半導体装置とその製造方法
【課題】半導体装置とその製造方法において、強誘電体膜を備えたキャパシタの劣化を防止すること。
【解決手段】シリコン基板30の上方に、下部電極61、強誘電体膜よりなるキャパシタ誘電体膜62と、上部電極63とを有するキャパシタQを形成する工程と、キャパシタQ上に層間絶縁膜71を形成する工程と、層間絶縁膜71に、上部電極63に達するホール59aを形成する工程と、ホール59aの内面、及びホール59aから露出する上部電極63の表面に第1のバリア膜67を形成する工程と、第1のバリア膜67上に、第1のバリア膜67よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜68を形成する工程と、第2のバリア膜68の上方に導電膜74を形成して、ホール59aを埋め込む工程とを含む半導体装置の製造方法による。
【解決手段】シリコン基板30の上方に、下部電極61、強誘電体膜よりなるキャパシタ誘電体膜62と、上部電極63とを有するキャパシタQを形成する工程と、キャパシタQ上に層間絶縁膜71を形成する工程と、層間絶縁膜71に、上部電極63に達するホール59aを形成する工程と、ホール59aの内面、及びホール59aから露出する上部電極63の表面に第1のバリア膜67を形成する工程と、第1のバリア膜67上に、第1のバリア膜67よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜68を形成する工程と、第2のバリア膜68の上方に導電膜74を形成して、ホール59aを埋め込む工程とを含む半導体装置の製造方法による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯電話等の電子機器に対して大容量のデータを高速に処理して保存する要求が高まっている。データを保存する不揮発性メモリとしては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等が知られている。
【0003】
このうち、FeRAMは、キャパシタ誘電体膜として強誘電体膜が形成された強誘電体キャパシタを備えており、その強誘電体膜の自発分極を利用して情報を記憶するものであって、DRAMと比較して動作電圧が低く、高速動作が可能である点で有利である。
【0004】
そのFeRAMでは、キャパシタ誘電体膜の材料としてPZT(Pb(Zr, Ti)O3)のような酸化物強誘電体が使用されることが多い。
【0005】
但し、酸化物強誘電体は、外部雰囲気中の水素の還元作用によって酸素欠損が生じ、それにより残留分極電荷量等の強誘電体特性が容易に劣化することが知られている。
【0006】
そのような劣化を防止するため、強誘電体キャパシタの上方に水素バリア膜としてアルミナ膜や窒化シリコン膜を形成することにより、外部雰囲気中の水素が強誘電体キャパシタに至るのを阻止する構造が提案されている。
【0007】
また、酸素含有雰囲気中で強誘電体膜に対してアニールをすることにより、強誘電体膜の酸素欠損を補い強誘電体特性を回復させる方法も提案されている。
【特許文献1】特開2005−268617号公報
【特許文献2】特開2002−289793号公報
【特許文献3】特開2004−22553号公報
【特許文献4】特開2001−15703号公報
【特許文献5】特開2003−197878号公報
【特許文献6】特開2006−165128号公報
【特許文献7】特開2003−332536号公報
【特許文献8】特開2005−183843号公報
【特許文献9】特開2002−176149号公報
【特許文献10】特開平8−17760号公報
【特許文献11】特開2006−344676号公報
【特許文献12】特開2001−250792号公報
【特許文献13】特開2002−324855号公報
【特許文献14】特開2003−133534号公報
【特許文献15】特開平6−21391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体装置とその製造方法において、強誘電体膜を備えたキャパシタの劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の開示の一観点によれば、半導体基板の上方に、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタを形成する工程と、前記キャパシタ上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に、前記上部電極に達するホールを形成する工程と、前記ホールの内面、及び前記ホールから露出する前記上部電極の表面に第1のバリア膜を形成する工程と、前記第1のバリア膜上に、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜を形成する工程と、前記第2のバリア膜の上方に導電膜を形成して、前記ホールを埋め込む工程とを含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
また、その開示の別の観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成され、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタと、前記キャパシタ上に形成され、前記上部電極に達するホールを有する絶縁膜と、前記ホールの内面、及び前記ホール内における前記上部電極の表面に形成される第1のバリア膜と、前記第1のバリア膜上に形成され、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜と、前記第2のバリア膜の上方に形成され、前記コンタクトホールを埋め込む導電膜とを含む半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の半導体装置とその製造方法によれば、第2のバリア膜の酸素濃度を第1のバリア膜のそれよりも高くする。膜中の酸素は、水素やハロゲン等に対する第2のバリア膜のバリア性を向上させる機能を有するので、これらの元素がキャパシタに侵入するのを第2のバリア膜により阻止し易くなり、これらの元素が原因でキャパシタが劣化するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)調査結果
実施形態の説明に先立ち、本願発明者が行った調査結果について説明する。
【0013】
図1〜図4は、その調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図である。
【0014】
このサンプルを作製するには、まず、図1(a)に示すように、シリコン基板1の上方に第1の層間絶縁膜2としてCVD法により酸化シリコン膜を形成する。
【0015】
そして、この第1の層間絶縁膜2の上に密着膜3としてスパッタ法でアルミナ膜を70nmの厚さに形成した後、その上に第1の導電膜4、強誘電体膜5、及び第2の導電膜6をこの順にスパッタ法で形成する。
【0016】
このうち、第1の導電膜4としては厚さが150nmのプラチナ膜が形成され、強誘電体膜5としては厚さが90nmのPZT(Pb(Zr, Ti)O3)膜が形成される。そして、第2の導電膜6としては、下側層が50nmで上側層が200nmの厚さの二層構造の酸化イリジウム膜が形成される。なお、強誘電体膜5を結晶化させるための結晶化アニールは、第2の導電膜6の下側層を形成した後に行われる。
【0017】
次に、図1(b)に示すように、上記の各膜3〜6をパターニングし、下部電極4a、キャパシタ誘電体膜5a、上部電極6aをこの順に積層してなる強誘電体キャパシタQを形成する。
【0018】
続いて、図2(a)に示すように、シリコン基板1の上側全面にスパッタ法により第1のアルミナ膜を厚さ20nmに形成する。
【0019】
更に、この第1のアルミナ膜7の上に、CVD法により第2の層間絶縁膜8として酸化シリコン膜を1400nm程度の厚さに形成した後、その表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して平坦化する。
【0020】
そして、このように平坦化された第2の層間絶縁膜8の上にスパッタ法で第2のアルミナ膜9を20〜50nmの厚さに形成する。そして、この第2のアルミナ膜9の上にCVD法で酸化シリコン膜を20〜50nmの厚さに形成し、それをキャップ絶縁膜10とする。
【0021】
このようにして形成された膜のうち、第1及び第2のアルミナ膜7、9は、外部雰囲気中の水素がキャパシタ誘電体膜5aに至るのを阻止し、水素による還元が原因でキャパシタ誘電体膜5aが劣化するのを防止する役割を担う。
【0022】
次いで、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングによって各膜7〜10をパターニングし、下部電極4aと上部電極6aのそれぞれの上に第1及び第2のホール8a、8bを形成する。
【0023】
そして、図3(a)に示すように、各ホール8a、8bの内面とキャップ絶縁膜10の上面に、タングステンの成長核となるバリア膜12として窒化チタン膜を約300nm程度の厚さにスパッタ法で形成する。
【0024】
その後に、図3(b)に示すように、バリア膜12の上にタングステン膜13を形成し、そのタングステン膜13で各ホール8a、8bを完全に埋め込む。そのタングステン膜13は、例えば、六フッ化タングステン(WF6)ガスと水素ガスとの混合ガスを反応ガスとして使用するCVD法により形成される。
【0025】
そして、図4に示すように、キャップ絶縁膜10の上の余分なバリア膜12とタングステン膜13とをCMP法により研磨して除去し、これらの膜を各ホール8a、8b内にのみ導電性プラグ15として残す。
【0026】
これにより、下部電極4aと上部電極6aのそれぞれに、キャパシタQへの書き込み信号や読み出し信号が導電性プラグ15を介して印加することが可能となる。
【0027】
ここまでの工程により、このサンプルの基本構造が完成した。
【0028】
図3(b)を参照して説明したように、このサンプルでは、タングステン膜13の成長核としてバリア膜12が形成される。タングステン膜13を形成する際には水素ガスが使用されるので、バリア膜12にはその水素をバリアし、キャパシタ誘電体膜5aが水素によって還元されないようにする役割も求められる。
【0029】
ところが、上部電極6aの上に異物が付着していると、その異物の上にバリア膜12が形成されるので、異物上でのバリア膜12の膜厚が不足する等して、バリア膜12の水素バリア性が低下してしまう。
【0030】
そのような異物の発生源としては、例えば第2の導電膜6をパターニングして上部電極6aを形成するとき(図1(b))のエッチングマスクがある。エッチングマスクとしては、エッチング時のスパッタ作用に耐え得る窒化チタン膜のようなハードマスクが使用される。そして、そのハードマスクをウエット処理やドライエッチングにより除去するときに、大きさが0.2μm以下の小さな異物が上部電極6aの上に残ることがある。
【0031】
また、上記のエッチングマスクとしてレジストパターンを用いる場合にも、程度の差はあれ、上部電極6aに異物が残ることがある。
【0032】
図5は、上記のサンプルを欠陥検査装置において検査して得られたウエハマップであって、丸印の部位に欠陥が発生している。
【0033】
図6は、その欠陥の一つをSEM(Scanning Electron Microscope)により観察して得られた平面像である。これに示されるように、欠陥が見られた部位には膜の膨らみ17が発生している。
【0034】
図7は、膨らみ17がある部分の断面をTEM(Transmission Electron Microscope)により観察し、それを基にして描いた図である。
【0035】
同図に示されるように、膨らみがある部分では、上部電極6aに空洞Sが発生している。その空洞Sは、上記したような異物によってバリア膜12の水素バリア性が低下したことで、タングステン膜13を形成するとき(図3(b))の水素がバリア膜12を透過し、水素によって上部電極6a中の酸化イリジウムが還元されたことにより形成されたと考えられる。
【0036】
また、タングステン膜13を形成するときには、六フッ化タングステンガスも使用されるので、フッ素がバリア膜12を透過し、上部電極6aが反応性の高いフッ素により侵食されたことにより空洞Sが発生されたとも考えられる。
【0037】
このように空洞Sが発生すると、導電性プラグ15と上部電極6aとのコンタクト抵抗が上昇し、半導体装置の歩留まりが低下してしまう。
【0038】
更に、空洞Sの発生原因である水素によってキャパシタ誘電体膜5aが還元され、残留分極電荷量等のキャパシタ誘電体膜5aの強誘電体特性が劣化するおそれがある。そのため、キャパシタQの情報保持特性であるリテンション特性が低下し、半導体装置の信頼性が低下してしまう。
【0039】
よって、このような半導体装置の歩留まりやリテンション特性の低下を防ぐには、強誘電体キャパシタQ上のバリア膜12に水素等に対する高いバリア性が求められる。
【0040】
本願発明者はこのような知見に基づいて、以下に説明するような実施形態に想到した。
【0041】
(2)第1実施形態
図8〜図23は第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
【0042】
この半導体装置はプレーナ型のFeRAMであって、以下のようして製造される。
【0043】
最初に、図8(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0044】
まず、n型又はp型のシリコン(半導体)基板30に素子分離用の溝を形成する。そして、その溝の中に素子分離絶縁膜31を形成し、この素子分離絶縁膜31でトランジスタの活性領域を画定する。このような素子分離構造はSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれるが、これに代えてLOCOS(Local Oxidation of Silicon)を採用してもよい。
【0045】
次いで、シリコン基板30の活性領域にp型不純物、例えばボロンを導入してpウェル32を形成した後、活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜33となる熱酸化膜を約6〜7nmの厚さに形成する。
【0046】
続いて、シリコン基板30の上側全面に、厚さ約50nmの非晶質シリコン膜と厚さ約150nmのタングステンシリサイド膜を順に形成する。なお、非晶質シリコン膜に代えて多結晶シリコン膜を形成してもよい。その後に、フォトリソグラフィとエッチングによりこれらの膜をパターニングして、シリコン基板30上にゲート電極34を形成する。
【0047】
pウェル32の上には二つのゲート電極34が間隔をおいて略平行に配置され、その各々はワード線の一部となる。
【0048】
次いで、ゲート電極34をマスクにするイオン注入により、ゲート電極34の横のシリコン基板30にn型不純物としてリンを導入し、第1及び第2のソース/ドレインエクステンション35a、35bを形成する。
【0049】
その後に、シリコン基板30の上側全面に絶縁膜を形成し、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極34の横に絶縁性スペーサ37として残す。その絶縁膜として、例えばCVD法により酸化シリコン膜を形成する。
【0050】
続いて、この絶縁性スペーサ37とゲート電極34をマスクにしながら、シリコン基板30に砒素等のn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極34の側方のシリコン基板30に第1及び第2のソース/ドレイン領域36a、36bを形成する。このうち、二つのゲート電極34の間の第2のソース/ドレイン領域36bは、ビット線の一部となる。
【0051】
更に、シリコン基板30の上側全面に、スパッタ法によりコバルト膜等の高融点金属膜を形成する。そして、その高融点金属膜を加熱させてシリコンと反応させることにより、第1及び第2のソース/ドレイン領域36a、36bにおけるシリコン基板30上にコバルトシリサイド層等の高融点シリサイド層38を形成し、各ソース/ドレイン領域36a、36bを低抵抗化する。なお、このような高融点金属シリサイド層は、ゲート電極34の表層にも形成される。
【0052】
その後に、素子分離絶縁膜31の上等で未反応となっている高融点金属層をウエットエッチングして除去する。
【0053】
ここまでの工程により、シリコン基板30の活性領域には、ゲート絶縁膜33、ゲート電極34、及び第1、第2ソース/ドレイン領域36a、36b等を有するMOSトランジスタTRが形成されたことになる。
【0054】
次に、図8(b)に示すように、シリコン基板30の上側全面に、プラズマCVD法で酸窒化シリコン(SiON)膜を厚さ約200nmに形成し、それをカバー絶縁膜41とする。
【0055】
更に、TEOS(Tetra ethoxy silane)ガスを使用するプラズマCVD法により、このカバー絶縁膜41の上に第1の層間絶縁膜42として酸化シリコン(SiO2)膜を厚さ約1000nmに形成する。そして、CMP法で第1の層間絶縁膜42の上面を研磨して平坦化すると共に、第1の層間絶縁膜42の厚さを約785nmとする。
【0056】
続いて、図8(c)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングによりカバー絶縁膜41と第1の層間絶縁膜42とをパターニングし、第1、第2ソース/ドレイン領域36a、36bの上にコンタクトホール42aを形成する。
【0057】
その後に、図9(a)に示すように、第1、第2ソース/ドレイン領域36a、36と電気的に接続された第1の導電性プラグ43をこれらのコンタクトホール42a内に形成する。
【0058】
その第1の導電性プラグ43を形成するには、例えば、厚さが約30nmのチタン膜と厚さが約20nmの窒化チタン膜とをバリア膜としてこの順にスパッタ法でコンタクトホール42a内に形成する。そして、このバリア膜の上にCVD法によりタングステン膜を300nm程度の厚さに形成し、このタングステン膜でコンタクトホール42aを完全に埋め込む。その後に、第1の層間絶縁膜42の上の余分なバリア膜とタングステン膜とをCMP法により研磨して除去し、これらの膜を第1の導電性プラグ43としてコンタクトホール42a内に残す。
【0059】
このようにして形成された第1の導電性プラグ43は、酸化され易いタングステンを主にしてなるため、酸素含有雰囲気中で容易に酸化してコンタクト不良を引き起こすおそれがある。
【0060】
そこで、次の工程では、図9(b)に示すように、第1の導電性プラグ43の酸化を防ぐ酸化防止絶縁膜45として、第1の導電性プラグ43と第1の層間絶縁膜42のそれぞれの上にCVD法により酸窒化シリコン膜を厚さ約100nmに形成する。
【0061】
そして、この酸化防止絶縁膜45の上に、TEOSガスを使用するCVD法で酸化シリコン膜を厚さ約130nmに形成し、この酸化シリコン膜を絶縁性密着膜46とする。
【0062】
この後に、窒素雰囲気中で基板温度を約650℃とするアニールを絶縁性密着膜46に対して30分間行うことにより、絶縁性密着膜46の脱ガスを行う。
【0063】
次いで、図9(c)に示すように、絶縁性密着膜46の上に下部電極密着膜47としてスパッタ法によりアルミナ膜を厚さ約20nmに形成する。その後、RTA(Rapid Thermal Anneal)により下部電極密着膜47のアルミナを十分に酸化する。この下部電極密着膜47は、後述のキャパシタ下部電極と絶縁性密着膜46との密着性を向上させるために形成される。
【0064】
続いて、図10(a)に示すように、スパッタ法により第1の導電膜48としてプラチナ膜を厚さ約150nmに形成する。なお、プラチナ膜に代えて、イリジウム膜、ルテニウム膜、酸化ルテニウム(RuO2)膜、及びSrRuO3膜のいずれかの単層膜、或いはこれらの積層膜を第1の導電膜48として形成してもよい。
【0065】
ここで、第1の導電膜48を形成する前に下部電極密着膜47を予め形成したので、第1の導電膜48と絶縁性密着膜46との密着力が高められる。
【0066】
次に、図10(b)に示すように、PZTターゲットを用いるRF(Radio Frequency)スパッタ法により、第1の導電膜48の上に第1の強誘電体膜49としてPZT(Pb(Zrx, Ti1-x)O3: 0≦x≦1)膜を厚さ約90nmに形成する。
【0067】
第1の強誘電体膜49の成膜温度は特に限定されない。但し、その成膜温度が150℃以上となると、後述の結晶化アニール後の第1の強誘電体膜49中のPZTの配向が(101)方向等にランダムに配向し、強誘電体特性の向上に有利な(111)方向の配向が減少することがある。一方、成膜温度を低温で精度良く制御するのは困難である。これらに鑑み、第1の強誘電体膜49の成膜温度は0℃〜150℃、例えば50℃とするのが好ましい。
【0068】
また、第1の強誘電体膜49はPZT膜に限定されない。PZTにCa、Sr、La、Nb、Ta、Ir、及びWのいずれかを添加した材料よりなる膜を第1の強誘電体膜49として形成してもよい。更に、(Bi1-xRx)Ti3O12(Rは希土類元素で0<x<1)、SrBi2Ta2O9(SBT)、及びSrBi4Ti4O15等のBi層状化合物の膜を第1の強誘電体膜49として形成してもよい。
【0069】
更に、第1の強誘電体膜49の成膜方法もスパッタ法に限定されず、ゾル・ゲル法やMOCVD(Metal Organic CVD)法で第1の強誘電体膜49を形成してもよい。
【0070】
これらの成膜方法のうち、スパッタ法で形成された第1の強誘電体膜49は、成膜直後では結晶化しておらず非晶質であり、強誘電体特性に乏しい。
【0071】
そこで、次の工程では、図11(a)に示すように、酸素含有雰囲気において第1の強誘電体膜49に対して結晶化アニールを行い、第1の強誘電体膜49中のPZTを結晶化させる。
【0072】
その結晶化アニールは、酸素濃度が流量比1.25%となるように調整された酸素とアルゴンよりなる雰囲気においてRTAにより行われ、基板温度は約600℃、処理時間は約90秒とされる。
【0073】
なお、MOCVD法により第1の強誘電体膜49を形成する場合は、第1の強誘電体膜49は成膜の時点で結晶化しているので、上記の結晶化アニールは不要である。
【0074】
その後に、図11(b)に示すように、RFスパッタ法により第1の強誘電体膜49の上にPZT膜を厚さ約10〜30nmに形成し、このPZT膜を第2の強誘電体膜50とする。
【0075】
第2の強誘電体膜50はPZT膜に限定されない。PZTにCa、Sr、La、Nb、Ta、Ir、及びWのいずれかを添加した材料よりなる膜を第2の強誘電体膜50として形成してもよい。更に、(Bi1-xRx)Ti3O12(Rは希土類元素で0<x<1)、SrBi2Ta2O9(SBT)、及びSrBi4Ti4O15等のBi層状化合物の膜を第2の強誘電体膜50として形成してもよい。
【0076】
なお、スパッタ法で形成されたPZTは成膜直後では結晶化していない。よって、この時点では、第2の強誘電体膜50は非晶質の状態となっている。
【0077】
次に、図12(a)に示すように、非晶質の第2の強誘電体膜50の上にスパッタ法により上部電極用の第2の導電膜51を形成する。
【0078】
第2の導電膜51としては、例えば、アルゴンガスと酸素ガスとの混合雰囲気中でイリジウムターゲットをスパッタすることにより、厚さ約50nmの酸化イリジウム膜を形成し得る。
【0079】
続いて、図12(b)に示すように、非晶質の第2の強誘電体膜50に対して酸素含有雰囲気中で結晶化アニールを行い、第2の強誘電体膜50中のPZTを結晶化させると共に、その下の第1の強誘電体膜49の結晶性を更に高める。
【0080】
この結晶化アニールの条件は特に限定されないが、本実施形態では基板温度を約710℃、処理時間を120秒とする。更に、アニール雰囲気として、酸素濃度が流量比で1%に調整された酸素ガスとアルゴンガスとの混合雰囲気を用いる。
【0081】
この結晶化アニールの初期の時点では第2の強誘電体膜50は結晶化しておらず非晶質なので、第2の導電膜51の酸化イリジウムが第2の強誘電体膜50の結晶粒界に拡散し難い。これにより、拡散した酸化イリジウムが原因で第2の強誘電体膜50の膜中にリークパスが発生するのを抑制することができる。
【0082】
更に、この結晶化アニールにより、第2の導電膜51を通じてアニール雰囲気中の酸素が第2の強誘電体膜50に供給され、第2の強誘電体膜50の酸素欠損が補われるという利点も得られる。このような利点を得るために、第2の導電膜51の厚さは酸素が透過しやすいようになるべく薄く、例えば10〜100nmとするのが好ましい。
【0083】
但し、このように薄い第2の導電膜51が第2の強誘電体膜50上に形成されただけでは、後のエッチング工程におけるダメージが第2の導電膜51だけで吸収しきれず、第1及び第2の強誘電体膜49、50が劣化するおそれがある。
【0084】
そこで、次の工程では、図13(a)に示すように、第1及び第2の強誘電体膜49、50を保護するための導電性保護膜52として、第2の導電膜51の上にスパッタ法で酸化イリジウム膜を厚さ約200nmに形成する。
【0085】
この後に、第1及び第2の強誘電体膜49、50を形成したときにシリコン基板30の裏面に付着したPZTを洗浄して除去する。
【0086】
続いて、図13(b)に示すように、導電性保護膜52の上にハードマスク53としてスパッタ法により窒化チタン膜を厚さ約34nmに形成する。
【0087】
この窒化チタン膜は、例えば、基板温度を200℃とし、流量が30sccmのアルゴンガスと流量が90nmの窒素ガスとの混合雰囲気中でチタンターゲットをスパッタすることにより形成され得る。
【0088】
また、ハードマスク53は窒化チタン膜に限定されず、TaN、TiON、TiOx、TaOx、TaON、TiAlOx、TaAlOx、TiAlON、TaAlON、TiSiON、TaSiON、TiSiOx、AlOx、及びZrOxのいずれかよりなる膜をハードマスク53として形成してもよい。
【0089】
この後に、ハードマスク53の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第1のレジストパターン57を形成する。
【0090】
次に、図14(a)に示すように、第1のレジストパターン57をマスクにしてハードマスク53を島状にパターニングする。
【0091】
そして、図14(b)に示すように、島状のハードマスク53をマスクにして第2の導電膜51と導電性保護膜52とをドライエッチングし、エッチングされずに残存するこれらの膜51、52を上部電極63とする。
【0092】
ここで、第1のレジストパターン57はエッチング時のダメージによってその側面が後退することがある。これに対し、ハードマスク53は窒化チタンのようにレジストよりもエッチング速度が遅い材料よりなるので、ハードマスク53の側面は後退せず、設計通りの寸法に上部電極63をパターニングし易くなる。
【0093】
この後に、第1のレジストパターン57を除去し、更にハードマスク53をドライエッチングにより除去する。
【0094】
このとき、第1のレジストパターン57の側面には上部電極63形成時のエッチング生成物がフェンス状に付着しているが、そのエッチング生成物はハードマスク53と一緒に除去されるため、上部電極63の上にエッチング生成物が異物として残存するのを防止できる。
【0095】
次いで、図15(a)に示すように、ここまでの工程で第1及び第2の強誘電体膜49、50が受けたダメージを回復させるために、これらの強誘電体膜49、50に対して酸素含有雰囲気中でアニールを行う。
【0096】
このようなアニールは、回復アニールと呼ばれ、本実施形態では600〜700℃、例えば650℃の基板温度で約40分間行われる。
【0097】
次に、図15(b)に示すように、シリコン基板30の上側全面にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第2のレジストパターン58を形成する。
【0098】
そして、図16(a)に示すように、第2のレジストパターン58をマスクにして第1及び第2の強誘電体膜49、50をドライエッチングする。これにより、これらの強誘電体膜49、50を有するキャパシタ誘電体膜62が上部電極63の下に形成される。
【0099】
この後に、第2のレジストパターン58は除去される。
【0100】
なお、第2のレジストパターン58を除去した後に、キャパシタ誘電体膜62に対して回復アニールを行ってもよい。その回復アニールは、酸素含有雰囲気において基板温度を300〜400℃、処理時間を30〜120分として行われる。
【0101】
次いで、図16(b)に示すように、第1の導電膜48、キャパシタ誘電体膜62、及び上部電極63のそれぞれの上にCVD法又はスパッタ法により第1のアルミナ膜65を20〜50nm程度の厚さに形成する。
【0102】
この第1のアルミナ膜65は、水素や水分等の還元性物質がキャパシタ誘電体膜62に侵入にするのを阻止し、これらの物質によってキャパシタ誘電体膜62が還元されて劣化するのを防止する役割を担う。
【0103】
そのような機能を有する膜としては、アルミナ膜の他に、酸化チタン膜、酸化タンタル膜、酸化ジルコニウム膜、窒化アルミニウム膜、窒化タンタル膜、及び酸窒化アルミニウム膜もある。更に、酸窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、及びボロン窒化膜等の窒化物膜や、シリコンカーバイド(SiC)膜も水素に対するバリア性を有する。したがって、第1のアルミナ膜65に代えて、上記のいずれかの膜を形成するようにしてもよい。これについては後述の第2及び第3のアルミナ膜や各実施形態でも同様である。
【0104】
そして、酸素含有雰囲気において基板温度400〜600℃、処理時間30〜120分程度の回復アニールをキャパシタ誘電体膜62に対して行う。
【0105】
その後に、この第1のアルミナ膜65の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第3のレジストパターン66を形成する。
【0106】
次に、図17(a)に示すように、第3のレジストパターン66をマスクにして第1のアルミナ膜65と第1の導電膜48とをドライエッチングし、キャパシタ誘電体膜62の下に下部電極61を形成する。
【0107】
なお、このドライエッチングでは、下部電極61で覆われていない部分の下部電極密着膜47もエッチングされて除去される。
【0108】
そして、第3のレジストパターン66を除去した後、基板温度300〜400℃、処理時間30〜60分間の条件でキャパシタ誘電体膜62に対して回復アニールを行う。
【0109】
ここまでの工程により、シリコン基板30のセル領域に、下部電極61、キャパシタ誘電体膜62、及び上部電極63を有する強誘電体キャパシタQが形成されたことになる。
【0110】
次いで、図17(b)に示すように、シリコン基板30の上側全面にスパッタ法又はCVD法により第2のアルミナ膜70を厚さ約20nmに形成する。
【0111】
第2のアルミナ膜70は、第1のアルミナ膜65と同様に、水素や水分等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜62を保護する役割を担う。
【0112】
この後に、酸素含有雰囲気中において基板温度を500〜700℃、処理時間を30〜60分間とする条件で、キャパシタ誘電体膜62に対して回復アニールを行う。このような回復アニールにより、アニール雰囲気中の酸素によってキャパシタ誘電体膜62の酸素欠損が補われ、キャパシタ誘電体膜62の強誘電体特性が回復する。
【0113】
次に、図18(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0114】
まず、第2のアルミナ膜70の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、第2の層間絶縁膜71として酸化シリコン膜を厚さ約1400nmに形成する。
【0115】
そして、この第2の層間絶縁膜71の上面をCMP法により研磨して平坦化した後、N2Oプラズマ処理若しくはN2プラズマ処理により第2の層間絶縁膜71を脱水すると共に、その上面を窒化して水分の再吸着を防止する。
【0116】
この脱水処理の条件は特に限定されないが、例えば、基板温度は約350℃、処理時間は約2分間とされる。
【0117】
次いで、水素等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜62を保護するために、第2の層間絶縁膜71の上にスパッタ法又はCVD法により第3のアルミナ72を厚さ約20〜150nmに形成する。厚さの下限を20nmとしたのは、これよりも薄いと水素のバリア性が低下するからである。また、厚さの上限を150nmとしたのは、これよりも厚いと後の工程でエッチングし難い第3のアルミナ膜72にホールを形成するのが困難になるからである。
【0118】
その後に、この第3のアルミナ膜72の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約20〜50nmに形成し、この酸化シリコン膜をキャップ絶縁膜73とする。
【0119】
次に、図18(b)に示すように、キャップ絶縁膜73の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第4のレジストパターン59を形成する。
【0120】
そして、その第4のレジストパターン59が備える窓59aを通じてキャパシタQ上の各絶縁膜65、70〜73をドライエッチングすることにより、上部電極63と下部電極61のそれぞれに達する第1及び第2のホール71a、71bを形成する。なお、本工程で使用するエッチングガスは特に限定されないが、本実施形態ではC4F8、Ar、O2、及びCOの混合ガスを使用する。
【0121】
この後に、エッチングのマスクに使用した第4のレジストパターン59は除去される。
【0122】
なお、第4のレジストパターン59を除去した後、ブラシスクラバ処理により、キャップ絶縁膜73の表面や各ホール71a、71bの内面の異物を除去するようにしてもよい。
【0123】
次いで、図19(a)に示すように、キャップ絶縁膜73の上にフォトレジストを再び塗布し、それを露光、現像して第5のレジストパターン60を形成する。
【0124】
そして、第5のレジストパターン60の窓60aを通じて各絶縁膜46、70〜73をドライエッチングして、第1の導電性プラグの上に第3のホール71cを形成する。
【0125】
このエッチングでは、エッチングガスとして例えばC4F8、Ar、O2、及びCOの混合ガスが使用される。そのエッチングガスに対して酸化防止絶縁膜45はエッチングストッパとなるので、酸化防止絶縁膜45はエッチングされずに第1の導電性プラグ43の上に残る。
【0126】
この後に、第5のレジストパターン60は除去される。
【0127】
なお、第5のレジストパターン60を除去した後に、酸素含有雰囲気中でキャパシタ誘電体膜62に対して回復アニールを行ってもよい。その回復アニールは、例えば、基板温度400〜600℃、処理時間30〜120分の条件で行われる。このように酸素含有雰囲気中でアニールを行っても、第1の導電性プラグ43上の酸化防止絶縁膜45が酸素の透過を阻止するので、第1の導電性プラグ43の酸化が原因でコンタクト不良になることはない。
【0128】
なお、酸素含有雰囲気に代えてオゾン雰囲気でこの回復アニールを行うようにしてもよい。
【0129】
続いて、図19(b)に示すように、アルゴンガスを用いたスパッタエッチングにより、第3のホール71cの下に残る酸化防止絶縁膜45をエッチングして除去し、第1の導電性プラグ43の清浄面を露出させる。このようなスパッタエッチングにより、キャパシタQ上の各ホール71a、71b内の異物を除去することもできる。
【0130】
次に、図20(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0131】
まず、不活性ガス雰囲気中又は減圧雰囲気中において第2の層間絶縁膜71をアニールして脱ガスを行う。
【0132】
そして、アルゴンプラズマを用いるRFエッチングによりシリコン基板30の上側全面を10nm程度エッチングし、第1の導電性プラグ43の上面の自然酸化膜を除去する。
【0133】
次いで、第1〜第3ホール71a〜71cの内面、及びホール71b、71cからそれぞれ露出する上部電極63と下部電極61の表面に導電性の第1のバリア膜67としてスパッタ法により窒化チタン(TiN)膜を形成する。
【0134】
ここで、第1の導電性プラグ43上の第3のホール71cは、キャパシタQ上のホール71a、71bよりもアスペクト比が高い。したがって、SIP (Self Ionized Plasma)技術を用いたスパッタ法のように、アスペクト比が高いホールに良好なカバレッジで成膜可能なスパッタ法でこの第1のバリア膜67を形成するのが好ましい。
【0135】
なお、第1のバリア膜67の成膜条件は特に限定されないが、本実施形態では、チタンターゲットが設けられたSIPチャンバにアルゴンガスと窒素ガスとを導入し、基板温度を150〜250℃、例えば200℃として第1のバリア膜67を形成する。その場合、各ガスの流量は、例えばアルゴンガスが50sccm、窒素ガスが90sccmとされる。
【0136】
第1のバリア膜67は、タングステン膜のようなプラグ用の導電膜の成長核としての機能の他に、外部雰囲気中の水素やフッ素等がキャパシタQに侵入するのを阻止する役割も担う。
【0137】
そのような機能を有する膜の材料としては、窒化チタンの他に、TaN、CrN、HfN、ZrN、TiAlN、TaAlN、TiSiN、TaSiN、CrAlN、HfAlN、及びZrAlNのような窒化金属があり、これらのいずれかの膜を第1のバリア膜67として形成してもよい。また、TiON、TaON、CrON、HfON、ZrON、TiAlON、TaAlON、CrAlON、HfAlON、ZrAlON、TiSiON、及びTaSiONのいずれかの酸窒化金属を第1のバリア膜67の材料として使用してもよい。更に、Ir及びRuのような貴金属や、それらの酸化物であるIrOx及びRuOxのいずれかの膜を第1のバリア膜67として形成してもよい。また、Ti膜、Ta膜、及びそれらの窒化膜であるTiN膜、TaN膜を積層してなるTi/TiN膜、Ti/TaN膜、Ta/TiN膜、及びTa/TaN膜のいずれかを第1のバリア膜67として形成してもよい。
【0138】
次いで、図20(b)に示すように、第1のバリア膜67を大気に曝してその表面を自然酸化することにより、窒化チタンを自然酸化して得られた酸窒化チタン(TiON)よりなる導電性の第2のバリア膜68を第1のバリア膜67の上に数オングストロームの厚さに形成する。
【0139】
第2のバリア膜68の膜中の酸素は、水素やフッ素等に対するバリア性が高いので、第1のバリア膜67を単層で使用する場合よりもキャパシタQがこれらの元素に曝される危険性を低減することが可能となる。
【0140】
また、このように自然酸化により第2のバリア膜68を形成すると、膜の電気抵抗を低下させる原因となる酸素原子が膜中に過剰に取り込まれていないので、第2のバリア膜68の導電性を良好に保つことができる。
【0141】
そして、そのような酸素による電気抵抗の増大を防止するために、第1のバリア膜67よりも薄い厚さに第2のバリア68を形成するのが好ましい。
【0142】
なお、自然酸化の時間については、確実に自然酸化を行うという観点から第1のバリア膜67を5分以上大気に曝すのが好ましい。但し、7日よりも長く大気に曝していると量産効率が低下するので、7日以下の期間で自然酸化を行うのが好ましい。
【0143】
自然酸化のときの基板温度は特に限定されないが、例えば0〜100℃とする。室温(18〜24℃)よりも高い温度で自然酸化をするときは、ホットプレートによりシリコン基板30を加熱すればよい。これにより自然酸化を促すことができる。
【0144】
また、第1のバリア膜67の材料として上記した窒化チタンの代替物を用いる場合には、その代替物を酸化してなる第2のバリア膜68の材料は、TaON、CrON、HfON、ZrON、TiAlON、TaAlON、CrAlON、HfAlON、ZrAlON、TiSiON、TaSiON、IrOx、及びRuOx等となる。
【0145】
第2のバリア膜68の形成方法は自然酸化に限定されない。
【0146】
例えば、RTAチャンバ等のアニールチャンバや炉において第1のバリア膜67の表面を酸化し、第2のバリア膜68を形成してもよい。
【0147】
この場合、過剰な酸化によって膜中に多量の酸素が取り込まれて第2のバリア膜68が高抵抗となるのを防止するため、500℃以下の基板温度でアニールをするのが好ましい。また、酸化雰囲気についても、過剰な酸化を防止するため、不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスにおいて酸素ガスの流量比をなるべく低く、例えば1%以下とするのが好ましい。なお、不活性ガスとしてはアルゴンガス又は窒素ガスを使用し得る。このうち、窒素ガスは、導電性を高める窒素原子が第2のバリア膜68の膜中に取り込まれ、第2のバリア膜68の低抵抗化が図られる点でアルゴンガスよりも好ましい。
【0148】
或いは、第1のバリア膜67を形成するのに使用したSIPチャンバを引き続いて使用し、そのSIPチャンバに酸素を導入することにより第1のバリア膜67の表面を酸化して、第2のバリア膜68を形成してもよい。酸素の導入の際、第1のバリア膜67のスパッタガスであるアルゴンガスと窒素ガスの供給を続けてもよいし、停止してもよい。更に、第1のバリア膜67を形成したときのスパッタパワーの供給を停止して第1のバリア膜68の表面を酸化してもよいし、スパッタパワーを供給して反応性スパッタ法により酸窒化チタンよりなる第2のバリア膜68を形成してもよい。
【0149】
このようにすると、第1のバリア膜67を形成した後にSIPチャンバからシリコン基板30を取り出さずに第2のバリア膜68を続けて形成することができるので、半導体装置の量産効率が高められる。
【0150】
更に、いずれの酸化方法を用いる場合であっても、酸素原子を含む第2のバリア膜68は第1のバリア膜67よりも電気抵抗が高いので、第2のバリア膜68を第1のバリア膜67よりも薄くしてこれらの積層膜全体の電気抵抗を低くするのが好ましい。
【0151】
次に、図21(a)に示すように、第2のバリア膜68の上に導電性の第3のバリア膜69としてスパッタ法により窒化チタン膜を50nm程度の厚さに形成する。
【0152】
第3のバリア膜69の成膜方法は特に限定されない。第1のバリア膜67と同様に、SIPチャンバ内においてスパッタ法で第3のバリア膜69を形成してもよいし、めっき法、有機金属分解法、CSD (Chemical Solution Deposition)法、化学気相蒸着法、エピタキシャル成長法、及びMOCVD (Metal Organic CVD)法のいずれかを用いてもよい。
【0153】
これらのいずれの方法も膜の酸化を伴わないので、第3のバリア膜69の酸素濃度は第2のバリア膜68のそれよりも低くなる。
【0154】
また、第3のバリア膜69の材料も窒化チタンに限定されず、第1のバリア膜67と同様の代替物を使用し得る。但し、第1のバリア膜67と同一の成膜装置を使用でき、新たな設備投資が不要になるという観点からすると、第1のバリア膜67と同じ材料の膜を第3のバリア膜68として形成するのが好ましい。
【0155】
このように第3のバリア膜69を形成することにより、水素やフッ素等の元素に対する第1及び第2のバリア膜67、68のバリア性を補うことができる。
【0156】
更に、第1のバリア膜67と第3のバリア膜69の間に第2のバリア膜68が介在するので、第1のバリア膜67と第2のバリア膜68の互いの結晶粒界がずれるようになり、結晶粒界を通じた水素やフッ素の侵入を防止し易くなる。
【0157】
なお、第3のバリア膜69は、このように水素等からキャパシタQを保護するものであるが、第1及び第2のバリア膜67、68のみで水素等を十分にバリアできる場合には、省略してもよい。
【0158】
次いで、図21(b)に示すように、第3のバリア膜69の上にプラグ用の導電膜74としてCVD法によりタングステン膜を300nm程度の厚さに形成し、導電膜74により各ホール71a〜71cを完全に埋め込む。
【0159】
そのCVD法では、六フッ化タングステンガスと水素ガスとの混合ガスが使用される。上記のように、第2のバリア膜68は、その膜中の酸素によって水素やフッ素に対するバリア性が高められている。そのような第2のバリア膜68の高いバリア性により、導電膜74の成膜雰囲気からキャパシタQを保護することができ、図7に示したような空洞が上部電極63等に形成されたり、キャパシタ誘電体膜62の強誘電体特性が劣化したりするのを防ぐことが可能となる。
【0160】
なお、導電膜74はタングステン膜に限定されず、銅膜やポリシリコン膜であってもよい。このうち、銅膜については、成膜雰囲気に水素が含まれるCVD法で成膜する場合に、第2のバリア膜68による水素バリアの実益が特に得られる。また、ポリシリコン膜の成膜雰囲気にも水素が含まれるので、水素バリア性の高い第2のバリア膜68を形成することにより水素からキャパシタQを保護するのが好ましい。
【0161】
次に、図22に示すように、キャップ絶縁膜73の上面の余分なバリア膜67〜69と導電膜74とをCMP法により研磨し、これらの膜を各ホール71a〜71c内にのみ第2の導電性プラグ77として残す。
【0162】
この後に、アルゴンプラズマを用いたエッチングにより第2の導電性プラグ77の上面の自然酸化膜を除去する。
【0163】
次いで、図23に示すように、第2の導電性プラグ77とキャップ絶縁膜73の上に金属積層膜を形成し、この金属積層膜をパターニングして一層目金属配線78を形成する。
【0164】
その金属積層膜として、例えば、スパッタ法により厚さ約50nmの窒化チタン膜、厚さ約550nmの銅含有アルミニウム膜、厚さ約5nmのチタン膜、及び厚さ約50nmの窒化チタン膜をこの順に形成する。
【0165】
更に、この一層目金属配線78の上に、図示のように第3〜第6の層間絶縁膜83〜86と二層目〜五層目金属配線79〜82を交互に積層して多層配線構造を形成する。
【0166】
そして、最上層の五層目金属配線82の上に、酸化シリコンよりなる第1のパッシベーション膜87と窒化シリコンよりなる第2のパッシベーション膜88をこの順に形成する。
【0167】
その後、第2のパッシベーション膜88の上にポリイミド塗膜を形成し、それを熱硬化させて保護絶縁膜89とする。
【0168】
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
【0169】
本実施形態では、図20(b)を参照して説明したように、第1のバリア膜67の表面を酸化することにより、第1のバリア膜67よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜68を形成した。このように第1のバリア膜67よりも酸素濃度が高められた第2のバリア膜68は、第1のバリア膜67と比較して水素やフッ素等に対するバリア性が優れている。
【0170】
よって、半導体装置の製造途中に仮に上部電極63の上に異物が付着し、その異物の上に第1及び第2のバリア膜67、68が形成されたとしても、これらの膜のバリア性を維持することが可能となる。その結果、例えばプラグ用の導電膜74を成膜する際(図21(b))、成膜雰囲気中の水素やフッ素がキャパシタQに到達し難くなり、これらの元素が原因の空洞が上部電極63に発生するのを抑制することが可能となる。これにより、上部電極63と第2の導電性プラグ77とのコンタクト抵抗が安定し、半導体装置の歩留まりが向上する。
【0171】
更に、このように第2のバリア膜68が水素をバリアすることから、水素によってキャパシタ誘電体膜62が還元するのを防止できる。その結果、残留分極電荷量等のキャパシタ誘電体膜62の強誘電体特性を維持することができ、半導体装置のリテンション特性を向上させることができるようになる。
【0172】
ところで、上記では、第1のバリア膜67の上に酸素濃度が高い第2のバリア膜68を形成したが、これらの膜の形成順序を逆にすることも考えられる。その場合、上部電極63と下部電極61が第2のバリア膜68に接触することになる。但し、上部電極63として酸化イリジウム膜のような酸化貴金属膜を形成する場合は、第2のバリア膜68と酸化貴金属膜が反応してコンタクト抵抗が上昇するおそれがある。よって、この場合は、本実施形態のように第1のバリア膜67の上に第2のバリア膜68を形成するのが好ましい。
【0173】
また、第2のバリア膜68は膜中の酸素によって電気抵抗が第1のバリア膜67や第3のバリア膜68よりも高い。したがって、第2の導電性プラグ71を低抵抗化するという観点からすると、第1のバリア膜67や第3のバリア膜69よりも薄く第2のバリア膜68を形成するのが好ましい。
【0174】
以下に、本実施形態に関連して本願発明者が行った調査について説明する。
【0175】
・第1の調査
この調査では、バリア膜のバリア性がスロット番号にどのように依存するかが調べられた。なお、スロット番号は、1ロット(25枚)内におけるシリコン基板の処理順序を昇順で表すものであり、1ロット内での最初の基板はスロット1で、最後の基板はスロット25で表される。
【0176】
図24(a)、(b)は、この調査で使用された第1及び第2のサンプルS1、S2の断面図である。
【0177】
図24(a)に示されるように、第1のサンプルS1は、シリコン基板40の上に酸化シリコン膜44、酸化イリジウム膜54、及び窒化チタン膜55をこの順に形成してなる。このうち、酸化イリジウム膜54は上部電極63(図22参照)に相当する。また、最上層の窒化チタン膜55はバリア膜に相当し、その膜厚は100nmである。
【0178】
一方、図24(b)に示されるように、第2のサンプルS2では、窒化チタン膜55を二層に分けて形成し、それらの間に窒化チタンを自然酸化することにより酸窒化チタン膜56を形成した。その酸窒化チタン膜56は、窒化チタン膜55を大気に5分間曝すことにより形成され、本実施形態の第2のバリア膜68に相当する。なお、酸窒化チタン膜56の上下の窒化チタン膜55の厚さはいずれも50nmである。
【0179】
図25(a)は、各サンプルS1、S2における水素濃度をSIMS (Secondary Ionization Mass Spectrometer)により測定して得られたグラフである。
【0180】
これらのグラフの横軸は各サンプルの表面からの深さを示し、縦軸は水素や酸素等の濃度を示す。
【0181】
この調査では、1ロットのスロット1とスロット24にサンプルS1を入れた。なお、スロット2〜スロット23はすべてダミーウエハである。そして、スロット25にサンプルS2を入れた。
【0182】
図25(a)に示されるように、サンプルS1の単層のチタン膜55における水素濃度は、スロット1とスロット24で異なっている。特に、スロット24における水素濃度が高く、スロット番号が増えるにつれて窒化チタン膜55のバリア性が低下することが分かる。
【0183】
これは、スパッタチャンバで窒化チタン膜を成膜していくうちにチャンバが温められ、チャンバ内のスパッタ雰囲気が変動するためと推測される。
【0184】
このように、サンプルS1のような単層のチタン膜55をバリア膜としたのでは、バリア性の低下によって半導体装置の歩留まりが低下するおそれがある。
【0185】
一方、サンプルS2は、スロット1と比較してスパッタ雰囲気が最も変動すると考えられるスロット25に入れたにも関わらず、窒化チタン膜55における水素濃度がスロット24よりも少ない。これは、酸窒化チタン膜56により水素がバリアされているためと考えられる。
【0186】
この結果から、サンプルS2のように酸窒化チタン膜56を形成することにより水素のバリア性が高められ、且つ窒化チタン膜の成膜雰囲気変動に伴うバリア性の変動も少なくなることが明らかとなった。そのため、1ロットの全てのスロットにおいてバリア性が良好となり、単層の窒化チタン膜をバリア膜とする場合よりも半導体装置の歩留まりを向上させることが可能となる。
【0187】
図25(b)は、図25(a)と同じサンプルについて、酸素濃度をSIMSにより調査して得られたグラフである。
【0188】
これに示されるように、スロット25における第2のサンプルS2では、窒化チタン膜の途中の深さにおいて酸素濃度が高い。これにより、窒化チタン膜55の途中の深さに実際に酸窒化チタン膜56が形成されていることが確認された。
【0189】
・第2の調査
図25(a)に示したように、単層の窒化チタン膜を形成するサンプルS1では、窒化チタン膜のバリア性がスロット番号に依存する。
【0190】
本調査では、窒化チタン膜の組成がスロット番号にどのように依存するかをRBS(Rutherford Backscattering Spectroscopy)分析により調査した。その結果を図26(a)〜(c)に模式的に示す。
【0191】
これらの図に示されるように、この調査では、酸化イリジウム膜54の上にTEOSガスを用いて酸化シリコン膜64を形成し、その酸化シリコン膜64にホール64aを形成した。
【0192】
そして、図26(a)、(b)のサンプルでは、ホール64a内に単層の窒化チタン膜55を100nmの厚さにスパッタ法で形成した後、ホール64a内をタングステン膜75で充填した。
【0193】
一方、図26(c)のサンプルでは、ホール64a内にスパッタ法で窒化チタン膜55を50nmの厚さに形成した後、その表面を大気中で5分間自然酸化させて酸窒化チタン膜56を形成した。そして、この酸窒化チタン膜56の上に再びスパッタ法により窒化チタン膜55を50nmの厚さに形成し、その上にタングステン膜75を形成した。
【0194】
この調査でも、第1の調査と同様に、図26(a)、(b)のサンプルをそれぞれ1ロットのスロット1とスロット24に入れ、図26(c)のサンプルをスロット25に入れた。
【0195】
図26(a)に示されるように、スロット1における単層の窒化チタン膜55は、その下部におけるチタンの組成比が46%で窒素の組成比が54%である。しかし、その上部ではチタンが47.5%、窒素が52.5%となっている。図26(a)では、そのような組成比の違いをハッチングの濃さにより模式的に示している。
【0196】
このことから、単層の窒化チタン膜55は、その成膜途中でも組成比が変動してしまうことが明らかとなった。
【0197】
同様に、図26(b)に示すように、スロット25における単層の窒化チタンでも、膜中で組成比が変動している。
【0198】
更に、図26(a)、(b)を比較すると、スロット番号によっても組成比が変動しているのが理解される。このように組成比が変動すると、水素等に対するバリア性もスロット番号によって変動してしまう。
【0199】
これに対し、図26(c)に示されるように、窒化チタン膜55の途中に酸窒化チタン膜56を形成すると、酸窒化チタン膜56の上下のチタン膜55の組成比が同じになり、組成比の変動が抑制される。
【0200】
このように、本実施形態のように酸窒化チタン膜を形成すると、水素のバリア性が高められるだけでなく、窒化チタン膜の組成変動も抑制できるので、水素のバリア性が成膜の最中に変動したり、スロット番号によって変動したりするのを抑制できるようになる。
【0201】
・第3の調査
本調査では、酸窒化チタン膜のバリア性について、SIMSにより更に調べられた。
【0202】
その調査結果を図27に示す。
【0203】
調査に使用されたサンプルは、図27の図中に示されるように、シリコン(Si)基板の上に酸化シリコン(SiO2)膜と窒化チタン(TiN)膜とをこの順に形成してなる。このうち、窒化チタン膜については、最初に50nmの厚さまでスパッタ法で形成した後、その表面を大気中で5分間自然酸化して酸窒化チタン(TiON)膜を形成し、その上に再度スパッタ法で50nmの厚さに形成した。
【0204】
そして、図27の横軸は窒化チタン膜の表面からの深さを示し、縦軸は各元素の濃度を示す。
【0205】
調査に際しては、このサンプルを重水素Dの雰囲気中において基板温度400℃の条件で30分間アニールした。このように水素ではなく重水素を用いたのは、重水素の方がバックグラウンドのノイズが少なく、測定に適しているからである。
【0206】
図27に示されるように、重水素Dは、シリコン基板の裏面側(図の右側)から侵入し、窒化チタン膜50の表面に近づくほどその濃度が減少している。これにより、酸窒化チタンが重水素Dに対するバリア性を有していることが明らかとなった。
【0207】
なお、水素Hの濃度は重水素Dよりも高いが、これは水素のバックグラウンドが重水素Dのそれよりも高いためであり、酸窒化チタン膜を水素が透過していることを示すものではない。
【0208】
また、酸素濃度については、窒化チタン膜の途中の深さにピークBを有しているので、このことからも窒化チタン膜の自然酸化によって酸窒化チタン膜が形成され得ることが確認された。
【0209】
(3)第2実施形態
第1実施形態ではプレーナ型のFeRAMについて説明した。
【0210】
これに対し、本実施形態では、下部電極の直下に導電性プラグが形成されるスタック型のFeRAMについて説明する。スタック型のFeRAMは、プレーナ型と比較してキャパシタの占有面積が少なく、高集積化に有利である。
【0211】
図28〜図42は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0212】
この半導体装置は以下のようにして製造される。
【0213】
まず、図28(a)に示すように、第1実施形態の図8(a)、(b)の工程に従い、シリコン基板30にMOSトランジスタTRを形成すると共に、そのMOSトランジスタTRをカバー絶縁膜41と第1の層間絶縁膜42で覆う。
【0214】
次いで、図28(b)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより各絶縁膜41、42にコンタクトホールを形成し、その中に第1の導電性プラグ43を形成する。
【0215】
第1実施形態で説明したように、この第1の導電性プラグ43はタングステンを主成分にしており、酸素含有雰囲気中で容易に酸化してコンタクト不良を起こし易い。
【0216】
そこで、次の工程では、図28(c)に示すように、第1の導電性プラグ43の酸化を防止する酸化防止絶縁膜92としてCVD法により酸窒化シリコン膜を厚さ約130nmに形成する。
【0217】
なお、酸窒化シリコン膜に代えて、窒化シリコン膜やアルミナ膜を酸化防止絶縁膜92として形成してもよい。
【0218】
更に、この酸化防止絶縁膜92の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約300nmに形成し、この酸化シリコン膜を第2の層間絶縁膜93とする。
【0219】
そして、フォトリソグラフィとエッチングにより、第1のソース/ドレイン領域36aの上方の各絶縁膜92、93に第1のホール93aを形成し、第1の導電性プラグ43と電気的に接続された第2の導電性プラグ91をその第1のコンタクトホール93a内に形成する。
【0220】
第2の導電性プラグ91の形成方法は特に限定されない。
【0221】
本実施形態では、第2の層間絶縁膜93の上面と第1のホール93aの内面に窒化チタン膜とタングステン膜とをこの順に形成し、これらをCMP法により研磨して第1のホール93a内にのみ第2の導電性プラグ91として残す。
【0222】
そのCMPでは、研磨対象である窒化チタン膜とタングステン膜の研磨速度が下地の第2の層間絶縁膜93の研磨速度よりも速くなるようなスラリ、例えばCabot Microelectronics Corporation製のSSW2000を使用する。そして、第2の層間絶縁膜93の上に研磨残を残さないために、このCMPの研磨量は窒化チタン膜とタングステン膜との合計膜厚よりも厚く設定され、このCMPはオーバー研磨となる。
【0223】
その結果、第2の導電性プラグ91の上面の高さが第2の層間絶縁膜93のそれよりも低くなり、第2の導電性プラグ91の周囲の第2の層間絶縁膜93にリセスが形成されることがある。そのリセスの深さは20〜50nmであり、典型的には約50nm程度である。
【0224】
次に、図29(a)に示すように、第2の層間絶縁膜93の表面に対してNH3プラズマ処理を行い、第2の層間絶縁膜93の表面の酸素原子にNH基を結合させる。
【0225】
このNH3プラズマ処理は、例えば、シリコン基板30に対して約9mm離間した位置に対向電極を有する平行平板型プラズマ処理チャンバを用い、266Paの圧力下で基板温度を400℃とし、チャンバにNH3ガスを350sccmの流量で供給して行われる。この場合、シリコン基板30側に13.56MHzの高周波電力を100Wのパワーで、そして対向電極に350kHzの高周波電力を55Wのパワーで60秒間供給する。
【0226】
次いで、図29(b)に示すように、第2の層間絶縁膜93と第2の導電性プラグ91のそれぞれの上に下地導電膜94としてスパッタ法によりチタン膜を厚さ100〜300nm、例えば100nmに形成する。
【0227】
このチタン膜の成膜条件は特に限定されない。本実施形態では、チタンターゲットとシリコン基板30との間隔を60mmに設定したスパッタチャンバにおいて、0.15Paのアルゴン雰囲気下で基板温度を20℃とする。そして、2.6kWのDC電力をスパッタ雰囲気に35秒間印加し、上記のチタン膜を形成する。
【0228】
また、下地導電膜94はチタン膜に限定されず、タングステン膜、シリコン膜、及び銅膜のいずれかを下地導電膜94として形成してもよい。
【0229】
ここで、図29(a)の工程で予めNH3プラズマ処理により第2の層間絶縁膜93の表面の酸素原子にNH基を結合させておいたので、下地導電膜94のチタンが酸素原子に捕獲され難くなる。そのため、チタンが第2の層間絶縁膜93の表面を自在に移動でき、(002)方向に自己組織化されたチタンからなる下地導電膜94が得られる。
【0230】
この後に、窒素雰囲気中で下地導電膜94に対してアニールをし、下地導電膜94のチタンを窒化する。このように窒化により得られた窒化チタンは、後述のPZTを(111)方向に揃えるのに好適は(111)配向となる。
【0231】
なお、このアニールの条件は特に限定されないが、本実施形態ではRTAにより基板温度を約650℃、処理時間を約60秒としてこのアニールを行う。
【0232】
ところで、第2の層間絶縁膜93の上面には、図28(c)の工程におけるCMPをオーバー研磨で行ったことにより、第2の導電性プラグ91の周囲に既述のようなリセスが形成されている場合がある。よって、下地導電膜94の上面には、このリセスを反映した凹凸が形成されることがある。
【0233】
しかしながら、このような凹凸があると、下地導電膜94の上方に後で形成される強誘電体膜の結晶性が劣化するおそれがある。
【0234】
そこで、次の工程では、図29(c)に示すように、CMP法により下地導電膜94の上面を研磨して平坦化する。このCMPで使用されるスラリは特に限定されないが、本実施形態ではCabot Microelectronics Corporation製のSSW2000を使用する。
【0235】
このCMPを行った後の下地導電膜94の厚さは、研磨誤差に起因して、シリコン基板30の面内や、複数のシリコン基板30間でばらつく。そのばらつきを考慮して、本実施形態では、研磨時間を制御することによりCMP後の下地導電膜94の厚さの目標値を50〜100nm、より好ましくは50nmとする。
【0236】
このように下地導電膜94に対してCMPを行った後では、下地導電膜94の上面付近の結晶が研磨によって歪んだ状態となっている。しかし、このように結晶に歪が発生している下地導電膜94の上方にキャパシタの下部電極を形成すると、その歪みを下部電極が拾ってしまって下部電極の結晶性が劣化し、ひいてはその上の強誘電体膜の強誘電体特性が劣化することになる。
【0237】
このような不都合を回避するため、次の工程では、図30(a)に示すように、下地導電膜94に対してNH3プラズマ処理を行うことにより、下地導電膜94の結晶の歪みがその上の膜に伝わらないようにする。
【0238】
なお、このNH3プラズマ処理の条件は、図29(a)のNH3プラズマ処理におけるのと同様なので、ここでは省略する。
【0239】
次に、図30(b)に示すように、上記のNH3プラズマ処理によって結晶の歪みが解消された下地導電膜94の上に、結晶性導電膜95としてスパッタ法によりチタン膜を厚さ約20nmに形成する。更に、窒素雰囲気中で基板温度を650℃、処理時間を60秒とするRTAを結晶性導電膜95に対して行い、結晶性導電膜95を窒化する。
【0240】
これにより、(111)方向に配向した窒化チタンよりなる結晶性導電膜95が得られる。
【0241】
結晶性導電膜95は、自身の配向の作用によってその上に後で形成される膜の配向を高める機能の他に、密着膜としての機能も有する。
【0242】
結晶性導電膜95は窒化チタン膜に限定されない。例えば、20nm程度の薄いイリジウム膜やプラチナ膜等の貴金属膜を結晶性導電膜95として形成してもよい。
【0243】
次いで、図30(c)に示すように、結晶性導電膜95の上に導電性酸素バリア膜96として窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜を厚さ約100nmに形成する。
【0244】
この窒化チタンアルミニウム膜は、チタンとアルミニウムの合金よりなるターゲットをアルゴンガスと窒素ガスとの混合雰囲気中でスパッタする反応性スパッタ法により形成され得る。その場合、アルゴンガス流量は約40sccmに設定され、窒素ガス流量は約10sccmとされる。また、圧力は約253.3Pa、基板温度は400℃、スパッタパワーは1.0kWとされる。
【0245】
次に、図31(a)に示すように、導電性酸素バリア膜96の上にスパッタ法でイリジウム膜を形成し、そのイリジウム膜を第1の導電膜97とする。
【0246】
このイリジウム膜は、例えば、0.11Paの圧力下、500℃の基板温度で、0.5kWのスパッタパワーで約100nmの厚さに形成される。
【0247】
なお、第1の導電膜97はイリジウム膜に限定されず、イリジウム膜以外の貴金属膜、例えばプラチナ膜であってもよい。更に、PtO、IrOx、SrRuO3等の導電性酸化金属よりなる膜を第1の導電膜97として形成してもよい。
【0248】
次いで、図31(b)に示すように、第1の導電膜97の上に、第1の強誘電体膜98としてMOCVD法によりPZT膜を厚さ約100nmに形成する。
【0249】
そのMOCVD法は次のようにして行われる。
【0250】
まず、Pb(DPM)2(化学式Pb(C11H19O2)2))、Zr(dmhd)4(化学式Zr(C9H15O2)4)、及びTi(O−iOr)2(DPM)2(化学式Ti(C3H7O)2(C11H19O2)2)のそれぞれをTHF(Tetra Hydro Furan: C4H8O)溶媒中にいずれも0.3mol/lの濃度で溶解し、Pb、Zr、及びTiの各液体原料を作成する。次いで、これらの液体原料をMOCVD装置の気化器にそれぞれ0.326ml/分、0.200ml/分、および0.200ml/分の流量で供給して気化させることにより、Pb、Zr、及びTiの原料ガスを得る。なお、上記の気化器には、各液体原料と共に、流量が0.474ml/分のTHF溶媒も供給される。
【0251】
更に、上記の原料ガスをチャンバに供給しながら、チャンバ内の圧力を665Paにし、基板温度を620℃に維持する。そして、このような状態を620秒間維持することにより、上記したPZT膜が100nmの厚さに形成される。
【0252】
MOCVD法により形成された第1の強誘電体膜98は、成膜の時点で結晶化しているので、結晶化アニールは不要である。
【0253】
なお、第1の強誘電体膜98の成膜方法はMOCVD法に限定されず、スパッタ法、ゾル・ゲル法、有機金属分解(MOD: Metal Organic Deposition)法、CSD(Chemical Solution Deposition)法、及びエピタキシャル成長法で第1の強誘電体膜98を形成してもよい。これらのうち、例えばスパッタ法では、成膜の時点では第1の強誘電体膜98は結晶化していないので、その成膜の後に第1実施形態のように結晶化アニールを行うことになる。
【0254】
また、第1の強誘電体膜98はPZTに限定されない。PZTにCa、Sr、La、Nb、Ta、Ir、及びWのいずれかを添加した材料よりなる膜を第1の強誘電体膜98として形成してもよい。更に、(Bi1-xRx)Ti3O12(Rは希土類元素で0<x<1)、SrBi2Ta2O9(SBT)、及びSrBi4Ti4O15等のBi層状化合物の膜を第1の強誘電体膜98として形成してもよい。
【0255】
次いで、図31(c)に示すように、RFスパッタ法により第1の強誘電体膜98の上にPZT膜を約1〜30nm、例えば20nmに形成し、このPZT膜を第2の強誘電体膜99とする。このようにスパッタ法で形成されたPZTは成膜直後では結晶化していないので、この時点では第2の強誘電体膜99は非晶質となっている。
【0256】
その後に、図32(a)に示すように、第2の強誘電体膜99の上に第2の導電膜100としてスパッタ法で酸化イリジウム膜を厚さ10〜75nm、例えば50nmに形成する。
【0257】
そのスパッタ法では、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスでイリジウムターゲットをスパッタすることにより、イリジウムターゲットから飛散したイリジウムをスパッタ雰囲気中で酸化し、上記の酸化イリジウム膜を形成する。
【0258】
また、第2の導電膜100の成膜条件は特に限定されないが、本実施形態では基板温度を300℃とし、スパッタパワーを1〜2kW程度とする。このような条件を採用することで、成膜の時点で結晶化した酸化イリジウム膜が形成される。
【0259】
なお、第2の導電膜100は酸化イリジウム膜に限定されない。プラチナ、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、及びパラジウムのいずれかよりなるスパッタターゲットを用い、これらの金属が酸化する条件でスパッタをすることで、第2の導電膜100を形成してもよい。
【0260】
続いて、図32(b)に示すように、第2の導電膜100が形成されている状態で第2の強誘電体膜99に対して結晶化アニールを行い、第2の強誘電体膜99のPZTを結晶化させる。
【0261】
この結晶化アニールは酸素含有雰囲気中で行われるため、アニール雰囲気から第2の強誘電体膜99に酸素が供給され、第2の強誘電体膜99の酸素欠損が補償される。更に、この結晶化アニールによって、第2の導電膜100の形成時に第2の強誘電体膜99が受けたプラズマダメージを回復できるという利点も得られる。
【0262】
本実施形態では、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気中でRTAによりこのアニールを行う。ガス流量は特に限定されないが、酸素ガスの流量を20sccm、アルゴンガスの流量を2000sccmとする。また、処理時間は60秒とし、基板温度は650〜750℃、例えば725℃とする。
【0263】
この後に、図33(a)に示すように、第2の導電膜100の上にスパッタ法により酸化イリジウム膜を厚さ約100〜300nmに形成し、その酸化イリジウム膜を第1の導電性保護膜101とする。
【0264】
この第1の導電性保護膜101の成膜条件は特に限定されない。
【0265】
本実施形態では、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスを使用すると共に、成膜圧力を0.8Paとする。そして、1.0kWのスパッタパワーで成膜時間を79秒とすることで、厚さが約200nmの酸化イリジウムよりなる第1の導電性保護膜101を形成する。
【0266】
その第1の導電性保護膜101の膜中で酸素が不足すると、還元作用のあるイリジウムが第1の導電性保護膜101で占める割合が増えてしまう。こうなると、水分等が第1の導電性保護膜101で還元されて水素となり、その水素によって第1及び第2の強誘電体膜98、99が劣化するおそれがある。
【0267】
そのため、第1の導電性保護膜101の酸化イリジウムとして、その組成が酸化イリジウムの化学量論的組成(IrO2)になるべく近いものを用いることで、膜中でイリジウムが占める割合を低減し、水素による強誘電体膜98、99の劣化を防止するのが好ましい。その酸化イリジウムの組成は、スパッタガス中の酸素ガスの流量比を調節することである程度制御できる。
【0268】
なお、第1の導電性保護膜101の材料は酸化イリジウムに限定されない。酸化イリジウムに代えて、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、及びパラジウムのいずれかの膜、又はこれらの酸化物よりなる膜、若しくはSrRuO3膜のいずれかの単層膜又はこれらの積層膜を第1の導電性保護膜101として形成してもよい。
【0269】
次に、図33(b)に示すように、第1の導電性保護膜101の上に第2の導電性保護膜102としてイリジウム膜をスパッタ法で厚さ約100nmに形成する。
【0270】
そのスパッタ法では、スパッタガスとしてアルゴンガスを使用すると共に、成膜圧力を1Pa、スパッタパワーを1.0kWとする。
【0271】
なお、イリジウム膜に代えて、プラチナ膜或いはSrRuO3膜を第2の導電性保護膜102として形成してもよい。
【0272】
この後に、第1及び第2の強誘電体膜98、99を形成するときにシリコン基板30の裏面に付着したPZTを洗浄して除去する。
【0273】
次に、図34(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0274】
まず、第2の導電性保護膜102の上にスパッタ法で窒化チタン膜を形成し、その窒化チタン膜を第1のハードマスク103とする。
【0275】
第1のハードマスク103は窒化チタン膜に限定されない。窒化チタンアルミニウム膜、窒化タンタルアルミニウム(TaAlN)膜、窒化タンタル(TaN)膜のいずれかの単層膜或いはこれらの積層膜を第1のハードマスク103として形成してもよい。
【0276】
そして、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、第1のハードマスク103の上に第2のハードマスク104として酸化シリコン膜を形成する。
【0277】
その後に、フォトリソグラフィとエッチングにより第1及び第2のハードマスク103、104をパターニングし、これらのマスクを図示のような島状とする。
【0278】
次いで、図34(a)に示すように、HBr、O2、Ar、及びC4F8の混合ガスをエッチングガスとするプラズマエッチングにより、第1及び第2のハードマスク103、104で覆われていない部分の各膜97〜102をドライエッチングする。
【0279】
これにより、第1の導電膜97と第2の導電膜100がそれぞれ下部電極97a及び上部電極100aとなり、第1及び第2の強誘電体膜98、99がキャパシタ誘電体膜98aとなる。
【0280】
ここまでの工程により、シリコン基板30のセル領域に、下部電極97a、キャパシタ誘電体膜98a、及び上部電極100aを備えた強誘電体キャパシタQが形成されたことになる。
【0281】
次いで、図35(a)に示すように、ドライエッチング又はウエットエッチングにより第2のハードマスク104を除去する。
【0282】
そして、図35(b)に示すように、キャパシタQで覆われていない部分の下地導電膜94、結晶性導電膜95、及び導電性酸素バリア膜96をドライエッチングして除去する。
【0283】
このエッチングは、例えば、ダウンフロー型プラズマエッチングチャンバを用い、流量比で5%のCF4ガスと95%のO2ガスとの混合ガスをエッチングガスとして行われる。また、チャンバの上部電極には周波数が2.45GHzでパワーが1400Wの高周波電力が供給され、基板温度は200℃とされる。
【0284】
なお、第1のハードマスク103は、このエッチングでは除去されず、キャパシタQの上に残存する。
【0285】
続いて、図36(a)に示すように、シリコン基板30の上側全面に第1のアルミナ膜110をスパッタ法により厚さ約20nmに形成する。なお、スパッタ法に代えて、MOCVD法により厚さ約2〜5nmのアルミナ膜を形成するようにしてもよい。
【0286】
その後に、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜98aが受けたダメージを回復させる目的で、酸素含有雰囲気中でキャパシタ誘電体膜98aに対して回復アニールを施す。この回復アニールの条件は特に限定されないが、本実施形態では、炉内において基板温度550〜700℃、例えば600℃として行われる。
【0287】
続いて、図36(b)に示すように、第1のアルミナ膜110の上にMOCVD法により第2のアルミナ膜111を厚さ約38nmに形成する。
【0288】
第1及び第2のアルミナ膜110、111は、水素等の還元性物質をバリアする機能を有しており、キャパシタ誘電体膜98aが還元されてその強誘電体特性が劣化するのを防止する役割を担う。
【0289】
次に、図37(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0290】
まず、第2のアルミナ膜111の上にプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約1500nmに形成し、その酸化シリコン膜を第3の層間絶縁膜112とする。そのプラズマCVD法では、例えば、TEOSガスと酸素ガスとヘリウムガスとの混合ガスが成膜ガスとして使用される。
【0291】
その後に、この第3の層間絶縁膜112の上面をCMP法により研磨して平坦化する。
【0292】
次いで、N2Oプラズマ又はN2プラズマの雰囲気において第3の層間絶縁膜112をアニールすることにより、第3の層間絶縁膜112を脱水すると共に、その上面を窒化して水分の再吸着を防止する。
【0293】
次に、水素等からキャパシタ誘電体膜98aを保護するために、第3の層間絶縁膜112の上にスパッタ法又はMOCVD法により第3のアルミナ膜を厚さ約20〜100nmに形成する。
【0294】
更に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、この第3のアルミナ膜113の上に酸化シリコン膜を厚さ約800〜1000nmに形成し、この酸化シリコン膜をキャップ絶縁膜114とする。
【0295】
なお、酸化シリコン膜に代えて、酸窒化シリコン膜又は窒化シリコン膜をキャップ絶縁膜114として形成してもよい。
【0296】
次いで、図37(b)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより各絶縁膜110〜114をパターニングし、上部電極100aの上方のこれらの絶縁膜に第1のホール112aを形成する。
【0297】
そして、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜98aが受けたダメージを回復させるために、酸素含有雰囲気中で基板温度を約450℃として回復アニールを行う。
【0298】
次に、図38(a)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより、第2のソース/ドレイン領域36bの上方の各絶縁膜92、93、110〜114に第2のホール112bを形成する。
【0299】
その後に、アニールにより第3の層間絶縁膜113等を脱水する。そのアニールは、第2のホール112bから露出している第1の導電性プラグ43の酸化を防ぐために、不活性ガス雰囲気中又は減圧雰囲気中で行うのが好ましい。
【0300】
次に、図38(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0301】
まず、アルゴンプラズマを用いるRFエッチングにより、各ホール112a、112bから露出している第2の導電性保護膜102と第1の導電性プラグ43の上面の自然酸化膜を除去する。
【0302】
そして、各ホール112a、112bの内面、及び第1のホール112aから露出する第2の導電性保護膜102の表面に導電性の第1のバリア膜118としてスパッタ法により窒化チタン膜を75nm程度の厚さに形成する。
【0303】
第1のバリア膜118は、水素やフッ素等をバリアすることにより、これらの元素によってキャパシタQに空洞等が形成されるのを防止するために形成される。
【0304】
なお、第2のソース/ドレイン領域36bの上方の第2のホール112bのアスペクト比は第1のホール112aよりも高い。よって、第1実施形態で説明したSIP技術を用いたスパッタ法を用いることで、各ホール112a、112b内にカバレッジの良好な第1のバリア膜118を形成するのが好ましい。
【0305】
また、第1のバリア膜118の成膜条件は特に限定されないが、本実施形態では、チタンターゲットが設けられたSIPチャンバにアルゴンガスと窒素ガスとを導入し、基板温度を150〜250℃、例えば200℃として第1のバリア膜118を形成する。そして、各ガスの流量は、例えばアルゴンガスが50sccm、窒素ガスが90sccmとされる。
【0306】
第1のバリア膜118は窒化チタン膜に限定されない。第1のバリア膜118の材料としては、窒化チタンの他に、TaN、CrN、HfN、ZrN、TiAlN、TaAlN、TiSiN、TaSiN、CrAlN、HfAlN、及びZrAlN等の窒化金属を使用し得る。また、TiON、TaON、CrON、HfON、ZrON、TiAlON、TaAlON、CrAlON、HfAlON、ZrAlON、TiSiON、及びTaSiONのような酸窒化金属を第1のバリア膜118の材料として使用してもよい。更に、Ir及びRuのような貴金属や、それらの酸化物であるIrOx及びRuOxのいずれかの膜を第1のバリア膜118として形成してもよい。また、Ti膜、Ta膜、及びそれらの窒化膜であるTiN膜、TaN膜を積層してなるTi/TiN膜、Ti/TaN膜、Ta/TiN膜、及びTa/TaN膜のいずれかを第1のバリア膜118として形成してもよい。
【0307】
続いて、図39(a)に示すように、第1のバリア膜118を大気に曝してその表面を自然酸化することにより、酸窒化チタン(TiON)よりなる導電性の第2のバリア膜119を第1のバリア膜118の上に数オングストロームの厚さに形成する。その自然酸化は、基板温度を0〜100℃に保持しながら、例えば5分〜7日間の期間行われる。
【0308】
第1実施形態で説明したように、酸窒化チタン膜は、水素やフッ素等に対するバリア性が高いので、第1のバリア膜118を単層で使用する場合よりもキャパシタQがこれらの元素に曝される危険性を低減することが可能となる。
【0309】
なお、自然酸化に代えて、アニールにより第1のバリア膜118の表面を酸化して第2のバリア膜119を形成してもよい。その場合、過剰な酸化によって第2のバリア膜119の電気抵抗が低下するのを防ぐため、500℃以下の基板温度でアニールをするのが好ましい。
【0310】
更に、量産効率を上げるため、第1のバリア膜118の形成に使用したSIPチャンバを引き続いて使用し、そのSIPチャンバに酸素を導入することにより第1のバリア膜67の表面を酸化してもよい。
【0311】
次に、図39(b)に示すように、第2のバリア膜119の上に導電性の第3のバリア膜120としてスパッタ法により窒化チタン膜を75nm程度の厚さに形成する。
【0312】
第3のバリア膜120の成膜方法は特に限定されない。第1のバリア膜118と同様に、SIPチャンバ内においてスパッタ法で第3のバリア膜120を形成してもよいし、めっき法、有機金属分解法、CSD法、化学気相蒸着法、エピタキシャル成長法、及びMOCVD法のいずれかを用いてもよい。
【0313】
第1実施形態で説明したように、これらのいずれの方法も膜の酸化を伴わないので、第3のバリア膜120の酸素濃度は第2のバリア膜119のそれよりも低くなる。
【0314】
なお、第3のバリア膜120の材料も窒化チタンに限定されず、第1のバリア膜118と同様の代替物を使用し得る。但し、第1のバリア膜118と同一の成膜装置を使用でき、新たな設備投資が不要になるという観点からすると、第1のバリア膜118と同じ材料の膜を第3のバリア膜120として形成するのが好ましい。
【0315】
また、第3のバリア膜120は、水素等からキャパシタQを保護するものであるが、第1及び第2のバリア膜118、119のみで水素等を十分にバリアできる場合には、省略してもよい。
【0316】
続いて、図40に示すように、第3のバリア膜119の上にプラグ用の導電膜121としてCVD法によりタングステン膜を300nm程度の厚さに形成し、導電膜121により第1及び第2のホール112a、112bを完全に埋め込む。
【0317】
そのCVD法では、六フッ化タングステンガスと水素ガスとの混合ガスが使用されるが、フッ素や水素は第2のバリア膜118によってバリアされる。そのため、これらの元素が原因でキャパシタ誘電体膜98aの強誘電体特性が劣化したり、上部電極100aに空洞が発生したりするのを抑制することが可能となる。
【0318】
ここで、導電膜121はタングステン膜に限定されず、銅膜やポリシリコン膜であってもよい。第1実施形態で説明したように、これらの膜の成膜雰囲気にも水素が含まれているので、第2のバリア膜119による水素バリアの実益を得ることができる。
【0319】
次に、図41に示すように、キャップ絶縁膜114の上面の余分なバリア膜118〜120と導電膜121とをCMP法により研磨し、これらの膜を各ホール112a、112b内にのみ第3の導電性プラグ116として残す。
【0320】
その第3の導電性プラグ116のうち、キャパシタQ上に形成されたものは上部電極100aと電気的に接続され、第2のソース/ドレイン領域36b上に形成されたものは第1の導電性プラグ43と電気的に接続される。
【0321】
この後に、第3の導電性プラグ116の上面の自然酸化膜を除去するために、該上面をアルゴンプラズマのスパッタエッチングによりエッチングする。
【0322】
次に、図42に示すように、第3の導電性プラグ116とキャップ絶縁膜114のそれぞれの上にスパッタ法で金属積層膜を形成し、それをパターニングして一層目金属配線115を形成する。
【0323】
その金属積層膜として、例えば、厚さ約50nmの窒化チタン膜、厚さ約550nmの銅含有アルミニウム膜、厚さ約5nmのチタン膜、及び厚さ約50nmの窒化チタン膜をこの順に形成する。
【0324】
この後は、二層目〜五層目金属配線と層間絶縁膜とを交互に積層して多層配線構造を得るが、その詳細については省略する。
【0325】
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
【0326】
上記した本実施形態では、図39(a)を参照して説明したように、第1のバリア膜1118の表面を酸化して第2のバリア膜119を形成する。酸化によって第1のバリア膜118よりも酸素濃度が高められた第2のバリア膜119は、水素やフッ素等に対するバリア性が第1のバリア膜118よりも高い。
【0327】
よって、第1実施形態と同様に、水素やフッ素によって上部電極100aに空洞が形成されるのを防止でき、上部電極100aと第3の導電性プラグ116(図41参照)とのコンタクト抵抗を安定させることができる。
【0328】
更に、上記のように第2のバリア膜119が水素をバリアするので、キャパシタ誘電体膜98aが水素によって還元されるのを防止でき、キャパシタ誘電体膜98aの強誘電体特性、例えば残留分極電荷量等を維持することが可能となる。
【0329】
これらにより、本実施形態では、半導体装置の歩留まりとリテンション特性とを向上させることができるようになる。
【0330】
(4)第3実施形態
本実施形態が第2実施形態と異なる点は導電性プラグの形成方法のみであり、これ以外は第2実施形態と同じである。
【0331】
本実施形態では、以下のようにして導電性プラグを形成する。
【0332】
図43及び図44は、本実施形態に係る導電性プラグの製造途中の拡大断面図である。これらの図において、第2実施形態で説明した要素には第2実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0333】
まず、第2実施形態で説明した図28(a)〜図40の工程を行うことにより、図43(a)に示すように、第1ホール112aをプラグ用の導電膜121で埋め込む。その導電膜121としては、例えばタングステン膜又はポリシリコン膜を形成し得る。
【0334】
なお、同図では第2実施形態で説明した第3のアルミナ膜113とキャップ絶縁膜114(図37(a)参照)を省略しているが、第2実施形態に倣ってこれらの絶縁膜を第3の層間絶縁膜112の上に形成してもよい。
【0335】
次いで、図43(b)に示すように、第3の層間絶縁膜112の上の余分な第1〜第3のバリア膜118〜120と導電膜121をCMP法により研磨して除去する。
【0336】
図示のように、本実施形態ではそのCMPにおいてオーバー研磨を行うことにより、導電膜121の上面を第1のホール112aの途中の深さまで下げるようにする。
【0337】
次に、図44(a)に示すように、導電膜121と第3の層間絶縁膜112のそれぞれの上に銅膜130を形成する。銅膜130の形成方法は特に限定されない。例えば、第3の層間絶縁膜112の上にCVD法により予め銅シード層を形成し、それを給電層にして電解めっき法により銅膜130を形成してもよい。
【0338】
そして、図44(b)に示すように、第3の層間絶縁膜112の上の余分な銅膜130をCMP法により研磨して除去し、第1のホール112a内にのみ銅膜130を残す。
【0339】
これにより、第1のホール112a内には、第1〜第3のバリア膜118〜120、導電膜121、及び銅膜130を備えた第3の導電性プラグ116が形成されたことになる。
【0340】
以上により、本実施形態に係る導電性プラグの形成方法の主要工程が終了した。
【0341】
このような導電性プラグ116の形成方法によれば、第1のホール112aの途中の深さまで低抵抗の銅膜130を残すので、タングステン膜やポリシリコン膜等の導電膜121のみでホール112aを埋め込む場合と比較して、プラグ116の低抵抗化を図ることができる。
【0342】
更に、図44(a)の工程において形成される銅膜130は、導電膜121の上の部分におけるホール112aを埋め込む厚さであれば十分であり、ホール112aの全体を埋め込む場合よりも薄くて済む。CMPによる残膜の厚さのコントロールは、元々の厚さが薄いほど容易になる。したがって、このように銅膜130を薄く形成することにより、図44(b)の工程で銅膜130を研磨するときに銅膜130の上面の高さを第3の層間絶縁膜112の上面に合わせ易くなり、これらの上面を連続した平坦面にすることができる。
【0343】
したがって、このような導電性プラグ112の形成方法を第2の導電性プラグ91(図28(c)参照)の形成方法に適用すれば、キャパシタ誘電体膜98aの平坦性が向上し、キャパシタ誘電体膜98aの残留分極電荷量等の強誘電体特性を改善することができる。
【0344】
なお、この例では銅膜130を形成したが、これに代えてタングステン膜やポリシリコン膜を形成しても上記のように研磨面を平坦面にすることができる。
【0345】
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0346】
(付記1) 半導体基板の上方に、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタを形成する工程と、
前記キャパシタ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に、前記上部電極に達するホールを形成する工程と、
前記ホールの内面、及び前記ホールから露出する前記上部電極の表面に第1のバリア膜を形成する工程と、
前記第1のバリア膜上に、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜を形成する工程と、
前記第2のバリア膜の上方に導電膜を形成して、前記ホールを埋め込む工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0347】
(付記2) 付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のバリア膜の表面を酸化することにより、前記第2のバリア膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0348】
(付記3) 付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2のバリア膜は、前記第1のバリア膜よりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0349】
(付記4) 付記1乃至付記3のいずれに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のバリア膜はTiN膜であり、
前記第2のバリア膜はTiON膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0350】
(付記5) 付記1乃至付記4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ホールを埋め込む前に、前記第2のバリア膜上に、前記第2バリア膜よりも酸素濃度が低い第3のバリア膜を形成する工程を更に含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0351】
(付記6) 付記5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3のバリア膜は、前記第1のバリア膜と同じ材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0352】
(付記7) 半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成され、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタと、
前記キャパシタ上に形成され、前記上部電極に達するホールを有する絶縁膜と、
前記ホールの内面、及び前記ホール内における前記上部電極の表面に形成される第1のバリア膜と、
前記第1のバリア膜上に形成され、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜と、
前記第2のバリア膜の上方に形成され、前記コンタクトホールを埋め込む導電膜と、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【0353】
(付記8) 付記7に記載の半導体装置において、
前記第2のバリア膜は、前記第1のバリア膜よりも薄いことを特徴とする半導体装置。
【0354】
(付記9) 付記7又は付記8に記載の半導体装置において、
前記第1のバリア膜はTiN膜であり、
前記第2のバリア膜はTiON膜であることを特徴とする半導体装置。
【0355】
(付記10) 付記7乃至付記9のいずれかに記載の半導体装置において、
前記第2のバリア膜と前記導電膜との間に形成され、前記第2のバリア膜よりも酸素濃度が低い第3のバリア膜を更に含むことを特徴とする半導体装置。
【0356】
(付記11) 付記10に記載の半導体装置において、
前記第3のバリア膜は、前記第1のバリア膜と同じ材料からなることを特徴とする半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0357】
【図1】図1(a)、(b)は、調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は、調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図(その4)である。
【図5】図5は、サンプルを欠陥検査装置において検査して得られたウエハマップである。
【図6】図6は、図5の欠陥の一つをSEMにより観察して得られた平面像である。
【図7】図7は、図6において膨らみが確認された部分の断面TEM像を基にして描いた図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図9】図9(a)〜(c)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図10】図10(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図11】図11(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図12】図12(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その5)である。
【図13】図13(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その6)である。
【図14】図14(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その7)である。
【図15】図15(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その8)である。
【図16】図16(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その9)である。
【図17】図17(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その10)である。
【図18】図18(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その11)である。
【図19】図19(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その12)である。
【図20】図20(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その13)である。
【図21】図21(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その14)である。
【図22】図22は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その15)である。
【図23】図23は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その16)である。
【図24】図24(a)、(b)は、本発明の第1実施形態で使用されたサンプルの断面図である。
【図25】図25(a)、(b)は、第1実施形態のサンプルにおける各元素の濃度をSIMSにより調査して得られたグラフである。
【図26】図26(a)〜(c)は、窒化チタン膜の組成がスロット番号にどのように依存するかをRBS分析により調査して得られた結果を示す図である。
【図27】図27は、酸窒化膜のバリア性をSIMSにより調査して得られたグラフである。
【図28】図28(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図29】図29(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図30】図30(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図31】図31(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図32】図32(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その5)である。
【図33】図33(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その6)である。
【図34】図34(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その7)である。
【図35】図35(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その8)である。
【図36】図36(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その9)である。
【図37】図37(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その10)である。
【図38】図38(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その11)である。
【図39】図39(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その12)である。
【図40】図40は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その13)である。
【図41】図41は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その14)である。
【図42】図42は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その15)である。
【図43】図43(a)、(b)は、第3実施形態に係る導電性プラグの製造途中の断面図(その1)である。
【図44】図44(a)、(b)は、第3実施形態に係る導電性プラグの製造途中の断面図(その4)である。
【符号の説明】
【0358】
1、30、40…シリコン基板、2…第1の層間絶縁膜、3…密着膜、4…第1の導電膜、4a…下部電極、5…強誘電体膜、5a…キャパシタ誘電体膜、6…第2の導電膜、6a…上部電極、7…第1のアルミナ膜、8…第2の層間絶縁膜、8a、8b…第1及び第2のホール、9…第2のアルミナ膜、10…キャップ絶縁膜、12…バリア膜、13…タングステン膜、15…導電性プラグ、17…膨らみ、31…素子分離絶縁膜、32…pウェル、33…ゲート絶縁膜、34…ゲート電極、35a、35b…第1、第2のソース/ドレインエクステンション、36a、36b…第1、第2のソース/ドレイン領域、37…絶縁性スペーサ、38…高融点シリサイド層、41…カバー絶縁膜、42…第1の層間絶縁膜、42a…コンタクトホール、43…第1の導電性プラグ、44…酸化シリコン膜、45…酸化防止絶縁膜、46…絶縁性密着膜、47…下部電極密着膜、48…第1の導電膜、49…第1の強誘電体膜、50…第2の強誘電体膜、51…第2の導電膜、52…導電性保護膜、53…ハードマスク、54…酸化イリジウム膜、55…窒化チタン膜、57…第1のレジストパターン、61…下部電極、62…キャパシタ誘電体膜、63…上部電極、64…酸化シリコン膜、64a…ホール、65…第1のアルミナ膜、67〜69…第1〜第3のバリア膜、70…第2のアルミナ膜、71…第2の層間絶縁膜、71a〜71c…第1〜第3のホール、72…第3のアルミナ膜、73…キャップ絶縁膜、74…プラグ用の導電膜、75…タングステン膜、77…第2の導電性プラグ、78〜62…一層目〜五層目金属配線、83〜86…第3〜第6の層間絶縁膜、87、88…第1、第2のパッシベーション膜、91…第2の導電性プラグ、92…酸化防止絶縁膜、93…第2の層間絶縁膜、93a…第1のホール、94…下地導電膜、95…結晶性導電膜、96…導電性酸素バリア膜、97…第1の導電膜、98…第1の強誘電体膜、99…第2の強誘電体膜、100…第2の導電膜、101…第1の導電性保護膜、102…第2の導電性水素バリア膜、103…第1のハードマスク、104…第2のハードマスク、110…第1のアルミナ膜、111…第2のアルミナ膜、112…第3の層間絶縁膜、112a、112b…第2、第3のホール、113…第3のアルミナ膜、114…キャップ絶縁膜、115…一層目金属配線、116…第3の導電性プラグ、118〜120…第1〜第3のバリア膜、121…プラグ用の導電膜、130…銅膜。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯電話等の電子機器に対して大容量のデータを高速に処理して保存する要求が高まっている。データを保存する不揮発性メモリとしては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等が知られている。
【0003】
このうち、FeRAMは、キャパシタ誘電体膜として強誘電体膜が形成された強誘電体キャパシタを備えており、その強誘電体膜の自発分極を利用して情報を記憶するものであって、DRAMと比較して動作電圧が低く、高速動作が可能である点で有利である。
【0004】
そのFeRAMでは、キャパシタ誘電体膜の材料としてPZT(Pb(Zr, Ti)O3)のような酸化物強誘電体が使用されることが多い。
【0005】
但し、酸化物強誘電体は、外部雰囲気中の水素の還元作用によって酸素欠損が生じ、それにより残留分極電荷量等の強誘電体特性が容易に劣化することが知られている。
【0006】
そのような劣化を防止するため、強誘電体キャパシタの上方に水素バリア膜としてアルミナ膜や窒化シリコン膜を形成することにより、外部雰囲気中の水素が強誘電体キャパシタに至るのを阻止する構造が提案されている。
【0007】
また、酸素含有雰囲気中で強誘電体膜に対してアニールをすることにより、強誘電体膜の酸素欠損を補い強誘電体特性を回復させる方法も提案されている。
【特許文献1】特開2005−268617号公報
【特許文献2】特開2002−289793号公報
【特許文献3】特開2004−22553号公報
【特許文献4】特開2001−15703号公報
【特許文献5】特開2003−197878号公報
【特許文献6】特開2006−165128号公報
【特許文献7】特開2003−332536号公報
【特許文献8】特開2005−183843号公報
【特許文献9】特開2002−176149号公報
【特許文献10】特開平8−17760号公報
【特許文献11】特開2006−344676号公報
【特許文献12】特開2001−250792号公報
【特許文献13】特開2002−324855号公報
【特許文献14】特開2003−133534号公報
【特許文献15】特開平6−21391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体装置とその製造方法において、強誘電体膜を備えたキャパシタの劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の開示の一観点によれば、半導体基板の上方に、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタを形成する工程と、前記キャパシタ上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に、前記上部電極に達するホールを形成する工程と、前記ホールの内面、及び前記ホールから露出する前記上部電極の表面に第1のバリア膜を形成する工程と、前記第1のバリア膜上に、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜を形成する工程と、前記第2のバリア膜の上方に導電膜を形成して、前記ホールを埋め込む工程とを含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
また、その開示の別の観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成され、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタと、前記キャパシタ上に形成され、前記上部電極に達するホールを有する絶縁膜と、前記ホールの内面、及び前記ホール内における前記上部電極の表面に形成される第1のバリア膜と、前記第1のバリア膜上に形成され、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜と、前記第2のバリア膜の上方に形成され、前記コンタクトホールを埋め込む導電膜とを含む半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の半導体装置とその製造方法によれば、第2のバリア膜の酸素濃度を第1のバリア膜のそれよりも高くする。膜中の酸素は、水素やハロゲン等に対する第2のバリア膜のバリア性を向上させる機能を有するので、これらの元素がキャパシタに侵入するのを第2のバリア膜により阻止し易くなり、これらの元素が原因でキャパシタが劣化するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)調査結果
実施形態の説明に先立ち、本願発明者が行った調査結果について説明する。
【0013】
図1〜図4は、その調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図である。
【0014】
このサンプルを作製するには、まず、図1(a)に示すように、シリコン基板1の上方に第1の層間絶縁膜2としてCVD法により酸化シリコン膜を形成する。
【0015】
そして、この第1の層間絶縁膜2の上に密着膜3としてスパッタ法でアルミナ膜を70nmの厚さに形成した後、その上に第1の導電膜4、強誘電体膜5、及び第2の導電膜6をこの順にスパッタ法で形成する。
【0016】
このうち、第1の導電膜4としては厚さが150nmのプラチナ膜が形成され、強誘電体膜5としては厚さが90nmのPZT(Pb(Zr, Ti)O3)膜が形成される。そして、第2の導電膜6としては、下側層が50nmで上側層が200nmの厚さの二層構造の酸化イリジウム膜が形成される。なお、強誘電体膜5を結晶化させるための結晶化アニールは、第2の導電膜6の下側層を形成した後に行われる。
【0017】
次に、図1(b)に示すように、上記の各膜3〜6をパターニングし、下部電極4a、キャパシタ誘電体膜5a、上部電極6aをこの順に積層してなる強誘電体キャパシタQを形成する。
【0018】
続いて、図2(a)に示すように、シリコン基板1の上側全面にスパッタ法により第1のアルミナ膜を厚さ20nmに形成する。
【0019】
更に、この第1のアルミナ膜7の上に、CVD法により第2の層間絶縁膜8として酸化シリコン膜を1400nm程度の厚さに形成した後、その表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して平坦化する。
【0020】
そして、このように平坦化された第2の層間絶縁膜8の上にスパッタ法で第2のアルミナ膜9を20〜50nmの厚さに形成する。そして、この第2のアルミナ膜9の上にCVD法で酸化シリコン膜を20〜50nmの厚さに形成し、それをキャップ絶縁膜10とする。
【0021】
このようにして形成された膜のうち、第1及び第2のアルミナ膜7、9は、外部雰囲気中の水素がキャパシタ誘電体膜5aに至るのを阻止し、水素による還元が原因でキャパシタ誘電体膜5aが劣化するのを防止する役割を担う。
【0022】
次いで、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングによって各膜7〜10をパターニングし、下部電極4aと上部電極6aのそれぞれの上に第1及び第2のホール8a、8bを形成する。
【0023】
そして、図3(a)に示すように、各ホール8a、8bの内面とキャップ絶縁膜10の上面に、タングステンの成長核となるバリア膜12として窒化チタン膜を約300nm程度の厚さにスパッタ法で形成する。
【0024】
その後に、図3(b)に示すように、バリア膜12の上にタングステン膜13を形成し、そのタングステン膜13で各ホール8a、8bを完全に埋め込む。そのタングステン膜13は、例えば、六フッ化タングステン(WF6)ガスと水素ガスとの混合ガスを反応ガスとして使用するCVD法により形成される。
【0025】
そして、図4に示すように、キャップ絶縁膜10の上の余分なバリア膜12とタングステン膜13とをCMP法により研磨して除去し、これらの膜を各ホール8a、8b内にのみ導電性プラグ15として残す。
【0026】
これにより、下部電極4aと上部電極6aのそれぞれに、キャパシタQへの書き込み信号や読み出し信号が導電性プラグ15を介して印加することが可能となる。
【0027】
ここまでの工程により、このサンプルの基本構造が完成した。
【0028】
図3(b)を参照して説明したように、このサンプルでは、タングステン膜13の成長核としてバリア膜12が形成される。タングステン膜13を形成する際には水素ガスが使用されるので、バリア膜12にはその水素をバリアし、キャパシタ誘電体膜5aが水素によって還元されないようにする役割も求められる。
【0029】
ところが、上部電極6aの上に異物が付着していると、その異物の上にバリア膜12が形成されるので、異物上でのバリア膜12の膜厚が不足する等して、バリア膜12の水素バリア性が低下してしまう。
【0030】
そのような異物の発生源としては、例えば第2の導電膜6をパターニングして上部電極6aを形成するとき(図1(b))のエッチングマスクがある。エッチングマスクとしては、エッチング時のスパッタ作用に耐え得る窒化チタン膜のようなハードマスクが使用される。そして、そのハードマスクをウエット処理やドライエッチングにより除去するときに、大きさが0.2μm以下の小さな異物が上部電極6aの上に残ることがある。
【0031】
また、上記のエッチングマスクとしてレジストパターンを用いる場合にも、程度の差はあれ、上部電極6aに異物が残ることがある。
【0032】
図5は、上記のサンプルを欠陥検査装置において検査して得られたウエハマップであって、丸印の部位に欠陥が発生している。
【0033】
図6は、その欠陥の一つをSEM(Scanning Electron Microscope)により観察して得られた平面像である。これに示されるように、欠陥が見られた部位には膜の膨らみ17が発生している。
【0034】
図7は、膨らみ17がある部分の断面をTEM(Transmission Electron Microscope)により観察し、それを基にして描いた図である。
【0035】
同図に示されるように、膨らみがある部分では、上部電極6aに空洞Sが発生している。その空洞Sは、上記したような異物によってバリア膜12の水素バリア性が低下したことで、タングステン膜13を形成するとき(図3(b))の水素がバリア膜12を透過し、水素によって上部電極6a中の酸化イリジウムが還元されたことにより形成されたと考えられる。
【0036】
また、タングステン膜13を形成するときには、六フッ化タングステンガスも使用されるので、フッ素がバリア膜12を透過し、上部電極6aが反応性の高いフッ素により侵食されたことにより空洞Sが発生されたとも考えられる。
【0037】
このように空洞Sが発生すると、導電性プラグ15と上部電極6aとのコンタクト抵抗が上昇し、半導体装置の歩留まりが低下してしまう。
【0038】
更に、空洞Sの発生原因である水素によってキャパシタ誘電体膜5aが還元され、残留分極電荷量等のキャパシタ誘電体膜5aの強誘電体特性が劣化するおそれがある。そのため、キャパシタQの情報保持特性であるリテンション特性が低下し、半導体装置の信頼性が低下してしまう。
【0039】
よって、このような半導体装置の歩留まりやリテンション特性の低下を防ぐには、強誘電体キャパシタQ上のバリア膜12に水素等に対する高いバリア性が求められる。
【0040】
本願発明者はこのような知見に基づいて、以下に説明するような実施形態に想到した。
【0041】
(2)第1実施形態
図8〜図23は第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
【0042】
この半導体装置はプレーナ型のFeRAMであって、以下のようして製造される。
【0043】
最初に、図8(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0044】
まず、n型又はp型のシリコン(半導体)基板30に素子分離用の溝を形成する。そして、その溝の中に素子分離絶縁膜31を形成し、この素子分離絶縁膜31でトランジスタの活性領域を画定する。このような素子分離構造はSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれるが、これに代えてLOCOS(Local Oxidation of Silicon)を採用してもよい。
【0045】
次いで、シリコン基板30の活性領域にp型不純物、例えばボロンを導入してpウェル32を形成した後、活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜33となる熱酸化膜を約6〜7nmの厚さに形成する。
【0046】
続いて、シリコン基板30の上側全面に、厚さ約50nmの非晶質シリコン膜と厚さ約150nmのタングステンシリサイド膜を順に形成する。なお、非晶質シリコン膜に代えて多結晶シリコン膜を形成してもよい。その後に、フォトリソグラフィとエッチングによりこれらの膜をパターニングして、シリコン基板30上にゲート電極34を形成する。
【0047】
pウェル32の上には二つのゲート電極34が間隔をおいて略平行に配置され、その各々はワード線の一部となる。
【0048】
次いで、ゲート電極34をマスクにするイオン注入により、ゲート電極34の横のシリコン基板30にn型不純物としてリンを導入し、第1及び第2のソース/ドレインエクステンション35a、35bを形成する。
【0049】
その後に、シリコン基板30の上側全面に絶縁膜を形成し、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極34の横に絶縁性スペーサ37として残す。その絶縁膜として、例えばCVD法により酸化シリコン膜を形成する。
【0050】
続いて、この絶縁性スペーサ37とゲート電極34をマスクにしながら、シリコン基板30に砒素等のn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極34の側方のシリコン基板30に第1及び第2のソース/ドレイン領域36a、36bを形成する。このうち、二つのゲート電極34の間の第2のソース/ドレイン領域36bは、ビット線の一部となる。
【0051】
更に、シリコン基板30の上側全面に、スパッタ法によりコバルト膜等の高融点金属膜を形成する。そして、その高融点金属膜を加熱させてシリコンと反応させることにより、第1及び第2のソース/ドレイン領域36a、36bにおけるシリコン基板30上にコバルトシリサイド層等の高融点シリサイド層38を形成し、各ソース/ドレイン領域36a、36bを低抵抗化する。なお、このような高融点金属シリサイド層は、ゲート電極34の表層にも形成される。
【0052】
その後に、素子分離絶縁膜31の上等で未反応となっている高融点金属層をウエットエッチングして除去する。
【0053】
ここまでの工程により、シリコン基板30の活性領域には、ゲート絶縁膜33、ゲート電極34、及び第1、第2ソース/ドレイン領域36a、36b等を有するMOSトランジスタTRが形成されたことになる。
【0054】
次に、図8(b)に示すように、シリコン基板30の上側全面に、プラズマCVD法で酸窒化シリコン(SiON)膜を厚さ約200nmに形成し、それをカバー絶縁膜41とする。
【0055】
更に、TEOS(Tetra ethoxy silane)ガスを使用するプラズマCVD法により、このカバー絶縁膜41の上に第1の層間絶縁膜42として酸化シリコン(SiO2)膜を厚さ約1000nmに形成する。そして、CMP法で第1の層間絶縁膜42の上面を研磨して平坦化すると共に、第1の層間絶縁膜42の厚さを約785nmとする。
【0056】
続いて、図8(c)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングによりカバー絶縁膜41と第1の層間絶縁膜42とをパターニングし、第1、第2ソース/ドレイン領域36a、36bの上にコンタクトホール42aを形成する。
【0057】
その後に、図9(a)に示すように、第1、第2ソース/ドレイン領域36a、36と電気的に接続された第1の導電性プラグ43をこれらのコンタクトホール42a内に形成する。
【0058】
その第1の導電性プラグ43を形成するには、例えば、厚さが約30nmのチタン膜と厚さが約20nmの窒化チタン膜とをバリア膜としてこの順にスパッタ法でコンタクトホール42a内に形成する。そして、このバリア膜の上にCVD法によりタングステン膜を300nm程度の厚さに形成し、このタングステン膜でコンタクトホール42aを完全に埋め込む。その後に、第1の層間絶縁膜42の上の余分なバリア膜とタングステン膜とをCMP法により研磨して除去し、これらの膜を第1の導電性プラグ43としてコンタクトホール42a内に残す。
【0059】
このようにして形成された第1の導電性プラグ43は、酸化され易いタングステンを主にしてなるため、酸素含有雰囲気中で容易に酸化してコンタクト不良を引き起こすおそれがある。
【0060】
そこで、次の工程では、図9(b)に示すように、第1の導電性プラグ43の酸化を防ぐ酸化防止絶縁膜45として、第1の導電性プラグ43と第1の層間絶縁膜42のそれぞれの上にCVD法により酸窒化シリコン膜を厚さ約100nmに形成する。
【0061】
そして、この酸化防止絶縁膜45の上に、TEOSガスを使用するCVD法で酸化シリコン膜を厚さ約130nmに形成し、この酸化シリコン膜を絶縁性密着膜46とする。
【0062】
この後に、窒素雰囲気中で基板温度を約650℃とするアニールを絶縁性密着膜46に対して30分間行うことにより、絶縁性密着膜46の脱ガスを行う。
【0063】
次いで、図9(c)に示すように、絶縁性密着膜46の上に下部電極密着膜47としてスパッタ法によりアルミナ膜を厚さ約20nmに形成する。その後、RTA(Rapid Thermal Anneal)により下部電極密着膜47のアルミナを十分に酸化する。この下部電極密着膜47は、後述のキャパシタ下部電極と絶縁性密着膜46との密着性を向上させるために形成される。
【0064】
続いて、図10(a)に示すように、スパッタ法により第1の導電膜48としてプラチナ膜を厚さ約150nmに形成する。なお、プラチナ膜に代えて、イリジウム膜、ルテニウム膜、酸化ルテニウム(RuO2)膜、及びSrRuO3膜のいずれかの単層膜、或いはこれらの積層膜を第1の導電膜48として形成してもよい。
【0065】
ここで、第1の導電膜48を形成する前に下部電極密着膜47を予め形成したので、第1の導電膜48と絶縁性密着膜46との密着力が高められる。
【0066】
次に、図10(b)に示すように、PZTターゲットを用いるRF(Radio Frequency)スパッタ法により、第1の導電膜48の上に第1の強誘電体膜49としてPZT(Pb(Zrx, Ti1-x)O3: 0≦x≦1)膜を厚さ約90nmに形成する。
【0067】
第1の強誘電体膜49の成膜温度は特に限定されない。但し、その成膜温度が150℃以上となると、後述の結晶化アニール後の第1の強誘電体膜49中のPZTの配向が(101)方向等にランダムに配向し、強誘電体特性の向上に有利な(111)方向の配向が減少することがある。一方、成膜温度を低温で精度良く制御するのは困難である。これらに鑑み、第1の強誘電体膜49の成膜温度は0℃〜150℃、例えば50℃とするのが好ましい。
【0068】
また、第1の強誘電体膜49はPZT膜に限定されない。PZTにCa、Sr、La、Nb、Ta、Ir、及びWのいずれかを添加した材料よりなる膜を第1の強誘電体膜49として形成してもよい。更に、(Bi1-xRx)Ti3O12(Rは希土類元素で0<x<1)、SrBi2Ta2O9(SBT)、及びSrBi4Ti4O15等のBi層状化合物の膜を第1の強誘電体膜49として形成してもよい。
【0069】
更に、第1の強誘電体膜49の成膜方法もスパッタ法に限定されず、ゾル・ゲル法やMOCVD(Metal Organic CVD)法で第1の強誘電体膜49を形成してもよい。
【0070】
これらの成膜方法のうち、スパッタ法で形成された第1の強誘電体膜49は、成膜直後では結晶化しておらず非晶質であり、強誘電体特性に乏しい。
【0071】
そこで、次の工程では、図11(a)に示すように、酸素含有雰囲気において第1の強誘電体膜49に対して結晶化アニールを行い、第1の強誘電体膜49中のPZTを結晶化させる。
【0072】
その結晶化アニールは、酸素濃度が流量比1.25%となるように調整された酸素とアルゴンよりなる雰囲気においてRTAにより行われ、基板温度は約600℃、処理時間は約90秒とされる。
【0073】
なお、MOCVD法により第1の強誘電体膜49を形成する場合は、第1の強誘電体膜49は成膜の時点で結晶化しているので、上記の結晶化アニールは不要である。
【0074】
その後に、図11(b)に示すように、RFスパッタ法により第1の強誘電体膜49の上にPZT膜を厚さ約10〜30nmに形成し、このPZT膜を第2の強誘電体膜50とする。
【0075】
第2の強誘電体膜50はPZT膜に限定されない。PZTにCa、Sr、La、Nb、Ta、Ir、及びWのいずれかを添加した材料よりなる膜を第2の強誘電体膜50として形成してもよい。更に、(Bi1-xRx)Ti3O12(Rは希土類元素で0<x<1)、SrBi2Ta2O9(SBT)、及びSrBi4Ti4O15等のBi層状化合物の膜を第2の強誘電体膜50として形成してもよい。
【0076】
なお、スパッタ法で形成されたPZTは成膜直後では結晶化していない。よって、この時点では、第2の強誘電体膜50は非晶質の状態となっている。
【0077】
次に、図12(a)に示すように、非晶質の第2の強誘電体膜50の上にスパッタ法により上部電極用の第2の導電膜51を形成する。
【0078】
第2の導電膜51としては、例えば、アルゴンガスと酸素ガスとの混合雰囲気中でイリジウムターゲットをスパッタすることにより、厚さ約50nmの酸化イリジウム膜を形成し得る。
【0079】
続いて、図12(b)に示すように、非晶質の第2の強誘電体膜50に対して酸素含有雰囲気中で結晶化アニールを行い、第2の強誘電体膜50中のPZTを結晶化させると共に、その下の第1の強誘電体膜49の結晶性を更に高める。
【0080】
この結晶化アニールの条件は特に限定されないが、本実施形態では基板温度を約710℃、処理時間を120秒とする。更に、アニール雰囲気として、酸素濃度が流量比で1%に調整された酸素ガスとアルゴンガスとの混合雰囲気を用いる。
【0081】
この結晶化アニールの初期の時点では第2の強誘電体膜50は結晶化しておらず非晶質なので、第2の導電膜51の酸化イリジウムが第2の強誘電体膜50の結晶粒界に拡散し難い。これにより、拡散した酸化イリジウムが原因で第2の強誘電体膜50の膜中にリークパスが発生するのを抑制することができる。
【0082】
更に、この結晶化アニールにより、第2の導電膜51を通じてアニール雰囲気中の酸素が第2の強誘電体膜50に供給され、第2の強誘電体膜50の酸素欠損が補われるという利点も得られる。このような利点を得るために、第2の導電膜51の厚さは酸素が透過しやすいようになるべく薄く、例えば10〜100nmとするのが好ましい。
【0083】
但し、このように薄い第2の導電膜51が第2の強誘電体膜50上に形成されただけでは、後のエッチング工程におけるダメージが第2の導電膜51だけで吸収しきれず、第1及び第2の強誘電体膜49、50が劣化するおそれがある。
【0084】
そこで、次の工程では、図13(a)に示すように、第1及び第2の強誘電体膜49、50を保護するための導電性保護膜52として、第2の導電膜51の上にスパッタ法で酸化イリジウム膜を厚さ約200nmに形成する。
【0085】
この後に、第1及び第2の強誘電体膜49、50を形成したときにシリコン基板30の裏面に付着したPZTを洗浄して除去する。
【0086】
続いて、図13(b)に示すように、導電性保護膜52の上にハードマスク53としてスパッタ法により窒化チタン膜を厚さ約34nmに形成する。
【0087】
この窒化チタン膜は、例えば、基板温度を200℃とし、流量が30sccmのアルゴンガスと流量が90nmの窒素ガスとの混合雰囲気中でチタンターゲットをスパッタすることにより形成され得る。
【0088】
また、ハードマスク53は窒化チタン膜に限定されず、TaN、TiON、TiOx、TaOx、TaON、TiAlOx、TaAlOx、TiAlON、TaAlON、TiSiON、TaSiON、TiSiOx、AlOx、及びZrOxのいずれかよりなる膜をハードマスク53として形成してもよい。
【0089】
この後に、ハードマスク53の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第1のレジストパターン57を形成する。
【0090】
次に、図14(a)に示すように、第1のレジストパターン57をマスクにしてハードマスク53を島状にパターニングする。
【0091】
そして、図14(b)に示すように、島状のハードマスク53をマスクにして第2の導電膜51と導電性保護膜52とをドライエッチングし、エッチングされずに残存するこれらの膜51、52を上部電極63とする。
【0092】
ここで、第1のレジストパターン57はエッチング時のダメージによってその側面が後退することがある。これに対し、ハードマスク53は窒化チタンのようにレジストよりもエッチング速度が遅い材料よりなるので、ハードマスク53の側面は後退せず、設計通りの寸法に上部電極63をパターニングし易くなる。
【0093】
この後に、第1のレジストパターン57を除去し、更にハードマスク53をドライエッチングにより除去する。
【0094】
このとき、第1のレジストパターン57の側面には上部電極63形成時のエッチング生成物がフェンス状に付着しているが、そのエッチング生成物はハードマスク53と一緒に除去されるため、上部電極63の上にエッチング生成物が異物として残存するのを防止できる。
【0095】
次いで、図15(a)に示すように、ここまでの工程で第1及び第2の強誘電体膜49、50が受けたダメージを回復させるために、これらの強誘電体膜49、50に対して酸素含有雰囲気中でアニールを行う。
【0096】
このようなアニールは、回復アニールと呼ばれ、本実施形態では600〜700℃、例えば650℃の基板温度で約40分間行われる。
【0097】
次に、図15(b)に示すように、シリコン基板30の上側全面にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第2のレジストパターン58を形成する。
【0098】
そして、図16(a)に示すように、第2のレジストパターン58をマスクにして第1及び第2の強誘電体膜49、50をドライエッチングする。これにより、これらの強誘電体膜49、50を有するキャパシタ誘電体膜62が上部電極63の下に形成される。
【0099】
この後に、第2のレジストパターン58は除去される。
【0100】
なお、第2のレジストパターン58を除去した後に、キャパシタ誘電体膜62に対して回復アニールを行ってもよい。その回復アニールは、酸素含有雰囲気において基板温度を300〜400℃、処理時間を30〜120分として行われる。
【0101】
次いで、図16(b)に示すように、第1の導電膜48、キャパシタ誘電体膜62、及び上部電極63のそれぞれの上にCVD法又はスパッタ法により第1のアルミナ膜65を20〜50nm程度の厚さに形成する。
【0102】
この第1のアルミナ膜65は、水素や水分等の還元性物質がキャパシタ誘電体膜62に侵入にするのを阻止し、これらの物質によってキャパシタ誘電体膜62が還元されて劣化するのを防止する役割を担う。
【0103】
そのような機能を有する膜としては、アルミナ膜の他に、酸化チタン膜、酸化タンタル膜、酸化ジルコニウム膜、窒化アルミニウム膜、窒化タンタル膜、及び酸窒化アルミニウム膜もある。更に、酸窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、及びボロン窒化膜等の窒化物膜や、シリコンカーバイド(SiC)膜も水素に対するバリア性を有する。したがって、第1のアルミナ膜65に代えて、上記のいずれかの膜を形成するようにしてもよい。これについては後述の第2及び第3のアルミナ膜や各実施形態でも同様である。
【0104】
そして、酸素含有雰囲気において基板温度400〜600℃、処理時間30〜120分程度の回復アニールをキャパシタ誘電体膜62に対して行う。
【0105】
その後に、この第1のアルミナ膜65の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第3のレジストパターン66を形成する。
【0106】
次に、図17(a)に示すように、第3のレジストパターン66をマスクにして第1のアルミナ膜65と第1の導電膜48とをドライエッチングし、キャパシタ誘電体膜62の下に下部電極61を形成する。
【0107】
なお、このドライエッチングでは、下部電極61で覆われていない部分の下部電極密着膜47もエッチングされて除去される。
【0108】
そして、第3のレジストパターン66を除去した後、基板温度300〜400℃、処理時間30〜60分間の条件でキャパシタ誘電体膜62に対して回復アニールを行う。
【0109】
ここまでの工程により、シリコン基板30のセル領域に、下部電極61、キャパシタ誘電体膜62、及び上部電極63を有する強誘電体キャパシタQが形成されたことになる。
【0110】
次いで、図17(b)に示すように、シリコン基板30の上側全面にスパッタ法又はCVD法により第2のアルミナ膜70を厚さ約20nmに形成する。
【0111】
第2のアルミナ膜70は、第1のアルミナ膜65と同様に、水素や水分等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜62を保護する役割を担う。
【0112】
この後に、酸素含有雰囲気中において基板温度を500〜700℃、処理時間を30〜60分間とする条件で、キャパシタ誘電体膜62に対して回復アニールを行う。このような回復アニールにより、アニール雰囲気中の酸素によってキャパシタ誘電体膜62の酸素欠損が補われ、キャパシタ誘電体膜62の強誘電体特性が回復する。
【0113】
次に、図18(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0114】
まず、第2のアルミナ膜70の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、第2の層間絶縁膜71として酸化シリコン膜を厚さ約1400nmに形成する。
【0115】
そして、この第2の層間絶縁膜71の上面をCMP法により研磨して平坦化した後、N2Oプラズマ処理若しくはN2プラズマ処理により第2の層間絶縁膜71を脱水すると共に、その上面を窒化して水分の再吸着を防止する。
【0116】
この脱水処理の条件は特に限定されないが、例えば、基板温度は約350℃、処理時間は約2分間とされる。
【0117】
次いで、水素等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜62を保護するために、第2の層間絶縁膜71の上にスパッタ法又はCVD法により第3のアルミナ72を厚さ約20〜150nmに形成する。厚さの下限を20nmとしたのは、これよりも薄いと水素のバリア性が低下するからである。また、厚さの上限を150nmとしたのは、これよりも厚いと後の工程でエッチングし難い第3のアルミナ膜72にホールを形成するのが困難になるからである。
【0118】
その後に、この第3のアルミナ膜72の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約20〜50nmに形成し、この酸化シリコン膜をキャップ絶縁膜73とする。
【0119】
次に、図18(b)に示すように、キャップ絶縁膜73の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第4のレジストパターン59を形成する。
【0120】
そして、その第4のレジストパターン59が備える窓59aを通じてキャパシタQ上の各絶縁膜65、70〜73をドライエッチングすることにより、上部電極63と下部電極61のそれぞれに達する第1及び第2のホール71a、71bを形成する。なお、本工程で使用するエッチングガスは特に限定されないが、本実施形態ではC4F8、Ar、O2、及びCOの混合ガスを使用する。
【0121】
この後に、エッチングのマスクに使用した第4のレジストパターン59は除去される。
【0122】
なお、第4のレジストパターン59を除去した後、ブラシスクラバ処理により、キャップ絶縁膜73の表面や各ホール71a、71bの内面の異物を除去するようにしてもよい。
【0123】
次いで、図19(a)に示すように、キャップ絶縁膜73の上にフォトレジストを再び塗布し、それを露光、現像して第5のレジストパターン60を形成する。
【0124】
そして、第5のレジストパターン60の窓60aを通じて各絶縁膜46、70〜73をドライエッチングして、第1の導電性プラグの上に第3のホール71cを形成する。
【0125】
このエッチングでは、エッチングガスとして例えばC4F8、Ar、O2、及びCOの混合ガスが使用される。そのエッチングガスに対して酸化防止絶縁膜45はエッチングストッパとなるので、酸化防止絶縁膜45はエッチングされずに第1の導電性プラグ43の上に残る。
【0126】
この後に、第5のレジストパターン60は除去される。
【0127】
なお、第5のレジストパターン60を除去した後に、酸素含有雰囲気中でキャパシタ誘電体膜62に対して回復アニールを行ってもよい。その回復アニールは、例えば、基板温度400〜600℃、処理時間30〜120分の条件で行われる。このように酸素含有雰囲気中でアニールを行っても、第1の導電性プラグ43上の酸化防止絶縁膜45が酸素の透過を阻止するので、第1の導電性プラグ43の酸化が原因でコンタクト不良になることはない。
【0128】
なお、酸素含有雰囲気に代えてオゾン雰囲気でこの回復アニールを行うようにしてもよい。
【0129】
続いて、図19(b)に示すように、アルゴンガスを用いたスパッタエッチングにより、第3のホール71cの下に残る酸化防止絶縁膜45をエッチングして除去し、第1の導電性プラグ43の清浄面を露出させる。このようなスパッタエッチングにより、キャパシタQ上の各ホール71a、71b内の異物を除去することもできる。
【0130】
次に、図20(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0131】
まず、不活性ガス雰囲気中又は減圧雰囲気中において第2の層間絶縁膜71をアニールして脱ガスを行う。
【0132】
そして、アルゴンプラズマを用いるRFエッチングによりシリコン基板30の上側全面を10nm程度エッチングし、第1の導電性プラグ43の上面の自然酸化膜を除去する。
【0133】
次いで、第1〜第3ホール71a〜71cの内面、及びホール71b、71cからそれぞれ露出する上部電極63と下部電極61の表面に導電性の第1のバリア膜67としてスパッタ法により窒化チタン(TiN)膜を形成する。
【0134】
ここで、第1の導電性プラグ43上の第3のホール71cは、キャパシタQ上のホール71a、71bよりもアスペクト比が高い。したがって、SIP (Self Ionized Plasma)技術を用いたスパッタ法のように、アスペクト比が高いホールに良好なカバレッジで成膜可能なスパッタ法でこの第1のバリア膜67を形成するのが好ましい。
【0135】
なお、第1のバリア膜67の成膜条件は特に限定されないが、本実施形態では、チタンターゲットが設けられたSIPチャンバにアルゴンガスと窒素ガスとを導入し、基板温度を150〜250℃、例えば200℃として第1のバリア膜67を形成する。その場合、各ガスの流量は、例えばアルゴンガスが50sccm、窒素ガスが90sccmとされる。
【0136】
第1のバリア膜67は、タングステン膜のようなプラグ用の導電膜の成長核としての機能の他に、外部雰囲気中の水素やフッ素等がキャパシタQに侵入するのを阻止する役割も担う。
【0137】
そのような機能を有する膜の材料としては、窒化チタンの他に、TaN、CrN、HfN、ZrN、TiAlN、TaAlN、TiSiN、TaSiN、CrAlN、HfAlN、及びZrAlNのような窒化金属があり、これらのいずれかの膜を第1のバリア膜67として形成してもよい。また、TiON、TaON、CrON、HfON、ZrON、TiAlON、TaAlON、CrAlON、HfAlON、ZrAlON、TiSiON、及びTaSiONのいずれかの酸窒化金属を第1のバリア膜67の材料として使用してもよい。更に、Ir及びRuのような貴金属や、それらの酸化物であるIrOx及びRuOxのいずれかの膜を第1のバリア膜67として形成してもよい。また、Ti膜、Ta膜、及びそれらの窒化膜であるTiN膜、TaN膜を積層してなるTi/TiN膜、Ti/TaN膜、Ta/TiN膜、及びTa/TaN膜のいずれかを第1のバリア膜67として形成してもよい。
【0138】
次いで、図20(b)に示すように、第1のバリア膜67を大気に曝してその表面を自然酸化することにより、窒化チタンを自然酸化して得られた酸窒化チタン(TiON)よりなる導電性の第2のバリア膜68を第1のバリア膜67の上に数オングストロームの厚さに形成する。
【0139】
第2のバリア膜68の膜中の酸素は、水素やフッ素等に対するバリア性が高いので、第1のバリア膜67を単層で使用する場合よりもキャパシタQがこれらの元素に曝される危険性を低減することが可能となる。
【0140】
また、このように自然酸化により第2のバリア膜68を形成すると、膜の電気抵抗を低下させる原因となる酸素原子が膜中に過剰に取り込まれていないので、第2のバリア膜68の導電性を良好に保つことができる。
【0141】
そして、そのような酸素による電気抵抗の増大を防止するために、第1のバリア膜67よりも薄い厚さに第2のバリア68を形成するのが好ましい。
【0142】
なお、自然酸化の時間については、確実に自然酸化を行うという観点から第1のバリア膜67を5分以上大気に曝すのが好ましい。但し、7日よりも長く大気に曝していると量産効率が低下するので、7日以下の期間で自然酸化を行うのが好ましい。
【0143】
自然酸化のときの基板温度は特に限定されないが、例えば0〜100℃とする。室温(18〜24℃)よりも高い温度で自然酸化をするときは、ホットプレートによりシリコン基板30を加熱すればよい。これにより自然酸化を促すことができる。
【0144】
また、第1のバリア膜67の材料として上記した窒化チタンの代替物を用いる場合には、その代替物を酸化してなる第2のバリア膜68の材料は、TaON、CrON、HfON、ZrON、TiAlON、TaAlON、CrAlON、HfAlON、ZrAlON、TiSiON、TaSiON、IrOx、及びRuOx等となる。
【0145】
第2のバリア膜68の形成方法は自然酸化に限定されない。
【0146】
例えば、RTAチャンバ等のアニールチャンバや炉において第1のバリア膜67の表面を酸化し、第2のバリア膜68を形成してもよい。
【0147】
この場合、過剰な酸化によって膜中に多量の酸素が取り込まれて第2のバリア膜68が高抵抗となるのを防止するため、500℃以下の基板温度でアニールをするのが好ましい。また、酸化雰囲気についても、過剰な酸化を防止するため、不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスにおいて酸素ガスの流量比をなるべく低く、例えば1%以下とするのが好ましい。なお、不活性ガスとしてはアルゴンガス又は窒素ガスを使用し得る。このうち、窒素ガスは、導電性を高める窒素原子が第2のバリア膜68の膜中に取り込まれ、第2のバリア膜68の低抵抗化が図られる点でアルゴンガスよりも好ましい。
【0148】
或いは、第1のバリア膜67を形成するのに使用したSIPチャンバを引き続いて使用し、そのSIPチャンバに酸素を導入することにより第1のバリア膜67の表面を酸化して、第2のバリア膜68を形成してもよい。酸素の導入の際、第1のバリア膜67のスパッタガスであるアルゴンガスと窒素ガスの供給を続けてもよいし、停止してもよい。更に、第1のバリア膜67を形成したときのスパッタパワーの供給を停止して第1のバリア膜68の表面を酸化してもよいし、スパッタパワーを供給して反応性スパッタ法により酸窒化チタンよりなる第2のバリア膜68を形成してもよい。
【0149】
このようにすると、第1のバリア膜67を形成した後にSIPチャンバからシリコン基板30を取り出さずに第2のバリア膜68を続けて形成することができるので、半導体装置の量産効率が高められる。
【0150】
更に、いずれの酸化方法を用いる場合であっても、酸素原子を含む第2のバリア膜68は第1のバリア膜67よりも電気抵抗が高いので、第2のバリア膜68を第1のバリア膜67よりも薄くしてこれらの積層膜全体の電気抵抗を低くするのが好ましい。
【0151】
次に、図21(a)に示すように、第2のバリア膜68の上に導電性の第3のバリア膜69としてスパッタ法により窒化チタン膜を50nm程度の厚さに形成する。
【0152】
第3のバリア膜69の成膜方法は特に限定されない。第1のバリア膜67と同様に、SIPチャンバ内においてスパッタ法で第3のバリア膜69を形成してもよいし、めっき法、有機金属分解法、CSD (Chemical Solution Deposition)法、化学気相蒸着法、エピタキシャル成長法、及びMOCVD (Metal Organic CVD)法のいずれかを用いてもよい。
【0153】
これらのいずれの方法も膜の酸化を伴わないので、第3のバリア膜69の酸素濃度は第2のバリア膜68のそれよりも低くなる。
【0154】
また、第3のバリア膜69の材料も窒化チタンに限定されず、第1のバリア膜67と同様の代替物を使用し得る。但し、第1のバリア膜67と同一の成膜装置を使用でき、新たな設備投資が不要になるという観点からすると、第1のバリア膜67と同じ材料の膜を第3のバリア膜68として形成するのが好ましい。
【0155】
このように第3のバリア膜69を形成することにより、水素やフッ素等の元素に対する第1及び第2のバリア膜67、68のバリア性を補うことができる。
【0156】
更に、第1のバリア膜67と第3のバリア膜69の間に第2のバリア膜68が介在するので、第1のバリア膜67と第2のバリア膜68の互いの結晶粒界がずれるようになり、結晶粒界を通じた水素やフッ素の侵入を防止し易くなる。
【0157】
なお、第3のバリア膜69は、このように水素等からキャパシタQを保護するものであるが、第1及び第2のバリア膜67、68のみで水素等を十分にバリアできる場合には、省略してもよい。
【0158】
次いで、図21(b)に示すように、第3のバリア膜69の上にプラグ用の導電膜74としてCVD法によりタングステン膜を300nm程度の厚さに形成し、導電膜74により各ホール71a〜71cを完全に埋め込む。
【0159】
そのCVD法では、六フッ化タングステンガスと水素ガスとの混合ガスが使用される。上記のように、第2のバリア膜68は、その膜中の酸素によって水素やフッ素に対するバリア性が高められている。そのような第2のバリア膜68の高いバリア性により、導電膜74の成膜雰囲気からキャパシタQを保護することができ、図7に示したような空洞が上部電極63等に形成されたり、キャパシタ誘電体膜62の強誘電体特性が劣化したりするのを防ぐことが可能となる。
【0160】
なお、導電膜74はタングステン膜に限定されず、銅膜やポリシリコン膜であってもよい。このうち、銅膜については、成膜雰囲気に水素が含まれるCVD法で成膜する場合に、第2のバリア膜68による水素バリアの実益が特に得られる。また、ポリシリコン膜の成膜雰囲気にも水素が含まれるので、水素バリア性の高い第2のバリア膜68を形成することにより水素からキャパシタQを保護するのが好ましい。
【0161】
次に、図22に示すように、キャップ絶縁膜73の上面の余分なバリア膜67〜69と導電膜74とをCMP法により研磨し、これらの膜を各ホール71a〜71c内にのみ第2の導電性プラグ77として残す。
【0162】
この後に、アルゴンプラズマを用いたエッチングにより第2の導電性プラグ77の上面の自然酸化膜を除去する。
【0163】
次いで、図23に示すように、第2の導電性プラグ77とキャップ絶縁膜73の上に金属積層膜を形成し、この金属積層膜をパターニングして一層目金属配線78を形成する。
【0164】
その金属積層膜として、例えば、スパッタ法により厚さ約50nmの窒化チタン膜、厚さ約550nmの銅含有アルミニウム膜、厚さ約5nmのチタン膜、及び厚さ約50nmの窒化チタン膜をこの順に形成する。
【0165】
更に、この一層目金属配線78の上に、図示のように第3〜第6の層間絶縁膜83〜86と二層目〜五層目金属配線79〜82を交互に積層して多層配線構造を形成する。
【0166】
そして、最上層の五層目金属配線82の上に、酸化シリコンよりなる第1のパッシベーション膜87と窒化シリコンよりなる第2のパッシベーション膜88をこの順に形成する。
【0167】
その後、第2のパッシベーション膜88の上にポリイミド塗膜を形成し、それを熱硬化させて保護絶縁膜89とする。
【0168】
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
【0169】
本実施形態では、図20(b)を参照して説明したように、第1のバリア膜67の表面を酸化することにより、第1のバリア膜67よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜68を形成した。このように第1のバリア膜67よりも酸素濃度が高められた第2のバリア膜68は、第1のバリア膜67と比較して水素やフッ素等に対するバリア性が優れている。
【0170】
よって、半導体装置の製造途中に仮に上部電極63の上に異物が付着し、その異物の上に第1及び第2のバリア膜67、68が形成されたとしても、これらの膜のバリア性を維持することが可能となる。その結果、例えばプラグ用の導電膜74を成膜する際(図21(b))、成膜雰囲気中の水素やフッ素がキャパシタQに到達し難くなり、これらの元素が原因の空洞が上部電極63に発生するのを抑制することが可能となる。これにより、上部電極63と第2の導電性プラグ77とのコンタクト抵抗が安定し、半導体装置の歩留まりが向上する。
【0171】
更に、このように第2のバリア膜68が水素をバリアすることから、水素によってキャパシタ誘電体膜62が還元するのを防止できる。その結果、残留分極電荷量等のキャパシタ誘電体膜62の強誘電体特性を維持することができ、半導体装置のリテンション特性を向上させることができるようになる。
【0172】
ところで、上記では、第1のバリア膜67の上に酸素濃度が高い第2のバリア膜68を形成したが、これらの膜の形成順序を逆にすることも考えられる。その場合、上部電極63と下部電極61が第2のバリア膜68に接触することになる。但し、上部電極63として酸化イリジウム膜のような酸化貴金属膜を形成する場合は、第2のバリア膜68と酸化貴金属膜が反応してコンタクト抵抗が上昇するおそれがある。よって、この場合は、本実施形態のように第1のバリア膜67の上に第2のバリア膜68を形成するのが好ましい。
【0173】
また、第2のバリア膜68は膜中の酸素によって電気抵抗が第1のバリア膜67や第3のバリア膜68よりも高い。したがって、第2の導電性プラグ71を低抵抗化するという観点からすると、第1のバリア膜67や第3のバリア膜69よりも薄く第2のバリア膜68を形成するのが好ましい。
【0174】
以下に、本実施形態に関連して本願発明者が行った調査について説明する。
【0175】
・第1の調査
この調査では、バリア膜のバリア性がスロット番号にどのように依存するかが調べられた。なお、スロット番号は、1ロット(25枚)内におけるシリコン基板の処理順序を昇順で表すものであり、1ロット内での最初の基板はスロット1で、最後の基板はスロット25で表される。
【0176】
図24(a)、(b)は、この調査で使用された第1及び第2のサンプルS1、S2の断面図である。
【0177】
図24(a)に示されるように、第1のサンプルS1は、シリコン基板40の上に酸化シリコン膜44、酸化イリジウム膜54、及び窒化チタン膜55をこの順に形成してなる。このうち、酸化イリジウム膜54は上部電極63(図22参照)に相当する。また、最上層の窒化チタン膜55はバリア膜に相当し、その膜厚は100nmである。
【0178】
一方、図24(b)に示されるように、第2のサンプルS2では、窒化チタン膜55を二層に分けて形成し、それらの間に窒化チタンを自然酸化することにより酸窒化チタン膜56を形成した。その酸窒化チタン膜56は、窒化チタン膜55を大気に5分間曝すことにより形成され、本実施形態の第2のバリア膜68に相当する。なお、酸窒化チタン膜56の上下の窒化チタン膜55の厚さはいずれも50nmである。
【0179】
図25(a)は、各サンプルS1、S2における水素濃度をSIMS (Secondary Ionization Mass Spectrometer)により測定して得られたグラフである。
【0180】
これらのグラフの横軸は各サンプルの表面からの深さを示し、縦軸は水素や酸素等の濃度を示す。
【0181】
この調査では、1ロットのスロット1とスロット24にサンプルS1を入れた。なお、スロット2〜スロット23はすべてダミーウエハである。そして、スロット25にサンプルS2を入れた。
【0182】
図25(a)に示されるように、サンプルS1の単層のチタン膜55における水素濃度は、スロット1とスロット24で異なっている。特に、スロット24における水素濃度が高く、スロット番号が増えるにつれて窒化チタン膜55のバリア性が低下することが分かる。
【0183】
これは、スパッタチャンバで窒化チタン膜を成膜していくうちにチャンバが温められ、チャンバ内のスパッタ雰囲気が変動するためと推測される。
【0184】
このように、サンプルS1のような単層のチタン膜55をバリア膜としたのでは、バリア性の低下によって半導体装置の歩留まりが低下するおそれがある。
【0185】
一方、サンプルS2は、スロット1と比較してスパッタ雰囲気が最も変動すると考えられるスロット25に入れたにも関わらず、窒化チタン膜55における水素濃度がスロット24よりも少ない。これは、酸窒化チタン膜56により水素がバリアされているためと考えられる。
【0186】
この結果から、サンプルS2のように酸窒化チタン膜56を形成することにより水素のバリア性が高められ、且つ窒化チタン膜の成膜雰囲気変動に伴うバリア性の変動も少なくなることが明らかとなった。そのため、1ロットの全てのスロットにおいてバリア性が良好となり、単層の窒化チタン膜をバリア膜とする場合よりも半導体装置の歩留まりを向上させることが可能となる。
【0187】
図25(b)は、図25(a)と同じサンプルについて、酸素濃度をSIMSにより調査して得られたグラフである。
【0188】
これに示されるように、スロット25における第2のサンプルS2では、窒化チタン膜の途中の深さにおいて酸素濃度が高い。これにより、窒化チタン膜55の途中の深さに実際に酸窒化チタン膜56が形成されていることが確認された。
【0189】
・第2の調査
図25(a)に示したように、単層の窒化チタン膜を形成するサンプルS1では、窒化チタン膜のバリア性がスロット番号に依存する。
【0190】
本調査では、窒化チタン膜の組成がスロット番号にどのように依存するかをRBS(Rutherford Backscattering Spectroscopy)分析により調査した。その結果を図26(a)〜(c)に模式的に示す。
【0191】
これらの図に示されるように、この調査では、酸化イリジウム膜54の上にTEOSガスを用いて酸化シリコン膜64を形成し、その酸化シリコン膜64にホール64aを形成した。
【0192】
そして、図26(a)、(b)のサンプルでは、ホール64a内に単層の窒化チタン膜55を100nmの厚さにスパッタ法で形成した後、ホール64a内をタングステン膜75で充填した。
【0193】
一方、図26(c)のサンプルでは、ホール64a内にスパッタ法で窒化チタン膜55を50nmの厚さに形成した後、その表面を大気中で5分間自然酸化させて酸窒化チタン膜56を形成した。そして、この酸窒化チタン膜56の上に再びスパッタ法により窒化チタン膜55を50nmの厚さに形成し、その上にタングステン膜75を形成した。
【0194】
この調査でも、第1の調査と同様に、図26(a)、(b)のサンプルをそれぞれ1ロットのスロット1とスロット24に入れ、図26(c)のサンプルをスロット25に入れた。
【0195】
図26(a)に示されるように、スロット1における単層の窒化チタン膜55は、その下部におけるチタンの組成比が46%で窒素の組成比が54%である。しかし、その上部ではチタンが47.5%、窒素が52.5%となっている。図26(a)では、そのような組成比の違いをハッチングの濃さにより模式的に示している。
【0196】
このことから、単層の窒化チタン膜55は、その成膜途中でも組成比が変動してしまうことが明らかとなった。
【0197】
同様に、図26(b)に示すように、スロット25における単層の窒化チタンでも、膜中で組成比が変動している。
【0198】
更に、図26(a)、(b)を比較すると、スロット番号によっても組成比が変動しているのが理解される。このように組成比が変動すると、水素等に対するバリア性もスロット番号によって変動してしまう。
【0199】
これに対し、図26(c)に示されるように、窒化チタン膜55の途中に酸窒化チタン膜56を形成すると、酸窒化チタン膜56の上下のチタン膜55の組成比が同じになり、組成比の変動が抑制される。
【0200】
このように、本実施形態のように酸窒化チタン膜を形成すると、水素のバリア性が高められるだけでなく、窒化チタン膜の組成変動も抑制できるので、水素のバリア性が成膜の最中に変動したり、スロット番号によって変動したりするのを抑制できるようになる。
【0201】
・第3の調査
本調査では、酸窒化チタン膜のバリア性について、SIMSにより更に調べられた。
【0202】
その調査結果を図27に示す。
【0203】
調査に使用されたサンプルは、図27の図中に示されるように、シリコン(Si)基板の上に酸化シリコン(SiO2)膜と窒化チタン(TiN)膜とをこの順に形成してなる。このうち、窒化チタン膜については、最初に50nmの厚さまでスパッタ法で形成した後、その表面を大気中で5分間自然酸化して酸窒化チタン(TiON)膜を形成し、その上に再度スパッタ法で50nmの厚さに形成した。
【0204】
そして、図27の横軸は窒化チタン膜の表面からの深さを示し、縦軸は各元素の濃度を示す。
【0205】
調査に際しては、このサンプルを重水素Dの雰囲気中において基板温度400℃の条件で30分間アニールした。このように水素ではなく重水素を用いたのは、重水素の方がバックグラウンドのノイズが少なく、測定に適しているからである。
【0206】
図27に示されるように、重水素Dは、シリコン基板の裏面側(図の右側)から侵入し、窒化チタン膜50の表面に近づくほどその濃度が減少している。これにより、酸窒化チタンが重水素Dに対するバリア性を有していることが明らかとなった。
【0207】
なお、水素Hの濃度は重水素Dよりも高いが、これは水素のバックグラウンドが重水素Dのそれよりも高いためであり、酸窒化チタン膜を水素が透過していることを示すものではない。
【0208】
また、酸素濃度については、窒化チタン膜の途中の深さにピークBを有しているので、このことからも窒化チタン膜の自然酸化によって酸窒化チタン膜が形成され得ることが確認された。
【0209】
(3)第2実施形態
第1実施形態ではプレーナ型のFeRAMについて説明した。
【0210】
これに対し、本実施形態では、下部電極の直下に導電性プラグが形成されるスタック型のFeRAMについて説明する。スタック型のFeRAMは、プレーナ型と比較してキャパシタの占有面積が少なく、高集積化に有利である。
【0211】
図28〜図42は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0212】
この半導体装置は以下のようにして製造される。
【0213】
まず、図28(a)に示すように、第1実施形態の図8(a)、(b)の工程に従い、シリコン基板30にMOSトランジスタTRを形成すると共に、そのMOSトランジスタTRをカバー絶縁膜41と第1の層間絶縁膜42で覆う。
【0214】
次いで、図28(b)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより各絶縁膜41、42にコンタクトホールを形成し、その中に第1の導電性プラグ43を形成する。
【0215】
第1実施形態で説明したように、この第1の導電性プラグ43はタングステンを主成分にしており、酸素含有雰囲気中で容易に酸化してコンタクト不良を起こし易い。
【0216】
そこで、次の工程では、図28(c)に示すように、第1の導電性プラグ43の酸化を防止する酸化防止絶縁膜92としてCVD法により酸窒化シリコン膜を厚さ約130nmに形成する。
【0217】
なお、酸窒化シリコン膜に代えて、窒化シリコン膜やアルミナ膜を酸化防止絶縁膜92として形成してもよい。
【0218】
更に、この酸化防止絶縁膜92の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約300nmに形成し、この酸化シリコン膜を第2の層間絶縁膜93とする。
【0219】
そして、フォトリソグラフィとエッチングにより、第1のソース/ドレイン領域36aの上方の各絶縁膜92、93に第1のホール93aを形成し、第1の導電性プラグ43と電気的に接続された第2の導電性プラグ91をその第1のコンタクトホール93a内に形成する。
【0220】
第2の導電性プラグ91の形成方法は特に限定されない。
【0221】
本実施形態では、第2の層間絶縁膜93の上面と第1のホール93aの内面に窒化チタン膜とタングステン膜とをこの順に形成し、これらをCMP法により研磨して第1のホール93a内にのみ第2の導電性プラグ91として残す。
【0222】
そのCMPでは、研磨対象である窒化チタン膜とタングステン膜の研磨速度が下地の第2の層間絶縁膜93の研磨速度よりも速くなるようなスラリ、例えばCabot Microelectronics Corporation製のSSW2000を使用する。そして、第2の層間絶縁膜93の上に研磨残を残さないために、このCMPの研磨量は窒化チタン膜とタングステン膜との合計膜厚よりも厚く設定され、このCMPはオーバー研磨となる。
【0223】
その結果、第2の導電性プラグ91の上面の高さが第2の層間絶縁膜93のそれよりも低くなり、第2の導電性プラグ91の周囲の第2の層間絶縁膜93にリセスが形成されることがある。そのリセスの深さは20〜50nmであり、典型的には約50nm程度である。
【0224】
次に、図29(a)に示すように、第2の層間絶縁膜93の表面に対してNH3プラズマ処理を行い、第2の層間絶縁膜93の表面の酸素原子にNH基を結合させる。
【0225】
このNH3プラズマ処理は、例えば、シリコン基板30に対して約9mm離間した位置に対向電極を有する平行平板型プラズマ処理チャンバを用い、266Paの圧力下で基板温度を400℃とし、チャンバにNH3ガスを350sccmの流量で供給して行われる。この場合、シリコン基板30側に13.56MHzの高周波電力を100Wのパワーで、そして対向電極に350kHzの高周波電力を55Wのパワーで60秒間供給する。
【0226】
次いで、図29(b)に示すように、第2の層間絶縁膜93と第2の導電性プラグ91のそれぞれの上に下地導電膜94としてスパッタ法によりチタン膜を厚さ100〜300nm、例えば100nmに形成する。
【0227】
このチタン膜の成膜条件は特に限定されない。本実施形態では、チタンターゲットとシリコン基板30との間隔を60mmに設定したスパッタチャンバにおいて、0.15Paのアルゴン雰囲気下で基板温度を20℃とする。そして、2.6kWのDC電力をスパッタ雰囲気に35秒間印加し、上記のチタン膜を形成する。
【0228】
また、下地導電膜94はチタン膜に限定されず、タングステン膜、シリコン膜、及び銅膜のいずれかを下地導電膜94として形成してもよい。
【0229】
ここで、図29(a)の工程で予めNH3プラズマ処理により第2の層間絶縁膜93の表面の酸素原子にNH基を結合させておいたので、下地導電膜94のチタンが酸素原子に捕獲され難くなる。そのため、チタンが第2の層間絶縁膜93の表面を自在に移動でき、(002)方向に自己組織化されたチタンからなる下地導電膜94が得られる。
【0230】
この後に、窒素雰囲気中で下地導電膜94に対してアニールをし、下地導電膜94のチタンを窒化する。このように窒化により得られた窒化チタンは、後述のPZTを(111)方向に揃えるのに好適は(111)配向となる。
【0231】
なお、このアニールの条件は特に限定されないが、本実施形態ではRTAにより基板温度を約650℃、処理時間を約60秒としてこのアニールを行う。
【0232】
ところで、第2の層間絶縁膜93の上面には、図28(c)の工程におけるCMPをオーバー研磨で行ったことにより、第2の導電性プラグ91の周囲に既述のようなリセスが形成されている場合がある。よって、下地導電膜94の上面には、このリセスを反映した凹凸が形成されることがある。
【0233】
しかしながら、このような凹凸があると、下地導電膜94の上方に後で形成される強誘電体膜の結晶性が劣化するおそれがある。
【0234】
そこで、次の工程では、図29(c)に示すように、CMP法により下地導電膜94の上面を研磨して平坦化する。このCMPで使用されるスラリは特に限定されないが、本実施形態ではCabot Microelectronics Corporation製のSSW2000を使用する。
【0235】
このCMPを行った後の下地導電膜94の厚さは、研磨誤差に起因して、シリコン基板30の面内や、複数のシリコン基板30間でばらつく。そのばらつきを考慮して、本実施形態では、研磨時間を制御することによりCMP後の下地導電膜94の厚さの目標値を50〜100nm、より好ましくは50nmとする。
【0236】
このように下地導電膜94に対してCMPを行った後では、下地導電膜94の上面付近の結晶が研磨によって歪んだ状態となっている。しかし、このように結晶に歪が発生している下地導電膜94の上方にキャパシタの下部電極を形成すると、その歪みを下部電極が拾ってしまって下部電極の結晶性が劣化し、ひいてはその上の強誘電体膜の強誘電体特性が劣化することになる。
【0237】
このような不都合を回避するため、次の工程では、図30(a)に示すように、下地導電膜94に対してNH3プラズマ処理を行うことにより、下地導電膜94の結晶の歪みがその上の膜に伝わらないようにする。
【0238】
なお、このNH3プラズマ処理の条件は、図29(a)のNH3プラズマ処理におけるのと同様なので、ここでは省略する。
【0239】
次に、図30(b)に示すように、上記のNH3プラズマ処理によって結晶の歪みが解消された下地導電膜94の上に、結晶性導電膜95としてスパッタ法によりチタン膜を厚さ約20nmに形成する。更に、窒素雰囲気中で基板温度を650℃、処理時間を60秒とするRTAを結晶性導電膜95に対して行い、結晶性導電膜95を窒化する。
【0240】
これにより、(111)方向に配向した窒化チタンよりなる結晶性導電膜95が得られる。
【0241】
結晶性導電膜95は、自身の配向の作用によってその上に後で形成される膜の配向を高める機能の他に、密着膜としての機能も有する。
【0242】
結晶性導電膜95は窒化チタン膜に限定されない。例えば、20nm程度の薄いイリジウム膜やプラチナ膜等の貴金属膜を結晶性導電膜95として形成してもよい。
【0243】
次いで、図30(c)に示すように、結晶性導電膜95の上に導電性酸素バリア膜96として窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜を厚さ約100nmに形成する。
【0244】
この窒化チタンアルミニウム膜は、チタンとアルミニウムの合金よりなるターゲットをアルゴンガスと窒素ガスとの混合雰囲気中でスパッタする反応性スパッタ法により形成され得る。その場合、アルゴンガス流量は約40sccmに設定され、窒素ガス流量は約10sccmとされる。また、圧力は約253.3Pa、基板温度は400℃、スパッタパワーは1.0kWとされる。
【0245】
次に、図31(a)に示すように、導電性酸素バリア膜96の上にスパッタ法でイリジウム膜を形成し、そのイリジウム膜を第1の導電膜97とする。
【0246】
このイリジウム膜は、例えば、0.11Paの圧力下、500℃の基板温度で、0.5kWのスパッタパワーで約100nmの厚さに形成される。
【0247】
なお、第1の導電膜97はイリジウム膜に限定されず、イリジウム膜以外の貴金属膜、例えばプラチナ膜であってもよい。更に、PtO、IrOx、SrRuO3等の導電性酸化金属よりなる膜を第1の導電膜97として形成してもよい。
【0248】
次いで、図31(b)に示すように、第1の導電膜97の上に、第1の強誘電体膜98としてMOCVD法によりPZT膜を厚さ約100nmに形成する。
【0249】
そのMOCVD法は次のようにして行われる。
【0250】
まず、Pb(DPM)2(化学式Pb(C11H19O2)2))、Zr(dmhd)4(化学式Zr(C9H15O2)4)、及びTi(O−iOr)2(DPM)2(化学式Ti(C3H7O)2(C11H19O2)2)のそれぞれをTHF(Tetra Hydro Furan: C4H8O)溶媒中にいずれも0.3mol/lの濃度で溶解し、Pb、Zr、及びTiの各液体原料を作成する。次いで、これらの液体原料をMOCVD装置の気化器にそれぞれ0.326ml/分、0.200ml/分、および0.200ml/分の流量で供給して気化させることにより、Pb、Zr、及びTiの原料ガスを得る。なお、上記の気化器には、各液体原料と共に、流量が0.474ml/分のTHF溶媒も供給される。
【0251】
更に、上記の原料ガスをチャンバに供給しながら、チャンバ内の圧力を665Paにし、基板温度を620℃に維持する。そして、このような状態を620秒間維持することにより、上記したPZT膜が100nmの厚さに形成される。
【0252】
MOCVD法により形成された第1の強誘電体膜98は、成膜の時点で結晶化しているので、結晶化アニールは不要である。
【0253】
なお、第1の強誘電体膜98の成膜方法はMOCVD法に限定されず、スパッタ法、ゾル・ゲル法、有機金属分解(MOD: Metal Organic Deposition)法、CSD(Chemical Solution Deposition)法、及びエピタキシャル成長法で第1の強誘電体膜98を形成してもよい。これらのうち、例えばスパッタ法では、成膜の時点では第1の強誘電体膜98は結晶化していないので、その成膜の後に第1実施形態のように結晶化アニールを行うことになる。
【0254】
また、第1の強誘電体膜98はPZTに限定されない。PZTにCa、Sr、La、Nb、Ta、Ir、及びWのいずれかを添加した材料よりなる膜を第1の強誘電体膜98として形成してもよい。更に、(Bi1-xRx)Ti3O12(Rは希土類元素で0<x<1)、SrBi2Ta2O9(SBT)、及びSrBi4Ti4O15等のBi層状化合物の膜を第1の強誘電体膜98として形成してもよい。
【0255】
次いで、図31(c)に示すように、RFスパッタ法により第1の強誘電体膜98の上にPZT膜を約1〜30nm、例えば20nmに形成し、このPZT膜を第2の強誘電体膜99とする。このようにスパッタ法で形成されたPZTは成膜直後では結晶化していないので、この時点では第2の強誘電体膜99は非晶質となっている。
【0256】
その後に、図32(a)に示すように、第2の強誘電体膜99の上に第2の導電膜100としてスパッタ法で酸化イリジウム膜を厚さ10〜75nm、例えば50nmに形成する。
【0257】
そのスパッタ法では、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスでイリジウムターゲットをスパッタすることにより、イリジウムターゲットから飛散したイリジウムをスパッタ雰囲気中で酸化し、上記の酸化イリジウム膜を形成する。
【0258】
また、第2の導電膜100の成膜条件は特に限定されないが、本実施形態では基板温度を300℃とし、スパッタパワーを1〜2kW程度とする。このような条件を採用することで、成膜の時点で結晶化した酸化イリジウム膜が形成される。
【0259】
なお、第2の導電膜100は酸化イリジウム膜に限定されない。プラチナ、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、及びパラジウムのいずれかよりなるスパッタターゲットを用い、これらの金属が酸化する条件でスパッタをすることで、第2の導電膜100を形成してもよい。
【0260】
続いて、図32(b)に示すように、第2の導電膜100が形成されている状態で第2の強誘電体膜99に対して結晶化アニールを行い、第2の強誘電体膜99のPZTを結晶化させる。
【0261】
この結晶化アニールは酸素含有雰囲気中で行われるため、アニール雰囲気から第2の強誘電体膜99に酸素が供給され、第2の強誘電体膜99の酸素欠損が補償される。更に、この結晶化アニールによって、第2の導電膜100の形成時に第2の強誘電体膜99が受けたプラズマダメージを回復できるという利点も得られる。
【0262】
本実施形態では、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気中でRTAによりこのアニールを行う。ガス流量は特に限定されないが、酸素ガスの流量を20sccm、アルゴンガスの流量を2000sccmとする。また、処理時間は60秒とし、基板温度は650〜750℃、例えば725℃とする。
【0263】
この後に、図33(a)に示すように、第2の導電膜100の上にスパッタ法により酸化イリジウム膜を厚さ約100〜300nmに形成し、その酸化イリジウム膜を第1の導電性保護膜101とする。
【0264】
この第1の導電性保護膜101の成膜条件は特に限定されない。
【0265】
本実施形態では、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスを使用すると共に、成膜圧力を0.8Paとする。そして、1.0kWのスパッタパワーで成膜時間を79秒とすることで、厚さが約200nmの酸化イリジウムよりなる第1の導電性保護膜101を形成する。
【0266】
その第1の導電性保護膜101の膜中で酸素が不足すると、還元作用のあるイリジウムが第1の導電性保護膜101で占める割合が増えてしまう。こうなると、水分等が第1の導電性保護膜101で還元されて水素となり、その水素によって第1及び第2の強誘電体膜98、99が劣化するおそれがある。
【0267】
そのため、第1の導電性保護膜101の酸化イリジウムとして、その組成が酸化イリジウムの化学量論的組成(IrO2)になるべく近いものを用いることで、膜中でイリジウムが占める割合を低減し、水素による強誘電体膜98、99の劣化を防止するのが好ましい。その酸化イリジウムの組成は、スパッタガス中の酸素ガスの流量比を調節することである程度制御できる。
【0268】
なお、第1の導電性保護膜101の材料は酸化イリジウムに限定されない。酸化イリジウムに代えて、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、及びパラジウムのいずれかの膜、又はこれらの酸化物よりなる膜、若しくはSrRuO3膜のいずれかの単層膜又はこれらの積層膜を第1の導電性保護膜101として形成してもよい。
【0269】
次に、図33(b)に示すように、第1の導電性保護膜101の上に第2の導電性保護膜102としてイリジウム膜をスパッタ法で厚さ約100nmに形成する。
【0270】
そのスパッタ法では、スパッタガスとしてアルゴンガスを使用すると共に、成膜圧力を1Pa、スパッタパワーを1.0kWとする。
【0271】
なお、イリジウム膜に代えて、プラチナ膜或いはSrRuO3膜を第2の導電性保護膜102として形成してもよい。
【0272】
この後に、第1及び第2の強誘電体膜98、99を形成するときにシリコン基板30の裏面に付着したPZTを洗浄して除去する。
【0273】
次に、図34(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0274】
まず、第2の導電性保護膜102の上にスパッタ法で窒化チタン膜を形成し、その窒化チタン膜を第1のハードマスク103とする。
【0275】
第1のハードマスク103は窒化チタン膜に限定されない。窒化チタンアルミニウム膜、窒化タンタルアルミニウム(TaAlN)膜、窒化タンタル(TaN)膜のいずれかの単層膜或いはこれらの積層膜を第1のハードマスク103として形成してもよい。
【0276】
そして、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、第1のハードマスク103の上に第2のハードマスク104として酸化シリコン膜を形成する。
【0277】
その後に、フォトリソグラフィとエッチングにより第1及び第2のハードマスク103、104をパターニングし、これらのマスクを図示のような島状とする。
【0278】
次いで、図34(a)に示すように、HBr、O2、Ar、及びC4F8の混合ガスをエッチングガスとするプラズマエッチングにより、第1及び第2のハードマスク103、104で覆われていない部分の各膜97〜102をドライエッチングする。
【0279】
これにより、第1の導電膜97と第2の導電膜100がそれぞれ下部電極97a及び上部電極100aとなり、第1及び第2の強誘電体膜98、99がキャパシタ誘電体膜98aとなる。
【0280】
ここまでの工程により、シリコン基板30のセル領域に、下部電極97a、キャパシタ誘電体膜98a、及び上部電極100aを備えた強誘電体キャパシタQが形成されたことになる。
【0281】
次いで、図35(a)に示すように、ドライエッチング又はウエットエッチングにより第2のハードマスク104を除去する。
【0282】
そして、図35(b)に示すように、キャパシタQで覆われていない部分の下地導電膜94、結晶性導電膜95、及び導電性酸素バリア膜96をドライエッチングして除去する。
【0283】
このエッチングは、例えば、ダウンフロー型プラズマエッチングチャンバを用い、流量比で5%のCF4ガスと95%のO2ガスとの混合ガスをエッチングガスとして行われる。また、チャンバの上部電極には周波数が2.45GHzでパワーが1400Wの高周波電力が供給され、基板温度は200℃とされる。
【0284】
なお、第1のハードマスク103は、このエッチングでは除去されず、キャパシタQの上に残存する。
【0285】
続いて、図36(a)に示すように、シリコン基板30の上側全面に第1のアルミナ膜110をスパッタ法により厚さ約20nmに形成する。なお、スパッタ法に代えて、MOCVD法により厚さ約2〜5nmのアルミナ膜を形成するようにしてもよい。
【0286】
その後に、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜98aが受けたダメージを回復させる目的で、酸素含有雰囲気中でキャパシタ誘電体膜98aに対して回復アニールを施す。この回復アニールの条件は特に限定されないが、本実施形態では、炉内において基板温度550〜700℃、例えば600℃として行われる。
【0287】
続いて、図36(b)に示すように、第1のアルミナ膜110の上にMOCVD法により第2のアルミナ膜111を厚さ約38nmに形成する。
【0288】
第1及び第2のアルミナ膜110、111は、水素等の還元性物質をバリアする機能を有しており、キャパシタ誘電体膜98aが還元されてその強誘電体特性が劣化するのを防止する役割を担う。
【0289】
次に、図37(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0290】
まず、第2のアルミナ膜111の上にプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約1500nmに形成し、その酸化シリコン膜を第3の層間絶縁膜112とする。そのプラズマCVD法では、例えば、TEOSガスと酸素ガスとヘリウムガスとの混合ガスが成膜ガスとして使用される。
【0291】
その後に、この第3の層間絶縁膜112の上面をCMP法により研磨して平坦化する。
【0292】
次いで、N2Oプラズマ又はN2プラズマの雰囲気において第3の層間絶縁膜112をアニールすることにより、第3の層間絶縁膜112を脱水すると共に、その上面を窒化して水分の再吸着を防止する。
【0293】
次に、水素等からキャパシタ誘電体膜98aを保護するために、第3の層間絶縁膜112の上にスパッタ法又はMOCVD法により第3のアルミナ膜を厚さ約20〜100nmに形成する。
【0294】
更に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、この第3のアルミナ膜113の上に酸化シリコン膜を厚さ約800〜1000nmに形成し、この酸化シリコン膜をキャップ絶縁膜114とする。
【0295】
なお、酸化シリコン膜に代えて、酸窒化シリコン膜又は窒化シリコン膜をキャップ絶縁膜114として形成してもよい。
【0296】
次いで、図37(b)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより各絶縁膜110〜114をパターニングし、上部電極100aの上方のこれらの絶縁膜に第1のホール112aを形成する。
【0297】
そして、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜98aが受けたダメージを回復させるために、酸素含有雰囲気中で基板温度を約450℃として回復アニールを行う。
【0298】
次に、図38(a)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより、第2のソース/ドレイン領域36bの上方の各絶縁膜92、93、110〜114に第2のホール112bを形成する。
【0299】
その後に、アニールにより第3の層間絶縁膜113等を脱水する。そのアニールは、第2のホール112bから露出している第1の導電性プラグ43の酸化を防ぐために、不活性ガス雰囲気中又は減圧雰囲気中で行うのが好ましい。
【0300】
次に、図38(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0301】
まず、アルゴンプラズマを用いるRFエッチングにより、各ホール112a、112bから露出している第2の導電性保護膜102と第1の導電性プラグ43の上面の自然酸化膜を除去する。
【0302】
そして、各ホール112a、112bの内面、及び第1のホール112aから露出する第2の導電性保護膜102の表面に導電性の第1のバリア膜118としてスパッタ法により窒化チタン膜を75nm程度の厚さに形成する。
【0303】
第1のバリア膜118は、水素やフッ素等をバリアすることにより、これらの元素によってキャパシタQに空洞等が形成されるのを防止するために形成される。
【0304】
なお、第2のソース/ドレイン領域36bの上方の第2のホール112bのアスペクト比は第1のホール112aよりも高い。よって、第1実施形態で説明したSIP技術を用いたスパッタ法を用いることで、各ホール112a、112b内にカバレッジの良好な第1のバリア膜118を形成するのが好ましい。
【0305】
また、第1のバリア膜118の成膜条件は特に限定されないが、本実施形態では、チタンターゲットが設けられたSIPチャンバにアルゴンガスと窒素ガスとを導入し、基板温度を150〜250℃、例えば200℃として第1のバリア膜118を形成する。そして、各ガスの流量は、例えばアルゴンガスが50sccm、窒素ガスが90sccmとされる。
【0306】
第1のバリア膜118は窒化チタン膜に限定されない。第1のバリア膜118の材料としては、窒化チタンの他に、TaN、CrN、HfN、ZrN、TiAlN、TaAlN、TiSiN、TaSiN、CrAlN、HfAlN、及びZrAlN等の窒化金属を使用し得る。また、TiON、TaON、CrON、HfON、ZrON、TiAlON、TaAlON、CrAlON、HfAlON、ZrAlON、TiSiON、及びTaSiONのような酸窒化金属を第1のバリア膜118の材料として使用してもよい。更に、Ir及びRuのような貴金属や、それらの酸化物であるIrOx及びRuOxのいずれかの膜を第1のバリア膜118として形成してもよい。また、Ti膜、Ta膜、及びそれらの窒化膜であるTiN膜、TaN膜を積層してなるTi/TiN膜、Ti/TaN膜、Ta/TiN膜、及びTa/TaN膜のいずれかを第1のバリア膜118として形成してもよい。
【0307】
続いて、図39(a)に示すように、第1のバリア膜118を大気に曝してその表面を自然酸化することにより、酸窒化チタン(TiON)よりなる導電性の第2のバリア膜119を第1のバリア膜118の上に数オングストロームの厚さに形成する。その自然酸化は、基板温度を0〜100℃に保持しながら、例えば5分〜7日間の期間行われる。
【0308】
第1実施形態で説明したように、酸窒化チタン膜は、水素やフッ素等に対するバリア性が高いので、第1のバリア膜118を単層で使用する場合よりもキャパシタQがこれらの元素に曝される危険性を低減することが可能となる。
【0309】
なお、自然酸化に代えて、アニールにより第1のバリア膜118の表面を酸化して第2のバリア膜119を形成してもよい。その場合、過剰な酸化によって第2のバリア膜119の電気抵抗が低下するのを防ぐため、500℃以下の基板温度でアニールをするのが好ましい。
【0310】
更に、量産効率を上げるため、第1のバリア膜118の形成に使用したSIPチャンバを引き続いて使用し、そのSIPチャンバに酸素を導入することにより第1のバリア膜67の表面を酸化してもよい。
【0311】
次に、図39(b)に示すように、第2のバリア膜119の上に導電性の第3のバリア膜120としてスパッタ法により窒化チタン膜を75nm程度の厚さに形成する。
【0312】
第3のバリア膜120の成膜方法は特に限定されない。第1のバリア膜118と同様に、SIPチャンバ内においてスパッタ法で第3のバリア膜120を形成してもよいし、めっき法、有機金属分解法、CSD法、化学気相蒸着法、エピタキシャル成長法、及びMOCVD法のいずれかを用いてもよい。
【0313】
第1実施形態で説明したように、これらのいずれの方法も膜の酸化を伴わないので、第3のバリア膜120の酸素濃度は第2のバリア膜119のそれよりも低くなる。
【0314】
なお、第3のバリア膜120の材料も窒化チタンに限定されず、第1のバリア膜118と同様の代替物を使用し得る。但し、第1のバリア膜118と同一の成膜装置を使用でき、新たな設備投資が不要になるという観点からすると、第1のバリア膜118と同じ材料の膜を第3のバリア膜120として形成するのが好ましい。
【0315】
また、第3のバリア膜120は、水素等からキャパシタQを保護するものであるが、第1及び第2のバリア膜118、119のみで水素等を十分にバリアできる場合には、省略してもよい。
【0316】
続いて、図40に示すように、第3のバリア膜119の上にプラグ用の導電膜121としてCVD法によりタングステン膜を300nm程度の厚さに形成し、導電膜121により第1及び第2のホール112a、112bを完全に埋め込む。
【0317】
そのCVD法では、六フッ化タングステンガスと水素ガスとの混合ガスが使用されるが、フッ素や水素は第2のバリア膜118によってバリアされる。そのため、これらの元素が原因でキャパシタ誘電体膜98aの強誘電体特性が劣化したり、上部電極100aに空洞が発生したりするのを抑制することが可能となる。
【0318】
ここで、導電膜121はタングステン膜に限定されず、銅膜やポリシリコン膜であってもよい。第1実施形態で説明したように、これらの膜の成膜雰囲気にも水素が含まれているので、第2のバリア膜119による水素バリアの実益を得ることができる。
【0319】
次に、図41に示すように、キャップ絶縁膜114の上面の余分なバリア膜118〜120と導電膜121とをCMP法により研磨し、これらの膜を各ホール112a、112b内にのみ第3の導電性プラグ116として残す。
【0320】
その第3の導電性プラグ116のうち、キャパシタQ上に形成されたものは上部電極100aと電気的に接続され、第2のソース/ドレイン領域36b上に形成されたものは第1の導電性プラグ43と電気的に接続される。
【0321】
この後に、第3の導電性プラグ116の上面の自然酸化膜を除去するために、該上面をアルゴンプラズマのスパッタエッチングによりエッチングする。
【0322】
次に、図42に示すように、第3の導電性プラグ116とキャップ絶縁膜114のそれぞれの上にスパッタ法で金属積層膜を形成し、それをパターニングして一層目金属配線115を形成する。
【0323】
その金属積層膜として、例えば、厚さ約50nmの窒化チタン膜、厚さ約550nmの銅含有アルミニウム膜、厚さ約5nmのチタン膜、及び厚さ約50nmの窒化チタン膜をこの順に形成する。
【0324】
この後は、二層目〜五層目金属配線と層間絶縁膜とを交互に積層して多層配線構造を得るが、その詳細については省略する。
【0325】
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
【0326】
上記した本実施形態では、図39(a)を参照して説明したように、第1のバリア膜1118の表面を酸化して第2のバリア膜119を形成する。酸化によって第1のバリア膜118よりも酸素濃度が高められた第2のバリア膜119は、水素やフッ素等に対するバリア性が第1のバリア膜118よりも高い。
【0327】
よって、第1実施形態と同様に、水素やフッ素によって上部電極100aに空洞が形成されるのを防止でき、上部電極100aと第3の導電性プラグ116(図41参照)とのコンタクト抵抗を安定させることができる。
【0328】
更に、上記のように第2のバリア膜119が水素をバリアするので、キャパシタ誘電体膜98aが水素によって還元されるのを防止でき、キャパシタ誘電体膜98aの強誘電体特性、例えば残留分極電荷量等を維持することが可能となる。
【0329】
これらにより、本実施形態では、半導体装置の歩留まりとリテンション特性とを向上させることができるようになる。
【0330】
(4)第3実施形態
本実施形態が第2実施形態と異なる点は導電性プラグの形成方法のみであり、これ以外は第2実施形態と同じである。
【0331】
本実施形態では、以下のようにして導電性プラグを形成する。
【0332】
図43及び図44は、本実施形態に係る導電性プラグの製造途中の拡大断面図である。これらの図において、第2実施形態で説明した要素には第2実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0333】
まず、第2実施形態で説明した図28(a)〜図40の工程を行うことにより、図43(a)に示すように、第1ホール112aをプラグ用の導電膜121で埋め込む。その導電膜121としては、例えばタングステン膜又はポリシリコン膜を形成し得る。
【0334】
なお、同図では第2実施形態で説明した第3のアルミナ膜113とキャップ絶縁膜114(図37(a)参照)を省略しているが、第2実施形態に倣ってこれらの絶縁膜を第3の層間絶縁膜112の上に形成してもよい。
【0335】
次いで、図43(b)に示すように、第3の層間絶縁膜112の上の余分な第1〜第3のバリア膜118〜120と導電膜121をCMP法により研磨して除去する。
【0336】
図示のように、本実施形態ではそのCMPにおいてオーバー研磨を行うことにより、導電膜121の上面を第1のホール112aの途中の深さまで下げるようにする。
【0337】
次に、図44(a)に示すように、導電膜121と第3の層間絶縁膜112のそれぞれの上に銅膜130を形成する。銅膜130の形成方法は特に限定されない。例えば、第3の層間絶縁膜112の上にCVD法により予め銅シード層を形成し、それを給電層にして電解めっき法により銅膜130を形成してもよい。
【0338】
そして、図44(b)に示すように、第3の層間絶縁膜112の上の余分な銅膜130をCMP法により研磨して除去し、第1のホール112a内にのみ銅膜130を残す。
【0339】
これにより、第1のホール112a内には、第1〜第3のバリア膜118〜120、導電膜121、及び銅膜130を備えた第3の導電性プラグ116が形成されたことになる。
【0340】
以上により、本実施形態に係る導電性プラグの形成方法の主要工程が終了した。
【0341】
このような導電性プラグ116の形成方法によれば、第1のホール112aの途中の深さまで低抵抗の銅膜130を残すので、タングステン膜やポリシリコン膜等の導電膜121のみでホール112aを埋め込む場合と比較して、プラグ116の低抵抗化を図ることができる。
【0342】
更に、図44(a)の工程において形成される銅膜130は、導電膜121の上の部分におけるホール112aを埋め込む厚さであれば十分であり、ホール112aの全体を埋め込む場合よりも薄くて済む。CMPによる残膜の厚さのコントロールは、元々の厚さが薄いほど容易になる。したがって、このように銅膜130を薄く形成することにより、図44(b)の工程で銅膜130を研磨するときに銅膜130の上面の高さを第3の層間絶縁膜112の上面に合わせ易くなり、これらの上面を連続した平坦面にすることができる。
【0343】
したがって、このような導電性プラグ112の形成方法を第2の導電性プラグ91(図28(c)参照)の形成方法に適用すれば、キャパシタ誘電体膜98aの平坦性が向上し、キャパシタ誘電体膜98aの残留分極電荷量等の強誘電体特性を改善することができる。
【0344】
なお、この例では銅膜130を形成したが、これに代えてタングステン膜やポリシリコン膜を形成しても上記のように研磨面を平坦面にすることができる。
【0345】
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0346】
(付記1) 半導体基板の上方に、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタを形成する工程と、
前記キャパシタ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に、前記上部電極に達するホールを形成する工程と、
前記ホールの内面、及び前記ホールから露出する前記上部電極の表面に第1のバリア膜を形成する工程と、
前記第1のバリア膜上に、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜を形成する工程と、
前記第2のバリア膜の上方に導電膜を形成して、前記ホールを埋め込む工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0347】
(付記2) 付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のバリア膜の表面を酸化することにより、前記第2のバリア膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0348】
(付記3) 付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2のバリア膜は、前記第1のバリア膜よりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0349】
(付記4) 付記1乃至付記3のいずれに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のバリア膜はTiN膜であり、
前記第2のバリア膜はTiON膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0350】
(付記5) 付記1乃至付記4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ホールを埋め込む前に、前記第2のバリア膜上に、前記第2バリア膜よりも酸素濃度が低い第3のバリア膜を形成する工程を更に含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0351】
(付記6) 付記5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3のバリア膜は、前記第1のバリア膜と同じ材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0352】
(付記7) 半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成され、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタと、
前記キャパシタ上に形成され、前記上部電極に達するホールを有する絶縁膜と、
前記ホールの内面、及び前記ホール内における前記上部電極の表面に形成される第1のバリア膜と、
前記第1のバリア膜上に形成され、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜と、
前記第2のバリア膜の上方に形成され、前記コンタクトホールを埋め込む導電膜と、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【0353】
(付記8) 付記7に記載の半導体装置において、
前記第2のバリア膜は、前記第1のバリア膜よりも薄いことを特徴とする半導体装置。
【0354】
(付記9) 付記7又は付記8に記載の半導体装置において、
前記第1のバリア膜はTiN膜であり、
前記第2のバリア膜はTiON膜であることを特徴とする半導体装置。
【0355】
(付記10) 付記7乃至付記9のいずれかに記載の半導体装置において、
前記第2のバリア膜と前記導電膜との間に形成され、前記第2のバリア膜よりも酸素濃度が低い第3のバリア膜を更に含むことを特徴とする半導体装置。
【0356】
(付記11) 付記10に記載の半導体装置において、
前記第3のバリア膜は、前記第1のバリア膜と同じ材料からなることを特徴とする半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0357】
【図1】図1(a)、(b)は、調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は、調査で使用された強誘電体キャパシタのサンプルの作製方法を示す断面図(その4)である。
【図5】図5は、サンプルを欠陥検査装置において検査して得られたウエハマップである。
【図6】図6は、図5の欠陥の一つをSEMにより観察して得られた平面像である。
【図7】図7は、図6において膨らみが確認された部分の断面TEM像を基にして描いた図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図9】図9(a)〜(c)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図10】図10(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図11】図11(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図12】図12(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その5)である。
【図13】図13(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その6)である。
【図14】図14(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その7)である。
【図15】図15(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その8)である。
【図16】図16(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その9)である。
【図17】図17(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その10)である。
【図18】図18(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その11)である。
【図19】図19(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その12)である。
【図20】図20(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その13)である。
【図21】図21(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その14)である。
【図22】図22は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その15)である。
【図23】図23は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その16)である。
【図24】図24(a)、(b)は、本発明の第1実施形態で使用されたサンプルの断面図である。
【図25】図25(a)、(b)は、第1実施形態のサンプルにおける各元素の濃度をSIMSにより調査して得られたグラフである。
【図26】図26(a)〜(c)は、窒化チタン膜の組成がスロット番号にどのように依存するかをRBS分析により調査して得られた結果を示す図である。
【図27】図27は、酸窒化膜のバリア性をSIMSにより調査して得られたグラフである。
【図28】図28(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図29】図29(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図30】図30(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図31】図31(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図32】図32(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その5)である。
【図33】図33(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その6)である。
【図34】図34(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その7)である。
【図35】図35(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その8)である。
【図36】図36(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その9)である。
【図37】図37(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その10)である。
【図38】図38(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その11)である。
【図39】図39(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その12)である。
【図40】図40は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その13)である。
【図41】図41は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その14)である。
【図42】図42は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その15)である。
【図43】図43(a)、(b)は、第3実施形態に係る導電性プラグの製造途中の断面図(その1)である。
【図44】図44(a)、(b)は、第3実施形態に係る導電性プラグの製造途中の断面図(その4)である。
【符号の説明】
【0358】
1、30、40…シリコン基板、2…第1の層間絶縁膜、3…密着膜、4…第1の導電膜、4a…下部電極、5…強誘電体膜、5a…キャパシタ誘電体膜、6…第2の導電膜、6a…上部電極、7…第1のアルミナ膜、8…第2の層間絶縁膜、8a、8b…第1及び第2のホール、9…第2のアルミナ膜、10…キャップ絶縁膜、12…バリア膜、13…タングステン膜、15…導電性プラグ、17…膨らみ、31…素子分離絶縁膜、32…pウェル、33…ゲート絶縁膜、34…ゲート電極、35a、35b…第1、第2のソース/ドレインエクステンション、36a、36b…第1、第2のソース/ドレイン領域、37…絶縁性スペーサ、38…高融点シリサイド層、41…カバー絶縁膜、42…第1の層間絶縁膜、42a…コンタクトホール、43…第1の導電性プラグ、44…酸化シリコン膜、45…酸化防止絶縁膜、46…絶縁性密着膜、47…下部電極密着膜、48…第1の導電膜、49…第1の強誘電体膜、50…第2の強誘電体膜、51…第2の導電膜、52…導電性保護膜、53…ハードマスク、54…酸化イリジウム膜、55…窒化チタン膜、57…第1のレジストパターン、61…下部電極、62…キャパシタ誘電体膜、63…上部電極、64…酸化シリコン膜、64a…ホール、65…第1のアルミナ膜、67〜69…第1〜第3のバリア膜、70…第2のアルミナ膜、71…第2の層間絶縁膜、71a〜71c…第1〜第3のホール、72…第3のアルミナ膜、73…キャップ絶縁膜、74…プラグ用の導電膜、75…タングステン膜、77…第2の導電性プラグ、78〜62…一層目〜五層目金属配線、83〜86…第3〜第6の層間絶縁膜、87、88…第1、第2のパッシベーション膜、91…第2の導電性プラグ、92…酸化防止絶縁膜、93…第2の層間絶縁膜、93a…第1のホール、94…下地導電膜、95…結晶性導電膜、96…導電性酸素バリア膜、97…第1の導電膜、98…第1の強誘電体膜、99…第2の強誘電体膜、100…第2の導電膜、101…第1の導電性保護膜、102…第2の導電性水素バリア膜、103…第1のハードマスク、104…第2のハードマスク、110…第1のアルミナ膜、111…第2のアルミナ膜、112…第3の層間絶縁膜、112a、112b…第2、第3のホール、113…第3のアルミナ膜、114…キャップ絶縁膜、115…一層目金属配線、116…第3の導電性プラグ、118〜120…第1〜第3のバリア膜、121…プラグ用の導電膜、130…銅膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上方に、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタを形成する工程と、
前記キャパシタ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に、前記上部電極に達するホールを形成する工程と、
前記ホールの内面、及び前記ホールから露出する前記上部電極の表面に第1のバリア膜を形成する工程と、
前記第1のバリア膜上に、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜を形成する工程と、
前記第2のバリア膜の上方に導電膜を形成して、前記ホールを埋め込む工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のバリア膜の表面を酸化することにより、前記第2のバリア膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2のバリア膜は、前記第1のバリア膜よりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ホールを埋め込む前に、前記第2のバリア膜上に、前記第2バリア膜よりも酸素濃度が低い第3のバリア膜を形成する工程を更に含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成され、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタと、
前記キャパシタ上に形成され、前記上部電極に達するホールを有する絶縁膜と、
前記ホールの内面、及び前記ホール内における前記上部電極の表面に形成される第1のバリア膜と、
前記第1のバリア膜上に形成され、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜と、
前記第2のバリア膜の上方に形成され、前記コンタクトホールを埋め込む導電膜と、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第2のバリア膜と前記導電膜との間に形成され、前記第2のバリア膜よりも酸素濃度が低い第3のバリア膜を更に含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
半導体基板の上方に、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタを形成する工程と、
前記キャパシタ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に、前記上部電極に達するホールを形成する工程と、
前記ホールの内面、及び前記ホールから露出する前記上部電極の表面に第1のバリア膜を形成する工程と、
前記第1のバリア膜上に、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜を形成する工程と、
前記第2のバリア膜の上方に導電膜を形成して、前記ホールを埋め込む工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のバリア膜の表面を酸化することにより、前記第2のバリア膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2のバリア膜は、前記第1のバリア膜よりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ホールを埋め込む前に、前記第2のバリア膜上に、前記第2バリア膜よりも酸素濃度が低い第3のバリア膜を形成する工程を更に含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成され、下部電極と、前記下部電極上に形成される強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成される上部電極とを有するキャパシタと、
前記キャパシタ上に形成され、前記上部電極に達するホールを有する絶縁膜と、
前記ホールの内面、及び前記ホール内における前記上部電極の表面に形成される第1のバリア膜と、
前記第1のバリア膜上に形成され、前記第1のバリア膜よりも酸素濃度が高い第2のバリア膜と、
前記第2のバリア膜の上方に形成され、前記コンタクトホールを埋め込む導電膜と、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第2のバリア膜と前記導電膜との間に形成され、前記第2のバリア膜よりも酸素濃度が低い第3のバリア膜を更に含むことを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開2010−62378(P2010−62378A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227207(P2008−227207)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]