説明

画像形成装置

【課題】現像装置の入れ替えを起因とした現像装置内へのトナーの混ざり合い(トナーコンタミネーション)を防止できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本体フレームに入れ替え可能に設けられた現像装置10a‥と、その現像装置10a‥に対向して設けられ、現像装置10a‥からのトナーが現像装置10a‥との対向部Nを介して受け渡される感光ドラム7a‥と、その感光ドラム7a‥をクリーニングするドラムクリーニング部8と、現像装置同士の入れ替えの際、現像装置の取り外しから他の現像装置の取り付けまでの間に、現像装置の取り外し直前の、対向部Nを逃がすように感光ドラム7a‥を所要の回転角度だけ回転させる回転制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方方式の画像形成装置に、例えば、以下のものがある。
一時的に不要であったり、使用頻度の少なかったりする淡マゼンタなど特別色トナーを用いる特別色画像形成部を本体フレームから抜き取って保管し、そのスペースに使用頻度の多いイエロー、マゼンタ、シアン、黒など基本4色のどれかを、たとえば黒色の基本色画像形成部を予備として入れ替えておき、黒トナー無し、エラー発生、あるいは制御などのために一時的に画像形成を中断せざるを得なくなった場合、その予備とした黒色の基本色画像形成部を代行させて画像形成を継続させる画像形成装置がある。
この画像形成装置によれば、トナー無し発生時等に本体フレームの作動を中断せずに続行させることで、稼働率の高い画像形成装置が提供できる、としている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した画像形成装置は以下の問題点がある。
その問題点とは、画像形成部の入れ替えにより異なる色のトナーが現像装置内で混ざってしまうことである。上述の例で言えば、本来、淡マゼンタの画像形成部が配置されるスペースに黒色の画像形成部を入れ替えたり、その逆に、黒色の画像形成部から淡マゼンタの画像形成部に戻したりすると、現像装置内の黒色トナーに淡マゼンタが混ざり込んだり、現像装置内の淡マゼンタトナーに黒色トナーが混ざり込んだりしてしまう。なお、本明細書では、この異なる色のトナーが混ざり合うことをトナーコンタミネーションと呼称する。
【0004】
このトナーコンタミネーションが生じる原因としては、例えば、現像装置の一構成体である現像ローラと、その現像ローラに対向して設けられた感光体との場合、感光体の、現像ローラとの対向部には、入れ替え前のトナーが微量に残余している。これが交換後の現像ローラを介して現像装置内に回収されて、徐々にトナーコンタミネーションが生じてしまう。透明トナーを用いる場合、トナーコンタミネーションによる画像劣化が特に目立つことになる。この現象は、感光体と中間転写ベルトとの場合も同様である。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、下記の技術的手段を講じた。
請求項1にかかる発明は、本体フレームに入れ替え可能に設けられ、トナーを担持させる第1の担持手段と、該第1の担持手段に対向して設けられ、前記第1の担持手段に担持された前記トナーが前記第1の担持手段との対向部を介して受け渡される一方向に回転可能な第2の担持手段と、該第2の担持手段をクリーニングするクリーニング手段と、前記第1の担持手段の入れ替えの際、前記第1の担持手段の取り外しから他の第1の担持手段の取り付けまでの間に、前記第1の担持手段の取り外し直前の前記対向部を逃がすように前記第2の担持手段を所要の回転角度だけ回転させる回転制御手段とを備えた画像形成装置を特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1において、前記第1の担持手段は、現像装置であり、前記第2の担持手段は、潜像が形成されると共に該潜像が前記現像装置で現像されてトナー画像が形成される感光体であることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1において、前記第1の担持手段は、トナー画像を形成する画像形成ユニットであり、前記第2の担持手段は、前記画像形成ユニットで形成されたトナー画像が転写される中間転写体であることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項2において、前記感光体は感光ドラムであり、前記回転制御手段は、次式で表される回転角度θ分、前記感光ドラムを回転させることを特徴とする。回転角度θ(radian)≧W/R
(上記式において、Wは、対向部の回転方向の幅であり、Rは感光ドラムの半径である。)
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4の何れか1項において、前記本体フレームは、フルカラー画像を形成させる複数の基本色トナーの数と同数の前記第1の担持手段が配置可能に構成され、前記第1の担持手段は、フルカラー画像を形成させる基本色トナーを用いるものと、前記基本色以外の特殊トナーを用いるものとの複数で構成され、前記本体フレームと前記第1の担持手段とに設けられ、前記本体フレームに前記第1の担持手段が取り付けられている否かを検知すると共に前記本体フレームに取り付けられた前記第1の担持手段を特定する検知手段と、シート状の記録材にトナー画像が転写される状態または転写されない状態の何れかの状態に移行可能に構成された転写手段と、該検知手段で特定された前記第1の担持手段に応じた画像形成が実行可能に構成されると共に、前記転写手段を動作制御してシート状の記録材に前記基本色トナーの数より多い数のトナー画像が転写可能に構成された動作制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項5において、前記回転制御手段は、前記本体フレームから前記第1の担持手段が取り外されたことを前記検知手段が検知したことをトリガーにして、前記回転制御手段による前記第2の担持手段の回転を実行させるように構成されていることを特徴とする。
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6の何れか1項において、前記回転制御手段による前記第2の担持手段の回転の終了をトリガーにして、他の前記第1の担持手段に入れ替え可能な状態に移行したことを知らせる報知手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トナーを担持させる第1の担持手段の入れ替えの際、回転制御手段が、第1の担持手段の取り外しから他の第1の担持手段の取り付けまでの間に、第1の担持手段の取り外し直前の第2の担持手段における第1の担持手段との対向部を逃がすように、第2の担持手段を所要の回転角度だけ回転させることで、その対向部に残余していたトナーが移動して、他の第1の担持手段への乗り移りを防止すると共に、クリーニング手段が、その移動したトナーをクリーニングするから、トナーコンタミネーションの防止が可能な画像形成装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1にかかる画像形成装置の概略を示した模式図である。
【図2】画像形成手段の概略を示した模式図である。
【図3】感光ドラムの駆動回りを示した模式図である。
【図4】現像装置の入れ替えを示した斜視図である。
【図5】回転制御手段による感光ドラムの回転角度を示した模式図である。
【図6】現像装置の入れ替えを含んだ画像形成にかかる一連の動作を示した工程図である。
【図7】図6に続く工程図である。
【図8】図7に続く工程図である。
【図9】図8に続く工程図である。
【図10】図9に続く工程図である。
【図11】実施の形態2にかかる画像形成装置の概略を示した模式図である。
【図12】現像装置の入れ替えを含んだ画像形成にかかる一連の動作を示したフローチャートである。
【図13】現像装置の入れ替えに関する表示例を示した説明図である。
【図14】トナーコンタミネーションの発生状況を示した線図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明にかかる画像形成装置の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる画像形成装置は、図1に示すように、本体フレーム1と、中間転写手段と、画像形成手段と、検知手段と、画像読取手段19と、露光手段20と、給紙手段と、用紙搬送手段と、転写手段と、定着手段30と、制御手段とを備える。
【0009】
本体フレーム1は、複数の部材で構成され、画像形成装置としての外観意匠を形成させると共に、画像形成装置としての機能を実現させる各構成部を装置内部で支持可能に形成させている。この本体フレーム1には、フルカラー画像を形成させる複数の基本色トナーの数と同数の現像装置(第1の担持手段)、すなわち、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの計4つの基本色トナーと同数の現像装置10a、10b、10c、10dを挿入させて支持させる支持部1a(図4)が所定の間隔をおいて設けられている。
【0010】
中間転写手段は、駆動ローラ2と、その駆動ローラ2から所要の間隔をおいて設けられた第1従動ローラ3と、その第1従動ローラ3と駆動ローラ2との間で且つその下方に設けられた第2従動ローラ4と、これらのローラに掛け渡された中間転写ベルト5と、その中間転写ベルト5に接するように且つ第1従動ローラ3に対向するように設けられ、中間転写ベルト5の表面を清掃するベルトクリーニング部6とを備える。
この中間転写ベルト5は、現像装置に対向して、且つ、図示しない駆動手段により図1において時計回りに回転可能に設けられており、感光体としての感光ドラム7a、7b、7c、7d(第2の担持手段)に担持されたトナー画像が、感光ドラム7a、7b、7c、7dとの対向部Nを介して受け渡されるようになっている。
【0011】
画像形成手段は、中間転写ベルト5の、第1従動ローラ3と駆動ローラ2との間の表面側に沿うように所定の間隔をおいて設けられ、潜像が形成されると共にその潜像が現像装置10a、10b、10c、10d、(10e)で現像されてトナー画像が形成される一方向(反時計回り)に回転可能な感光ドラム7a、7b、7c、7dと、図2に示すように、感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面と接するように設けられ、感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面を清掃するブラシ81やブレード82を備えると共に感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面に潤滑剤を塗布する塗布部83を備えたドラムクリーニング部8(クリーニング手段)と、感光ドラムの表面に光を照射させて除電させる除電部36と、感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面を帯電させる帯電部9と、トナーを担持させる現像スリーブ101を備え、その現像スリーブ101で供給されたトナーで感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面に形成された潜像をトナー画像に現像可能に設けられた現像装置10a、10b、10c、10d(第1の担持手段)と、その現像装置10a、10b、10c、10dにトナーを補給するトナー補給装置11とを備えてなる。
【0012】
このうち、感光ドラム7a、7b、7c、7dは、現像スリーブ101に担持されたトナーが、現像スリーブ101との対向部Nを介して受け渡されることで、潜像がトナー画像に現像される。
また、感光ドラム7a、7b、7c、7dは、図3に示すように、感光ドラム7a、7b、7c、7dの軸端とパルス電力で駆動する駆動モータ12の出力軸との夫々に設けられたタイミングプーリー13、14に、タイミングベルト15が架け渡されて、駆動モータ12の出力軸の回転に伴って回転可能になっている。
さらに、感光ドラム7a、7b、7c、7dの軸端には、感光ドラム7a、7b、7c、7dの角度を検出するエンコーダー16が接続されている。このエンコーダー16と駆動モータ12は、後述する回転制御手段に電気的に接続されている。
【0013】
また、現像装置10a、10b、10c、10d、(10e)は、感光ドラム7a、7b、7c、7dと対向する現像領域に現像剤を担持して搬送する現像スリーブ101の他に、装置内の二成分現像剤中のトナーの比率(トナー濃度)を透磁率で検知するトナー濃度センサ(図示せず)と、現像装置内の二成分現像剤を攪拌搬送させる撹拌スクリュー102と、この現像装置10a、10b、10c、10dを形成すると共に後述するトナー補給装置11と接続されるトナー補給口103が形成されたハウジング104とを備えて構成される。なお、トナー濃度センサによる検知信号は後述する動作制御手段に送信される。
【0014】
この現像装置は、フルカラー画像を形成させる、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本色トナーを用いるものと、透明トナーや金属色トナー等の特殊トナーを用いるものとの複数で構成されており、本体フレーム1に所定の間隔をおいて形成された4つの支持部1aに対し選択的に挿入され支持される。
【0015】
トナー補給装置11は、トナー流出口111が形成され、そのトナー流出口111がトナー補給口103と通じ合うように配置されると共に、トナーが収容されたトナーホッパ112と、そのトナーホッパ112内に回転可能に架け渡され、現像装置10a、10b、10c、10d内にトナーを補給させる一対の搬送スクリュー(図示せず)とを備えてなる。
このトナー補給装置11は、トナー濃度センサの検知信号に基づいて、後述する動作制御手段が、トナーホッパ112内の搬送スクリューを駆動制御して、現像装置10a、10b、10c、10d内のトナー濃度が所定の濃度を維持するように、現像装置10a、10b、10c、10d内にトナーを補給する。
【0016】
このように構成された画像形成手段は、図1において、左から右に向かって順に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの基本色トナー画像を形成するものを基本的な配置とし、任意の位置の現像装置を、適宜、他の現像装置に入れ替える(本実施の形態では、ブラックトナー用の現像装置10dと透明トナー用の現像装置10eの入れ替えを例示)。
【0017】
現像装置の入れ替えは、トナー補給装置11と同時に交換することが望ましいが、少なくとも、現像装置の取り出しの際に自動的にトナー流出口111を塞ぐメカニカルシャッターを設けて、現像装置のみの交換でも良い。その際は当然ながら通常のトナー補給ができないため、通常のトナー補給動作を行わずに現像剤中のトナーのみの画像形成となる。
【0018】
検知手段は、記録部17と、読み取り部18と、特定部とを備えて構成される。
記録部17は、図4に示すように、現像装置のハウジング104に設けられており、当該現像装置が担当しているトナーの種類の情報が記録、または、トナーの種類に対応付けされた情報が記録されている。この記録部17は、例えば、無線IDチップ、バーコード、数ビットの2値信号として形成された切欠き等が挙げられる。
【0019】
読み取り部18は、本体フレーム1の支持部1aに設けられており、記録部17に記録された情報を読み取るようになっている。この読み取り部18は、例えば、記録部17が無線IDチップの場合はそのリーダー、記録部17がバーコードの場合はスキャナー、記録部17が切欠きの場合は透過型フォトインタラプタ等が挙げられる。
【0020】
特定部は、読み取り部18からの信号の有無で、本体フレーム1に現像装置が取り付けられている否かを検知すると共に、読み取り部18で読み取られた記録部17の情報から支持部1aに取り付けられた現像装置が、どのようなトナーを用いているものかを特定するようになっている。この特定部は、後述する制御手段に組み込まれている。
【0021】
このように検知手段は、本体フレーム1と現像装置10a、10b、10c、10d、(10e)とに設けられており、現像装置10a、10b、10c、10d、(10e)が本体フレーム1に取り付けられている否かを検知すると共に、本体フレーム1に取り付けられた現像装置を特定するようになっている。
【0022】
画像読取手段19は、図1に示すように、本体フレーム1の上部に設けられ、図示せぬコンタクトガラス上に置かれた原稿を光学的に読み取って画像データを生成するようになっている。
【0023】
露光手段20は、画像形成手段と画像読取手段19との間に設けられ、画像読取手段19で生成された画像データに基づいたレーザー光を、帯電部9と現像装置10a、10b、10c、10dとの間から感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面に照射して、画像データに基づいた潜像を感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面に形成するようになっている。
【0024】
給紙手段は、本体フレーム1の下部に設けられ、シート状の記録材としての用紙が収容される給紙トレイ21と、その給紙トレイ21に収容された用紙に向かって進退可能に設けられ、最上段の用紙を一枚ずつ送り出す給紙ローラ22とを備える。図1では、二段の給紙トレイを例示している。
【0025】
用紙搬送手段は、第1の搬送路部23と、第2の搬送路部24とを備える。
第1の搬送路部23は、複数の搬送ローラと複数のガイド板(図示せず)とを備え、給紙ローラ22で送り出された用紙を、中間転写ベルト5を挟んだ第2従動ローラ4を通過するように移動させ、本体フレーム1の側面中間部に設けられた排紙トレイ25に排出可能に構成される。
【0026】
また、この第1の搬送路部23は、後述する二次転写ローラ29と中間転写ベルト5との対向部Nに向かって、所定のタイミングで用紙を送り出すタイミングローラ26とを備える。
【0027】
第2の搬送路部24は、反転ローラ27を備えた複数の搬送ローラと複数のガイド板(図示せず)とを備え、排紙トレイ25に排出される直前で第1の搬送路部23から分岐されると共に、用紙表面にトナー画像が転写された用紙を反転させて第1の搬送路部23のタイミングローラ26の前で合流されるように構成される。
【0028】
転写手段は、一次転写ローラ部と、二次転写ローラ部とを備えて構成される。
一次転写ローラ部は、中間転写ベルト5の裏面側に、夫々の感光ドラム7a、7b、7c、7dと対向するように設けられた一次転写ローラ28と、トナーの帯電極性と逆極性のバイアスを一次転写ローラ28にかける1次転写バイアス部(図示せず)とを備え、感光ドラム7a、7b、7c、7dに形成されたトナー画像を、感光ドラムと一次転写ローラ28とが対向して形成された一次転写ニップN1を介して中間転写ベルト5に転写させるようになっている。
【0029】
二次転写ローラ部は、中間転写ベルト5を挟んで第2従動ローラ4と対向するように設けられた二次転写ローラ29と、トナーの帯電極性と逆極性のバイアスを二次転写ローラ29にかける2次転写バイアス部(図示せず)と、中間転写ベルト5の、第2従動ローラ4と二次転写ローラ29とが対向して形成された二次転写ニップN2を中間転写ベルト5から用紙にトナー画像が転写される状態または転写されない状態の何れかの状態に移行させる転写無効化部とを備えて構成される。
【0030】
この転写無効化部は、第2従動ローラ4または二次転写ローラ29をソレノイド等の駆動部材で前進及び後退可能に設け、後述する動作制御手段からの制御信号に応じて用紙と中間転写ベルト5との間隙を調整したり、後述する動作制御手段からの制御信号に応じて2次転写バイアス部によるバイアスをONまたはOFFにしたりすることで、二次転写ニップN2を有効化したり無効化したりする。なお、この転写無効化部は、例えばプロセスコントロール時に被検査体のトナーパッチを乱さないようにするときに用いられる公知技術である。
【0031】
定着手段30は、上述した二次転写ニップN2の近傍で、用紙搬送下流側に設けられ、二次転写ニップN2でトナー画像が転写された用紙に熱と圧力を加えて、用紙にトナー画像を定着させる一対のローラを備えて構成される。
【0032】
制御手段は、回転制御手段と、動作制御手段と、報知手段と、入力手段とを備えて構成される。
【0033】
回転制御手段は、現像装置の入れ替えの際、本体フレーム1から現像装置、例えばブラックトナー用の現像装置10dまたは透明トナー用の現像装置10eが取り外されたことを検知手段が検知したことをトリガーにして、現像装置の取り外し直前の、現像スリーブ101との対向部Nを逃がすように、感光ドラム7dを所要の回転角度θだけ回転させるようになっている。この感光ドラム7dの回転動作は、例えば、ブラックトナー用の現像装置10dの取り外しから他の現像装置としての透明トナー用の現像装置10eの取り付けまでの間に実行される。
【0034】
上述した回転角度θは、図5に示すように、対向部Nの回転方向の幅をWとし、感光ドラム(例えば感光ドラム7d)の半径をRとした場合、次式で表される。
回転角度θ(radian)≧W/R
このように、少なくとも、対向部Nの回転方向の幅W以上分、感光ドラム(例えば感光ドラム7d)を回転させれば良い。
【0035】
動作制御手段は、画像データに基づいて用紙にトナー画像が形成可能に各構成部を制御したり、検知手段で特定された現像装置に応じた動作制御をしたり、用紙に基本色トナーの数より多い数のトナー画像を転写可能とさせる転写無効化部の制御をしたり、現像装置内のトナー濃度の制御をしたりする等、印刷ジョブに応じて用紙に画像が印刷されるように各構成部の動作制御を司っている。
【0036】
この動作制御手段は、現像装置の入れ替え時の制御も行なっている。例えば、図1において、右端の現像装置が透明トナー用の現像装置10eであると検知手段が特定した場合、その透明トナー用の現像装置10eに対応した感光ドラム7dに透明トナー画像を形成可能に制御する。
【0037】
そして、その右端の透明トナー用の現像装置10eをブラックトナー用の現像装置10dに入れ替えると、検知手段は、右端の現像装置がブラックトナー用の現像装置10dであると特定し、そのブラックトナー用の現像装置10dに対応した感光ドラム7dにブラックトナー画像を形成可能に制御する。
【0038】
また、この動作制御手段は、例えば、透明トナー画像が中間転写ベルト5に一次転写されるように各構成部を動作させた後、転写無効化部を制御して二次転写ニップN2を無効化すると共に、画像形成を停止(中間転写ベルト5の移動等を停止)して、現像装置の交換が可能な状態にする。
【0039】
そして、ユーザーによって、透明トナー用の現像装置10eをブラックトナー用の現像装置10dと入れ替え後に画像形成を再開する。すなわち、透明トナー画像の二次転写ニップN2通過後に転写無効化部を制御して二次転写ニップN2を有効化し、中間転写ベルト5上の透明トナー画像の上に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの基本色トナー画像が重なるように一次転写し、その一次転写したトナー画像を用紙に二次転写するように制御する。
【0040】
報知手段は、現像装置の交換を促すメッセージや、回転制御手段による感光ドラムの回転の終了をトリガーにして、所定の支持部に現像装置が取り付けできる状態になったことを、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続されたコンピュータ等の端末の操作表示部に表示させる。
例えば、ブラックトナー用の現像装置10dを右端の支持部から引き出し後、回転制御手段による感光ドラム7dが所要の角度回転し、報知手段は、その回転の終了をトリガーにして、透明トナー用の現像装置10eが取り付けできる状態になったことを画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続されたコンピュータ等の端末の操作表示部に表示させる。
【0041】
入力手段は、印刷にかかる各種の設定情報や、その設定情報に従った印刷の実行命令等の印刷ジョブを、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続されたコンピュータ等の端末の操作表示部を介して入力可能に構成される。
【0042】
次に、以上のように構成された画像形成装置の、現像装置の入れ替えを含んだ画像形成にかかる一連の動作を、図6〜図10を参照しながら説明する。
なお、入れ替えをする現像装置は、ブラックトナー用の現像装置10dと透明トナー用の現像装置10eとし、ベタの透明トナー画像を最上層にしたフルカラー画像を用紙に形成させる印刷ジョブであることを前提にして説明する。
【0043】
入力手段は、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続したコンピュータ等の端末の操作表示部に、印刷にかかる各種の設定情報の入力画面のほかに、現像装置の入れ替え動作をするか、また、どの現像装置10a、10b、10c、10dを入れ替えるのか、を入力させる画面を表示する。その表示例を図13に示す。
本実施の形態の場合、ブラックトナー用の現像装置10dを入れ替え対象とするため、ユーザーは、“4”を選択入力してから、印刷の開始を入力する。なお、現像装置の入れ替え動作をしない場合、ユーザーは、“5”を選択入力する。
【0044】
報知手段は、印刷ジョブを受け取ると、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続したコンピュータ等の端末の操作表示部に、ブラックトナー用の現像装置10dの交換を促すメッセージを表示する。
ユーザーが、ブラックトナー用の現像装置10dを本体フレーム1から取り外すと、検知手段は、ブラックトナー用の現像装置10dが本体フレーム1から取り外されたことを検知する。
回転制御手段は、その検知をトリガーにして、感光ドラム7dを、少なくとも、対向部Nの回転方向の幅W以上分の回転を実行する。
【0045】
報知手段は、感光ドラム7dの回転の終了をトリガーにして、透明トナー用の現像装置10eが取り付け可能(挿入可能)な状態に移行したことを、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続されたコンピュータ等の端末の操作表示部に表示する。
【0046】
ユーザーは、透明トナー用の現像装置10eの取り付け作業を行なう(図6)。
図において右端の支持部に新たな現像装置が収まると、その現像装置の筐体に設けた記録部の情報を読み取り部が読み取り、特定部が、右端の支持部に透明トナー用の現像装置10eが取り付けられたと判断し、その情報を動作制御手段に送信する。
【0047】
上述の情報を受信した動作制御手段は、透明トナー用の画像形成手段を用いて画像形成動作を開始する。
先ず、透明トナー用の画像形成手段のみ、画像形成動作を開始すると共に、給紙トレイに収容した用紙を給紙ローラが取り出し、第1の搬送路部が、その用紙をタイミングローラ26まで搬送する。
【0048】
透明トナーに対応した帯電部9は、感光ドラム7dの表面を一様な電位に帯電し、露光手段20が、感光ドラム7dの表面にベタ画像となるようにレーザー光を照射して潜像を形成する。そして、透明トナー用の現像装置10eが、その潜像を透明トナー画像に現像する。
一次転写ローラ28は、印加された転写バイアス及び押圧力によって、感光ドラム7d上の透明トナー画像を中間転写ベルト5上に一次転写する。
一次転写後の感光ドラム7dの表面に、トナーが残余している場合があり、ドラムクリーニング部8は、その残余したトナーを除去する。その後、除電部36によって、感光ドラム7dの表面が一様に除電されて、次の画像の為の帯電に備える。
【0049】
動作制御手段は、転写無効化部に制御信号を送信して二次転写ニップN2を無効化し、中間転写ベルト5に一次転写された透明トナー画像が二次転写ニップN2を通過し、その二次転写ニップN2とイエロートナー画像用の画像形成手段との間に位置したら、中間転写ベルト5や各回転体の回転を停止して、現像装置の入れ替えが可能な状態に移行させる(図7)。
【0050】
報知手段は、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続したコンピュータ等の端末の操作表示部に、現像装置の交換を促すメッセージを表示する。
ユーザーが、透明トナー用の現像装置10eを本体フレーム1から取り外すと、検知手段は、透明トナー用の現像装置10eが本体フレーム1から取り外されたことを検知する。
回転制御手段は、その検知をトリガーにして、感光ドラム7dを、少なくとも、対向部Nの回転方向の幅W以上分の回転を実行する。
【0051】
報知手段は、感光ドラム7dの回転の終了をトリガーにして、ブラックトナー用の現像装置10dが取り付け可能(挿入可能)な状態に移行したことを、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続されたコンピュータ等の端末の操作表示部に表示する。
【0052】
ユーザーは、ブラックトナー用の現像装置10dの取り付け作業を行なう(図8)。
図において右端の支持部1aに新たな現像装置が収まると、その現像装置の筐体に設けた記録部の情報を読み取り部が読み取り、特定部が、右端の支持部にブラックトナー用の現像装置10dが取り付けられたと判断し、その情報を動作制御手段に送信する。
動作制御手段は、転写無効化部に制御信号を送信して二次転写ニップN2を有効化し、中間転写ベルト5や各回転体の回転、及び、画像形成を再開する(図9)。
【0053】
イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各帯電部9は、夫々対応した感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面を一様な電位に帯電し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各露光手段20が、夫々対応した感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面に、夫々所定のタイミングでレーザー光を照射して、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、夫々の潜像を形成していく。そして、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各現像装置10a、10b、10c、10dが、その潜像をトナー画像に現像する。
【0054】
一次転写ローラ28は、印加された転写バイアス及び押圧力によって、感光ドラム7a、7b、7c、7d上のトナー画像を中間転写ベルト5上に一次転写する。この一次転写は、中間転写ベルト5上の透明トナー画像の上に4色のトナー画像が重なるようにタイミングを合わせて実行され、中間転写ベルト5上に透明トナー画像を含んだフルカラートナー画像が形成される。一次転写されずに残余した感光ドラム7a、7b、7c、7d上のトナーは、ドラムクリーニング部8により除去される。
【0055】
タイミングローラ26は、移動してきた用紙を挟んだまま待機し、中間転写ベルト5上の透明トナー画像を含んだフルカラートナー画像が二次転写ニップN2に移動してくるのを見計らって用紙を送り出す。
二次転写ローラ29は、印加された転写バイアス及び押圧力によって、中間転写ベルト5上の透明トナー画像を含んだフルカラートナー画像を、二次転写ニップN2で用紙上に二次転写する。
そして、定着手段30は、透明トナー画像を含んだ未定着のフルカラートナー画像を担持した用紙に熱と圧力を加えて、透明トナー画像およびフルカラートナー画像を溶融し、透明トナー画像を最上層としたフルカラートナー画像を用紙上に定着する(図10)。
【0056】
片面プリントならば、用紙はそのまま直線搬送されて排紙トレイ25へ、両面プリントならば、用紙は、第2の搬送路部24に送られて反転され、タイミングローラ26により裏面側のプリントタイミングまで待機させられる。この後は表面側のプリントの時と同じ様にトナー画像が転写されて、定着手段30を通過して排紙トレイ25に排出される。
【0057】
一方、一次転写後の感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面に、トナーが残余している場合があり、ドラムクリーニング部8は、その残余したトナーを除去する。その後、除電部36によって、感光ドラム7a、7b、7c、7dの表面が一様に除電されて、次の画像の為の帯電に備える。
【0058】
また、二次転写ニップN2を通過した中間転写ベルト5に関しても、その表面にトナーが残余している場合があるが、こちらもベルトクリーニング部6によって除去され、次のトナー画像の転写に備える。この様な動作の繰り返しで、片面プリント若しくは両面プリントが行われる。
【0059】
このように実施の形態1にかかる画像形成装置は、ブラックトナー用の現像装置10dから透明トナー用の現像装置10eへの入れ替えの際と、透明トナー用の現像装置10eからブラックトナー用の現像装置10dへの入れ替えの際に、対向部Nを逃がすように回転制御手段が感光ドラム7dを回転するから、感光ドラム7d上の対向部Nに残余していた入れ替え前のトナーが、入れ替え後の現像装置内に入り込むのを防止する。そして、ドラムクリーニング部8が、その移動したトナーをクリーニングする。これらの作用により、トナーコンタミネーションの防止が可能な画像形成装置を提供できる。
【0060】
この実施の形態1は、現像装置を第1の担持手段とし、感光ドラムを第2の担持手段として、現像装置の入れ替えの際に、感光ドラムを所要回転角度だけ回転させて、トナーコンタミネーションを防止したものを例示したが、感光ドラムや現像装置等を一体化した画像形成ユニットを第1の担持手段とし、中間転写体としての中間転写ベルト5を第2の担持手段としても良い。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態2は、用紙搬送手段で用紙を搬送させながら、感光ドラム7a、7b、7c、7dに形成した各トナー画像を、その用紙に直接転写させるタイプの画像形成装置に本発明を適用させた例である。実施の形態1と実質的に同一となる構成部の詳細な説明は、実施の形態1と同じ符号を付して省略し、実施の形態1と異なる構成部を説明する。
【0062】
すなわち、実施の形態2にかかる画像形成装置は、図11に示すように、給紙トレイ21から排紙トレイ25へ通じ、その中途部に4つの画像形成手段と定着手段30とが配置された第1の搬送路部31と、第1の搬送路部31の、定着手段30と排紙トレイ25との間から分岐された所要長さの第2の搬送路部32と、第1の搬送路部31を挟んで第2の搬送路部32と通じるように形成されると共に給紙トレイ21側で第1の搬送路部31と合流するように形成された第3の搬送路部33と、第1の搬送路部31の、第2の搬送路部32と第3の搬送路部33とが通じ合う位置から排紙トレイ25までの間から分岐され、第3の搬送路部33の、給紙トレイ21側で合流された第4の搬送路部34と、その第4の搬送路部34の中途部に設けられ、トナー画像が定着済みの用紙を保管させると共にその用紙を送り出し可能に設けられた保管部35と、感光ドラム7a、7b、7c、7dに形成した各トナー画像を、用紙に転写させる転写ローラ37とを備える。
【0063】
この用紙搬送手段は、第1の搬送路部31から第2の搬送路部32へ、第2の搬送路部32から第3の搬送路部33へ、第1の搬送路部31から第4の搬送路部34へ、用紙を案内させる切り換え爪(図示せず)を備えると共に、用紙搬送ベルト、搬送ローラ、用紙ガイド等を、適宜配置して、各搬送路部が構成されてなる。
また、画像形成手段は、図11において、右から左に向かって順に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの基本色トナー画像を形成するものを基本的な配置とし、任意の位置の現像装置を、適宜、他の現像装置に入れ替える(本実施の形態では、ブラックトナー用の現像装置10dと透明トナー用の現像装置10eの入れ替えを例示)。
【0064】
次に、実施の形態2にかかる画像形成装置の、ブラックトナー用の現像装置10dと透明トナー用の現像装置10eとの入れ替えを含んだ画像形成にかかる一連の動作を、図12を参照しながら説明する。なお、画像形成手段における画像形成動作は、実施の形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0065】
先ず、実施の形態1と同じく、入力手段が、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続したコンピュータ等の端末の操作表示部に、現像装置の入れ替えに係る入力画面を表示し、ユーザーに入力を促す。
現像装置の入れ替え動作を有するジョブであり、ブラックトナー用の現像装置10dを入れ替え対象とする場合、ユーザーは、“4”を選択入力する(図9参照)。また、ユーザーは、出力枚数(印刷枚数)など、印刷にかかる情報を入力する。
【0066】
動作制御手段は、ユーザーから入力された印刷にかかる情報が、現像装置の入れ替え動作を有するジョブか、また、入れ替えをする現像装置の位置(作像ステーション)なのかを判断し(S1)、現像装置の入れ替え動作の無いジョブの場合(S1;No)、通常の印刷出力モードに移行する(S2)。
【0067】
動作制御手段は、現像装置の入れ替え動作を有するジョブの場合(S1;Yes)、ユーザーにより設定された出力枚数が保管部35の許容枚数以下であるかを確認する(S3)。もし許容枚数を超えている場合は、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続したコンピュータ等の端末の操作表示部にその旨を表示する。アラートランプやアラートサウンドなどでその旨が分かるような表示でも良い。
【0068】
その後、出力枚数の変更あるいはジョブリセットの選択を促す旨が上述の操作表示部等に表示され、ユーザーの選択を受け付ける(S4)。
ユーザーが、印刷枚数の変更をしない場合、あるいは、ジョブリセットの選択をしない場合、印刷可能な枚数(保管部35の保管可能な枚数)まで出力をするか否かの選択を促す(S5)。
【0069】
出力枚数が保管部35の許容枚数以下の場合(S3;Yes)、または、印刷可能な枚数で出力をする場合(S5;Yes)、受け付けた印刷ジョブが両面印刷かどうかを判断する(S6)。
両面印刷の場合は(S6;Yes)、各画像形成手段で各色のトナー画像が用紙上で重なって転写されるように、用紙を第1の搬送路部31に通し、定着手段30でその各色のトナー画像を定着する(S7)。そして、その用紙は第2の搬送路部32でスイッチバックし、第3の搬送路部33を経て、第1の搬送路部31に入る。このようにして用紙裏面側が画像形成手段側となり、上記と同じく、トナー画像が用紙の裏面側に転写され定着される。
裏面に印刷が済んだ用紙は、第1の搬送路部31から第4の搬送路部34に入り、保管部35に保管される。保管部35へ至る印刷動作は、ユーザーが所望した出力枚数、または、装置が設定した印刷可能な枚数まで行なわれる。
【0070】
片面印刷の場合は(S6;No)、トナー画像が用紙の表面側に転写され定着された後、その用紙は、第1の搬送路部31から第4の搬送路部34に入り、保管部35に保管される。保管部35へ至る印刷動作は、ユーザーが所望した出力枚数、または、装置が設定した印刷可能な枚数まで行なわれる。
【0071】
保管部35に保管された用紙の枚数が、ユーザーが所望した出力枚数、または、装置が設定した印刷可能な枚数に達したら、画像形成動作を一時停止する(S9)。
報知手段は、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続したコンピュータ等の端末の操作表示部に、現像装置の交換を促すメッセージを表示する(S10)。
ユーザーが、ブラックトナー用の現像装置10dを本体フレーム1から取り外すと、検知手段は、ブラックトナー用の現像装置10dが本体フレーム1から取り外されたことを検知する。回転制御手段は、その検知をトリガーにして、感光ドラム7dを、少なくとも、対向部Nの回転方向の幅W以上分の回転を実行する。
【0072】
報知手段は、感光ドラム7dの回転の終了をトリガーにして、透明トナー用の現像装置10eが取り付け可能(挿入可能)な状態に移行したことを、画像形成装置の操作表示部、または、画像形成装置と接続されたコンピュータ等の端末の操作表示部に表示する。
【0073】
ユーザーは、透明トナー用の現像装置10eの取り付け作業を行なう。
図11において左端の支持部に新たな現像装置が収まると、その現像装置の筐体に設けた記録部17の情報を読み取り部18が読み取り、特定部が、所定の支持部1aに透明トナー用の現像装置10eが取り付けられたと判断し、その情報を動作制御手段に送信する。このようにして現像装置の入れ替え作業が終了する(S11)。
【0074】
動作制御手段は、透明トナー用の画像形成手段を用いて画像形成動作を再開する(S12)。
両面印刷の場合は、保管部35の用紙を送り出し、上述したように用紙の表面に透明トナー画像を印刷し、その後、スイッチバック移動し、用紙の裏面に透明トナー画像を印刷し(S13)、その後、装置外へ排出される(S15)。
片面印刷の場合は、保管部35の用紙を送り出し、上述したように用紙の表面に透明トナー画像を印刷し、その後、スイッチバック移動し、用紙の裏面に透明トナー画像を印刷し(S13)、その後、装置外へ排出される(S15)。
再開したこの画像形成動作は、保管部35に保管された用紙がなくなるまで繰り返し実行される。
【0075】
このように実施の形態2にかかる画像形成装置は、実施の形態1と同じく、ブラックトナー用の現像装置10a、10b、10c、10dと透明トナー用の現像装置10a、10b、10c、10dとを入れ替えても、トナーコンタミネーションを防止した画像形成装置を提供できる。
【0076】
ここで、本実施の形態で例示した第2の担持手段の回転制御(トナーコンタミネーションの防止手段)を講じた場合と講じない場合との効果の違いを表1及び図14に示す。
第2の担持手段の回転制御の無しの場合、有りの場合に比べて交換回数1000回付近でランクの悪化が見られ、2000回付近でランク1となった。つまり、わずかずつではあるが現像装置の交換時に現像装置内に異種のトナーが混入しつづけたためにこのような結果となった。なおランク3は画像形成において正常な色合いを維持した状態、ランク2は色合いが変化した状態(弱)、ランク1は色合いが変化した状態(強)。
【0077】
【表1】

【0078】
以上、本実施の形態にかかる画像形成装置を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0079】
例えば、本実施の形態では、透明トナー用の現像装置とブラックトナー用の現像装置との入れ替えを例示したが、入れ替えの対象となる現像装置は限定されない。
また、各画像形成手段の配置順は、実施の形態で例示したものに限定されない。
【0080】
また、本実施の形態では、検知手段が、何れの支持部に何れの現像装置が入れ替えられたかを自動的に検知し、その検知結果に基づいて動作制御手段による動作制御をしたものを例示したが、検知手段を廃し、何れの支持部にどの現像装置を入れ替えるのか、ユーザーによる指定(入力指示)させても良い。
【0081】
また、本実施の形態では、ベタの透明トナー画像を最上層にしたフルカラー画像を用紙に形成させる場合を例示したが、上述の透明トナー画像は、ベタ画像に限らず、透かしや地紋の画像でも良い。さらに、透明トナーによる用紙表面形状の変更でも良い。例えば表面が平滑な用紙に透明トナーでパターンを作成することでファンシーペーパーのような質感を与えることができる。このように、透明トナー画像は限定されない。
【符号の説明】
【0082】
1 本体フレーム
5 中間転写ベルト
6 ベルトクリーニング部
7a、7b、7c、7d 感光ドラム(第2の担持手段)
8 ドラムクリーニング部(クリーニング手段)
10a、10b、10c、10d、10e 現像装置(第1の担持手段)
N 対向部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2008−64893号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームに入れ替え可能に設けられ、トナーを担持させる第1の担持手段と、
該第1の担持手段に対向して設けられ、前記第1の担持手段に担持された前記トナーが前記第1の担持手段との対向部を介して受け渡される一方向に回転可能な第2の担持手段と、
該第2の担持手段をクリーニングするクリーニング手段と、
前記第1の担持手段の入れ替えの際、前記第1の担持手段の取り外しから他の第1の担持手段の取り付けまでの間に、前記第1の担持手段の取り外し直前の前記対向部を逃がすように前記第2の担持手段を所要の回転角度だけ回転させる回転制御手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の担持手段は、現像装置であり、前記第2の担持手段は、潜像が形成されると共に該潜像が前記現像装置で現像されてトナー画像が形成される感光体であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の担持手段は、トナー画像を形成する画像形成ユニットであり、前記第2の担持手段は、前記画像形成ユニットで形成されたトナー画像が転写される中間転写体であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体は感光ドラムであり、前記回転制御手段は、次式で表される回転角度θ分、前記感光ドラムを回転させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
回転角度θ(radian)≧W/R
(上記式において、Wは、対向部の回転方向の幅であり、Rは感光ドラムの半径である。)
【請求項5】
前記本体フレームは、フルカラー画像を形成させる複数の基本色トナーの数と同数の前記第1の担持手段が配置可能に構成され、
前記第1の担持手段は、フルカラー画像を形成させる基本色トナーを用いるものと、前記基本色以外の特殊トナーを用いるものとの複数で構成され、
前記本体フレームと前記第1の担持手段とに設けられ、前記本体フレームに前記第1の担持手段が取り付けられている否かを検知すると共に前記本体フレームに取り付けられた前記第1の担持手段を特定する検知手段と、
シート状の記録材にトナー画像が転写される状態または転写されない状態の何れかの状態に移行可能に構成された転写手段と、
該検知手段で特定された前記第1の担持手段に応じた画像形成が実行可能に構成されると共に、前記転写手段を動作制御してシート状の記録材に前記基本色トナーの数より多い数のトナー画像が転写可能に構成された動作制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回転制御手段は、前記本体フレームから前記第1の担持手段が取り外されたことを前記検知手段が検知したことをトリガーにして、前記回転制御手段による前記第2の担持手段の回転を実行させるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回転制御手段による前記第2の担持手段の回転の終了をトリガーにして、他の前記第1の担持手段に入れ替え可能な状態に移行したことを知らせる報知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−141551(P2012−141551A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1183(P2011−1183)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】