説明

半導体装置及びその製造方法、電源装置

【課題】電極材料が拡散するのを抑制し、特性の向上を実現する。
【解決手段】半導体装置を、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間、Al含有オーミック電極4、5とAu配線9との間、及び、ゲート電極3の下方及びAl含有オーミック電極4、5の上方、のいずれかに設けられ、第1TaN層6A、Ta層6B、第2TaN層6Cを順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ、特に、GaN系トランジスタは、その物性的性質から、例えばサーバシステム等に用いられる高耐圧・高出力デバイス、いわゆるパワーデバイスとしての応用が期待されている。また、低消費電力を実現できるため、無線基地局などの基地局に用いられる高出力増幅器への適用も期待されている。
また、GaN系トランジスタの特性を低減させるゲート電極からのリークを抑えるために、ゲート電極と半導体層との間にゲート絶縁膜を備えるMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造のGaN系トランジスタの研究・開発も進められている。
【0003】
また、GaN系トランジスタの更なる特性向上のために、大電流動作時・高温環境下においても動作可能なものを開発することが必要である。現在、GaN系トランジスタでは、オーミック電極としてAl層を含む電極が用いられ、配線として低抵抗配線材料であるAuからなる配線が用いられている。この場合、Au配線とAl層とを直接接触させた状態でトランジスタを動作させると、容易にAu−Al化合物が生成され、高抵抗化を引き起こすことになる。この現象を防ぐために、Au配線とAl層との間に、バリアメタル層として、単層のPt層、Ta層、TaN層、TiWN層などを設けることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−173386号公報
【特許文献2】特開2009−164228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ゲート電極と半導体層との間にゲート絶縁膜を備えるトランジスタでは、例えば製造工程中の熱処理やトランジスタ動作中の発熱によって、ゲート電極の材料がゲート絶縁膜中へ拡散してしまい、特性が低下してしまうことがわかった。
また、オーミック電極に含まれるAl層とAu配線との間に、単層のPt層、Ta層、TaN層などを設けるだけでは、特性を向上させるのが難しいことがわかった。つまり、単にこれらの層を設けるだけでは、AlとAuが相互拡散し、高抵抗化を引き起こすのを抑制することと、これらの層の抵抗率が高くなり、トランジスタ動作時の発熱量や消費電力が多くなるのを防止することとを両立させ、特性を向上させるのは難しいことがわかった。
【0006】
そこで、電極材料が拡散するのを抑制し、特性の向上を実現したい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本半導体装置及び電源装置は、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極とゲート絶縁膜との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備えることを要件とする。
本半導体装置及び電源装置は、Al層を含むオーミック電極と、Au配線と、Al層とAu配線との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備えることを要件とする。
【0008】
本半導体装置及び電源装置は、ゲート電極の下方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層と、オーミック電極の上方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層とを備えることを要件とする。
また、本半導体装置の製造方法は、ゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上に、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層して電極材料拡散抑制層を形成し、電極材料拡散抑制層上にゲート電極を形成することを要件とする。
【0009】
また、本半導体装置の製造方法は、Al層を含むオーミック電極を形成し、Al層上に、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層して電極材料拡散抑制層を形成し、電極材料拡散抑制層上にAu配線を形成することを要件とする。
本半導体装置の製造方法は、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層して第1電極材料拡散抑制層を形成し、第1電極材料拡散抑制層上にゲート電極を形成し、オーミック電極を形成し、オーミック電極上に、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層して第2電極材料拡散抑制層を形成することを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本半導体装置及びその製造方法、電源装置によれば、電極材料が拡散するのを抑制することができ、特性の向上を実現することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図2】第1実施形態にかかる半導体装置に含まれるGaN系半導体積層構造を示す模式的断面図である。
【図3】第1実施形態にかかる半導体装置の課題を説明するための模式的断面図である。
【図4】(A)、(B)は、第1実施形態にかかる半導体装置の課題を説明するための模式的断面図である。
【図5】(A)〜(G)は、第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図6】(A)〜(E)は、第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図7】第2実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図8】第3実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図9】第4実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図10】第5実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図11】第6実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図12】第6実施形態にかかる半導体装置の課題を説明するための図であって、(A)は、熱劣化加速実験前の状態を示す顕微鏡写真であり、(B)は、熱劣化加速実験において電極材料拡散抑制層が崩壊してAu−Al化合物ができた状態を示す顕微鏡写真であり、(C)、(D)は、電極材料拡散抑制層が崩壊してAu−Al化合物ができるまでの時間[(A)から(B)になるまでの時間;反応時間]を、電極材料拡散抑制層の構造毎に示した図である。
【図13】第6実施形態にかかる半導体装置の課題を説明するための図である。
【図14】第6実施形態にかかる半導体装置の課題を説明するための図である。
【図15】(A)〜(F)は、第6実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図16】(A)〜(E)は、第6実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図17】第7実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図18】第8実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図19】第9実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図20】第10実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図21】第11実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図22】(A)〜(G)は、第11実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図23】第12実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図24】第13実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図25】第14実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図26】第15実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図27】第16実施形態にかかる半導体装置(半導体パッケージ)の構成を示す模式的平面図である。
【図28】第16実施形態にかかる電源装置に含まれるPFC回路の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面により、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法、電源装置について説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図1〜図6を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態にかかる半導体装置は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ、ここでは、半導体基板上にGaN系半導体積層構造を備える高電子移動度トランジスタ(HEMT;High Electron Mobility Transistor)(GaN−HEMT)である。また、本半導体装置は、ゲート絶縁膜を有するMIS型トランジスタである。なお、半導体装置を、化合物半導体装置ともいう。また、GaN系半導体積層構造を、窒化物半導体積層構造ともいう。
【0014】
本MIS型GaN−HEMTは、図2に示すように、SiC基板(半導体基板)40上に、i−GaN電子走行層41、図示しないi−AlGaN層、n−AlGaN電子供給層42、n−GaN層43を順に積層させたGaN系半導体積層構造1を備える。なお、電子走行層41を、キャリア走行層ともいう。また、電子供給層42を、キャリア供給層ともいう。
【0015】
また、本MIS型GaN−HEMTは、図1に示すように、GaN系半導体積層構造1上にゲート絶縁膜2が設けられており、ゲート絶縁膜2の上方にゲート電極3が設けられている。具体的には、ゲート絶縁膜2上に電極材料拡散抑制層6が設けられており、この電極材料拡散抑制層6上にゲート電極3が設けられている。つまり、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に、電極材料拡散抑制層6が設けられている。なお、電極材料拡散抑制層6の詳細については後述する。
【0016】
そして、ゲート電極3、電極材料拡散抑制層6及びゲート絶縁膜2の表面は、絶縁膜7によって覆われている。なお、ゲート絶縁膜2を、第1絶縁膜ともいう。また、絶縁膜7を、第2絶縁膜ともいう。
また、ゲート電極3は、後述のソース電極4とドレイン電極5との間に設けられている。
【0017】
ここでは、ゲート絶縁膜2及び絶縁膜7は、例えばAlO膜(例えばAl)である。また、ゲート電極3は、例えばAl層からなる。つまり、ゲート電極材料は、低抵抗材料であるAlである。
なお、本MIS型GaN−HEMTは、ゲートリセスを備えるものであっても良い。例えば、本MIS型GaN−HEMTは、GaN系半導体積層構造1を構成するn−GaN層43、n−AlGaN電子供給層42の一部を除去することによって形成されたゲートリセスを備えるものとしても良い。
【0018】
また、本MIS型GaN−HEMTは、GaN系半導体積層構造1上にソース電極4及びドレイン電極5が設けられている。ここでは、GaN系半導体積層構造1を構成するn−GaN層43を除去し、n−AlGaN電子供給層42上にソース電極4及びドレイン電極5を設けている。
ここでは、ソース電極4及びドレイン電極5は、Al層を含む電極であり、例えばTi層とAl層とを積層させた電極である。
【0019】
なお、ソース電極4及びドレイン電極5を、オーミック電極、Al層を含むオーミック電極、又は、Al含有オーミック電極ともいう。なお、Al層を含むオーミック電極あるいはAl含有オーミック電極は、最上層にAl層を含むものであれば良い。
また、Al含有オーミック電極4、5上、即ち、Al含有オーミック電極4、5に含まれるAl層上に、バリアメタル層8を介して、低抵抗配線材料であるAu配線9が設けられている。
【0020】
ここでは、バリアメタル層8は、Ti層とPt層とを積層した構造になっている。なお、バリアメタル層8はPt層からなるものであっても良い。また、Au配線9は、第1Au層9Aと第2Au層9Bとを積層した構造になっている。
なお、図示していないが、表面は、絶縁膜、ここではSiN膜で覆われている。
ところで、本実施形態では、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に電極材料拡散抑制層6を設け、この電極材料拡散抑制層6を、TaN層(第1TaN層)6A、Ta層6B、TaN層(第2TaN層)6Cを順に積層した構造を有するものとしている。
【0021】
特に、第1TaN層6A及び第2TaN層6Cは、窒素含有率が約48%よりも大きく約52%以下であることが好ましい。より好ましくは約49%以上約51%以下であれば良い。これにより、確実にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。
このような電極材料拡散抑制層6を設けているのは、以下の理由による。
上述したように、GaN系半導体積層構造1とゲート電極3との間にゲート絶縁膜2を備える場合、例えばオーミック特性を確立するための熱処理(例えば600℃以下)などの製造工程中の熱処理によって、ゲート電極3の材料がゲート絶縁膜2中へ拡散してしまい、特性が低下してしまうことがわかった。
【0022】
そこで、ゲート電極3の材料がゲート絶縁膜2中へ拡散してしまうのを抑制するために、図3に示すように、ゲート絶縁膜2とゲート電極3との間に、高融点金属であって高安定金属であるTaN層6Aを設けることが考えられる。
しかしながら、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間にTaN層6Aを設けたとしても、デバイス動作時、即ち、トランジスタ動作時に閾値変動を引き起こし、特性、即ち、トランジスタ特性が低下してしまうことがわかった。
【0023】
これは、以下の理由によると考えられる。
つまり、ゲート電極形成後にオーミック電極4、5の接触抵抗低減のために施される熱処理又はトランジスタ動作中の発熱によって、図4(A)、図4(B)に示すように、ゲート電極材料AlがTaN層6A中に存在するグレインの界面に形成される拡散経路からゲート絶縁膜2中に拡散してしまう。これにより、トランジスタ動作時、即ち、ゲート電圧Vgが0Vよりも大きくなった時に、ゲート電極3からのプラス電荷がゲート絶縁膜2中を通過しやすくなり、結果として、2DEG領域からの電子が絶縁膜と半導体との界面に捕獲されやすくなるためであると考えられる。つまり、ゲート電極材料Alがゲート絶縁膜2中に拡散することで、トランジスタ動作時に、絶縁膜と半導体との界面に電子がトラップされやすくなり、この結果、閾値変動を引き起こし、トランジスタ特性が低下していまうことになると考えられる。なお、図4(A)は、熱処理前の状態(Vg=0V、Vg>0V)を示しており、図4(B)は、熱処理後の状態(Vg=0V、Vg>0V)を示している。
【0024】
ここで、単層のTaN層6Aは、2種類のグレインサイズ、例えば約8nmと約5nmのグレインサイズを有する。そして、このような構造を有するTaN層6Aでは、上述の熱処理や発熱によってゲート電極材料Alが拡散してしまうのを抑制することができない。
ところで、Ta層上に形成されたTaN層は、3種類のグレインサイズ、例えば約8nm、約5nm、約3nmのグレインサイズを有するものとなる。
【0025】
そこで、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造のものを用いたところ、上述の熱処理や発熱によってゲート電極材料Alがゲート絶縁膜2中へ拡散してしまうのを抑制できることがわかった。つまり、Ta層上に形成されたTaN層を含むものを用いることで、単層のTaN層6Aを用いる場合と比較して、ゲート電極材料Alの拡散経路が複雑化し、結果として、上述の熱処理や発熱によるゲート電極材料Alのゲート絶縁膜2中への拡散が抑制されることがわかった。
【0026】
そこで、特性が低下しないようにすべく、上述のように、電極材料拡散抑制層6を、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cを順に積層した構造を有するものとしている。これにより、上述の熱処理や発熱によってゲート電極材料Alがゲート絶縁膜2中へ拡散してしまうのを抑制できる。この結果、2DEG領域からの電子が絶縁膜と半導体との界面に捕獲されるのを抑制できるため、トランジスタ動作時の閾値変動が抑制され、安定したトランジスタ動作が可能となり、トランジスタ特性の低下を防ぐことができる。
【0027】
特に、Ta層6B上に形成されるTaN層6Cを、確実に3種類のグレインサイズを有するものとし、確実にゲート電極材料Alの拡散を抑制するためには、このTaN層6Cの窒素含有率が約48%よりも大きく約52%以下になるようにするのが好ましい。例えば、スパッタ法によってTa層6B上にTaN層6Cを形成する際にTaN層6Cの窒素含有率をコントロールし、グレインサイズを調節するのが好ましい。また、ゲート電極材料Alの拡散抑制効果を高めるためには、下側のTaN層6Aも、窒素含有率が約48%よりも大きく約52%以下になるようにするのが好ましい。
【0028】
次に、本実施形態にかかる半導体装置(MIS型GaN−HEMT)の製造方法について、図5、図6を参照しながら説明する。
まず、図5(A)に示すように、半導体基板40上にGaN系半導体積層構造1を形成する。
ここでは、SiC基板40上に、例えば有機金属気相成長(MOVPE;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、i−GaN電子走行層41、図示しないi−AlGaN層、n−AlGaN電子供給層42、n−GaN層43を順に成長させる(図2参照)。
【0029】
ここで、i−GaN電子走行層41は、例えば厚さ約3μmである。また、i−AlGaN層は例えば厚さ約5nmである。また、n−AlGaN電子供給層42は、例えば、厚さ約20nmであり、Siドーピング濃度約5×1018cm−3である。また、n−GaN層43は、例えば厚さ約10nmである。
なお、ゲートリセスを設ける場合には、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてゲート電極形成予定領域に開口部を有するレジストを設け、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって、ゲート電極形成予定領域のn−GaN層43及びn−AlGaN電子供給層42を除去すれば良い。この場合、n−AlGaN電子供給層42は、厚さ方向で全部除去しても良いし、一部除去しても良い。例えば、n−AlGaN電子供給層42は、約1nmの厚さが残るようにすれば良い。なお、n−AlGaN電子供給層42は除去せずに、n−GaN層43のみを除去するようにしても良い。
【0030】
次に、図5(B)に示すように、GaN系半導体積層構造1上にゲート絶縁膜2を形成する。
ここでは、GaN系半導体積層構造1上に、例えば原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法を用いて、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2(例えばAl膜)を形成する。
【0031】
次に、ゲート絶縁膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cを順に積層して電極材料拡散抑制層6を形成する。
ここでは、例えばスパッタ法によって、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cを順に積層して電極材料拡散抑制層6を形成する。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層ともいう。
【0032】
ここでは、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約1.0Pa、電力約1kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。また、TaN層6A、6Cの窒素含有率は約50%程度である。
次に、ゲート電極材料であるAlを例えばスパッタ法によって成膜する。つまり、電極材料拡散抑制層6上に、ゲート電極3となるAl層を形成する。
【0033】
ここでは、スパッタ法によるAl層3の形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.7Pa、電力約0.5kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
次に、図5(C)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてゲート電極形成予定領域にレジスト15を設け、ゲート電極形成予定領域以外の領域に形成されているTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C及びAl層3を、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって除去する。これにより、電極材料拡散抑制層6上に、Al層からなるゲート電極3が形成される。つまり、MIS構造が形成される。
【0034】
次に、レジスト15を除去した後、図5(D)に示すように、再度、例えばALD法によって、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2及びゲート電極としてのAl層3上に、絶縁膜としてのAlO膜7(例えばAl膜)を形成する。つまり、ゲート絶縁膜2及びゲート電極3を覆うように、AlO膜からなる絶縁膜7を形成する。
次に、図5(E)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極形成予定領域に開口部を有するレジスト16を設け、例えばArガスを用いたイオンミリング法によって、図5(F)に示すように、オーミック電極形成予定領域のゲート絶縁膜2及び絶縁膜7を除去する。なお、絶縁膜2、7のエッチング方法はこれに限られるものではなく、例えばウェットエッチングやドライエッチング等の他の方法によってエッチングするようにしても良い。
【0035】
次いで、例えば塩素系ガスを用いたドライエッチングによって、オーミック電極形成予定領域のn−GaN層43を除去する。なお、ここでは、オーミック電極形成予定領域のn−GaN層43を全部除去するようにしているが、n−GaN層43を少し残しても良いし、n−AlGaN電子供給層42を少し削っても良い。また、オーミック電極形成予定領域は、ソース電極形成予定領域及びドレイン電極形成予定領域である。また、オーミック電極形成予定領域をオーミック電極部ともいい、ソース電極形成予定領域をソース電極部ともいい、ドレイン電極形成予定領域をドレイン電極部ともいう。
【0036】
その後、図5(G)に示すように、GaN系半導体積層構造1上、ここではn−AlGaN電子供給層42上に、例えばフォトリソグラフィ技術及び蒸着・リフトオフ技術を用いて、例えばTi/AlからなるAl含有オーミック電極(ここではソース電極及びドレイン電極)4、5を形成する。つまり、n−AlGaN電子供給層42上に、Ti層、Al層を順に積層させて、Al層を含むオーミック電極(Al含有オーミック電極)4、5を形成する。そして、例えば、窒素雰囲気中にて約400℃から約1000℃の間、例えば約550℃で熱処理を行ない、オーミック特性を確立する。なお、上述のドライエッチングの際にn−GaN層43を少し残した場合には、n−GaN層43上にAl含有オーミック電極4、5が形成されることになる。
【0037】
次に、図6(A)に示すように、Al含有オーミック電極4、5上にバリアメタル層8を形成した後、Au配線9を構成する第1Au層9Aを形成する。
ここでは、例えばスパッタ法によって、Al含有オーミック電極4、5に含まれるAl層上に、Ti層、Pt層、Au層を順に積層させることによって、Ti層とPt層とからなるバリアメタル層8及び第1Au層9Aを形成する。なお、Ti層を第1金属層、Pt層を第2金属層、Au層を第3金属層ともいう。
【0038】
ここで、スパッタ法によるTi層、Pt層及びAu層の形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.7Pa、電力約0.5kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
次に、図6(B)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極4、5の上方の領域にレジスト17を設け、例えばArガスを用いたイオンミリング法によって、オーミック電極4、5の上方の領域以外の領域に形成されているバリアメタル層8及び第1Au層9Aを除去する。
【0039】
次に、レジスト17を除去した後、図6(C)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極4、5の上方の領域に開口部を有するレジスト18を設け、図6(D)に示すように、例えばメッキ法によって、第1Au層9A上に第2Au層9Bを形成する。これにより、バリアメタル層8上に、第1Au層9Aと第2Au層9BとからなるAu配線9が形成される。つまり、Al含有オーミック電極4、5上にバリアメタル層8が形成され、バリアメタル層8上にAu配線9が形成される。
【0040】
その後、レジスト18を除去した後、図示していないが、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によって、全面にSiN膜(絶縁膜)を形成する。
これにより、図6(E)に示すように、半導体装置(MIS型GaN−HEMT)が製造される。
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
【0041】
例えば、製造工程中の熱処理(例えばオーミック特性を確立するための熱処理)によって、ゲート電極3の材料がゲート絶縁膜2中へ拡散してしまうのを抑制することができるため、特性を向上させることが可能となる。また、例えば、トランジスタ動作時の発熱によって、ゲート電極3の材料がゲート絶縁膜2中へ拡散してしまうのを抑制することができるため、特性を向上させることが可能となり、高い信頼性を確保することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図7を参照しながら説明する。
【0042】
本実施形態では、上述の第1実施形態(図1参照)のものに対し、電極材料拡散抑制層6の構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図7に示すように、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に設けられる電極材料拡散抑制層6が、TaN層6C(第2TaN層)上に、さらにPt層6Dを積層した構造を有する。なお、図7では、上述の第1実施形態(例えば図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0043】
つまり、本半導体装置は、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に、ゲート絶縁膜2の側から順にTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Pt層6Dを積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備える。
この場合、電極材料拡散抑制層6の最上層のPt層6D上に、Al層からなるゲート電極3が形成されることになるため、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、電極材料拡散抑制層6とゲート電極3との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。
【0044】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第1実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる電極材料拡散抑制層6を形成する工程において、例えばスパッタ法によって、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Pt層6Dを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Pt層6Dを第4金属層ともいう。
【0045】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN6A、6C層の形成時の条件は、上述の第1実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるPt層6Dの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0046】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図8を参照しながら説明する。
【0047】
本実施形態では、上述の第1実施形態(図1参照)のものに対し、電極材料拡散抑制層6の構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図8に示すように、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に設けられる電極材料拡散抑制層6が、TaN層6C(第2TaN層)上に、さらにAg層6Eを積層した構造を有する。なお、図8では、上述の第1実施形態(例えば図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0048】
つまり、本半導体装置は、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に、ゲート絶縁膜2の側から順にTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ag層6Eを積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備える。
この場合、電極材料拡散抑制層6の最上層のAg層6E上に、Al層からなるゲート電極3が形成されることになるため、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、電極材料拡散抑制層6とゲート電極3との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第2実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、ゲート電極材料Alの拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0049】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第1実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる電極材料拡散抑制層6を形成する工程において、例えばスパッタ法によって、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ag層6Eを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Ag層6Eを第4金属層ともいう。
【0050】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第1実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるAg層6Eの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第4実施形態]
第4実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図9を参照しながら説明する。
【0052】
本実施形態では、上述の第1実施形態(図1参照)のものに対し、電極材料拡散抑制層6の構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図9に示すように、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に設けられる電極材料拡散抑制層6が、TaN層6C(第2TaN層)上に、さらにCu層6Fを積層した構造を有する。なお、図9では、上述の第1実施形態(例えば図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0053】
つまり、本半導体装置は、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に、ゲート絶縁膜2の側から順にTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Cu層6Fを積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備える。
この場合、電極材料拡散抑制層6の最上層のCu層6F上に、Al層からなるゲート電極3が形成されることになるため、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、電極材料拡散抑制層6とゲート電極3との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第2実施形態及び第3実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、密着性を低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。また、上述の第3実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、ゲート電極材料Alの拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0054】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第1実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる電極材料拡散抑制層6を形成する工程において、例えばスパッタ法によって、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Cu層6Fを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Cu層6Fを第4金属層ともいう。
【0055】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第1実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるCu層6Fの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第5実施形態]
第5実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図10を参照しながら説明する。
【0057】
本実施形態では、上述の第1実施形態(図1参照)のものに対し、電極材料拡散抑制層6の構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図10に示すように、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に設けられる電極材料拡散抑制層6が、TaN層6C(第2TaN層)上に、さらにTi層6Gを積層した構造を有する。なお、図10では、上述の第1実施形態(例えば図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0058】
つまり、本半導体装置は、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に、ゲート絶縁膜2の側から順にTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ti層6Gを積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備える。
この場合、電極材料拡散抑制層6の最上層のTi層6G上に、Al層からなるゲート電極3が形成されることになるため、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、電極材料拡散抑制層6とゲート電極3との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、密着性を低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。また、上述の第2実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、ゲート電極材料Alの拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0059】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第1実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる電極材料拡散抑制層6を形成する工程において、例えばスパッタ法によって、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ti層6Gを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Ti層6Gを第4金属層ともいう。
【0060】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第1実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるTi層6Gの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0061】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第6実施形態]
第6実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図11〜図16を参照しながら説明する。
【0062】
上述の第1実施形態(図1参照)のものでは、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に電極材料拡散抑制層6を設けているのに対し、本実施形態では、図11に示すように、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に電極材料拡散抑制層6を設けている点が異なる。なお、図11では、上述の第1実施形態(例えば図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0063】
つまり、本実施形態では、上述の第1実施形態(図1参照)のものに対し、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に電極材料拡散抑制層6が設けられておらず、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に、バリアメタル層8に代えて、上述の第1実施形態のものと同一の積層構造を有する電極材料拡散抑制層6が設けられている点が異なる。
【0064】
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に電極材料拡散抑制層6が設けられており、この電極材料拡散抑制層6が、TaN層6A(第1TaN層)、Ta層6B、TaN層6C(第2TaN層)を順に積層した構造になっている。また、電極材料拡散抑制層6は、オーミック電極4、5の材料であるAlの拡散を抑制する層である。但し、電極材料拡散抑制層6は、オーミック電極4、5の材料であるAlの拡散を抑制するだけでなく、配線9の材料であるAuの拡散も抑制する。このため、電極材料拡散抑制層6は、配線材料拡散抑制層としても機能する。
【0065】
特に、第1TaN層6A及び第2TaN層6Cは、窒素含有率が約48%よりも大きく約52%以下であることが好ましい。より好ましくは約49%以上約51%以下であれば良い。これにより、確実に電極材料や配線材料の拡散を抑制することが可能となる。
このような電極材料拡散抑制層6を設けているのは、以下の理由による。
まず、電極材料拡散抑制層として、Pt層(厚さ約200nm)、Ta層(窒素含有率約0%のTaN層;厚さ約200nm)、窒素含有率約44%のTaN層(厚さ約200nm)、窒素含有率約50%のTaN層(厚さ約200nm)、窒素含有率約50%のTaN層(厚さ約100nm)のそれぞれを用い、劣化加速を促すために熱劣化加速実験(450℃;450℃アニール実験)を行なった。
【0066】
なお、ここでは、半導体チップを例えばAu−Snなどのダイボンディング剤を用いて土台に固定するダイボンディング工程において、温度が約300℃を超える高温になることを考慮して、電極材料拡散抑制層の熱評価を行なった。
そして、それぞれについて、電極材料拡散抑制層が崩壊し、Au−Al化合物ができるまでの時間[図12中、(A)に示す状態から(B)に示す状態になるまでの時間;反応時間]を計った。
【0067】
この結果、図12(C)に示すように、Ta層を用いた場合、Pt層を用いた場合よりも、反応時間が長い、即ち、電極材料や配線材料の拡散抑制効果(熱的安定性;バリア性)が高いことがわかった。一方、窒素含有率約44%のTaN層を用いた場合、Pt層を用いた場合よりも、反応時間が短い、即ち、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が低いことがわかった。しかし、窒素含有率約50%のTaN層(厚さ約200nm)を用いた場合、Pt層やTa層よりも、反応時間が長い、即ち、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高いことがわかった。つまり、TaN層は、窒素含有率が約44%までは窒素含有率の増加に伴って電極材料や配線材料の拡散抑制効果が低くなっていくが、窒素含有率が約50%近傍、即ち、窒素含有率が約48%よりも大きく約52%以下になると、Pt層やTa層よりも、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高くなることがわかった。ここで、反応時間が長く、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高いということは、高抵抗化しにくく、トランジスタの特性が低下しにくいことを意味する。
【0068】
ここで、TaN層の窒素含有率による抵抗率の変化を調べたところ、図13に示すように、窒素含有率が約50%近傍のTaN層は、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高くなるものの、抵抗率が高くなってしまうことがわかった。ここで、抵抗率が高いということは、トランジスタ動作時の発熱量や消費電力が多くなり、トランジスタの特性が低下してしまうことを意味する。
【0069】
そこで、抵抗率を下げるために、厚さを半分にしたTaN層(窒素含有率約50%;厚さ約100nm)を用いて熱劣化加速実験を行なったところ、図12(C)に示すように、Pt層を用いた場合よりも、反応時間が短い、即ち、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が低くなってしまうことがわかった。
このように、AlとAuが相互拡散し、高抵抗化を引き起こすのを抑制することと、これらの層の抵抗率が高くなり、トランジスタ動作時の発熱量や消費電力が多くなるのを防止することとを両立させ、より特性を向上させ、より信頼性の高いトランジスタを実現するのは難しい。つまり、窒素含有率約50%のTaN層(厚さ約200nm)と同等又はそれ以上に電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高く、かつ、低抵抗率の電極材料拡散抑制層を、単層の電極材料拡散抑制層によって実現するのは難しい。
【0070】
そこで、電極材料拡散抑制層に、Ta層(厚さ約100nm)、窒素含有率約50%のTaN層(厚さ約100nm)を順に積層した構造(Ta/TaN構造)のもの、及び、合計の厚さが約200nmになるように、Ta層、Ti層、窒素含有率約50%のTaN層を順に積層した構造(Ta/Ti/TaN構造)のものについても、熱劣化加速実験(450℃)を行なった。
【0071】
そして、それぞれについて、電極材料拡散抑制層が崩壊し、Au−Al化合物ができるまでの時間[図12中、(A)に示す状態から(B)に示す状態になるまでの時間;反応時間]を計った。
その結果、図12(D)に示すように、抵抗率の低いTa層と、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高いTaN層(窒素含有率約50%;厚さ約100nm)とを組み合わせたTa/TaN構造の電極材料拡散抑制層を用いた場合、単層のPt層(厚さ約200nm)やTaN(窒素含有率約50%;厚さ約200nm)を用いた場合よりも、反応時間が長くなる、即ち、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高くなることがわかった。また、図14に示すように、Ta/TaN構造の電極材料拡散抑制層を用いた場合、TaN(窒素含有率約50%;厚さ約200nm)を用いた場合に対して、抵抗率を約6割程度に抑えることができることがわかった。つまり、TaN(窒素含有率約50%;厚さ約200nm)を用いた場合の抵抗率を1.0とした場合、Ta/TaN構造の電極材料拡散抑制層を用いた場合は、抵抗率を0.6程度にすることができることがわかった。
【0072】
また、Ta/Ti/TaN構造の電極材料拡散抑制層を用いた場合、Ta/TaN構造の電極材料拡散抑制層を用いた場合よりも、反応時間が長くなる、即ち、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高くなることがわかった。つまり、Ta層とTaN層との間にTi層(密着層)を設けることで、Ta層とTaN層との密着性を向上させることができ、これにより、電極材料や配線材料の拡散抑制効果を高くすることができることがわかった。
【0073】
しかしながら、Ta/TaN構造の電極材料拡散抑制層であっても、450℃に加熱されると6分で崩壊し、Au−Al化合物ができてしまう。この結果、高抵抗化が引き起こされ、トランジスタの特性が低下してしまうことになる。
GaN系トランジスタの更なる特性向上のためには、より高い電流密度での動作が必要であるため、より高い電極材料や配線材料の拡散抑制効果を有する電極材料拡散抑制層が必要である。
【0074】
そこで、上述のTa/TaN構造のものにさらにTaN層を加えて、上述のように、電極材料拡散抑制層6を、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cを順に積層した構造にしている。なお、ここでは、電極材料拡散抑制層6の厚さ、即ち、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cの合計の厚さが、約200nmになるようにしているが、これに限られるものではない。これにより、電極材料や配線材料の拡散抑制効果が高く、かつ、低抵抗率の電極材料拡散抑制層6を実現することができる。つまり、AlとAuが相互拡散し、高抵抗化を引き起こすのを抑制することと、電極材料拡散抑制層6の抵抗率が高くなり、トランジスタ動作時の発熱量や消費電力が多くなるのを防止することとを両立させ、より特性を向上させ、より信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0075】
なお、その他の構成については、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
次に、本実施形態にかかる半導体装置(MIS型GaN−HEMT)の製造方法について、図15、図16を参照しながら説明する。
まず、上述の第1実施形態の場合と同様に、図15(A)に示すように、半導体基板40上にGaN系半導体積層構造1を形成する。
【0076】
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極形成予定領域に開口部を有するレジストを設け、例えば塩素系ガスを用いたドライエッチングによって、オーミック電極形成予定領域のGaN系半導体積層構造1、ここではn−GaN層43を除去する。
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、GaN系半導体積層構造1上、ここではn−AlGaN電子供給層42上に、図15(B)、図15(C)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術及び蒸着・リフトオフ技術を用いて、例えばTi/AlからなるAl含有オーミック電極(ここではソース電極及びドレイン電極)4、5を形成する。つまり、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて、n−AlGaN電子供給層42上に、オーミック電極形成予定領域に開口部を有する第1レジスト膜20及び第2レジスト膜21を設ける。次に、全面、即ち、第2レジスト膜21の表面上及び開口部の中に、蒸着によって、例えばTi層、Al層を順に形成する。なお、図15(B)では、Ti層及びAl層をまとめて符号22で示している。そして、第1レジスト膜20及び第2レジスト膜21を除去することによって、開口部の中に形成されたTi層及びAl層のみが残され、例えばTi/AlからなるAl含有オーミック電極4、5が形成される。その後、例えば、窒素雰囲気中にて約400℃から約1000℃の間、例えば約550℃で熱処理を行ない、オーミック特性を確立する。
【0077】
なお、上述の第1実施形態の場合と同様に、ゲートリセスを設ける場合には、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてゲート電極形成予定領域に開口部を有するレジストを設け、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって、ゲート電極形成予定領域のn−GaN層43及びn−AlGaN電子供給層42を除去すれば良い。
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、図15(D)に示すように、例えばALD法を用いて、GaN系半導体積層構造1上に、ゲート絶縁膜としてのAlO膜(例えばAl膜)2を形成する。
【0078】
次に、図15(E)、図15(F)に示すように、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、例えばフォトリソグラフィ技術及び蒸着・リフトオフ技術を用いて、例えばAl層からなるゲート電極3が形成される。つまり、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて、AlO膜2上に、ゲート電極形成予定領域に開口部を有する第1レジスト膜23及び第2レジスト膜24を設ける。次に、全面、即ち、第2レジスト膜24の表面上及び開口部の中に、蒸着によって、ゲート電極材料であるAlを成膜して、Al層3を形成する。そして、第1レジスト膜23及び第2レジスト膜24を除去することによって、開口部の中に形成されたAl層3のみが残され、Al層からなるゲート電極3が形成される。これにより、MIS構造が形成される。
【0079】
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、図15(F)に示すように、再度、例えばALD法によって、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2及びゲート電極としてのAl層3上に、絶縁膜としてのAlO膜7(例えばAl膜)を形成する。
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極形成予定領域に開口部を有するレジストを設け、例えばArガスを用いたイオンミリング法によって、オーミック電極形成予定領域のゲート絶縁膜2及び絶縁膜7を除去する。
【0080】
次に、図16(A)に示すように、例えばスパッタ法によって、Al含有オーミック電極4、5上に、ここではAl含有オーミック電極4、5に含まれるAl層上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cを順に積層する。これにより、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cを順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6が形成される。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層ともいう。
【0081】
ここでは、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約1.0Pa、電力約1kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。また、TaN層6A、6Cの窒素含有率は約50%程度である。
次に、電極材料拡散抑制層6上に、Au配線9を構成する第1Au層9Aを形成する。ここでは、例えばスパッタ法によって、電極材料拡散抑制層6に含まれるTaN層6C上に第1Au層9Aを形成する。
【0082】
ここでは、スパッタ法による第1Au層9Aの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
次に、図16(B)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極4、5の上方の領域にレジスト25を設け、例えばArガスを用いたイオンミリング法によって、オーミック電極4、5の上方の領域以外の領域に形成されているTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C及び第1Au層9Aを除去する。
【0083】
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、図16(C)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極4、5の上方の領域に開口部を有するレジスト26を設け、図16(D)に示すように、例えばメッキ法によって、第1Au層9A上に第2Au層9Bを形成する。これにより、電極材料拡散抑制層6上に、第1Au層9Aと第2Au層9BとからなるAu配線9が形成される。つまり、Al含有オーミック電極4、5上に電極材料拡散抑制層6が形成され、電極材料拡散抑制層6上にAu配線9が形成される。
【0084】
その後、図示していないが、上述の第1実施形態の場合と同様に、例えばCVD法によって、全面にSiN膜(絶縁膜)を形成する。
これにより、図16(E)に示すように、半導体装置(MIS型GaN−HEMT)が製造される。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0085】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
つまり、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間でAlとAuが相互拡散し、高抵抗化を引き起こすのを抑制することと、電極材料拡散抑制層6の抵抗率が高くなり、トランジスタ動作時の発熱量や消費電力が多くなるのを防止することとを両立させることができ、特性を向上させることが可能となる。また、トランジスタ動作時の発熱によって、AlとAuが相互拡散してしまうのを抑制することができるため、特性を向上させることが可能となり、高い信頼性を確保することができる。
[第7実施形態]
第7実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図17を参照しながら説明する。
【0086】
本実施形態では、上述の第6実施形態(図11参照)のものに対し、電極材料拡散抑制層6の構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図17に示すように、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に設けられる電極材料拡散抑制層6が、TaN層6C(第2TaN層)上に、さらにPt層6Dを積層した構造を有する。なお、図17では、上述の第6実施形態(例えば図11参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0087】
つまり、本半導体装置は、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に、オーミック電極4、5の側から順にTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Pt層6Dを積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備える。
この場合、電極材料拡散抑制層6の最上層のPt層6D上に、Au配線9が形成されることになるため、上述の第6実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、電極材料拡散抑制層6とAu配線9との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第6実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にオーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散を抑制することが可能となる。
【0088】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第6実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる電極材料拡散抑制層6を形成する工程において、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5に含まれるAl層上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Pt層6Dを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Pt層6Dを第4金属層ともいう。
【0089】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第6実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるPt層6Dの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第6実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0090】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第6実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第8実施形態]
第8実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図18を参照しながら説明する。
【0091】
本実施形態では、上述の第6実施形態(図11参照)のものに対し、電極材料拡散抑制層6の構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図18に示すように、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に設けられる電極材料拡散抑制層6が、TaN層6C(第2TaN層)上に、さらにAg層6Eを積層した構造を有する。なお、図18では、上述の第6実施形態(例えば図11参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0092】
つまり、本半導体装置は、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に、オーミック電極4、5の側から順にTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ag層6Eを積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備える。
この場合、電極材料拡散抑制層6の最上層のAg層6E上に、Au配線9が形成されることになるため、上述の第6実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、電極材料拡散抑制層6とAu配線9との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第6実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にオーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第7実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、オーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0093】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第6実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる電極材料拡散抑制層6を形成する工程において、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5に含まれるAl層上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ag層6Eを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Ag層6Eを第4金属層ともいう。
【0094】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第6実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるAg層6Eの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第6実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0095】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第6実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第9実施形態]
第9実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図19を参照しながら説明する。
【0096】
本実施形態では、上述の第6実施形態(図11参照)のものに対し、電極材料拡散抑制層6の構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図19に示すように、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に設けられる電極材料拡散抑制層6が、TaN層6C(第2TaN層)上に、さらにCu層6Fを積層した構造を有する。なお、図19では、上述の第6実施形態(例えば図11参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0097】
つまり、本半導体装置は、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に、オーミック電極4、5の側から順にTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Cu層6Fを積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備える。
この場合、電極材料拡散抑制層6の最上層のCu層6F上に、Au配線9が形成されることになるため、上述の第6実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、電極材料拡散抑制層6とAu配線9との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第6実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にオーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第7実施形態及び第8実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、密着性を低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。また、上述の第8実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、オーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0098】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第6実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる電極材料拡散抑制層6を形成する工程において、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5に含まれるAl層上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Cu層6Fを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Cu層6Fを第4金属層ともいう。
【0099】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第6実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるCu層6Fの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第6実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0100】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第6実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第10実施形態]
第10実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図20を参照しながら説明する。
【0101】
本実施形態では、上述の第6実施形態(図11参照)のものに対し、電極材料拡散抑制層6の構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図20に示すように、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に設けられる電極材料拡散抑制層6が、TaN層6C(第2TaN層)上に、さらにTi層6Gを積層した構造を有する。なお、図20では、上述の第6実施形態(例えば図11参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0102】
つまり、本半導体装置は、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に、オーミック電極4、5の側から順にTaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ti層6Gを積層した構造を有する電極材料拡散抑制層6を備える。
この場合、電極材料拡散抑制層6の最上層のTi層6G上に、Au配線9が形成されることになるため、上述の第6実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、電極材料拡散抑制層6とAu配線9との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第6実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にオーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第7実施形態、第8実施形態及び第9実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、密着性を低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。また、上述の第7実施形態の電極材料拡散抑制層6と比較して、オーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0103】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第6実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる電極材料拡散抑制層6を形成する工程において、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5に含まれるAl層上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ti層6Gを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Ti層6Gを第4金属層ともいう。
【0104】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第6実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるTi層6Gの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第6実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0105】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第6実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第11実施形態]
第11実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図21、図22を参照しながら説明する。
【0106】
本実施形態では、上述の第1実施形態(図1参照)のものに対し、図21に示すように、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に、バリアメタル層8に代えて、上述の第1実施形態の電極材料拡散抑制層6と同一の積層構造を有する電極材料拡散抑制層6Xが設けられている点が異なる。なお、図21では、上述の第1実施形態(例えば図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0107】
つまり、本実施形態では、上述の第1実施形態(図1参照)のものと、上述の第6実施形態(図11参照)のものとを組み合わせて、ゲート電極3の下方に電極材料拡散抑制層6(第1電極材料拡散抑制層)を設けるとともに、オーミック電極4、5の上方に電極材料拡散抑制層6X(第2電極材料拡散抑制層)を設けている。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図21に示すように、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に第1電極材料拡散抑制層6が設けられており、この第1電極材料拡散抑制層6が、TaN層6A(第1TaN層)、Ta層6B、TaN層6C(第2TaN層)を順に積層した構造になっている。
【0108】
また、オーミック電極4、5に含まれるAl層とAu配線9との間に第2電極材料拡散抑制層6Xが設けられており、この第2電極材料拡散抑制層6Xが、TaN層6A(第1TaN層)、Ta層6B、TaN層6C(第2TaN層)を順に積層した構造になっている。
特に、第1電極材料拡散抑制層6及び第2電極材料拡散抑制層6Xに含まれるTaN層6A、6Cは、窒素含有率が48%よりも大きく52%以下であることが好ましい。より好ましくは約49%以上約51%以下であれば良い。これにより、確実に電極材料の拡散を抑制することが可能となる。
【0109】
次に、本実施形態にかかる半導体装置(MIS型GaN−HEMT)の製造方法について、図22を参照しながら説明する。
まず、上述の第1実施形態の場合と同様に、図22(A)に示すように、半導体基板40上にGaN系半導体積層構造1を形成する。
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、図22(B)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極形成予定領域に開口部を有するレジストを設け、例えば塩素系ガスを用いたドライエッチングによって、オーミック電極形成予定領域のGaN系半導体積層構造1、ここではn−GaN層43を除去する。
【0110】
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、GaN系半導体積層構造1上、ここではn−AlGaN電子供給層42上に、図22(B)、図22(C)に示すように、例えばフォトリソグラフィ技術及び蒸着・リフトオフ技術を用いて、例えばTi/AlからなるAl含有オーミック電極(ここではソース電極及びドレイン電極)4、5を形成する。つまり、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて、n−AlGaN電子供給層42上に、オーミック電極形成予定領域に開口部を有する第1レジスト膜30及び第2レジスト膜31を設ける。次に、全面、即ち、第2レジスト膜31の表面上及び開口部の中に、蒸着によって、例えばTi層、Al層を順に形成する。なお、図22(B)では、Ti層及びAl層をまとめて符号32で示している。そして、第1レジスト膜30及び第2レジスト膜31を除去することによって、開口部の中に形成されたTi層及びAl層のみが残され、例えばTi/AlからなるAl含有オーミック電極4、5が形成される。その後、例えば、窒素雰囲気中にて約400℃から約1000℃の間、例えば約550℃で熱処理を行ない、オーミック特性を確立する。
【0111】
なお、上述の第1実施形態の場合と同様に、ゲートリセスを設ける場合には、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてゲート電極形成予定領域に開口部を有するレジストを設け、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって、ゲート電極形成予定領域のn−GaN層43及びn−AlGaN電子供給層42を除去すれば良い。
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、図22(D)に示すように、例えばALD法を用いて、GaN系半導体積層構造1上に、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2(例えばAl膜)を形成する。そして、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極4、5の上方に開口部を有するレジストを設け、例えばArガスを用いたイオンミリング法によって、オーミック電極4、5の上方のゲート絶縁膜としてのAlO膜2を除去する。
【0112】
次に、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5(ここではAl含有オーミック電極に含まれるAl層)及びゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層33、Ta層34、TaN層35を順に積層する。
次に、Au配線材料であるAuを例えばスパッタ法によって成膜して、Au層36を形成する。
【0113】
次に、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてゲート電極形成予定領域に開口部を有するレジストを設け、図22(E)に示すように、例えばArガスを用いたイオンミリング法によって、ゲート電極形成予定領域に形成されているAu層36を除去する。
次に、ゲート電極材料であるAlを例えばスパッタ法によって成膜して、Al層37を形成する。
【0114】
次に、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてゲート電極形成予定領域及びオーミック電極4、5の上方の領域にレジストを設け、図22(F)に示すように、ゲート電極形成予定領域及びオーミック電極4、5の上方の領域以外の領域に形成されているTaN層33、Ta層34、TaN層35、Au層36及びAl層37を、例えばArガスを用いたイオンミリング法によって除去する。
【0115】
このようにして、ゲート絶縁膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cを順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層6が形成される。また、オーミック電極4、5上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6Cを順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層6Xが形成される。このように、第1電極材料拡散抑制層6と第2電極材料拡散抑制層6Xとが同時に形成される。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層ともいう。また、ここでは、第1電極材料拡散抑制層6と第2電極材料拡散抑制層6Xとを同時に形成するようにしているが、別々の工程で形成するようにしても良い。
【0116】
また、第1電極材料拡散抑制層6上、ここでは第1電極材料拡散抑制層6に含まれるTaN層6C上に、Al層からなるゲート電極3が形成される。つまり、GaN系半導体積層構造1上に、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2及び第1電極材料拡散抑制層6を挟んで、Al層からなるゲート電極3が形成される。このようにして、MIS構造が形成される。
【0117】
また、第2電極材料拡散抑制層6X上、ここでは電極材料拡散抑制層6Xに含まれるTaN層6C上に、Au配線9を構成する第1Au層9Aが形成される。
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、再度、例えばALD法によって、ゲート絶縁膜としてのAlO膜2、ゲート電極としてのAl層3及び第1Au層9Aの上に、絶縁膜としてのAlO膜(例えばAl膜)7を形成する。そして、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極4、5の上方の領域に開口部を有するレジストを設け、例えばArガスを用いたイオンミリング法によって、オーミック電極4、5の上方の領域の絶縁膜7を除去する。
【0118】
次に、上述の第1実施形態の場合と同様に、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてオーミック電極4、5の上方の領域に開口部を有するレジストを設け、図22(G)に示すように、例えばメッキ法によって、第1Au層9A上に第2Au層9Bを形成する。これにより、第2電極材料拡散抑制層6X上に、第1Au層9Aと第2Au層9BとからなるAu配線9が形成される。つまり、Al含有オーミック電極4、5上に第2電極材料拡散抑制層6Xが形成され、第2電極材料拡散抑制層6X上にAu配線9が形成される。
【0119】
その後、図示していないが、上述の第1実施形態の場合と同様に、例えばCVD法によって、全面にSiN膜(絶縁膜)を形成する。
これにより、半導体装置(MIS型GaN−HEMT)が製造される。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0120】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第1及び第6実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第12実施形態]
第12実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図23を参照しながら説明する。
【0121】
本実施形態では、上述の第11実施形態(図21参照)のものに対し、第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xの構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図23に示すように、第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xが、TaN層(第2TaN層)6C上に、さらにPt層6Dを積層した構造を有する。なお、図23では、上述の第11実施形態(例えば図21参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0122】
つまり、本半導体装置は、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Pt層6Dを順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層6と、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Pt層6Dを順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層6Xとを備える。
この場合、第1電極材料拡散抑制層6の最上層のPt層6D上に、Al層からなるゲート電極3が形成されることになるため、上述の第11実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、第1電極材料拡散抑制層6とゲート電極3との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第11実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。
【0123】
また、第2電極材料拡散抑制層6Xの最上層のPt層6D上に、Au配線9が形成されることになるため、上述の第11実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、第2電極材料拡散抑制層6XとAu配線9との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第11実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、より効果的にオーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散を抑制することが可能となる。
【0124】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第11実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xを形成する工程において、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5に含まれるAl層及びゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Pt層6Dを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Pt層6Dを第4金属層ともいう。
【0125】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第11実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるPt層6Dの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第11実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0126】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第11実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第13実施形態]
第13実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図24を参照しながら説明する。
【0127】
本実施形態では、上述の第11実施形態(図21参照)のものに対し、第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xの構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図24に示すように、第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xが、TaN層(第2TaN層)6C上に、さらにAg層6Eを積層した構造を有する。なお、図24では、上述の第11実施形態(例えば図21参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0128】
つまり、本半導体装置は、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ag層6Eを順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層6と、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ag層6Eを順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層6Xとを備える。
この場合、第1電極材料拡散抑制層6の最上層のAg層6E上に、Al層からなるゲート電極3が形成されることになるため、上述の第11実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、第1電極材料拡散抑制層6とゲート電極3との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第11実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第12実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、ゲート電極材料Alの拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0129】
また、第2電極材料拡散抑制層6Xの最上層のAg層6E上に、Au配線9が形成されることになるため、上述の第11実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、第2電極材料拡散抑制層6XとAu配線9との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第11実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、より効果的にオーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第12実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、オーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0130】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第11実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xを形成する工程において、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5に含まれるAl層及びゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ag層6Eを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Ag層6Eを第4金属層ともいう。
【0131】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第11実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるAg層6Eの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第11実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0132】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第11実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第14実施形態]
第14実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図25を参照しながら説明する。
【0133】
本実施形態では、上述の第11実施形態(図21参照)のものに対し、第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xの構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図25に示すように、第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xが、TaN層(第2TaN層)6C上に、さらにCu層6Fを積層した構造を有する。なお、図25では、上述の第11実施形態(例えば図21参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0134】
つまり、本半導体装置は、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Cu層6Fを順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層6と、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Cu層6Fを順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層6Xとを備える。
この場合、第1電極材料拡散抑制層6の最上層のCu層6F上に、Al層からなるゲート電極3が形成されることになるため、上述の第11実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、第1電極材料拡散抑制層6とゲート電極3との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第11実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第12実施形態及び第13実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、密着性を低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。また、上述の第13実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、ゲート電極材料Alの拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0135】
また、第2電極材料拡散抑制層6Xの最上層のCu層6F上に、Au配線9が形成されることになるため、上述の第11実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、第2電極材料拡散抑制層6XとAu配線9との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第11実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、より効果的にオーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第12実施形態及び第13実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、密着性を低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。また、上述の第13実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、オーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0136】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第11実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xを形成する工程において、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5に含まれるAl層及びゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Cu層6Fを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Cu層6Fを第4金属層ともいう。
【0137】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第11実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるCu層6Fの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第11実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0138】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第11実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第15実施形態]
第15実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図26を参照しながら説明する。
【0139】
本実施形態では、上述の第11実施形態(図21参照)のものに対し、第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xの構成が異なる。
本半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、図26に示すように、第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xが、TaN層(第2TaN層)6C上に、さらにTi層6Gを積層した構造を有する。なお、図26では、上述の第11実施形態(例えば図21参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0140】
つまり、本半導体装置は、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ti層6Gを順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層6と、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ti層6Gを順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層6Xとを備える。
この場合、第1電極材料拡散抑制層6の最上層のTi層6G上に、Al層からなるゲート電極3が形成されることになるため、上述の第11実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、第1電極材料拡散抑制層6とゲート電極3との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第11実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、より効果的にゲート電極材料Alの拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第12実施形態、第13実施形態及び第14実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、密着性を低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。また、上述の第12実施形態の第1電極材料拡散抑制層6と比較して、ゲート電極材料Alの拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0141】
また、第2電極材料拡散抑制層6Xの最上層のTi層6G上に、Au配線9が形成されることになるため、上述の第11実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、第2電極材料拡散抑制層6XとAu配線9との密着性を向上させることができ、さらに信頼性を向上させることが可能となる。また、上述の第11実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、より効果的にオーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散を抑制することが可能となる。さらに、上述の第12実施形態、第13実施形態及び第14実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、密着性を低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。また、上述の第12実施形態の第2電極材料拡散抑制層6Xと比較して、オーミック電極4、5に含まれるAl層やAu配線9の材料の拡散抑制レベルを低下させることなく、製造コストの削減を実現することができる。
【0142】
このような構造を有する半導体装置(MIS型GaN−HEMT)は、以下のようにして製造することができる。
つまり、上述の第11実施形態の半導体装置の製造方法に含まれる第1及び第2電極材料拡散抑制層6、6Xを形成する工程において、例えばスパッタ法によって、オーミック電極4、5に含まれるAl層及びゲート絶縁膜としてのAlO膜2上に、TaN層6A、Ta層6B、TaN層6C、Ti層6Gを順に積層すれば良い。なお、TaN層6Aを第1TaN層又は第1金属層といい、Ta層6Bを第2金属層といい、TaN層6Cを第2TaN層又は第3金属層といい、Ti層6Gを第4金属層ともいう。
【0143】
ここで、スパッタ法によるTa層6B及びTaN層6A、6Cの形成時の条件は、上述の第11実施形態の場合と同様である。また、スパッタ法によるTi層6Gの形成時の条件は、例えば真空度(圧力)約0.8Pa、電力約0.8kWである。また、ターゲット−基板間距離(T/S)は、例えば200mmである。
なお、その他の構成及び製造方法については、上述の第11実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0144】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第11実施形態の場合と同様に、電極材料が拡散するのを抑制することができ、さらなる特性の向上を実現することができるという利点がある。
[第16実施形態]
次に、第16実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法、電源装置について、図27、図28を参照しながら説明する。
【0145】
本実施形態にかかる半導体装置は、上述の各実施形態及びこれらの変形例のいずれかの半導体装置(GaN−HEMT)を半導体チップとして備える半導体パッケージである。なお、半導体チップをHEMTチップともいう。
以下、ディスクリートパッケージを例に挙げて説明する。
本半導体装置は、図27に示すように、上述の各実施形態及びこれらの変形例のいずれかの半導体チップ56を搭載するステージ50と、ゲートリード51と、ソースリード52と、ドレインリード53と、ボンディングワイヤ54A〜54C(ここではAlワイヤ)と、封止樹脂55とを備える。なお、半導体チップ56を、HEMTチップともいう。また、封止樹脂55を、モールド樹脂ともいう。
【0146】
そして、ステージ50上に搭載された半導体チップ56のゲートパッド10、ソースパッド11及びドレインパッド12は、それぞれ、ゲートリード51、ソースリード52及びドレインリード53に、Alワイヤ54A〜54Cによって接続されており、これらが樹脂封止されている。
ここでは、半導体チップ56の基板裏面がダイアタッチ剤57(ここでは、はんだ)によって固定されたステージ50は、ドレインリード53と電気的に接続されている。なお、これに限られるものではなく、ステージ50がソースリード52と電気的に接続されるようにしても良い。
【0147】
次に、本実施形態にかかる半導体装置(ディスクリートパッケージ)の製造方法について説明する。
まず、上述の各実施形態及びこれらの変形例のいずれかの半導体チップ56(GaN−HEMT)を、例えばダイアタッチ剤57(ここでは、はんだ)を用いてリードフレームのステージ50上に固定する。
【0148】
次に、例えばAlワイヤ54A〜54Cなどを用いたボンディングによって、半導体チップ56のゲートパッド10をゲートリード51に接続し、ドレインパッド12をドレインリード53に接続し、ソースパッド11をソースリード52に接続する。
その後、例えばトランスファーモールド法によって樹脂封止を行なった後、リードフレームを切り離す。
【0149】
このようにして、半導体装置(ディスクリートパッケージ)を作製することができる。
なお、ここでは、半導体チップ56の各パッド10〜12を、ワイヤボンディングのためのボンディングパッドとして用いたディスクリートパッケージを例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、他の半導体パッケージであっても良い。例えば、半導体チップの各パッドを、例えばフリップチップボンディングなどのワイヤレスボンディングのためのボンディングパッドとして用いた半導体パッケージであっても良い。また、ウエハレベルパッケージであっても良い。また、ディスクリートパッケージ以外の半導体パッケージであっても良い。
【0150】
次に、上述のGaN−HEMTを含む半導体パッケージを備える電源装置について、図28を参照しながら説明する。
以下、サーバに用いられる電源装置に備えられるPFC(power factor correction)回路に、上述の半導体パッケージに含まれるGaN−HEMTを用いる場合を例に挙げて説明する。
【0151】
本PFC回路は、図28に示すように、ダイオードブリッジ60と、チョークコイル61と、第1コンデンサ62と、上述の半導体パッケージに含まれるGaN−HEMT63と、ダイオード64と、第2コンデンサ65とを備える。
ここでは、本PFC回路は、回路基板上に、ダイオードブリッジ60、チョークコイル61、第1コンデンサ62、上述の半導体パッケージに含まれるGaN−HEMT63、ダイオード64、及び、第2コンデンサ65が実装されて構成されている。
【0152】
本実施形態では、上述の半導体パッケージのドレインリード53、ソースリード52及びゲートリード51が、それぞれ、回路基板のドレインリード挿入部、ソースリード挿入部及びゲートリード挿入部に挿入され、例えばはんだなどによって固定されている。このようにして、回路基板に形成されたPFC回路に、上述の半導体パッケージに含まれるGaN−HEMT63が接続されている。
【0153】
そして、本PFC回路では、GaN−HEMT63のドレイン電極5に、チョークコイル61の一方の端子及びダイオード64のアノード端子が接続されている。また、チョークコイル61の他方の端子には第1コンデンサ62の一方の端子が接続され、ダイオード64のカソード端子には第2コンデンサ65の一方の端子が接続されている。そして、第1コンデンサ62の他方の端子、GaN−HEMT63のソース電極4及び第2コンデンサ65の他方の端子が接地されている。また、第1コンデンサ62の両端子には、ダイオードブリッジ60の一対に端子が接続されており、ダイオードブリッジ60の他の一対の端子は、交流(AC)電圧が入力される入力端子に接続されている。また、第2コンデンサ65の両端子は、直流(DC)電圧が出力される出力端子に接続されている。また、GaN−HEMT63のゲート電極3には、図示しないゲートドライバが接続されている。そして、本PFC回路では、ゲートドライバによってGaN−HEMT63を駆動することで、入力端子から入力されたAC電圧を、DC電圧に変換して、出力端子から出力するようになっている。
【0154】
したがって、本実施形態にかかる電源装置によれば、信頼性の向上させることができるという利点がある。つまり、上述の各実施形態及びこれらの変形例のいずれかの半導体チップ56を備え、信頼性の高い電源装置を構築することができるという利点がある。
なお、ここでは、上述の半導体装置(GaN−HEMT又はGaN−HEMTを含む半導体パッケージ)を、サーバに用いられる電源装置に備えられるPFC回路に用いる場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。例えば、上述の半導体装置(GaN−HEMT又はGaN−HEMTを含む半導体パッケージ)を、サーバ以外のコンピュータなどの電子機器(電子装置)に用いても良い。また、上述の半導体装置(半導体パッケージ)を、電源装置に備えられる他の回路(例えばDC−DCコンバータなど)に用いても良い。
[その他]
なお、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0155】
例えば、上述の各実施形態では、本発明をGaN系トランジスタに適用した場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。例えば、半導体積層構造として他の構造を備える電界効果トランジスタに本発明を適用することもできる。
また、例えば、上述の各実施形態では、ゲート電極をAl層からなるものとしているが、これに限られるものではなく、例えば、ゲート電極は、Pt,Ir,W,Ni,Ti,Au,Cu,Ag,Pd,Zn,Cr,Al,Mn,Ta,Si,TaN,TiN,Ru,CoSi(例えばCoSi),WSi(例えばWSi),NiSi,MoSi(例えばMoSi),TiSi(例えばTiSi),AlSi(例えばAl−Si化合物),Al−Cu(例えばAl−Cu化合物)及びAlSiCu(例えばAl−Si−Cu化合物)のいずれかの材料を含む層を少なくとも1層備えるものであれば良い。
【0156】
また、例えば、上述の各実施形態では、ゲート絶縁膜をAlO膜としているが、これに限られるものではなく、例えば、ゲート絶縁膜は、AlO(例えばAl),SiN,SiO(例えばSiO),HfO(例えばHfO),AlNのいずれかの材料を含む膜を少なくとも一つ有するものとすれば良い。同様に、上述の各実施形態では、ゲート絶縁膜を覆う絶縁膜をAlO膜としているが、これに限られるものではなく、例えば、ゲート絶縁膜を覆う絶縁膜は、AlO(例えばAl),SiN,SiO(例えばSiO),HfO(例えばHfO),AlNのいずれかの材料を含む膜を少なくとも一つ有するものとすれば良い。
【0157】
また、例えば、上述の第1実施形態〜第5実施形態及び第11実施形態〜第16実施形態のものにおいて、ゲート電極3と電極材料拡散抑制層6との間及びゲート絶縁膜2と電極材料拡散抑制層6との間の少なくとも一方に、Pt,Ir,W,Ni,Ti,Au,Cu,Ag,Pd,Zn,Cr,Al,Mn,Ta,Si,TaN,TiN,Ru,CoSi(例えばCoSi),WSi(例えばWSi),NiSi,MoSi(例えばMoSi),TiSi(例えばTiSi),AlSi(例えばAl−Si化合物),AlCu(例えばAl−Cu化合物)及びAlSiCu(例えばAl−Si−Cu化合物)のいずれかの材料を含む層を少なくとも1層有する層(密着層)を備えるものとしても良い。
【0158】
また、例えば、上述の第6実施形態〜第16実施形態のものにおいて、Au配線9と電極材料拡散抑制層6(第2電極材料拡散抑制層6X)との間及びオーミック電極4、5に含まれるAl層と電極材料拡散抑制層6(第2電極材料拡散抑制層6X)との間の少なくとも一方に、Pt,Ir,W,Ni,Ti,Au,Cu,Ag,Pd,Zn,Cr,Al,Mn,Ta,Si,TaN,TiN,Ru,CoSi(例えばCoSi),WSi(例えばWSi),NiSi,MoSi(例えばMoSi),TiSi(例えばTiSi),AlSi(例えばAl−Si化合物),AlCu(例えばAl−Cu化合物)及びAlSiCu(例えばAl−Si−Cu化合物)のいずれかの材料を含む層を少なくとも1層有する層(密着層)を備えるものとしても良い。
【0159】
また、例えば、上述の第1実施形態〜第5実施形態、第16実施形態のものにおいて、Au配線を他の低抵抗配線材料からなるものとしても良い。また、上述の第1実施形態〜第5実施形態、第16実施形態のものにおいて、Au配線9とバリアメタル8との間及びオーミック電極4、5に含まれるAl層とバリアメタル層8との間の少なくとも一方に、Pt,Ir,W,Ni,Ti,Au,Cu,Ag,Pd,Zn,Cr,Al,Mn,Ta,Si,TaN,TiN,Ru,CoSi(例えばCoSi),WSi(例えばWSi),NiSi,MoSi(例えばMoSi),TiSi(例えばTiSi),AlSi(例えばAl−Si化合物),AlCu(例えばAl−Cu化合物)及びAlSiCu(例えばAl−Si−Cu化合物)のいずれかの材料を含む層を少なくとも1層有する層(密着層)を備えるものとしても良い。
【0160】
また、例えば、上述の第6実施形態〜第10実施形態、第16実施形態のものにおいて、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との間に、Pt,Ir,W,Ni,Ti,Au,Cu,Ag,Pd,Zn,Cr,Al,Mn,Ta,Si,TaN,TiN,Ru,CoSi(例えばCoSi),WSi(例えばWSi),NiSi,MoSi(例えばMoSi),TiSi(例えばTiSi),AlSi(例えばAl−Si化合物),AlCu(例えばAl−Cu化合物)及びAlSiCu(例えばAl−Si−Cu化合物)のいずれかの材料を含む層を少なくとも1層有する層(密着層)を備えるものとしても良い。
【0161】
以下、上述の各実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
ゲート電極と、
ゲート絶縁膜と、
前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【0162】
(付記2)
前記ゲート電極は、Pt,Ir,W,Ni,Ti,Au,Cu,Ag,Pd,Zn,Cr,Al,Mn,Ta,Si,TaN,TiN,Ru,CoSi,WSi,NiSi,MoSi,TiSi,AlSi,AlCu及びAlSiCuのいずれかの材料を含む層を少なくとも1層備えることを特徴とする、付記1に記載の半導体装置。
【0163】
(付記3)
前記ゲート絶縁膜は、AlO,SiN,SiO,HfO,AlNのいずれかの材料を含む膜を少なくとも一つ有することを特徴とする、付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記ゲート電極と前記電極材料拡散抑制層との間及び前記ゲート絶縁膜と前記電極材料拡散抑制層との間の少なくとも一方に設けられ、Pt,Ir,W,Ni,Ti,Au,Cu,Ag,Pd,Zn,Cr,Al,Mn,Ta,Si,TaN,TiN,Ru,CoSi,WSi,NiSi,MoSi,TiSi,AlSi,AlCu及びAlSiCuのいずれかの材料を含む層を少なくとも一層有する層を備えることを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0164】
(付記5)
キャリア走行層及びキャリア供給層を含む窒化物半導体積層構造を備え、
前記ゲート絶縁膜は、前記窒化物半導体積層構造上に設けられていることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記6)
Al層を含むオーミック電極と、
Au配線と、
前記Al層と前記Au配線との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【0165】
(付記7)
前記Au配線と前記電極材料拡散抑制層との間及び前記Al層と前記電極材料拡散抑制層との間の少なくとも一方に設けられ、Pt,Ir,W,Ni,Ti,Au,Cu,Ag,Pd,Zn,Cr,Al,Mn,Ta,Si,TaN,TiN,Ru,CoSi,WSi,NiSi,MoSi,TiSi,AlSi,AlCu及びAlSiCuのいずれかの材料を含む層を少なくとも1層有する層を備えることを特徴とする、付記6に記載の半導体装置。
【0166】
(付記8)
前記電極材料拡散抑制層は、前記第2TaN層上に、さらにPt層を積層した構造を有することを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記9)
前記電極材料拡散抑制層は、前記第2TaN層上に、さらにAg層を積層した構造を有することを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0167】
(付記10)
前記電極材料拡散抑制層は、前記第2TaN層上に、さらにTi層を積層した構造を有することを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記11)
前記電極材料拡散抑制層は、前記第2TaN層上に、さらにCu層を積層した構造を有することを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0168】
(付記12)
前記第1TaN層及び前記第2TaN層は、窒素含有率が48%よりも大きく52%以下であることを特徴とする、付記1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記13)
ゲート電極の下方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層と、
オーミック電極の上方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【0169】
(付記14)
ゲート電極と、
ゲート絶縁膜と、
前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備える半導体装置を備える電源装置。
【0170】
(付記15)
Al層を含むオーミック電極と、
Au配線と、
前記Al層と前記Au配線との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備える半導体装置を備える電源装置。
【0171】
(付記16)
ゲート電極の下方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層と、
オーミック電極の上方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層とを備える半導体装置を備える電源装置。
【0172】
(付記17)
ゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜上に、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層して電極材料拡散抑制層を形成し、
前記電極材料拡散抑制層上にゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0173】
(付記18)
Al層を含むオーミック電極を形成し、
前記Al層上に、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層して電極材料拡散抑制層を形成し、
前記電極材料拡散抑制層上にAu配線を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0174】
(付記19)
TaN層、Ta層、TaN層を順に積層して第1電極材料拡散抑制層を形成し、
前記第1電極材料拡散抑制層上にゲート電極を形成し、
オーミック電極を形成し、
前記オーミック電極上に、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層して第2電極材料拡散抑制層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0175】
(付記20)
前記第1電極材料拡散抑制層と前記第2電極材料拡散抑制層とを同時に形成することを特徴とする、付記19に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0176】
1 GaN系半導体積層構造
2 ゲート絶縁膜
3 ゲート電極(Al層)
4 ソース電極(Al含有オーミック電極)
5 ドレイン電極(Al含有オーミック電極)
6 電極材料拡散抑制層(第1電極材料拡散抑制層)
6A TaN層(第1TaN層)
6B Ta層
6C TaN層(第2TaN層)
6D Pt層
6E Ag層
6F Cu層
6G Ti層
6X 電極材料拡散抑制層(第2電極材料拡散抑制層)
7 絶縁膜
8 バリアメタル層
9 Au配線
9A 第1Au層
9B 第2Au層
10 ゲートパッド
11 ソースパッド
12 ドレインパッド
15〜18 レジスト
20 第1レジスト膜
21 第2レジスト膜
22 Ti層及びAl層
23 第1レジスト膜
24 第2レジスト膜
25、26 レジスト
30 第1レジスト膜
31 第2レジスト膜
32 Ti層及びAl層
33 TaN層
34 Ta層
35 TaN層
36 Au層
37 Al層
40 SiC基板(半導体基板)
41 i−GaN電子走行層
42 n−AlGaN電子供給層
43 n−GaN層
50 ステージ
51 ゲートリード
52 ソースリード
53 ドレインリード
54A〜54C Alワイヤ(ボンディングワイヤ)
55 封止樹脂
56 半導体チップ(GaN−HEMT)
57 ダイアタッチ剤
60 ダイオードブリッジ
61 チョークコイル
62 第1コンデンサ
63 GaN−HEMT
64 ダイオード
65 第2コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、
ゲート絶縁膜と、
前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
Al層を含むオーミック電極と、
Au配線と、
前記Al層と前記Au配線との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記第1TaN層及び前記第2TaN層は、窒素含有率が48%よりも大きく52%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
ゲート電極の下方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層と、
オーミック電極の上方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
ゲート電極と、
ゲート絶縁膜と、
前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備える半導体装置を備える電源装置。
【請求項6】
Al層を含むオーミック電極と、
Au配線と、
前記Al層と前記Au配線との間に設けられ、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層した構造を有する電極材料拡散抑制層とを備える半導体装置を備える電源装置。
【請求項7】
ゲート電極の下方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第1電極材料拡散抑制層と、
オーミック電極の上方に設けられ、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層した構造を有する第2電極材料拡散抑制層とを備える半導体装置を備える電源装置。
【請求項8】
ゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜上に、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層して電極材料拡散抑制層を形成し、
前記電極材料拡散抑制層上にゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
Al層を含むオーミック電極を形成し、
前記Al層上に、第1TaN層、Ta層、第2TaN層を順に積層して電極材料拡散抑制層を形成し、
前記電極材料拡散抑制層上にAu配線を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
TaN層、Ta層、TaN層を順に積層して第1電極材料拡散抑制層を形成し、
前記第1電極材料拡散抑制層上にゲート電極を形成し、
オーミック電極を形成し、
前記オーミック電極上に、TaN層、Ta層、TaN層を順に積層して第2電極材料拡散抑制層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1電極材料拡散抑制層と前記第2電極材料拡散抑制層とを同時に形成することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−178419(P2012−178419A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39949(P2011−39949)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】