説明

単結晶基板上にエピタキシャル成長したグラフェン層を含むデバイス

電子デバイスは、物質の主表面に単結晶領域を含む物質を含む。単結晶領域は、グラフェンと実質的に格子整合している六方晶格子を有し、グラフェンの少なくとも1つのエピタキシャル層がこの単結晶領域に配置される。現在好ましい実施形態では、単結晶領域は多層の六方晶BNを含む。このような電子デバイスの作製方法は、物質の主表面に単結晶領域を含む物質を提供し、単結晶領域は、グラフェンと実質的に格子整合している六方晶格子を有するステップ(a)と、この領域に少なくとも1つのグラフェン層をエピタキシャル形成するステップ(b)を含む。現在好ましい実施形態では、ステップ(a)は、グラファイトの単結晶基板を提供するステップ(a1)と、基板に多層の単結晶六方晶BNをエピタキシャル形成するステップ(a2)とをさらに含む。六方晶BN層はグラフェンと実質的に格子整合した表面領域を有し、ステップ(b)は六方晶BN層の表面領域に少なくとも1つのグラフェン層をエピタキシャル形成するステップを含む。FETへの応用が説明されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグラフェン層を含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
「Physics Today」の最近の論文でM.Wilsonは、グラフェン、蜂の巣状、六方格子に配列した炭素原子の、単一、単原子厚さのシート(つまりモノレイヤー)として既知のユニークな2次元凝縮系について概説している。グラフェンは、他の全ての次元数のグラファイト様炭素材料に対する基礎的要素である。[参照により本明細書に組み込まれている「Electrons in Atomically Thin Carbon Sheets Behave like Massless Particles」、Phys. Today、21頁(2006年1月)を参照のこと。]
【0003】
Wilsonは、グラフェンがかなり注目すべき特性をもっていると指摘している。まず、それは安定で、化学的に不活性で、環境条件の下で結晶質である。第2に、グラフェンはその伝導および価電子帯がブリュアン域の不連続点でちょうど交わることから半金属である。第3に、グラフェン中の電子はゼロの有効質量を有し、従来のかさがあり重い粒子よりもっと光子のような反応を示す。第4に、グラフェンは膨大な、銅より概略2桁大きい約10A/cmの電流密度を運ぶことができる。
【0004】
ここ数年、科学者は自由状態で単一の2Dグラフェン・シートを生成しようと試みてきた。例えば、1つのグループは、粘着テープを使用してグラファイト結晶から弱く結合した層を、剥がし、これらの新しい層を酸化したシリコン表面に対して徐々に磨いて、次いで比較的少ないモノレイヤー薄片をマクロな削り出しの間に確認した。[例えば、参照により本明細書に組み込まれるK. S. Novoselov等、Science、Vol. 306、666頁(2004年)を参照のこと。]もう1つのグループは、ごく薄い炭素膜、典型的には3グラフェン・シートをSiC表面の熱分解によって製造した。SiCが、単純に十分加熱されて、その表面からSiを蒸発し、薄い炭素膜を後に残した。[参照により本明細書に組み込まれるC. Berger 等、J Phys. Chem. B、Vol. 108、19912頁(2004年)を参照のこと。]
【0005】
しかし、グラフェンの単一シート成長は、課題を残しており、Wilsonによると炭素のモノレイヤーは、典型的な製造プロセスの間に加熱されると損傷を受けやすい。
【0006】
さらに、Berger等は彼らの炭素膜をSiCに「エピタキシャル成長」したと言っているが、彼らのプロセスは実際にはSiの蒸発だけを伴い、つまり、そのプロセスは、エピタキシャル堆積を説明するために成長の用語が従来、用いられるような「成長」を分子線エピタキシー(MBE)および化学気相堆積(CVD)などの標準的製造技術の中で伴わなかった。実際にSiCとグラファイトは約20%の比較的大きな格子不整合を有し、これは、SiC基板にデバイス品質のエピタキシャル・グラファイト層を堆積するには一般的にかなり大き過ぎる。
【0007】
デバイス潜在能力の予備的な実験において、Berger等は、極低温(4K)での大面積ゲートのグラファイト・チャネルFET構造の抵抗変調は、ソースとドレイン電極の間のグラファイト膜の部分だけがカバーされたゲートで、ゲートされない大きなリーク経路を残しているために、かなり少なかった(たった2%)と報告した。
【0008】
Berger等のデバイスは、2004年12月16日に公開された米国特許出願公開第2005/0253820号の中でW.A.DeHeer等によっても説明されている。
【非特許文献1】「Electrons in Atomically Thin Carbon Sheets Behave like Massless Particles」、Phys. Today、21頁(2006年1月)
【非特許文献2】K. S. Novoselov等、Science、Vol. 306、666頁(2004)
【非特許文献3】C. Berger等、J Phys. Chem. B、Vol. 108、19912頁(2004)
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0253820号
【非特許文献4】「Crystal Data, Determinative Tables」3rd Ed.、I. D. H. Donnay等、US Department of Commerce、National Bureau of Standards (1973)
【非特許文献5】M. Hubacek、「Synthesis of Boron Nitride from Oxide Precursors」、the Internet at URL、http://hubacek.jp/bn/bn.htm、1〜10頁(2006年2月)
【特許文献2】米国仮出願第11/114,828号
【非特許文献6】J. Y. Tsao、「Materials Fundamentals of Molecular Beam Epitaxy」167頁、Academic Press, Inc.、(1993)
【非特許文献7】Y. Zhang等、Nature、Vol. 438、No.10、201頁(2005年11月)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって当技術分野では、グラフェンが、適切に、格子整合した基板上にエピタキシャル堆積されているグラフェン・ベース・デバイスに対する要求は残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、電子デバイスは、物質の主表面に単結晶領域を含む物質を含み、この領域は、グラフェンと実質的に格子整合している六方晶格子を有し、グラフェンの少なくとも1つのエピタキシャル層がこの領域に配置される。現在好ましい実施形態では、単結晶表面領域は多層の六方晶BNを含み、このBNは各層内に必須の六方晶格子を有し、グラフェンと約2%未満の格子不整合を有する。さらに、やはり、グラフェンの単一層だけがこの領域に配置されていることが好ましい。本発明のもう1つの態様によれば、電子デバイスの作製方法が、物質の主表面に単結晶領域を含む物質を提供するステップであって、この領域がグラフェンと実質的に格子整合している六方晶格子を有するステップ(a)と、この領域に少なくとも1つのグラフェン層をエピタキシャル形成するステップ(b)とを含む。現在好ましい実施形態では、ステップ(a)は、グラファイトの単結晶基板を提供するステップ(a1)と、基板に単結晶六方晶BNをエピタキシャル形成するステップ(a2)とをさらに含む。この六方晶BNは表面領域を備えて、この領域は各層内に多層の六方晶格子を有し、グラフェンと実質的に格子整合し、またステップ(b)は六方晶BN表面領域にグラフェン層をエピタキシャル形成するステップを含む。
【0011】
添付の図面と併せ読めば以下のより詳細な説明から、本発明が様々な特徴および利点と共に容易に理解できる。
【0012】
本明細書で用いられるように、「に(in)」の意味は「中に(in)」および「上に(on)」を含み、「に(on)」の意味も「上に(on)」および「中に(in)」を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に図1を参照すると、電子デバイス10は、物質12の主表面に単結晶領域12.1を有する物質12を含む。領域12.1は、実質的にグラフェンと格子整合している、領域12.1にエピタキシャルに配置されたグラフェンの少なくとも1つの層14である六方晶格子を有する。好ましくは、グラフェンの単一層だけが、領域12.1に形成される。単一のグラフェン層は多数層の間の欠陥に伴う複雑な問題を防ぐ。しかし、本発明は基板に配置された複数層のグラフェンを有する場合も考慮する。多数のグラフェン層が実用的かどうかは、意図されたデバイス用途に大部分依存する。例えば、多数のグラフェン層を空乏化しなければならないかもしれない(例えば、グラフェン層の部分がFETチャネルを形成する場合)デバイス(例えば、下に説明されるFET)では、グラフェンの半金属性が、例えば3つ以上や4つ以上のグラフェン層に十分な空乏化を達成することを難しくする可能性がある。
【0014】
物質12は完全に単結晶材料であってよく、あるいは表面領域12.1が単結晶であり、必須の格子整合と六方晶格子とを有するかぎり、それが単結晶と非単結晶材料の複合体であってもよい。より具体的に言うと、図5はグラファイトの結晶構造を示し、2つの主要特性を示している。つまり第1にそれは、グラフェンの多数の積重ねた層(つまり面またはシート)A1、B1、A2等からなる。第2に各層は六角形の各頂点の所に1つ炭素原子(白丸)の六方晶格子を有する。示したように、結晶学的寸法a=2.455Åは、各六角形の炭素原子の非隣接対の間隔(つまり奇数番号の原子の間または偶数番号の原子の間の)であり、結合長b=1.42Åは隣接原子の間隔であり、d=3.345Åは隣接グラフェン層の間隔である。
【0015】
したがって単結晶領域12.1の結晶構造は実質的にグラファイトの構造と同一であるべきである。上で述べたように、第1に単結晶領域は、グラファイトの層A1、B1、A2等と同じか、または極めて類似の方式で多層化されていることが好ましい。第2に各層内に六方晶格子を有するべきである。また第3に同じか極めて類似の結合長、特に結晶学的寸法aのサイズを有するべきである。好ましくは、単結晶領域12.1はグラフェンと同じ結晶空間群に属すべきである(つまりグラファイトのP6/mmc群)。
【0016】
グラフェン層(1つまたは複数)14と領域12.1が実質的に互いに格子整合しているという要求によって、それらの間の格子不整合は約2%以下であるということを意味する。グラファイトの、したがってグラフェンの格子定数aは約2.455±0.002Å[「Crystal Data, Determinative Tables」3rd Ed.、I. D. H. Donnay等、US Department of Commerce、National Bureau of Standards (1973)を参照のこと。]であるので、領域12.1の対応する格子定数aはおよそ、
0.98a≦a≦1.02a (1)
すなわち、
2.4059≦a≦2.5041 (2)
となるはずである。
【0017】
図6に示したように、多層の六方晶窒化ホウ酸(BN)は、グラファイトのそれとほぼ同一の六方晶格子を有し、グラファイトと同じ空間群(P6/mmc)に属する。加えて、窒化ホウ酸は、格子定数a=2.50399±0.00005Å(後の2つの特性共、上記Donnay等による)を有し、不等式(2)を満たす。その上、この形の六方晶BNは結合長b=1.45Å、および層分離d=3.33Åであり、これらは共にグラファイトのものと極めて近い。したがって、このタイプのBNは、それが単結晶として製造可能であれば領域12.1を形成するのに使用できる。
【0018】
六方晶多層の単結晶BNは、「Synthesis of Boron Nitride from Oxide Precursors」という題名の文献においてM.Hubacekによって説明されており、この文献はhttp://hubacek.jp/bn/bn.htm、1〜10頁(2006年2月)のURLでインターネット上で見出すことができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
代替的に、本発明のもう1つの態様によれば結晶要求は以下のように取り組まれる。図2を参照すると、電子デバイス20は単結晶グラファイト基板26を最初に提供することによって製造される。基板26は、隣接グラファイト面に対する法線が基本的に平行である、つまり隣接の法線の間の角度が0.4°以下、好ましくは約0.2°以下である高配向性グラファイト(HOGとして既知の)であることが好ましい。標準的なCVD技術を用いて、六方晶BN層22がグラファイト基板26にエピタキシャル堆積される。このステップは、結果として下にあるグラファイト基板26と実質的に同じ六方晶格子を有する多層の六方晶BNを生じる。次いで、グラフェン層(1つまたは複数)24が、図1の表面領域12.1に対応する単結晶六方晶BN層22の一番上の主表面22.1にエピタキシャル堆積される。グラフェン層(1つまたは複数)24は、任意の幾つかの周知の技法によって、例えば、参照により本明細書に組み込まれる2005年4月26日に出願された同時係属の米国仮出願第11/114,828号において、本発明者およびK.W.Westにより説明されているタイプのガラス状カーボン源を用いて層厚さのサブ・モノレイヤー制御をもたすMBEによって、あるいはCVDによって堆積できる。減圧CVD(LPCVD)は他の形式のCVDより良好な厚さ制御をもたらし、したがって好ましい場合がある。
【0020】
多層の、単結晶六方晶BN層22がいったん成長された後、グラファイト基板26は部分的に、あるいはその全部を除去することができる。しかし、グラファイト基板26のこのような除去は、さらなる処理ステップが完了する、例えばグラフェン層(1つまたは複数)24が六方晶BN層22に成長された後、あるいはオプションの絶縁層28がグラフェン層(1つまたは複数)24に堆積された後まで遅らせてもよい。
【0021】
この時点で、グラフェン層は単一のモノレイヤー厚さだけなので、もし少しでもあるとしたら、数層以内のグラフェンの成長の間に任意のかなりの数の転位を形成することになるリスクはほとんどないという点に留意されたい。つまり、Matthews−Blakeslee理論は、転位フリーの層の厚さは成長した層と下にある基板の間の格子不整合に反比例すると予測している。したがって、例えば格子不整合が1%のとき、層を厚さ100Å成長して転位の形成なしにできるが、格子不整合が2倍の2%になると、層を厚さ40Åだけ成長して転位の形成なしにできる。[J. Y. Tsao、「Materials Fundamentals of Molecular Beam Epitaxy」、167頁、Academic Press, Inc. (1993)、を参照のこと。]しかし、グラフェン層は、名目上たった約2Åの厚さなので2%の格子不整合には十分耐えることができる。
【0022】
グラフェン層は任意の格子整合した材料にエピタキシャル成長できるが、多くの電子的応用にとって領域12.1、22.1の材料は、高度に導電性でない、例えば比較的大きなバンドギャップを有する絶縁体または半導体であることが好ましい。六方晶BNはこのカテゴリーに入る。多くのFET設計、例えば、図3〜4に図示した設計では、グラフェン層34、44を、それぞれ格子整合した、絶縁層32、42に成長する。
【0023】
さらに、オプションの絶縁層28は、多くの電子デバイスの設計、例えば図3に示したタイプのFETのゲート構造(特にゲート絶縁体38.1)を作る場合では重要である。絶縁層28は、グラフェン層(1つまたは複数)24にエピタキシャル堆積され、層22と同じ結晶特性を有することが好ましい。したがって多層の単結晶六方晶BNは、層28を製造するのに好ましい材料であり、この層は層22に対して使用した同じ技法を用いて堆積できる。しかし、さらに図3のFETを含めて多くの応用では、層28が堆積されているときか(例えば周知のシャドー・マスクにより)、あるいは堆積された後(例えば周知のリフトオフまたはリソグラフィ・エッチングにより)のどちらかで層28のパターニングを必要とする。
【0024】
両方の絶縁層22および28に対して多層の単結晶六方晶BNを用いることにより、これら絶縁層とグラフェン層24の間の、可能性がある電気的に活性な界面準位の数を減少させ、この特徴は多くのFETの動作で特に重要である。
【0025】
より具体的には、図3においてFET30は、単結晶絶縁層32およびその上にエピタキシャル形成したグラフェン層34を含む層の積層によって形成される。層34の分離した部分がソース領域34.2およびドレイン領域34.3を形成する。概略的に図示したソースおよびドレイン電極V、Vは、それぞれソースおよびドレイン領域34.2、34.3と電気的に接触する。層34の第3部分はチャネル領域34.1を形成して、ソースとドレイン領域を互いに連結する。半導体およびグラフェン・デバイス技術分野では周知のようにチャネル領域34.1の抵抗/コンダクタンスがゲート領域38によって制御される。ゲート領域はチャネル領域34.1に配置されるパターニングしたゲート絶縁体38.1と、ゲート絶縁体38.1に形成したゲート電極38.2とを含む。ゲート絶縁体は、おそらく任意の絶縁体からパターニングされてもよく、あるいはグラフェン層34にエピタキシャル成長した広い面積の絶縁体からパターニングされてもよく、あるいは図2の層28を参照して上で説明したように標準シャドー・マスクを使用して堆積されるときパターニングされてもよい。最後に共通電極37(しばしば接地される)が絶縁層32の底面に形成される。図3は概略断面図であり、そこでは導電経路が、ゲート領域38の下の経路、かつチャネル領域34.1を介する経路以外はソースとドレイン領域の間に存在しないという事実を反映してないことに留意されたい。
【0026】
動作中、適切な電圧VおよびVが、それぞれソースおよびドレイン電極に印加されると、電極38.2と37の間に印加されるゲート電圧に依存してソース領域34.2からドレイン領域34.3への(または逆に)電流が流れるか、あるいは阻止される。ゲート電圧Vが、チャネル領域34.1を空乏化することによって電子輸送を減少させるのに十分であると、チャネル抵抗が増大し、電流が減少する、またその逆になる。
【0027】
他方、図4においてFET40は、絶縁層42にエピタキシャル形成され、パターニングしたグラフェン層44によって、プレーナ方式で形成されている。この実施形態では、長方形ソース領域44.2および長方形ドレイン領域44.3が、ストリップ状チャネル領域44.1によって互いに連結されており、これらの領域の全てがグラフェン層44のパターニングした部分である。この場合、T字型ゲート電極49は、グラフェン層44のパターニングした部分でもある。(長方形、ストリップおよびT字以外の形状も適合できる。)ゲート電極49は、チャネル領域44.1にごく接近して延在する部分49.1を有する。絶縁層42の表面部分である絶縁体領域48は、チャネル領域44.1をゲート電極部分49.1から分離するゲート絶縁体として働く。
【0028】
動作中、図4の実施形態は、共通電極(図3の電極37と類似の)を必要としない以外は図3の実施形態と同じ原理に従う。むしろゲート電圧Vは、ゲート電極49とソースまたはドレイン領域44.2、44.3の間に印加できる。
【0029】
前述した配置は、本発明の原理の適用を示すために考え出せる多くの可能な特定の実施形態の単なる例示であることを理解されたい。本発明の精神と範囲を逸脱せず、これらの原理に従って多数の、かつ異なる他の配置を当業者には考え出すことができる。
【0030】
具体的には、前述したように図3〜4のFETは、現在、この設計が好ましいが、チャネルを形成するための単一のグラフェン層の使用に限定されない。複数の(例えば2つまたは3つの)グラフェン層が、ソースとドレインの間の電流の流れを制御するように十分空乏化できれば使用可能である。
【0031】
さらに電極は、参照により本明細書に組み込まれるY. Zhang等、Nature、Vol. 438、No. 10、201頁(2005年11月)によって説明されているようなAn/Crの蒸着に従う電子ビーム・リソグラフィによって、グラフェン層34、44に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態による電子デバイス10の概略断面図である。
【図2】本発明のもう1つの実施形態による電子デバイス20の概略断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態によるFET30の概略断面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態によるFET40の概略上面図である。
【図5】グラファイトの多層の結晶構造を示す図である。簡単かつ明瞭さのためにグラフェンの3つの層のだけが描かれている。グラファイトは、3つより多いまたはそれより少ないグラフェン層を有してもよい。
【図6】多層の単結晶の六方晶窒化ホウ素(BN)の多層の結晶構造を示す図である。簡単かつ明瞭さのために六方晶BNの3つの層だけが描かれている。六方晶BNは、3つより多いまたはそれより少ないグラフェン層を有してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質の主表面に単結晶領域を含み、前記領域がグラフェンと実質的に格子整合している六方晶格子を有する物質と、
前記物質の前記領域に配置されたグラフェンの少なくとも1つのエピタキシャル層とを含むデバイス。
【請求項2】
前記表面領域が多層の単結晶絶縁体またはワイド・バンドギャップ半導体を含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記絶縁体が単結晶六方晶BNを含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記物質が単結晶グラファイトの基板をさらに含み、前記絶縁体領域が前記グラファイト基板の主表面に配置される請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記領域および前記少なくとも1つのグラフェン層が約2%未満まで格子不整合している請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記領域および前記少なくとも1つのグラフェン層が同じ結晶空間群を有する請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのグラフェン層に配置される多層の、単結晶第2領域をさらに含み、前記第2領域がその各層内に六方晶格子を有し、前記六方晶格子がグラフェンと実質的に格子整合している請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
ソース領域、ドレイン領域ならびに前記ソースおよびドレイン領域を互いに連結するチャネル領域と、
前記チャネル領域に電圧を印加するように構成され、それによって前記ソース、ドレイン領域の間の電流の流れを制御するゲート領域と、
請求項1のデバイスとを含み、前記チャネル領域が前記少なくとも1つのグラフェン層の一部を含む電界効果トランジスタ。
【請求項9】
物質の主表面に単結晶領域を含む物質を提供するステップであって、前記領域がグラフェンと実質的に格子整合している六方晶格子を有するステップ(a)と、
前記領域に少なくとも1つのグラフェン層をエピタキシャル堆積するステップ(b)とを含むデバイス作製方法。
【請求項10】
ステップ(a)がグラファイトの単結晶基板提供するステップ(a1)と、
前記基板に多層の、単結晶六方晶BNをエピタキシャル形成するステップ(a2)とをさらに含み、前記六方晶BNがグラフェンと実質的に格子整合している前記表面領域を有し、
ステップ(b)が前記六方晶BN層の前記表面領域に前記少なくとも1つのグラフェン層をエピタキシャル堆積するステップを含む請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−527127(P2009−527127A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555294(P2008−555294)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/003667
【国際公開番号】WO2007/097938
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】