説明

薄膜トランジスタの作製方法

【課題】絶縁層上に結晶性の高い微結晶半導体層を形成することを課題とする。また、電気特性が良好な薄膜トランジスタを、生産性高く作製する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上に、窒素を含む絶縁層を形成する。次に、窒素を含む絶縁層上に、シリコンを含む堆積性気体と、窒素を含む酸化気体と、水素とを用い、プラズマを発生させて、酸化珪素層を形成する。次に、酸化珪素層上に、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素とを用い、プラズマを発生させて、微結晶半導体層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタの作製方法、及び該薄膜トランジスタを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタの一種として、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体層にチャネル領域が形成される薄膜トランジスタが知られている。薄膜トランジスタに用いられる半導体層として、非晶質シリコン、微結晶シリコン及び多結晶シリコンを用いる技術が開示されている(特許文献1乃至5参照)。薄膜トランジスタの代表的な応用例は、液晶テレビジョン装置であり、表示画面を構成する各画素のスイッチングトランジスタとして実用化されている。
【0003】
また、プラズマCVD装置の処理室内にシリコン含有ガス及び酸素含有ガスを導入し、これらのガスのプラズマを生成してシリコン酸化膜を形成した後、シリコン含有ガスの供給を停止し、反応室内に水素を導入して水素及び酸素のプラズマを生成して、シリコン酸化膜の欠陥を埋めることで良好なシリコン酸化膜を形成している。また、酸素含有ガスとして、酸素ガス、亜酸化窒素等を用いている(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−053283号公報
【特許文献2】特開平5−129608号公報
【特許文献3】特開2005−049832号公報
【特許文献4】特開平7−131030号公報
【特許文献5】特開2005−191546号公報
【特許文献6】特開平11−293470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、酸化シリコン層上に結晶性の高い微結晶半導体層を形成することを課題とする。また、本発明の一形態は、電気特性が良好な薄膜トランジスタを、生産性高く作製する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上に、窒素を含む絶縁層を形成する。次に、窒素を含む絶縁層上に、シリコンを含む堆積性気体と、窒素を含む酸化気体と、水素とを用い、プラズマを発生させて、酸化シリコン層を形成する。次に、酸化シリコン層上に、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素とを用い、プラズマを発生させて、微結晶半導体層を形成することを要旨とする。
【0007】
基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上に、窒素を含む絶縁層を形成する。次に、窒素を含む絶縁層上に、シリコンを含む堆積性気体と、窒素を含む酸化気体と、水素とを用い、プラズマを発生させて、酸化シリコン層を形成する。次に、酸化シリコン層上に、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素とを用い、プラズマを発生させて、厚さ3〜10nm、好ましくは3〜5nmの第1の半導体層を形成する。次に、シリコンを含む堆積性気体と、水素と、窒素を含む気体とを用い、プラズマを発生させて、第1の半導体層を種結晶として部分的に結晶成長させて、微結晶半導体で形成される複数の錐形状の凸部を有する第2の半導体層を形成する。次に、一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体層(以下、不純物半導体層と示す。)を形成し、導電層を形成して、薄膜トランジスタを作製する。なお、第1の半導体層の原料ガスに、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスを用いてもよい。
【0008】
第1の半導体層としては微結晶半導体層を形成する。第1の半導体層及び第2の半導体層の積層体を第3の半導体層とし、第3の半導体層は、ゲート絶縁層に接する微結晶半導体層と、当該微結晶半導体層に接する混合層とを有する。さらに、混合層に接する非晶質半導体を含む層を有してもよい。なお、ゲート絶縁層に接する微結晶半導体層は、第1の半導体層と、第2の半導体層の堆積において、第1の半導体層を種結晶として結晶成長した微結晶半導体層とを含む。
【0009】
第3の半導体層に含まれる微結晶半導体層は、薄膜トランジスタのチャネル形成領域として機能し、非晶質半導体を含む層は、高抵抗領域として機能する。不純物半導体層は、薄膜トランジスタのソース領域及びドレイン領域として機能し、導電層は配線として機能する。
【0010】
ゲート絶縁膜の形成材料に、シリコンを含む堆積性気体と、窒素を含む酸化気体と、水素とを用いて酸化シリコン層を形成すると、窒素を含む酸化気体と水素が反応し、窒素と水が生成される。次に、シリコンを含む堆積気体と、生成された水が反応して、酸化シリコン及び水素が生成される。このため、生成される酸化シリコン層に含まれる窒素含有量を低減することができる。
【0011】
酸化シリコン層に含まれる窒素量を低減することで、当該酸化シリコン層上に微結晶半導体層を形成する場合、微結晶半導体層の結晶化速度を高めると共に、結晶性を高めることが可能であるため、酸化シリコン層との界面からの結晶性の高い微結晶半導体層を形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のことから、酸化シリコン層上に結晶性の高い微結晶半導体層を形成することができる。また、オン電流及び電界効果移動度が高い薄膜トランジスタを生産性高く作製することができる。さらには、オフ電流が低く、オン電流及び電界効果移動度が高い薄膜トランジスタを生産性高く作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】薄膜トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図2】薄膜トランジスタの作製方法を説明する図である。
【図3】薄膜トランジスタの作製方法を説明する図である。
【図4】薄膜トランジスタの作製方法を説明する図である。
【図5】薄膜トランジスタの作製方法を説明する図である。
【図6】薄膜トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図7】薄膜トランジスタを形成する工程を説明するタイムチャートの一例である。
【図8】薄膜トランジスタの作製方法に適用可能な多階調マスクを説明する図。
【図9】薄膜トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図10】薄膜トランジスタの作製工程に使用可能なCVD装置の一例を示す図である。
【図11】薄膜トランジスタを形成する工程を説明するタイムチャートの一例である。
【図12】薄膜トランジスタを形成する工程を説明するタイムチャートの一例である。
【図13】薄膜トランジスタを形成する工程を説明するタイムチャートの一例である。
【図14】薄膜トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図15】薄膜トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図16】薄膜トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図17】表示装置を説明する断面図である。
【図18】表示装置を説明する断面図である。
【図19】薄膜トランジスタを適用した電子機器である。
【図20】薄膜トランジスタの作製方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、開示される発明は以下の説明に限定されず、開示される発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、開示される発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態では、薄膜トランジスタの作製方法について、図1乃至図9を用いて示す。薄膜トランジスタは、p型よりもn型の方が、キャリアの移動度が高い。また、同一の基板上に形成する薄膜トランジスタを全て同じ極性に統一すると、工程数を抑えることができ、好ましい。そのため、本実施の形態では、n型の薄膜トランジスタの作製方法について説明する。
【0016】
基板101上にゲート電極103を形成する。次に、ゲート電極103を覆う窒素を含む絶縁層104を形成し、窒素を含む絶縁層104上に酸化シリコン層105を形成する。(図1(A)を参照)。
【0017】
基板101としては、ガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、基板に透光性を要しない場合には、ステンレス合金等の金属の基板の表面に絶縁層を設けたものを用いてもよい。ガラス基板としては、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板を用いるとよい。
【0018】
ゲート電極103は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層でまたは積層して形成することができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体層やAgPdCu合金を用いてもよい。
【0019】
ゲート電極103は、基板101上に、スパッタリング法または真空蒸着法を用いて上記した材料を用いた導電層を形成し、該導電層上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いて導電層をエッチングして形成することができる。フォトリソグラフィ工程においては、レジストを基板全面に塗布してもよいが、レジストマスクを形成する領域に印刷法によりレジストを印刷した後、露光することで、レジストを節約することが可能であり、コスト削減が可能である。
【0020】
また、銀、金または銅等の導電性ナノペーストをインクジェット法により基板上に吐出し、焼成することで形成することもできる。なお、ゲート電極103と、基板101との密着性向上及び下地への拡散を防ぐバリアメタルとして、上記の金属材料の窒化物層を、基板101と、ゲート電極103との間に設けてもよい。ここでは、基板101上に導電層を形成し、フォトマスクを用いて形成したレジストマスクによりエッチングする。
【0021】
なお、ゲート電極103の側面は、テーパー形状とすることが好ましい。ゲート電極103上には、後の工程で半導体層及び配線層を形成するので、段差の箇所における配線切れ防止のためである。ゲート電極103の側面をテーパー形状にするためには、レジストマスクを後退させつつエッチングを行えばよい。
【0022】
また、ゲート電極103を形成する工程によりゲート配線(走査線)及び容量配線も同時に形成することができる。なお、走査線とは画素を選択する配線をいい、容量配線とは画素の保持容量の一方の電極に接続された配線をいう。ただし、これに限定されず、ゲート配線及び容量配線の一方または双方と、ゲート電極103とは別に設けてもよい。
【0023】
窒素を含む絶縁層104は、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層または窒化酸化シリコン層を単層でまたは積層して形成することができる。窒素を含む絶縁層104を形成することで、基板からの不純物、特にアルカリ金属イオンが後に形成される微結晶半導体層に混入することを防ぐことが可能であり、薄膜トランジスタのしきい値電圧の変動を低減することができる。
【0024】
窒素を含む絶縁層104は、CVD法またはスパッタリング法等を用いて形成することができる。CVD法で窒素を含む絶縁層104を形成する場合は、3MHzから30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHzのHF帯の高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には、60MHzを印加することで行われる。また、窒素を含む絶縁層104は、高周波数(1GHz以上)のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて形成してもよい。マイクロ波プラズマCVD装置を用いて高い周波数により窒素を含む絶縁層104を形成すると、ゲート電極と、ドレイン電極及びソース電極との間の耐圧を向上させることができるため、信頼性の高い薄膜トランジスタを得ることができる。
【0025】
酸化シリコン層105は、ゲート絶縁膜の形成材料に、シリコンを含む堆積性気体と、窒素を含む酸化気体と、水素とを用いたCVD法を用いて形成することができる。酸化シリコン層105は、3MHzから30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHzのHF帯の高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には、60MHzを印加することで行われる。また、酸化シリコン層105は、高周波数(1GHz以上)のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて形成してもよい。マイクロ波プラズマCVD装置を用いて高い周波数により酸化シリコン層105を形成すると、ゲート電極と、ドレイン電極及びソース電極との間の耐圧を向上させることができるため、信頼性の高い薄膜トランジスタを得ることができる。
【0026】
酸化シリコン層105は、窒素を含む絶縁層104から後に形成される第1の半導体層106に窒素が混入しにくい厚さで形成する。または、酸化シリコン層105は、酸化シリコン層を形成する際、プラズマ中のラジカルのエッチングにより窒素を含む絶縁層104から脱離する窒素の濃度が低くなる厚さで形成する。このような厚さとしては、5nm以上が好ましい。
【0027】
シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiF等がある。
【0028】
酸化シリコン層105の原料として、シリコンを含む堆積性気体と、酸素または水を用いると、シリコンを含む堆積気体の反応性が高いため、プラズマCVD装置の反応室または配管の間で混合すると反応してしまい、酸化シリコンのパーティクルが発生してしまう。酸化シリコン層105の原料として、シリコンを含む堆積性気体と、窒素を含む酸化気体、代表的には亜窒化酸素(NO)を用いると、混合しただけでは反応せず、プラズマ中でシリコンを含む堆積気体と反応するため、反応室内の基板上に酸化シリコン層を堆積することができる。
【0029】
しかしながら、酸化シリコン層の原料として、水素を用いず、シリコンを含む堆積性気体及び窒素を含む酸化気体のみを用いると、窒素が酸化シリコン層に混入してしまう。当該窒素は、後に形成される微結晶半導体層の堆積中の水素ラジカルによって、エッチングされてしまい、堆積する微結晶半導体層に混入してしまう。
【0030】
そこで、酸化シリコン層の原料として、シリコンを含む堆積性気体及び窒素を含む酸化気体と共に、水素を用いると、数式1に示すように、窒素を含む酸化気体、代表的には亜窒化酸素と水素とが反応して、窒素及び水が生成される。
【0031】
O+H→N+HO・・・(数1)
【0032】
次に、生成された水とシリコンを含む堆積性気体、ここではシランをプラズマ中で反応させることで、数式2に示すように、基板上に窒素含有量の少ない酸化シリコン層を形成することができる。
【0033】
2HO+SiH→SiO+4H・・・(数2)
【0034】
また、酸化シリコン層の原料として、水素を用いることで、プラズマ中で水素ラジカルが多く発生し、水素ラジカルによりエッチングされながら酸化シリコンが堆積するため、緻密で硬度の高い酸化シリコン層を形成することができる。このため、後に第1の半導体層107を形成する際に、水素ラジカルのエッチングによる原子の脱離が少なくなるため、不純物の少ない第1の半導体層107を形成することができる。
【0035】
次に、酸化シリコン層105上に第1の半導体層106を形成する(図1(B)参照)。第1の半導体層106は、微結晶半導体層を用いて形成し、代表的には微結晶シリコン層、微結晶ゲルマニウム層、微結晶シリコンゲルマニウム層を形成する。第1の半導体層106は、含有窒素量が低減された酸化シリコン層105上に形成するため、結晶成長速度を高めると共に、酸化シリコン層105界面からの結晶性を高めた第1の半導体層を形成することができる。
【0036】
第1の半導体層106の厚さは、厚さ3〜10nm、好ましくは3〜5nmと薄くすることで、後に形成される第2の半導体層において、微結晶半導体で形成される複数の針状の凸部の長さを制御することができる。
【0037】
第1の半導体層106は、プラズマCVD装置の処理室内において、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素とを混合し、グロー放電プラズマにより形成する。または、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスとを混合し、グロー放電プラズマにより形成する。シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体の流量に対して、水素の流量を10〜2000倍、好ましくは10〜200倍に希釈して、微結晶シリコン、微結晶シリコンゲルマニウム、微結晶ゲルマニウム等を形成する。
【0038】
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体の代表例としては、SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiF、GeH、Ge等がある。希ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、及びキセノンの一または複数を用いる。
【0039】
また、第1の半導体層106の原料ガスとして、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスを用いることで、プラズマが安定し、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体、及び水素の解離が促進され、活性種の量が増加する。このため、活性種同士の反応が促進され、第1の半導体層の成膜速度が高まる。また、成膜速度が高まると、第1の半導体層106が堆積する際に、処理室内の不純物が取り込まれにくくなるため、第1の半導体層106に含まれる不純物量が低減し、第1の半導体層106の結晶性が高まる。このため、薄膜トランジスタのオン電流及び電界効果移動度が高まると共に、薄膜トランジスタの生産性を高めることができる。
【0040】
また、第1の半導体層106を形成する際の、グロー放電プラズマの生成は、3MHzから30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHzのHF帯の高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には、60MHzを印加することで行われる。また、1GHz以上のマイクロ波の高周波電力を印加することで行われる。なお、VHF帯やマイクロ波の高周波電力を用いることで、成膜速度を高めることが可能である。更には、HF帯の高周波電力と、VHF帯の高周波電力を重畳させることで、大面積基板においてもプラズマのムラを低減し、均一性を高めることができると共に、成膜速度を高めることができる。
【0041】
なお、第1の半導体層106を形成する前に、CVD装置の処理室内を減圧しながら、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体を導入して、処理室内の不純物元素を除去することができる。または、水素を導入して、処理室内の不純物元素を除去することができる。または、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体、及び水素を導入して、処理室内の不純物元素を除去することができる。第1の半導体層106を形成する前に、処理室内の不純物元素を除去することで、後に形成される薄膜トランジスタの第1の酸化シリコン層105及び第1の半導体層106の界面における不純物元素を低減することが可能であり、薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。
【0042】
ここで、第1の半導体層106として微結晶シリコン層を形成する際の下地層が、微結晶シリコン層の結晶性に与える影響について、以下に示す。
【0043】
古典分子動力学計算により、不純物元素(N原子またはO原子)を含む場合のSiの結晶化過程の解析を行った。なお、古典分子動力学法では、原子間相互作用を特徴づける経験的ポテンシャルを定義することで、各原子に働く力を評価する。各原子に古典的力学法則を適用し、ニュートンの運動方程式を数値的に解くことにより、各原子の運動(時間発展)を決定論的に追跡できる。
【0044】
ここでは、a−Si層中にSiの結晶核が生じた後の、Siの結晶成長の様子を調べるために、図2のように、a−Si層中に不純物を含まない場合と、不純物元素(N原子、O原子)を含む場合の計算モデルを示す。
【0045】
図2(A)には、不純物元素を含まないa−Siに結晶核141が生じ、当該結晶核141から面方位(100)の単結晶シリコンが成長するモデルを示す。
【0046】
また、図2(B)には、不純物元素として0.5atom%、約2.5×1020cm−3のN原子145を含むa−Siに結晶核141が生じ、当該結晶核141から面方位(100)の単結晶シリコンが成長するモデルを示す。
【0047】
図2(C)には、不純物として0.5atom%、約2.5×1020cm−3のO原子147を含むa−Siに結晶核141が生じ、当該結晶核141から面方位(100)の単結晶シリコンが成長するモデルを作成した。
【0048】
図2に示す上記の3つの計算モデルにおいて、1025℃で古典分子動力学シミュレーションを行った。
【0049】
図2(A)のシミュレーションによる構造変化の様子を図3に示す。具体的には0秒におけるモデルを図3(A)に示し、1025℃で0.5n秒におけるモデルを図3(B)に示し、1025℃で1n秒におけるモデルを図3(C)に示す。
【0050】
図2(B)のシミュレーションによる構造変化の様子を図4に示す。具体的には0秒におけるモデルを図4(A)に示し、1025℃で1n秒におけるモデルを図4(B)に示し、1025℃で2n秒におけるモデルを図4(C)に示す。
【0051】
図2(C)のシミュレーションによる構造変化の様子を図5に示す。具体的には0秒におけるモデルを図5(A)に示し、1025℃で0.5n秒におけるモデルを図5(B)に示し、1025℃で1n秒におけるモデルを図5(C)に示す。
【0052】
また、各計算モデルのSiの結晶成長速度を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
図3(A)に示す結晶核141が、図3(B)に示す単結晶シリコンの成長領域151a、図3(C)に示す単結晶シリコンの成長領域151bへと、成長領域が広がっていることより、a−Si層中に不純物元素を含まない場合は、Si143が結晶成長していることがわかる。
【0055】
しかしながら、a−Si層中にN原子が含まれる場合、図4(A)に示す結晶核141が、図4(B)に示す単結晶シリコンの成長領域153a、図4(C)に示す単結晶シリコンの成長領域153bへと、成長領域が広がっているが、図3に示す不純物元素を含まない場合と比較して、結晶成長領域が狭く、結晶成長速度が遅いことが分かる。また、図4(B)及び図4(C)に示すように、a−Si層中にN原子145があると結晶成長が阻害され、N原子145は単結晶シリコンの成長領域153a、153bに取り込まれず、結晶粒界付近に存在していることがわかる。
【0056】
また、a−Si層中にO原子147を有する場合は、図5(A)に示す結晶核141が、図5(B)に示す単結晶シリコンの成長領域155a、図5(C)に示す単結晶シリコンの成長領域155bへと、成長領域が広がっているが、図3に示す不純物元素を含まない場合と比較して、結晶成長領域が狭く、結晶成長速度は遅くなる。しかしながら、図4に示すN原子145を含む場合と比較して、結晶成長領域が広く、結晶成長速度は速い。さらには、図5(C)に示すように、O原子147は単結晶シリコンの成長領域155bに取り込まれており、膜全体における結晶性は比較的良いことがわかる。よって、膜中に含まれるO濃度はある程度高くても、Siの結晶性にはあまり影響しないが、N濃度が高いとSiの結晶性が低くなると考えられる。
【0057】
次に、単結晶シリコンとSiNとSiOそれぞれにおけるSi−SiとSi−NとSi−Oの結合距離を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
各計算モデルの局所的構造を2次元的に描いた模式図を図20に示す。図20(A)は、図3(C)に示す単結晶シリコンの模式図であり、図20(B)は図4(C)に示すシリコン中にN原子を有する領域の模式図であり、図20(C)は図5(C)においてシリコン中にO原子を有する領域の模式図である。
【0060】
単結晶シリコン中において、N原子もO原子も格子間不純物となるが、N原子は3配位で、Si−N結合距離はSi−O結合距離より長く、Si中で歪みを生じやすい。このため、N原子は、O原子よりシリコンの結晶化を抑制すると考えられる。一方、O原子は2配位であり、且つSi−O結合距離はSi−N結合距離よりも短いため、Si−Si結合の間に割り込みやすく、Si−O−Siとなっても比較的歪みが小さい。図20(D)は、<111>構造の単結晶シリコン中のSi−Si結合において、不純物であるO原子が結合している図である。不純物O原子は単結晶シリコンにおいて格子間位置を占め、<111>Si−Si結合の間に割り込む形になっている。
【0061】
以上のことから、配位数と、Siとの結合距離に起因する歪みが原因となり、O原子の格子間不純物よりのN原子の方が、シリコンの結晶性を低減すると考えられる。
【0062】
これらのことから、微結晶半導体層の下地層を本実施の形態のように、シリコンを含む堆積性気体と、窒素を含む酸化気体と、水素とを用いて、窒素含有量の低い酸化シリコン層を形成することで、微結晶半導体層の結晶性を高めることができる。
【0063】
次に、図1(C)に示すように、第1の半導体層106上に第2の半導体層を堆積して、第1の半導体層106及び第2の半導体層で積層される第3の半導体層107を形成する。また、第3の半導体層107上に不純物半導体層109を形成し、不純物半導体層109上に導電層111を形成し、導電層111上にレジストマスク113を形成する。
【0064】
ここでは、第1の半導体層106を種結晶として、部分的に結晶成長させる条件で第2の半導体層を形成する。なお、プラズマCVD装置の処理室内において、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、窒素を含む気体とを混合し、グロー放電プラズマにより形成する。窒素を含む気体としては、アンモニア、窒素、フッ化窒素、塩化窒素等があるが、これに限定されず窒素を有する気体であればよい。
【0065】
このとき、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素との流量比は、第1の半導体層106と同様に微結晶半導体層を形成する流量比を用い、原料ガスに窒素を含む気体を用いることで、第1の半導体層106の成膜条件よりも、結晶成長を低減する条件とすることができる。
【0066】
ここでは、微結晶半導体層を形成する条件の代表例は、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体の流量に対する水素の流量が10〜2000倍、好ましくは50〜200倍である。
【0067】
また、第2の半導体層の原料ガスに、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスを導入し、成膜速度を高めることができる。
【0068】
なお、第2の半導体層の原料ガスに、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスを導入する場合は、第2の半導体層の結晶性が上昇してしまい、薄膜トランジスタのオフ電流が高くなるため、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、窒素を含む気体との混合比を制御することが好ましい。代表的には、非晶質性を高める条件である水素に対するシリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体を増やす条件とすることで、混合層107b、及び非晶質半導体を含む層107cの結晶性と非晶質性を制御することが可能である。
【0069】
第2の半導体層の堆積初期においては、第1の半導体層106を種結晶として、第1の半導体層106上に微結晶半導体層が堆積される(堆積初期)。この後、部分的に、結晶成長が抑制され、錐形状の微結晶半導体領域が成長する(堆積中期)。さらに、錐形状の微結晶半導体領域の結晶成長が抑制され、非晶質半導体を含む層が形成される(堆積後期)。
【0070】
このことから、図1(C)及び図6(A)に示す第3の半導体層107において、酸化シリコン層105に接する微結晶半導体層107aが、第1の半導体層106及び、第2の半導体層の堆積初期に形成される微結晶半導体層に相当する。
【0071】
また、図1(C)及び図6(A)に示す第3の半導体層107において、混合層107bは、第2の半導体層の堆積中期に形成される錐状の微結晶半導体領域108a、及びその間を充填する非晶質半導体領域108bに相当する。
【0072】
また、図1(C)及び図6(A)に示す第3の半導体層107において、非晶質半導体を含む層107cは、第2の半導体層の堆積後期に形成される非晶質半導体を含む層に相当する。
【0073】
微結晶半導体層107aは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体で形成される。微結晶半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な半導体であり、結晶粒径が2nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上80nm以下、より好ましくは、20nm以上50nm以下の柱状結晶または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している。このため、柱状結晶または針状結晶の界面には、結晶粒界が形成される場合もある。
【0074】
微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側に、シフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体が得られる。このような微結晶半導体に関する記述は、例えば、米国特許4,409,134号で開示されている。
【0075】
非晶質半導体を含む層107cは、欠陥が少なく秩序性の高い非晶質構造を有する。また、非晶質半導体を含む層107cは、窒素、NH基、またはNH基を有する。このときの、窒素の濃度は、1×1020cm−3乃至1×1021cm−3、好ましくは2×1020atoms/cm以上1×1021atoms/cm以下である。さらには、非晶質構造に加え、粒径が1nm以上10nm以下、好ましくは1nm以上5nm以下の結晶粒を含む場合もある。ここでの非晶質半導体を含む層は、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素との流量比が、第1の半導体層106と同様に微結晶半導体層を形成する条件を用い、原料ガスに窒素を含む気体を用いることで形成できる。ここでの非晶質半導体を含む層とは、CPMや低温LPで測定すると、Urbach端のエネルギーが小さく、また、バンドギャップにおける準位のテール(裾)の傾きが急峻である半導体層である。即ち、欠陥が少なく、秩序性が高い半導体層である。このような非晶質半導体を含む層は、電子帯のバンド端における準位のテール(裾)の傾きが急峻であるため、バンドギャップが広くなり、トンネル電流が流れにくくなる。この結果、薄膜トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0076】
なお、非晶質半導体を含む層107cの非晶質半導体とは、代表的にはアモルファスシリコンである。
【0077】
図6(A)に示すように、混合層107bは、微結晶半導体層107a及び非晶質半導体を含む層107cの間に設けられる。また、混合層107bは、微結晶半導体領域108a、及び当該微結晶半導体領域108aの間に充填される非晶質半導体領域108bを有する。具体的には、微結晶半導体層107aから凸状に伸びた微結晶半導体領域108aと、非晶質半導体を含む層107cと同様の半導体で形成される非晶質半導体領域108bとで形成される。
【0078】
非晶質半導体を含む層107cを、欠陥が少なく、価電子帯のバンド端における準位のテール(裾)の傾きが急峻である秩序性の高い半導体層で形成することで、薄膜トランジスタのオフ電流を低減することができる。また、混合層107bにおいて、錐形状の微結晶半導体領域108aを有するため、縦方向(膜厚方向)における抵抗、即ち、混合層107bと、ソース領域またはドレイン領域との間の抵抗を下げることが可能であり、薄膜トランジスタのオン電流を高めることが可能である。
【0079】
なお、混合層107bに含まれる微結晶半導体領域108aは微結晶半導体層107aと概略同質の半導体であり、また、混合層107bに含まれる非晶質半導体領域108bは非晶質半導体を含む層107cと概略同質の半導体である。このため、微結晶半導体層と、非晶質半導体を含む層の界面が、混合層107bにおける微結晶半導体領域108a及び非晶質半導体領域108bの界面に相当するため、微結晶半導体層と、非晶質半導体を含む層の界面が凹凸状であるともいえる。
【0080】
また、図6(B)に示すように、混合層107bは、微結晶半導体層107a及び不純物半導体層109の間に設けられ、混合層107bと不純物半導体層109との間に、非晶質半導体を含む層107cが形成されない構成となる場合がある。このような場合は、図6(B)に示す構造においては、非晶質半導体領域108bに対する微結晶半導体領域108aの割合が低いことが好ましい。この結果、薄膜トランジスタのオフ電流を低減することができる。また、混合層107bにおいて、縦方向(膜厚方向)における抵抗、即ち、第3の半導体層107と、ソース領域またはドレイン領域との間の抵抗を下げることが可能であり、薄膜トランジスタのオン電流を高めることが可能である。
【0081】
微結晶半導体領域108aは、酸化シリコン層105から非晶質半導体を含む層107cへ向けて、先端が狭まる凸状の微結晶半導体である。なお、酸化シリコン層105から非晶質半導体を含む層107cへ向けて幅が広がる凸の微結晶半導体であってもよい。
【0082】
混合層107bにおいては、微結晶半導体領域108aは、酸化シリコン層105から非晶質半導体を含む層107cへ向けて、先端が狭まる凸状の結晶粒の場合は、微結晶半導体層107a側のほうが、非晶質半導体を含む層107c側と比較して、微結晶半導体領域の割合が高い。これは、微結晶半導体層107aの表面から、微結晶半導体領域108aが膜厚方向に成長するが、原料ガスに窒素を含むガスを含ませる、または原料ガスに窒素を含むガスを含ませつつ、微結晶半導体膜の成膜条件よりシランに対する水素の流量を低減すると、微結晶半導体領域108aの結晶粒の成長が抑制され、錐状の結晶粒となるとともに、やがて非晶質半導体を含む層のみが堆積するためである。
【0083】
また、混合層107bは、窒素、代表的にはNH基、またはNH基を有する。これは、微結晶半導体領域108aに含まれる結晶粒の界面、微結晶半導体領域108aと非晶質半導体領域108bとの界面において、窒素、代表的にはNH基またはNH基が、シリコン原子のダングリングボンドと結合すると、欠陥が低減するためである。このため、窒素を1×1020cm−3乃至1×1021cm−3、好ましくは2×1020atoms/cm以上1×1021atoms/cm以下とすることで、シリコン原子のダングリングボンドを窒素、好ましくはNH基で架橋しやすくなり、キャリアが流れやすくなる。または、上記した界面における半導体原子のダングリングボンドがNH基で終端されて、欠陥準位が消失する。この結果、オン状態でソース電極及びドレイン電極の間に電圧が印加されたときの縦方向(厚さ方向)の抵抗が低減する。即ち、薄膜トランジスタの電界効果移動度とオン電流が増加する。
【0084】
また、混合層107bの酸素濃度を低減することにより、微結晶半導体領域108aと非晶質半導体領域108bとの界面や、微結晶半導体領域108aの界面におけるキャリアの移動を阻害する結合を低減することができる。
【0085】
なお、ここでは、微結晶半導体層107aは、概略厚さが等しい領域をいう。また、微結晶半導体層107aと混合層107bとの界面は、微結晶半導体領域108aと非晶質半導体領域108bとの界面における平坦部において、酸化シリコン層105に最も近い領域を延長した領域をいう。なお、微結晶半導体層107aと混合層107bとの間に示す直線状の破線、及び混合層107bと非晶質半導体を含む層107cとの間に示す直線状の破線は、それぞれの界面を示すために表したものであり、実際には、微結晶半導体層107aと混合層107bとの界面、及び混合層107bと非晶質半導体を含む層107cとの界面は不明瞭となる。
【0086】
微結晶半導体層107a及び混合層107bの厚さの合計、即ち、酸化シリコン層105の界面から、混合層107bの凸部の先端の距離は、3nm以上80nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下とすることで、薄膜トランジスタのオフ電流を低減できる。
【0087】
また、第2の半導体層の原料ガスとして、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と共に、窒素を含む気体を用いることで、混合層107b、及び非晶質半導体を含む層107cの結晶性と非晶質性を制御することが可能である。
【0088】
次に、第3の半導体層107上に不純物半導体層109を形成する。不純物半導体層109は、プラズマCVD装置の処理室内において、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、フォスフィン(水素希釈またはシラン希釈)とを混合し、グロー放電プラズマにより形成する。シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体を水素で希釈して、リンが添加されたアモルファスシリコン、リンが添加された微結晶シリコン、リンが添加されたアモルファスシリコンゲルマニウム、リンが添加された微結晶シリコンゲルマニウム、リンが添加されたアモルファスゲルマニウム、リンが添加された微結晶ゲルマニウム等を形成する。
【0089】
また、不純物半導体層109の原料ガスに、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスを導入し、成膜速度を高めることができる。
【0090】
なお、第3の半導体層107と、後に形成されるソース電極及びドレイン電極125とがオーミックコンタクトをする場合は、不純物半導体層109を形成しなくともよい。
【0091】
窒素を含む絶縁層104の形成から不純物半導体層の形成までについて、図7に示すタイムチャートを参照して以下に説明する。
【0092】
まず、ゲート電極103が形成された基板を、実施の形態2に示すCVD装置の処理室241内にて加熱しつつ、窒素を含む絶縁層として窒化シリコン層を形成するために、窒化シリコンの堆積に用いる材料ガスを処理室241内に導入する(図7の予備処理201)。ここでは、一例として、SiHの流量を40sccm、Hの流量を500sccm、Nの流量を550sccm、NHの流量を140sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を100Pa、基板の温度を280℃とし、370Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約110nmの窒化シリコン層を形成する。なお、窒化シリコン層の原料ガスは、SiHのほかに、少なくともNHまたはNを用いればよい。
【0093】
その後、SiHの供給のみを停止して数秒後(ここでは、5秒)にプラズマの放電を停止させる(図7のSiN形成203)。これは、処理室内にSiHが存在する状態でプラズマの放電を停止させると、シリコンを主成分とする粒状物又は粉状物が形成され、歩留まりを低下させる原因となるためである。
【0094】
次に、窒化シリコン層の堆積に用いた材料ガスを排気し、酸化シリコン層の堆積に用いる材料ガスを処理室241内に導入する(図7のガス置換205)。ここでは、一例として、SiHの流量を10sccm、NOの流量を800sccm、Hの流量を1500sccm、とし、材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃として50Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約110nmの酸化シリコン層を形成する。その後、窒化シリコン層と同様に、SiHの供給のみを停止し、その数秒後(ここでは、5秒)にプラズマの放電を停止させる(図7のSiO2形成207)。
【0095】
上記の工程により、窒素含有量を低減した酸化シリコン層105を形成することができる。酸化シリコン層105の形成後、基板101を処理室241から搬出する(図7のunload225)。
【0096】
基板101を処理室241から搬出した後、処理室241に、例えばNFガスを導入し、処理室241内をクリーニングする(図7のクリーニング処理227)。その後、処理室241に非晶質シリコン層を形成する処理を行う(図7のプレコート処理229)。この処理により、処理室241の内壁に非晶質シリコン層が形成される。その後、基板101を処理室241内に搬入する(図7のload231)。
【0097】
次に、第1の半導体層106の堆積に用いる材料ガスを処理室241内に導入する(図7のガス置換209)。次に、酸化シリコン層105上に第1の半導体層106を形成する。ここでは、一例として、SiHの流量を10sccm、Hの流量を1500sccm、Arの流量を1500sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、50Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、第1の半導体層106として、約5nmの微結晶シリコン層を形成することができる。その後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiHの供給のみを停止し、その数秒後(ここでは、5秒)にプラズマの放電を停止させる(図7の第1の半導体層形成211)。
【0098】
その後、これらのガスを排気し、第2の半導体層の堆積に用いるガスを導入する(図7のガス置換215)。
【0099】
次に、第2の半導体層を形成し、第1の半導体層106及び第2の半導体層が積層された第3の半導体層107を形成する。ここでは、一例として、SiHの流量を30sccm、Hの流量を1425sccm、1000ppmのNH(水素希釈)の流量を25sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力50Wの出力によりプラズマ放電を行い、約150nmの第2の半導体層を形成する。具体的には、微結晶半導体層107a、混合層107b、及び非晶質半導体を含む層107cを形成する。当該工程において、アンモニアがプラズマ放電により解離し、NH基またはNH基を生成する。または、Nが脱離する。このため、第3の半導体層107には窒素が含まれる。さらには、NH基またはNH基が含まれる。このため、第2の半導体層が堆積される際に、ダングリングボンドが架橋または終端され、欠陥準位を低減することができる(図7の第2の半導体層形成217)。
【0100】
なお、処理室に窒素を有するガスとして、第2の半導体層形成217において、アンモニアの代わりに、破線232で示すように窒素ガスを流してもよい。または、アンモニア及び窒素ガスを流しても良い。この結果、第3の半導体層107に窒素が含まれる。さらには、NH基またはNH基が含まれる。このため、第3の半導体層107のダングリングボンドがNH基で架橋され、欠陥準位が低減する。または、半導体層107のダングリングボンドがNH基で終端され、欠陥準位が低減する。
【0101】
このような方法により形成した第3の半導体層107において、二次イオン質量分析法によって計測される窒素濃度は、微結晶半導体層107aの上方、または微結晶半導体層107aと、混合層107bとの界面近傍から、不純物半導体層の界面まで一定の濃度を示す。なお、微結晶半導体層107aの上方、または微結晶半導体層107aと、混合層107bとの界面近傍にピーク濃度を有する場合もある。
【0102】
また、第2の半導体層形成217において、破線234で示すように、原料ガスとして希ガスを用いてもよい。この結果、第2の半導体層の成長速度を速めることが可能である。
【0103】
その後、これらのガスを排気し、不純物半導体層109の堆積に用いるガスを導入する(図7のガス置換219)。
【0104】
次に、第3の半導体層107上の全面に不純物半導体層109を形成する。不純物半導体層109は、後の工程でパターン形成されてソース領域及びドレイン領域127となるものである。まず、不純物半導体層109の堆積に用いる材料ガスを処理室241内に導入する。ここでは、一例として、SiHの流量を100sccm、PHをHにより0.5vol%まで希釈した混合ガスの流量を170sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室241内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、60Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約50nmのリンを含むアモルファスシリコン層を形成することができる。その後、上記した窒化シリコン等の形成と同様に、SiHの供給のみを停止し、その数秒後(ここでは、5秒)にプラズマの放電を停止させる(図7の不純物半導体層形成221)。その後、これらのガスを排気する(図7の排気223)。
【0105】
以上説明したように、不純物半導体層109までを形成することができる。
【0106】
その後、不純物半導体層109の原料ガスを排気する(図7の排気223)。
【0107】
導電層111は、アルミニウム、銅、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデン、クロム、タンタル若しくはタングステン等により単層で、又は積層して形成することができる。または、ヒロック防止元素が添加されたアルミニウム合金(代表的には、ゲート電極103に用いることができるAl−Nd合金等)により形成してもよい。また、ドナーとなる不純物元素を添加した結晶性シリコンを用いてもよい。ドナーとなる不純物元素が添加された結晶性シリコンと接する側の層を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン又はこれらの元素の窒化物により形成し、その上にアルミニウム又はアルミニウム合金を形成した積層構造としても良い。更には、アルミニウム又はアルミニウム合金の上面及び下面を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン又はこれらの元素の窒化物で挟んだ積層構造としてもよい。例えば、導電層121として、アルミニウム層を窒化チタン層で挟んだ層の積層構造とするとよい。
【0108】
導電層111は、CVD法、スパッタリング法または真空蒸着法を用いて形成する。また、導電層111は、銀、金または銅等の導電性ナノペーストを用いてスクリーン印刷法またはインクジェット法等を用いて吐出し、焼成することで形成しても良い。
【0109】
次に、フォトリソグラフィ工程により、導電層111上に、レジストマスクを形成する。レジストマスク113は厚さの異なる領域を有する。このようなレジストマスクは、多階調マスクを用いて形成することができる。多階調マスクを用いることで、使用するフォトマスクの枚数が低減され、作製工程数が減少するため好ましい。本実施の形態において、第3の半導体層107のパターンを形成する工程と、ソース領域とドレイン領域を分離する工程において、多階調マスクを用いることができる。
【0110】
多階調マスクとは、多段階の光量で露光を行うことが可能なマスクであり、代表的には、露光領域、半露光領域及び未露光領域の3段階の光量で露光を行う。多階調マスクを用いることで、一度の露光及び現像工程によって、複数(代表的には二種類)の厚さを有するレジストマスクを形成することができる。そのため、多階調マスクを用いることで、フォトマスクの枚数を削減することができる。
【0111】
図8(A−1)及び図8(B−1)は、代表的な多階調マスクの断面図を示す。図8(A−1)にはグレートーンマスク180を示し、図8(B−1)にはハーフトーンマスク185を示す。
【0112】
図8(A−1)に示すグレートーンマスク180は、透光性を有する基板181上に遮光層により形成された遮光部182、及び遮光層のパターンにより設けられた回折格子部183で構成されている。
【0113】
回折格子部183は、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔で設けられたスリット、ドットまたはメッシュ等を有することで、光の透過率を制御する。なお、回折格子部183に設けられるスリット、ドットまたはメッシュは周期的なものであってもよいし、非周期的なものであってもよい。
【0114】
透光性を有する基板181としては、石英等を用いることができる。遮光部182及び回折格子部183を構成する遮光層は、金属を用いて形成すればよく、好ましくはクロムまたは酸化クロム等により設けられる。
【0115】
グレートーンマスク180に露光するための光を照射した場合、図8(A−2)に示すように、遮光部182に重畳する領域における透光率は0%となり、遮光部182または回折格子部183が設けられていない領域における透光率は100%となる。また、回折格子部183における透光率は、概ね10〜70%の範囲であり、回折格子のスリット、ドットまたはメッシュの間隔等により調整可能である。
【0116】
図8(B−1)に示すハーフトーンマスク185は、透光性を有する基板186上に半透光層により形成された半透光部187、及び遮光層により形成された遮光部188で構成されている。
【0117】
半透光部187は、MoSiN、MoSi、MoSiO、MoSiON、CrSi等の層を用いて形成することができる。遮光部188は、グレートーンマスクの遮光層と同様の金属を用いて形成すればよく、好ましくはクロムまたは酸化クロム等により設けられる。
【0118】
ハーフトーンマスク185に露光するための光を照射した場合、図8(B−2)に示すように、遮光部188に重畳する領域における透光率は0%となり、遮光部188または半透光部187が設けられていない領域における透光率は100%となる。また、半透光部187における透光率は、概ね10〜70%の範囲であり、形成する材料の種類または形成する膜厚等により、調整可能である。
【0119】
多階調マスクを用いて露光して現像を行うことで、厚さの異なる領域を有するレジストマスクを形成することができる。
【0120】
次に、レジストマスク113を用いて、第3の半導体層107、不純物半導体層109、及び導電層111をエッチングする。この工程により、第3の半導体層107、不純物半導体層109及び導電層111を素子毎に分離し、第3の半導体層115、不純物半導体層117、及び導電層119を形成する。なお、第3の半導体層115は、微結晶半導体層115a、混合層115b、及び非晶質半導体を含む層115cを有する(図1(D)を参照)。
【0121】
次に、レジストマスク113を後退させて、分離されたレジストマスク123を形成する。レジストマスクの後退には、酸素プラズマによるアッシングを用いればよい。ここでは、ゲート電極上で分離するようにレジストマスク113をアッシングすることで、レジストマスク123を形成することができる(図9(A)参照)。
【0122】
次に、レジストマスク123を用いて導電層119をエッチングし、ソース電極及びドレイン電極125を形成する(図9(B)を参照)。導電層119のエッチングは、ウェットエッチングを用いることが好ましい。ウェットエッチングにより、導電層が等方的にエッチングされる。その結果、導電層はレジストマスク123よりも内側に後退し、ソース電極及びドレイン電極125が形成される。ソース電極またはドレイン電極125は、ソース電極またはドレイン電極のみならず信号線としても機能する。ただし、これに限定されず、信号線とソース電極及びドレイン電極とは別に設けてもよい。
【0123】
次に、レジストマスク123を用いて、非晶質半導体を含む層115c、及び不純物半導体層117のそれぞれ一部をエッチングする。ここでは、ドライエッチングを用いる。本工程までで、表面に凹部を有する非晶質半導体を含む層129a、ソース領域及びドレイン領域127を形成する。この後、レジストマスク123を除去する(図9(C)参照)。
【0124】
なお、ここでは、導電層119をウェットエッチングし、非晶質半導体を含む層115c、及び不純物半導体層117のそれぞれ一部をドライエッチングしたため、導電層119が等方的にエッチングされ、ソース電極及びドレイン電極125の側面と、ソース領域及びドレイン領域127の側面は一致せず、ソース電極及びドレイン電極125の側面の外側に、ソース領域1及びドレイン領域127の側面が形成される形状となる。
【0125】
また、導電層119をエッチングし、ソース電極及びドレイン電極125を形成し、第3のレジストマスク123を除去した後、不純物半導体層117及び非晶質半導体を含む層115cの一部をエッチングしてもよい。当該エッチングより、ソース電極及びドレイン電極125を用いて不純物半導体層117をエッチングするため、ソース電極及びソース領域のそれぞれ端部が概略一致する。また、ドレイン電極及びドレイン領域のそれぞれ端部が概略一致する。
【0126】
次に、ドライエッチングを行ってもよい。ドライエッチングの条件は、露出している非晶質半導体を含む層129cにダメージが入らず、且つ非晶質半導体を含む層129cに対するエッチングレートが低い条件を用いる。つまり、露出している非晶質半導体を含む層129c表面にほとんどダメージを与えず、且つ露出している非晶質半導体を含む層129cの厚さがほとんど減少しない条件を用いる。エッチングガスとしては、代表的にはCl、CF、N等を用いる。また、エッチング方法については特に限定はなく、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)方式、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)方式、電子サイクロトン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance)方式、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)方式等を用いることができる。
【0127】
次に、非晶質半導体を含む層129cの表面に水プラズマ、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ等を照射してもよい。
【0128】
水プラズマ処理は、反応空間に水蒸気(HO蒸気)に代表される、水を主成分とするガスを導入し、プラズマを生成して、行うことができる。
【0129】
上記したように、ソース領域及びドレイン領域127を形成した後に、非晶質半導体を含む層129cにダメージを与えない条件で更なるドライエッチングを行うことで、露出した非晶質半導体を含む層129c上に存在する残渣などの不純物を除去することができる。また、ドライエッチングに続けて水プラズマ処理を行うことで、レジストマスクの残渣を除去することができる。水プラズマ処理を行うことで、ソース領域とドレイン領域との間の絶縁を確実なものにすることができ、完成する薄膜トランジスタのオフ電流を低減し、電気的特性のばらつきを低減することができる。
【0130】
以上の工程により、少ないマスク数で、オフ電流が低く、オン電流及び電界効果移動度が高い薄膜トランジスタを生産性高く作製することができる。
【0131】
(実施の形態2)
本実施の形態では、窒素を含む絶縁層104、酸化シリコン層105、第1の半導体層106、第2の半導体層、及び不純物半導体層109の形成に用いることが可能なプラズマCVD装置の一形態について詳細に説明する。
【0132】
図10に示すプラズマCVD装置261は、ガス供給手段250及び排気手段251に接続されている。
【0133】
図10に示すプラズマCVD装置261は、処理室241と、ステージ242と、ガス供給部243と、シャワープレート244と、排気口245と、上部電極246と、下部電極247と、交流電源248と、温度制御部249と、を具備する。
【0134】
処理室241は剛性のある素材で形成され、内部を真空排気できるように構成されている。処理室241には、上部電極246と下部電極247が備えられている。なお、図10では、容量結合型(平行平板型)の構成を示しているが、異なる二以上の高周波電力を印加して処理室241の内部にプラズマを生成できるものであれば、誘導結合型など他の構成を適用してもよい。
【0135】
図10に示すプラズマCVD装置により処理を行う際には、所定のガスをガス供給部243から供給する。供給されたガスは、シャワープレート244を通って、処理室241に導入される。上部電極246と下部電極247に接続された交流電源248により、高周波電力が印加されて処理室241内のガスが励起され、プラズマが生成される。また、真空ポンプに接続された排気口245によって、処理室241内のガスが排気されている。また、温度制御部249によって、被処理物を加熱しながらプラズマ処理することができる。
【0136】
ガス供給手段250は、反応ガスが充填されるシリンダ252、圧力調整弁253、ストップバルブ254、マスフローコントローラ255などで構成されている。処理室241内において、上部電極246と基板101との間には板状に加工され、複数の細孔が設けられたシャワープレートを有する。上部電極246に供給される反応ガスは、中空構造である上部電極246の内部の細孔から処理室241内に供給される。
【0137】
処理室241に接続される排気手段251は、真空排気と、反応ガスを流す場合において処理室241内を所定の圧力に保持するように制御する機能が含まれている。排気手段251の構成としては、バタフライバルブ256、コンダクタンスバルブ257、ターボ分子ポンプ258、ドライポンプ259などが含まれる。バタフライバルブ256とコンダクタンスバルブ257を並列に配置する場合には、バタフライバルブ256を閉じてコンダクタンスバルブ257を動作させることで、反応ガスの排気速度を制御して処理室241の圧力を所定の範囲に保つことができる。また、コンダクタンスの大きいバタフライバルブ256を開くことで高真空排気が可能となる。
【0138】
なお、処理室241を10−5Paよりも低い圧力まで超高真空排気する場合には、クライオポンプ260を併用することが好ましい。その他、到達真空度として超高真空まで排気する場合には、処理室241の内壁を鏡面加工し、内壁からのガス放出を低減するためにベーキング用のヒータを設けても良い。
【0139】
なお、図10に示すように、処理室241の全体を覆う膜が形成(被着)されるようにプレコート処理を行うと、処理室(チャンバー)内壁に付着した不純物元素、または処理室(チャンバー)内壁を構成する不純物元素が素子に混入することを防止することができる。本実施の形態では、プレコート処理はシリコンを主成分とする層を形成すればよく、例えば、非晶質シリコン膜等を形成すればよい。ただし、この膜には酸素が含まれないことが好ましい。
【0140】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1に適用可能な第2の半導体層の形成工程について説明する。
【0141】
本実施の形態では、第2の半導体層の形成前に処理室内をクリーニングし、その後チャンバー内壁を窒化シリコン層で覆うことで、第2の半導体層に窒素を含ませる。窒素を含む絶縁層104の形成から第1の半導体層106の形成方法は実施の形態1と同様であるため、ここでは、第2の半導体層から不純物半導体層109の形成までについて、図11を参照して以下に説明する。
【0142】
酸化シリコン層105上の全面に第1の半導体層106を形成する。まず、第1の半導体層106の堆積に用いる材料ガスを処理室内に導入する。ここでは、一例として、実施の形態1と同様の方法により、第1の半導体層106として約5nmの微結晶シリコン層を形成する。その後、プラズマの放電を停止させる(図11の第1の半導体層形成211)。その後、基板101を処理室241から搬出する(図11のunload225)。
【0143】
基板101を処理室241から搬出した後、処理室241に、例えばNFガスを導入し、処理室241内をクリーニングする(図11のクリーニング処理227)。その後、処理室241内に窒化シリコン層を形成する処理を行う(図11のプレコート処理233)。窒化シリコン層としては、実施の形態1のゲート絶縁層で形成した窒化シリコン層と同様の条件を用いる。この処理により、処理室241の内壁に窒化シリコン層が形成される。その後、基板101を処理室241内に搬入する(図11のload231)。
【0144】
なお、クリーニング処理227は行わなくてもよい。この結果、スループットを向上させることができる。
【0145】
次に、第2の半導体層の堆積に用いる材料ガスを処理室241内に導入する(図11のガス置換215)。次に、第2の半導体層を形成し、第1の半導体層106及び第2の半導体で積層される第3の半導体層107を形成する。処理室内の内壁に形成された窒化シリコン層がプラズマに曝されることにより、窒化シリコンの一部が解離し、NH基またはNH基が生成される。または、Nが脱離する。このため、第3の半導体層107には窒素が含まれる。ここでは、実施の形態1と同様に、厚さ150nmの第2の半導体層を形成する。その後、プラズマの放電を停止させる(図11の第2の半導体層形成217)。
【0146】
このような方法により形成した第3の半導体層107において、二次イオン質量分析法によって計測される窒素濃度は、微結晶半導体層107aの上方、または微結晶半導体層107aと、混合層107bとの界面近傍で、ピーク濃度を有し、第3の半導体層107の堆積方向に対して減少する。
【0147】
なお、図11の破線237aに示すように、第2の半導体層形成217において、アンモニアを処理室内に流してもよい。または、破線237bに示すように、アンモニアの代わりに窒素ガスを流してもよい。または、アンモニア及び窒素ガスを流しても良い。この結果、第3の半導体層107に窒素を含ませることができ、第3の半導体層107のダングリングボンドが架橋または終端され、欠陥準位が低減する。
【0148】
このような方法により形成した第3の半導体層107において、二次イオン質量分析法によって計測される窒素濃度は、微結晶半導体層107aの上方、または微結晶半導体層107aと、混合層107bとの界面近傍で、ピーク濃度を有し、第3の半導体層107の堆積方向に対して一定な濃度となる。
【0149】
また、第2の半導体層形成217において、破線238で示すように、原料ガスとして希ガスを用いてもよい。この結果、第2の半導体層の成長速度を速めることが可能である。
【0150】
その後、これらのガスを排気し、不純物半導体層109の堆積に用いるガスを導入する(図11のガス置換219)。また、実施の形態1と同様に、不純物半導体層109を形成する(図11の不純物半導体層形成221)。その後、不純物半導体層109の原料ガスを排気する(図11の排気223)。
【0151】
本実施の形態において、処理室内にプレコート処理において導入されたアンモニアがプラズマ放電により解離しNH基またはNH基となる。または、Nが脱離する。また、当該窒素ガスからNが脱離する。また、プラズマ放電により、当該窒素ガスと、非晶質半導体を含む層の原料ガスである、水素ガスとが反応しNH基またはNH基を生成する。また、処理室内の内壁に形成された窒化シリコン層がプラズマに曝されることにより、窒化シリコンの一部が解離しNH基またはNH基が生成される。または、Nが脱離する。
【0152】
本実施の形態において、第2の半導体層を形成する処理室には、窒素を有するガスが供給され、Nが脱離する。更にはNH基またはNH基が生成される。このため、窒素を有するガスを供給した処理室において、第2の半導体層を形成することで、ダングリングボンドが架橋または終端され、欠陥準位を低減することができる。
【0153】
さらに、第2の半導体層を形成する直前に処理室の内壁を窒化シリコン層により覆うことで、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くすることが可能であり、窒素及び非晶質半導体を含む層を形成することができる。
【0154】
また、処理室の内壁を窒化シリコン層で覆うことで、処理室の内壁を構成する元素等が第2の半導体層に混入することをも防ぐことができる。
【0155】
以上の工程により、オフ電流が低く、オン電流及び電界効果移動度が高い薄膜トランジスタを生産性高く作製することができる。
【0156】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1に適用可能な第2の半導体層の形成工程について説明する。
【0157】
本実施の形態では、第2の半導体層を形成する前に、処理室に窒素を含む気体を供給することを特徴とする。窒素を含む絶縁層104の形成から第1の半導体層106の形成方法は、実施の形態1と同様であるため、ここでは、第1の半導体層106から不純物半導体層109の形成までについて、図12を参照して以下に説明する。
【0158】
窒素を含む絶縁層104上の全面に第1の半導体層106を形成する。まず、第1の半導体層106の堆積に用いる材料ガスを処理室内に導入する。ここでは、一例として、実施の形態1と同様の方法により、第1の半導体層106として約5nmの微結晶シリコン層を形成する。その後、プラズマの放電を停止させる(図12の第1の半導体層形成211)。
【0159】
次に、第1の半導体層106の表面に窒素を供給する。ここでは、第1の半導体層106の表面をアンモニアに曝すことで窒素を供給する(ここでは、フラッシュ処理という。)(図12のフラッシュ処理213)。また、アンモニアには破線235aに示すように水素を含ませてもよい。または、アンモニアの代わりに破線235bに示すように窒素を処理室241に導入してもよい。または、アンモニアと窒素を処理室241に導入してもよい。ここでは、一例として、処理室241内の圧力は概ね20Pa〜30Pa、基板の温度は280℃とし、処理時間は60秒間とするとよい。なお、本工程の処理では基板101をアンモニアに曝すのみであるが、プラズマ処理を行ってもよい。その後、これらのガスを排気し、第2の半導体層の堆積に用いるガスを導入する(図12のガス置換215)。
【0160】
次に、第2の半導体層を形成し、第1の半導体層106及び第2の半導体層が積層された第3の半導体層107を形成する。ここで、第2の半導体層は、窒素を有する非晶質半導体を含む層を用いて形成する。ここでは、一例として、SiHの流量を30sccm、Hの流量を1500sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力50Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約150nmの第2の半導体層を形成することができる。
【0161】
第2の半導体層の形成工程において、フラッシュ処理により処理室内に導入されたアンモニアがプラズマ放電により分解され、NH基またはNH基が生成される。または、Nが脱離する。また、第2の半導体層が堆積される際に、ダングリングボンドが架橋または終端され、欠陥準位を低減することができる。なお、処理室に窒素を有するガスとして、窒素ガスを導入した場合は、プラズマ放電により、Nが脱離する。または、当該窒素ガスと、第2の半導体層の原料ガスである、水素ガスとが反応し、NH基またはNH基を生成する。
【0162】
その後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiHの供給のみを停止し、その数秒後(ここでは、5秒)にプラズマの放電を停止させる(図12の第2の半導体層形成217)。その後、これらのガスを排気し、不純物半導体層109の堆積に用いるガスを導入する(図12のガス置換219)。この後、実施の形態1と同様に不純物半導体層109を形成する(図12の不純物半導体層形成221)。
【0163】
その後、不純物半導体層109の原料ガスを排気する(図12の排気223)。
【0164】
本実施の形態における第2の半導体層を形成する処理室には、窒素を有するガスが供給されている。窒素を有するガスは、プラズマ放電により、NH基またはNH基が形成される。または、Nが脱離する。このため、第2の半導体層が堆積される際に、ダングリングボンドが架橋または終端され、欠陥準位を低減することができる。
【0165】
このような方法により形成した第3の半導体層107において、二次イオン質量分析法によって計測される窒素濃度は、微結晶半導体層107aと、混合層107bとの界面近傍でピーク濃度を有し、混合層107b及び非晶質半導体を含む層107cの堆積方向に対して減少する濃度となる。
【0166】
なお、図12の破線236aに示すように、第2の半導体層形成217において、アンモニアを処理室内に流してもよい。または、アンモニアの代わりに破線236bに示すように窒素ガスを流してもよい。または、アンモニア及び窒素ガスを流しても良い。この結果、第3の半導体層107の窒素濃度が高まり、第3の半導体層107に含まれるダングリングボンドが架橋または終端され、欠陥準位が低減する。
【0167】
このような方法により形成した第3の半導体層107において、二次イオン質量分析法によって計測される窒素濃度は、微結晶半導体層107a、または微結晶半導体層107aと、混合層107bとの界面近傍でピーク濃度を有し、混合層107b及び非晶質半導体を含む層107cの堆積方向に対して一定な濃度となる。
【0168】
また、第2の半導体層形成217において、破線236cで示すように、原料ガスとして希ガスを用いてもよい。この結果、第2の半導体層の成長速度を速めることが可能である。
【0169】
以上の工程により、オフ電流が低く、オン電流及び電界効果移動度が高い薄膜トランジスタを生産性高く作製することができる。
【0170】
(実施の形態5)
実施の形態1において、第2の半導体層の作製方法について、図13を用いて示す。
【0171】
本実施の形態では、第2の半導体層を形成する方法として、実施の形態1において、第1の半導体層形成211処理工程の後、フラッシュ処理213で窒素を有するガスを処理室内に導入すると共に、第2の半導体層を形成している途中で、実線239aで示すように窒素を有するガスを再度処理室内に導入する(図13参照)。窒素を有するガスとして、ここではアンモニアを用いる。なお、アンモニアの代わりに破線239bに示すように窒素ガスを用いてもよい。または、アンモニア及び窒素ガスを用いてもよい。この結果、第2の半導体層の堆積初期及び堆積途中において、窒素濃度が高くなり欠陥準位を低減することができる。
【0172】
または、第2の半導体層に、窒素、更にはNH基またはNH基を添加する方法として、実施の形態3において、第1の半導体層106を形成した後、処理室内に窒化シリコン層を形成すると共に、第2の半導体層を形成している途中で、窒素を有するガスを再度処理室内に導入してもよい。窒素を有するガスとして、ここではアンモニアを用いる。なお、アンモニアの代わりに窒素ガスを用いてもよい。または、アンモニア及び窒素ガスを用いてもよい。この結果、第2の半導体層の堆積初期及び堆積途中において、窒素濃度が高くなり欠陥準位を低減することができる。
【0173】
その後、不純物半導体層109の原料ガスを排気する(図13の排気223)。
【0174】
以上の工程により、オフ電流が低く、オン電流及び電界効果移動度が高い薄膜トランジスタを生産性高く作製することができる。
【0175】
(実施の形態6)
実施の形態1とは異なる薄膜トランジスタの作製方法について、図14及び図15を用いて示す。
【0176】
実施の形態1と同様に、基板101上にゲート電極103を形成する。次に、ゲート電極103を覆う窒素を含む絶縁層104を形成し、窒素を含む絶縁層104上に、実施の形態1と同様に酸化シリコン層105を形成し、酸化シリコン層105上に第1の半導体層106を形成する。次に、実施の形態1と同様に、第1の半導体層106上に第2の半導体層を形成して、第1の半導体層106及び第2の半導体層が積層した第3の半導体層107を形成する。次に、第2の半導体層上に不純物半導体層109を形成する。その後、不純物半導体層109上にレジストマスク(図示せず。)を形成する(図14(A)を参照)。
【0177】
次に、レジストマスクを用いて、第3の半導体層107及び不純物半導体層109をエッチングする。この工程により、第3の半導体層107及び不純物半導体層109を素子毎に分離し、第3の半導体層115(微結晶半導体層115a、混合層115b、非晶質半導体を含む層115c)、及び不純物半導体層117を形成する(図14(B)を参照)。
【0178】
次に、酸化シリコン層105、第3の半導体層115、及び不純物半導体層117上に導電層111を形成する(図14(C)参照)。
【0179】
次に、導電層111上にレジストマスク(図示せず。)を形成し、当該レジストマスクを用いて導電層111をエッチングして、ソース電極及びドレイン電極133を形成する(図15(A)参照)。
【0180】
次に、ソース電極及びドレイン電極133をマスクとして、不純物半導体層117をエッチングして、ソース領域及びドレイン領域127を形成する。また、非晶質半導体を含む層115cをエッチングして、凹部を有する非晶質半導体を含む層129cを形成する。こののち、レジストマスクを除去する(図15(B)参照)。
【0181】
以上の工程により、薄膜トランジスタを作製することができる。
【0182】
なお、本実施の形態では、ソース電極及びドレイン電極133を形成した後、レジストマスクを除去せず非晶質半導体を含む層115cの一部をエッチングしたが、当該レジストマスクを除去した後、不純物半導体層117及び非晶質半導体を含む層115cの一部をエッチングしてもよい。当該エッチングより、ソース電極及びドレイン電極133を用いて不純物半導体層117をエッチングするため、ソース電極及びソース領域のそれぞれ端部が概略一致する。また、ドレイン電極及びドレイン領域のそれぞれ端部が概略一致する。
【0183】
なお、本実施の形態に示す第2の半導体層の代わりに、実施の形態3乃至実施の形態5の第2の半導体層の作製方法を適宜適用することができる。
【0184】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1乃至6と比較して、半導体層の積層構造の異なる逆スタガ型薄膜トランジスタの作製工程について、以下に示す。
【0185】
実施の形態1と同様に、図16(A)に示すように、基板101上にゲート電極103を形成する。次に、ゲート電極103を覆う窒素を含む絶縁層104を形成し、窒素を含む絶縁層104上に酸化シリコン層105を形成し、酸化シリコン層105上に第1の半導体層106を形成する。次に、第1の半導体層106上に非晶質半導体層110を形成する。
【0186】
本実施の形態では、第1の半導体層106として、厚さ20〜200nm、好ましくは30〜100nmの微結晶半導体層を形成する。
【0187】
非晶質半導体層110としては、シリコンを含む堆積性気体と、水素とを用いたCVD法を用いて形成することができる。シリコンを含む堆積性気体に、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈したCVD法により形成することができる。非晶質半導体層110は、シリコンを含む堆積性気体の流量の0倍以上5倍以下、好ましくは1倍以上3倍以下の流量の水素を用いることで形成できる。非晶質半導体層110は、3MHzから30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHzのHF帯の高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には、60MHzを印加することで行われる。
【0188】
また、非晶質半導体層110は、半導体ターゲットを、水素、または希ガスでスパッタリングして形成することができる。
【0189】
非晶質半導体層110としては、厚さ30〜200nm、好ましくは50〜200nmのアモルファスシリコン層を形成することができる。
【0190】
微結晶半導体層で形成される第1の半導体層106上に、抵抗の高い非晶質半導体層110を設けることで、後に形成される薄膜トランジスタにおいて、リーク電流を低減することができる。また、薄膜トランジスタの印加電圧の高い(例えば15V程度)表示装置、代表的には液晶表示装置において、非晶質半導体層110を厚く形成すると、耐圧が高くなり、薄膜トランジスタに高い電圧が印加されても、薄膜トランジスタの劣化を低減することができる。
【0191】
この後、実施の形態1または実施の形態6の工程により、図16(B)に示すように、薄膜トランジスタを作製することができる。ここでは、実施の形態1と同様の工程により、酸化シリコン層105上にチャネル形成領域として機能する微結晶半導体層115aが形成され、微結晶半導体層115a上に非晶質半導体層130が形成される。また、非晶質半導体層130上にソース領域及びドレイン領域127が形成され、ソース領域及びドレイン領域127上にソース電極及びドレイン電極125を形成される薄膜トランジスタを作製することができる。
【0192】
本実施の形態により形成される薄膜トランジスタは、結晶性の高い微結晶半導体層をチャネル形成領域とするため、オン電流及び電界効果移動度が高い。また、微結晶半導体層上に抵抗の高い非晶質半導体層を有することにより、オフ電流を低減することができる。このため、本実施の形態により、電気特性の良好な薄膜トランジスタを作製することができる。
【0193】
(実施の形態8)
本実施の形態では、チャネル長が10μm以下と短い薄膜トランジスタにおいて、ソース領域及びドレイン領域の抵抗を低減することが可能な形態について、以下に示す。ここでは、実施の形態1及び実施の形態6を用いて説明するが、適宜他の実施の形態に適用可能である。
【0194】
不純物半導体層109を、リンが添加された微結晶シリコン、またはボロンが添加された微結晶シリコンで形成する場合は、図1(C)に示す混合層107bまたは非晶質半導体を含む層107cと、不純物半導体層109との間に、微結晶半導体層、代表的には微結晶シリコン層を形成する。また、実施の形態6に示す薄膜トランジスタでは、非晶質半導体層110及び不純物半導体層109の間に微結晶半導体層、代表的には微結晶シリコン層を形成する。このような構造により、不純物半導体層109の堆積初期に低密度層が形成されず、微結晶半導体層を種結晶として、不純物半導体層109を結晶成長させることが可能であるため、界面の特性を向上させることができる。この結果、不純物半導体層109と、混合層107b、非晶質半導体を含む層107c、または非晶質半導体層110との界面に生じる抵抗を低減することができる。この結果、薄膜トランジスタのソース領域、半導体層、及びドレイン領域を流れる電流量を増加させ、オン電流及び電界効果移動度の増加させることが可能となる。
【0195】
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態8で示す薄膜トランジスタを用いることが可能な、素子基板、及び当該素子基板を有する表示装置について、以下に示す。表示装置としては、液晶表示装置、発光表示装置、電子ペーパー等があるが、上記実施の形態の薄膜トランジスタは他の表示装置の素子基板にも用いることができる。ここでは、上記実施の形態1で示す薄膜トランジスタを有する液晶表示装置、代表的には、VA(Vertical Alignment)型の液晶表示装置について、図17及び図18を用いて説明する。
【0196】
図17において、液晶表示装置の画素部の断面構造を示す。基板301上に、上記実施の形態で作製される薄膜トランジスタ303及び容量素子305が形成される。また、薄膜トランジスタ303上に形成される絶縁層308上に画素電極309が形成される。薄膜トランジスタ303のソース電極またはドレイン電極307と、画素電極309とは、絶縁層308に設けられる開口部において、接続される。画素電極309上には配向膜311が形成される。
【0197】
容量素子305は、薄膜トランジスタ303のゲート電極302と同時に形成される容量配線304と、ゲート絶縁層306と、画素電極309とで構成される。
【0198】
基板301から配向膜311までの積層体を素子基板313という。
【0199】
対向基板321には、薄膜トランジスタ303への光の入射を遮断する遮光層323と、着色層325とが形成される。また、遮光層323及び着色層325上に平坦化層327が形成される。平坦化層327上に対向電極329が形成され、対向電極329上に配向膜331が形成される。
【0200】
なお、対向基板321上に、遮光層323、着色層325、及び平坦化層327により、カラーフィルタとして機能する。なお、遮光層323、平坦化層327の何れか一方、または両方は、対向基板321上に形成されていなくともよい。
【0201】
また、着色層は、可視光の波長範囲のうち、任意の波長範囲の光を優先的に透過させる機能を有する。通常は、赤色波長範囲の光、青色波長範囲の光、及び緑色波長範囲の光、それぞれを優先的に透過させる着色層を組み合わせて、カラーフィルタに用いることが多い。しかしながら、着色層の組み合わせに関しては、これに限られない。
【0202】
基板301及び対向基板321は、シール材(図示しない)で固定され、基板301、対向基板321、及びシール材の内側に液晶層343が充填される。また、基板301及び対向基板321の間隔を保つために、スペーサ341が設けられている。
【0203】
画素電極309、液晶層343、及び対向電極329が重なり合うことで、液晶素子が形成されている。
【0204】
図18に、図17とは異なる液晶表示装置を示す。ここでは、対向基板321側に着色層及び遮光層が形成されず、薄膜トランジスタ303が形成される基板301側に着色層及び遮光層が形成されることを特徴とする。
【0205】
図18において、液晶表示装置の画素部の断面構造を示す。基板301上に、上記実施の形態で作製される薄膜トランジスタ303及び容量素子305が形成される。
【0206】
また、薄膜トランジスタ303上に形成される絶縁層308上に、遮光層323及び着色層351が形成される。また、遮光層323及び着色層351上には、着色層351に含まれる不純物が液晶層343に混入するのを防ぐために、保護層353が形成される。遮光層323及び着色層351、並びに保護層353上に、画素電極309が形成される。遮光層323は、各画素の薄膜トランジスタ303、特に薄膜トランジスタ303のチャネル形成領域に外光が入射されるのを防ぐために設けられる。このため、遮光層323は、薄膜トランジスタ303を覆うように設けられる。なお、図18においては、遮光層323は、薄膜トランジスタ303及び画素電極309の間に設けられているが、基板301及び薄膜トランジスタ303の間に設けてもよい。さらには、薄膜トランジスタ303及び画素電極309の間と、基板301及び薄膜トランジスタ303の間とに設けてもよい。
【0207】
着色層351は、各画素毎に、任意の波長範囲の光(赤色、青色、または緑色)を優先的に透過させる層で形成すればよい。
【0208】
また、遮光層323及び着色層351は平坦化層としても機能するため、液晶層343の配向ムラを低減することができる。
【0209】
薄膜トランジスタ303のソース電極またはドレイン電極307と、画素電極309とは、絶縁層308、遮光層323、着色層351、及び保護層353に設けられる開口部において、接続される。画素電極309上には配向膜311が形成される。
【0210】
容量素子305は、薄膜トランジスタ303のゲート電極302と同時に形成される容量配線304と、ゲート絶縁層306と、画素電極309とで構成される。
【0211】
基板301から配向膜311までの積層体を素子基板355という。
【0212】
対向基板321には、絶縁層328が形成される。絶縁層328上に対向電極329が形成され、対向電極329上に配向膜331が形成される。なお、絶縁層328は設けなくともよい。
【0213】
画素電極309、液晶層343、及び対向電極329が重なり合うことで、液晶素子が形成されている。
【0214】
なお、ここでは、液晶表示装置として、VA型の液晶表示装置を示したが、これに限定されない。すなわち、実施の形態6に示す薄膜トランジスタを用いて形成した素子基板を、FFS型の液晶表示装置、IPS型の液晶表示装置、TN型の液晶表示装置又はその他の液晶表示装置に用いることができる。
【0215】
本実施の形態の液晶表示装置は、オン電流及び電解効果移動度が高くオフ電流が低い薄膜トランジスタを画素トランジスタとして用いているため、液晶表示装置の画質が良好(例えば、高コントラスト)の表示画質を高めることができる。また、薄膜トランジスタの大きさを小さくしても、薄膜トランジスタの電気特性が低減されないため、薄膜トランジスタの面積を小さくすることで、液晶表示装置の開口率を向上させることができる。または、画素の面積を小さくすることが可能であり、液晶表示装置の解像度を高めることができる。
【0216】
また、図18に示す液晶表示装置は、遮光層323と、着色層351を薄膜トランジスタを有する基板上に形成する。このため、薄膜トランジスタを有する基板301と、対向基板321との位置合わせが容易となる。
【0217】
(実施の形態10)
実施の形態9で示す素子基板313において、配向膜311を形成せず、発光素子を設けることにより、当該素子基板を発光表示装置や、発光装置に用いることができる。発光表示装置や発光装置は、発光素子として代表的には、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子がある。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって大別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0218】
本実施の形態の発光表示装置及び発光装置は、オン電流及び電解効果移動度が高くオフ電流が低い薄膜トランジスタを画素トランジスタとして用いているため、画質が良好(例えば、高コントラスト)であり、且つ消費電力の低い発光表示装置及び発光装置を作製することができる。
【0219】
(実施の形態11)
上記実施の形態に係る薄膜トランジスタを有する表示装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、電子ペーパー、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。特に、実施の形態9及び実施の形態10で示したように、上記実施の形態に係る薄膜トランジスタを液晶表示装置、発光装置、電気泳動方式表示装置などに適用することにより、電子機器の表示部に用いることができる。以下に具体的に例示する。
【0220】
上記実施の形態に係る薄膜トランジスタを有する半導体装置は、電子ペーパーに適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り物の車内広告、デジタルサイネージ、PID(Public Infomation Display)、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図19(A)に示す。
【0221】
図19(A)は、電子書籍2700の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、蝶番2711により一体になっており、開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0222】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図19(A)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図19(A)では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0223】
また、図19(A)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカ2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングディバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0224】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0225】
図19(B)は、デジタルフォトフレーム2800の一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム2800は、筐体2801に表示部2803が組み込まれている。表示部2803は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0226】
なお、デジタルフォトフレーム2800は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部2803に表示させることができる。
【0227】
また、デジタルフォトフレーム2800は、無線で情報を送受信出来る構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0228】
図19(C)は、テレビジョン装置2900の一例を示している。テレビジョン装置2900は、筐体2901に表示部2903が組み込まれている。表示部2903により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド2905により筐体2901を支持した構成を示している。表示部2903は、実施の形態9及び実施の形態10に示した表示装置を適用することができる。
【0229】
テレビジョン装置2900の操作は、筐体2901が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。リモコン操作機が備える操作キーにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部2903に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0230】
なお、テレビジョン装置2900は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して優先または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0231】
図19(D)は、携帯電話機3000の一例を示している。携帯電話機3000は、筐体3001に組み込まれた表示部3002の他、操作ボタン3003、3007、外部接続ポート3004、スピーカ3005、マイク3006などを備えている。表示部3002には、実施の形態9及び実施の形態10に示した表示装置を適用することができる。
【0232】
図19(D)に示す携帯電話機3000は、表示部3002がタッチパネルになっており、指などの接触により、表示部3002の表示内容を操作することができる。また、電話の発信、或いはメールの作成は、表示部3002を指などで接触することにより行うことができる。
【0233】
表示部3002の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0234】
例えば、電話の発信、或いはメールを作成する場合は、表示部3002を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部3002の画面の大部分の領域にキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0235】
また、携帯電話機3000内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機3000の向き(縦または横)を判断して、表示部3002の表示情報を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0236】
また、画面モードの切り替えは、表示部3002の接触、又は筐体3001の操作ボタン3007の操作により行われる。また、表示部3002に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替えることができる。
【0237】
また、入力モードにおいて、表示部3002の光センサで検出される信号を検知し、表示部3002のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0238】
表示部3002は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部3002を掌や指で触れることで、掌紋、指紋等をイメージセンサで撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0239】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、ゲート電極を形成し、
シリコンを含む堆積性気体、及び窒素を含む気体を混合し、高周波電力を印加して、前記ゲート電極上に窒素を含む絶縁層を形成し、
シリコンを含む堆積性気体、窒素を含む酸化気体、及び水素を混合し、高周波電力を印加して、前記窒素を含む絶縁層上に酸化シリコン層を形成し、
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素とを混合し、高周波電力を印加して前記酸化シリコン層上に微結晶半導体層を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項2】
基板上に、ゲート電極を形成し、
シリコンを含む堆積性気体、及び窒素を含む気体を混合し、高周波電力を印加して、前記ゲート電極上に窒素を含む絶縁層を形成し、
シリコンを含む堆積性気体、窒素を含む酸化気体、及び水素を混合し、高周波電力を印加して、前記窒素を含む絶縁層上に酸化シリコン層を形成し、
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素とを混合し、高周波電力を印加して前記酸化シリコン層上に第1の半導体層を形成し、
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、窒素を含む気体を混合し、高周波電力を印加して、前記第1の半導体層上に第2の半導体層を形成して、ゲート絶縁層上に前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層が積層された第3の半導体層を形成し、
前記第3の半導体層上に、不純物半導体層を形成し、
前記不純物半導体層上に導電層を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項3】
基板上に、ゲート電極を形成し、
シリコンを含む堆積性気体、及び窒素を含む気体を混合し、高周波電力を印加して、前記ゲート電極上に窒素を含む絶縁層を形成し、
シリコンを含む堆積性気体、窒素を含む酸化気体、及び水素を混合し、高周波電力を印加して、前記窒素を含む絶縁層上に酸化シリコン層を形成し、
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、希ガスとを混合し、高周波電力を印加して前記酸化シリコン層上に第1の半導体層を形成し、
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、希ガスと、窒素を含む気体を混合し、高周波電力を印加して、前記第1の半導体層上に第2の半導体層を形成して、ゲート絶縁層上に前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層が積層された第3の半導体層を形成し、
前記第3の半導体層上に、不純物半導体層を形成し、
前記第3の半導体層及び前記不純物半導体層をエッチングした後、導電層を形成し、
前記導電層をエッチングして配線を形成し、
前記エッチングされた不純物半導体層をエッチングしてソース領域及びドレイン領域を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項4】
基板上に、ゲート電極を形成し、
シリコンを含む堆積性気体、及び窒素を含む気体を混合し、高周波電力を印加して、前記ゲート電極上に窒素を含む絶縁層を形成し、
シリコンを含む堆積性気体、窒素を含む酸化気体、及び水素を混合し、高周波電力を印加して、前記窒素を含む絶縁層上に酸化シリコン層を形成し、
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、希ガスとを混合し、高周波電力を印加して前記酸化シリコン層上に第1の半導体層を形成し、
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、希ガスと、窒素を含む気体を混合し、高周波電力を印加して、前記第1の半導体層上に第2の半導体層を形成して、前記酸化シリコン層上に前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層が積層された第3の半導体層を形成し、
前記第3の半導体層上に、不純物半導体層を形成し、
前記不純物半導体層上に導電層を形成し、
前記第3の半導体層、前記不純物半導体層、及び前記導電層をエッチングした後、前記エッチングされた導電層をエッチングして配線を形成し、
前記エッチングされた不純物半導体層をエッチングしてソース領域及びドレイン領域を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項において、前記第1の半導体層は微結晶半導体層であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一項において、前記第3の半導体層は、前記酸化シリコン層に接する微結晶半導体層と、前記微結晶半導体層に接する微結晶半導体及び非晶質半導体を有する層とを有することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記第3の半導体層は、前記酸化シリコン層に接する微結晶半導体層と、前記微結晶半導体層に接する混合層と、前記混合層に接する非晶質半導体を含む層とが積層されていることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記窒素を含む絶縁層は、窒化シリコン層または窒化酸化シリコン層であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と共に、希ガスを混合することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素と、窒素を含む気体と共に、希ガスを混合することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項11】
請求項9または10において、前記希ガスは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、またはキセノンであることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項12】
請求項2乃至11のいずれか一項において、前記窒素を含む気体は、アンモニア、窒素ガス、フッ化窒素、または塩化窒素であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−192877(P2010−192877A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291547(P2009−291547)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】