説明

車両の回生制動制御装置

【課題】 車輪速情報により推定される路面μが急変する状況において、回生量設定モードのハンチングが発生することを防止し、安定した制動回生量制御を達成することができる車両の回生制動制御装置を提供すること。
【解決手段】 車輪速情報に基づき路面μを推定する路面μ推定手段と、前記推定路面μに応じて回生制動量を制御する回生制動制御手段と、を備えた車両の回生制動制御装置において、前記回生制動制御手段は、推定路面μが急変する状況を検知したら、路面μが急変する直前の回生制動量を維持する手段とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪速情報に基づき路面μを推定し、推定路面μに応じて回生制動量を制御する回生制動制御を行う車両(ハイブリッド車や電気自動車等)の回生制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液圧及び回生により制動可能な駆動輪と、液圧により制動可能な従動輪と、を備える車両において、制動力設定モードとして3段階(回生優先モード、通常モード、緊急モード)有し、回生優先モードと通常モードの相互切り替えをスムーズに行うことで制動力の急変を防止する技術が知られている。なお、モード切り替え制御は、推定路面μをベースに行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−161209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の回生制動制御装置にあっては、推定路面μをベースにモード設定をした場合、例えば、悪路走行時のように車輪がジャンプ(=車両がジャンプ)することで浮いた車輪が空転する状況、つまり、車輪速情報により推定される路面μが極低μ路となる状況では、車輪がジャンプと着地とを繰り返すことにより、回生優先モードと通常モードとの間でハンチングが発生することは明白である。その結果、ドライバーの使い勝手も低下してしまう、という問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、車輪速情報により推定される路面μが急変する状況において、回生量設定モードのハンチングが発生することを防止し、安定した制動回生量制御を達成することができる車両の回生制動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明における車両の回生制動制御装置では、
車輪速情報に基づき路面μを推定する路面μ推定手段と、
前記推定路面μに応じて回生制動量を制御する回生制動制御手段と、
を備えた車両の回生制動制御装置において、
前記回生制動制御手段は、推定路面μが急変する状況を検知したら、路面μが急変する直前の回生制動量を維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明の車両の回生制動制御装置にあっては、回生制動制御手段において、推定路面μが急変する状況を検知したら、路面μが急変する直前の回生制動量が維持される。例えば、悪路走行時のように車輪がジャンプと着地とを繰り返すことにより、車輪速情報により推定される路面μが急変する状況であっても、回生制動制御手段での推定路面μにより設定される回生量の設定モードは推定路面μが急変する直前に設定されたモードのままでそのまま維持される。この結果、車輪速情報により推定される路面μが急変する状況において、回生量設定モードのハンチングが発生することを防止し、安定した制動回生量制御を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の車両の回生制動制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、ハイブリッド車の駆動系構成を説明する。
図1は実施例1の回生制動制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、出力スプロケットOS、動力分割機構TMと、を有する。
【0009】
前記エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。
【0010】
前記第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、パワーコントロールユニット3により作り出された三相交流を印加することによりそれぞれ独立に制御される。
前記両モータジェネレータMG1,MG2は、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。
【0011】
前記動力分割機構TMは、サンギヤSと、ピニオンPと、リングギヤRと、ピニオンキャリアPCと、を有する単純遊星歯車により構成されている。そして、単純遊星歯車の3つの回転要素(サンギヤS、リングギヤR、ピニオンキャリアPC)に対する入出力部材の連結関係について説明する。前記サンギヤSには、第1モータジェネレータMG1が連結されている。前記リングギヤRには、第2モータジェネレータMG2と出力スプロケットOSとが連結されている。前記ピニオンキャリアPCには、エンジンダンパEDを介してエンジンEが連結されている。なお、前記出力スプロケットOSは、チェーンベルトCBや図外のディファレンシャルやドライブシャフトを介して左右前輪に連結されている。
【0012】
上記連結関係により、図4に示す共線図上において、第1モータジェネレータMG1(サンギヤS)、エンジンE(プラネットキャリアPC)、第2モータジェネレータMG2及び出力スプロケットOS(リングギヤR)の順に配列され、単純遊星歯車の動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデル(3つの回転数が必ず直線で結ばれる関係)を導入することができる。
ここで、「共線図」とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸に各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤSとリングギヤRの歯数比λに基づく共線図レバー比(1:λ)になるように配置したものである。
【0013】
次に、ハイブリッド車の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、パワーコントロールユニット3と、バッテリ4と、ブレーキコントローラ5(機械制動力制御手段)と、統合コントローラ6と、を有して構成されている。なお、バッテリ4(強電バッテリ)には、バッテリ4を電源とする図外のDC/DCコンバータを介して補助バッテリが接続され、この補助バッテリを、各コントローラ1,2,5,6の動作電源とする。
【0014】
前記統合コントローラ6には、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、から入力情報がもたらされる。
【0015】
前記ブレーキコントローラ5には、前左車輪速センサ12(車輪速検出手段)と、前右車輪速センサ13(車輪速検出手段)と、後左車輪速センサ14(車輪速検出手段)と、後右車輪速センサ15(車輪速検出手段)と、操舵角センサ16と、マスタシリンダ圧センサ17と、ブレーキストロークセンサ18と、から入力情報がもたらされる。
【0016】
前記エンジンコントローラ1は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度APとエンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neを入力する統合コントローラ6からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。
【0017】
前記モータコントローラ2は、レゾルバによる両モータジェネレータ回転数センサ10,11からのモータジェネレータ回転数N1,N2を入力する統合コントローラ6からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、第1モータジェネレータMG1のモータ動作点(N1,T1)と、第2モータジェネレータMG2のモータ動作点(N2,T2)と、をそれぞれ独立に制御する指令をパワーコントロールユニット3へ出力する。なお、このモータコントローラ2は、バッテリ4の充電状態をあらわすバッテリS.O.Cの情報を用いる。
【0018】
前記パワーコントロールユニット3は、図外のジョイントボックスと昇圧コンバータと駆動モータ用インバータと発電ジェネレータ用インバータとを有し、損失を抑えたより少ない電流で両モータジェネレータMG1,MG2への電力供給が可能な電源系高電圧システムを構成する。前記第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、駆動モータ用インバータが接続され、前記第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、発電ジェネレータ用インバータが接続される。また、前記ジョイントボックスには、力行時に放電し回生時に充電するバッテリ4が接続される。
【0019】
前記ブレーキコントローラ5は、低μ路制動時や急制動時等において、4輪のブレーキ液圧を独立に制御するブレーキ液圧ユニット19への制御指令によりABS制御を行い、また、ブレーキ踏み込み操作やアクセル足離し操作等による減速要求操作時、統合コントローラ6への制御指令とブレーキ液圧ユニット19への制御指令を出すことで回生協調ブレーキ制御を行う。このブレーキコントローラ5には、各車輪速センサ12,13,14,15からの車輪速情報や、操舵角センサ16からの操舵角情報や、マスタシリンダ圧センサ17やブレーキストロークセンサ18からの制動操作量情報が入力される。そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令を統合コントローラ6とブレーキ液圧ユニット19へ出力する。なお、前記ブレーキ液圧ユニット19には、前左車輪ホイールシリンダ20と、前右車輪ホイールシリンダ21と、後左車輪ホイールシリンダ22と、後右車輪ホイールシリンダ23と、が接続されている。なお、ブレーキ液圧ユニット19及び各ホイールシリンダ20,21,22,23は、機械制動手段に相当する。
【0020】
前記統合コントローラ6は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、加速走行時等において、エンジンコントローラ1への制御指令によりエンジン動作点制御を行い、また、停止時や走行時や制動時等において、モータコントローラ2への制御指令によりモータジェネレータ動作点制御を行う。この統合コントローラ6には、各センサ7,8,9,10,11からのアクセル開度APと車速VSPとエンジン回転数Neと第1モータジェネレータ回転数N1と第2モータジェネレータ回転数N2とが入力される。そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令をエンジンコントローラ1とモータコントローラ2へ出力する。なお、統合コントローラ6とエンジンコントローラ1、統合コントローラ6とモータコントローラ2、統合コントローラ6とブレーキコントローラ5は、情報交換のためにそれぞれ双方向通信線24,25,26により接続されている。
【0021】
次に、駆動力性能について説明する。
実施例1のハイブリッド車の駆動力は、図2(b)に示すように、エンジン直接駆動力(エンジン総駆動力から発電機駆動分を差し引いた駆動力)とモータ駆動力(両モータジェネレータMG1,MG2の総和による駆動力)との合計で示される。その最大駆動力の構成は、図2(a)に示すように、低い車速ほどモータ駆動力が多くを占める。このように、変速機を持たず、エンジンEの直接駆動力と電気変換したモータ駆動力を加えて走行させることから、低速から高速まで、定常運転のパワーの少ない状態からアクセルペダル全開のフルパワーまで、ドライバの要求に対しシームレスに応答良く駆動力をコントロールすることができる(トルク・オン・デマンド)。
そして、実施例1のハイブリッド車では、動力分割機構TMを介し、エンジンEと両モータジェネレータMG1,MG2と左右前輪のタイヤとがクラッチ無しで繋がっている。また、上記のように、エンジンパワーの大部分を発電機で電気エネルギに変換し、高出力かつ高応答のモータで車両を走らせている。このため、例えば、アイスバーン等の滑りやすい路面での走行時において、タイヤのスリップやブレーキ時のタイヤのロック等で車両の駆動力が急変する場合、過剰電流からのパワーコントロールユニット3の保護、あるいは、動力分割機構TMのピニオン過回転からの部品保護を行う必要がある。これに対し、高出力・高応答のモータ特性を活かし、部品保護の機能から発展させて、タイヤのスリップを瞬時に検出し、そのグリップを回復させ、車両を安全に走らせるためのモータトラクションコントロールを採用している。
【0022】
次に、制動力性能について説明する。
実施例1のハイブリッド車では、ブレーキ踏み込み操作やアクセル足離し操作等による減速要求操作時には、モータとして作動している第2モータジェネレータMG2を発電機として作動させることにより、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ4に回収し、再利用する回生ブレーキシステムを採用している。
この回生ブレーキシステムでの一般的な回生ブレーキ協調制御は、図3(a)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、要求制動力に大きさにかかわらず、算出された要求制動力を回生分と油圧分とで分担することで行われる。
これに対し、実施例1のハイブリッド車で採用している回生ブレーキ協調制御は、図3(b)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、算出された要求制動力に対し回生ブレーキを優先し、回生分で賄える限りは油圧分を用いることなく、最大限まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。
【0023】
次に、車両モードについて説明する。
実施例1のハイブリッド車での車両モードとしては、図4の共線図に示すように、「停車モード」、「発進モード」、「エンジン始動モード」、「定常走行モード」、「加速モード」を有する。
「停車モード」では、図4(a)に示すように、エンジンEと発電機MG1とモータMG2は止まっている。「発進モード」では、図4(b)に示すように、モータMG2鑿の駆動で発進する。「エンジン始動モード」では、図4(c)に示すように、エンジンスタータとしての機能を持つ発電機MG1によって、サンギヤSが回ってエンジンEを始動する。「定常走行モード」では、図4(d)に示すように、主にエンジンEにて走行し、効率を高めるために発電を最小にする。「加速モード」では、図4(e)に示すように、エンジンEの回転数を上げると共に、発電機MG1による発電を開始し、その電力とバッテリ4の電力を使ってモータMG2の駆動力を加え、加速する。
なお、後退走行は、図4(d)に示す「定常走行モード」において、エンジンEの回転数上昇を抑えたままで、発電機MG1の回転数を上げると、モータMG2の回転数が負側に移行し、後退走行を達成することができる。
【0024】
始動時には、イグニッションキーを回すことでエンジンEを始動させるが、エンジンEが暖機すると、直ぐにエンジンEを停止する。発進時やごく低速で走行する緩やかな坂を下る軽負荷時などは、エンジン効率の悪い領域は燃料をカットし、エンジンEは停止してモータMG2により走行する。通常走行時において、エンジンEの駆動力は、動力分割機構TMにより一方は左右前輪を直接駆動し、他方は発電機MG1を駆動し、モータMG2をアシストする。全開加速時は、バッテリ4からパワーが供給され、さらに駆動力を追加する。減速要求操作時には、左右前輪がモータMG2を駆動し、発電機として作用することで回生発電を行う。回収した電気エネルギはバッテリ4に蓄えられる。バッテリ4の充電量が少なくなると、発電機MG1をエンジンEにより駆動し、充電を開始する。車両停止時には、エアコン使用時やバッテリ充電時等を除き、エンジンEを自動的に停止する。
【0025】
次に、作用を説明する。
[路面μ推定処理]
図5は実施例1の統合コントローラ6にて実行される路面μ推定処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(路面μ推定手段)。
【0026】
ステップS1では、走行中であるか否かが判断され、YESの場合がステップS2へ移行し、NOの場合はステップS1の判断を繰り返す。
ここで、「走行中判断」は、例えば、セレクトレバーの選択位置を検出する図外のインヒビタースイッチからの信号が、Dレンジ信号やRレンジ信号等(P、Nレンジ以外)の走行レンジを示す信号である場合に走行中であると判断する。
【0027】
ステップS2では、ステップS1での走行中であるとの判断に続き、各車輪速センサ12,13,14,15からの車輪速情報をモニタし、ステップS3へ移行する。
【0028】
ステップS3では、ステップS2での車輪速モニタに続き、エンジンEと両モータジェネレータMG1,MG2への駆動トルク指令値と、車輪速情報と、に基づいて路面μを推定し、ステップS4へ移行する。
ここで、「路面μの推定」は、駆動輪である左右前輪の車輪速センサ12,13からの車輪速検出値(例えば、駆動輪速平均値)を求め、駆動トルク指令値により推定される車体速と、の差異が小さいと高μ路で、差異が大きいほど低μ路であると推定される。すなわち、駆動スリップの発生が小さい高μ路では、駆動トルクにより推定される車体速と車輪速とがほぼ一致するのに対し、駆動スリップの発生が大きい低μ路では、駆動トルクにより推定される車体速に対し車輪速が低μほど大きくなることによる。
【0029】
ステップS4では、ステップS3での路面μの推定に続き、各車輪速センサ12,13,14,15の変化程度を、予め記憶設定されている「車輪ジャンプ判定マップ(図6)」上にて参照し、車輪速急変(車輪ジャンプ)か否かを判定し、YESの場合はステップS5へ移行し、NOの場合はステップS1へ戻る。
ここで、「車輪ジャンプ判定マップ」は、図6に示すように、駆動トルク指令値により推定される推定車速と検出車輪速値による二次元マップにより与え、この二次元マップ上に車輪ジャンプ判定域A,Bを設定している。そして、推定車速と各輪の検出車輪速値により特定される動作点が、車輪ジャンプ判定域A,Bの少なくとも一方の判定域に存在している場合に車輪速急変(=車輪ジャンプ)であると判定する。
すなわち、実施例1のように前輪のみに回生制動を加える前輪駆動車に場合、回生制動時、前輪が接地し後輪が浮いた状態では後輪の車輪速検出値が急増して車輪ジャンプ判定域Aの領域にある状態で車輪ジャンプと判定する。また、後輪が接地し前輪が浮いた状態では前輪の車輪速検出値が急減して車輪ジャンプ判定域Bの領域にある状態で車輪ジャンプと判定する。さらに、4輪が浮いた状態では、後輪の車輪速検出値が急増して車輪ジャンプ判定域Aの領域にあり、且つ、前輪の車輪速検出値が急減して車輪ジャンプ判定域Bの領域にある状態で車輪ジャンプと判定する。
【0030】
ステップS5では、ステップS4での車輪ジャンプの判定に続き、路面μの推定を中断し、推定路面μを車輪ジャンプ判定直前の推定路面μの値に固定し、ステップS6へ移行する。この推定路面μの固定により、結果的に回生制動制御も車輪ジャンプ判定直前に制御に維持されることになる。
【0031】
ステップS6では、ステップS5での路面μの推定中断と推定路面μの固定に続き、各車輪速センサ12,13,14,15の変化程度を、予め記憶設定されている「車輪ジャンプ判定マップ(図6)」上にて参照し、各車輪速検出値が急減や急増から戻り、車輪ジャンプ判定域A,Bから逸脱したか否かを判定し、YESの場合はステップS7へ移行し、NOの場合はステップS6での判断を繰り返す。
【0032】
ステップS7では、ステップS6での各車輪速検出値が車輪ジャンプ判定域A,Bから逸脱したとの判断に続き、ステップS5で固定した推定路面μを参照し、路面μの推定を再開し、ステップS8へ移行する。
ここで、「路面μの推定再開」では、推定再開の開始域において、車輪ジャンプ判定直前の固定した推定路面μの値と、新たに車体速と車輪速とにより推定された路面μの値との補間値をとる手法等により、推定路面μの値が滑らかに変化するように繋げられる。
【0033】
ステップS8では、ステップS7での路面μの推定の再開に続き、車両システム終了フローへ移行するか否かが判断され、YESの場合には終了へ移行し、NOの場合にはステップS1へ戻る。すなわち、ドライバーが車両システムを遮断する(例えば、イグニッションOFF信号を検出)場合、本制御を終了させ、システム起動を継続するならばステップS1へとフィードバックする。
【0034】
なお、図5にフローチャートにて路面μが推定されると、図7に示す推定路面μに対する回生−油圧制動量配分マップにしたがって回生制動量が制御される。すなわち、推定路面μに対する回生−油圧制動量配分マップは、推定路面μが第1設定路面μ(=μ1)以下の高μ領域では、前輪のみに回生制動量を与え、推定路面μが第1設定路面μ(=μ1)から第2設定路面μ(=μ2)までの領域では、低μであるほど前輪の回生制動量を制限し、且つ、制限量に応じて後輪の油圧制動力を増加させ、推定路面μが第2設定路面μ(=μ2)以上の低μ領域では、回生制動量の最大制限量を、回生制動力と油圧制動力による前後輪の制動力配分比が理想配分比となるように規定する回生協調制御を行う(回生制動制御手段)。
【0035】
[ドライ路面での路面μ推定作用]
路面μが高く凹凸もないドライ路面での走行時には、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れとなり、ステップS4では、車輪速急変(車輪ジャンプ)であると判定されないことで、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4の流れが繰り返されることになる。
【0036】
例えば、ドライ路面(μ≒1)での挙動を、図8の上部に示すタイムチャートにより説明する。駆動源のトルク指令値により推定された推定車速の変化特性が、加速・減速・加速・減速を繰り返す時刻t1から時刻t7までに示す特性である場合、検出車輪速の変化特性は、時刻t1から時刻t2の少し前までは駆動輪スリップの発生が無いため、推定車速特性に追従する特性を示す。そして、時刻t2の少し前から時刻t4と時刻t5とのほぼ中間時点までは少し駆動輪スリップが発生するため、推定車速特性より少し高速側で追従する特性を示す。さらに、時刻t4と時刻t5とのほぼ中間時点から時刻t7までは駆動輪スリップの発生が無いため、推定車速特性に追従する特性を示す。
【0037】
よって、推定車速と検出車輪速により推定される路面μは、時刻t1から時刻t2の少し前までは推定路面μ=1となり、時刻t2の少し前から時刻t4と時刻t5とのほぼ中間時点までは推定路面μが1より僅かに小さい値となり、時刻t4と時刻t5とのほぼ中間時点から時刻t7までは推定路面μ=1となる。
【0038】
このため、ドライ路面での走行中に減速要求操作を行った場合、図7に示すように、推定路面μが第1設定路面μ(=μ1)以下の高μ領域となり、要求制動力に対し左右前輪のみに回生制動量を与える前輪回生100%の回生制動、つまり、回生ブレーキ優先の制御となる。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現できる。
【0039】
[低μ路面での路面μ推定作用]
低μ路面走行中に車輪ジャンプが発生した時には、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進む流れとなり、ステップS5では、ステップS4での車輪ジャンプの判定に基づき、路面μの推定を中断し、推定路面μが車輪ジャンプ判定直前の推定路面μの値に固定される。なお、車輪速急変(車輪ジャンプ)が継続している間は、ステップS5からステップS6へ進み、ステップS6での車輪ジャンプからの逸脱判断が繰り返される。そして、車輪速急変(車輪ジャンプ)から逸脱すると、ステップS6からステップS7へと進み、ステップS7では、前記固定した推定路面μを参照し、路面μの推定が再開される。
【0040】
例えば、低μ路面(μ≒0)での挙動を、図8の下部に示すタイムチャートにより説明する。駆動源のトルク指令値により推定された推定車速の変化特性が、加速・減速・加速・減速を繰り返す時刻t1から時刻t7までに示す特性である場合、検出車輪速の変化特性は、時刻t1から時刻t2までは駆動輪スリップの発生が無いため推定車速特性に追従する特性を示す。そして、時刻t2から時刻t3までは駆動スリップの発生により検出車輪速が突出して高まる特性を示す。時刻t3から時刻t4までは徐々に駆動スリップの発生が増大することで推定車速特性から高速側に離れていく特性を示す。時刻t4から時刻t5までは駆動スリップの発生が増大から減少へと移行していくことで推定車速特性から高速側に離れた後に推定車速特性に近づいていく特性を示す。そして、時刻t5から時刻t6までは駆動スリップの発生により検出車輪速が突出して高まる特性を示す。時刻t6から時刻t7までは駆動輪スリップの発生が無いため推定車速特性に追従する特性を示す。
【0041】
よって、推定車速と検出車輪速により推定される路面μは、時刻t1から時刻t2までは推定路面μ=1となり、時刻t2から時刻t3までは推定路面μ≒0となるが、ステップS5にて路面μの推定が中断され、車輪ジャンプ判定直前の推定路面μの値に固定されることで、制御適用路面μの値としては、推定路面μ=1が維持される。また、時刻t3から時刻t5までは検出車輪速の変化に沿って推定路面μが1より小さい値で推移する。時刻t5から時刻t6までは推定路面μ≒0となるが、ステップS5にて路面μの推定が中断され、車輪ジャンプ判定直前の推定路面μの値に固定されることで、制御適用路面μの値としては、推定路面μ=0.7程度が維持される。さらに、時刻t6から時刻t7までは、直ちに推定路面μ=1となるが、固定した推定路面μ=0.7程度を参照することで、時刻t6の直後においては制御適用路面μが0.7程度から徐々に1へと収束してゆく。
【0042】
このため、低μ路面での走行中に減速要求操作を行った場合、検出車輪速に基づき算出された変動の大きな推定路面μに対し、変動を抑えた制御適用路面μが回生制御に適用されることで、変動の大きな推定路面μを回生制御に適用した場合における前輪回生100%の回生優先モードと理想配分による回生通常モードとが交互に繰り返されるようなハンチングを防止することができる。このことは、上記低μ路面での走行中に限らず、例えば、車輪ジャンプの原因となる凹凸がある悪路走行時においても同様のことが言える。また、高μ路から急に低μ路に入った場合等、路面μが急変する条件においても、回生モードの急変を防止できる。
【0043】
さらに、実施例1のように、前輪駆動車両が回生走行中、車輪ジャンプしてしまうと、前輪のみがロックしてしまい、着地時の挙動が乱れる可能性があるが、車輪ジャンプの直前に路面μが低μ域であるとの推定に基づき(図7参照)、制動力配分として理想配分状態に設定されている場合には、車輪ジャンプ判定中は制動力理想配分状態が維持されることで、車両挙動の安定を確保することができる。
【0044】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の回生制動制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0045】
(1) 車輪速情報に基づき路面μを推定する路面μ推定手段と、前記推定路面μに応じて回生制動量を制御する回生制動制御手段と、を備えた車両の回生制動制御装置において、前記回生制動制御手段は、推定路面μが急変する状況を検知したら、路面μが急変する直前の回生制動量を維持するため、車輪速情報により推定される路面μが急変する状況において、回生量設定モードのハンチングが発生することを防止し、安定した制動回生量制御を達成することができる。
【0046】
(2) 前記路面μ推定手段は、車輪速センサ12,13,14,15からの検出値と、エンジンE及び両モータジェネレータMG1,MG2による動力源の駆動トルクにより推定される車体速度と、の差異が大きいほど低μ路であると推定する(ステップS3)ため、路面μを推定するための新たなセンサ追加を要することなく、容易に路面μを推定することができる。
【0047】
(3) 車輪ジャンプを判定する車輪ジャンプ判定手段(ステップS4)を設け、前記路面μ推定手段は、車輪ジャンプを判定したら、路面μの推定を中断し、車輪ジャンプの判定直前の推定路面μに固定する(ステップS5)ため、車輪ジャンプ判定中は、推定路面μの固定により路面μが急変する直前の回生制動量を維持することができる。
【0048】
(4) 前記路面μ推定手段は、車輪ジャンプの判定に基づく推定路面μの固定後、車輪速検出値が車輪ジャンプ判定域から逸脱したら(ステップS6)、固定した路面μを参照し、路面μの推定を再開する(ステップS7)ため、車輪ジャンプ状況から脱したら応答良く路面μの推定による回生制動制御に復帰することができる。
【0049】
(5) 前記車両は、減速要求操作に基づき前輪の左右輪のみで回生制動を行うものであり、車輪速を検出する車輪速センサ12,13,14,15を設け、前記車輪ジャンプ判定手段(ステップS4)は、回生制動輪の車輪速急減と非回生制動輪の車輪速急増のうち、少なくとも一方の条件が成立するときに車輪ジャンプと判定するため、追加センサを用いることなく、車輪速情報のみにて車輪ジャンプを判定することができる。
【0050】
(6) 前後輪のうち回生制動を行わない後輪の左右輪にて油圧制動力を発生するブレーキ液圧ユニット19及び後輪ホイールシリンダ22,23を設け、前記回生制動制御手段(図7)は、推定路面μが第1設定路面μ(=μ1)以下の高μ領域では、前輪のみに回生制動量を与え、推定路面μが第1設定路面μ(=μ1)から第2設定路面μ(=μ2)までの領域では、低μであるほど前輪の回生制動量を制限し、且つ、制限量に応じて後輪の油圧制動力を増加させ、推定路面μが第2設定路面μ(=μ2)以上の低μ領域では、回生制動量の最大制限量を、回生制動力と油圧制動力による前後輪の制動力配分比が理想配分比となるように規定する回生協調制御を行うため、推定路面μが高μ領域では回生優先モードにより燃費の向上を図ることができ、推定路面μが低μ領域では制動力の理想配分により車両の挙動安定性を確保することができ、推定路面μがμ1からμ2までの中間路面μ領域では、制御モードの急変を抑えつつ、低μ側へ移行するほど車両協同の安定性を高めることができる。
【0051】
以上、本発明の車両の回生制動制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0052】
実施例1では、前輪駆動ベースの車両(FF車)への適用例を示したが、後輪駆動ベースの車両(例えば、FR車)にも本発明の回生制動制御装置を適用することができるし、前後輪で回生制動を行う四輪駆動車にも適用することができる。
【0053】
実施例1では、回生制動制御手段として、推定路面μが急変する状況を検知したら、路面μの推定を中断し、推定路面μを固定することで、路面μが急変する直前の回生制動量を維持する例を示したが、推定路面μが急変する状況を検知したら、路面μの推定を維持しつつ、単に路面μが急変する直前の回生モードをそのまま継続するような例としても良い。
【0054】
実施例1では、推定路面μに対する回生モードとして、図7に示すように、回生100%モードから理想配分モードまでを推定路面μの大きさに応じて無段階に変更させる例を示したが、例えば、回生100%モードと理想配分モードとを所定の推定路面μを境にして2段階にて切り替える例としても良いし、さらに、回生100%モードから理想配分モードまでを推定路面μの大きさに応じて複数段階に切り替えるようにしても良い。
【0055】
実施例1では、機械制動手段として、ブレーキ油圧により油圧制動力を得る手段の例を示したが、電気モータ式ブレーキ(EMB)等の回生制動力以外により機械制動力を得るものであっても含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
実施例1では、1つのエンジンと2つのモータジェネレータと動力分割機構を備えた前輪駆動のハイブリッド車への適用例を示したが、本発明の回生制動制御装置は、他のパワーユニット構造を備えた前輪駆動あるいは後輪駆動によるハイブリッド車や電気自動車や燃料電池車等、要するに、車輪速情報に基づき路面μを推定し、推定路面μに応じて回生制動量を制御する回生制動制御を行う車両であれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1の回生制動制御装置が適用されたハイブリッド車を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の回生制動制御装置が適用されたハイブリッド車における駆動力性能特性図と駆動力概念図である。
【図3】実施例1の回生制動制御装置が適用されたハイブリッド車における回生協調による制動力性能をあらわす対比特性図である。
【図4】実施例1の回生制動制御装置が適用されたハイブリッド車における各車両モードを示す共線図である。
【図5】実施例1の統合コントローラにて実行される路面μ推定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1の路面μ推定処理で用いられる車輪ジャンプ判定マップを示す図である。
【図7】実施例1の路面μ推定処理にて得られた推定路面μに対する回生−油圧制動量配分マップを示す図である。
【図8】ドライ路面での挙動における推定車速・検出車輪速・推定路面μの各特性と低μ路面での挙動における推定車速・検出車輪速・推定路面μ・制御適用路面μの各特性を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0058】
E エンジン
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ
OS 出力スプロケット
TM 動力分割機構
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 パワーコントロールユニット
4 バッテリ
5 ブレーキコントローラ
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 前左車輪速センサ(車輪速検出手段)
13 前右車輪速センサ(車輪速検出手段)
14 後左車輪速センサ(車輪速検出手段)
15 後右車輪速センサ(車輪速検出手段)
16 操舵角センサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 ブレーキストロークセンサ
19 ブレーキ液圧ユニット
20 前左車輪ホイールシリンダ
21 前右車輪ホイールシリンダ
22 後左車輪ホイールシリンダ
23 後右車輪ホイールシリンダ
24,25,26 双方向通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪速情報に基づき路面μを推定する路面μ推定手段と、
前記推定路面μに応じて回生制動量を制御する回生制動制御手段と、
を備えた車両の回生制動制御装置において、
前記回生制動制御手段は、推定路面μが急変する状況を検知したら、路面μが急変する直前の回生制動量を維持することを特徴とする車両の回生制動制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載された車両の回生制動制御装置において、
前記路面μ推定手段は、車輪速センサからの検出値と、動力源の駆動トルクにより推定される車体速度と、の差異が大きいほど低μ路であると推定することを特徴とする車両の回生制動制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された車両の回生制動制御装置において、
車輪ジャンプを判定する車輪ジャンプ判定手段を設け、
前記路面μ推定手段は、車輪ジャンプを判定したら、路面μの推定を中断し、車輪ジャンプの判定直前の推定路面μに固定することを特徴とする車両の回生制動制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載された車両の回生制動制御装置において、
前記路面μ推定手段は、車輪ジャンプの判定に基づく推定路面μの固定後、車輪速検出値が車輪ジャンプ判定域から逸脱したら、固定した路面μを参照し、路面μの推定を再開することを特徴とする車両の回生制動制御装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載された車両の回生制動制御装置において、
前記車両は、減速要求操作に基づき前後輪のうち一方の左右輪のみで回生制動を行うものであり、
車輪速を検出する車輪速検出手段を設け、
前記車輪ジャンプ判定手段は、回生制動輪の車輪速急減と非回生制動輪の車輪速急増のうち、少なくとも一方の条件が成立するときに車輪ジャンプと判定することを特徴とする車両の回生制動制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載された車両の回生制動制御装置において、
前後輪のうち少なくとも回生制動を行わない他方の左右輪にて機械制動力を発生する機械制動手段を設け、
前記回生制動制御手段は、推定路面μが第1設定路面μ以下の高μ領域では、前後輪のうち一方のみに回生制動量を与え、推定路面μが第1設定路面μから第2設定路面μまでの領域では、低μであるほど前後輪のうち一方の回生制動量を制限し、且つ、制限量に応じて前後輪のうち他方の機械制動力を増加させ、推定路面μが第2設定路面μ以上の低μ領域では、回生制動量の最大制限量を、回生制動力と機械制動力による前後輪の制動力配分比が理想配分比となるように規定する回生協調制御を行うことを特徴とする車両の回生制動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−205787(P2006−205787A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17368(P2005−17368)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】