説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ゲート電極抵抗の増大や工程数の増加を招くことなく、シリコン混晶層を用いた歪技術により、半導体装置の高性能化を実現する。
【解決手段】半導体基板100における第1のゲート電極106Aから見て第1の絶縁性サイドウォールスペーサ111Aの外側に第1のソースドレイン領域114Aを形成する。その後、半導体基板100における第2のゲート電極106Bから見て第2の絶縁性サイドウォールスペーサ111Bの外側にリセス部119を形成すると共に、第2のゲート電極106Bを部分的に除去する。その後、リセス部109内に、第2のソースドレイン領域114Bとなるシリコン混晶層120を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法に関し、特にMISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor )のソースドレイン領域に設けたシリコン混晶層を用いた歪技術によりトランジスタの駆動能力を向上させる半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置の高性能化を実現するために、MISFET(以下、MISトランジスタと称する)のチャネル領域に応力を印加することによってトランジスタの駆動能力を向上させる歪技術が用いられている。例えば、p型MISトランジスタでは、チャネル領域におけるゲート長方向に圧縮応力を印加することによってキャリア移動度が向上することが知られている。そこで、p型MISトランジスタのチャネル領域に圧縮応力を印加する方法として、シリコン基板よりも大きい格子定数を有するSiGe層をソースドレイン領域に形成する方法が用いられている(例えば特許文献1及び非特許文献1、2を参照)。
【0003】
以下、前述の歪技術を用いた従来の半導体装置の製造方法として、同一基板上に設けられたn型MISトランジスタとp型MISトランジスタとによって構成されたCMIS(Complementary Metal-Insulator Semiconductor )素子を備え、且つp型MISトランジスタのソースドレイン形成領域にSiGe層からなるシリコン混晶層を有する半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図5(a)〜(d)、図6(a)〜(c)及び図7(a)〜(c)は、従来の半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【0005】
まず、図5(a)に示すように、半導体基板500における素子分離領域501により囲まれたn型MISトランジスタ形成領域Rn の活性領域にp型ウェル領域502Aを形成した後、p型ウェル領域502A上に、ゲート絶縁膜503Aを介してゲート電極504Aを形成する。また、半導体基板500における素子分離領域501により囲まれたp型MISトランジスタ形成領域Rp の活性領域にn型ウェル領域502Bを形成した後、n型ウェル領域502B上に、ゲート絶縁膜503Bを介してゲート電極504Bを形成する。ここで、ゲート電極504A及び504Bのそれぞれの上に、SiN膜からなるハードマスク505A及び505Bを形成しておく。また、ゲート電極504A及び504Bはそれぞれ、下層の金属膜と上層のシリコン膜との積層構造を有する。
【0006】
次に、図5(a)に示すように、ゲート電極504A及びハードマスク505Aの側面上、並びにゲート電極504B及びハードマスク505Bの側面上にそれぞれ、SiO2 膜からなる絶縁性オフセットスペーサ506A及び506Bを形成する。その後、p型ウェル領域502Aの表面部におけるゲート電極504Aの両側にn型エクステンション領域507Aを形成する。また、n型ウェル領域502Bの表面部におけるゲート電極504Bの両側にp型エクステンション領域507Bを形成する。
【0007】
次に、図5(b)に示すように、半導体基板500上の全面にシリコン窒化膜を堆積した後、当該シリコン窒化膜に対してエッチバックを行う。これにより、ゲート電極504A及びハードマスク505Aの側面上に絶縁性オフセットスペーサ506Aを挟んで絶縁性サイドウォールスペーサ508Aを形成すると共に、ゲート電極504B及びハードマスク505Bの側面上に絶縁性オフセットスペーサ506Bを挟んで絶縁性サイドウォールスペーサ508Bを形成する。
【0008】
次に、図5(c)に示すように、n型MISトランジスタ形成領域Rn 上に開口部を有するレジストパターン509をマスクとして、砒素イオン510の注入を行うことによって、p型ウェル領域502Aにおけるゲート電極504Aから見て絶縁性サイドウォールスペーサ508Aの両側にn型ソースドレイン領域511Aを形成する。
【0009】
次に、図5(d)に示すように、レジストパターン509を除去した後、半導体基板500上の全面にシリコン酸化膜512及びシリコン窒化膜513を順次堆積する。
【0010】
次に、図6(a)に示すように、p型MISトランジスタ形成領域Rp 上に開口部を有するレジストパターン514をフォトリソグラフィー法により形成した後、レジストパターン514をマスクとして、p型MISトランジスタ形成領域Rp 上に位置する部分のシリコン酸化膜512及びシリコン窒化膜513をエッチングにより除去する。
【0011】
次に、図6(b)に示すように、レジストパターン514をマスクとして、半導体基板500に対して異方性ドライエッチングを行うことにより、n型ウェル領域502Bにおけるゲート電極504Bから見て絶縁性サイドウォールスペーサ508Bの両側にリセス部515を形成する。
【0012】
次に、図6(c)に示すように、レジストパターン514を除去した後、リセス部515において、p型不純物がドープされたシリコンゲルマニウムの選択エピタキシャル成長を行うことによって、p型ソースドレイン領域511Bとなるシリコンゲルマニウム層516を形成する。
【0013】
次に、図7(a)に示すように、n型MISトランジスタ形成領域Rn 上に開口部を有するレジストパターン517をマスクとして、n型MISトランジスタ形成領域Rn 上に位置する部分のシリコン酸化膜512及びシリコン窒化膜513をエッチングにより除去する。
【0014】
次に、図7(b)に示すように、レジストパターン517を除去した後、ゲート電極504Aの側面上及び上面上にそれぞれ形成された絶縁性サイドウォールスペーサ508A及びハードマスク505A、並びにゲート電極504Bの側面上及び上面上にそれぞれ形成された絶縁性サイドウォールスペーサ508B及びハードマスク505Bをエッチングにより除去する。
【0015】
次に、図7(c)に示すように、半導体基板500上の全面にシリコン酸化膜を堆積した後、当該シリコン酸化膜に対してエッチバックを行う。これにより、ゲート電極504Aの側面上に絶縁性オフセットスペーサ506Aを挟んで絶縁性サイドウォールスペーサ518Aを形成すると共に、ゲート電極504Bの側面上に絶縁性オフセットスペーサ506Bを挟んで絶縁性サイドウォールスペーサ518Bを形成する。
【0016】
最後に、図7(c)に示すように、半導体基板500上の全面にニッケルを堆積した後、熱処理を行うことにより、n型ソースドレイン領域511A及びp型ソースドレイン領域511Bのシリコン並びにゲート電極504A及び504Bの上部のシリコンをそれぞれニッケルと反応させてシリサイド層を形成し、その後、未反応のニッケルを除去する。これにより、n型ソースドレイン領域511A及びp型ソースドレイン領域511Bのそれぞれの上にシリサイド層519A及び519Bを形成すると共に、ゲート電極504A及び504Bのそれぞれの上にシリサイド層519C及び519Dを形成する
以上に述べたプロセスフローにより、p型ソースドレイン領域511Bのみがシリコンゲルマニウム層516により構成されているCMISトランジスタを形成することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2006−196549号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】T.Ghani 他、A 90nm High Volume Manufacturing Logic Technology Featuring Novel 45nm Gate Length Strained Silicon CMOS Transistors、IEDM Tech. Digest、2003年、pp.978-980
【非特許文献2】Z.Luo 他、Design of High Performance PFETs with Strained Si Channel and Laser Anneal、IEDM Tech. Digest、2005年、pp.495-498
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
一般に、シリコンゲルマニウム層からなるシリコン混晶層によりチャネル領域に加えられる圧縮応力は、p型トランジスタの駆動能力を向上させるが、n型トランジスタの駆動能力を劣化させる。このため、同一基板上にn型トランジスタとp型トランジスタとを有するCMIS構造の半導体装置では、p型トランジスタのソースドレイン形成領域にSiGe層が形成されており、且つn型トランジスタのソースドレイン形成領域にSiGe層が形成されていない構成にする必要がある。
【0020】
このため、前述の従来の半導体装置の製造方法では、n型トランジスタ形成領域におけるシリコンゲルマニウム層のエピタキシャル成長を防止するために、図5(d)に示すように、半導体基板上の全面に絶縁膜を堆積した後、図6(a)に示すように、p型トランジスタ形成領域上の絶縁膜のみをエッチングにより除去し、その後、図6(b)に示すように、p型トランジスタ形成領域における半導体基板の露出部分をエッチングにより掘り下げた後、図6(c)に示すように、当該掘り下げ部分(リセス部)においてシリコンゲルマニウム層を選択的にエピタキシャル成長させた。
【0021】
しかしながら、前述の従来の半導体装置の製造方法では、ゲート電極上での選択エピタキシャル成長を防止するためのハードマスクが、n型トランジスタ形成領域のゲート電極上にも存在する。このため、図5(c)に示す工程(n型トランジスタのソースドレイン領域を形成するためのイオン注入工程)において、n型トランジスタ形成領域のゲート電極上部のシリコン中に不純物が注入されないので、n型トランジスタのゲート電極の抵抗が増大するという問題が生じる。
【0022】
また、前述の従来の半導体装置の製造方法における図7(b)に示す工程では、ゲート電極上のハードマスクを除去する際に絶縁性サイドウォールスペーサも同時に除去される。このため、図7(c)に示す工程で、シリサイド層を所定領域に形成するために、ゲート電極の側面上に再度絶縁性サイドウォールスペーサを形成する必要があるので、工程数が増加するという問題が生じる。
【0023】
前記に鑑み、本発明は、ゲート電極抵抗の増大や工程数の増加を招くことなく、シリコン混晶層を用いた歪技術により、半導体装置の高性能化を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の目的を達成するために、本願発明者は種々の検討を行った結果、従来技術のようにゲート電極上にハードマスクを設けることなく、ソースドレイン領域となるシリコン混晶層が埋め込まれる半導体基板のリセス部を形成するという発明を想到した。
【0025】
具体的には、本発明に係る半導体装置は、素子分離領域により分離された第1のMISトランジスタと第2のMISトランジスタとを半導体基板上に備えた半導体装置であって、前記第1のMISトランジスタは、前記半導体基板における前記素子分離領域により囲まれた第1の活性領域と、前記第1の活性領域上に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の側面に形成された第1の絶縁性サイドウォールスペーサと、前記第1の活性領域における前記第1のゲート電極から見て前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサの外側に形成された第1のソースドレイン領域とを備え、前記第2のMISトランジスタは、前記半導体基板における前記素子分離領域により囲まれた第2の活性領域と、前記第2の活性領域上に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の側面に形成された第2の絶縁性サイドウォールスペーサと、前記第2の活性領域における前記第2のゲート電極から見て前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサの外側に形成された第2のソースドレイン領域とを備え、前記第2のソースドレイン領域はシリコン混晶層を含み、前記第2のゲート電極の高さは、前記第1のゲート電極の高さよりも低い。
【0026】
すなわち、本発明に係る半導体装置は、従来技術のようにゲート電極上にハードマスクを設けることなく、第2のMISトランジスタの第2のソースドレイン領域となるシリコン混晶層が形成されたものである。このため、当該シリコン混晶層が埋め込まれる半導体基板のリセス部の形成時に、第2のMISトランジスタの第2のゲート電極の上部が除去される結果、当該第2のゲート電極の高さは、第1のMISトランジスタの第1のゲート電極の高さよりも低くなっている。
【0027】
このような本発明に係る半導体装置によると、ゲート電極上での選択エピタキシャル成長を防止するためのハードマスクが第1のゲート電極上に存在していない。このため、例えば第1のゲート電極の少なくとも上部がシリコンから構成されている場合、第1のMISトランジスタの第1のソースドレイン領域の形成時に、第1のゲート電極上部のシリコン中にも不純物が導入されるので、第1のゲート電極の抵抗を低減することができる。
【0028】
また、各ゲート電極上にハードマスクを設けていないため、従来技術におけるゲート電極上のハードマスクを除去する工程が不要となるので、当該工程で絶縁性サイドウォールスペーサが除去されてしまう事態を回避することができる。従って、従来技術においてソースドレイン領域に対するシリサイド化処理のために必要であった絶縁性サイドウォールスペーサの再形成工程が不要となるので、工程数が増加することがない。
【0029】
さらに、第2のMISトランジスタの第2のゲート電極の高さが、第1のMISトランジスタの第1のゲート電極の高さよりも低くなっているため、第1のMISトランジスタと第2のMISトランジスタとでゲート電極高さの異なる半導体装置を製造することができる。このため、各トランジスタのチャネル領域に対してライナー絶縁膜を用いて最適な縦方向(基板主面に対して垂直な方向)のストレスを印加することができるので、各トランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0030】
以上のように、本発明に係る半導体装置によれば、ゲート電極抵抗の増大や工程数の増加を招くことなく、シリコン混晶層を用いた歪技術により、半導体装置の高性能化を実現することができる。
【0031】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のゲート電極は、第1の金属含有層と、前記第1の金属含有層上に形成され且つ前記第1のソースドレイン領域と同じ不純物を含むシリコン層とを有し、前記第2のゲート電極は、第2の金属含有層を有し、前記第1のゲート電極上には金属シリサイド層が形成されており、前記第2のゲート電極上には合金層が形成されていてもよい。ここで、前記第2のゲート電極上に形成されている合金層は、前記第1のゲート電極上に形成されている金属シリサイド層に含まれている金属と、前記第2のゲート電極となる第2の金属含有層に含まれている金属との合金から構成されていてもよい。
【0032】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のソースドレイン領域及び前記第2のソースドレイン領域のそれぞれの上に金属シリサイド層が形成されていてもよい。ここで、第1のソースドレイン領域上及び第2のソースドレイン領域上に形成されている金属シリサイド層は、前記第1のゲート電極上に形成されている金属シリサイド層と同じ金属シリサイド層であってもよい。
【0033】
本発明に係る半導体装置において、前記第1の活性領域における前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサの下側に形成された第1のエクステンション領域と、前記第2の活性領域における前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサの下側に形成された第2のエクステンション領域とをさらに備えていてもよい。
【0034】
本発明に係る半導体装置において、前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサは、第1のL字状内側サイドウォールスペーサを含み、前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサは、第2のL字状内側サイドウォールスペーサを含んでいてもよい。この場合、前記第1のL字状内側サイドウォールスペーサ及び前記第2のL字状内側サイドウォールスペーサはそれぞれシリコン酸化膜から構成されていてもよい。また、前記第2のL字状内側サイドウォールスペーサの高さは、前記第1のL字状内側サイドウォールスペーサの高さよりも低くてもよい。ここで、第2のL字状内側サイドウォールスペーサの高さは、第2のゲート電極の高さ(第2のゲート電極上に合金層が形成されている場合には第2のゲート電極及び当該合金層の積層構造の高さ)と同等か又はそれよりも高くてもよい。また、前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサは、前記第1のL字状内側サイドウォールスペーサを覆う第1の外側サイドウォールスペーサを含み、前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサは、前記第2のL字状内側サイドウォールスペーサを覆う第2の外側サイドウォールスペーサを含んでいてもよい。この場合、前記第1の外側サイドウォールスペーサ及び前記第2の外側サイドウォールスペーサはそれぞれシリコン窒化膜から構成されていてもよい。
【0035】
尚、第1の絶縁性サイドウォールスペーサ及び第2の絶縁性サイドウォールスペーサはそれぞれ、L字状内側サイドウォールスペーサ及び外側サイドウォールスペーサを含む3層以上の構成を有していてもよいが、最下層はL字状内側サイドウォールスペーサであることが好ましい。
【0036】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のゲート電極の側面と前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサとの間に形成された第1の絶縁性オフセットスペーサと、前記第2のゲート電極の側面と前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサとの間に形成された第2の絶縁性オフセットスペーサとをさらに備えていてもよい。この場合、前記第1の絶縁性オフセットスペーサ及び前記第2の絶縁性オフセットスペーサはそれぞれシリコン酸化膜から構成されていてもよい。また、前記第2の絶縁性オフセットスペーサの高さは、前記第1の絶縁性オフセットスペーサの高さよりも低くてもよい。ここで、第2の絶縁性オフセットスペーサの高さは、第2のゲート電極の高さ(第2のゲート電極上に合金層が形成されている場合には第2のゲート電極及び当該合金層の積層構造の高さ)と同等か又はそれよりも高くてもよい。
【0037】
本発明に係る半導体装置において、前記シリコン混晶層の一部は前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサとオーバーラップしていてもよい。このようにすると、シリコン混晶層によって、第2のMISトランジスタのチャネル領域に効果的に応力を印加することができるので、半導体装置をより高性能化することができる。
【0038】
本発明に係る半導体装置において、前記シリコン混晶層の頂部は、前記第2の活性領域となる前記半導体基板の上面よりも高くてもよい。このようにすると、第2のゲート電極とシリコン混晶層の頂部(シリコン混晶層上に金属シリサイド層が形成されている場合にはその頂部)との間の段差を小さくすることができる。このため、第2のMISトランジスタがp型MISトランジスタであり、引っ張り応力を生じる絶縁膜が第2のゲート電極上に形成されている場合にも、p型MISトランジスタのチャネル領域に印加される引っ張り応力を小さくすることができるので、p型MISトランジスタの特性劣化を抑制することができる。或いは、第2のMISトランジスタがn型MISトランジスタであり、圧縮応力を生じる絶縁膜が第2のゲート電極上に形成されている場合にも、n型MISトランジスタのチャネル領域に印加される圧縮応力を小さくすることができるので、n型MISトランジスタの特性劣化を抑制することができる。
【0039】
本発明に係る半導体装置において、前記半導体基板はシリコン基板であり、前記第2のMISトランジスタはp型MISトランジスタであり、前記シリコン混晶層はSiGe層であってもよい。このようにすると、p型MISトランジスタのチャネル領域におけるゲート長方向に圧縮応力を印加することができるので、キャリア移動度を向上させて高性能化することができる。
【0040】
本発明に係る半導体装置において、前記半導体基板はシリコン基板であり、前記第2のMISトランジスタはn型MISトランジスタであり、前記シリコン混晶層はSiC層であってもよい。このようにすると、n型MISトランジスタのチャネル領域におけるゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるので、キャリア移動度を向上させて高性能化することができる。
【0041】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のMISトランジスタ及び前記第2のMISトランジスタを覆うように、前記シリコン混晶層とは逆向きの応力を生じる絶縁膜が形成されていてもよい。このようにすると、第2のMISトランジスタの第2のゲート電極の高さが、第1のMISトランジスタの第1のゲート電極の高さよりも低いため、第2のMISトランジスタのチャネル領域に絶縁膜によってゲート長方向に印加される応力を小さくすることができる。このため、第2のMISトランジスタのチャネル領域にシリコン混晶層により印加される応力の効果が失われないので、第2のMISトランジスタの特性劣化を抑制することができる。従って、シリコン混晶層とは逆向きの応力を生じる絶縁膜を第2のMISトランジスタ上から除去する工程を省略することが可能となる。この場合、前記絶縁膜はシリコン窒化膜であってもよい。また、前記第2のMISトランジスタはp型MISトランジスタであり、前記絶縁膜は引っ張り応力を有していてもよいし、又は前記第2のMISトランジスタはn型MISトランジスタであり、前記絶縁膜は圧縮応力を有していてもよい。
【0042】
尚、各トランジスタの絶縁性サイドウォールスペーサがL字状内側サイドウォールスペーサのみからなる場合、シリコン混晶層とは逆向きの応力を生じる絶縁膜は、L字状内側サイドウォールスペーサの屈曲部を覆うように形成されていることが好ましい。これにより、第1のMISトランジスタのチャネル領域に絶縁膜による応力を効果的に印加することができるので、第1のMISトランジスタの特性を向上させることができる。
【0043】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、素子分離領域により分離された第1のMISトランジスタと第2のMISトランジスタとを半導体基板上に備えた半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板に、前記素子分離領域により囲まれた前記第1のMISトランジスタの第1の活性領域、及び前記素子分離領域により囲まれた前記第2のMISトランジスタの第2の活性領域を形成する工程(a)と、前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域のそれぞれの上に第1のゲート電極及び第2のゲート電極を形成する工程(b)と、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極のそれぞれの側面に第1の絶縁性サイドウォールスペーサ及び第2の絶縁性サイドウォールスペーサを形成する工程(c)と、前記工程(c)よりも後に、前記第1の活性領域における前記第1のゲート電極から見て前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサの外側に第1のソースドレイン領域を形成する工程(d)と、前記工程(d)よりも後に、前記第2の活性領域における前記第2のゲート電極から見て前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサの外側にリセス部を形成すると共に、前記第2のゲート電極を部分的に除去する工程(e)と、前記リセス部内に、第2のソースドレイン領域となるシリコン混晶層を形成する工程(f)とを備えている。
【0044】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、従来技術のようにゲート電極上での選択エピタキシャル成長を防止するためのハードマスクを各トランジスタのゲート電極上に形成することなく、第2のMISトランジスタの第2のソースドレイン領域となるシリコン混晶層が埋め込まれる半導体基板のリセス部を形成している。このため、例えば第1のゲート電極の少なくとも上部がシリコンから構成されている場合、第1のMISトランジスタの第1のソースドレイン領域の形成時に、第1のゲート電極上部のシリコン中にも不純物が導入されるので、第1のゲート電極の抵抗を低減することができる。
【0045】
また、各ゲート電極上にハードマスクを形成しないため、従来技術におけるゲート電極上のハードマスクを除去する工程が不要となるので、当該工程で絶縁性サイドウォールスペーサが除去されてしまう事態を回避することができる。従って、従来技術においてソースドレイン領域に対するシリサイド化処理のために必要であった絶縁性サイドウォールスペーサの再形成工程が不要となるので、工程数が増加することがない。
【0046】
さらに、シリコン混晶層が埋め込まれる半導体基板のリセス部の形成時に、第2のMISトランジスタの第2のゲート電極の上部を除去するため、当該第2のゲート電極の高さは、第1のMISトランジスタの第1のゲート電極の高さよりも低くなる。このため、第1のMISトランジスタと第2のMISトランジスタとでゲート電極高さの異なる半導体装置を製造できるので、各トランジスタのチャネル領域に対してライナー絶縁膜を用いて最適な縦方向(基板主面に対して垂直な方向)のストレスを印加でき、それによって、各トランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0047】
以上のように、本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、ゲート電極抵抗の増大や工程数の増加を招くことなく、シリコン混晶層を用いた歪技術により、半導体装置の高性能化を実現することができる。
【0048】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、前記第1のゲート電極として、第1の金属含有層と、前記第1の金属含有層上に形成された第1のシリコン層とを形成すると共に、前記第2のゲート電極として、第2の金属含有層と、前記第2の金属含有層上に形成された第2のシリコン層とを形成する工程を含み、前記工程(d)は、前記第1のゲート電極の前記第1のシリコン層に、前記第1のソースドレイン領域と同じ不純物を導入する工程を含み、前記工程(e)は、前記第2のゲート電極の前記第2のシリコン層を除去する工程を含み、前記工程(f)よりも後に、前記第1のソースドレイン領域、前記第2のソースドレイン領域及び前記第1のゲート電極のそれぞれの上に金属シリサイド層を形成すると共に、前記第2のゲート電極上に合金層を形成する工程をさらに備えていてもよい。ここで、前記第2のゲート電極上に形成される合金層は、前記第1のゲート電極上に形成される金属シリサイド層に含まれている金属と、前記第2のゲート電極となる第2の金属含有層に含まれている金属との合金から構成されていてもよい。
【0049】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(d)は、前記第1のMISトランジスタの前記第1の活性領域上に開口部を有するレジストパターンをマスクとして、イオン注入により前記第1のソースドレイン領域を形成する工程を含み、前記工程(d)と前記工程(e)との間に、前記レジストパターンを除去する工程をさらに備えていてもよい。
【0050】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(e)は、前記第2のMISトランジスタの前記第2の活性領域上に開口部を有する保護膜をマスクとして、前記リセス部を形成すると共に、前記第2のゲート電極の前記上部を除去する工程を含み、前記工程(f)は、前記保護膜をマスクとして、前記シリコン混晶層を形成する工程を含み、前記工程(f)よりも後に、前記第2のMISトランジスタの形成領域を覆うレジストパターンをマスクとして、前記保護膜を除去する工程をさらに備えていてもよい。ここで、各トランジスタのソースドレイン領域の表面部をシリサイド化する場合には、保護膜を除去してから、当該シリサイド化を行ってもよい。
【0051】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(c)は、前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサとして、第1のL字状内側サイドウォールスペーサ、及び前記第1のL字状内側サイドウォールスペーサを覆う第1の外側サイドウォールスペーサを形成すると共に、前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサとして、第2のL字状内側サイドウォールスペーサ、及び前記第2のL字状内側サイドウォールスペーサを覆う第2の外側サイドウォールスペーサを形成する工程を含み、前記工程(f)よりも後に、前記第1の外側サイドウォールスペーサ及び前記第2の外側サイドウォールスペーサを除去した後、前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域を覆うように、前記シリコン混晶層とは逆向きの応力を生じる絶縁膜を形成する工程をさらに備えていてもよい。このようにすると、第2のMISトランジスタの第2のゲート電極の高さが、第1のMISトランジスタの第1のゲート電極の高さよりも低いため、第2のMISトランジスタのチャネル領域に絶縁膜によってゲート長方向に印加される応力を小さくすることができる。このため、第2のMISトランジスタのチャネル領域にシリコン混晶層により印加される応力の効果が失われないので、第2のMISトランジスタの特性劣化を抑制することができる。従って、シリコン混晶層とは逆向きの応力を生じる絶縁膜を第2のMISトランジスタ上から除去する工程を省略することが可能となる。
【0052】
尚、外側サイドウォールスペーサを除去することなく、シリコン混晶層とは逆向きの応力を生じる絶縁膜を形成してもよいが、第1のMISトランジスタのチャネル領域に絶縁膜による応力を効果的に印加するためには、外側サイドウォールスペーサを除去してから、当該絶縁膜を形成することが好ましい。また、外側サイドウォールスペーサを除去してから、当該絶縁膜を形成する場合、当該絶縁膜は、L字状内側サイドウォールスペーサの屈曲部を覆うように形成されていることが好ましい。これにより、第1のMISトランジスタのチャネル領域に絶縁膜による応力をより一層効果的に印加することができるので、第1のMISトランジスタの特性をさらに向上させることができる。
【0053】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(e)は、異なる条件で複数回エッチングを行うことにより、前記リセス部を形成すると共に、前記第2のゲート電極の前記上部を除去する工程を含んでいてもよい。このようにすると、第2の絶縁性サイドウォールスペーサとオーバーラップするようにリセス部を形成できるため、リセス部に埋め込まれたシリコン混晶層によって、第2のMISトランジスタのチャネル領域に効果的に応力を印加することができるので、半導体装置をより高性能化することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によると、ゲート電極抵抗の増大や工程数の増加を招くことなく、シリコン混晶層を用いた歪技術により、半導体装置の高性能化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1(a)〜(d)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【図2】図2(a)〜(d)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【図5】図5(a)〜(d)は、従来の半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、従来の半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【図7】図6(a)〜(c)は、従来の半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0057】
図1(a)〜(d)、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【0058】
まず、図1(a)に示すように、例えばシリコン基板等の半導体基板100における素子分離領域101により囲まれたn型MISトランジスタ形成領域Rn の活性領域にp型ウェル領域102Aを形成する。また、半導体基板100における素子分離領域101により囲まれたp型MISトランジスタ形成領域Rp の活性領域にn型ウェル領域102Bを形成する。その後、n型MISトランジスタ形成領域Rn の活性領域(p型ウェル領域102A)上にゲート絶縁膜103Aを介してゲート電極106Aを形成すると共に、p型MISトランジスタ形成領域Rp の活性領域(n型ウェル領域102B)上にゲート絶縁膜103Bを介してゲート電極106Bを形成する。
【0059】
ここで、ゲート絶縁膜103A及び103Bは、例えばHfO2 膜等の高誘電率絶縁膜からなり、当該高誘電率絶縁膜の下側に、例えばSiO2 膜等の界面層が形成されていてもよい。
【0060】
また、ゲート電極106Aは、例えば窒化チタン又は窒化タンタル等からなる厚さ10〜30nm程度の金属含有層104A(下層)と、例えばノンドープポリシリコンからなる厚さ40〜60nm程度のシリコン層105A(上層)との2層構造からなる。
【0061】
同様に、ゲート電極106Bは、例えば窒化チタン又は窒化タンタル等からなる厚さ10〜30nm程度の金属含有層104B(下層)と、例えばノンドープポリシリコンからなる厚さ40〜60nm程度のシリコン層105B(上層)との2層構造からなる。
【0062】
ここで、ゲート電極106Aのシリコン層105A及びゲート電極106Bのシリコン層105Bとして、前述のノンドープポリシリコンを用いているため、ゲート電極エッチング時にn型MISトランジスタ形成領域Rn とp型MISトランジスタ形成領域Rp との区別が必要なくなる。これにより、n型MISトランジスタのゲート電極106Aとp型MISトランジスタのゲート電極106Bとを寸法差無く形成することができる。
【0063】
次に、図1(a)に示すように、ゲート電極106A及び106Bのそれぞれの側面上に、例えばSiO2 膜からなる絶縁性オフセットスペーサ107A及び107Bを形成する。その後、n型MISトランジスタ形成領域Rn の活性領域(p型ウェル領域102A)の表面部におけるゲート電極106Aの両側にn型エクステンション領域108Aを形成する。また、p型MISトランジスタ形成領域Rp の活性領域(n型ウェル領域102B)の表面部におけるゲート電極106Bの両側にp型エクステンション領域108Bを形成する。
【0064】
次に、図1(b)に示すように、半導体基板100上の全面にシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を順次堆積した後、当該シリコン酸化膜及び当該シリコン窒化膜に対してエッチバックを行う。これにより、ゲート電極106Aの側面上に絶縁性オフセットスペーサ107Aを挟んで絶縁性サイドウォールスペーサ111Aを形成すると共に、ゲート電極106Bの側面上に絶縁性オフセットスペーサ107Bを挟んで絶縁性サイドウォールスペーサ111Bを形成する。ここで、絶縁性サイドウォールスペーサ111Aは、シリコン酸化膜からなるL字状内側サイドウォールスペーサ109Aと、L字状内側サイドウォールスペーサ109Aを覆い且つシリコン窒化膜からなる外側サイドウォールスペーサ110Aとを有する。また、絶縁性サイドウォールスペーサ111Bは、シリコン酸化膜からなるL字状内側サイドウォールスペーサ109Bと、L字状内側サイドウォールスペーサ109Bを覆い且つシリコン窒化膜からなる外側サイドウォールスペーサ110Bとを有する。また、ゲート電極106A及び106Bのゲート長が例えば30nm程度の場合、L字状内側サイドウォールスペーサ109A及び109Bとなるシリコン酸化膜の堆積膜厚は5〜10nm程度であることが好ましく、外側サイドウォールスペーサ110A及び110Bとなるシリコン窒化膜の堆積膜厚は40〜60nm程度であることが好ましい。尚、絶縁性サイドウォールスペーサ111Aは、L字状内側サイドウォールスペーサ109A及び外側サイドウォールスペーサ110Aを含む3層以上の構成を有していてもよいが、最下層はL字状内側サイドウォールスペーサであることが好ましい。同様に、絶縁性サイドウォールスペーサ111Bは、L字状内側サイドウォールスペーサ109B及び外側サイドウォールスペーサ110Bを含む3層以上の構成を有していてもよいが、最下層はL字状内側サイドウォールスペーサであることが好ましい。
【0065】
次に、図1(c)に示すように、フォトリソグラフィー法により、n型MISトランジスタ形成領域Rn (活性領域及びその周辺の素子分離領域101の一部を含む領域)上に開口部を有するレジストパターン112を形成した後、レジストパターン112をマスクとして、例えば砒素イオン等のn型不純物イオン113の注入を行う。これによって、p型ウェル領域102Aにおけるゲート電極106Aから見て絶縁性サイドウォールスペーサ111Aの両側にn型ソースドレイン領域114Aを形成する。ここで用いられる注入条件は、例えば、加速エネルギーが10〜30keV程度であり、注入量が3×1015〜8×1015cm-3程度であることが望ましい。また、n型ソースドレイン領域114Aの形成時にn型不純物イオン113がゲート電極106Aのシリコン層105Aにも注入される結果、イオン注入前のシリコン層105Aが例えばノンドープポリシリコン層であった場合には、イオン注入後のシリコン層105Aはn型ポリシリコン層となる。
【0066】
次に、図1(d)に示すように、レジストパターン112を除去した後、半導体基板100上の全面に、例えば厚さ5〜15nm程度のシリコン酸化膜からなる下層保護膜115及び例えば厚さ20〜50nm程度のシリコン窒化膜からなる上層保護膜116を順次堆積する。
【0067】
次に、図2(a)に示すように、フォトリソグラフィー法により、p型MISトランジスタ形成領域Rp (活性領域及びその周辺の素子分離領域101の一部を含む領域)上に開口部を有するレジストパターン117を形成した後、レジストパターン117をマスクとして、p型MISトランジスタ形成領域Rp (活性領域及びその周辺の素子分離領域101の一部を含む領域)上に位置する部分の下層保護膜115及び上層保護膜116をエッチングにより除去する。
【0068】
次に、図2(b)に示すように、レジストパターン117をマスクとして、p型MISトランジスタ形成領域Rp の活性領域(半導体基板100)に対して、例えばHBrとN2 との混合ガスを用いて第1の異方性ドライエッチングを行うことによって、p型MISトランジスタ形成領域Rp の活性領域(半導体基板100)におけるゲート電極106Bから見て絶縁性サイドウォールスペーサ111Bの両側に、例えば深さ10〜30nm程度の第1のリセス部118を形成する。このとき、ゲート電極106Bのシリコン層105Bも、第1のリセス部118の深さと同程度の厚さだけエッチングされる。ここで、第1の異方性ドライエッチングの条件は、例えばバイアス電圧が100W程度であり、HBrとN2 との流量比が10:1程度である。
【0069】
次に、図2(c)に示すように、レジストパターン117をマスクとして、第1のリセス部118が形成されたp型MISトランジスタ形成領域Rp の活性領域に対して、例えばHBrとN2 との混合ガスを用いて第2の異方性ドライエッチングを行うことによって、p型MISトランジスタ形成領域Rp の活性領域におけるゲート電極106Bから見て絶縁性サイドウォールスペーサ111Bの両側に、例えば深さ50〜80nm程度の第2のリセス部119を形成する。このとき、ゲート電極106Bのシリコン層105Bがエッチングにより除去されて、ゲート電極106Bとなる金属含有層104Bが露出する。すなわち、実質的に金属含有層104Bのみからなるゲート電極106Bの高さは、金属含有層104A及びシリコン層105Aからなるゲート電極106Aの高さよりも低くなる。ここで、第2の異方性ドライエッチングの条件は、第1の異方性ドライエッチングの条件と比べて、低パワーで低ダメージの条件であることが好ましい。具体的には、第2の異方性ドライエッチングの条件は、例えばバイアス電圧が20W程度であり、HBrとN2 との流量比が1:1程度である。
【0070】
本実施形態においては、異なる条件で複数回エッチングを行うことにより、p型ソースドレイン領域の形成領域となる第2のリセス部119を形成するため、ゲート電極106Bの側面上の絶縁性サイドウォールスペーサ111Bとオーバーラップするように第2のリセス部119を形成できる。このため、後工程で第2のリセス部119に埋め込まれるシリコン混晶層によって、p型MISトランジスタのチャネル領域に効果的に応力を印加することができるので、半導体装置をより高性能化することができる。
【0071】
尚、本実施形態においては、第2のリセス部119を形成するために、異なる条件で異方性ドライエッチングを2回行ったが、これに代えて、異なる条件で異方性ドライエッチングを3回以上行ってもよい。また、第2のリセス部119を形成するために異方性ドライエッチングを複数回行ったが、これに代えて、異方性ウェットエッチングを複数回行っても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0072】
次に、図2(d)に示すように、レジストパターン117を除去した後、n型MISトランジスタ形成領域Rn (活性領域及びその周辺の素子分離領域101の一部を含む領域)上に残存する下層保護膜115及び上層保護膜116をマスクとして、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いた選択エピタキシャル成長により、第2のリセス部119内に、p型不純物がドーピングされたシリコン混晶層120、例えばシリコンゲルマニウム層をp型ソースドレイン領域114Bとして形成する。
【0073】
尚、本実施形態においては、後工程の不純物活性化熱処理等によって、p型ソースドレイン領域114Bとなるシリコン混晶層120に含まれるp型不純物が、第2のリセス部119周辺の半導体基板100中にも拡散してもよい。言い換えると、p型ソースドレイン領域114Bが第2のリセス部119周辺の半導体基板100(活性領域)中にまで形成されていてもよい。
【0074】
また、本実施形態において、シリコン混晶層120は、半導体基板100の表面よりも上側まで形成されていてもよい。すなわち、シリコン混晶層120の頂部は、半導体基板100の上面よりも高くに位置していてもよい。このようにすると、ゲート電極106B(正確には後工程でゲート電極106B上に形成される合金属122D(図3(c)参照)や絶縁性サイドウォールスペーサ111Bを含むゲート電極構造)とシリコン混晶層120の頂部(正確には後工程でシリコン混晶層120上に形成される金属シリサイド層122B(図3(c)参照)の頂部)との間の段差を小さくすることができる。このため、後工程で、引っ張り応力を生じる絶縁膜がゲート電極106B上に形成された場合にも、p型MISトランジスタのチャネル領域に印加される引っ張り応力を小さくすることができるので、p型MISトランジスタの特性劣化を抑制することができる。
【0075】
次に、図3(a)に示すように、フォトリソグラフィー法により、n型MISトランジスタ形成領域Rn (活性領域及びその周辺の素子分離領域101の一部を含む領域)上に開口部を有するレジストパターン121を形成した後、レジストパターン121をマスクとして、n型MISトランジスタ形成領域Rn (活性領域及びその周辺の素子分離領域101の一部を含む領域)上に残存する下層保護膜115及び上層保護膜116を除去する。
【0076】
次に、図3(b)に示すように、レジストパターン121を除去した後、半導体基板100上の全面に、例えばニッケル等の金属からなる金属膜を堆積し、その後、熱処理を行う。これにより、図3(c)に示すように、n型ソースドレイン領域114A及びp型ソースドレイン領域114B並びにゲート電極106Aのシリコン層105Aにそれぞれ含まれるシリコンと前記金属膜中の金属とを反応させて、n型ソースドレイン領域114A、p型ソースドレイン領域114B及びゲート電極106Aのそれぞれの上に、例えばニッケルシリサイド等からなる金属シリサイド層122A、122B及び122Cを形成する。また、同時に、図3(c)に示すように、ゲート電極106Bとなる金属含有層104Bに含まれる金属と前記金属膜中の金属とを反応させて、ゲート電極106B上に、例えば窒化チタン又は窒化タンタルとニッケルとの合金等からなる合金属122Dを形成する。その後、未反応の前記金属膜を除去する。
【0077】
以上に説明したプロセスフローにより、p型ソースドレイン領域114Bにシリコン混晶層120を持ったCMISトランジスタを形成することが可能となる。
【0078】
本実施形態によると、従来技術のようにゲート電極上での選択エピタキシャル成長を防止するためのハードマスクを各トランジスタのゲート電極106A及び106B上に形成することなく、p型MISトランジスタのp型ソースドレイン領域114Bとなるシリコン混晶層120が埋め込まれる半導体基板100のリセス部(第2のリセス部119)を形成している。このため、n型MISトランジスタのn型ソースドレイン領域114Aの形成時に、n型MISトランジスタのゲート電極106Aのシリコン層105A中にも不純物が導入されるので、ゲート電極106Aの抵抗を低減することができる。
【0079】
また、本実施形態によると、各ゲート電極106A及び106B上にハードマスクを形成しないため、従来技術におけるゲート電極上のハードマスクを除去する工程が不要となるので、当該工程で絶縁性サイドウォールスペーサ111A及び111Bが除去されてしまう事態を回避することができる。従って、従来技術においてソースドレイン領域に対するシリサイド化処理のために必要であった絶縁性サイドウォールスペーサの再形成工程が不要となるので、工程数が増加することがない。
【0080】
さらに、本実施形態によると、シリコン混晶層120が埋め込まれる半導体基板100のリセス部(第2のリセス部119)の形成時に、p型MISトランジスタのゲート電極106Bのシリコン層105Bを除去するため、当該ゲート電極106Bの高さは、n型MISトランジスタのゲート電極106Aの高さよりも低くなる。このため、n型MISトランジスタとp型MISトランジスタとでゲート電極高さの異なる半導体装置を製造できるので、各トランジスタのチャネル領域に対してライナー絶縁膜を用いて最適な縦方向(基板主面に対して垂直な方向)のストレスを印加でき、それによって、各トランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、ゲート電極抵抗の増大や工程数の増加を招くことなく、シリコン混晶層を用いた歪技術により、半導体装置の高性能化を実現することができる。
【0082】
尚、第1の実施形態においては、全てのp型MISトランジスタ形成領域Rp にシリコン混晶層120(具体的にはシリコンゲルマニウム層)を設ける場合について説明した。しかし、これに代えて、図2(a)に示す下層保護膜115及び上層保護膜116のパターニング工程で、レジストパターン117の開口部を任意のp型MISトランジスタ形成領域Rp 上にのみ設けることによって、シリコン混晶層120のない(つまりn型MISトランジスタのゲート電極高さと同じゲート電極高さを持つ)p型MISトランジスタを形成してもよい。このような半導体装置を得るためには、図1(a)〜(d)、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)に示す第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法において、例えばn型MISトランジスタ形成領域Rn をp型MISトランジスタ形成領域(シリコン混晶層なし)に変更すると共にそれに伴う各構成要素等の導電型の変更を行えばよい。
【0083】
また、第1の実施形態においては、p型MISトランジスタのp型ソースドレイン領域114Bとなるシリコン混晶層120としてシリコンゲルマニウム層(SiGe層)を形成している。このため、p型MISトランジスタのチャネル領域におけるゲート長方向に圧縮応力を印加することができるので、キャリア移動度を向上させて高性能化することができる。しかし、これに代えて、n型MISトランジスタのn型ソースドレイン領域となるシリコン混晶層として例えばSiC層を形成してもよい。このようにすると、n型MISトランジスタのチャネル領域におけるゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるので、キャリア移動度を向上させて高性能化することができる。このような半導体装置を得るためには、図1(a)〜(d)、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)に示す第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法において、例えばn型MISトランジスタ形成領域Rn とp型MISトランジスタ形成領域Rp とを入れ替えると共にそれに伴う各構成要素等の導電型の変更を行い、シリコン混晶層120として、SiGe層に代えて、例えばSiC層(n型不純物がドーピングされている)を形成すればよい。
【0084】
(第1の実施形態の変形例)
以下、第1の実施形態の変形例に係る半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0085】
図4(a)及び(b)は、本変形例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示すゲート長方向の断面図である。
【0086】
本変形例においては、図1(a)〜(d)、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)に示す第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を実施した後、図4(a)に示すように、ゲート電極106A及び106Bのそれぞれの側面上に形成された絶縁性サイドウォールスペーサ111A及び111Bのうち、外側サイドウォールスペーサ110A及び110Bを除去する。
【0087】
尚、図4(a)に示す工程又はその後の工程で、ゲート電極106Bの側面上の絶縁性オフセットスペーサ107B及びL字状内側サイドウォールスペーサ109Bのそれぞれの上部(ゲート電極106B上の合金属122Dよりも上側に位置する部分)が消失してもよい。この場合、絶縁性オフセットスペーサ107Bの高さは、ゲート電極106B及び合金属122Dの積層構造の高さと同程度となり、ゲート電極106Aの側面上の絶縁性オフセットスペーサ107Aの高さよりも低くなる。また、L字状内側サイドウォールスペーサ109B(残存する絶縁性サイドウォールスペーサ111B)の高さも、ゲート電極106B及び合金属122Dの積層構造の高さと同程度となり、ゲート電極106Aの側面上のL字状内側サイドウォールスペーサ109A(残存する絶縁性サイドウォールスペーサ111A)の高さよりも低くなる。但し、絶縁性オフセットスペーサ107B及びL字状内側サイドウォールスペーサ109Bのそれぞれの高さが、ゲート電極106B及び合金属122Dの積層構造の高さよりも若干大きくなってもよい。
【0088】
次に、図4(b)に示すように、半導体基板100上の全面に(つまりn型MISトランジスタの活性領域及びp型MISトランジスタの活性領域を覆うように)、シリコン混晶層120とは逆向きの応力(つまり引っ張り応力)を生じる絶縁膜150(例えばシリコン窒化膜)を形成する。
【0089】
本変形例によると、n型MISトランジスタのゲート電極106Aの高さ(正確にはゲート電極106A及び金属シリサイド層122Cの積層構造の高さ)よりも、p型MISトランジスタのゲート電極106Bの高さ(正確にはゲート電極106B及び合金属122Dの積層構造の高さ)の方が低い。このため、引っ張り応力を生じる絶縁膜150を基板全面に形成しても、p型MISトランジスタのチャネル領域に絶縁膜150によってゲート長方向に印加される応力を小さくすることができる。このため、p型MISトランジスタのチャネル領域にシリコン混晶層120により印加される応力の効果が失われないので、p型MISトランジスタの特性劣化を抑制することができる。従って、シリコン混晶層120とは逆向きの応力を生じる絶縁膜150を第2のMISトランジスタ上から除去する工程を省略することが可能となる。
【0090】
特に、シリコン混晶層120の頂部(正確にはシリコン混晶層120上の金属シリサイド層122Cの上面)の基板表面からの高さが10〜30nm程度の場合、ゲート電極106A及び金属シリサイド層122Cの積層構造の基板表面からの高さが50nm程度以下であれば、シリコン混晶層120とは逆向きの応力つまり引っ張り応力を生じる絶縁膜150がp型MISトランジスタ上に存在しても、p型MISトランジスタの特性劣化は殆ど起こらない。
【0091】
尚、本変形例において、外側サイドウォールスペーサ110A及び110Bを除去することなく、シリコン混晶層120とは逆向きの応力を生じる絶縁膜150を形成してもよいが、n型MISトランジスタのチャネル領域に絶縁膜150による応力を効果的に印加するためには、外側サイドウォールスペーサ110A及び110Bを除去してから、絶縁膜150を形成することが好ましい。また、本変形例のように、外側サイドウォールスペーサ110A及び110Bを除去してから絶縁膜150を形成する場合、絶縁膜150は、n型MISトランジスタのゲート電極106Aの側面上に形成されたL字状内側サイドウォールスペーサ109Aの屈曲部を覆うように形成されていることが好ましい。これにより、n型MISトランジスタのチャネル領域に絶縁膜150による応力をより一層効果的に印加することができるので、n型MISトランジスタの特性をさらに向上させることができる。
【0092】
また、本変形例においては、p型MISトランジスタのp型ソースドレイン領域114Bとなるシリコン混晶層120としてSiGe層を形成した後、基板全面に引っ張り応力を生じる絶縁膜150を形成している。しかし、これに代えて、n型MISトランジスタのn型ソースドレイン領域となるシリコン混晶層として例えばSiC層を形成した後、基板全面に圧縮応力を生じる絶縁膜(例えばシリコン窒化膜)を形成した場合にも、本変形例と同様の効果を得ることができる。このような半導体装置を得るためには、図1(a)〜(d)、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)に示す第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法並びに図4(a)及び(b)に示す本変形例に係る半導体装置の製造方法において、例えばn型MISトランジスタ形成領域Rn とp型MISトランジスタ形成領域Rp とを入れ替えると共にそれに伴う各構成要素等の導電型の変更を行い、シリコン混晶層120として、SiGe層に代えて、SiC層(n型不純物がドーピングされている)を形成し、絶縁膜150として、圧縮応力を生じる絶縁膜(例えばシリコン窒化膜)を形成すればよい。
【0093】
また、本変形例においては、シリコン混晶層120とは逆向きの応力つまり引っ張り応力を生じる絶縁膜150をp型MISトランジスタ形成領域Rp 上から除去する工程を省略した。しかし、これに代えて、絶縁膜150をp型MISトランジスタ形成領域Rp 上から除去してもよい。この場合、絶縁膜150をp型MISトランジスタ形成領域Rp 上から除去した後、シリコン混晶層120と同じ向きの応力つまり圧縮応力を生じる他の絶縁膜(例えばシリコン窒化膜)を基板全面に形成してもよく、さらに、当該絶縁膜をn型MISトランジスタ形成領域Rn 上から除去してもよい。このようにすると、各トランジスタの特性をさらに改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上に説明したように、本発明は、MISFETのソースドレイン領域にシリコン混晶層を有する半導体装置及びその製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0095】
100 半導体基板
101 素子分離領域
102A p型ウェル領域
102B n型ウェル領域
103A ゲート絶縁膜
103B ゲート絶縁膜
104A 金属含有層
104B 金属含有層
105A シリコン層
105B シリコン層
106A ゲート電極
106B ゲート電極
107A 絶縁性オフセットスペーサ
107B 絶縁性オフセットスペーサ
108A n型エクステンション領域
108B p型エクステンション領域
109A L字状内側サイドウォールスペーサ
109B L字状内側サイドウォールスペーサ
110A 外側サイドウォールスペーサ
110B 外側サイドウォールスペーサ
111A 絶縁性サイドウォールスペーサ
111B 絶縁性サイドウォールスペーサ
112 レジストパターン
113 n型不純物イオン
114A n型ソースドレイン領域
114B p型ソースドレイン領域
115 下層保護膜
116 上層保護膜
117 レジストパターン
118 第1のリセス部
119 第2のリセス部
120 シリコン混晶層
121 レジストパターン
122A 金属シリサイド層
122B 金属シリサイド層
122C 金属シリサイド層
122D 合金属
150 絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子分離領域により分離された第1のMISトランジスタと第2のMISトランジスタとを半導体基板上に備えた半導体装置であって、
前記第1のMISトランジスタは、
前記半導体基板における前記素子分離領域により囲まれた第1の活性領域と、
前記第1の活性領域上に形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の側面に形成された第1の絶縁性サイドウォールスペーサと、
前記第1の活性領域における前記第1のゲート電極から見て前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサの外側に形成された第1のソースドレイン領域とを備え、
前記第2のMISトランジスタは、
前記半導体基板における前記素子分離領域により囲まれた第2の活性領域と、
前記第2の活性領域上に形成された第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、
前記第2のゲート電極の側面に形成された第2の絶縁性サイドウォールスペーサと、
前記第2の活性領域における前記第2のゲート電極から見て前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサの外側に形成された第2のソースドレイン領域とを備え、
前記第2のソースドレイン領域はシリコン混晶層を含み、
前記第2のゲート電極の高さは、前記第1のゲート電極の高さよりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極は、第1の金属含有層と、前記第1の金属含有層上に形成され且つ前記第1のソースドレイン領域と同じ不純物を含むシリコン層とを有し、
前記第2のゲート電極は、第2の金属含有層を有し、
前記第1のゲート電極上には金属シリサイド層が形成されており、
前記第2のゲート電極上には合金層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記第1のソースドレイン領域及び前記第2のソースドレイン領域のそれぞれの上に金属シリサイド層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の活性領域における前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサの下側に形成された第1のエクステンション領域と、
前記第2の活性領域における前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサの下側に形成された第2のエクステンション領域とをさらに備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサは、第1のL字状内側サイドウォールスペーサを含み、
前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサは、第2のL字状内側サイドウォールスペーサを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第1のL字状内側サイドウォールスペーサ及び前記第2のL字状内側サイドウォールスペーサはそれぞれシリコン酸化膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の半導体装置において、
前記第2のL字状内側サイドウォールスペーサの高さは、前記第1のL字状内側サイドウォールスペーサの高さよりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサは、前記第1のL字状内側サイドウォールスペーサを覆う第1の外側サイドウォールスペーサを含み、
前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサは、前記第2のL字状内側サイドウォールスペーサを覆う第2の外側サイドウォールスペーサを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記第1の外側サイドウォールスペーサ及び前記第2の外側サイドウォールスペーサはそれぞれシリコン窒化膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極の側面と前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサとの間に形成された第1の絶縁性オフセットスペーサと、
前記第2のゲート電極の側面と前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサとの間に形成された第2の絶縁性オフセットスペーサとをさらに備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記第2の絶縁性オフセットスペーサの高さは、前記第1の絶縁性オフセットスペーサの高さよりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記シリコン混晶層の一部は前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサとオーバーラップすることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記シリコン混晶層の頂部は、前記第2の活性領域となる前記半導体基板の上面よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記半導体基板はシリコン基板であり、
前記第2のMISトランジスタはp型MISトランジスタであり、
前記シリコン混晶層はSiGe層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記半導体基板はシリコン基板であり、
前記第2のMISトランジスタはn型MISトランジスタであり、
前記シリコン混晶層はSiC層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のMISトランジスタ及び前記第2のMISトランジスタを覆うように、前記シリコン混晶層とは逆向きの応力を生じる絶縁膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置において、
前記第2のMISトランジスタはp型MISトランジスタであり、
前記絶縁膜は引っ張り応力を生じることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項16に記載の半導体装置において、
前記第2のMISトランジスタはn型MISトランジスタであり、
前記絶縁膜は圧縮応力を生じることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
素子分離領域により分離された第1のMISトランジスタと第2のMISトランジスタとを半導体基板上に備えた半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板に、前記素子分離領域により囲まれた前記第1のMISトランジスタの第1の活性領域、及び前記素子分離領域により囲まれた前記第2のMISトランジスタの第2の活性領域を形成する工程(a)と、
前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域のそれぞれの上に第1のゲート電極及び第2のゲート電極を形成する工程(b)と、
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極のそれぞれの側面に第1の絶縁性サイドウォールスペーサ及び第2の絶縁性サイドウォールスペーサを形成する工程(c)と、
前記工程(c)よりも後に、前記第1の活性領域における前記第1のゲート電極から見て前記第1の絶縁性サイドウォールスペーサの外側に第1のソースドレイン領域を形成する工程(d)と、
前記工程(d)よりも後に、前記第2の活性領域における前記第2のゲート電極から見て前記第2の絶縁性サイドウォールスペーサの外側にリセス部を形成すると共に、前記第2のゲート電極を部分的に除去する工程(e)と、
前記リセス部内に、第2のソースドレイン領域となるシリコン混晶層を形成する工程(f)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)は、前記第1のゲート電極として、第1の金属含有層と、前記第1の金属含有層上に形成された第1のシリコン層とを形成すると共に、前記第2のゲート電極として、第2の金属含有層と、前記第2の金属含有層上に形成された第2のシリコン層とを形成する工程を含み、
前記工程(d)は、前記第1のゲート電極の前記第1のシリコン層に、前記第1のソースドレイン領域と同じ不純物を導入する工程を含み、
前記工程(e)は、前記第2のゲート電極の前記第2のシリコン層を除去する工程を含み、
前記工程(f)よりも後に、前記第1のソースドレイン領域、前記第2のソースドレイン領域及び前記第1のゲート電極のそれぞれの上に金属シリサイド層を形成すると共に、前記第2のゲート電極上に合金層を形成する工程をさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−151166(P2011−151166A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10649(P2010−10649)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】