説明

光路変換コネクタ

【課題】この発明は、多芯の光接続時の光軸ずれを抑えて、光接続効率の高い、安価な光路変換コネクタを提供する。
【解決手段】光路変換コネクタは、光導波路のそれぞれが、第1コア端面から第1コアを通ってミラー面に至り、ミラー面で方向を変えられて第2コアを通って第2コア端面に至る連続した光路に構成される光路変換デバイス2と、光路変換デバイス2が第1端面を露出するように収納された収容穴12、および第2端面にマトリックス状に露出する第2コア端面を露出させる光入出射窓13が設けられた外装部材5Dと、を備える。ピン挿入穴6aが穴方向を第1コアの光軸と平行として収納穴12の開口側に開口するように外装部材5Dに形成され、ピン挿入穴6bが穴方向を第2コアの光軸と平行として光入出射窓13の開口側に開口するように外装部材5Dに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1次元的又は2次元配列されたコアをもつ光路変換デバイスと、1次元的又は2次元配列されたコア又は光電変換素子をもつ外部部品とを容易に光接続させる光路変換コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速大容量の光通信システムや多数のプロセッサ間を並列信号処理する超並列コンピュータの開発に向けて、高密度で装置内を通信する光インターコネクションの開発が精力的に行なわれている。このような光インターコネクションを行う際、伝送された光信号の処理は電子デバイスで担われる。そして、それらの電子デバイスを結合する境界デバイスには、光導波路、光電変換素子、電子制御用のLSIやスイッチ、また電子部品を駆動させるための電気回路があわさった光−電気混合システムが必要になる。特に、高速広帯域な通信システムを実現するために、Vertical Cavity Surface Emitting Laser(VCSEL)、Laser Diode(LD)やPhoto diode(PD)のような光電変換素子を備えたデバイスの要求が高まっている。
【0003】
このような要求に対し、マイクロミラー付き光ピンを光電変換素子上に設け、光導波路を光プリント基板内に配設し、光ピンと同形のスルーホールを光導波路に至るように光プリント基板に設け、光ピンをスルーホールに嵌め込んで光電変換素子と光導波路とを光接続させる技術が、提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
この従来の光路変換技術は、発光素子から空間に出射される光や光導波路から空間に出射する光が放射角を持って広がることに起因する発光素子と光導波路との光接続効率の低下や光導波路と受光素子との光接続効率の低下を防止できる。さらに、マイクロミラーを介してVCSELなどの発光素子(光電変換素子)から光導波路に光を入射させる場合にも、PDなどの受光素子(光電変換素子)に向かって光導波路から光を出射させる場合にも、同様の構造で光電変換素子と光導波路との光接続が行なえる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「エレクトロニクス実装学会誌」Vol.2,No.5,p.368-372(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来の光路変換技術では、マイクロミラー付き光ピンを光電変換素子の個々に対して作製する必要があり、製造プロセスが複雑化となるとともに、低価格化が図れない。また、光プリント配線板に形成するスルーホールの加工が困難であり、特に光導波路のコア側面にできる凹凸に起因して、光導波路と光ピンとの光接続効率が低下してしまう。また、光電変換素子が2次元配列されている場合、個々の光ピンを全て精度良く光電変換素子に固定することは困難であり、光導波路と光ピンとの光軸ずれが生じ、光接続効率の低下をもたらす。さらに、2次元配列されている光導波路のコアと光接続するためには長さの異なるピンが必要となり、高コスト化してしまう。
【0006】
この発明は、上記の課題を解消するためになされたもので、コアがクラッド内に1次元的又は2次元的に配設された光路変換デバイスとコアに対して光軸調整された位置決め部材とを備え、位置決め部材を介して外部部品との光軸調整を行って多芯の光接続時の光軸ずれを抑えて、光接続効率の高い、安価な光路変換コネクタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による光路変換コネクタは、直進する光信号の光路を変換する機能を有し、第1外部部品に2次元的に配列された外部部品側光導波路と、回路基板上に取り付けられた第2外部部品に2次元的に配列された光電変換素子と、を光接続する光路変換コネクタであって、複数の第1コアおよび複数の第2コアがそれぞれ平行に形成され、複数の上記第1コアおよび上記第2コアが直交する光導波路を持ち、複数の第1コア端面がマトリックス状に露出する第1端面、複数の第2コア端面がマトリックス状に露出する第2端面、および複数の上記第1コアと上記第2コアとが交差する位置に光路を変換する単一のミラー面を備え、上記光導波路のそれぞれが、上記第1コア端面から上記第1コアを通って上記ミラー面に至り、該ミラー面で方向を変えられて上記第2コアを通って上記第2コア端面に至る連続した光路に構成される光路変換デバイスと、上記光路変換デバイスが上記第1端面を露出するように収納された収容穴、および上記第2端面にマトリックス状に露出する上記第2コア端面を露出させる光入出射窓が設けられた外装部材と、上記外部部品側光導波路を上記第1コアと光接続可能に上記第1外部部品を上記外装部材に着脱させる第1挿抜手段と、上記光電変換素子を上記第2コアと光接続可能に上記回路基板を上記外装部材に着脱させる第2挿抜手段と、を具備する。そして、上記第1挿抜手段は、穴方向を上記第1コアの光軸と平行として上記収納穴の開口側に開口するように上記外装部材に形成された第1ピン挿入穴、および該第1ピン挿入穴に挿抜される第1位置決めピンにより構成され、上記第2挿抜手段は、穴方向を上記第2コアの光軸と平行として上記光入射窓の開口側に開口するように上記外装部材に形成された第2ピン挿入穴、および該第2ピン挿入穴に挿抜される第2位置決めピンにより構成されている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、多芯の光接続時の光軸ずれを抑えて、光接続効率の高い、安価な光路変換コネクタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタの構成を説明する斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタに適用される光路変換デバイスを示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタに適用される光路変換デバイスを示す側面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタに光接続される外部部品を示す斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続状態を示す斜視図である。
【図7】本発明に適用される光路変換デバイスの第1の製造方法を説明する斜視図である。
【図8】本発明に適用される光路変換デバイスの第2の製造方法を説明する斜視図である。
【図9】この発明の実施例1に係る光路変換デバイスの製造方法を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施例2に係る光路変換デバイスの製造方法を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施例3に係る光路変換デバイスの製造方法を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続状態を示す斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態3に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図15】この発明の実施の形態4に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態4における外部部品の構成を説明する側面図である。
【図17】この発明の実施の形態4における外部部品の構成を説明する側面図である。
【図18】この発明の実施の形態4における光路変換デバイスと外部部品との接続構造を説明する側面図である。
【図19】この発明の実施の形態4における光路変換デバイスと外部部品との接続構造を説明する側面図である。
【図20】この発明の実施の形態4における光路変換デバイスと外部部品との接続構造を説明する側面図である。
【図21】この発明の実施の形態4における光路変換デバイスと外部部品との接続構造を説明する側面図である。
【図22】この発明の実施の形態5に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図23】この発明の実施の形態6に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図24】この発明の実施の形態7に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図25】この発明の実施の形態8に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図26】この発明の実施の形態9に係る光路変換コネクタの製造方法を説明する斜視図である。
【図27】この発明の実施の形態9に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図28】この発明の実施の形態10に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図29】この発明の実施の形態10に係る光路変換デバイスを示す断面図である。
【図30】この発明の実施の形態11に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
【図31】この発明の実施の形態11に係る光路変換デバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタの構成を説明する斜視図、図2および図3はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタに適用される光路変換デバイスを示す斜視図および側面図、図4はこの発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタに光接続される外部部品を示す斜視図、図5はこの発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図、図6はこの発明の実施の形態1に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続状態を示す斜視図である。
【0011】
図1において、光路変換コネクタ1は、光路変換デバイス2と、この光路変換デバイス2を収容する外装部材5と、第1位置決め部材としての一対の第1ピン挿入穴6aとを備えている。
【0012】
光路変換デバイス2は、図2および図3に示されるように、光を伝播する複数本のコア3が2次元的に配列されて、コア3より小さな屈折率を有するクラッド4内に埋設されて構成されている。クラッド4は第1端面4a、第2端面4bおよび第1端面4aと第2端面4bとの間に位置するミラー面4cを有している。各コア3は、第1端面4aからミラー面4cに至り、ミラー面4cで折り返されて第2端面4bに至るように構成されている。そして、コア3の第1コア端面3aが第1端面4aに2×nのマトリックス状に露出し、第2コア端面3bが第2端面4bに2×nのマトリックス状に露出している。なお、nは2以上の整数である。
【0013】
外装部材5は、光路変換デバイス収容部5aと、光路変換デバイス収容部5aに一体に形成されたフランジ部5bとを備えている。そして、光路変換デバイス2が、第1端面4aおよび第2端面4bを露出するように光路変換デバイス収容部5a内に配設されている。また、一対の第1ピン挿入穴6aが光路変換デバイス2の第1コア端面3aを挟んで光路変換デバイス収容部5aに形成されている。そして、各第1ピン挿入穴6aは、2次元的に配列されている第1コア端面3aに対して所定の位置関係を持ち、かつ、その穴方向を第1端面4aからミラー面4cに至るコア3の部分の光軸と平行に形成されている。
【0014】
つぎに、このように構成された光路変換コネクタ1による外部部品15Aとの光接続方法について、図4乃至図6を参照しつつ説明する。ここで、外部部品15Aは、図4に示されるように、少なくとも3本以上のコア(光導波路)が2次元的に配列されたアレイ状光導波路である。そして、外部部品15Aは、コアとしての光ファイバーの端部側を2次元的に配列した状態に埋設したクラッドが外装部材16内に収納され、光ファイバーを束ねた光ケーブル14が外装部材16から引き出されているそして、コア端面(光ファイバーの端面)17aがクラッド端面18aに2次元的に配列されている。また、一対のピン挿入穴19が外部部品15Aの外装部材16にクラッド端面18aを挟んで形成されている。なお、コア端面17aは光路変換コネクタ1の第1コア端面3aと同一の配列状態に配列され、一対のピン挿入穴19は光路変換コネクタ1の一対の第1ピン挿入穴6aと同一の位置関係で形成されている。
【0015】
まず、図5中矢印で示されるように、被位置決め部材としての一対の位置決めピン8が光路変換コネクタ1の各第1ピン挿入穴6aに挿入される。そして、外部部品15Aが、一対の位置決めピン8を各ピン挿入穴19に挿入して、光路変換コネクタ1に装着される。これにより、外部部品15Aのコア端面17aが光路変換デバイス2のコア3の第1コア端面3aに光軸を一致させて密接される。ついで、弾性固定部材としてのバネ部材9が、図6に示されるように、光路変換コネクタ1のフランジ部5bと外部部品15Aのフランジ部16aとに弾性係止され、光路変換コネクタ1と外部部品15Aとが、バネ部材9により弾性固定される。これにより、外部部品15Aのコア端面17aと光路変換デバイス2の第1コア端面3aとが、光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
【0016】
そこで、例えば第2コア端面3bから入射した光は、コア3内をミラー面4cまで伝播した後、ミラー面4cで反射されて(光路を変換されて)コア3内を第1コア端面3aまで伝播される。そして、光は、第1コア端面3aから外部部品15Aのコアに入射し、外部部品15Aのコア内を伝播して、この外部部品15Aに光ケーブル14を介して光接続されている光デバイス等に供給される。
【0017】
このように、この実施の形態1によれば、第1ピン挿入穴6aが2次元的に配列されている第1コア端面3aの光軸に対して外部部品15Aのコア端面17aの光軸を一致させるように外装部材5に設けられているので、外部部品15Aの位置決めピン8を第1ピン挿入穴6aに挿入させるだけで、2次元的に配列されている外部部品15Aのコアが2次元的に配列されている光路変換デバイス2のコア3に光軸調整されて同時に光接続される。そこで、光路変換コネクタ1の外部部品15Aへの接続作業性が容易となるとともに、光軸ずれに起因する光接続損失が低減される。
また、バネ部材9を用いて光路変換コネクタ1と外部部品15Aとを弾性固定しているので、外部部品15Aのコア端面17aと光路変換デバイス2の第1コア端面3aとが、光軸を一致させて密着状態に維持される。そこで、外部部品15Aのコア端面17aと光路変換デバイス2の第1コア端面3aとの密着性が向上し、接続時の損失を小さくすることができる。
また、光路変換デバイス2が外装部材5内に収容されているので、光路変換デバイス2の損傷が抑えられ、耐久性を向上させることができる。
また、本コネクタ構造を採用することにより、製作困難な光スルーホールや光ピンが不要となり、製造コストを著しく下げることができ、光接続効率を上げることができるとともに、耐久性を高めることができる。
【0018】
なお、光路変換コネクタ1の外部部品15Aとの接続面は、外部部品15Aの着脱に起因して、傷などの発生する恐れがある。また、該接続面での反射の問題もある。そこで、第1端面4aおよび第2端面4bにハードコート膜や反射防止膜を形成し、傷や反射の発生を防止するようにしてもよい。そして、ハードコート膜や反射防止膜の材料としては、例えばエポキシ、アクリル、シリコーン等の樹脂材料や、シリカ、アルミナなどの無機材料を用いることができる。
また、光路変換コネクタ1の外部部品15Aとの接続面における反射の影響を抑えるには、第1端面4aおよび第2端面4bの少なくとも第1コア端面3aおよび第2コア端面3bを含む領域をコア3の光軸に対して所定量傾斜させてもよい。この傾斜角は8度とすることが望ましいが、接続状態での反射の影響を抑えることができる角度であれば8度に限定されない。
また、上記実施の形態1では、位置決めピン8が独立部品として説明しているが、位置決めピン8は予め光路変換コネクタ1の第1ピン挿入穴6aおよび外部部品15Aのピン挿入穴19の一方に挿入固定されて一体化されていてもよい。
【0019】
ここで、本発明に適用される光路変換デバイス2の製造方法について図7および図8を参照しつつ説明する。
【0020】
まず、図7による第1の光路変換デバイス製造方法について説明する。
図7の(a)に示されるように、石英ガラスを用いて平板状の基板50を作製する。そして、低屈折率の第1フッ素化ポリイミド溶液を石英基板50上にスピンコートし、ベーキングして第1クラッド層を形成する。ついで、高屈折率の第2フッ素化ポリイミド溶液をスピンコートし、ベーキングして第1クラッド層上にコア層を形成する。
そして、コア層上にフォトレジストを塗布し、写真製版技術によりフォトレジストをパターニングし、その後反応性イオンエッチングによりコア層の不要部分を除去する。そして、フォトレジストを除去し、コア層からなる4本の第1および第2コア53a、53bが得られる。ついで、第1フッ素化ポリイミド溶液をスピンコートし、ベーキングして第2クラッド層を形成する。
【0021】
これにより、図7の(b)に示されるように、4本の第1および第2コア53a、53bが第1および第2クラッド層に埋設されてなる導波路体51が得られる。そして、2本の第1コア53aは平行な直線状に形成され、2本の第2コア53bは平行な直線状に形成され、第1および第2コア53a、53bは互いに直交している。また、第1および第2コア53a、53bの交差部は直線上に位置している。
そして、図7の(c)に示されるように、第1および第2コア53a、53bを一致させて、n枚の導波路体51を積み重ねる。ついで、n枚の導波路体51を貼り合わせて導波路ユニット52を作製した後、第1および第2コア53a、53bの交差位置で導波路ユニット52をダイシングして、ミラー面4cを形成して、光路変換デバイス2が得られる。そして、ミラー面4cは、第1コア53aの光軸と第2コア53bの光軸との交点位置を通るように形成されている。
【0022】
この光路変換デバイス2においては、各コア3は、第1端面4aからミラー面4cに至り、ミラー面4cで折り返されて第2端面4bに至るように構成されている。そして、コア3の第1コア端面3aが第1端面4aに2×nのマトリックス状に露出し、第2コア端面3bが第2端面4bに2×nのマトリックス状に露出している。また、このように作製されたコア3は断面矩形に形成されている。
【0023】
なお、この第1の光路変換デバイス製造方法では、第2フッ素化ポリイミド溶液の屈折率は第1フッ素化ポリイミド溶液の屈折率に対して0.01〜5.0%高く設定されている。また、コアおよびクラッド材としてフッ素化ポリイミドを用いるものとしているが、コアおよびクラッド材としては必要な屈折率が得られる樹脂であればよく、例えばポリメチルメタアクリレート樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリシラン樹脂等を用いることができる。さらに、コア層を反応性イオンエッチングによりパターニングするものとしているが、第2フッ素化ポリイミド溶液に光硬化性を付与すれば、写真製版技術のみでコア層をパターニングでき、製造プロセスの簡略化が図られる。
また、この第1の光路変換デバイス製造方法では、基板50に石英ガラスを用いるものとしているが、基板50は石英ガラス基板に限定されるものではなく、例えばシリコン基板や、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂基板でもよい。
【0024】
また、この第1の光路変換デバイス製造方法では、石英ガラスの基板50に第1および第2フッ素化ポリイミド溶液を塗布し、反応性イオンエッチングによりパターニングして第1および第2コア53a、53bを作製し、さらに第1フッ素化ポリイミド溶液を塗布して導波路体51を作製するものとしている。しかし、基板に低屈折率の石英ガラスを用い、高屈折率の石英ガラスをスパッタリング等の真空成膜技術を用いて基板上に成膜し、高屈折率の石英ガラス膜を写真製版技術および反応性イオンエッチング技術を用いてパターニングして第1および第2コアを作製し、その後低屈折率の石英ガラスをスパッタリング等の真空成膜技術を用いて第1および第2コアを覆うように基板上に成膜して導波路体を作製するようにしてもよい。この場合、石英ガラスに代えて、必要な屈折率が得られるガラス、例えばゲルマドープガラス、ホウケイサンガラス、ソーダガラスを用いることができる。
【0025】
ついで、図8による第2の光路変換デバイス製造方法について説明する。
図8の(a)に示されるように、ハロゲン化ガラスを用いて平板状の基板55を作製する。そして、例えば810nmのレーザ光を集光レンズで集光し、100MJ/cmのエネルギーとして基板55の所定深さ位置に照射する。このレーザ照射によりハロゲン化ガラスのレーザ照射部位が屈折率変化を起こす。この時、基板55を平行移動することにより、1本の第1コア56aが形成される。そして、照射位置をずらして、レーザ照射を複数回行い、第1コア56aが、図8の(b)に示されるように、互いに平行に、かつ、2次元的(2×n)に配列されて基板55内に形成される。
ついで、第1コア56aと直交する方向に基板55を平行移動して、レーザ照射を行い、第2コア56bが、図8の(c)に示されるように、互いに平行に、かつ、2次元的(2×n)に配列されて、さらに第1コア56aと直交するように基板55内に形成される。
【0026】
そして、第1および第2コア56a、56bの交差位置で基板55をダイシングして、ミラー面4cを形成し、図8の(d)に示される光路変換デバイス2が得られる。
このように作製された光路変換デバイス2は、コア3(屈折率変化を起こしたハロゲン化ガラスの部位)がクラッド4(屈折率変化を起こしていないハロゲン化ガラスの部位)内に埋設されている。そして、コア3の屈折率はクラッド4の屈折率に対して0.01〜5.0%高く設定されている。また、このように作製されたコア3は断面円形に形成され、光を効率よく伝播できる。
この光路変換デバイス2においても、各コア3は、第1端面4aからミラー面4cに至り、ミラー面4cで折り返されて第2端面4bに至るように構成されている。そして、コア3の第1コア端面3aが第1端面4aに2×nのマトリックス状に露出し、第2コア端面3bが第2端面4bに2×nのマトリックス状に露出している。
【0027】
なお、この第2の光路変換デバイス製造方法では、基板55の材料は、ハロゲン化ガラスに限定されるものではなく、レーザ照射により屈折率変化を起こすものであればよく、例えば酸化ガラス、石英ガラスを用いることができる。
また、上記第1および第2の光路変換デバイス製造方法において、ダイシングの切断面を研磨して、ミラー面4cの平面度を高めるようにしてもよい。また、ダイシングに代えて、反応性イオンエッチングや研磨によりミラー面を形成するようにしてもよい。
また、上記第1および第2の光路変換デバイス製造方法において、コア材の屈折率をクラッド材の屈折率に対して0.01〜5.0%高くするものとしているが、両者の屈折率差は0.01〜5.0%に限定されるものではなく、用途によって適宜選択されるものである。
【0028】
また、本発明に適用される光路変換デバイスは、上記第1および第2の製造方法により製造された光路変換デバイスに限定されるものではなく、例えば光ファイバを束ねて2次元的に配列するように構成した光路変換デバイスでもよい。
また、光路変換デバイス2において、ミラー面4cに金や多層膜を被覆して、コア3を伝播した光をミラー面4cで効率よく反射できるようにしてもよい。
また、ミラー面4cにフィルター機能を持たせるようにしてもよい。この場合、ミラー面4cを透過した光を別の導波路に入射させることができ、用途が増大する。
さらに、ミラー面4cのコア3の光軸に対する角度を45°とすれば、光路を90°変えることができる。このミラー面4cのコア3の光軸に対する角度は、45°に限定されるものではなく、用途によって適宜設定すればよい。
【0029】
ついで、光路変換コネクタの製造方法について具体的に説明する。
実施例1.
図9はこの発明の実施例1に係る光路変換デバイスの製造方法を示す斜視図である。
外装部材5Aは、図9に示されるように、第1分割外装部材10および第2分割外装部材11に分割構成されている。第1分割外装部材10は、収容凹部10aがその一面側に形成され、一対の溝10bが収容凹部10aを挟んでその一面側に互いに平行に形成され、光入出射用の窓10cが収容凹部10a内に穿設され、さらにフランジ部10dが形成されている。一方、第2分割外装部材11は、収容凹部11aがその一面側に形成され、一対の溝11bが収容凹部11aを挟んでその一面側に互いに平行に形成され、さらにフランジ部11cが形成されている。なお、一対の溝11bの溝間隔は、一対の溝10bの溝間隔に一致している。
【0030】
そして、光路変換デバイス2が、紫外線硬化型の接着剤を塗布されて収容凹部11a内に配設され、光軸調整された後、紫外線を照射して接着剤を硬化させて収容凹部11aに固定される。この時、光路変換デバイス2は、接着面を基準面とし、この基準面からコア3までの距離を一定に調整し、かつ、コア3と溝11bとの距離を所定値に調整することで、光軸調整される。
ついで、光路変換デバイス2を収容凹部10a内に納めるように第1分割外装部材10を第2分割外装部材11に宛い、第1分割外装部材10および第2分割外装部材11をボルトおよびナット(図示せず)により締着固定して、光路変換コネクタ1Aが組み立てられる。
【0031】
このように組み立てられた光路変換コネクタ1Aは、光路変換デバイス2の2次元的に配列された第2コア端面3bが窓10c内に露出している。そこで、第1コア端面3aおよび第2コア端面3bを介して外部部品と光接続される。そして、溝10b、11bが一体となって第1ピン挿入穴6aを構成している。
【0032】
この実施例1では、外装部材5Aが第1および第2分割外装部材10、11に分割構成されているので、光路変換デバイス2を外装部材5Aに取り付ける際の光軸調整作業が容易となる。
【0033】
なお、上記実施例1では、第2分割外装部材11に光路変換デバイス2を光軸調整して取り付けるものとしているが、第1分割外装部材10に光路変換デバイス2を光軸調整して取り付けてもよい。
また、外装部材5Aが第1および第2分割外装部材10、11に2分割されているものとしているが、分割数は2つに限らず3つ以上でもよい。
また、第1および第2分割外装部材10、11をボルトおよびナットを用いて固定するものとしているが、第1および第2分割外装部材10、11の固定方法は、ボルトおよびナットに限定されるものではなく、例えば接着剤でもよい。
【0034】
実施例2.
図10はこの発明の実施例2に係る光路変換デバイスの製造方法を示す斜視図である。
外装部材5Bは、図10に示されるように、第1分割外装部材10Aおよび第2分割外装部材11Aに分割構成されている。第1分割外装部材10Aは、収容凹部10aがその一面側に形成され、一対の溝10bが収容凹部10aを挟んでその一面側に互いに平行に形成され、光入出射用の窓10cが収容凹部10a内に穿設され、フランジ部10dが形成され、さらに一対の光路変換デバイス位置決め用突起10e(係合部)が収容凹部10aに溝10bと平行に延設されている。一方、第2分割外装部材11Aは、収容凹部11aがその一面側に形成され、一対の溝11bが収容凹部11aを挟んでその一面側に互いに平行に形成され、フランジ部11cが形成され、さらに光路変換デバイス位置決め用突起11d(係合部)が収容凹部11aに溝11bと平行に延設されている。
【0035】
また、光路変換デバイス2Aは、一対の光路変換デバイス位置決め用溝4d(被係合部)がクラッド4の第2端面4bにコア3と平行に延設され、光路変換デバイス位置決め用溝4e(被係合部)がクラッド4の第2端面4bと相対する端面にコア3と平行に延設されている。そして、一対の光路変換デバイス位置決め用溝4dの間隔は、一対の光路変換デバイス位置決め用突起10eの間隔に一致している。また、一対の光路変換デバイス位置決め用溝4dと光路変換デバイス位置決め用溝4eとの位置関係は、一対の光路変換デバイス位置決め用突起10eと光路変換デバイス位置決め用突起11dとの位置関係に一致している。
【0036】
そして、光路変換デバイス2Aが、紫外線硬化型の接着剤を塗布されて、一対の光路変換デバイス位置決め用溝4dを一対の光路変換デバイス位置決め用突起10eに係合させて収容凹部10a内に配設される。そして、光路変換デバイス2Aを収容凹部11a内に納め、かつ、光路変換デバイス位置決め用溝4eを光路変換デバイス位置決め用突起11dに係合するように第2分割外装部材11Aが第1分割外装部材10Aに宛われる。そして、紫外線を照射して接着剤を硬化させて、光路変換デバイス2A、第1分割外装部材10Aおよび第2分割外装部材11Aが固定され、光路変換コネクタ1Bが組み立てられる。
これにより、光路変換デバイス2Aは、一対の光路変換デバイス位置決め用溝4dと一対の光路変換デバイス位置決め用突起10eとの係合と、光路変換デバイス位置決め用溝4eと光路変換デバイス位置決め用突起11dとの係合とにより光軸調整される。
【0037】
従って、この実施例2では、一対の光路変換デバイス位置決め用溝4dと一対の光路変換デバイス位置決め用突起10eとの係合と、光路変換デバイス位置決め用溝4eと光路変換デバイス位置決め用突起11dとの係合とにより光軸調整されるので、光路変換デバイス2Aの固定作業が容易となるとともに、光軸調整後の光路変換デバイス2Aの変位がなく、光路変換デバイス2Aの光軸調整が長期的に維持される。
【0038】
ここで、突起10e、11dは、第1および第2分割外装部材10A、11Aが樹脂材や無機材で作製されている場合には、第1および第2分割外装部材10A、11Aの成形時に同時に成形できる。また、第1および第2分割外装部材10A、11Aが金属材で作製されている場合には、突起10e、11dは、切削加工などにより形成することができる。
【0039】
なお、上記実施例2では、突起10e、11dと溝4d、4eとの3つの係合部により光路変換デバイス2Aの光軸調整を行っているが、突起10e、11dと溝4d、4eとの係合部の個数は3つに限定されるものではなく、光路変換デバイス2Aが外装部材に精度よく位置決めできる係合個数であれればよい。
また、上記実施例2では、突起を第1および第2分割外装部材10A、11Aに形成し、溝を光路変換デバイス2Aに形成するものとしているが、突起を光路変換デバイスに形成し、溝を第1および第2分割外装部材10A、11Aに形成してもよい。さらに、突起と溝を第1および第2分割外装部材10A、11Aおよび光路変換デバイス2Aに形成してもよい。
【0040】
実施例3.
図11はこの発明の実施例3に係る光路変換デバイスの製造方法を示す斜視図である。
外装部材5Cは、図11に示されるように、光路変換デバイス挿入穴としての収容穴12が光路変換デバイス収容部5aに形成され、窓13が収容穴12の先端部に形成されている。
【0041】
そして、光路変換デバイス2が、紫外線硬化型の接着剤を塗布されて収容穴12内に挿入され、光軸調整された後、紫外線を照射して接着剤を硬化させて収容穴12に固定され、光路変換コネクタ1Cが組み立てられる。この時、光路変換デバイス2は、接着面を基準面とし、この基準面からコア3までの距離を一定に調整し、かつ、コア3と第1ピン挿入穴6aとの距離を所定値に調整することで、光軸調整される。
【0042】
このように組み立てられた光路変換コネクタ1Cは、光路変換デバイス2の2次元的に配列された第2コア端面3bが窓13内に露出している。そこで、第1コア端面3aおよび第2コア端面3bを介して外部部品と光接続される。
【0043】
この実施例3では、光路変換デバイス2を挿入するための収容穴12が外装部材5Cの光路変換デバイス収容部5aに形成されているので、光路変換デバイス2を収容穴12に挿入した状態で光軸調整を実施でき、光路変換デバイス2の光軸調整作業が容易となる。さらに、部品点数が少なくなるので、組み立て工数が削減され、低価格化が図られる。
【0044】
なお、上記各実施例では、光路変換デバイを外装部材に紫外線硬化型の接着剤を用いて固定するものとしているが、光路変換デバイスの固定方法は紫外線硬化型の接着剤に限定されるものではなく、例えば熱硬化性の接着剤や脱アルコール型の接着剤を用いてもよい。
また、上記各実施例では、外装部材の材料について述べていないが、外装部材の材料は、コネクタとしての強度および耐傷性を満足する材料であればよく、エポキシ、アクリル、シリコーン等の樹脂材料、ガラス、ジルコニア等の無機材料、ステンレス、鉄等の金属材料或いは合金材料、あるいはこれらの材料に充填材(フィラー)を添加した材料を用いることができる。
【0045】
実施の形態2.
図12はこの発明の実施の形態2に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図、図13はこの発明の実施の形態2に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続状態を示す斜視図である。
【0046】
図12において、光路変換コネクタ20は、第2位置決め部材としての一対の第2ピン挿入穴6bが、外装部材5Dの光路変換デバイス収容部5aに、2次元的に配列されている第2コア端面3bに対して所定の位置関係を持ち、かつ、その穴方向を第2端面4bからミラー面4cに至るコア3の部分の光軸と平行に形成されている。
なお、外装部材5Dは、例えば上記実施の形態1における外装部材5Cに第2ピン挿入穴6bを形成しているものである。そして、この光路変換コネクタ20は、外装部材5C代えて外装部材5Dを用いている点を除いて、上記実施の形態1の光路変換コネクタ1と同様に構成されている。
【0047】
外部部品15Bは、少なくとも3つ以上の光電変換素子21が2次元的に配列されて構成されたアレイ状光電変換素子体であり、回路基板22上に取り付けられている。そして、光電変換素子21は、光路変換デバイス2の第2コア端面3bの配列状態と同等に配列されている。また、被位置決め部材としての一対のピン挿入穴23が2次元的に配列されている光電変換素子21に対して所定の位置関係を持つように回路基板22に形成されている。さらに、弾性固定部材としてのバネ部材24が回路基板22に蝶番24a周りに回動自在に取り付けられている。
【0048】
ここで、外部部品15Bは、光電変換素子21である受光素子および受光素子の一方の素子が2次元的に配列されている。そして、発光素子および受光素子は、発光あるいは受光を行って光電変換できる素子であればよく、発光素子には、例えば面発光型レーザ(VCSEL)、端面発光型レーザダイオード(LD)が用いられ、受光素子には、例えばフォトダイオード(PD)が用いられる。
【0049】
つぎに、このように構成された光路変換コネクタ20による外部部品15A、15Bとの光接続方法について説明する。
まず、図12中矢印Aで示されるように、一対の位置決めピン8が光路変換コネクタ20の各第1ピン挿入穴6aに挿入される。そして、外部部品15Aが、一対の位置決めピン8を各ピン挿入穴19に挿入して、光路変換コネクタ20に装着される。これにより、外部部品15Aのコア端面17aが光路変換デバイス2のコア3の第1コア端面3aに光軸を一致させて密接される。ついで、バネ部材9が、光路変換コネクタ20のフランジ部5bと外部部品15Aのフランジ部16aとに弾性係止され、光路変換コネクタ20と外部部品15Aとが、図13に示されるように、バネ部材9により弾性固定される。これにより、外部部品15Aのコア端面17aと光路変換デバイス2の第1コア端面3aとが、光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
【0050】
ついで、図12中矢印Bで示されるように、一対の位置決めピン8が回路基板22の各ピン挿入穴23に挿入される。そして、光路変換コネクタ20が、一対の位置決めピン8を各第2ピン挿入穴6bに挿入して、回路基板22に装着される。これにより、外部部品15Bの光電変換素子21が外装部材5Dの窓13内に挿入され、光路変換デバイス2のコア3の第2コア端面3bに光軸を一致させて密接される。ついで、バネ部材24が、光路変換コネクタ20の光路変換デバイス収容部5aに弾性係止され、光路変換コネクタ20と外部部品15Bとが、図13に示されるように、バネ部材24により弾性固定される。これにより、外部部品15Bの光電変換素子21と光路変換デバイス2の第2コア端面3bとが、光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
その結果、外部部品15Aのコア端面と外部部品15Bの光電変換素子21とが光路変換コネクタ20を介して光接続される。
【0051】
そこで、光電変換素子21が発光素子であれば、光電変換素子21で発光した光は、第2コア端面3bから入射してコア3内をミラー面4cまで伝播した後、ミラー面4cで反射されてコア3内を第1コア端面3aまで伝播される。そして、光は、第1コア端面3aから外部部品15Aのコアに入射し、外部部品15Aのコア内を伝播して、この外部部品15Aに光ケーブル14を介して光接続されている光デバイス等に供給される。
また、光電変換素子21が受光素子であれば、外部部品15Aのコア端面17aから第1コア端面3aを介して入射した光が、コア3内をミラー面4cまで伝播した後、ミラー面4cで反射されてコア3内を第2コア端面3bまで伝播される。そして、光は、第2コア端面3bから外部部品15Bの光電変換素子21に入射し、光電変換素子21により電気量に変換されて、回路基板22を介して所望の機器に出力される。
【0052】
このように、この実施の形態2によれば、上記実施の形態1の効果に加えて、第2ピン挿入穴6bが2次元的に配列されている第2コア端面3bの光軸に対して外部部品15Bの光電変換素子21の中心(光軸)を一致させるように外装部材5Dに設けられているので、外部部品15Bの位置決めピン8を第2ピン挿入穴6bに挿入させるだけで、2次元的に配列されている外部部品15Bの光電変換素子21が2次元的に配列されている光路変換デバイス2のコア3に光軸調整されて同時に光接続される。そこで、光路変換コネクタ20の外部部品15Bへの接続作業性が容易となるとともに、光軸ずれに起因する光接続損失が低減される。
また、バネ部材24を用いて光路変換コネクタ20と外部部品15Bとを弾性固定しているので、外部部品15Bの光電変換素子21と光路変換デバイス2の第2コア端面3bとが、光軸を一致させて密着状態に維持される。そこで、外部部品15Bの光電変換素子21と光路変換デバイス2の第2コア端面3bとの密着性が向上し、接続時の損失を小さくすることができる。
【0053】
ここで、光電変換素子21の扱える波長は、0.85μm、1.3μm、1.55μmの波長が一般的であるが、この光路変換コネクタ20は、適用されるデバイスに応じて任意の波長を用いることができる。
また、外部部品15Bは、発光素子および受光素子の一方の素子を2次元的に配列して構成されているものとしているが、発光素子および受光素子を混在させて2次元的に配列して構成した外部部品でもよい。
また、この実施の形態2では、外装部材5Cに第2ピン挿入穴6bを形成した外装部材5Dを用いるものとしているが、外装部材5A、5Bに第2ピン挿入穴6bを形成した外装部材を用いてもよい。
【0054】
実施の形態3.
図14はこの発明の実施の形態3に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
図14において、光路変換デバイス25は、クラッド4の第1端面4aからミラー面4cまでの距離が長く構成されている点を除いて上記光路変換デバイス2と同様に構成されている。そして、この光路変換デバイス25が、ミラー面4cを延出させるように外装部材5Eに取り付けられている。この外装部材5Eは、例えば、図9に示される第1および第2分割外装部材10、11において、窓10cを省略し、収容凹部10a、11aをフランジ部10d、11cまで貫いて形成し、さらに第2ピン挿入穴6bをフランジ部10d、11cに穿設することで実現される。
【0055】
このように構成された光路変換コネクタ20Aは、一対の位置決めピン8が光路変換コネクタ20Aの各第1ピン挿入穴6aに挿入される。そして、外部部品15Aが、一対の位置決めピン8を各ピン挿入穴に挿入して、光路変換コネクタ20Aに装着される。
また、一対の位置決めピン8が回路基板22の各ピン挿入穴23に挿入される。そして、光路変換コネクタ20Aが、一対の位置決めピン8を各第2ピン挿入穴6bに挿入して、回路基板22に装着される。
これにより、外部部品15Aのコア端面17aが光路変換デバイス2のコア3の第1コア端面3aに光軸を一致させて密接される。同様に、外部部品15Bの光電変換素子21が光路変換デバイス2のコア3の第2コア端面3bに光軸を一致させて密接される。
ついで、図示していないが、バネ部材9が光路変換コネクタ20Aのフランジ部26bと外部部品15Aのフランジ部16aとに弾性係止され、かつ、バネ部材24が光路変換コネクタ20Aのフランジ部26bに弾性係止されて、外部部品15Aのコア端面17aと外部部品15Bの光電変換素子21とが光路変換コネクタ20Aを介して光接続される。
【0056】
従って、この実施の形態3においても、上記実施の形態2と同様の効果が得られる。
【0057】
実施の形態4.
図15はこの発明の実施の形態4に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
図15において、この光路変換コネクタ20Bは、光路変換デバイス2が外装部材5Cの収容穴12に光軸調整されて接着固定されている。また、外部部品15Bが外装部材5Cの窓13内に挿入され、光電変換素子21を光路変換デバイス2の第2コア端面3bに光軸調整された状態で光路変換デバイス2の第2端面4bに接着固定されている。
【0058】
このように構成された光路変換コネクタ20Bは、外部部品15Aに接続するだけで、外部部品15Aのコア端面と外部部品15Bの光電変換素子21との光接続が実現できる。また、外部部品15Bが光路変換デバイス2に一体化されているので、小型化が図られる。さらに、外部部品15Bが光路変換デバイス2に光軸調整されて固着されているので、位置ずれに起因する損失が低減される。
【0059】
ここで、この実施の形態4における光路変換デバイス2と外部部品15Bとの接続構造について図16乃至図21を参照しつつ説明する。
外部部品15Bは、例えば半導体製造技術により作製される。そして、光電変換素子21がシリコン基板27上に2次元的に形成されている。この光電変換素子21には、図16に示されるようなアノード電極およびカソード電極が光の入出射面の反対側の面に形成されている裏面入出射型光電変換素子21Aと、図17に示されるようなアノード電極およびカソード電極の一方が光の入出射面に形成されている表面入出射型光電変換素子21Bとがある。なお、図16および図17中、28は電極パッドを示し、矢印は光の入出射方向を示している。
【0060】
光路変換デバイス2と裏面入出射型光電変換素子21Aを備えた外部部品15Bとの接続構造は、図18に示されるように、シリコン基板27の光電変換素子非形成面を第2端面4bに重ね合わせ、第2コア端面3bと裏面入出射型光電変換素子21Aとの光軸調整を行った後、固定されている。そして、電気接続用半田30が電極パッド28に形成され、裏面入出射型光電変換素子21Aと他の電気部品との電気的接続が行えるようになっている。なお、シリコン基板27と光路変換デバイス2との固定方法は、シリコン基板27と光路変換デバイス2とを固定できるものであればよく、例えばエポキシ、アクリル、シリコーン等の接着剤を用いることができる。また、裏面入出射型光電変換素子21Aと他の電気部品との電気的接続には、半田に代えて導電性樹脂を用いることもできる。
【0061】
また、光路変換デバイス2と表面入出射型光電変換素子21Bを備えた外部部品15Bとの第1の接続構造は、図19に示されるように、シリコン基板27の光電変換素子形成面を第2端面4bに重ね合わせ、第2コア端面3bと表面入出射型光電変換素子21Bとの光軸調整を行った後、第2端面4bに形成された引き出し電極29と電極パッド28とを半田接合している。そして、第2端面4bとシリコン基板27との隙間に、接着剤を注入硬化させている。さらに、電気接続用半田30が引き出し電極29に形成され、表面入出射型光電変換素子21Bと他の電気部品との電気的接続が行えるようになっている。なお、第2端面4bとシリコン基板27との隙間に注入される接着剤は、例えばエポキシ、アクリル、シリコーン等の接着剤を用いることができる。また、引き出し電極29と電極パッド28との電気的接続には、半田に代えて導電性樹脂を用いることもできる。さらに、表面入出射型光電変換素子21Bと他の電気部品との電気的接続には、半田に代えて導電性樹脂を用いることもできる。
【0062】
また、光路変換デバイス2と表面入出射型光電変換素子21Bを備えた外部部品15Bとの第2の接続構造は、図20に示されるように、シリコン基板27の光電変換素子形成面を第2端面4bに重ね合わせ、第2コア端面3bと表面入出射型光電変換素子21Bとの光軸調整を行った後、接着固定されている。このシリコン基板27には、電極パッド28に電気的に接続されているスルーホール27aが形成され、電気接続用半田30がこのスルーホール27aの外側電極パッドに形成されて、表面入出射型光電変換素子21Bと他の電気部品との電気的接続が行えるようになっている。
【0063】
また、光路変換デバイス2と表面入出射型光電変換素子21Bを備えた外部部品15Bとの第3の接続構造は、図21に示されるように、シリコン基板27の光電変換素子形成面を第2端面4bに重ね合わせ、第2コア端面3bと表面入出射型光電変換素子21Bとの光軸調整を行った後、第2端面4bに形成された引き出し電極29と電極パッド28とを半田接合している。そして、第2端面4bとシリコン基板27との隙間に、接着剤を注入硬化させている。さらに、スルーホール基板31の内側電極パッドと引き出し電極29とが半田接合され、電気接続用半田30がスルーホール基板31の外側電極パッドに形成されて、表面入出射型光電変換素子21Bと他の電気部品との電気的接続が行えるようになっている。
【0064】
実施の形態5.
図22はこの発明の実施の形態5に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
図22において、光路変換コネクタ20Cは、マイクロレンズ32が光路変換デバイス2の第1端面4aおよび第2端面4bにコア3に対して光軸調整されて固着されている。このマイクロレンズ32は、レンズ機能を有するように凸型又は凹型に成形され、通過する光を集光し、あるいは平行光にするものである。
なお、他の構成は、上記実施の形態2と同様に構成されている。
【0065】
この実施の形態5では、光路変換コネクタ20Cと外部部品15A、15Bとを接続すると、光路変換デバイス2のコア3と外部部品15Aのコアとがマイクロレンズ32を介して光接続され、光路変換デバイス2のコア3と外部部品15Bの光電変換素子21とがマイクロレンズ32を介して光接続される。
そこで、光が外部部品15Aのコアから光路変換デバイス2のコア3に入射する場合には、光はマイクロレンズ32で集光され、あるいは平行光となってコア3に入射する。また、光が光路変換デバイス2のコア3から外部部品15Aのコアに入射する場合には、光はマイクロレンズ32で集光され、あるいは平行光となって外部部品15Aのコアに入射する。なお、光路変換デバイス2と外部部品15Bとの間の入出射光についても、同様である。
従って、この実施の形態5によれば、光路変換デバイス2と外部部品15A、15Bとの間の結合損失が抑えられる。
【0066】
ここで、マイクロレンズ32は、凸型や凹型の形状のものに限定されるものではなく、光の広がりを抑えるものであればよく、例えば光ファイバーのように光を伝播させる媒体の一部を用いてもよい。また、マイクロレンズ32の材料は、レンズ機能を有するものであればよく、例えばエポキシ、アクリル、シリコーン等の樹脂材料、石英、アルミナ、ガラス等の無機材料が用いられる。
また、マイクロレンズ32を第1端面4a、4bに固着する方法は、エポキシ、アクリル、シリコーン等の接着剤を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0067】
なお、上記実施の形態5では、マイクロレンズ32を光路変換デバイス2の第1端面4aおよび第2端面4bに固着するものとしているが、マイクロレンズ32を光路変換デバイス2の第1端面4aおよび第2端面4bの一方に固着するようにしてもよい。
また、マイクロレンズ32の表面にハードコート膜や反射防止膜を被覆し、傷や反射の発生を防止するようにしてもよい。
【0068】
実施の形態6.
図23はこの発明の実施の形態6に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
図23において、光路変換コネクタ20Dは、マイクロレンズ32が光路変換デバイス2の第2端面4bにコア3と光軸調整されて固着され、外部部品15Bがマイクロレンズ32に光軸調整されて固着されている。
なお、他の構成は、上記実施の形態4と同様に構成されている。
【0069】
この実施の形態6によれば、外部部品15Bの光電変換素子21がマイクロレンズ32を介してコア3の第2コア端面3bに光接続されているので、入出射光の広がりに起因する結合損失の悪化が抑えられる。
【0070】
実施の形態7.
図24はこの発明の実施の形態7に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
図24において、光路変換コネクタ20Eは、外部部品15Aが光路変換デバイス2のコア3と光軸調整されて外装部材5Dに固着されている。
なお、他の構成は、上記実施の形態2と同様に構成されている。
【0071】
この実施の形態7によれば、外部部品15Aが光路変換コネクタ20Eに一体化されているので、バネ部材9を省略することができるとともに、光ケーブル付きコネクタとして利用できる。
【0072】
実施の形態8.
図25はこの発明の実施の形態8に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
図25において、一対の取付座33が外装部材5Fに形成されている。さらに、弾性固定部材としての一対のバネ部材35が外装部材5Fに設けられている。また、固定金具34および受け金具36が回路基板22に形成されている。
なお、外装部材5Fは、上記実施の形態1における外装部材5Cに取付座33およびバネ部材35を設けているものである。そして、この光路変換コネクタ20Fは、外装部材5C代えて外装部材5Fを用いている点を除いて、上記実施の形態2の光路変換コネクタ20と同様に構成されている。
【0073】
この実施の形態8では、一対の位置決めピン8が回路基板22の各ピン挿入穴23に挿入され、光路変換コネクタ20が一対の位置決めピン8を各第2ピン挿入穴6bに挿入して、回路基板22に装着される。これにより、外部部品15Bの光電変換素子21が外装部材5Fの窓13内に挿入され、光路変換デバイス2のコア3の第2コア端面3bに光軸を一致させて密接される。ついで、バネ部材35が、回路基板22の受け金具36に弾性係止され、光路変換コネクタ20と外部部品15Bとが、バネ部材35により弾性固定される。その後、取付ねじ(図示せず)を取付座33の貫通穴33aに通して固定金具34のネジ穴34aに締着して、光路変換コネクタ20Fと外部部品15Bとが、固定される。これにより、外部部品15Bの光電変換素子21と光路変換デバイス2の第2コア端面3bとの光接続状態が維持される。ついで、外部部品15Aが光路変換コネクタ20Fに光接続される。
【0074】
このように、この実施の形態8によれば、光路変換コネクタ20Fが回路基板22や筐体に安定して固定でき、光接続の信頼性が高まる。また、光路変換コネクタ20Fを回路基板22や筐体に固定した状態で外部部品15Aを抜き差しできるので、外部部品15Aの抜き差しによる負荷が光路変換コネクタ20Fにかかりにくく、耐久性が向上する。
【0075】
なお、この実施の形態8では、取付座33を外装部材5Fに一体に構成するものとしているが、取付座を別部品で構成してもよいことはいうまでもないことである。
また、この実施の形態8では、バネ部材35を外装部材5Fに取り付けるものとしているが、光路変換コネクタ20Fと外部部品15Aとを弾性固定するバネ部材を外装部材5Fに取り付けてもよいことはいうまでもないことである。この場合、外部部品15Aにバネ部材の受け金具を設けることになる。
【0076】
実施の形態9.
図26はこの発明の実施の形態9に係る光路変換コネクタの製造方法を説明する斜視図、図27はこの発明の実施の形態9に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図である。
図26において、光路変換デバイス2Bは、光を伝播する複数本のコア3が2次元的に配列されて、コア3より小さな屈折率を有するクラッド4内に埋設されて構成されている。クラッド4は第1端面4a、第2端面4bおよび第1端面4aと第2端面4bとの間に位置するミラー面4cを有している。各コア3は、第1端面4aからミラー面4cに至り、ミラー面4cで折り返されて第2端面4bに至るように構成されている。そして、コア3の第1コア端面3aが第1端面4aに2×nのマトリックス状に露出し、第2コア端面3bが第2端面4bに2×nのマトリックス状に露出している。
【0077】
また、第1位置決め部材としての一対の第1ピン挿入穴6aが2次元的に配列されている第1コア端面3aを挟んでクラッド4の第1端面4aに形成されている。そして、各第1ピン挿入穴6aは、2次元的に配列されている第1コア端面3aに対して所定の位置関係を持ち、かつ、その穴方向を第1端面4aからミラー面4cに至るコア3の部分の光軸と平行に形成されている。つまり、各第1ピン挿入穴6aは第1コア端面3aに対して光軸調整されている。
同様に、第2位置決め部材としての一対の第2ピン挿入穴6bが2次元的に配列されている第2コア端面3bを挟んでクラッド4の第2端面4aに形成されている。そして、各第2ピン挿入穴6bは、2次元的に配列されている第2コア端面3bに対して所定の位置関係を持ち、かつ、その穴方向を第2端面4bからミラー面4cに至るコア3の部分の光軸と平行に形成されている。つまり、各第2ピン挿入穴6bは第2コア端面3bに対して光軸調整されている。
【0078】
フランジ部37は、クラッド4の第2端面4bとミラー面4cとのなす角度に等しい傾斜面37aを有している。
そして、光路変換コネクタ20Gは、光路変換デバイス2Bのクラッド4のミラー面4cにフランジ部37の傾斜面25aを固着して、直方体に構成されている。
なお、光路変換デバイス2Bは、第1および第2ピン挿入穴6a、6bが設けられている点を除いて、上記光路変換デバイス2と同様に構成されている。
【0079】
つぎに、このように構成された光路変換コネクタ20Gによる外部部品15A、15Bとの光接続方法について図27を参照しつつ説明する。なお、図27中、バネ部材9、24は省略されている。
まず、一対の位置決めピン8(図示せず)が光路変換コネクタ20Gの各第1ピン挿入穴6aに挿入される。そして、外部部品15Aが、一対の位置決めピン8を各ピン挿入穴19に挿入して、光路変換コネクタ20Gに装着される。これにより、外部部品15Aのコア端面17aが光路変換デバイス2Bのコア3の第1コア端面3aに光軸を一致させて密接される。ついで、バネ部材9(図示せず)が、光路変換コネクタ20Gのフランジ部37と外部部品15Aのフランジ部15aとに弾性係止され、光路変換コネクタ20と外部部品15Aとが、バネ部材9により弾性固定される。これにより、外部部品15Aのコア端面と光路変換デバイス2Bの第1コア端面3aとが、光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
【0080】
ついで、図27中矢印で示されるように、一対の位置決めピン8が回路基板22の各ピン挿入穴23に挿入される。そして、光路変換コネクタ20Gが、一対の位置決めピン8を各第2ピン挿入穴6bに挿入して、回路基板22に装着される。これにより、外部部品15Bの光電変換素子21が光路変換デバイス2Bのコア3の第2コア端面3bに光軸を一致させて密接される。ついで、バネ部材24(図示せず)が、光路変換コネクタ20Gの光路変換デバイス2Bに弾性係止され、光路変換コネクタ20Gと外部部品15Bとが、バネ部材24により弾性固定される。これにより、外部部品15Bの光電変換素子21と光路変換デバイス2Bの第2コア端面3bとが、光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
その結果、外部部品15Aのコア端面17aと外部部品15Bの光電変換素子21とが光路変換コネクタ20Gを介して光接続される。
【0081】
この実施の形態9によれば、コア3が形成されているクラッド4に第1および第2ピン挿入穴6a、6bを形成しているので、第1および第2コア端面3a、3bに対する第1および第2ピン挿入穴6a、6bの位置を高精度に形成することができる。そこで、外部部品15A、15Bと光路変換コネクタ20Gとを光接続した際に、外部部品15Aのコア端面17aの光軸と光路変換コネクタ20Gの第1コア端面3aとの光軸とが高精度に一致し、かつ、外部部品15Bの光電変換素子21の光軸と光路変換コネクタ20Gの第2コア端面3bとの光軸とが高精度に一致し、接続による損失が低減される。
また、光路変換コネクタの外装部材が不要となり、低価格化が図られる。
【0082】
ここで、上記実施の形態9において、フランジ部37はコネクタの強度と耐久性を持つものであればよく、例えば光路変換デバイス2Bのクラッド材で作製されてもよい。
また、上記実施の形態9において、バネ部材9、35を光路変換デバイス2Bおよびフランジ部37に取り付けてもよい。
また、上記実施の形態9において、外部部品15Bは光路変換デバイス2Bの第2コア端面3bに光軸調整されて直接固着されてもよい。この場合、外部部品15Bは、図18乃至図21に示される取付構造により第2コア端面3bに取り付けられる。さらに、外部部品15Bは、マイクロレンズ32を介して第2コア端面3bに取り付けられてもよい。
また、上記実施の形態9において、外部部品15Aが光軸調整されて光路変換デバイス2Bと一体化されてもよい。
また、上記実施の形態9において、マイクロレンズ32が光路変換デバイス2Bの第1および第2コア端面3a、3bに光軸調整されて固着されてもよい。
【0083】
実施の形態10.
図28はこの発明の実施の形態10に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図、図29はこの発明の実施の形態10に係る光路変換デバイスを示す断面図である。
図28および図29において、光路変換デバイス2Cは、光を伝播する複数本のコア3が2次元的に配列されて、コア3より小さな屈折率を有するクラッド4内に埋設されて構成されている。クラッド4は第1端面4a、第2端面4bおよび第1端面4aと第2端面4bとの間に位置する第1および第2ミラー面4f、4gを有している。各コア3は、第1端面4aから第1ミラー面4fに至り、第1ミラー面4fで90°曲げられて第2ミラー面4gに至り、第2ミラー面4gで90°曲げられて第2端面4bに至るクランク状に構成されている。そして、コア3の第1コア端面3aが第1端面4aに2×nのマトリックス状に露出し、第2コア端面3bが第2端面4bに2×nのマトリックス状に露出している。
【0084】
また、外装部材5Gは、第1および第2分割外装部材10B、11Bに分割構成されている。そして、光路変換コネクタ20Hは、第1および第2分割外装部材10B、11Bの収容凹部10f、11e内に光路変換デバイス2Cを納め、第1および第2分割外装部材10B、11Bをボルト(図示せず)等により締着固定して組み立てられる。この時、光路変換デバイス2Cは、クラッド4の第1端面4aおよび第2端面4bを露出するように外装部材5G内に収容されている。そして、第1位置決め部材としての一対の位置決めピン60がクラッド4の第1端面4aを挟んで第1コア端面3aに対して光軸調整されて外装部材5Gの第1分割外装部材10Bに立設されている。同様に、第2位置決め部材としての一対の位置決めピン61がクラッド4の第2端面4bを挟んで第2コア端面3bに対して光軸調整されて外装部材5Gの第2分割外装部材11Bに立設されている。さらに、バネ部材35が外装部材5Gの第1および第2フランジ部5c、5dに取り付けられている。
また、外部部品15Cは、フランジ部16aがコア端面17aを挟んで形成されている点を除いて上記実施の形態1における外部部品15Aと同様に構成されている。
【0085】
この実施の形態10では、一方の外部部品15Cがピン挿入穴19に一対の位置決めピン60を挿入しつつ光路変換コネクタ20Hに宛われ、バネ部材35をフランジ部16aに嵌着して取り付けられる。これにより、一方の外部部品15Cのコア端面17aと光路変換デバイス2Cの第1コア端面3aとが光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
同様に、他方の外部部品15Cがピン挿入穴19に一対の位置決めピン61を挿入しつつ光路変換コネクタ20Hに宛われ、バネ部材35をフランジ部16aに嵌着して取り付けられる。これにより、他方の外部部品15Cのコア端面17aと光路変換デバイス2Cの第2コア端面3bとが光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
【0086】
そこで、一方の外部部品15Cのコア端面17aから光路変換デバイス2Cの第1コア端面3aに入射した光は、第1および第2ミラー面4f、4gでそれぞれ90°光路を変換されて第2コア端面3bから他方の外部部品15Cのコア端面17aに入射される。
【0087】
このように、この実施の形態10によれば、上記実施の形態1の効果に加えて、光路をクランク状に変換できる光路変換コネクタ20Hを実現できる。
【0088】
実施の形態11.
図30はこの発明の実施の形態11に係る光路変換コネクタと外部部品との光接続方法を説明する斜視図、図31はこの発明の実施の形態11に係る光路変換デバイスを示す断面図である。
図30及び図31において、光路変換デバイス2Dは、光を伝播する複数本のコア3が2次元的に配列されて、コア3より小さな屈折率を有するクラッド4内に埋設されて構成されている。クラッド4は第1端面4a、第2端面4bおよび第1端面4aと第2端面4bとの間に位置する第1および第2ミラー面4f、4gを有している。各コア3は、第1端面4aから第1ミラー面4fに至り、第1ミラー面4fで90°曲げられて第2ミラー面4gに至り、第2ミラー面4gで90°曲げられて第2端面4bに至るコ字状に構成されている。そして、コア3の第1コア端面3aが第1端面4aに2×nのマトリックス状に露出し、第2コア端面3bが第2端面4bに2×nのマトリックス状に露出している。
【0089】
また、外装部材5Hは、第1および第2分割外装部材10C、11Cに分割構成されている。そして、光路変換コネクタ20Iは、第1および第2分割外装部材10C、11Cの収容凹部10g、11f内に光路変換デバイス2Dを納め、第1および第2分割外装部材10C、11Cをボルト(図示せず)等により締着固定して組み立てられる。この時、光路変換デバイス2Dは、クラッド4の第1端面4aおよび第2端面4bを露出するように外装部材5H内に収容されている。そして、第1位置決め部材としての一対の位置決めピン60がクラッド4の第1端面4aを挟んで第1コア端面3aに対して光軸調整されて外装部材5Hの第2分割外装部材11Cに立設されている。同様に、第2位置決め部材としての一対の位置決めピン61がクラッド4の第2端面4bを挟んで第2コア端面3bに対して光軸調整されて外装部材5Hの第2分割外装部材11Cに立設されている。さらに、バネ部材35が外装部材5Hの第1および第2フランジ部5c、5dに取り付けられている。
【0090】
この実施の形態11では、一方の外部部品15Cがピン挿入穴19に一対の位置決めピン60を挿入しつつ光路変換コネクタ20Iに宛われ、バネ部材35をフランジ部16aに嵌着して取り付けられる。これにより、一方の外部部品15Cのコア端面17aと光路変換デバイス2Dの第1コア端面3aとが光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
同様に、他方の外部部品15Cがピン挿入穴19に一対の位置決めピン61を挿入しつつ光路変換コネクタ20Iに宛われ、バネ部材35をフランジ部16aに嵌着して取り付けられる。これにより、他方の外部部品15Cのコア端面17aと光路変換デバイス2Dの第2コア端面3bとが光軸を一致させて密着状態に維持され、光接続される。
【0091】
そこで、一方の外部部品15Cのコア端面17aから光路変換デバイス2Dの第1コア端面3aに入射した光は、第1および第2ミラー面4f、4gでそれぞれ90°光路を変換されて第2コア端面3bから他方の外部部品15Cのコア端面17aに入射される。
【0092】
このように、この実施の形態11によれば、上記実施の形態1の効果に加えて、光路をコ字状に変換できる光路変換コネクタ20Iを実現できる。
【0093】
なお、上記実施の形態1乃至8では、加工性の容易さおよび強度が得られることから第1および第2ピン挿入穴6a、6bを外装部材に形成するものとしているが、上記実施の形態9と同様に、光路変換デバイス2、2Aに直接形成するようにしてもよい。この場合、外部部品15Aのコア端面の光軸と第1コア端面3aとの光軸とが高精度に一致し、かつ、外部部品15Bの光電変換素子21の光軸と第2コア端面3bとの光軸とが高精度に一致し、接続による損失が低減される。
また、上記各実施の形態では、光電変換素子21からなる外部部品15Bが第2コア端面3bに光接続されるものとしているが、光導波路からなる外部部品15Aを第2コア端面3bに光接続するようにしてもよい。この場合、光導波路からなる2つの外部部品15Aが光路変換コネクタを介して光接続されることになる。
【0094】
また、上記各実施の形態では、コア3の第1コア端面3aおよび第2コア端面3bがクラッド4の第1端面4aおよび第2端面4bに2行n列(但し、nは2以上の整数)のマトリックス状(2次元的)に配列されているものとしているが、第1コア端面3aおよび第2コア端面3bの配列状態は2次元的に配列されていればよく、行数および列数は必要に応じて適宜設定されるものである。また、第1コア端面3aおよび第2コア端面3bの配列ピッチも、等ピッチである必要はなく、必要に応じて適宜設定されるものである。さらに、第1コア端面3aおよび第2コア端面3bは完全なマトリックス状に配列されている必要はなく、各列の個数が異なってもよい。つまり、例えば3行10列のマトリックス状の配列において、ある1列に1個、もう1列に2個、残りの列に3個のコア端面が配列されてもよい。
【0095】
また、上記各実施の形態では、コア3の第1コア端面3aおよび第2コア端面3bがクラッド4の第1端面4aおよび第2端面4bに2行n列(但し、nは2以上の整数)のマトリックス状(2次元的)に配列されているものとしているが、本発明は、コア3の第1コア端面3aおよび第2コア端面3bがクラッド4の第1端面4aおよび第2端面4bに1次元的に配列されているものにも適用できることはいうまでもないことである。
また、上記各実施の形態では、第1および第2コア端面3a、3bの配列数と外部部品のコア端面17aおよび光電変換素子21の配列数が同数として説明しているが、第1および第2コア端面3a、3bの配列数と外部部品のコア端面17aおよび光電変換素子21の配列数とが必ずしも一致する必要はないことはいうまでもないことである。
また、本発明においては、2次元的に配列されたコア3内を伝播するモードはシングルモードでも、マルチモードでもよい。
【符号の説明】
【0096】
1、1A、1B、1C、20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20I 光路変換コネクタ、2、2A、2B、2C、2D、25 光路変換デバイス、3 コア、3a 第1コア端面、3b 第2コア端面、4 クラッド、4a 第1端面、4b 第2端面、4c、4f、4g ミラー面、4d、4e 光路変換デバイス位置決め用溝(被係合部)、5、5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G、5H 外装部材、6a 第1ピン挿入穴(第1位置決め部材)、6b 第2ピン挿入穴(第2位置決め部材)、9、24、35 バネ部材(弾性固定部材)、10、10A、10B、10C 第1分割外装部材、10e 光路変換デバイス位置決め用突起(係合部)、11、11A、11B、11C 第2分割外装部材、11d 光路変換デバイス位置決め用突起(係合部)、12 収容穴(光路変換デバイス挿入穴)、13 窓(光路変換デバイス挿入穴)、15A、15B、15C 外部部品、17a コア端面、19 ピン挿入穴(被位置決め部材)、32 マイクロレンズ、33 取付座。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直進する光信号の光路を変換する機能を有し、第1外部部品に2次元的に配列された外部部品側光導波路と、回路基板上に取り付けられた第2外部部品に2次元的に配列された光電変換素子と、を光接続する光路変換コネクタであって、
複数の第1コアおよび複数の第2コアがそれぞれ平行に形成され、
複数の上記第1コアおよび上記第2コアが直交する光導波路を持ち、
複数の第1コア端面がマトリックス状に露出する第1端面、複数の第2コア端面がマトリックス状に露出する第2端面、および複数の上記第1コアと上記第2コアとが交差する位置に光路を変換する単一のミラー面を備え、
上記光導波路のそれぞれが、上記第1コア端面から上記第1コアを通って上記ミラー面に至り、該ミラー面で方向を変えられて上記第2コアを通って上記第2コア端面に至る連続した光路に構成される光路変換デバイスと、
上記光路変換デバイスが上記第1端面を露出するように収納された収容穴、および上記第2端面にマトリックス状に露出する上記第2コア端面を露出させる光入出射窓が設けられた外装部材と、
上記外部部品側光導波路を上記第1コアと光接続可能に上記第1外部部品を上記外装部材に着脱させる第1挿抜手段と、
上記光電変換素子を上記第2コアと光接続可能に上記回路基板を上記外装部材に着脱させる第2挿抜手段と、を具備し、
上記第1挿抜手段は、穴方向を上記第1コアの光軸と平行として上記収納穴の開口側に開口するように上記外装部材に形成された第1ピン挿入穴、および該第1ピン挿入穴に挿抜される第1位置決めピンにより構成され、
上記第2挿抜手段は、穴方向を上記第2コアの光軸と平行として上記光入射窓の開口側に開口するように上記外装部材に形成された第2ピン挿入穴、および該第2ピン挿入穴に挿抜される第2位置決めピンにより構成されていることを特徴とする光路変換コネクタ。
【請求項2】
直進する光信号の光路を変換する機能を有し、第1外部部品に2次元的に配列された外部部品側光導波路と、回路基板上に取り付けられた第2外部部品に2次元的に配列された光電変換素子と、を光接続する光路変換コネクタであって、
複数の第1コアおよび複数の第2コアがそれぞれ平行に形成され、
複数の上記第1コアおよび上記第2コアが直交する光導波路を持ち、
複数の第1コア端面がマトリックス状に露出する第1端面、複数の第2コア端面がマトリックス状に露出する第2端面、および複数の上記第1コアと上記第2コアとが交差する位置に光路を変換する単一のミラー面を備え、
上記光導波路のそれぞれが、上記第1コア端面から上記第1コアを通って上記ミラー面に至り、該ミラー面で方向を変えられて上記第2コアを通って上記第2コア端面に至る連続した光路に構成される光路変換デバイスと、
上記外部部品側光導波路と上記第1コアとを光接続可能に上記第1外部部品を上記光路変換デバイスに着脱させる第1挿抜手段と、
上記光電変換素子を上記第2コアと光接続可能に上記回路基板を上記光路変換デバイスに着脱させる第2挿抜手段と、を具備し、
上記第1挿抜手段は、穴方向を上記第1コアの光軸と平行として上記第1端面に開口するように上記光路変換デバイスに形成された第1ピン挿入穴、および該第1ピン挿入穴に挿抜される第1位置決めピンにより構成され、
上記第2挿抜手段は、穴方向を上記第2コアの光軸と平行として上記第2端面に開口するように上記光路変換デバイスに形成された第2ピン挿入穴、および該第2ピン挿入穴に挿抜される第2位置決めピンにより構成されていることを特徴とする光路変換コネクタ。
【請求項3】
凸型又は凹型に成形されたマイクロレンズが上記第2端面に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光路変換コネクタ。
【請求項4】
上記外部部品側光導波路と上記第1コアとを光接続状態に上記第1外部部品と上記外装部材又は上記光路変換デバイスとを弾性固定する第1ばね部材と、上記光電変換素子と上記第2コアとを光接続状態に上記回路基板と上記外装部材又は上記光路変換デバイスとを弾性固定する第2ばね部材と、を有する特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光路変換コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−53717(P2011−53717A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270170(P2010−270170)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願2009−159832(P2009−159832)の分割
【原出願日】平成14年12月10日(2002.12.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成13年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「超高密度電子SI技術の研究開発(エネルギー使用合理化技術開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】