半導体装置
【課題】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化およびしきい値電圧の変動を抑制できる半導体装置を提供する。
【解決手段】ゲート電極GEは、ソース領域およびドリフト領域DRに挟まれる領域上に絶縁層FOを介在して形成されている。フィールドプレートFPは、ゲート電極GEおよびドリフト領域DR上を延在し、かつゲート電極GEに電気的に接続されている。ダミー導電層DCは、フィールドプレートFPとドリフト領域DRとの間において絶縁層FO上に形成され、かつソース領域に電気的に接続されている。
【解決手段】ゲート電極GEは、ソース領域およびドリフト領域DRに挟まれる領域上に絶縁層FOを介在して形成されている。フィールドプレートFPは、ゲート電極GEおよびドリフト領域DR上を延在し、かつゲート電極GEに電気的に接続されている。ダミー導電層DCは、フィールドプレートFPとドリフト領域DRとの間において絶縁層FO上に形成され、かつソース領域に電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを備えた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえばプラズマディスプレイパネル(PDP)ドライバーや自動車に用いられる高耐圧横型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)には、高電圧を入力することができるように、分離酸化膜のような厚膜の酸化膜をゲート酸化膜として用いるものがある。このようなMOSFET部を有する素子は、たとえば以下の非特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】T. Nitta et al., "Wide Voltage Power Device Implementation in 0.25μm SOI BiC-DMOS", Proceedings of the 18th International Symposium on Power Semiconductor Devices & IC's JUNE 4-8, 2006 Naples, Italy
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなMOSFETの構造では、ゲートパルスストレスによる耐圧劣化が大きいという問題がある。またしきい値電圧の変動を抑制することも重要である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高電圧を入力可能で、ゲートパルスストレスによる耐圧劣化およびしきい値電圧の変動を抑制できる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の半導体装置は、半導体基板と、絶縁層と、横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、フィールドプレートと、ダミー導電層とを備えている。半導体基板は、主表面を有している。絶縁層は、半導体基板の主表面に選択的に形成されている。横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、半導体基板に形成されている。この絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、ソース領域およびドレイン領域と、ドリフト領域と、ゲート電極とを含んでいる。ソース領域およびドレイン領域は、絶縁層の両側のそれぞれにおいて前記半導体基板の主表面に形成されている。ドリフト領域は、ドレイン領域に接続されている。ゲート電極は、ソース領域およびドリフト領域に挟まれる領域上に絶縁層を介在して形成されている。フィールドプレートは、ゲート電極およびドリフト領域上を延在し、かつゲート電極に電気的に接続されている。ダミー導電層は、フィールドプレートとドリフト領域との間において絶縁層上に形成され、かつソース領域に電気的に接続された第1の導電体を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本実施の形態の半導体装置によれば、ソース領域に電気的に接続された第1の導電体がフィールドプレートとドリフト領域との間に形成されているため、ゲートパルスストレスによる耐圧劣化およびしきい値電圧の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す平面図であって、ゲート電極と同じ層およびそれより下の層を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す平面図であって、フィールドプレートと同じ層およびそれより下の層を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図9】フィールドプレートがソース領域に電気的に接続され、かつダミー導電層を有しない横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタの構成を概略的に示す断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図10】フィールドプレートがゲート電極に電気的に接続され、かつダミー導電層を有しない横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタの構成を概略的に示す断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図11】フィールドプレートとダミー導電層とがソース領域に電気的に接続された横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタの構成を概略的に示す断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図12】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化の結果を示す図であって、パルスストレス印加回数と耐圧劣化量との関係を示す図である。
【図13】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化の予想メカニズムを説明するための第1の概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図14】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化の予想メカニズムを説明するための第2の概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図15】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化の予想メカニズムを説明するための第3の概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図16】図1の構成においてダミー導電層の長さpsを変化させた場合と、図10の構成でフィールドプレートの長さAGFPを変化させた場合とのそれぞれにおける、電流能力(ドレイン電流Ids)としきい値電圧の変化量(ΔVth)との関係を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態2における半導体装置の構成を概略的に示す断面図であって、ダミー導電層が複数の導電体を有する場合の構成を示す図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態の半導体装置は、半導体基板SUと、横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、フィールドプレートFPと、ダミー導電層DCとを主に有している。
【0010】
半導体基板SUは、たとえばSOI(Silicon On Insulator)構造を有し、支持基板SSと、BOX(Buried Oxide)層BIと、半導体層SLとがこの順で積層された構成を有している。半導体層SLは、たとえばn型の導電型を有している。
【0011】
半導体基板SUの表面(半導体層SLの表面)には、絶縁層FOが選択的に形成されている。この絶縁層FOは、たとえばフィールド酸化膜などの素子分離用の絶縁層からなっていてもよい。このフィールド酸化膜とは、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により形成された酸化膜である。また絶縁層FOは、フィールド酸化膜以外のたとえば400nm以上の厚みを有する厚膜の絶縁層であってもよく、またSTI(Shallow Trench Isolation)構造における溝内を充填する絶縁層であってもよい。
【0012】
横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、半導体基板SU(半導体層SL)に形成されている。この高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、ドレイン領域PW1、PR1と、ソース領域PW2、PR2と、ドリフト領域DRと、ゲート電極GEとを主に有している。
【0013】
ドレイン領域PW1、PR1とソース領域PW2、PR2とは、絶縁層FOの両側のそれぞれにおける半導体基板SUの表面に形成されている。つまり、絶縁層FOの一方端部(図中右側端部)の半導体基板SUの表面(半導体層SLの表面)にはドレイン領域PW1、PR1が形成されており、絶縁層FOの他方端部(図中左側端部)の半導体基板SUの表面にはソース領域PW2、PR2が形成されている。
【0014】
ドレイン領域は、p型ウエル領域PW1と、このp型ウエル領域PW1よりも高いp型不純物濃度を有するp+領域PR1とを有している。p+領域PR1は絶縁層FOが形成されていない半導体基板SUの表面に形成されている。p型ウエル領域PW1は、p+領域PR1に隣接し、かつp+領域PR1の周囲を取り囲むように形成されており、一部が絶縁層FOの下側に位置している。
【0015】
ソース領域は、p型ウエル領域PW2と、このp型ウエル領域PW2よりも高いp型不純物濃度を有するp+領域PR2とを有している。p+領域PR2は絶縁層FOが形成されていない半導体基板SUの表面に形成されている。p型ウエル領域PW2は、p+領域PR2に隣接し、かつp+領域PR2の下側を取り囲むように形成されており、一部が絶縁層FOの下側に位置している。
【0016】
p-ドリフト領域DRは、p型ウエル領域PW1よりも低いp型不純物濃度を有するp-領域よりなっている。p-ドリフト領域DRは、ドレイン領域のp型ウエル領域PW1に隣接し、かつドレイン領域の少なくともソース側に位置している。またp-ドリフト領域DRのドレイン領域よりもソース側に位置する部分は、絶縁層FOの真下に位置している。
【0017】
なお半導体層SLには、p型ウエル領域PW2の側部と隣接するようにn型ウエル領域NWが形成されている。また半導体層SLには、p+領域PR2の側部と隣接するように、かつn型ウエル領域NWの上部と隣接するようにn+領域NRが形成されている。またn型ウエル領域NWおよびp型ウエル領域PW2のそれぞれの底部に接するようにボトムn型領域BNが形成されている。
【0018】
p+領域PR1上にはシリサイド層SC1が形成されており、p+領域PR2上にはシリサイド層SC2が形成されており、かつn+領域NR上にはシリサイド層SC3が形成されている。これらのシリサイド層SC1、SC2、SC3のそれぞれは、たとえばコバルトシリサイド(CoSi2)よりなっている。
【0019】
ゲート電極GEは、p型ウエル領域PW2とp-ドリフト領域DRとに挟まれる半導体層SLのn-領域上であって、絶縁層FOの上面に接するように形成されている。ゲート電極GEの全体が絶縁層FOの上面に接している。
【0020】
ダミー導電層DCは、p-ドリフト領域DR上であって、絶縁層FOの上面に接するように形成されている。このダミー導電層DCは、ソース領域PW2、PR2に電気的に接続されている。
【0021】
ゲート電極GEおよびダミー導電層DCのそれぞれは、たとえば不純物がドープされた多結晶シリコン層(以下、ドープドポリシリコン層と称する)と、たとえばタングステンシリサイド(WSi2)よりなるシリサイド層との積層構造を有している。
【0022】
ゲート電極GEおよびダミー導電層DCのそれぞれの上面には絶縁層CIが形成されている。またゲート電極GEと絶縁層CIとの側壁およびダミー導電層DCと絶縁層CIとの側壁のそれぞれには側壁絶縁層SWが形成されている。これらの絶縁層CIおよび側壁絶縁層SWはたとえばTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料としたシリコン酸化膜よりなっている。
【0023】
上記の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタ上を覆うように、半導体基板SU(半導体層SL)上に層間絶縁層IIが形成されている。この層間絶縁層IIはたとえばTEOSを原料としたシリコン酸化膜よりなっている。
【0024】
層間絶縁層IIの上面上にはドレイン配線DIと、ソース配線SIと、フィールドプレートFPとが形成されている。ドレイン配線DIは、コンタクトホールCH4内を充填するプラグ導電層PLを介在してドレイン領域PW1、PR1と電気的に接続されている。ソース配線SIは、コンタクトホールCH2内を充填するプラグ導電層PLを介在してソース領域PW2、PR2と電気的に接続されている。このソース配線SIは、コンタクトホールCH5内を充填するプラグ導電層PLを介在してn+領域NRおよびn型ウエル領域NWにも電気的に接続されている。
【0025】
フィールドプレートFPは、p-ドリフト領域DR上を延在するように、層間絶縁層IIの上面上に形成されている。フィールドプレートFPは、コンタクトホールCH3内を充填するプラグ導電層PLを介在してゲート電極GEと電気的に接続されている。フィールドプレートFPは、たとえばアルミニウムを含む材質の金属層よりなっている。
【0026】
上記のダミー導電層DCは、このフィールドプレートFPとp-ドリフト領域DRとの間に位置している。またダミー導電層DCは、このフィールドプレートFPのドレイン側の端部FPEよりもソース側(図中左側)に位置している。
【0027】
なお絶縁層FOの厚みは、使用電圧に対して破壊しない膜厚以上であることが好ましい。たとえば使用電圧が100Vであれば絶縁層FOの厚みは100nm以上、使用電圧が200Vであれば絶縁層FOの厚みは200nm以上であることが好ましい。また絶縁層FOの厚みの上限は使用電圧に対して破壊しない膜厚の3倍程度の膜厚であることが好ましい。たとえば使用電圧が100Vであれば絶縁層FOの厚みの上限は300nm以下、使用電圧が200Vであれば絶縁層FOの厚みの上限は600nm以下であることが好ましい。
【0028】
図2を参照して、ソース領域を構成するp+領域PR2は、平面視においてn+領域NRの周囲を取り囲むように形成されている。またドレイン領域を構成するp+領域PR1は、平面視において絶縁層FOを介在してp+領域PR2の周囲を取り囲むように形成されている。
【0029】
ゲート電極GEは、平面視においてp+領域PR2の周囲を取り囲むように形成されている。ダミー導電層DCは、平面視においてゲート電極GEの周囲を取り囲むように形成されている。
【0030】
図3を参照して、ソース配線SIは、平面視においてn+領域NRおよびp+領域PR2上からダミー導電層DC上に延在するように延びている。このソース配線SIは、コンタクトホールCH5内を埋め込むプラグ導電層を介在してn+領域NRに電気的に接続され、コンタクトホールCH2内を埋め込むプラグ導電層を介在してp+領域PR2に電気的に接続され、かつコンタクトホールCH1内を埋め込むプラグ導電層を介在してダミー導電層DCに電気的に接続されている。これによりダミー導電層DCは、ソース配線SIを介在してソース領域PW2、PR2に電気的に接続されている。
【0031】
ドレイン配線DIは、平面視においてp+領域PR1上に位置するとともに、ソース配線SIの周囲を取り囲むように形成されている。ドレイン配線DIは、コンタクトホールCH4内を埋め込むプラグ導電層を介在してp+領域PR1に電気的に接続されている。
【0032】
フィールドプレートFPは、平面視においてソース配線SIの外周側であってドレイン配線DIの内周側に位置している。これにより、フィールドプレートFPは、平面視においてソース配線SIの周囲を取り囲むように形成されている。フィールドプレートFPは、コンタクトホールCH3内を充填するプラグ導電層を介在してゲート電極GEと電気的に接続されている。
【0033】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図4を参照して、たとえばSOI構造のウエハが半導体基板SUとして準備される。この半導体基板SUの表面(半導体層SLの表面)に、たとえばLOCOS法により絶縁層(フィールド酸化膜)FOが形成される。
【0034】
この後、イオン注入などが適宜施されて、p型ウエル領域PW1、PW2と、n型ウエル領域NWと、ボトムn型領域BNと、p-ドリフト領域DRとが半導体層SLに形成される。イオン注入は上記の絶縁層FOより前に施してもよい。
【0035】
この後、たとえば酸化により酸化膜INが半導体層SLの表面に形成される。さらにこの後、半導体層SLの表面全面に、導電層PSと絶縁層CIとが順に積層して形成される。
【0036】
導電層PSは、たとえばドープドポリシリコン層と、シリサイド層との積層構造となるように形成される。また絶縁層CIは、たとえばTEOSを原料としたシリコン酸化膜により形成される。
【0037】
図5を参照して、写真製版技術およびエッチング技術により、導電層PSと絶縁層CIとがパターニングされる。これにより導電層PSから、ゲート電極GEとダミー導電層DCとが形成される。また酸化膜INが除去されて、半導体層SLの一部表面が露出する。
【0038】
図6を参照して、イオン注入などによりn型ウエル領域NWの表面にn+領域NRが形成される。この後、たとえばTEOSを原料としたシリコン酸化膜よりなる絶縁層SWが半導体層SLの表面全面に成膜される。この後、少なくとも絶縁層CIの表面が露出するまで、絶縁層SWがエッチング除去される。これにより、絶縁層SWは、ゲート電極GEおよびダミー導電層DCのそれぞれの側壁を覆うように残存して、側壁絶縁層SWとなる。
【0039】
図7を参照して、イオン注入などによりp+領域PR1、PR2のそれぞれがp型ウエル領域PW1、PW2の表面に形成される。
【0040】
図8を参照して、たとえば高融点金属を含む金属層が半導体層SLの表面全面に形成される。この後、たとえばRTA(Rapid Thermal Annealing)などの熱処理が施される。これにより、高融点金属が半導体層SLのシリコンと反応して、シリサイド層SC1、SC2、SC3が形成される。この後、未反応の金属層が除去される。
【0041】
図1を参照して、半導体層SLの表面全面に、たとえばTEOSを原料としたシリコン酸化膜よりなる層間絶縁層IIが形成される。この層間絶縁層IIに、写真製版技術およびエッチング技術によりコンタクトホールCH1〜CH5が形成される。これらのコンタクトホールCH1〜CH5の各々に、プラグ導電層PLが充填される。層間絶縁層IIの上に、たとえばタングステンを含む材質やアルミニウムを含む材質よりなる金属層が形成される。この金属層が写真製版技術およびエッチング技術によりパターニングされて、ドレイン配線DI、ソース配線SI、フィールドプレートFPなどが金属層から形成される。
【0042】
このようにして図1に示す本実施の形態の半導体装置が製造される。
次に、本実施の形態および比較例の半導体装置のゲートパルスストレスによる耐圧劣化量およびしきい値電圧の変動量について測定した方法および結果について説明する。
【0043】
まずゲートパルスストレスによる耐圧劣化量に関しては、図1に示す本実施の形態の構成と、図9〜図11に示す3種類の比較例の構成とについて調べた。
【0044】
図9の構成は、図1に示す本実施の形態の構成と比較して、フィールドプレートがソース配線SIと一体化してソース電位になっている点とダミー導電層が設けられていない点とにおいて異なっている。
【0045】
また図10の構成は、図1に示す本実施の形態の構成と比較して、ダミー導電層が設けられていない点において異なっている。
【0046】
また図11の構成は、図1に示す本実施の形態の構成と比較して、フィールドプレートがソース配線SIと一体化してソース電位になっている点とダミー導電層がソース配線SIに接続されてソース電位になっている点とにおいて異なっている。
【0047】
なお図9〜図11の上記以外の構成は、図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0048】
上記の4つの構成(図1、図9〜図11に示す構成)についてのゲートパルスストレスによる耐圧劣化量の測定は、以下の方法により行なった。
【0049】
(A1)オフ耐圧を測定した。
(A2)ゲートストレスをパルスで印加した。
【0050】
(A3)オフ耐圧を測定した。
(A4)上記(A2)および(A3)を繰り返した。
【0051】
上記の方法により測定されたゲートパルスストレスによる耐圧劣化量の結果を図12に示す。図12の結果から、図9および図11の各構成ではゲートパルスストレスによって耐圧劣化が大きくなるが、図10および図1の各構成ではゲートパルスストレスによって耐圧がほとんど劣化しないことがわかった。
【0052】
この結果は以下の理由によるものと考えられる。
たとえば図9に示す構成では、フィールドプレートがソース配線SIと一体化してソース電位となっている。この構成のオフ状態においては、図13に示すようにソース電位Vsが0V、ドレイン電位Vdが−BV、ゲート電位Vgが0V、支持基板SSの電位VbackがVdとなる。この場合、ソース領域とドレイン領域との間の図中横方向に電界が生じる。そこで、ソース配線SIをフィールドプレートとして用い、かつ支持基板SSにVdの電位を印加することによって、この図中横方向の電界が均一になるように制御されている。
【0053】
しかし、図14に示すようにゲート電極GEにパルスストレスが印加されると、ゲート電極GEとソース配線SIとの間にかかる電界によって層間絶縁層IIで分極が発生する。この分極によって、層間絶縁層IIのソース配線SI側(図中上側)は負の電荷が偏った部分となり、層間絶縁層IIのゲート電極GE側(図中下側)は正の電荷が偏った部分となる。
【0054】
図15に示すように、上記の分極によって層間絶縁層IIの図中下側に偏った正の電荷がドリフト領域DRに作用する。これにより、ソース領域とドレイン領域との間にかかる横方向の電界が不均一となる。上記により、耐圧が劣化したものと考えられる。また図11の構成についても同様の理由により耐圧が劣化したものと考えられる。
【0055】
一方、図10および図1に示す構成においては、フィールドプレートFPがゲート電位となる。これにより上記の分極が生じないために耐圧がほとんど劣化しなかったものと考えられる。
【0056】
次に、上記の耐圧の劣化がほとんど生じなかった図1に示す本実施の形態の構成と、図10に示す比較例の構成とについて、しきい値電圧の変動量を調べた。
【0057】
上記の2つの構成(図1、図10に示す構成)についてのしきい値電圧の変動量の測定は、以下の方法により行なった。
【0058】
(B1)ドレイン電流Idsおよびしきい値電圧Vthを測定した。
(B2)Vg(ゲート電位)=Vd(ドレイン電位)のストレス電圧を一定時間印加した。
【0059】
(B3)ドレイン電流Idsおよびしきい値電圧Vthを測定した。
また上記の測定は、図1に示すダミー導電層DCの幅psを変化させて測定し、また図10のフィールドプレートFPのドレイン側端部からゲート電極GEの端部直上までの幅AGFPを変化させて測定した。
【0060】
上記の方法により測定されたしきい値電圧の変動量の結果を図16に示す。図16の結果から、図10の構成ではフィールドプレートの幅AGFPを変化させることで電流能力の増加は抑えられるものの、しきい値電圧の変動量(ΔVth)はあまり抑えられないことがわかった。一方、図1の構成ではダミー導電層DCの幅psを長くすることで、電流能力の増加を抑えられるとともに、しきい値電圧の変動量(ΔVth)も抑えられることがわかった。
【0061】
これは、フィールドプレートFPとドリフト領域DRとの間にダミー導電層DCを設けたことで、フィールドプレートFPの電界をダミー導電層DCによって遮蔽できるためであると考えられる。
【0062】
以上より、図1に示す本実施の形態の構成によれば、ゲートパルスストレスによる耐圧劣化およびしきい値電圧の変動を抑制することができる。
【0063】
次に、本実施の形態の半導体装置の作用効果について説明する。
本実施の形態では、図1に示すようにゲート絶縁層に素子分離絶縁層のような厚膜の絶縁層FOが用いられているため、高電圧を入力することができる。またフィールドプレートFPを設けたことにより、ドリフト領域DRでの電界集中を緩和することができる。またフィールドプレートFPがゲート電位であるため、電流能力を向上することができる。
【0064】
また電流能力を向上させると、通常はホットキャリアが発生しやすくなることで絶縁層FO中へのキャリアのトラップが増加して、しきい値電圧などの特性変動が大きくなる。しかし、本実施の形態では、フィールドプレートFPとドリフト領域DRとの間に配置したソース電位のダミー導電層DCによりフィールドプレートFPからの電界を遮蔽することができる。これにより、図16に示すように電流能力を向上させても、図10の構成よりもしきい値電圧の変動を少なくすることができる。
【0065】
また本実施の形態では、ソース電位のダミー導電層DCによりフィールドプレートFPからの電界を遮蔽することができるため、図12に示すようにゲートパルスストレスによる耐圧劣化量を少なくすることができる。
【0066】
また本実施の形態では、ダミー導電層DCの幅psや配置位置を変更することにより、電流能力を調整することもできる。
【0067】
また図1に示す本実施の形態の構成においてダミー導電層DCがフィールドプレートFPのドレイン側端部FPEよりもドレイン側に位置している場合には耐圧が下がる。しかし本実施の形態では、ダミー導電層DCはフィールドプレートFPのドレイン側端部FPEよりもソース側に位置しているため、このような耐圧の低下が生じることもない。
【0068】
(実施の形態2)
図17を参照して、本実施の形態の半導体装置の構成は、図1に示す実施の形態1の構成と比較して、ダミー導電層DCが、導電体DC1と導電体DC2との2つの導電体を有する点において異なっている。導電体DC1と導電体DC2とは、共にソース領域に電気的に接続されている。導電体DC1と導電体DC2とのそれぞれの上面に絶縁層CIが形成されており、側面には側壁絶縁層SWが形成されている。
【0069】
なお、これ以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0070】
本実施の形態においては、ダミー導電層DCが導電体DC1と導電体DC2とを有しているため、実施の形態1よりも細かく電流能力の調整を行なうことができる。
【0071】
(実施の形態3)
図17を参照して、本実施の形態の半導体装置の構成は、図1に示す実施の形態1の構成と比較して、ダミー導電層DCが、導電体DC1と導電体DC2との2つの導電体を有する点において異なっている。ゲート電極GEに近い側の導電体DC1がソース領域に電気的に接続されている。ゲート電極GEに遠い側の導電体DC2はフローティングな電位状態となっている。つまり、導電体DC1のドレイン領域側に配置された導電体DC2がフローティング電位を有している。導電体DC1と導電体DC2とのそれぞれの上面に絶縁層CIが形成されており、側面には側壁絶縁層SWが形成されている。
【0072】
なお、これ以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0073】
本実施の形態においては、ダミー導電層DCが導電体DC1と導電体DC2とを有しているため、実施の形態1よりも細かく電流能力の調整を行なうことができる。
【0074】
またフローティング電位の導電体DC2により、層間絶縁層IIの膜質または上層から侵入する水分に起因するトラップサイトの形成による劣化を抑制することができる。
【0075】
(実施の形態4)
図17を参照して、本実施の形態の半導体装置の構成は、図1に示す実施の形態1の構成と比較して、ダミー導電層DCが、導電体DC1と導電体DC2との2つの導電体を有する点において異なっている。ゲート電極GEに近い側の導電体DC1がフローティングな電位状態となっている。ゲート電極GEに遠い側の導電体DC2はソース領域に電気的に接続されている。つまり、導電体DC2のゲート電極GE側に配置された導電体DC1がフローティング電位を有している。導電体DC1と導電体DC2とのそれぞれの上面に絶縁層CIが形成されており、側面には側壁絶縁層SWが形成されている。
【0076】
なお、これ以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0077】
本実施の形態においては、ダミー導電層DCが導電体DC1と導電体DC2とを有しているため、実施の形態1よりも細かく電流能力の調整を行なうことができる。
【0078】
またフローティング電位の導電体DC1により、層間絶縁層IIの膜質または上層から侵入する水分に起因するトラップサイトの形成による劣化を抑制することができる。
【0079】
(実施の形態5)
実施の形態2〜4においては、ダミー導電層DCが2つの導電体DC1、DC2を有する場合について説明したが、ダミー導電層DCは3つ以上の導電体を有していてもよい。この場合、3つ以上の導電体の少なくとも1つがソース電位であれば、他の導電体はソース電位であってもフローティング電位であってもよい。
【0080】
ダミー導電層DCが3つ以上の導電体を有することにより、実施の形態1よりも細かく電流能力の調整を行なうことができる。
【0081】
またダミー導電層DCがフローティング電位の導電体を有することにより、層間絶縁層IIの膜質または上層から侵入する水分に起因するトラップサイトの形成による劣化を抑制することができる。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを備えた半導体装置に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0084】
BI BOX層、BN ボトムn型領域、CH1〜CH5 コンタクトホール、CI,FO 絶縁層、DC ダミー導電層、DC1,DC2 導電体、DI ドレイン配線、DR ドリフト領域、FP フィールドプレート、GE ゲート電極、II 層間絶縁層、IN 酸化膜、NR n+領域、NW n型ウエル領域、PL プラグ導電層、PR1,PR2 p+領域、PS 導電層、PW1,PW2 p型ウエル領域、SC1〜SC3 シリサイド層、SI ソース配線、SL 半導体層、SS 支持基板、SU 半導体基板、SW 側壁絶縁層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを備えた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえばプラズマディスプレイパネル(PDP)ドライバーや自動車に用いられる高耐圧横型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)には、高電圧を入力することができるように、分離酸化膜のような厚膜の酸化膜をゲート酸化膜として用いるものがある。このようなMOSFET部を有する素子は、たとえば以下の非特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】T. Nitta et al., "Wide Voltage Power Device Implementation in 0.25μm SOI BiC-DMOS", Proceedings of the 18th International Symposium on Power Semiconductor Devices & IC's JUNE 4-8, 2006 Naples, Italy
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなMOSFETの構造では、ゲートパルスストレスによる耐圧劣化が大きいという問題がある。またしきい値電圧の変動を抑制することも重要である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高電圧を入力可能で、ゲートパルスストレスによる耐圧劣化およびしきい値電圧の変動を抑制できる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の半導体装置は、半導体基板と、絶縁層と、横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、フィールドプレートと、ダミー導電層とを備えている。半導体基板は、主表面を有している。絶縁層は、半導体基板の主表面に選択的に形成されている。横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、半導体基板に形成されている。この絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、ソース領域およびドレイン領域と、ドリフト領域と、ゲート電極とを含んでいる。ソース領域およびドレイン領域は、絶縁層の両側のそれぞれにおいて前記半導体基板の主表面に形成されている。ドリフト領域は、ドレイン領域に接続されている。ゲート電極は、ソース領域およびドリフト領域に挟まれる領域上に絶縁層を介在して形成されている。フィールドプレートは、ゲート電極およびドリフト領域上を延在し、かつゲート電極に電気的に接続されている。ダミー導電層は、フィールドプレートとドリフト領域との間において絶縁層上に形成され、かつソース領域に電気的に接続された第1の導電体を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本実施の形態の半導体装置によれば、ソース領域に電気的に接続された第1の導電体がフィールドプレートとドリフト領域との間に形成されているため、ゲートパルスストレスによる耐圧劣化およびしきい値電圧の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す平面図であって、ゲート電極と同じ層およびそれより下の層を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す平面図であって、フィールドプレートと同じ層およびそれより下の層を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分の断面図である。
【図9】フィールドプレートがソース領域に電気的に接続され、かつダミー導電層を有しない横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタの構成を概略的に示す断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図10】フィールドプレートがゲート電極に電気的に接続され、かつダミー導電層を有しない横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタの構成を概略的に示す断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図11】フィールドプレートとダミー導電層とがソース領域に電気的に接続された横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタの構成を概略的に示す断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図12】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化の結果を示す図であって、パルスストレス印加回数と耐圧劣化量との関係を示す図である。
【図13】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化の予想メカニズムを説明するための第1の概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図14】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化の予想メカニズムを説明するための第2の概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図15】ゲートパルスストレスによる耐圧劣化の予想メカニズムを説明するための第3の概略断面図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【図16】図1の構成においてダミー導電層の長さpsを変化させた場合と、図10の構成でフィールドプレートの長さAGFPを変化させた場合とのそれぞれにおける、電流能力(ドレイン電流Ids)としきい値電圧の変化量(ΔVth)との関係を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態2における半導体装置の構成を概略的に示す断面図であって、ダミー導電層が複数の導電体を有する場合の構成を示す図であり、図3のI−I線に沿う部分に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態の半導体装置は、半導体基板SUと、横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、フィールドプレートFPと、ダミー導電層DCとを主に有している。
【0010】
半導体基板SUは、たとえばSOI(Silicon On Insulator)構造を有し、支持基板SSと、BOX(Buried Oxide)層BIと、半導体層SLとがこの順で積層された構成を有している。半導体層SLは、たとえばn型の導電型を有している。
【0011】
半導体基板SUの表面(半導体層SLの表面)には、絶縁層FOが選択的に形成されている。この絶縁層FOは、たとえばフィールド酸化膜などの素子分離用の絶縁層からなっていてもよい。このフィールド酸化膜とは、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により形成された酸化膜である。また絶縁層FOは、フィールド酸化膜以外のたとえば400nm以上の厚みを有する厚膜の絶縁層であってもよく、またSTI(Shallow Trench Isolation)構造における溝内を充填する絶縁層であってもよい。
【0012】
横型の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、半導体基板SU(半導体層SL)に形成されている。この高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、ドレイン領域PW1、PR1と、ソース領域PW2、PR2と、ドリフト領域DRと、ゲート電極GEとを主に有している。
【0013】
ドレイン領域PW1、PR1とソース領域PW2、PR2とは、絶縁層FOの両側のそれぞれにおける半導体基板SUの表面に形成されている。つまり、絶縁層FOの一方端部(図中右側端部)の半導体基板SUの表面(半導体層SLの表面)にはドレイン領域PW1、PR1が形成されており、絶縁層FOの他方端部(図中左側端部)の半導体基板SUの表面にはソース領域PW2、PR2が形成されている。
【0014】
ドレイン領域は、p型ウエル領域PW1と、このp型ウエル領域PW1よりも高いp型不純物濃度を有するp+領域PR1とを有している。p+領域PR1は絶縁層FOが形成されていない半導体基板SUの表面に形成されている。p型ウエル領域PW1は、p+領域PR1に隣接し、かつp+領域PR1の周囲を取り囲むように形成されており、一部が絶縁層FOの下側に位置している。
【0015】
ソース領域は、p型ウエル領域PW2と、このp型ウエル領域PW2よりも高いp型不純物濃度を有するp+領域PR2とを有している。p+領域PR2は絶縁層FOが形成されていない半導体基板SUの表面に形成されている。p型ウエル領域PW2は、p+領域PR2に隣接し、かつp+領域PR2の下側を取り囲むように形成されており、一部が絶縁層FOの下側に位置している。
【0016】
p-ドリフト領域DRは、p型ウエル領域PW1よりも低いp型不純物濃度を有するp-領域よりなっている。p-ドリフト領域DRは、ドレイン領域のp型ウエル領域PW1に隣接し、かつドレイン領域の少なくともソース側に位置している。またp-ドリフト領域DRのドレイン領域よりもソース側に位置する部分は、絶縁層FOの真下に位置している。
【0017】
なお半導体層SLには、p型ウエル領域PW2の側部と隣接するようにn型ウエル領域NWが形成されている。また半導体層SLには、p+領域PR2の側部と隣接するように、かつn型ウエル領域NWの上部と隣接するようにn+領域NRが形成されている。またn型ウエル領域NWおよびp型ウエル領域PW2のそれぞれの底部に接するようにボトムn型領域BNが形成されている。
【0018】
p+領域PR1上にはシリサイド層SC1が形成されており、p+領域PR2上にはシリサイド層SC2が形成されており、かつn+領域NR上にはシリサイド層SC3が形成されている。これらのシリサイド層SC1、SC2、SC3のそれぞれは、たとえばコバルトシリサイド(CoSi2)よりなっている。
【0019】
ゲート電極GEは、p型ウエル領域PW2とp-ドリフト領域DRとに挟まれる半導体層SLのn-領域上であって、絶縁層FOの上面に接するように形成されている。ゲート電極GEの全体が絶縁層FOの上面に接している。
【0020】
ダミー導電層DCは、p-ドリフト領域DR上であって、絶縁層FOの上面に接するように形成されている。このダミー導電層DCは、ソース領域PW2、PR2に電気的に接続されている。
【0021】
ゲート電極GEおよびダミー導電層DCのそれぞれは、たとえば不純物がドープされた多結晶シリコン層(以下、ドープドポリシリコン層と称する)と、たとえばタングステンシリサイド(WSi2)よりなるシリサイド層との積層構造を有している。
【0022】
ゲート電極GEおよびダミー導電層DCのそれぞれの上面には絶縁層CIが形成されている。またゲート電極GEと絶縁層CIとの側壁およびダミー導電層DCと絶縁層CIとの側壁のそれぞれには側壁絶縁層SWが形成されている。これらの絶縁層CIおよび側壁絶縁層SWはたとえばTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料としたシリコン酸化膜よりなっている。
【0023】
上記の高耐圧絶縁ゲート型電界効果トランジスタ上を覆うように、半導体基板SU(半導体層SL)上に層間絶縁層IIが形成されている。この層間絶縁層IIはたとえばTEOSを原料としたシリコン酸化膜よりなっている。
【0024】
層間絶縁層IIの上面上にはドレイン配線DIと、ソース配線SIと、フィールドプレートFPとが形成されている。ドレイン配線DIは、コンタクトホールCH4内を充填するプラグ導電層PLを介在してドレイン領域PW1、PR1と電気的に接続されている。ソース配線SIは、コンタクトホールCH2内を充填するプラグ導電層PLを介在してソース領域PW2、PR2と電気的に接続されている。このソース配線SIは、コンタクトホールCH5内を充填するプラグ導電層PLを介在してn+領域NRおよびn型ウエル領域NWにも電気的に接続されている。
【0025】
フィールドプレートFPは、p-ドリフト領域DR上を延在するように、層間絶縁層IIの上面上に形成されている。フィールドプレートFPは、コンタクトホールCH3内を充填するプラグ導電層PLを介在してゲート電極GEと電気的に接続されている。フィールドプレートFPは、たとえばアルミニウムを含む材質の金属層よりなっている。
【0026】
上記のダミー導電層DCは、このフィールドプレートFPとp-ドリフト領域DRとの間に位置している。またダミー導電層DCは、このフィールドプレートFPのドレイン側の端部FPEよりもソース側(図中左側)に位置している。
【0027】
なお絶縁層FOの厚みは、使用電圧に対して破壊しない膜厚以上であることが好ましい。たとえば使用電圧が100Vであれば絶縁層FOの厚みは100nm以上、使用電圧が200Vであれば絶縁層FOの厚みは200nm以上であることが好ましい。また絶縁層FOの厚みの上限は使用電圧に対して破壊しない膜厚の3倍程度の膜厚であることが好ましい。たとえば使用電圧が100Vであれば絶縁層FOの厚みの上限は300nm以下、使用電圧が200Vであれば絶縁層FOの厚みの上限は600nm以下であることが好ましい。
【0028】
図2を参照して、ソース領域を構成するp+領域PR2は、平面視においてn+領域NRの周囲を取り囲むように形成されている。またドレイン領域を構成するp+領域PR1は、平面視において絶縁層FOを介在してp+領域PR2の周囲を取り囲むように形成されている。
【0029】
ゲート電極GEは、平面視においてp+領域PR2の周囲を取り囲むように形成されている。ダミー導電層DCは、平面視においてゲート電極GEの周囲を取り囲むように形成されている。
【0030】
図3を参照して、ソース配線SIは、平面視においてn+領域NRおよびp+領域PR2上からダミー導電層DC上に延在するように延びている。このソース配線SIは、コンタクトホールCH5内を埋め込むプラグ導電層を介在してn+領域NRに電気的に接続され、コンタクトホールCH2内を埋め込むプラグ導電層を介在してp+領域PR2に電気的に接続され、かつコンタクトホールCH1内を埋め込むプラグ導電層を介在してダミー導電層DCに電気的に接続されている。これによりダミー導電層DCは、ソース配線SIを介在してソース領域PW2、PR2に電気的に接続されている。
【0031】
ドレイン配線DIは、平面視においてp+領域PR1上に位置するとともに、ソース配線SIの周囲を取り囲むように形成されている。ドレイン配線DIは、コンタクトホールCH4内を埋め込むプラグ導電層を介在してp+領域PR1に電気的に接続されている。
【0032】
フィールドプレートFPは、平面視においてソース配線SIの外周側であってドレイン配線DIの内周側に位置している。これにより、フィールドプレートFPは、平面視においてソース配線SIの周囲を取り囲むように形成されている。フィールドプレートFPは、コンタクトホールCH3内を充填するプラグ導電層を介在してゲート電極GEと電気的に接続されている。
【0033】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図4を参照して、たとえばSOI構造のウエハが半導体基板SUとして準備される。この半導体基板SUの表面(半導体層SLの表面)に、たとえばLOCOS法により絶縁層(フィールド酸化膜)FOが形成される。
【0034】
この後、イオン注入などが適宜施されて、p型ウエル領域PW1、PW2と、n型ウエル領域NWと、ボトムn型領域BNと、p-ドリフト領域DRとが半導体層SLに形成される。イオン注入は上記の絶縁層FOより前に施してもよい。
【0035】
この後、たとえば酸化により酸化膜INが半導体層SLの表面に形成される。さらにこの後、半導体層SLの表面全面に、導電層PSと絶縁層CIとが順に積層して形成される。
【0036】
導電層PSは、たとえばドープドポリシリコン層と、シリサイド層との積層構造となるように形成される。また絶縁層CIは、たとえばTEOSを原料としたシリコン酸化膜により形成される。
【0037】
図5を参照して、写真製版技術およびエッチング技術により、導電層PSと絶縁層CIとがパターニングされる。これにより導電層PSから、ゲート電極GEとダミー導電層DCとが形成される。また酸化膜INが除去されて、半導体層SLの一部表面が露出する。
【0038】
図6を参照して、イオン注入などによりn型ウエル領域NWの表面にn+領域NRが形成される。この後、たとえばTEOSを原料としたシリコン酸化膜よりなる絶縁層SWが半導体層SLの表面全面に成膜される。この後、少なくとも絶縁層CIの表面が露出するまで、絶縁層SWがエッチング除去される。これにより、絶縁層SWは、ゲート電極GEおよびダミー導電層DCのそれぞれの側壁を覆うように残存して、側壁絶縁層SWとなる。
【0039】
図7を参照して、イオン注入などによりp+領域PR1、PR2のそれぞれがp型ウエル領域PW1、PW2の表面に形成される。
【0040】
図8を参照して、たとえば高融点金属を含む金属層が半導体層SLの表面全面に形成される。この後、たとえばRTA(Rapid Thermal Annealing)などの熱処理が施される。これにより、高融点金属が半導体層SLのシリコンと反応して、シリサイド層SC1、SC2、SC3が形成される。この後、未反応の金属層が除去される。
【0041】
図1を参照して、半導体層SLの表面全面に、たとえばTEOSを原料としたシリコン酸化膜よりなる層間絶縁層IIが形成される。この層間絶縁層IIに、写真製版技術およびエッチング技術によりコンタクトホールCH1〜CH5が形成される。これらのコンタクトホールCH1〜CH5の各々に、プラグ導電層PLが充填される。層間絶縁層IIの上に、たとえばタングステンを含む材質やアルミニウムを含む材質よりなる金属層が形成される。この金属層が写真製版技術およびエッチング技術によりパターニングされて、ドレイン配線DI、ソース配線SI、フィールドプレートFPなどが金属層から形成される。
【0042】
このようにして図1に示す本実施の形態の半導体装置が製造される。
次に、本実施の形態および比較例の半導体装置のゲートパルスストレスによる耐圧劣化量およびしきい値電圧の変動量について測定した方法および結果について説明する。
【0043】
まずゲートパルスストレスによる耐圧劣化量に関しては、図1に示す本実施の形態の構成と、図9〜図11に示す3種類の比較例の構成とについて調べた。
【0044】
図9の構成は、図1に示す本実施の形態の構成と比較して、フィールドプレートがソース配線SIと一体化してソース電位になっている点とダミー導電層が設けられていない点とにおいて異なっている。
【0045】
また図10の構成は、図1に示す本実施の形態の構成と比較して、ダミー導電層が設けられていない点において異なっている。
【0046】
また図11の構成は、図1に示す本実施の形態の構成と比較して、フィールドプレートがソース配線SIと一体化してソース電位になっている点とダミー導電層がソース配線SIに接続されてソース電位になっている点とにおいて異なっている。
【0047】
なお図9〜図11の上記以外の構成は、図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0048】
上記の4つの構成(図1、図9〜図11に示す構成)についてのゲートパルスストレスによる耐圧劣化量の測定は、以下の方法により行なった。
【0049】
(A1)オフ耐圧を測定した。
(A2)ゲートストレスをパルスで印加した。
【0050】
(A3)オフ耐圧を測定した。
(A4)上記(A2)および(A3)を繰り返した。
【0051】
上記の方法により測定されたゲートパルスストレスによる耐圧劣化量の結果を図12に示す。図12の結果から、図9および図11の各構成ではゲートパルスストレスによって耐圧劣化が大きくなるが、図10および図1の各構成ではゲートパルスストレスによって耐圧がほとんど劣化しないことがわかった。
【0052】
この結果は以下の理由によるものと考えられる。
たとえば図9に示す構成では、フィールドプレートがソース配線SIと一体化してソース電位となっている。この構成のオフ状態においては、図13に示すようにソース電位Vsが0V、ドレイン電位Vdが−BV、ゲート電位Vgが0V、支持基板SSの電位VbackがVdとなる。この場合、ソース領域とドレイン領域との間の図中横方向に電界が生じる。そこで、ソース配線SIをフィールドプレートとして用い、かつ支持基板SSにVdの電位を印加することによって、この図中横方向の電界が均一になるように制御されている。
【0053】
しかし、図14に示すようにゲート電極GEにパルスストレスが印加されると、ゲート電極GEとソース配線SIとの間にかかる電界によって層間絶縁層IIで分極が発生する。この分極によって、層間絶縁層IIのソース配線SI側(図中上側)は負の電荷が偏った部分となり、層間絶縁層IIのゲート電極GE側(図中下側)は正の電荷が偏った部分となる。
【0054】
図15に示すように、上記の分極によって層間絶縁層IIの図中下側に偏った正の電荷がドリフト領域DRに作用する。これにより、ソース領域とドレイン領域との間にかかる横方向の電界が不均一となる。上記により、耐圧が劣化したものと考えられる。また図11の構成についても同様の理由により耐圧が劣化したものと考えられる。
【0055】
一方、図10および図1に示す構成においては、フィールドプレートFPがゲート電位となる。これにより上記の分極が生じないために耐圧がほとんど劣化しなかったものと考えられる。
【0056】
次に、上記の耐圧の劣化がほとんど生じなかった図1に示す本実施の形態の構成と、図10に示す比較例の構成とについて、しきい値電圧の変動量を調べた。
【0057】
上記の2つの構成(図1、図10に示す構成)についてのしきい値電圧の変動量の測定は、以下の方法により行なった。
【0058】
(B1)ドレイン電流Idsおよびしきい値電圧Vthを測定した。
(B2)Vg(ゲート電位)=Vd(ドレイン電位)のストレス電圧を一定時間印加した。
【0059】
(B3)ドレイン電流Idsおよびしきい値電圧Vthを測定した。
また上記の測定は、図1に示すダミー導電層DCの幅psを変化させて測定し、また図10のフィールドプレートFPのドレイン側端部からゲート電極GEの端部直上までの幅AGFPを変化させて測定した。
【0060】
上記の方法により測定されたしきい値電圧の変動量の結果を図16に示す。図16の結果から、図10の構成ではフィールドプレートの幅AGFPを変化させることで電流能力の増加は抑えられるものの、しきい値電圧の変動量(ΔVth)はあまり抑えられないことがわかった。一方、図1の構成ではダミー導電層DCの幅psを長くすることで、電流能力の増加を抑えられるとともに、しきい値電圧の変動量(ΔVth)も抑えられることがわかった。
【0061】
これは、フィールドプレートFPとドリフト領域DRとの間にダミー導電層DCを設けたことで、フィールドプレートFPの電界をダミー導電層DCによって遮蔽できるためであると考えられる。
【0062】
以上より、図1に示す本実施の形態の構成によれば、ゲートパルスストレスによる耐圧劣化およびしきい値電圧の変動を抑制することができる。
【0063】
次に、本実施の形態の半導体装置の作用効果について説明する。
本実施の形態では、図1に示すようにゲート絶縁層に素子分離絶縁層のような厚膜の絶縁層FOが用いられているため、高電圧を入力することができる。またフィールドプレートFPを設けたことにより、ドリフト領域DRでの電界集中を緩和することができる。またフィールドプレートFPがゲート電位であるため、電流能力を向上することができる。
【0064】
また電流能力を向上させると、通常はホットキャリアが発生しやすくなることで絶縁層FO中へのキャリアのトラップが増加して、しきい値電圧などの特性変動が大きくなる。しかし、本実施の形態では、フィールドプレートFPとドリフト領域DRとの間に配置したソース電位のダミー導電層DCによりフィールドプレートFPからの電界を遮蔽することができる。これにより、図16に示すように電流能力を向上させても、図10の構成よりもしきい値電圧の変動を少なくすることができる。
【0065】
また本実施の形態では、ソース電位のダミー導電層DCによりフィールドプレートFPからの電界を遮蔽することができるため、図12に示すようにゲートパルスストレスによる耐圧劣化量を少なくすることができる。
【0066】
また本実施の形態では、ダミー導電層DCの幅psや配置位置を変更することにより、電流能力を調整することもできる。
【0067】
また図1に示す本実施の形態の構成においてダミー導電層DCがフィールドプレートFPのドレイン側端部FPEよりもドレイン側に位置している場合には耐圧が下がる。しかし本実施の形態では、ダミー導電層DCはフィールドプレートFPのドレイン側端部FPEよりもソース側に位置しているため、このような耐圧の低下が生じることもない。
【0068】
(実施の形態2)
図17を参照して、本実施の形態の半導体装置の構成は、図1に示す実施の形態1の構成と比較して、ダミー導電層DCが、導電体DC1と導電体DC2との2つの導電体を有する点において異なっている。導電体DC1と導電体DC2とは、共にソース領域に電気的に接続されている。導電体DC1と導電体DC2とのそれぞれの上面に絶縁層CIが形成されており、側面には側壁絶縁層SWが形成されている。
【0069】
なお、これ以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0070】
本実施の形態においては、ダミー導電層DCが導電体DC1と導電体DC2とを有しているため、実施の形態1よりも細かく電流能力の調整を行なうことができる。
【0071】
(実施の形態3)
図17を参照して、本実施の形態の半導体装置の構成は、図1に示す実施の形態1の構成と比較して、ダミー導電層DCが、導電体DC1と導電体DC2との2つの導電体を有する点において異なっている。ゲート電極GEに近い側の導電体DC1がソース領域に電気的に接続されている。ゲート電極GEに遠い側の導電体DC2はフローティングな電位状態となっている。つまり、導電体DC1のドレイン領域側に配置された導電体DC2がフローティング電位を有している。導電体DC1と導電体DC2とのそれぞれの上面に絶縁層CIが形成されており、側面には側壁絶縁層SWが形成されている。
【0072】
なお、これ以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0073】
本実施の形態においては、ダミー導電層DCが導電体DC1と導電体DC2とを有しているため、実施の形態1よりも細かく電流能力の調整を行なうことができる。
【0074】
またフローティング電位の導電体DC2により、層間絶縁層IIの膜質または上層から侵入する水分に起因するトラップサイトの形成による劣化を抑制することができる。
【0075】
(実施の形態4)
図17を参照して、本実施の形態の半導体装置の構成は、図1に示す実施の形態1の構成と比較して、ダミー導電層DCが、導電体DC1と導電体DC2との2つの導電体を有する点において異なっている。ゲート電極GEに近い側の導電体DC1がフローティングな電位状態となっている。ゲート電極GEに遠い側の導電体DC2はソース領域に電気的に接続されている。つまり、導電体DC2のゲート電極GE側に配置された導電体DC1がフローティング電位を有している。導電体DC1と導電体DC2とのそれぞれの上面に絶縁層CIが形成されており、側面には側壁絶縁層SWが形成されている。
【0076】
なお、これ以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0077】
本実施の形態においては、ダミー導電層DCが導電体DC1と導電体DC2とを有しているため、実施の形態1よりも細かく電流能力の調整を行なうことができる。
【0078】
またフローティング電位の導電体DC1により、層間絶縁層IIの膜質または上層から侵入する水分に起因するトラップサイトの形成による劣化を抑制することができる。
【0079】
(実施の形態5)
実施の形態2〜4においては、ダミー導電層DCが2つの導電体DC1、DC2を有する場合について説明したが、ダミー導電層DCは3つ以上の導電体を有していてもよい。この場合、3つ以上の導電体の少なくとも1つがソース電位であれば、他の導電体はソース電位であってもフローティング電位であってもよい。
【0080】
ダミー導電層DCが3つ以上の導電体を有することにより、実施の形態1よりも細かく電流能力の調整を行なうことができる。
【0081】
またダミー導電層DCがフローティング電位の導電体を有することにより、層間絶縁層IIの膜質または上層から侵入する水分に起因するトラップサイトの形成による劣化を抑制することができる。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを備えた半導体装置に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0084】
BI BOX層、BN ボトムn型領域、CH1〜CH5 コンタクトホール、CI,FO 絶縁層、DC ダミー導電層、DC1,DC2 導電体、DI ドレイン配線、DR ドリフト領域、FP フィールドプレート、GE ゲート電極、II 層間絶縁層、IN 酸化膜、NR n+領域、NW n型ウエル領域、PL プラグ導電層、PR1,PR2 p+領域、PS 導電層、PW1,PW2 p型ウエル領域、SC1〜SC3 シリサイド層、SI ソース配線、SL 半導体層、SS 支持基板、SU 半導体基板、SW 側壁絶縁層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の主表面に選択的に形成された絶縁層と、
前記半導体基板に形成された横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタとを備え、
前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、
前記絶縁層の両側のそれぞれにおいて前記半導体基板の主表面に形成されたソース領域およびドレイン領域と、
前記ドレイン領域に接続されたドリフト領域と、
前記ソース領域および前記ドリフト領域に挟まれる領域上に前記絶縁層を介在して形成されたゲート電極とを含み、さらに
前記ゲート電極および前記ドリフト領域上を延在し、かつ前記ゲート電極に電気的に接続されたフィールドプレートと、
前記フィールドプレートと前記ドリフト領域との間において前記絶縁層上に形成され、かつ前記ソース領域に電気的に接続された第1の導電体を含むダミー導電層とを備えた、半導体装置。
【請求項2】
前記ダミー導電層は、前記ソース領域に電気的に接続された第2の導電体をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ダミー導電層は、前記第1の導電体の前記ゲート電極側に配置されたフローティング電位を有する第2の導電体をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダミー導電層は、前記第1の導電体の前記ドレイン領域側に配置されたフローティング電位を有する第2の導電体をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項1】
主表面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の主表面に選択的に形成された絶縁層と、
前記半導体基板に形成された横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタとを備え、
前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、
前記絶縁層の両側のそれぞれにおいて前記半導体基板の主表面に形成されたソース領域およびドレイン領域と、
前記ドレイン領域に接続されたドリフト領域と、
前記ソース領域および前記ドリフト領域に挟まれる領域上に前記絶縁層を介在して形成されたゲート電極とを含み、さらに
前記ゲート電極および前記ドリフト領域上を延在し、かつ前記ゲート電極に電気的に接続されたフィールドプレートと、
前記フィールドプレートと前記ドリフト領域との間において前記絶縁層上に形成され、かつ前記ソース領域に電気的に接続された第1の導電体を含むダミー導電層とを備えた、半導体装置。
【請求項2】
前記ダミー導電層は、前記ソース領域に電気的に接続された第2の導電体をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ダミー導電層は、前記第1の導電体の前記ゲート電極側に配置されたフローティング電位を有する第2の導電体をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダミー導電層は、前記第1の導電体の前記ドレイン領域側に配置されたフローティング電位を有する第2の導電体をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−165894(P2010−165894A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7379(P2009−7379)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]