説明

半導体装置の製造方法

【課題】側壁転写技術を使用したパターニングの加工性の向上を図る。
【解決手段】ゲート電極MGを形成するための被加工膜8上にCVD法でカーボン膜9aを形成し、続いてSOG膜を形成する。カーボン膜9aをリソグラフィ技術によるレジストパターンでハーフエッチするとともに、幅寸法をWaから半分のWbにスリミングして芯材パターン部9bを形成する。全面にアモルファスシリコン膜14を形成し、エッチバック処理でスペーサパターン14aを形成し、これをマスクとして芯材パターン部9bと共にカーボン膜9aをエッチングしてマスクパターン9を形成する。レジストを芯材パターンとして用いないので高温で加工ができ、加工性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なパターンを形成する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上にラインアンドスペースのパターンを形成する製造技術においては、近年リソグラフィ技術の露光限界以上に微細化することが要求されている。そこで、従来では、光学的なパターニング技術に加えて、露光により形成したパターンの上面および側壁に膜を形成し、その膜にスペーサ加工などを施してスペーサパターンを形成し、これをマスクパターンとして利用する技術が開発されつつある。
【0003】
このようにして形成したスペーサパターンをマスクとして用いることで、ゲート電極や素子分離などの被加工対象である下地膜に転写して微細パターンを形成する技術である。これにより光学的な露光により形成したパターンの1/2の幅の微細パターンの形成が可能となり、このような側壁転写プロセスを用いた製造技術が現在主流となりつつある。
【0004】
例えば特許文献1に示される側壁転写プロセスでは、被加工膜上にマスク膜としてのカーボン膜を形成し、この上面に芯材パターンとなるレジストパターンを形成する。続いて、このレジストパターンを覆うようにマスク膜としてのシリコン酸化膜を形成しエッチバック処理を行ってその両側壁にスペーサ状のパターンを形成する。このマスクパターンを用いてカーボン膜をパターニングし、さらに被加工膜をパターニングするというものである。
【0005】
この場合、芯材パターンとしてレジストパターンを用いているので、レジスト膜の形成後においては、膜形成や加工処理のために高温に晒すことができず、低温処理で可能な工程が基本的な条件として制約となる。しかしながら、パターニング工程においては、一般に高温処理が行えないとパターンの制御性が高められない事情があり、このような特許文献1の技術では加工性が要求される加工工程においては不向きなプロセスとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−302143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、側壁転写技術を使用したパターニングの加工性の向上を図ることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、被加工材上に炭素(C)を含有する材料からなる炭素含有膜を形成する工程と、前記炭素含有膜に対し上面から途中の深さまでパターニング加工をして芯材パターン部を形成する工程と、前記芯材パターン部の上面および側面と前記炭素含有膜の上面を覆うように所定膜厚のマスク膜を形成する工程と、前記マスク膜をエッチバック処理して前記芯材パターン部の上面および前記炭素含有膜の上面を露出させて前記芯材パターン部の側壁にマスクパターンを形成する工程と、前記炭素含有膜に前記マスクパターンが転写されるように前記芯材パターン部および前記炭素含有膜をエッチングする工程とを具備するところに特徴を有する。
【0009】
また、本発明の他の一態様の半導体装置の製造方法は、被加工材上に炭素(C)を含有する材料からなる炭素含有膜を形成する工程と、前記炭素含有膜に対し上面から途中の深さまでパターニング加工をして所定間隔の芯材パターン部を形成する工程と、前記芯材パターン部の上面および側面と前記炭素含有膜の上面を覆うように所定膜厚のマスク膜を形成する工程と、前記マスク膜上に前記芯材パターン部とは異なる位置にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを形成した後、前記マスク膜をエッチバック処理して前記芯材パターン部の上面および前記レジストパターンの部分を除いた前記炭素含有膜の上面を露出させて前記芯材パターン部の側壁および前記レジストパターンの部分にマスクパターンを形成する工程と、前記炭素含有膜に前記マスクパターンが転写されるように前記芯材パターン部および前記炭素含有膜をエッチングする工程とを具備するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、側壁転写技術を使用したパターニングの加工性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、NAND型フラッシュメモリ装置のメモリセル領域の一部および周辺回路領域のトランジスタのレイアウトパターンを示す模式的な平面図
【図2】図1(a)中切断線A−Aで示す部分のゲート電極の加工工程を概略的に示す模式的断面図
【図3】図1(a)中切断線B−Bで示す部分の素子分離絶縁膜形成用の溝加工工程を概略的に示す模式的断面図
【図4】(a)、(b)、(c)は、図1(a)中切断線A−Aで示す部分を加工する場合のマスクパターンを形成する各工程を示す模式的断面図(その1)
【図5】(d)、(e)、(f)は、図1(a)中切断線A−Aで示す部分を加工する場合のマスクパターンを形成する各工程を示す模式的断面図(その2)
【図6】本発明の第2の実施形態を示し、(a)、(b)、(c)は、図1(a)中切断線A−Aおよび図1(b)中切断線C−Cで示す部分を加工する場合のマスクパターンを形成する各工程を示す模式的断面図(その1)
【図7】(d)、(e)、(f)は、図1(a)中切断線A−Aおよび図1(b)中切断線C−Cで示す部分を加工する場合のマスクパターンを形成する各工程を示す模式的断面図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、NAND型フラッシュメモリ装置の加工工程に適用した本発明の第1の実施形態について図1〜図5を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる模式的なものである。
【0013】
NAND型フラッシュメモリ装置は、メモリセルトランジスタが多数マトリクス状に配置されるメモリセル領域と、メモリセルトランジスタを駆動するための周辺回路トランジスタを備えた周辺回路領域とから構成されている。
【0014】
図1(a)はメモリセル領域の一部のレイアウトパターンを示し、図1(b)は周辺回路領域のトランジスタを示す平面図である。図1(a)において、半導体基板としてのシリコン基板1に、STI(shallow trench isolation)技術により形成された素子分離絶縁膜2が図1(a)中Y方向に沿って複数本形成されている。複数本の素子分離絶縁膜2は、図1(a)中X方向に所定間隔で形成されており、これによってシリコン基板1の表層部に複数の活性領域3が分離形成されている。
【0015】
活性領域3と直交するように、図1(a)中X方向に沿ってメモリセルトランジスタのワード線WLが複数本形成されている。また、図1(a)中X方向に沿って一対の選択ゲートトランジスタの選択ゲート線SGL1が形成されている。一対の選択ゲート線SGL1間の活性領域3にはビット線コンタクトCBがそれぞれ形成されている。ワード線WLと交差する活性領域3上にはメモリセルトランジスタのゲート電極MGが、選択ゲート線SGL1と交差する活性領域3上には選択ゲートトランジスタのゲート電極(選択ゲート電極)SGが形成されている。
【0016】
図1(b)において、シリコン基板1は、矩形状の活性領域3aを残すように素子分離絶縁膜2が形成されている。周辺回路領域に形成されるトランジスタTrPは、この矩形状の活性領域3aに設けられている。活性領域3aには、これを横切るように孤立ゲート電極PGが形成され、その両側に不純物を拡散して形成したソース/ドレイン領域が設けられている。
【0017】
次に、本実施形態において適用対象となる加工工程について説明する。まず、第1の対象として示す図2(a)、(b)は、NAND型フラッシュメモリ装置のワード線WLとなるゲート電極の一括加工を行う場合の加工前と加工後の模式的断面を示しており、図1(a)中、切断線A−Aで示す部分に相当している。
【0018】
加工前の状態を示す図2(a)において、シリコン基板1の上面にはゲート絶縁膜4が形成され、その上面にゲート電極MGを構成する膜が積層形成されている。ゲート電極MGを構成する膜は、下から多結晶シリコン膜5、ゲート間絶縁膜6、多結晶シリコン膜7およびシリコン窒化膜8である。そして、これらの膜5〜8が被加工膜とされる。シリコン窒化膜8の上面には、カーボン膜からなるマスクパターン9が形成された状態を示している。
【0019】
そして、上記構成のマスクパターン9を用いて、まず被加工膜であるシリコン窒化膜8をエッチング加工してパターニングし、その後、マスクパターン9を除去し、パターニングされたシリコン窒化膜8の加工パターンを用いてゲート電極MGを構成する多結晶シリコン膜7、ゲート間絶縁膜6、多結晶シリコン膜5を順次加工することにより、図2(b)に示す構成を得る。
【0020】
上記のゲート電極MGの加工工程に先立って、マスクパターン9を形成する工程が行われるが、マスクパターン9は、パターンの幅寸法(ライン寸法Wb)がたとえば25nm程度で形成され、隣接するものとの間隔寸法(スペース寸法Wb)もたとえば25nm程度で形成されている。つまり、ラインアンドスペースの寸法が25/25nmに形成されている。この微細なマスクパターン9の形成工程は、後述するように、フォトリソグラフィ処理工程でのパターニングの寸法Waからさらに1/2程度の寸法にピッチを縮小させるものである。
【0021】
次に、第2の対象として示す図3(a)、(b)は、NAND型フラッシュメモリ装置の素子分離用の溝(トレンチ)を形成する加工工程の加工前と加工後の模式的断面を示しており、図1(a)中切断線B−Bで示す部分に相当している。ただし、図1(a)では、ワード線WLを形成した状態での平面図を示しているが、この場合における構成では、ワード線WLを形成する前の加工工程が対象である。
【0022】
図3(a)に示す加工前の状態では、シリコン基板1上にゲート絶縁膜4が形成され、その上面にゲート電極MGの浮遊電極となる多結晶シリコン膜5が形成され、さらに、その上面に加工用のシリコン窒化膜10が積層形成されている。これら最終的な被加工膜としてのシリコン基板1、ゲート絶縁膜4、多結晶シリコン膜5およびシリコン窒化膜10に対して、パターニングされた被加工膜としてのシリコン酸化膜11が所定のパターンに形成されている。このシリコン酸化膜11は、これに先立つ製造工程においてマスクパターンが上面に形成され、そのマスクパターンを用いてエッチング加工されたものである。シリコン酸化膜11は、パターンの幅寸法(ライン寸法Wb)がたとえば25nm程度で形成され、隣接するものとの間隔寸法(スペース寸法Wb)もたとえば25nm程度で形成されている。
【0023】
上記したシリコン酸化膜11をマスクとして、図3(b)に示すように、下地のシリコン窒化膜10、多結晶シリコン膜5、ゲート絶縁膜4およびシリコン基板1がRIE法などによりエッチング加工され、シリコン基板1に所定深さの溝1aが形成される。溝1a内には後工程において素子分離用絶縁膜としてシリコン酸化膜などが埋め込み形成され、前述したメモリセル領域の素子分離絶縁膜2とされる。
【0024】
次に、上記した図2(a)のマスクパターン9の形成工程について図4(a)〜(c)、図5(d)〜(f)に示す一連の製造工程の各段階を示す模式的断面図を参照して説明する。なお、図4、図5では、図2で示した部分のうち、被加工膜としてのシリコン窒化膜8および多結晶シリコン膜7の部分から上の部分を示しており、それより下に形成されているゲート間絶縁膜6、多結晶シリコン膜5、ゲート絶縁膜4およびシリコン基板1の図示を省略している。
【0025】
まず、図4(a)に示すように、制御電極となる多結晶シリコン膜7上にシリコン窒化膜8を形成する。次に、シリコン窒化膜8の上面に、炭素(C)を含有した炭素含有膜としてカーボン膜9aを形成する。カーボン膜9aの形成は、CVD(chemical vapor deposition)法によりウエハ温度500℃程度の雰囲気で行い、膜厚は例えば300nm程度とする。この後、SOG(spin on glass)膜12を形成し、L/S(ラインアンドスペース)=50/50nmのパターン(幅寸法Wa=50nm)でレジスト膜の露光を行い、現像工程を経てレジストパターン13を形成する。
【0026】
次に、図4(b)に示すように、レジストパターン13をマスクとして、SOG膜12にパターンを転写する。この転写加工処理では、例えば加工ガスにCHF3/O2=100/10sccmなどを用いたエッチングを行う。
【0027】
続いてレジストパターン13を転写したSOG膜12をマスクとしてカーボン膜9aをハーフエッチ(half etching)加工する。カーボン膜9aのハーフエッチ加工では、加工ガスとしてO2/CH4などを用いる加工条件で、上面から途中の深さまで所定量エッチングする。これにより、カーボン膜9aの上面部分にカーボン膜9aを加工して形成された芯材パターン部9bが形成された状態となる。
【0028】
ここではカーボン膜9aを深さ方向に例えば100nm程度掘り下げるハーフエッチ加工を行い、この処理で同時にスリミング加工により、ラインの幅寸法すなわち芯材パターン部9bの幅寸法Wbがレジストパターン13の幅寸法Waの半分程度である25nm程度になるように等方的にエッチングする。この結果、SOG膜12も幅寸法が狭められて、図4(b)に示しているように、幅寸法WbのSOG膜12aとなる。
【0029】
また、このエッチング処理により、芯材パターン部9b間のスペースの幅寸法Wcは芯材パターン部9bの幅寸法Wbの略3倍の寸法となる。尚、この芯材パターン部9bの幅寸法Wbは、先のSOG膜12の加工の際に調整することもできる。
【0030】
この後、図4(c)に示すように、パターニングされたSOG膜12aをウェットエッチング処理により除去する。この場合、芯材パターン部9bの上面に残ったSOG膜12aはウェットエッチング処理しないでそのまま残存した状態とすることも可能である。
【0031】
次に、図5(d)に示すように、芯材パターン部9bを形成したカーボン膜9a上に、アモルファスシリコン膜14を形成する。アモルファスシリコン膜14は、芯材パターン部9bの幅寸法Wbに略等しい膜厚となるように、例えば25nm程度の膜厚で成膜され、芯材パターン部9bの上面および側面に沿うと共に、芯材パターン部9b間のカーボン膜9aの上面に沿って全体を覆うように形成される。
【0032】
続いて、図5(e)に示すように、アモルファスシリコン膜14をエッチバック処理することによりスペーサ加工を行う。これにより、アモルファスシリコン膜14は、芯材パターン部9bの上面および芯材パターン部9b間のカーボン膜9aの上面に形成されていた部分がエッチングで除去され露出する状態となり、芯材パターン部9bの両側壁部に残った部分がスペーサパターン14aとして形成される。
【0033】
この後、図5(f)に示すように、スペーサパターン14aをマスクとして用いて露出している部分のカーボン膜9aおよび芯材パターン部9bをエッチングする。これにより、スペーサパターン14aは自身もいくらかエッチングされて図示のように高さが小さくなったスペーサパターン14bとなるが、このスペーサパターン14bの直下に位置しているカーボン膜9aが残り、マスクパターン9がカーボン膜9aに転写形成される。マスクパターン9は、幅寸法がWbで且つマスクパターン9間の距離もWbとなるように形成され、レジストパターン13の幅寸法Waの半分の幅寸法でレジストパターン13の略1/2のピッチにパターニングすることができる。
【0034】
マスクパターン9は、被加工膜として下層に設けられたゲート電極MG形成用の積層構造であるシリコン窒化膜8、多結晶シリコン膜7、ゲート間絶縁膜6、多結晶シリコン膜5を順次エッチングするためのマスクとして利用することができる。
【0035】
このような第1の実施形態によれば、カーボン膜9aを上面から中間部位の高さまで部分的に加工して芯材パターン部9bを形成し、これにスペーサパターン14aを形成するので、レジストパターンを芯材パターンとして用いる従来の技術に比べて、高温で加工を行うことができるようになる。レジストパターンを用いる場合には、例えば200℃程度までが熱処理できる上限温度となるのに対して、カーボン膜9aを用いる本実施形態の場合には、例えば500℃程度までを上限として高温で熱処理を行うことができる。これにより、膜の形成工程や加工工程において加工性あるいは工程能力を向上させることができ、精度良くマスクパターン9を形成することができ、この結果、被加工膜の加工性を高めることができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、カーボン膜9aをハーフエッチ処理することで芯材パターン部9bを形成するので、芯材パターンの下地としてストッパ膜のような材料を用いないプロセスとすることができる。これにより、マスクパターン形成工程で500℃程度までの熱処理がある場合でも、ストッパ膜の下に形成するマスク膜としてのカーボン膜から発生する水分に起因してストッパ膜が剥離するなどの不具合が発生することを防止できる。
【0037】
マスクパターン9用の膜としてCVD法により形成するカーボン膜9aを用いるので、エッチングに際して垂直方向の加工性が高く、しかもシリコン膜とのエッチング選択性が大きいことから、ハーフエッチ深さを浅くすることができる。この場合、ハーフエッチ深さつまり芯材パターン部9bの高さは、スペーサパターン14aの高さ寸法を規定することになり、スペーサパターン14aがカーボン膜9aのエッチングのマスクとして十分な高さが確保されていれば良い。
【0038】
また、形成するマスクパターン9の厚さ寸法は、被加工膜の膜厚や材料などにより適正な量が決まるので、これを下回らない膜厚に形成すれば良い。これらの結果として、カーボン膜9aの膜厚は、スペーサパターン14aとして要求される高さ寸法とマスクパターン9として要求される高さ寸法の和の高さ(厚さ)以上で、工程能力として望まれる膜厚を加算した膜厚に設定すれば良い。
【0039】
(第2の実施形態)
図6及び図7は本発明の第2の実施形態を示すもので、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心として説明する。第1の実施形態においては、図1(a)に示したメモリセル領域のパターンの形成を対象としていたが、第2の実施形態においては、図1(b)に示した周辺回路領域に形成するトランジスタTrPの孤立ゲート電極PGのパターン形成も対象とするものである。
【0040】
図6および図7の各分図(a)〜(f)は、図1(a)に示したメモリセル領域を第1領域とし、図1(b)に示した周辺回路領域を第2領域として便宜的に同じ図で示したものである。第1領域の加工については第1の実施形態と同じ加工状態の推移となり、この加工工程に第2領域のトランジスタTrP用のパターンが形成される過程を付加する工程となっている。
【0041】
尚、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、図2および図3のいずれの加工対象についても適用することができるものである。
まず、図6(a)に示すように、制御電極となる多結晶シリコン膜7上にシリコン窒化膜8、炭素(C)を含有した炭素含有膜としてカーボン膜9aを形成する。カーボン膜9aの形成は、CVD法によりウエハ温度500℃程度の雰囲気で行い、膜厚は例えば300nm程度とする。次にSOG膜12を形成し、その後、第1領域に対応してL/S(ラインアンドスペース)=50/50nmのパターン(幅寸法Wa=50nm)でレジスト膜の露光を行い、レジストパターン13を形成する。
【0042】
次に、図6(b)に示すように、第1領域に形成したレジストパターン13をマスクとして、SOG膜12にパターンを転写する。続いて、レジストパターン13を転写したSOG膜12をマスクとしてカーボン膜9aをハーフエッチ(half etching)加工する。これらの工程では、加工条件は第1の実施形態とほぼ同じであるので省略する。これにより、第1領域のカーボン膜9aの上面部分にカーボン膜9aを加工して形成された幅寸法Wbの芯材パターン部9bが形成された状態となる。
【0043】
この後、図6(c)に示すように、パターニングされたSOG膜12aをウェットエッチング処理により除去し、次に、カーボン膜9aの芯材パターン部9bを形成した第1領域および芯材パターン部9bを形成していない第2領域の上面に、アモルファスシリコン膜14を形成する。アモルファスシリコン膜14は、芯材パターン部9bの幅寸法Wbに略等しい膜厚となるように、例えば25nm程度の膜厚で成膜され、芯材パターン部9bの上面および側面に沿うと共に、芯材パターン部9b間のカーボン膜9aの上面に沿って全体を覆うように形成される。
【0044】
次に、図7(d)に示すように、第2領域に孤立ゲート電極PGに対応したマスクパターンを形成するためにレジストパターン15を形成する。このレジストパターン15は、例えば幅寸法Wd50nm以上で形成されるもので、通常のフォトリソグラフィ技術によりパターニングできる程度の寸法である。また、このレジストパターン15は、第1領域のラインアンドスペースパターンと異なり、矩形状をなす孤立ゲート電極PGのパターンとして形成されるもので、ゲート電極PGの形状である長尺状の矩形をなす孤立パターンである。また、図3の対象に適用する場合には、トランジスタTrPを形成する活性領域の形状に対応し正方形に近い矩形状の孤立パターンである。尚、このようなレジストパターン15による孤立パターンは、周辺回路領域に形成する素子に対応したものとしてフォトリソグラフィ技術で形成できる任意の形状に形成することができる。
【0045】
続いて、図7(e)に示すように、アモルファスシリコン膜14をエッチバック処理してスペーサ加工を行う。このとき、第1領域においては芯材パターン部9bが形成されているので、その芯材パターン部9bの上面および芯材パターン部9b間のカーボン膜9aの上面に形成されていた部分のアモルファスシリコン膜14がエッチングで除去され露出する状態となり、芯材パターン部9bの両側壁部にアモルファスシリコン膜14が残存されることでスペーサパターン14aとして形成される。また、第2領域においては、レジストパターン15が形成されている直下の部分を残して他の部分のアモルファスシリコン膜14がエッチングされ、孤立パターン部14cが形成される。
【0046】
この後、図7(f)に示すように、スペーサパターン14aおよび孤立パターン部14cをマスクとして用いて、露出している部分のカーボン膜9aおよび芯材パターン部9bをエッチングする。これにより、スペーサパターン14bの直下に位置しているカーボン膜9aが残ってマスクパターン9がカーボン膜9aに転写形成されるとともに、孤立パターン部14cの直下に位置しているカーボン膜9aが残って孤立マスクパターン16がカーボン膜16aに転写形成される。
【0047】
このような第2の実施形態によれば、第1の実施形態における第1領域に対応した工程に加えて、第2領域に対応してトランジスタTrP用のレジストパターン15を形成する工程を追加したので、第1領域に対応したラインアンドスペースの加工を行うためのマスクパターン9を形成するとともに、第2領域に対応した孤立マスクパターン16を形成することができる。これにより、フォトリソグラフィ技術で形成できない微細なパターンを形成するためのマスクパターン9の形成をしつつ、同時にフォトリソグラフィ技術で形成可能な任意形状の孤立マスクパターン16を形成することができ、両者が混在する複雑なパターニングも工程数を大幅に増やすことなく実現できる。
【0048】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
ハーフエッチ処理をする工程で、カーボン膜9aを深さ方向にエッチングするとともにスリミング処理をこの段階で実施する場合を示しているが、フォトリソグラフィ処理により形成したレジストパターン13を予めスリミング加工して幅寸法Wbに形成しておくこともできる。この場合には、ハーフエッチ処理の工程で、異方性エッチングをするだけで芯材パターン部9bを形成することができる。
【0049】
マスクパターン9を用いた下地の被加工膜の加工工程では、マスクパターン9をマスクとしてシリコン窒化膜8をエッチングした後、マスクパターン9を残したままさらにゲート電極MGの各膜5〜7をエッチング加工しても良い。
【0050】
炭素含有膜は、この実施形態で使用したCVD法により形成するカーボン膜9a以外にも炭素が含有された膜であれば適用することができる。
第2の実施形態において、第1領域をメモリセル領域に対応させ、第2領域を周辺回路領域に対応させるものとしたが、これに限らず、ラインアンドスペースパターンが形成される第1領域と孤立パターンが形成される第2領域とに対応させて種々の加工対象に適用することができる。
【0051】
SOG膜12は、マスクパターン9を形成するための必須の構成ではなく、必要に応じて用いることができる。この場合、SOG膜12の下に形成しているカーボン膜9aに代わる他の炭素含有膜の特性によってはSOG膜12を省略した工程とすることもできる。
【0052】
マスクパターン9の下地材として、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜以外の膜を用いても良く、マスク膜として用いる際に他の膜との選択性が得られるものであれば良い。
マスクパターン9をマスクとして転写する被加工材は、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜以外に、アモルファスシリコン膜、多結晶シリコン膜、あるいは他の絶縁膜としても良いし、他の導体膜、半導体膜としても良い。また、マスクパターン9をマスクとして素子分離用の溝を形成する場合には、半導体基板とその上面に形成されたゲート絶縁膜やゲート電極を被加工材とする図3の構造に限らず、少なくとも半導体基板の表層部を被加工材として溝の加工工程が行われるものであれば良い。
【0053】
対象とするデバイスは、NAND型フラッシュメモリ装置に限らず、NOR型フラッシュメモリや、SRAMあるいはその他の半導体記憶装置に適用できるし、さらには、ラインアンドスペースのパターン形成を含む半導体装置全般に適用できる。
【符号の説明】
【0054】
図面中、4はゲート絶縁膜、5は多結晶シリコン膜、6はゲート間絶縁膜、7は多結晶シリコン膜、8はシリコン窒化膜、9はマスクパターン、9aはカーボン膜(炭素含有膜)、9bは芯材パターン部、12はSOG膜、13、15はレジストパターン、14はアモルファスシリコン膜(スペーサ膜)、14a、14bはスペーサパターン、14cは孤立パターン部、16は孤立マスクパターン、MGはゲート電極、PGは孤立ゲート電極である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工材上に炭素(C)を含有する材料からなる炭素含有膜を形成する工程と、
前記炭素含有膜に対し上面から途中の深さまでパターニング加工をして芯材パターン部を形成する工程と、
前記芯材パターン部の上面および側面と前記炭素含有膜の上面を覆うように所定膜厚のマスク膜を形成する工程と、
前記マスク膜をエッチバック処理して前記芯材パターン部の上面および前記炭素含有膜の上面を露出させて前記芯材パターン部の側壁にマスクパターンを形成する工程と、
前記炭素含有膜に前記マスクパターンが転写されるように前記芯材パターン部および前記炭素含有膜をエッチングする工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
被加工材上に炭素(C)を含有する材料からなる炭素含有膜を形成する工程と、
前記炭素含有膜に対し上面から途中の深さまでパターニング加工をして所定間隔の芯材パターン部を形成する工程と、
前記芯材パターン部の上面および側面と前記炭素含有膜の上面を覆うように所定膜厚のマスク膜を形成する工程と、
前記マスク膜上に前記芯材パターン部とは異なる位置にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを形成した後、前記マスク膜をエッチバック処理して前記芯材パターン部の上面および前記レジストパターンの部分を除いた前記炭素含有膜の上面を露出させて前記芯材パターン部の側壁および前記レジストパターンの部分にマスクパターンを形成する工程と、
前記炭素含有膜に前記マスクパターンが転写されるように前記芯材パターン部および前記炭素含有膜をエッチングする工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記被加工材は、半導体基板上に形成された電極膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記被加工材は、半導体基板の表層部の溝加工層または当該溝加工層とその上面に形成された絶縁膜および導電膜とを含む複合層であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記炭素含有膜は、CVD(chemical vapor deposition)法により形成されるカーボン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−165933(P2011−165933A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27551(P2010−27551)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】