車載表示装置
【課題】 表示画面の明るさによらず必要な情報をユーザに知らせることのできる車載表示装置を提供する。
【解決手段】 表示器の画面に表示される色の階調を調節することで表示器の画面の明るさを調節する明るさ制御手段を有することを特徴とする車載表示装置として提供可能である。
【解決手段】 表示器の画面に表示される色の階調を調節することで表示器の画面の明るさを調節する明るさ制御手段を有することを特徴とする車載表示装置として提供可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて種々の情報を表示する車載表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の計器パネルの表示装置として、従来の機械式メータの他に液晶(LCD:Liquid Crystal Display)等の画像表示装置も用いられている。この画像表示装置には、表示のデザインやレイアウトを自在に設定できるという利点がある。そこで、従来のメータ表示に加えて、この画像表示装置において車載用ナビゲーション装置の画面表示を行なう車両用表示装置も考案されている。(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−157434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用表示装置等に用いられるカラー液晶表示器では、表示画面全体の明るさの調節は、バックライトの明るさで調節されている。また、有機EL(Electro Luminescence)などの自発光の表示器では、全体の出力電圧(または、電流)を一律に抑えることで明るさの調節を行っている。しかし、警告表示等のユーザにいち早く知らせるべき情報を表示する場合でも、その表示についても表示画面と同じ明るさで表示されるため、表示画面が暗いとユーザがその情報に気付かないという問題がある。
【0005】
上記問題を背景として、本発明の課題は、表示画面の明るさによらず必要な情報をユーザに知らせることのできる車載表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための車載表示装置を提供するものである。すなわち、請求項1によれば、表示器の画面に表示される色の階調を調節することで表示器の画面の明るさを調節する明るさ制御手段を有することを特徴とする車載表示装置として構成される。
【0007】
例えばバックライトの輝度を調節することで表示器の画面の明るさを調節する液晶表示器では、従来は図3のようなバックライトに印加する電圧によりバックライトの輝度を変化させる方法が広く用いられ、印加電圧はPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)のDuty比により変化させている。そして、例えばバックライト輝度の段階(明るさ)によって、昼間モード(明るさ5)/夜間モード(明るさ3)等が設定される。
【0008】
一方、本発明の構成では、図4のようにバックライトの輝度は一定であるが、表示器の画面の明るさを可変とできる。これは、同じ赤色でも「明るい赤」,「暗い赤」というように色の階調を調節すれば色の明暗を表現可能となることによるものである。上記構成によって、表示器の画面に表示される色の階調を調節することで表示器の画面の明るさを調節する車載表示装置を構成することが可能となる。また、バックライトの輝度を一定にすることで、PWMのようなバックライトへの印加電圧を可変とする回路は不要となり、その分のコストを低減できる。また、バックライトは概ね印加する電圧(輝度)を下げると寿命が延びる傾向にあるので、本発明の構成のようにバックライトの輝度をユーザが表示器の画面を視認できる範囲で最小とするような電圧を印加すればバックライトの寿命を延ばすことも可能である。
【0009】
請求項2によれば、本発明の車載表示装置における明るさ制御手段は、表示器の画面に表示される表示情報の種別に応じて当該表示情報の表示領域の明るさを可変とする構成をとることができる。
【0010】
上記構成によって、例えば夜モード(図4の明るさ3)のような表示器の画面の明るさが暗い場合にも、例えば警告表示のようなユーザにいち早く知らせるべき表示を、その表示領域のみを最大の明るさ(図4の明るさ5)で表示することができる。また、従来液晶表示器等とは独立して設置されていたランプ,LEDによる各種警告灯を、液晶表示器の表示画面上に表示領域を設定することが可能となる。これによって、ランプ,LEDおよびその配線が不要となり、部品コスト,配線コスト等を低減することができる。また、ランプ,LEDを表示器に集約することで表示器の占有スペースも少なくでき、車内の意匠設計の自由度が高くなる。
【0011】
請求項3によれば、本発明の車載表示装置は、表示器の画面の明るさおよび表示情報の種別に対応した階調を記憶する階調記憶手段を有し、明るさ制御手段は、記憶された階調により当該表示情報を表示する構成をとることができる。
【0012】
一般に色は16階調,256階調というように色の濃さの段階(階調)で表現される。上記構成によって、明るさの段階に対応した階調を記憶しておけば当該表示情報の明るさを決定する処理の時間を短縮することが可能となる。
【0013】
請求項4によれば、本発明の車載表示装置は、表示器の画面の明るさおよび表示情報の種別に対応して、表示情報を表示するための階調を演算する階調演算手段を有する構成をとることができる。
【0014】
上記構成によって、明るさの段階に対応した階調を記憶しない構成でも当該表示情報の明るさを決定することが可能となる。
【0015】
請求項5によれば、本発明の車載表示装置における階調演算手段は基準となる階調に表示器の画面の明るさおよび表示情報の種別に対応した所定の係数を乗ずる構成をとることができる。
【0016】
所定の係数は例えば光の3原色であるRGB(赤,緑,青)のような色を表現するための原色と表示器の画面の明るさによって定義されるので、少なくとも(原色の数)×(画面の明るさの段階の数)の分の記憶領域があればよい。上記構成によって、記憶するための領域を低減することができ、当該表示情報の明るさを決定する処理の時間をさらに短縮することが可能となる。
【0017】
請求項6によれば、本発明の車載表示装置は、外部機器から表示情報を取得する情報取得手段を有する構成をとることができる。
【0018】
車両には種々のセンサ,車載機器が設置されている。上記構成によって、これらセンサ,車載機器からの情報でユーザにいち早く知らせるべきものは、明るさを最大にして表示することでユーザが気付きやすくすることができる。また、センサ,車載機器からの情報を一つの表示器で表示できるので、ユーザは、該表示器の表示にのみ注意を払えばよく、運転中の視線移動回数も減少する。また、表示器の占有スペースも少なくでき、車内の意匠設計の自由度が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
表示画面の明るさによらず必要な情報をユーザに知らせることのできる車載表示装置を提供するという目的を、所定の情報を表示する色の階調を他の表示領域よりも明るいものとして表示する構成により実現した。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1は本発明の車載表示装置を車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称する)100に適用した場合の構成を示すブロック図である。なお、本発明の車載表示装置の適用範囲を車載用ナビゲーション装置(100)に限定するものではなく、例えば、車両の計器パネルに設置される表示装置に適用してもよい。また、車両の計器パネルに設置される表示装置にナビゲーション画面を含む構成としてもよい。
【0021】
ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24およびスピーカ15,不揮発メモリ9,表示器10,ハードディスク装置(HDD)21,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0022】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0023】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0024】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7、リモコン端末12、マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0025】
本発明の情報取得手段である送受信機13は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信するための装置である。
【0026】
また、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器(図示せず)から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0027】
本発明の明るさ制御手段,階調演算手段である制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。ROM82に、HDD21が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行なうためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【0028】
描画部87は、HDD21等に記憶された表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための描画データを生成する。
【0029】
本発明の階調記憶手段でもあるHDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0030】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、操作スイッチ群7,タッチパネル22およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。
【0031】
また、地図データ21mおよびユーザデータ21uは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークからダウンロードする構成としてもよい。
【0032】
不揮発メモリ9はEEPROMやフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0033】
また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0034】
表示器10はカラー、または、モノクロの階調表示ができる液晶表示器であり、TFT(Thin Film Transistors:薄膜トランジスタ)からなる液晶パネル75(図2参照)と、バックライト(図示せず)を含んで構成される。液晶パネル75で画像が表示され、その画像がバックライトにより背面から照射されることでユーザはその画像を見ることができる。
【0035】
スピーカ15は制御回路8のI/O84に接続される周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路24においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【0036】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0037】
本発明の情報取得手段であるLAN I/F26は車内LAN27を介してセンサあるいは他の車載機器とのデータの遣り取りを行なうためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行なってもよい。
【0038】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0039】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0040】
また、表示灯25はランプ,LEDおよびこれらの駆動回路で構成されており、表示器10とは独立して設置される。表示灯25は警告等の各種情報を表示する。表示内容は、例えば、ウィンカー、ハイビーム等の灯火状態,シートベルト未装着警告,半ドア警告等の表示器10が動作していない場合でもユーザに通知を行なわなければならないものである。灯火状態,シートベルト装着状態,半ドア状態等は車内LAN27を介して他の車載機器から取得する。
【0041】
図2は、表示器10に含まれる駆動回路の概略構成を示したブロック図である。駆動回路は、液晶駆動電源回路40,基準電位発生回路50,ソースドライバ60,走査ドライバ70,液晶パネル75等を含んで構成される。なお、図2においては、これら構成要素を統括的に制御するコントローラおよびバックライトユニットの図示を省略している。
【0042】
液晶駆動電源回路40は、ソースドライバ60に供給する駆動電源電圧Vdcdcと、基準電位発生回路50に与える最高位基準電位VrefHとを生成する。また、基準電位発生回路50は、液晶駆動電源回路40から与えられた最高位基準電位VrefHに基づいて、例えば抵抗分割により、ソースドライバ60において階調電圧を生成するのに必要な複数の基準電位Vref0〜Vrefnを生成する。
【0043】
ソースドライバ60は、液晶駆動電源回路40から供給された駆動電源電圧Vdcdcを電源とし、制御回路8から入力されたデジタル画像データD0〜Dmをラッチするラッチ回路66と、ラッチ回路66によってラッチされたデジタル画像データD0〜Dmを基準電位発生回路50から与えられた複数の基準電位Vref0〜Vrefnを用いてアナログ信号に変換するD/Aコンバータ64と、D/Aコンバータ64から出力されたアナログ信号をバッファリングして複数のアナログ画像信号Y0〜Ykとして出力する出力回路62とを備えて構成される。
【0044】
走査ドライバ70は、所定の周期の走査信号X0〜Xiを出力する。液晶パネル75は、マトリクス状に配列された複数の画素セルによって構成され、例えば、各画素セルのオン/オフをTFTによって制御するアクティブマトリクス駆動の液晶ディスプレイである。また、液晶パネル75は、ソースドライバ60のアナログ画像信号Y0〜Ykと走査ドライバ70の走査信号X0〜Xiとによって定まる画像を表示する。
【0045】
以下に、液晶駆動電源回路40の構成および動作について説明する。ソースドライバ60用の駆動電源電圧Vdcdcと最高位基準電位VrefHは、液晶パネル75の設計や液晶材料の特性で決まる電圧が必要であり、液晶駆動電源回路40自体の駆動に必要な電源電圧VCCとは異なった電圧である。そのため、液晶駆動電源回路40では、電源電圧VCCから駆動電源電圧Vdcdcを生成するために、効率を考慮して、多くの場合、DC/DCコンバータが使用される。なお、ここでは、それら駆動電源電圧Vdcdcと最高位基準電位VrefHは、液晶駆動電源回路40の電源電圧Vccよりも高い値であるとする。そこで、液晶駆動電源回路40は、ソースドライバ60用の駆動電源電圧Vdcdcを生成するために、昇圧型のDC/DCコンバータ45と、そのDC/DCコンバータ45を制御するDC/DCコンバータ制御回路41とを備えている。
【0046】
DC/DCコンバータ制御回路41は、PWM変換部42と、内部基準電圧発生部43と、誤差増幅部44とを備えて構成される。また、液晶駆動電源回路40は、内部基準電圧発生部43によって生成された内部基準電圧VREFを抵抗分割するための抵抗R11およびR12と、DC/DCコンバータ45から出力された駆動電源電圧Vdcdcを抵抗分割するための抵抗R13およびR14とを備えている。
【0047】
誤差増幅部44は、抵抗R11およびR12によって抵抗分割された電圧を非反転入力とし、抵抗R13およびR14によって抵抗分割された電圧を反転入力として、両電圧の差を演算する。また、PWM変換部42は、誤差増幅部44から出力された差電圧の大きさに応じたパルス幅の発振信号VOUTを出力する。
【0048】
よって、駆動電源電圧Vdcdcが目標とする大きさである場合に、抵抗R13およびR14によって抵抗分割される電圧と、抵抗R11およびR12によって抵抗分割される電圧とが等しくなるようにそれら抵抗の値を設計しておけば、実際に出力される駆動電源電圧Vdcdcと上記目標とする大きさとの間で生じた差を0にする帰還制御を実現することができる。この帰還制御によって、液晶駆動電源回路40は、上記目標とする大きさに一致した駆動電源電圧Vdcdcを安定して出力することができる。
【0049】
また、液晶駆動電源回路40は、安定化電源回路46を備えている。この安定化電源回路46は、例えば2%の精度を持つ電源レギュレータであり、液晶駆動電源回路40の電源電圧Vccから最高位基準電位VrefHを生成する。
【0050】
なお、最高位基準電位VrefHの生成は、図2に示したような安定化電源回路46によらないで、液晶駆動電源回路40のDC/DCコンバータ45から出力される駆動電源電圧Vdcdcを抵抗分割して生成することもできる。
【0051】
上記方法の他に、D/Aコンバータ64を用いずアナログ信号に変換せずにデジタル画像データD0〜Dmをデジタル画像信号として出力する構成を用いてもよい。
【0052】
画素セルは光の3原色であるRGB(赤,緑,青)を一組として構成され、RGBの色の組み合わせにより一つの色を表現している。また、各原色に濃淡をつければ、この濃さの段階すなわち色調を持つことにより数多くの色を表現できる。
【0053】
また、表示器10として有機EL表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。有機EL表示器は、例えばRGBそれぞれの色に発光する有機分子を順番に配置して画素セルを構成し、RGBそれぞれの有機分子に印加する電圧を変化させることによってRGBの色の階調を変化させて当該表示領域の明るさを可変とすることができる。
【0054】
プラズマ表示器の画面はRGBの三つのドットの集まりからできている。それぞれのドットは、厚さ3mm程度の二枚のガラス基板に挟まれたセル構造をしている。電極からこのセル内に封入したガスに電流を流して放電させるとプラズマが生じる。このとき紫外線が生じるが、この紫外線がそれぞれのセルの蛍光体にぶつかって、RGBそれぞれの可視光を発する。RGBの各ドットに印加する電圧を変えれば流れる電流も変化し、RGBの色の階調が変化して当該表示領域の明るさを可変とすることができる。
【0055】
上述のように、画素セルに印加される電圧によって明るさが変化する有機EL表示器,プラズマ表示器等のいわゆる自発光型ディスプレイにおいても、本発明の構成が適用可能で、印加される電圧が低く画面表示が暗い場合でも、ユーザにいち早く知らせたい情報がある場合には当該情報の表示領域の画素セルに印加される電圧を変化させて色の階調を明るいものとすることで当該情報の表示領域を他の領域よりも明るく見せることが可能となる。
【0056】
(明るさ調節処理1)
図5,図7を用いて、表示器10の表示画面の明るさ調節処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他のプログラムとともに繰り返し実行される。まず、RAM83あるいは不揮発メモリ9の所定の領域に記憶されている、表示器10の表示画面の明るさ情報を取得する(S1)。
【0057】
表示器10の表示画面の明るさは、ユーザの操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって設定される。また、車幅灯,前照灯などの点灯/消灯を行なう図示しないライトスイッチの操作によって、いわゆる昼間モード/夜間モードの切り替えが行なわれる際にも表示器10の表示画面の明るさが変化する。
【0058】
描画部87でユーザの操作に対応する描画データが作成されると、背景,文字,図形等のそれぞれについて、図7のパレットテーブルを参照して、先に取得した表示器10の表示画面の明るさ情報を基に階調のデータを取得する(S2)。そして、取得された階調のデータに基づいて表示を行なう(S3)。階調のデータを含む描画データは、制御回路8からデジタル画像データD0〜Dmとして表示器10(ラッチ回路66)に送られる。
【0059】
図7のパレットテーブルは、背景,文字,図形等の表示種別と、表示器10の表示画面の明るさとの関係を、当該表示を行なう画素セルのRBGの階調で表したもので、HDD21あるいは描画部87の図示しないメモリに記憶される。図7の例では、階調は0〜Fの16段階で、表示器10の明るさの段階に応じて階調の値が増減する。また、警告表示(青,赤,橙)については、表示器10の表示画面の明るさに関係なく一定の階調となっている。
【0060】
警告表示すなわち表示器10の明るさによらず最大の明るさで表示する内容は、以下のうちの一つ以上を含む。
(1)送受信機13を介して取得した交通情報,天候情報のうち、位置検出器1で検出される車両の現在位置の所定の距離内に含まれる情報。
(2)表示灯25で表示される内容。
(3)車内LAN27を介して取得したセンサあるいは他の車載機器の情報のうち、センサあるいは他の車載機器が異常と推定される情報(計器パネルの警告表示内容など)。
(4)ナビゲーション装置の動作異常に関する情報。
(5)経路案内の右左折地点等の案内情報。
【0061】
(明るさ調節処理2)
図6,図8を用いて、表示器10の表示画面の明るさ調節処理の別の例について説明する。まず、RAM83の所定の領域に記憶されている、表示器10の表示画面の明るさ情報を取得する(S11)。
【0062】
描画部87でユーザの操作に対応する描画データが作成されると、背景,文字,図形等のそれぞれについて、表示色情報を取得する(S12)。表示色情報とは、例えば図7でいえば、明るさ5に相当し、該当する表示色を最大の明るさで表示する階調である。表示色情報はHDD21あるいは描画部87の図示しないメモリに記憶されている。
【0063】
表示色情報が取得された背景,文字,図形等のそれぞれについて、表示種別を調べ、例えば警告表示等の所定の表示種別である場合(S13:Yes)、取得された表示色情報の階調(すなわち、最大の明るさ)に基づいて表示を行なう(S15)。
【0064】
一方、例えば警告表示の所定の表示種別でない場合(S13:No)、図8の係数テーブルを参照して、表示器10の表示画面の明るさ情報に基づいた係数を選択し、取得された表示色情報の階調に該係数を乗じて表示階調を決定する(S14)。そして、決定された表示階調に基づいて表示を行なう(S15)。階調のデータを含む描画データは、制御回路8からデジタル画像データD0〜Dmとして表示器10(ラッチ回路66)に送られる。
【0065】
図8の係数テーブルは、表示器10の表示画面の明るさ情報に対応した画素セルのR,B,Gそれぞれの係数rn,gn,bnを定義したもので、HDD21あるいは描画部87の図示しないメモリに記憶される。図8の例では、表示色情報は明るさ5の時の各画素の色R(x,y)、G(x,y)、B(x,y)に相当する。なお、(x,y)は表示器10の表示画面上の各画素の位置を表す座標である。
【0066】
表示器10の表示画面の明るさがnのときの各画素の色Rn(x,y)、Gn(x,y)、Bn(x,y)は、それぞれの係数を乗じてR(x,y)×rn、G(x,y)×gn、B(x,y)×bnと求められる。また、警告表示等のような所定の表示種別の場合には、明るさnの値によらず、R(x,y)、G(x,y)、B(x,y)となる。図8において、明るさ5のときの係数をそれぞれ1.0と定義して演算処理を行なってもよい。
【0067】
図9,図10は上記の表示器10の表示画面の明るさ調節処理1あるいは2を用いた場合の表示器10における画面表示例である。図9は最も明るい明るさ5の表示例、図10は最も暗い明るさ1の表示例である。図10では背景10aが明るさに対応して暗い階調となっていて、文字表示領域10gが視認しにくくなっているが、警告表示領域10b〜10eは図9の同領域と同様の階調(明るさ5)で表示されるので、表示器10の明るさによらず視認しやすくなっている。
【0068】
図9,図10の画面表示において、警告表示領域10b〜10eの表示を、映像に文字や絵を重ねる公知のスーパーインポーズを用いて行なってもよい。
【0069】
図9,図10では車両に設置された図示しない燃料センサから得られる燃料消費量と位置検出器1による車両の現在位置の推移とから得られる走行距離とによって求められる燃費を表示しているが、表示器10に地図を表示して経路案内を行なう場合においても、予め設定された右左折等の案内地点に到達した場合に案内メッセージを表示する場合、地図上の案内地点を強調表示する場合、あるいは走行経路上の交通情報を取得して地図に重ね合わせて表示する場合に、地図表示よりも明るさを明るくして(色の階調を明るいものとして)表示してユーザに注意を喚起することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、本発明は車載用ナビゲーション装置(100)の表示器(10)に限定されるものではなく、例えば図11のように液晶表示器にメータ表示領域91〜95とナビゲーション表示領域96とを同時に表示する車載表示システムにおいて、メータ表示における各種表示(車速(92),エンジン回転数(94),水温(91),油温,燃料(95),シートベルト装着有無,パーキングブレーキ,シフトレンジ(93)等)に本発明の明るさ調節を適用することができる。例えば燃料の残量が所定の量を下回った場合、燃料計(95)自体あるいは燃料警告表示の表示色の階調を他の表示領域よりも明るいものとしてユーザに注意を喚起することができる。
【0072】
また、このメータ表示領域91〜95とナビゲーション表示領域96との相互の明るさ調節に本発明の明るさ調節を適用することができる。このような車載表示システムによれば、ナビゲーション表示領域96の明るさを落としてもメータ表示領域91〜95において特に法規上の理由から明るさを落とせない表示部分に本発明の明るさ調節を適用すれば、表示色の階調により表示の明るさを調整できるので、好都合である。
【0073】
上記の車載表示システムは、例えば、車両に取り付けられたセンサや他の車載機器から取得した情報の表示制御等を行なう図示しないメータECUと、車載用ナビゲーション装置100が車内LAN27によってネットワーク接続され、車載用ナビゲーション装置100で作成され送信されるデータをナビゲーション表示領域96で表示する。車載用ナビゲーション装置100から送られたデータを、図示しないメータECUで加工したものを表示する方法でもよい。
【0074】
また、車載用ナビゲーション装置,メータ液晶表示器等の他に、各種の走行情報を表示する車載モニタ、車両の後退時に車両の後方等を表示して運転の支援を行なういわゆるバックモニタ、車載用音響映像機器等の表示器にも本発明の明るさ調節を適用でき、表示する情報の優先度に応じて明るさ(表示色の階調)を調節して、該情報をユーザに確実に伝えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】表示器に含まれる駆動回路の概略構成を示したブロック図。
【図3】従来技術による明るさ調節方法を説明するための図。
【図4】本発明による明るさ調節方法を説明するための図。
【図5】明るさ調節処理1を説明するためのフロー図。
【図6】明るさ調節処理2を説明するためのフロー図。
【図7】パレットテーブルの一例を示す図。
【図8】係数テーブルの一例を示す図。
【図9】明るさ5における画面の表示例を示す図。
【図10】明るさ1における画面の表示例を示す図。
【図11】車載表示システムの表示例を示す図。
【符号の説明】
【0076】
8 制御回路(明るさ制御手段,階調演算手段)
9 不揮発メモリ
10 表示器
13 送受信機(情報取得手段)
21 ハードディスク装置(階調記憶手段)
26 LAN I/F(情報取得手段)
87 描画部
100 車載用ナビゲーション装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて種々の情報を表示する車載表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の計器パネルの表示装置として、従来の機械式メータの他に液晶(LCD:Liquid Crystal Display)等の画像表示装置も用いられている。この画像表示装置には、表示のデザインやレイアウトを自在に設定できるという利点がある。そこで、従来のメータ表示に加えて、この画像表示装置において車載用ナビゲーション装置の画面表示を行なう車両用表示装置も考案されている。(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−157434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用表示装置等に用いられるカラー液晶表示器では、表示画面全体の明るさの調節は、バックライトの明るさで調節されている。また、有機EL(Electro Luminescence)などの自発光の表示器では、全体の出力電圧(または、電流)を一律に抑えることで明るさの調節を行っている。しかし、警告表示等のユーザにいち早く知らせるべき情報を表示する場合でも、その表示についても表示画面と同じ明るさで表示されるため、表示画面が暗いとユーザがその情報に気付かないという問題がある。
【0005】
上記問題を背景として、本発明の課題は、表示画面の明るさによらず必要な情報をユーザに知らせることのできる車載表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための車載表示装置を提供するものである。すなわち、請求項1によれば、表示器の画面に表示される色の階調を調節することで表示器の画面の明るさを調節する明るさ制御手段を有することを特徴とする車載表示装置として構成される。
【0007】
例えばバックライトの輝度を調節することで表示器の画面の明るさを調節する液晶表示器では、従来は図3のようなバックライトに印加する電圧によりバックライトの輝度を変化させる方法が広く用いられ、印加電圧はPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)のDuty比により変化させている。そして、例えばバックライト輝度の段階(明るさ)によって、昼間モード(明るさ5)/夜間モード(明るさ3)等が設定される。
【0008】
一方、本発明の構成では、図4のようにバックライトの輝度は一定であるが、表示器の画面の明るさを可変とできる。これは、同じ赤色でも「明るい赤」,「暗い赤」というように色の階調を調節すれば色の明暗を表現可能となることによるものである。上記構成によって、表示器の画面に表示される色の階調を調節することで表示器の画面の明るさを調節する車載表示装置を構成することが可能となる。また、バックライトの輝度を一定にすることで、PWMのようなバックライトへの印加電圧を可変とする回路は不要となり、その分のコストを低減できる。また、バックライトは概ね印加する電圧(輝度)を下げると寿命が延びる傾向にあるので、本発明の構成のようにバックライトの輝度をユーザが表示器の画面を視認できる範囲で最小とするような電圧を印加すればバックライトの寿命を延ばすことも可能である。
【0009】
請求項2によれば、本発明の車載表示装置における明るさ制御手段は、表示器の画面に表示される表示情報の種別に応じて当該表示情報の表示領域の明るさを可変とする構成をとることができる。
【0010】
上記構成によって、例えば夜モード(図4の明るさ3)のような表示器の画面の明るさが暗い場合にも、例えば警告表示のようなユーザにいち早く知らせるべき表示を、その表示領域のみを最大の明るさ(図4の明るさ5)で表示することができる。また、従来液晶表示器等とは独立して設置されていたランプ,LEDによる各種警告灯を、液晶表示器の表示画面上に表示領域を設定することが可能となる。これによって、ランプ,LEDおよびその配線が不要となり、部品コスト,配線コスト等を低減することができる。また、ランプ,LEDを表示器に集約することで表示器の占有スペースも少なくでき、車内の意匠設計の自由度が高くなる。
【0011】
請求項3によれば、本発明の車載表示装置は、表示器の画面の明るさおよび表示情報の種別に対応した階調を記憶する階調記憶手段を有し、明るさ制御手段は、記憶された階調により当該表示情報を表示する構成をとることができる。
【0012】
一般に色は16階調,256階調というように色の濃さの段階(階調)で表現される。上記構成によって、明るさの段階に対応した階調を記憶しておけば当該表示情報の明るさを決定する処理の時間を短縮することが可能となる。
【0013】
請求項4によれば、本発明の車載表示装置は、表示器の画面の明るさおよび表示情報の種別に対応して、表示情報を表示するための階調を演算する階調演算手段を有する構成をとることができる。
【0014】
上記構成によって、明るさの段階に対応した階調を記憶しない構成でも当該表示情報の明るさを決定することが可能となる。
【0015】
請求項5によれば、本発明の車載表示装置における階調演算手段は基準となる階調に表示器の画面の明るさおよび表示情報の種別に対応した所定の係数を乗ずる構成をとることができる。
【0016】
所定の係数は例えば光の3原色であるRGB(赤,緑,青)のような色を表現するための原色と表示器の画面の明るさによって定義されるので、少なくとも(原色の数)×(画面の明るさの段階の数)の分の記憶領域があればよい。上記構成によって、記憶するための領域を低減することができ、当該表示情報の明るさを決定する処理の時間をさらに短縮することが可能となる。
【0017】
請求項6によれば、本発明の車載表示装置は、外部機器から表示情報を取得する情報取得手段を有する構成をとることができる。
【0018】
車両には種々のセンサ,車載機器が設置されている。上記構成によって、これらセンサ,車載機器からの情報でユーザにいち早く知らせるべきものは、明るさを最大にして表示することでユーザが気付きやすくすることができる。また、センサ,車載機器からの情報を一つの表示器で表示できるので、ユーザは、該表示器の表示にのみ注意を払えばよく、運転中の視線移動回数も減少する。また、表示器の占有スペースも少なくでき、車内の意匠設計の自由度が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
表示画面の明るさによらず必要な情報をユーザに知らせることのできる車載表示装置を提供するという目的を、所定の情報を表示する色の階調を他の表示領域よりも明るいものとして表示する構成により実現した。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1は本発明の車載表示装置を車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称する)100に適用した場合の構成を示すブロック図である。なお、本発明の車載表示装置の適用範囲を車載用ナビゲーション装置(100)に限定するものではなく、例えば、車両の計器パネルに設置される表示装置に適用してもよい。また、車両の計器パネルに設置される表示装置にナビゲーション画面を含む構成としてもよい。
【0021】
ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24およびスピーカ15,不揮発メモリ9,表示器10,ハードディスク装置(HDD)21,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0022】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0023】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0024】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7、リモコン端末12、マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0025】
本発明の情報取得手段である送受信機13は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信するための装置である。
【0026】
また、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器(図示せず)から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0027】
本発明の明るさ制御手段,階調演算手段である制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。ROM82に、HDD21が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行なうためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【0028】
描画部87は、HDD21等に記憶された表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための描画データを生成する。
【0029】
本発明の階調記憶手段でもあるHDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0030】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、操作スイッチ群7,タッチパネル22およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。
【0031】
また、地図データ21mおよびユーザデータ21uは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークからダウンロードする構成としてもよい。
【0032】
不揮発メモリ9はEEPROMやフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0033】
また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0034】
表示器10はカラー、または、モノクロの階調表示ができる液晶表示器であり、TFT(Thin Film Transistors:薄膜トランジスタ)からなる液晶パネル75(図2参照)と、バックライト(図示せず)を含んで構成される。液晶パネル75で画像が表示され、その画像がバックライトにより背面から照射されることでユーザはその画像を見ることができる。
【0035】
スピーカ15は制御回路8のI/O84に接続される周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路24においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【0036】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0037】
本発明の情報取得手段であるLAN I/F26は車内LAN27を介してセンサあるいは他の車載機器とのデータの遣り取りを行なうためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行なってもよい。
【0038】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0039】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0040】
また、表示灯25はランプ,LEDおよびこれらの駆動回路で構成されており、表示器10とは独立して設置される。表示灯25は警告等の各種情報を表示する。表示内容は、例えば、ウィンカー、ハイビーム等の灯火状態,シートベルト未装着警告,半ドア警告等の表示器10が動作していない場合でもユーザに通知を行なわなければならないものである。灯火状態,シートベルト装着状態,半ドア状態等は車内LAN27を介して他の車載機器から取得する。
【0041】
図2は、表示器10に含まれる駆動回路の概略構成を示したブロック図である。駆動回路は、液晶駆動電源回路40,基準電位発生回路50,ソースドライバ60,走査ドライバ70,液晶パネル75等を含んで構成される。なお、図2においては、これら構成要素を統括的に制御するコントローラおよびバックライトユニットの図示を省略している。
【0042】
液晶駆動電源回路40は、ソースドライバ60に供給する駆動電源電圧Vdcdcと、基準電位発生回路50に与える最高位基準電位VrefHとを生成する。また、基準電位発生回路50は、液晶駆動電源回路40から与えられた最高位基準電位VrefHに基づいて、例えば抵抗分割により、ソースドライバ60において階調電圧を生成するのに必要な複数の基準電位Vref0〜Vrefnを生成する。
【0043】
ソースドライバ60は、液晶駆動電源回路40から供給された駆動電源電圧Vdcdcを電源とし、制御回路8から入力されたデジタル画像データD0〜Dmをラッチするラッチ回路66と、ラッチ回路66によってラッチされたデジタル画像データD0〜Dmを基準電位発生回路50から与えられた複数の基準電位Vref0〜Vrefnを用いてアナログ信号に変換するD/Aコンバータ64と、D/Aコンバータ64から出力されたアナログ信号をバッファリングして複数のアナログ画像信号Y0〜Ykとして出力する出力回路62とを備えて構成される。
【0044】
走査ドライバ70は、所定の周期の走査信号X0〜Xiを出力する。液晶パネル75は、マトリクス状に配列された複数の画素セルによって構成され、例えば、各画素セルのオン/オフをTFTによって制御するアクティブマトリクス駆動の液晶ディスプレイである。また、液晶パネル75は、ソースドライバ60のアナログ画像信号Y0〜Ykと走査ドライバ70の走査信号X0〜Xiとによって定まる画像を表示する。
【0045】
以下に、液晶駆動電源回路40の構成および動作について説明する。ソースドライバ60用の駆動電源電圧Vdcdcと最高位基準電位VrefHは、液晶パネル75の設計や液晶材料の特性で決まる電圧が必要であり、液晶駆動電源回路40自体の駆動に必要な電源電圧VCCとは異なった電圧である。そのため、液晶駆動電源回路40では、電源電圧VCCから駆動電源電圧Vdcdcを生成するために、効率を考慮して、多くの場合、DC/DCコンバータが使用される。なお、ここでは、それら駆動電源電圧Vdcdcと最高位基準電位VrefHは、液晶駆動電源回路40の電源電圧Vccよりも高い値であるとする。そこで、液晶駆動電源回路40は、ソースドライバ60用の駆動電源電圧Vdcdcを生成するために、昇圧型のDC/DCコンバータ45と、そのDC/DCコンバータ45を制御するDC/DCコンバータ制御回路41とを備えている。
【0046】
DC/DCコンバータ制御回路41は、PWM変換部42と、内部基準電圧発生部43と、誤差増幅部44とを備えて構成される。また、液晶駆動電源回路40は、内部基準電圧発生部43によって生成された内部基準電圧VREFを抵抗分割するための抵抗R11およびR12と、DC/DCコンバータ45から出力された駆動電源電圧Vdcdcを抵抗分割するための抵抗R13およびR14とを備えている。
【0047】
誤差増幅部44は、抵抗R11およびR12によって抵抗分割された電圧を非反転入力とし、抵抗R13およびR14によって抵抗分割された電圧を反転入力として、両電圧の差を演算する。また、PWM変換部42は、誤差増幅部44から出力された差電圧の大きさに応じたパルス幅の発振信号VOUTを出力する。
【0048】
よって、駆動電源電圧Vdcdcが目標とする大きさである場合に、抵抗R13およびR14によって抵抗分割される電圧と、抵抗R11およびR12によって抵抗分割される電圧とが等しくなるようにそれら抵抗の値を設計しておけば、実際に出力される駆動電源電圧Vdcdcと上記目標とする大きさとの間で生じた差を0にする帰還制御を実現することができる。この帰還制御によって、液晶駆動電源回路40は、上記目標とする大きさに一致した駆動電源電圧Vdcdcを安定して出力することができる。
【0049】
また、液晶駆動電源回路40は、安定化電源回路46を備えている。この安定化電源回路46は、例えば2%の精度を持つ電源レギュレータであり、液晶駆動電源回路40の電源電圧Vccから最高位基準電位VrefHを生成する。
【0050】
なお、最高位基準電位VrefHの生成は、図2に示したような安定化電源回路46によらないで、液晶駆動電源回路40のDC/DCコンバータ45から出力される駆動電源電圧Vdcdcを抵抗分割して生成することもできる。
【0051】
上記方法の他に、D/Aコンバータ64を用いずアナログ信号に変換せずにデジタル画像データD0〜Dmをデジタル画像信号として出力する構成を用いてもよい。
【0052】
画素セルは光の3原色であるRGB(赤,緑,青)を一組として構成され、RGBの色の組み合わせにより一つの色を表現している。また、各原色に濃淡をつければ、この濃さの段階すなわち色調を持つことにより数多くの色を表現できる。
【0053】
また、表示器10として有機EL表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。有機EL表示器は、例えばRGBそれぞれの色に発光する有機分子を順番に配置して画素セルを構成し、RGBそれぞれの有機分子に印加する電圧を変化させることによってRGBの色の階調を変化させて当該表示領域の明るさを可変とすることができる。
【0054】
プラズマ表示器の画面はRGBの三つのドットの集まりからできている。それぞれのドットは、厚さ3mm程度の二枚のガラス基板に挟まれたセル構造をしている。電極からこのセル内に封入したガスに電流を流して放電させるとプラズマが生じる。このとき紫外線が生じるが、この紫外線がそれぞれのセルの蛍光体にぶつかって、RGBそれぞれの可視光を発する。RGBの各ドットに印加する電圧を変えれば流れる電流も変化し、RGBの色の階調が変化して当該表示領域の明るさを可変とすることができる。
【0055】
上述のように、画素セルに印加される電圧によって明るさが変化する有機EL表示器,プラズマ表示器等のいわゆる自発光型ディスプレイにおいても、本発明の構成が適用可能で、印加される電圧が低く画面表示が暗い場合でも、ユーザにいち早く知らせたい情報がある場合には当該情報の表示領域の画素セルに印加される電圧を変化させて色の階調を明るいものとすることで当該情報の表示領域を他の領域よりも明るく見せることが可能となる。
【0056】
(明るさ調節処理1)
図5,図7を用いて、表示器10の表示画面の明るさ調節処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他のプログラムとともに繰り返し実行される。まず、RAM83あるいは不揮発メモリ9の所定の領域に記憶されている、表示器10の表示画面の明るさ情報を取得する(S1)。
【0057】
表示器10の表示画面の明るさは、ユーザの操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって設定される。また、車幅灯,前照灯などの点灯/消灯を行なう図示しないライトスイッチの操作によって、いわゆる昼間モード/夜間モードの切り替えが行なわれる際にも表示器10の表示画面の明るさが変化する。
【0058】
描画部87でユーザの操作に対応する描画データが作成されると、背景,文字,図形等のそれぞれについて、図7のパレットテーブルを参照して、先に取得した表示器10の表示画面の明るさ情報を基に階調のデータを取得する(S2)。そして、取得された階調のデータに基づいて表示を行なう(S3)。階調のデータを含む描画データは、制御回路8からデジタル画像データD0〜Dmとして表示器10(ラッチ回路66)に送られる。
【0059】
図7のパレットテーブルは、背景,文字,図形等の表示種別と、表示器10の表示画面の明るさとの関係を、当該表示を行なう画素セルのRBGの階調で表したもので、HDD21あるいは描画部87の図示しないメモリに記憶される。図7の例では、階調は0〜Fの16段階で、表示器10の明るさの段階に応じて階調の値が増減する。また、警告表示(青,赤,橙)については、表示器10の表示画面の明るさに関係なく一定の階調となっている。
【0060】
警告表示すなわち表示器10の明るさによらず最大の明るさで表示する内容は、以下のうちの一つ以上を含む。
(1)送受信機13を介して取得した交通情報,天候情報のうち、位置検出器1で検出される車両の現在位置の所定の距離内に含まれる情報。
(2)表示灯25で表示される内容。
(3)車内LAN27を介して取得したセンサあるいは他の車載機器の情報のうち、センサあるいは他の車載機器が異常と推定される情報(計器パネルの警告表示内容など)。
(4)ナビゲーション装置の動作異常に関する情報。
(5)経路案内の右左折地点等の案内情報。
【0061】
(明るさ調節処理2)
図6,図8を用いて、表示器10の表示画面の明るさ調節処理の別の例について説明する。まず、RAM83の所定の領域に記憶されている、表示器10の表示画面の明るさ情報を取得する(S11)。
【0062】
描画部87でユーザの操作に対応する描画データが作成されると、背景,文字,図形等のそれぞれについて、表示色情報を取得する(S12)。表示色情報とは、例えば図7でいえば、明るさ5に相当し、該当する表示色を最大の明るさで表示する階調である。表示色情報はHDD21あるいは描画部87の図示しないメモリに記憶されている。
【0063】
表示色情報が取得された背景,文字,図形等のそれぞれについて、表示種別を調べ、例えば警告表示等の所定の表示種別である場合(S13:Yes)、取得された表示色情報の階調(すなわち、最大の明るさ)に基づいて表示を行なう(S15)。
【0064】
一方、例えば警告表示の所定の表示種別でない場合(S13:No)、図8の係数テーブルを参照して、表示器10の表示画面の明るさ情報に基づいた係数を選択し、取得された表示色情報の階調に該係数を乗じて表示階調を決定する(S14)。そして、決定された表示階調に基づいて表示を行なう(S15)。階調のデータを含む描画データは、制御回路8からデジタル画像データD0〜Dmとして表示器10(ラッチ回路66)に送られる。
【0065】
図8の係数テーブルは、表示器10の表示画面の明るさ情報に対応した画素セルのR,B,Gそれぞれの係数rn,gn,bnを定義したもので、HDD21あるいは描画部87の図示しないメモリに記憶される。図8の例では、表示色情報は明るさ5の時の各画素の色R(x,y)、G(x,y)、B(x,y)に相当する。なお、(x,y)は表示器10の表示画面上の各画素の位置を表す座標である。
【0066】
表示器10の表示画面の明るさがnのときの各画素の色Rn(x,y)、Gn(x,y)、Bn(x,y)は、それぞれの係数を乗じてR(x,y)×rn、G(x,y)×gn、B(x,y)×bnと求められる。また、警告表示等のような所定の表示種別の場合には、明るさnの値によらず、R(x,y)、G(x,y)、B(x,y)となる。図8において、明るさ5のときの係数をそれぞれ1.0と定義して演算処理を行なってもよい。
【0067】
図9,図10は上記の表示器10の表示画面の明るさ調節処理1あるいは2を用いた場合の表示器10における画面表示例である。図9は最も明るい明るさ5の表示例、図10は最も暗い明るさ1の表示例である。図10では背景10aが明るさに対応して暗い階調となっていて、文字表示領域10gが視認しにくくなっているが、警告表示領域10b〜10eは図9の同領域と同様の階調(明るさ5)で表示されるので、表示器10の明るさによらず視認しやすくなっている。
【0068】
図9,図10の画面表示において、警告表示領域10b〜10eの表示を、映像に文字や絵を重ねる公知のスーパーインポーズを用いて行なってもよい。
【0069】
図9,図10では車両に設置された図示しない燃料センサから得られる燃料消費量と位置検出器1による車両の現在位置の推移とから得られる走行距離とによって求められる燃費を表示しているが、表示器10に地図を表示して経路案内を行なう場合においても、予め設定された右左折等の案内地点に到達した場合に案内メッセージを表示する場合、地図上の案内地点を強調表示する場合、あるいは走行経路上の交通情報を取得して地図に重ね合わせて表示する場合に、地図表示よりも明るさを明るくして(色の階調を明るいものとして)表示してユーザに注意を喚起することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、本発明は車載用ナビゲーション装置(100)の表示器(10)に限定されるものではなく、例えば図11のように液晶表示器にメータ表示領域91〜95とナビゲーション表示領域96とを同時に表示する車載表示システムにおいて、メータ表示における各種表示(車速(92),エンジン回転数(94),水温(91),油温,燃料(95),シートベルト装着有無,パーキングブレーキ,シフトレンジ(93)等)に本発明の明るさ調節を適用することができる。例えば燃料の残量が所定の量を下回った場合、燃料計(95)自体あるいは燃料警告表示の表示色の階調を他の表示領域よりも明るいものとしてユーザに注意を喚起することができる。
【0072】
また、このメータ表示領域91〜95とナビゲーション表示領域96との相互の明るさ調節に本発明の明るさ調節を適用することができる。このような車載表示システムによれば、ナビゲーション表示領域96の明るさを落としてもメータ表示領域91〜95において特に法規上の理由から明るさを落とせない表示部分に本発明の明るさ調節を適用すれば、表示色の階調により表示の明るさを調整できるので、好都合である。
【0073】
上記の車載表示システムは、例えば、車両に取り付けられたセンサや他の車載機器から取得した情報の表示制御等を行なう図示しないメータECUと、車載用ナビゲーション装置100が車内LAN27によってネットワーク接続され、車載用ナビゲーション装置100で作成され送信されるデータをナビゲーション表示領域96で表示する。車載用ナビゲーション装置100から送られたデータを、図示しないメータECUで加工したものを表示する方法でもよい。
【0074】
また、車載用ナビゲーション装置,メータ液晶表示器等の他に、各種の走行情報を表示する車載モニタ、車両の後退時に車両の後方等を表示して運転の支援を行なういわゆるバックモニタ、車載用音響映像機器等の表示器にも本発明の明るさ調節を適用でき、表示する情報の優先度に応じて明るさ(表示色の階調)を調節して、該情報をユーザに確実に伝えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】表示器に含まれる駆動回路の概略構成を示したブロック図。
【図3】従来技術による明るさ調節方法を説明するための図。
【図4】本発明による明るさ調節方法を説明するための図。
【図5】明るさ調節処理1を説明するためのフロー図。
【図6】明るさ調節処理2を説明するためのフロー図。
【図7】パレットテーブルの一例を示す図。
【図8】係数テーブルの一例を示す図。
【図9】明るさ5における画面の表示例を示す図。
【図10】明るさ1における画面の表示例を示す図。
【図11】車載表示システムの表示例を示す図。
【符号の説明】
【0076】
8 制御回路(明るさ制御手段,階調演算手段)
9 不揮発メモリ
10 表示器
13 送受信機(情報取得手段)
21 ハードディスク装置(階調記憶手段)
26 LAN I/F(情報取得手段)
87 描画部
100 車載用ナビゲーション装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器の画面に表示される色の階調を調節することで前記表示器の画面の明るさを調節する明るさ制御手段を有することを特徴とする車載表示装置。
【請求項2】
前記明るさ制御手段は、前記表示器の画面に表示される表示情報の種別に応じて当該表示情報の表示領域の明るさを可変とする請求項1に記載の車載表示装置。
【請求項3】
前記表示器の画面の明るさおよび前記表示情報の種別に対応した階調を記憶する階調記憶手段を有し、
前記明るさ制御手段は、前記記憶された階調により当該表示情報を表示する請求項1または2に記載の車載表示装置。
【請求項4】
前記表示器の画面の明るさおよび前記表示情報の種別に対応して、前記表示情報を表示するための階調を演算する階調演算手段を有する請求項1または2に記載の車載表示装置。
【請求項5】
前記階調演算手段は基準となる階調に前記表示器の画面の明るさおよび前記表示情報の種別に対応した所定の係数を乗ずる請求項4に記載の車載表示装置。
【請求項6】
外部機器から前記表示情報を取得する情報取得手段を有する請求項2ないし5のいずれか1項に記載の車載表示装置。
【請求項1】
表示器の画面に表示される色の階調を調節することで前記表示器の画面の明るさを調節する明るさ制御手段を有することを特徴とする車載表示装置。
【請求項2】
前記明るさ制御手段は、前記表示器の画面に表示される表示情報の種別に応じて当該表示情報の表示領域の明るさを可変とする請求項1に記載の車載表示装置。
【請求項3】
前記表示器の画面の明るさおよび前記表示情報の種別に対応した階調を記憶する階調記憶手段を有し、
前記明るさ制御手段は、前記記憶された階調により当該表示情報を表示する請求項1または2に記載の車載表示装置。
【請求項4】
前記表示器の画面の明るさおよび前記表示情報の種別に対応して、前記表示情報を表示するための階調を演算する階調演算手段を有する請求項1または2に記載の車載表示装置。
【請求項5】
前記階調演算手段は基準となる階調に前記表示器の画面の明るさおよび前記表示情報の種別に対応した所定の係数を乗ずる請求項4に記載の車載表示装置。
【請求項6】
外部機器から前記表示情報を取得する情報取得手段を有する請求項2ないし5のいずれか1項に記載の車載表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−91030(P2007−91030A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282739(P2005−282739)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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