説明

MCH調節活性を有するアリール化合物およびビアリール化合物

【課題】MCHレセプターのアンタゴニストを提供すること
【解決手段】1つの実施形態において、本発明は、MCHレセプターのアンタゴニストとしての新規種類の化合物、このような化合物を調製する方法、1種以上のこのような化合物を含有する薬学的組成物、1種以上のこのような化合物を含有する薬学的処方物を調製する方法、およびMCHレセプターに関連した1種以上の疾患を処置、予防または改善する方法を提供する。本明細書では、例証的な本発明の化合物が示されている。1実施形態では、本願は、式Iで示した一般構造を有する化合物を開示しており、この化合物には、この化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびプロドラッグ、ならびにこの化合物またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、メラニン濃縮ホルモン(MCH)用のアンタゴニスト、および肥満、糖尿病および関連した障害の処置におけるそれらの使用に関する。本発明は、一般に、MCHレセプター調節剤活性を有する新規化合物、1種以上のこのような調節剤を含有する薬学的組成物、このような調節剤を調製する方法およびこのような調節剤を使用して肥満、糖尿病および関連した障害を処置する方法を開示している。本発明は、具体的には、ある種の新規アリールおよびビアリール化合物を開示している。本願は、米国仮特許出願第60/277,534号(これは、2001年3月21日に出願された)から優先権を主張している。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
MCH(19−アミノ酸環状ペプチド)は、一昔前、硬骨魚で最初に確認され、これは、色の変化を調節すると思われる。さらに最近では、視床下部外側野(これは、摂食挙動を調節する脳の器官である)で主に合成されるMCHが、哺乳動物における摂食挙動の調節装置として、その潜在的な役割について、研究課題となっている。MCHを中枢系に投与すると、齧歯類において、食物摂取を刺激し脂肪分の蓄積を促進することが知られている。MCHを過剰発現するマウスが肥満体であることも知られている。Shimadaら、Nature,Vol.396(1998年12月17日)、pp.670〜673で報告されているように、MCHが欠乏したマウスは、減食(摂食低下)が原因で、体重が減り、痩せた。彼らの発見を考慮して、この文献の著者は、MCH作用のアンタゴニストが肥満の処置に有効であり得ることを示唆した。米国特許第5,908,830号は、糖尿病または肥満を処置する組合せ療法を開示しており、これは、代謝速度増大剤および摂食挙動調節剤の投与を含み、後者の例は、MCHアンタゴニストである。米国特許第6,043,246号は、神経ペプチドYレセプタアンタゴニストとして、特に、代謝系の疾患(肥満および糖尿病を含めて)を処置する薬剤として有用であると言われている尿素誘導体を開示している。公開されたPCT特許出願WO00/27845は、スピロ−インドリンとして特徴付けられる種類の化合物を記述しており、これは、選択的な神経ペプチドYY5アンタゴニストと言われ、肥満およびそれに関連した合併症を処置するのに有用である。本願出願人に譲渡された係属中の米国仮特許出願第60/232,255号(2000年9月14日に出願された)は、アリール置換尿素神経ペプチドYY5アンタゴニスト、および肥満、過食症(摂食増大)および糖尿病の処置におけるそれら使用を開示し請求している。
【0003】
GB2304714−A(譲渡人:Sanofi)は、次式のピペリジン誘導体を開示している:
【0004】
【化17】

ここで、種々の部分は、定義されたとおりである。
【0005】
FR2717802−A1は、次式のピペリジンを開示している:
【0006】
【化18】

ここで、種々の部分は、定義されたとおりである。
【0007】
EP428434−Aは、次式のピペリジンおよびピペラジンを開示している:
【0008】
【化19】

ここで、種々の部分は、定義されたとおりである。
【0009】
EP515240−A1は、次式の化合物を開示している:
【0010】
【化20】

ここで、種々の部分は、定義されたとおりである。
【0011】
EP559538−A1は、次式の化合物を開示している:
【0012】
【化21】

ここで、種々の部分は、定義されたとおりである。
【0013】
EP474561−A1は、次式の化合物を開示している:
【0014】
【化22】

ここで、種々の部分は、定義されたとおりである。
【0015】
本願出願時に係属中の出願第 号(これは、本願と同日に出願された)は、MCH調節剤活性を備えた特定の新規化合物を開示している。
【0016】
MCHレセプター調節、糖尿病および関連した障害のための新規化合物、処方物、処置および療法が必要とされている。従って、本発明の目的は、このような障害を処置または予防または改善するのに有用な化合物を提供することにある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、本明細書中で提供した化合物および薬学的組成物を使用してMCHレセプターを調節する方法を提供することにある。
【0018】
本明細書での別の目的は、本明細書中で提供した化合物を使用してMCHレセプターを調節する方法を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,908,830号明細書
【特許文献2】米国特許第6,043,246号明細書
【特許文献3】国際公開00/27845号明細書
【特許文献4】英国特許2304714号明細書
【特許文献5】仏国特許2717802号明細書
【特許文献6】欧州特許公開428434号明細書
【特許文献7】欧州特許公開515240号明細書
【特許文献8】欧州特許公開559538号明細書
【特許文献9】欧州特許公開474561号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Shimadaら、Nature,Vol.396(1998年12月17日)、pp.670〜673
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(発明の要旨)
本発明は、その多くの実施形態では、MCHレセプターのアンタゴニストとしての新規種類の化合物、このような化合物を調製する方法、1種以上のこのような化合物を含有する薬学的組成物、1種以上のこのような化合物を含有する薬学的組成物、1種以上のこのような化合物を含有する医薬品処方物を調製する方法、およびMCHレセプターに関連した1種以上の疾患を処置、予防または改善する方法を提供する。1実施形態では、本願は、式Iで示した一般構造を有する化合物を開示しており、この化合物には、この化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびプロドラッグ、ならびにこの化合物またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が含まれる:
【0023】
【化23】

ここで、Arは、非置換または置換フェニル、ピリジン、ピリジン−N−オキシド、ピラジンまたはピリダジンであり、ここで、この置換基は、0個〜5個であり、同一または異なり得、そして独立して、H、CN、OCF、F、Cl、Br、I、CONH、メチレンジオキシ、OR、COH、CORおよびOHからなる群から独立して選択され、Rは、C〜C直鎖アルキルまたは分枝アルキルまたはC〜Cシクロアルキルである;
Mは、HまたはRである;
Zは、
【0024】
【化24】

であり、
ここで、Arは、非置換または置換フェニルであり、ここで、この置換基は、0個〜5個であり、同一または異なり得、そして独立して、F、Cl、Br、I、R、OR、NOおよびCFからなる群から選択される;
nは、0〜6である;
pは、1〜6である;
は、同一または異なり得、そして独立して、R;NH;NHR;N(R);N(R)→O;NH(CHOR;N(R)SOR;NH(CH−N(R);N(R)SO(R);
【0025】
【化25】

からなる群より選択され、
ここで、nは、上で定義したとおりであり、ここで、Yは、0個〜5個の同一または異なり得る部分であり、そして独立して、H;OH;NH
【0026】
【化26】

からなる群より選択され、
ここで、nは、上で定義したとおりであり、そしてtは、1〜5である;そしてRは、Hまたはアルキルである。
【0027】
式Iにおける種々の官能基の好ましい代表例には、以下がある:
Arについて:フェニルまたはピリジル(さらに好ましくは、式Iの環にて、4−フェニルまたは4−ピリジル)であり、このフェニルまたはピリジルにある1個以上の置換基は、CN、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され、より好ましくは、CN、OCF、FおよびClから選択した置換基を備えたフェニルであり、さらに好ましくは、これらの好ましい置換基の少なくとも1個が式Iで示したベンジル位置へのこの環の結合に関して、この環の3位置または4位置にあるときである。
【0028】
Zについて:Ar−NH−COであり、ここで、Arは、フェニルであり、これは、必要に応じて、1〜5個の部分(例えば、ハロゲン、OCHまたはCF)で置換され得、この置換基は、F、ClまたはOCHである。
【0029】
Rについて:好ましくは、C〜C直鎖または分枝アルキルまたはC〜Cシクロアルキルである。
【0030】
nについて:好ましくは、1〜6、さらに好ましくは、2〜4、さらにより好ましくは、2である。
【0031】
Mについて:Hである。
【0032】
について:好ましくは、NHR;N(R);N(R)→O;NH(CHOCH;N(R)SOR;NH(CH−N(R);N(R)SO(R);
【0033】
【化27】

からなる群から選択され、より好ましい部分は、NHMe;NHEt;NMe;NH(CHOCH;NH−シクロプロピル;NH−シクロブチル;NH−シクロペンチル;NH(CHNMe;および
【0034】
【化28】

であり、ここで、Yおよびnは、上で定義したとおりである。
【0035】
Yについて:好ましくは、以下の部分:NH;NMe;NHMe;
【0036】
【化29】

である。
【0037】
本発明はまた、式IIで示した一般構造を有する化合物を開示しており、この化合物には、この化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびプロドラッグ、ならびにこの化合物またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が含まれる:
【0038】
【化30】

ここで、M、Z、n、pおよびRは、それらの選好性と共に、上で定義したとおりである;kは、0〜5の数である。Xは、同一または異なり得、そして独立して、H、Cl、F、Br、I、R、OR、CF、OCF、メチレンジオキシ、
【0039】
【化31】

からなる群より選択され、Xに好ましい部分は、R、H、Cl、CFおよびOCFである。数kは、好ましくは、1〜3である。
【0040】
本発明は、さらに、式IIIで示した一般構造を有する化合物を開示しており、この化合物には、この化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびプロドラッグ、ならびにこの化合物またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が含まれる:
【0041】
【化32】

ここで、M、n、pおよびRは、それらの選好性と共に、上で定義したとおりである。Rは、Hまたはアルキルであり、そしてkは、0〜5の数である。Gは、−CH−、−C(O)−または−C(O)−O−であり、−C(O)は、図において、N(R)に連結されている。Rは、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリールである。Lは、同一または異なり得、そして独立して、H、アリール、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルアリールオキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ、シアノ、CFおよびNOからなる群から選択される。
【0042】
本発明の化合物における環部分は、必要に応じて、この環にある置換基または追加置換基を備え得る。このような置換基は、例えば、R、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルアリールオキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ、シアノ、トリフルオロアルキル、ニトロなどであり得る。
【0043】
また、本発明には、式I、式IIおよび式IIIの化合物の互変異性体、回転異性体、鏡像異性体および他の光学異性体(適用できる場合)、それらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および誘導体だけでなく、この化合物のプロドラッグ、およびこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および誘導体が含まれる。
【0044】
本発明のさらなる特徴は、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と共に、活性成分として、式I、式IIまたは式IIIの化合物(またはその塩、溶媒和物または異性体)を含有する薬学的組成物である。
【0045】
本発明はまた、式I、式IIおよび式IIIの化合物だけでなく、疾患(例えば、肥満および関連した障害)を処置する方法を提供する。この処置方法は、この疾患に罹患した患者に、治療有効量の式I、式IIまたは式IIIの化合物、または式I、式IIまたは式IIIの化合物を含有する薬学的組成物を投与する工程を包含する。用語「治療有効量」は、その化合物をMCH調節剤とするのに有効な化合物の量を意味する。
【0046】
また、肥満および関連した障害を処置する医薬を製造するための式I、式IIまたは式IIIの化合物の使用も開示されている。
【0047】
式I、式IIまたは式IIIの化合物を含む単独療法に加えて、本発明の他の局面は、治療有効量の式I(または式IIまたは式III)の化合物、またはそのプロドラッグ、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩と、治療有効量の1種以上の肥満抑制薬/食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、サイロミメティック薬またはNPYアンタゴニスト)との組合せ(例えば、二重組合せ療法、三重組合せ療法など)である。
【0048】
本発明のさらに別の局面は、肥満を処置する方法であって、この方法は、このような処置を必要としている哺乳動物(この用語には、ヒトが含まれる)に、以下を投与する工程を包含する:
a.治療有効量の第一化合物であって、この第一化合物は、式Iの化合物(または式IIの化合物または式IIIの化合物)、そのプロドラッグ、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩である;および
b.治療有効量の第二化合物であって、この第二化合物は、肥満抑制薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、サイロミメティック薬またはNPYアンタゴニスト)であり、この第一および第二化合物の量は、肥満を処置する所望の効果を生じる。
【0049】
本発明はまた、以下の組合せを含有する薬学的組成物に関する:治療有効量の第一化合物であって、この第一化合物は、式Iの化合物(または式IIの化合物または式IIIの化合物)、そのプロドラッグ、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩である;ならびに治療有効量の第二化合物であって、この第二化合物は、肥満抑制薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、サイロミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニスト)であり、この第一および第二化合物の量は、肥満を処置する所望の効果を生じる;ならびに/あるいは必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤。
【0050】
本発明の他の局面は、以下のa、bおよびcを含有するキットである:
a.治療有効量の第一化合物であって、この第一化合物は、式Iの化合物(または式IIの化合物または式IIIの化合物)、そのプロドラッグ、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩はもしくはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩である;および第一の単位投薬形状薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;
b.治療有効量の第二化合物であって、この第二化合物は、肥満抑制薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、サイロミメティック薬またはNPYアンタゴニスト)であり、この第一および第二化合物の量は、肥満を処置する所望の効果を生じる;および第二の単位投薬量形状の薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;ならびに、
c.この第一および第二投薬形状を含有させる手段であって、ここで、この第一および第二化合物の量は、肥満を処置する所望の効果を生じる。
上記組合せ方法、組合せ組成物および組合せキットにおいて好ましい肥満抑制薬および/または食欲抑制薬の例示的な非限定の例としては、以下:
【0051】
【化33】

本発明の別の局面は、糖尿病を処置する方法であって、この方法は、哺乳動物に、以下のaおよびbを投与する工程を包含する:
a.治療有効量の第一化合物であって、この第一化合物は、式Iの化合物(または式IIの化合物または式IIIの化合物)、そのプロドラッグ、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩である;および
b.治療有効量の第二化合物であって、この第二化合物は、アルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、ジペプチジルプロテアーゼ阻害剤、インスリン(経口で生物利用可能なインスリン製剤を含む)、インスリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドまたはクロルプロパミドである;ここで、この第一および第二化合物の量は、糖尿病を処置する所望の効果を生じる。
【0052】
本発明はまた、以下の組合せを含有する薬学的組成物に関する:治療有効量の第一化合物であって、この第一化合物は、式Iの化合物(または式IIの化合物または式IIIの化合物)、そのプロドラッグ、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩である;治療有効量の第二化合物であって、この第二化合物は、アルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、ジペプチジルプロテアーゼ阻害剤、インスリン(経口生物利用可能なインスリン製剤を含めて)、インスリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドまたはクロルプロパミドである;および必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤。
【0053】
本発明の他の局面は、以下のa、bおよびcを含有するキットである:
a.治療有効量の第一化合物であって、この第一化合物は、式Iの化合物(または式IIの化合物または式IIIの化合物)、そのプロドラッグ、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩またはこのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩である;および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;
b.治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、ジペプチジルプロテアーゼ阻害剤、インスリン(経口生物利用可能なインスリン製剤を含めて)、インスリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドまたはクロルプロパミド、および第二の単位投薬形状の薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;および
c.この第一および第二投薬形状を含有させる手段であって、ここで、この第一および第二化合物の量は、糖尿病を処置する所望の効果を生じる。
【発明の効果】
【0054】
本発明により、上述した課題が解決される。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
1実施形態では、本発明は、MCHレセプターの阻害剤として、式I、式IIもしくは式IIIの化合物、またはその薬学的に受容可能な誘導体を開示している。式I、式IIおよび式IIIにある種々の部分の定義は、上で示されている。
【0056】
他に定義されていなければ、本明細書中で使用する全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する技術の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。それゆえ、例えば、用語アルキル(アルコキシのアルキル部分を含めて)とは、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素から原子1個を除去することにより誘導される一価基を意味し、これは、1個〜8個の炭素原子、好ましくは、1個〜6個の炭素原子を有する;
アリールとは、6個〜14個の炭素原子および少なくとも1個のベンゼノイド環を有する炭素環式基であり、この炭素環式基の全ての利用できる置換可能な炭素原子は、可能な結合点と見なされる。好ましいアリール基には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルおよびインダニル、特に、フェニルおよび置換フェニルが挙げられる。
【0057】
アラルキルとは、低級アルキルを介して結合したアリール基を含有する部分を意味する。
【0058】
アルキルアリールとは、アリール基を介して結合した低級アルキルを含有する部分を意味する。
【0059】
シクロアルキルとは、3個〜8個の炭素原子、好ましくは、5個または6個の炭素原子を有する飽和炭素環を意味し、これは、必要に応じて、置換されている。
【0060】
複素環とは、以下で定義するヘテロアリール基に加えて、飽和および不飽和環状有機基を意味し、これは、炭素環構造(これは、1個の環または2個の縮合環からなる)に割り込んでいる少なくとも1個のO原子、S原子および/またはN原子を有し、ここで、各環は、5員、6員または7員であり、そして非局在化パイ電子が欠けた二重結合を有し得るか有し得ず、その環構造は、2個〜8個の炭素原子、好ましくは、3個〜6個の炭素原子を有する(例えば、2−または3−ピペリジニル、2−または3−ピペラジニル、2−または3−モルホリニル、または2−または3−チオモルホリニル);
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0061】
ヘテロアリールとは、環状有機基を意味し、これは、炭素環構造に割り込んでいる少なくとも1個のO原子、S原子および/またはN原子を有し、また、芳香族の特性を与えるのに十分な数の非局在化パイ電子を有し、その芳香族ヘテロサイクリル基は、2個〜14個の炭素原子、好ましくは、4個または5個の炭素原子を有する(例えば、2−、3−または4−ピリジル、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、2−、4−または5−チアゾリル、2−または4−イミダゾリル、2−、4−または5−ピリミジニル、2−ピラジニル、あるいは3−または4−ピリダジニルなど)。
【0062】
優れたMCHレセプター調節剤活性を示す本発明の代表的な化合物は、それらの活性(ナノモル(nM)でのKの範囲)と共に、表1に載せている。
【0063】
本発明の化合物は、その構造に依存して、有機酸もしくは無機酸、または有機塩基もしくは無機塩基と薬学的に受容可能な塩を形成し得る。このような塩形成に適当な酸の例には、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、および当業者に周知の他の鉱酸およびカルボン酸がある。塩基との塩形成に適当な塩基には、例えば、NaOH、KOH、NHOH、水酸化テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられる。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、活性成分として上記の本発明のアリール化合物またはビアリール化合物を含有する薬学的組成物を提供する。この薬学的組成物は、一般に、薬学的に受容可能なキャリア希釈剤、賦形剤またはキャリア(これらは、本明細書中にて、集合的に、キャリア物質と呼ぶ)をさらに含有する。これらの薬学的組成物は、MCH阻害活性に起因して、肥満および関連した障害を処置するのに有用である。
【0065】
さらに他の実施形態では、本発明は、活性成分として本発明のアリール化合物またはビアリール化合物を含有する薬学的組成物を調製する方法を開示している。本発明の薬学的組成物および方法では、これらの活性成分は、典型的には、適当なキャリア物質と混合して投与され、これらのキャリア物質は、投与に向けた形状(すなわち、経口錠剤、カプセル(固体充填、半固体充填または液体充填のいずれか)、形成用の粉末、経口ゲル、エリキシル剤、分散性顆粒、シロップ、懸濁液など)に関して適当に選択され、そして従来の薬学的実務と一致している。例えば、錠剤またはカプセルの形状で経口投与するために、その活性薬剤成分は、任意の経口的に無毒の薬学的に受容可能な不活性キャリア(例えば、ラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液状)など)と併用され得る。さらに、望ましいかまたは必要な場合、この混合物には、適当な結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤もまた、取り込まれ得る。粉末および錠剤は、約5%〜約95%の本発明の組成物から構成され得る。適当な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然ショ糖、コーン甘味料、天然ゴムおよび合成ゴム(例えば、アカシア)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびワックスが挙げられる。これらの投薬形状において使用が言及され得る潤滑剤には、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどかある。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、グアールガムなどが挙げられる。甘味料および香料および防腐剤もまた、適切な場合、含有され得る。上で述べた用語の一部(すなわち、崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤など)は、以下でさらに詳細に述べる。
【0066】
さらに、本発明の組成物は、その治療効果(すなわち、MCH阻害活性など)を最適にするために、その成分または活性成分の任意の1種以上を、速度を制御して放出する徐放形状で製剤され得る。適切な徐放投薬形状には、層状にした錠剤(これは、崩壊速度が異なる層を含む)または放出を制御した高分子マトリックス(これには、これらの活性成分が含浸され、錠剤形状に成形されている)またはカプセル(これは、このような含浸またはカプセル化した多孔性高分子マトリックスを含有する)が挙げられる。
【0067】
液状製剤には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。一例としては、非経口注入用に、水または水−プロピレングリコール溶液が言及され得、また、経口溶液、懸濁液および乳濁液用に、甘味料および乳白剤(pacifier)の添加が言及され得る。液状製剤には、また、鼻腔内投与用の溶液が挙げられ得る。
【0068】
吸入に適切なエアロゾル製剤には、溶液および粉末形状固体が挙げられ得、これは、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性圧縮気体(例えば、窒素))と組み合わせられ得る。
【0069】
座剤を調製するためには、低溶融性ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物)が、まず、溶融され、その活性成分は、攪拌または類似の混合により、その中で均一に分散される。溶融した均一混合物は、次いで、好都合な大きさにした鋳型に鋳込まれ、冷却され、それにより、固化する。
【0070】
また、使用直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのための液状製剤に転化するように意図された固形製剤も含まれる。このような液体形状には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0071】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。これらの経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形状をとり得、この目的のために当該技術分野で通常のマトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0072】
これらの化合物だけでなく、本発明の化合物を含有する医薬品製剤はまた、皮下に送達され得る。
【0073】
好ましくは、この化合物は、経口投与される。
【0074】
好ましくは、この薬学的製剤は、単位投薬形状である。このような形状では、この製剤は、適当な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の活性成分を含有する適当なサイズの単位用量に細分される。
【0075】
単位用量の製剤中の本発明の活性化合物の量は、特定の用途に従って、一般に、約1.0ミリグラム〜約1,000ミリグラム、好ましくは、約1.0〜約950ミリグラム、さらに好ましくは、約1.0〜約500ミリグラム、典型的には、約1〜約250ミリグラムで変えられるか調整され得る。使用する実際の投薬量は、患者の年齢、性別、体重および治療する病気の重症度に依存して、変わり得る。このような技術は、当業者に周知である。
【0076】
一般に、これらの活性成分を含有するヒト経口投薬形状は、1日1回または2回で投与できる。この投与の量および頻度は、担当医の判断に従って、調節される。経口投与に典型的な一般に推奨される毎日の投薬レジメンは、単一用量または分割用量で、1日あたり、約1.0ミリグラム〜約1,000ミリグラムの範囲であり得る。
【0077】
一部の有用な用語を、以下で記述する:
カプセルとは、これらの活性成分を含有する組成物を保持するか含有する特殊な容器または囲壁を意味し、これは、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、または変性ゼラチンまたはデンプンから作製される。硬質カプセルは、典型的には、比較的に高いゲル強度の骨格とブタ皮膚ゼラチンとのブレンドから作製される。このカプセルそれ自体は、少量の染料、不透明化剤、可塑剤および防腐剤を含有し得る。
【0078】
錠剤とは、圧縮または成形した固体投薬形状であり、これは、適切な希釈剤と共に、これらの活性成分を含有する。この錠剤は、湿潤顆粒化、乾燥顆粒化または緻密化により得られる混合物または顆粒の圧縮により、調製され得る。
【0079】
経口ゲルとは、親水性半固形マトリックスで分散または可溶化された活性成分を意味する。
【0080】
構造用の粉末とは、これらの活性成分および適切な希釈剤(これは、水または分泌液と懸濁できる)を含有する粉末ブレンドを意味する。
【0081】
希釈剤とは、通常、その組成物または投薬形状の主要量を構成する物質を意味する。適当な希釈剤には、糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール);小麦、トウモロコシ、米およびジャガイモから誘導したデンプン;およびセルロース(例えば、微結晶セルロース)が挙げられる。この組成物中の希釈剤の量は、その全組成物の約10〜約90重量%、好ましくは、約25〜約75重量%、さらに好ましくは、約30〜約60重量%、さらにより好ましくは、約12〜約60重量%の範囲であり得る。
【0082】
崩壊剤とは、それが分解(崩壊)して医薬品を放出するのを助けるために、この組成物に加えられる物質を意味する。適切な崩壊剤には、デンプン;「冷水溶解性」となるように変性したデンプン(例えば、ナトリウムカルボキシメチルデンプン);天然および合成ゴム(例えば、イナゴマメ、カラヤゴム、グアール、トラガカントおよび寒天);セルロース誘導体(例えば、メチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロース);微結晶セルロースおよび架橋した微結晶セルロース(例えば、ナトリウムクロスカルメロース);アルギン酸塩(例えば、アルギン酸およびアルギン酸ナトリウム);粘土(例えば、ベントナイト);および発泡性混合物が挙げられる。この組成物中での崩壊剤の量は、その組成物の約2〜約15重量%、さらに好ましくは、約4〜約10重量%の範囲であり得る。
【0083】
結合剤とは、粉末を共に結合または「接着」して顆粒を形成することにより凝集性にし、それにより、その処方中にて、「接着剤」として働く物質を意味する。結合剤は、この希釈剤または充填剤で既に利用できる凝集強度を加える。適当な結合剤には、糖(例えば、スクロース);小麦、トウモロコシ、米およびジャガイモから誘導したデンプン;天然ゴム(例えば、アカシア、ゼラチンおよびトラガカント);海草の誘導体(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸アンモニウムカルシウム);セルロース物質(例えば、メチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース);ポリビニルピロリドン;および無機物質(例えば、ケイ酸ナトリウムアルミニウム)が挙げられる。この組成物中の結合剤の量は、その組成物の約2〜約20重量%、さらに好ましくは、約3〜約10重量%、さらにより好ましくは、約3〜約6重量%の範囲であり得る。
【0084】
潤滑剤とは、摩擦または摩耗を少なくすることにより、圧縮した後の錠剤、顆粒などが鋳型またはダイスから離型できるようにするために、その投薬形状に加えられる物質を意味する。適当な潤滑剤には、ステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸カリウム);ステアリン酸;高融点ワックス;および水溶性潤滑剤(例えば、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよびd,l−ロイシン)が挙げられる。潤滑剤は、顆粒の表面でその表面と錠剤プレスの部品との間に存在しなければならないので、通常、圧縮前の一番最後に加えられる。この組成物中の潤滑剤の量は、その組成物の約0.2〜約5重量%、好ましくは、約0.5〜約2重量%、さらに好ましくは、約0.3〜約1.5重量%の範囲であり得る。
【0085】
グライデント(glident)とは、顆粒のケーキングを防止し、そして流動特性を向上させる物質であり、その結果、流れが滑らかで均一となる。適当なグライデントには、二酸化ケイ素およびタルクが挙げられる。この組成物中のグライデントの量は、その全組成物の約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは、約0.5〜約2重量%の範囲であり得る。
【0086】
着色剤とは、この組成物または投薬形状を着色する賦形剤である。このような賦形剤には、食品等級染料、および適当な吸着剤(例えば、粘土または酸化アルミニウム)上に吸着した食品等級染料を挙げることができる。この着色剤の量は、その組成物の約0.1〜約5重量%、好ましくは、約0.1〜約1重量%で変えることができる。
【0087】
生物学的利用能とは、その活性薬剤成分または治療部分が、標準または対照と比較して、投与した投薬形状から体循環へと吸収される速度および程度を意味する。
【0088】
錠剤を調製する通常の方法は、公知である。このような方法には、乾燥方法(例えば、直接圧縮および緻密化により生じる顆粒の圧縮)、または湿潤方法または他の特殊な手順が挙げられる。投与用の他の形状(例えば、カプセル、座剤など)を製造する通常の方法もまた、周知である。
【0089】
本発明の他の実施形態は、疾患(例えば、肥満など)を治療するために上で開示した薬学的組成物を使用することを開示する。この方法は、このような疾患に罹っておりそしてこのような処置が必要な患者に、治療有効量の本発明の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0090】
先に述べたように、本発明はまた、適用可能な場合、これらの化合物の互変異性体、鏡像異性体および他の立体異性体を含有する。それゆえ、当業者に公知であるように、本発明の化合物は、異性体形状で存在し得る。このような変更は、本発明の範囲内であると企図される。
【0091】
本発明の他の実施形態は、本明細書中で開示された本発明のアリールまたはビアリール化合物を製造する方法を開示する。これらの化合物は、当該技術分野で公知のいくつかの技術により、調製され得る。代表的な例示の手順は、以下の反応図式で概説する。
【0092】
(反応図式)
以下の図式、調製および実施例の記述で使用される略語は、以下である:
(使用する略語)
Ar=アルゴン
Boc=第三級ブチルオキシカルボニル
tBuOH=第三級ブタノール
CHCl=ジクロロメタン
ClCHCHCl=1,2−ジクロロエタン
CDI=カルボニルジイミダゾール
DIC=1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DIEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン
Et=エチル
EtOH=エタノール
EtOAc=酢酸エチル
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
SO=硫酸
HCl=塩化水素
O=水
CO=炭酸カリウム
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
LiOH=水酸化リチウム
LiAlH=水素化リチウムアルミニウム
Me=メチル
MeI=ヨウ化メチル
MeOH=メタノール
MeS=ジメチルスルフィド
NMMO=4−メチルモルホリンN−オキシド
Na(OAc)BH=トリアセトキシホウ水素化ナトリウム
NaCl=塩化ナトリウム
NaH=水素化ナトリウム
NaHCO=炭酸水素ナトリウム
NaIO=過ヨウ素酸ナトリウム
NaCO=炭酸ナトリウム
NaOH=水酸化ナトリウム
NaSO=硫酸ナトリウム
Na=チオ硫酸ナトリウム
=オゾン
=酸素
OsO=四酸化オスミウム
Pd(PPh=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
SOCl=塩化チオニル
TEA=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
TMSOTf=トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル
THF=テトラヒドロフラン
HMCHR−CHO=チャイニーズハムスターの卵巣細胞から調製した膜であって、これは、ヒトメラニン濃縮ホルモンを過剰発現する。
【0093】
WGA−SPAビーズ=小麦胚芽アルグチニンで標識したシンチレーションアッセイビーズ
BSA=ウシ血清アルブミン
MCH=メラニン濃縮ホルモン
MCHR=メラニン濃縮ホルモンレセプタ
本発明の化合物およびその中間体を調製するいくつかの方法は、以下の反応図式で図示されている。出発物質は、公知の手順を使用して、または図示したようにして、製造される。
【0094】
反応図式1〜2は、反応中間体を合成するのに使用され得、ここで、それらの構造は、アリールアミンおよびアリールカルボン酸である。ここで使用する合成方法は、以下のような公知文献の手順から改良されている:(1)E.D.Edstrom and T.Livinghouse,J.Am.Chem.Soc.(1986),1334−6;(2)C.P.Forbes and G.L.Wenteler,J.Chem.Soc.,Chem.Comm.,(1986),279−80;および(3)S.Kanoら、Chem.Pharm.Bull.,1985,33,340−6。
【0095】
反応図式1では、そのアリールアセトニトリルのアリル化は、LDAを使用してアニオンを発生させるのに続いてヨウ化アリルとカップリングすることにより、達成され得る。得られた4−シアノ−4−アリール−ブト−1−エンは、LiAlHで処理してニトリル基を還元することによりアミンに変換されて、5−アミノ−4−アリール−ブト−1−エンが形成され得る。あるいは、この4−シアノ−4−アリール−ブト−1−エンは、図示しているようにLDAおよびMeIを使用して、さらにアルキル化されて、4−シアノ−4−アリール−4−アルキル−ブト−1−エンが形成され得る。LiAlHを使用してニトリル基を還元すると、5−アミノ−4−アリール−4−アルキル−ブト−1−エンが得られる。
【0096】
【化34】

反応図式2では、市販のアリール酢酸が、まず、MeOH/HCl(g)を使用して、メチルエステルに変換される。このメチルエステルは、LDAおよびヨウ化アリルを使用してアリル化されて、2−アリールペント−4−エン酸メチルエステルが形成され得る。そのエステル基は、適当な塩基(例えば、THF/HO中のLiOH)を使用して加水分解されて、そのカルボン酸が形成され得、これは、さらに、SOClを使用して、その酸塩化物に変換できる。あるいは、この2−アリール−ペント−4−エン酸メチルエステルは、さらに、図示しているように、LDAおよびMeIを使用してアルキル化されて、2−アリール−2−アルキルペント−4−エン酸メチルエステルが形成され得る。このエステルは、次いで、適当な塩基(例えば、THF/HO中のLiOH)を使用して加水分解されて、対応するカルボン酸中間体が形成され得、これは、SOClを使用して、その酸塩化物に変換できる。
【0097】
【化35】

図式3は、新規固相合成方法を使用して本発明の式Iの化合物を調製する一般方法を概説している。その合成は、図示しているように酸開裂可能リンカーである4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−酪酸を使用して、アミド結合の形成を介して、適当なリンカーの適当なアミノ樹脂へのカップリングと共に始まる。このリンカーアルデヒドをアミンシントンである5−アミノ−4−アリール−4−R−ブト−1−エンで還元アミノ化すると、第二級アミンが形成される。この第二級アミンは、種々の試薬(例えば、アリールまたはアルキルイソシアネート、酸塩化物、塩化スルホニルまたはクロロホルメート)で処理されて、対応する尿素、アミド、スルホンアミドまたはカーバメート中間体Aが形成され得る。
【0098】
【化36】

中間体Aは、OsO/NMMO/NaIOで処理されて、アルデヒド中間体Bが形成され得る。中間体Bは、第一級または第二級アミンおよびNa(OAc)BHを使用する還元アミノ化により、第二級または第三級アミンに変換できる。その生成物は、TFA/CHClを使用して酸不安定性リンカーから開裂されて、本発明のアリール化合物を得ることができる。
【0099】
X=IまたはBrのとき、中間体Aは、図式4で示すように、アリールボロン酸を使用して、スズキカップリング(A.Suzukiら、J.Amer.Chem.Soc.,111(1989)314)により、ビアリール化合物に変換され得る。このスズキカップリング生成物は、OsO/NMMO/NaIOで処理されて、その末端オレフィン基をアルデヒド基に変換できる。得られたアルデヒドは、第一級または第二級アミンおよびNa(OAc)BHを使用する還元アミノ化によって、第二級または第三級アミンに変換できる。その最終反応生成物は、TFA/CHClを使用して、その酸不安定性リンカーから開裂され、本発明のビアリール化合物を得ることができる。
【0100】
【化37】

図式5は、式Iの化合物(これは、図式3の中間体Bから誘導された官能化R基の特徴をもつ)を調製する一般方法を概説している。それゆえ、Boc−保護ジアミン(例えば、4−N−第三級ブチルオキシカルボニルアミノピペリジン)を使用するアルデヒド中間体Bの還元アミノ化により、Boc−保護ジアミン化合物が形成される。この樹脂をTMSOTfおよび2,6−ルチジンで処理すると、このBoc−保護基がきれいに除去されて、その化合物が酸不安定性リンカーから開裂することはない(A.J.Zhangら、Tet.Lett.(1998),39,7439〜7442を参照)。次いで、得られたアミンは、アリールまたはアルキルイソシアネート、酸塩化物、塩化スルホニルまたはクロロホルメートと反応させることにより誘導体化されて、それぞれ、対応する尿素、アミド、スルホンアミドまたはカーバメート中間体Cが形成できる。中間体Cは、TFA/CHClを使用して、その酸不安定性リンカーから直接開裂され得、本発明の式Iのアリール化合物が得られる。あるいは、中間体Cは、アリールボロン酸を使用するスズキカップリングに続いてTFA/CHClで処理されてビアリール化合物に変換され得、本発明の式Iのビアリール化合物が得られる。
【0101】
【化38】

図式6は、新規固相合成を使用して本発明の式IIの化合物を調製するための一般方法を概説している。この合成は、図示しているように酸開裂可能リンカーである4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−酪酸を使用して、アミド結合の形成を介して、適当なリンカーの適当なアミノ樹脂へのカップリングと共に開始する。このリンカーアルデヒドを第一級アミンで還元アミノ化すると、樹脂結合第二級アミンが形成される。次いで、この第二級アミンは、酸塩化物足場とカップリングされて、アミド中間体Dが形成される。中間体DをOsO/NMMO/NaIOで処理すると、その末端オレフィン基は、アルデヒドに変換される。このアルデヒドは、第一級または第二級アミンおよびNa(OAc)BHを使用する還元アミノ化によって、第二級または第三級アミンに変換できる。TFA/CHClを使用して、その酸不安定性リンカーから開裂すると、本発明のアリール化合物が得られる。
【0102】
【化39】

あるいは、X=IまたはBrのとき、中間体Dは、図式7で示すように、アリールボロン酸を使用して、スズキカップリングにより、ビアリール化合物に変換され得る。このビアリール化合物とOsO/NMMO/NaIOとの反応により、その末端オレフィン基は、アルデヒド基に変換される。得られたアルデヒドは、第一級または第二級アミンおよびNa(OAc)BHを使用する還元アミノ化によって、第二級または第三級アミンに変換できる。TFA/CHClを使用して、この酸不安定性リンカーを開裂すると、本発明のビアリール化合物が得られる。
【0103】
(図式7)
【0104】
【化40】

図式8は、本発明の式IIの化合物を調製する一般溶液相方法を図示している。酸塩化物足場をアニリンで処理すると、このアミド化合物が得られ、これは、スズキカップリングによって、このビアリール中間体に変換できる。このオレフィンの酸化に続いて還元アミノ化すると、本発明のビアリール化合物が得られる。
【0105】
(図式8)
【0106】
【化41】

図式9は、本発明の式Iの環状尿素(イミダゾリジノン)化合物を調製する方法を概説している。この合成は、t−BuOH中でアリールイソシアネートを加熱してBoc−保護アニリンを形成することから始まる。このアニリンをNaHおよびヨウ化アリルで処理すると、このBoc−保護N−アリルアニリンが得られる。次いで、そのオレフィンは、Oに続いてMeSを使用するオゾン分解によって、アルデヒドに変換される。得られたアルデヒドは、還元アミノ化によって、5−アミノ−4−アリール−4−アルキル−ブト−1−エンシントンと混ぜ合わされて、第二級アミンが形成される。そのアニリン窒素上のBoc−保護基は、TFA/CHClを使用して除去され、得られたジアミンは、還流状態で、トルエン中にて、CDIで処理されて、その環状尿素中間体が形成される。この環状尿素中間体中のオレフィン基は、Oに続いてMeSを使用するオゾン分解によって、アルデヒド基に変換される。得られたアルデヒドを適当な第一級または第二級アミンで還元アミノ化すると、本発明の式Iの環状尿素アリール化合物が得られる。Xがヨード基またはブロモ基であるとき、スズキカップリング条件下でのアリールボロン酸との反応により、本発明の環状尿素ビアリール化合物が得られる。
【0107】
(図式9)
【0108】
【化42】

図式10は、本発明の式IIの一連のカーバメート化合物を調製する方法を概説している。
【0109】
(図式10)
【0110】
【化43】

この合成は、適当なヨードフェニルペンテンニトリルの酸化で開始し、OsO/NMMO/NaIOを使用して、アルデヒドが形成される。このアルデヒドを適当な第二級アミン(例えば、ジメチルアミン)で還元アミノ化すると、第三級アミンが形成される。次いで、スズキカップリング反応が実行されて、このビアリールニトリル中間体が得られる。LiAlHを使用してニトリル中間体を還元すると、おそらく、アゼチニウムカチオン中間体を介して、この図式で示したアルコール生成物が生成した。このアルコールをアリールイソシアネートで処理すると、本発明の式IIのビアリールカーバメート化合物が得られる。
【0111】
以下の実施例は、さらに説明する目的でのみ提供されており、開示された発明を限定するものとは解釈されない。実施例1〜19は、足場中間体の合成を説明している。
【実施例】
【0112】
(実施例1)
((R,S)2−(4−ブロモフェニル)−ペント−4−エニルアミン(一般手順))
【0113】
【化43A】

THF(100mL)中の4−ブロモフェニルアセトニトリル(10g、52.7mmol、1当量)を、アルゴン下にて、−78℃まで冷却した。LDA(THF中で2M、29mL、58mmol、1.1当量)を加え、その反応物を、1時間にわたって、0℃まで暖めた。この反応物を−78℃まで再冷却し、ヨウ化アリル(6.18mL、52.7mmol、1当量)を加え、その反応物を、−78℃で、さらに2時間攪拌した。この反応物をEtOAc(150mL)で希釈し、そしてHCl水溶液(1M、100mL)、Na水溶液(100mL)および飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄した。その有機抽出物を無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして回転エバポレーションにより濃縮して、黄色オイルとして、粗1−シアノ−1−(4−ブロモフェニル)−ブト−4−エン(10.5g、約44mmol)を得た。
【0114】
LiAlH(THF中で1M、123mL、123mmol)のTHF(140mL)溶液を、Ar下にて、0℃まで冷却した。滴下様式で、10分間にわたって、HSO(95%、4mL、62.5mmol)を加えた。その氷浴を取り除き、その混合物を、室温で、2時間攪拌した。滴下様式で、粗1−シアノ−1−(4−ブロモフェニル)−ブト−4−エン(10.5g、約44mmol)のTHF溶液を加えた。その反応物を、1時間にわたって、還流状態まで加熱し、次いで、室温まで冷却し、そして16時間攪拌した。この反応物を、HO(4.67mL、260mmol)、NaOH(15%水溶液、9.33mL、520mmol)およびHO(14mL、780mmol)を注意深く加えることにより、クエンチした。得られたスラリーをEtOAcで希釈し、さらに1時間攪拌し、次いで、セリット545(登録商標)のパッドで濾過した。濾過した塩をEtOAc(4×50mL)で洗浄し、その濾液を回転エバポレーションにより濃縮して、暗褐色オイルとして、表題化合物である1−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−ペント−5−エン(10.5g、43.1mmol、2工程で88%)を得た:
【0115】
【化44】

実施例2〜15は、以下の表に載せている:
【0116】
【化45】


(実施例16:2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−ペント−4−エニルアミン)
【0117】
【化46】

THF(50mL)中の3,4−ジクロロフェニルアセトニトリル(5g、26.87mmol、1当量)を、Ar下にて、−78℃まで冷却した。LDA(THF中で2M、16.1mL、32.2mmol、1.2当量)を加え、その反応物を、1時間にわたって、0℃まで暖めた。この反応物を−78℃まで再冷却し、ヨウ化アリル(2.67mL、26.87mmol、1当量)を加え、次いで、その反応物を、−78℃で、さらに2時間攪拌した。この反応物をEtOAc(150mL)で希釈し、そしてHCl水溶液(1M、100mL)、Na飽和水溶液(100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄した。その有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして回転エバポレーションにより濃縮して、黄色オイルとして、2−(3,4−ジクロロフェニル)−ペント−4−エンニトリル(6.3g、約28mmol)を得た。
【0118】
THF(25mL)中の2−(3,4−ジクロロフェニル)−ペント−4−エンニトリルの1g(4.4mmol)部分を、−78℃で、Ar下にて、LDA(THF中で2M、2.7mL、5.4mmol、1.2当量)で処理した。その反応物を、1時間、0℃まで暖め、次いで、−78℃まで再冷却し、そしてヨウ化メチル(0.28mL、4.4mmol、1.0当量)を加えた。この反応物を、−78℃で、1時間攪拌し、次いで、EtOAcで希釈し、そしてHCl水溶液(1M、25mL)、Na水溶液(25mL)および飽和NaCl水溶液(25mL)で洗浄した。その有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして回転エバポレーションにより濃縮して、黄色オイルとして、2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−ペント−4−エンニトリル(1.04g、4.39mmol、99.8%)を得た:
【0119】
【化47】

LiAlH(THF中で1M、18.65mL、18.65mmol)のTHF(25mL)溶液を、Ar下にて、0℃まで冷却した。滴下様式で、10分間にわたって、HSO(95%、0.51mL、9.38mmol)を加えた。その混合物を、室温で、2時間攪拌し、次いで、滴下様式で、THF(10ml)中の2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−ペント−4−エンニトリル(1.28g、6.22mmol)を加えた。その反応物を、1時間、還流状態まで加熱し、次いで、室温まで冷却し、そして16時間攪拌した。この反応物を、HO(0.71mL、12.8mmol)、NaOH(15%水溶液、1.34mL、25.6mmol)およびHO(2.05mL、38.4mmol)を注意深く加えることにより、クエンチした。得られたスラリーをさらに1時間攪拌し、次いで、セリット545(登録商標)のパッドで濾過した。濾過した塩をEtOAc(4×20mL)で洗浄し、合わせた有機濾液を回転エバポレーションにより濃縮して、暗褐色オイルとして、表題化合物である1−アミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−ペント−4−エニルアミン(1.22g、4.99mmol、80.2%)を得た。
【0120】
【化48】

(実施例17:(R,S)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ペント−4−エノイルクロライド)
【0121】
【化48A】

(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸(16.12g、78.5mmol)のMeOH(500mL)溶液に、5分間、HClガスを泡立たせた。その混合物を、室温で、1時間攪拌した。回転エバポレーションにより溶媒を除去し、得られた残留物をEtOAc(400mL)に溶解し、そしてNaHCO飽和水溶液(200mL)およびNaCl飽和水溶液(200mL)で洗浄した。その有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして回転エバポレーションにより濃縮して、(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル(16.22g、74.1mmol、95%)を得た。
【0122】
【化49】

THF(50mL)中の(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル(5g、22.8mmol)を、Ar下にて、−78℃まで冷却した。滴下様式にて、LDA(THF中で2M、13.7mL、27.4mmol、1.2当量)を加え、次いで、その反応物を、1時間、0℃まで暖めた。
【0123】
この反応物を−78℃まで冷却し、そしてヨウ化アリル(2.1mL、22.8mmol、1当量)を加えた。この反応物を、−78℃で、4時間攪拌し、次いで、EtOAc(200mL)で希釈し、Na飽和水溶液(100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして回転エバポレーションにより濃縮して、褐色オイルとして、粗(R,S)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ペント−4−エン酸メチルエステル(6.0g、約22mmol、100%)を得た。
【0124】
【化50】

水酸化リチウム(1.66g、69.3mmol、3当量)をHO(50mL)に溶解し、そしてTHF/MeOH(1.5:1(v:v)、250mL)に溶解した(R,S)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ペント−4−エン酸メチルエステル(6g、22mmol)の溶液に加え、得られた混合物を、室温で、3時間攪拌した。回転エバポレーションにより溶媒を除去し、その残留物を、EtOAcとHOとの間で分配した。その水層を、6N HCl水溶液でpH3に酸性化し、そしてEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、そして回転エバポレーションにより濃縮して、褐色固形物として、(R,S)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ペント−4−エン酸を得た。
【0125】
【化51】

(R,S)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ペント−4−エン酸(2.5g、10.24mmol、1当量)を、SOCl(10mL)に溶解した。その反応混合物を、1時間、還流状態まで加熱し、次いで、そのSOClを回転エバポレーションにより除去した。その残留物をトルエン(3×5mL)と共に蒸発させ、次いで、高真空下にて、1時間乾燥した。それをトルエン(1mL)に再溶解し、そして回転エバポレーションにより濃縮し、次いで、高真空下にて、4時間乾燥して、表題化合物である(R,S)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ペント−4−エノイルクロライド(2.69g、10.2mmol、約100%)を得た。この酸塩化物を、これらの固相合成反応で、直接使用した。
【0126】
実施例18〜19は、以下の表に載せる:
【0127】
【化52】

実施例20〜33は、MCH活性化合物の合成を説明する。
【0128】
(実施例20:(R,S)−N−[4−シクロペンチルアミノ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチル]−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンズアミド)
【0129】
【化53】

1リットルのボトルにArgoGel−NH(30g、12mmol;これは、Argonaut Technologies,Incorporated(California)から供給した)、CHCl(200mL)およびDMF(50mL)を充填した。その樹脂懸濁液に、4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−酪酸リンカー(8.577g、36mmol、3当量)、HOBt(4.865g、36mmol、3当量)およびDIC(11.54mL、72mmool、6当量)の予め混合した(30分間)CHCl(250mL)溶液を加え、この混合物を、室温で、16時間振盪した。この樹脂を2個の大きな振盪容器に移動し、その溶液を排水し、この樹脂をDMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄し、そして高真空下にて乾燥して、4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂を含有する酸開裂可能リンカーを得た。
【0130】
この樹脂の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−ペント−5−エン(0.05g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加え、その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0131】
この樹脂をピリジン(1.5mL)に懸濁し、そして3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライド(CHCl中の1M溶液1.5mL、1.5mmol)を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0132】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)およびアセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0133】
この樹脂を、シクロペンチルアミン(0.024g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性クロラニル試験にかけた。この樹脂を、TFAの溶液(CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.0050g、27%)を得た。MS(ESI):541.1(M+1)、543.1(M+3)。
【0134】
(実施例21:(R,S)−3,4−ジクロロ−N−[4−シクロペンチルアミノ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチル]−ベンゼンスルホンアミド)
【0135】
【化54】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−ペント−5−エン(0.05g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0136】
この樹脂をピリジン(1.5mL)に懸濁し、そして3,4−ジクロロベンゼンスルホニルクロライド(CHCl中の1M溶液1.5mL、1.5mmol)を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0137】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0138】
この樹脂を、シクロペンチルアミン(0.024g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性クロラニル試験にかけた。この樹脂を、TFAの溶液(TFA、CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.00102g、47%)を得た。MS(ESI):509.1(M+1)、511.0(M+3)、513.0(M+5)。
【0139】
(実施例22:(R,S)−[3−シクロブチルアミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−プロピル]−3−(4−フルオロ−3−ニトロ−フェニル)−尿素)
【0140】
【化55】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−ペント−5−エン(0.047g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、そして、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0141】
この樹脂をCHCl(3.0mL)に懸濁し、そしてDIEA(0.035mL、5当量)を加え、続いて、3−ニトロ−4−フルオロフェニルイソシアネート(0.217mL、1.5mmol)を加えた。その混合物を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0142】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0143】
この樹脂を、シクロブチルアミン塩酸塩(0.022g、0.2mmol、5当量)およびトリエチルアミン(0.03mL、0.2mL)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性クロラニル試験にかけた。この樹脂を、TFAの溶液(CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.0062g、33%)を得た。MS(ESI):469.0(M+1)、471.0(M+3)。
【0144】
(実施例23)
((R,S)−1−[2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−4−シクロペンチルアミノ]−3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−尿素)
【0145】
【化56】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−ペント−5−エン(0.048g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0146】
この樹脂をCHCl(3.0mL)に懸濁し、そしてDIEA(0.035mL、0.2mmol、5当量)を加え、続いて、3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(0.283g、1.5mmol、0.5M溶液を得るため)を加えた。この混合物を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0147】
この樹脂を、3−シアノフェニルボロン酸(0.024g、0.16mmol、4当量)、KCO(0.028g、0.2mmol、5当量)およびPd(PPh(0.009g、0.008mmol、0.2当量)と混合した。DMF(2mL、Arで脱気)を加え、その混合物を、16時間、70℃まで加熱した。この溶液を濾過し、その樹脂を、DMF(4×)、HO(4×)、MeOH(3×)およびCHCl(4×)で洗浄した。
【0148】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0149】
この樹脂を、シクロペンチルアミン(0.02mL、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(Oac)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性クロラニル試験にかけた。この樹脂を、TFAの溶液(CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、(R,S)−1−[2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−4−シクロペンチルアミノ−ブチル]−3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−尿素(0.092g、44%)を得た。
【0150】
【化57】

(実施例24)
((R,S)−N−[2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−4−メチルアミノ−ブチル]−3,4−ジフルオロ−ベンズアミド)
【0151】
【化58】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(4−ヨードフェニル)−ペント−5−エン(0.05g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0152】
この樹脂をピリジン(1.5mL)に懸濁し、そして3,4−ジフルオロベンゾイルクロライド(CHCl中の1M溶液1.5mL、1.5mmol)を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0153】
この樹脂に、3−シアノフェニルボロン酸(0.024g、0.16mmol、4当量)、KCO(0.028g、0.2mmol、5当量)およびPd(PPh(0.009g、0.008mmol、0.2当量)を加えた。DMF(2mL、Arで脱気)を加え、その混合物を、16時間にわたって、70℃まで加熱した。この溶液を濾過し、その樹脂を、DMF(4×)、HO(4×)、MeOH(3×)およびCHCl(4×)で洗浄した。
【0154】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびHMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0155】
この樹脂を、メチルアミン(0.21mL、2M溶液、0.4mmol、10当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性クロラニル試験にかけた。この樹脂を、TFAの溶液(CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.0019g、11%)を得た。MS(ESI):420.1(M+1)、421.1(M+2)。
【0156】
(実施例25)
((R,S)−3,5−ジクロロ−N−[2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−4−ジメチルアミノ−ブチル]ベンゼンスルホンアミド)
【0157】
【化59】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(4−ヨードフェニル)−ペント−5−エン(0.05g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0158】
この樹脂をピリジン(1.5mL)に懸濁し、そして3,5−ジクロロベンゼンスルホニルクロライド(CHCl中の1M溶液1.5mL、1.5mmol)を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0159】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0160】
この樹脂を、ジメチルアミン(THF中の2M溶液0.10mL、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性クロラニル試験にかけた。この樹脂を、TFAの溶液(TFA、CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.0024g、12%)を得た。MS(ESI):502.1/504.1(M+1)。
【0161】
(実施例26)
((R,S)−[2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−4−イソプロピルアミノ−ブチル]−カルバミン酸4−クロロ−フェニルエステル)
【0162】
【化60】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(4−ヨードフェニル)−ペント−5−エン(0.05g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0163】
この樹脂をピリジン(1.5mL)に懸濁し、そして4−クロロフェニルクロロホルメート(CHCl中の1M溶液1.5mL、1.5mmol)を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0164】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0165】
この樹脂を、イソプロピルアミン(0.02mL、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性クロラニル試験にかけた。この樹脂を、TFAの溶液(TFA、CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.0027g、15%)を得た。MS(ESI):460.1/462.2(M+1)。
【0166】
(実施例27)
((R,S)−1−(1−{3−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−4−[3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−ウレイド]−ブチル}−ピロリジン−3−イル)−3−エチル−尿素)
【0167】
【化61】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−ペント−5−エン(0.048g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0168】
この樹脂をCHCl(3.0mL)に懸濁し、そしてDIEA(0.035mL、0.2mmol、5当量)を加え、続いて、3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(10.283g、1.5mmol、0.5M溶液)を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0169】
この樹脂に、3−シアノフェニルボロン酸(0.024g、0.16mmol、4当量)、KCO(0.028g、0.2mmol、5当量)およびPd(PPh(0.009g、0.008mmol、0.2当量)を加えた。DMF(2mL、Arで脱気)を加え、その混合物を、16時間にわたって、70℃まで加熱した。この溶液を濾過し、その樹脂を、DMF(4×)、HO(4×)、MeOH(3×)およびCHCl(4×)で洗浄した。
【0170】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0171】
この樹脂を、ピロリジン−3−イル−カルバミン酸第三級ブチルエステル(0.037g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0172】
この樹脂をCHCl(3mL)に懸濁し、そして2,6−ルチジン(0.52mL、4.5mmol、1.5Mの最終濃度)およびTMSOTf(0.54mL、3mmol、1Mの最終濃度)で処理した。その混合物を、室温で、1時間振盪した。この混合物を排水し、その樹脂を、CHCl(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性ニンヒドリン試験にかけた。
【0173】
この樹脂をCHCl(3mL)に懸濁し、そしてエチルイソシアネート(0.19mL、1.5mmol、0.5Mの最終濃度)およびDIEA(0.035mL、0.2mmol、5当量)で処理した。その混合物を、室温で、14時間振盪し、次いで、その溶液を濾過し、この樹脂を、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0174】
この樹脂を、TFAの溶液(CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.0011g、5%)を得た。MS(ESI):593.1(M+1)、595.1(M+3)。
【0175】
(実施例28)
((R,S)−3,5−ジクロロ−N−(1−{3−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−4−[3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−ウレイド]−ブチル}−ピロリジン−3−イル)−ベンズアミド)
【0176】
【化62】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−ペント−5−エン(0.048g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0177】
この樹脂をCHCl(3.0mL)に懸濁し、そしてDIEA(0.035mL、0.2mmol、5当量)を加え、続いて、3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(10.283g、1.5mmol、0.5M溶液)を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0178】
この樹脂に、3−シアノフェニルボロン酸(0.024g、0.16mmol、4当量)、KCO(0.028g、0.2mmol、5当量)およびPd(PPh(0.009g、0.008mmol、0.2当量)を加えた。DMF(2mL、Arで脱気)を加え、その混合物を、16時間にわたって、70℃まで加熱した。この溶液を濾過し、その樹脂を、DMF(4×)、HO(4×)、MeOH(3×)およびCHCl(4×)で洗浄した。
【0179】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0180】
この樹脂を、ピロリジン−3−イル−カルバミン酸第三級ブチルエステル(0.037g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0181】
この樹脂をCHCl(3mL)に懸濁し、そして2,6−ルチジン(0.52mL、4.5mmol、1.5Mの最終濃度)およびTMSOTf(0.54mL、3mmol、1Mの最終濃度)で処理した。その混合物を、室温で、1時間振盪した。この混合物を排水し、その樹脂を、CHCl(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性ニンヒドリン試験にかけた。
【0182】
この樹脂をCHCl(1.5mL)に懸濁し、そして3,5−ジクロロベンゾイルクロライド(0.315g、1.5mmol)およびピリジン(1.5mL)で処理した。その混合物を、室温で、14時間振盪し、次いで、その溶液を濾過し、この樹脂を、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0183】
この樹脂を、TFAの溶液(CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.0023g、9%)を得た。MS(ESI):693.9/695.9/697.9(M+1)。
【0184】
(実施例29)
((R,S)−N−(1−{3−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−4−[3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−ウレイド]−ブチル}−ピペリジン−4−イル)−メタンスルホンアミド)
【0185】
【化63】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、1−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−ペント−5−エン(0.048g、0.2mmol、 当量)のClCHCHCl(1mL)溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、Na(OAc)BH(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。その反応物を、室温で、16時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0186】
この樹脂をCHCl(3.0mL)に懸濁し、そしてDIEA(0.035mL、0.2mmol、5当量)を加え、続いて、3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(0.283g、1.5mmol、0.5M溶液)を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪し、その溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、DMF(3×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陰性クロラニル試験にかけた。
【0187】
この樹脂に、3−シアノフェニルボロン酸(0.024g、0.16mmol、4当量)、KCO(0.028g、0.2mmol、5当量)およびPd(PPh(0.009g、0.008mmol、0.2当量)を加えた。DMF(2mL、Arで脱気)を加え、その混合物を、16時間にわたって、70℃まで加熱した。この溶液を濾過し、その樹脂を、DMF(4×)、HO(4×)、MeOH(3×)およびCHCl(4×)で洗浄した。
【0188】
この樹脂を、OsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液と共に、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)溶液を加え、その混合物を、2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、NaIO(0.085g、0.4mmol、10当量)のアセトン−HO(1:1、3mL)新鮮溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、HO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0189】
この樹脂を、ピペリジン−4−イル−カルバミン酸第三級ブチルエステル(0.043g、0.2mmol、5当量)のClCHCHCl(1.5mL)溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0190】
この樹脂をCHCl(3mL)に懸濁し、そして2,6−ルチジン(0.52mL、4.5mmol、1.5Mの最終濃度)およびTMSOTf(0.54mL、3mmol、1Mの最終濃度)で処理した。その混合物を、室温で、1時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、CHCl(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性ニンヒドリン試験にかけた。
【0191】
この樹脂をピリジン(1.5mL)に懸濁し、そしてメタンスルホニルクロライド(1.0M CHCl溶液1.5mL)で処理した。その混合物を、室温で、14時間振盪した。その溶液を濾過し、この樹脂を、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0192】
この樹脂を、TFAの溶液(CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で精製して、表題化合物(0.0012g、5%)を得た。MS(ESI):614.1(M+1)、616.1(M+3)。
【0193】
(実施例30)
((R,S)−N−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−4−(シクロヘキシル−メチル−アミノ)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチルアミド)
【0194】
【化64】

4−(4−ホルミル−3−メトキシ−フェノキシ)−ブチルアミド樹脂(実施例20の工程1を参照)の100mg(0.04mmol)部分をClCHCHCl(1mL)に懸濁し、ClCHCHCl(1mL)中の3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジルアミン(0.05g、0.2mmol、5当量)の溶液を加えた。この樹脂を、室温で、20分間振盪し、次いで、NaBH(OAc)(0.045g、0.2mmol、5当量)を加えた。この混合物を、室温で、16時間振盪した。この溶液を濾過し、樹脂を、MeOH(1×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを試験したところ、クロラニルには陽性であり、また、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンには陰性であった。
【0195】
この樹脂をピリジン(1mL)に懸濁し、そしてCHCl(1ml)中の2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ペント−4−エノイルクロリド(約0.054g、0.2mmol、5当量)の溶液を加えた。この樹脂を、室温で、16時間振盪した。この溶液を濾過し、この樹脂を、MeOH(3×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。同じ反応条件および洗浄条件を使用して、この手順を繰り返した。この樹脂のアリコートを、クロラニルを使う陰性ビード試験にかけた。この樹脂を、アセトン−HO(1:1、3mL)中のOsO(HO中で4%、0.052mL、0.008mmol、0.2当量)およびNMMO(0.05g、0.4mmol、10当量)の溶液と共に、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、この樹脂を、HO(2×)、アセトン(2×)、ピリジン(1×、30分間振盪)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。アセトン−HO(1:1、3mL)中のNalO(0.085g、0.4mmol、10当量)の溶液を加え、この混合物を2時間振盪した。この溶液を濾過し、樹脂をHO(2×)、アセトン(1×)で洗浄した。この樹脂を、アセトン−HO(1:1、3mL)中のNalO(0.085g、0.4mmol、10当量)の新鮮な溶液で処理し、さらに2時間振盪した。この溶液を濾過し、樹脂をHO(3×)、アセトン(1×)、MeOH(2×)およびCHCl(3×)で洗浄した。
【0196】
この樹脂を、ClCHCHCl(1.5mL)中のN−メチルシクロヘキシルアミン(0.026mL、0.2mmol、5当量)の溶液と共に、30分間振盪した。Na(OAc)BH(0.05g、0.2mmol、5当量)を加え、その混合物を、室温で、14時間振盪した。この溶液を濾過し、その樹脂を、MeOH(2×)、DMF(3×)、MeOH(3×)およびCHCl(3×)で洗浄した。この樹脂のアリコートを、陽性クロラニル試験にかけた。この樹脂を、TFAの溶液(CHCl中で25%、3mL)で処理し、そして室温で、2時間振盪し、濾過により除き、その濾液をGilson 215 HPLC(10〜90%アセトニトリル/水)で濃縮および精製して、表題化合物(0.0039g、15%)を得た。MS(ESI):569.1(M+1)、571.2(M+3)。
【0197】
(実施例31)
(2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−メチルアミノ−ブチルアミド)
【0198】
【化65】

CHCl(15mL)中の4−ブロモフェニルペント−4−エノイルクロリド(1.0g、3.7mmol、実施例18)の溶液に、3,5−ジクロロアニリン(0.74g、4.5mmol、1.2当量)およびEtN(1.5mL、11.1mmol、3当量)を加えた。その反応混合物を、室温で、16時間攪拌した。この混合物を、10%NaHCO(10mL)、HO(10mL)、1N HCl(10mL)および飽和ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)によって、黄色油状物(1.5g、100%)として、2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エン酸(3,5−ジクロロ−フェニル)−アミドを得た。
【0199】
【化66】

2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エン酸(3,5−ジクロロ−フェニル)−アミド(1.5g、3.7mmol)のアルゴンパージしたトルエン/EtOH(2:1(v/v)、30mL)溶液に、3−シアノフェニルボロン酸(0.99g、6.7mmol、1.8当量)、Pd(PPh(160mg、0.44mmol、12%)と、水10mL中のNaCO(2.12g、20mmol、5.4当量)の溶液とを加えた。その反応混合物を、90℃で、16時間加熱した。この混合物を、EtOAc(50mL)と10%NaHCO(50mL)との間で分配し、その有機相を分離した。この有機相を10%NaHCO(30mL)および飽和ブライン(30mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)そして濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)によって、黄色油状物(685mg、44%)として、2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−ペント−4−エン酸(3,5−ジクロロ−フェニル)−アミドを得た。
【0200】
【化67】

アセトン/HO(2:1(v/v))9mL中の2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−ペント−4−エン酸(3,5−ジクロロ−フェニル)−アミド(680mg、1.6mmol)の溶液に、OsO(HOで4%、100L、1mmol%)およびNalO(860mg、4.0mmol、2.5当量)を加えた。その反応混合物を、室温で、6時間攪拌した。次いで、この混合物を、CHCl(20mL)と10%NaHCO(20mL)との間で分配し、その有機層を分離した。その水層をCHCl(10mL×3)で抽出し、合わせた有機層を飽和ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)によって、淡黄色油状物(300mg、44%)として、2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−ブチルアミンを得た。MS(ESI):423.0(M+1)。
【0201】
1,2−ジクロロエタン(3.5mL)中の2−(3’−シアノ−ビフェニル−4−イル)−N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−ブチルアミド(300mg、0.71mmol)およびMeNH(THF中で2M、1.77mL、3.54mmol、5当量)の混合物を、室温で、1時間攪拌し、次いで、Na(AcO)BH(299mg、1.4mmol、2当量)を加えた。その反応混合物を、室温で、16時間攪拌した。次いで、この混合物を、EtOAc(20mL)と10%NaHCO(10mL)との間で分配し、その有機相を分離した。この有機相を、10%NaHCO(10mL×2)、飽和ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(EtN/MeOH/CHCl、1:10:90)によって、黄色がかったゴム状物として、表題化合物56.5mg(18%)を得た。
【0202】
【化68】

(実施例32)
(4’−{1−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−イルメチル]−3−ジメチルアミノプロピル}−ビフェニル−3−カルボニトリル)
【0203】
【化69】

t−BuOH(100mL)中の3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(5g、26.6mmol)の溶液を、80℃で、16時間加熱した。その混合物を回転蒸発により濃縮して、白色固形物を得、これをトルエンで倍散し、そして乾燥状態まで蒸発させた。トルエンを加えて真空下にて濃縮することによって、白色固形物(6g、22.9mmol、84%)として、(3,5−ジクロロフェニル)−カルバミン酸−tert−ブチルエステルを得た。
【0204】
【化70】

DMF(130mL)中の(3,5−ジクロロフェニル)−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(6g、22.89mmol)の溶液に、0℃で、Ar下にて、NaH(鉱油中の60%分散体、1.725g、45mmol、2当量)を加えた。その混合物を、0℃で、30分間攪拌し、次いで、5分間にわたって、ヨウ化アリル(13.32mL、110mmol、5当量)を加えた。この混合物を室温まで暖め、そして2時間攪拌した。次いで、この混合物をEtOAc(200mL)で希釈し、そしてNaHCO飽和水溶液(200mL)で洗浄した。その水相をEtOAc(3×60mL)で洗浄し、合わせた有機抽出物をNaCl飽和水溶液(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、褐色油状物を得、これを、フラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、2%EtOAc/ヘキサンで溶出する)で精製して、透明油状物として、アリル−(3,5−ジクロロフェニル)−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(4.632g、15.33mmol、67%)を得た。
【0205】
【化71】

CHCl(75mL)中のアリル−(3,5−ジクロロフェニル)−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(2.32g、7.68mmol)の攪拌溶液を、−78℃まで冷却した。オゾンを約5分間にわたって泡立てた(tlcによって反応を評価した)。次いで、5分間にわたって、酸素を泡立たせた。MeS(5mL、77mmol、10当量)を加え、その混合物を室温まで暖め、そして6時間攪拌した。MeS(5mL、77mmol、10当量)をさらに加えることに続いて、この混合物を、室温で、14時間攪拌した。この混合物を回転蒸発により濃縮し、得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、25%EtOAc/ヘキサンで溶出する)で精製して、青白色油状物として、(3,5−ジクロロフェニル)−(2−オキソ−エチル)−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(1.61g、5.3mmol、69%)を得た。
【0206】
【化72】

MeOH(15mL)中の(3,5−ジクロロフェニル)−(2−オキソ−エチル)−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(0.75g、2.46mmol)の攪拌溶液に、Ar下にて、室温で、MeOH(5mL)中の(R,S)2−(4−ヨードフェニル)−ペント−4−エニルアミン(0.741g、2.58mmol、1.05当量)の溶液を加えた。その混合物を、室温で、5時間攪拌した。NaBH(0.140g、3.69mmol、1.5当量)を加え、得られた混合物を、さらに1時間攪拌し、NaOH(1M水溶液、20mL)を加えてクエンチした。この混合物をEtO(全部で50mL)で2回抽出し、合わせた有機抽出物を飽和NaCl水溶液で洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。その濾液を回転乾燥で濾過し濃縮することによって、粗生成物を得、これを、フラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、12%EtOAc/ヘキサンで溶出する)で精製して、青白色油状物として、(3,5−ジクロロ−フェニル)−{2−[2−(4−ヨード−フェニル)−ペント−4−エニルアミノ]−エチル}−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(0.493g、0.85mmol、35%)を得た。
【0207】
【化73】

CHCl(20mL)中の(3,5−ジクロロ−フェニル)−{2−[2−(4−ヨード−フェニル)−ペント−4−エニルアミノ]−エチル}−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(0.493g、0.85mmol)の攪拌溶液に、0℃で、TFA(5mL)を加えた。その混合物を攪拌し、そして4時間にわたって、室温まで暖めた。回転蒸発により溶媒を除去し、その残留物をEtOAcに溶解し、そしてNaHCO(HO中で10%)で2回洗浄した。それらの有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして回転蒸発により濃縮して、褐色油状物として、N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N’−[2−(4−ヨード−フェニル)−ペント−4−エニル]−エタン−1,2−ジアミン(0.386g、0.81mmol、95%)を得た。
【0208】
【化74】

トルエン(10mL)中のN−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N’−[2−(4−ヨード−フェニル)−ペント−4−エニル]−エタン−1,2−ジアミン(0.386g、0.81mmol)の攪拌溶液に、CDl(0.18g、1.1mmol、1.4当量)を加えた。その混合物を、16時間にわたって、100℃まで加熱し、次いで、室温まで冷却し、EtOAc(25mL)で希釈し、そしてNaCl飽和水溶液(25mL)で2回洗浄した。この有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして回転蒸発により濃縮して、暗褐色油状物を得た。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、10%EtOAc/ヘキサンで溶出する)で精製して、青白色発泡体として、1−(3,5−ジクロロ−フェニル)−3−[2−(4−ヨード−フェニル)−ペント−4−エニル]−イミダゾリジン−2−オン(0.128g、0.255mmol、30%)を得た。
【0209】
【化75】

DME(13mL)中の1−(3,5−ジクロロ−フェニル)−3−[2−(4−ヨード−フェニル)−ペント−4−エニル]−イミダゾリジン−2−オン(0.128g、0.255mmol)、3−シアノフェニルボロン酸(0.113g、0.766mmol、3当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.025g、0.0255mmol、10モル%)、トリフェニラルシン(0.031g、0.1mmol、40モル%)およびフッ化セシウム(0.075g、0.51mmol、2当量)の溶液およびエタノール(3mL)を、50Wで、7時間、次いで、100Wで、1時間にわたって、電子レンジにかけた。その混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、celite 545(登録商標)のパッドで濾過し、その濾液をNaCO飽和水溶液(25mL)で洗浄した。その水層をEtOAc(50mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物を、NaCO飽和水溶液(25mL)および塩化ナトリウム飽和水溶液(25mL)で洗浄した。その有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、暗色油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、15〜20%EtOAc/ヘキサンで溶出する)で精製することによって、暗色発泡体として、4’−{1−[3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−イルメチル]−ブト−3−エニル}−ビフェニル−3−カルボニトリル(0.059g、0.125mmol、49%)を得た。
【0210】
【化76】

CHCl(15mL)中の4’−{1−[3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−イルメチル]−ブト−3−エニル}−ビフェニル−3−カルボニトリル(0.059g、0.124mmol)の溶液に、−78℃で、オゾンを泡立たせた。5分後、酸素を泡立たせ、続いて、DMS(0.1mL、12.5mmol、10当量)を加えた。この混合物を室温まで暖め、そして18時間攪拌した。回転蒸発により溶媒を除去し、得られた残留物をClCHCHCl(2mL)に溶解し、そしてジメチルアミン(THF中で2M、0.06mL、0.12mmol、1当量)を加えた。この混合物を、室温で、1時間攪拌し、次いで、Na(OAc)BH(0.033g、0.16mmol、1.3当量)を加えた。この混合物を、室温で、16時間攪拌し、次いで、NaHCO飽和水溶液(10mL)とEtOAc(20mL)との間で分配した。この有機層をNaCl飽和水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得た。HPLCで精製することによって、淡黄色油状物として、表題化合物である4’−{1−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−イルメチル]−3−ジメチルアミノプロピル}−ビフェニル−3−カルボニトリル(0.016g、0.02mmol、16%)を得た。
【0211】
【化77】

(実施例33)
((3,5−ジクロロ−フェニル)−カルバミン酸3−ジメチルアミノ−1−(4−ピリジン−4−イルフェニル)−プロピルエステル)
【0212】
【化78】

2:1アセトン/HO(100mL)中の2−(4−ヨード−フェニル)−ペント−4−エンニトリル(2.8g、9.9mmol、実施例2を調製するための中間体)、OsO(0.7mL、水中で4%、0.10mmol)およびNalO(4.44g、20.8mmol)の混合物を、室温で、16時間攪拌した、TLC(1:1のヘキサン/EtOAc)により、出発物質が残っていないことが示された。この混合物をHO(50mL)で希釈し、そしてCHCl(50mL×4)で抽出した。この有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして回転蒸発により濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(1:1のヘキサン/EtOAc)で精製することによって、黄色がかった油状物として、2−(4−ヨード−フェニル)−4−オキソ−ブチロニトリル(1.9g、68%)を得た。
【0213】
【化79】

ClCHCHCl(50mL)中の2−(4−ヨード−フェニル)−4−オキソ−ブチロニトリル(2.03g、7.1mmol)の溶液に、ジメチルアミン(14.3mL、THF中で2M、28.6mmol、4当量)を加え、その混合物を、室温で、1時間、攪拌し続けた。Na(OAc)BH(6.04g、28.6mmol、4当量)を加え、この混合物を、室温で、16時間攪拌した。NaHCO飽和水溶液(50mL)を加えることにより、その反応をクエンチし、その混合物をEtOAc(50mL×3)で抽出した。その有機層をNaCl飽和水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)で精製して、暗褐色固形物として、4−ジメチルアミノ−2−(4−ヨード−フェニル)−ブチロニトリル(2.09g、94%)を得た。
【0214】
【化80】

2:1トルエン/EtOH(30mL)中の4−ジメチルアミノ−2−(4−ヨード−フェニル)−ブチロニトリル(1.02g、3.2mmol)の溶液に、2M NaCO(10mL、20mmol)、ピリジン−4−ボロン酸ピナコール環状エステル(1.0g、4.9mmol)およびPd(PPh(116mg、0.31mmol)を加えた。得られた混合物を、90℃で、Ar下にて、16時間加熱した。TLC(10%MeOH/CHCl)により、出発物質が残っていないことが示された。この混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、NaHCO飽和水溶液(50mL×3)、NaCl飽和水溶液(50mL×3)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして回転蒸発により濃縮した。この粗残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(2〜10%MeOH/CHCl勾配)を使用して精製することによって、褐色油状物として、4−ジメチルアミノ−2−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−ブチロニトリル(680mg、80%)を得た。
【0215】
【化81】

THF(5mL)中の4−ジメチルアミノ−2−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−ブチロニトリル(680mg、2.56mmol)の溶液に、LiAlH(THF中1M、26mL、26mmol)を加え、この混合物を、室温で、16時間攪拌した。TLC(10%MeOH/CHCl)により、出発物質が残留していないことが示され、新たな低Rfスポットが形成された。この混合物をHO(1.74mL)で処理し、続いて、1N NaOH水溶液3.48mLで処理し、次いで、HO(5.2mL)で処理した。30分間攪拌した後、この混合物を濾過し、その濾液をNaSOで乾燥し、そして濃縮して、黄色がかった固形物として、3−ジメチルアミノ−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−プロパン−1−オール(300mg、46%)を得た。
【0216】
【化82】

CHCl(2mL)中の3−ジメチルアミノ−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−プロパン−1−オール(100mg、0.37mmol)の溶液に、3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(70mg、0.37mmol)を加え、その混合物を、室温で、16時間攪拌した。この混合物を濃縮して、淡褐色油状物を得、次いで、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(5〜10%MeOH/DCM勾配)で精製するして白色固形物として、表題化合物である(3,5−ジクロロ−フェニル)−カルバミン酸3−ジメチルアミノ−1−(4−ピリジン−4−イルフェニル)−プロピルエステル(131mg、91%)を得た。
【0217】
【化83】

表1は、実施例20〜33について記述した方法を使用して調製したMCH活性化合物のさらなる実施例(番号34〜457)を提供する。
【0218】
(MCHアッセイPCOPプロトコル)
10μgのhMCHR−CHO過剰発現膜(Receptor Biology,Inc.(Beltsville,Maryland製、または内部で製造した)および100μg/ウェルのWGA−SPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.Piscataway,New Jersey製)/100μlの反応混合物を、MCHRアッセイ緩衝液(25mM HEPES(pH7.4)、10mM NaCl、10mM MgCl、5mM MnCl、0.1%BSA)中で調製した。MCHRアッセイ緩衝液中において、リガンド[125I]−MCH(Perkin Elmer Life Sciences,Inc.Boston,Massachusetts製)の2.0nMストックを調製した。DMSO中にて、試験化合物の40×ストック溶液を調製し、次いで、以下のようにして、96ウェルアッセイプレート(Corning #3604,Corning,New York)に加えた:5μlの試験化合物、試験化合物またはDMSO、45μlのMCHRアッセイ緩衝液、100μlの反応混合物、50μlの配位子ストック(最終[リガンド]=0.5nM)。このアッセイプレートを、プレート振盪機にて、5分間振盪し、次いで、2時間インキュベートした後、Microbeta Triluxカウンタ(PerkinElmer Wallac,Inc.Gaithersburg,Maryland製)にて、cpm/ウェルを決定した。IC50値について、全結合−非特異的結合の阻害%(2.5μMのMCH)を決定した。
【0219】
【表1】





















































































【産業上の利用可能性】
【0220】
上述したとおり、本願発明は産業上有用である。
本願発明の好ましい実施形態によれば、以下の化合物などが提供される。
(項1)
式Iで示した一般構造を有する化合物であって、該化合物には、該化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびプロドラッグ、ならびに該化合物または該プロドラッグの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が含まれる:
【化1】

ここで、Arは、非置換または置換の、フェニル、ピリジン、ピリジン−N−オキシド、ピラジンまたはピリダジンであり、ここで、該置換基は、0個〜5個であり、同一または異なり得、そして独立して、H、CN、OCF、F、Cl、Br、I、CONH、メチレンジオキシ、OR、COH、CORおよびOHからなる群から選択され、Rは、C〜C直鎖アルキルまたは分枝アルキルまたはC〜Cシクロアルキルである;
Mは、HまたはRである;
Zは、
【化2】

であり、
ここで、Arは、非置換または置換フェニルであり、ここで、該置換基は、0個〜5個であり、同一または異なり得、そして独立して、F、Cl、Br、I、R、OR、NOおよびCFからなる群から選択される;
nは、0〜6である;
pは、1〜6である;
は、同一または異なり得、そして独立して、R;NH;NHR;N(R);N(R)→O;NH(CHOR;N(R)SOR;NH(CH−N(R);N(R)SO(R);
【化3】


からなる群から選択される;
ここで、nは、上で定義したとおりであり、ここで、Yは、0個〜5個の同一または異なり得る部分であり、そして独立して、H;OH;NH
【化4】


からなる群から選択される;
ここで、nは、上で定義したとおりであり、そしてtは、1〜5である;そしてRは、Hまたはアルキルである、
化合物。
(項2)
Mが、Hである、上記項1に記載の化合物。
(項3)
Arが、4−フェニルである、上記項1に記載の化合物。
(項4)
Arが、4−ピリジルである、上記項1に記載の化合物。
(項5)
前記フェニルが、前記環上で、CN、OCF、FおよびClまたはそれらの組合せの少なくとも1個で置換されている、上記項3に記載の化合物。
(項6)
前記置換基が、式Iのベンジル位への前記環の結合に関して、該環上の3位にある、上記項3に記載の化合物。
(項7)
前記ピリジルが、前記環上で、CN、OCF、FおよびClまたはそれらの組合せの少なくとも1個で置換されている、上記項4に記載の化合物。
(項8)
Zが、Ar−NH−COであり、ここで、Arが、フェニルである、上記項1に記載の化合物。
(項9)
前記フェニルが、0個〜5個の1つ以上の部分で置換され、同一または異なり、そして独立して、F、Cl、Br、I、OCHおよびCFからなる群から選択される、上記項8に記載の化合物。
(項10)
Ar上にある前記置換基が、F、ClまたはOCHである、上記項9に記載の化合物。
(項11)
Rが、C〜C直鎖アルキル、C〜C分枝アルキルまたはC〜Cシクロアルキルである、上記項1に記載の化合物。
(項12)
Rが、メチル、エチルまたはプロピルである、上記項11に記載の化合物。
(項13)
Rが、イソプロピルである、上記項11に記載の化合物。
(項14)
Rが、シクロブチルである、上記項11に記載の化合物。
(項15)
nが、2〜4である、上記項1に記載の化合物。
(項16)
nが、2である、上記項1に記載の化合物。
(項17)
が、NH;NHR;N(R);N(R)→O;NH(CHOCH;N(R)SOR;NH(CH−N(R);N(R)SO(R);
【化5】

からなる群から選択され、ここで、RおよびYが、上記項1で定義されている、上記項1に記載の化合物。
(項18)
が、NHMe;NHEt;NMe;NH(CHOCH;NH−シクロプロピル;NH−シクロブチル;NH−シクロペンチル;NH(CHNMe
【化6】

からなる群から選択される、上記項17に記載の化合物。
(項19)
Yが、NH;NMe;NHMe;
【化7】

からなる群から選択される、上記項1に記載の化合物。
(項20)
式IIで示した一般構造を有する化合物であって、該化合物には、該化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびプロドラッグ、ならびに該化合物または該プロドラッグの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が含まれる:
【化8】

ここで、
Mは、HまたはRである;
kは、0〜5である;
pは、1〜6である;
nは、0〜6である;
Zは、
【化9】

である;
ここで、Arは、非置換または置換フェニルであり、該置換基は、0個〜5個であり、同一または異なり得、そして独立して、F、Cl、Br、I、R、OR、NOおよびCFからなる群から選択される;Rは、同一または異なり得、そして独立して、R;NH;NHR;N(R);N(R)→O;NH(CHOR;N(R)SOR;NH(CH−N(R);N(R)SO(R);
【化10】

からなる群から選択される:
ここで、nおよびRは、上で定義されており、そしてYは、0個〜5個の同一または異なり得る部分であり、そして独立して、H;OH;NH
【化11】

からなる群から選択される:
ここで、nは、上で定義されており、そしてtは、1〜5である;Xは、同一または異なり得、そして独立して、H、Cl、F、Br、I、R、OR、CF、OCF、メチレンジオキシ、フェニル、
【化12】

からなる群から選択される、
化合物。
(項21)
kが、1〜3の数である、上記項20に記載の化合物。
(項22)
Xが、R、H、Cl、CFおよびOCFからなる群から選択され、ここで、Rが、上記項20で定義されている、上記項20に記載の化合物。
(項23)
Mが、Hである、上記項20に記載の化合物。
(項24)
Zが、Ar−NH−COであり、ここで、Arが、フェニルである、上記項20に記載の化合物。
(項25)
前記フェニルが、0個〜5個の1つ以上の部分で置換され、同一または異なり、そして独立して、F、Cl、Br、I、OCHおよびCFからなる群から選択される、上記項24に記載の化合物。
(項26)
Rが、C〜C直鎖アルキルまたはC〜C分枝アルキルである、上記項20に記載の化合物。
(項27)
nが、2である、上記項20に記載の化合物。
(項28)
活性成分として、上記項1または上記項20の少なくとも1種の化合物を含有する、薬学的組成物。
(項29)
MCHレセプターに関連した障害を処置する際に使用する、上記項28に記載の薬学的組成物。
(項30)
さらに、薬学的に受容可能なキャリアを含有する、上記項28に記載の薬学的組成物。
(項31)
MCHレセプターに関連した障害を処置する方法であって、このような処置を必要としている患者に、薬学的組成物を投与する工程を包含し、該薬学的組成物は、処置有効量の上記項1または上記項20に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、
方法。
(項32)
前記投与が、経口である、上記項31に記載の方法。
(項33)
前記投与が、皮下投与を経由する、上記項31に記載の方法。
(項34)
MCHレセプターに関連した障害を処置する医薬を製造するための上記項1または上記項20に記載の化合物の使用。
(項35)
MCHレセプターに関連した障害を処置する薬学的組成物を調製する方法であって、上記項1または上記項20に記載の化合物のうち少なくとも1種の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを密接に接触させる工程を包含する、方法。
(項36)
MCHモジュレーター活性を示す化合物であって、該化合物には、該化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体および互変異性体、ならびに該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が含まれ、該化合物は、以下で列挙した構造を有する化合物:
【化13】

















の群から選択される、化合物。
(項37)
式IIIで示した一般構造を有する化合物であって、該化合物には、該化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびプロドラッグ、ならびに該化合物または該プロドラッグの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が含まれる:
【化14】

ここで、
Mは、HまたはRである;
kは、0〜5である;
pは、1〜6である;
nは、0〜6である;
Gは、−CH−、−C(O)−および−C(O)−O−からなる群から選択される部分であり、該−C(O)は、図において、N(R)に連結されている;
は、同一または異なり得、そして独立して、R;NH;NHR;N(R);N(R)→O;NH(CHOR;N(R)SOR;NH(CH−N(R);N(R)SO(R);
【化15】


からなる群から選択される:
ここで、nおよびRは、上で定義されており、そしてYは、0個〜5個の同一または異なり得る部分であり、そして独立して、H;OH;NH
【化16】


からなる群から選択される:
ここで、nは、上で定義されており、そしてtは、1〜5である;
は、Hまたはアルキルである;
は、アルキル、アリール、アリールアルキルおよびアルキルアリールからなる群から選択される;そして
Lは、同一または異なり得、そして独立して、H、アリール、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルアリールオキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ、シアノ、CFおよびNOからなる群から選択される、
化合物。
(項38)
MCHレセプターに関連した障害を処置する薬学的組成物であって、処置有効量の上記項36に記載の少なくとも1種の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、組成物。
(項39)
摂食障害を処置する薬学的組成物であって、該組成物は、以下を含有する:
処置有効量の上記項1または上記項20に記載の少なくとも1種の化合物、そのプロドラッグ、または該化合物もしくは該プロドラッグの薬学的に受容可能な塩;
処置有効量の1種以上の化合物であって、該化合物は、βアゴニスト、スリオミメティック薬、肥満抑制薬、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群から選択される;および
薬学的に受容可能なキャリア。
(項40)
摂食障害を処置する方法であって、該方法は、このような処置が必要な哺乳動物に、以下を投与する工程を包含する:
(a)処置有効量の上記項1または上記項20に記載の少なくとも1種の化合物、そのプロドラッグ、または該化合物もしくは該プロドラッグの薬学的に受容可能な塩;および
(b)処置有効量の1種以上の化合物であって、該化合物は、βアゴニスト、スリオミメティック薬、肥満抑制薬、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群から選択され、ここで、(a)および(b)の量は、該処置がなされる量である、
方法。
(項41)
摂食障害を処置する薬学的組成物であって、該組成物は、以下を含有する:
処置有効量の上記項1または上記項20に記載の少なくとも1種の化合物、そのプロドラッグ、または該化合物もしくは該プロドラッグの薬学的に受容可能な塩;
処置有効量の1種以上の化合物であって、該化合物は、アルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、ジペプチジルプロテアーゼ阻害剤、インシュリン、インシュリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−ガンマ配位子、ロサグリタゾン、ピオグリタゾン、GW−1929、スルホニル尿素、グリバジド、グリブリドおよびクロルプロパミドからなる群から選択される;および
薬学的に受容可能なキャリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2010−1316(P2010−1316A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232046(P2009−232046)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【分割の表示】特願2002−576192(P2002−576192)の分割
【原出願日】平成14年3月19日(2002.3.19)
【出願人】(506021259)ファーマコペイア ドラッグ ディスカバリー, インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】