半導体装置およびその製造方法
【課題】高誘電率ゲート絶縁膜およびメタルゲート電極を備えたCMISFETの性能を向上させる。
【解決手段】nチャネル型MISFETQnは、半導体基板1のp型ウエルPWの表面上に、ゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜3aを介して形成されたゲート電極GE1を有し、pチャネル型MISFETQpは、n型ウエルNWの表面上に、ゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜3bを介して形成されたゲート電極GE2を有している。ゲート電極GE1,GE2は、金属膜7とその上のシリコン膜8との積層構造を有している。Hf含有絶縁膜3aは、Hfと希土類元素とSiとOとNとからなる絶縁材料膜またはHfと希土類元素とSiとOとからなる絶縁材料膜であり、Hf含有絶縁膜3bは、HfとAlとOとNとからなる絶縁材料膜またはHfとAlとOとからなる絶縁材料膜である。
【解決手段】nチャネル型MISFETQnは、半導体基板1のp型ウエルPWの表面上に、ゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜3aを介して形成されたゲート電極GE1を有し、pチャネル型MISFETQpは、n型ウエルNWの表面上に、ゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜3bを介して形成されたゲート電極GE2を有している。ゲート電極GE1,GE2は、金属膜7とその上のシリコン膜8との積層構造を有している。Hf含有絶縁膜3aは、Hfと希土類元素とSiとOとNとからなる絶縁材料膜またはHfと希土類元素とSiとOとからなる絶縁材料膜であり、Hf含有絶縁膜3bは、HfとAlとOとNとからなる絶縁材料膜またはHfとAlとOとからなる絶縁材料膜である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、高誘電率ゲート絶縁膜およびメタルゲート電極を有するCMISFETを備えた半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、イオン注入などによりソース・ドレイン領域を形成することで、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を形成することができる。
【0003】
また、CMISFET(Complementary MISFET)においては、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方において低いしきい値電圧を実現するために、互いに異なる仕事関数(ポリシリコンの場合フェルミ準位)を有する材料を使用してゲート電極を形成する、いわゆるデュアルゲート化が行われている。つまり、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETのゲート電極を形成しているポリシリコン膜に対して、それぞれn型不純物とp型不純物を導入することにより、nチャネル型MISFETのゲート電極材料の仕事関数(フェルミ準位)をシリコンの伝導帯近傍にするとともにpチャネル型MISFETのゲート電極材料の仕事関数(フェルミ準位)をシリコンの価電子帯近傍にして、しきい値電圧の低下を図っている。
【0004】
しかしながら、近年、CMISFET素子の微細化に伴いゲート絶縁膜の薄膜化が進み、ポリシリコン膜をゲート電極に使用した場合におけるゲート電極の空乏化の影響が無視できなくなってきている。このため、ゲート電極としてメタルゲート電極を用いてゲート電極の空乏化現象を抑制する技術がある。
【0005】
また、CMISFET素子の微細化に伴いゲート絶縁膜の薄膜化が進み、薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。このため、ゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料(高誘電率材料)を使用することにより、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることで、リーク電流を低減する技術がある。
【0006】
特開2004−296536号公報(特許文献1)には、高誘電体ゲート絶縁膜を、シリコン基板側から、窒素高濃度層、窒素低濃度層および窒素高濃度層がこの順で積層した構造とする技術が記載されている。
【0007】
特開2005−64317号公報(特許文献2)には、シリコン基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極とを有する半導体装置において、ゲート絶縁膜が第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜の上に形成された第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜の上に形成された金属酸窒化膜とからなり、この金属酸窒化膜をAlON膜およびHfON膜のいずれか一方とする技術が記載されている。
【0008】
特開2008−306051号公報(特許文献3)には、対称フラットバンド電圧、同一ゲート電極材料かつ高誘電率誘電体層を有するCMISFETに関する技術が記載されている。
【0009】
非特許文献1には、高誘電率膜上のLa2O3キャップ層に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−296536号公報
【特許文献2】特開2005−64317号公報
【特許文献3】特開2008−306051号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】T. Kawahara、外12名,“Application of PVD-La2O3 with Å-scale Contorollability to Metal/Cap/High-k Gate Stacks”,「IWDTF−08」,(日本),2008年,p.37−38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0013】
メタルゲート電極を用いた場合、ゲート電極の空乏化の問題は解決できるが、ポリシリコンゲート電極を用いた場合に比べて、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの両方でしきい値電圧の絶対値が大きくなってしまう。このため、メタルゲート電極を適用する場合には、低しきい値化(しきい値電圧の絶対値の低下)を図ることが望まれる。しかしながら、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETとでメタルゲート電極とゲート絶縁膜の構成が同じであれば、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの一方の低しきい値化を図ると、他方は逆に高しきい値化してしまう。
【0014】
このため、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのそれぞれのしきい値電圧を独立に制御可能とすることが望まれるが、そのためには、nチャネル型MISFETのメタルゲート電極とpチャネル型MISFETのメタルゲート電極とに、異なるメタルゲート電極材料を選択することが考えられる。しかしながら、nチャネル型MISFETのメタルゲート電極とpチャネル型MISFETのメタルゲート電極とに異なるメタルゲート電極材料を使用することは、半導体装置の製造工程(ゲート電極形成工程)を煩雑化してしまうため、半導体装置のスループットの低下や半導体装置の製造コストの増大を招いてしまう。
【0015】
そこで、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのそれぞれのしきい値電圧を独立に制御可能とするために、nチャネル型MISFETのゲート絶縁膜とpチャネル型MISFETのゲート絶縁膜とに異なる絶縁材料を選択することが有効である。
【0016】
ゲート絶縁膜用の高誘電率膜(High−k膜)として、Hfを含有する高誘電率膜であるHf系ゲート絶縁膜が優れているが、nチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特に好ましくはランタン)を導入すると、nチャネル型MISFETを低しきい値化することができる。また、pチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜にアルミニウムを導入すると、pチャネル型MISFETを低しきい値化することができる。このため、nチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特にランタン)を選択的に導入し、pチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜にアルミニウムを選択的に導入することにより、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方を低しきい値化することができる。
【0017】
しかしながら、単に、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜に希土類元素を選択的に導入し、pチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜にアルミニウムを選択的に導入した場合には、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETとでゲート絶縁膜のEOT(Equivalent Oxide Thickness:等価酸化膜厚)に大きな差がついてしまうことが、本発明者の検討により分かった。例えば、HfSiON膜にLaを選択的に導入したHfLaSiON膜に比べて、HfSiON膜にAlを選択的に導入したHfAlSiON膜は、比誘電率が小さいことから、EOTが大きくなってしまうのである。
【0018】
HfSiON膜のようなSiを含有するHf系ゲート絶縁膜よりも、HfON膜のようなSiを含有しないHf系ゲート絶縁膜の方が、比誘電率が高いため、Hf系ゲート絶縁膜のEOT低減を図るためには、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜を用いることが有効である。しかしながら、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜において、Laのような希土類元素が導入されてHfLaON膜などになっていると、LaとHfとの結合力が弱いことに起因して、不具合が生じる虞があることが本発明者の検討により分かった。例えば、ゲート電極を加工する際のドライエッチングや、その後にゲート電極で覆われていない部分のゲート絶縁膜をウェットエッチングする際に、HfLaON膜からLaOが容易に乖離または溶出してしまい、異物生成やゲート電極の側壁からゲート絶縁膜であるHfLaON膜が後退してしまうなどの不具合を生じる虞がある。これは、半導体装置の性能を低下させてしまう。また、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜にLaを導入して低しきい値化を図るには、LaがHf系ゲート絶縁膜中を基板方向に十分に拡散していることが好ましいが、HfLaSiO膜に比べてHfLaON膜では、LaとHfとの結合力が弱いことに起因してLaが拡散しにくくなる。このため、HfLaSiO膜をゲート絶縁膜に用いたnチャネル型MISFETに比べて、HfLaON膜をゲート絶縁膜に用いたnチャネル型MISFETは、Laを導入したことによる低しきい値化の効果が小さく、しきい値電圧の絶対値が大きくなってしまう。これも、半導体装置の性能を低下させてしまう。
【0019】
本発明の目的は、高誘電率ゲート絶縁膜とメタルゲート電極を有するCMISFETを備えた半導体装置において、性能向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0020】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0022】
代表的な実施の形態による半導体装置は、nチャネル型の第1MISFETとpチャネル型の第2MISFETを備え、前記第1MISFETは、半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1メタルゲート電極を有し、前記第2MISFETは、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2メタルゲート電極を有している。そして、前記第1ゲート絶縁膜は、ハフニウムと希土類元素とシリコンと酸素とを主成分として含有する絶縁材料からなり、前記第2ゲート絶縁膜は、ハフニウムとアルミニウムと酸素とを主成分として含有するがシリコンを主成分として含有しない絶縁材料からなるものである。
【0023】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法である。まず、前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用のHf含有絶縁膜を前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成し、前記第2領域の前記Hf含有絶縁膜上にAlを含有するAl含有膜を形成し、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜上に希土類元素とシリコンとを含有する希土類含有膜を形成する。そして、熱処理を行うことで、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜を前記希土類含有膜と反応させ、前記第2領域の前記Hf含有絶縁膜を前記Al含有膜と反応させるものである。
【0024】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法である。まず、前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用のHf含有絶縁膜を前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成し、前記第2領域の前記Hf含有絶縁膜上にAlを含有するAl含有膜を形成し、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜上にシリコンまたは酸化シリコンからなるシリコン含有層を形成する。それから、熱処理を行うことで、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜を前記シリコン含有層と反応させ、前記第2領域の前記Hf含有絶縁膜を前記Al含有膜と反応させる。その後、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜上に希土類元素を含有する希土類含有膜を形成してから、熱処理を行うことで、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜を前記希土類含有膜と反応させるものである。
【発明の効果】
【0025】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0026】
代表的な実施の形態によれば、半導体装置の性能向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図3】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図17】本発明者が検討した第1の比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図18】本発明者が検討した第2の比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図19】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図20】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図26】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図27】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0030】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置、ここではCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置の要部断面図である。
【0033】
図1に示されるように、本実施の形態の半導体装置は、半導体基板1のnMIS形成領域1Aに形成されたnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS型電界効果トランジスタ)Qnと半導体基板1のpMIS形成領域1Bに形成されたpチャネル型MISFETQpとを有している。
【0034】
すなわち、p型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板1は、素子分離領域2によって規定されて互いに電気的に分離されたnMIS形成領域(第1領域)1AおよびpMIS形成領域(第2領域)1Bを有しており、nMIS形成領域1Aの半導体基板1にp型ウエルPWが形成され、pMIS形成領域1Bの半導体基板1にn型ウエルNWが形成されている。nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWの表面上には、nチャネル型MISFET(第1MISFET)Qnのゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)3aを介して、nチャネル型MISFETQnのゲート電極(第1メタルゲート電極、第1ゲート電極)GE1が形成されている。また、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWの表面上には、pチャネル型MISFET(第2MISFET)Qpのゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)3bを介して、pチャネル型MISFETQpのゲート電極(第2メタルゲート電極、第2ゲート電極)GE2が形成されている。また、Hf含有絶縁膜3aおよびHf含有絶縁膜3bは、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)上に直接的に形成することもできるが、Hf含有絶縁膜3aおよびHf含有絶縁膜3bと半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)との界面に、薄い酸化シリコン膜(図示せず)を界面層として設けることもできる。この界面層としては、酸化シリコン膜の代わりに酸窒化シリコン膜を用いることもできる。
【0035】
各ゲート電極GE1,GE2は、ゲート絶縁膜(nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3a、pMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜3b)に接する金属膜(メタルゲート膜)7と、この金属膜7上のシリコン膜8との積層膜で構成されている。金属膜7は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜または炭化タンタル(TaC)膜であり、最も好ましくは、窒化チタン(TiN)膜である。
【0036】
nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜3aは、Hf(ハフニウム)と希土類元素とSi(シリコン)とO(酸素)とを主成分として含有する絶縁材料からなる。Hf含有絶縁膜3aが、更にN(窒素)も含有していれば、リーク電流の更なる低減を図ることができるため、より好ましい。また、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素は、La(ランタン)が特に好ましい。従って、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素をLnとすると、Hf含有絶縁膜3aは、好ましくは、HfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)またはHfLnSiO膜(Ln=Laの場合はHfLaSiO膜)である。
【0037】
一方、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜3bは、Hf(ハフニウム)とAl(アルミニウム)とO(酸素)とを主成分として含有する絶縁材料からなる。Hf含有絶縁膜3bが、更にN(窒素)も含有していれば、リーク電流の更なる低減を図ることができるため、より好ましい。従って、Hf含有絶縁膜3bは、好ましくは、HfAlON膜またはHfAlO膜である。
【0038】
ここで、HfLnSiON膜は、ハフニウム(Hf)と希土類元素(Ln)とシリコン(ケイ素、Si)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfLnSiO膜は、ハフニウム(Hf)と希土類元素(Ln)とシリコン(Si)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。また、HfLaSiON膜は、ハフニウム(Hf)とランタン(La)とシリコン(Si)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfLaSiO膜は、ハフニウム(Hf)とランタン(La)とシリコン(Si)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。また、HfAlON膜は、ハフニウム(Hf)とアルミニウム(Al)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfAlO膜は、ハフニウム(Hf)とアルミニウム(Al)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。
【0039】
なお、HfLnSiON膜と表記した場合、HfLnSiON膜におけるHfとLnとSiとOとNの原子比は1:1:1:1:1に限定されるものではない。このことは、ここで述べたHfLnSiO膜、HfLaSiON膜、HfLaSiO膜、HfAlON膜およびHfAlO膜や、後述するHfON膜、HfO膜、HfSiON膜、HfSiO膜、LnSiO膜、LaSiO膜、AlON膜、AlO膜、HfAlSiON膜およびHfLaON膜などについても同様である。
【0040】
Hf含有絶縁膜3aは、nチャネル型MISFETQnの低しきい値化に有効な希土類元素(特に好ましくはLa)を含有し、一方、Hf含有絶縁膜3bは、pチャネル型MISFETQpの低しきい値化に有効なAlを含有しているが、対照的なのは、Hf含有絶縁膜3aがSi(シリコン)を主成分として含有しているのに対して、Hf含有絶縁膜3bがSi(シリコン)を主成分として含有していないことである。また、Hf含有絶縁膜3aは、Alを含有していないことが好ましく、また、Hf含有絶縁膜3bは、希土類元素(特にLa)を含有していないことが好ましい。Hf含有絶縁膜3aとHf含有絶縁膜3bとは、それぞれ酸化シリコンよりも誘電率(比誘電率)が高い絶縁材料膜、いわゆるHigh−k膜(高誘電率膜)である。
【0041】
なお、Hf含有絶縁膜3bと後述のHf含有絶縁膜3およびAl含有膜4とは、Si(シリコン)を含有していないことを特徴の一つとしているが、CMISFETデバイス作製フローの全ての処理が施された後は、意図しない程度の微量の不純物としてSiが混入していることはあり得る。
【0042】
nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWには、nチャネル型MISFETQnのLDD(Lightly doped Drain)構造のソース・ドレイン領域として、n−型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)EX1とそれよりも高不純物濃度のn+型半導体領域(ソース・ドレイン領域)SD1とが形成されている。また、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWには、pチャネル型MISFETQpのLDD構造のソース・ドレイン領域として、p−型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)EX2とそれよりも高不純物濃度のp+型半導体領域(ソース・ドレイン領域)SD2とが形成されている。
【0043】
ゲート電極GE1,GE2の側壁上には、絶縁体からなるサイドウォール(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWが形成されている。nMIS形成領域1Aにおいて、n−型半導体領域EX1は、ゲート電極GE1に整合して形成され、n+型半導体領域SD1はゲート電極GE1の側壁上に設けられたサイドウォールSWに整合して形成されている。また、pMIS形成領域1Bにおいて、p−型半導体領域EX2は、ゲート電極GE2に整合して形成され、p+型半導体領域SD2はゲート電極GE2の側壁上に設けられたサイドウォールSWに整合して形成されている。
【0044】
nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを覆うようにして、半導体基板1の主面上に、層間絶縁膜として絶縁膜11が形成されており、この絶縁膜11には、コンタクトホールCNTが形成され、コンタクトホールCNT内にはプラグPGが埋め込まれている。プラグPGが埋め込まれた絶縁膜11上には、下から順にストッパ絶縁膜12および絶縁膜13からなる積層膜が形成されており、この積層膜に形成された配線溝内に配線M1が形成され(埋め込まれ)ている。配線M1は、プラグPGを介してnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソース・ドレイン用のn+型半導体領域SD1およびp+型半導体領域SD2などと電気的に接続されている。更に上層には多層配線構造が形成されているが、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0045】
次に、図1に示されるような本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。
【0046】
図2は、本実施の形態の半導体装置、ここではCMISFETを有する半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図3〜図16は、本実施の形態の半導体装置、ここではCMISFETを有する半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0047】
まず、図3に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する(図2のステップS1)。本実施の形態の半導体装置が形成される半導体基板1は、nチャネル型のMISFETが形成される領域であるnMIS形成領域1Aと、pチャネル型のMISFETが形成される領域であるpMIS形成領域1Bとを有している。それから、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する(図2のステップS2)。素子分離領域2は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。例えば、半導体基板1に形成された溝(素子分離溝)に埋め込まれた絶縁膜により、素子分離領域2を形成することができる。
【0048】
次に、半導体基板1のnチャネル型MISFETを形成する領域(nMIS形成領域1A)にp型ウエルPWを形成し、pチャネル型MISFETを形成する領域(pMIS形成領域1B)にn型ウエルNWを形成する(図2のステップS3)。このステップS3において、p型ウエルPWは、例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成され、n型ウエルNWは、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより形成される。また、p型ウエルPWおよびn型ウエルNWの形成前または形成後に、半導体基板1の上層部に対して、後で形成されるMISFETのしきい値調整用のイオン注入(いわゆるチャネルドープイオン注入)を必要に応じて行なうこともできる。
【0049】
次に、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウェットエッチングなどにより半導体基板1の表面の自然酸化膜を除去することによって、半導体基板1の表面を清浄化(洗浄)する。これにより、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)が露出される。
【0050】
次に、図4に示されるように、半導体基板1の表面(すなわちp型ウエルPWおよびn型ウエルNWの表面)上に、ゲート絶縁膜用のHf含有絶縁膜(第1絶縁膜)3を形成する(図2のステップS4)。Hf含有絶縁膜3は、半導体基板1の主面全面に形成されるため、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの両方に形成される。このHf含有絶縁膜3は、上記nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜形成用のベースとなる絶縁膜である。
【0051】
Hf含有絶縁膜3は、Hfを含有する絶縁膜であり、Hf(ハフニウム)を含有する絶縁材料からなるが、Si(シリコン)を含有していないことも特徴の一つである。すなわち、Hf含有絶縁膜3は、Hfを含有しかつSiを含有しない絶縁膜である。Hf含有絶縁膜3は、好ましくはHfON膜(酸窒化ハフニウム膜またはハフニウムオキシナイトライド膜)またはHfO膜(酸化ハフニウム膜またはハフニウムオキサイド膜、代表的なのはHfO2膜)とすることができる。従って、Hf含有絶縁膜3は、ハフニウム(Hf)に加えて、更に酸素(O)も含有している。なお、HfON膜(酸窒化ハフニウム膜)は、ハフニウム(Hf)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfO膜(酸化ハフニウム膜)は、ハフニウム(Hf)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。また、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)やHfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)はSiを含有しているため、Hf含有絶縁膜3としてHfSiON膜やHfSiO膜は用いないことに注意すべきである。
【0052】
Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、ALD法(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)またはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法を用いてまずHfO膜(代表的にはHfO2膜)を堆積してから、このHfO膜をプラズマ窒化処理のような窒化処理で窒化する(すなわちHfO膜をHfON膜にする)ことによって、HfON膜を形成することができる。この窒化処理の後に、不活性または酸化雰囲気中で熱処理する場合もある。
【0053】
Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合には、ALD法またはCVD法を用いてHfO膜(代表的にはHfO2膜)を堆積すればよく、窒化処理を行う必要はない。
【0054】
また、Hf含有絶縁膜3は、リーク電流抑制の観点から、HfO膜(酸化ハフニウム膜)よりもHfON膜(酸窒化ハフニウム膜)である方がより好ましく、Hf含有絶縁膜3としてHfON膜(酸窒化ハフニウム膜)を用いることで、リーク電流の更なる低減を図ることができる。また、Hf含有絶縁膜3の膜厚は、例えば2〜3nm程度とすることができる。
【0055】
また、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)上に直接的にHf含有絶縁膜3を形成することもできるが、ステップS4において、Hf含有絶縁膜3を形成する前に、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)上に、薄い酸化シリコン膜(図示せず)を界面層として形成しておき、この酸化シリコン膜(界面層)上にHf含有絶縁膜3を形成すれば、より好ましい。この酸化シリコン膜を形成する理由は、ゲート絶縁膜と半導体基板の界面をSiO2/Si構造にすることで、これまでのSiO2ゲート絶縁膜(酸化シリコンからなるゲート絶縁膜)と同等にトラップなどの欠陥数を減らして、駆動能力や信頼性を向上させるためである。この酸化シリコン膜(界面層)は、熱酸化法などを用いて形成することができ、その膜厚は薄く、好ましくは0.3〜1nm、例えば0.6nm程度とすることができる。この界面層としては、酸化シリコン膜の代わりに酸窒化シリコン膜を形成することもできる。
【0056】
次に、図5に示されるように、半導体基板1の主面上に、すなわちHf含有絶縁膜3上に、Al含有膜(Al含有層)4を形成する(図2のステップS5)。このステップS5において、Al含有膜4は、半導体基板1の主面全面に形成されるため、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3上に形成される。
【0057】
Al含有膜4は、Al(アルミニウム)を含有する材料膜であり、Al(アルミニウム)を含有する材料からなるが、Si(シリコン)を含有していないことも特徴の一つである。すなわち、Al含有膜4は、Alを含有しかつSiを含有しない膜である。Al含有膜4としては、酸化アルミニウム膜(AlO膜、代表的にはAl2O3膜)が最も好ましいが、それ以外にも、酸窒化アルミニウム膜(アルミニウム酸窒化物膜、AlON膜)またはアルミニウム膜(Al膜)などを用いることもできる。また、AlSiO膜(アルミニウムシリケート膜)やAlSiON膜はSiを含有しているため、Al含有膜4としてAlSiO膜やAlSiON膜は用いないことに注意すべきである。Al含有膜4は、スパッタリング法またはALD法などによって形成することができ、その膜厚は、例えば0.5〜1nm程度とすることができる。
【0058】
次に、半導体基板1の主面上に、すなわちAl含有膜4上に、反応防止用のマスク層として窒化金属膜(マスク層)5を形成する(図2のステップS6)。このステップS6において、窒化金属膜5は、半導体基板1の主面全面に形成されるため、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1BのAl含有膜4上に形成される。
【0059】
窒化金属膜5は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜、窒化ハフニウム(HfN)膜または窒化ジルコニウム(ZrN)膜であり、その中でも特に好ましいのは窒化チタン(TiN)膜である。窒化金属膜5は、スパッタリング法などを用いて形成することができ、その膜厚は、例えば5〜20nm程度とすることができる。
【0060】
次に、図6に示されるように、半導体基板1の主面上に、すなわち窒化金属膜5上に、フォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光、現像することで、レジストパターンとしてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR1を形成する(図2のステップS7)。
【0061】
フォトレジストパターンPR1は、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上には形成されるが、nMIS形成領域1Aには形成されない。このため、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5はフォトレジストパターンPR1で覆われているが、nMIS形成領域1Aの窒化金属膜5はフォトレジストパターンPR1で覆われずに露出した状態となる。
【0062】
次に、図7に示されるように、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、nMIS形成領域1Aの窒化金属膜5をエッチング(好ましくはウェットエッチング)して除去する(図2のステップS8)。続いて、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、nMIS形成領域1AのAl含有膜4をエッチング(好ましくはウェットエッチング)して除去する(図2のステップS9)。
【0063】
このステップS8,S9のエッチング工程によって、図7に示されるように、nMIS形成領域1Aの窒化金属膜5およびAl含有膜4はエッチングされて除去されるが、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5およびAl含有膜4はフォトレジストパターンPR1で覆われているので、エッチングされずに残存する。これにより、nMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3は露出されるが、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3は、Al含有膜4および窒化金属膜5の積層膜で覆われた状態(すなわち露出していない状態)が維持される。
【0064】
次に、図8に示されるように、フォトレジストパターンPR1を除去する(図2のステップS10)。
【0065】
次に、図9に示されるように、半導体基板1の主面上に、希土類含有膜(希土類含有層)6を形成する(図2のステップS11)。
【0066】
上記ステップS8,S9のエッチング工程でnMIS形成領域1Aの窒化金属膜5およびAl含有膜4を除去しかつpMIS形成領域1Bの窒化金属膜5およびAl含有膜4を残していたので、ステップS11では、希土類含有膜6は、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。このため、nMIS形成領域1Aでは希土類含有膜6とHf含有絶縁膜3とが接触しているが、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在するため互いに接触していない状態となる。
【0067】
希土類含有膜6は、希土類元素を含有し、特に好ましくはLa(ランタン)を含有しているが、更にSi(シリコン)も含有していることが特徴の一つである。すなわち、希土類含有膜6は、希土類元素(特に好ましくはLa)とSi(シリコン)とを含有する膜であり、希土類元素(特に好ましくはLa)とSiとを含有する材料からなる。希土類含有膜6としては、希土類シリケート膜(LnSiO膜)が好ましく、希土類含有膜6が含有する希土類としてはLaが特に好ましいため、希土類含有膜6としては、ランタンシリケート膜(LaSiO膜)が特に好ましい。なお、希土類シリケート膜(LnSiO膜)は、希土類(Ln)とシリコン(Si)と酸素(O)とで構成された材料膜であり、ランタンシリケート膜(LaSiO膜)は、ランタン(La)とシリコン(Si)と酸素(O)とで構成された材料膜である。希土類含有膜6の膜厚は、例えば0.5〜1nm程度とすることができる。
【0068】
なお、本願において、希土類または希土類元素とは、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までのランタノイドに、スカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)を加えたものを言うものとする。また、希土類含有膜6が含有する希土類元素をLnと表記するものとする。また、Hfを含有するゲート絶縁膜をHf系ゲート絶縁膜と称するものとする。
【0069】
希土類含有膜6は、スパッタリング法によって形成することが好ましい。これは、CVD法だと、形成された膜中に炭素(C)や塩素(Cl)などの不純物が含まれやすいのに対して、スパッタリング法では、形成された膜中へ不純物が含まれにくいためである。また、希土類含有膜6は厚みが薄いが、スパッタリング法は、このような薄い膜を制御性良く形成することができる。
【0070】
希土類含有膜6としてランタンシリケート膜(LaSiO膜)を用い、このランタンシリケート膜(LaSiO膜)をスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングに用いるターゲットには、次の3種類がある。
【0071】
第1に、シリコンターゲット(Siターゲット)と酸化ランタンターゲット(LaOxターゲット)とを用いて、スパッタリングでランタンシリケート膜(LaSiO膜)を成膜する手法である。この場合、室温(半導体基板1の温度が室温)のスパッタリング法でランタンシリケート膜(LaSiO膜)を成膜することで、SiとLaOxとの凝集を生じずに、LaOxを効率的に基板側に拡散できる。また、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上にランタンシリケート膜(LaSiO膜)が形成されるが、窒化金属膜5をさほど酸化させないため、後述の窒化金属膜5の除去工程で窒化金属膜5を除去しやすい。
【0072】
第2に、酸化シリコンターゲット(SiOxターゲット)と酸化ランタンターゲット(LaOxターゲット)とを用いて、スパッタリングでランタンシリケート膜(LaSiO膜)を成膜する手法である。この場合、酸化シリコンターゲット(SiOxターゲット)を用いることで、High−kゲート絶縁膜の酸素欠陥を補填でき、TDDB(Time Dependence on Dielectric Breakdown)寿命などを向上させることができる。
【0073】
第3に、ランタンシリケートターゲット(LaSiOターゲット)を用いて、スパッタリングでランタンシリケート膜(LaSiO膜)を成膜する手法である。この場合、ランタンシリケートターゲット(LaSiOターゲット)を用いることで、High−kゲート絶縁膜の酸素欠陥を補填でき、TDDB(Time Dependence on Dielectric Breakdown)寿命などを向上させることができる。また、酸化ランタンターゲット(LaOxターゲット)を用いた場合に懸念される潮解性が、ランタンシリケートターゲット(LaSiOターゲット)を用いた場合には抑制されるため、ランタンシリケート膜(LaSiO膜)をより安定して形成することができる。
【0074】
上述のようにして希土類含有膜6を形成した後、半導体基板1に対して熱処理を施す(図2のステップS12)。ステップS12の熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。
【0075】
このステップS12の熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3を希土類含有膜6と反応させ、pMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3をAl含有膜4と反応させる。すなわち、ステップS12の熱処理工程においては、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6とHf含有絶縁膜3とが接触していたために両者が反応して、希土類含有膜6を構成する希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSiとがHf含有絶縁膜3に導入(拡散)される。また、ステップS12の熱処理工程において、pMIS形成領域1Bでは、Al含有膜4とHf含有絶縁膜3とが接触していたために両者が反応して、Al含有膜4を構成するAlがHf含有絶縁膜3に導入(拡散)される。なお、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在して互いに接触していない状態であるため、Al含有膜4およびHf含有絶縁膜3は希土類含有膜6と反応せず、希土類含有膜6を構成する希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSiとは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3には導入(拡散)されない。
【0076】
このステップS12の熱処理により、図10に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6とHf含有絶縁膜3とが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3aが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6の希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSiがHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3が、Hf含有絶縁膜3aとなる。ここで、希土類含有膜6が含有する希土類元素をLnと表記しており、例えば、希土類含有膜6がランタンシリケート膜(LaSiO膜)の場合は、Ln=Laであり、希土類含有膜6がイットリウムシリケート膜(YSiO膜)の場合は、Ln=Yである。
【0077】
また、このステップS12の熱処理により、図10に示されるように、pMIS形成領域1Bでは、Al含有膜4とHf含有絶縁膜3とが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3bが形成される。すなわち、pMIS形成領域1Bでは、Al含有膜4のAlがHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3が、Hf含有絶縁膜3bとなる。
【0078】
Hf含有絶縁膜3aは、Hf(ハフニウム)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSi(シリコン)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなり、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素Lnは、希土類含有膜6が含有していた希土類元素Lnと同じである。従って、Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)である。Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3aは、HfLnSiO膜(Ln=Laの場合はHfLaSiO膜)である。
【0079】
一方、Hf含有絶縁膜3bは、Hf(ハフニウム)とAl(アルミニウム)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなるが、Si(シリコン)を含有していない。Hf含有絶縁膜3bがSi(シリコン)を含有していないのは、Hf含有絶縁膜3とAl含有膜4のいずれもがSi(シリコン)を含有していなかったためである。従って、Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3bはHfAlON膜となり、Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3bは、HfAlO膜となる。
【0080】
また、希土類含有膜6は、上述のように好ましくは希土類シリケート膜(特に好ましくはランタンシリケート膜)である。この場合、希土類含有膜6は、希土類元素Lnおよびシリコン(Si)以外に酸素(O)も含有しているが、Hf含有絶縁膜3も酸素(O)を含有しているため、ステップS12の熱処理で希土類含有膜6の酸素(O)がHf含有絶縁膜3に導入されるかどうかにかかわらず、Hf含有絶縁膜3aは、酸素(O)も含有したものとなる。実際には、希土類含有膜6の希土類元素Lnおよびシリコン(Si)だけでなく、希土類含有膜6の酸素(O)もHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3aが形成される。
【0081】
また、Al含有膜4は、上述のように好ましくは酸化アルミニウム膜であり、この場合、Al含有膜4は、アルミニウム(Al)以外に酸素(O)も含有しているが、Hf含有絶縁膜3も酸素(O)を含有しているため、ステップS12の熱処理でAl含有膜4の酸素(O)がHf含有絶縁膜3に導入されるかどうかにかかわらず、Hf含有絶縁膜3bは、酸素(O)も含有したものとなる。実際には、Al含有膜4のアルミニウム(Al)だけでなく、Al含有膜4の酸素(O)もHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3bが形成される。従って、Hf含有絶縁膜3がHfON膜でかつAl含有膜4が酸化アルミニウム膜またはアルミニウム膜の場合は、Hf含有絶縁膜3bはHfAlON膜であり、Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)でかつAl含有膜4が酸化アルミニウム膜またはアルミニウム膜の場合は、Hf含有絶縁膜3bは、HfAlO膜である。
【0082】
また、Al含有膜4が酸窒化アルミニウム膜(AlON膜)の場合には、Al含有膜4のアルミニウム(Al)だけでなく、Al含有膜4の酸素(O)と窒素(N)もHf含有絶縁膜3に導入されてHf含有絶縁膜3bが形成されるため、Hf含有絶縁膜3がHfON膜とHfO膜のいずれであっても、Hf含有絶縁膜3bはHfAlON膜となり得る。
【0083】
また、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6は窒化金属膜5上に形成されているため、このpMIS形成領域1Bの希土類含有膜6は、窒化金属膜5とほとんど反応せずに残存する。すなわち、窒化金属膜5の材料として、ステップS12の熱処理工程の熱処理温度でも安定で、Hf含有絶縁膜3、Al含有膜4および希土類含有膜6のいずれとも反応し難い材料を選択しておくのである。このような材料として、窒化金属はふさわしく、窒化チタン(TiN)、窒化ハフニウム(HfN)または窒化ジルコニウム(ZrN)は特に好ましい。
【0084】
また、上述のように、ステップS4でHf含有絶縁膜3を形成する前に、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)上に、薄い酸化シリコン膜(図示せず)を界面層として形成し、この酸化シリコン膜上にHf含有絶縁膜3を形成した場合には、ステップS12の熱処理時には、Hf含有絶縁膜3と下部の酸化シリコン膜との反応を抑制して、界面層としての酸化シリコン膜を残存させることが好ましい。すなわち、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3aと半導体基板1(p型ウエルPW)との間の界面層として酸化シリコン膜を残存させ、またpMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3bと半導体基板1(n型ウエルNW)との間の界面層として酸化シリコン膜を残存させることが好ましい。これにより、駆動力や信頼性の劣化を抑制した良好なデバイスを作製することができる。界面層としては、酸化シリコン膜の代わりに酸窒化シリコン膜を用いることもできる。
【0085】
次に、図11に示されるように、ステップS12の熱処理工程で反応しなかった希土類含有膜6(未反応の希土類含有膜6)を、エッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図2のステップS13)。それから、窒化金属膜5をエッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図2のステップS14)。
【0086】
ステップS13の希土類含有膜6のエッチング工程により、pMIS形成領域1Bでは、窒化金属膜5上の希土類含有膜6が除去されて窒化金属膜5が露出し、nMIS形成領域1Aでは、ステップS12の熱処理でHf含有絶縁膜3と反応しきれなかった希土類含有膜6が除去されてHf含有絶縁膜3aが露出される。希土類含有膜6の形成時の膜厚によっては、ステップS12の熱処理時に、nMIS形成領域1Aの希土類含有膜6の全厚み分がHf含有絶縁膜3と反応する場合もあるが、この場合も、ステップS13の希土類含有膜6のエッチング工程後には、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5が露出し、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3aが露出された状態となる。そして、ステップS14の窒化金属膜5のエッチング工程によって、pMIS形成領域1Bに形成されていた窒化金属膜5が除去され、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bが露出される。
【0087】
また、窒化金属膜5はステップS12の熱処理工程で希土類含有膜6と反応し難い膜であるが、たとえ窒化金属膜5の表層部分(希土類含有膜6に接していた部分)がステップS12の熱処理工程で希土類含有膜6と反応してTiLnSiON層(窒化金属膜5が窒化チタン膜の場合)などが窒化金属膜5の表面に薄く形成されたとしても、ステップS13またはステップS14のエッチング工程で、除去され得る。また、ステップS13の希土類含有膜6のエッチング工程の後で、ステップS14の窒化金属膜5のエッチング工程の前に、上記TiLnSiON層を除去するためのエッチング(好ましくはウェットエッチング)を行うこともできる。なお、窒化金属膜5が窒化チタン以外の窒化金属膜の場合には、上記TiLnSiON層は、Tiを窒化金属膜5を構成する金属元素に置換したものとなる。
【0088】
ステップS14の窒化金属膜5のエッチング工程後には、nMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3aおよびpMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bの両者が露出された状態となる。
【0089】
また、Al含有膜4の形成時の膜厚によっては、ステップS12の熱処理時に、pMIS形成領域1BのAl含有膜4の全厚み分がHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)してHf含有絶縁膜3bになる場合と、pMIS形成領域1BのAl含有膜4の下層部分のみがHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)してHf含有絶縁膜3bになる場合とがあり得る。ステップS12の熱処理の際にpMIS形成領域1BのAl含有膜4の全厚み分がHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)してHf含有絶縁膜3bが形成された場合には、Hf含有絶縁膜3b上にはAl含有膜4の未反応部分は残存しないため、後述のステップS15で金属膜7はHf含有絶縁膜3b上に直接形成されることになり、金属膜7がHf含有絶縁膜3bに接した状態となる。一方、ステップS12の熱処理の際にpMIS形成領域1BのAl含有膜4の下層部分のみがHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)してHf含有絶縁膜3bが形成された場合には、Hf含有絶縁膜3b上にはAl含有膜4の未反応部分が薄く残存することになるため、後述のステップS15で形成される金属膜7とHf含有絶縁膜3bとの間には、Al含有膜4の未反応部分が介在することになる。Hf系ゲート絶縁膜およびメタルゲート電極を有するpチャネル型MISFETにおいては、Hf系ゲート絶縁膜中にAlが導入(ミキシング)されていれば、pチャネル型MISFETを低しきい値化することができるが、Hf系ゲート絶縁膜とメタルゲート電極の間にAl酸化物(Al含有膜4)が介在していても、このAl酸化物(Al含有膜4)は、pチャネル型MISFETの低しきい値化に寄与する。このため、ステップS12の熱処理の際に、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3b上にAl含有膜4の未反応部分が残存しなかった場合と、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3b上にAl含有膜4の未反応部分が残存した場合のいずれにおいても、pチャネル型MISFETQpの低しきい値化を図ることができる。すなわち、本実施の形態および後述の実施の形態2,3は、ゲート電極GE2の金属膜7とHf含有絶縁膜3bとの間に、Al含有膜4の未反応部分が残存(介在)していない場合と残存(介在)している場合のいずれにおいても有効であり、pチャネル型MISFETQpの低しきい値化を図ることができるのである。
【0090】
一方、Hf系ゲート絶縁膜およびメタルゲート電極を有するnチャネル型MISFETにおいては、Hf系ゲート絶縁膜中にLaなどの希土類元素が導入(ミキシング)されていれば、nチャネル型MISFETを低しきい値化することができるが、Hf系ゲート絶縁膜とメタルゲートの間にLa酸化物層などが未反応で介在していても、このLa酸化物層は、nチャネル型MISFETの低しきい値化にはあまり寄与しない。nチャネル型MISFETの低しきい値化には、Hf系ゲート絶縁膜中にLaなどの希土類元素を導入することが有効なのである。本実施の形態では、ステップS12の熱処理によってnMIS形成領域1Aの希土類含有膜6がHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)して、希土類元素Lnが導入されたHf系ゲート絶縁膜(すなわちHf含有絶縁膜3a)を形成することで、nチャネル型MISFETQnを低しきい値化することができる。そして、たとえステップS12の熱処理の際にnMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3a上に希土類含有膜6の未反応部分が残存した場合であっても、この未反応部分はステップS13の希土類含有膜6のエッチング工程で除去されるため、後述のステップS15で金属膜7はHf含有絶縁膜3a上に直接形成されることになり、ゲート電極GE1の金属膜7はHf含有絶縁膜3aに接した状態となる。
【0091】
次に、図12に示されるように、半導体基板1の主面上に、メタルゲート(金属ゲート電極)用の金属膜(金属層、メタルゲート膜)7を形成する(図2のステップS15)。ステップS15においては、nMIS形成領域1Aでは、Hf含有絶縁膜3a上に金属膜7が形成され、pMIS形成領域1Bでは、Hf含有絶縁膜3b上に金属膜7が形成される。金属膜7は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜または炭化タンタル(TaC)膜であり、最も好ましくは、窒化チタン(TiN)膜である。金属膜7は、例えばスパッタリング法などにより形成することができる。金属膜7の膜厚は、例えば10〜20nm程度とすることができる。
【0092】
なお、本願において、金属膜(金属層)とは、金属伝導を示す導電膜(導電層)を言い、単体の金属膜や合金膜だけでなく、金属伝導を示す金属化合物膜(窒化金属膜や炭化金属膜など)も含むものとする。このため、金属膜7は、金属伝導を示す導電膜であり、金属級に抵抗率が低く、好ましくは上述のように窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜または炭化タンタル(TaC)膜である。
【0093】
次に、半導体基板1の主面上に、すなわち金属膜7上に、シリコン膜8を形成する(図2のステップS16)。シリコン膜8は、多結晶シリコン膜または非晶質シリコン膜とすることができるが、成膜時には非晶質シリコン膜であった場合でも、成膜後の熱処理(例えばソース・ドレイン用に導入した不純物の活性化アニール)で多結晶シリコン膜となる。シリコン膜8の膜厚は、例えば100nm程度とすることができる。
【0094】
ステップS15で形成する金属膜7の厚みを厚くすることでステップS16のシリコン膜8の形成工程を省略する(すなわちゲート電極GE1,GE2をシリコン膜8無しの金属膜7で形成する)ことも可能であるが、ステップS16で金属膜7上にシリコン膜8を形成する(すなわちゲート電極GE1,GE2を金属膜7とその上のシリコン膜8との積層膜で形成する)方が、より好ましい。その理由は、金属膜7の厚みが厚すぎると、金属膜7が剥離しやすくなる問題や、あるいは金属膜7をパターニングする際のオーバーエッチングによる基板ダメージの問題が生じる可能性があるが、金属膜7とシリコン膜8との積層膜でゲート電極を形成することで、金属膜7のみでゲート電極を形成する場合に比べて金属膜7の厚みを薄くすることができるため、上記問題を改善できるからである。また、金属膜7上にシリコン膜8を形成した場合、これまでのポリシリコンゲート電極(ポリシリコンからなるゲート電極)の加工方法やプロセスを踏襲できるため、微細加工性、製造コストおよび歩留まりの点でも優位である。
【0095】
次に、図13に示されるように、シリコン膜8および金属膜7の積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング(好ましくはドライエッチング)技術を用いてパターニングすることで、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE1,GE2を形成する(図2のステップS17)。
【0096】
ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3a上に形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3b上に形成される。すなわち、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE1が、nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3aを介して形成され、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE2が、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3bを介して形成されるのである。Hf含有絶縁膜3aとHf含有絶縁膜3bとは、いずれも酸化シリコンよりも誘電率(比誘電率)が高い。
【0097】
ステップS17でシリコン膜8および金属膜7をパターニングするドライエッチング工程の後に、ゲート電極GE1で覆われない部分のHf含有絶縁膜3aとゲート電極GE2で覆われない部分のHf含有絶縁膜3bとを除去するためのウェットエッチング行うことが、より好ましい。ゲート電極GE1の下部に位置するHf含有絶縁膜3aとゲート電極GE2の下部に位置するHf含有絶縁膜3bとは、ステップS17のドライエッチングおよびその後のウェットエッチングで除去されずに残存する。一方、ゲート電極GE1で覆われない部分のHf含有絶縁膜3aとゲート電極GE2で覆われない部分のHf含有絶縁膜3bとは、ステップS17でシリコン膜8および金属膜7をパターニングする際のドライエッチングや、その後のウェットエッチングで除去される。
【0098】
次に、図14に示されるように、nMIS形成領域1Aにおけるp型ウエルPWのゲート電極GE1の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n−型半導体領域EX1を形成する。このn−型半導体領域EX1形成用のイオン注入時には、pMIS形成領域1Bはイオン注入阻止マスクとしてのフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)にゲート電極GE1をマスクとしてイオン注入する。また、pMIS形成領域1Bにおけるn型ウエルNWのゲート電極GE2の両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p−型半導体領域EX2を形成する。このp−型半導体領域EX2形成用のイオン注入時には、nMIS形成領域1Aはイオン注入阻止マスクとしての他のフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)にゲート電極GE2をマスクとしてイオン注入する。n−型半導体領域EX1を先に形成しても、あるいはp−型半導体領域EX2を先に形成してもよい。
【0099】
次に、ゲート電極GE1,GE2の側壁上に、絶縁体からなるサイドウォール(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWを形成する。例えば、半導体基板1上にゲート電極GE1,GE2を覆うように酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とを下から順に形成してから、この酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜を異方性エッチング(エッチバック)することによって、ゲート電極GE1,GE2の側壁上に残存する酸化シリコン膜および窒化シリコン膜からなるサイドウォールSWを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図14では、サイドウォールSWを構成する酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を一体化して示してある。
【0100】
次に、nMIS形成領域1Aにおけるp型ウエルPWのゲート電極GE1およびサイドウォールSWの両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n+型半導体領域SD1を形成する。n+型半導体領域SD1は、n−型半導体領域EX1よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深い。このn+型半導体領域SD1形成用のイオン注入時には、pMIS形成領域1Bはイオン注入阻止マスクとしてのフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)に、ゲート電極GE1およびその側壁上のサイドウォールSWをマスクとしてイオン注入する。このため、n−型半導体領域EX1は、ゲート電極GE1に整合して形成され、n+型半導体領域SD1はサイドウォールSWに整合して形成される。また、pMIS形成領域1Bにおけるn型ウエルNWのゲート電極GE2およびサイドウォールSWの両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p+型半導体領域SD2を形成する。p+型半導体領域SD2は、p−型半導体領域EX2よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深い。このp+型半導体領域SD2形成用のイオン注入時には、nMIS形成領域1Aはイオン注入阻止マスクとしての他のフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)に、ゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールSWをマスクとしてイオン注入する。このため、p−型半導体領域EX2は、ゲート電極GE2に整合して形成され、p+型半導体領域SD2はサイドウォールSWに整合して形成される。n+型半導体領域SD1を先に形成しても、あるいはp+型半導体領域SD2を先に形成してもよい。
【0101】
nMIS形成領域1Aのゲート電極GE1を構成するシリコン膜8は、n−型半導体領域EX1形成用のイオン注入工程やn+型半導体領域SD1形成用のイオン注入工程でn型の不純物が導入されて、n型のシリコン膜となる。また、pMIS形成領域1Bのゲート電極GE2を構成するシリコン膜8は、p−型半導体領域EX2形成用のイオン注入やp+型半導体領域SD2形成用のイオン注入工程でp型の不純物が導入されて、p型のシリコン膜となる。
【0102】
イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。これにより、n−型半導体領域EX1、p−型半導体領域EX2、n+型半導体領域SD1、p+型半導体領域SD2およびシリコン膜8などに導入された不純物を活性化することができる。
【0103】
このようにして、図14に示されるような構造が得られ、nMIS形成領域1Aに、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MISFETQnが形成され、また、pMIS形成領域1Bに、電界効果トランジスタとしてpチャネル型MISFETQpが形成される。
【0104】
ゲート電極GE1がnチャネル型MISFETQnのゲート電極として機能し、ゲート電極GE1の下のHf含有絶縁膜3aが、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として機能する。そして、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n+型半導体領域SD1およびn−型半導体領域EX1により形成される。また、ゲート電極GE2がpチャネル型MISFETQpのゲート電極として機能し、ゲート電極GE2の下のHf含有絶縁膜3bが、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として機能する。そして、pチャネル型MISFETQpのソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、p+型半導体領域SD2およびp−型半導体領域EX2により形成される。
【0105】
次に、図15に示されるように、半導体基板1の主面上に、ゲート電極GE1,GE2およびサイドウォールSWを覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)11を形成する。絶縁膜11は、例えば、酸化シリコン膜の単体膜や、あるいは薄い窒化シリコン膜とその上の厚い酸化シリコン膜との積層膜などからなる。絶縁膜11の形成後、絶縁膜11の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0106】
次に、絶縁膜11上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜11をドライエッチングすることにより、絶縁膜11にコンタクトホール(貫通孔、孔)CNTを形成する。コンタクトホールCNTは、n+型半導体領域SD1およびp+型半導体領域SD2や、ゲート電極GE1,GE2の上部などに形成される。
【0107】
次に、コンタクトホールCNT内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグ(接続用導体部)PGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜11上に、バリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン膜などからなる主導体膜をコンタクトホールCNTを埋めるように形成し、絶縁膜11上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図15では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜(タングステン膜)を一体化して示してある。
【0108】
次に、図16に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜11上に、ストッパ絶縁膜(エッチングストッパ用絶縁膜)12および配線形成用の絶縁膜(層間絶縁膜)13を順次形成する。ストッパ絶縁膜12は、絶縁膜13への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、絶縁膜13に対してエッチング選択性を有する材料を用い、例えば、ストッパ絶縁膜12を窒化シリコン膜とし、絶縁膜13を酸化シリコン膜とすることができる。
【0109】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線M1を形成する。まず、レジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜13およびストッパ絶縁膜12の所定の領域に配線溝14を形成した後、半導体基板1の主面上(すなわち配線溝14の底部および側壁上を含む絶縁膜13上)にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成する。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成し、銅めっき膜により配線溝14の内部を埋め込む。それから、配線溝14内以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去して、銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。なお、図面の簡略化のために、図16では、配線M1を構成する銅めっき膜、シード層およびバリア導体膜を一体化して示してある。
【0110】
配線M1は、プラグPGを介してnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用のn+型半導体領域SD1およびp+型半導体領域SD2などと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0111】
次に、本実施の形態の特徴について、より詳細に説明する。
【0112】
本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート電極GE1,GE2は、ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3a,3b)上に位置する金属膜7を有しており、いわゆるメタルゲート電極(金属ゲート電極)である。このため、ゲート電極の空乏化現象を抑制し、寄生容量をなくすことができるため、MISFET素子の小型化(ゲート絶縁膜の薄膜化)も可能になる。
【0113】
また、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として、酸化シリコンよりも誘電率が高いHf含有絶縁膜3aを用い、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として、酸化シリコンよりも誘電率が高いHf含有絶縁膜3bを用いている。すなわち、酸化シリコンより誘電率(比誘電率)の高い材料膜、いわゆるHigh−k膜(高誘電率膜)であるHf含有絶縁膜3aとHf含有絶縁膜3bとを、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜に用いている。このため、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜に酸化シリコン膜を用いた場合に比べて、Hf含有絶縁膜3aとHf含有絶縁膜3bの物理的膜厚を増加させることができるため、リーク電流を低減することができる。
【0114】
そして、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として、希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)が導入されたHigh−k膜であるHf含有絶縁膜3aを用いたことにより、nチャネル型MISFETQnのしきい値(しきい値電圧)の絶対値を低く(小さく)することができる。すなわち、nチャネル型MISFETQnを低しきい値化することができる。また、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として、Alが導入されたHigh−k膜であるHf含有絶縁膜3bを用いたことにより、pチャネル型MISFETQpのしきい値(しきい値電圧)の絶対値を低く(小さく)することができる。すなわち、pチャネル型MISFETQpを低しきい値化することができる。これにより、nチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpの両方を低しきい値化することができる。
【0115】
また、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方の低しきい値化を図る上では、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜が希土類元素を含有しかつpチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜がAlを含有するだけでなく、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜がAlを含有せず、かつpチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜が希土類元素(特にLa)を含有しないことが好ましい。このため、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3aはAlを含有せず、かつpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3bは希土類元素(特にLa)を含有しないことが好ましい。
【0116】
本実施の形態では、Hf含有絶縁膜3を、Hfを含有するが希土類元素(特にLa)とAlを含有しない絶縁膜(好ましくはHfON膜またはHfO膜)とし、このHf含有絶縁膜3を希土類含有膜6と反応させてHf含有絶縁膜3aを形成し、また、このHf含有絶縁膜3をAl含有膜4と反応させてHf含有絶縁膜3bを形成している。これにより、Hf含有絶縁膜3aは、Hfと希土類元素Lnを含有するがAlを含有しない絶縁膜(Hf系ゲート絶縁膜)とすることができ、また、Hf含有絶縁膜3bは、HfとAlを含有するが、希土類元素Lnを含有しない絶縁膜(Hf系ゲート絶縁膜)とすることができる。このため、nチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpの両方の低しきい値化を効率よく実現することができる。
【0117】
また、本実施の形態は、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3a)にSiを導入し、一方pチャネル型MISFETQpのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3b)にはSiを導入していないことが、主要な特徴の一つである。これについて、図17および図18の比較例と対比させて説明する。
【0118】
図17は、本発明者が検討した第1の比較例の半導体装置の要部断面図であり、図18は、本発明者が検討した第2の比較例の半導体装置の要部断面図であり、それぞれ上記図1に相当するものである。
【0119】
図17に示される第1の比較例の半導体装置は、半導体基板101のnMIS形成領域101Aに形成されたnチャネル型MISFETQn101と半導体基板101のpMIS形成領域101Bに形成されたpチャネル型MISFETQp101とを有している。
【0120】
すなわち、素子分離領域102によって規定された半導体基板101のnMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに、それぞれp型ウエルPW101およびn型ウエルNW101が形成され、nMIS形成領域101Aのp型ウエルPW101の表面上に、ゲート絶縁膜として機能するHfLaSiON膜103aを介して、nチャネル型MISFETQn101のゲート電極GE101が形成されている。また、pMIS形成領域101Bのn型ウエルNW101の表面上に、ゲート絶縁膜として機能するHfAlSiON膜103bを介して、pチャネル型MISFETQp101のゲート電極GE102が形成されている。各ゲート電極GE101,GE102は、金属膜107と金属膜107上のシリコン膜108との積層膜で構成されている。HfLaSiON膜103aおよびHfAlSiON膜103bは、いわゆるHigh−k膜であり、ゲート電極GE101,GE102はメタルゲート電極である。nチャネル型MISFETQn101のゲート絶縁膜にLaを含有するHfLaSiON膜103aを用い、pチャネル型MISFETQp101のゲート絶縁膜にAlを含有するHfAlSiON膜103bを用いているのは、nチャネル型MISFETQn101およびpチャネル型MISFETQp101の両方の低しきい値化を図るためである。
【0121】
また、nMIS形成領域101Aのp型ウエルPW101には、nチャネル型MISFETQn101のLDD構造のソース・ドレイン領域として、n−型半導体領域EX101とそれよりも高不純物濃度のn+型半導体領域SD101とが形成されている。また、pMIS形成領域101Bのn型ウエルNW101には、pチャネル型MISFETQp101のLDD構造のソース・ドレイン領域として、p−型半導体領域EX102とそれよりも高不純物濃度のp+型半導体領域SD102とが形成されている。ゲート電極GE101,GE102の側壁上には、絶縁体からなるサイドウォールSW101が形成されている。
【0122】
図17の第1の比較例の半導体装置においても、本実施の形態の上記絶縁膜11、コンタクトホールCNT、プラグPG、ストッパ絶縁膜12、絶縁膜13、配線溝14および配線M1に相当するものも形成されるが、簡略化のために、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0123】
このような構造を有する図17の第1の比較例の半導体装置は、nMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに共通のHfSiON膜を形成してから、nMIS形成領域101AのHfSiON膜にLaを選択的に導入してHfLaSiON膜103aとし、pMIS形成領域101BのHfSiON膜にAlを選択的に導入してHfAlSiON膜103bとすることで、得ることができる。
【0124】
しかしながら、図17に示される第1の比較例の半導体装置においては、次のような課題が生じることが、本発明者の検討により分かった。
【0125】
酸化アルミニウムは希土類酸化物に比べて比誘電率がかなり小さい。例えば、La酸化物の比誘電率が38程度であるのに対して、Al酸化物の比誘電率は10程度である。このため、図17の第1の比較例の半導体装置のように、共通のHfSiON膜にLaを選択的に導入してHfLaSiON膜103aとし、Alを選択的に導入してHfAlSiON膜103bとした場合、nチャネル型MISFETQn101のゲート絶縁膜であるHfLaSiON膜103aに比べて、pチャネル型MISFETQp101のゲート絶縁膜であるHfAlSiON膜103bの比誘電率がかなり低くなってしまう。これにより、nチャネル型MISFETQn101のゲート絶縁膜(HfLaSiON膜103a)に比較して、pチャネル型MISFETQp101のゲート絶縁膜(HfAlSiON膜103b)は、EOT(Equivalent Oxide Thickness)がかなり大きくなってしまい、nチャネル型MISFETQn101とpチャネル型MISFETQp101とでゲート絶縁膜のEOTに大きな差がついてしまう。従って、nチャネル型MISFETQn101のゲート絶縁膜(HfLaSiON膜103a)のEOTが小さくとも、pチャネル型MISFETQp101のゲート絶縁膜(HfAlSiON膜103b)のEOTが大きいことで、CMISFETの特性の低下を招いてしまうため、半導体装置の性能向上のためには、更なるEOT低減が望まれる。
【0126】
ゲート絶縁膜のEOT低減には、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜を用いることが有効である。例えばHfSiONの比誘電率が20程度であるのに比べて、HfONの比誘電率は、その倍の40程度である。このため、図18に示される第2の比較例の半導体装置のように、nチャネル型MISFETQn201とpチャネル型MISFETQp201の両方のゲート絶縁膜に、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜を用いることが考えられる。
【0127】
図18に示される第2の比較例の半導体装置は、nチャネル型MISFETQn201のゲート絶縁膜として、上記HfLaSiON膜103aの代わりにHfLaON膜203aを用い、pチャネル型MISFETQp201のゲート絶縁膜として、上記HfAlSiON膜103bの代わりにHfAlON膜203bを用いたこと以外は、図17に示される第1の比較例の半導体装置と同様の構成を有している。このような構造を有する図18の第2の比較例の半導体装置は、nMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに共通のHfON膜を形成してから、nMIS形成領域101AのHfON膜にLaを選択的に導入してHfLaON膜203aとし、pMIS形成領域101BのHfON膜にAlを選択的に導入してHfAlON膜203bとすることで、得ることができる。
【0128】
図18の第2の比較例の半導体装置のように、HfLaON膜203aおよびHfAlON膜203bを、それぞれnチャネル型MISFETQn201およびpチャネル型MISFETQp201のゲート絶縁膜として用いた場合、HfLaSiON膜103aおよびHfAlSiON膜103bをゲート絶縁膜に用いた図17の第1の比較例の半導体装置に比べて、ゲート絶縁膜の比誘電率を大きくすることができる。これは、HfLaON膜203aの比誘電率がHfLaSiON膜103aの比誘電率よりも大きく、HfAlON膜203bの比誘電率がHfAlSiON膜103bの比誘電率よりも大きいためである。このため、図17の第1の比較例の半導体装置に比べて、図18の第2の比較例の半導体装置は、nチャネル型MISFETQn201とpチャネル型MISFETQp201の両方でゲート絶縁膜のEOTを低減することができる。
【0129】
しかしながら、図18に示される第2の比較例の半導体装置においては、次のような課題が生じることが、本発明者の検討により分かった。
【0130】
HfLaSiON膜においては、LaとHfとの結合力は、LaとSiとの結合力に比べて弱い。このため、Siを含有しないHfLaON膜203aにおいては、結合力が強いLa−Si結合が無いため、Laの結合力は、Siを含有するHfLaSiON膜103aにおけるLaの結合力に比べて弱い。従って、ゲート電極GE101,GE102を加工(すなわち金属膜107とその上のシリコン膜108との積層膜をパターニング)する際のドライエッチングや、その後にゲート電極GE101,GE102で覆われていない部分のHfLaON膜203aおよびHfAlON膜203bをウェットエッチングする際に、HfLaON膜203aからLaOが容易に乖離または溶出してしまう。これは、異物生成やゲート電極GE101,GE102の側壁からゲート絶縁膜であるHfLaON膜203aが後退してしまうなどの不具合を生じる虞があり、半導体装置の性能を低下させてしまう。一方、HfAlON膜203bでは、このようなHfLaON膜203aで生じる課題は発生しないか、発生してもHfLaON膜203aに比べてわずかである。これは、HfAlON膜203bにおけるAlとHfとの結合力が、HfLaON膜203aにおけるLaとHfとの結合力に比べて強いためと考えられる。
【0131】
また、図18の第2の比較例の半導体装置は、nMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに共通のHfON膜を形成してから、nMIS形成領域101AのHfON膜にLaを選択的に導入してHfLaON膜203aを形成する。具体的には、nMIS形成領域101AのHfON膜上にLa酸化物膜を形成し、このLa酸化物膜を熱処理でHfON膜と反応(ミキシング)させて、HfLaON膜203aを形成する。一方、図17の第1の比較例の半導体装置では、nMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに共通のHfSiON膜を形成してから、nMIS形成領域101AのHfSiON膜上にLa酸化物膜を形成し、このLa酸化物膜を熱処理でHfSiON膜と反応(ミキシング)させることで、上記HfLaSiON膜103aを形成する。
【0132】
上記La酸化物膜を熱処理で上記HfON膜または上記HfSiON膜と反応(ミキシング)させる際に、La酸化物が上記HfON膜または上記HfSiON膜中を基板方向(半導体基板101に近づく方向)に拡散して上記HfLaSiON膜103aまたはHfLaON膜203aが形成されることで、ゲート電極GE101の仕事関数を低下させ、nチャネル型MISFETQn101,Qp201を低しきい値化することができる。
【0133】
しかしながら、本発明者の検討によれば、HfSiON膜とLa酸化物膜とを熱処理で反応(ミキシング)させることで形成したHfLaSiON膜103aに比べて、HfON膜とLa酸化物膜とを熱処理で反応(ミキシング)させることで形成したHfLaON膜203aでは、LaとSiとの結合力に比べてLaとHfとの結合力が弱いことに起因して、La酸化物が基板方向に拡散しにくくなる。nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜にLaを導入して低しきい値化を図る上で、LaがHf系ゲート絶縁膜中を基板方向に十分に拡散した方が、しきい値(の絶対値)がより低下する傾向にある。このため、HfLaSiON膜103aをゲート絶縁膜に用いた第1の比較例のnチャネル型MISFETQn101に比べて、HfLaON膜203aをゲート絶縁膜に用いた第2の比較例のnチャネル型MISFETQn201は、Hf系ゲート絶縁膜にLaを導入したことによるゲート電極GE101の仕事関数の低減効果が小さくなり、低しきい値化の効果が小さくなる。すなわち、Hf系ゲート絶縁膜(HfLaSiON膜103aおよびHfLaON膜203a)へのLa導入量が同じであれば、HfLaSiON膜103aをゲート絶縁膜とする第1の比較例の半導体装置のnチャネル型MISFETQn101に比べて、HfLaON膜203aをゲート絶縁膜とする第2の比較例の半導体装置のnチャネル型MISFETQn201の方が、しきい値電圧の絶対値が大きくなってしまうのである。一方、HfAlON膜203bでは、このようなHfLaON膜203aで生じる課題は発生しないか、発生してもHfLaON膜203aに比べてわずかである。
【0134】
図17および図18に示される第1および第2の比較例に関連して説明した課題は、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜に導入するのがLaの場合に特に顕著であるが、La以外の希土類元素の場合にも生じる課題である。また、HfLaSiON膜103a、HfAlSiON膜103b、HfLaON膜203aおよびHfAlON膜203bが、それぞれHfLaSiO膜(103a)、HfAlSiO膜(103b)、HfLaO膜(203a)およびHfAlO膜(203b)である場合にも生じる課題である。
【0135】
そこで、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3a)にはSiを導入するが、pチャネル型MISFETQpのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3b)にはSiを導入しないようにしている。すなわち、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3aは、Hf,Ln,Si,Oを含有しており、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3bは、Hf,Al,Oを含有するがSiは含有していない。
【0136】
このため、図17の第1の比較例の半導体装置においてはpチャネル型MISFETQp101のHf系ゲート絶縁膜の比誘電率の低下が課題となったが、本実施の形態では、pチャネル型MISFETQpのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3b)は、Siを含有していない分、Siを含有する場合(第1の比較例)に比べて、比誘電率を大きくすることができる。一方、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)は、Alではなく希土類元素Ln(特に好ましくはLa)を含有している分、比誘電率が大きくなるため、Siを含有していても、比誘電率の低下を抑制できる。
【0137】
このように、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)は、Alではなく希土類元素Ln(特に好ましくはLa)を含有していることで、比誘電率を高くすることができ、pチャネル型MISFETQpのHf系ゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3b)は、Siを含有していないことで、比誘電率を高くすることができる。このため、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)とpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3b)の両方の比誘電率を高くすることができ、nチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpとで、ゲート絶縁膜のEOTの差を小さくすることができる。従って、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを備えたCMISFETの特性を向上でき、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0138】
また、図18の第2の比較例の半導体装置においては、nチャネル型MISFETQn201のHf系ゲート絶縁膜(HfLaON膜203a)がSiを含有していなかったために、La(希土類元素)の結合力が弱いことに起因した上記課題が生じるが、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜にSiを含有するHf含有絶縁膜3aを用いたことにより、図18の第2の比較例で生じた課題を防止できる。すなわち、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3aは、Hf,Ln,Si,Oを含有しているため、希土類元素LnはSiと強固に結合でき(結合力が強いLn−Si結合を形成でき)、希土類元素Lnの結合力を高めることができる。このため、ゲート電極GE1,GE2を加工(すなわち金属膜7とその上のシリコン膜8との積層膜をパターニング)する際のドライエッチングや、その後にゲート電極GE1,GE2で覆われていない部分のHf含有絶縁膜3a,3bをウェットエッチングする際に、Hf含有絶縁膜3aからLnOなどが乖離または溶出するのを防止できる。これにより、異物生成を防止でき、また、ゲート電極GE1,GE2の側壁からゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3aが後退する不具合を防止することができる。また、本実施の形態では、Hf含有絶縁膜3aがHf,Ln,OだけでなくSiも含有しているため、Hf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特にLa)を導入したことによるゲート電極GE1の仕事関数の低減効果を大きくすることができ、nチャネル型MISFETQnの低しきい値化の効果を大きくすることができる。すなわち、nチャネル型MISFETQnのしきい値の絶対値を、第2の比較例の半導体装置のnチャネル型MISFETQn201のしきい値の絶対値よりも小さくすることが可能となる。従って、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを備えたCMISFETの特性を向上でき、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0139】
また、本実施の形態では、共通のHf含有絶縁膜3をnMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの両方に形成し、nMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3を希土類含有膜6と熱処理で反応させ、pチャネル型MISFETQpのHf含有絶縁膜3をAl含有膜4と熱処理で反応させることで、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜とpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜とを作り分けている。そして、希土類含有膜6が希土類元素LnだけでなくSiも含有し、Al含有膜4がSiを含有しないことで、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)に選択的にSiを導入することができる。このため、製造工程数を抑制しながら、Hfと希土類元素LnとSiとOとを主成分として含有するnチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)と、HfとAlとOとを主成分として含有するがSiを主成分として含有しないpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3b)とを的確に作り分けることができる。従って、半導体装置の製造時間や製造コストを抑制しながら、半導体装置の性能向上を図ることができる。また、半導体装置のスループットも向上することができる。
【0140】
また、本実施の形態では、pMIS形成領域1Bにおいて、マスク層(反応防止用マスク層)として窒化金属膜5をAl含有膜4と希土類含有膜6との間に介在させ、この状態でステップS12の熱処理を行うことで、pMIS形成領域1Bにおいて、希土類含有膜6がAl含有膜4やHf含有絶縁膜3と反応するのを防止している。このため、ステップS12において一回の熱処理によってnチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)とpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3b)とを作り分けることができる。従って、半導体装置の製造工程数を低減することができ、半導体装置の製造時間の短縮やスループットの向上を図ることができる。
【0141】
(実施の形態2)
図19は、本実施の形態の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図であり、上記実施の形態1の図1に対応するものである。図20〜図25は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。なお、図19では、図面の簡略化のために、ステップS2〜S9の図示を省略している。
【0142】
本実施の形態の製造工程は、ステップS10でフォトレジストパターンPR1を除去するまでは、上記実施の形態1の製造工程と同様であるので、ここではその説明を省略し、ステップS10のフォトレジストパターンPR1の除去工程以降について説明する。
【0143】
上記実施の形態1のステップS1〜S10と同様の工程を行って上記図8の構造を得た後、本実施の形態では、図20に示されるように、半導体基板1の主面上に、シリコン含有層(Siを含有する層)としてシリコン膜(シリコン層)21を形成する(図19のステップS11a)。
【0144】
上記ステップS8,S9のエッチング工程でnMIS形成領域1Aの窒化金属膜5およびAl含有膜4を除去しかつpMIS形成領域1Bの窒化金属膜5およびAl含有膜4を残していたので、ステップS11aでは、シリコン膜21は、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。このため、nMIS形成領域1Aではシリコン膜21とHf含有絶縁膜3とが接触しているが、pMIS形成領域1Bでは、シリコン膜21とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在するため互いに接触していない状態となる。シリコン膜21は、スパッタリング法などで形成することができ、その膜厚は、例えば0.2〜1nm程度とすることができる。
【0145】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施す(図19のステップS12a)。このステップS12aの熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。ステップS12aの熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3をシリコン膜21と反応させる。すなわち、ステップS12aの熱処理工程においては、nMIS形成領域1Aでは、シリコン膜21とHf含有絶縁膜3とが接触していたために両者が反応して、シリコン膜21を構成するSiがHf含有絶縁膜3に導入(拡散)される。
【0146】
このステップS12aの熱処理により、図21に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、シリコン膜21とHf含有絶縁膜3とが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3cが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、シリコン膜21のSiがHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3が、Hf含有絶縁膜3cとなる。Hf含有絶縁膜3cは、Hf(ハフニウム)とSi(シリコン)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなる。Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3cはHfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)であり、Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3cは、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)である。
【0147】
なお、pMIS形成領域1Bでは、シリコン膜21とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在して互いに接触していない状態であるため、ステップS12aの熱処理工程でAl含有膜4およびHf含有絶縁膜3はシリコン膜21と反応せず、シリコン膜21を構成するSiは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3には導入(拡散)されない。
【0148】
pMIS形成領域1Bにおいては、ステップS12aの熱処理によってHf含有絶縁膜3とAl含有膜4とが反応してHf含有絶縁膜3bが形成されるが、これについては、上記実施の形態1のステップS12の熱処理によってHf含有絶縁膜3とAl含有膜4とが反応してHf含有絶縁膜3bが形成されるのと同様であるため、ここではその説明は省略する。
【0149】
次に、図22に示されるように、半導体基板1の主面上に希土類含有膜(希土類含有層)6aを形成する(図19のステップS11b)。ステップS11bでは、希土類含有膜6aは、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3c上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。
【0150】
ステップS12aの熱処理工程の後で、ステップS11bの希土類含有膜6aの形成工程の前に、ステップS12aの熱処理工程で反応しなかったシリコン膜21(未反応のシリコン膜21)をウェットエッチングなどによって除去することが好ましい。この場合、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上に残存していたシリコン膜21は除去されるため、MIS形成領域1Bにおいて、希土類含有膜6aは窒化金属膜5上に接して形成されることになる(図22はこの場合が示されている)。また、他の形態として、ステップS12aの熱処理工程の後で、未反応のシリコン膜21を除去する工程を行わずにステップS11bの希土類含有膜6aの形成工程を行うこともでき、この場合には、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上にシリコン膜21が残存しているため、希土類含有膜6aは、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上のシリコン膜21上に形成されることになる。
【0151】
希土類含有膜6aは、希土類元素を含有し、特に好ましくはLa(ランタン)を含有している。上記実施の形態1で希土類含有膜6が含有する希土類元素をLnと表記したのと同様に、本実施の形態でも、希土類含有膜6aが含有する希土類元素をLnと表記するものとする。しかしながら、本実施の形態の希土類含有膜6aは、上記実施の形態1の希土類含有膜6aとは異なり、Si(シリコン)を含有する必要は無い。これは、nMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3cには、既にSiが導入されているため、希土類含有膜6aからHf含有絶縁膜3cにSiを導入する必要が無いためである。希土類含有膜6aは、好ましくは希土類酸化物膜(酸化希土類膜)であり、特に好ましくは酸化ランタン膜(酸化ランタンとして代表的なのはLa2O3)である。希土類含有膜6aは、スパッタリング法またはALD法などによって形成することができ、その膜厚(堆積膜厚)は、0.2〜1nm程度とすることができる。
【0152】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施す(図19のステップS12b)。このステップS12bの熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。ステップS12bの熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3cと希土類含有膜6aとを反応させる。
【0153】
このステップS12bの熱処理により、図23に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3cとが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3aが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6aの希土類元素LnがHf含有絶縁膜3cに導入されて、Hf含有絶縁膜3cが、Hf含有絶縁膜3aとなる。
【0154】
Hf含有絶縁膜3aは、上記実施の形態1と同様、Hf(ハフニウム)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSi(シリコン)とO(酸素)を含有する絶縁材料からなり、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素Lnは、希土類含有膜6aが含有していた希土類元素Lnと同じである。Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3cはHfSiON膜であり、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)である。Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3cはHfSiO膜であり、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiO膜(Ln=Laの場合はHfLaSiO膜)である。
【0155】
なお、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3bとの間に窒化金属膜5が介在しているため、ステップS12bの熱処理工程で希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3bとは反応せず、希土類含有膜6aを構成する希土類元素Lnは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bには導入(拡散)されない。
【0156】
また、pMIS形成領域1Bにおいては、上記ステップS12aの熱処理によってHf含有絶縁膜3bが形成され得るが、ステップS12bの熱処理もHf含有絶縁膜3bの形成に寄与し得る。このため、上記ステップS12aの熱処理工程において、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3b上にAl含有膜4の未反応部分が残存した場合には、ステップS12bの熱処理工程においてHf含有絶縁膜3と反応しきれなかったAl含有膜4(Al含有膜4の未反応部分)はpMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bと更に反応することができる。従って、本実施の形態では、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bは、ステップS12aの熱処理とステップS12bの熱処理の一方または両方によって形成される。
【0157】
次に、図24に示されるように、ステップS12bの熱処理工程で反応しなかった希土類含有膜6a(未反応の希土類含有膜6a)を、エッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図19のステップS13)。それから、pMIS形成領域1Bに形成されていた窒化金属膜5をエッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図19のステップS14)。これにより、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3aが露出され、pMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜3bが露出された状態となる。
【0158】
また、ステップS12bの熱処理によって、窒化金属膜5の表層部分が希土類含有膜6aと反応する場合がある。また、上記ステップS12aの熱処理工程の後で、未反応のシリコン膜21を除去する工程を行わずにステップS11bの希土類含有膜6aの形成工程を行った場合には、pMIS形成領域1Bにおいて、ステップS12bの熱処理によって、窒化金属膜5上のシリコン膜21と希土類含有膜6aとが反応したり、あるいは窒化金属膜5の表層部分がシリコン膜21と反応する場合がある。このような場合であっても、pMIS形成領域1Bにおける窒化金属膜5の表層部分と希土類含有膜6aまたはシリコン膜21との反応物や希土類含有膜6aとシリコン膜21との反応物などは、ステップS13またはステップS14のエッチング工程、あるいはステップS13とステップS14の間に行うウェットエッチング工程によって除去することができる。すなわち、pMIS形成領域1Bにおいて、窒化金属膜5およびそれよりも上部の構造は、ステップS14で窒化金属膜5を除去した段階で、全て除去することができる。
【0159】
以降の工程は、上記実施の形態1と同様である。すなわち、上記実施の形態1と同様に、半導体基板1の主面上に金属膜7を形成し(図19のステップS15)、金属膜7上にシリコン膜8を形成し(図19のステップS16)、シリコン膜8および金属膜7の積層膜をパターニングすることで、図25に示されるようにゲート電極GE1,GE2を形成する(図19のステップS17)。
【0160】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3a上に形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3b上に形成される。すなわち、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE1が、nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3aを介して形成され、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE2が、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3bを介して形成されるのである。
【0161】
ゲート電極GE1,GE2を形成した後の工程は、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその図示および説明は省略する。また、製造された半導体装置の構成は、上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0162】
本実施の形態では、上記実施の形態1で得られる効果に加えて、更に次のような効果を得ることができる。
【0163】
すなわち、本実施の形態では、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3とシリコン膜21とをステップS12aの熱処理で反応させてSiも含有するHf含有絶縁膜3cを形成してから、このHf含有絶縁膜3cと希土類含有膜6aとをステップS12bの熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3aを形成している。希土類元素Ln(特にLa)とHfとの結合力よりも希土類元素Ln(特にLa)とSiとの結合力の方が強いため、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜(例えばHfON膜またはHfO膜)中では、希土類元素Ln(特にLa)の拡散は抑制されやすいのに対して、Siを含有するHf系ゲート絶縁膜(好ましくはHfSiON膜またはHfSiO膜)中では希土類元素Ln(特にLa)は基板方向へ容易に拡散し得る。このため、本実施の形態のように、nMIS形成領域1Aにおいて、Siも含有するHf含有絶縁膜3c(好ましくはHfSiON膜またはHfSiO膜)を一旦形成してから、このHf含有絶縁膜3cを希土類含有膜6aとステップS12bの熱処理で反応させるようにすれば、希土類含有膜6aの希土類元素Ln(特にLa)をHf含有絶縁膜3aにおいて基板方向に十分に拡散させることができる。nMIS形成領域1Aに形成されるnチャネル型MISFETQnのしきい値(の絶対値)をできるだけ低下させるためには、希土類元素Ln(特にLa)がHf含有絶縁膜3aにおいて基板方向に十分に拡散することが好ましい。本実施の形態では、形成されたHf含有絶縁膜3aにおいて希土類元素Ln(特にLa)を基板方向に十分に拡散させることができるため、Hf系ゲート絶縁膜に希土類元素Ln(特にLa)を導入したことによるnチャネル型MISFETQnの低しきい値化の効果を、より向上させることができ、nチャネル型MISFETQnのしきい値(の絶対値)をより低下させることが可能になる。このため、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを備えたCMISFETの特性を更に向上させることができ、半導体装置の性能を更に向上させることができる。
【0164】
一方、上記実施の形態1では、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3と希土類含有膜6とをステップS12の熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3aを形成しているため、半導体装置の製造工程数を低減することができる。このため、半導体装置の製造時間や製造コストを抑制しながら、半導体装置の性能向上を図ることができ、また、半導体装置のスループットも向上させることができる。
【0165】
(実施の形態3)
図26は、本実施の形態の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図であり、上記実施の形態1の図1に対応するものである。図27〜図32は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0166】
本実施の形態の製造工程は、ステップS10でフォトレジストパターンPR1を除去するまでは、上記実施の形態1の製造工程と同様であるので、ここではその説明を省略し、ステップS10のフォトレジストパターンPR1の除去工程以降について説明する。
【0167】
上記実施の形態1のステップS1〜S10と同様の工程を行って上記図8の構造を得た後、本実施の形態では、図27に示されるように、半導体基板1の主面上に、シリコン含有層(Siを含有する層)として酸化シリコン膜(酸化シリコン層)22を形成する(図26のステップS11c)。
【0168】
上記ステップS8,S9のエッチング工程でnMIS形成領域1Aの窒化金属膜5およびAl含有膜4を除去しかつpMIS形成領域1Bの窒化金属膜5およびAl含有膜4を残していたので、ステップS11cでは、酸化シリコン膜22は、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。このため、nMIS形成領域1Aでは酸化シリコン膜22とHf含有絶縁膜3とが接触しているが、pMIS形成領域1Bでは、酸化シリコン膜22とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在するため互いに接触していない状態となる。酸化シリコン膜22は、スパッタリング法などで形成することができ、その膜厚は、例えば0.2〜1nm程度とすることができる。
【0169】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施す(図26のステップS12c)。ステップS12cの熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。このステップS12cの熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3を酸化シリコン膜22と反応させる。すなわち、ステップS12cの熱処理工程においては、nMIS形成領域1Aでは、酸化シリコン膜22とHf含有絶縁膜3とが接触していたために両者が反応して、酸化シリコン膜22を構成するシリコン(Si)と酸素(O)がHf含有絶縁膜3に導入(拡散)される。
【0170】
このステップS12cの熱処理により、図28に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、酸化シリコン膜22とHf含有絶縁膜3とが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3dが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、酸化シリコン膜22のシリコン(Si)と酸素(O)がHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3が、Hf含有絶縁膜3dとなる。Hf含有絶縁膜3dは、Hf(ハフニウム)とSi(シリコン)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなる。Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3dはHfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)であり、Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3dは、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)である。
【0171】
なお、pMIS形成領域1Bでは、酸化シリコン膜22とAl含有膜4とは、間に窒化金属膜5が介在して互いに接触していない状態であるため、ステップS12cの熱処理工程でAl含有膜4およびHf含有絶縁膜3は酸化シリコン膜22とは反応せず、酸化シリコン膜22を構成するSiは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3には導入(拡散)されない。
【0172】
pMIS形成領域1Bにおいては、ステップS12cの熱処理によってHf含有絶縁膜3とAl含有膜4とが反応してHf含有絶縁膜3bが形成されるが、これについては、上記実施の形態1のステップS12の熱処理によってHf含有絶縁膜3とAl含有膜4とが反応してHf含有絶縁膜3bが形成されるのと同様であるため、ここではその説明は省略する。
【0173】
次に、図29に示されるように、半導体基板1の主面上に希土類含有膜6aを形成する(図26のステップS11d)。ステップS11dでは、希土類含有膜6aは、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3d上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。希土類含有膜6aの構成、成膜法および厚みなどについては、上記実施の形態2と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0174】
ステップS12cの熱処理工程の後で、ステップS11dの希土類含有膜6aの形成工程の前に、ステップS12cの熱処理工程で反応しなかった酸化シリコン膜22(未反応の酸化シリコン膜22)をウェットエッチングなどによって除去することが好ましい。この場合、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上に残存していた酸化シリコン膜22は除去されるため、MIS形成領域1Bにおいて、希土類含有膜6aは窒化金属膜5上に接して形成されることになる(図29はこの場合が示されている)。また、他の形態として、ステップS12cの熱処理工程の後で、未反応の酸化シリコン膜22を除去する工程を行わずにステップS11dの希土類含有膜6aの形成工程を行うこともでき、この場合には、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上に酸化シリコン膜22が残存しているため、希土類含有膜6aは、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上の酸化シリコン膜22上に形成されることになる。
【0175】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施す(図26のステップS12d)。ステップS12dの熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。ステップS12dの熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3dと希土類含有膜6aとを反応させる。
【0176】
このステップS12dの熱処理により、図30に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3dとが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3aが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6aの希土類元素LnがHf含有絶縁膜3dに導入されて、Hf含有絶縁膜3dが、Hf含有絶縁膜3aとなる。
【0177】
Hf含有絶縁膜3aは、上記実施の形態1と同様、Hf(ハフニウム)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSi(シリコン)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなり、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素Lnは、希土類含有膜6aが含有していた希土類元素Lnと同じである。Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3dはHfSiON膜であり、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)である。Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3dはHfSiO膜であり、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiO膜(Ln=Laの場合はHfLaSiO膜)である。
【0178】
なお、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3bとの間に窒化金属膜5が介在しているため、ステップS12dの熱処理工程で希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3bとは反応せず、希土類含有膜6aを構成する希土類元素Lnは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bには導入(拡散)されない。
【0179】
また、pMIS形成領域1Bにおいては、上記ステップS12cの熱処理によってHf含有絶縁膜3bが形成され得るが、ステップS12dの熱処理もHf含有絶縁膜3bの形成に寄与し得る。このため、上記ステップS12cの熱処理工程において、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3b上にAl含有膜4の未反応部分が残存した場合には、ステップS12dの熱処理工程においてHf含有絶縁膜3と反応しきれなかったAl含有膜4(Al含有膜4の未反応部分)はpMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bと更に反応することができる。従って、本実施の形態では、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bは、ステップS12cの熱処理とステップS12dの熱処理の一方または両方によって形成される。
【0180】
次に、図31に示されるように、ステップS12dの熱処理工程で反応しなかった希土類含有膜6a(未反応の希土類含有膜6a)を、エッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図26のステップS13)。それから、pMIS形成領域1Bに形成されていた窒化金属膜5をエッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図26のステップS14)。これにより、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3aが露出され、pMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜3bが露出された状態となる。
【0181】
また、ステップS12dの熱処理によって、窒化金属膜5の表層部分が希土類含有膜6aと反応する場合がある。また、上記ステップS12cの熱処理工程の後で、未反応の酸化シリコン膜22を除去する工程を行わずにステップS11dの希土類含有膜6aの形成工程を行った場合には、pMIS形成領域1Bにおいて、ステップS12dの熱処理によって、窒化金属膜5上の酸化シリコン膜22と希土類含有膜6aとが反応したり、あるいは窒化金属膜5の表層部分が酸化シリコン膜22と反応する場合がある。このような場合であっても、pMIS形成領域1Bにおける窒化金属膜5の表層部分と希土類含有膜6aまたは酸化シリコン膜22との反応物や希土類含有膜6aと酸化シリコン膜22との反応物などは、ステップS13またはステップS14のエッチング工程、あるいはステップS13とステップS14の間に行うウェットエッチング工程によって除去することができる。すなわち、pMIS形成領域1Bにおいて、窒化金属膜5およびそれよりも上部の構造は、ステップS14で窒化金属膜5を除去した段階で、全て除去することができる。
【0182】
以降の工程は、上記実施の形態1と同様である。すなわち、上記実施の形態1と同様に、半導体基板1の主面上に金属膜7を形成し(図26のステップS15)、金属膜7上にシリコン膜8を形成し(図26のステップS16)、シリコン膜8および金属膜7の積層膜をパターニングすることで、図32に示されるようにゲート電極GE1,GE2を形成する(図26のステップS17)。
【0183】
上記実施の形態1,2と同様に、本実施の形態においても、ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3a上に形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3b上に形成される。すなわち、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE1が、nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3aを介して形成され、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE2が、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3bを介して形成されるのである。
【0184】
ゲート電極GE1,GE2を形成した後の工程は、上記実施の形態1,2と同様であるので、ここではその図示および説明は省略する。また、製造された半導体装置の構成は、上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0185】
本実施の形態では、上記実施の形態1で得られる効果に加えて、更に次のような効果を得ることができる。
【0186】
すなわち、本実施の形態では、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3と酸化シリコン膜22とをステップS12cの熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3dを形成してから、このHf含有絶縁膜3dと希土類含有膜6aとをステップS12dの熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3aを形成している。上記実施の形態1と同様、本実施の形態においても、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3d(好ましくはHfSiON膜またはHfSiO膜)を一旦形成してから、このHf含有絶縁膜3dを希土類含有膜6aとステップS12dの熱処理で反応させるようにすることで、希土類含有膜6aの希土類元素Ln(特にLa)をHf含有絶縁膜3aにおいて基板方向に十分に拡散させることができる。このため、上記実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、形成されたHf含有絶縁膜3aにおいて希土類元素Ln(特にLa)を基板方向に十分に拡散させることができるため、Hf系ゲート絶縁膜に希土類元素Lnを導入したことによるnチャネル型MISFETQnの低しきい値化の効果を、より向上させることができ、nチャネル型MISFETQnのしきい値(の絶対値)をより低下させることが可能になる。このため、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを備えたCMISFETの特性を更に向上させることができ、半導体装置の性能を更に向上させることができる。
【0187】
更に、本実施の形態では、Hf含有絶縁膜3と酸化シリコン膜22とをステップS12cの熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3dを形成しているため、酸化シリコン膜22からシリコン(Si)だけでなく酸素(O)もHf含有絶縁膜3に導入してHf含有絶縁膜3d(好ましくはHfSiON膜またはHfSiO膜)を形成することができる。このため、Hf系ゲート絶縁膜の酸素欠陥を補填でき、TDDB寿命などを更に向上させることができる。
【0188】
一方、上記実施の形態1では、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3と希土類含有膜6とをステップS12の熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3aを形成しているため、半導体装置の製造工程数を低減することができる。このため、半導体装置の製造時間や製造コストを抑制しながら、半導体装置の性能向上を図ることができ、また、半導体装置のスループットも向上させることができる。
【0189】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0191】
1 半導体基板
1A nMIS形成領域
1B pMIS形成領域
2 素子分離領域
3,3a,3b,3c,3d Hf含有絶縁膜
4 Al含有膜
5 窒化金属膜
6,6a 希土類含有膜
7 金属膜
8 シリコン膜
11 絶縁膜
12 ストッパ絶縁膜
13 絶縁膜
14 配線溝
21 シリコン膜
22 酸化シリコン膜
103a HfLaSiON膜
103b HfAlSiON膜
203a HfLaON膜
203b HfAlON膜
CNT コンタクトホール
EX1,EX101 n−型半導体領域
EX2,EX102 p−型半導体領域
GE1,GE2,GE101,GE102 ゲート電極
M1 配線
NW,NW101 n型ウエル
PG プラグ
PR1 フォトレジストパターン
PW,PW101 p型ウエル
Qn,Qn101,Qn201 nチャネル型MISFET
Qp,Qp101,Qp201 pチャネル型MISFET
SD1,SD101 n+型半導体領域
SD2,SD102 p+型半導体領域
SW,SW101 サイドウォール
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、高誘電率ゲート絶縁膜およびメタルゲート電極を有するCMISFETを備えた半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、イオン注入などによりソース・ドレイン領域を形成することで、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を形成することができる。
【0003】
また、CMISFET(Complementary MISFET)においては、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方において低いしきい値電圧を実現するために、互いに異なる仕事関数(ポリシリコンの場合フェルミ準位)を有する材料を使用してゲート電極を形成する、いわゆるデュアルゲート化が行われている。つまり、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETのゲート電極を形成しているポリシリコン膜に対して、それぞれn型不純物とp型不純物を導入することにより、nチャネル型MISFETのゲート電極材料の仕事関数(フェルミ準位)をシリコンの伝導帯近傍にするとともにpチャネル型MISFETのゲート電極材料の仕事関数(フェルミ準位)をシリコンの価電子帯近傍にして、しきい値電圧の低下を図っている。
【0004】
しかしながら、近年、CMISFET素子の微細化に伴いゲート絶縁膜の薄膜化が進み、ポリシリコン膜をゲート電極に使用した場合におけるゲート電極の空乏化の影響が無視できなくなってきている。このため、ゲート電極としてメタルゲート電極を用いてゲート電極の空乏化現象を抑制する技術がある。
【0005】
また、CMISFET素子の微細化に伴いゲート絶縁膜の薄膜化が進み、薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。このため、ゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料(高誘電率材料)を使用することにより、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることで、リーク電流を低減する技術がある。
【0006】
特開2004−296536号公報(特許文献1)には、高誘電体ゲート絶縁膜を、シリコン基板側から、窒素高濃度層、窒素低濃度層および窒素高濃度層がこの順で積層した構造とする技術が記載されている。
【0007】
特開2005−64317号公報(特許文献2)には、シリコン基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極とを有する半導体装置において、ゲート絶縁膜が第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜の上に形成された第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜の上に形成された金属酸窒化膜とからなり、この金属酸窒化膜をAlON膜およびHfON膜のいずれか一方とする技術が記載されている。
【0008】
特開2008−306051号公報(特許文献3)には、対称フラットバンド電圧、同一ゲート電極材料かつ高誘電率誘電体層を有するCMISFETに関する技術が記載されている。
【0009】
非特許文献1には、高誘電率膜上のLa2O3キャップ層に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−296536号公報
【特許文献2】特開2005−64317号公報
【特許文献3】特開2008−306051号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】T. Kawahara、外12名,“Application of PVD-La2O3 with Å-scale Contorollability to Metal/Cap/High-k Gate Stacks”,「IWDTF−08」,(日本),2008年,p.37−38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0013】
メタルゲート電極を用いた場合、ゲート電極の空乏化の問題は解決できるが、ポリシリコンゲート電極を用いた場合に比べて、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの両方でしきい値電圧の絶対値が大きくなってしまう。このため、メタルゲート電極を適用する場合には、低しきい値化(しきい値電圧の絶対値の低下)を図ることが望まれる。しかしながら、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETとでメタルゲート電極とゲート絶縁膜の構成が同じであれば、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの一方の低しきい値化を図ると、他方は逆に高しきい値化してしまう。
【0014】
このため、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのそれぞれのしきい値電圧を独立に制御可能とすることが望まれるが、そのためには、nチャネル型MISFETのメタルゲート電極とpチャネル型MISFETのメタルゲート電極とに、異なるメタルゲート電極材料を選択することが考えられる。しかしながら、nチャネル型MISFETのメタルゲート電極とpチャネル型MISFETのメタルゲート電極とに異なるメタルゲート電極材料を使用することは、半導体装置の製造工程(ゲート電極形成工程)を煩雑化してしまうため、半導体装置のスループットの低下や半導体装置の製造コストの増大を招いてしまう。
【0015】
そこで、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのそれぞれのしきい値電圧を独立に制御可能とするために、nチャネル型MISFETのゲート絶縁膜とpチャネル型MISFETのゲート絶縁膜とに異なる絶縁材料を選択することが有効である。
【0016】
ゲート絶縁膜用の高誘電率膜(High−k膜)として、Hfを含有する高誘電率膜であるHf系ゲート絶縁膜が優れているが、nチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特に好ましくはランタン)を導入すると、nチャネル型MISFETを低しきい値化することができる。また、pチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜にアルミニウムを導入すると、pチャネル型MISFETを低しきい値化することができる。このため、nチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特にランタン)を選択的に導入し、pチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜にアルミニウムを選択的に導入することにより、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方を低しきい値化することができる。
【0017】
しかしながら、単に、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜に希土類元素を選択的に導入し、pチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜にアルミニウムを選択的に導入した場合には、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETとでゲート絶縁膜のEOT(Equivalent Oxide Thickness:等価酸化膜厚)に大きな差がついてしまうことが、本発明者の検討により分かった。例えば、HfSiON膜にLaを選択的に導入したHfLaSiON膜に比べて、HfSiON膜にAlを選択的に導入したHfAlSiON膜は、比誘電率が小さいことから、EOTが大きくなってしまうのである。
【0018】
HfSiON膜のようなSiを含有するHf系ゲート絶縁膜よりも、HfON膜のようなSiを含有しないHf系ゲート絶縁膜の方が、比誘電率が高いため、Hf系ゲート絶縁膜のEOT低減を図るためには、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜を用いることが有効である。しかしながら、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜において、Laのような希土類元素が導入されてHfLaON膜などになっていると、LaとHfとの結合力が弱いことに起因して、不具合が生じる虞があることが本発明者の検討により分かった。例えば、ゲート電極を加工する際のドライエッチングや、その後にゲート電極で覆われていない部分のゲート絶縁膜をウェットエッチングする際に、HfLaON膜からLaOが容易に乖離または溶出してしまい、異物生成やゲート電極の側壁からゲート絶縁膜であるHfLaON膜が後退してしまうなどの不具合を生じる虞がある。これは、半導体装置の性能を低下させてしまう。また、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜にLaを導入して低しきい値化を図るには、LaがHf系ゲート絶縁膜中を基板方向に十分に拡散していることが好ましいが、HfLaSiO膜に比べてHfLaON膜では、LaとHfとの結合力が弱いことに起因してLaが拡散しにくくなる。このため、HfLaSiO膜をゲート絶縁膜に用いたnチャネル型MISFETに比べて、HfLaON膜をゲート絶縁膜に用いたnチャネル型MISFETは、Laを導入したことによる低しきい値化の効果が小さく、しきい値電圧の絶対値が大きくなってしまう。これも、半導体装置の性能を低下させてしまう。
【0019】
本発明の目的は、高誘電率ゲート絶縁膜とメタルゲート電極を有するCMISFETを備えた半導体装置において、性能向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0020】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0022】
代表的な実施の形態による半導体装置は、nチャネル型の第1MISFETとpチャネル型の第2MISFETを備え、前記第1MISFETは、半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1メタルゲート電極を有し、前記第2MISFETは、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2メタルゲート電極を有している。そして、前記第1ゲート絶縁膜は、ハフニウムと希土類元素とシリコンと酸素とを主成分として含有する絶縁材料からなり、前記第2ゲート絶縁膜は、ハフニウムとアルミニウムと酸素とを主成分として含有するがシリコンを主成分として含有しない絶縁材料からなるものである。
【0023】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法である。まず、前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用のHf含有絶縁膜を前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成し、前記第2領域の前記Hf含有絶縁膜上にAlを含有するAl含有膜を形成し、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜上に希土類元素とシリコンとを含有する希土類含有膜を形成する。そして、熱処理を行うことで、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜を前記希土類含有膜と反応させ、前記第2領域の前記Hf含有絶縁膜を前記Al含有膜と反応させるものである。
【0024】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法である。まず、前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用のHf含有絶縁膜を前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成し、前記第2領域の前記Hf含有絶縁膜上にAlを含有するAl含有膜を形成し、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜上にシリコンまたは酸化シリコンからなるシリコン含有層を形成する。それから、熱処理を行うことで、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜を前記シリコン含有層と反応させ、前記第2領域の前記Hf含有絶縁膜を前記Al含有膜と反応させる。その後、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜上に希土類元素を含有する希土類含有膜を形成してから、熱処理を行うことで、前記第1領域の前記Hf含有絶縁膜を前記希土類含有膜と反応させるものである。
【発明の効果】
【0025】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0026】
代表的な実施の形態によれば、半導体装置の性能向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図3】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図17】本発明者が検討した第1の比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図18】本発明者が検討した第2の比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図19】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図20】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図26】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図27】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0030】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置、ここではCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置の要部断面図である。
【0033】
図1に示されるように、本実施の形態の半導体装置は、半導体基板1のnMIS形成領域1Aに形成されたnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS型電界効果トランジスタ)Qnと半導体基板1のpMIS形成領域1Bに形成されたpチャネル型MISFETQpとを有している。
【0034】
すなわち、p型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板1は、素子分離領域2によって規定されて互いに電気的に分離されたnMIS形成領域(第1領域)1AおよびpMIS形成領域(第2領域)1Bを有しており、nMIS形成領域1Aの半導体基板1にp型ウエルPWが形成され、pMIS形成領域1Bの半導体基板1にn型ウエルNWが形成されている。nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWの表面上には、nチャネル型MISFET(第1MISFET)Qnのゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)3aを介して、nチャネル型MISFETQnのゲート電極(第1メタルゲート電極、第1ゲート電極)GE1が形成されている。また、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWの表面上には、pチャネル型MISFET(第2MISFET)Qpのゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)3bを介して、pチャネル型MISFETQpのゲート電極(第2メタルゲート電極、第2ゲート電極)GE2が形成されている。また、Hf含有絶縁膜3aおよびHf含有絶縁膜3bは、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)上に直接的に形成することもできるが、Hf含有絶縁膜3aおよびHf含有絶縁膜3bと半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)との界面に、薄い酸化シリコン膜(図示せず)を界面層として設けることもできる。この界面層としては、酸化シリコン膜の代わりに酸窒化シリコン膜を用いることもできる。
【0035】
各ゲート電極GE1,GE2は、ゲート絶縁膜(nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3a、pMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜3b)に接する金属膜(メタルゲート膜)7と、この金属膜7上のシリコン膜8との積層膜で構成されている。金属膜7は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜または炭化タンタル(TaC)膜であり、最も好ましくは、窒化チタン(TiN)膜である。
【0036】
nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜3aは、Hf(ハフニウム)と希土類元素とSi(シリコン)とO(酸素)とを主成分として含有する絶縁材料からなる。Hf含有絶縁膜3aが、更にN(窒素)も含有していれば、リーク電流の更なる低減を図ることができるため、より好ましい。また、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素は、La(ランタン)が特に好ましい。従って、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素をLnとすると、Hf含有絶縁膜3aは、好ましくは、HfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)またはHfLnSiO膜(Ln=Laの場合はHfLaSiO膜)である。
【0037】
一方、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として機能するHf含有絶縁膜3bは、Hf(ハフニウム)とAl(アルミニウム)とO(酸素)とを主成分として含有する絶縁材料からなる。Hf含有絶縁膜3bが、更にN(窒素)も含有していれば、リーク電流の更なる低減を図ることができるため、より好ましい。従って、Hf含有絶縁膜3bは、好ましくは、HfAlON膜またはHfAlO膜である。
【0038】
ここで、HfLnSiON膜は、ハフニウム(Hf)と希土類元素(Ln)とシリコン(ケイ素、Si)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfLnSiO膜は、ハフニウム(Hf)と希土類元素(Ln)とシリコン(Si)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。また、HfLaSiON膜は、ハフニウム(Hf)とランタン(La)とシリコン(Si)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfLaSiO膜は、ハフニウム(Hf)とランタン(La)とシリコン(Si)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。また、HfAlON膜は、ハフニウム(Hf)とアルミニウム(Al)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfAlO膜は、ハフニウム(Hf)とアルミニウム(Al)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。
【0039】
なお、HfLnSiON膜と表記した場合、HfLnSiON膜におけるHfとLnとSiとOとNの原子比は1:1:1:1:1に限定されるものではない。このことは、ここで述べたHfLnSiO膜、HfLaSiON膜、HfLaSiO膜、HfAlON膜およびHfAlO膜や、後述するHfON膜、HfO膜、HfSiON膜、HfSiO膜、LnSiO膜、LaSiO膜、AlON膜、AlO膜、HfAlSiON膜およびHfLaON膜などについても同様である。
【0040】
Hf含有絶縁膜3aは、nチャネル型MISFETQnの低しきい値化に有効な希土類元素(特に好ましくはLa)を含有し、一方、Hf含有絶縁膜3bは、pチャネル型MISFETQpの低しきい値化に有効なAlを含有しているが、対照的なのは、Hf含有絶縁膜3aがSi(シリコン)を主成分として含有しているのに対して、Hf含有絶縁膜3bがSi(シリコン)を主成分として含有していないことである。また、Hf含有絶縁膜3aは、Alを含有していないことが好ましく、また、Hf含有絶縁膜3bは、希土類元素(特にLa)を含有していないことが好ましい。Hf含有絶縁膜3aとHf含有絶縁膜3bとは、それぞれ酸化シリコンよりも誘電率(比誘電率)が高い絶縁材料膜、いわゆるHigh−k膜(高誘電率膜)である。
【0041】
なお、Hf含有絶縁膜3bと後述のHf含有絶縁膜3およびAl含有膜4とは、Si(シリコン)を含有していないことを特徴の一つとしているが、CMISFETデバイス作製フローの全ての処理が施された後は、意図しない程度の微量の不純物としてSiが混入していることはあり得る。
【0042】
nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWには、nチャネル型MISFETQnのLDD(Lightly doped Drain)構造のソース・ドレイン領域として、n−型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)EX1とそれよりも高不純物濃度のn+型半導体領域(ソース・ドレイン領域)SD1とが形成されている。また、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWには、pチャネル型MISFETQpのLDD構造のソース・ドレイン領域として、p−型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)EX2とそれよりも高不純物濃度のp+型半導体領域(ソース・ドレイン領域)SD2とが形成されている。
【0043】
ゲート電極GE1,GE2の側壁上には、絶縁体からなるサイドウォール(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWが形成されている。nMIS形成領域1Aにおいて、n−型半導体領域EX1は、ゲート電極GE1に整合して形成され、n+型半導体領域SD1はゲート電極GE1の側壁上に設けられたサイドウォールSWに整合して形成されている。また、pMIS形成領域1Bにおいて、p−型半導体領域EX2は、ゲート電極GE2に整合して形成され、p+型半導体領域SD2はゲート電極GE2の側壁上に設けられたサイドウォールSWに整合して形成されている。
【0044】
nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを覆うようにして、半導体基板1の主面上に、層間絶縁膜として絶縁膜11が形成されており、この絶縁膜11には、コンタクトホールCNTが形成され、コンタクトホールCNT内にはプラグPGが埋め込まれている。プラグPGが埋め込まれた絶縁膜11上には、下から順にストッパ絶縁膜12および絶縁膜13からなる積層膜が形成されており、この積層膜に形成された配線溝内に配線M1が形成され(埋め込まれ)ている。配線M1は、プラグPGを介してnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソース・ドレイン用のn+型半導体領域SD1およびp+型半導体領域SD2などと電気的に接続されている。更に上層には多層配線構造が形成されているが、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0045】
次に、図1に示されるような本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。
【0046】
図2は、本実施の形態の半導体装置、ここではCMISFETを有する半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図3〜図16は、本実施の形態の半導体装置、ここではCMISFETを有する半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0047】
まず、図3に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する(図2のステップS1)。本実施の形態の半導体装置が形成される半導体基板1は、nチャネル型のMISFETが形成される領域であるnMIS形成領域1Aと、pチャネル型のMISFETが形成される領域であるpMIS形成領域1Bとを有している。それから、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する(図2のステップS2)。素子分離領域2は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。例えば、半導体基板1に形成された溝(素子分離溝)に埋め込まれた絶縁膜により、素子分離領域2を形成することができる。
【0048】
次に、半導体基板1のnチャネル型MISFETを形成する領域(nMIS形成領域1A)にp型ウエルPWを形成し、pチャネル型MISFETを形成する領域(pMIS形成領域1B)にn型ウエルNWを形成する(図2のステップS3)。このステップS3において、p型ウエルPWは、例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成され、n型ウエルNWは、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより形成される。また、p型ウエルPWおよびn型ウエルNWの形成前または形成後に、半導体基板1の上層部に対して、後で形成されるMISFETのしきい値調整用のイオン注入(いわゆるチャネルドープイオン注入)を必要に応じて行なうこともできる。
【0049】
次に、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウェットエッチングなどにより半導体基板1の表面の自然酸化膜を除去することによって、半導体基板1の表面を清浄化(洗浄)する。これにより、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)が露出される。
【0050】
次に、図4に示されるように、半導体基板1の表面(すなわちp型ウエルPWおよびn型ウエルNWの表面)上に、ゲート絶縁膜用のHf含有絶縁膜(第1絶縁膜)3を形成する(図2のステップS4)。Hf含有絶縁膜3は、半導体基板1の主面全面に形成されるため、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの両方に形成される。このHf含有絶縁膜3は、上記nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜形成用のベースとなる絶縁膜である。
【0051】
Hf含有絶縁膜3は、Hfを含有する絶縁膜であり、Hf(ハフニウム)を含有する絶縁材料からなるが、Si(シリコン)を含有していないことも特徴の一つである。すなわち、Hf含有絶縁膜3は、Hfを含有しかつSiを含有しない絶縁膜である。Hf含有絶縁膜3は、好ましくはHfON膜(酸窒化ハフニウム膜またはハフニウムオキシナイトライド膜)またはHfO膜(酸化ハフニウム膜またはハフニウムオキサイド膜、代表的なのはHfO2膜)とすることができる。従って、Hf含有絶縁膜3は、ハフニウム(Hf)に加えて、更に酸素(O)も含有している。なお、HfON膜(酸窒化ハフニウム膜)は、ハフニウム(Hf)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfO膜(酸化ハフニウム膜)は、ハフニウム(Hf)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。また、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)やHfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)はSiを含有しているため、Hf含有絶縁膜3としてHfSiON膜やHfSiO膜は用いないことに注意すべきである。
【0052】
Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、ALD法(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)またはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法を用いてまずHfO膜(代表的にはHfO2膜)を堆積してから、このHfO膜をプラズマ窒化処理のような窒化処理で窒化する(すなわちHfO膜をHfON膜にする)ことによって、HfON膜を形成することができる。この窒化処理の後に、不活性または酸化雰囲気中で熱処理する場合もある。
【0053】
Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合には、ALD法またはCVD法を用いてHfO膜(代表的にはHfO2膜)を堆積すればよく、窒化処理を行う必要はない。
【0054】
また、Hf含有絶縁膜3は、リーク電流抑制の観点から、HfO膜(酸化ハフニウム膜)よりもHfON膜(酸窒化ハフニウム膜)である方がより好ましく、Hf含有絶縁膜3としてHfON膜(酸窒化ハフニウム膜)を用いることで、リーク電流の更なる低減を図ることができる。また、Hf含有絶縁膜3の膜厚は、例えば2〜3nm程度とすることができる。
【0055】
また、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)上に直接的にHf含有絶縁膜3を形成することもできるが、ステップS4において、Hf含有絶縁膜3を形成する前に、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)上に、薄い酸化シリコン膜(図示せず)を界面層として形成しておき、この酸化シリコン膜(界面層)上にHf含有絶縁膜3を形成すれば、より好ましい。この酸化シリコン膜を形成する理由は、ゲート絶縁膜と半導体基板の界面をSiO2/Si構造にすることで、これまでのSiO2ゲート絶縁膜(酸化シリコンからなるゲート絶縁膜)と同等にトラップなどの欠陥数を減らして、駆動能力や信頼性を向上させるためである。この酸化シリコン膜(界面層)は、熱酸化法などを用いて形成することができ、その膜厚は薄く、好ましくは0.3〜1nm、例えば0.6nm程度とすることができる。この界面層としては、酸化シリコン膜の代わりに酸窒化シリコン膜を形成することもできる。
【0056】
次に、図5に示されるように、半導体基板1の主面上に、すなわちHf含有絶縁膜3上に、Al含有膜(Al含有層)4を形成する(図2のステップS5)。このステップS5において、Al含有膜4は、半導体基板1の主面全面に形成されるため、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3上に形成される。
【0057】
Al含有膜4は、Al(アルミニウム)を含有する材料膜であり、Al(アルミニウム)を含有する材料からなるが、Si(シリコン)を含有していないことも特徴の一つである。すなわち、Al含有膜4は、Alを含有しかつSiを含有しない膜である。Al含有膜4としては、酸化アルミニウム膜(AlO膜、代表的にはAl2O3膜)が最も好ましいが、それ以外にも、酸窒化アルミニウム膜(アルミニウム酸窒化物膜、AlON膜)またはアルミニウム膜(Al膜)などを用いることもできる。また、AlSiO膜(アルミニウムシリケート膜)やAlSiON膜はSiを含有しているため、Al含有膜4としてAlSiO膜やAlSiON膜は用いないことに注意すべきである。Al含有膜4は、スパッタリング法またはALD法などによって形成することができ、その膜厚は、例えば0.5〜1nm程度とすることができる。
【0058】
次に、半導体基板1の主面上に、すなわちAl含有膜4上に、反応防止用のマスク層として窒化金属膜(マスク層)5を形成する(図2のステップS6)。このステップS6において、窒化金属膜5は、半導体基板1の主面全面に形成されるため、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1BのAl含有膜4上に形成される。
【0059】
窒化金属膜5は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜、窒化ハフニウム(HfN)膜または窒化ジルコニウム(ZrN)膜であり、その中でも特に好ましいのは窒化チタン(TiN)膜である。窒化金属膜5は、スパッタリング法などを用いて形成することができ、その膜厚は、例えば5〜20nm程度とすることができる。
【0060】
次に、図6に示されるように、半導体基板1の主面上に、すなわち窒化金属膜5上に、フォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光、現像することで、レジストパターンとしてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR1を形成する(図2のステップS7)。
【0061】
フォトレジストパターンPR1は、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上には形成されるが、nMIS形成領域1Aには形成されない。このため、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5はフォトレジストパターンPR1で覆われているが、nMIS形成領域1Aの窒化金属膜5はフォトレジストパターンPR1で覆われずに露出した状態となる。
【0062】
次に、図7に示されるように、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、nMIS形成領域1Aの窒化金属膜5をエッチング(好ましくはウェットエッチング)して除去する(図2のステップS8)。続いて、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、nMIS形成領域1AのAl含有膜4をエッチング(好ましくはウェットエッチング)して除去する(図2のステップS9)。
【0063】
このステップS8,S9のエッチング工程によって、図7に示されるように、nMIS形成領域1Aの窒化金属膜5およびAl含有膜4はエッチングされて除去されるが、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5およびAl含有膜4はフォトレジストパターンPR1で覆われているので、エッチングされずに残存する。これにより、nMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3は露出されるが、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3は、Al含有膜4および窒化金属膜5の積層膜で覆われた状態(すなわち露出していない状態)が維持される。
【0064】
次に、図8に示されるように、フォトレジストパターンPR1を除去する(図2のステップS10)。
【0065】
次に、図9に示されるように、半導体基板1の主面上に、希土類含有膜(希土類含有層)6を形成する(図2のステップS11)。
【0066】
上記ステップS8,S9のエッチング工程でnMIS形成領域1Aの窒化金属膜5およびAl含有膜4を除去しかつpMIS形成領域1Bの窒化金属膜5およびAl含有膜4を残していたので、ステップS11では、希土類含有膜6は、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。このため、nMIS形成領域1Aでは希土類含有膜6とHf含有絶縁膜3とが接触しているが、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在するため互いに接触していない状態となる。
【0067】
希土類含有膜6は、希土類元素を含有し、特に好ましくはLa(ランタン)を含有しているが、更にSi(シリコン)も含有していることが特徴の一つである。すなわち、希土類含有膜6は、希土類元素(特に好ましくはLa)とSi(シリコン)とを含有する膜であり、希土類元素(特に好ましくはLa)とSiとを含有する材料からなる。希土類含有膜6としては、希土類シリケート膜(LnSiO膜)が好ましく、希土類含有膜6が含有する希土類としてはLaが特に好ましいため、希土類含有膜6としては、ランタンシリケート膜(LaSiO膜)が特に好ましい。なお、希土類シリケート膜(LnSiO膜)は、希土類(Ln)とシリコン(Si)と酸素(O)とで構成された材料膜であり、ランタンシリケート膜(LaSiO膜)は、ランタン(La)とシリコン(Si)と酸素(O)とで構成された材料膜である。希土類含有膜6の膜厚は、例えば0.5〜1nm程度とすることができる。
【0068】
なお、本願において、希土類または希土類元素とは、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までのランタノイドに、スカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)を加えたものを言うものとする。また、希土類含有膜6が含有する希土類元素をLnと表記するものとする。また、Hfを含有するゲート絶縁膜をHf系ゲート絶縁膜と称するものとする。
【0069】
希土類含有膜6は、スパッタリング法によって形成することが好ましい。これは、CVD法だと、形成された膜中に炭素(C)や塩素(Cl)などの不純物が含まれやすいのに対して、スパッタリング法では、形成された膜中へ不純物が含まれにくいためである。また、希土類含有膜6は厚みが薄いが、スパッタリング法は、このような薄い膜を制御性良く形成することができる。
【0070】
希土類含有膜6としてランタンシリケート膜(LaSiO膜)を用い、このランタンシリケート膜(LaSiO膜)をスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングに用いるターゲットには、次の3種類がある。
【0071】
第1に、シリコンターゲット(Siターゲット)と酸化ランタンターゲット(LaOxターゲット)とを用いて、スパッタリングでランタンシリケート膜(LaSiO膜)を成膜する手法である。この場合、室温(半導体基板1の温度が室温)のスパッタリング法でランタンシリケート膜(LaSiO膜)を成膜することで、SiとLaOxとの凝集を生じずに、LaOxを効率的に基板側に拡散できる。また、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上にランタンシリケート膜(LaSiO膜)が形成されるが、窒化金属膜5をさほど酸化させないため、後述の窒化金属膜5の除去工程で窒化金属膜5を除去しやすい。
【0072】
第2に、酸化シリコンターゲット(SiOxターゲット)と酸化ランタンターゲット(LaOxターゲット)とを用いて、スパッタリングでランタンシリケート膜(LaSiO膜)を成膜する手法である。この場合、酸化シリコンターゲット(SiOxターゲット)を用いることで、High−kゲート絶縁膜の酸素欠陥を補填でき、TDDB(Time Dependence on Dielectric Breakdown)寿命などを向上させることができる。
【0073】
第3に、ランタンシリケートターゲット(LaSiOターゲット)を用いて、スパッタリングでランタンシリケート膜(LaSiO膜)を成膜する手法である。この場合、ランタンシリケートターゲット(LaSiOターゲット)を用いることで、High−kゲート絶縁膜の酸素欠陥を補填でき、TDDB(Time Dependence on Dielectric Breakdown)寿命などを向上させることができる。また、酸化ランタンターゲット(LaOxターゲット)を用いた場合に懸念される潮解性が、ランタンシリケートターゲット(LaSiOターゲット)を用いた場合には抑制されるため、ランタンシリケート膜(LaSiO膜)をより安定して形成することができる。
【0074】
上述のようにして希土類含有膜6を形成した後、半導体基板1に対して熱処理を施す(図2のステップS12)。ステップS12の熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。
【0075】
このステップS12の熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3を希土類含有膜6と反応させ、pMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3をAl含有膜4と反応させる。すなわち、ステップS12の熱処理工程においては、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6とHf含有絶縁膜3とが接触していたために両者が反応して、希土類含有膜6を構成する希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSiとがHf含有絶縁膜3に導入(拡散)される。また、ステップS12の熱処理工程において、pMIS形成領域1Bでは、Al含有膜4とHf含有絶縁膜3とが接触していたために両者が反応して、Al含有膜4を構成するAlがHf含有絶縁膜3に導入(拡散)される。なお、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在して互いに接触していない状態であるため、Al含有膜4およびHf含有絶縁膜3は希土類含有膜6と反応せず、希土類含有膜6を構成する希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSiとは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3には導入(拡散)されない。
【0076】
このステップS12の熱処理により、図10に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6とHf含有絶縁膜3とが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3aが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6の希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSiがHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3が、Hf含有絶縁膜3aとなる。ここで、希土類含有膜6が含有する希土類元素をLnと表記しており、例えば、希土類含有膜6がランタンシリケート膜(LaSiO膜)の場合は、Ln=Laであり、希土類含有膜6がイットリウムシリケート膜(YSiO膜)の場合は、Ln=Yである。
【0077】
また、このステップS12の熱処理により、図10に示されるように、pMIS形成領域1Bでは、Al含有膜4とHf含有絶縁膜3とが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3bが形成される。すなわち、pMIS形成領域1Bでは、Al含有膜4のAlがHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3が、Hf含有絶縁膜3bとなる。
【0078】
Hf含有絶縁膜3aは、Hf(ハフニウム)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSi(シリコン)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなり、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素Lnは、希土類含有膜6が含有していた希土類元素Lnと同じである。従って、Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)である。Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3aは、HfLnSiO膜(Ln=Laの場合はHfLaSiO膜)である。
【0079】
一方、Hf含有絶縁膜3bは、Hf(ハフニウム)とAl(アルミニウム)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなるが、Si(シリコン)を含有していない。Hf含有絶縁膜3bがSi(シリコン)を含有していないのは、Hf含有絶縁膜3とAl含有膜4のいずれもがSi(シリコン)を含有していなかったためである。従って、Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3bはHfAlON膜となり、Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3bは、HfAlO膜となる。
【0080】
また、希土類含有膜6は、上述のように好ましくは希土類シリケート膜(特に好ましくはランタンシリケート膜)である。この場合、希土類含有膜6は、希土類元素Lnおよびシリコン(Si)以外に酸素(O)も含有しているが、Hf含有絶縁膜3も酸素(O)を含有しているため、ステップS12の熱処理で希土類含有膜6の酸素(O)がHf含有絶縁膜3に導入されるかどうかにかかわらず、Hf含有絶縁膜3aは、酸素(O)も含有したものとなる。実際には、希土類含有膜6の希土類元素Lnおよびシリコン(Si)だけでなく、希土類含有膜6の酸素(O)もHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3aが形成される。
【0081】
また、Al含有膜4は、上述のように好ましくは酸化アルミニウム膜であり、この場合、Al含有膜4は、アルミニウム(Al)以外に酸素(O)も含有しているが、Hf含有絶縁膜3も酸素(O)を含有しているため、ステップS12の熱処理でAl含有膜4の酸素(O)がHf含有絶縁膜3に導入されるかどうかにかかわらず、Hf含有絶縁膜3bは、酸素(O)も含有したものとなる。実際には、Al含有膜4のアルミニウム(Al)だけでなく、Al含有膜4の酸素(O)もHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3bが形成される。従って、Hf含有絶縁膜3がHfON膜でかつAl含有膜4が酸化アルミニウム膜またはアルミニウム膜の場合は、Hf含有絶縁膜3bはHfAlON膜であり、Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)でかつAl含有膜4が酸化アルミニウム膜またはアルミニウム膜の場合は、Hf含有絶縁膜3bは、HfAlO膜である。
【0082】
また、Al含有膜4が酸窒化アルミニウム膜(AlON膜)の場合には、Al含有膜4のアルミニウム(Al)だけでなく、Al含有膜4の酸素(O)と窒素(N)もHf含有絶縁膜3に導入されてHf含有絶縁膜3bが形成されるため、Hf含有絶縁膜3がHfON膜とHfO膜のいずれであっても、Hf含有絶縁膜3bはHfAlON膜となり得る。
【0083】
また、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6は窒化金属膜5上に形成されているため、このpMIS形成領域1Bの希土類含有膜6は、窒化金属膜5とほとんど反応せずに残存する。すなわち、窒化金属膜5の材料として、ステップS12の熱処理工程の熱処理温度でも安定で、Hf含有絶縁膜3、Al含有膜4および希土類含有膜6のいずれとも反応し難い材料を選択しておくのである。このような材料として、窒化金属はふさわしく、窒化チタン(TiN)、窒化ハフニウム(HfN)または窒化ジルコニウム(ZrN)は特に好ましい。
【0084】
また、上述のように、ステップS4でHf含有絶縁膜3を形成する前に、半導体基板1(p型ウエルPWおよびn型ウエルNW)の表面(シリコン面)上に、薄い酸化シリコン膜(図示せず)を界面層として形成し、この酸化シリコン膜上にHf含有絶縁膜3を形成した場合には、ステップS12の熱処理時には、Hf含有絶縁膜3と下部の酸化シリコン膜との反応を抑制して、界面層としての酸化シリコン膜を残存させることが好ましい。すなわち、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3aと半導体基板1(p型ウエルPW)との間の界面層として酸化シリコン膜を残存させ、またpMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3bと半導体基板1(n型ウエルNW)との間の界面層として酸化シリコン膜を残存させることが好ましい。これにより、駆動力や信頼性の劣化を抑制した良好なデバイスを作製することができる。界面層としては、酸化シリコン膜の代わりに酸窒化シリコン膜を用いることもできる。
【0085】
次に、図11に示されるように、ステップS12の熱処理工程で反応しなかった希土類含有膜6(未反応の希土類含有膜6)を、エッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図2のステップS13)。それから、窒化金属膜5をエッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図2のステップS14)。
【0086】
ステップS13の希土類含有膜6のエッチング工程により、pMIS形成領域1Bでは、窒化金属膜5上の希土類含有膜6が除去されて窒化金属膜5が露出し、nMIS形成領域1Aでは、ステップS12の熱処理でHf含有絶縁膜3と反応しきれなかった希土類含有膜6が除去されてHf含有絶縁膜3aが露出される。希土類含有膜6の形成時の膜厚によっては、ステップS12の熱処理時に、nMIS形成領域1Aの希土類含有膜6の全厚み分がHf含有絶縁膜3と反応する場合もあるが、この場合も、ステップS13の希土類含有膜6のエッチング工程後には、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5が露出し、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3aが露出された状態となる。そして、ステップS14の窒化金属膜5のエッチング工程によって、pMIS形成領域1Bに形成されていた窒化金属膜5が除去され、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bが露出される。
【0087】
また、窒化金属膜5はステップS12の熱処理工程で希土類含有膜6と反応し難い膜であるが、たとえ窒化金属膜5の表層部分(希土類含有膜6に接していた部分)がステップS12の熱処理工程で希土類含有膜6と反応してTiLnSiON層(窒化金属膜5が窒化チタン膜の場合)などが窒化金属膜5の表面に薄く形成されたとしても、ステップS13またはステップS14のエッチング工程で、除去され得る。また、ステップS13の希土類含有膜6のエッチング工程の後で、ステップS14の窒化金属膜5のエッチング工程の前に、上記TiLnSiON層を除去するためのエッチング(好ましくはウェットエッチング)を行うこともできる。なお、窒化金属膜5が窒化チタン以外の窒化金属膜の場合には、上記TiLnSiON層は、Tiを窒化金属膜5を構成する金属元素に置換したものとなる。
【0088】
ステップS14の窒化金属膜5のエッチング工程後には、nMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3aおよびpMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bの両者が露出された状態となる。
【0089】
また、Al含有膜4の形成時の膜厚によっては、ステップS12の熱処理時に、pMIS形成領域1BのAl含有膜4の全厚み分がHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)してHf含有絶縁膜3bになる場合と、pMIS形成領域1BのAl含有膜4の下層部分のみがHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)してHf含有絶縁膜3bになる場合とがあり得る。ステップS12の熱処理の際にpMIS形成領域1BのAl含有膜4の全厚み分がHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)してHf含有絶縁膜3bが形成された場合には、Hf含有絶縁膜3b上にはAl含有膜4の未反応部分は残存しないため、後述のステップS15で金属膜7はHf含有絶縁膜3b上に直接形成されることになり、金属膜7がHf含有絶縁膜3bに接した状態となる。一方、ステップS12の熱処理の際にpMIS形成領域1BのAl含有膜4の下層部分のみがHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)してHf含有絶縁膜3bが形成された場合には、Hf含有絶縁膜3b上にはAl含有膜4の未反応部分が薄く残存することになるため、後述のステップS15で形成される金属膜7とHf含有絶縁膜3bとの間には、Al含有膜4の未反応部分が介在することになる。Hf系ゲート絶縁膜およびメタルゲート電極を有するpチャネル型MISFETにおいては、Hf系ゲート絶縁膜中にAlが導入(ミキシング)されていれば、pチャネル型MISFETを低しきい値化することができるが、Hf系ゲート絶縁膜とメタルゲート電極の間にAl酸化物(Al含有膜4)が介在していても、このAl酸化物(Al含有膜4)は、pチャネル型MISFETの低しきい値化に寄与する。このため、ステップS12の熱処理の際に、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3b上にAl含有膜4の未反応部分が残存しなかった場合と、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3b上にAl含有膜4の未反応部分が残存した場合のいずれにおいても、pチャネル型MISFETQpの低しきい値化を図ることができる。すなわち、本実施の形態および後述の実施の形態2,3は、ゲート電極GE2の金属膜7とHf含有絶縁膜3bとの間に、Al含有膜4の未反応部分が残存(介在)していない場合と残存(介在)している場合のいずれにおいても有効であり、pチャネル型MISFETQpの低しきい値化を図ることができるのである。
【0090】
一方、Hf系ゲート絶縁膜およびメタルゲート電極を有するnチャネル型MISFETにおいては、Hf系ゲート絶縁膜中にLaなどの希土類元素が導入(ミキシング)されていれば、nチャネル型MISFETを低しきい値化することができるが、Hf系ゲート絶縁膜とメタルゲートの間にLa酸化物層などが未反応で介在していても、このLa酸化物層は、nチャネル型MISFETの低しきい値化にはあまり寄与しない。nチャネル型MISFETの低しきい値化には、Hf系ゲート絶縁膜中にLaなどの希土類元素を導入することが有効なのである。本実施の形態では、ステップS12の熱処理によってnMIS形成領域1Aの希土類含有膜6がHf含有絶縁膜3と反応(ミキシング)して、希土類元素Lnが導入されたHf系ゲート絶縁膜(すなわちHf含有絶縁膜3a)を形成することで、nチャネル型MISFETQnを低しきい値化することができる。そして、たとえステップS12の熱処理の際にnMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3a上に希土類含有膜6の未反応部分が残存した場合であっても、この未反応部分はステップS13の希土類含有膜6のエッチング工程で除去されるため、後述のステップS15で金属膜7はHf含有絶縁膜3a上に直接形成されることになり、ゲート電極GE1の金属膜7はHf含有絶縁膜3aに接した状態となる。
【0091】
次に、図12に示されるように、半導体基板1の主面上に、メタルゲート(金属ゲート電極)用の金属膜(金属層、メタルゲート膜)7を形成する(図2のステップS15)。ステップS15においては、nMIS形成領域1Aでは、Hf含有絶縁膜3a上に金属膜7が形成され、pMIS形成領域1Bでは、Hf含有絶縁膜3b上に金属膜7が形成される。金属膜7は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜または炭化タンタル(TaC)膜であり、最も好ましくは、窒化チタン(TiN)膜である。金属膜7は、例えばスパッタリング法などにより形成することができる。金属膜7の膜厚は、例えば10〜20nm程度とすることができる。
【0092】
なお、本願において、金属膜(金属層)とは、金属伝導を示す導電膜(導電層)を言い、単体の金属膜や合金膜だけでなく、金属伝導を示す金属化合物膜(窒化金属膜や炭化金属膜など)も含むものとする。このため、金属膜7は、金属伝導を示す導電膜であり、金属級に抵抗率が低く、好ましくは上述のように窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜または炭化タンタル(TaC)膜である。
【0093】
次に、半導体基板1の主面上に、すなわち金属膜7上に、シリコン膜8を形成する(図2のステップS16)。シリコン膜8は、多結晶シリコン膜または非晶質シリコン膜とすることができるが、成膜時には非晶質シリコン膜であった場合でも、成膜後の熱処理(例えばソース・ドレイン用に導入した不純物の活性化アニール)で多結晶シリコン膜となる。シリコン膜8の膜厚は、例えば100nm程度とすることができる。
【0094】
ステップS15で形成する金属膜7の厚みを厚くすることでステップS16のシリコン膜8の形成工程を省略する(すなわちゲート電極GE1,GE2をシリコン膜8無しの金属膜7で形成する)ことも可能であるが、ステップS16で金属膜7上にシリコン膜8を形成する(すなわちゲート電極GE1,GE2を金属膜7とその上のシリコン膜8との積層膜で形成する)方が、より好ましい。その理由は、金属膜7の厚みが厚すぎると、金属膜7が剥離しやすくなる問題や、あるいは金属膜7をパターニングする際のオーバーエッチングによる基板ダメージの問題が生じる可能性があるが、金属膜7とシリコン膜8との積層膜でゲート電極を形成することで、金属膜7のみでゲート電極を形成する場合に比べて金属膜7の厚みを薄くすることができるため、上記問題を改善できるからである。また、金属膜7上にシリコン膜8を形成した場合、これまでのポリシリコンゲート電極(ポリシリコンからなるゲート電極)の加工方法やプロセスを踏襲できるため、微細加工性、製造コストおよび歩留まりの点でも優位である。
【0095】
次に、図13に示されるように、シリコン膜8および金属膜7の積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング(好ましくはドライエッチング)技術を用いてパターニングすることで、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE1,GE2を形成する(図2のステップS17)。
【0096】
ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3a上に形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3b上に形成される。すなわち、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE1が、nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3aを介して形成され、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE2が、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3bを介して形成されるのである。Hf含有絶縁膜3aとHf含有絶縁膜3bとは、いずれも酸化シリコンよりも誘電率(比誘電率)が高い。
【0097】
ステップS17でシリコン膜8および金属膜7をパターニングするドライエッチング工程の後に、ゲート電極GE1で覆われない部分のHf含有絶縁膜3aとゲート電極GE2で覆われない部分のHf含有絶縁膜3bとを除去するためのウェットエッチング行うことが、より好ましい。ゲート電極GE1の下部に位置するHf含有絶縁膜3aとゲート電極GE2の下部に位置するHf含有絶縁膜3bとは、ステップS17のドライエッチングおよびその後のウェットエッチングで除去されずに残存する。一方、ゲート電極GE1で覆われない部分のHf含有絶縁膜3aとゲート電極GE2で覆われない部分のHf含有絶縁膜3bとは、ステップS17でシリコン膜8および金属膜7をパターニングする際のドライエッチングや、その後のウェットエッチングで除去される。
【0098】
次に、図14に示されるように、nMIS形成領域1Aにおけるp型ウエルPWのゲート電極GE1の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n−型半導体領域EX1を形成する。このn−型半導体領域EX1形成用のイオン注入時には、pMIS形成領域1Bはイオン注入阻止マスクとしてのフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)にゲート電極GE1をマスクとしてイオン注入する。また、pMIS形成領域1Bにおけるn型ウエルNWのゲート電極GE2の両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p−型半導体領域EX2を形成する。このp−型半導体領域EX2形成用のイオン注入時には、nMIS形成領域1Aはイオン注入阻止マスクとしての他のフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)にゲート電極GE2をマスクとしてイオン注入する。n−型半導体領域EX1を先に形成しても、あるいはp−型半導体領域EX2を先に形成してもよい。
【0099】
次に、ゲート電極GE1,GE2の側壁上に、絶縁体からなるサイドウォール(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWを形成する。例えば、半導体基板1上にゲート電極GE1,GE2を覆うように酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とを下から順に形成してから、この酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜を異方性エッチング(エッチバック)することによって、ゲート電極GE1,GE2の側壁上に残存する酸化シリコン膜および窒化シリコン膜からなるサイドウォールSWを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図14では、サイドウォールSWを構成する酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を一体化して示してある。
【0100】
次に、nMIS形成領域1Aにおけるp型ウエルPWのゲート電極GE1およびサイドウォールSWの両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n+型半導体領域SD1を形成する。n+型半導体領域SD1は、n−型半導体領域EX1よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深い。このn+型半導体領域SD1形成用のイオン注入時には、pMIS形成領域1Bはイオン注入阻止マスクとしてのフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)に、ゲート電極GE1およびその側壁上のサイドウォールSWをマスクとしてイオン注入する。このため、n−型半導体領域EX1は、ゲート電極GE1に整合して形成され、n+型半導体領域SD1はサイドウォールSWに整合して形成される。また、pMIS形成領域1Bにおけるn型ウエルNWのゲート電極GE2およびサイドウォールSWの両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p+型半導体領域SD2を形成する。p+型半導体領域SD2は、p−型半導体領域EX2よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深い。このp+型半導体領域SD2形成用のイオン注入時には、nMIS形成領域1Aはイオン注入阻止マスクとしての他のフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)に、ゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールSWをマスクとしてイオン注入する。このため、p−型半導体領域EX2は、ゲート電極GE2に整合して形成され、p+型半導体領域SD2はサイドウォールSWに整合して形成される。n+型半導体領域SD1を先に形成しても、あるいはp+型半導体領域SD2を先に形成してもよい。
【0101】
nMIS形成領域1Aのゲート電極GE1を構成するシリコン膜8は、n−型半導体領域EX1形成用のイオン注入工程やn+型半導体領域SD1形成用のイオン注入工程でn型の不純物が導入されて、n型のシリコン膜となる。また、pMIS形成領域1Bのゲート電極GE2を構成するシリコン膜8は、p−型半導体領域EX2形成用のイオン注入やp+型半導体領域SD2形成用のイオン注入工程でp型の不純物が導入されて、p型のシリコン膜となる。
【0102】
イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。これにより、n−型半導体領域EX1、p−型半導体領域EX2、n+型半導体領域SD1、p+型半導体領域SD2およびシリコン膜8などに導入された不純物を活性化することができる。
【0103】
このようにして、図14に示されるような構造が得られ、nMIS形成領域1Aに、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MISFETQnが形成され、また、pMIS形成領域1Bに、電界効果トランジスタとしてpチャネル型MISFETQpが形成される。
【0104】
ゲート電極GE1がnチャネル型MISFETQnのゲート電極として機能し、ゲート電極GE1の下のHf含有絶縁膜3aが、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として機能する。そして、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n+型半導体領域SD1およびn−型半導体領域EX1により形成される。また、ゲート電極GE2がpチャネル型MISFETQpのゲート電極として機能し、ゲート電極GE2の下のHf含有絶縁膜3bが、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として機能する。そして、pチャネル型MISFETQpのソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、p+型半導体領域SD2およびp−型半導体領域EX2により形成される。
【0105】
次に、図15に示されるように、半導体基板1の主面上に、ゲート電極GE1,GE2およびサイドウォールSWを覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)11を形成する。絶縁膜11は、例えば、酸化シリコン膜の単体膜や、あるいは薄い窒化シリコン膜とその上の厚い酸化シリコン膜との積層膜などからなる。絶縁膜11の形成後、絶縁膜11の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0106】
次に、絶縁膜11上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜11をドライエッチングすることにより、絶縁膜11にコンタクトホール(貫通孔、孔)CNTを形成する。コンタクトホールCNTは、n+型半導体領域SD1およびp+型半導体領域SD2や、ゲート電極GE1,GE2の上部などに形成される。
【0107】
次に、コンタクトホールCNT内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグ(接続用導体部)PGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜11上に、バリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン膜などからなる主導体膜をコンタクトホールCNTを埋めるように形成し、絶縁膜11上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図15では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜(タングステン膜)を一体化して示してある。
【0108】
次に、図16に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜11上に、ストッパ絶縁膜(エッチングストッパ用絶縁膜)12および配線形成用の絶縁膜(層間絶縁膜)13を順次形成する。ストッパ絶縁膜12は、絶縁膜13への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、絶縁膜13に対してエッチング選択性を有する材料を用い、例えば、ストッパ絶縁膜12を窒化シリコン膜とし、絶縁膜13を酸化シリコン膜とすることができる。
【0109】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線M1を形成する。まず、レジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜13およびストッパ絶縁膜12の所定の領域に配線溝14を形成した後、半導体基板1の主面上(すなわち配線溝14の底部および側壁上を含む絶縁膜13上)にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成する。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成し、銅めっき膜により配線溝14の内部を埋め込む。それから、配線溝14内以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去して、銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。なお、図面の簡略化のために、図16では、配線M1を構成する銅めっき膜、シード層およびバリア導体膜を一体化して示してある。
【0110】
配線M1は、プラグPGを介してnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用のn+型半導体領域SD1およびp+型半導体領域SD2などと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0111】
次に、本実施の形態の特徴について、より詳細に説明する。
【0112】
本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート電極GE1,GE2は、ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3a,3b)上に位置する金属膜7を有しており、いわゆるメタルゲート電極(金属ゲート電極)である。このため、ゲート電極の空乏化現象を抑制し、寄生容量をなくすことができるため、MISFET素子の小型化(ゲート絶縁膜の薄膜化)も可能になる。
【0113】
また、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として、酸化シリコンよりも誘電率が高いHf含有絶縁膜3aを用い、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として、酸化シリコンよりも誘電率が高いHf含有絶縁膜3bを用いている。すなわち、酸化シリコンより誘電率(比誘電率)の高い材料膜、いわゆるHigh−k膜(高誘電率膜)であるHf含有絶縁膜3aとHf含有絶縁膜3bとを、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜に用いている。このため、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜に酸化シリコン膜を用いた場合に比べて、Hf含有絶縁膜3aとHf含有絶縁膜3bの物理的膜厚を増加させることができるため、リーク電流を低減することができる。
【0114】
そして、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として、希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)が導入されたHigh−k膜であるHf含有絶縁膜3aを用いたことにより、nチャネル型MISFETQnのしきい値(しきい値電圧)の絶対値を低く(小さく)することができる。すなわち、nチャネル型MISFETQnを低しきい値化することができる。また、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として、Alが導入されたHigh−k膜であるHf含有絶縁膜3bを用いたことにより、pチャネル型MISFETQpのしきい値(しきい値電圧)の絶対値を低く(小さく)することができる。すなわち、pチャネル型MISFETQpを低しきい値化することができる。これにより、nチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpの両方を低しきい値化することができる。
【0115】
また、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方の低しきい値化を図る上では、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜が希土類元素を含有しかつpチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜がAlを含有するだけでなく、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜がAlを含有せず、かつpチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜が希土類元素(特にLa)を含有しないことが好ましい。このため、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3aはAlを含有せず、かつpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3bは希土類元素(特にLa)を含有しないことが好ましい。
【0116】
本実施の形態では、Hf含有絶縁膜3を、Hfを含有するが希土類元素(特にLa)とAlを含有しない絶縁膜(好ましくはHfON膜またはHfO膜)とし、このHf含有絶縁膜3を希土類含有膜6と反応させてHf含有絶縁膜3aを形成し、また、このHf含有絶縁膜3をAl含有膜4と反応させてHf含有絶縁膜3bを形成している。これにより、Hf含有絶縁膜3aは、Hfと希土類元素Lnを含有するがAlを含有しない絶縁膜(Hf系ゲート絶縁膜)とすることができ、また、Hf含有絶縁膜3bは、HfとAlを含有するが、希土類元素Lnを含有しない絶縁膜(Hf系ゲート絶縁膜)とすることができる。このため、nチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpの両方の低しきい値化を効率よく実現することができる。
【0117】
また、本実施の形態は、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3a)にSiを導入し、一方pチャネル型MISFETQpのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3b)にはSiを導入していないことが、主要な特徴の一つである。これについて、図17および図18の比較例と対比させて説明する。
【0118】
図17は、本発明者が検討した第1の比較例の半導体装置の要部断面図であり、図18は、本発明者が検討した第2の比較例の半導体装置の要部断面図であり、それぞれ上記図1に相当するものである。
【0119】
図17に示される第1の比較例の半導体装置は、半導体基板101のnMIS形成領域101Aに形成されたnチャネル型MISFETQn101と半導体基板101のpMIS形成領域101Bに形成されたpチャネル型MISFETQp101とを有している。
【0120】
すなわち、素子分離領域102によって規定された半導体基板101のnMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに、それぞれp型ウエルPW101およびn型ウエルNW101が形成され、nMIS形成領域101Aのp型ウエルPW101の表面上に、ゲート絶縁膜として機能するHfLaSiON膜103aを介して、nチャネル型MISFETQn101のゲート電極GE101が形成されている。また、pMIS形成領域101Bのn型ウエルNW101の表面上に、ゲート絶縁膜として機能するHfAlSiON膜103bを介して、pチャネル型MISFETQp101のゲート電極GE102が形成されている。各ゲート電極GE101,GE102は、金属膜107と金属膜107上のシリコン膜108との積層膜で構成されている。HfLaSiON膜103aおよびHfAlSiON膜103bは、いわゆるHigh−k膜であり、ゲート電極GE101,GE102はメタルゲート電極である。nチャネル型MISFETQn101のゲート絶縁膜にLaを含有するHfLaSiON膜103aを用い、pチャネル型MISFETQp101のゲート絶縁膜にAlを含有するHfAlSiON膜103bを用いているのは、nチャネル型MISFETQn101およびpチャネル型MISFETQp101の両方の低しきい値化を図るためである。
【0121】
また、nMIS形成領域101Aのp型ウエルPW101には、nチャネル型MISFETQn101のLDD構造のソース・ドレイン領域として、n−型半導体領域EX101とそれよりも高不純物濃度のn+型半導体領域SD101とが形成されている。また、pMIS形成領域101Bのn型ウエルNW101には、pチャネル型MISFETQp101のLDD構造のソース・ドレイン領域として、p−型半導体領域EX102とそれよりも高不純物濃度のp+型半導体領域SD102とが形成されている。ゲート電極GE101,GE102の側壁上には、絶縁体からなるサイドウォールSW101が形成されている。
【0122】
図17の第1の比較例の半導体装置においても、本実施の形態の上記絶縁膜11、コンタクトホールCNT、プラグPG、ストッパ絶縁膜12、絶縁膜13、配線溝14および配線M1に相当するものも形成されるが、簡略化のために、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0123】
このような構造を有する図17の第1の比較例の半導体装置は、nMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに共通のHfSiON膜を形成してから、nMIS形成領域101AのHfSiON膜にLaを選択的に導入してHfLaSiON膜103aとし、pMIS形成領域101BのHfSiON膜にAlを選択的に導入してHfAlSiON膜103bとすることで、得ることができる。
【0124】
しかしながら、図17に示される第1の比較例の半導体装置においては、次のような課題が生じることが、本発明者の検討により分かった。
【0125】
酸化アルミニウムは希土類酸化物に比べて比誘電率がかなり小さい。例えば、La酸化物の比誘電率が38程度であるのに対して、Al酸化物の比誘電率は10程度である。このため、図17の第1の比較例の半導体装置のように、共通のHfSiON膜にLaを選択的に導入してHfLaSiON膜103aとし、Alを選択的に導入してHfAlSiON膜103bとした場合、nチャネル型MISFETQn101のゲート絶縁膜であるHfLaSiON膜103aに比べて、pチャネル型MISFETQp101のゲート絶縁膜であるHfAlSiON膜103bの比誘電率がかなり低くなってしまう。これにより、nチャネル型MISFETQn101のゲート絶縁膜(HfLaSiON膜103a)に比較して、pチャネル型MISFETQp101のゲート絶縁膜(HfAlSiON膜103b)は、EOT(Equivalent Oxide Thickness)がかなり大きくなってしまい、nチャネル型MISFETQn101とpチャネル型MISFETQp101とでゲート絶縁膜のEOTに大きな差がついてしまう。従って、nチャネル型MISFETQn101のゲート絶縁膜(HfLaSiON膜103a)のEOTが小さくとも、pチャネル型MISFETQp101のゲート絶縁膜(HfAlSiON膜103b)のEOTが大きいことで、CMISFETの特性の低下を招いてしまうため、半導体装置の性能向上のためには、更なるEOT低減が望まれる。
【0126】
ゲート絶縁膜のEOT低減には、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜を用いることが有効である。例えばHfSiONの比誘電率が20程度であるのに比べて、HfONの比誘電率は、その倍の40程度である。このため、図18に示される第2の比較例の半導体装置のように、nチャネル型MISFETQn201とpチャネル型MISFETQp201の両方のゲート絶縁膜に、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜を用いることが考えられる。
【0127】
図18に示される第2の比較例の半導体装置は、nチャネル型MISFETQn201のゲート絶縁膜として、上記HfLaSiON膜103aの代わりにHfLaON膜203aを用い、pチャネル型MISFETQp201のゲート絶縁膜として、上記HfAlSiON膜103bの代わりにHfAlON膜203bを用いたこと以外は、図17に示される第1の比較例の半導体装置と同様の構成を有している。このような構造を有する図18の第2の比較例の半導体装置は、nMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに共通のHfON膜を形成してから、nMIS形成領域101AのHfON膜にLaを選択的に導入してHfLaON膜203aとし、pMIS形成領域101BのHfON膜にAlを選択的に導入してHfAlON膜203bとすることで、得ることができる。
【0128】
図18の第2の比較例の半導体装置のように、HfLaON膜203aおよびHfAlON膜203bを、それぞれnチャネル型MISFETQn201およびpチャネル型MISFETQp201のゲート絶縁膜として用いた場合、HfLaSiON膜103aおよびHfAlSiON膜103bをゲート絶縁膜に用いた図17の第1の比較例の半導体装置に比べて、ゲート絶縁膜の比誘電率を大きくすることができる。これは、HfLaON膜203aの比誘電率がHfLaSiON膜103aの比誘電率よりも大きく、HfAlON膜203bの比誘電率がHfAlSiON膜103bの比誘電率よりも大きいためである。このため、図17の第1の比較例の半導体装置に比べて、図18の第2の比較例の半導体装置は、nチャネル型MISFETQn201とpチャネル型MISFETQp201の両方でゲート絶縁膜のEOTを低減することができる。
【0129】
しかしながら、図18に示される第2の比較例の半導体装置においては、次のような課題が生じることが、本発明者の検討により分かった。
【0130】
HfLaSiON膜においては、LaとHfとの結合力は、LaとSiとの結合力に比べて弱い。このため、Siを含有しないHfLaON膜203aにおいては、結合力が強いLa−Si結合が無いため、Laの結合力は、Siを含有するHfLaSiON膜103aにおけるLaの結合力に比べて弱い。従って、ゲート電極GE101,GE102を加工(すなわち金属膜107とその上のシリコン膜108との積層膜をパターニング)する際のドライエッチングや、その後にゲート電極GE101,GE102で覆われていない部分のHfLaON膜203aおよびHfAlON膜203bをウェットエッチングする際に、HfLaON膜203aからLaOが容易に乖離または溶出してしまう。これは、異物生成やゲート電極GE101,GE102の側壁からゲート絶縁膜であるHfLaON膜203aが後退してしまうなどの不具合を生じる虞があり、半導体装置の性能を低下させてしまう。一方、HfAlON膜203bでは、このようなHfLaON膜203aで生じる課題は発生しないか、発生してもHfLaON膜203aに比べてわずかである。これは、HfAlON膜203bにおけるAlとHfとの結合力が、HfLaON膜203aにおけるLaとHfとの結合力に比べて強いためと考えられる。
【0131】
また、図18の第2の比較例の半導体装置は、nMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに共通のHfON膜を形成してから、nMIS形成領域101AのHfON膜にLaを選択的に導入してHfLaON膜203aを形成する。具体的には、nMIS形成領域101AのHfON膜上にLa酸化物膜を形成し、このLa酸化物膜を熱処理でHfON膜と反応(ミキシング)させて、HfLaON膜203aを形成する。一方、図17の第1の比較例の半導体装置では、nMIS形成領域101AおよびpMIS形成領域101Bに共通のHfSiON膜を形成してから、nMIS形成領域101AのHfSiON膜上にLa酸化物膜を形成し、このLa酸化物膜を熱処理でHfSiON膜と反応(ミキシング)させることで、上記HfLaSiON膜103aを形成する。
【0132】
上記La酸化物膜を熱処理で上記HfON膜または上記HfSiON膜と反応(ミキシング)させる際に、La酸化物が上記HfON膜または上記HfSiON膜中を基板方向(半導体基板101に近づく方向)に拡散して上記HfLaSiON膜103aまたはHfLaON膜203aが形成されることで、ゲート電極GE101の仕事関数を低下させ、nチャネル型MISFETQn101,Qp201を低しきい値化することができる。
【0133】
しかしながら、本発明者の検討によれば、HfSiON膜とLa酸化物膜とを熱処理で反応(ミキシング)させることで形成したHfLaSiON膜103aに比べて、HfON膜とLa酸化物膜とを熱処理で反応(ミキシング)させることで形成したHfLaON膜203aでは、LaとSiとの結合力に比べてLaとHfとの結合力が弱いことに起因して、La酸化物が基板方向に拡散しにくくなる。nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜にLaを導入して低しきい値化を図る上で、LaがHf系ゲート絶縁膜中を基板方向に十分に拡散した方が、しきい値(の絶対値)がより低下する傾向にある。このため、HfLaSiON膜103aをゲート絶縁膜に用いた第1の比較例のnチャネル型MISFETQn101に比べて、HfLaON膜203aをゲート絶縁膜に用いた第2の比較例のnチャネル型MISFETQn201は、Hf系ゲート絶縁膜にLaを導入したことによるゲート電極GE101の仕事関数の低減効果が小さくなり、低しきい値化の効果が小さくなる。すなわち、Hf系ゲート絶縁膜(HfLaSiON膜103aおよびHfLaON膜203a)へのLa導入量が同じであれば、HfLaSiON膜103aをゲート絶縁膜とする第1の比較例の半導体装置のnチャネル型MISFETQn101に比べて、HfLaON膜203aをゲート絶縁膜とする第2の比較例の半導体装置のnチャネル型MISFETQn201の方が、しきい値電圧の絶対値が大きくなってしまうのである。一方、HfAlON膜203bでは、このようなHfLaON膜203aで生じる課題は発生しないか、発生してもHfLaON膜203aに比べてわずかである。
【0134】
図17および図18に示される第1および第2の比較例に関連して説明した課題は、nチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜に導入するのがLaの場合に特に顕著であるが、La以外の希土類元素の場合にも生じる課題である。また、HfLaSiON膜103a、HfAlSiON膜103b、HfLaON膜203aおよびHfAlON膜203bが、それぞれHfLaSiO膜(103a)、HfAlSiO膜(103b)、HfLaO膜(203a)およびHfAlO膜(203b)である場合にも生じる課題である。
【0135】
そこで、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3a)にはSiを導入するが、pチャネル型MISFETQpのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3b)にはSiを導入しないようにしている。すなわち、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3aは、Hf,Ln,Si,Oを含有しており、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3bは、Hf,Al,Oを含有するがSiは含有していない。
【0136】
このため、図17の第1の比較例の半導体装置においてはpチャネル型MISFETQp101のHf系ゲート絶縁膜の比誘電率の低下が課題となったが、本実施の形態では、pチャネル型MISFETQpのHf系ゲート絶縁膜(ここではHf含有絶縁膜3b)は、Siを含有していない分、Siを含有する場合(第1の比較例)に比べて、比誘電率を大きくすることができる。一方、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)は、Alではなく希土類元素Ln(特に好ましくはLa)を含有している分、比誘電率が大きくなるため、Siを含有していても、比誘電率の低下を抑制できる。
【0137】
このように、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)は、Alではなく希土類元素Ln(特に好ましくはLa)を含有していることで、比誘電率を高くすることができ、pチャネル型MISFETQpのHf系ゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3b)は、Siを含有していないことで、比誘電率を高くすることができる。このため、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)とpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3b)の両方の比誘電率を高くすることができ、nチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpとで、ゲート絶縁膜のEOTの差を小さくすることができる。従って、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを備えたCMISFETの特性を向上でき、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0138】
また、図18の第2の比較例の半導体装置においては、nチャネル型MISFETQn201のHf系ゲート絶縁膜(HfLaON膜203a)がSiを含有していなかったために、La(希土類元素)の結合力が弱いことに起因した上記課題が生じるが、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのHf系ゲート絶縁膜にSiを含有するHf含有絶縁膜3aを用いたことにより、図18の第2の比較例で生じた課題を防止できる。すなわち、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3aは、Hf,Ln,Si,Oを含有しているため、希土類元素LnはSiと強固に結合でき(結合力が強いLn−Si結合を形成でき)、希土類元素Lnの結合力を高めることができる。このため、ゲート電極GE1,GE2を加工(すなわち金属膜7とその上のシリコン膜8との積層膜をパターニング)する際のドライエッチングや、その後にゲート電極GE1,GE2で覆われていない部分のHf含有絶縁膜3a,3bをウェットエッチングする際に、Hf含有絶縁膜3aからLnOなどが乖離または溶出するのを防止できる。これにより、異物生成を防止でき、また、ゲート電極GE1,GE2の側壁からゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜3aが後退する不具合を防止することができる。また、本実施の形態では、Hf含有絶縁膜3aがHf,Ln,OだけでなくSiも含有しているため、Hf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特にLa)を導入したことによるゲート電極GE1の仕事関数の低減効果を大きくすることができ、nチャネル型MISFETQnの低しきい値化の効果を大きくすることができる。すなわち、nチャネル型MISFETQnのしきい値の絶対値を、第2の比較例の半導体装置のnチャネル型MISFETQn201のしきい値の絶対値よりも小さくすることが可能となる。従って、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを備えたCMISFETの特性を向上でき、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0139】
また、本実施の形態では、共通のHf含有絶縁膜3をnMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの両方に形成し、nMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3を希土類含有膜6と熱処理で反応させ、pチャネル型MISFETQpのHf含有絶縁膜3をAl含有膜4と熱処理で反応させることで、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜とpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜とを作り分けている。そして、希土類含有膜6が希土類元素LnだけでなくSiも含有し、Al含有膜4がSiを含有しないことで、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)に選択的にSiを導入することができる。このため、製造工程数を抑制しながら、Hfと希土類元素LnとSiとOとを主成分として含有するnチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)と、HfとAlとOとを主成分として含有するがSiを主成分として含有しないpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3b)とを的確に作り分けることができる。従って、半導体装置の製造時間や製造コストを抑制しながら、半導体装置の性能向上を図ることができる。また、半導体装置のスループットも向上することができる。
【0140】
また、本実施の形態では、pMIS形成領域1Bにおいて、マスク層(反応防止用マスク層)として窒化金属膜5をAl含有膜4と希土類含有膜6との間に介在させ、この状態でステップS12の熱処理を行うことで、pMIS形成領域1Bにおいて、希土類含有膜6がAl含有膜4やHf含有絶縁膜3と反応するのを防止している。このため、ステップS12において一回の熱処理によってnチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3a)とpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜(Hf含有絶縁膜3b)とを作り分けることができる。従って、半導体装置の製造工程数を低減することができ、半導体装置の製造時間の短縮やスループットの向上を図ることができる。
【0141】
(実施の形態2)
図19は、本実施の形態の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図であり、上記実施の形態1の図1に対応するものである。図20〜図25は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。なお、図19では、図面の簡略化のために、ステップS2〜S9の図示を省略している。
【0142】
本実施の形態の製造工程は、ステップS10でフォトレジストパターンPR1を除去するまでは、上記実施の形態1の製造工程と同様であるので、ここではその説明を省略し、ステップS10のフォトレジストパターンPR1の除去工程以降について説明する。
【0143】
上記実施の形態1のステップS1〜S10と同様の工程を行って上記図8の構造を得た後、本実施の形態では、図20に示されるように、半導体基板1の主面上に、シリコン含有層(Siを含有する層)としてシリコン膜(シリコン層)21を形成する(図19のステップS11a)。
【0144】
上記ステップS8,S9のエッチング工程でnMIS形成領域1Aの窒化金属膜5およびAl含有膜4を除去しかつpMIS形成領域1Bの窒化金属膜5およびAl含有膜4を残していたので、ステップS11aでは、シリコン膜21は、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。このため、nMIS形成領域1Aではシリコン膜21とHf含有絶縁膜3とが接触しているが、pMIS形成領域1Bでは、シリコン膜21とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在するため互いに接触していない状態となる。シリコン膜21は、スパッタリング法などで形成することができ、その膜厚は、例えば0.2〜1nm程度とすることができる。
【0145】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施す(図19のステップS12a)。このステップS12aの熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。ステップS12aの熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3をシリコン膜21と反応させる。すなわち、ステップS12aの熱処理工程においては、nMIS形成領域1Aでは、シリコン膜21とHf含有絶縁膜3とが接触していたために両者が反応して、シリコン膜21を構成するSiがHf含有絶縁膜3に導入(拡散)される。
【0146】
このステップS12aの熱処理により、図21に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、シリコン膜21とHf含有絶縁膜3とが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3cが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、シリコン膜21のSiがHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3が、Hf含有絶縁膜3cとなる。Hf含有絶縁膜3cは、Hf(ハフニウム)とSi(シリコン)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなる。Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3cはHfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)であり、Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3cは、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)である。
【0147】
なお、pMIS形成領域1Bでは、シリコン膜21とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在して互いに接触していない状態であるため、ステップS12aの熱処理工程でAl含有膜4およびHf含有絶縁膜3はシリコン膜21と反応せず、シリコン膜21を構成するSiは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3には導入(拡散)されない。
【0148】
pMIS形成領域1Bにおいては、ステップS12aの熱処理によってHf含有絶縁膜3とAl含有膜4とが反応してHf含有絶縁膜3bが形成されるが、これについては、上記実施の形態1のステップS12の熱処理によってHf含有絶縁膜3とAl含有膜4とが反応してHf含有絶縁膜3bが形成されるのと同様であるため、ここではその説明は省略する。
【0149】
次に、図22に示されるように、半導体基板1の主面上に希土類含有膜(希土類含有層)6aを形成する(図19のステップS11b)。ステップS11bでは、希土類含有膜6aは、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3c上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。
【0150】
ステップS12aの熱処理工程の後で、ステップS11bの希土類含有膜6aの形成工程の前に、ステップS12aの熱処理工程で反応しなかったシリコン膜21(未反応のシリコン膜21)をウェットエッチングなどによって除去することが好ましい。この場合、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上に残存していたシリコン膜21は除去されるため、MIS形成領域1Bにおいて、希土類含有膜6aは窒化金属膜5上に接して形成されることになる(図22はこの場合が示されている)。また、他の形態として、ステップS12aの熱処理工程の後で、未反応のシリコン膜21を除去する工程を行わずにステップS11bの希土類含有膜6aの形成工程を行うこともでき、この場合には、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上にシリコン膜21が残存しているため、希土類含有膜6aは、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上のシリコン膜21上に形成されることになる。
【0151】
希土類含有膜6aは、希土類元素を含有し、特に好ましくはLa(ランタン)を含有している。上記実施の形態1で希土類含有膜6が含有する希土類元素をLnと表記したのと同様に、本実施の形態でも、希土類含有膜6aが含有する希土類元素をLnと表記するものとする。しかしながら、本実施の形態の希土類含有膜6aは、上記実施の形態1の希土類含有膜6aとは異なり、Si(シリコン)を含有する必要は無い。これは、nMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜3cには、既にSiが導入されているため、希土類含有膜6aからHf含有絶縁膜3cにSiを導入する必要が無いためである。希土類含有膜6aは、好ましくは希土類酸化物膜(酸化希土類膜)であり、特に好ましくは酸化ランタン膜(酸化ランタンとして代表的なのはLa2O3)である。希土類含有膜6aは、スパッタリング法またはALD法などによって形成することができ、その膜厚(堆積膜厚)は、0.2〜1nm程度とすることができる。
【0152】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施す(図19のステップS12b)。このステップS12bの熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。ステップS12bの熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3cと希土類含有膜6aとを反応させる。
【0153】
このステップS12bの熱処理により、図23に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3cとが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3aが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6aの希土類元素LnがHf含有絶縁膜3cに導入されて、Hf含有絶縁膜3cが、Hf含有絶縁膜3aとなる。
【0154】
Hf含有絶縁膜3aは、上記実施の形態1と同様、Hf(ハフニウム)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSi(シリコン)とO(酸素)を含有する絶縁材料からなり、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素Lnは、希土類含有膜6aが含有していた希土類元素Lnと同じである。Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3cはHfSiON膜であり、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)である。Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3cはHfSiO膜であり、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiO膜(Ln=Laの場合はHfLaSiO膜)である。
【0155】
なお、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3bとの間に窒化金属膜5が介在しているため、ステップS12bの熱処理工程で希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3bとは反応せず、希土類含有膜6aを構成する希土類元素Lnは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bには導入(拡散)されない。
【0156】
また、pMIS形成領域1Bにおいては、上記ステップS12aの熱処理によってHf含有絶縁膜3bが形成され得るが、ステップS12bの熱処理もHf含有絶縁膜3bの形成に寄与し得る。このため、上記ステップS12aの熱処理工程において、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3b上にAl含有膜4の未反応部分が残存した場合には、ステップS12bの熱処理工程においてHf含有絶縁膜3と反応しきれなかったAl含有膜4(Al含有膜4の未反応部分)はpMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bと更に反応することができる。従って、本実施の形態では、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bは、ステップS12aの熱処理とステップS12bの熱処理の一方または両方によって形成される。
【0157】
次に、図24に示されるように、ステップS12bの熱処理工程で反応しなかった希土類含有膜6a(未反応の希土類含有膜6a)を、エッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図19のステップS13)。それから、pMIS形成領域1Bに形成されていた窒化金属膜5をエッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図19のステップS14)。これにより、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3aが露出され、pMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜3bが露出された状態となる。
【0158】
また、ステップS12bの熱処理によって、窒化金属膜5の表層部分が希土類含有膜6aと反応する場合がある。また、上記ステップS12aの熱処理工程の後で、未反応のシリコン膜21を除去する工程を行わずにステップS11bの希土類含有膜6aの形成工程を行った場合には、pMIS形成領域1Bにおいて、ステップS12bの熱処理によって、窒化金属膜5上のシリコン膜21と希土類含有膜6aとが反応したり、あるいは窒化金属膜5の表層部分がシリコン膜21と反応する場合がある。このような場合であっても、pMIS形成領域1Bにおける窒化金属膜5の表層部分と希土類含有膜6aまたはシリコン膜21との反応物や希土類含有膜6aとシリコン膜21との反応物などは、ステップS13またはステップS14のエッチング工程、あるいはステップS13とステップS14の間に行うウェットエッチング工程によって除去することができる。すなわち、pMIS形成領域1Bにおいて、窒化金属膜5およびそれよりも上部の構造は、ステップS14で窒化金属膜5を除去した段階で、全て除去することができる。
【0159】
以降の工程は、上記実施の形態1と同様である。すなわち、上記実施の形態1と同様に、半導体基板1の主面上に金属膜7を形成し(図19のステップS15)、金属膜7上にシリコン膜8を形成し(図19のステップS16)、シリコン膜8および金属膜7の積層膜をパターニングすることで、図25に示されるようにゲート電極GE1,GE2を形成する(図19のステップS17)。
【0160】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3a上に形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3b上に形成される。すなわち、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE1が、nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3aを介して形成され、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE2が、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3bを介して形成されるのである。
【0161】
ゲート電極GE1,GE2を形成した後の工程は、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその図示および説明は省略する。また、製造された半導体装置の構成は、上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0162】
本実施の形態では、上記実施の形態1で得られる効果に加えて、更に次のような効果を得ることができる。
【0163】
すなわち、本実施の形態では、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3とシリコン膜21とをステップS12aの熱処理で反応させてSiも含有するHf含有絶縁膜3cを形成してから、このHf含有絶縁膜3cと希土類含有膜6aとをステップS12bの熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3aを形成している。希土類元素Ln(特にLa)とHfとの結合力よりも希土類元素Ln(特にLa)とSiとの結合力の方が強いため、Siを含有しないHf系ゲート絶縁膜(例えばHfON膜またはHfO膜)中では、希土類元素Ln(特にLa)の拡散は抑制されやすいのに対して、Siを含有するHf系ゲート絶縁膜(好ましくはHfSiON膜またはHfSiO膜)中では希土類元素Ln(特にLa)は基板方向へ容易に拡散し得る。このため、本実施の形態のように、nMIS形成領域1Aにおいて、Siも含有するHf含有絶縁膜3c(好ましくはHfSiON膜またはHfSiO膜)を一旦形成してから、このHf含有絶縁膜3cを希土類含有膜6aとステップS12bの熱処理で反応させるようにすれば、希土類含有膜6aの希土類元素Ln(特にLa)をHf含有絶縁膜3aにおいて基板方向に十分に拡散させることができる。nMIS形成領域1Aに形成されるnチャネル型MISFETQnのしきい値(の絶対値)をできるだけ低下させるためには、希土類元素Ln(特にLa)がHf含有絶縁膜3aにおいて基板方向に十分に拡散することが好ましい。本実施の形態では、形成されたHf含有絶縁膜3aにおいて希土類元素Ln(特にLa)を基板方向に十分に拡散させることができるため、Hf系ゲート絶縁膜に希土類元素Ln(特にLa)を導入したことによるnチャネル型MISFETQnの低しきい値化の効果を、より向上させることができ、nチャネル型MISFETQnのしきい値(の絶対値)をより低下させることが可能になる。このため、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを備えたCMISFETの特性を更に向上させることができ、半導体装置の性能を更に向上させることができる。
【0164】
一方、上記実施の形態1では、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3と希土類含有膜6とをステップS12の熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3aを形成しているため、半導体装置の製造工程数を低減することができる。このため、半導体装置の製造時間や製造コストを抑制しながら、半導体装置の性能向上を図ることができ、また、半導体装置のスループットも向上させることができる。
【0165】
(実施の形態3)
図26は、本実施の形態の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図であり、上記実施の形態1の図1に対応するものである。図27〜図32は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0166】
本実施の形態の製造工程は、ステップS10でフォトレジストパターンPR1を除去するまでは、上記実施の形態1の製造工程と同様であるので、ここではその説明を省略し、ステップS10のフォトレジストパターンPR1の除去工程以降について説明する。
【0167】
上記実施の形態1のステップS1〜S10と同様の工程を行って上記図8の構造を得た後、本実施の形態では、図27に示されるように、半導体基板1の主面上に、シリコン含有層(Siを含有する層)として酸化シリコン膜(酸化シリコン層)22を形成する(図26のステップS11c)。
【0168】
上記ステップS8,S9のエッチング工程でnMIS形成領域1Aの窒化金属膜5およびAl含有膜4を除去しかつpMIS形成領域1Bの窒化金属膜5およびAl含有膜4を残していたので、ステップS11cでは、酸化シリコン膜22は、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。このため、nMIS形成領域1Aでは酸化シリコン膜22とHf含有絶縁膜3とが接触しているが、pMIS形成領域1Bでは、酸化シリコン膜22とAl含有膜4(およびHf含有絶縁膜3)とは、間に窒化金属膜5が介在するため互いに接触していない状態となる。酸化シリコン膜22は、スパッタリング法などで形成することができ、その膜厚は、例えば0.2〜1nm程度とすることができる。
【0169】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施す(図26のステップS12c)。ステップS12cの熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。このステップS12cの熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3を酸化シリコン膜22と反応させる。すなわち、ステップS12cの熱処理工程においては、nMIS形成領域1Aでは、酸化シリコン膜22とHf含有絶縁膜3とが接触していたために両者が反応して、酸化シリコン膜22を構成するシリコン(Si)と酸素(O)がHf含有絶縁膜3に導入(拡散)される。
【0170】
このステップS12cの熱処理により、図28に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、酸化シリコン膜22とHf含有絶縁膜3とが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3dが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、酸化シリコン膜22のシリコン(Si)と酸素(O)がHf含有絶縁膜3に導入されて、Hf含有絶縁膜3が、Hf含有絶縁膜3dとなる。Hf含有絶縁膜3dは、Hf(ハフニウム)とSi(シリコン)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなる。Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3dはHfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)であり、Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3dは、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)である。
【0171】
なお、pMIS形成領域1Bでは、酸化シリコン膜22とAl含有膜4とは、間に窒化金属膜5が介在して互いに接触していない状態であるため、ステップS12cの熱処理工程でAl含有膜4およびHf含有絶縁膜3は酸化シリコン膜22とは反応せず、酸化シリコン膜22を構成するSiは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3には導入(拡散)されない。
【0172】
pMIS形成領域1Bにおいては、ステップS12cの熱処理によってHf含有絶縁膜3とAl含有膜4とが反応してHf含有絶縁膜3bが形成されるが、これについては、上記実施の形態1のステップS12の熱処理によってHf含有絶縁膜3とAl含有膜4とが反応してHf含有絶縁膜3bが形成されるのと同様であるため、ここではその説明は省略する。
【0173】
次に、図29に示されるように、半導体基板1の主面上に希土類含有膜6aを形成する(図26のステップS11d)。ステップS11dでは、希土類含有膜6aは、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3d上に形成され、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上に形成される。希土類含有膜6aの構成、成膜法および厚みなどについては、上記実施の形態2と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0174】
ステップS12cの熱処理工程の後で、ステップS11dの希土類含有膜6aの形成工程の前に、ステップS12cの熱処理工程で反応しなかった酸化シリコン膜22(未反応の酸化シリコン膜22)をウェットエッチングなどによって除去することが好ましい。この場合、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上に残存していた酸化シリコン膜22は除去されるため、MIS形成領域1Bにおいて、希土類含有膜6aは窒化金属膜5上に接して形成されることになる(図29はこの場合が示されている)。また、他の形態として、ステップS12cの熱処理工程の後で、未反応の酸化シリコン膜22を除去する工程を行わずにステップS11dの希土類含有膜6aの形成工程を行うこともでき、この場合には、pMIS形成領域1Bの窒化金属膜5上に酸化シリコン膜22が残存しているため、希土類含有膜6aは、pMIS形成領域1Bでは窒化金属膜5上の酸化シリコン膜22上に形成されることになる。
【0175】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施す(図26のステップS12d)。ステップS12dの熱処理工程は、熱処理温度を好ましくは600〜1000℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。ステップS12dの熱処理により、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3dと希土類含有膜6aとを反応させる。
【0176】
このステップS12dの熱処理により、図30に示されるように、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3dとが反応(混合、ミキシング)してHf含有絶縁膜3aが形成される。すなわち、nMIS形成領域1Aでは、希土類含有膜6aの希土類元素LnがHf含有絶縁膜3dに導入されて、Hf含有絶縁膜3dが、Hf含有絶縁膜3aとなる。
【0177】
Hf含有絶縁膜3aは、上記実施の形態1と同様、Hf(ハフニウム)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とSi(シリコン)とO(酸素)とを含有する絶縁材料からなり、Hf含有絶縁膜3aが含有する希土類元素Lnは、希土類含有膜6aが含有していた希土類元素Lnと同じである。Hf含有絶縁膜3がHfON膜の場合には、Hf含有絶縁膜3dはHfSiON膜であり、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)である。Hf含有絶縁膜3がHfO膜(代表的にはHfO2膜)の場合は、Hf含有絶縁膜3dはHfSiO膜であり、Hf含有絶縁膜3aはHfLnSiO膜(Ln=Laの場合はHfLaSiO膜)である。
【0178】
なお、pMIS形成領域1Bでは、希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3bとの間に窒化金属膜5が介在しているため、ステップS12dの熱処理工程で希土類含有膜6aとHf含有絶縁膜3bとは反応せず、希土類含有膜6aを構成する希土類元素Lnは、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bには導入(拡散)されない。
【0179】
また、pMIS形成領域1Bにおいては、上記ステップS12cの熱処理によってHf含有絶縁膜3bが形成され得るが、ステップS12dの熱処理もHf含有絶縁膜3bの形成に寄与し得る。このため、上記ステップS12cの熱処理工程において、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3b上にAl含有膜4の未反応部分が残存した場合には、ステップS12dの熱処理工程においてHf含有絶縁膜3と反応しきれなかったAl含有膜4(Al含有膜4の未反応部分)はpMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bと更に反応することができる。従って、本実施の形態では、pMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜3bは、ステップS12cの熱処理とステップS12dの熱処理の一方または両方によって形成される。
【0180】
次に、図31に示されるように、ステップS12dの熱処理工程で反応しなかった希土類含有膜6a(未反応の希土類含有膜6a)を、エッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図26のステップS13)。それから、pMIS形成領域1Bに形成されていた窒化金属膜5をエッチング(好ましくはウェットエッチング)によって除去する(図26のステップS14)。これにより、nMIS形成領域1AではHf含有絶縁膜3aが露出され、pMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜3bが露出された状態となる。
【0181】
また、ステップS12dの熱処理によって、窒化金属膜5の表層部分が希土類含有膜6aと反応する場合がある。また、上記ステップS12cの熱処理工程の後で、未反応の酸化シリコン膜22を除去する工程を行わずにステップS11dの希土類含有膜6aの形成工程を行った場合には、pMIS形成領域1Bにおいて、ステップS12dの熱処理によって、窒化金属膜5上の酸化シリコン膜22と希土類含有膜6aとが反応したり、あるいは窒化金属膜5の表層部分が酸化シリコン膜22と反応する場合がある。このような場合であっても、pMIS形成領域1Bにおける窒化金属膜5の表層部分と希土類含有膜6aまたは酸化シリコン膜22との反応物や希土類含有膜6aと酸化シリコン膜22との反応物などは、ステップS13またはステップS14のエッチング工程、あるいはステップS13とステップS14の間に行うウェットエッチング工程によって除去することができる。すなわち、pMIS形成領域1Bにおいて、窒化金属膜5およびそれよりも上部の構造は、ステップS14で窒化金属膜5を除去した段階で、全て除去することができる。
【0182】
以降の工程は、上記実施の形態1と同様である。すなわち、上記実施の形態1と同様に、半導体基板1の主面上に金属膜7を形成し(図26のステップS15)、金属膜7上にシリコン膜8を形成し(図26のステップS16)、シリコン膜8および金属膜7の積層膜をパターニングすることで、図32に示されるようにゲート電極GE1,GE2を形成する(図26のステップS17)。
【0183】
上記実施の形態1,2と同様に、本実施の形態においても、ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3a上に形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Bにおいて、Hf含有絶縁膜3b上に形成される。すなわち、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE1が、nMIS形成領域1Aのp型ウエルPWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3aを介して形成され、金属膜7および金属膜7上のシリコン膜8からなるゲート電極GE2が、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNWの表面上に、ゲート絶縁膜としてのHf含有絶縁膜3bを介して形成されるのである。
【0184】
ゲート電極GE1,GE2を形成した後の工程は、上記実施の形態1,2と同様であるので、ここではその図示および説明は省略する。また、製造された半導体装置の構成は、上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0185】
本実施の形態では、上記実施の形態1で得られる効果に加えて、更に次のような効果を得ることができる。
【0186】
すなわち、本実施の形態では、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3と酸化シリコン膜22とをステップS12cの熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3dを形成してから、このHf含有絶縁膜3dと希土類含有膜6aとをステップS12dの熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3aを形成している。上記実施の形態1と同様、本実施の形態においても、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3d(好ましくはHfSiON膜またはHfSiO膜)を一旦形成してから、このHf含有絶縁膜3dを希土類含有膜6aとステップS12dの熱処理で反応させるようにすることで、希土類含有膜6aの希土類元素Ln(特にLa)をHf含有絶縁膜3aにおいて基板方向に十分に拡散させることができる。このため、上記実施の形態1と同様に、本実施の形態においても、形成されたHf含有絶縁膜3aにおいて希土類元素Ln(特にLa)を基板方向に十分に拡散させることができるため、Hf系ゲート絶縁膜に希土類元素Lnを導入したことによるnチャネル型MISFETQnの低しきい値化の効果を、より向上させることができ、nチャネル型MISFETQnのしきい値(の絶対値)をより低下させることが可能になる。このため、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを備えたCMISFETの特性を更に向上させることができ、半導体装置の性能を更に向上させることができる。
【0187】
更に、本実施の形態では、Hf含有絶縁膜3と酸化シリコン膜22とをステップS12cの熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3dを形成しているため、酸化シリコン膜22からシリコン(Si)だけでなく酸素(O)もHf含有絶縁膜3に導入してHf含有絶縁膜3d(好ましくはHfSiON膜またはHfSiO膜)を形成することができる。このため、Hf系ゲート絶縁膜の酸素欠陥を補填でき、TDDB寿命などを更に向上させることができる。
【0188】
一方、上記実施の形態1では、nMIS形成領域1Aにおいて、Hf含有絶縁膜3と希土類含有膜6とをステップS12の熱処理で反応させてHf含有絶縁膜3aを形成しているため、半導体装置の製造工程数を低減することができる。このため、半導体装置の製造時間や製造コストを抑制しながら、半導体装置の性能向上を図ることができ、また、半導体装置のスループットも向上させることができる。
【0189】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0191】
1 半導体基板
1A nMIS形成領域
1B pMIS形成領域
2 素子分離領域
3,3a,3b,3c,3d Hf含有絶縁膜
4 Al含有膜
5 窒化金属膜
6,6a 希土類含有膜
7 金属膜
8 シリコン膜
11 絶縁膜
12 ストッパ絶縁膜
13 絶縁膜
14 配線溝
21 シリコン膜
22 酸化シリコン膜
103a HfLaSiON膜
103b HfAlSiON膜
203a HfLaON膜
203b HfAlON膜
CNT コンタクトホール
EX1,EX101 n−型半導体領域
EX2,EX102 p−型半導体領域
GE1,GE2,GE101,GE102 ゲート電極
M1 配線
NW,NW101 n型ウエル
PG プラグ
PR1 フォトレジストパターン
PW,PW101 p型ウエル
Qn,Qn101,Qn201 nチャネル型MISFET
Qp,Qp101,Qp201 pチャネル型MISFET
SD1,SD101 n+型半導体領域
SD2,SD102 p+型半導体領域
SW,SW101 サイドウォール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置であって、
前記第1MISFETは、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1メタルゲート電極を有し、
前記第2MISFETは、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2メタルゲート電極を有し、
前記第1ゲート絶縁膜は、ハフニウムと希土類元素とシリコンと酸素とを主成分として含有する絶縁材料からなり、
前記第2ゲート絶縁膜は、ハフニウムとアルミニウムと酸素とを主成分として含有するがシリコンを主成分として含有しない絶縁材料からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1ゲート絶縁膜は、ハフニウムと希土類元素とシリコンと酸素と窒素とからなる絶縁材料膜またはハフニウムと希土類元素とシリコンと酸素とからなる絶縁材料膜であり、
前記第2ゲート絶縁膜は、ハフニウムとアルミニウムと酸素と窒素とからなる絶縁材料膜またはハフニウムとアルミニウムと酸素とからなる絶縁材料膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第1ゲート絶縁膜が含有する希土類元素がランタンであることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記第1および第2メタルゲート電極は、金属膜と前記金属膜上のシリコン膜との積層構造を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記金属膜は、窒化チタン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用で、かつHfを含有する第1絶縁膜を、前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1領域および前記第2領域に形成された前記第1絶縁膜上に、Alを含有するAl含有膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1領域および前記第2領域に形成された前記Al含有膜上にマスク層を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1領域の前記マスク層を除去し、前記第2領域の前記マスク層を残す工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1領域の前記Al含有膜を除去し、前記第2領域の前記Al含有膜を残す工程、
(f)前記(e)工程後、希土類元素とシリコンとを含有する希土類含有膜を、前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記マスク層上に形成する工程、
(g)前記(f)工程後、熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記希土類含有膜と反応させ、前記第2領域の前記第1絶縁膜を前記Al含有膜と反応させる工程、
(h)前記(g)工程後、前記(g)工程にて反応しなかった前記希土類含有膜を除去する工程、
(i)前記(h)工程後、前記マスク層を除去する工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第1絶縁膜上に、金属膜を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記金属膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1MISFET用の第1ゲート電極を、前記第2領域に前記第2MISFET用の第2ゲート電極を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程で形成された前記Al含有膜は、シリコンを含有していないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は、酸窒化ハフニウム膜または酸化ハフニウム膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記希土類含有膜は、希土類シリケート膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記希土類含有膜は、ランタンシリケート膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程で形成された前記Al含有膜は、酸化アルミニウム膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で形成された前記マスク層は、窒化金属膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(j)工程後で、前記(k)工程前に、
(j1)前記金属膜上にシリコン膜を形成する工程、
を更に有し、
前記(k)工程では、前記金属膜および前記金属膜上の前記シリコン膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1ゲート電極を、前記第2領域に前記第2ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記熱処理により、前記第1領域の前記第1絶縁膜と前記希土類含有膜とが反応してHfLaSiON膜またはHfLaSiO膜が形成され、前記第2領域の前記第1絶縁膜と前記Al含有膜とが反応してHfAlON膜またはHfAlO膜が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用で、かつHfを含有する第1絶縁膜を、前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1領域および前記第2領域に形成された前記第1絶縁膜上に、Alを含有するAl含有膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1領域および前記第2領域に形成された前記Al含有膜上にマスク層を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1領域の前記マスク層を除去し、前記第2領域の前記マスク層を残す工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1領域の前記Al含有膜を除去し、前記第2領域の前記Al含有膜を残す工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記マスク層上にシリコン含有層を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、第1の熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記シリコン含有層と反応させ、前記第2領域の前記第1絶縁膜を前記Al含有膜と反応させる工程、
(h)前記(g)工程後、希土類元素を含有する希土類含有膜を、前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記マスク層上に形成する工程、
(i)前記(h)工程後、第2の熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記希土類含有膜と反応させる工程、
(j)前記(i)工程後、前記(i)工程にて反応しなかった前記希土類含有膜を除去する工程、
(k)前記(j)工程後、前記マスク層を除去する工程、
(l)前記(k)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第1絶縁膜上に、金属膜を形成する工程、
(m)前記(l)工程後、前記金属膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1MISFET用の第1ゲート電極を、前記第2領域に前記第2MISFET用の第2ゲート電極を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記シリコン含有層は、シリコン膜または酸化シリコン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は、酸窒化ハフニウム膜または酸化ハフニウム膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程で形成された前記希土類含有膜は、希土類酸化物膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程で形成された前記希土類含有膜は、酸化ランタン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程で形成された前記Al含有膜は、酸化アルミニウム膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で形成された前記マスク層は、窒化金属膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の半導体装置の製造方法において、
前記(l)工程後で、前記(m)工程前に、
(l1)前記金属膜上にシリコン膜を形成する工程、
を更に有し、
前記(m)工程では、前記金属膜および前記金属膜上の前記シリコン膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1ゲート電極を、前記第2領域に前記第2ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記第1の熱処理により、前記第1領域の前記第1絶縁膜と前記シリコン含有層とが反応してHfSiON膜またはHfSiO膜が形成され、前記第2領域の前記第1絶縁膜と前記Al含有膜とが反応してHfAlON膜またはHfAlO膜が形成され、
前記(i)工程では、前記第2の熱処理により、前記第1領域の前記HfSiON膜または前記HfSiO膜と前記希土類含有膜とが反応してHfLaSiON膜またはHfLaSiO膜が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置であって、
前記第1MISFETは、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1メタルゲート電極を有し、
前記第2MISFETは、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2メタルゲート電極を有し、
前記第1ゲート絶縁膜は、ハフニウムと希土類元素とシリコンと酸素とを主成分として含有する絶縁材料からなり、
前記第2ゲート絶縁膜は、ハフニウムとアルミニウムと酸素とを主成分として含有するがシリコンを主成分として含有しない絶縁材料からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1ゲート絶縁膜は、ハフニウムと希土類元素とシリコンと酸素と窒素とからなる絶縁材料膜またはハフニウムと希土類元素とシリコンと酸素とからなる絶縁材料膜であり、
前記第2ゲート絶縁膜は、ハフニウムとアルミニウムと酸素と窒素とからなる絶縁材料膜またはハフニウムとアルミニウムと酸素とからなる絶縁材料膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第1ゲート絶縁膜が含有する希土類元素がランタンであることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記第1および第2メタルゲート電極は、金属膜と前記金属膜上のシリコン膜との積層構造を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記金属膜は、窒化チタン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用で、かつHfを含有する第1絶縁膜を、前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1領域および前記第2領域に形成された前記第1絶縁膜上に、Alを含有するAl含有膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1領域および前記第2領域に形成された前記Al含有膜上にマスク層を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1領域の前記マスク層を除去し、前記第2領域の前記マスク層を残す工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1領域の前記Al含有膜を除去し、前記第2領域の前記Al含有膜を残す工程、
(f)前記(e)工程後、希土類元素とシリコンとを含有する希土類含有膜を、前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記マスク層上に形成する工程、
(g)前記(f)工程後、熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記希土類含有膜と反応させ、前記第2領域の前記第1絶縁膜を前記Al含有膜と反応させる工程、
(h)前記(g)工程後、前記(g)工程にて反応しなかった前記希土類含有膜を除去する工程、
(i)前記(h)工程後、前記マスク層を除去する工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第1絶縁膜上に、金属膜を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記金属膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1MISFET用の第1ゲート電極を、前記第2領域に前記第2MISFET用の第2ゲート電極を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程で形成された前記Al含有膜は、シリコンを含有していないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は、酸窒化ハフニウム膜または酸化ハフニウム膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記希土類含有膜は、希土類シリケート膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記希土類含有膜は、ランタンシリケート膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程で形成された前記Al含有膜は、酸化アルミニウム膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で形成された前記マスク層は、窒化金属膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(j)工程後で、前記(k)工程前に、
(j1)前記金属膜上にシリコン膜を形成する工程、
を更に有し、
前記(k)工程では、前記金属膜および前記金属膜上の前記シリコン膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1ゲート電極を、前記第2領域に前記第2ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記熱処理により、前記第1領域の前記第1絶縁膜と前記希土類含有膜とが反応してHfLaSiON膜またはHfLaSiO膜が形成され、前記第2領域の前記第1絶縁膜と前記Al含有膜とが反応してHfAlON膜またはHfAlO膜が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
nチャネル型の第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、pチャネル型の第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用で、かつHfを含有する第1絶縁膜を、前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1領域および前記第2領域に形成された前記第1絶縁膜上に、Alを含有するAl含有膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1領域および前記第2領域に形成された前記Al含有膜上にマスク層を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1領域の前記マスク層を除去し、前記第2領域の前記マスク層を残す工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1領域の前記Al含有膜を除去し、前記第2領域の前記Al含有膜を残す工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記マスク層上にシリコン含有層を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、第1の熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記シリコン含有層と反応させ、前記第2領域の前記第1絶縁膜を前記Al含有膜と反応させる工程、
(h)前記(g)工程後、希土類元素を含有する希土類含有膜を、前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記マスク層上に形成する工程、
(i)前記(h)工程後、第2の熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記希土類含有膜と反応させる工程、
(j)前記(i)工程後、前記(i)工程にて反応しなかった前記希土類含有膜を除去する工程、
(k)前記(j)工程後、前記マスク層を除去する工程、
(l)前記(k)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第1絶縁膜上に、金属膜を形成する工程、
(m)前記(l)工程後、前記金属膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1MISFET用の第1ゲート電極を、前記第2領域に前記第2MISFET用の第2ゲート電極を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記シリコン含有層は、シリコン膜または酸化シリコン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は、酸窒化ハフニウム膜または酸化ハフニウム膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程で形成された前記希土類含有膜は、希土類酸化物膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程で形成された前記希土類含有膜は、酸化ランタン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程で形成された前記Al含有膜は、酸化アルミニウム膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で形成された前記マスク層は、窒化金属膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の半導体装置の製造方法において、
前記(l)工程後で、前記(m)工程前に、
(l1)前記金属膜上にシリコン膜を形成する工程、
を更に有し、
前記(m)工程では、前記金属膜および前記金属膜上の前記シリコン膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1ゲート電極を、前記第2領域に前記第2ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記第1の熱処理により、前記第1領域の前記第1絶縁膜と前記シリコン含有層とが反応してHfSiON膜またはHfSiO膜が形成され、前記第2領域の前記第1絶縁膜と前記Al含有膜とが反応してHfAlON膜またはHfAlO膜が形成され、
前記(i)工程では、前記第2の熱処理により、前記第1領域の前記HfSiON膜または前記HfSiO膜と前記希土類含有膜とが反応してHfLaSiON膜またはHfLaSiO膜が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−3664(P2011−3664A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144512(P2009−144512)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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