説明

基板処理方法および基板処理装置

【課題】シリコン酸化膜の除去後、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くする。
【解決手段】基板処理装置1では、酸化膜除去部4にて基板9の一の主面上のシリコン酸化膜が除去された後、シリル化処理部6にてシリル化材料を付与して、当該主面に対してシリル化処理が施される。これにより、シリコン酸化膜の除去後、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン基板におけるシリコンゲルマニウム膜の形成の前工程として、当該シリコン基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン基板上におけるトランジスタの形成では、チャネル部となるシリコン層近傍にシリコンゲルマニウム(SiGe)膜を形成することにより、当該シリコン層に歪みを生じさせることが行われており、チャネル部のシリコン層に歪みが生じたトランジスタでは、高速な動作が可能となる。
【0003】
なお、特許文献1では、ドライプロセスにより低誘電率被膜にダメージを受けた基板において、当該ダメージを回復させることにより、低誘電率被膜の特性を回復させる手法が開示されている。本手法では、洗浄ユニットにおいて基板上に生成された反応生成物が除去され、シリル化ユニットにおいて基板に対してシリル化材料を供給してシリル化処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−86411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シリコン基板におけるシリコンゲルマニウム膜の形成の前工程として、シリコン基板上の自然酸化膜(すなわち、シリコン酸化膜)を除去する工程が行われるが、シリコン酸化膜の除去後、シリコンゲルマニウム膜の形成までの間にもシリコン基板上においてシリコン酸化膜が成長するため、シリコン酸化膜を除去する工程の完了からシリコンゲルマニウム膜の形成に係る工程の開始までの時間(以下、「Qタイム」という。)は厳密に管理する必要がある。ここで、現状におけるQタイムは例えば2〜4時間であり、このような短いQタイムでは半導体製品の生産性の向上に支障が生じる。また、シリコンゲルマニウム膜の形成に係る工程では、プリベイクを行ってシリコン基板に付着する酸素成分等を除去することが行われるが、現状では、プリベイクの温度を例えば800℃に設定する必要があり、半導体製品の電気的な特性に影響が生じる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、シリコン酸化膜の除去後、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、シリコン基板におけるシリコンゲルマニウム膜の形成の前工程として、前記シリコン基板を処理する基板処理方法であって、a)シリコン基板の一の主面上のシリコン酸化膜を除去する工程と、b)シリル化材料を付与して前記主面に対してシリル化処理を施す工程とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理方法であって、前記a)工程が、a1)前記シリコン酸化膜を除去する除去液を前記主面に付与する工程と、a2)前記主面にリンス液を付与する工程とを備え、前記除去液および前記リンス液の少なくとも一方における酸素濃度が低減されている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板処理方法であって、前記シリコン基板においてトランジスタ用のパターンが形成されている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、シリコン基板におけるシリコンゲルマニウム膜の形成の前工程として、前記シリコン基板を処理する基板処理装置であって、シリコン基板の一の主面上のシリコン酸化膜を除去する酸化膜除去部と、シリル化材料を付与して前記主面に対してシリル化処理を施すシリル化処理部とを備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の基板処理装置であって、前記酸化膜除去部が、前記シリコン酸化膜を除去する除去液を前記主面に付与する除去液付与部と、前記主面にリンス液を付与するリンス液付与部と、前記除去液および前記リンス液の少なくとも一方における酸素濃度を低減する酸素濃度低減部とを備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の基板処理装置であって、前記酸化膜除去部から前記シリル化処理部へとシリコン基板を移動する基板移動機構をさらに備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4または5に記載の基板処理装置であって、前記酸化膜除去部および前記シリル化処理部が、前記シリコン基板を保持する保持部を共有する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項4ないし7のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記シリコン基板においてトランジスタ用のパターンが形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シリコン酸化膜の除去後、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くすることができる。
【0016】
また、請求項2の発明では、Qタイムをより長くするとともに、プリベイクの温度をより低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図2】酸化膜除去部の構成を示す図である。
【図3】処理液供給部の構成を示す図である。
【図4】供給管の構成を示す図である。
【図5】シリル化処理部の構成を示す図である。
【図6】処理空間が開放されたシリル化処理部を示す図である。
【図7】基板上に形成されたパターンを示す図である。
【図8】基板を処理する動作の流れを示す図である。
【図9】基板上のパターンを示す図である。
【図10】基板上のパターンを示す図である。
【図11】化学結合エネルギーを示す図である。
【図12】基板上のパターンを示す図である。
【図13】基板上の自然酸化膜の厚さの変化を示す図である。
【図14】シリコンゲルマニウム膜中の酸素濃度を示す図である。
【図15】シリル化処理部の他の例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図17】処理ユニットの構成を示す図である。
【図18】導入管の下端を示す図である。
【図19】処理ユニットの他の例を示す図である。
【図20】第3の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図21】蒸気処理部の構成を示す図である。
【図22】第4の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図23】蒸気処理部の構成を示す図である。
【図24】第5の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置1の構成を示す図である。基板処理装置1は、所定の薬液やリンス液等により円形のシリコン基板(以下、単に「基板」という。)9を処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、インデクサブロック2、処理ブロック3および制御部10を備え、制御部10の制御によりインデクサブロック2および処理ブロック3の各構成要素が制御される。
【0019】
インデクサブロック2は、キャリア90を保持するキャリア保持部21、キャリア保持部21と処理ブロック3との間に配置されるインデクサロボット22、および、インデクサロボット22を図1中の縦方向に移動するインデクサロボット移動機構23を備える。キャリア保持部21では、複数のキャリア90が図1中の縦方向(すなわち、インデクサロボット22の移動方向)に沿って配列され、各キャリア90には複数の基板9が収容される。インデクサロボット22では、キャリア90からの基板9の搬出、および、キャリア90への基板9の搬入が行われる。
【0020】
処理ブロック3は、2つの酸化膜除去部4、2つのシリル化処理部6、および、センターロボット31を備える。2つの酸化膜除去部4および2つのシリル化処理部6はセンターロボット31を囲むように配置され、センターロボット31により処理ブロック3における基板9の搬送が行われる。後述するように、酸化膜除去部4では、基板9の一の主面上のシリコン酸化膜(SiO)が除去され、シリル化処理部6では、当該主面に対してシリル化処理が施される。
【0021】
図2は、酸化膜除去部4の構成を示す図である。酸化膜除去部4は、基板9を水平状態にて保持するスピンチャック41、スピンチャック41の周囲を囲むカップ部42、シリコン酸化膜を除去する処理液(以下、「除去液」という。)を基板9に付与する除去液ノズル43、および、リンス液を基板9に付与するリンス液ノズル44を備える。スピンチャック41、カップ部42、除去液ノズル43およびリンス液ノズル44はチャンバ本体40内に設けられる。また、スピンチャック41はスピンモータ411により、鉛直方向に平行な軸を中心として回転可能である。
【0022】
除去液ノズル43は、スピンチャック41の上方である供給位置と、カップ部42よりも外側(すなわち、鉛直方向においてカップ部42と重ならない位置)である待機位置との間で、図示省略の移動機構により移動可能である。リンス液ノズル44も同様に、スピンチャック41の上方である供給位置と、カップ部42よりも外側である待機位置との間で、図示省略の移動機構により移動可能である。除去液ノズル43およびリンス液ノズル44には処理液供給部5が接続される。
【0023】
図3は、処理液供給部5の構成を示す図である。処理液供給部5は、純水中の酸素を脱気し、当該純水中に不活性ガスを添加して不活性ガス溶存水を生成する不活性ガス溶存水生成部51を備える。不活性ガス溶存水生成部51は、供給された純水中の酸素濃度が、例えば20ppb(パーツ・パー・ビリオン)以下になるまで酸素を脱気するとともに、純度の高い窒素(N)ガス(例えば濃度99.999%〜99.999999999%の窒素ガス)を純水中に添加して、窒素濃度が、例えば7ppm(パーツ・パー・ミリオン)〜24ppmの不活性ガス溶存水を生成する。
【0024】
処理液供給部5は、除去液の原液と不活性ガス溶存水とを混合して除去液を調合する調合部52、および、調合部52に当該原液を供給する原液供給部53を備える。原液供給部53は、除去液の原液を貯溜するタンク532を備え、タンク532は供給管531を介して調合部52に接続される。タンク532は、密閉容器であり、タンク532の内部空間は、その外部から遮断されている。供給管531には、タンク532側から調合部52に向かって順にポンプ533、フィルタ534および脱気部535が設けられる。脱気部535は、不活性ガス溶存水生成部51と同様の構成であるが、不活性ガスの添加は行われない。
【0025】
タンク532には、供給管536が接続され、供給管536を介して図示省略の原液供給源から除去液の原液が供給される。供給管536にはバルブ537が設けられ、タンク532内の液量が所定量以下になった場合に未使用の除去液の原液が供給(補充)される。また、タンク532には、バルブ539が設けられた供給管538がさらに接続され、供給管538を介して図示省略の不活性ガス供給源から不活性ガスが供給される。タンク532には、原則として、常時、不活性ガスが供給される。これにより、タンク532内への空気の流入を防止することができ、タンク532内に貯溜された除去液の原液に酸素が溶け込むことが抑制または防止される。したがって、当該除去液の原液中の溶存酸素量が増加することを抑制または防止することができる。
【0026】
タンク532内の除去液の原液は、不活性ガスによる圧力やポンプ533による吸引力によりタンク532から汲み出され、ポンプ533により昇圧された後、フィルタ534を通過して異物が除去される。フィルタ534を通過した除去液の原液は、脱気部535によって脱気され、溶存酸素量が低減された除去液の原液が、調合部52に供給される。
【0027】
調合部52は、供給管511を介して不活性ガス溶存水生成部51に接続され、さらに、既述のように供給管531を介して原液供給部53に接続される。調合部52は、除去液の原液と不活性ガス溶存水とをその内部で混合する混合部521(マニホールド)を備え、供給管511および供給管531は混合部521に接続される。また、供給管511にはバルブ512および流量調整バルブ513が設けられ、供給管531にはバルブ522および流量調整バルブ523が設けられる。調合部52では、混合部521に対する除去液の原液の供給量と不活性ガス溶存水の供給量とを調整することにより、所定の割合に調合された除去液が生成される。本実施の形態では、除去液の原液としてフッ化水素(フッ酸(HF))が用いられ、希フッ酸(DHF)が除去液として生成される。調合部52では、バッファード・フッ酸(BHF)等が生成されてもよい。調合部52は、供給管431を介して除去液ノズル43(図2参照)に除去液を供給する。
【0028】
図4は、供給管431の構成を示す図である。供給管431は、2重構造であり、除去液が流通する内管4311、および、内管4311を取り囲む外管4312を有する。内管4311は、外管4312の内部において、内管4311と外管4312との間に介在する支持部材(図示せず)により支持され、内管4311と外管4312とは非接触状態が維持される。内管4311と外管4312との間には筒状の空間が形成される。内管4311および外管4312は、耐薬液性および耐熱性に優れたフッ素樹脂(例えば、PFA(ポリテトラフルオロエチレン))等にて形成される。なお、PFAは、酸素を透過する。
【0029】
外管4312には、バルブ4313が設けられた補助供給管4314、および、バルブ4315が設けられた補助排気管4316が接続される。補助供給管4314は図示省略の不活性ガス供給源に接続され、バルブ4313,4315を開くことにより、内管4311と外管4312との間の空間に不活性ガス(例えば、窒素ガス)が流入する。これにより当該空間から空気が追い出され、当該空間内の雰囲気が不活性ガス雰囲気に置換される。すなわち、内管4311が不活性ガスにより包囲される。バルブ4313,4315を閉じた後においても、内管4311が不活性ガスによって包囲された状態が維持され、内管4311の内部に進入する酸素の量が低減される。よって、内管4311内を流れる除去液に酸素が溶け込んで、当該除去液中の酸素濃度が上昇することが抑制または防止される。本実施の形態では、除去液ノズル43から吐出される除去液における酸素濃度は、20ppb以下(例えば、5〜10ppb)である。
【0030】
基板処理装置1では、図3の不活性ガス溶存水生成部51と図2のリンス液ノズル44とを接続する供給管441も、供給管431と同様の構造であり、供給管441内を流れる不活性ガス溶存水に酸素が溶け込んで、当該不活性ガス溶存水中の酸素濃度が上昇することが抑制または防止される。なお、供給管431および供給管441は必ずしも2重構造でなくてもよいが、上述のような2重構造とすることにより、供給管内を流れる除去液や不活性ガス溶存水中の酸素濃度の上昇をより一層抑制または防止することができる。
【0031】
図5は、シリル化処理部6の構成を示す図である。シリル化処理部6は、基板9を保持する基板保持台61を有し、基板保持台61は支持部材62により支持される。基板保持台61は基板9よりも大きい直径の円板状であり、基板保持台61上において基板9が水平状態にて保持される。基板保持台61の内部にはヒータ611が設けられており、基板保持台61上の基板9が加熱される。
【0032】
基板保持台61および支持部材62には、複数の(実際には3以上の)貫通孔612,610が形成されており、各貫通孔612,610の下方には、図5の上下方向(鉛直方向)に長いリフトピン613が配置される。上下方向において複数のリフトピン613の先端は同じ位置に配置され、昇降機構614により一体的に昇降する。具体的には、複数のリフトピン613は、複数の貫通孔612,610内を通過して先端が基板保持台61よりも上方となる図6の位置(以下、「突出位置」という。)、および、先端が複数の貫通孔612,610よりも下方となる図5の位置(以下、「退避位置」という。)のいずれかに配置される。
【0033】
図6に示すように、複数のリフトピン613が突出位置に配置された状態にてセンターロボット31により基板9が複数のリフトピン613上に載置され(このとき、後述の遮断板63は上昇している。)、その後、複数のリフトピン613が退避位置へと移動することにより、図5に示すように基板9が基板保持台61上に載置される。一方、基板9が基板保持台61上に載置された状態で、複数のリフトピン613が退避位置から突出位置まで移動することにより、基板9が基板保持台61の上方に配置される。これにより、センターロボット31によって基板9をシリル化処理部6から搬出することが可能となる。
【0034】
図5および図6に示すように、シリル化処理部6は、基板保持台61の上方に配置される遮断板63をさらに備える。遮断板63は、水平な円板部631、および、円板部631の外縁から下方に突出する筒状部632を備える。円板部631の直径は基板保持台61よりも大きく、筒状部632の環状の端面は支持部材62に対向する。また、支持部材62上には基板保持台61の周囲を囲むように、環状のシール部材620が設けられる。遮断板63は昇降機構64により昇降し、筒状部632の当該端面がシール部材620に当接する図5の位置、および、筒状部632の当該端面がシール部材620から十分に離れた図6の位置のいずれかに配置される。遮断板63が図5の位置に配置された状態では、遮断板63、基板保持台61および支持部材62に囲まれた処理空間60が密閉され、遮断板63が図5の位置から図6の位置へと移動することにより処理空間60が開放される。以下の説明では、図5に示す遮断板63の位置を「密閉位置」と呼び、図6に示す遮断板63の位置を「開放位置」と呼ぶ。
【0035】
また、図5に示す円板部631の中央には噴出ノズル65が設けられ、噴出ノズル65には供給管650の一端が接続される。供給管650の他端は、第1補助管651および第2補助管652に分岐しており、第1補助管651は蒸気(ベーパー)状態のシリル化材料の供給源に接続され、第2補助管652は窒素ガスの供給源に接続される。第1補助管651および第2補助管652にはバルブ653,654がそれぞれ設けられる。バルブ654を閉じつつバルブ653を開くことにより、噴出ノズル65からシリル化材料の蒸気が噴出され、バルブ653を閉じつつバルブ654を開くことにより、噴出ノズル65から窒素ガスが噴出される。
【0036】
シリル化材料としては、TMSI(N-trimethylsilylimidazole、N-トリメチルシリルイミダゾール)、BSTFA(N,O-bis[trimethylsilyl]trifluoroacetamide、N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド)、BSA(N,O-bis[trimethylsilyl]acetamide、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド)、MSTFA(N-methyl-N-trimethylsilyl-trifluoroacetamide、N-メチル-N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド)、TMSDMA(N-trimethylsilyldimethylamine、N-トリメチルシリルジメチルアミン)、TMSDEA(N-trimethylsilyldiethylamine、N-トリメチルシリルジエチルアミン)、MTMSA(N,O-bis[trimethylsilyl]trifluoroacetamide、N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド)、TMCS(with base)(trimethylchlorosilane、トリメチルクロロシラン)、HMDS(Hexamethyldisilazane、ヘキサメチルジシラザン)等が例示でき、本実施の形態では、HMDSが用いられる。
【0037】
支持部材62の上面には、平面視において基板保持台61を囲むように、環状の排気口621が形成される。排気口621は排気管622に接続され、排気管622には圧力調整弁623が設けられる。図5に示すように、遮断板63が密閉位置に配置された状態において、噴出ノズル65からガス(シリル化材料の蒸気または窒素ガス)が噴出されると、処理空間60の圧力が上昇する。そして、処理空間60の圧力が所定値まで達すると、圧力調整弁623が開いて処理空間60のガスが排気口621および排気管622を介して排気される。処理空間60の圧力が所定値未満となると、圧力調整弁623が閉じて、ガスの排気が停止される。このようにして、処理空間60に当該ガスが充填される。その後、噴出ノズル65からのガスの噴出が停止され、処理空間60が当該ガスにて充填された状態が維持される。
【0038】
ここで、基板処理装置1における処理対象の基板9に形成されたパターンについて説明する。図7は、基板9上に形成されたパターンを示す図である。図7に示すように、基板9上にはゲート電極911、スペーサ912、STI(Shallow Trench Isolation)部913、ゲート絶縁膜914等が形成されており、製造途上の多数のトランジスタのパターン、すなわち、多数のトランジスタ用のパターンが形成されている。また、シリコンにて形成される基板9の表面にはシリコン酸化膜(自然酸化膜)92が存在している。実際には、基板9において主面が露出した領域の全体にシリコン酸化膜は存在するが、以下の説明では、スペーサ912とSTI部913との間の領域(ソースおよびドレインとなる予定の領域)のみに着目するため、当該領域のみにシリコン酸化膜92を図示している(以下同様)。実際のシリコン酸化膜は極めて薄い膜である。
【0039】
後述するように、図7のパターンを有する基板9に対してシリコンゲルマニウム膜の形成が行われるが、以下の説明における基板処理装置1による基板9の処理は、半導体装置の製造工程の流れにおいて、シリコンゲルマニウム膜の形成の前工程として行われる、すなわち、シリコンゲルマニウム膜の形成の直前(時間的に直前である必要はない。)に行われるものである。
【0040】
図8は、基板処理装置1が基板9を処理する動作の流れを示す図である。図1の基板処理装置1では、キャリア90内の基板9がインデクサブロック2のインデクサロボット22により取り出され、処理ブロック3のセンターロボット31に受け渡される。そして、センターロボット31により基板9が図2の酸化膜除去部4内へと搬送され、スピンチャック41にて保持される(ステップS11)。酸化膜除去部4のチャンバ本体40には、図示省略の排気部および窒素ガス導入部が設けられており、チャンバ本体40内に窒素ガスを導入しつつ排気を行うことにより、チャンバ本体40内の酸素濃度が、例えば100ppm以下に調整される。
【0041】
酸化膜除去部4では、スピンモータ411によりスピンチャック41が回転を開始するとともに除去液ノズル43が供給位置へと配置される。そして、スピンチャック41が所定の回転数に到達すると、供給管431のバルブ432を開くことにより除去液ノズル43から基板9の主面上に除去液が付与される(ステップS12)。このとき、必要に応じて除去液ノズル43が基板9の主面に沿う方向に揺動する(後述するリンス液ノズル44からのリンス液の付与においても同様)。除去液の付与が所定時間だけ継続されると、除去液ノズル43からの除去液の吐出が停止され、除去液ノズル43が待機位置へと戻される。
【0042】
続いて、リンス液ノズル44が供給位置に配置され、供給管441のバルブ442を開くことによりリンス液ノズル44から基板9の主面上にリンス液(不活性ガス溶存水)が付与され、当該主面に付着した除去液等がリンス液により除去される(ステップS13)。リンス液の付与が所定時間だけ継続されると、リンス液ノズル44からのリンス液の吐出が停止され、リンス液ノズル44が待機位置へと戻される。また、スピンチャック41の回転数が上昇し、基板9の乾燥が行われる。基板9の乾燥が所定時間だけ継続されると、スピンチャック41の回転が停止され、センターロボット31により酸化膜除去部4から基板9が取り出される。上記ステップS12,S13の処理により、図9に示すように基板9上のシリコン酸化膜92(図7参照)が除去される。なお、ステップS13におけるリンス液の付与後、基板9を乾燥する前に、酸化膜除去部4において別途設けられたノズルからアンモニアと過酸化水素水との混合液(SC1)が基板9上に付与されてもよい。この場合、SC1の付与後、リンス液を再度付与し、続いて、基板9の乾燥が行われる。
【0043】
基板処理装置1における除去液およびリンス液では、図3の処理液供給部5により酸素濃度が低減されており、基板9の表面は、Si−F基およびSi−H基が多く存在する状態となる。一方、除去液およびリンス液に溶存する僅かな酸素や周囲の雰囲気中の酸素により、基板9の表面には、Si−OH基も存在する。
【0044】
続いて、センターロボット31により基板9がシリル化処理部6内へと搬送される(ステップS14)。このとき、図6に示すように遮断板63は開放位置に配置され、突出位置に配置された複数のリフトピン613上に基板9が載置される。そして、センターロボット31がシリル化処理部6外へと退避した後、複数のリフトピン613が退避位置へと移動することにより、基板9が基板保持台61上に載置される。また、遮断板63が密閉位置へと移動して、図5に示すように密閉された処理空間60内に基板9が配置される。
【0045】
シリル化処理部6では、バルブ654を開くことにより噴出ノズル65からの窒素ガスの噴出が開始されるとともに、処理空間60の圧力に応じて圧力調整弁623が開閉される。これにより、処理空間60内の空気が窒素ガスにて置換され、処理空間60に窒素ガスが充填される。噴出ノズル65からの窒素ガスの噴出が停止された後、バルブ653を開くことにより、噴出ノズル65からのシリル化材料の蒸気の噴出が開始される。また、処理空間60の圧力に応じて圧力調整弁623が開閉される。これにより、処理空間60内の窒素ガスがシリル化材料の蒸気にて置換され、処理空間60にシリル化材料の蒸気が充填される。シリル化材料の蒸気の噴出開始後、所定時間経過した後に、バルブ653を閉じることにより、噴出ノズル65からのシリル化材料の蒸気の噴出が停止される。
【0046】
このようにして、基板9の周囲にシリル化材料の蒸気が充填され、シリル化材料の蒸気雰囲気中に基板9が所定時間だけ保持される。これにより、基板9の主面に対してシリル化処理が施され、図10に示すように当該主面がシリル化する(ステップS15)。図10では、基板9の主面近傍に平行斜線を付すことによりシリル化した部位93を抽象的に示している。このとき、図5の基板保持台61上の基板9はヒータ611により室温よりも高い一定の温度に加熱されるため、主面のシリル化が促進される。
【0047】
シリル化材料の蒸気雰囲気中に基板9が所定時間だけ保持されると、噴出ノズル65からの窒素ガスの噴出が開始される。これにより、処理空間60内のシリル化材料の蒸気や、シリル化により発生したガスが窒素ガスにて置換され、処理空間60に窒素ガスが充填される。
【0048】
処理空間60に窒素ガスが充填されると、遮断板63が開放位置に配置されて処理空間60が開放されるとともに、複数のリフトピン613が突出位置へと移動する。複数のリフトピン613上の基板9は、図1のセンターロボット31によりシリル化処理部6の外部へと搬出され、インデクサブロック2のインデクサロボット22に受け渡される。そして、インデクサロボット22によりキャリア90内へと戻される(ステップS16)。実際には、上記ステップS11〜S16の処理は複数の基板9に対して部分的に並行して行われる。
【0049】
基板処理装置1における処理後の基板9は、他の装置へと搬送されシリコンゲルマニウム膜の形成に係る工程が行われる。シリコンゲルマニウム膜の形成に係る工程では、実際にシリコンゲルマニウム膜を形成する前に、基板9がプリベイクされる。本実施の形態では、プリベイクにおいて、例えば700℃にて10〜30分間、基板9が加熱される。
【0050】
ここで、基板9上の物質の化学結合エネルギーについて述べる。基板処理装置1におけるシリル化処理において、HMDSがシリル化材料として用いられる場合には、シリル化処理後の基板9の表面は、HMDSに起因するシリル基が多く存在する状態となる。図11に示すように、HMDSに起因するシリル基における結合エネルギーは、SiOにおけるSi−Oの結合エネルギーやSiFにおけるSi−Fの結合エネルギーよりも小さいため、プリベイクにおいて比較的低い温度にて基板9の主面上のシリル基を除去することが可能となる。
【0051】
基板9のプリベイクが完了すると、図12に示すように主面上にシリコンゲルマニウム膜94が形成される。シリコンゲルマニウム膜94の形成によりチャネル部のシリコン層に歪みを生じさせることができる。チャネル部のシリコン層に歪みが生じたトランジスタでは、高速な動作が可能となる。シリコンゲルマニウム膜は、例えば熱CVD法により形成される。
【0052】
図13は、基板9上のシリコン酸化膜の除去後における自然酸化膜の厚さの変化(成長)を示す図であり、縦軸は酸化膜の厚さを示し、横軸はシリコン酸化膜の除去後の経過時間を示す。図13では、処理液供給部5により酸素濃度が低減された処理液(除去液およびリンス液)によるシリコン酸化膜の除去およびシリル化処理(以下、「低酸素処理+シリル化処理」と表記する。)が行われた基板上の酸化膜の厚さの変化を符号L1を付す線にて示し、酸素濃度が低減された処理液によるシリコン酸化膜の除去のみ(以下、「低酸素処理」と表記する。)が行われた基板上の酸化膜の厚さの変化を符号L2を付す線にて示し、酸素濃度が低減されていない処理液によるシリコン酸化膜の除去(以下、「標準処理」と表記する。)のみが行われた基板上の酸化膜の厚さの変化を符号L3を付す線にて示している。なお、「低酸素処理」および「標準処理」では、シリル化処理は行われない。
【0053】
図13より、「標準処理」が行われた基板に比べて、「低酸素処理」が行われた基板では、酸化膜の厚さが小さくなり、「低酸素処理」に加えてシリル化処理が行われた(すなわち、「低酸素処理+シリル化処理」が行われた)基板では、酸化膜の厚さがさらに小さくなることが判る。「低酸素処理+シリル化処理」が行われた基板では、例えば、48時間放置した後の酸化膜の厚さが、標準処理の直後における基板上の酸化膜の厚さよりも小さくなっており、Qタイムを48時間に設定することも可能である。
【0054】
図14は、基板9上に形成したシリコンゲルマニウム膜中の酸素濃度を示す図である。図14より、「標準処理」が行われた基板に比べて、「低酸素処理」が行われた基板では、シリコンゲルマニウム膜中の酸素濃度が低くなり、「低酸素処理」に加えてシリル化処理が行われた基板では、シリコンゲルマニウム膜中の酸素濃度がさらに低くなることが判る。したがって、「低酸素処理+シリル化処理」により、適正なシリコンゲルマニウム膜が形成可能であるといえる。
【0055】
以上に説明したように、図1の基板処理装置1では、酸化膜除去部4にて基板9の一の主面上のシリコン酸化膜が除去された後、シリル化処理部6にてシリル化材料を付与して、当該主面に対してシリル化処理が施される。これにより、シリコン酸化膜の除去後、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くすることができる。
【0056】
また、図2の酸化膜除去部4では、除去液ノズル43が除去液付与部として基板9の主面に除去液を付与し、リンス液ノズル44がリンス液付与部として当該主面にリンス液を付与する。そして、処理液供給部5が酸素濃度低減部として、除去液およびリンス液の酸素濃度を低減することにより、シリコン酸化膜の除去後、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムをより長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度をより低くすることができる。
【0057】
図15は、シリル化処理部の他の例を示す図である。図15のシリル化処理部6aは、チャンバ本体61a、チャンバ本体61aの側面に形成された搬入出口611aを開閉するシャッタ62a、および、チャンバ本体61a内の下部に配置された載置プレート63aを備える。チャンバ本体61a内の上部空間は、後述するように基板9に向けてガスを供給する供給部64aであり、チャンバ本体61a内において載置プレート63aが配置される空間と供給部64aとの間は、拡散板641aにて仕切られる。
【0058】
供給部64aの上方におけるチャンバ本体61aの部位には噴出ノズル65aが設けられ、噴出ノズル65aには供給管651aの一端が接続される。供給管651aの他端は、三方バルブ652aを介して第1補助管653aおよび第2補助管654aに接続される。第1補助管653aはシリル化材料の供給源に接続され、第2補助管654aは窒素ガスの供給源に接続される。噴出ノズル65aへのシリル化材料の供給はバルブ655aにより制御され、窒素ガスの供給はバルブ656aにより制御される。
【0059】
載置プレート63aは、図6の基板保持台61と同様に複数のリフトピン631aを有する。また、載置プレート63a内には、ヒータ632aが設けられる。図15において載置プレート63aの左側(搬入出口611a側)には第1排気口612aが設けられ、右側には、第2排気口613aが設けられる。第1排気口612aおよび第2排気口613aには、図示省略の排気ポンプが接続される。
【0060】
チャンバ本体61aにおいて搬入出口611aと対向する位置には、補助供給部66aが設けられる。チャンバ本体61a内において載置プレート63aが配置される空間と補助供給部66aとの間は、フィルタ661aにて仕切られる。補助供給部66aには供給口662aが設けられ、供給口662aには供給管663aの一端が接続される。供給管663aにはバルブ664aが設けられ、供給管663aの他端は窒素ガスの供給源に接続される。
【0061】
シリル化処理部6aにてシリル化処理を行う際には、図15中にて矢印A1にて示す方向にシャッタ62aを移動することにより、チャンバ本体61aの搬入出口611aが開かれる。このとき、バルブ664aを開放しつつ第1排気口612aから排気を行うことにより、開放された搬入出口611aからチャンバ本体61a内に外気が進入することが防止される。続いて、図6のシリル化処理部6と同様に、載置プレート63aから上方に突出したリフトピン631a上に基板9がセンターロボット31により載置される。センターロボット31がチャンバ本体61aの内部から退避した後、シャッタ62aを移動することにより、搬入出口611aが閉じられる。そして、リフトピン631aが下降することにより、基板9が載置プレート63a上に載置される。
【0062】
続いて、バルブ664aを閉じるとともに、三方バルブ652aをバルブ656a側に切り換えてからバルブ656aが開かれる。また、第1排気口612aおよび第2排気口613aにおいて排気が行われる。これにより、チャンバ本体61a内が窒素ガスにてパージされるとともに、大気圧よりも低い圧力(例えば、20[kPa(キロパスカル)])に減圧される。その後、バルブ656aを閉じるとともに、三方バルブ652aをバルブ655a側に切り換えてからバルブ655aが開かれる。これにより、噴出ノズル65aからシリル化材料が噴出され、供給部64aから基板9に向けてシリル化材料が供給される。このとき、第1排気口612aおよび第2排気口613aからの排気量が低くされる。また、好ましくは、載置プレート63aに内蔵されているヒータ632aにより基板9が加熱される。加熱温度は、例えば、100〜120℃程度である。
【0063】
上記の状態が所定時間だけ維持された後、複数のリフトピン631aが上昇して基板9が載置プレート63aの上方に配置される。また、バルブ655aを閉じて三方バルブ652aをバルブ656a側に切り換えてから、バルブ656aが開放されることにより、基板9に対して窒素ガスが供給される。
【0064】
続いて、第1排気口612aおよび第2排気口613aからの排気量を高くして、チャンバ本体61a内の圧力を低下させた状態が一定時間維持される。その後、第1排気口612aおよび第2排気口613aからの排気量を低くして、チャンバ本体61a内の圧力が大気圧まで戻される。そして、チャンバ本体61aの搬入出口611aが開かれ、センターロボット31により基板9がシリル化処理部6aから取り出される。
【0065】
以上のように、図15のシリル化処理部6aにおいても、図5のシリル化処理部6と同様に、酸化膜除去部4にて基板9の一の主面上のシリコン酸化膜が除去された直後に、基板9に対してシリル化処理が施される。これにより、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くすることができる。
【0066】
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置1aの構成を示す図である。図16の基板処理装置1aでは、図1の基板処理装置1と比較して処理ブロック3aの構成が相違する。他の構成は図1と同様であり、同符号を付している。図16の処理ブロック3aでは、4個の処理ユニット7が設けられ、4個の処理ユニット7は同様の構成である。
【0067】
図17は、1つの処理ユニット7の構成を示す図である。処理ユニット7は、基板9を保持するスピンチャック71、除去液を基板9の主面に付与する除去液付与部である除去液ノズル72、リンス液を基板9の主面に付与するリンス液付与部であるリンス液ノズル73、および、処理ユニット7の構成要素を収容するチャンバ本体70を備える。スピンチャック71は、スピンモータ711により鉛直方向に平行な軸を中心として回転する。また、除去液ノズル72およびリンス液ノズル73は、図2の酸化膜除去部4における除去液ノズル43およびリンス液ノズル44と同様に、供給管721,731を介して図3の処理液供給部5に接続される。
【0068】
処理ユニット7は、さらに、チャンバ本体70内においてスピンチャック71の上方に配置される遮断板74、チャンバ本体70の上部からチャンバ本体70内にクリーンエアを供給するクリーンエア供給部700、および、チャンバ本体70の下部からチャンバ本体70内の雰囲気を排気する排気部(図示省略)を備える。クリーンエア供給部700および排気部は常時駆動され、チャンバ本体70内において上方から下方へと流れる気流が形成される。
【0069】
遮断板74は、水平な円板部741、円板部741の外縁から下方に突出する筒状部742、および、円板部741に接続されたヒータ743を備える。円板部741の上面において中央部には支持軸744が接続される。円板部741および支持軸744には、上下方向に貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔は円板部741の下面中央にて開口する。貫通孔には導入管75が貫通孔の内側面と非接触状態にて挿入され、導入管75の下端が円板部741における当該貫通孔の開口に位置する。
【0070】
図18に示すように、導入管75の下端には、第1噴出口751および第2噴出口752が形成される。導入管75において第1噴出口751に連続する流路には、図17に示す第1供給管753の一端が接続され、第1供給管753の他端はシリル化材料の供給源に接続される。本実施の形態では、蒸気のシリル化材料が用いられるが、液体のシリル化材料が用いられてよい。また、導入管75において第2噴出口752に連続する流路には第2供給管754の一端が接続され、第2供給管754の他端は窒素ガスの供給源に接続される。第1供給管753および第2供給管754にはそれぞれバルブ755,756が設けられる。
【0071】
また、支持軸744(貫通孔の内側面)と導入管75との間には筒状のガス供給路745が形成され、図18に示すように、円板部741の下面には、ガス供給路745の環状噴出口746が形成される。図17に示すように、ガス供給路745にはガス供給管747の一端が接続され、ガス供給管747の他端は窒素ガスの供給源に接続される。ガス供給管747にはバルブ748が設けられる。
【0072】
支持軸744は昇降機構76に接続され、昇降機構76により遮断板74が支持軸744と共に上下方向に昇降する。具体的には、遮断板74は、円板部741がスピンチャック71上の基板9に近接する位置(図17中にて二点鎖線にて示す位置であり、以下、「近接位置」という。)、および、円板部741がスピンチャック71から上方に大きく離れた位置(図17中にて実線にて示す位置であり、以下、「退避位置」という。)のいずれかに配置される。遮断板74が近接位置に配置された状態では、円板部741の下面が基板9の上面に近接するとともに、円筒状の筒状部742が基板9の外縁の周囲を囲む。なお、遮断板74が近接位置に配置される際には、図示省略の移動機構により除去液ノズル72およびリンス液ノズル73が遮断板74と干渉しない位置へと移動する。
【0073】
図16の基板処理装置1aが基板9を処理する際には、図1の基板処理装置1と同様に、キャリア90内の基板9がインデクサブロック2のインデクサロボット22により取り出され、処理ブロック3aのセンターロボット31に受け渡される。続いて、図17の処理ユニット7のチャンバ本体70に設けられたシャッタ701が開閉機構702により開放される。そして、センターロボット31により基板9が処理ユニット7内へと搬送され、スピンチャック71にて保持される(図8:ステップS11)。このとき、遮断板74は退避位置に配置される。
【0074】
センターロボット31が処理ユニット7の外部へと移動した後、シャッタ701が閉じられるとともに、スピンモータ711によるスピンチャック71の回転が開始される。また、除去液ノズル72が所定の供給位置へと配置され、供給管721に設けられたバルブ722を開放することにより、除去液ノズル72から基板9の主面上の中央に除去液が付与される(ステップS12)。基板9の回転により、除去液は主面に沿って外側へと広がり、基板9の主面全体に除去液が付与される(後述のリンス液の付与、および、シリル化材料の付与においても同様)。除去液の付与が所定時間だけ継続されると、バルブ722を閉じることにより、除去液ノズル72からの除去液の吐出が停止され、その後、除去液ノズル72が所定の待機位置へと戻される。
【0075】
続いて、リンス液ノズル73が所定の供給位置へと配置され、供給管731に設けられたバルブ732を開放することにより、リンス液ノズル73から基板9の主面上にリンス液(不活性ガス溶存水)が付与され、主面に付着した除去液がリンス液により除去される(ステップS13)。リンス液の付与が所定時間だけ継続されると、バルブ732を閉じることにより、リンス液ノズル73からのリンス液の吐出が停止され、その後、リンス液ノズル73が待機位置へと戻される。また、スピンチャック71の回転数が上昇し、基板9の乾燥が行われる。基板9の乾燥が所定時間だけ継続されると、スピンチャック71の回転が所定の回転数まで低下して基板9の乾燥が完了する。続いて、遮断板74が退避位置から近接位置へと移動する。なお、基板処理装置1aでは、図8のステップS14の処理は省略される。
【0076】
処理ユニット7では、第2供給管754のバルブ756およびガス供給管747のバルブ748を開くことにより、第2噴出口752および環状噴出口746(図18参照)から窒素ガスが噴出される。これにより、遮断板74およびスピンチャック71により囲まれる空間の雰囲気が窒素ガスに置換される。なお、筒状部742とスピンチャック71の外縁との間から外側に流出するガスは、チャンバ本体70に設けられた排気口703を介してチャンバ本体70内から排気される。
【0077】
続いて、バルブ756,748を閉じた後、バルブ755を開くことにより、第1噴出口751(図18参照)からシリル化材料が噴出される。シリル化材料の噴出は所定時間だけ継続される。このようにして、基板9の主面に対してシリル化処理が施され、当該主面がシリル化する(ステップS15)。このとき、円板部741に接続されたヒータ743により、基板9が間接的に加熱されてもよい。
【0078】
バルブ755が閉じられてシリル化材料の噴出が完了すると、バルブ756,748が開かれ、第2噴出口752および環状噴出口746から窒素ガスが噴出される。窒素ガスの噴出は所定時間だけ継続され、これにより、遮断板74およびスピンチャック71により囲まれる空間の雰囲気が窒素ガスに置換される。
【0079】
バルブ756,748が閉じられて窒素ガスの噴出が完了すると、基板9の回転が停止されるとともに、遮断板74が退避位置へと移動する。なお、窒素ガスのパージ後、必要に応じて基板9の高速回転による基板9の乾燥が行われてもよい。その後、シャッタ701が開かれて、図16のセンターロボット31により基板9が処理ユニット7から取り出され、インデクサブロック2のインデクサロボット22に受け渡される。そして、インデクサロボット22によりキャリア90内へと戻される(ステップS16)。なお、ステップS13におけるリンス液の付与後、基板9を乾燥する前に、別途設けられたノズルからアンモニアと過酸化水素水との混合液(SC1)が基板9上に付与されてもよい。この場合、SC1の付与後、リンス液を再度付与し、続いて、基板9の乾燥が行われる。
【0080】
以上に説明したように、基板処理装置1aの処理ユニット7では、除去液ノズル72、リンス液ノズル73および処理液供給部5を含む構成によりシリコン酸化膜を除去する酸化膜除去部が実現され、遮断板74および導入管75を含む構成によりシリル化処理を行うシリル化処理部が実現され、酸化膜除去部およびシリル化処理部において、基板9を保持する保持部であるスピンチャック71が共有される。したがって、基板9の一の主面上のシリコン酸化膜が除去された後、基板9を移動することなく、当該主面に対してシリル化材料が付与され、シリル化処理が施される。これにより、シリコン酸化膜の除去後、シリル化処理までの時間を短くすることができ、シリコン酸化膜の除去後、シリル化処理までにおける自然酸化膜の成長を抑制することができる。その結果、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くすることができる。
【0081】
図17の処理ユニット7では、遮断板74の筒状部742が円筒状である場合について述べたが、例えば、図19に示すように、筒状部742は、円板部741から下方に離れるに従って直径が増大する形状であってよい。また、図19の筒状部742では、円板部741から下方に離れるに従って厚さが減小するが、円板部741から離れるに従って厚さが増大する筒状部742が採用されてもよい。
【0082】
図20は、本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置1bの構成を示す図である。図20の基板処理装置1bでは、図1の基板処理装置1と比較して処理ブロック3bの構成が相違する。他の構成は図1と同様であり、同符号を付している。図20の処理ブロック3bでは、2つの蒸気処理部8、1つのリンス部4a、および、1つのシリル化処理部6が設けられる。リンス部4aは、図2の酸化膜除去部4において除去液ノズル43を省略したものであり、リンス液ノズル44からのリンス液による処理のみが行われる。また、シリル化処理部6は、図5のシリル化処理部6と同じである。
【0083】
図21は、蒸気処理部8の構成を示す図である。蒸気処理部8は、内部にヒータを有するホットプレート81を備え、基板9はホットプレート81の上面に吸引吸着により保持される。ホットプレート81は、モータ811により鉛直方向に平行な軸を中心として回転する。ホットプレート81の上方には、蒸気噴出部82が設けられる。蒸気噴出部82では、後述するフッ酸の蒸気が拡散板820を介してホットプレート81上の基板9に向けて噴出される。
【0084】
蒸気噴出部82には供給管821の一端が接続され、供給管821の他端はフッ酸(他の除去液であってもよい。)を貯溜するフッ酸タンク83に接続される。供給管821にはバルブ822が設けられる。フッ酸タンク83内へは、図示省略のフッ酸供給源から適宜フッ酸が供給され、フッ酸タンク83内に常時所定量のフッ酸が貯溜される。フッ酸タンク83には、図示省略の窒素ガス供給源に接続する供給管831が設けられ、窒素ガス供給源から供給管831を介してフッ酸タンク83内へ窒素ガスが供給される。そして、供給管821のバルブ822を開くことにより、フッ酸の蒸気が窒素ガスと共に供給管821を介して蒸気噴出部82へ供給される。
【0085】
図21中にて破線で囲む構成を含むガス供給部84は、図示省略の温度コントローラおよび加熱部により所定温度に調節され、蒸気噴出部82から基板9の主面に向かって供給されるフッ酸の蒸気が所定温度に保持される。図21の蒸気処理部8では、基板9の温度が、12℃〜120℃、好ましくは30℃〜100℃に温度調節される。実際には、蒸気噴出部82、ホットプレート81およびモータ811は図示省略のチャンバ本体内に収容される。
【0086】
図20の基板処理装置1bが基板9を処理する際には、基板9が蒸気処理部8のチャンバ本体内へと搬送されて図21のホットプレート81上に載置される(図8:ステップS11)。続いて、チャンバ本体に設けられたノズルから窒素ガスが供給されるとともにチャンバ本体内が減圧され、チャンバ本体内の雰囲気が窒素ガスに置換される。
【0087】
チャンバ本体内が窒素ガスにて充填されると、基板9が所定の回転数(例えば、10〜300rpmであり、ここでは、150rpm)にて回転される。また、バルブ822を開くことにより、蒸気噴出部82から所定の流量(例えば、毎分5〜100リットルであり、ここでは、毎分30リットル)にてフッ酸の蒸気が基板9に向けて噴出される。フッ酸の蒸気の噴出は所定時間だけ継続され、基板9上のシリコン酸化膜が除去される(ステップS12)。その後、バルブ822が閉じられて、蒸気噴出部82からのフッ酸の蒸気の噴出が停止される。そして、チャンバ本体内に窒素ガスが供給され、チャンバ本体内の雰囲気が窒素ガスに置換される。
【0088】
続いて、基板9が蒸気処理部8から取り出され、リンス部4aへと搬送される。そして、第1の実施の形態と同様に、リンス液ノズル44(図2参照)から基板9上にリンス液が付与され、リンス処理が行われる(ステップS13)。リンス処理が完了すると、基板9がシリル化処理部6内へと搬送され(ステップS14)、基板9の主面に対してシリル化処理が施される(ステップS15)。シリル化処理が完了すると、基板9がシリル化処理部6から取り出され、キャリア90内へと戻される(ステップS16)。
【0089】
以上に説明したように、基板処理装置1bでは、酸化膜除去部である蒸気処理部8にて基板9の一の主面上のシリコン酸化膜がフッ酸の蒸気により除去された後、シリル化処理部6にて、当該主面に対してシリル化材料が付与され、シリル化処理が施される。これにより、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くすることができる。
【0090】
図22は、本発明の第4の実施の形態に係る基板処理装置1cの構成を示す図である。図22の基板処理装置1cでは、図1の基板処理装置1と比較して処理ブロック3cの構成が相違する。他の構成は図1と同様であり、同符号を付している。図22の処理ブロック3cでは、2つの蒸気処理部8a、および、2つのリンス部4aが設けられる。
【0091】
図23は、蒸気処理部8aの構成を示す図である。蒸気処理部8aは、図21の蒸気処理部8と比較してガス供給部84aの構成が相違する。他の構成は図21と同様であり、同符号を付している。
【0092】
ガス供給部84aでは、供給管821における蒸気噴出部82とバルブ822との間に他の供給管851の一端が接続され、供給管851の他端は液体のシリル化材料を貯溜するシリル化材料タンク85に接続される。供給管851にはバルブ852が設けられる。シリル化材料タンク85内へは、図示省略のシリル化材料の供給源から適宜シリル化材料が供給され、シリル化材料タンク85内に常時所定量のシリル化材料が貯溜される。シリル化材料タンク85には、図示省略の窒素ガス供給源に接続する供給管832が設けられ、窒素ガス供給源から供給管832を介してシリル化材料タンク85内へ窒素ガスが供給される。そして、供給管851のバルブ852を開くことにより、シリル化材料の蒸気が窒素ガスと共に供給管851および供給管821の一部を介して蒸気噴出部82へ供給される。
【0093】
図22の基板処理装置1cが基板9を処理する際には、基板9が蒸気処理部8aのチャンバ本体内へと搬送されて図23のホットプレート81上に載置される(図8:ステップS11)。なお、基板9を蒸気処理部8a内に搬送する前に、必要に応じてリンス部4aにおいて基板9に対してプレリンスが行われてもよい。続いて、チャンバ本体に設けられたノズルから窒素ガスが供給されるとともにチャンバ本体内が減圧され、チャンバ本体内の雰囲気が窒素ガスに置換される。
【0094】
チャンバ本体内が窒素ガスにて充填されると、上記第3の実施の形態と同様に、基板9が所定の回転数にて回転されるとともに、蒸気噴出部82からフッ酸の蒸気が基板9に向けて噴出される。蒸気処理部8aでは、フッ酸の蒸気の噴出が所定時間だけ継続され、基板9上のシリコン酸化膜が除去される(ステップS12)。フッ酸の蒸気の噴出が停止されると、チャンバ本体内に窒素ガスが供給され、チャンバ本体内の雰囲気が窒素ガスに置換される。
【0095】
続いて、バルブ852を開くことにより、蒸気噴出部82から所定の流量(例えば、毎分5〜100リットルであり、ここでは、毎分30リットル)にてシリル化材料の蒸気(窒素ガスを含む。)が基板9に向けて噴出される。これにより、基板9の主面に対してシリル化処理が施される(ステップS15)。シリル化材料の蒸気の噴出が所定時間だけ継続されると、バルブ852が閉じられて、シリル化材料の蒸気の噴出が停止される。そして、チャンバ本体内に窒素ガスが供給され、チャンバ本体内の雰囲気が窒素ガスに置換される。その後、基板9が蒸気処理部8aから取り出され、キャリア90内へと戻される(ステップS16)。なお、基板処理装置1cでは図8のステップS13,S14の処理が省略される。また、上記ステップS12とステップS15との間において、チャンバ本体内の雰囲気を窒素ガスに置換する処理が省略されてもよい。
【0096】
以上に説明したように、基板処理装置1cの蒸気処理部8aでは、フッ酸タンク83を含む構成によりシリコン酸化膜を除去する酸化膜除去部が実現され、シリル化材料タンク85を含む構成によりシリル化処理を行うシリル化処理部が実現され、酸化膜除去部およびシリル化処理部において、基板9を保持する保持部であるホットプレート81が共有される。したがって、蒸気処理部8aにて基板9の一の主面上のシリコン酸化膜が除去された後、基板9を移動することなく、当該主面に対してシリル化材料の蒸気が付与され、シリル化処理が施される。これにより、シリコン酸化膜の除去後、シリル化処理までの時間を短くすることができ、シリコン酸化膜の除去後、シリル化処理までにおける自然酸化膜の成長を抑制することができる。その結果、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度を低くすることができる。
【0097】
また、蒸気処理部8aでは、基板9に向けて蒸気を噴出する蒸気噴出部82が酸化膜除去部およびシリル化処理部にて共有されることにより、基板処理装置1cにおける部品点数を削減することができる。
【0098】
図24は、本発明の第5の実施の形態に係る基板処理装置1dの構成を示す図である。図24の基板処理装置1dでは、図1の基板処理装置1と比較して処理ブロック3dの構成が相違する。他の構成は図1と同様であり、同符号を付している。図24の処理ブロック3dでは、4個の蒸気処理部8bが設けられる。蒸気処理部8bは、図23の蒸気処理部8aにおいて、リンス処理用のリンス液ノズルを設けたものであり、リンス処理が可能である。これにより、図24の基板処理装置1dでは、フッ酸の蒸気によるシリコン酸化膜の除去、リンス液によるリンス処理、および、シリル化材料の蒸気によるシリル化処理を、基板9を移動することなく、連続して行うことができる。
【0099】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0100】
上記第1および第2の実施の形態では、処理液供給部5により除去液およびリンス液の双方の酸素濃度が低減されるが、除去液およびリンス液の一方のみにおける酸素濃度が低減されてもよい。処理液供給部5では、除去液およびリンス液の少なくとも一方における酸素濃度が低減されることにより、シリコン酸化膜除去後におけるシリル化処理と相まって、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムをより長くするとともに、シリコンゲルマニウム膜の形成におけるプリベイクの温度をより低くすることができる。
【0101】
上記第1および第3の実施の形態では、センターロボット31が、シリコン酸化膜の除去が完了した基板9を酸化膜除去部からシリル化処理部6へと搬送することにより、基板9表面の汚染等が防止されるが、酸化膜除去部からシリル化処理部6へと基板9を移動する基板移動機構は、センターロボット31以外の機構にて実現されてもよい。
【0102】
基板処理装置1,1a〜1dにおいて、処理ブロック3,3a〜3dにおける構成要素(酸化膜除去部4、シリル化処理部6,6a、処理ユニット7、蒸気処理部8,8a,8b)の配置は適宜変更されてよく、例えば、複数の構成要素が鉛直方向において積層されてもよい。
【0103】
シリコン酸化膜の除去後、シリル化処理を施すことにより、シリコンゲルマニウム膜の形成までのQタイムを長くするとともにプリベイクの温度を低くする上記手法は、複数の基板を一括して処理する、いわゆるバッチタイプの基板処理装置において採用されてもよい。また、基板処理装置1,1a〜1dにおける処理対象の基板9は、トランジスタ用のパターン以外のパターンが形成されるものであってもよい。
【0104】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0105】
1,1a〜1d 基板処理装置
4 酸化膜除去部
5 処理液供給部
6,6a シリル化処理部
7 処理ユニット
8,8a,8b 蒸気処理部
9 基板
31 センターロボット
43,72 除去液ノズル
44,73 リンス液ノズル
71 スピンチャック
81 ホットプレート
S12,S13,S15 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板におけるシリコンゲルマニウム膜の形成の前工程として、前記シリコン基板を処理する基板処理方法であって、
a)シリコン基板の一の主面上のシリコン酸化膜を除去する工程と、
b)シリル化材料を付与して前記主面に対してシリル化処理を施す工程と、
を備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記a)工程が、
a1)前記シリコン酸化膜を除去する除去液を前記主面に付与する工程と、
a2)前記主面にリンス液を付与する工程と、
を備え、
前記除去液および前記リンス液の少なくとも一方における酸素濃度が低減されていることを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理方法であって、
前記シリコン基板においてトランジスタ用のパターンが形成されていることを特徴とする基板処理方法。
【請求項4】
シリコン基板におけるシリコンゲルマニウム膜の形成の前工程として、前記シリコン基板を処理する基板処理装置であって、
シリコン基板の一の主面上のシリコン酸化膜を除去する酸化膜除去部と、
シリル化材料を付与して前記主面に対してシリル化処理を施すシリル化処理部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置であって、
前記酸化膜除去部が、
前記シリコン酸化膜を除去する除去液を前記主面に付与する除去液付与部と、
前記主面にリンス液を付与するリンス液付与部と、
前記除去液および前記リンス液の少なくとも一方における酸素濃度を低減する酸素濃度低減部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の基板処理装置であって、
前記酸化膜除去部から前記シリル化処理部へとシリコン基板を移動する基板移動機構をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項4または5に記載の基板処理装置であって、
前記酸化膜除去部および前記シリル化処理部が、前記シリコン基板を保持する保持部を共有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記シリコン基板においてトランジスタ用のパターンが形成されていることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−51264(P2013−51264A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187415(P2011−187415)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】