説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】SOIウエハを用いずに、誘電体分離構造を有する安価な半導体装置を得ること。
【解決手段】複数の半導体素子が形成された半導体ウエハ(半導体基板12)のおもて面に表面電極17、再配線19およびポスト21を形成し、おもて側封止樹脂20で封止する。ウエハの裏面を研磨してウエハを薄くする。研磨により露出する面からウエハを貫通しておもて面の層間絶縁膜16に達する分離溝を形成する。ウエハの裏面に絶縁膜を積層して、分離溝を分離絶縁膜15で埋めるとともに、研磨による露出面を裏面絶縁膜14で被覆することによって、誘電体分離構造を形成する。ウエハを複数のチップに分割する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路において、個々の半導体素子を絶縁層によって電気的に分離する誘電体分離構造が公知である。SOI(Silicon On Insulator)基板を用いた誘電体分離構造の半導体装置は、接合分離構造のPN接合部におけるリーク電流の問題や寄生バイポーラ素子などの問題を回避することができるので、高速化や高集積化を図るのに有効である。また、誘電体分離構造の半導体装置は、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用や車載用の半導体装置として、高耐圧半導体素子と低耐圧制御回路が1チップに集積された半導体装置にも多く採用されている。
【0003】
一方、半導体パッケージに関しては、ウエハレベルCSP(Chip Size Package)技術が実用化されている。この技術によれば、樹脂封止までの各種工程をウエハの段階で行った後、ダイシングにより個々のチップに分割することによって、チップとほぼ同じ大きさの半導体装置が得られる。図16に、SOI基板を用いてウエハレベルCSP技術を適用した従来の半導体装置の構成を示す。図16に示すように、SOI基板1は、支持基板2、埋め込み酸化膜3およびシリコン層4からなる。シリコン層4は、絶縁膜5が充填された分離溝6により複数の素子形成領域7に分割されている。素子形成領域7は、埋め込み酸化膜3および絶縁膜5により互いに絶縁分離されている。
【0004】
ところで、表面に複数のチップ領域とチップ領域間の境界領域とを有する半導体ウエハのチップ領域上に突起電極を形成する工程と、半導体ウエハ表面と突起電極とを覆うように表面側保護部材を形成する工程と、境界領域に対応する半導体ウエハを除去し、表面側保護部材を露出させる溝部を形成する工程と、溝部を充填しかつ半導体ウエハの裏面を被覆する裏面側保護部材を形成する工程と、表面側保護部材と溝部に充填された裏面側保護部材とが切断面に残るように、溝部の幅よりも細い幅で半導体ウエハを境界領域で分割する工程と、を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法が提案されている。この提案では、裏面側保護部材として、ポリイミドやエポキシ等の樹脂が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−196701号公報(段落[0014]、[0025])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般に、SOIウエハは、絶縁層を挟んで2枚のシリコンウエハを貼り合わせてできているため、SOIウエハを用いるとコストの増大を招くという問題点がある。また、前記特許文献1に開示された方法は、半導体ウエハを個々のチップに分割する方法に関するものであり、誘電体分離構造を作製する方法ではない。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、誘電体分離構造を有する安価な半導体装置を提供することを目的とする。また、この発明は、誘電体分離構造を有する半導体装置を安価に製造することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる半導体装置は、1または2以上の半導体素子を含む複数の素子形成領域に分割された半導体基板と、前記半導体基板のおもて面を封止する第1封止層と、前記半導体基板の裏面を被覆するとともに、互いに隣接する前記素子形成領域の間で前記裏面から前記おもて面まで延びる絶縁膜と、を具備し、前記絶縁膜によって前記素子形成領域がその周囲の前記素子形成領域から電気的に分離されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明にかかる半導体装置は、請求項1に記載の発明において、前記おもて面側に、前記第1封止層を貫通して前記半導体素子に電気的に接続する導電領域が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明にかかる半導体装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記裏面側に、前記絶縁膜を貫通して前記半導体素子に電気的に接続する電極が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明にかかる半導体装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記絶縁膜がさらに第2封止層により封止されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明にかかる半導体装置は、請求項4に記載の発明において、前記裏面側に、前記第2封止層および前記絶縁膜を貫通して前記半導体素子に電気的に接続する電極が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記半導体基板の厚さが5μm以上20μm以下であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発明において、前記第1封止層の厚さが100μm以上1000μm以下であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明にかかる半導体装置の製造方法は、複数の半導体素子が形成された半導体ウエハのおもて面を第1封止層で封止する第1封止工程と、前記第1封止層で封止された前記半導体ウエハの裏面を研磨して前記半導体ウエハを薄くする研磨工程と、前記研磨により露出する面から前記半導体ウエハを貫通して前記おもて面に達する分離溝を形成する溝形成工程と、前記分離溝を絶縁膜で埋めるとともに、前記研磨により露出する面を前記絶縁膜で被覆する絶縁膜被覆工程と、前記第1封止層および前記絶縁膜を有する前記半導体ウエハを複数のチップに分割する分割工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明にかかる半導体装置の製造方法は、請求項8に記載の発明において、前記絶縁膜被覆工程と前記分割工程の間に、前記絶縁膜をさらに第2封止層で封止する第2封止工程、をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明にかかる半導体装置の製造方法は、請求項8に記載の発明において、前記絶縁膜被覆工程と前記分割工程の間に、前記裏面側に、前記絶縁膜を貫通して前記半導体素子に電気的に接続する電極を形成する電極形成工程、をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項11の発明にかかる半導体装置の製造方法は、請求項10に記載の発明において、前記電極形成工程と前記分割工程の間に、前記絶縁膜をさらに第2封止層で封止する第2封止工程、をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、素子形成領域の裏面および素子形成領域の間の絶縁膜によって、素子形成領域が互いに絶縁分離される。従って、高価なSOIウエハを用いずに、安価な一般的な半導体ウエハを用いて誘電体分離構造を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる半導体装置によれば、誘電体分離構造を有する安価な半導体装置が得られるという効果を奏する。また、本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、誘電体分離構造を有する半導体装置を安価に製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置およびその製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。図1に示すように、半導体装置11は、半導体基板12を複数の素子形成領域13に分ける誘電体分離構造を有する。誘電体分離構造は、半導体基板12の裏面を被覆する裏面絶縁膜14と、この裏面絶縁膜14から半導体基板12を貫通してそのおもて面に至る一つ以上の分離絶縁膜15により構成されている。分離絶縁膜15は、半導体基板12のおもて面に形成された層間絶縁膜16に接続されている。図示省略するが、各素子形成領域13には、1個または2個以上のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などの半導体素子が形成されている。
【0023】
半導体素子のソース電極やドレイン電極(MOSFETの場合)またはエミッタ電極やコレクタ電極(IGBTの場合)などの例えばアルミニウムからなる表面電極17は、層間絶縁膜16に設けられたコンタクトホールを介して半導体素子に電気的に接続されている。表面電極17は、おもて側保護膜18により被覆されている。例えば銅からなる再配線19は、おもて側保護膜18に設けられたコンタクトホールを介して表面電極17に接続されている。再配線19は、半導体装置11のおもて面側を封止するおもて側封止樹脂(第1封止層)20により被覆されている。例えば銅からなるポスト21は、おもて側封止樹脂20の表面からおもて側封止樹脂20を貫通して再配線19に接続されている。これらポスト21および再配線19は、おもて側封止樹脂20を貫通して半導体素子に電気的に接続する導電領域を構成している。ポスト21の表面は、例えば半田からなる外部電極22で覆われている。
【0024】
一方、半導体基板12の裏面側では、裏面絶縁膜14は、例えば窒化膜およびポリイミド膜からなる裏側保護膜26により被覆されている。裏側保護膜26は、裏側封止樹脂(第2封止層)27により被覆されている。以上の構成により、半導体装置11は、CSP(Chip Size Package)構造となっている。この半導体装置11では、図に現れていないゲート電極も装置のおもて面側に引き出される。この半導体装置11は、例えばドリフト電流が半導体装置11の横方向(深さ方向に交差する方向)に流れる横型の素子に適している。
【0025】
ここで、半導体基板12の厚さは、5μm以上20μm以下であるとよい。その理由は、半導体基板12の厚さが5μm未満では、ウエハのバックグラインド装置の面内ばらつきおよびウエハ間ばらつきによって、半導体基板12を薄く研磨する際に研磨し過ぎて、半導体基板12に作り込んだデバイスの電気的特性に影響を与える恐れがあり、20μmを超えると、おもて面に達する分離溝を形成する工程でのばらつきによって、分離溝がおもて面の層間絶縁膜16およびおもて側保護膜18をエッチングし過ぎて、層間絶縁膜16およびおもて側保護膜18を貫通して、再配線19の配線層に影響する恐れがあるからである。また、おもて側封止樹脂20の厚さは、100μm以上1000μm以下であるとよい。その理由は、おもて側封止樹脂20の厚さが100μm未満では、その後の裏面加工工程を行うための十分な強度を得られず、半導体ウエハが割れる恐れがあるためであり、1000μmを超えると、おもて側封止樹脂20を貫通する電極(ポスト21)の形成が困難であるからである。
【0026】
図2〜図9は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。図2〜図9を参照しながら、実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法について説明する。まず、図2に示すように、半導体基板12として、シリコン単結晶基板、例えばCZ(チョクラルスキー)法により作製されたインゴットから切り出されたシリコンウエハを用意する。このウエハのおもて面に、公知の方法により半導体素子や半導体集積回路を形成し、層間絶縁膜16および表面電極17を形成する。さらに、表面電極17の上におもて側保護膜18を積層し、おもて側保護膜18にコンタクトホールを形成する。この時点では、誘電体分離構造は形成されていない。
【0027】
次いで、図3に示すように、ウエハレベルCSPの工程を経て、ウエハのおもて面に再配線19およびポスト21を形成し、おもて側封止樹脂20を100〜1000μmの厚さに形成する。例えば、おもて側封止樹脂20を400μmの厚さに形成する。
【0028】
次いで、図4に示すように、バックグラインドによってウエハ(半導体基板12)の裏面を研磨してウエハを5〜20μmの厚さにする。例えば、ウエハの厚さを10μmにする。この時点でウエハが非常に薄くなるが、そのおもて面に例えば400μmの厚さのおもて側封止樹脂20があるので、ウエハとしての強度は保たれている。
【0029】
次いで、図5に示すように、ウエハ(半導体基板12)の研磨により露出した面(以下、研磨面とする)に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition、気相成長)法によってシリコン酸化膜等の酸化膜やシリコン窒化膜等の窒化膜からなるマスク膜31を例えば1μmの厚さに堆積する。そして、パターニングとエッチングによって、マスク膜31に、分離溝を形成するための開口部32を形成する。
【0030】
次いで、図6に示すように、マスク膜31をマスクとしてトレンチエッチングを行って、ウエハ(半導体基板12)の研磨面からウエハを貫通して層間絶縁膜16に達する分離溝33を形成する。その際、例えばSF6やCF4などのフッ素系や塩素系をエッチャントとしたICP−RIE(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching、誘導結合プラズマ−反応性イオンエッチング)と呼ばれる異方性のドライエッチング技術を用いることができる。そして、マスク膜31を除去する。
【0031】
次いで、図7に示すように、ウエハ(半導体基板12)の、マスク膜の除去により露出した面に絶縁膜を堆積し、分離溝33をその絶縁膜で埋めるとともに、その露出面を絶縁膜で被覆する。この絶縁膜において、分離溝33を埋める部分が分離絶縁膜15に相当し、マスク膜の除去による露出面を被覆する部分が裏面絶縁膜14に相当する。この絶縁膜として、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS:Tetra Ethyl Oxy Silicate)ガスを用いたLP−CVD(低圧気相成長)法により、TEOS酸化膜を堆積させてもよい。あるいは、マスク膜31を除去した後に熱酸化を行って、分離絶縁膜15と裏面絶縁膜14を熱酸化膜で形成してもよい。
【0032】
次いで、図8に示すように、裏面絶縁膜14に、例えばCVD法によって例えばシリコン窒化膜を堆積し、さらにその上に、例えばスピンコート法によって例えばポリイミド膜を積層することによって、裏側保護膜26を形成する。続いて、裏側保護膜26の上に、例えばスピンコート法によって裏側封止樹脂27を積層する。なお、シリコン窒化膜、ポリイミド膜および封止樹脂のいずれか一つまたは二つを組み合わせて裏面絶縁膜14を被覆する構成としてもよい。
【0033】
次いで、図9に示すように、バックグラインドによっておもて側封止樹脂20の表面を研磨して、ポスト21の表面を露出させる。なお、図3〜図8においては、ポスト21の表面が露出しているように示されているが、実際は、ポスト21はおもて側封止樹脂20によって覆われている。続いて、ポスト21の表面に、例えばスクリーン印刷法によって例えば半田を印刷して外部電極22を形成する。最後に、ダイシングを行って個々のチップ36に分割すると、図1に示す半導体装置11が完成する。
【0034】
実施の形態1によれば、裏面絶縁膜14および分離絶縁膜15によって、素子形成領域13を互いに絶縁分離することができるので、高価なSOIウエハを用いずに、安価な一般的な半導体ウエハを用いて、誘電体分離構造を有する半導体装置11を安価に製造することができる。従って、誘電体分離構造を有する安価な半導体装置11が得られる。
【0035】
実施の形態2.
図10は、実施の形態2にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。図10に示すように、実施の形態2では、半導体装置41は、半導体基板12の裏面側に裏面電極42を備えている。この裏面電極42は、半導体素子が例えばMOSFETの場合にはドレイン電極であり、IGBTの場合にはコレクタ電極である。裏面電極42は、裏面絶縁膜14に設けられたコンタクトホールを介して半導体素子に電気的に接続されている。裏面電極42は、裏側保護膜26により被覆されている。
【0036】
裏側保護膜26にはコンタクトホールが設けられており、このコンタクトホールを介して、例えば半田からなる外部電極43が裏面電極42に接続されている。半導体装置41は、外部電極43を介して回路基板等の基板に直接、実装される。それによって、半導体素子で発生した熱は、裏面電極42および外部電極43を伝わって回路基板等へ流れる。なお、図10に示す例では、裏側保護膜26が裏側封止樹脂により被覆されていないが、この場合には、裏側保護膜26が第2封止層となる。実施の形態1と同様に、第2封止層として、裏側保護膜26を被覆する裏側封止樹脂が設けられていてもよい。
【0037】
表面電極17は、半導体素子が例えばMOSFETの場合にはソース電極であり、IGBTの場合にはエミッタ電極である。実施の形態2では、ポスト21の表面に外部電極が設けられていない。従って、半導体装置41が回路基板等に実装される場合には、ポスト21は、ワイヤボンディングで回路基板等のランド部に接続される。そして、半導体装置41は、ポッティング樹脂などによりボンディングワイヤとともに封止される。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0038】
図11は、図10のA部の構成を詳細に示す断面図である。このA部は、ポスト21、再配線19、表面電極17、半導体基板12、裏面電極42および外部電極43を通る部分である。図11に示すように、この半導体素子は、IGBTである。素子形成領域13には、ドリフト領域51、チャネル領域52、コンタクト領域53、エミッタ領域54およびコレクタ領域55が設けられている。チャネル領域52は、素子形成領域13のおもて面側に選択的に設けられている。コンタクト領域53およびエミッタ領域54は、チャネル領域52内に選択的に設けられている。コレクタ領域55は、素子形成領域13の裏面側に設けられている。素子形成領域13の、チャネル領域52、コンタクト領域53、エミッタ領域54およびコレクタ領域55を除く領域は、ドリフト領域51である。
【0039】
裏面電極42は、コレクタ電極であり、コレクタ領域55に接している。ゲート電極56は、チャネル領域52の、エミッタ領域54とドリフト領域51の間の領域の上にゲート絶縁膜57を介して設けられている。図には現れていないが、ゲート電極56は、装置のおもて面側に引き出される。表面電極17は、エミッタ電極であり、エミッタ領域54およびコンタクト領域53で接している。表面電極17は、層間絶縁膜16によりゲート電極56から絶縁されている。
【0040】
以上の構成により、半導体装置41は、CSP(Chip Size Package)構造となっている。この半導体装置41は、例えばドリフト電流が半導体装置41の深さ方向に流れる縦型の素子に適している。半導体基板12の厚さおよびおもて側封止樹脂20の厚さ、並びにそれらの理由は、実施の形態1と同様である。
【0041】
図12〜図15は、実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。図12〜図15を参照しながら、実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法について説明する。まず、図2〜図7に示す工程に従って、実施の形態1と同様に、半導体装置のおもて面側の構成と、裏面絶縁膜14および分離絶縁膜15からなる誘電体分離構造を作製する。
【0042】
次いで、図12に示すように、パターニングとエッチングによって裏面絶縁膜14にコンタクトホール44を形成し、素子形成領域13のコレクタ領域を露出させる。次いで、図13に示すように、スパッタ法やメッキ法によって、ウエハ(半導体基板12)の裏側の面にアルミニウムなどの金属膜を積層し、この金属膜でコンタクトホール44を埋めるとともに、裏面絶縁膜14を被覆する。そして、パターニングとエッチングによって、この金属膜の、分離絶縁膜15で埋められた分離溝33や集積回路の形成領域45を覆う部分を除去し、個々の高耐圧半導体素子の領域にのみ、裏面電極42として金属膜を残す。
【0043】
次いで、図14に示すように、裏面絶縁膜14および裏面電極42に、例えばCVD法によって例えばシリコン窒化膜を堆積する。そして、パターニングとエッチングによって、このシリコン窒化膜の一部を除去し、裏面電極42を露出させる。次いで、シリコン窒化膜および裏面電極42に、例えばスピンコート法によって例えばポリイミド膜を積層する。そして、パターニングによって、このポリイミド膜の一部を除去し、裏面電極42を露出させる。この場合、裏側保護膜26は、シリコン窒化膜とポリイミド膜により構成される。
【0044】
次いで、図15に示すように、裏面電極42の表面に、例えばスクリーン印刷法によって例えば半田を印刷して外部電極43を形成する。最後に、ダイシングを行って個々のチップ46に分割すると、図10に示す半導体装置41が完成する。
【0045】
実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果の他に、次のような効果が得られる。半導体装置41を、外部電極43を介して回路基板等に直接、実装することによって、半導体素子で発生した熱を回路基板等へ逃がすことができるので、高い放熱性を実現することができる。従って、例えばフラットパネルディスプレイ用や車載用の半導体装置などのように、発熱量の大きい半導体装置に有効である。近時、これらの用途の半導体装置では、定格電流を変えずに高耐圧半導体素子の小型化が進んでいるため、電流密度が高くなり、発熱量が増大してきている。発熱量の増大は、高耐圧半導体素子の破壊耐量の低下を招く。実施の形態2によれば、高い放熱性によって、破壊耐量が低下するのを抑制することができる。
【0046】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、実施の形態中に記載した寸法や材質は一例であり、本発明はそれらに限定されるものではない。また、外部電極22,43をメッキ法により形成してもよい。また、裏面絶縁膜14を裏側保護膜26や裏側封止樹脂27で被覆しなくてもよい。また、裏側保護膜26および裏側封止樹脂27のいずれか一方のみが設けられている構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる半導体装置およびその製造方法は、誘電体分離構造を有する半導体装置に有用であり、特に、低圧ロジック制御回路と高圧回路を集積したパワーIC(Integrated Circuit)に適している。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図4】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図5】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図6】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図7】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図8】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図9】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図10】実施の形態2にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。
【図11】図10のA部の構成を詳細に示す断面図である。
【図12】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図13】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図14】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図15】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の構成を示す断面図である。
【図16】従来の半導体装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
11,41 半導体装置
12 半導体基板、半導体ウエハ
13 素子形成領域
14,15 絶縁膜
19,21 導電領域
20 第1封止層
27 第2封止層
33 分離溝
36,46 チップ
42 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上の半導体素子を含む複数の素子形成領域に分割された半導体基板と、
前記半導体基板のおもて面を封止する第1封止層と、
前記半導体基板の裏面を被覆するとともに、互いに隣接する前記素子形成領域の間で前記裏面から前記おもて面まで延びる絶縁膜と、
を具備し、前記絶縁膜によって前記素子形成領域がその周囲の前記素子形成領域から電気的に分離されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記おもて面側に、前記第1封止層を貫通して前記半導体素子に電気的に接続する導電領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記裏面側に、前記絶縁膜を貫通して前記半導体素子に電気的に接続する電極が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁膜がさらに第2封止層により封止されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記裏面側に、前記第2封止層および前記絶縁膜を貫通して前記半導体素子に電気的に接続する電極が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板の厚さが5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1封止層の厚さが100μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項8】
複数の半導体素子が形成された半導体ウエハのおもて面を第1封止層で封止する第1封止工程と、
前記第1封止層で封止された前記半導体ウエハの裏面を研磨して前記半導体ウエハを薄くする研磨工程と、
前記研磨により露出する面から前記半導体ウエハを貫通して前記おもて面に達する分離溝を形成する溝形成工程と、
前記分離溝を絶縁膜で埋めるとともに、前記研磨により露出する面を前記絶縁膜で被覆する絶縁膜被覆工程と、
前記第1封止層および前記絶縁膜を有する前記半導体ウエハを複数のチップに分割する分割工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁膜被覆工程と前記分割工程の間に、前記絶縁膜をさらに第2封止層で封止する第2封止工程、をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁膜被覆工程と前記分割工程の間に、前記裏面側に、前記絶縁膜を貫通して前記半導体素子に電気的に接続する電極を形成する電極形成工程、をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記電極形成工程と前記分割工程の間に、前記絶縁膜をさらに第2封止層で封止する第2封止工程、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−212438(P2009−212438A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56242(P2008−56242)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】