説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】キャパシタの下部電極のダメージを抑制することができる半導体装置およびその製造方法を提供するものである。
【解決手段】本発明の半導体装置は、立設する複数の電極と、前記電極の立設を保持する第1の絶縁膜と、前記電極が貫通するように前記第1の絶縁膜に形成され、各々の前記電極の外周側面の少なくとも一部に接触する複数の孔部と、前記第1の絶縁膜に形成され、前記複数の孔部のうちその一部の孔部に連結する第1の開口と、前記第1の絶縁膜に形成され、前記複数の孔部のいずれの孔部に対してよりも前記溝部に近接する位置に配置すると共に前記複数の孔部のいずれにも連結しない第2の開口とを、備えたことを特徴とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関するものであり、特に湿式エッチングを用いてキャパシタの下部電極の外壁を露出させる製造工程を含む半導体装置の製造方法及びこの方法により製造される半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化の進展に伴い、DRAM(Dynamic Random Access Memory)素子を構成するメモリセルの面積も縮小している。メモリセルを構成するキャパシタにおいて十分な静電容量を確保するために、キャパシタを立体形状に形成することが一般に行われている。具体的にはキャパシタの下部電極をシリンダー型(円筒型)やピラー型(柱型)として、下部電極の側壁をキャパシタとして利用することで表面積を拡大することが可能となる。メモリセルの面積縮小に伴い、キャパシタの下部電極の底部の面積も縮小しており、湿式エッチングを用いてキャパシタの下部電極の外壁を露出させる製造工程において、下部電極が倒れて隣接する下部電極と短絡する現象(倒壊)が起き易くなっている。この電極の倒壊を防止するために、下部電極間に支えとなるサポート膜を配置する技術が提案されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−297952号公報
【特許文献2】特開2008−193088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャパシタの下部電極を支えるサポート膜を、隣接する個々の下部電極間を接続するように帯状(ライン状)に配置したパターンでは、微細化に伴いサポート膜としての保持強度が低下するという問題があった。これは、微細化に伴ってサポート膜の幅自体が細くなることで強度が低下するためである。また、下部電極の外壁部分を露出させる湿式エッチング工程において、窒化シリコン膜等で形成したサポート膜も徐々にエッチングされるため、微細化されたサポート膜では強度が保てないという問題があった。
【0005】
サポート膜のパターンを変更してサポート膜の強度低下の防止を図った一例を図28に平面図で示す。
【0006】
符号100は、メモリセル領域におけるキャパシタの下部電極の配置される場所を模式的に示すものである。符号101はサポート膜である。サポート膜101には、開口102が設けられている。開口102の内部では、下部電極100とサポート膜101は接触していない。サポート膜を特許文献1に記載されているような、一定の幅の帯状パターンを縦横の格子状に組み合わせたパターンで配置せずに、図28に示したように、所定の間隔で開口102を設けて、下部電極100の配置される位置によって、サポート膜101との接触状態が異なるようにした。これにより、サポート膜の幅を太くできるので、下部電極の保持強度が増加する。
【0007】
しかしながら、本発明者が図28のようなサポート膜の配置を鋭意検討した結果、別の問題を見出した。
サポート膜を形成した状態の半導体基板は、層間絶縁膜を除去して下部電極の側壁を露出するために湿式エッチングを行う。層間絶縁膜は2μm程度の膜厚があり、湿式エッチングの時間も長くなるため、バッチ式と呼ばれる、複数の半導体基板を一度に薬液槽に沈める方式で行われる。
【0008】
図29は、バッチ式の湿式エッチングを示す断面模式図である。
複数の半導体基板110は、床面に対して垂直状態で、キャリア111に搭載されている。薬液槽112には、フッ酸(HF)等の薬液113が入っている。キャリア111は、この状態で矢印方向に降ろされ、薬液113内に沈められる。図28のサポート膜パターンにおいては、最も周縁部に近い位置に設けた開口102と、サポート膜の周縁端部との間に、サポート膜で完全に覆われて開口を有さない領域(図28でY方向に幅X1、X方向に幅Y1で、帯状に囲んでいる領域)が存在している。このため、周縁の領域では、薬液の浸透が遅れて、湿式エッチングが進みにくい。このため、層間絶縁膜を残留させずに除去するためには、湿式エッチングの時間を長くする必要があり、サポート膜がダメージを受けやすいという問題があった。
【0009】
また、所定の時間が経過した後に、半導体基板110は湿式エッチングの薬液槽112から垂直方向に引き上げられ、引き続き別の槽で水洗が行われる。
この際に、半導体基板110が垂直方向に引き上げられるため、サポート膜の周縁部分(エッチングによって形成される空洞部分)には、薬液が残留してしまう。水洗槽に半導体基板が沈められるまでの間、残留した薬液によってサポート膜のエッチングが進行してしまう。このため、特に湿式エッチングの際に下側に位置するサポート膜(空洞内に薬液が残留する部分)がダメージを受けやすく、サポート膜の強度が低下しやすいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体装置は、メモリセル領域と、該メモリセル領域内の周縁部に形成された溝部によって前記メモリセル領域と分離される周辺回路領域とを備えた半導体装置であって、前記メモリセル領域において、立設する複数の電極と、前記電極の立設を保持する第1の絶縁膜と、前記電極が貫通するように前記第1の絶縁膜に形成され、各々の前記電極の外周側面の少なくとも一部に接触する複数の孔部と、前記第1の絶縁膜に形成され、前記複数の孔部のうちその一部の孔部に連結する第1の開口と、前記第1の絶縁膜に形成され、前記複数の孔部のいずれの孔部に対してよりも前記溝部に近接する位置に配置すると共に前記複数の孔部のいずれにも連結しない第2の開口とを、備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明した本発明の半導体装置によれば、湿式エッチングを用いてキャパシタの下部電極の外壁を露出させる製造工程において、半導体装置が薬液にさらされる時間を短縮し、サポート膜や薬液のストッパー膜がダメージを受けるのを抑制することができる。
【0012】
この結果、サポート膜のダメージによる、キャパシタの下部電極の倒壊を防止することができ、また、メモリセル領域のキャパシタの下層部分(MOSトランジスタ形成部分)や周辺回路領域に薬液が浸透するのを防止することができる。
【0013】
さらに、今後、微細化が進んでも、静電容量の大きなキャパシタ素子を備えた半導体装置を容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る半導体装置を備えた半導体チップの概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る半導体装置であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に対応する断面図である。(b)図2のB−B’線に対応する断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態である半導体装置の製造方法の工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図6】図5に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図7】図6に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図8】図7に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図9】図8に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図10】図9に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図11】図10に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図12】図11に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図13】図12に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る半導体装置のキャパシタ素子の位置を示す平面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る、湿式エッチングを用いてキャパシタの下部電極の外壁を露出させる製造工程を示す概略図である。
【図16】湿式エッチングが終了し、半導体ウェハーを薬液槽から引き上げた状態での、図2のC−C’線に沿った断面図を示す
【図17】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【図20】第1の実施形態の図10までの工程が同じである、本発明の第2の実施形態である半導体装置の製造方法の図10に示した工程の後に行う工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図21】図20に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図22】図21に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図23】図22に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図24】第2の実施形態の図22までの工程が同じである、本発明の第3の実施形態である半導体装置の製造方法の図22に示した工程の後に行う工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図25】図24に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図26】図25に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図27】図26に続く工程を示す図であって、(a)図2(又は図3)のA−A’線に沿った断面図である。(b)図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図28】従来の半導体装置のサポート膜のパターンを示す図である。
【図29】バッチ式の湿式エッチングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。尚、以下の図は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の半導体装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0016】
図1は、本発明に係る半導体装置を備えたDRAM素子(半導体チップ)の概念図である。
DRAM素子50上には複数のメモリセル領域51が配置されており、メモリセル領域51を囲むように周辺回路領域52が配置されている。周辺回路領域52には、センスアンプ回路や、ワード線の駆動回路、外部との入出力回路等が含まれる。図1の配置は一例であり、メモリセル領域の数や、配置される位置は、図1のレイアウトには限定されない。
【0017】
図2は、所定の配置で複数のメモリセルを有する1つのメモリセル領域と、そのメモリセル領域の周縁部に形成された溝部によってメモリセル領域と分離される周辺回路領域とを備えた本発明の実施形態に係る半導体装置を示す平面図であって、構成する一部の要素のみを示したものである。メモリセル領域51の周縁部には溝部12Bがメモリセル領域の内部を囲むように配置されている。
尚、本発明においては、溝部12Bで囲まれた内部の領域と溝部12Bとを併せた領域を「メモリセル領域」として定義する。また、溝部12Bの外側の領域を「周辺回路領域」として定義する。
【0018】
符号12Aは各メモリセルを構成するキャパシタの下部電極の位置を示す。符号14は製造の途中工程におけるキャパシタの下部電極の倒壊を防止するために配置されたサポート膜(第1の絶縁膜)であって、所定の間隔で第1の開口14Aが設けられている。第1の開口14Aは複数のキャパシタの電極のうちその一部を内側に含むように設けられる。サポート膜14は、溝部12Bで囲まれた領域内に設けられると共に、溝部12Bの外側の領域にも設けられている。周辺回路領域52上には、製造工程の途中でサポート膜の機能を利用した後、最終的には残存しないようにパターニングすることが好ましい。
【0019】
本発明では、サポート膜14の溝部12Bに隣接する領域に、複数の第2の開口14Bが設けられている。第1の開口14Aと第2の開口14Bは、サポート膜14をパターニングすることによって同時に形成されている。
この実施形態では、溝部12Bは4辺の溝で構成された矩形であり、第2の開口14Bは溝部の4辺の溝うちの対向する2辺の溝に沿って複数形成されている。
尚、図2のキャパシタの配置は一例であり、キャパシタの数や、配置される位置は、図2のレイアウトには限定されない。
【0020】
図3は、各メモリセルの平面構造を詳細に示すための概念図で、メモリセルを構成する一部の要素のみを示している。図3の右手側は、後述する、ワード配線Wとなるゲート電極5とサイドウォール5bとを切断する面を基準とした透過断面図として示している。
キャパシタ素子の記載は図3においては省略し、断面図にのみ記載した。
【0021】
図4(a)は図2(又は図3)のA−A’線に対応する断面図であり、図4(b)は図2のB−B’線に対応する断面図である。
【0022】
図4において、複数のコンタクトプラグ7Aがその上端を露出するように埋め込まれた層間絶縁膜7上に形成され、コンタクトプラグの各々に接続する複数のキャパシタ素子30と、キャパシタ素子30の下部電極(電極)13の立設を保持するサポート膜(第1の絶縁膜)14と、サポート膜14を貫通してかつ各々の内壁に下部電極13を備えた複数の孔部と、サポート膜14に形成されてかつ複数の孔部のうちその一部の孔部に連結する第1の開口14Aと、サポート膜14に形成されてかつ複数の孔部のいずれの孔部に対してよりも溝部12Bに近接する位置に配置すると共に複数の孔部のいずれにも連結しない第2の開口14Bを示している。
【0023】
各メモリセルは図4(a)に示すように、メモリセル用のMOSトランジスタTr1と、MOSトランジスタTr1に複数のコンタクトプラグ7Aを介して接続されたキャパシタ素子(容量部)30とから概略構成されている。
【0024】
図3及び図4(a)において、半導体基板1は所定濃度のP型不純物を含有するシリコン(Si)によって形成されている。この半導体基板1には、素子分離領域3が形成されている。素子分離領域3は、半導体基板1の表面にSTI(Shallow Trench Isolation)法によりシリコン酸化膜(SiO)等の絶縁膜を埋設することによって活性領域K以外の部分に形成され、隣接する活性領域Kとの間を絶縁分離している。本実施形態では、1つの活性領域Kに2ビットのメモリセルが配置されるセル構造に本発明を適用した場合の例を示している。
【0025】
本実施形態では図3に示す平面構造のように、細長い短冊状の活性領域Kが複数、個々に所定間隔をあけて右斜め下向きに整列して配置されている。各活性領域Kの両端部と中央部には個々に不純物拡散層が形成され、MOSトランジスタTr1のソース・ドレイン領域として機能する。ソース・ドレイン領域(不純物拡散層)の真上に配置されるように基板コンタクト部205a、205b、205cの位置が規定されている。
尚、本発明は図3のような活性領域Kの配列に限定されないし、活性領域Kの形状は、その他一般的なトランジスタに適用される活性領域の形状としてもよい。
【0026】
図3の横(X)方向には、折れ線形状(湾曲形状)にビット配線6が延設され、このビット配線6が図3の縦(Y)方向に所定の間隔で複数配置されている。また、図3の縦(Y)方向に延在する直線形状のワード配線Wが配置されている。個々のワード配線Wは図3の横(X)方向に所定の間隔で複数配置され、ワード配線Wは各活性領域Kと交差する部分において、図4(a)に示されるゲート電極5を含むように構成されている。本実施形態では、MOSトランジスタTr1が、溝型のゲート電極を備えている場合を一例として示した。溝型のゲート電極を備えたMOSトランジスタに代えて、プレーナ型のMOSトランジスタや、半導体基板に設けた溝の側面部分にチャネル領域を形成したMOSトランジスタを使用することも可能である。また、ピラー形状のチャネル領域を備えた縦型のMOSトランジスタを用いてもよい。
【0027】
図4(a)の断面構造に示すように、半導体基板1において素子分離領域3に区画された活性領域Kにソース・ドレイン領域として機能する不純物拡散層8が離間して形成され、個々の不純物拡散層8の間に、溝型のゲート電極5が形成されている。ゲート電極5は、多結晶シリコン膜と金属膜との多層膜により半導体基板1の上部に突出するように形成されており、多結晶シリコン膜はCVD法(Chemical Vapor Deposition)での成膜時にリン等の不純物を含有させて形成することができる。また、成膜時に不純物を含有しないように形成した多結晶シリコン膜に、後の工程でN型またはP型の不純物をイオン注入法により導入してもよい。ゲート電極用の金属膜には、タングステン(W)や窒化タングステン(WN)、タングステンシリサイド(WSi)等の高融点金属を用いることができる。また、図4(a)に示すように、ゲート電極5と半導体基板1との間にはゲート絶縁膜5aが形成されている。また、ゲート電極5の側壁には窒化シリコン(Si)などの絶縁膜によるサイドウォール5bが形成され、ゲート電極5上にも、保護膜として窒化シリコンなどの絶縁膜5cが形成されている。
【0028】
不純物拡散層8は、半導体基板1に、N型不純物として例えばリンを導入することで形成される。ゲート電極間を充填するように、酸化シリコン等を用いたゲート層間絶縁膜(図4(a)には図示せず。図4(b)では上層の第1の層間絶縁膜4との境界を記載せず)が形成されている。不純物拡散層8と接触するように基板コンタクトプラグ9が形成されている。この基板コンタクトプラグ9は、図3に示した基板コンタクト部205c、205a、205bの位置にそれぞれ配置され、例えば、リンを含有した多結晶シリコンから形成される。基板コンタクトプラグ9の横(X)方向の幅は、隣接するゲート配線Wに設けられたサイドウォール5bによって規定される、セルフアライン構造となっている。
【0029】
図4(a)に示すように、ゲート電極上の絶縁膜5c及び基板コンタクトプラグ9を覆うように層間絶縁膜4が形成され、層間絶縁膜4を貫通するようにビット線コンタクトプラグ4Aが形成されている。ビット線コンタクトプラグ4Aは、基板コンタク部205aの位置に配置され、基板コンタクトプラグ9と導通している。ビット線コンタクトプラグ4Aは、チタン(Ti)及び窒化チタン(TiN)の積層膜からなるバリア膜(TiN/Ti)上にタングステン(W)等を積層して形成されている。ビット線コンタクトプラグ4Aに接続するようにビット配線6が形成されている。ビット配線6は窒化タングステン(WN)及びタングステン(W)からなる積層膜で構成されている。
【0030】
ビット配線6を覆うように、層間絶縁膜7が形成されている。層間絶縁膜4及び層間絶縁膜7を貫通して、基板コンタクトプラグ9に接続するように容量コンタクトプラグ7Aが形成されている。容量コンタクトプラグ7Aは、基板コンタクト部205b、205cの位置に配置される。
【0031】
層間絶縁膜7上には、容量コンタクトパッド10が配置されており、容量コンタクトプラグ7Aと導通している。容量コンタクトパッド10は、窒化タングステン(WN)及びタングステン(W)からなる積層膜で形成されている。
【0032】
容量コンタクトパッド10を覆うように、窒化シリコンを用いた層間絶縁膜11(第1層間絶縁膜の一部)が形成されている。
層間絶縁膜11の中に延びて、容量コンタクトパッド10と接続するようにキャパシタ素子30が形成されている。キャパシタ素子30は下部電極13と上部電極(別の電極)15の間に容量絶縁膜(図示せず)を挟んだ構造となっており、下部電極13は容量コンタクトパッド10を介してコンタクトプラグ7Aと接続している。
【0033】
図4(b)に示したように、メモリセル領域の周縁部には、層間絶縁膜12(第1層間絶縁膜の一部)を貫通し、層間絶縁膜11の中まで延びて、メモリセル領域と周辺回路領域とを分離する溝部12Bが設けられている。溝部12Bの内壁にはキャパシタの下部電極13が形成されており、溝部12Bの上端部はサポート膜14に接触して支持されている。溝部12Bによってメモリセルを囲むことにより、キャパシタの下部電極を露出させる工程での湿式エッチングの薬液が、横方向から周辺回路領域に浸透するのを防止している。
【0034】
DRAM素子のメモリセル領域以外の領域(周辺回路領域)には記憶動作用のキャパシタ素子は配置されず、層間絶縁膜11上には、酸化シリコン等で形成した層間絶縁膜12が形成されている。また、サポート膜14は製造工程の途中においては、周辺回路領域の上面を覆うように配置され、キャパシタの下部電極を露出させる工程での湿式エッチングの薬液が、上面方向から周辺回路領域に浸透するのを防止している。
【0035】
図4(a)に示したように、メモリセル領域においては、キャパシタ素子30上には層間絶縁膜20、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等で形成した上層の配線層21、表面保護膜22が形成されている。
【0036】
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図5〜図14を参照して説明する。
各図において(a)は各メモリセルのA−A’線(図2又は図3)に対応する断面図であり、(b)はメモリセル領域の外周近傍のB−B’線(図2)に対応する断面図である。
尚、以下の説明では、特に断らない限り各図の(a)、(b)を参照して、各メモリセルの製造工程及びメモリセル領域の外周近傍の製造工程を同時に説明する。
【0037】
以下に各製造工程を詳細に説明する。
図5に示すように、P型のシリコンからなる半導体基板1の主面に活性領域Kを区画するため、STI法により、酸化シリコン(SiO)等の絶縁膜を埋設した素子分離領域3を、活性化領域K以外の部分に形成する。次に、MOSトランジスタTr1のゲート電極用の溝パターン2を形成する。溝パターン2は半導体基板1のシリコンをフォトレジストで形成したパターン(図示せず)をマスクとしてエッチングすることによって形成する。
【0038】
次に図6に示すように、熱酸化法により半導体基板1のシリコン表面を酸化して酸化シリコンとすることにより、トランジスタ形成領域に厚さ4nm程度のゲート絶縁膜5aを形成する。ゲート絶縁膜としては、酸化シリコン及び窒化シリコンの積層膜や、High−K膜(高誘電体膜)を使用してもよい。
この後に、ゲート絶縁膜5a上にモノシラン(SiH)及びホスフィン(PH)を原料ガスとしたCVD法により、N型の不純物を含有した多結晶シリコン膜を堆積する。この際に、ゲート電極用の溝パターン2の内部が完全に多結晶シリコン膜で充填されるような膜厚に設定する。不純物を含まない多結晶シリコン膜を形成して、後の工程でN型またはP型の不純物をイオン注入法にて多結晶シリコン膜に導入してもよい。次に、上記多結晶シリコン膜上に、スパッタリング法により金属膜として、例えばタングステンシリサイド、窒化タングステン、タングステン等の高融点金属を50nm程度の厚さに堆積させる。この多結晶シリコン膜及び金属膜が、後述する工程を経てゲート電極5に形成される。
【0039】
次に、ゲート電極5を構成することになる金属膜上に、モノシランとアンモニア(NH)を原料ガスとして、プラズマCVD法により、窒化シリコンからなる絶縁膜5cを厚さ70nm程度に堆積する。次に、絶縁膜5c上にフォトレジスト(図示せず)を塗布し、ゲート電極5形成用のマスクを用い、フォトリソグラフィ法によりゲート電極5形成用のフォトレジストパターンを形成する。そして、上記フォトレジストパターンをマスクとして、異方性エッチングにより、絶縁膜5cをエッチングする。フォトレジストパターンを除去した後、絶縁膜5cをハードマスクとして金属膜及び多結晶シリコン膜をエッチングし、ゲート電極5を形成する。ゲート電極5はワード線W(図3)として機能する。
【0040】
次に、図7に示すように、N型不純物としてリンのイオン注入を行い、ゲート電極5で覆われていない活性領域に不純物拡散層8を形成する。
この後に、CVD法により、全面に窒化シリコン膜を20〜50nm程度の厚さに堆積し、エッチバックを行うことにより、ゲート電極5の側壁にサイドウォール5bを形成する。
【0041】
次に、図8に示したように、ゲート電極上の絶縁膜5c及び側面の絶縁膜5bを覆うように、CVD法により酸化シリコン等のゲート層間絶縁膜40(図8(a)には図示せず)を形成した後に、ゲート電極5に由来する凹凸を平坦化するため、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、表面の研磨を行う。表面の研磨はゲート電極上の絶縁膜5cの上面が露出した時点で停止する。この後に、基板コンタクトプラグ9を形成する。
【0042】
具体的には、まず、図3の基板コンタクト部205a、205b、205cの位置に開口を形成するように、フォトレジストで形成したパターンをマスクとしてエッチングを行い、先に形成したゲート層間絶縁膜を除去し、半導体基板1の表面を露出させる。開口は窒化シリコンで形成されている絶縁膜5c、5bを利用してセルフアラインにてゲート電極5の間に設けることができる。この後に、CVD法にてリンを含有した多結晶シリコン膜を堆積した後に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法にて研磨を行い、絶縁膜5c上の多結晶シリコン膜を除去し、開口内に充填された基板コンタクトプラグ9とする。
【0043】
この後に、CVD法により、ゲート電極上の絶縁膜5c及び基板コンタクトプラグ9を覆うように、酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜4を例えば600nm程度の厚みで形成する。その後、CMP法により、第1の層間絶縁膜4の表面を、例えば300nm程度の厚みになるまで研磨して平坦化する。なお、以降の図の(b)においては、ゲート層間絶縁膜40と第1の層間絶縁膜4との境界線は記載を省略し、一体化した第1の層間絶縁膜4として記載した。
【0044】
次に、図9に示したように、層間絶縁膜4に対して、図3で示した基板コンタクト部205aの位置に開口(コンタクトホール)を形成し、基板コンタクトプラグ9の表面を露出させる。この開口の内部を充填するように、TiN/Ti等のバリア膜上にタングステン(W)を積層した膜を堆積し、表面をCMP法にて研磨することにより、ビット線コンタクトプラグ4Aを形成する。この後に、ビット線コンタクト4Aと接続するようにビット配線6を窒化タングステン及びタングステンからなる積層膜で形成する。ビット配線6を覆うように、酸化シリコン等で層間絶縁膜(下部層間絶縁膜)7を形成する。
【0045】
次に、図10に示したように、層間絶縁膜4及び層間絶縁膜7を貫通するように、図3の基板コンタクト部205b、205cの位置に開口(コンタクトホール)を形成し、基板コンタクトプラグ9の表面を露出させる。この開口の内部を充填するように、TiN/Ti等のバリア膜上にタングステン(W)を積層した膜を堆積し、表面をCMP法にて研磨することにより、容量コンタクトプラグ7Aを形成する。
次に、層間絶縁膜7上に、窒化タングステン及びタングステンからなる積層膜を用いて、容量コンタクトパッド10を形成する。容量コンタクトパッド10は容量コンタクトプラグ7Aと導通し、後に形成するキャパシタ素子の下部電極の底部のサイズよりも大きくなるようなサイズで配設する。図10(b)に示したように、メモリセル領域の外周近傍においても、容量コンタクトパッド10を配置する。この後に、容量コンタクトパッド10を覆うように、窒化シリコンを用いて層間絶縁膜11(第1層間絶縁膜の一部)を、例えば60nmの厚さで堆積する。
【0046】
次に、図11に示したように、酸化シリコン等で層間絶縁膜12(第1層間絶縁膜の一部)を、例えば2μmの厚さで堆積する。層間絶縁膜12上に、窒化シリコンを用いて、膜厚100nm程度のサポート膜(第1の絶縁膜)14を堆積する。周辺回路領域上にはサポート膜(第1の絶縁膜)を堆積しなくてもよい。
【0047】
この後に、異方性ドライエッチングによって、複数のキャパシタ素子を形成するそれぞれの位置に孔部12Aを形成して容量コンタクトパッド10の表面を露出させると同時に、メモリセル領域内の周縁部に溝部12Bを形成し、容量コンタクトパッド10の表面を露出させる(図11(b))。ここで、溝部12Bの内壁に接触するように、下部電極13と同じ導電体によってメモリセル領域を囲む壁面が形成されており、サポート膜(第1の絶縁膜)14と、溝部12Bに設けられたその壁面とが接続している。
【0048】
キャパシタ素子を形成する概略の位置を平面図として図14に示す。孔部12Aの位置にキャパシタ素子の下部電極が形成される。図14においては、容量コンタクトパッド、ビット配線の記載は省略した。容量コンタクトパッドは、孔部12A(下部電極の底部)と容量コンタクトプラグ7Aの上面を接続するように配置されている。
【0049】
孔部12A及び溝部12Bを形成後に、キャパシタ素子の下部電極(第1の電極)13を形成する。具体的には、孔部12A及び溝部12Bの内部を完全には充填しない膜厚で窒化チタンを堆積し、層間絶縁膜12上の窒化チタンをドライエッチングまたはCMP法によって除去する。その際に、孔部12A及び溝部12B内部の下部電極を保護するために、フォトレジスト膜や酸化シリコン等を開口内に充填しておいてもよい。孔部12A及び溝部12B内に内部保護用の膜を形成した場合には、後の湿式エッチングを行う工程の前に、内部を保護していた膜も除去する。酸化シリコンを孔部12A及び溝部12B内に充填した場合には、後の湿式エッチングの工程で同時に除去してもよい。なお、下部電極の材料としては窒化チタン以外の金属膜(ルテニウム等)も使用可能である。
【0050】
次に、図12に示したように、サポート膜14のパターニングを行い第1の開口14A及び第2の開口14Bを形成する。第1の開口14Aは、図2及び図14に示したように、一部の孔部12Aと重なる位置に所定の間隔で規則的に配置され、それらの孔部12Aに連結されている。第1の開口14Aを形成するためのパターン(フォトマスク上のパターン)は矩形であるが、孔部12Aの内部には最初からサポート膜14Aは存在していないので、孔部12Aと重なった部分においては、孔部12Aの外周(下部電極13の外周)に沿った形状でサポート膜14が残存することになる。個々の下部電極は、少なくとも外周の一部に沿ってサポート膜と接触していればよい。下部電極とサポート膜の接触長(接触している部分の下部電極外周に沿った長さ)は、個々のキャパシタ毎に異なっていてもよい。また、下部電極の外周を完全にサポート膜14で囲まれている下部電極が混在していてもよい。
【0051】
第2の開口14Bは、溝部12Bと近接した領域に、溝部12Bと平行に矩形のパターンを、所定の間隔で複数配置する。第2の開口14Bは、第1の開口14A及びキャパシタ下部電極用の孔部12Aの配置された位置とは独立して配置することができる。図2に示した第1の開口14A及び第2の開口14Bの配置は一例であり、後述のように形状および位置は変更が可能である。サポート膜14は、溝部12B内に設けられた下部電極13のメモリセル領域側の外壁(壁面)と接触している。
この段階では、周辺回路領域には、サポート膜14に開口を設けない。従って、周辺回路領域の層間絶縁膜12の上面全面にサポート膜14で覆われている。
【0052】
次に、図13に示したように、フッ酸(HF)を用いた湿式エッチングを行うことにより、メモリセル領域の第4の層間絶縁膜12を除去して、下部電極13の外壁を露出させる。
【0053】
湿式エッチングを行う際の、半導体基板の湿式エッチングの薬液槽112に対する配置関係の一例を図15に示す。符号110は半導体ウェハー(半導体基板の全体)であり、複数のDRAM素子(チップ)50が、表面上に配置されている。湿式エッチングの薬液槽112には所定の濃度のフッ酸113が入っている。
【0054】
半導体ウェハー110は矢印Gの方向(床面に対して垂直方向)に移動し、薬液槽112に出し入れされる。図15の右側には、1つのDRAM素子のサポート膜に設けた第2の開口14B及び溝部12Bの配置を示した。この例では第2の開口14Bは、半導体ウェハー110の移動方向Gと概略直交する方向に、直線状に延在して配置されている。半導体ウェハー110には外周上の1箇所にノッチ(切り欠き)Nが設けられている。半導体ウェハーを回転させながらノッチNの位置を検出することで、湿式エッチングを行う直前に、第2の開口14Bの延在する方向が半導体ウェハー110の移動方向Gと概略直交する方向(床面と概略平行な方向)に合わせることができる。但し、この位置合わせは厳密に行う必要はない。
【0055】
図16に湿式エッチングが終了し、半導体ウェハー110を薬液槽112から引き上げた状態での、図2のC−C’線における断面図を示す(第1の層間絶縁膜4より下層の部分は図示せず)。溝部12Bに隣接したメモリセル領域は層間絶縁膜12が除去されることにより空洞Hが形成される。本発明では、サポート膜14に第2の開口14Bを設けたことにより、この第2の開口14Bから空洞Hに滞留している薬液を効率よく排出することが可能となる。
【0056】
また、半導体ウェハー110を薬液槽に入れる際にも、サポート膜14に第2の開口14Bを設けたことによって、メモリセル領域の外周近傍にすみやかに薬液を浸透させることができる。
【0057】
窒化シリコンで形成されている層間絶縁膜11は、この湿式エッチングの際の薬液のストッパー膜として機能し、下層に位置する素子等がエッチングされるのを防止する。
【0058】
本発明では、サポート膜14に第2の開口14Bを設けたことにより、薬液の浸透および排出を従来よりもすみやかに行うことが可能となるため、半導体ウェハー110が薬液にさらされている時間を従来よりも短くすることができる。このため、サポート膜14や層間絶縁膜(ストッパー膜)11が薬液によってダメージを受けるのを抑制することができる。
【0059】
また、メモリセル領域以外の領域(周辺回路領域)においては、層間絶縁膜12の上面に堆積したサポート膜14を残存させておくことにより、湿式エッチングに際して薬液が上面から浸透するのを防止することができる。周辺回路領域上を覆うサポート膜も湿式エッチングによって徐々にエッチングが進行するが、本発明を適用することによって薬液にさらされる時間を短くできるので、薬液が周辺回路領域にしみ込むのを防止することができる。
【0060】
さらに本発明によって、下部電極を支えるサポート膜がエッチングに起因して強度低下を起こすのを防止できるので、下部電極13をサポート膜14によって強固に保持できる。従って下部電極13の外壁を露出させる際に、下部電極13が倒壊するのを防止することが容易に可能となる。
【0061】
次に、下部電極13の側壁表面を覆うように、容量絶縁膜(図示せず)を形成する。容量絶縁膜としては例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)や、それらの積層体等の高誘電体膜を使用できる。
【0062】
次に、図4に示すように、キャパシタ素子の上部電極15を窒化チタン等で形成する。上部電極15は、例えば窒化チタン上に多結晶シリコン膜を堆積した積層体としてもよい。下部電極13と上部電極15によって容量絶縁膜を挟むことにより、キャパシタ素子が形成される。
【0063】
上部電極15はメモリセル領域のみに残し、周辺回路領域では除去するようにパターニングする。先述したが、この際に、周辺回路領域上を覆っていたサポート膜14も上部電極15のパターンに合せて除去することが好ましい。これは、周辺回路領域において、後述する上層の配線層21と下層に位置する配線層を接続するコンタクトプラグを形成する際に、コンタクトホールの開口の形成が容易となるからである。
【0064】
この後、酸化シリコン等で層間絶縁膜20を形成する。メモリセル領域では、キャパシタ素子の上部電極15に電位を与えるための引き出し用コンタクトプラグ(図示せず)を形成する。
【0065】
この後に、上層の配線層21をアルミニウム(Al)や銅(Cu)等で形成する。さらに、表面の保護膜22を酸窒化シリコン(SiON)等で形成することにより、DRAM素子が完成する。
【0066】
<第1の実施形態の変形例>
本発明のサポート膜に設ける第2の開口の配置は、図2に記載されたものに限定されない。第2の開口14Bと隣接する溝部12Bとの距離や、隣接する第2の開口14Bどうしの間隔は特に限定されないので、サポート膜14の強度を考慮して決定することができる。
【0067】
図17に示したように、複数の第2の開口14Bを、矩形形状のメモリセル領域の周縁部に沿って、X方向およびY方向の両方向に、すなわち、矩形の4辺の溝で構成される溝部12Bの4辺の全てに沿って配置してもよい。X方向とY方向のそれぞれに配置した開口14Bの形状は異なっていてもよい。X方向とY方向のそれぞれに配置した開口14Bの溝部12Bからの距離は異なっていてもよい。開口14Bの形状は正方形や、円形、楕円形、多角形でもよい。
【0068】
また、キャパシタの下部電極が形成された領域に設ける第1の開口14Aの形状も変形が可能である。図18に示したように、第1の開口14Aを1方向に延在する帯状のパターンを所定の距離だけ離間させ、サポート膜14に幅の太くなる部分を設けるようにして複数配置してもよい。
【0069】
また、図19に示したように、第1の開口14Aが斜め方向に延在するようにしてもよい。図18、図19の第1の開口14Aの配置と図17に示した第2の開口の配置を組み合わせてもよい。
【0070】
さらにまた、キャパシタの下部電極は、孔部12Aの内部を完全に充填したピラー型(柱型)としてもよい。
【0071】
<第2の実施形態>
本発明の他の実施形態について、図20〜図23を参照して説明する。
各図の(a)(b)は先の実施形態と同様に、(a)は各メモリセルのA−A’線(図2)に対応する断面式図であり、(b)はメモリセル領域の外周領域のB−B’線(図2)に対応する断面図である。
【0072】
本実施形態においても、第1の実施形態の図10までは同様の工程を行う。
この後に、図20に示したように酸化シリコン等で層間絶縁膜12を堆積するが、この段階ではサポート膜の堆積は行わない。この後に、第1の実施形態と同様に、キャパシタの下部電極用の孔部12Aおよび、メモリセル領域の周縁部に溝部12Bを形成し、下部電極13を孔部12Aおよび溝部12B内に形成する。層間絶縁膜12上の下部電極は除去し、孔部12Aおよび溝部12Bの内壁にのみ下部電極を残存させる。
【0073】
次に、図21に示したように、層間絶縁膜12上、及び、孔部12Aおよび溝部12Bの内部を充填するように、窒化シリコン堆積してサポート膜14を形成する。
【0074】
次に、図22に示したように、サポート膜14のドライエッチングを行い、第1の実施形態と同様の位置に第1の開口14Aと第2の開口14Bを形成する。周辺回路領域上にはサポート膜14を残存させる。
【0075】
次に、図23に示したように、湿式エッチングを行って、メモリセル領域内の層間絶縁膜12を除去し、キャパシタの下部電極13の外壁を露出させる。
【0076】
この実施形態では、サポート膜14が下部電極13の内部に充填されているので、より強固に下部電極13を保持することが可能となる。
【0077】
この実施形態においても、メモリセル領域の複数の孔部のいずれの孔部に対してよりも溝部に近接する位置に第2の開口14Bを形成したことにより、湿式エッチングに際してのメモリセル領域への薬液の浸透およびメモリセル領域からの薬液の排出をすみやかに行うことができるので、サポート膜14や層間絶縁膜(ストッパー膜)11へのダメージを抑制することができる。
【0078】
この後に、第1の実施形態と同様に、キャパシタ用の誘電体膜や上部電極、上層の層間絶縁膜や上層の配線層等を形成することにより、DRAM素子が完成する。
【0079】
<第3の実施形態>
本発明の他の実施形態について、第2の実施形態の容量コンタクトパッド10より上の部分のみを記載した図24〜図27を参照して、説明する。
各図の(a)(b)は先の実施形態と同様に、(a)は各メモリセルのA−A’線(図2)に対応する断面図であり、(b)はメモリセル領域の外周領域のB−B’線(図2)に対応する断面図である。
【0080】
第2の実施形態と同様にして、第1の開口14Aおよび第2の開口14Bを備えたサポート膜(第1の絶縁膜)14を、下部電極(第1の電極)13の内部を充填するように形成した後に、図24に示したように、層間絶縁膜12(第1層間絶縁膜の一部)上に、酸化シリコン等によって第2のサポート膜(第2の絶縁膜)42を膜厚1μm程度形成する。
【0081】
次に、図25に示したように、第1の下部電極13の上端が一部露出するように、第2のサポート膜42をエッチングして第3の開口42Aを形成すると同時に、外周部においては溝部(第1の溝部)12B内部に設けた第1の下部電極の上端が露出するように、第2の溝部42Bを形成する。この後に、先に説明したのと同様にして、下部電極(第2の電極)43を第2の開口42A及び第2の溝部42Bの内壁に形成する。第1の下部電極13と第2の下部電極43は一部が接触することにより導通し、1つの下部電極として機能する。
【0082】
次に、図26に示したように、先に説明したのと同様にして、第2の開口42A及び第2の溝部42Bの内部を充填すると共に、層間絶縁膜42の表面を覆うように、窒化シリコンを用いた第2のサポート膜44(第2の絶縁膜)を堆積し、第3の開口44Aおよび第4の開口44Bを形成する。なお、第1のサポート膜14および第2のサポート膜44のそれぞれに形成した第1の開口14A及び第3の開口44Aの位置はずれていてもよいし、また第1の開口14Aおよび及び第3の開口44Aの形状が異なっていてもよい。同様に、第1のサポート膜14および第2のサポート膜44のそれぞれに形成した第2の開口14B及び第4の開口44Bの位置はずれていてもよいし、また第2の開口14Bおよび第3の44Bの形状が異なっていてもよい。
【0083】
次に、図27に示したように、フッ酸(HF)を用いた湿式エッチングを行うことにより、メモリセル領域の層間絶縁膜12及び層間絶縁膜42を除去して、第1及び第2の下部電極13、43の外壁を露出させる。この後に、第1の実施形態と同様に容量絶縁膜(図示せず)及び上部電極(図示せず)等を形成する。
【0084】
この実施形態では、下部電極を2段積層した構造としたので、キャパシタ素子として、より大きな静電容量を得ることができる。また、第1及び第2の下部電極13、43が共に第1及び第2のサポート膜14、44で支持されているので、下部電極の高さが高くなっても倒壊を防止することができる。
【0085】
また、メモリセル領域の外周領域には第1の溝部12B及び第2の溝42Bの積層構造により形成された壁面によって、湿式エッチングでの薬液が、メモリセルの外部に浸透するのを防止している。
【0086】
この実施形態においても、メモリセル領域の外周近傍に第2の開口14Bおよび第4の開口44Bを配置したことにより、湿式エッチングに際してのメモリセル領域への薬液の浸透およびメモリセル領域からの薬液の排出をすみやかに行うことができるので、第1及び第2のサポート膜14、44や層間絶縁膜(ストッパー膜)11へのダメージを抑制することができる。
【0087】
尚、同様にして3段以上の下部電極を積層した構造としてもよい。
本発明を適用することにより、下部電極の倒壊を防止して、複数の下部電極を積層した構造のキャパシタ素子を容易に形成することが可能となる。従って、静電容量の大きなキャパシタ素子を供えた半導体装置を容易に製造できる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の半導体装置及びその製造方法は、湿式エッチングを用いてキャパシタの下部電極の外壁を露出させる製造工程を含む半導体装置の製造方法及びこの方法により製造される半導体装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 半導体基板
7 層間絶縁膜
11,12 第1層間絶縁膜
12A 孔部(第1の孔部)
12B 溝部(第1の溝部)
13 下部電極(第1の電極)
14 サポート膜(第1の絶縁膜)、第1のサポート膜(第1の絶縁膜)
14A 第1の開口
14B 第2の開口
15 上部電極
30 キャパシタ素子
42 第2層間絶縁膜
42A 第2の孔部
42B 第2の溝部
43 第2の下部電極(第2の電極)
44 第2のサポート膜(第2の絶縁膜)
44A 第3の開口
44B 第4の開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセル領域と、該メモリセル領域内の周縁部に形成された溝部によって前記メモリセル領域と分離される周辺回路領域とを備えた半導体装置であって、前記メモリセル領域において、
立設する複数の電極と、
前記電極の立設を保持する第1の絶縁膜と、
前記電極が貫通するように前記第1の絶縁膜に形成され、各々の前記電極の外周側面の少なくとも一部に接触する複数の孔部と、
前記第1の絶縁膜に形成され、前記複数の孔部のうちその一部の孔部に連結する第1の開口と、
前記第1の絶縁膜に形成され、前記複数の孔部のいずれの孔部に対してよりも前記溝部に近接する位置に配置すると共に前記複数の孔部のいずれにも連結しない第2の開口とを、
備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
メモリセル領域と、該メモリセル領域内の周縁部に形成された溝部によって前記メモリセル領域と分離される周辺回路領域とを備えた半導体装置であって、
前記メモリセル領域において、
立設する複数のシリンダー型の電極と、
前記電極の内壁で囲まれた部分に充填されると共に、電極の立設を保持する第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜に形成され、前記複数の電極のうちその一部を内側に含むように設けられた第1の開口と、
前記第1の絶縁膜に形成され、前記複数の電極のいずれに対してよりも前記溝部に近接する位置に配置されると共に前記複数の電極のいずれも内側に含まない第2の開口とを、
備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記溝部は矩形の4辺の溝で構成され、前記第2の開口が前記溝部の4辺の溝うちの少なくとも1辺の溝に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の開口が矩形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の開口および前記第2の開口が共に長方形であり、前記第1の開口の長辺が延在する方向と、前記第2の開口の長辺が延在する方向とが異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記溝部の内壁に接触するように、前記電極と同じ導電体によって前記メモリセル領域を囲む壁面が形成されており、
前記第1の絶縁膜と前記溝部に設けられた前記壁面とが接続していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記周辺回路領域上には、前記第1の絶縁膜が設けられていないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記電極の底部において、各々の電極の外周側面に接触する窒化シリコン膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電極の表面と容量絶縁膜を介して対向する別の電極が設けられ、キャパシタが形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
メモリセル領域と、該メモリセル領域内の周縁部に形成された溝部によって前記メモリセル領域と分離される周辺回路領域とを備えた半導体装置であって、
前記メモリセル領域において、
立設する複数の第1の電極と、
前記第1の電極の外周の少なくとも一部に接触することで前記複数の第1の電極の立設を保持する第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜に設けられ、前記複数の第1の電極の一部がその内側に含まれる第1の開口と、
前記第1の絶縁膜の前記溝部に近接する位置に配置され、前記第1の電極のいずれも内側に含まず、前記第1の開口のいずれにも連結しない第2の開口と、
前記第1の電極の上面に接続して立設する複数の第2の電極と、
前記第2の電極の外周の少なくとも一部に接触することで前記複数の第2の電極の立設を保持する第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜に設けられ、前記複数の第2の電極の一部がその内側に含まれる第3の開口と、
前記第2の絶縁膜の前記溝部に近接する位置に配置され、前記第2の電極のいずれも内側に含まず、前記第3の開口のいずれにも連結しない第4の開口とを、
備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
前記メモリセル領域を平面視した場合に、前記第2の開口と前記第4の開口の配置されている位置が異なることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の電極および前記第2の電極の表面と容量絶縁膜を介して対向する別の電極が設けられ、キャパシタが形成されていることを特徴とする請求項10または11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
半導体基板上にコンタクトパッド電極を形成する工程と、
前記コンタクトパッド電極を覆う第1層間絶縁膜と第1の絶縁膜を順次形成する工程と、
前記第1の絶縁膜および前記第1層間絶縁膜を貫通する複数の開口を設けて、前記コンタクトパッド電極の上面の一部を露出させる複数の第1の孔部を形成する工程と、
前記第1の孔部の内壁および前記コンタクトパッド電極の上面に接触する第1の電極を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜に、前記複数の第1の孔部のうちその一部の孔部に連結する第1の開口と、前記メモリセル領域の周縁部に位置し、前記複数の第1の孔部のいずれにも連結しない第2の開口とを同時に形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜を湿式エッチングして前記第1の電極の外壁面を露出させる工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記半導体装置はメモリセル領域と、該メモリセル領域内の周縁部に形成された第1の溝部によって前記メモリセル領域と分離される周辺回路領域とを備え、
前記第1の電極は前記メモリセル領域に形成され、
前記第1の絶縁膜および前記第1層間絶縁膜を貫通する複数の開口を設ける工程において、同時に前記第1の溝部を前記第1の絶縁膜および前記第1層間絶縁膜を貫通するように形成することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1の電極の外壁面を露出させる工程の後に、
前記第1の電極の外壁面を覆う容量絶縁膜を形成する工程と、
前記容量絶縁膜を介して前記第1の電極の外壁面と対向する別の電極を形成する工程とを、備えたことを特徴とする請求項13または14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1および第2の開口を形成する工程と、
前記湿式エッチングを行う工程との間に、前記第1の絶縁膜上に第2層間絶縁膜と第2の絶縁膜を順次形成する工程と、
前記第2の絶縁膜および前記第2層間絶縁膜を貫通する複数の開口を設けて、前記第1の電極の上面の少なくとも一部を露出させる複数の第2の孔部を形成する工程と、
前記第2の孔部の内壁および前記第1の電極の上面に接触する第2の電極を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜に、前記複数の第2の孔部のうちその一部の孔部に連結する第3の開口と、前記メモリセル領域の周縁部に位置し、前記複数の第2の孔部のいずれにも連結しない第4の開口とを同時に形成する工程とを、さらに備え、
前記湿式エッチングを行う工程において、前記第1の電極の外壁面と前記第2の電極の外壁面とを露出させることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2の絶縁膜および前記第2層間絶縁膜を貫通する複数の開口を設ける工程において、同時に前記第1の溝部と接続するように前記第1の絶縁膜および前記第1層間絶縁膜を貫通する第2の溝部を形成することを特徴とする請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1の電極の外壁面と前記第2の電極の外壁面とを露出させる工程の後に、
前記第1の電極の外壁面と前記第2の電極の外壁面を覆う容量絶縁膜を形成する工程と、
前記容量絶縁膜を介して前記第1の電極の外壁面および前記第2の電極の外壁面と対向する別の電極を形成する工程とを、備えたことを特徴とする請求項16または17のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記湿式エッチングを行う工程において、
前記半導体基板は前記湿式エッチング用の薬液の液表面に対して垂直方向に浸漬され、
前記第2の開口の少なくとも一部が前記第1の開口よりも下方に位置するように前記半導体基板が保持されていることを特徴とする請求項13〜18のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−287716(P2010−287716A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140068(P2009−140068)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】