説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ゲート電極中のシリコン混晶層の形成を制御することにより、キャップ膜の形成を不要とし、シリサイド層を精度良く形成する。
【解決手段】第1導電型の半導体領域10x上に形成されたゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に形成され、第2導電型のポリシリコン膜28Aとポリシリコン膜28A上に形成された炭素を含む第1のシリコン混晶層25とを有するゲート電極25Aと、第1のシリコン混晶層25上に形成された第1のシリサイド層29と、半導体領域10xにおけるゲート電極25Aの側方下の領域に形成された第2導電型の不純物拡散領域24と、不純物拡散領域24の上部領域に形成された炭素を含む第2のシリコン混晶層26と、第2のシリコン混晶層26上に形成された第2のシリサイド層30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、ソースドレイン領域にシリコン混晶層を有するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、MISFET(以下、「MISトランジスタ」と称す)の駆動能力を向上させる手段として、チャネル領域に応力を印加し、電子の移動度を高める試みが行われている。ここで、チャネル領域に応力を印加する方法として、N型MISトランジスタのソースドレイン領域に、炭素を含むシリコン混晶層を設ける方法が挙げられる。
【0003】
以下に、従来の半導体装置の製造方法について、図6(a) 〜(d) を参照しながら説明する(例えば非特許文献1参照)。図6(a) 〜(d) は、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【0004】
まず、図6(a) に示すように、シリコンからなる半導体基板100の上部に素子分離領域101を形成する。これにより、半導体基板100には、素子分離領域101に囲まれた半導体領域100xが形成される。その後、半導体基板100にp型ウェル領域102を形成する。
【0005】
その後、半導体領域100x上に、ゲート絶縁膜103、ゲート電極104、キャップ膜105を順次形成する。その後、半導体領域100xにおけるゲート電極104の側方下の領域にn型エクステンション注入領域106を形成する。その後、ゲート電極104の側面上に、内側サイドウォール107と外側サイドウォール108とからなるサイドウォール108Aを形成する。
【0006】
次に、図6(b) に示すように、サイドウォール108Aをマスクにして、半導体領域100xにn型不純物イオンを注入することにより、半導体領域100xにおけるサイドウォール108Aの外側方下の領域にn型ソースドレイン注入領域109を形成する。このとき、ゲート電極104の上面はキャップ膜105で覆われているため、n型不純物イオンはゲート電極104に注入されない。
【0007】
次に、図6(c) に示すように、サイドウォール108Aをマスクにして、n型ソースドレイン注入領域109に炭素イオンを注入することにより、n型ソースドレイン注入領域109に炭素注入領域110を形成する。このとき、ゲート電極104の上面はキャップ膜105で覆われているため、炭素イオンはゲート電極104に注入されない。このように、キャップ膜105は、ゲート電極104に注入された炭素イオンが、ゲート絶縁膜103に到達しゲート絶縁膜103を突き抜けることを防止する役割を果たす。
【0008】
次に、図6(d) に示すように、熱処理により、n型エクステンション注入領域106に含まれるn型不純物を活性化し、n型エクステンション領域111を形成すると共に、n型ソースドレイン注入領域109に含まれるn型不純物を活性化し、n型ソースドレイン領域112を形成する。それと共に、炭素注入領域110を結晶化し、シリコンカーボン層からなるシリコン混晶層113を形成する。
【0009】
次に、キャップ膜105を除去し、ゲート電極104の上面を露出させる。その後、ゲート電極104上に第1のシリサイド層を形成すると共に、シリコン混晶層113上に第2のシリサイド層を形成する。
【0010】
次に、通常のMISトランジスタを有する半導体装置の製造工程と同様の工程を行う。
【0011】
以上のようにして、従来の半導体装置を製造する。
【0012】
ここで、一般に、シリコンカーボンはシリコンよりも格子定数が小さく、例えばシリコン中の炭素の固溶度が1%の場合、シリコンカーボンの格子定数が、シリコンの格子定数に比べて、0.4%程度縮小される。そのため、従来では、シリコン混晶層113により、チャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるので、電子の移動度を高めて、N型MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【非特許文献1】Y. Liu et al., “Strained Si Channel MOSFETs with Embedded Silicon Carbon Formed by Solid Phase Epitaxy”, 2007 Symposium on VLSI technology digest of technical papers.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の半導体装置の製造方法では、以下に示す問題がある。この問題について、図7(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図7(a) 〜(b) は、従来の半導体装置の問題について示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【0014】
従来の半導体装置の製造方法では、前述の図6(a) 〜(d) に示す工程を順次行った後、図7(a) に示すように、キャップ膜105の除去の際に、キャップ膜(シリコン酸化膜)105と同一の材料からなる内側サイドウォール(シリコン酸化膜)107、及び素子分離領域(シリコン酸化膜)101も除去されて、内側サイドウォール107の端面が外側サイドウォール108の側面よりも内側に入り込んで溝Teが形成されると共に、素子分離領域101の上面がn型ソースドレイン領域112の上面よりも下がって溝Tsが形成される。
【0015】
そのため、図7(b) に示すように、キャップ膜105の除去後に行う第1,第2のシリサイド層114,115の形成の際に、第2のシリサイド層115の一端が外側サイドウォール108の下方に入り込んで形成される(Se参照)。そのため、n型エクステンション領域111の接合面と第2のシリサイド層115との距離が近接するので、n型エクステンション領域111において接合リークが発生する。加えて、第2のシリサイド層115の他端が深さ方向に伸びて形成される(Ss参照)。そのため、n型ソースドレイン領域112の接合面と第2のシリサイド層115との距離が近接するので、n型ソースドレイン領域112において接合リークが発生する。
【0016】
このように、従来では、キャップ膜105の除去に起因して、その一端が外側サイドウォール108の下方に入り込む一方、その他端が深さ方向に伸びる第2のシリサイド層115が形成され、第2のシリサイド層115を精度良く形成することができないという問題がある。
【0017】
ここで、仮にキャップ膜105を設けずにゲート電極104に炭素イオンを注入した場合、炭素イオンがゲート絶縁膜103を突き抜けるため、シリコン混晶層がゲート絶縁膜103を突き抜けて形成され、ゲート電極104中のシリコン混晶層の形成を制御することができない。そのため、従来では、キャップ膜105の形成が必要とされ、その結果、キャップ膜105の除去が必要とされるが故に、第2のシリサイド層115を精度良く形成することができないという問題がある。
【0018】
前記に鑑み、本発明の目的は、ゲート電極中のシリコン混晶層の形成を制御することにより、キャップ膜の形成を不要とし、シリサイド層を精度良く形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、第1導電型の半導体領域上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成され、第2導電型のポリシリコン膜とポリシリコン膜上に形成された炭素を含む第1のシリコン混晶層とを有するゲート電極と、第1のシリコン混晶層上に形成された第1のシリサイド層と、半導体領域におけるゲート電極の側方下の領域に形成された第2導電型の不純物拡散領域と、不純物拡散領域の上部領域に形成された炭素を含む第2のシリコン混晶層と、第2のシリコン混晶層上に形成された第2のシリサイド層とを備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る半導体装置によると、ゲート電極中の第1のシリコン混晶層の形成を制御することができ、従来のようなキャップ膜の形成を不要とすることができる。そのため、従来のようにキャップ膜の除去に起因してシリサイド層の一端が不純物拡散領域の接合面に近接して形成されることはなく、第2のシリサイド層を精度良く形成することができるため、不純物拡散領域において接合リークが発生することを防止することができる。
【0021】
さらに、第2のシリコン混晶層により、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0022】
本発明に係る半導体装置において、ポリシリコン膜の上部領域は、ポリシリコン膜の下部領域に比べて平均グレインサイズが大きいことが好ましい。
【0023】
このようにすると、下部領域、及び下部領域よりも平均グレインサイズの大きい上部領域からなるポリシリコン膜と、第1のシリコン混晶層とを有するゲート電極により、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0024】
本発明に係る半導体装置において、ポリシリコン膜の上部領域は、ポリシリコン膜の下部領域に比べて第2導電型の不純物濃度が高いことが好ましい。
【0025】
本発明に係る半導体装置において、第1のシリコン混晶層及び第2のシリコン混晶層は、それぞれシリコンカーボン層からなることが好ましい。
【0026】
本発明に係る半導体装置において、第2のシリコン混晶層は、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせることが好ましい。
【0027】
本発明に係る半導体装置において、ゲート電極は、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせることが好ましい。
【0028】
本発明に係る半導体装置において、第2のシリコン混晶層における炭素原子の含有濃度は、少なくとも0.5%以上であることが好ましい。
【0029】
本発明に係る半導体装置において、第1の導電型はP型であり、第2の導電型はN型であることが好ましい。
【0030】
本発明に係る半導体装置において、ゲート電極の側面上に形成されたサイドウォールをさらに備え、不純物拡散領域は、半導体領域におけるサイドウォールの外側方下の領域に形成されたソースドレイン領域であることが好ましい。
【0031】
この場合、従来のようにキャップ膜の除去に起因して、その一端がソースドレイン領域の接合面に近接するシリサイド層が形成されることはなく、第2のシリサイド層を精度良く形成することができるため、ソースドレイン領域において接合リークが発生することを防止することができる。
【0032】
本発明に係る半導体装置において、不純物拡散領域は、エクステンション領域であり、ゲート電極の側面上に形成されたサイドウォールと、半導体領域におけるサイドウォールの外側方下の領域に形成された第2導電型のソースドレイン領域とをさらに備え、第2のシリコン混晶層は、ソースドレイン領域の上部領域に延在して形成されており、第2のシリサイド層は、第2のシリコン混晶層におけるサイドウォールの外側方下の領域上に形成されていることが好ましい。
【0033】
この場合、従来のようにキャップ膜の除去に起因して、その一端が外側サイドウォールの下方に入り込む一方、その他端が深さ方向に伸びるシリサイド層(即ち、その一端がエクステンション領域の接合面に近接する一方、その他端がソースドレイン領域の接合面に近接するシリサイド層)が形成されることはなく、第2のシリサイド層を精度良く形成することができるため、エクステンション領域、及びソースドレイン領域において接合リークが発生することを防止することができる。
【0034】
本発明に係る半導体装置において、ゲート電極の側面上に形成された側壁応力膜をさらに備え、サイドウォールは、ゲート電極の側面上に側壁応力膜を介して形成されていることが好ましい。
【0035】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体領域上にゲート絶縁膜を形成する工程(a)と、ゲート絶縁膜上にゲート電極形状を有するポリシリコン膜を形成する工程(b)と、半導体領域におけるポリシリコン膜の側方下の領域に第2導電型の不純物拡散領域を形成すると共に、ポリシリコン膜上に炭素を含む第1のシリコン混晶層を形成する一方、不純物拡散領域の上部領域に炭素を含む第2のシリコン混晶層を形成する工程(c)と、第1のシリコン混晶層上に第1のシリサイド層を形成すると共に、第2のシリコン混晶層上に第2のシリサイド層を形成する工程(d)とを備え、ゲート電極は、ポリシリコン膜と、ポリシリコン膜上に形成された第1のシリコン混晶層とを有することを特徴とする。
【0036】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、ゲート電極中の第1のシリコン混晶層の形成を制御することができ、従来のようなキャップ膜の形成を不要とすることができる。そのため、従来のようにキャップ膜の除去に起因して、その一端が不純物拡散領域の接合面に近接するシリサイド層が形成されることはなく、第2のシリサイド層を精度良く形成することができるため、不純物拡散領域において接合リークが発生することを防止することができる。
【0037】
さらに、第2のシリコン混晶層により、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0038】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(c)は、ポリシリコン膜における上部領域に第2導電型の第1の不純物注入領域を形成すると共に、半導体領域におけるポリシリコン膜の側方下の領域に第2導電型の第2の不純物注入領域を形成する工程(c1)と、第1の不純物注入領域の上部領域に第1の炭素注入領域を形成すると共に、第2の不純物注入領域の上部領域に第2の炭素注入領域を形成する工程(c2)と、工程(c2)の後に、半導体領域に対して熱処理を行うことにより、第2の不純物注入領域からなる不純物拡散領域を形成すると共に、第1の炭素注入領域からなる第1のシリコン混晶層、及び第2の炭素注入領域からなる第2のシリコン混晶層を形成する工程(c3)とを有することが好ましい。
【0039】
このようにすると、第1の不純物注入領域におけるアモルファス化された領域内に第1の炭素注入領域を形成することができ、第1の炭素注入領域がゲート絶縁膜を突き抜けて形成されることはなく、ゲート電極中の第1のシリコン混晶層の形成を制御することができる。
【0040】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(c1)では、第1の不純物注入領域及び第2の不純物注入領域のそれぞれにおける少なくとも一部の領域がアモルファス化されており、工程(c2)では、第1の不純物注入領域におけるアモルファス化された領域内に第1の炭素注入領域を形成すると共に、第2の不純物注入領域におけるアモルファス化された領域内に第2の炭素注入領域を形成することが好ましい。
【0041】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(c2)の後で工程(c3)の前に、半導体領域上の全面に、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力膜を形成する工程(e)を備え、工程(c3)は、応力膜による引っ張り応力を、第1の不純物注入領域が形成されたポリシリコン膜に印加した状態で熱処理する工程を含み、工程(c3)の後で工程(d)の前に、応力膜を除去する工程(f)を備えていることが好ましい。
【0042】
このようにすると、第1の不純物注入領域が形成されたポリシリコン膜のうちアモルファス化された領域を再結晶化し、下部領域よりも平均グレインサイズの大きい上部領域を形成することができる。これにより、下部領域及び上部領域からなるポリシリコン膜と、第1のシリコン混晶層とを有するゲート電極により、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0043】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(c2)の後で工程(c3)の前に、半導体領域上の全面に、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力膜を形成する工程(e)を備え、工程(c3)は、応力膜による引っ張り応力を、第1の不純物注入領域が形成されたポリシリコン膜に印加した状態で熱処理する工程を含み、工程(c3)の後で工程(d)の前に、ゲート電極の側面上に、応力膜からなる側壁応力膜を形成する工程(f)を備えていることが好ましい。
【0044】
このようにすると、第1の不純物注入領域が形成されたポリシリコン膜のうちアモルファス化された領域を再結晶化し、下部領域よりも平均グレインサイズの大きい上部領域を形成することができる。これにより、下部領域及び上部領域からなるポリシリコン膜と、第1のシリコン混晶層とを有するゲート電極により、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0045】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(c3)では、第1の不純物注入領域が形成されたポリシリコン膜のうちアモルファス化された領域を再結晶化して形成された上部領域の平均グレインサイズが、第1の不純物注入領域が形成されたポリシリコン膜のうちアモルファス化されていない領域からなる下部領域の平均グレインサイズに比べて大きく形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、第1の不純物注入領域におけるアモルファス化された領域内に第1の炭素注入領域を形成することができ、第1の炭素注入領域がゲート絶縁膜を突き抜けて形成されることはなく、ゲート電極中の第1のシリコン混晶層の形成を制御することができ、従来のようなキャップ膜の形成を不要とすることができる。そのため、従来のようにキャップ膜の除去に起因して、その一端が不純物拡散領域の接合面に近接するシリサイド層が形成されることはなく、第2のシリサイド層を精度良く形成することができるため、不純物拡散領域において接合リークが発生することを防止することができる。
【0047】
さらに、第2のシリコン混晶層により、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図1(a) 〜(c) 及び図2(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図1(a) 〜図2(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【0050】
まず、図1(a) に示すように、例えば埋め込み素子分離(Shallow Trench Isolation:STI)法により、例えばシリコンからなる半導体基板10の上部に、トレンチ内に例えばシリコン酸化膜が埋め込まれた素子分離領域11を形成する。これにより、半導体基板10には、素子分離領域11に囲まれた半導体領域10xが形成される。その後、イオン注入法により、半導体基板10に例えばB(ホウ素)等のp型不純物イオンを注入した後、熱処理により、半導体基板10にp型ウェル領域12を形成する。
【0051】
その後、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、半導体領域10x上に、例えば膜厚が2.0nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜形成膜を堆積する。その後、例えばCVD法により、ゲート絶縁膜形成膜上に、例えば膜厚が100nmのポリシリコン膜を堆積する。
【0052】
その後、リソグラフィ法により、ポリシリコン膜上に、ゲート電極形状を有するレジスト(図示せず)を形成した後、レジストをマスクにして、ドライエッチング法により、ポリシリコン膜、及びゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングする。これにより、半導体領域10x上にゲート絶縁膜13を形成すると共に、ゲート絶縁膜13上にゲート電極形状を有するポリシリコン膜14を形成する。
【0053】
次に、図1(b) に示すように、ポリシリコン膜14をマスクにして、イオン注入法により、半導体領域10xに、例えばAs(ヒ素)等のn型不純物イオンを注入する。これにより、半導体領域10xにおけるポリシリコン膜14の側方下の領域に、接合深さの比較的浅いn型エクステンション注入領域15を自己整合的に形成する。
【0054】
その後、例えばCVD法により、半導体領域10x上の全面に、例えば膜厚が10nmのシリコン酸化膜、及び膜厚が30nmのシリコン窒化膜を順次堆積した後、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜に対して異方性エッチングを行う。これにより、ポリシリコン膜14の側面上に、断面形状がL字状のシリコン酸化膜からなる内側サイドウォール16とシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール17とで構成されたサイドウォール17Aを形成する。
【0055】
次に、図1(c) に示すように、サイドウォール17Aをマスクにして、イオン注入法により、例えば注入エネルギーが10keV,注入ドーズ量が2.5×1015/cm2のイオン注入条件で、ポリシリコン膜14、及び半導体領域10xに、例えばAs等のn型不純物イオンを注入する。これにより、ポリシリコン膜14における上部領域にn型第1の不純物注入領域18を形成すると共に、半導体領域10xにおけるサイドウォール17Aの外側方下の領域に、接合深さの比較的深いn型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19を自己整合的に形成する。このとき、ポリシリコン膜14へのn型不純物イオンの注入により、ポリシリコン膜14のうちn型不純物イオンが注入された領域(即ち、n型第1の不純物注入領域18)の少なくとも一部の領域がアモルファス化される。それと共に、半導体領域10xへのn型不純物イオンの注入により、半導体領域10xのうちn型不純物イオンが注入された領域(即ち、n型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19)の少なくとも一部の領域がアモルファス化される。
【0056】
このように、本実施形態では、ポリシリコン膜14の上面を覆うキャップ膜を設けずに、n型不純物イオンを、半導体領域10xだけでなく、ポリシリコン膜14にも注入し、n型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19だけでなく、n型第1の不純物注入領域18を形成する。このようにして、ポリシリコン膜14aと、n型第1の不純物注入領域18とを有するポリシリコン膜14Aを形成すると共に、n型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19を形成する。それと共に、n型第1,第2の不純物注入領域18,19における少なくとも一部の領域に、アモルファス化された領域を形成する。なお、n型第1,第2の不純物注入領域18,19におけるアモルファス化された領域は、n型第1,第2の不純物注入領域18,19の上部領域に形成されるものの、その形成領域を明確に図示することは困難なため、図1(c) 中には図示しない。
【0057】
次に、図2(a) に示すように、イオン注入法により、例えば注入エネルギーが2keV,注入ドーズ量が2.5×1015/cm2のイオン注入条件で、n型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域、及びn型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19におけるアモルファス化された領域に、炭素を含む分子イオン、具体的には例えば、C1610分子イオンを注入する。これにより、n型第1の不純物注入領域18の上部領域に第1の炭素注入領域20を形成すると共に、n型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19の上部領域に第2の炭素注入領域21を形成する。このとき、第1の炭素注入領域20は、n型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域内に形成され、アモルファス化された領域外に形成されることはない。また、第2の炭素注入領域21は、n型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19におけるアモルファス化された領域内に形成され、アモルファス化された領域外に形成されることはない。
【0058】
ここで、結晶状態の領域及びアモルファス状態の領域のそれぞれに、同一のイオン注入条件で、同一のイオンを注入した場合、アモルファス状態の領域は、結晶状態の領域に比べて、イオンが注入され難いため、アモルファス状態の領域に形成されるイオン注入領域の注入深さを、結晶状態の領域に形成されるイオン注入領域の注入深さよりも浅くすることができる。またここで、一般に、炭素を含む分子イオンは、炭素イオンに比べて、重量の重いイオンであるため、炭素を含む分子イオン及び炭素イオンのそれぞれを、同一のイオン注入条件で、同一の領域に注入した場合、炭素を含む分子イオンが注入された領域の注入深さを、炭素イオンが注入された領域の注入深さよりも浅くすることができる。そこで、本実施形態では、結晶状態の領域ではなく、アモルファス状態の領域(即ち、結晶状態よりもイオンを注入し難い領域)に、炭素イオンではなく、炭素を含む分子イオン(即ち、炭素イオンよりも重量の重いイオン)を注入する。
【0059】
即ち、本実施形態では、図2(a) に示すように、n型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域に、炭素を含む分子イオンを注入する。これにより、n型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域内に第1の炭素注入領域20を形成することができ、n型第1の不純物注入領域18に注入された炭素を含む分子イオンが、n型第1の不純物注入領域18下のポリシリコン膜14aに進入し、ゲート絶縁膜13を突き抜けることを防止することができる。
【0060】
次に、図2(b) に示すように、例えばCVD法により、半導体領域10x上の全面に、例えば1GPaの引っ張り応力を有する膜厚が50nmのシリコン窒化膜からなり、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力膜22を堆積する。
【0061】
その後、例えば650℃,1分の熱処理を行う。熱処理により、n型エクステンション注入領域15に含まれるn型不純物を活性化し、n型エクステンション注入領域15からなるn型エクステンション領域23を形成すると共に、n型ソースドレイン注入領域19に含まれるn型不純物を活性化し、n型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19からなるn型ソースドレイン領域(n型不純物拡散領域)24を形成する。
【0062】
それと共に、熱処理により、第1,第2の炭素注入領域20,21を結晶化し、第1の炭素注入領域20からなる第1のシリコン混晶層25、及び第2の炭素注入領域21からなる第2のシリコン混晶層26を形成する。
【0063】
それと共に、応力膜22による引っ張り応力を、n型第1の不純物注入領域18が形成されたポリシリコン膜14Aに印加した状態で熱処理することにより、ポリシリコン膜14Aのうちアモルファス化された領域を再結晶化し、ポリシリコン膜からなる下部領域27よりも平均グレインサイズの大きいポリシリコン膜からなる上部領域28を形成する。このように、ポリシリコン膜14Aのうちアモルファス化された領域を再結晶化して形成された上部領域28の平均グレインサイズが、ポリシリコン膜14Aのうちアモルファス化されていない領域からなる下部領域27の平均グレインサイズに比べて大きく形成される。
【0064】
それと共に、熱処理により、n型第1の不純物注入領域18に含まれるn型不純物を活性化し、n型第1の不純物注入領域18中のn型不純物をn型第1の不純物注入領域18下のポリシリコン膜14a中に拡散させる。
【0065】
このようにして、下部領域27、及び下部領域27よりも平均グレインサイズの大きい上部領域28からなるn型ポリシリコン膜28Aと、n型ポリシリコン膜28A上に形成され、炭素原子の含有濃度が例えば1%(即ち、0.5%以上)のシリコンカーボン層からなる第1のシリコン混晶層25とを有するゲート電極25Aを形成する。それと共に、n型ソースドレイン領域24の上部領域に、炭素原子の含有濃度が例えば1%(即ち、0.5%以上)のシリコンカーボン層からなる第2のシリコン混晶層26を形成する。ここで、熱処理により、n型第1の不純物注入領域18中のn型不純物がポリシリコン膜14a中に拡散されるものの、n型第1の不純物注入領域18中のn型不純物をポリシリコン膜14a中に均一に拡散させることは難しい。そのため、n型ポリシリコン膜28Aのn型不純物濃度は均一ではなく、n型ポリシリコン膜28Aにおいて、その上部領域は、その下部領域に比べて、n型不純物濃度が高い。
【0066】
このように、本実施形態では、熱処理により、n型ソースドレイン注入領域(n型第2の不純物注入領域)19におけるアモルファス化された領域に炭素を含む分子イオンが注入された領域(即ち、第2の炭素注入領域21)を結晶化し、炭素を含む第2のシリコン混晶層26を形成する方法と、n型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域上に応力膜22が形成された状態で熱処理し、n型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域を再結晶化し、下部領域27よりも平均グレインサイズの大きい上部領域28を形成する方法、即ち、SMT(Stress Memorization Technique)法とを組み合わせる。
【0067】
次に、図2(c) に示すように、応力膜22を除去した後、第1のシリコン混晶層25の表面、及び第2のシリコン混晶層26の表面に形成された自然酸化膜(図示せず)を除去する。その後、例えばスパッタ法により、半導体領域10x上の全面に、例えば膜厚が10nmのニッケル(Ni)からなるシリサイド化用金属膜(図示せず)を堆積する。その後、1回目のRTA(Rapid Thermal Annealing)処理により、第1,第2のシリコン混晶層25,26のSiとシリサイド化用金属膜のNiとを反応させて、第1のシリコン混晶層25上に、膜厚が15nmのニッケルシリサイドからなる第1のシリサイド層29を形成すると共に、第2のシリコン混晶層26上に、膜厚が15nmのニッケルシリサイドからなる第2のシリサイド層30を形成する。
【0068】
その後、エッチング液中への浸漬により、素子分離領域11、及びサイドウォール17A等の上に残存する未反応のシリサイド化用金属膜を除去した後、1回目のRTA処理の温度よりも高い温度の下、2回目のRTA処理により、第1,第2のシリサイド層29,30のシリサイド組成比を安定化させる。
【0069】
次に、通常のMISトランジスタを有する半導体装置の製造工程と同様の工程を順次行う。具体的には例えば、半導体基板10上に形成された層間絶縁膜中に、各第1,第2のシリサイド層29,30と接続するコンタクトプラグを形成する工程、及び層間絶縁膜上に、各コンタクトプラグと接続する配線を形成する工程等を順次行う。
【0070】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0071】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構造について、図2(c) を参照しながら説明する。
【0072】
本実施形態に係る半導体装置は、図2(c) に示すように、半導体基板10における素子分離領域11に囲まれた半導体領域10xと、半導体領域10x上に形成されたゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に形成され、n型ポリシリコン膜28Aとn型ポリシリコン膜28A上に形成された第1のシリコン混晶層25とを有するゲート電極25Aと、ゲート電極25Aの側面上に形成されたサイドウォール17Aと、第1のシリコン混晶層25上に形成された第1のシリサイド層29と、半導体領域10xにおけるゲート電極25Aの側方下の領域に形成されたn型エクステンション領域23と、半導体領域10xにおけるサイドウォール17Aの外側方下の領域に形成されたn型ソースドレイン領域(n型不純物拡散領域)24と、n型ソースドレイン領域24の上部領域に形成された第2のシリコン混晶層26と、第2のシリコン混晶層26上に形成された第2のシリサイド層30とを備えている。
【0073】
n型ポリシリコン膜28Aの上部領域28は、n型ポリシリコン膜28Aの下部領域27に比べて平均グレインサイズが大きい。また、n型ポリシリコン膜28Aの上部領域は、n型ポリシリコン膜28Aの下部領域に比べてn型不純物濃度が高い。
【0074】
第2のシリコン混晶層26は、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる。また、下部領域27よりも平均グレインサイズの大きい上部領域28と、第1のシリコン混晶層25とを含むゲート電極25Aは、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる。なお、ゲート電極25Aによる応力は、上部領域28による応力と、第1のシリコン混晶層25による応力との総和であり、ゲート電極25Aによる応力のうち、上部領域28による応力が占める割合は、第1のシリコン混晶層25による応力が占める割合に比べて大きい。
【0075】
本実施形態によると、図2(a) に示すように、ポリシリコン膜14Aのうちn型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域に、炭素を含む分子イオンを注入することにより、第1の炭素注入領域20がn型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域内に形成され、n型第1の不純物注入領域18に注入された炭素を含む分子イオンがn型第1の不純物注入領域18下のポリシリコン膜14aに進入しゲート絶縁膜13を突き抜ける(即ち、第1の炭素注入領域20がゲート絶縁膜13を突き抜けて形成される、言い換えれば、第1のシリコン混晶層25がゲート絶縁膜13を突き抜けて形成される)ことはなく、ゲート電極25A中の第1のシリコン混晶層25の形成を制御することができ、従来のようなキャップ膜の形成を不要とすることができる。そのため、従来のようにキャップ膜の除去に起因して、その一端が外側サイドウォールの下方に入り込む一方、その他端が深さ方向に伸びるシリサイド層(即ち、その一端がn型エクステンション領域の接合面に近接する一方、その他端がn型ソースドレイン領域の接合面に近接するシリサイド層)が形成されることはなく、図2(c) に示すように、第2のシリサイド層30を精度良く形成することができるため、n型エクステンション領域23、及びn型ソースドレイン領域(n型不純物拡散領域)24において接合リークが発生することを防止することができる。
【0076】
加えて、第2のシリコン混晶層26により、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、N型MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0077】
さらに、下部領域27よりも平均グレインサイズの大きい上部領域28と、第1のシリコン混晶層25とを含むゲート電極25Aにより、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、N型MISトランジスタの駆動能力をさらに向上させることができる。
【0078】
ここで、本発明の効果を有効に説明するために、C1610分子イオンについて、図3を参照しながら説明する。図3は、炭素イオン(Cイオン)、ヒ素イオン(Asイオン)、及びC1610分子イオンのそれぞれについて、注入エネルギー[keV]と注入深さ[nm]との関係を示すグラフである。
【0079】
図3の測定は、次に示す通りである。Cイオン、及びAsイオンのそれぞれを、注入エネルギーを変化させて、注入ドーズ量が2.5×1015/cm2の条件でポリシリコン領域に注入したときのCイオン注入領域、及びAsイオン注入領域のそれぞれの注入深さを測定した。一方、C1610分子イオンを、注入エネルギーを変化させて、注入ドーズ量が2.5×1015/cm2の条件でアモルファスシリコン領域に注入したときのC1610分子イオン注入領域の注入深さを測定した。
【0080】
図3に示すように、例えば注入エネルギーが2keVの条件で、C1610分子イオンがアモルファスシリコン領域に注入されたC1610分子イオン注入領域の注入深さは、10nm以下である。これに対し、図3に示すように、例えば注入エネルギーが2keVの条件で、Cイオンがポリシリコン領域に注入されたCイオン注入領域の注入深さは、25nm以上である。このように、Cイオンよりも重量の重いC1610分子イオンを、ポリシリコン領域よりもイオンの注入し難いアモルファスシリコン領域に注入することで、C1610分子イオン注入領域の注入深さを、Cイオン注入領域の注入深さよりも浅くすることができる。
【0081】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図4(a) 〜(c) 及び図5(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図4(a) 〜図5(c) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。なお、図4(a) 〜図5(c) において、前述の第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、第1の実施形態における図1(a) 〜図2(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態と相違する点を主に説明し、第1の実施形態と共通する点については適宜省略して説明する。
【0082】
まず、第1の実施形態における図1(a) に示す工程と同一の工程を行い、図4(a) に示す構成(即ち、図1(a) に示す構成と同一の構成)を得る。
【0083】
次に、図4(b) に示すように、ポリシリコン膜14をマスクにして、イオン注入法により、ポリシリコン膜14、及び半導体領域10xに、例えばAs等のn型不純物イオンを注入する。これにより、ポリシリコン膜14における上部領域にn型第1の不純物注入領域18を形成すると共に、半導体領域10xにおけるポリシリコン膜14の側方下の領域に、接合深さの比較的浅いn型エクステンション注入領域(n型第2の不純物注入領域)15を自己整合的に形成する。このとき、ポリシリコン膜14へのn型不純物イオンの注入により、ポリシリコン膜14のうちn型不純物イオンが注入された領域(即ち、n型第1の不純物注入領域18)の少なくとも一部の領域がアモルファス化される。それと共に、半導体領域10xへのn型不純物イオンの注入により、半導体領域10xのうちn型不純物イオンが注入された領域(即ち、n型エクステンション注入領域(n型第2の不純物注入領域)15)の少なくとも一部の領域がアモルファス化される。
【0084】
このように、本実施形態では、ポリシリコン膜14の上面を覆うキャップ膜を設けずに、n型不純物イオンを、半導体領域10xだけでなく、ポリシリコン膜14にも注入し、n型エクステンション注入領域(n型第2の不純物注入領域)15だけでなく、n型第1の不純物注入領域18を形成する。このようにして、ポリシリコン膜14aと、n型第1の不純物注入領域18とを有するポリシリコン膜14Aを形成すると共に、n型エクステンション注入領域(n型第2の不純物注入領域)15を形成する。それと共に、n型第1,第2の不純物注入領域18,15における少なくとも一部の領域に、アモルファス化された領域を形成する。なお、n型第1,第2の不純物注入領域18,15におけるアモルファス化された領域は、n型第1,第2の不純物注入領域18,15の上部領域に形成されるものの、その形成領域を明確に図示することは困難なため、図4(b) 中には図示しない。
【0085】
次に、図4(c) に示すように、イオン注入法により、例えば注入エネルギーが2keV,注入ドーズ量が2.5×1015/cm2のイオン注入条件で、n型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域、及びn型エクステンション注入領域(n型第2の不純物注入領域)15におけるアモルファス化された領域に、炭素を含む分子イオン、具体的には例えばC1610分子イオンを注入する。これにより、n型第1の不純物注入領域18の上部領域に第1の炭素注入領域20を形成すると共に、n型エクステンション注入領域(n型第2の不純物注入領域)15の上部領域に第2の炭素注入領域21を形成する。このとき、第1の炭素注入領域20は、n型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域内に形成され、アモルファス化された領域外に形成されることはない。また、第2の炭素注入領域21は、n型エクステンション注入領域(n型第2の不純物注入領域)15におけるアモルファス化された領域内に形成され、アモルファス化された領域外に形成されることはない。
【0086】
次に、図5(a) に示すように、例えばCVD法により、半導体領域10x上の全面に、例えば1GPaの引っ張り応力を有する膜厚が50nmのシリコン窒化膜からなり、半導体領域10xにおけるチャネル領域xのゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力膜22を堆積する。
【0087】
その後、例えば650℃,1分の熱処理を行う。熱処理により、n型エクステンション注入領域15に含まれるn型不純物を活性化し、n型エクステンション注入領域(n型第2の不純物注入領域)15からなるn型エクステンション領域(n型不純物拡散領域)23を形成する。
【0088】
それと共に、熱処理により、第1,第2の炭素注入領域20,21を結晶化し、第1の炭素注入領域20からなる第1のシリコン混晶層25、及び第2の炭素注入領域21からなる第2のシリコン混晶層26を形成する。
【0089】
それと共に、応力膜22による引っ張り応力を、n型第1の不純物注入領域18が形成されたポリシリコン膜14Aに印加した状態で熱処理することにより、ポリシリコン膜14Aのうちアモルファス化された領域を再結晶化し、ポリシリコン膜からなる下部領域27よりも平均グレインサイズの大きいポリシリコン膜からなる上部領域28を形成する。このように、ポリシリコン膜14Aのうちアモルファス化された領域を再結晶化して形成された上部領域28の平均グレインサイズが、ポリシリコン膜14Aのうちアモルファス化されていない領域からなる下部領域27の平均グレインサイズに比べて大きく形成される。
【0090】
それと共に、熱処理により、n型第1の不純物注入領域18に含まれるn型不純物を活性化し、n型第1の不純物注入領域18中のn型不純物をn型第1の不純物注入領域18下のポリシリコン膜14a中に拡散させる。
【0091】
このようにして、下部領域27、及び下部領域27よりも平均グレインサイズの大きい上部領域28からなるn型ポリシリコン膜28Aと、n型ポリシリコン膜28A上に形成され、炭素原子の含有濃度が例えば1%(即ち、0.5%以上)のシリコンカーボン層からなる第1のシリコン混晶層25とを有するゲート電極25Aを形成する。それと共に、n型エクステンション領域23の上部領域に、炭素原子の含有濃度が例えば1%(即ち、0.5%以上)のシリコンカーボン層からなる第2のシリコン混晶層26を形成する。
【0092】
次に、図5(b) に示すように、応力膜22に対して異方性ドライエッチングを行い、ゲート電極25Aの側面上に、側壁応力膜22aを形成する。その後、例えばCVD法により、半導体領域10x上の全面に、例えば膜厚が10nmのシリコン酸化膜、及び膜厚が30nmのシリコン窒化膜を順次堆積した後、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜に対して異方性エッチングを行う。これにより、ゲート電極25Aの側面上に、側壁応力膜22aを介して、断面形状がL字状のシリコン酸化膜からなる内側サイドウォール16とシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール17とで構成されたサイドウォール17Aを形成する。
【0093】
その後、サイドウォール17Aをマスクにして、イオン注入法により、半導体領域10xに、例えばAs等のn型不純物イオンを注入する。これにより、半導体領域10xにおけるサイドウォール17Aの外側方下の領域に、接合深さの比較的深いn型ソースドレイン注入領域を自己整合的に形成する。その後、熱処理により、n型ソースドレイン注入領域に含まれるn型不純物を活性化し、n型ソースドレイン注入領域からなるn型ソースドレイン領域24を形成する。
【0094】
次に、図5(c) に示すように、第1のシリコン混晶層25の表面、及び第2のシリコン混晶層26におけるサイドウォール17Aの外側方下の領域の表面に形成された自然酸化膜(図示せず)を除去する。その後、例えばスパッタ法により、半導体領域10x上の全面に、例えば膜厚が10nmのNiからなるシリサイド化用金属膜(図示せず)を堆積する。その後、1回目のRTA処理により、第1,第2のシリコン混晶層25,26のSiとシリサイド化用金属膜のNiとを反応させて、第1のシリコン混晶層25上に、膜厚が15nmのニッケルシリサイドからなる第1のシリサイド層29を形成すると共に、第2のシリコン混晶層26におけるサイドウォール17Aの外側方下の領域上に、膜厚が15nmのニッケルシリサイドからなる第2のシリサイド層30を形成する。
【0095】
その後、エッチング液中への浸漬により、素子分離領域11、及びサイドウォール17A等の上に残存する未反応のシリサイド化用金属膜を除去した後、1回目のRTA処理の温度よりも高い温度の下、2回目のRTA処理により、第1,第2のシリサイド層29,30のシリサイド組成比を安定化させる。
【0096】
次に、通常のMISトランジスタを有する半導体装置の製造工程と同様の工程を順次行う。具体的には例えば、半導体基板10上に形成された層間絶縁膜中に、各第1,第2のシリサイド層29,30と接続するコンタクトプラグを形成する工程、及び層間絶縁膜上に、各コンタクトプラグと接続する配線を形成する工程等を順次行う。
【0097】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0098】
ここで、第1の実施形態と本実施形態との製造方法上の相違点は、以下に示す点である。
【0099】
第1の実施形態では、図1(b) に示すサイドウォール17Aの形成の後に、図1(c) に示すように、n型第1,第2の不純物注入領域18,19の形成を行った後、図2(a) に示すように、第1,第2の炭素注入領域20,21を形成を行い、その後、図2(b) に示すように、n型第2の不純物注入領域19からなるn型ソースドレイン領域24の形成、第1,第2の炭素注入領域20,21からなる第1,第2のシリコン混晶層25,26の形成、及びn型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域を再結晶化させてなる上部領域28の形成を行う。
【0100】
これに対し、本実施形態では、図5(b) に示すサイドウォール17Aの形成の前に、図4(b) に示すように、n型第1,第2の不純物注入領域18,15の形成を行った後、図4(c) に示すように、第1,第2の炭素注入領域20,21の形成を行い、その後、図5(a) に示すように、n型第2の不純物注入領域15からなるn型エクステンション領域23の形成、第1,第2の炭素注入領域20,21からなる第1,第2のシリコン混晶層25,26の形成、及びn型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域を再結晶化させてなる上部領域28の形成を行う。
【0101】
このように、第1の実施形態では、n型ソースドレイン注入領域19の上部領域に第2の炭素注入領域21を設けて、第2の炭素注入領域21からなる第2のシリコン混晶層26を設ける点に対し、本実施形態では、n型エクステンション注入領域15の上部領域に第2の炭素注入領域21を設けて、第2の炭素注入領域21からなる第2のシリコン混晶層26を設ける点である。
【0102】
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構造について、図5(c) を参照しながら説明する。
【0103】
本実施形態に係る半導体装置は、図5(c) に示すように、半導体基板10における素子分離領域11に囲まれた半導体領域10xと、半導体領域10x上に形成されたゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に形成され、n型ポリシリコン膜28Aとn型ポリシリコン膜28A上に形成された第1のシリコン混晶層25とを有するゲート電極25Aと、ゲート電極25Aの側面上に形成された側壁応力膜22aと、ゲート電極25Aの側面上に側壁応力膜22aを介して形成されたサイドウォール17Aと、第1のシリコン混晶層25上に形成された第1のシリサイド層29と、半導体領域10xにおけるゲート電極25Aの側方下の領域に形成されたn型エクステンション領域(n型不純物拡散領域)23と、半導体領域10xにおけるサイドウォール17Aの外側方下の領域に形成されたn型ソースドレイン領域24と、n型エクステンション領域23の上部領域からn型ソースドレイン領域24の上部領域に延在して形成された第2のシリコン混晶層26と、第2のシリコン混晶層26におけるサイドウォール17Aの外側方下の領域上に形成された第2のシリサイド層30とを備えている。
【0104】
n型ポリシリコン膜28Aの上部領域28は、n型ポリシリコン膜28Aの下部領域27に比べて平均グレインサイズが大きい。また、n型ポリシリコン膜28Aの上部領域は、n型ポリシリコン膜28Aの下部領域に比べてn型不純物濃度が高い。
【0105】
第2のシリコン混晶層26は、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる。また、下部領域27よりも平均グレインサイズの大きい上部領域28と、第1のシリコン混晶層25とを含むゲート電極25Aは、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる。
【0106】
ここで、第1の実施形態と本実施形態との構造上の相違点は、以下に示す点である。
【0107】
第1の実施形態では、第2のシリコン混晶層26が、図2(c) に示すように、n型ソースドレイン領域24の上部領域に形成されている点に対し、本実施形態では、第2のシリコン混晶層26が、図5(c) に示すように、n型エクステンション領域23の上部領域からn型ソースドレイン領域24の上部領域に延在して形成されている点である。また、第1の実施形態では、サイドウォール17Aが、ゲート電極25Aの側面上に直接接して形成されている点に対し、本実施形態では、サイドウォール17Aが、ゲート電極25Aの側面上に側壁応力膜22aを介して形成されている点である。
【0108】
本実施形態によると、図4(c) に示すように、ポリシリコン膜14Aのうちn型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域に、炭素を含む分子イオンを注入することにより、第1の炭素注入領域20がn型第1の不純物注入領域18におけるアモルファス化された領域内に形成され、n型第1の不純物注入領域18に注入された炭素を含む分子イオンがn型第1の不純物注入領域18下のポリシリコン膜14aに進入しゲート絶縁膜13を突き抜ける(即ち、第1の炭素注入領域20がゲート絶縁膜13を突き抜けて形成される、言い換えれば、第1のシリコン混晶層25がゲート絶縁膜13を突き抜けて形成される)ことはなく、ゲート電極25A中の第1のシリコン混晶層25の形成を制御することができ、従来のようなキャップ膜の形成を不要とすることができる。そのため、従来のようにキャップ膜の除去に起因して、その一端が外側サイドウォールの下方に入り込む一方、その他端が深さ方向に伸びるシリサイド層(即ち、その一端がn型エクステンション領域の接合面に近接する一方、その他端がn型ソースドレイン領域の接合面に近接するシリサイド層)が形成されることはなく、図5(c) に示すように、第2のシリサイド層30を精度良く形成することができるため、n型エクステンション領域(n型不純物拡散領域)23、及びn型ソースドレイン領域24において接合リークが発生することを防止することができる。
【0109】
加えて、第2のシリコン混晶層26により、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、N型MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0110】
さらに、下部領域27よりも平均グレインサイズの大きい上部領域28と、第1のシリコン混晶層25とを含むゲート電極25Aにより、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、N型MISトランジスタの駆動能力をさらに向上させることができる。
【0111】
また、図5(b) に示すように、応力膜22を完全に除去せずに、ゲート電極25Aの側面上に応力膜22からなる側壁応力膜22aを残存させることにより、応力膜22のうちゲート電極25Aの側面上に形成された部分を除去する際の困難を回避することができる。
【0112】
なお、第2の実施形態では、図5(b) に示すように、応力膜22に対して異方性ドライエッチングを行い、ゲート電極25Aの側面上に側壁応力膜22aを形成した後、ゲート電極25Aの側面上に、側壁応力膜22aを介して、サイドウォール17Aを形成する場合、即ち、ゲート電極25Aとサイドウォール17Aとの間に、側壁応力膜22aを設ける場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、応力膜を残存させずに除去した後、ゲート電極の側面上に、サイドウォールを直接形成してもよい。
【0113】
また、第2の実施形態では、図5(b) に示すように、n型ソースドレイン注入領域の形成後、熱処理により、n型ソースドレイン注入領域からなるn型ソースドレイン領域24を形成し、その後、図5(c) に示すように、第1,第2のシリサイド層29,30を形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、n型ソースドレイン注入領域の形成後、第1の実施形態と同様にn型ソースドレイン注入領域におけるアモルファス化された領域にC1610分子イオンを注入した後、熱処理により、C1610分子イオンが注入された領域からなるシリコン混晶層を形成すると共に、n型ソースドレイン注入領域からなるn型ソースドレイン領域を形成し、その後、第1,第2のシリサイド層を形成してもよい。この場合、n型ソースドレイン領域の上部領域に新たに設けたシリコン混晶層により、半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるので、第2の実施形態に比べて、N型MISトランジスタの駆動能力をさらに向上させることができる。
【0114】
なお、第1,第2の実施形態では、ゲート絶縁膜13上に、n型ポリシリコン膜28Aが直接形成される場合、即ち、ゲート電極25Aが、n型ポリシリコン膜28Aと、第1のシリコン混晶層25とからなる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ゲート絶縁膜とn型ポリシリコン膜との間に、金属膜を設ける場合、即ち、ゲート電極が、金属膜と、n型ポリシリコン膜と、第1のシリコン混晶層とからなる場合でもよい。この場合においても、第1,第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。ここで、金属膜の材料としては、具体的には例えば、窒化チタン(TiN),又は窒化タンタル(TaN)等が挙げられる。
【0115】
また、第1,第2の実施形態では、第1の炭素注入領域20に含まれる炭素を含む分子イオンとして、C1610分子イオンを用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。C1610分子イオンの代わりに、例えば、Cx(x≧2)分子等の共有結合クラスターのイオン、又は水素結合クラスターのイオン等を用いてもよい。
【0116】
また、第1,第2の実施形態では、第2のシリコン混晶層26として、シリコンカーボン層を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2のシリコン混晶層として、半導体領域10xにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせることが可能な層を採用すればよい。
【0117】
また、第1,第2の実施形態では、ゲート絶縁膜13として、シリコン酸化膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、シリコン酸化膜の代わりに、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等を用いる、又は高誘電体膜を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、ゲート電極中のシリコン混晶層の形成を制御することにより、キャップ膜の形成を不要とすることができるため、ソースドレイン領域(又はエクステンション領域及びソースドレイン領域)にシリコン混晶層を有する半導体装置及びその製造方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【図2】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【図3】炭素イオン、砒素イオン、及びC1610分子イオンのそれぞれについて、注入エネルギーと注入深さとの関係を示すグラフである。
【図4】(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【図5】(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【図6】(a) 〜(d) は、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【図7】(a) 〜(b) は、従来の半導体装置の問題について示すゲート長方向の要部工程断面図である。
【符号の説明】
【0120】
10 半導体基板
10x 半導体領域
11 素子分離領域
12 p型ウェル領域
13 ゲート絶縁膜
14 ポリシリコン膜
14a ポリシリコン膜
14A ポリシリコン膜
15 n型エクステンション注入領域
16 内側サイドウォール
17 外側サイドウォール
17A サイドウォール
18 n型第1の不純物注入領域
19 n型ソースドレイン注入領域
20 第1の炭素注入領域
21 第2の炭素注入領域
22 応力膜
22a 側壁応力膜
23 n型エクステンション領域
24 n型ソースドレイン領域
25 第1のシリコン混晶層
25A ゲート電極
26 第2のシリコン混晶層
27 下部領域
28 上部領域
28A n型ポリシリコン膜
29 第1のシリサイド層
30 第2のシリサイド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体領域上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成され、第2導電型のポリシリコン膜と前記ポリシリコン膜上に形成された炭素を含む第1のシリコン混晶層とを有するゲート電極と、
前記第1のシリコン混晶層上に形成された第1のシリサイド層と、
前記半導体領域における前記ゲート電極の側方下の領域に形成された第2導電型の不純物拡散領域と、
前記不純物拡散領域の上部領域に形成された炭素を含む第2のシリコン混晶層と、
前記第2のシリコン混晶層上に形成された第2のシリサイド層とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ポリシリコン膜の上部領域は、前記ポリシリコン膜の下部領域に比べて平均グレインサイズが大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記ポリシリコン膜の上部領域は、前記ポリシリコン膜の下部領域に比べて第2導電型の不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のシリコン混晶層及び前記第2のシリコン混晶層は、それぞれシリコンカーボン層からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2のシリコン混晶層は、前記半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲート電極は、前記半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2のシリコン混晶層における炭素原子の含有濃度は、少なくとも0.5%以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の導電型はP型であり、
前記第2の導電型はN型であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲート電極の側面上に形成されたサイドウォールをさらに備え、
前記不純物拡散領域は、前記半導体領域における前記サイドウォールの外側方下の領域に形成されたソースドレイン領域であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記不純物拡散領域は、エクステンション領域であり、
前記ゲート電極の側面上に形成されたサイドウォールと、
前記半導体領域における前記サイドウォールの外側方下の領域に形成された第2導電型のソースドレイン領域とをさらに備え、
前記第2のシリコン混晶層は、前記ソースドレイン領域の上部領域に延在して形成されており、
前記第2のシリサイド層は、前記第2のシリコン混晶層における前記サイドウォールの外側方下の領域上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記ゲート電極の側面上に形成された側壁応力膜をさらに備え、
前記サイドウォールは、前記ゲート電極の側面上に前記側壁応力膜を介して形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
第1導電型の半導体領域上にゲート絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極形状を有するポリシリコン膜を形成する工程(b)と、
前記半導体領域における前記ポリシリコン膜の側方下の領域に第2導電型の不純物拡散領域を形成すると共に、前記ポリシリコン膜上に炭素を含む第1のシリコン混晶層を形成する一方、前記不純物拡散領域の上部領域に炭素を含む第2のシリコン混晶層を形成する工程(c)と、
前記第1のシリコン混晶層上に第1のシリサイド層を形成すると共に、前記第2のシリコン混晶層上に第2のシリサイド層を形成する工程(d)とを備え、
ゲート電極は、前記ポリシリコン膜と、前記ポリシリコン膜上に形成された前記第1のシリコン混晶層とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c)は、
前記ポリシリコン膜における上部領域に第2導電型の第1の不純物注入領域を形成すると共に、前記半導体領域における前記ポリシリコン膜の側方下の領域に第2導電型の第2の不純物注入領域を形成する工程(c1)と、
前記第1の不純物注入領域の上部領域に第1の炭素注入領域を形成すると共に、前記第2の不純物注入領域の上部領域に第2の炭素注入領域を形成する工程(c2)と、
前記工程(c2)の後に、前記半導体領域に対して熱処理を行うことにより、前記第2の不純物注入領域からなる前記不純物拡散領域を形成すると共に、前記第1の炭素注入領域からなる前記第1のシリコン混晶層、及び前記第2の炭素注入領域からなる前記第2のシリコン混晶層を形成する工程(c3)とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c1)では、前記第1の不純物注入領域及び前記第2の不純物注入領域のそれぞれにおける少なくとも一部の領域がアモルファス化されており、
前記工程(c2)では、前記第1の不純物注入領域におけるアモルファス化された領域内に前記第1の炭素注入領域を形成すると共に、前記第2の不純物注入領域におけるアモルファス化された領域内に前記第2の炭素注入領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c2)の後で前記工程(c3)の前に、前記半導体領域上の全面に、前記半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力膜を形成する工程(e)を備え、
前記工程(c3)は、前記応力膜による引っ張り応力を、前記第1の不純物注入領域が形成された前記ポリシリコン膜に印加した状態で熱処理する工程を含み、
前記工程(c3)の後で前記工程(d)の前に、前記応力膜を除去する工程(f)を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c2)の後で前記工程(c3)の前に、前記半導体領域上の全面に、前記半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力膜を形成する工程(e)を備え、
前記工程(c3)は、前記応力膜による引っ張り応力を、前記第1の不純物注入領域が形成された前記ポリシリコン膜に印加した状態で熱処理する工程を含み、
前記工程(c3)の後で前記工程(d)の前に、前記ゲート電極の側面上に、前記応力膜からなる側壁応力膜を形成する工程(f)を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c3)では、前記第1の不純物注入領域が形成された前記ポリシリコン膜のうちアモルファス化された領域を再結晶化して形成された上部領域の平均グレインサイズが、前記第1の不純物注入領域が形成された前記ポリシリコン膜のうちアモルファス化されていない領域からなる下部領域の平均グレインサイズに比べて大きく形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−16302(P2010−16302A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177080(P2008−177080)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】