式的な断面図、図1(c)は、図3(b)のC−C線に沿う模式的な断面図を示している。また、図1(d)は、ゲート電極形成領域GCとゲート電極分離領域GVにおける構造を斜視図により示している。尚、図3(a)および図3(b)中、AAは活性領域を示している。尚、図中、X軸、Y軸、Z軸は、互いに例えば直交交差する軸を示しており、シリコン基板2の主表面はXY軸方向の面に対応している。
【0011】
尚、図1(a)〜図1(d)は、本実施形態の特徴部分について模式的に示している。これらの図1(a)〜図1(d)において、NAND型フラッシュメモリ装置1が完成すればメモリセル領域Mの複数のゲート電極形成領域GC間におけるゲート電極分離領域GVや周辺回路領域Pのゲート電極形成領域GC周囲には、層間絶縁膜(図示せず)が形成される。しかし、本実施形態の特徴を示すため、図1(a)〜図1(d)にはこれらの絶縁膜が省略されている。
【0012】
これらの図1(a)および図1(b)並びに図1(d)に示すように、メモリセル領域Mにおいては次のように構成されている。半導体基板としてのシリコン基板2には、素子分離領域Sbが図1(d)中のY軸方向(所定方向に相当)に形成されており、この素子分離領域SbがX軸方向(交差方向に相当)に対して所定間隔毎に複数設けられている。素子形成領域Saは、素子分離領域Sbにより区画されており、図1(d)中のY軸方向に対して所定間隔毎に複数設けられている。
【0013】
素子形成領域Saには浮遊ゲート電極FG、制御ゲート電極CG、ソース/ドレイン拡散層3およびゲート絶縁膜としてのゲート酸化膜4が形成されており、これらによりメモリセルトランジスタTrmが構成されている。制御ゲート電極CGは、複数の浮遊ゲート電極FGの上を渡って図1(d)中のX軸方向に対して連続的に形成されている。
【0014】
活性領域AAは、素子形成領域Saに形成されたソース/ドレイン拡散層3およびメモリセルトランジスタTrmのチャネル領域を含む領域を示している。尚、図1(b)に示すように、ソース/ドレイン拡散層3は、隣接するメモリセルトランジスタTrm間で共通に形成されている。すなわち、NAND型フラッシュメモリ装置1のメモリセルアレイArはY軸方向に沿って形成されている。
【0015】
以下、具体的な膜構造について説明する。素子形成領域Saのゲート電極形成領域GCでは、次のように形成されている。シリコン基板2の上にはシリコン酸化膜からなるゲート酸化膜4(第1の絶縁膜、ゲート絶縁膜に相当)、不純物がドープされていない第1の多結晶シリコン層5(導電層)、リン等のn型の不純物がドープされた第2の多結晶シリコン層6(導電層)、ONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜7(第3の絶縁膜、インターポリ絶縁膜、ゲート間絶縁膜に相当)、不純物がドープされた第3の多結晶シリコン層8(本発明の導電層に相当)、タングステンシリサイド膜9(以下WSi膜と称する:低抵抗化金属膜に相当)、シリコン窒化膜10(ゲート加工用パターンに相当)が順に積層されている。
【0016】
尚、第1および第2の多結晶シリコン層5および6は、シリコン基板2の主表面に形成されたゲート酸化膜4を介して図1(d)中のX軸方向に対して複数の素子形成領域Saに対して連なるように複数並設されており、それぞれ浮遊ゲート電極FG(本発明の電極層に相当)を構成している。
【0017】
ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9およびシリコン窒化膜10は、これらの複数の第1および第2の多結晶シリコン層5および6の上をX軸方向に渡って形成されている。ONO膜7は、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜の複合絶縁膜の一種である。尚、ONO膜7に代えてアルマイト系材料を使用しても良い。
【0018】
第3の多結晶シリコン層8およびWSi膜9は、制御ゲート電極CGとして機能する。これらの第3の多結晶シリコン層8およびWSi膜9は、浮遊ゲート電極FGよりも低抵抗となるようにすることが望ましい。尚、WSi膜9に代えて、その他のシリサイド膜であっても良い。シリコン窒化膜10は、WSi膜9の上に形成されておりゲートキャップ膜として機能する。尚、シリコン窒化膜10はシリコン酸化膜に代えて用いても良い。
【0019】
また、ゲート電極分離領域GVは、前述した制御ゲート電極CGおよび浮遊ゲート電極FGをY軸方向に対して複数に分離するための領域であり、ゲート電極形成領域GCに形成されている構造に対して、第1および第2の多結晶シリコン層5および6、ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10が除去された領域を示している。
【0020】
素子形成領域Saのゲート電極分離領域GVでは、シリコン基板2の上にゲート酸化膜4が形成されその上に層間絶縁膜(図示せず)等が形成されるため、図1(d)中のY軸方向に隣接する制御ゲート電極CGを電気的に高抵抗に保持することができると共に、図1(d)中のY軸方向に隣接する浮遊ゲート電極FGを電気的に高抵抗に保持することができる。
【0021】
素子形成領域Saのゲート電極分離領域GVにおいては、シリコン基板2の表層側にソース/ドレイン拡散層3が形成されている。したがって、メモリセルトランジスタTrmは、浮遊ゲート電極FGおよび制御ゲート電極CGと、ゲート酸化膜4と、ソース/ドレイン拡散層3とにより図1(d)中のY軸方向に沿って構成されている。
【0022】
メモリセル領域Mの素子分離領域Sbにおいては、次のように構成されている。すなわち、シリコン基板2には、当該シリコン基板2の主表面内の所定方向(図1(d)中Y軸方向)に沿って所定の深さで素子分離溝11が形成されている。この素子分離溝11の内側には素子分離絶縁膜12が形成されている。この素子分離絶縁膜12は、例えばTEOS(tetra ethoxy silane)膜により形成されており、ゲート電極分離領域GVに形成された第1の電極分離部12aと、ゲート電極形成領域GCに形成された第2の電極分離部12bとからなる。
【0023】
図1(a)および図1(d)に示すように、素子分離絶縁膜12は、その上面が当該素子分離絶縁膜12の両脇に形成されたゲート酸化膜4の上面より高く形成されている。すなわち、素子分離絶縁膜12の上部は、シリコン基板2の主表面から突出している。素子分離絶縁膜12の上面は、素子形成領域Saに形成された第2の多結晶シリコン層6の上面より低く(例えば第1の多結晶シリコン層5の上面より低く)なるように形成されている。第1および第2の電極分離部12aおよび12bは、第1の電極分離部12aの上面が第2の電極分離部12bの上面より低く構成されている。
【0024】
具体的には、素子分離絶縁膜12の第1の電極分離部12aの上面は、ゲート酸化膜4の上面よりも高さZ1(例えば40nm)だけ高く形成されている。また、素子分離絶縁膜12の第1の電極分離部12aの上面は、第2の電極分離部12bの上面よりも高さZ2だけ低く形成されている。
【0025】
メモリセル領域Mの素子分離領域Sbにおいてゲート電極形成領域GCでは、第2の電極分離部12bの上にONO膜7が形成されている。すなわち、図1(d)に示すように、素子分離領域Sbの第2の電極分離部12bおよびONO膜7は、第1および第2の多結晶シリコン層5および6を覆うように形成されている。第2の電極分離部12bおよびONO膜7は、第1および第2の多結晶シリコン層5および6を、隣接する第1および第2の多結晶シリコン層5および6から電気的に高抵抗に保持する。
【0026】
ONO膜7の上には、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10が積層されている。図1(b)に示すように、第2の多結晶シリコン層6、ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10は、その側端面GCaが面一に形成されている。したがって、第2の多結晶シリコン層6、ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10は、図1(d)中のY軸方向に対して同一の所定幅で形成されている。図1(b)に示すように、第1の多結晶シリコン層5は、図1(d)中のY軸方向に対する幅が前述の所定幅よりも狭い形状に形成されており、例えば括れ形状に形成されている。
【0027】
<製造方法について>
以下、本発明に関連するNAND型不揮発性記憶装置1のメモリセル領域Mにおけるゲート電極に係る製造方法について、ゲート先作りプロセス(素子分離領域Sbの形成に先行して浮遊ゲート電極FGを形成するプロセス)の製造方法について説明する。
【0028】
本実施形態に係る製造方法においては、図4中のY軸方向に隣接するゲート電極を分離するときの工程に特徴を備えているため、図4(a)〜図4(d)に示す構造に至るまでの形成工程については概略的に説明を行う。
【0029】
シリコン基板2を熱酸化処理することによりシリコン基板2の主表面上にゲート酸化膜4を形成する。このゲート酸化膜4上に不純物がドープされていない多結晶シリコン層5を形成する。
次に、この第1の多結晶シリコン層5の上にリン等の不純物がドープされた第2の多結晶シリコン層6を形成する。この第2の多結晶シリコン層6の上にCMP(Chemical Mechanical Polish)法のストッパ膜として機能させるためのシリコン窒化膜(図示せず)を形成する。次に、シリコン窒化膜上にレジスト(図示せず)を塗布すると共にパターン形成し、ストッパ膜として機能するシリコン窒化膜、第2の多結晶シリコン層6、第1の多結晶シリコン層5、ゲート酸化膜4、およびシリコン基板2をRIE(Reactive Ion Etching)法により除去し、図4(d)のY軸方向に沿った素子分離溝11を形成する。
【0030】
次に、シリコン基板2の略全面に素子分離絶縁膜12を形成することにより素子分離溝11内に素子分離絶縁膜12を埋め込む。次に、前述のように形成されたシリコン窒化膜をストッパとしてCMP法により素子分離絶縁膜12の上面を平坦化する。次に、素子分離絶縁膜12を第2の多結晶シリコン層6の上面より下方で且つゲート酸化膜4の上面より上方まで除去する。特に、図4(a)〜図4(d)においては、第1の多結晶シリコン層5および第2の多結晶シリコン層6の界面まで素子分離絶縁膜12を除去している。尚、必ずしも素子分離絶縁膜12の上面が第1および第2の多結晶シリコン層5および6の界面に一致する必要はない。次に、ストッパとして形成されたシリコン窒化膜を除去する。
【0031】
次に、ONO膜7を等方的に形成する。このとき、図4(a)に示すように、ONO膜7が、第2の多結晶シリコン層6の上面と側面に形成されると共に素子分離絶縁膜12の上に形成されるようになる。次に、ONO膜7の上に第3の多結晶シリコン層8を形成する。次に、第3の多結晶シリコン層8の上にWSi膜9を形成する。次に、WSi膜9の上にシリコン窒化膜10を形成し、この上にレジスト13を塗布しパターン形成する。図4(b)および図4(d)に示すように、このパターンを形成する領域は、ゲート電極形成領域GCであり、レジスト13はシリコン窒化膜10の上に対してX軸方向に沿ってパターニングされる。シリコン窒化膜10および/またはレジスト13は、ゲート加工用パターンとして形成されている。
次に、パターニングされたレジスト13をマスクとして、シリコン窒化膜10をエッチング除去し、ゲート電極形成領域GCに対してシリコン窒化膜10を残留させるようにゲート電極分離領域GVのシリコン窒化膜10を除去する。これにより、図4(a)〜図4(d)に示す構造を形成することができる。
【0032】
次に、図5(a)〜図5(d)に示すように、レジスト13をマスクとしてWSi膜9をエッチングすることにより、ゲート電極分離領域GVに形成されたWSi膜9を除去する。これにより、WSi膜9が、ゲート電極形成領域GCに残留する。尚、パターニングされたレジスト13をマスクとしてエッチングする実施形態を示すが、この前にレジスト13を除去しシリコン窒化膜10をマスクとして適用しても良い。
【0033】
次に、図6(a)〜図6(d)に示すように、レジスト13をマスクとして第3の多結晶シリコン層8をエッチングすることによりゲート電極分離領域GVに形成された第3の多結晶シリコン層8を除去する。この除去処理により、ゲート電極形成領域GCに対して第3の多結晶シリコン層8を残留させることができる。これにより、Y軸方向に隣接した制御ゲート電極CG(第3の多結晶シリコン層8およびWSi膜9)を構造的に分断できる。
【0034】
次に、図7(a)〜図7(d)に示すように、レジスト13をマスクとしてONO膜7をエッチングすることにより、ゲート電極分離領域GVに形成されたONO膜7を除去する。尚、エッチング条件を調整することにより、前記したゲート電極分離領域GVのONO膜7を除去できると共に、ゲート電極分離領域GVに形成された第2および第3の多結晶シリコン層6および8を除去することができる。この場合、図7に示すように、ゲート電極分離領域GVの第2の多結晶シリコン層6を例えば第1の多結晶シリコン層5との間の界面(付近)まで除去する。
【0035】
次に、図8(a)〜図8(d)に示すように、ゲート電極分離領域GVに形成された素子分離絶縁膜12の上部(第1の電極分離部12aの上部)をエッチングする。このとき、第1の多結晶シリコン層5に対して高選択性を有する条件により第1の電極分離部12aの上側を除去する。すると、第2の電極分離部12bの上面に対して第1の電極分離部12aの上面を低く形成できる。このように、第1の電極分離部12aの上側を除去するのはゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を除去し難いためである。
【0036】
次に、レジスト13を除去した後、図9(a)〜図9(d)に示すように、全面に対して等方的に保護膜14を形成する。この保護膜14は、例えばBSG(Boro-silicate Glass)膜により構成されており膜厚は任意である。
【0037】
次に、図10(a)〜図10(d)に示すように、ゲート電極分離領域GVに形成された保護膜14について、シリコン窒化膜10および第1の多結晶シリコン層5の直上に形成された保護膜14を異方性エッチング法(例えばRIE法)により除去する。
すると、保護膜14が、ゲート電極形成領域GCに形成された第2の多結晶シリコン層6、ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10の側壁(側面)を保護するように残留する。
【0038】
次に、図11(a)〜図11(d)に示すように、ゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を異方性エッチング法(例えばRIE法)により除去する。このように、最初は異方性の強い条件(例えば、RIE法による異方性エッチング)により第2の多結晶シリコン層6をエッチングすることが望ましい。寸法制御が重要なゲート加工においても適用できるためである。
すると、図11(a)〜図11(d)に示すように、素子分離絶縁膜12の第1の電極分離部12aの上面やゲート酸化膜4の上面の一部が露出すると共に第1の多結晶シリコン層5がゲート電極形成領域GCの第2の多結晶シリコン層6の下に残留する。さらに第1の多結晶シリコン層5が保護膜14の外面に沿うように保護膜14の下に残留する。
【0039】
第1の電極分離部12aの上面がゲート酸化膜4の上面よりも高く形成されているため、第1の多結晶シリコン層5が、第1の電極分離部12aの側壁に沿って残留する。
ここで、第1の多結晶シリコン層5が第1の電極分離部12aの側壁に残留したままでは、隣接するゲート電極形成領域GCおよびGC間において第1の多結晶シリコン層5および5間が電気的に導通接続されてしまい不具合の原因となる。また、ゲート酸化膜4を異方性の強い条件(例えばRIE法)によりエッチング処理してしまうと、ゲート酸化膜4のゲート絶縁膜としての信頼性を落とす原因となる場合があるため、第1の電極分離部12aの側壁に残留した第1の多結晶シリコン層5を全て除去するまで異方性の強い条件によりエッチング処理することは避けたほうが良い。
【0040】
そこで次に、図12(a)〜図12(d)に示すように、ゲート電極分離領域GV上の第1の電極分離部12aの側壁に沿って残留した第1の多結晶シリコン層5を、ゲート酸化膜4および素子分離絶縁膜12に対して高選択性を有する条件で等方的にエッチングする。この場合、前述した異方性の強い条件に比較してパワーを低下させてRIE法によりエッチングするか、もしくはCDE(Chemical Dry Etching)法によりエッチングすることが望ましい。これにより、第1の電極分離部12aの側壁に形成された第1の多結晶シリコン層5をほぼ完全に除去できると共に、ゲート酸化膜4に対する悪影響を極力抑制することができる。
【0041】
第1の多結晶シリコン層5をエッチング処理する時点では、第1の電極分離部12aの上面がゲート酸化膜4の上面(形成面)より高くなるように形成されているため、第1の電極分離部12aとゲート酸化膜4との間の界面付近を通じてシリコン基板2に対してエッチング処理による悪影響が与えられなくなり、シリコン基板2の表層付近に対する悪影響を極力抑制できる。
【0042】
またこのとき、図12(b)に示すように、ゲート電極形成領域GC上の第1の多結晶シリコン層5は、その側壁部5a(側部)が第2の多結晶シリコン層6の側端面GCaに沿った面に対してゲート電極形成領域GC側の内方に位置するように除去され、第1の多結晶シリコン層5は、第2の多結晶シリコン層6の幅に対して狭い形状に形成されるようになる。しかし、ゲート電極形成領域GCに形成されたシリコン窒化膜10、WSi膜9、第3の多結晶シリコン層8、ONO膜7、第2の多結晶シリコン層6、の側壁には保護膜14が形成されているため、ゲート電極形成領域GC上の第1の多結晶シリコン層5のエッチング処理時に、第2および第3の多結晶シリコン層6および8、ONO膜7、WSi膜9、シリコン窒化膜10の側端面GCaを保護することができる。特に、WSi膜9の側端面GCaを保護することができるため、制御ゲート電極CGの電気的特性の悪化を抑制することができる。
これらの工程を経て、第1および第2の多結晶シリコン層5および6を浮遊ゲート電極FGとして構成することができる。このような処理は、周辺回路領域Pでも同様に行われる。
【0043】
次に、図1(a)〜図1(d)に示すように、第1ないし第3の多結晶シリコン層5および6ならびに8、ONO膜7、WSi膜9、シリコン窒化膜10の側壁に形成された保護膜14やエッチング処理時に生じた反応生成物をウェットエッチング処理により除去すると共に、ソース/ドレイン拡散層3を形成する。この後の工程については、一般的な工程であるためその詳細説明を省略するが、スペーサ膜(図示せず)の形成工程や、層間絶縁膜(図示せず)の形成工程等を経てNAND型フラッシュメモリ装置1を構成することができる。
【0044】
本実施形態に係る製造方法によれば、ゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を除去する工程の前に、ゲート電極形成領域GCに形成されたシリコン窒化膜10、WSi膜9、第3の多結晶シリコン層8、ONO膜7、第2の多結晶シリコン層6の側壁を保護するための保護膜14を形成している。このため、第1の多結晶シリコン層5をエッチング処理するときに第2および第3の多結晶シリコン層6および8、ONO膜7、WSi膜9、シリコン窒化膜10の側端面GCaを保護することができ機能低下を抑制できる。特に、WSi膜9の側端面GCaを保護することができるため、制御ゲート電極CGの電気的特性の悪化を抑制することができる。
【0045】
最初に第1の多結晶シリコン層5を除去するときには、RIE法により処理しているため、寸法制御がより重要なゲート加工においても適用できるようになる。
素子分離絶縁膜12およびゲート酸化膜4に対して高選択性を有する条件下でRIE法によりエッチング除去した後、さらに素子分離絶縁膜12およびゲート酸化膜4に対して高選択性を有する条件下でCDE法によりエッチング除去した場合には、より信頼性高くデバイス性能を保持できるようになる。
【0046】
ゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を異方性エッチングにより除去した後、さらに等方性エッチングにより除去しているため、第1の電極分離部12aの側壁に残留した第1の多結晶シリコン層5を容易に除去できる。しかも、第1の多結晶シリコン層5を側端面GCaに沿った面のゲート電極形成領域GCの内側まで除去しているため、隣接する浮遊ゲート電極FGおよびFG間が電気的に接続される可能性を極力排除することができる。
【0047】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形もしくは拡張できる。
前述実施形態において、図7(a)〜図7(d)に示す時点では、ゲート電極分離領域GVの第2の多結晶シリコン層6を第1の多結晶シリコン層5との間の界面まで除去する実施形態を示しているが、これに限定されるものではなく、この時点では、エッチング条件を調整することによりゲート電極分離領域GVの第1の多結晶シリコン層5の上部をも除去するようにしても良いし、第2の多結晶シリコン層6の下部を残留させるようにしても良い。
【0048】
第1の多結晶シリコン層5を、異方性エッチング(異方性の強い条件下によるエッチング処理)した後、等方性エッチング(等方性の強い条件下によるエッチング)する実施形態を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、異方性エッチング処理することなく等方性エッチング処理するようにしても良い。
第1の多結晶シリコン層5を第2の多結晶シリコン層6の側端面GCaに沿った面のゲート電極形成領域GCの内側まで除去する実施形態を示したが、これに限定されるものではなく、隣接する浮遊ゲート電極FGおよびFG間を構造的に分断できるように第1および第2の多結晶シリコン層5および6を除去できれば良い。
【0049】
素子分離溝11の形成方向をY軸方向とし、ゲート電極分離領域GVの形成方向をY軸方向に主表面内で直交するX軸方向としたが、これに限定されるものではなく、素子分離溝11の形成方向とゲート電極分離領域GVの形成方法は交差していればどのような角度で形成されていても良い。
NAND型フラッシュメモリ装置1に適用した実施形態を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、その他EEPROMやEPROM、NOR型のフラッシュメモリ装置に適用しても良いし、その他の不揮発性半導体記憶装置、半導体記憶装置、半導体装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態を示す構造図((a)は図3(a)のA−A線に沿う模式的な断面図、(b)は図3(a)のB−B線に沿う模式的な断面図、(c)は図3(b)のC−C線に沿う模式的な断面図、(d)は模式的な斜視図)
【図2】メモリセル領域の回路例を示す図
【図3】模式的な平面図((a)メモリセル領域、(b)周辺回路領域)
【図4】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その1)((a)は図3(a)のA−A線に沿う模式的な断面図、(b)は図3(a)のB−B線に沿う模式的な断面図、(c)は図3(b)のC−C線に沿う模式的な断面図、(d)は模式的な斜視図)
【図5】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その2)
【図6】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その3)
【図7】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その4)
【図8】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その5)
【図9】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その6)
【図10】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その7)
【図11】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その8)
【図12】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その9)
【符号の説明】
【0051】
図面中、1はNAND型フラッシュメモリ装置(半導体装置)、2はシリコン基板(半導体基板)、4はゲート酸化膜(第1の絶縁膜、ゲート絶縁膜)、5は第1の多結晶シリコン層、6は第2の多結晶シリコン層、7はONO膜(第3の絶縁膜、インターポリ絶縁膜)、10はシリコン窒化膜(ゲート加工用パターン)、11は素子分離溝、12は素子分離絶縁膜(第2の絶縁膜)、13はレジスト(ゲート加工用パターン)、14は保護膜、GCはゲート電極形成領域、GCaは側端面、GVはゲート電極分離領域、FGは浮遊ゲート電極(電極層)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子分離領域がゲート電極に対して自己整合的に形成された構造を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の設計ルールの縮小化に伴い、半導体装置は、素子分離領域がゲート電極に対して自己整合的に形成された構造が採用されている。この一例が、NAND型フラッシュメモリ装置として開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1によれば、NAND型フラッシュメモリ装置のメモリセル領域において次のように製造している。半導体基板の主表面にゲート絶縁膜として第1の絶縁膜を形成し、この第1の絶縁膜の上に浮遊ゲート電極として第1の電極層(電極層に相当)を形成する。次に、第1の電極層、第1の絶縁膜および半導体基板を選択的に除去することにより素子分離溝を形成し、この素子分離溝に対して絶縁膜(第2の絶縁膜に相当)を埋込み素子分離絶縁膜として形成する。次に、素子分離絶縁膜の一部を第1の電極層と第1の絶縁膜の中間の高さになるまで素子分離絶縁膜をエッチングする。第1の電極層および素子分離絶縁膜を覆うように全面にインターポリ絶縁膜として第2の絶縁膜(第3の絶縁膜に相当)を形成する。
【0003】
次に、第2の絶縁膜の上に第2の電極層(導電層および低抵抗化金属膜に相当)を形成し、この上にゲート加工用パターンを形成し、このゲート加工用パターンをマスクとして第2の電極層、第2の絶縁膜、第1の電極層を除去する。このとき、素子分離領域に形成された絶縁膜の上部が第1の絶縁膜の上面の高さ近くになるまで予めエッチング処理されているため、第2の絶縁膜の側壁における第1の電極層のエッチング残りを抑えることができゲート電極同士のショートを抑制できるようになる。
【特許文献1】特開2003−78047
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に開示されている製造方法では、第2の絶縁膜の上部を第1の絶縁膜の上面高さ近くになるまでエッチング除去するときには第1および第2の電極層の側壁が露出しているため、エッチング処理時には第1および第2の電極層の電気的特性の悪化が懸念される。特にこれらの電極層に低抵抗化金属膜が含まれている構成になっている場合には特に電気的特性の悪化が懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、電気的特性の悪化を抑制できる半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1の絶縁膜、電極層が順に積層された半導体基板に対して当該半導体基板の主表面の所定方向に沿って形成された第2の絶縁膜を覆うと共に前記電極層を覆うように第3の絶縁膜、導電層、低抵抗化金属膜を順次形成すると共に、前記主表面の所定方向に交差する交差方向に沿った複数のゲート電極形成領域に対してゲート加工用パターンを前記低抵抗化金属膜の上に形成する第1工程と、ゲート加工用パターンをマスクとして隣接したゲート電極形成領域間に挟まれたゲート電極分離領域における低抵抗化金属膜、導電層、第3の絶縁膜、電極層の上部を除去する第2工程と、低抵抗化金属膜、導電層、第3の絶縁膜、電極層を覆うように保護膜を形成する第3工程と、ゲート電極分離領域の電極層の上面に形成された保護膜を除去する第4工程と、ゲート電極分離領域の電極層を除去する第5工程と、保護膜を除去する第6工程とを備えたことを特徴としている。
【0006】
本発明の半導体装置は、半導体基板と、この半導体基板の上にゲート絶縁膜を介して形成された電極層と、この電極層の上に形成されたゲート間絶縁膜と、このゲート間絶縁膜の上に形成された導電層と、この導電層の上に形成された低抵抗化金属膜とを備え、ゲート間絶縁膜、導電層および低抵抗化金属膜は、その側端面が面一に形成されることにより夫々同一の所定幅に形成されており、電極層は、その少なくとも一部が前記所定幅よりも狭い形状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気的特性の悪化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を、NAND型フラッシュメモリ装置およびその製造方法に適用した一実施形態について図1ないし図11を参照しながら説明する。
図3(a)および図3(b)に示すように、半導体装置としてのNAND型フラッシュメモリ装置1は、メモリセル領域Mおよび周辺回路領域Pに区画されている。周辺回路領域Pには、メモリセル領域Mに形成されるメモリセルアレイArを駆動するための周辺回路(図示せず)が形成されている。本実施形態の特徴はメモリセル領域Mの構造および製造方法にあるためメモリセル領域Mの構造を中心に説明する。
【0009】
図2は、メモリセル領域Mにおける回路の一例を概略的に示している。メモリセル領域Mには、多数のNAND型のメモリセルアレイArが形成されている。このメモリセルアレイArは、所謂NANDセルアレイと称されている。各メモリセルアレイArは、ビット線BL側とソースS側にそれぞれ形成された複数の選択ゲートトランジスタTrsと、これらの複数の選択ゲートトランジスタTrs間に直列接続された複数個(例えば8個、16個:2のn乗個(nは正の整数))のメモリセルトランジスタTrmとを備えている。メモリセル領域Mには、これらのメモリセルアレイArが行列状に配列されている。
【0010】
図3(a)は、NAND型フラッシュメモリ装置1のメモリセル領域Mを構成する回路の一部M1の構造について平面図を模式的に示しており、図3(b)は、NAND型フラッシュメモリ装置1の周辺回路領域Pにおける回路の一部の平面図を模式的に示している。また、図1(a)は、図3(a)のA−A線に沿う模式的な断面図、図1(b)は、図3(a)のB−B線に沿う模式的な断面図、図1(c)は、図3(b)のC−C線に沿う模式的な断面図を示している。また、図1(d)は、ゲート電極形成領域GCとゲート電極分離領域GVにおける構造を斜視図により示している。尚、図3(a)および図3(b)中、AAは活性領域を示している。尚、図中、X軸、Y軸、Z軸は、互いに例えば直交交差する軸を示しており、シリコン基板2の主表面はXY軸方向の面に対応している。
【0011】
尚、図1(a)〜図1(d)は、本実施形態の特徴部分について模式的に示している。これらの図1(a)〜図1(d)において、NAND型フラッシュメモリ装置1が完成すればメモリセル領域Mの複数のゲート電極形成領域GC間におけるゲート電極分離領域GVや周辺回路領域Pのゲート電極形成領域GC周囲には、層間絶縁膜(図示せず)が形成される。しかし、本実施形態の特徴を示すため、図1(a)〜図1(d)にはこれらの絶縁膜が省略されている。
【0012】
これらの図1(a)および図1(b)並びに図1(d)に示すように、メモリセル領域Mにおいては次のように構成されている。半導体基板としてのシリコン基板2には、素子分離領域Sbが図1(d)中のY軸方向(所定方向に相当)に形成されており、この素子分離領域SbがX軸方向(交差方向に相当)に対して所定間隔毎に複数設けられている。素子形成領域Saは、素子分離領域Sbにより区画されており、図1(d)中のY軸方向に対して所定間隔毎に複数設けられている。
【0013】
素子形成領域Saには浮遊ゲート電極FG、制御ゲート電極CG、ソース/ドレイン拡散層3およびゲート絶縁膜としてのゲート酸化膜4が形成されており、これらによりメモリセルトランジスタTrmが構成されている。制御ゲート電極CGは、複数の浮遊ゲート電極FGの上を渡って図1(d)中のX軸方向に対して連続的に形成されている。
【0014】
活性領域AAは、素子形成領域Saに形成されたソース/ドレイン拡散層3およびメモリセルトランジスタTrmのチャネル領域を含む領域を示している。尚、図1(b)に示すように、ソース/ドレイン拡散層3は、隣接するメモリセルトランジスタTrm間で共通に形成されている。すなわち、NAND型フラッシュメモリ装置1のメモリセルアレイArはY軸方向に沿って形成されている。
【0015】
以下、具体的な膜構造について説明する。素子形成領域Saのゲート電極形成領域GCでは、次のように形成されている。シリコン基板2の上にはシリコン酸化膜からなるゲート酸化膜4(第1の絶縁膜、ゲート絶縁膜に相当)、不純物がドープされていない第1の多結晶シリコン層5(導電層)、リン等のn型の不純物がドープされた第2の多結晶シリコン層6(導電層)、ONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜7(第3の絶縁膜、インターポリ絶縁膜、ゲート間絶縁膜に相当)、不純物がドープされた第3の多結晶シリコン層8(本発明の導電層に相当)、タングステンシリサイド膜9(以下WSi膜と称する:低抵抗化金属膜に相当)、シリコン窒化膜10(ゲート加工用パターンに相当)が順に積層されている。
【0016】
尚、第1および第2の多結晶シリコン層5および6は、シリコン基板2の主表面に形成されたゲート酸化膜4を介して図1(d)中のX軸方向に対して複数の素子形成領域Saに対して連なるように複数並設されており、それぞれ浮遊ゲート電極FG(本発明の電極層に相当)を構成している。
【0017】
ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9およびシリコン窒化膜10は、これらの複数の第1および第2の多結晶シリコン層5および6の上をX軸方向に渡って形成されている。ONO膜7は、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜の複合絶縁膜の一種である。尚、ONO膜7に代えてアルマイト系材料を使用しても良い。
【0018】
第3の多結晶シリコン層8およびWSi膜9は、制御ゲート電極CGとして機能する。これらの第3の多結晶シリコン層8およびWSi膜9は、浮遊ゲート電極FGよりも低抵抗となるようにすることが望ましい。尚、WSi膜9に代えて、その他のシリサイド膜であっても良い。シリコン窒化膜10は、WSi膜9の上に形成されておりゲートキャップ膜として機能する。尚、シリコン窒化膜10はシリコン酸化膜に代えて用いても良い。
【0019】
また、ゲート電極分離領域GVは、前述した制御ゲート電極CGおよび浮遊ゲート電極FGをY軸方向に対して複数に分離するための領域であり、ゲート電極形成領域GCに形成されている構造に対して、第1および第2の多結晶シリコン層5および6、ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10が除去された領域を示している。
【0020】
素子形成領域Saのゲート電極分離領域GVでは、シリコン基板2の上にゲート酸化膜4が形成されその上に層間絶縁膜(図示せず)等が形成されるため、図1(d)中のY軸方向に隣接する制御ゲート電極CGを電気的に高抵抗に保持することができると共に、図1(d)中のY軸方向に隣接する浮遊ゲート電極FGを電気的に高抵抗に保持することができる。
【0021】
素子形成領域Saのゲート電極分離領域GVにおいては、シリコン基板2の表層側にソース/ドレイン拡散層3が形成されている。したがって、メモリセルトランジスタTrmは、浮遊ゲート電極FGおよび制御ゲート電極CGと、ゲート酸化膜4と、ソース/ドレイン拡散層3とにより図1(d)中のY軸方向に沿って構成されている。
【0022】
メモリセル領域Mの素子分離領域Sbにおいては、次のように構成されている。すなわち、シリコン基板2には、当該シリコン基板2の主表面内の所定方向(図1(d)中Y軸方向)に沿って所定の深さで素子分離溝11が形成されている。この素子分離溝11の内側には素子分離絶縁膜12が形成されている。この素子分離絶縁膜12は、例えばTEOS(tetra ethoxy silane)膜により形成されており、ゲート電極分離領域GVに形成された第1の電極分離部12aと、ゲート電極形成領域GCに形成された第2の電極分離部12bとからなる。
【0023】
図1(a)および図1(d)に示すように、素子分離絶縁膜12は、その上面が当該素子分離絶縁膜12の両脇に形成されたゲート酸化膜4の上面より高く形成されている。すなわち、素子分離絶縁膜12の上部は、シリコン基板2の主表面から突出している。素子分離絶縁膜12の上面は、素子形成領域Saに形成された第2の多結晶シリコン層6の上面より低く(例えば第1の多結晶シリコン層5の上面より低く)なるように形成されている。第1および第2の電極分離部12aおよび12bは、第1の電極分離部12aの上面が第2の電極分離部12bの上面より低く構成されている。
【0024】
具体的には、素子分離絶縁膜12の第1の電極分離部12aの上面は、ゲート酸化膜4の上面よりも高さZ1(例えば40nm)だけ高く形成されている。また、素子分離絶縁膜12の第1の電極分離部12aの上面は、第2の電極分離部12bの上面よりも高さZ2だけ低く形成されている。
【0025】
メモリセル領域Mの素子分離領域Sbにおいてゲート電極形成領域GCでは、第2の電極分離部12bの上にONO膜7が形成されている。すなわち、図1(d)に示すように、素子分離領域Sbの第2の電極分離部12bおよびONO膜7は、第1および第2の多結晶シリコン層5および6を覆うように形成されている。第2の電極分離部12bおよびONO膜7は、第1および第2の多結晶シリコン層5および6を、隣接する第1および第2の多結晶シリコン層5および6から電気的に高抵抗に保持する。
【0026】
ONO膜7の上には、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10が積層されている。図1(b)に示すように、第2の多結晶シリコン層6、ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10は、その側端面GCaが面一に形成されている。したがって、第2の多結晶シリコン層6、ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10は、図1(d)中のY軸方向に対して同一の所定幅で形成されている。図1(b)に示すように、第1の多結晶シリコン層5は、図1(d)中のY軸方向に対する幅が前述の所定幅よりも狭い形状に形成されており、例えば括れ形状に形成されている。
【0027】
<製造方法について>
以下、本発明に関連するNAND型不揮発性記憶装置1のメモリセル領域Mにおけるゲート電極に係る製造方法について、ゲート先作りプロセス(素子分離領域Sbの形成に先行して浮遊ゲート電極FGを形成するプロセス)の製造方法について説明する。
【0028】
本実施形態に係る製造方法においては、図4中のY軸方向に隣接するゲート電極を分離するときの工程に特徴を備えているため、図4(a)〜図4(d)に示す構造に至るまでの形成工程については概略的に説明を行う。
【0029】
シリコン基板2を熱酸化処理することによりシリコン基板2の主表面上にゲート酸化膜4を形成する。このゲート酸化膜4上に不純物がドープされていない多結晶シリコン層5を形成する。
次に、この第1の多結晶シリコン層5の上にリン等の不純物がドープされた第2の多結晶シリコン層6を形成する。この第2の多結晶シリコン層6の上にCMP(Chemical Mechanical Polish)法のストッパ膜として機能させるためのシリコン窒化膜(図示せず)を形成する。次に、シリコン窒化膜上にレジスト(図示せず)を塗布すると共にパターン形成し、ストッパ膜として機能するシリコン窒化膜、第2の多結晶シリコン層6、第1の多結晶シリコン層5、ゲート酸化膜4、およびシリコン基板2をRIE(Reactive Ion Etching)法により除去し、図4(d)のY軸方向に沿った素子分離溝11を形成する。
【0030】
次に、シリコン基板2の略全面に素子分離絶縁膜12を形成することにより素子分離溝11内に素子分離絶縁膜12を埋め込む。次に、前述のように形成されたシリコン窒化膜をストッパとしてCMP法により素子分離絶縁膜12の上面を平坦化する。次に、素子分離絶縁膜12を第2の多結晶シリコン層6の上面より下方で且つゲート酸化膜4の上面より上方まで除去する。特に、図4(a)〜図4(d)においては、第1の多結晶シリコン層5および第2の多結晶シリコン層6の界面まで素子分離絶縁膜12を除去している。尚、必ずしも素子分離絶縁膜12の上面が第1および第2の多結晶シリコン層5および6の界面に一致する必要はない。次に、ストッパとして形成されたシリコン窒化膜を除去する。
【0031】
次に、ONO膜7を等方的に形成する。このとき、図4(a)に示すように、ONO膜7が、第2の多結晶シリコン層6の上面と側面に形成されると共に素子分離絶縁膜12の上に形成されるようになる。次に、ONO膜7の上に第3の多結晶シリコン層8を形成する。次に、第3の多結晶シリコン層8の上にWSi膜9を形成する。次に、WSi膜9の上にシリコン窒化膜10を形成し、この上にレジスト13を塗布しパターン形成する。図4(b)および図4(d)に示すように、このパターンを形成する領域は、ゲート電極形成領域GCであり、レジスト13はシリコン窒化膜10の上に対してX軸方向に沿ってパターニングされる。シリコン窒化膜10および/またはレジスト13は、ゲート加工用パターンとして形成されている。
次に、パターニングされたレジスト13をマスクとして、シリコン窒化膜10をエッチング除去し、ゲート電極形成領域GCに対してシリコン窒化膜10を残留させるようにゲート電極分離領域GVのシリコン窒化膜10を除去する。これにより、図4(a)〜図4(d)に示す構造を形成することができる。
【0032】
次に、図5(a)〜図5(d)に示すように、レジスト13をマスクとしてWSi膜9をエッチングすることにより、ゲート電極分離領域GVに形成されたWSi膜9を除去する。これにより、WSi膜9が、ゲート電極形成領域GCに残留する。尚、パターニングされたレジスト13をマスクとしてエッチングする実施形態を示すが、この前にレジスト13を除去しシリコン窒化膜10をマスクとして適用しても良い。
【0033】
次に、図6(a)〜図6(d)に示すように、レジスト13をマスクとして第3の多結晶シリコン層8をエッチングすることによりゲート電極分離領域GVに形成された第3の多結晶シリコン層8を除去する。この除去処理により、ゲート電極形成領域GCに対して第3の多結晶シリコン層8を残留させることができる。これにより、Y軸方向に隣接した制御ゲート電極CG(第3の多結晶シリコン層8およびWSi膜9)を構造的に分断できる。
【0034】
次に、図7(a)〜図7(d)に示すように、レジスト13をマスクとしてONO膜7をエッチングすることにより、ゲート電極分離領域GVに形成されたONO膜7を除去する。尚、エッチング条件を調整することにより、前記したゲート電極分離領域GVのONO膜7を除去できると共に、ゲート電極分離領域GVに形成された第2および第3の多結晶シリコン層6および8を除去することができる。この場合、図7に示すように、ゲート電極分離領域GVの第2の多結晶シリコン層6を例えば第1の多結晶シリコン層5との間の界面(付近)まで除去する。
【0035】
次に、図8(a)〜図8(d)に示すように、ゲート電極分離領域GVに形成された素子分離絶縁膜12の上部(第1の電極分離部12aの上部)をエッチングする。このとき、第1の多結晶シリコン層5に対して高選択性を有する条件により第1の電極分離部12aの上側を除去する。すると、第2の電極分離部12bの上面に対して第1の電極分離部12aの上面を低く形成できる。このように、第1の電極分離部12aの上側を除去するのはゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を除去し難いためである。
【0036】
次に、レジスト13を除去した後、図9(a)〜図9(d)に示すように、全面に対して等方的に保護膜14を形成する。この保護膜14は、例えばBSG(Boro-silicate Glass)膜により構成されており膜厚は任意である。
【0037】
次に、図10(a)〜図10(d)に示すように、ゲート電極分離領域GVに形成された保護膜14について、シリコン窒化膜10および第1の多結晶シリコン層5の直上に形成された保護膜14を異方性エッチング法(例えばRIE法)により除去する。
すると、保護膜14が、ゲート電極形成領域GCに形成された第2の多結晶シリコン層6、ONO膜7、第3の多結晶シリコン層8、WSi膜9、シリコン窒化膜10の側壁(側面)を保護するように残留する。
【0038】
次に、図11(a)〜図11(d)に示すように、ゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を異方性エッチング法(例えばRIE法)により除去する。このように、最初は異方性の強い条件(例えば、RIE法による異方性エッチング)により第2の多結晶シリコン層6をエッチングすることが望ましい。寸法制御が重要なゲート加工においても適用できるためである。
すると、図11(a)〜図11(d)に示すように、素子分離絶縁膜12の第1の電極分離部12aの上面やゲート酸化膜4の上面の一部が露出すると共に第1の多結晶シリコン層5がゲート電極形成領域GCの第2の多結晶シリコン層6の下に残留する。さらに第1の多結晶シリコン層5が保護膜14の外面に沿うように保護膜14の下に残留する。
【0039】
第1の電極分離部12aの上面がゲート酸化膜4の上面よりも高く形成されているため、第1の多結晶シリコン層5が、第1の電極分離部12aの側壁に沿って残留する。
ここで、第1の多結晶シリコン層5が第1の電極分離部12aの側壁に残留したままでは、隣接するゲート電極形成領域GCおよびGC間において第1の多結晶シリコン層5および5間が電気的に導通接続されてしまい不具合の原因となる。また、ゲート酸化膜4を異方性の強い条件(例えばRIE法)によりエッチング処理してしまうと、ゲート酸化膜4のゲート絶縁膜としての信頼性を落とす原因となる場合があるため、第1の電極分離部12aの側壁に残留した第1の多結晶シリコン層5を全て除去するまで異方性の強い条件によりエッチング処理することは避けたほうが良い。
【0040】
そこで次に、図12(a)〜図12(d)に示すように、ゲート電極分離領域GV上の第1の電極分離部12aの側壁に沿って残留した第1の多結晶シリコン層5を、ゲート酸化膜4および素子分離絶縁膜12に対して高選択性を有する条件で等方的にエッチングする。この場合、前述した異方性の強い条件に比較してパワーを低下させてRIE法によりエッチングするか、もしくはCDE(Chemical Dry Etching)法によりエッチングすることが望ましい。これにより、第1の電極分離部12aの側壁に形成された第1の多結晶シリコン層5をほぼ完全に除去できると共に、ゲート酸化膜4に対する悪影響を極力抑制することができる。
【0041】
第1の多結晶シリコン層5をエッチング処理する時点では、第1の電極分離部12aの上面がゲート酸化膜4の上面(形成面)より高くなるように形成されているため、第1の電極分離部12aとゲート酸化膜4との間の界面付近を通じてシリコン基板2に対してエッチング処理による悪影響が与えられなくなり、シリコン基板2の表層付近に対する悪影響を極力抑制できる。
【0042】
またこのとき、図12(b)に示すように、ゲート電極形成領域GC上の第1の多結晶シリコン層5は、その側壁部5a(側部)が第2の多結晶シリコン層6の側端面GCaに沿った面に対してゲート電極形成領域GC側の内方に位置するように除去され、第1の多結晶シリコン層5は、第2の多結晶シリコン層6の幅に対して狭い形状に形成されるようになる。しかし、ゲート電極形成領域GCに形成されたシリコン窒化膜10、WSi膜9、第3の多結晶シリコン層8、ONO膜7、第2の多結晶シリコン層6、の側壁には保護膜14が形成されているため、ゲート電極形成領域GC上の第1の多結晶シリコン層5のエッチング処理時に、第2および第3の多結晶シリコン層6および8、ONO膜7、WSi膜9、シリコン窒化膜10の側端面GCaを保護することができる。特に、WSi膜9の側端面GCaを保護することができるため、制御ゲート電極CGの電気的特性の悪化を抑制することができる。
これらの工程を経て、第1および第2の多結晶シリコン層5および6を浮遊ゲート電極FGとして構成することができる。このような処理は、周辺回路領域Pでも同様に行われる。
【0043】
次に、図1(a)〜図1(d)に示すように、第1ないし第3の多結晶シリコン層5および6ならびに8、ONO膜7、WSi膜9、シリコン窒化膜10の側壁に形成された保護膜14やエッチング処理時に生じた反応生成物をウェットエッチング処理により除去すると共に、ソース/ドレイン拡散層3を形成する。この後の工程については、一般的な工程であるためその詳細説明を省略するが、スペーサ膜(図示せず)の形成工程や、層間絶縁膜(図示せず)の形成工程等を経てNAND型フラッシュメモリ装置1を構成することができる。
【0044】
本実施形態に係る製造方法によれば、ゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を除去する工程の前に、ゲート電極形成領域GCに形成されたシリコン窒化膜10、WSi膜9、第3の多結晶シリコン層8、ONO膜7、第2の多結晶シリコン層6の側壁を保護するための保護膜14を形成している。このため、第1の多結晶シリコン層5をエッチング処理するときに第2および第3の多結晶シリコン層6および8、ONO膜7、WSi膜9、シリコン窒化膜10の側端面GCaを保護することができ機能低下を抑制できる。特に、WSi膜9の側端面GCaを保護することができるため、制御ゲート電極CGの電気的特性の悪化を抑制することができる。
【0045】
最初に第1の多結晶シリコン層5を除去するときには、RIE法により処理しているため、寸法制御がより重要なゲート加工においても適用できるようになる。
素子分離絶縁膜12およびゲート酸化膜4に対して高選択性を有する条件下でRIE法によりエッチング除去した後、さらに素子分離絶縁膜12およびゲート酸化膜4に対して高選択性を有する条件下でCDE法によりエッチング除去した場合には、より信頼性高くデバイス性能を保持できるようになる。
【0046】
ゲート電極分離領域GVに形成された第1の多結晶シリコン層5を異方性エッチングにより除去した後、さらに等方性エッチングにより除去しているため、第1の電極分離部12aの側壁に残留した第1の多結晶シリコン層5を容易に除去できる。しかも、第1の多結晶シリコン層5を側端面GCaに沿った面のゲート電極形成領域GCの内側まで除去しているため、隣接する浮遊ゲート電極FGおよびFG間が電気的に接続される可能性を極力排除することができる。
【0047】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形もしくは拡張できる。
前述実施形態において、図7(a)〜図7(d)に示す時点では、ゲート電極分離領域GVの第2の多結晶シリコン層6を第1の多結晶シリコン層5との間の界面まで除去する実施形態を示しているが、これに限定されるものではなく、この時点では、エッチング条件を調整することによりゲート電極分離領域GVの第1の多結晶シリコン層5の上部をも除去するようにしても良いし、第2の多結晶シリコン層6の下部を残留させるようにしても良い。
【0048】
第1の多結晶シリコン層5を、異方性エッチング(異方性の強い条件下によるエッチング処理)した後、等方性エッチング(等方性の強い条件下によるエッチング)する実施形態を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、異方性エッチング処理することなく等方性エッチング処理するようにしても良い。
第1の多結晶シリコン層5を第2の多結晶シリコン層6の側端面GCaに沿った面のゲート電極形成領域GCの内側まで除去する実施形態を示したが、これに限定されるものではなく、隣接する浮遊ゲート電極FGおよびFG間を構造的に分断できるように第1および第2の多結晶シリコン層5および6を除去できれば良い。
【0049】
素子分離溝11の形成方向をY軸方向とし、ゲート電極分離領域GVの形成方向をY軸方向に主表面内で直交するX軸方向としたが、これに限定されるものではなく、素子分離溝11の形成方向とゲート電極分離領域GVの形成方法は交差していればどのような角度で形成されていても良い。
NAND型フラッシュメモリ装置1に適用した実施形態を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、その他EEPROMやEPROM、NOR型のフラッシュメモリ装置に適用しても良いし、その他の不揮発性半導体記憶装置、半導体記憶装置、半導体装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態を示す構造図((a)は図3(a)のA−A線に沿う模式的な断面図、(b)は図3(a)のB−B線に沿う模式的な断面図、(c)は図3(b)のC−C線に沿う模式的な断面図、(d)は模式的な斜視図)
【図2】メモリセル領域の回路例を示す図
【図3】模式的な平面図((a)メモリセル領域、(b)周辺回路領域)
【図4】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その1)((a)は図3(a)のA−A線に沿う模式的な断面図、(b)は図3(a)のB−B線に沿う模式的な断面図、(c)は図3(b)のC−C線に沿う模式的な断面図、(d)は模式的な斜視図)
【図5】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その2)
【図6】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その3)
【図7】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その4)
【図8】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その5)
【図9】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その6)
【図10】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その7)
【図11】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その8)
【図12】(a)〜(d)は一製造工程を模式的に示す図(その9)
【符号の説明】
【0051】
図面中、1はNAND型フラッシュメモリ装置(半導体装置)、2はシリコン基板(半導体基板)、4はゲート酸化膜(第1の絶縁膜、ゲート絶縁膜)、5は第1の多結晶シリコン層、6は第2の多結晶シリコン層、7はONO膜(第3の絶縁膜、インターポリ絶縁膜)、10はシリコン窒化膜(ゲート加工用パターン)、11は素子分離溝、12は素子分離絶縁膜(第2の絶縁膜)、13はレジスト(ゲート加工用パターン)、14は保護膜、GCはゲート電極形成領域、GCaは側端面、GVはゲート電極分離領域、FGは浮遊ゲート電極(電極層)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁膜、電極層が順に積層された半導体基板に対して当該半導体基板の主表面の所定方向に沿って形成された第2の絶縁膜を覆うと共に前記電極層を覆うように第3の絶縁膜、導電層、低抵抗化金属膜を順次形成すると共に、前記主表面の所定方向に交差する交差方向に沿った複数のゲート電極形成領域に対してゲート加工用パターンを前記低抵抗化金属膜の上に形成する第1工程と、
前記ゲート加工用パターンをマスクとして隣接したゲート電極形成領域間に挟まれたゲート電極分離領域における前記低抵抗化金属膜、前記導電層、前記第3の絶縁膜、前記電極層の上部を除去する第2工程と、
この第2工程により露出した前記低抵抗化金属膜、前記導電層、前記第3の絶縁膜、前記電極層の表面を覆うように保護膜を形成する第3工程と、
前記ゲート電極分離領域上の前記電極層の上面に形成された保護膜を除去する第4工程と、
この第4工程により露出した前記ゲート電極分離領域上の前記電極層を除去する第5工程と、
残存する前記保護膜を除去する第6工程とを備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第5工程では、異方性の強い条件下で処理を行いその後等方性の強い条件においてエッチング処理することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第5工程では、前記第1および第2の絶縁膜に対して高選択性を有する条件下で前記電極層をRIE法によりエッチングした後、前記第1および第2の絶縁膜に対して高選択性を有する条件下で前記電極層をCDE法によりエッチングすることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板と、
この半導体基板の上にゲート絶縁膜を介して形成された電極層と、
この電極層の上に形成されたゲート間絶縁膜と、
このゲート間絶縁膜の上に形成された導電層と、
この導電層の上に形成された低抵抗化金属膜とを備え、
前記ゲート間絶縁膜、前記導電層および前記低抵抗化金属膜は、その側端面が面一に形成されることにより夫々同一の所定幅に形成されており、
前記電極層は、その少なくとも一部が前記所定幅よりも狭い形状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
第1の絶縁膜、電極層が順に積層された半導体基板に対して当該半導体基板の主表面の所定方向に沿って形成された第2の絶縁膜を覆うと共に前記電極層を覆うように第3の絶縁膜、導電層、低抵抗化金属膜を順次形成すると共に、前記主表面の所定方向に交差する交差方向に沿った複数のゲート電極形成領域に対してゲート加工用パターンを前記低抵抗化金属膜の上に形成する第1工程と、
前記ゲート加工用パターンをマスクとして隣接したゲート電極形成領域間に挟まれたゲート電極分離領域における前記低抵抗化金属膜、前記導電層、前記第3の絶縁膜、前記電極層の上部を除去する第2工程と、
この第2工程により露出した前記低抵抗化金属膜、前記導電層、前記第3の絶縁膜、前記電極層の表面を覆うように保護膜を形成する第3工程と、
前記ゲート電極分離領域上の前記電極層の上面に形成された保護膜を除去する第4工程と、
この第4工程により露出した前記ゲート電極分離領域上の前記電極層を除去する第5工程と、
残存する前記保護膜を除去する第6工程とを備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第5工程では、異方性の強い条件下で処理を行いその後等方性の強い条件においてエッチング処理することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第5工程では、前記第1および第2の絶縁膜に対して高選択性を有する条件下で前記電極層をRIE法によりエッチングした後、前記第1および第2の絶縁膜に対して高選択性を有する条件下で前記電極層をCDE法によりエッチングすることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板と、
この半導体基板の上にゲート絶縁膜を介して形成された電極層と、
この電極層の上に形成されたゲート間絶縁膜と、
このゲート間絶縁膜の上に形成された導電層と、
この導電層の上に形成された低抵抗化金属膜とを備え、
前記ゲート間絶縁膜、前記導電層および前記低抵抗化金属膜は、その側端面が面一に形成されることにより夫々同一の所定幅に形成されており、
前記電極層は、その少なくとも一部が前記所定幅よりも狭い形状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−310600(P2006−310600A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132161(P2005−132161)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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