説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】イオン注入により半導体基板1にエクステンション領域EXを形成してから、ゲート電極GEの側壁上にサイドウォールスペーサSWを形成し、その後、イオン注入により半導体基板1にソース・ドレイン領域SDを形成する。サイドウォールスペーサSWを形成するには、半導体基板1上にゲート電極GEを覆うように絶縁膜6を形成してから、この絶縁膜6を異方性エッチングし、その後、半導体基板1上にゲート電極GEを覆うように絶縁膜7を形成してから、この絶縁膜7を異方性エッチングすることで、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6,7からなるサイドウォールスペーサSWを形成する。絶縁膜6のエッチング工程では、絶縁膜6をアンダーエッチングまたはジャストエッチングし、絶縁膜7のエッチング工程では、絶縁膜7をオーバーエッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、MISFETを備えた半導体装置の製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、イオン注入などによりソース・ドレイン領域を形成することで、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS電界効果トランジスタ、MISトランジスタ)を形成することができる。
【0003】
特開平9−181308号公報(特許文献1)、特開2000−82751号公報(特許文献2)および特開平4−218925号公報(特許文献3)には、ゲート電極の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−181308号公報
【特許文献2】特開2000−82751号公報
【特許文献3】特開平4−218925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0006】
本発明者は、ゲート電極の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する技術について検討している。サイドウォールスペーサを形成するには、半導体基板の主面上に、ゲート電極を覆うように、サイドウォールスペーサ形成用の絶縁膜を形成してから、この絶縁膜を異方性エッチング(エッチバック)することで、ゲート電極の側壁上に絶縁膜をサイドウォールスペーサとして残し、他の領域の絶縁膜を除去する。ゲート電極の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する前に半導体基板にイオン注入を行って、低不純物濃度のエクステンション領域を形成し、ゲート電極の側壁上にサイドウォールスペーサを形成した後に半導体基板にイオン注入を行って、高不純物濃度のソース・ドレイン領域を形成する。これにより、低不純物濃度のエクステンション領域と高不純物濃度のソース・ドレイン領域からなるLDD(Lightly doped Drain)構造のソース領域およびドレイン領域を形成することができる。
【0007】
サイドウォールスペーサは、ソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入工程において、イオン注入阻止マスクとして機能させるために形成されている。しかしながら、サイドウォールスペーサの形成の仕方によってサイドウォールスペーサの形状が変わり、サイドウォールスペーサがイオン注入阻止マスクとして十分に機能できなくなって半導体装置の性能が低下する虞がある。
【0008】
例えば、サイドウォールスペーサ形成後にソース・ドレイン領域形成用のイオン注入を行う際に、加速された不純物イオンがサイドウォールスペーサを突き抜けてサイドウォールスペーサの直下の半導体基板中に注入されてしまうと、パンチスルーが生じやすくなるため、ソース・ドレイン電流が大きくなるとともに、オフ電流も増加し、特性劣化が生じてしまう。また、MISFETの特性(電圧−電流特性)のばらつき(変動)の原因にもなる。
【0009】
また、サイドウォールスペーサを形成するには、サイドウォールスペーサ形成用の絶縁膜を異方性エッチング(エッチバック)することで、ゲート電極の側壁上に絶縁膜をサイドウォールスペーサとして残し、他の領域の絶縁膜を除去するが、この際、ゲート電極およびサイドウォールスペーサで覆われていない部分の半導体基板が過剰にエッチングされてしまう虞もある。
【0010】
このため、半導体装置の性能向上のためには、サイドウォールスペーサ形成工程を工夫することが望まれる。
【0011】
本発明の目的は、半導体装置の性能を向上させることができる技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、(a)半導体基板を準備する工程、(b)前記半導体基板上に前記MISFETのゲート電極をゲート絶縁膜を介して形成する工程、(c)前記(b)工程後、イオン注入により前記半導体基板に第1半導体領域を形成する工程を有している。更に、(d)前記(c)工程後、前記ゲート電極の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、(e)前記(d)工程後、イオン注入により、前記半導体基板に第2半導体領域を形成する工程を有している。ここで、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とは同じ導電型で、かつ、前記第2半導体領域は前記第1半導体領域よりも高不純物濃度であり、前記第1半導体領域および前記第2半導体領域により、前記MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域が形成される。そして、前記(d)工程は、(d1)前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第1絶縁膜を形成する工程、(d2)前記(d1)工程後、前記第1絶縁膜を異方性エッチングする工程、(d3)前記(d2)工程後、前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、(d4)前記(d3)工程後、前記第2絶縁膜を異方性エッチングする工程を含んでいる。前記サイドウォールスペーサは、前記(d4)工程後に前記ゲート電極の側壁上に残存する前記第1および第2絶縁膜により形成され、前記(d2)工程では、前記第1絶縁膜をアンダーエッチングまたはジャストエッチングし、前記(d4)工程では、前記第2絶縁膜をオーバーエッチングして、前記ゲート電極および前記サイドウォールスペーサで覆われていない部分の前記半導体基板を露出させる。
【0015】
また、他の代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、(a)半導体基板を準備する工程、(b)前記半導体基板上に前記MISFETのゲート電極をゲート絶縁膜を介して形成する工程、(c)前記(b)工程後、イオン注入により前記半導体基板に第1半導体領域を形成する工程を有している。更に、(d)前記(c)工程後、前記ゲート電極の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、(e)前記(d)工程後、イオン注入により前記半導体基板に第2半導体領域を形成する工程を有している。ここで、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とは同じ導電型で、かつ、前記第2半導体領域は前記第1半導体領域よりも高不純物濃度であり、前記第1半導体領域および前記第2半導体領域により、前記MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域が形成される。そして、前記(d)工程は、(d1)前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第3絶縁膜を形成する工程、(d2)前記第3絶縁膜上に第1絶縁膜を形成する工程、(d3)前記(d2)工程後、前記第3絶縁膜をエッチングストッパとして、前記第1絶縁膜を異方性エッチングする工程を含んでいる。前記(d)工程は、更に、(d4)前記(d2)工程後、前記1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程、(d5)前記(d4)工程後、前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜を異方性エッチングする工程を含んでいる。前記サイドウォールスペーサは、前記(d5)工程後に前記ゲート電極の側壁上に残存する前記第3絶縁膜、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜により形成され、前記(d4)工程では、前記ゲート電極および前記サイドウォールスペーサで覆われていない部分の前記半導体基板を露出させる。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0017】
代表的な実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図2】図1のステップS10のサイドウォールスペーサ形成工程の詳細を示す製造プロセスフロー図である。
【図3】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図13】図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図14】図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図17】図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図18】図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図23】図22に続く比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】図23に続く比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図25】図24に続く比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図26】第1の変形例の半導体装置の製造工程におけるステップS10のサイドウォールスペーサ形成工程の詳細を示す製造プロセスフロー図である。
【図27】本発明の一実施の形態の第1の変形例における半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図33】本発明の一実施の形態の第2の変形例における半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図34】ステップS10のサイドウォールスペーサ形成工程の詳細を示す製造プロセスフロー図である。
【図35】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図41】第3の変形例の半導体装置の製造工程におけるステップS10のサイドウォールスペーサ形成工程の詳細を示す製造プロセスフロー図である。
【図42】本発明の他の実施の形態の第3の変形例における半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図43】図42に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図44】図43に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図47】図46に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図48】本発明の他の実施の形態の第4の変形例における半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0021】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0022】
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置、ここではMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図2は、図1のステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程の詳細を示す製造プロセスフロー図である。図3〜図21は、本実施の形態の半導体装置、ここではMISFETを有する半導体装置の製造工程中の要部断面図である。なお、本実施の形態では、MISFETとして、nチャネル型のMISFETを形成する場合を例に挙げて説明するが、nチャネル型のMISFETの代わりにpチャネル型のMISFETを形成する場合や、CMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を形成する場合に、本実施の形態を適用することもできる。
【0024】
まず、図3に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する(図1のステップS1)。それから、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する(図1のステップS2)。素子分離領域2は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより形成される。例えば、半導体基板1に形成された溝(素子分離溝)2aに埋め込まれた絶縁膜により、素子分離領域2を形成することができる。
【0025】
次に、図4に示されるように、半導体基板1の主面から所定の深さにわたってp型ウエル(ウエル領域)PWを形成する(図1のステップS3)。p型ウエルPWは、nチャネル型MISFET形成予定領域の半導体基板1に例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。また、閾値を調整するためのイオン注入も行う。
【0026】
次に、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウェットエッチングなどにより半導体基板1の表面を清浄化(洗浄)した後、半導体基板1の表面(すなわちp型ウエルPWの表面)上にゲート絶縁膜3を形成する(図1のステップS4)。ゲート絶縁膜3は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。ゲート絶縁膜3として、酸化シリコン膜の代わりに酸窒化シリコン膜などを形成することもできる。
【0027】
次に、図5に示されるように、半導体基板1上(すなわちp型ウエルPWのゲート絶縁膜3上)に、ゲート電極形成用の導体膜として、多結晶シリコン膜のようなシリコン膜4を形成する(図1のステップS5)。
【0028】
シリコン膜4のうちのnチャネル型MISFET形成予定領域(後でnチャネル型のMISFETのゲート電極GEとなる領域)は、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のn型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされる。また、シリコン膜4は、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後(イオン注入後)の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。なお、シリコン膜4へのイオン注入は、行なわない場合もある。
【0029】
次に、図6に示されるように、シリコン膜4をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極GEを形成する(図1のステップS6)。
【0030】
nチャネル型MISFETのゲート電極となるゲート電極GEは、パターニングされたシリコン膜4、ここではn型の不純物を導入した多結晶シリコン(n型半導体膜、ドープトポリシリコン膜)からなり、半導体基板1上(より特定的にはp型ウエルPW上)にゲート絶縁膜3を介して形成される。ゲート電極GEの下に残存するゲート絶縁膜3が、nチャネル型MISFETのゲート絶縁膜となる。すなわち、ゲート電極GEは、p型ウエルPWのゲート絶縁膜3上に形成される。ゲート電極GEのゲート長は、必要に応じて変更できるが、例えば40nm程度とすることができる。
【0031】
次に、図7に示されるように、半導体基板1の主面上に、ゲート電極GEを覆うように、絶縁膜5を形成する。絶縁膜5は、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜などからなり、その形成膜厚(厚み)Tは、例えば4〜10nm程度とすることができる。また、絶縁膜5は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0032】
次に、図8に示されるように、絶縁膜5をRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法などにより異方性エッチング(エッチバック)することによって、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜5を残し、他の領域(ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上)の絶縁膜5を除去する。これにより、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜5からなる側壁絶縁膜5aが形成される(図1のステップS7)。
【0033】
側壁絶縁膜5aはゲート電極GEの側壁上に形成されるが、このステップS7の側壁絶縁膜5a形成工程は、絶縁膜5形成工程(図7の工程)と、絶縁膜5の異方性エッチング工程(図8の工程)とを有している。ゲート電極GEの側壁上に側壁絶縁膜5aが不要であれば、絶縁膜5の形成自体を省略することもできる(絶縁膜5の形成工程を省略した場合は絶縁膜5の異方性エッチング工程も省略される)。
【0034】
側壁絶縁膜5aは、後述のエクステンション領域EXを形成するためのイオン注入IM1や後述のハロー領域HAを形成するためのイオン注入IM2の前に形成され、これらのイオン注入IM1,IM2においてイオン注入阻止マスクとして機能する。一方、後述のサイドウォールスペーサSWは、後述のエクステンション領域EXを形成するためのイオン注入IM1や後述のハロー領域HAを形成するためのイオン注入IM2の後に形成され、後述のソース・ドレイン領域SDを形成するためのイオン注入IM3においてイオン注入阻止マスクとして機能する。
【0035】
次に、図9に示されるように、半導体基板1(p型ウエルPW)のゲート電極GEの両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)エクステンション領域(ソース・ドレインエクステンション領域、n型半導体領域、n型不純物拡散層、第1半導体領域)EXを形成する(図1のステップS8)。
【0036】
エクステンション領域EXはn型の半導体領域であり、後で形成するn型のソース・ドレイン領域SDよりも不純物濃度が低い。なお、図9では、エクステンション領域EXを形成するためのイオン注入IM1を矢印で模式的に示してある。このイオン注入IM1の際、ゲート電極GEおよび側壁絶縁膜5aはマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、エクステンション領域EXは、ゲート電極GEの側壁上の側壁絶縁膜5aの側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)に整合して形成され、p型ウエルPWにおけるゲート電極GEおよび側壁絶縁膜5aの直下の領域には、不純物は導入(イオン注入)されない。ゲート電極GEの側壁上に側壁絶縁膜5aが形成されていない場合には、イオン注入IM1の際に、ゲート電極GEがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、エクステンション領域EXは、ゲート電極GEの側壁に整合して形成され、p型ウエルPWにおけるゲート電極GEの直下の領域には、不純物は導入(イオン注入)されない。また、エクステンション領域EXを形成するためのイオン注入IM1において、ゲート電極GE(を構成するシリコン膜4)にもn型の不純物がイオン注入され得る。
【0037】
エクステンション領域EXの深さ(接合深さ)は、後で形成されるn型のソース・ドレイン領域SDの深さ(接合深さ)よりも浅い。また、エクステンション領域EX形成のためのイオン注入IM1は、斜めイオン注入ではなく、半導体基板1の主面に対して垂直な方向にイオン注入することが好ましい。
【0038】
次に、図10に示されるように、半導体基板1(p型ウエルPW)にp型不純物のイオン注入(ハローイオン注入)IM2を行ってハロー領域(p型半導体領域)HAを形成する(図1のステップS9)。なお、図10では、ハロー領域HAを形成するためのイオン注入(ハローイオン注入)IM2を矢印で模式的に示してある。
【0039】
ハロー領域HAは、エクステンション領域EXとは逆の導電型で、かつp型ウエルPWとは同じ導電型であり、ここではp型(p型の半導体領域)である。ハロー領域HAは、短チャネル特性(パンチスルー)抑制のために形成される。ハロー領域HAを形成するためのイオン注入IM2の際、ゲート電極GEおよび側壁絶縁膜5aはマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。ハロー領域HAは、エクステンション領域EXを包み込む(覆う)ように形成され、p型ウエルPWよりも不純物濃度(p型不純物濃度)が高い。ハロー領域HAを形成するためのイオン注入IM2は、斜めイオン注入(傾斜イオン注入)とすることがより好ましく、これにより、エクステンション領域EXを包み込む(覆う)ようにハロー領域HAを的確に形成することができる。なお、一般のイオン注入では、半導体基板1の主面に対して垂直な方向に不純物イオンを加速して打ち込むが、斜めイオン注入では、半導体基板1の主面に対して垂直な方向から所定の角度(傾斜角)傾斜した方向に不純物イオンを加速して打ち込む。
【0040】
また、ハロー領域HAは、短チャネル特性抑制のために形成することが好ましいが、不要であればその形成を省略する(すなわちイオン注入IM2を省略する)こともできる。
【0041】
また、エクステンション領域EXおよびハロー領域HAは、必ずしもこの順序で形成しなくともよいが、エクステンション領域EXおよびハロー領域HAを形成する各イオン注入IM1,IM2は、少なくとも、ゲート電極GE形成後で、かつ、ゲート電極GEの側壁上に後述のサイドウォールスペーサSWを形成する前に行う必要がある。ゲート電極GEの側壁上に側壁絶縁膜5aを形成する場合は、ゲート電極GEの側壁上に側壁絶縁膜5aを形成した後で、かつ、後述のサイドウォールスペーサSWを形成する前に、エクステンション領域EXおよびハロー領域HAを形成する各イオン注入IM1,IM2を行う。
【0042】
次に、ゲート電極GEの側壁上にサイドウォールスペーサ(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWを形成する(図1のステップS10)。ゲート電極GEの側壁上に側壁絶縁膜5aを形成していた場合には、ゲート電極GEの側壁上に、側壁絶縁膜5aを介してサイドウォールスペーサSWが形成される。このステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程について、以下具体的に説明する。
【0043】
まず、図11に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GEを覆うように、絶縁膜(第1絶縁膜)6を形成する(図2のステップS10a)。絶縁膜6は、好ましくは窒化シリコン膜からなる。絶縁膜6の形成膜厚(厚み)Tは、例えば20〜25nm程度とすることができる。また、絶縁膜6は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。
【0044】
次に、絶縁膜6をRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図2のステップS10b)。
【0045】
ステップS10bのエッチング工程で用いるエッチングガスは、絶縁膜6の材料にもよるが、絶縁膜6が窒化シリコン膜の場合は、例えば四フッ化炭素などをステップS10bのエッチングガスとして用いることができる。
【0046】
ステップS10bのエッチング工程により、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜6をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域(ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上)の絶縁膜6を除去する。但し、ステップS10bのエッチング工程では、ゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1が露出する前か、あるいは、ちょうど露出した段階で、絶縁膜6のエッチングを終了し、ゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1がエッチング(オーバーエッチング)されないようにする。
【0047】
ここで、半導体基板上に形成されたエッチング対象膜をエッチングする工程において、半導体基板上のエッチング対象膜をエッチングして半導体基板の表面が露出してからもエッチングを継続した場合(この場合、露出した半導体基板の少なくとも一部もエッチングされ得る)を、エッチング対象膜をオーバーエッチングすると言うものとする。また、半導体基板の表面が露出する前にエッチング対象膜のエッチングを終了した場合(この場合、半導体基板上にエッチング対象膜の少なくとも一部が層状に残存し、半導体基板が露出しない)を、エッチング対象膜をアンダーエッチングすると言うものとする。また、半導体基板上のエッチング対象膜をエッチングして半導体基板の表面がちょうど露出した段階でエッチングを終了した場合(この場合、半導体基板は露出するが、エッチングはされない)を、エッチング対象膜をジャストエッチングすると言うものとする。
【0048】
ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程では、絶縁膜6をアンダーエッチングまたはジャストエッチングする。ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程において、絶縁膜6をジャストエッチングした場合を図12に示し、絶縁膜6をアンダーエッチングした場合を図13に示してある。すなわち、図12および図13は、いずれもステップ10bのエッチング工程が終了した段階が示されているが、ゲート電極GEの側壁上以外の領域において、絶縁膜6が薄い層状に残存する(図13の場合)かしない(図12の場合)かが異なっている。
【0049】
ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程において、絶縁膜6をジャストエッチングした場合には、図12に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜6がサイドウォールスペーサ状に残り、それ以外の絶縁膜6は除去されている。そして、ゲート電極GE(およびゲート電極GEの側壁上に残存するサイドウォールスペーサ状の絶縁膜6)で覆われていない部分の半導体基板1の表面が露出された状態となる。但し、絶縁膜6をジャストエッチングしたため、ゲート電極GE(およびゲート電極GEの側壁上に残存するサイドウォールスペーサ状の絶縁膜6)で覆われていない部分の半導体基板1はエッチングされていない。
【0050】
一方、ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程において、絶縁膜6をアンダーエッチングした場合には、図13に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜6がサイドウォールスペーサ状に残るだけでなく、ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上にも、絶縁膜6の一部が層状に残存した状態となり、半導体基板1は露出されない。
【0051】
次に、図14または図15に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GEおよび残存する絶縁膜6を覆うように、絶縁膜(第2絶縁膜)7を形成する(図2のステップS10c)。
【0052】
絶縁膜7は、好ましくは絶縁膜6と同じ材料からなり、絶縁膜6が窒化シリコン膜からなる場合は、絶縁膜7も窒化シリコン膜からなることが好ましい。絶縁膜7の形成膜厚(厚み)Tは、例えば10〜15nm程度とすることができる。また、絶縁膜7は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0053】
なお、図14は、上記図12の状態(ステップS10bで絶縁膜6をジャストエッチングした状態)からステップS10cの絶縁膜7形成工程を行った段階が示され、図15は、上記図13の状態(ステップS10bで絶縁膜6をアンダーエッチングした状態)からステップS10cの絶縁膜7形成工程を行った段階が示されている。
【0054】
次に、絶縁膜7をRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図2のステップS10d)。なお、図16は、上記図14の状態からステップS10dのエッチング工程を行った段階が示され、図17は、上記図15の状態からステップS10dのエッチング工程を行った段階が示されている。
【0055】
ステップS10dのエッチング工程で用いるエッチングガスは、絶縁膜7の材料にもよるが、絶縁膜7が窒化シリコン膜の場合は、例えば四フッ化炭素などをステップS10dのエッチングガスとして用いることができる。
【0056】
ステップS10dの異方性エッチングにより、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜7をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域(ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上)の絶縁膜7を除去する。但し、ステップS10dのエッチング工程では、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1が露出した後にエッチングを終了するようにし、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1を露出させる。すなわち、ステップS10dのエッチング工程では、絶縁膜7をオーバーエッチングする。また、上記ステップS10bのエッチング工程で絶縁膜6をアンダーエッチングしていた場合には、ステップS10dのエッチング工程において、絶縁膜7だけでなく、絶縁膜7の下の絶縁膜6もエッチングして、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1を露出させる。このため、上記ステップS10bのエッチング工程で絶縁膜6をアンダーエッチングしていた場合には、ステップS10dのエッチング工程は、絶縁膜7および絶縁膜6をエッチング(異方性エッチング)する工程とみなすこともできる。
【0057】
また、絶縁膜6と絶縁膜7とを同じ材料により形成すれば、ステップS10bのエッチング工程で絶縁膜6がアンダーエッチングとなったときのエッチング残り(サイドウォールスペーサSWとなる部分以外の絶縁膜6の残存部分)を、ステップS10dのエッチング工程で除去しやすくなる。
【0058】
上記ステップS10bのエッチング工程で絶縁膜6をアンダーエッチングした場合とジャストエッチングした場合のいずれにおいても、ステップS10dのエッチング工程では、絶縁膜7をオーバーエッチングするため、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1が露出した後も、エッチングが所定時間継続される。このため、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1が若干エッチングされ得る。
【0059】
また、ステップS10d(および後述のステップS10i)のエッチング工程では、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われていない部分の半導体基板1が露出されるが、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われていない部分の半導体基板1に後でソース・ドレイン領域SDが形成されるため、ステップS10d(および後述のステップS10i)のエッチング工程では、後でソース・ドレイン領域SDが形成される部分の半導体基板1が露出されると言うこともできる。
【0060】
ステップS10a,S10b,S10c,S10dを行うことにより、図16または図17に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に、絶縁膜6,7からなるサイドウォールスペーサ(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWが形成される。サイドウォールスペーサSWは、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6,7からなるが、ゲート電極GEの側壁上に側壁絶縁膜5aを形成していた場合には、ゲート電極GEの側壁上に、側壁絶縁膜5aを介して、絶縁膜6,7からなるサイドウォールスペーサSWが形成される。サイドウォールスペーサSWは、絶縁膜6,7からなるが、ゲート電極GEに近い側が絶縁膜6で、ゲート電極GEから遠い側が絶縁膜7である。ゲート電極GEの側壁上に、ゲート電極GEに近い側から順に側壁絶縁膜5a、絶縁膜6および絶縁膜7が積層された状態となっており、このうち絶縁膜6および絶縁膜7によりサイドウォールスペーサSWが形成され、側壁絶縁膜5aはサイドウォールスペーサSWには含まないものとする。
【0061】
ここで、サイドウォールスペーサSWは、LDD構造における低不純物濃度のエクステンション領域(ここではエクステンション領域EX)を形成した後にゲート電極(ここではゲート電極GE)の側壁上に形成され、かつLDD構造における高不純物濃度のソース・ドレイン領域(ここではソース・ドレイン領域SD)を形成するためのイオン注入工程で、イオン注入阻止マスクとして機能するものである。側壁絶縁膜5aは、LDD構造における低不純物濃度のエクステンション領域(ここではエクステンション領域EX)を形成する前に形成されているため、サイドウォールスペーサSWには側壁絶縁膜5aは含まれないものとする。このため、ステップS7の側壁絶縁膜5a形成工程の後で、ステップS10aの絶縁膜6形成工程の前には、半導体基板1に対するイオン注入工程(ここではイオン注入IM1,IM2)が行われる(そのイオン注入工程で側壁絶縁膜5aはイオン注入素子マスクとして機能し得る)が、ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程の後で、ステップS10cの絶縁膜7形成工程の前に、半導体基板1に対するイオン注入工程は行われない。
【0062】
上記ステップS10bのエッチング工程で絶縁膜6をアンダーエッチングした場合のサイドウォールスペーサSW(図16のサイドウォールスペーサSWと称する)とジャストエッチングした場合のサイドウォールスペーサSW(図17のサイドウォールスペーサSWと称する)との相違点は、次のようなものである。すなわち、図16のサイドウォールスペーサSWでは、サイドウォールスペーサSWを構成する絶縁膜7は半導体基板1(エクステンション領域EX)に接しているが、図17のサイドウォールスペーサSWでは、サイドウォールスペーサSWを構成する絶縁膜7と半導体基板1(エクステンション領域EX)との間には、絶縁膜6の薄い部分が介在している。
【0063】
上記ステップS10a〜S10dによりサイドウォールスペーサSWを形成した後、図18に示されるように、n型半導体領域(n型不純物拡散層)であるソース・ドレイン領域(第2半導体領域)SDを形成する(図1のステップS11)。ソース・ドレイン領域SDは、半導体基板1(p型ウエルPW)のゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWの両側の領域に、ヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物をイオン注入する(このイオン注入をイオン注入IM3と称する)ことにより形成することができる。なお、図18では、ソース・ドレイン領域SDを形成するためのイオン注入IM3を矢印で模式的に示してある。
【0064】
なお、図18に示されるサイドウォールスペーサSWは、上記図16に示されるサイドウォールスペーサSWと同じにしてあるが、図18に示されるサイドウォールスペーサSWを、図17に示されるサイドウォールスペーサSWとすることもできることは言うまでもない。このことは、後述の図19〜図21についても同様である。
【0065】
イオン注入IM3の際、ゲート電極GEおよびその側壁上のサイドウォールスペーサSWもマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、ソース・ドレイン領域SDは、ゲート電極GEの側壁上のサイドウォールスペーサSW(の側壁)に整合して形成され、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWの直下には、不純物は導入(イオン注入)されない。なお、ゲート電極GEの側壁上に側壁絶縁膜5aも形成していた場合には、イオン注入IM3の際、ゲート電極GEとその側壁上の側壁絶縁膜5aおよびサイドウォールスペーサSWがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するので、ゲート電極GE、側壁絶縁膜5aおよびサイドウォールスペーサSWの直下には、不純物は導入(イオン注入)されない。ソース・ドレイン領域SDの深さ(接合深さ)は、エクステンション領域EXの深さ(接合深さ)よりも深い。また、ソース・ドレイン領域SD形成のためのイオン注入IM3は、斜めイオン注入ではなく、半導体基板1の主面に対して垂直な方向にイオン注入することが好ましい。また、ソース・ドレイン領域SDを形成するためのイオン注入IM3において、ゲート電極GE(を構成するシリコン膜4)にもn型の不純物がイオン注入され得る。
【0066】
ソース・ドレイン領域SDとエクステンション領域EXとは同じ導電型であるが、ソース・ドレイン領域SDは、エクステンション領域EXよりも、不純物濃度(n型不純物濃度)が高い。これにより、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、ソース・ドレイン領域SDおよびエクステンション領域EXにより形成される。換言すれば、エクステンション領域EXと、それよりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域SDとは、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレイン用の半導体領域(n型の半導体領域)として機能する。従って、nチャネル型MISFETQnのソース領域およびドレイン領域は、LDD(Lightly doped Drain)構造を有している。上述のように、エクステンション領域EXは、絶縁膜5aに対して自己整合的に形成され、ソース・ドレイン領域SDは、ゲート電極GEの側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSWに対して自己整合的に形成される。
【0067】
次に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う(図1のステップS12)。このアニール処理は、例えば1050℃程度のフラッシュランプアニール処理にて行うことができる。
【0068】
このようにして、p型ウエルPWに、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qnが形成される。これにより、図18の構造が得られる。nチャネル型MISFETQnは、nチャネル型の電界効果トランジスタとみなすことができる。
【0069】
次に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、ゲート電極GEおよびソース・ドレイン領域SDの表面(表層部分、上層部分)に、低抵抗の金属シリサイド層11を形成する(図1のステップS13)。
【0070】
例えば、ゲート電極GEおよびソース・ドレイン領域SDの表面(上面)を露出させ、例えばコバルト(Co)膜またはニッケル(Ni)のような金属膜を堆積して熱処理することによって、図19に示されるように、ゲート電極GEおよびソース・ドレイン領域SDの表面(表層部分、上層部分)に、それぞれ金属シリサイド層11を形成することができる。これにより、ソース・ドレイン領域SDの拡散抵抗やコンタクト抵抗などを低抵抗化することができる。その後、未反応の金属膜は除去する。
【0071】
次に、図20に示されるように、半導体基板1の主面上に絶縁膜(層間絶縁膜)12を形成する。すなわち、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWを覆うように、金属シリサイド層11上を含む半導体基板1上に絶縁膜12を形成する。絶縁膜12は、例えば、酸化シリコン膜の単体膜や、あるいは、窒化シリコン膜とそれよりも厚い酸化シリコン膜との積層膜などからなる。その後、絶縁膜12の表面(上面)をCMP(CMP:Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)法により研磨するなどして、絶縁膜12の上面を平坦化する。下地段差に起因して絶縁膜12の表面に凹凸形状が形成されていても、絶縁膜12の表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜を得ることができる。
【0072】
次に、絶縁膜12上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜12をドライエッチングすることにより、絶縁膜12にコンタクトホール(貫通孔、孔)13を形成する。コンタクトホール13の底部では、半導体基板1の主面の一部、例えばソース・ドレイン領域SDの表面上の金属シリサイド層11の一部や、ゲート電極GEの表面上の金属シリサイド層11の一部などが露出される。
【0073】
次に、コンタクトホール13内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグ(接続用導体部)14を形成する。プラグ14を形成するには、例えば、コンタクトホール13の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜12上に、プラズマCVD法などによりバリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜をCVD法などによってバリア導体膜上にコンタクトホール13を埋めるように形成し、絶縁膜12上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグ14を形成することができる。図面の簡略化のために、プラグ14は、主導体膜とバリア導体膜を一体化して示してある。プラグ14は、その底部で、ゲート電極GEまたはソース・ドレイン領域SDの表面上の金属シリサイド層11などと接して、電気的に接続される。
【0074】
次に、図21に示されるように、プラグ14が埋め込まれた絶縁膜12上に、絶縁膜15を形成する。絶縁膜15は、複数の絶縁膜の積層膜で形成することもできる。
【0075】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線である配線M1を形成する。具体的には、次のようにして配線M1を形成することができる。まず、フォトレジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜15の所定の領域に配線溝を形成した後、配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜15上にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成する。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成して、銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝以外の領域の主導体膜(銅めっき膜およびシード層)とバリア導体膜をCMP法により除去して、配線溝に埋め込まれ銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。図面の簡略化のために、配線M1は、バリア導体膜、シード層および銅めっき膜を一体化して示してある。
【0076】
配線M1は、プラグ14を介してゲート電極GEまたはソース・ドレイン領域SDなどと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法により2層目の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0077】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0078】
次に、本実施の形態の特徴について、より詳細に説明する。
【0079】
まず、比較例の半導体装置の製造工程について説明する。図22〜図25は、比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0080】
図22は、上記図10に対応しており、上記図3〜図10の工程と同様にして、図22の構造が得られる。図22における半導体基板101、素子分離領域102、p型ウエルPW101、ゲート絶縁膜103、ゲート電極GE101、側壁絶縁膜105a、エクステンション領域EX101およびハロー領域HA101は、本実施の形態の上記半導体基板1、素子分離領域2、p型ウエルPW、ゲート絶縁膜3、ゲート電極GE、側壁絶縁膜5a、エクステンション領域EXおよびハロー領域HAにそれぞれ対応するものである。
【0081】
比較例の半導体装置の製造工程では、図22の構造を得た後、図23に示されるように、半導体基板101の主面上に、ゲート電極GE101を覆うように、窒化シリコンなどからなる絶縁膜106を形成する。絶縁膜106の形成膜厚T101は、本実施の形態における上記絶縁膜6の形成膜厚Tと上記絶縁膜7の形成膜厚Tとの和(合計)にほぼ対応している(すなわちT101=T+T)。
【0082】
次に、図24に示されるように、絶縁膜106をRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する。このエッチング工程により、ゲート電極GE101の側壁上に絶縁膜106をサイドウォールスペーサSW101として残し、他の領域の絶縁膜106を除去する。
【0083】
サイドウォールスペーサSW101を形成した後、図25に示されるように、イオン注入により、n型半導体領域であるソース・ドレイン領域SD101を形成する。このイオン注入の際、ゲート電極GE101およびその側壁上のサイドウォールスペーサSW101もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、ソース・ドレイン領域SD101は、ゲート電極GE101の側壁上のサイドウォールスペーサSW101(の側壁)に整合して形成される。
【0084】
このようにして、p型ウエルPW101に、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MISFETQn101が形成される。エクステンション領域EX101と、それよりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域SD101とは、nチャネル型MISFETQn101のソースまたはドレイン用の半導体領域として機能する。
【0085】
サイドウォールスペーサSW101は、ソース・ドレイン領域SD101を形成するためのイオン注入の際にマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、LDD構造のソース領域およびドレイン領域を形成することができる。
【0086】
しかしながら、図22〜図25に示される比較例の半導体装置の製造工程では、次のような課題が生じることが、本発明者の検討により分かった。
【0087】
サイドウォールスペーサSW101の幅(ゲート長方向の寸法)W101は、絶縁膜106の形成膜厚T101によって制御することができるが、サイドウォールスペーサSW101の幅W101を大きくするには、絶縁膜106の形成膜厚T101を厚くする必要がある。なお、サイドウォールスペーサSW101の幅W101は図24に示され、絶縁膜106の形成膜厚T101は図23に示されている。しかしながら、絶縁膜106の形成膜厚T101を厚くすると、サイドウォールスペーサSW101を形成するために絶縁膜106を異方性エッチングする工程(この工程を、以下では絶縁膜106のエッチング工程と称する)において、絶縁膜106のオーバーエッチング量を大きくする必要がある。すなわち、絶縁膜106をエッチングしてサイドウォールスペーサSW101を形成する際には、サイドウォールスペーサSW101以外の絶縁膜106を除去してゲート電極GE101およびサイドウォールスペーサSW101で覆われていない部分の半導体基板101を露出させる必要がある。このため、絶縁膜106をエッチングしてサイドウォールスペーサSW101を形成した際に、不要な絶縁膜106が残存しないようにするためには、絶縁膜106の形成膜厚T101が厚いほど、絶縁膜106のオーバーエッチング量を大きく設定して、サイドウォールスペーサSW101以外の不要な絶縁膜106を確実に除去し、半導体基板1上に不要な絶縁膜106が残存しないようにする必要がある。
【0088】
しかしながら、絶縁膜106のオーバーエッチング量を大きく設定すると、過剰にエッチングされた絶縁膜106でサイドウォールスペーサSW101が形成されるため、図24に示されるサイドウォールスペーサSW101の断面形状(ゲート長方向に平行な断面での形状)において、ショルダー部(肩部)SW101aの高さが低くなった形状、いわゆる「なで肩」の形状となってしまう。ここで、ショルダー部SW101aは、サイドウォールスペーサSW101において、ゲート電極GE101の側壁に対向する側とは反対側の側面の肩部に対応している。サイドウォールスペーサSW101が、このような断面形状(なで肩形状)となるのは、絶縁膜106をエッチングしてサイドウォールスペーサSW101を形成した際に、絶縁膜106のオーバーエッチング量が大きかったためである。
【0089】
サイドウォールスペーサSW101が、このような断面形状(なで肩形状)になると、ソース・ドレイン領域SD101を形成するためのイオン注入の際に、加速された不純物イオンが、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能すべきサイドウォールスペーサSW101を突き抜けてしまい、サイドウォールスペーサSW101の直下の半導体基板101中に不純物がイオン注入されてしまう虞がある。具体的には、図25に点線で示される領域RG101には、ソース・ドレイン領域SD101を形成するためのイオン注入の際に本来は不純物イオンが注入されるべきではないが、サイドウォールスペーサSW101のショルダー部SW101aの高さが低くなった分、不純物イオンがサイドウォールスペーサSW101を突き抜けて領域RG101にも注入されてしまう虞がある。ここで、領域RG101は、サイドウォールスペーサSW101の直下の半導体基板101の一部であって、サイドウォールスペーサSW101の端部(ゲート電極GE101に対向していない側の端部)の近傍の領域に対応している。ソース・ドレイン領域SD101を形成するためのイオン注入の際に、サイドウォールスペーサSW101の直下の半導体基板101中(具体的には領域RG101中)に不純物イオンが注入されてしまうと、パンチスルーが生じやすくなるため、ソース・ドレイン電流が大きくなるとともに、オフ電流も増加し、特性劣化が生じてしまう。また、ソース・ドレイン領域SD101を形成するためのイオン注入の際に、サイドウォールスペーサSW101の直下の半導体基板101中(具体的には領域RG101中)に不純物イオンが注入されてしまうと、MISFETの特性(電圧−電流特性)のばらつき(変動)の原因となる。
【0090】
このため、ソース・ドレイン領域SD101を形成するためのイオン注入の際に、加速された不純物イオンが、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能すべきサイドウォールスペーサSW101を突き抜けないようにするために、絶縁膜106のオーバーエッチング量を少なくして、サイドウォールスペーサSW101のショルダー部SW101aの高さを高くすることが考えられる。しかしながら、絶縁膜106の形成膜厚T101が厚い場合に絶縁膜106のオーバーエッチング量を少なくすると、絶縁膜106のエッチング残りが発生する虞がある。このため、絶縁膜106のエッチング残りが生じないようにしながらサイドウォールスペーサSW101を形成するためには、絶縁膜106のオーバーエッチング量の抑制には限界がある。
【0091】
また、絶縁膜106のオーバーエッチング量が大きいと、図24に示されるように、ゲート電極GE101およびサイドウォールスペーサSW101で覆われていない部分の半導体基板101が過剰にエッチングされてしまい、半導体基板101の表面に段差101aが発生しやすい。具体的には、図24および図25に示されるように、ゲート電極GE101およびサイドウォールスペーサSW101で覆われた部分の半導体基板101の上面よりも、ソース・ドレイン領域SD101が形成される部分の半導体基板101の上面が低くなってしまう。これにより、ゲート電極GE101およびサイドウォールスペーサSW101で覆われた部分の半導体基板101の上面と、ソース・ドレイン領域SD101が形成される部分の半導体基板101の上面との間に段差101aが発生してしまう。このような段差101aが大きいと(すなわちゲート電極GE101およびサイドウォールスペーサSW101で覆われた部分の半導体基板101の上面とソース・ドレイン領域SD101が形成される部分の半導体基板101の上面との高さの差が大きいと)、ソース・ドレイン領域SD101を浅く形成しにくくなるため、素子(MISFET素子)の微細化には不利となる。この点でも、絶縁膜106のオーバーエッチング量を少なくして、上記段差101aを小さくすることが望まれるが、上述のように、絶縁膜106のオーバーエッチング量を少なくすると、絶縁膜106のエッチング残りが発生する虞があるため、絶縁膜106のオーバーエッチング量の抑制には限界がある。
【0092】
それに対して、本実施の形態では、ステップS10aで形成した絶縁膜6をステップS10bで異方性エッチングすることで、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜6をサイドウォールスペーサ状に残し、その後、ステップS10cで絶縁膜7を形成してから、ステップS10eで絶縁膜7を異方性エッチングすることで、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜7をサイドウォールスペーサ状に残している。これにより、ゲート電極GEの側壁上にサイドウォールスペーサ状に残された絶縁膜6,7からなるサイドウォールスペーサSWが形成される。すなわち、複数の絶縁膜(ここでは絶縁膜6,7)でサイドウォールスペーサSWを形成するが、絶縁膜(ここでは絶縁膜6または絶縁膜7)の形成工程とその絶縁膜(ここでは絶縁膜6または絶縁膜7)の異方性エッチング工程とを繰り返すことでサイドウォールスペーサSWを形成している。このため、サイドウォールスペーサSW形成用の絶縁膜6,7の各形成膜厚T,Tを、サイドウォールスペーサSWの幅Wよりも小さくすることができる(T<W,T<W)。ここで、サイドウォールスペーサSWの幅Wとは、そのサイドウォールスペーサSWが側壁に形成されたゲート電極GEのゲート長方向に平行な方向での寸法(サイドウォールスペーサSWの寸法)であり、図16および図17に示されている。また、形成膜厚Tは、ステップS10aで形成した絶縁膜6の膜厚であり、図11に示されている。また、形成膜厚Tは、ステップS10cで形成した絶縁膜7の膜厚であり、図14および図15に示されている。
【0093】
このため、本実施の形態と上記比較例の製造工程を比べるときに、サイドウォールスペーサSW,SW101の各幅W,W101を同じ(W=W101)にした場合、本実施の形態の絶縁膜6の形成膜厚Tは、比較例の絶縁膜106の形成膜厚T101よりも薄く(T<T101)することができ、本実施の形態の絶縁膜7の形成膜厚Tは、比較例の絶縁膜106の形成膜厚T101よりも薄く(T<T101)することができる。これは、W=W101とする場合、本実施の形態における絶縁膜6の形成膜厚Tと絶縁膜7の形成膜厚Tとの合計が、比較例における絶縁膜106の形成膜厚T101とほぼ同じ(T+T=T101)になるためである。
【0094】
本実施の形態では、ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程では、絶縁膜6をオーバーエッチングせずに、絶縁膜6をアンダーエッチングまたはジャストエッチングし、ステップS10dの絶縁膜7のエッチング工程で、絶縁膜7をオーバーエッチングする。このため、サイドウォールスペーサSWを形成するためのステップS10b,S10dのエッチング工程において、ステップS10bではオーバーエッチングが生じず、ステップS10dでは、オーバーエッチングが生じるが、ステップS10dにおけるオーバーエッチング量は、上記比較例における絶縁膜106のオーバーエッチング量よりも小さくすることができる。ステップS10dにおけるオーバーエッチング量を、上記比較例における絶縁膜106のオーバーエッチング量よりも小さくすることができるのは、絶縁膜106の形成膜厚T101よりも絶縁膜7の形成膜厚Tを薄く(T<T101)することができるためである。
【0095】
すなわち、不要な部分が残存しないようにエッチング対象膜をオーバーエッチングする場合、エッチング対象膜の厚みが厚くなるほど、オーバーエッチング量を大きく設定する必要がある。これは、オーバーエッチング量を固定したままでエッチング対象膜の膜厚を厚くすると、エッチング対象膜の不要なエッチング残りが生じる可能性が増大するため、エッチング対象膜の厚みの増加に合わせて、オーバーエッチング量を増加させる必要があるからである。
【0096】
上記比較例では、サイドウォールスペーサSW101を形成するための絶縁膜106のエッチング工程は、エッチング対象膜は絶縁膜106であり、サイドウォールスペーサSW101以外の不要な絶縁膜106が残存しないように、エッチング対象膜(ここでは絶縁膜106)の厚い膜厚(ここでは形成膜厚T101)に応じて、絶縁膜106のオーバーエッチング量をある程度大きくする必要があった。それに対して、本実施の形態では、ステップS10dでは、エッチング対象膜は主として絶縁膜7であり、エッチング対象膜(ここでは主として絶縁膜7)の薄い膜厚(ここでは形成膜厚T)に応じて、オーバーエッチング量を小さくすることができる。すなわち、本実施の形態では、上記比較例の絶縁膜106のエッチング工程におけるオーバーエッチング量に比べて、ステップS10dのエッチング工程におけるオーバーエッチング量を少なくしても、ステップS10dのエッチング工程で不要なエッチング残りが生じるのを防止することができる。このように、本実施の形態では、絶縁膜7の形成膜厚Tが絶縁膜106の形成膜厚T101よりも薄い(T<T101)ことにより、ステップS10dのエッチング工程でのオーバーエッチング量を、上記比較例における絶縁膜106のオーバーエッチング量よりも小さくすることができる。
【0097】
このように、本実施の形態では、サイドウォールスペーサSWを形成するためのステップS10b,S10dのエッチング工程において、ステップS10bではオーバーエッチングが生じず、ステップS10dでは、オーバーエッチングが生じるが、そのオーバーエッチング量を小さくすることができる。このため、サイドウォールスペーサSW,SW101を形成するためのエッチング工程(本実施の形態ではステップS10b,S10dのエッチング工程に対応、上記比較例では絶縁膜106のエッチング工程に対応)における合計のオーバーエッチング量は、上記比較例よりも本実施の形態の方が小さくすることができる。このため、本実施の形態では、上記比較例に関連して説明した絶縁膜106のオーバーエッチング量が大きいことに起因した課題を解決することができる。
【0098】
すなわち、本実施の形態では、サイドウォールスペーサSWの断面形状(ゲート長方向に平行な断面での形状)は、上記比較例のような断面形状(なで肩形状)とはならず、図16や図17に示されるように、ショルダー部(肩部)SWaの高さが高くなった形状、いわゆる「いかり肩」の形状となる。ここで、ショルダー部SWaは、サイドウォールスペーサSWにおいて、ゲート電極GEの側壁に対向する側とは反対側の側面の肩部に対応している。サイドウォールスペーサSWが、このような断面形状(いかり肩形状)となるのは、サイドウォールスペーサSWを形成した際にオーバーエッチング量が小さかったためである。
【0099】
サイドウォールスペーサSWが、このような断面形状(いかり肩形状)になると、ソース・ドレイン領域SDを形成するためのイオン注入IM3の際に、加速された不純物イオンは、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能すべきサイドウォールスペーサSWを突き抜けることがなくなり、サイドウォールスペーサSWの直下の半導体基板1中に不純物イオンが注入されなくなる。すなわち、イオン注入IM3の際に、上記領域RG101に相当する領域に不純物イオンが注入されるのを防止することができる。本実施の形態では、ソース・ドレイン領域SDを形成するためのイオン注入IM3の際に、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能すべきサイドウォールスペーサSWの直下の半導体基板1中に不純物がイオン注入されてしまうのを防止できるため、半導体装置の特性を向上させることができる。例えば、パンチスルーが生じにくくなり、また、オフ電流を低減することができる。また、MISFETの特性(電圧−電流特性)のばらつき(変動)を低減することもできる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0100】
また、本実施の形態では、サイドウォールスペーサSWを形成するためのエッチング工程(本実施の形態ではステップS10b,S10dのエッチング工程に対応)における合計のオーバーエッチング量を小さくすることができるため、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われていない部分の半導体基板1がエッチングされる量を低減することができる。このため、半導体基板1の表面に上記段差101aのような段差(ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われた部分の半導体基板1の上面と、ソース・ドレイン領域SDが形成される部分の半導体基板1の上面との段差)は発生しにくいか、あるいは段差が生じてもその段差を小さくすることができる。このため、ソース・ドレイン領域SDを浅く形成しやすくなり、素子(MISFET素子)の微細化に有利となる。従って、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0101】
また、絶縁膜7の形成膜厚Tは絶縁膜6の形成膜厚Tよりも薄い(T<T)ことが好ましい。これは、サイドウォールスペーサSWを形成するために必要な絶縁膜の合計膜厚(T+Tに相当)を、絶縁膜6の形成膜厚Tに厚めに、絶縁膜7の形成膜厚Tに薄めに振り分ける(すなわちT<Tとする)ことで、ステップS10dのエッチング工程におけるエッチング対象膜の厚みを薄くすることができ、ステップS10dのエッチング工程におけるオーバーエッチング量をより少なくすることができるようになるためである。絶縁膜7の形成膜厚Tを絶縁膜6の形成膜厚Tよりも薄く(T<T)することにより、サイドウォールスペーサSWを形成するためのエッチング工程(ステップS10b,S10dのエッチング工程)における合計のオーバーエッチング量を、より小さくすることができるため、上記比較例に関連して説明した絶縁膜106のオーバーエッチング量が大きいことに起因した課題を、より的確に解決することができる。これと同じ観点から、後述の第1の変形例の場合も、サイドウォールスペーサSWを形成するための複数の絶縁膜(絶縁膜6a,6b,7)の各形成膜厚のうち、絶縁膜7の形成膜厚を最も薄くすることが、より好ましい。
【0102】
また、本実施の形態では、サイドウォールスペーサSWを複数の絶縁膜(ここでは絶縁膜6,7)により形成している。但し、本実施の形態では、絶縁膜形成工程とその絶縁膜を異方性エッチングする工程とを繰り返してサイドウォールスペーサSWを形成することを、主要な特徴の一つとしており、異方性エッチングを行うことなく複数の絶縁膜を順に形成した後で、これら複数の絶縁膜を一括して異方性エッチングしてサイドウォールスペーサを形成しているのではない。異方性エッチングを行うことなく複数の絶縁膜を順に形成した後で、これら複数の絶縁膜を一括して異方性エッチングしてサイドウォールスペーサを形成した場合(すなわち上記比較例の上記図23において、絶縁膜106が複数の絶縁膜の積層膜で構成される場合)にも、上記比較例で説明したのと同様の課題が生じ得る。本実施の形態では、絶縁膜形成工程とその絶縁膜を異方性エッチングする工程とを繰り返してサイドウォールスペーサSWを形成することで、上記比較例で説明した課題を解決し、上述した本実施の形態の効果を得ることが可能となる。
【0103】
次に、本実施の形態の第1の変形例について説明する。
【0104】
本実施の形態では、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、ステップS10aの絶縁膜6形成工程とステップS10bの絶縁膜6エッチング工程を1回行った後で、ステップS10cの絶縁膜7形成工程とステップS10dの絶縁膜7エッチング工程を行っているが、第1の変形例として、ステップS10aとステップS10bを複数回繰り返してから、ステップ10cおよびステップS10dを行うこともできる。以下では、第1の変形例として、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、ステップS10aおよびステップS10bを2回繰り返してから、ステップ10cおよびステップS10dを行う場合について図26〜図32を参照して説明する。なお、1回目のステップS10aがステップS10a1に対応し、1回目のステップS10bがステップS10b1に対応し、2回目のステップS10aがステップS10a2に対応し、2回目のステップS10bがステップS10b2に対応する。
【0105】
図26は、本実施の形態の第1の変形例におけるステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程の詳細を示す製造プロセスフロー図であり、上記図2に対応するものである。図27〜図32は、本実施の形態の第1の変形例における半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0106】
第1の変形例の製造工程では、上記ステップS1〜S9の工程を行って上記図10の構造を得た後、図27に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GEを覆うように、絶縁膜6aを形成する(図26のステップS10a1)。ステップS10a1の絶縁膜6a形成工程は、上記ステップS10aの絶縁膜6形成工程と基本的には同じであり、絶縁膜6aは上記絶縁膜6と同様の膜であるが、絶縁膜6aの形成膜厚は上記絶縁膜6の形成膜厚と異ならせることもできる。
【0107】
次に、図28に示されるように、絶縁膜6aをRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図26のステップS10b1)。ステップS10b1の絶縁膜6aのエッチング工程は、上記ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程と基本的には同じである。
【0108】
すなわち、ステップS10b1のエッチング工程により、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜6aをサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域(ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上)の絶縁膜6aを除去するが、上記ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程と同様に、ステップS10b1の絶縁膜6aのエッチング工程でも、絶縁膜6aをアンダーエッチングまたはジャストエッチングする。図28には、ステップS10b1の絶縁膜6aのエッチング工程において、絶縁膜6aをジャストエッチングした場合が示されているが、絶縁膜6aをアンダーエッチングした場合(ここでは図示せず)には、上記図13における絶縁膜6と同様に、ゲート電極GEの側壁上以外の領域において、絶縁膜6aが薄い層状に残存する。
【0109】
次に、図29に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GEおよび残存する絶縁膜6aを覆うように、絶縁膜6bを形成する(図26のステップS10a2)。ステップS10a2の絶縁膜6b形成工程は、上記ステップS10a1の絶縁膜6a形成工程と基本的には同じである。従って、ステップS10a1の絶縁膜6a形成工程およびステップS10a2の絶縁膜6b形成工程は、それぞれ上記ステップS10aの絶縁膜6形成工程と基本的には同じである。
【0110】
絶縁膜6bは、上記絶縁膜6aと同様の膜である。絶縁膜6bは、好ましくは絶縁膜6aと同じ材料からなり、絶縁膜6aが窒化シリコン膜からなる場合は、絶縁膜6bも窒化シリコン膜からなることが好ましい。また、絶縁膜6bの形成膜厚は上記絶縁膜6aの形成膜厚と異ならせることもできる。
【0111】
次に、図30に示されるように、絶縁膜6bをRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図26のステップS10b2)。ステップS10b2の絶縁膜6bのエッチング工程は、上記ステップS10b1の絶縁膜6aのエッチング工程と基本的には同じである。従って、ステップS10b1の絶縁膜6aのエッチング工程およびステップS10b2の絶縁膜6bのエッチング工程は、それぞれ上記ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程と基本的には同じである。
【0112】
すなわち、ステップS10b2のエッチング工程により、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜6bをサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域(ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上)の絶縁膜6bを除去するが、上記ステップS10b,S10b1のエッチング工程と同様、ステップS10b2の絶縁膜6bのエッチング工程でも、絶縁膜6bをアンダーエッチングまたはジャストエッチングする。図30には、ステップS10b2の絶縁膜6bのエッチング工程において、絶縁膜6bをジャストエッチングした場合が示されているが、絶縁膜6bをアンダーエッチングした場合(ここでは図示せず)には、上記図13における絶縁膜6と同様に、ゲート電極GEの側壁上以外の領域において、絶縁膜6bが薄い層状に残存する。
【0113】
次に、図31に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GEおよび残存する絶縁膜6a,6bを覆うように、絶縁膜7を形成する(図26のステップS10c)。図26のステップS10cの絶縁膜7形成工程は、上記図2のステップS10cの絶縁膜7形成工程と基本的には同じである。絶縁膜7は、好ましくは絶縁膜6a,6bと同じ材料からなり、絶縁膜6a,6bが窒化シリコン膜からなる場合は、絶縁膜7も窒化シリコン膜からなることが好ましい。
【0114】
次に、図32に示されるように、絶縁膜7をRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図26のステップS10d)。図26のステップS10dの絶縁膜7のエッチング工程は、上記図2のステップS10dの絶縁膜7のエッチング工程と基本的には同じである。
【0115】
すなわち、ステップS10dの異方性エッチングにより、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜7をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域(ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上)の絶縁膜7を除去するが、上記図2のステップS10dの絶縁膜7のエッチング工程と同様に、図26のステップS10dの絶縁膜7のエッチング工程でも、絶縁膜7をオーバーエッチングする。すなわち、ステップS10dのエッチング工程では、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1が露出した後にエッチングを終了するようにする。このため、ステップS10dのエッチング工程を行うと、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1が露出される。また、上記ステップS10b1,10b2のエッチング工程で絶縁膜6a,6bをアンダーエッチングしていた場合には、ステップS10dのエッチング工程において、絶縁膜7だけでなく、絶縁膜7の下の絶縁膜6a,6bもエッチングして、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1を露出させる。
【0116】
ステップS10a1,S10b1,S10a2,S10b2,S10c,S10dを行うことにより、図32に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に、絶縁膜6a,6b,7からなるサイドウォールスペーサ(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWが形成される。図16のサイドウォールスペーサSWと図32のサイドウォールスペーサSWとの相違点は、図16のサイドウォールスペーサSWは、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6,7からなるのに対して、図32のサイドウォールスペーサSWは、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6a,6b,7からなることである。サイドウォールスペーサSWを形成した後は、上記ステップS11およびそれ以降の工程(すなわち上記図18〜図21の工程)が行われる。
【0117】
なお、第1の変形例として、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、ステップS10aおよびステップS10bを2回繰り返してから(すなわちステップS10a1,S10b1,S10a2,S10b2を順に行ってから)、ステップ10cおよびステップS10dを行う場合について説明したが、ステップS10aおよびステップS10bの繰り返しの数は3回以上とすることもできる。ステップS10aおよびステップS10bの繰り返しの数が2回であれば、サイドウォールスペーサSWは、2つ(2層)の絶縁膜6(すなわち絶縁膜6aおよび絶縁膜6b)と1つ(1層)の絶縁膜7とにより形成されるが、ステップS10aおよびステップS10bの繰り返しの数が3回であれば、サイドウォールスペーサSWは、3つ(3層)の絶縁膜6と1つ(1層)の絶縁膜7とにより形成される。ステップS10aおよびステップS10bの繰り返しの数がn回であれば、サイドウォールスペーサSWは、n枚(n層)の絶縁膜6と1つ(1層)の絶縁膜7とにより形成される。
【0118】
ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、上述した第1の変形例のように、ステップS10aおよびステップS10bを複数回繰り返してから、ステップ10cおよびステップS10dを行なった場合にも、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。但し、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、上述した本実施の形態(図2)のように、ステップS10aおよびステップS10bを1回行った後で、ステップS10cおよびステップS10dを行った場合には、製造工程数を低減することができるため、半導体装置の製造時間を短縮でき、また、半導体装置の製造コストを低減することができる。一方、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、上述した第1の変形例のように、ステップS10aおよびステップS10bを複数回繰り返してから、ステップ10cおよびステップS10dを行なった場合には、製造工程数は増加するが、サイドウォールスペーサSW形成用の各絶縁膜(絶縁膜6a,6b,7)の形成膜厚を薄くすることができる分、オーバーエッチング量を低減しやすくなる。
【0119】
次に、本実施の形態の第2の変形例について説明する。
【0120】
図33は、第2の変形例における半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図33では、ステップS1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8,S9,S11,S12,S13については図示を省略している。
【0121】
第2の変形例の製造工程では、ステップS7の側壁絶縁膜5a形成工程後で、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程前に、図8に示される寸法Wを測定する工程を行う(図33のステップS21)。このステップS21の寸法Wを測定する工程では、電子顕微鏡(例えばSEM)などを用いて、寸法Wを測定することができる。また、ステップS7の側壁絶縁膜5a形成工程を行なわない場合には、ステップS6のゲート電極GE形成工程後で、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程前に、ステップS21の寸法W測定工程を行えばよい。
【0122】
ここで、寸法Wは、半導体基板1の主面に平行な方向の寸法であるが、側壁絶縁膜5aを形成した場合と側壁絶縁膜5aを形成しない場合とで、側壁絶縁膜5aの分だけ、大きさが相違している。
【0123】
側壁絶縁膜5aを形成しない場合(ステップS7を省略した場合)は、寸法Wは、ゲート電極GEの一方の側壁からそれとは反対側の側壁までの距離である。すなわち、側壁絶縁膜5aを形成しない場合(ステップS7を省略した場合)は、寸法Wは、ゲート長方向に平行な方向でのゲート電極GEの寸法(長さ)に対応している。このため、寸法Wは、ゲート電極GEのゲート長方向の寸法とみなすことができる。
【0124】
側壁絶縁膜5aを形成した場合(ステップS7を行なった場合)は、寸法Wは、ゲート電極GEの一方の側壁上に形成された側壁絶縁膜5aの側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)から、そのゲート電極GEの他方の側壁上に形成された側壁絶縁膜5aの側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)までの距離である。すなわち、側壁絶縁膜5aを形成した場合(ステップS7を行なった場合)は、寸法Wは、ゲート長方向に平行な方向でのゲート電極GEの寸法(長さ)に、ゲート電極GEの両側壁上に形成された側壁絶縁膜5aの厚み(側壁絶縁膜5aの2つ分の厚み)を加えた寸法(長さ)に対応している。
【0125】
そして、第2の変形例の製造工程では、ステップS10bの絶縁膜6のエッチング工程を行った後で、ステップS10cの絶縁膜7形成工程を行う前に、図12および図13に示される寸法Wを測定する工程を行う(図33のステップS22)。このステップS22の寸法Wを測定する工程では、電子顕微鏡(例えばSEM)などを用いて、寸法Wを測定することができる。
【0126】
ここで、上記図12や図13にも示されるように、寸法Wは、ゲート電極GEの一方の側壁上に残存する絶縁膜6の側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)から、そのゲート電極GEの他方の側壁上に残存する絶縁膜6の側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)までの距離(半導体基板1の主面に平行でかつゲート長方向に平行な方向の距離)である。すなわち、第2の変形例では、寸法Wは、上記寸法Wに、ゲート電極GEの両側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWを加えた寸法(長さ)に対応している。つまり、図8と図12や図13とを比べると分かるように、W=W+W+Wが成り立つ。ここで、図12や図13にも示されるように、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWは、ゲート長方向(ゲート電極GEのゲート長方向)に平行な方向での寸法(厚み)に対応している。
【0127】
従って、ステップS10bを行った後にゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWは、W=(W−W)/2と表すことができる。すなわち、ステップS21で寸法Wを測定し、ステップS22で寸法Wを測定することで、この寸法W,Wの値から、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWを算出することができる。
【0128】
第2の変形例の製造工程では、ステップS22で寸法Wを測定した後、得られた寸法W,W(の値)に基づいて、ステップS10cで形成する絶縁膜7の膜厚(形成膜厚)Tを決定し、この決定された膜厚Tで絶縁膜7が成膜されるように、ステップS10cの絶縁膜7形成工程を行う。つまり、ステップS21,S22で寸法W,Wを測定することで、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWを間接的に調べ、この厚みWに応じて、ステップS10cにおける絶縁膜7の形成膜厚Tを制御(調整)する。
【0129】
具体的には、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWが予定厚み(厚みWの値として当初予定していた基準となる厚み)よりも厚い場合には、その分、ステップS10cにおける絶縁膜7の形成膜厚Tを薄くし、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWが予定厚みよりも薄い場合には、その分、ステップS10cにおける絶縁膜7の形成膜厚Tを厚くする。これにより、サイドウォールスペーサSWの幅Wが所定の値となるように制御して、サイドウォールスペーサSWを形成することができる。
【0130】
第2の変形例では、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWが変動したとしても、厚みWに応じて絶縁膜7の形成膜厚Tを調整し、それによってサイドウォールスペーサSWの幅Wを制御することができるため、サイドウォールスペーサSWの幅Wが変動するのを抑制または防止することができる。
【0131】
また、上記第1の変形例に第2の変形例を適用することもでき、この場合、ステップS22は、上記ステップS10b2の後で、上記ステップS10cの前に行うことが好ましい。
【0132】
また、本実施の形態1および後述の実施の形態2では、MISFETとして、nチャネル型のMISFETを形成する場合を例に挙げて説明しているが、nチャネル型のMISFETの代わりにpチャネル型のMISFETを形成する場合や、CMISFETを形成する場合に、本実施の形態1(第1および第2の変形例を含む)および後述の実施の形態2(第3および第4の変形例を含む)を適用することもできる。pチャネル型のMISFETを形成する場合は、p型ウエルPW、エクステンション領域EX、ハロー領域HA、ソース・ドレイン領域SDのそれぞれの導電型を逆にすればよい。すなわち、p型ウエルPWの代わりにn型ウエルを形成し、n型(n型)のエクステンション領域EXの代わりにp型(p型)のエクステンション領域EXを形成し、p型のハロー領域HAの代わりにn型のハロー領域HAを形成し、n型(n型)のソース・ドレイン領域SDの代わりにp型(p型)のソース・ドレイン領域SDを形成すればよい。また、pチャネル型MISFETのゲート電極をシリコン膜で形成する場合は、p型の不純物を導入したシリコン膜(ドープトポリシリコン膜)により形成することが好ましい。
【0133】
(実施の形態2)
図34は、本実施の形態におけるステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程の詳細を示す製造プロセスフロー図であり、上記図2に対応するものである。図35〜図40は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0134】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程以外は、上記実施の形態1の半導体装置の製造工程と同様であるので、ここでは、本実施の形態におけるステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程について説明する。
【0135】
上記実施の形態1と同様に上記ステップS1〜S9の工程を行って上記図10の構造を得た後、図35に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GEを覆うように、絶縁膜(第3絶縁膜)31を形成する(図34のステップS10e)。
【0136】
絶縁膜31は、後で形成する絶縁膜6や絶縁膜7をエッチングする際のエッチングストッパ膜として機能するため、絶縁膜6,7に対してエッチング選択比の高い材料を選択することが好ましい。すなわち、後で行うステップS10g,S10iのエッチング工程で、絶縁膜6や絶縁膜7のエッチング速度に比べて絶縁膜31のエッチング速度を小さくすることができるように、絶縁膜31の材料を選択することが好ましい。また、絶縁膜31は、後で形成する絶縁膜6や絶縁膜7をエッチングする際のエッチング終点を検出する下地膜として機能するため、絶縁膜6や絶縁膜7のエッチング終点を検出しやすい材料を選択することが好ましい。このため、絶縁膜31と絶縁膜6とは互いに異なる材料からなり、かつ、絶縁膜31と絶縁膜7とは互いに異なる材料からなることが好ましい。すなわち、絶縁膜31を、絶縁膜6,7と異なる材料で形成することが好ましい。この観点において、絶縁膜31を酸化シリコン膜により形成し、かつ絶縁膜6,7を窒化シリコン膜により形成することは好適である。
【0137】
絶縁膜31の形成膜厚(厚み)Tは、後で形成する絶縁膜6,7の各形成膜厚T,Tよりも薄く(T<T,T<T)、例えば3〜4nm程度とすることができる。また、絶縁膜31は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0138】
次に、図36に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜31上に、絶縁膜6を形成する(図34のステップS10f)。ステップS10eの絶縁膜31形成工程後でステップS10fの絶縁膜6形成工程前には、絶縁膜31のエッチング工程は行わないため、ステップS10fで絶縁膜6を形成すると、絶縁膜31と絶縁膜6との積層膜が、半導体基板1の主面上に、ゲート電極GEを覆うように形成された状態となる。
【0139】
本実施の形態におけるステップS10fの絶縁膜6形成工程は、絶縁膜31が形成されている状態で行うこと以外は、上記実施の形態1のステップS10aの絶縁膜6形成工程と基本的には同じである。このため、本実施の形態でも、絶縁膜6の膜厚、材料および形成法などについては、上記実施の形態1と同様とすることができるため、ここではその説明は省略する。
【0140】
次に、図37に示されるように、絶縁膜6をRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図34のステップS10g)。
【0141】
ステップS10gのエッチング工程により、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜6をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域(ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上)の絶縁膜6を除去する。但し、本実施の形態では、ステップS10gのエッチング工程において、絶縁膜31をエッチングストッパとして機能させる。このため、ステップS10gのエッチング工程では、絶縁膜6のエッチング速度よりも絶縁膜31のエッチング速度が小さくなるようなエッチング条件で絶縁膜6をエッチングする。ステップS10gのエッチング工程では、絶縁膜6が露出するが、半導体基板1が露出しないようにする。このため、ステップS10gのエッチング工程は、絶縁膜6が露出した段階でエッチングを終了し、半導体基板1が露出しないようにする。
【0142】
本実施の形態では、ステップS10gの絶縁膜6のエッチング工程において、絶縁膜6をアンダーエッチングせずに、ジャストエッチングまたはオーバーエッチングすることが好ましい。このため、絶縁膜6は、ゲート電極GEの側壁上にサイドウォールスペーサ状に残存するが、他の領域の絶縁膜6は除去されて、その下の絶縁膜31が露出される。本実施の形態では、ステップS10gのエッチング工程において、絶縁膜31をエッチングストッパとして機能させて絶縁膜31をエッチング(異方性エッチング)するため、半導体基板1が露出せず、半導体基板1がエッチングされるのを防止することができる。ステップS10gにおいて、絶縁膜6をオーバーエッチングして絶縁膜31の一部(上層部分)がエッチングされる場合もあり得るが、その場合でも、絶縁膜31の少なくとも一部を半導体基板1上に層状に残存させ、半導体基板1が露出するのを防止する。
【0143】
ステップS10gのエッチング工程では、絶縁膜6のエッチング終点(絶縁膜31が露出した時点)を検出することが好ましい。絶縁膜6のエッチング終点(すなわち絶縁膜31が露出した時点)の検出には、例えば、プラズマ中の活性種(ラジカル)やイオンからの発光強度の変化を用いた発光分光法などを用いることができる。
【0144】
絶縁膜31の材料と絶縁膜6の材料とを互いに異なるものとすることで、ステップS10gのエッチング工程において、絶縁膜6のエッチング終点(絶縁膜31が露出した時点)を容易かつ的確に検出することができるようになる。この観点からも、例えば、絶縁膜31として酸化シリコン膜を、絶縁膜6として窒化シリコン膜を、それぞれ好適に用いることができる。ステップS10gのエッチング工程では、絶縁膜6のエッチング終点(絶縁膜31が露出した時点)を検出した後、半導体基板1の表面が露出する前にエッチングを終了する。このため、ステップS10gのエッチング工程が終了した段階で、絶縁膜31の少なくとも一部が半導体基板1上に層状に残存し、半導体基板1の表面は露出されない。
【0145】
また、ステップS10gのエッチング工程で用いるエッチングガスは、絶縁膜6,31の材料にもよるが、絶縁膜6が窒化シリコン膜で絶縁膜31が酸化シリコン膜の場合は、例えば四フッ化炭素などをステップS10gのエッチングガスとして用いることができる。
【0146】
次に、図38に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜31上に、ゲート電極GEおよび残存する絶縁膜6を覆うように、絶縁膜7を形成する(図34のステップS10h)。
【0147】
本実施の形態におけるステップS10hの絶縁膜7形成工程は、絶縁膜31が形成されている状態で行うこと以外は、上記実施の形態1のステップS10cの絶縁膜7形成工程と基本的には同じである。このため、本実施の形態でも、絶縁膜7の膜厚、材料および形成法などについては、上記実施の形態1と同様とすることができるため、ここではその説明は省略する。
【0148】
次に、図39に示されるように、絶縁膜7,31をRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図34のステップS10i)。
【0149】
ステップS10iの異方性エッチングにより、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜7をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域(ゲート電極GE上およびゲート電極GEで覆われていない部分の半導体基板1上)の絶縁膜7を除去する。また、ステップS10iのエッチング工程では、絶縁膜7だけでなく、絶縁膜7の下の絶縁膜31もエッチングし、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1を露出させる。このため、ステップS10iのエッチング工程は、絶縁膜7および絶縁膜31をエッチング(異方性エッチング)する工程とみなすこともできる。
【0150】
ステップS10iのエッチング工程では、絶縁膜7のエッチング終点(絶縁膜31が露出した時点)を検出することが好ましい。絶縁膜7のエッチング終点(すなわち絶縁膜31が露出した時点)の検出には、例えば、プラズマ中の活性種(ラジカル)やイオンからの発光強度の変化を用いた発光分光法などを用いることができる。
【0151】
絶縁膜31の材料と絶縁膜7の材料とを互いに異なるものとすることで、ステップS10iのエッチング工程において、絶縁膜7のエッチング終点(絶縁膜31が露出した時点)を容易かつ的確に検出することができるようになる。この観点からも、例えば、絶縁膜31として酸化シリコン膜を、絶縁膜7として窒化シリコン膜を、それぞれ好適に用いることができる。
【0152】
また、ステップS10iのエッチング工程で用いるエッチングガスは、絶縁膜7,31の材料にもよるが、絶縁膜7が窒化シリコン膜で絶縁膜31が酸化シリコン膜の場合は、例えば四フッ化炭素などをステップS10iのエッチングガスとして用いることができる。
【0153】
ステップS10iのエッチング工程では、絶縁膜7のエッチング終点(すなわち絶縁膜31が露出した時点)を検出した後も、エッチングを所定時間(エッチング継続時間t)継続する。これにより、絶縁膜6が除去されたことで露出した絶縁膜31を、更にエッチングして除去することができ、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1が露出した状態となる。つまり、ステップS10iのエッチング工程では、絶縁膜7のエッチング終点を検出した後、絶縁膜31をエッチングしてゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1が露出した後に、エッチングを終了する。なお、ステップS10iのエッチング工程において、絶縁膜7のエッチング終点検出後にエッチングを継続する時間(エッチング継続時間)を、「エッチング継続時間t」と称することとする。
【0154】
絶縁膜7の形成膜厚Tは絶縁膜31の形成膜厚Tに比べて厚く、ステップS10iのエッチング工程において絶縁膜7のエッチング終点は検出しやすいが、絶縁膜31の形成膜厚Tは、絶縁膜6,7の各形成膜厚T,Tに比べて薄く(T<T,T<T)、ステップS10iのエッチング工程において絶縁膜31のエッチング終点は検出しにくい。このため、ステップS10iのエッチング工程において、絶縁膜7のエッチング終点を検出した後に、絶縁膜31の形成膜厚Tに応じたエッチング継続時間tだけエッチングを継続することで、絶縁膜31を更に除去して、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1を露出させるとともに、露出した半導体基板1のエッチング量を低減することができる。エッチング継続時間tは、ステップS10hで形成する絶縁膜31の形成膜厚Tに応じて予め設定することができ、ステップS10iにおいて、絶縁膜7のエッチング終点を検出した後に、絶縁膜31が若干オーバーエッチングされるように、エッチング継続時間tを設定しておけばよい。
【0155】
絶縁膜31の形成膜厚Tは薄い(絶縁膜6,7の各形成膜厚T,Tよりも薄い)ため、エッチング継続時間tは、あまり長時間にする必要は無く(但しサイドウォールスペーサSWとなる部分以外の絶縁膜31を除去できるように設定する)、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われていない部分の半導体基板1がエッチングされる量を低減することができる。このため、半導体基板1の表面に上記段差101aのような段差(ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われた部分の半導体基板1の上面と、ソース・ドレイン領域SDが形成される部分の半導体基板1の上面との段差)は発生しにくいか、あるいは段差が生じてもその段差を小さくすることができる。このため、ソース・ドレイン領域SDを浅く形成するのに有利となるため、素子(MISFET素子)の微細化に有利となり、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0156】
一方、ステップS10gのエッチング工程でも、絶縁膜6のエッチング終点(すなわち絶縁膜31が露出した時点)を検出しているが、ステップS10gにおける絶縁膜6のエッチング終点検出後のエッチング継続時間tは、ステップS10iにおける絶縁膜7のエッチング終点検出後のエッチング継続時間tよりも短くする(すなわちt<t)。このステップS10gにおける絶縁膜6のエッチング終点検出後のエッチング継続時間tはゼロ(すなわちt=0)とすることもできる。t=0の場合は、ステップS10gの絶縁膜6のエッチングがジャストエッチングであることに対応している。なお、ステップS10gのエッチング工程において、絶縁膜6のエッチング終点検出後にエッチングを継続する時間(エッチング継続時間)を、「エッチング継続時間t」と称することとする。
【0157】
ステップS10gのエッチング工程では、絶縁膜31の少なくとも一部を層状に残して半導体基板1の表面が露出しないようにし、ステップS10iのエッチング工程では、サイドウォールスペーサSWとなる部分以外の絶縁膜31を除去して、ゲート電極GE(およびサイドウォールスペーサSW)で覆われていない部分の半導体基板1の表面を露出させる。このため、ステップS10iにおける絶縁膜7のエッチング終点検出後のエッチング継続時間tを、ステップS10gにおける絶縁膜6のエッチング終点検出後のエッチング継続時間tよりも短く(すなわちt<t)することで、ステップS10gにおいては、半導体基板1の表面が露出する前にエッチングを終了することができ、ステップS10iにおいては、半導体基板1の表面が露出した後にエッチングを終了することができる。
【0158】
また、ステップS10gのエッチング工程では、絶縁膜6のエッチング終点(すなわち絶縁膜31が露出した時点)を検出し、絶縁膜6のエッチング終点検出後のエッチング継続時間tを短く設定することで、絶縁膜6が過剰にエッチングされることを抑制または防止することができる。また、ステップS10gにおける絶縁膜6のエッチング終点検出後のエッチング継続時間tをゼロ(すなわちt=0)とすれば、絶縁膜6の過剰なエッチングを抑制または防止する効果を最も高めることができる。なお、ステップS10gのエッチング工程において絶縁膜6が過剰にエッチングされるのを抑制または防止できることは、ステップS10gのエッチング工程後にゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6(この絶縁膜6が後でサイドウォールスペーサSWの一部となる)が、過剰にエッチングされるのを抑制または防止できることにつながる。
【0159】
ステップS10e,S10f,S10g,S10h,S10iを行うことにより、図39に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に、絶縁膜31,6,7からなるサイドウォールスペーサ(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWが形成される。サイドウォールスペーサSWは、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6,7からなるが、ゲート電極GEの側壁上に側壁絶縁膜5aを形成していた場合には、ゲート電極GEの側壁上に、側壁絶縁膜5aを介して、絶縁膜31,6,7からなるサイドウォールスペーサSWが形成される。サイドウォールスペーサSWは、絶縁膜31,6,7からなるが、ゲート電極GEに近い側から順に絶縁膜31、絶縁膜6および絶縁膜7である。ゲート電極GEの側壁上に、ゲート電極GEに近い側から順に側壁絶縁膜5a、絶縁膜31、絶縁膜6および絶縁膜7が積層された状態となっており、このうち絶縁膜31、絶縁膜6および絶縁膜7によりサイドウォールスペーサSWが形成され、側壁絶縁膜5aはサイドウォールスペーサSWには含まないものとする。側壁絶縁膜5aがサイドウォールスペーサSWに含まれない理由は、上記実施の形態1で説明したのと同様である。
【0160】
サイドウォールスペーサSWを形成した後の工程は、上記実施の形態1と同様である。すなわち、上記ステップS10e,S10f,S10g,S10h,S10iによりサイドウォールスペーサSWを形成した後、上記実施の形態1と同様のステップS11(ソース・ドレイン領域SD形成工程)を行って、図40に示されるように、n型半導体領域(n型不純物拡散層)であるソース・ドレイン領域SDを形成する。ソース・ドレイン領域SDはイオン注入IM3によって形成することができるが、イオン注入IM3と、イオン注入IM3の際のサイドウォールスペーサSWの役割は、上記実施の形態と同様である。ステップS11(ソース・ドレイン領域SD形成工程)以降の工程については、上記実施の形態1で説明したので、ここでは繰り返しの説明は省略する。
【0161】
本実施の形態では、ステップS10gのエッチング工程において、絶縁膜31をエッチングストッパとして機能させて絶縁膜31をエッチングし、半導体基板1が露出しないようにしている。このため、ステップS10gのエッチング工程では、半導体基板1がエッチングされるのを防止することができる。また、本実施の形態では、ステップS10iのエッチング工程において、絶縁膜7および絶縁膜31をエッチングし、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われない部分の半導体基板1(すなわち後でソース・ドレイン領域SDとなる部分の半導体基板1)を露出させている。このため、サイドウォールスペーサSWを形成するためのエッチング工程(本実施の形態ではステップS10g,S10iのエッチング工程に対応)において、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われていない部分の半導体基板1が過剰にエッチングされるのを抑制または防止することができる。このため、半導体基板1の表面に上記段差101aのような段差(ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSWで覆われた部分の半導体基板1の上面と、ソース・ドレイン領域SDが形成される部分の半導体基板1の上面との段差)が発生しにくいか、あるいは段差が生じてもその段差を小さくすることができる。このため、ソース・ドレイン領域SDを浅く形成しやすくなるため、素子(MISFET素子)の微細化に有利となる。従って、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0162】
また、本実施の形態では、ステップS10gのエッチング工程では、絶縁膜6のエッチング終点(絶縁膜31が露出した時点)を検出しているため、絶縁膜6が過剰にエッチングされることを抑制または防止することができる。このため、ステップS10gのエッチング工程後にゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6(この絶縁膜6が後でサイドウォールスペーサSWの一部となる)が、過剰にエッチングされるのを抑制または防止することができる。また、本実施の形態では、ステップS10iのエッチング工程では、絶縁膜7のエッチング終点(絶縁膜31が露出した時点)を検出しているため、絶縁膜7が過剰にエッチングされることを抑制または防止することができる。このため、ステップS10iのエッチング工程後にゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜7(この絶縁膜7がサイドウォールスペーサSWの一部となる)が、過剰にエッチングされるのを抑制または防止することができる。従って、本実施の形態では、サイドウォールスペーサSWを構成する絶縁膜6,7が過剰にエッチングされるのを抑制または防止できるため、サイドウォールスペーサSWの断面形状(ゲート長方向に平行な断面での形状)は、上記比較例のような断面形状(なで肩形状)とはならず、図39に示されるように、ショルダー部(肩部)SWaの高さが高くなった形状、いわゆる「いかり肩」の形状となる。ここで、ショルダー部SWaは、上記実施の形態1と同様、サイドウォールスペーサSWにおいて、ゲート電極GEの側壁に対向する側とは反対側の側面の肩部に対応している。
【0163】
サイドウォールスペーサSWがこのような断面形状(いかり肩形状)になると、ソース・ドレイン領域SDを形成するためのイオン注入IM3の際に、加速された不純物イオンは、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能すべきサイドウォールスペーサSWを突き抜けることがなくなり、サイドウォールスペーサSWの直下の半導体基板1中に不純物イオンが注入されなくなる。すなわち、イオン注入IM3の際に、上記領域RG101に相当する領域に不純物イオンが注入されるのを防止することができる。本実施の形態では、ソース・ドレイン領域SDを形成するためのイオン注入IM3の際に、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能すべきサイドウォールスペーサSWの直下の半導体基板1中に不純物イオンが注入されてしまうのを防止できるため、半導体装置の特性を向上させることができる。例えば、パンチスルーが生じにくくなり、また、オフ電流を低減することができる。また、MISFETの特性(電圧−電流特性)のばらつき(変動)を低減することもできる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0164】
また、本実施の形態とは異なり、ステップS10fの絶縁膜6形成工程およびステップS10gの絶縁膜6のエッチング工程を省略し、絶縁膜31と絶縁膜7とでサイドウォールスペーサSWを形成する(すなわちステップS10e,S10h,S10iによりサイドウォールスペーサSWを形成する)ことも考えられる。しかしながら、この場合、絶縁膜6を形成しない分だけ絶縁膜7の形成膜厚を厚くする必要があるが、絶縁膜7を厚くすると、エッチング時間が長くなって絶縁膜7のエッチングの終点検出がばらつきやすくなり、絶縁膜7のエッチング工程におけるオーバーエッチング量を多く設定する必要がある。このオーバーエッチング量が多いと、上記比較例で説明したような課題が発生しやすくなる。
【0165】
それに対して、本実施の形態では、サイドウォールスペーサSWを主として形成する絶縁膜を絶縁膜6と絶縁膜7とに分け、この絶縁膜6,7と、エッチングストッパ膜としての絶縁膜31とにより、サイドウォールスペーサSWを形成している。本実施の形態では、絶縁膜31と絶縁膜6と絶縁膜7とを用いてサイドウォールスペーサSWを形成しているため、絶縁膜31および絶縁膜7だけでサイドウォールスペーサSWを形成する場合の絶縁膜7の形成膜厚に比べて、絶縁膜6の形成膜厚Tと絶縁膜7の形成膜厚Tとを薄くすることができる。このため、絶縁膜6の形成膜厚Tを薄くできることで、ステップS10gのエッチング工程において、絶縁膜6のエッチングの終点検出がばらつきにくくなり、オーバーエッチング量を少なくすることができ、また、絶縁膜7の形成膜厚Tを薄くできることで、ステップS10iのエッチング工程において、絶縁膜7のエッチングの終点検出がばらつきにくくなり、オーバーエッチング量を少なくすることができる。この観点でも、サイドウォールスペーサSWを形成するためのエッチング工程(本実施の形態ではステップS10g,S10iのエッチング工程に対応)における合計のオーバーエッチング量を更に小さくすることができるため、上記比較例に関連して説明した課題を、より的確に解決することができる。すなわち、サイドウォールスペーサSWの断面形状を上述のような形状(いかり肩形状)に的確に形成することで、ソース・ドレイン領域SDを形成するためのイオン注入IM3の際に、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能すべきサイドウォールスペーサSWの直下の半導体基板1中に不純物イオンが注入されてしまうのを的確に防止でき、半導体装置の特性を的確に向上させることができる。
【0166】
また、絶縁膜7の形成膜厚Tは絶縁膜6の形成膜厚Tよりも薄い(T<T)ことが好ましい。これは、絶縁膜31以外のサイドウォールスペーサSW形成用の複数の絶縁膜(6,7)の合計膜厚を、絶縁膜6の形成膜厚Tに多め(厚め)に、絶縁膜7の形成膜厚Tに少なめ(薄め)に振り分ける(すなわちT<Tとする)ことで、ステップS10iのエッチング工程におけるエッチング対象膜の厚みを薄くすることができ、ステップS10iのエッチング工程におけるオーバーエッチング量をより少なくすることができるようになるためである。絶縁膜7の形成膜厚Tを絶縁膜6の形成膜厚Tよりも薄く(T<T)することにより、サイドウォールスペーサSWを形成するためのエッチング工程(ステップS10b,S10dのエッチング工程)における合計のオーバーエッチング量を、より小さくすることができる。これと同じ観点から、後述の第3の変形例の場合も、絶縁膜31以外のサイドウォールスペーサSW形成用の複数の絶縁膜(6a,6b,7)のうち、絶縁膜7の形成膜厚を最も薄くすることが、より好ましい。
【0167】
また、本実施の形態においても、上記実施の形態1の第1の変形例と同様の変形例を適用することができる。以下では、上記実施の形態1の第1の変形例に相当する本実施の形態2の変形例を、第3の変形例と称することとする。
【0168】
すなわち、本実施の形態では、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、ステップS10eの絶縁膜31形成工程の後に、ステップS10fの絶縁膜6形成工程とステップS10gの絶縁膜6エッチング工程を1回行った後で、ステップS10hの絶縁膜7形成工程とステップS10iの絶縁膜7エッチング工程を行っている。この本実施の形態に対する変形例(すなわち第3の変形例)として、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、ステップS10eの絶縁膜31形成工程の後に、ステップS10fおよびステップS10gを複数回繰り返してから、ステップ10hの絶縁膜7形成工程とステップS10iの絶縁膜7エッチング工程を行うこともできる。以下では、本実施の形態の第3の変形例として、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、ステップS10eの後に、ステップS10fおよびステップS10gを2回繰り返してから、ステップ10hおよびステップS10iを行う場合について図41〜図47を参照して説明する。なお、1回目のステップS10fがステップS10f1に対応し、1回目のステップS10gがステップS10g1に対応し、2回目のステップS10fがステップS10f2に対応し、2回目のステップS10gがステップS10g2に対応する。
【0169】
図41は、本実施の形態の第3の変形例におけるステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程の詳細を示す製造プロセスフロー図であり、上記図26に対応するものである。図42〜図47は、本実施の形態の第3の変形例における半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0170】
第3の変形例の製造工程では、上記ステップS10eの絶縁膜31形成工程まで行って上記図35の構造を得た後、図42に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜31上に、絶縁膜6aを形成する(図41のステップS10f1)。ステップS10f1の絶縁膜6a形成工程は、上記ステップS10fの絶縁膜6形成工程と基本的には同じであり、絶縁膜6aは、上記絶縁膜6と同様の膜であるが、絶縁膜6aの形成膜厚は上記絶縁膜6の形成膜厚と異ならせることもできる。
【0171】
次に、図43に示されるように、絶縁膜6aをRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図41のステップS10g1)。ステップS10g1の絶縁膜6aのエッチング工程は、上記ステップS10gの絶縁膜6のエッチング工程と基本的には同じであるため、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0172】
次に、図44に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜31上に、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6aを覆うように、絶縁膜6bを形成する(図26のステップS10f2)。ステップS10f2の絶縁膜6b形成工程は、上記ステップS10f1の絶縁膜6a形成工程と基本的には同じである。従って、ステップS10f1の絶縁膜6a形成工程およびステップS10f2の絶縁膜6b形成工程は、それぞれ上記ステップS10fの絶縁膜6形成工程と基本的には同じである。
【0173】
絶縁膜6bは、上記絶縁膜6aと同様の膜である。絶縁膜6bは、好ましくは絶縁膜6aと同じ材料からなり、絶縁膜6aが窒化シリコン膜からなる場合は、絶縁膜6bも窒化シリコン膜からなることが好ましい。また、絶縁膜6bの形成膜厚は上記絶縁膜6aの形成膜厚と異ならせることもできる。
【0174】
次に、図45に示されるように、絶縁膜6bをRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図41のステップS10f2)。ステップS10f2の絶縁膜6bのエッチング工程は、上記ステップS10f1の絶縁膜6aのエッチング工程と基本的には同じである。従って、ステップS10f1の絶縁膜6aのエッチング工程およびステップS10f2の絶縁膜6bのエッチング工程は、それぞれ上記ステップS10fの絶縁膜6のエッチング工程と基本的には同じであるため、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0175】
次に、図46に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜31上に、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6a,6bを覆うように、絶縁膜7を形成する(図41のステップS10h)。図41のステップS10hの絶縁膜7形成工程は、上記図34のステップS10hの絶縁膜7形成工程と基本的には同じである。絶縁膜7は、好ましくは絶縁膜6a,6bと同じ材料からなり、絶縁膜6a,6bが窒化シリコン膜からなる場合は、絶縁膜7も窒化シリコン膜からなることが好ましい。
【0176】
次に、図47に示されるように、絶縁膜7をRIE法などにより異方性エッチング(エッチバック)する(図41のステップS10i)。図41のステップS10iの絶縁膜7のエッチング工程は、上記図34のステップS10iの絶縁膜7のエッチング工程と基本的には同じであるため、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0177】
ステップS10e,S10f1,S10g1,S10f2,S10g2,S10h,S10iを行うことにより、図47に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に、絶縁膜31,6a,6b,7からなるサイドウォールスペーサ(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWが形成される。図47のサイドウォールスペーサSWと図39のサイドウォールスペーサSWとの相違点は、図39のサイドウォールスペーサSWは、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6,7からなるのに対して、図47のサイドウォールスペーサSWは、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6a,6b,7からなることである。サイドウォールスペーサSWを形成した後は、上記ステップS11およびそれ以降の工程(すなわち上記図18〜図21の工程)が、ここではその図示および説明は省略する。
【0178】
なお、第3の変形例として、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、ステップS10eの後に、ステップS10f及びステップS10gを2回繰り返してから(すなわちステップS10f1,S10g1,S10f2,S10g2を順に行ってから)、ステップ10h及びステップS10iを行う場合について説明したが、ステップS10f及びステップS10gの繰り返しの数は3回以上とすることもできる。ステップS10fおよびステップS10gの繰り返しの数が2回であれば、サイドウォールスペーサSWは、2つ(2層)の絶縁膜6(すなわち絶縁膜6aおよび絶縁膜6b)と1つ(1層)の絶縁膜7とにより形成されるが、ステップS10fおよびステップS10gの繰り返しの数が3回であれば、サイドウォールスペーサSWは、3つ(3層)の絶縁膜6と1つ(1層)の絶縁膜7とにより形成される。ステップS10fおよびステップS10gの繰り返しの数がn回であれば、サイドウォールスペーサSWは、n枚(n層)の絶縁膜6と1つ(1層)の絶縁膜7とにより形成される。
【0179】
ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、上述した第3の変形例のように、ステップS10eの後に、ステップS10fおよびステップS10gを複数回繰り返してから、ステップ10hおよびステップS10iを行なった場合にも、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。但し、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、上述した本実施の形態(図34)のように、ステップS10eの後に、ステップS10fおよびステップS10gを1回行った後で、ステップS10hおよびステップS10iを行った場合には、製造工程数を低減することができるため、半導体装置の製造時間を短縮でき、また、半導体装置の製造コストを低減することができる。一方、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程において、上述した第3の変形例のように、ステップS10eの後に、ステップS10f及びステップS10gを複数回繰り返してから、ステップ10h及びステップS10iを行なった場合には、製造工程数は増加するが、サイドウォールスペーサSW形成用の各絶縁膜(絶縁膜6a,6b,7)の形成膜厚を薄くすることができる分、オーバーエッチング量を低減しやすくなる。
【0180】
また、本実施の形態においても、上記実施の形態1の第2の変形例と同様の変形例を適用することができる。以下では、上記実施の形態1の第2の変形例に相当する本実施の形態2の変形例を、第4の変形例と称することとする。
【0181】
図48は、第4の変形例における半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図48では、ステップS1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8,S9,S11,S12,S13については図示を省略している。
【0182】
第4の変形例の製造工程でも、上記第2の変形例と同様のステップS21を行う。すなわち、第4の変形例では、ステップS7の側壁絶縁膜5a形成工程後で、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程前(すなわちステップS10eの絶縁膜31形成工程の前)に、上記第2の変形例と同様のステップS21の寸法Wを測定する工程を行う。寸法Wについては、上記第2の変形例と同様であり、寸法Wの測定法についても、上記第2の変形例と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。また、ステップS7の側壁絶縁膜5a形成工程を行なわない場合には、ステップS6のゲート電極GE形成工程後で、ステップS10のサイドウォールスペーサSW形成工程前に、ステップS21の寸法W測定工程を行えばよい。
【0183】
そして、第4の変形例の製造工程では、ステップS10gの絶縁膜6のエッチング工程を行った後で、ステップS10hの絶縁膜7形成工程を行う前に、上記第2の変形例と同様のステップS22の寸法Wを測定する工程を行う。寸法Wの測定法については、上記第2の変形例と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0184】
ここで、上記図37にも示されるように、寸法Wは、ゲート電極GEの一方の側壁上に残存する絶縁膜6の側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)から、そのゲート電極GEの他方の側壁上に残存する絶縁膜6の側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)までの距離(半導体基板1の主面に平行でかつゲート長方向に平行な方向の距離)である。すなわち、第4の変形例では、寸法Wは、上記寸法Wに、ゲート電極GEの両側壁上に残存する絶縁膜31,6の厚み(合計厚み)Wを加えた寸法(長さ)に対応している。つまり、W=W+W+Wが成り立つ。ここで、図37にも示されるように、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6の厚みWは、ゲート電極GEの一方の側壁上に残存する絶縁膜31,6の積層膜の厚みであり、ゲート電極GEのゲート長方向に平行な方向での寸法(厚み)に対応している。
【0185】
従って、ステップS10fを行った後にゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6の厚みWは、W=(W−W)/2と表すことができる。すなわち、ステップS21で寸法Wを測定し、ステップS22で寸法Wを測定することで、この寸法W,Wの値から、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6の厚みWを算出することができる。
【0186】
第4の変形例の製造工程では、ステップS22で寸法Wを測定した後、得られた寸法W,W(の値)に基づいて、ステップS10iで形成する絶縁膜7の膜厚(形成膜厚)Tを決定し、この決定された膜厚Tで絶縁膜7が成膜されるように、ステップS10iの絶縁膜7形成工程を行う。つまり、ステップS21,S22で寸法W,Wを測定することで、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜6の厚みWを間接的に調べ、この厚みWに応じて、ステップS10cにおける絶縁膜7の形成膜厚Tを制御(調整)する。具体的には、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6の厚みWが予定厚み(厚みWの値として当初予定していた基準となる厚み)よりも厚い場合には、その分、ステップS10iにおける絶縁膜7の形成膜厚Tを薄くし、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6の厚みWが予定厚みよりも薄い場合には、その分、ステップS10iにおける絶縁膜7の形成膜厚Tを厚くする。これにより、サイドウォールスペーサSWの幅Wが所定の値となるように制御して、サイドウォールスペーサSWを形成することができる。
【0187】
第4の変形例では、ゲート電極GEの側壁上に残存する絶縁膜31,6の厚みWが変動したとしても、厚みWに応じて絶縁膜7の形成膜厚Tを調整し、それによってサイドウォールスペーサSWの幅Wを制御することができるため、サイドウォールスペーサSWの幅Wが変動するのを抑制または防止することができる。
【0188】
また、上記第3の変形例に第4の変形例を適用することもでき、この場合、ステップS22は、上記ステップS10g2の後で、上記ステップS10hの前に行うことが好ましい。
【0189】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、半導体装置の製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0191】
1,101 半導体基板
2,102 素子分離領域
2a 溝
3,103 ゲート絶縁膜
4 シリコン膜
5 絶縁膜
5a,105a 側壁絶縁膜
6,6a,6b,7,31,106 絶縁膜
11 金属シリサイド層
12 絶縁膜
13 コンタクトホール
14 プラグ
15 絶縁膜
EX,EX101 エクステンション領域
GE,GE101 ゲート電極
HA,HA101 ハロー領域
IM1,IM2,IM3 イオン注入
M1 配線
PW,PW101 p型ウエル
Qn,Qn101 nチャネル型MISFET
SD,SD101 ソース・ドレイン領域
SW,SW101 サイドウォールスペーサ
SWa,SW101a ショルダー部
,T,T,T,T101 形成膜厚

,W 寸法
,W 厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板上に前記MISFETのゲート電極をゲート絶縁膜を介して形成する工程、
(c)前記(b)工程後、イオン注入により、前記半導体基板に第1半導体領域を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記ゲート電極の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、
(e)前記(d)工程後、イオン注入により、前記半導体基板に第2半導体領域を形成する工程、
を有し、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とは同じ導電型で、かつ、前記第2半導体領域は前記第1半導体領域よりも高不純物濃度であり、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域により、前記MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域が形成され、
前記(d)工程は、
(d1)前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第1絶縁膜を形成する工程、
(d2)前記(d1)工程後、前記第1絶縁膜を異方性エッチングする工程、
(d3)前記(d2)工程後、前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、
(d4)前記(d3)工程後、前記第2絶縁膜を異方性エッチングする工程、
を含み、
前記サイドウォールスペーサは、前記(d4)工程後に前記ゲート電極の側壁上に残存する前記第1および第2絶縁膜により形成され、
前記(d2)工程では、前記第1絶縁膜をアンダーエッチングまたはジャストエッチングし、
前記(d4)工程では、前記第2絶縁膜をオーバーエッチングして、前記ゲート電極および前記サイドウォールスペーサで覆われていない部分の前記半導体基板を露出させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物をイオン注入することにより、前記第1半導体領域を形成し、
前記(e)工程では、前記ゲート電極および前記サイドウォールスペーサをマスクとして前記半導体基板に不純物をイオン注入することにより、前記第2半導体領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d3)工程で形成された前記第2絶縁膜の厚みは、前記(d1)工程で形成された前記第1絶縁膜の厚みよりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜とは、同じ材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜とは、窒化シリコンからなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程後で前記(d)工程前に、
(b1)前記ゲート電極のゲート長方向の第1の寸法を測定する工程、
を有し、
前記(d2)工程後で前記(d3)工程前に、
(d5)前記ゲート電極の一方の側壁上に残存する前記第1絶縁膜の側面から前記ゲート電極の他方の側壁上に残存する前記第1絶縁膜の側面までの第2の寸法を測定する工程、
を有し、
前記(b1)工程で測定した前記第1の寸法と、前記(d5)で測定した前記第2の寸法とに基づいて、前記(d3)工程で形成する前記第2絶縁膜の膜厚を決定することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記(d1)工程および前記(d2)工程を複数回繰り返した後に、前記(d3)工程および前記(d4)工程を行い、
前記サイドウォールスペーサは、前記(d4)工程後に前記ゲート電極の側壁上に残存する複数の前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜とにより形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程後で前記(c)工程前に、
(b2)前記ゲート電極の側壁上に側壁絶縁膜を形成する工程、
を更に有し、
前記(d)工程では、前記ゲート電極の側壁上に、前記側壁絶縁膜を介して、前記サイドウォールスペーサを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板上に前記MISFETのゲート電極をゲート絶縁膜を介して形成する工程、
(c)前記(b)工程後、イオン注入により、前記半導体基板に第1半導体領域を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記ゲート電極の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、
(e)前記(d)工程後、イオン注入により、前記半導体基板に第2半導体領域を形成する工程、
を有し、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とは同じ導電型で、かつ、前記第2半導体領域は前記第1半導体領域よりも高不純物濃度であり、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域により、前記MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域が形成され、
前記(d)工程は、
(d1)前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第3絶縁膜を形成する工程、
(d2)前記第3絶縁膜上に第1絶縁膜を形成する工程、
(d3)前記(d2)工程後、前記第3絶縁膜をエッチングストッパとして、前記第1絶縁膜を異方性エッチングする工程、
(d4)前記(d2)工程後、前記1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程、
(d5)前記(d4)工程後、前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜を異方性エッチングする工程、
を含み、
前記サイドウォールスペーサは、前記(d5)工程後に前記ゲート電極の側壁上に残存する前記第3絶縁膜、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜により形成され、
前記(d5)工程では、前記ゲート電極および前記サイドウォールスペーサで覆われていない部分の前記半導体基板を露出させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物をイオン注入することにより、前記第1半導体領域を形成し、
前記(e)工程では、前記ゲート電極および前記サイドウォールスペーサをマスクとして前記半導体基板に不純物をイオン注入することにより、前記第2半導体領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d3)工程では、前記第1絶縁膜のエッチング終点を検出することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d3)工程では、前記第1絶縁膜のエッチング終点を検出した後、前記半導体基板が露出する前にエッチングを終了することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d5)工程では、前記第2絶縁膜のエッチング終点を検出することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d5)工程では、前記第1絶縁膜のエッチング終点を検出した後、前記第3絶縁膜をエッチングして前記ゲート電極および前記サイドウォールスペーサで覆われていない部分の前記半導体基板が露出した後にエッチングを終了することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜と前記第3絶縁膜とは互いに異なる材料からなり、
前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜とは互いに異なる材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d1)工程で形成された前記第3絶縁膜の厚みは、前記(d2)工程で形成された前記第1絶縁膜の厚み、および前記(d4)工程で形成された前記第2絶縁膜の厚みよりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d3)工程における前記第1絶縁膜のエッチング終点を検出した後のエッチング継続時間は、前記(d5)工程における前記第2絶縁膜のエッチング終点を検出した後のエッチング継続時間よりも短いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3絶縁膜は酸化シリコンからなり、
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、窒化シリコンからなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程後で前記(d)工程前に、
(b1)前記ゲート電極のゲート長方向の第1の寸法を測定する工程、
を有し、
前記(d3)工程後で前記(d4)工程前に、
(d6)前記ゲート電極の一方の側壁上に残存する前記第1絶縁膜の側面から前記ゲート電極の他方の側壁上に残存する前記第1絶縁膜の側面までの第2の寸法を測定する工程、
を有し、
前記(b1)工程で測定した前記第1の寸法と、前記(d6)で測定した前記第2の寸法とに基づいて、前記(d4)工程で形成する前記第2絶縁膜の膜厚を決定することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記(d2)工程および前記(d3)工程を複数回繰り返した後に、前記(d4)工程および前記(d5)工程を行い、
前記サイドウォールスペーサは、前記(d5)工程後に前記ゲート電極の側壁上に残存する前記第3絶縁膜、複数の前記第1絶縁膜、および前記第2絶縁膜により形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程後で前記(c)工程前に、
(b2)前記ゲート電極の側壁上に側壁絶縁膜を形成する工程、
を更に有し、
前記(d)工程では、前記ゲート電極の側壁上に、前記側壁絶縁膜を介して、前記サイドウォールスペーサを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2012−49350(P2012−49350A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190499(P2010−190499)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】