説明

成膜装置、連続成膜装置、及び成膜方法

【課題】安定した電気的特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現する成膜装置を提供することを課題の一とする。また、マザーガラスのような大きな基板を用いて、信頼性の高い半導体装置の大量生産を行うことの出来る成膜装置を提供することを課題の一とする。また、上記成膜装置を用いて安定した電気的特性と高い信頼性を有する半導体装置の作製方法を提供することを課題の一とする。
【解決手段】基板の搬送機構と、搬送機構が送る基板の進行方向に沿って、酸化物半導体を成膜する第1の成膜室と、第1の熱処理を行う第1の加熱室とを有し、基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持され、大気に曝すことなく、基板に第1の膜を成膜した後に第1の熱処理を施すことのできる成膜装置を用いて、酸化物半導体層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置、及び連続成膜装置に関する。本発明は半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路、及び電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数十〜数百nm程度)を用いた薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistorとも呼ぶ)を作製する技術が注目されている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
【0004】
また、金属酸化物は多様に存在し様々な用途に用いられているが、金属酸化物の中には半導体特性を示すものが存在する。半導体特性を示す金属酸化物としては、例えば酸化タングステン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、インジウム−ガリウム−亜鉛系の酸化物などがあり、このような半導体特性を示す金属酸化物をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタがすでに知られている(特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
一方、液晶表示装置に代表されるアクティブマトリクス型半導体装置においては、画面サイズが対角60インチ以上と大型化する傾向にあり、さらには、対角120インチ以上の画面サイズも視野に入れた開発が行われている。加えて、画面の解像度も、ハイビジョン画質(HD、1366×768)、フルハイビジョン画質(FHD、1920×1080)と高精細化の傾向にあり、解像度が3840×2048または4096×2180といった、いわゆる4Kデジタルシネマ用表示装置の開発も急がれている。
【0006】
これら半導体装置の大型化に伴い、例えば液晶パネルを生産するためのガラス基板サイズは、第1世代と呼ばれる300mm×400mmから、第3世代の550mm×650mm、第4世代の730mm×920mm、第5世代の1000mm×1200mm、第6世代の1450mm×1850mm、第7世代の1870mm×2200mm、第8世代の2000mm×2400mm、第9世代の2400mm×2800mm、第10世代の2880mm×3080mmと大型化しており、今後も第11世代、第12世代へと、更なる大型化が予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
酸化物半導体はデバイス作製工程において、電子供与体を形成する水素や水の混入などが生じると、その電気伝導度が変化する恐れがある。このような現象は、酸化物半導体を用いたトランジスタにとって電気的特性の変動要因となる。また、酸化物半導体を用いた半導体装置は、可視光や紫外光を照射することでその電気的特性が変化する。
【0009】
また、上記のような基板の大型化に伴い、成膜装置の大型化が進んでいる。しかし、装置の床面積(いわゆるフットプリント)の大きな成膜装置は、クリーンルームのレイアウトを制限するばかりでなく、クリーンルーム設計においてもコストが高くなってしまう問題がある。
【0010】
本発明はこのような技術背景のもとになされたものである。本発明は、安定した電気的特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現する成膜装置を提供することを課題の一とする。また、マザーガラスのような大きな基板を用いて、信頼性の高い半導体装置の大量生産を行うことの出来る成膜装置を提供することを課題の一とする。また、上記成膜装置を用いて安定した電気的特性と高い信頼性を有する半導体装置の作製方法を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、基板の搬送機構と、搬送機構が送る基板の進行方向に沿って、酸化物よりなる第1の膜を成膜する第1の成膜室と、第1の熱処理を行う第1の加熱室と、を有し、基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持され、大気に曝すことなく、基板に第1の膜を成膜した後に第1の熱処理を施す、成膜装置である。
【0012】
また本発明の一態様は、上記の第1の膜は、酸化物半導体からなる成膜装置である。
【0013】
また本発明の一態様は、第1の成膜室で基板上に酸化物よりなる第1の膜を成膜し、その後大気に曝すことなく第1の加熱室で第1の熱処理を行う工程を有し、基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持された状態で処理される、成膜方法である。
【0014】
また本発明の一態様は、上記第1の膜は、酸化物半導体からなる成膜方法である。
【0015】
本発明の成膜装置は、酸化物半導体を成膜する第1の成膜室と、これと接続する第1の加熱室とを有する。
【0016】
第1の成膜室で成膜する酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0017】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0018】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0019】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0020】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0)で表記される材料を用いてもよい。
【0021】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0022】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、
(a―A)+(b―B)+(c―C)≦r
を満たすことを言い、rは、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0023】
また、第1の加熱室では、200℃以上750℃以下の温度で基板を加熱することができる。
【0024】
第1の成膜室で成膜した酸化物半導体を大気に触れることなく第1の加熱室に搬送し、連続して加熱処理を行うことにより、酸化物半導体膜中の水素、水、水酸基などの不純物を除去することが出来、不純物の極めて低減された酸化物半導体膜とすることが出来る。ここで加熱処理は、窒素、酸素、アルゴンを代表とする希ガス、またはこれらの混合ガス中で250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上750℃以下とする。
【0025】
上記のような成膜装置は、成膜処理中及び加熱処理中、並びに搬送中に大気に触れることなく、常に清浄な雰囲気下で処理及び搬送が行えるため、膜中、及び膜の界面の不純物濃度が極めて低減され、信頼性の高い酸化物半導体層を形成することができる。
【0026】
このような構成の成膜装置によって作製された酸化物半導体層を例えばトランジスタのチャネル形成領域に適用することにより、安定した電気的特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現できる。
【0027】
また、第1の成膜室、及び第1の加熱室では、被処理基板がその成膜面と鉛直方向との成す角が少なくとも1°以上30°以内、好ましくは5°以上15°以内に収まるように保持される。このように基板を立てて処理可能な構成とすることにより、装置の床面積(いわゆるフットプリント)の増大が抑制できるため、クリーンルームの設計が容易になるのに加えコストの抑制が可能となる。さらに、基板を鉛直方向から僅かに傾けて保持可能な構成とすることにより、減圧下であっても基板を支持することができる。基板を傾けずに支持する方法としてクランプを用いることが考えられるが、これではクランプ部と重畳する基板面に成膜されないのに加え、クランプ部からのごみが発生してしまう問題がある。
【0028】
さらに、上記のような角度で基板を立てた状態で処理できる構成とした成膜装置は、装置の床面積(いわゆるフットプリント)を小さくすることが出来、第5世代から第12世代のマザーガラスといった大きな基板に対しても、信頼性の高い半導体装置の大量生産を行うことが出来る。
【0029】
また、上記で示したような、基板がその成膜面と鉛直方向との成す角が少なくとも1°以上30°以内、好ましくは5°以上15°以内に収まるように保持したまま処理可能な成膜室と加熱室とを接続した構成を、基板の進行方向に対して複数設置することにより、大型の基板に対して、より信頼性の高い半導体層を形成可能な成膜装置とすることができる。
【0030】
すなわち、本発明の一態様は、基板の搬送機構と、搬送機構が送る基板の進行方向に沿って、絶縁膜からなる第1の膜を成膜する第1の成膜室と、第1の熱処理を行う第1の加熱室と、酸化物よりなる第2の膜を成膜する第2の成膜室と、第2の熱処理を行う第2の加熱室と、を有し、基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持され、大気に曝すことなく、第1の膜の成膜後に第1の加熱処理した後、第2の膜の成膜後に第2の加熱処理を施す、連続成膜装置である。
【0031】
また、本発明の一態様は、基板の搬送機構と、搬送機構が送る基板の進行方向に沿って、少なくとも第1の金属元素と第2の金属元素を有する酸化物からなる第1の膜を成膜する第1の成膜室と、第1の熱処理を行う第1の加熱室と、酸化物よりなる第2の膜を成膜する第2の成膜室と、第2の熱処理を行う第2の加熱室と、を有し、基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持され、大気に曝すことなく、第1の膜の成膜後に第1の加熱処理した後、第2の膜の成膜後に第2の加熱処理を施す、連続成膜装置である。
【0032】
また、本発明の一態様は、上記第2の膜は、酸化物半導体からなる、連続成膜装置である。
【0033】
また、本発明の一態様は、上記第1の金属元素は、亜鉛である連続成膜装置である。
【0034】
また、本発明の一態様は、上記第2の金属元素は、ガリウムである連続成膜装置である。
【0035】
また、本発明の一態様は、第1の成膜室で基板上に絶縁膜よりなる第1の膜を成膜し、第1の加熱室で第1の熱処理を行い、第2の成膜室で酸化物よりなる第2の膜を成膜し、第2の加熱室で第2の熱処理を行う工程、を有し、基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持された状態で処理される、成膜方法である。
【0036】
また、本発明の一態様は、第1の成膜室で基板上に少なくとも第1の金属元素と第2の金属元素を有する酸化物よりなる第1の膜を成膜し、第1の加熱室で第1の熱処理を行い、第2の成膜室で酸化物よりなる第2の膜を成膜し、第2の加熱室で第2の熱処理を行う工程、を有し、基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持された状態で処理される、成膜方法である。
【0037】
また、本発明の一態様は、上記第2の膜は、酸化物半導体からなる成膜方法である。
【0038】
また、本発明の一態様は、上記第1の金属元素は、亜鉛である成膜方法である。
【0039】
また、本発明の一態様は、上記第2の金属元素は、ガリウムである成膜方法である。
【0040】
上記第1の成膜室は、絶縁膜、又は少なくとも第1の金属元素と第2の金属元素を有する酸化物膜を成膜しうるスパッタリング装置を有する成膜室である。第1の成膜室で酸化物膜を成膜する際の成膜時の温度は、200℃以上400℃以下としてもよい。
【0041】
絶縁膜を成膜する場合は、例えばトランジスタのゲート絶縁膜や下地膜として用いる膜を形成することが出来る。
【0042】
また、上記において、第1の金属元素は亜鉛であってもよい。また、第2の金属元素はガリウムであってもよい。
【0043】
また、第1の加熱室では、第1の成膜室で酸化物膜を成膜した基板に対して加熱処理を行うことが出来る。加熱温度としては、400℃以上750℃以下の温度で行うことにより、第1の結晶性酸化物半導体層を得ることが出来る。第1の加熱処理の温度にもよるが、第1の加熱処理によって膜表面から結晶化が起こり膜の表面から内部に向かって結晶成長し、C軸配向した結晶が得られる。第1の加熱処理によって亜鉛と酸素とが膜表面に多く集まり、上平面が六角形をなす亜鉛と酸素から成るグラフェンタイプの二次元結晶(図7(A)に平面模式図を示す)が最表面に1層または複数層形成され、これが膜厚方向に成長して重なり積層となる。図7(A)において、白丸が亜鉛原子であり、黒丸が酸素原子を示している。加熱処理の温度を上げると表面から内部、そして内部から底部と結晶成長が進行する。また、図7(B)に二次元結晶が結晶成長して積層された一例として二次元結晶の6層の積層を模式的に示す。
【0044】
第2の成膜室では、基板を加熱しながらスパッタリング法により酸化物膜からなる第2の膜を成膜することが出来る。
【0045】
上記において、第2の膜は酸化物半導体膜であってもよい。当該酸化物半導体は少なくとも、インジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0046】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0047】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0048】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0049】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0)で表記される材料を用いてもよい。
【0050】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0051】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、
(a―A)+(b―B)+(c―C)≦r
を満たすことを言い、rとは、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0052】
上記第1の結晶性酸化物半導体層上にスパッタリング法を用い、成膜時における基板温度を200℃以上400℃以下として第2の膜の成膜を行うことにより、第1の結晶性酸化物半導体層の表面上に接して成膜する酸化物半導体膜にプリカーサの整列が起き、所謂、秩序性を持たせることが出来る。
【0053】
第2の加熱室では、400℃以上750℃以下の加熱処理を行うことが出来る。上記第1の結晶性酸化物半導体層上に第2の酸化物半導体膜を形成した基板に対し、400℃以上750℃以下の加熱処理を、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、或いは窒素と酸素の混合雰囲気下で第2の酸化物半導体層の高密度化及び欠陥数の減少を図る。第2の加熱処理によって第1の結晶性酸化物半導体層を核として膜厚方向、すなわち底部から上部に向かって結晶成長が進行して第2の結晶性酸化物半導体層が形成される。
【0054】
こうして得られる第1の結晶性酸化物半導体層と第2の結晶性酸化物半導体層の積層を例えばトランジスタに用いることで、安定した電気的特性を有し、且つ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。さらに、第1の加熱処理及び第2の加熱処理を450℃以下とすることで、第5世代から第12世代のマザーガラスのような大きな基板を用いて、信頼性の高い半導体装置の大量生産を行うことができる。
【0055】
また、本発明に係る成膜装置で作製することにより、得られる第1の結晶性酸化物半導体層は、C軸配向を有していることを特徴の一つとしている。また、本発明に係る成膜装置で作製することにより、得られる第2の結晶性酸化物半導体層は、C軸配向を有していることを特徴の一つとしている。ただし、第1の結晶性酸化物半導体層及び第2の結晶性酸化物半導体層は、単結晶構造ではなく、非晶質構造でもない構造であり、C軸配向を有した結晶(C Axis Aligned Crystalline)を含む酸化物を有する。なお、第1の結晶性酸化物半導体層及び第2の結晶性酸化物半導体層は、一部に結晶粒界を有している。
【0056】
第1の結晶性酸化物半導体層と第2の結晶性酸化物半導体層の積層を有するトランジスタは、トランジスタに光照射が行われ、またはバイアス−熱ストレス(BT)試験前後においてもトランジスタのしきい値電圧の変化量が低減でき、安定した電気的特性を有する。
【0057】
また、上記成膜装置において、第1の成膜室、第2の成膜室、第1の加熱室、及び第2の加熱室の排気は吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。上記吸着型の真空ポンプは、酸化物半導体膜に含まれる水素、水、水酸基又は水素化物の量を低減するように作用する。水素、水、水酸基又は水素化物は、酸化物半導体膜の結晶化を阻害する要因の一つとなりえるため、成膜時、基板搬送時などにおいて、十分に低減された雰囲気で作製工程を進めることが好ましい。
【0058】
また、第1の成膜室、第2の成膜室、第1の加熱室、及び第2の加熱室はすべて、被処理基板がその成膜面と鉛直方向との成す角が少なくとも1°以上30°以内、好ましくは5°以上15°以内に収まるように保持される。このように基板を立てて処理可能な構成とすることにより、装置の床面積(いわゆるフットプリント)の増大が抑制できるため、クリーンルームの設計が容易になるのに加えコストの抑制が可能となる。さらに、基板を鉛直方向から僅かに傾けて保持可能な構成とすることにより、減圧下であっても基板を支持することができる。基板を傾けずに支持する方法としてクランプを用いることが考えられるが、これではクランプ部と重畳する基板面に成膜されないのに加え、クランプ部からのごみが発生してしまう問題がある。
【0059】
上記のような成膜装置は、成膜処理中及び加熱処理中、並びに搬送中に大気に触れることなく、常に清浄な雰囲気下で処理及び搬送が行えるため、膜中、及び膜の界面の不純物濃度が極めて低減され、信頼性の高い酸化物半導体層を形成することができる。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、安定した電気的特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現する成膜装置を提供できる。また、マザーガラスのような大きな基板を用いて、信頼性の高い半導体装置の大量生産を行うことの出来る成膜装置を提供できる。また、安定した電気的特性と高い信頼性を有する半導体装置の作製方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る、半導体装置の成膜装置のブロック図。
【図2】本発明に係る、半導体装置の成膜装置を説明する図。
【図3】本発明に係る、半導体装置の成膜装置を説明する図。
【図4】本発明に係る、半導体層の作製方法を説明する図。
【図5】本発明に係る、半導体層を説明する図。
【図6】本発明に係る、半導体装置の作製方法を説明する図。
【図7】本発明に係る、二次元結晶の模式図。
【図8】光負バイアス劣化の測定結果。
【図9】光応答性の測定結果。
【図10】ドナー準位の模式図。
【図11】低温PL測定結果。
【図12】g値を示すグラフ。
【図13】g値を示すグラフ。
【図14】ESR測定結果。
【図15】ESR測定結果。
【図16】ESR測定結果。
【図17】ESR測定結果。
【発明を実施するための形態】
【0062】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0063】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0064】
(成膜装置の一例について)
以下では、基板上に酸化物半導体層等を形成する成膜装置の一例について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0065】
図1(A)は、本実施の形態で説明する成膜装置10の構成を説明するブロック図である。
【0066】
成膜装置10は、ロード室101、第1の成膜室111、第2の成膜室112、第1の加熱室121、第3の成膜室113、第2の加熱室122、第4の成膜室114、第3の加熱室123、及びアンロード室102が順に接続される。なお今後、ロード室101、アンロード室102を除く各成膜室、及び各加熱室について、それぞれを区別して説明する必要のないときは総称して処理室と呼ぶこともある。
【0067】
ロード室101に搬入された基板100は、移動手段によって、第1の成膜室111から順に、各成膜室、各加熱室を経て、最後に第3の加熱室123の順に送られたのち、アンロード室102に搬送される。各処理室では、必ずしも処理を行う必要はなく、工程を省きたい場合は適宜、処理をせずに次の処理室に基板を搬送することも出来る。
【0068】
ロード室101は、装置外から成膜装置10に基板100の搬入を行う機能を有する。基板100は水平な状態でロード室101に搬入された後、ロード室101内で水平面に対して基板を立てる機構を有する。図1(A)に実線で示した基板100は、ロード室に搬入された直後の水平な状態を示しており、破線は、ほぼ垂直に基板を立てた後の様子を表している。なお、基板100を搬入するロボット等の搬入手段が基板を立てる機構を有している場合は、ロード室101は基板100を立てる機構を有していなくても良い。
【0069】
アンロード室102は、ロード室101とは逆に、立てた状態の基板100を水平の状態に寝かせる機構を有する。処理を終え、移動手段によってアンロード室に搬入された基板100は、アンロード室102にて立てた状態から水平方向な状態とされ、その後装置外へ搬出される。図1(A)には、立てた状態の基板100と水平な状態の基板100とをどちらも破線で示した。なお、基板100を搬出するロボット等の搬出手段が基板を寝かせる機構を有している場合は、アンロード室102は、基板を寝かせる機構を有していなくてもよい。
【0070】
基板100は、ロード室101から、各処理室で処理を終えてアンロード室102に搬出されるまでの間、基板100の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上、30°以内、好ましくは5°以上15°以内に収まるように保持される。このように、基板100を鉛直方向から僅かに傾けることにより、装置の床面積、いわゆるフットプリントを小さくすることが出来、基板サイズが例えば第11世代、第12世代などへ大型化すればするほどクリーンルーム等の設計の容易さやコストの面においても有効である。さらに、基板を鉛直方向から僅かだけ傾けることにより、基板100に付着するごみ、パーティクルを低減できるため好ましい。
【0071】
ロード室101、及びアンロード室102のそれぞれは、室内を真空にする排気手段と、真空状態から大気圧する際に用いるガス導入手段とを有する。ガス導入手段から導入されるガスは、空気、若しくは窒素や希ガスなどの不活性ガスなどを適宜用いればよい。
【0072】
また、ロード室101は、基板を予備加熱するための加熱手段を有していても良い。排気動作と並行して基板に対して予備加熱を行うことで、基板に吸着するガス等の不純物(水、水酸基などを含む)を脱離させることが出来るため好ましい。排気手段としては、例えばクライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどの吸着型の真空ポンプ、或いは、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものを用いると良い。
【0073】
ロード室101、アンロード室102、及びそれぞれの処理室は、ゲートバルブを介して連結されている。したがって基板が処理を終えて次の処理室へ移る際には、ゲートバルブを開けて基板が搬入される。なお、このゲートバルブは、処理室間において必要でなければ設けなくても良い。また、それぞれの処理室には、排気手段、圧力調整手段、ガス導入手段などを有し、処理していない状態であっても常に減圧清浄な状態に保つことができる。ゲートバルブによって各処理室が隔離されることにより、他の処理室からの汚染を抑制することができる。
【0074】
また、成膜装置の各室は必ずしも一直線上に配置する必要はなく、例えば図1(B)に示すように隣接する処理室の間に搬送室131を設け、2列に配置とした成膜装置11としてもよい。搬送室131はターンテーブル133を有し、搬送室に搬入された基板の向きを180°回転させることができ、基板の経路を折り返すことが出来る。図1(B)には第3の成膜室113と第2の加熱室122の間に搬送室131を設ける構成を示したが、搬送室131の位置はこの位置に限定されず、各処理室の大きさなどによって適切な位置に配置すればよい。
【0075】
次に、第1の成膜室111、第2の成膜室112、第3の成膜室113及び第4の成膜室114において、これらに共通する構成について説明する。またその後、第1の加熱室121、第2の加熱室122、及び第3の加熱室123についても同様に、これらに共通する部分について説明する。最後に、それぞれの処理室における特徴についての説明を行う。
【0076】
第1の成膜室はスパッタリング装置又はCVD装置が配置される。また、第2の成膜室、第3の成膜室、第4の成膜室は、それぞれスパッタリング装置が配置される。
【0077】
上記成膜室で用いるスパッタリング装置には、例えばマイクロ波スパッタリング法、RFプラズマスパッタリング法、ACスパッタリング法、もしくはDCスパッタリング法などのスパッタリング装置を用いることができる。
【0078】
ここで、DCスパッタリング法を適用した成膜室の一例について図2を用いて説明する。DCスパッタリング法を適用した成膜室150について、図2(A)に基板の進行方向に対して垂直方向の断面模式図を、また図2(B)に、進行方向に対して平行且つ水平な断面の断面模式図を示す。
【0079】
まず、基板100は、成膜面と鉛直方向との成す角が少なくとも1°以上30°以内、好ましくは5°以上15°以内に収まるように、基板支持部141によって固定されている。基板支持部141は移動手段143に固定されている。移動手段143は、処理中に基板が動かないよう、基板支持部141を固定しておくだけでなく、基板100を図2(B)中の破線に沿った方向(矢印に示す方向)に移動可能であり、ロード室101、アンロード室102、及び各処理室において、基板100の搬入出を行う機能も有する。
【0080】
成膜室150には、ターゲット151及び、防着板153が基板100に平行になるように配置される。ターゲット151と基板100とを平行に配置することにより、ターゲットとの距離が異なることに起因するスパッタ膜の膜厚や、スパッタ膜の段差に対するカバレッジなどのばらつきなどをなくすことができる。
【0081】
また成膜室150は、基板支持部141の背面に位置するように、基板加熱手段155を有していても良い。基板加熱手段155により、基板を加熱しながら成膜処理を施すことが出来る。基板加熱手段155としては例えば抵抗加熱ヒータや、ランプヒータなどを用いることができる。なお、基板加熱手段155は必要でなければなくすことも出来る。
【0082】
成膜室150は、圧力調整手段157を有し、成膜室150内を所望の圧力に減圧することが出来る。圧力調整手段に用いる排気装置としては、例えばクライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどの吸着型の真空ポンプ、或いは、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものを用いると良い。
【0083】
また、成膜ガス等を導入するためのガス導入手段159を有する。例えば希ガスを主成分としたガスに酸素を添加したガスを導入して反応性スパッタリング法による成膜を行うことにより、酸化膜を形成することができる。さらに、ガス導入手段159から導入されるガスは、水素や水、水酸化物などの不純物が低減された高純度ガスを導入することが出来る。例えば、酸素、窒素、希ガス(代表的にはアルゴン)、又はこれらの混合ガスを導入することが出来る。
【0084】
以上のような圧力調整手段157とガス導入手段159を有する成膜室150では、水素分子や水(HO)などの水素を含む化合物などが(より好ましくは炭素原子を含む化合物と共に)除去されるため、当該成膜室で成膜した膜中に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0085】
成膜室150と隣接する部屋との境界は、ゲートバルブ161で仕切られている。ゲートバルブ161で室内を隔離することにより、室内の不純物を排気しやすくし、成膜雰囲気を清浄に保つことが出来る。さらに、室内を清浄な状態にした後にゲートバルブを開放し基板を搬出することにより、隣接する処理室への汚染を抑制することができる。なお、必要でなければ、ゲートバルブ161をなくすことができる。
【0086】
なお、成膜室150は、図2(C)に示すように、基板100を図中に示す破線の方向に沿って矢印の方向にスライドさせながら成膜する構成としてもよい。この様な構成とすることにより、ターゲットのサイズを小さくできるため、基板の大型化に対し、ターゲットのサイズを基板と同程度まで大きく出来ない場合などには好適である。
【0087】
第1の加熱室121、第2の加熱室122、第3の加熱室123は、基板100に対して加熱処理を行うことが出来る。
【0088】
加熱装置には、抵抗加熱ヒータ、ランプ、または加熱されたガスを用いるものなどを設けると良い。
【0089】
図3(A)及び図3(B)に棒状のヒータを用いた加熱装置を適用した、加熱室の一例を示す。図3(A)は基板の移動方向に対して垂直な断面に相当する、加熱室170の断面模式図であり、図3(B)は、基板の移動方向に水平な断面に相当する断面模式図である。
【0090】
加熱室170には成膜室150と同様、移動手段143によって基板支持部141に支持された基板100を搬入、搬出することが出来る。
【0091】
加熱室170には棒状のヒータ171が基板100と平行になるように配置されている。図3(A)には、その断面となる形状を模式的に現している。棒状のヒータ171には、抵抗加熱ヒータ、またはランプヒータを用いることができる、抵抗加熱ヒータには、誘導加熱を用いたものも含まれる。また、ランプは中心波長が赤外線領域にあるものが好ましい。棒状のヒータ171を基板100に平行に配置することにより、これらの距離を一定にし、均一に加熱することが出来る。また、棒状のヒータ171はそれぞれ個別に温度を制御できることが好ましい。例えば上部のヒータよりも下部のヒータを高い温度に設定することにより、基板を均一な温度で加熱することができる。なお、本実施の形態では、棒状のヒータを用いる構成としたが、ヒータの構成はこれに限定されず、面状(板状)のヒータでも良いし、これらヒータを動かしながら加熱処理を行うことも出来る。また、レーザを用いた加熱方法を用いてもよい。
【0092】
また、加熱室170は、棒状のヒータ171と基板100の間に、保護板173を設ける構成としている。保護板173は棒状のヒータ171、及び基板100の保護のために設けられるもので、例えば石英などを用いることができる。保護板173は必要なければ設けなくてもよい。なお、本構成では棒状のヒータ171と基板100との間にシャッター板を有さない構成としているため、基板全面を均一に加熱することが出来る。
【0093】
また、加熱室170は、成膜室150と同様の圧力調整手段157及びガス導入手段159を有する。したがって、加熱処理中や処理を行っていない状態においてもつねに減圧清浄な状態を保持することが出来る。また加熱室170内の水素分子や水(HO)などの水素を含む化合物などが(より好ましくは炭素原子を含む化合物と共に)除去されるため、当該加熱室で処理した膜中、膜界面、膜表面に含有、もしくは吸着する不純物の濃度を低減できる。
【0094】
また、圧力調整手段157及びガス導入手段159により、不活性ガス雰囲気や、酸素を含む雰囲気での加熱処理が可能である。なお、不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、加熱室170に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
【0095】
続いて、各処理室における個別の特徴、構成について説明を行う。
【0096】
第1の成膜室111では基板に対し酸化物絶縁膜を成膜する。成膜装置はスパッタリング装置、又はCVD装置のどちらかであれば、特に限定はされない。第1の成膜室111で成膜可能な膜には、トランジスタ等の下地層、またはゲート絶縁層として機能する膜であれば何を用いても良いが、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウムなどの単膜、又はこれらの混合膜などが挙げられる。
【0097】
例えばスパッタリング装置の場合は、用いる膜種によって最適なターゲットを用いればよく、CVD装置であれば、成膜ガスを適宜選択する。
【0098】
第2の成膜室112ではスパッタリング法により、酸化物膜を成膜することが出来る。ここで成膜する酸化物膜としては、例えば亜鉛とガリウムの酸化物などが挙げられる。成膜方法としては、マイクロ波プラズマスパッタリング法、RFプラズマスパッタリング法、ACスパッタリング法、もしくはDCスパッタリング法を適用することが出来る。
【0099】
また、第2の成膜室112では基板加熱手段155により、600℃以下の温度まで加熱しながら成膜を行うことが出来る。
【0100】
第1の加熱室は、200℃以上700℃以下の温度で基板を加熱することが出来る。さらに圧力調整手段157及びガス導入手段159によって、加熱処理中の雰囲気を例えば10Pa乃至1気圧とし、酸素雰囲気下、窒素雰囲気下、酸素と窒素の混合雰囲気下で加熱処理を行うことが出来る。
【0101】
第3の成膜室では、基板100に酸化物半導体膜を成膜する。例えば酸化物半導体としては、少なくともZnを含む酸化物半導体であり、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体などの、上記で挙げた酸化物半導体を成膜することが出来る。
【0102】
また、基板加熱手段155によって、成膜時の温度を200℃以上600℃以下で加熱しながら成膜を行うことが出来る。
【0103】
第2の加熱室122では、200℃以上700℃以下の温度で基板100を加熱することが出来る。さらに、圧力調整手段157とガス導入手段159により、酸素もしくは窒素を含み、水素や水、水酸基などの不純物が極めて低減された雰囲気の下、10Pa以上1気圧以下の圧力で加熱処理を行うことが出来る。
【0104】
第4の成膜室では、第3の成膜室と同様、基板100に酸化物半導体膜を成膜する。例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲットを用いて、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体膜を成膜することが出来る。さらに、基板温度を200℃以上600℃以下で加熱しながら成膜を行うことが出来る。
【0105】
最後に、第3の加熱室では、400℃以上750℃以下の温度で基板100に対して加熱処理を行うことが出来る。
【0106】
さらに圧力調整手段157、及びガス導入手段159によって、当該加熱処理は窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、或いは窒素と酸素の混合雰囲気下で行うことが出来る。
【0107】
本実施の形態で示した成膜装置は、ロード室から各処理室、及びアンロード室まで一貫して大気に触れない構成となっており、また常に減圧清浄な環境下で基板を搬送することが出来る。したがって本成膜装置を用いて成膜した膜の界面への不純物の混入を抑制することができ、界面状態の極めて良好な膜を形成することができる。
【0108】
本実施の形態で示した成膜装置10を用いて、以降で例示する方法等によって作製した酸化物半導体層をトランジスタなどの半導体装置に適用することにより、安定した電気特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。また、本実施の形態に示した成膜装置10は、マザーガラスのような大型基板においても、不純物濃度が低減された一連の装置によって大気に触れることなく酸化物半導体層の形成工程を連続して行うことが出来る。
【0109】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0110】
(酸化物半導体層の作製方法の一例について)
本実施の形態では、上記で示した成膜装置を用いて、薄膜トランジスタに用いることを想定した方法により、絶縁層上に酸化物半導体層を形成する方法の一例について図4及び図5を用いて説明する。
【0111】
まず、図1に示した基板100をロード室101に搬入する。
【0112】
基板100は、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板などを用いることができる。基板100には、第5世代から第12世代、好ましくは第8世代から第12世代までの大型のマザーガラスを用いることができる。
【0113】
基板100をロード室101に搬入した後、ロード室101内を真空排気する。ここで、ロード室内で予備加熱をしながら排気処理を行うことで、基板100の吸着ガス(水素分子、水、水酸基などの不純物を含む)を除去することも出来る。
【0114】
次に第1の成膜室111で酸化物絶縁層201をスパッタリング法、またはCVD法により成膜する。酸化物絶縁層201には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、またはこれらの混合材料を用いて形成する。酸化物絶縁層201の膜厚は、10nm以上200nm以下とする。
【0115】
本実施の形態では、100nmの酸化シリコン膜をスパッタリング法により成膜し、酸化物絶縁層201とした。
【0116】
続いて、第2の成膜室112に搬送し、酸化物膜203を成膜する。酸化物膜203は、マイクロ波プラズマスパッタリング法、RFプラズマスパッタリング法、ACスパッタリング法、もしくはDCスパッタリング法を用いて成膜する。いずれの方法を採用するかは、ターゲットの導電率、ターゲットの大きさ、基板の面積等を考慮して決定すると良い。
【0117】
用いるターゲットは、酸化物膜203がガリウムと亜鉛の酸化物で、ガリウムの比率、Ga/(Ga+Zn)は、0.2以上0.8未満、好ましくは0.3以上0.7未満となるように、ガリウムと亜鉛の比率を調整した酸化物とすればよい。なお、スパッタリングの際に、雰囲気や成膜面の温度によってはターゲットの組成と得られる膜の組成が異なることは一般に知られている。例えば、ターゲットは導電性であっても、得られる膜の亜鉛の濃度が低下して、絶縁性もしくは半導体性となることがある。
【0118】
本実施の形態では、亜鉛とガリウムの酸化物を用いるが、亜鉛は200℃以上での蒸気圧がガリウムよりも高いので、基板100を200℃以上に加熱すると、酸化物膜203の亜鉛の濃度はターゲットの亜鉛の濃度よりも低くなる。したがって、そのことを考慮してターゲットの亜鉛の濃度は高めに決定する必要がある。一般に亜鉛の濃度が増加すると、酸化物の導電率が向上するので、DCスパッタリング法を適用するには好ましい。
【0119】
スパッタリングのターゲットは、酸化ガリウムと酸化亜鉛の粉末を混合して仮焼成した後に成型し、焼成して得ることができる。あるいは、粒径100nm以下の酸化ガリウムと酸化亜鉛の粉末を十分に混合し、成型しただけのものでもよい。
【0120】
酸化物膜203は、水素や水などが混入しにくい方法で作製するのが望ましい。成膜時の雰囲気は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガスと酸素の混合雰囲気下などとすればよい。また、酸化物膜203への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を防ぐために、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを用いた雰囲気とすることが望ましい。
【0121】
成膜時の基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下とすることによっても上記の不純物の混入を防止できる。加えて、排気手段としてクライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどの吸着型の真空ポンプ、或いは、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものを用いると良い。以上のような排気手段を用いて排気することにより、水素分子や水などの水素原子を含む化合物などが(より好ましくは炭素原子を含む化合物と共に)除去されるため、このような成膜室で成膜した酸化物膜203に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0122】
この段階の断面模式図を図4(A)に示す。
【0123】
次に、第1の加熱室121に基板を搬入し、第1の加熱処理を行う。
【0124】
第1の加熱室121では、例えば圧力を10Pa乃至1気圧とし、酸素雰囲気下、窒素雰囲気下、酸素と窒素の混合雰囲気下のいずれかとする条件において、400℃乃至700℃で10分乃至24時間の加熱処理を行う。すると、図4(B)に示すように、酸化物膜203が変質し、表面付近に亜鉛の濃度の高い酸化物半導体層203aが形成され、その他の部分が亜鉛の濃度の低い酸化物絶縁層203bとなる。
【0125】
なお、加熱時間が長いほど、且つ、加熱温度が高いほど、さらには、加熱時の圧力が低いほど、亜鉛が蒸発しやすく、酸化物半導体層203aが薄くなる傾向がある。
【0126】
酸化物半導体層203aの厚さは、3nm乃至15nmとすることが好ましい。酸化物半導体層203aの厚さは上述のとおり、加熱時間、加熱温度、加熱時の圧力によって制御でき、また、酸化物膜203の組成および厚さによっても制御できる。酸化物膜203の組成は、ターゲットの組成に加えて、成膜時の基板温度によっても制御できるので、これらを適切に設定すればよい。
【0127】
得られた酸化物半導体層203aは結晶性を有し、X線回折法による結晶構造の分析において、c面の回折強度に対する、a面、或いはb面の回折強度の比率が0以上0.3以下であるというC軸配向性を示す。本実施の形態では、酸化物半導体層203aは亜鉛を主たる金属成分とする酸化物である。
【0128】
一方、酸化物絶縁層203bにおけるガリウムの比率、Ga/(Ga+Zn)は0.7以上、好ましくは0.8以上となるようにするとよい。なお、酸化物絶縁層203bにおけるガリウムの比率は表面に近い部分、例えば酸化物半導体層203aに接する部分が最も低く、基板に向かって高くなる。逆に、亜鉛の比率は、表面に近い部分が最も高く、基板に向かって低くなる。
【0129】
なお、この熱処理においては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属も酸化物半導体層203aの表面付近に偏析し、さらには蒸発するため、酸化物半導体層203aにおいても酸化物絶縁層203bにおいてもその濃度が十分に低くなる。これらは、トランジスタにおいては好ましくない元素であるので、トランジスタを構成する材料には可能な限り含まれないようにすることが好ましい。これらのアルカリ金属は亜鉛以上に蒸発しやすいので、加熱処理工程は、これらを除去する上でも有効である。
【0130】
このような処理により、例えば酸化物半導体層203aや酸化物絶縁層203bにおけるナトリウムの濃度は、5×1016cm−3以下、好ましくは1×1016cm−3以下、さらに好ましくは1×1015cm−3以下とするとよい。同じく、リチウムの濃度は5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下、カリウムの濃度は5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下とするとよい。
【0131】
続いて、第3の成膜室に基板を移載し、酸化物半導体膜204を成膜する。本実施の形態では、酸化物半導体として、インジウムーガリウムー亜鉛系の酸化物を採用する。すなわち、インジウムーガリウムー亜鉛系の酸化物をターゲットとしてスパッタリング法により形成する。
【0132】
酸化物ターゲットの充填率は、90%以上100%以下、好ましくは95%以上99%以下とする。充填率の高い酸化物ターゲットを用いることにより、得られる酸化物半導体膜を緻密な膜とすることができる。ターゲットの組成比は、例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるIn−Ga−Zn−Oターゲットを用いる。なお、ターゲットの材料および組成をこれに限定する必要はない。例えば、In:Ga:Zn=1:1:0.5[モル比]の組成比の酸化物ターゲットを用いることもできる。
【0133】
なお、後述するように、得られる酸化物半導体膜の組成に関しては、金属成分におけるガリウムの比率(モル比)が0.2以上であるものが好ましい。例えば、In:Ga:Zn=1:1:2である場合は、ガリウムの比率は0.25であり、またIn:Ga:Zn=1:1:1である場合は、ガリウムの比率は0.33であり、In:Ga:Zn=1:1:0.5の場合は、0.4である。
【0134】
酸化物半導体膜204は、水素や水などが混入しにくい方法で作製するのが望ましい。成膜時の雰囲気は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または、希ガスと酸素の混合雰囲気下などとすればよい。また、酸化物半導体膜204への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を防ぐために、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを用いた雰囲気とすることが望ましい。
【0135】
また、酸化物半導体膜204の厚さは、3nm以上30nm以下とするのが望ましい。酸化物半導体膜を厚くしすぎると(例えば、膜厚を50nm以上)、トランジスタがノーマリーオンとなってしまうおそれがあるためである。
【0136】
酸化物半導体膜204の成膜時の基板温度は、100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下、さらに好ましくは、250℃以上300℃以下とする。成膜時に基板温度を高くすることにより、上述の不純物の混入を抑制することができるため好ましい。
【0137】
加えて、排気手段として、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどの吸着型の真空ポンプ、あるいは、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものを用いるとよい。このような排気手段を用いて排気した成膜室は、水素分子や、水(HO)などの水素原子を含む化合物などが(より好ましくは炭素原子を含む化合物とともに)除去されているため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体膜204に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0138】
また、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属も酸化物半導体をトランジスタに用いる場合においては好ましくない元素であるので、トランジスタを構成する材料には可能な限り含まれないようにすることが好ましい。
【0139】
特にアルカリ金属のうち、ナトリウムは酸化物半導体に接する酸化物絶縁体中に拡散し、ナトリウムイオンとなる。あるいは酸化物半導体内において、金属元素と酸素の結合を分断し、あるいは結合中に割り込む。その結果、トランジスタ特性の劣化(例えば、ノーマリーオン化(しきい値の負へのシフト)、移動度の低下等)をもたらす。また、特性のばらつきの原因ともなる。
【0140】
このような問題は、特に酸化物半導体中の水素の濃度が十分に低い場合において顕著となる。したがって、酸化物半導体中の水素の濃度が5×1019cm−3以下、特に5×1018cm−3以下である場合には、アルカリ金属の濃度を十分に低くすることが強く求められる。
【0141】
例えば、酸化物半導体膜204におけるナトリウムの濃度は、5×1016cm−3以下、好ましくは1×1016cm−3以下、さらに好ましくは1×1015cm−3以下とするとよい。同じく、リチウムの濃度は5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下、カリウムの濃度は5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下とするとよい。
【0142】
この段階の断面模式図を、図4(C)に示す。
【0143】
次に、第2の加熱室122に基板100を移載し、第2の加熱処理を行う。
【0144】
酸化物半導体膜204に対し、第2の加熱処理を行うことによって、酸化物半導体層203aの結晶を核として、酸化物半導体膜204が結晶成長し、酸化物半導体層203a及び酸化物半導体膜204は一体となり、図4(D)に示すようにC軸配向した結晶性の酸化物半導体層204aとなる。
【0145】
同時に、酸化物半導体膜204中の、過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去し、酸化物半導体膜204の構造を整え、エネルギーギャップ中の欠陥準位を低減することもできる。
【0146】
さらに、この第2の熱処理によって、酸化物絶縁層201や、酸化物絶縁層203b中の過剰な水素(水、水酸基を含む)を除去することも可能である。第2の熱処理の温度は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下とする。
【0147】
なお、図4(D)には、酸化物半導体膜204と酸化物半導体層203aとの界面を破線で示したが、第2の熱処理の結果、酸化物半導体層203aと、酸化物半導体膜204とは一体となり、酸化物半導体層204aとなるため、その界面は判然としない。
【0148】
次に、第4の成膜室114に基板を搬入し、第3の成膜室113と同様の方法により酸化物半導体層204a上に酸化物半導体膜205を成膜する。
【0149】
成膜する酸化物半導体は、上述の酸化物半導体用ターゲットを用いることができる。本実施の形態では、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1[モル数比])を用いて、基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下、さらに好ましくは、250℃以上300℃以下として10nm以上の膜厚の酸化物半導体膜205を成膜する(図4(E)参照)。
【0150】
次いで、第3の加熱室123に基板100を搬送し、第3の加熱処理を行う。
【0151】
第3の加熱処理は、窒素雰囲気、もしくは乾燥空気を用いて400℃以上750℃以下、1分以上24時間以下の加熱処理を行う。
【0152】
第3の加熱処理によって、酸化物半導体膜205は、酸化物半導体層204aの結晶を核として結晶成長する。その結果、酸化物半導体膜205及び酸化物半導体層204aは一体となり酸化物半導体層205aとなる。この状態の断面模式図を図4(F)に示す。ここで、酸化物半導体層205a中に酸化物半導体膜205と酸化物半導体層204aとの界面を破線で示したが、実際はその界面は判然としない。
【0153】
なお、本実施の形態では、ガリウムを主たる金属元素とする酸化物絶縁層203bを用いるが、このような材料を、特に金属元素に占めるガリウムの比率が0.2以上の酸化物半導体と接触させるような構造とすると、酸化物半導体膜との界面における電荷捕獲を十分に抑制することができる。このような膜を半導体装置に適用することにより、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0154】
最後に、アンロード室102に基板100が搬出されることにより、工程が終了する。
【0155】
以上の一連の工程により、基板100上にC軸配向性を有し、不純物濃度が極めて低減された酸化物半導体層205aを形成することができる。また、当該成膜装置で作製されたC軸配向性を有する極めて不純物濃度の低減された半導体層をトランジスタなどの半導体装置に適用することにより、安定した電気特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現することが出来る。
【0156】
ここで、本実施の形態では上記で示した成膜装置が有する全ての成膜室及び加熱室を使用して酸化物半導体層を形成したが、使用する成膜室及び加熱室の組み合わせを変えることにより複数の作製工程を実施でき、様々な様態の酸化物半導体層を形成することができる。以下、成膜装置の有する成膜室及び加熱室を選択的に使用して酸化物半導体層を形成する方法について変形例として例示する。
【0157】
(変形例1)
図5(A)に示すような、基板100上に酸化物絶縁層211、酸化物絶縁層213b、及びC軸配向性の結晶性を有する酸化物半導体層215aを形成する方法について説明する。
【0158】
第1の加熱室121で第1の加熱処理を行う工程までは上述例と同様の工程で作製する。すなわち、第1の成膜室111で酸化物絶縁層211を形成し、第2の成膜室112で酸化物絶縁層上に酸化物膜を形成し、第1の加熱室121で第1の加熱処理を行う。第1の加熱処理によって、酸化物膜は下層が酸化物絶縁層213b、上層がC軸配向性の結晶性を有する酸化物半導体層となる。
【0159】
次に、第3の成膜室113で基板100を加熱しながら酸化物半導体膜を成膜する。例えば、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度250℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、又はアルゴン及び酸素雰囲気下で膜厚30nmの酸化物半導体膜を成膜する。
【0160】
次に、第2の加熱室122で、第2の熱処理を行う。第2の熱処理の温度は200℃以上、好ましくは400℃以上700℃以下とする。第2の熱処理によって、C軸配向性の結晶性を有する酸化物半導体層を核として、上記酸化物半導体膜が結晶成長することにより界面のないC軸配向性の結晶性を有する酸化物半導体層215aを形成することができる。
【0161】
その後、第4の成膜室114、及び第3の加熱室123では処理を行わずに基板搬送のみ行い、アンロード室102に基板100を搬出する。
【0162】
以上の工程により、C軸配向性を有し、膜中の不純物濃度が極めて低減された酸化物半導体層を形成することができる。
【0163】
(変形例2)
図5(B)に示すような、基板100上に酸化物絶縁層221、C軸配向性を有する酸化物半導体層225aを形成する方法について説明する。
【0164】
まず、ロード室101から第1の成膜室111に基板を搬送し、酸化物絶縁層221を形成する。その後、第2の成膜室112では処理を行わずに基板だけ搬送し、続いて第1の加熱室121に基板を搬入し、第1の加熱処理を行う。第1の加熱処理を行うことにより酸化物絶縁層221中の水素、水、水酸基などの不純物を除去することが出来る。なお、第1の加熱処理を行わずに、後の第2の加熱処理と兼ねることもできる。
【0165】
続いて第3の成膜室113で基板温度を200℃以上400℃以下としながら第1の酸化物半導体膜を1nm以上10nm以下の膜厚で成膜する。例えば、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度250℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、又はアルゴン及び酸素雰囲気下で膜厚5nmの第1の酸化物半導体膜を成膜する。
【0166】
その後、第2の加熱室122で第2の加熱処理を行うことにより、第1の酸化物半導体膜はC軸配向性を有する結晶性の酸化物半導体膜となる。第2の加熱処理は、窒素雰囲気下または乾燥空気とし、400℃以上750℃以下の温度で行うことが好ましい。なお、上記第1の加熱処理を行わなかった場合は、第2の加熱処理によって酸化物絶縁層中の水素を含む不純物を除去することが出来る。
【0167】
次に、第4の成膜室114で10nmより厚い膜厚の第2の酸化物半導体膜を成膜する。例えば、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度400℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、又はアルゴン及び酸素雰囲気下で膜厚25nmの第2の酸化物半導体膜を成膜する。
【0168】
成膜時における基板温度を200℃以上400℃以下として第2の酸化物半導体膜の成膜を行うことにより、第1の酸化物半導体膜の表面上に接して成膜する酸化物半導体膜にプリカーサの整列が起き、所謂、秩序性を持たせることが出来る。
【0169】
続いて、第3の加熱室123で第3の加熱処理を行う。窒素、又は乾燥空気中で400℃以上750℃以下の温度で1分以上24時間以下の時間の第3の加熱処理を行うことにより、C軸配向性を有する結晶性の酸化物半導体層225aを形成することができる。
【0170】
以上の工程により、C軸配向性を有し、膜中の不純物濃度が極めて低減された酸化物半導体層を形成することができる。
【0171】
(変形例3)
図5(C)に示すような、基板100上に酸化物絶縁層231、及び酸化物半導体層234を形成する方法について説明する。
【0172】
まず、ロード室101から第1の成膜室111に基板100を搬送し、酸化物絶縁層231を成膜する。酸化物絶縁層231として、例えば100nmのシリコン酸化膜をスパッタリング法により成膜する。
【0173】
続いて、第2の成膜室112では処理せずに搬送だけ行い、第1の加熱室121で第1の加熱処理を行う。第1の加熱処理を行うことにより酸化物絶縁層231中の水素、水、水酸基などの不純物を除去することが出来る。なお、第1の加熱処理を行わずに、後の第2の加熱処理と兼ねることもできる。
【0174】
次に、第3の成膜室113に基板を搬送し、酸化物半導体層234を成膜する。例えば、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度400℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、又はアルゴン及び酸素雰囲気下で膜厚30nmの酸化物半導体層234を成膜する。
【0175】
続いて、第2の加熱室122に基板を搬送し、第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うことにより、酸化物半導体層234中の水素、水、水酸基などの不純物を除去することが出来、不純物の極めて低減された酸化物半導体層234とすることが出来る。第2の加熱処理は、窒素、酸素、アルゴンを代表とする希ガス、またはこれらの混合ガス中で250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上750℃以下とする。
【0176】
その後、第4の成膜室114、及び第3の加熱室123では処理を行わずに搬送のみを行い、アンロード室102に基板を搬出する。
【0177】
以上の工程により、酸化物絶縁層231上に形成され、不純物濃度の低減された酸化物半導体層234を得る。
【0178】
なお、酸化物絶縁層231が必要でない場合は、第1の成膜室111での成膜処理、及び第1の加熱室121での加熱処理は省略することが出来る。
【0179】
以上の工程により、膜中の不純物濃度が極めて低減された酸化物半導体層を形成することができる。このような工程により酸化物半導体層を形成することにより、より工程を簡略化することが出来るため好ましい。
【0180】
なお、本実施の形態では、酸化物半導体層を形成する方法を説明することを目的として、基板100はガラス基板を用いたが、例えばボトムゲート型のトランジスタの作製工程に適用するのであれば、基板としてゲート電極層を形成した基板を用いる、という風に、工程途中の基板を用いることもできる。
【0181】
また、本実施の形態で示した成膜装置は、ロード室から各処理室、及びアンロード室まで一貫して大気に触れない構成となっており、また常に減圧清浄な環境下で基板を搬送することが出来る。したがって本成膜装置を用いて成膜した膜の界面への不純物の混入を抑制することができ、界面状態の極めて良好な膜を形成することができる。例えばこのような膜を半導体装置に適用することにより、界面のトラップ準位の形成を抑制でき、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0182】
このように本発明の成膜装置は、マザーガラスのような大型基板においても、不純物濃度が低減された一連の装置によって大気に触れることなく酸化物半導体層の形成工程を連続して行うことが出来る。また、当該成膜装置で作製された酸化物半導体層は、極めて不純物濃度の低減された半導体層であり、このような半導体層をトランジスタなどの半導体装置に適用することにより、安定した電気特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現することが出来る。
【0183】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0184】
(トランジスタの作製方法の一例について)
本実施の形態では、上記で示した成膜装置を用いて、ボトムゲート型のトランジスタの作製方法の一例について、図6を用いて説明する。
【0185】
図6(E)は、ボトムゲート型のトランジスタ300の断面図であり、ボトムゲート型のトランジスタ300は、絶縁表面を有する基板100上に、下地絶縁層307、ゲート電極層309、ゲート絶縁層301、チャネル形成領域を含む酸化物半導体層305b、ソース電極層311a、ドレイン電極層311b、酸化物絶縁層313aを含む。酸化物半導体層305b上にソース電極層311a、及びドレイン電極層311bが設けられる。酸化物半導体層305bにおいて、ゲート絶縁層301を介してゲート電極層309と重なる領域の一部がチャネル形成領域として機能する。
【0186】
また、酸化物絶縁層313aを覆い、保護絶縁層313bが設けられている。
【0187】
以下、図6(A)乃至図6(E)を用い、基板上にボトムゲート型のトランジスタ300を作製する工程を説明する。
【0188】
まず、基板100上に下地絶縁層307を形成する。
【0189】
下地絶縁層307は、PCVD法またはスパッタリング法を用いて50nm以上600nm以下の膜厚で、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜から選ばれた一層またはこれらの積層を用いる。下地絶縁層307は、膜中(バルク中)に少なくとも化学量論比を超える量の酸素が存在することが好ましく、例えば酸化シリコン膜を用いる場合には、SiO2+α(ただし、α>0)とする。
【0190】
本実施の形態では下地絶縁層307として、厚さ50nmのシリコン酸化膜をスパッタリング法により成膜した。
【0191】
また、アルカリ金属などの不純物を含むガラス基板を用いる場合、アルカリ金属の侵入防止のため、下地絶縁層307と基板100との間に窒化物絶縁層としてPCVD法またはスパッタリング法で得られる窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜などを形成してもよい。LiやNaなどのアルカリ金属は、不純物であるため含有量を少なくすることが好ましい。
【0192】
次いで、下地絶縁層307上に導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程によりゲート電極層309を形成する。
【0193】
ゲート電極層309に用いる導電膜は、スパッタリング法等により、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0194】
本実施の形態では、ゲート電極層に用いる導電膜として、厚さ150nmのタングステン膜をスパッタリング法を用いて成膜した。
【0195】
続いて、ゲート電極層309が形成された基板100を、ロード室101に搬入する。ロード室では基板100に対し予備加熱を行っても良い。予備加熱をしながら排気処理を行うことにより、基板に吸着した水素、また好ましくは炭素などを含む不純物を脱離することが出来る。
【0196】
次に、基板100を第1の成膜室111に搬入し、ゲート絶縁層301を成膜する。
【0197】
ゲート絶縁層301は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて成膜した酸化物絶縁層であり、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、又はこれらの混合材料を用いて単層で又は積層して形成する。ゲート絶縁層301の膜厚は、10nm以上200nm以下である。
【0198】
本実施の形態では、ゲート絶縁層301として、厚さ100nmの酸化シリコン膜をスパッタリング法により成膜した。
【0199】
この段階の断面模式図を図6(A)に示す。
【0200】
次いで、第2の成膜室112では処理は行わずに搬送のみを行い、第1の加熱室121に基板100を搬送し、第1の加熱処理を行ってもよい。
【0201】
第1の加熱処理を行うことにより、ゲート絶縁層301中の水素、水、水酸基などの水素を含む不純物を効果的に除去でき、後に形成する酸化物半導体層への上記不純物の拡散を抑制できるため、好ましい。なお、第1の加熱処理を後の第2の加熱処理と兼ねることも出来る。
【0202】
次いで、第3の成膜室113に基板を搬入し、膜厚1nm以上10nm以下の第1の酸化物半導体膜を成膜する。
【0203】
本実施の形態では、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度250℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、又はアルゴン及び酸素雰囲気下で膜厚5nmの第1の酸化物半導体膜を成膜する。
【0204】
次に、第2の加熱室122に基板を移載し、第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理は、窒素、または乾燥空気雰囲気とし、温度は、400℃以上750℃以下とする。また、第2の加熱処理の加熱時間は1分以上24時間以下とする。第2の加熱処理によって第1の酸化物半導体膜は結晶化し、C軸配向性を有する結晶性の酸化物半導体層304aを形成する(図6(B)参照)。
【0205】
続いて、第4の成膜室114に基板を搬入し、膜厚10nmよりも厚い第2の酸化物半導体膜を成膜する。
【0206】
本実施の形態では、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度400℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、又はアルゴン及び酸素雰囲気下で膜厚25nmの第2の酸化物半導体膜を成膜する。
【0207】
次いで、基板を第3の加熱室123に搬入し、第3の加熱処理を行う。第3の加熱処理は、窒素、または乾燥空気雰囲気とし、温度は、400℃以上750℃以下とする。また、第3の加熱処理の加熱時間は1分以上24時間以下とする。第3の加熱処理によって第2の酸化物半導体膜は酸化物半導体層304aの結晶を核として結晶化し、酸化物半導体層304aと一体となった酸化物半導体層305aが形成される(図6(C)参照)。
【0208】
なお、酸化物半導体層304aと第2の酸化物半導体膜との界面を破線で示しているが、第3の加熱処理によってこれらは一体となり酸化物半導体層305aとなるため、その界面は判然としない。
【0209】
1回目及び2回目の加熱処理を750℃よりも高い温度で加熱処理を行うと、ガラス基板の収縮により酸化物半導体層にクラック(厚さ方向に伸びるクラック)が形成されやすい。従って、第1の酸化物半導体膜形成後の加熱処理、例えば1回目及び2回目の加熱処理の温度や、スパッタ成膜時の基板温度などを750℃以下、好ましくは450℃以下のプロセスとすることで、大面積のガラス基板上に信頼性の高いトランジスタを作製することができる。
【0210】
続いて基板100をアンロード室102に搬入し、アンロード室102から基板を装置外に搬出する。
【0211】
次いで、酸化物半導体層305aを加工して島状の酸化物半導体層305bを形成する。
【0212】
酸化物半導体層の加工は、所望の形状のマスクを酸化物半導体層上に形成した後、当該酸化物半導体層をエッチングすることによって行うことができる。上述のマスクは、フォトリソグラフィなどの方法を用いて形成することができる。または、インクジェット法などの方法を用いてマスクを形成しても良い。
【0213】
なお、酸化物半導体層のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。もちろん、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0214】
この時点の断面模式図を図6(D)に示す。
【0215】
次いで、酸化物半導体層305b上にソース電極層およびドレイン電極層(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成するための導電膜を形成し、当該導電膜を加工して、ソース電極層311aおよびドレイン電極層311bを形成する。
【0216】
ソース電極層311aおよびドレイン電極層311bに用いる導電膜は、スパッタリング法等により、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0217】
次いで、酸化物半導体層305b、ソース電極層311a、及びドレイン電極層311bを覆う酸化物絶縁層313a、保護絶縁層313bを形成する(図6(E)参照)。酸化物絶縁層313aは、酸化物絶縁材料を用い、成膜後に第3の加熱処理を行うことが好ましい。第3の加熱処理によって、酸化物絶縁層313aから酸化物半導体層305bへの酸素供給が行われる。第3の加熱処理の条件は、不活性雰囲気、酸素雰囲気、酸素と窒素の混合雰囲気下で、200℃以上400℃以下、好ましくは250℃以上320℃以下とする。また、第3の加熱処理の加熱時間は1分以上24時間以下とする。
【0218】
アルカリ金属の侵入防止のため、保護絶縁層313bとしてスパッタリング法で得られる窒化シリコン膜を形成する。LiやNaなどのアルカリ金属は、不純物であるため含有量を少なくすることが好ましく、酸化物半導体層中に2×1016cm−3以下、好ましくは、1×1015cm−3以下の濃度とする。なお、本実施の形態では酸化物絶縁層313a、及び保護絶縁層313bの2層構造とする例を示したが、単層構造としてもよい。
【0219】
以上の工程でボトムゲート型のトランジスタ300が形成される。
【0220】
図6(E)に示すボトムゲート型のトランジスタ300おいて、酸化物半導体層305bは、少なくとも一部が結晶化してC軸配向を有しており、高い信頼性を有するボトムゲート型のトランジスタ300が実現する。
【0221】
なお、本実施の形態では本発明の成膜装置を用いて作製した酸化物半導体層を、ボトムゲートのトランジスタに適用したが、トランジスタの形状はこれに限定されるものではなく、他の構成のボトムゲート構造や、トップゲート構造のトランジスタの酸化物半導体層にも適用できることは当業者であれば容易に想像ができる。
【0222】
このように本発明の成膜装置は、マザーガラスのような大型基板においても、不純物濃度が低減された一連の装置によって大気に触れることなく酸化物半導体層の形成工程を連続して行うことが出来る。また、当該成膜装置で作製された酸化物半導体層は、極めて不純物濃度の低減された半導体層であり、このような半導体層を適用したトランジスタは、安定した電気特性と高い信頼性を有する。
【0223】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0224】
(配向性を有する酸化物半導体膜について)
上記のように、本実施の形態で説明する成膜装置、及び成膜方法によれば、配向性を有する酸化物半導体膜を得ることが出来る。このような酸化物半導体膜を用いてトランジスタを作製することにより、信頼性の高いトランジスタとすることが出来る。結晶性酸化物半導体膜を有するトランジスタの信頼性が高い理由の一つを以下に説明する。
【0225】
結晶性酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体と比較して、金属と酸素の結合(−M−O−M−、Oは酸素原子、Mは金属原子)が秩序化している。すなわち、酸化物半導体がアモルファス構造の場合は、個々の金属原子によって配位数が異なることも有り得るが、結晶性酸化物半導体ではほぼ一定となる。そのことにより、微視的な酸素の欠損が減少し、後述するような「空間」における水素原子(水素イオンを含む)やアルカリ金属原子の脱着による電荷の移動や不安定性を減少させる効果がある。
【0226】
一方、アモルファス構造の場合は、個々の金属原子によって配位数が異なるため、金属原子や酸素原子の濃度が微視的に不均一となり、場所によっては原子の存在しない部分(「空間」)が存在することがある。そのような「空間」には、例えば、水素原子(水素イオンを含む)やアルカリ金属原子が捕獲され、場合によっては酸素と結合すると考えられる。また、そのような「空間」をつたって、それらの原子が移動することも起こりえる。
【0227】
このような原子の移動は酸化物半導体の特性の変動をもたらすこととなるので、これらの原子の存在は信頼性の面で大きな問題となる。特に、そのような原子の移動は高い電界や光エネルギーを印加することにより生ずるので、酸化物半導体をそのような条件で使用する場合には、特性が不安定となる。すなわち、アモルファス酸化物半導体の信頼性は結晶性酸化物半導体より劣ることとなる。
【0228】
以下に、実際に得られたトランジスタ(サンプル1、2)の異なる信頼性の結果を用いて説明する。
【0229】
信頼性を調べる検査方法として、光を照射しながらトランジスタのゲート電極とソース電極との間の電圧(Vg)を変化させたときの、トランジスタのドレイン電極とソース電極との間の電流(Id)を測定して得られるトランジスタのId−Vg曲線を測定する。なお、酸化物半導体膜を用いたトランジスタにおいて、光を照射しながら−BT試験を行う、即ちマイナスゲート・ストレスを印加するとトランジスタのしきい値が変化する劣化がある。この劣化を光負バイアス劣化とも呼ぶ。
【0230】
サンプル1、2について、光負バイアス劣化を図8に示す。
【0231】
図8において、サンプル2は、サンプル1よりもVthの変化量が小さい。
【0232】
次に、サンプル1のトランジスタ(L/W=3μm/50μm)に600秒間の光(波長400nm、照射強度3.5mW/cm)を照射した前後の光応答性を測定した結果を元に、光応答性のグラフ(光電流時間依存性グラフ)を作成した結果を図9(A)に示す。なお、ソースードレイン間電圧(Vd)は0.1Vである。
【0233】
また、サンプル2のトランジスタ(L/W=3μm/50μm)に600秒間の光(波長400nm、照射強度3.5mW/cm)を照射した前後の光応答性を測定した結果を元に、光応答性のグラフ(光電流時間依存性グラフ)を作成した結果を図9(B)に示す。
【0234】
また、サンプル2と作製条件が同じトランジスタのW幅を大きくした条件(L/W=30μm/10000μm)や、サンプル2と作製条件が同じトランジスタのW幅を大きくした条件でさらにVdを大きくした条件(Vd=15V)でも測定を行い、フィッティングを行って、それぞれの二種類の緩和時間(τとτ)を表1に示す。
【0235】
【表1】

【0236】
なお、二種類の緩和時間(τとτ)はトラップ密度に依存している値である。τとτを算出する方法を光応答欠陥評価法と呼ぶ。
【0237】
表1から、サンプル1に比べ、光負バイアス劣化が小さいサンプル2のいずれも光応答性が早いことがわかる。これらのことから、光負バイアス劣化が小さいほど光応答性も早いという関係を見いだすことができる。
【0238】
その理由の一つを説明する。もし深いドナー準位が存在し、ドナー準位に正孔がトラップされるならば、光負バイアス劣化においてはゲートに印加されたマイナスバイアスによって正孔が固定電荷となり、光応答においては電流値の緩和時間を大きくする可能性がある。結晶性酸化物半導体膜を用いたトランジスタで、光負バイアス劣化が小さく、光応答性も早いのは、上記の正孔をトラップするドナー準位の密度が小さくなっていることに起因していると予想される。図10に予想されるドナー準位の模式図を示す。
【0239】
また、ドナー準位の深さや密度の変化を調査する為、低温PLによって測定を行った。酸化物半導体膜の成膜時の基板温度が400℃における場合と酸化物半導体膜の、成膜時の基板温度が200℃の場合を図11に示す。
【0240】
図11によれば、酸化物半導体膜の成膜時の基板温度が400℃である場合では約1.8eV付近のピーク強度が基板温度200℃のそれと比較して大幅に減少している。この測定結果は、ドナー準位の深さは変わらず、密度が大幅に減少していることを示唆している。
【0241】
また、酸化物半導体膜の成膜時の基板温度の条件を変えて、それぞれ比較し、単膜での評価を行った。
【0242】
サンプルAは、石英基板(厚さ0.5mm)上に50nmの膜厚の酸化物半導体膜を成膜したものである。なお、酸化物半導体膜の成膜条件は、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、基板温度200℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、アルゴン(30sccm)及び酸素(15sccm)の混合雰囲気下である。
【0243】
ESR(電子スピン共鳴)を室温(300K)で測定し、マイクロ波(周波数9.5GHz)の吸収の起こる磁場の値(H)から式g=hν/βHを用いてg値というパラメータが得られる。なお、hはプランク定数であり、βはボーア磁子であり、どちらも定数である。
【0244】
サンプルAのg値を示すグラフを図12(A)に示す。
【0245】
また、サンプルAと同じ条件で成膜を行った後、窒素雰囲気下、450℃、1時間加熱を行い、サンプルBとする。サンプルBのg値を示すグラフを図12(B)に示す。
【0246】
また、サンプルAと同じ条件で成膜を行った後、窒素と酸素の混合雰囲気下、450℃、1時間加熱を行い、サンプルCとする。サンプルCのg値を示すグラフを図12(C)に示す。
【0247】
サンプルBのg値のグラフにおいて、g=1.93のシグナルが確認でき、スピン密度は1.8×1018[spins/cm]となっている。一方、サンプルCのESRの結果では、g=1.93のシグナルが確認できないことから、g=1.93のシグナルは、酸化物半導体膜中のメタルのダングリングボンドに起因する。
【0248】
また、サンプルD、E、F、Gは、石英基板(厚さ0.5mm)上に膜厚100nmの酸化物半導体膜を成膜したものである。なお、酸化物半導体膜の成膜条件は、酸化物半導体用ターゲット(In−Ga−Zn−O系酸化物半導体用ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比])を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、アルゴン(30sccm)及び酸素(15sccm)の混合雰囲気下である。また、サンプルD、E、F、Gは、それぞれ成膜時の基板温度が異なっており、サンプルDは室温、サンプルEは200℃、サンプルFは300℃、サンプルGは400℃である。
【0249】
サンプルD、E、F、Gのg値のグラフを並べて図13に示した。
【0250】
成膜時の基板温度が400℃であるサンプルGでは、g=1.93のシグナルが確認でき、スピン密度は1.3×1018[spins/cm]となっている。そのスピン密度は、サンプルBで得られたg=1.93のシグナルのスピン密度と同程度である。
【0251】
これらの結果から、成膜時の基板温度が高くなると結晶性の向上が原因と考えられるg値の異方性の増大が確認された。また、g=1.93シグナルの起因となるダングリングボンドは膜厚依存性を持ち、IGZOのバルクに存在することが示唆される。
【0252】
サンプルBのESR測定を行った図14では、磁場を基板表面に対して垂直に印加した場合と基板表面に対して平行に印加した場合でのg値の違い(異方性)も表す。
【0253】
また、サンプルGと同じ条件で成膜を行った後、窒素雰囲気下、450℃、1時間の加熱を行ったサンプルHのESR測定を行った図15では、磁場を基板表面に対して垂直に印加した場合と基板表面に対して平行に印加した場合でのg値の違い(異方性)も表す。
【0254】
図14と図15を比較した結果、基板温度200℃では異方性によるg値の変化Δgが0.001以下であったのに対し、基板温度400℃ではΔg〜0.003と大きくなることがわかる。一般に、結晶性が良い(軌道の向きがそろっている)ほど、異方性が大きくなるということが知られており、基板温度400℃の膜は基板温度200℃の膜に比べて、窒素雰囲気下、450℃、1時間の加熱で生じるメタルのダングリングボンドの向きがそろっている、すなわち結晶性が良いということが結論される。
【0255】
また、酸化物半導体膜の膜厚条件を変えてESR測定を行い、g=1.93シグナルの強度変化を図16及び図17に示す。図16及び図17の結果から、g=1.93シグナルの強度は酸化物半導体膜の膜厚が増えるに従って増加することが確認された。このことはg=1.93シグナルの起因となるダングリングボンドは石英基板と酸化物半導体膜の界面や酸化物半導体膜表面ではなくバルクに存在していることを示唆している。
【0256】
これらの結果から、メタルのダングリングボンドは異方性を持ち、その異方性は成膜温度が高いほうが、結晶性が良いため大きくなることがわかる。また、メタルのダングリングボンドは界面や表面ではなくバルクに存在するということがわかる。
【符号の説明】
【0257】
10 成膜装置
11 成膜装置
100 基板
101 ロード室
102 アンロード室
111 第1の成膜室
112 第2の成膜室
113 第3の成膜室
114 第4の成膜室
121 第1の加熱室
122 第2の加熱室
123 第3の加熱室
131 搬送室
133 ターンテーブル
141 基板支持部
143 移動手段
150 成膜室
151 ターゲット
153 防着板
155 基板加熱手段
157 圧力調整手段
159 ガス導入手段
161 ゲートバルブ
170 加熱室
171 ヒータ
173 保護板
201 酸化物絶縁層
203 酸化物膜
203a 酸化物半導体層
203b 酸化物絶縁層
204 酸化物半導体膜
204a 酸化物半導体層
205 酸化物半導体膜
205a 酸化物半導体層
211 酸化物絶縁層
213b 酸化物絶縁層
215a 酸化物半導体層
221 酸化物絶縁層
225a 酸化物半導体層
231 酸化物絶縁層
234 酸化物半導体層
300 トランジスタ
301 ゲート絶縁層
304a 酸化物半導体層
305a 酸化物半導体層
305b 酸化物半導体層
307 下地絶縁層
309 ゲート電極層
311a ソース電極層
311b ドレイン電極層
313a 酸化物絶縁層
313b 保護絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送機構と、
前記搬送機構が送る前記基板の進行方向に沿って、
酸化物よりなる第1の膜を成膜する第1の成膜室と、
第1の熱処理を行う第1の加熱室と、を有し、
前記基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持され、
大気に曝すことなく、前記基板に前記第1の膜を成膜した後に前記第1の熱処理を施す、成膜装置。
【請求項2】
前記第1の膜は、酸化物半導体からなる、請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
第1の成膜室で基板上に酸化物よりなる第1の膜を成膜し、
その後大気に曝すことなく第1の加熱室で第1の熱処理を行う工程を有し、
前記基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持された状態で処理される、成膜方法。
【請求項4】
前記第1の膜は、酸化物半導体からなる、請求項3に記載の成膜方法。
【請求項5】
基板の搬送機構と、
前記搬送機構が送る前記基板の進行方向に沿って、
絶縁膜からなる第1の膜を成膜する第1の成膜室と、
第1の熱処理を行う第1の加熱室と、
酸化物よりなる第2の膜を成膜する第2の成膜室と、
第2の熱処理を行う第2の加熱室と、を有し、
前記基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持され、
大気に曝すことなく、前記第1の膜の成膜後に第1の加熱処理した後、前記第2の膜の成膜後に第2の加熱処理を施す、連続成膜装置。
【請求項6】
基板の搬送機構と、
前記搬送機構が送る前記基板の進行方向に沿って、
少なくとも第1の金属元素と第2の金属元素を有する酸化物からなる第1の膜を成膜する第1の成膜室と、
第1の熱処理を行う第1の加熱室と、
酸化物よりなる第2の膜を成膜する第2の成膜室と、
第2の熱処理を行う第2の加熱室と、を有し、
前記基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持され、
大気に曝すことなく、前記第1の膜の成膜後に第1の加熱処理した後、前記第2の膜の第2の成膜後に加熱処理を施す、連続成膜装置。
【請求項7】
前記第2の膜は、酸化物半導体からなる、請求項5及び請求項6のいずれか一に記載の連続成膜装置。
【請求項8】
前記第1の金属元素は、亜鉛である、請求項6及び請求項7のいずれか一に記載の連続成膜装置。
【請求項9】
前記第2の金属元素は、ガリウムである、請求項6乃至請求項8のいずれか一に記載の連続成膜装置。
【請求項10】
第1の成膜室で基板上に絶縁膜よりなる第1の膜を成膜し、
第1の加熱室で第1の熱処理を行い、
第2の成膜室で酸化物よりなる第2の膜を成膜し、
第2の加熱室で第2の熱処理を行う工程、を有し、
前記基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持された状態で処理される、成膜方法。
【請求項11】
第1の成膜室で基板上に少なくとも第1の金属元素と第2の金属元素を有する酸化物よりなる第1の膜を成膜し、
第1の加熱室で第1の熱処理を行い、
第2の成膜室で酸化物よりなる第2の膜を成膜し、
第2の加熱室で第2の熱処理を行う工程、を有し、
前記基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上30°以内に収まるよう保持された状態で処理される、成膜方法。
【請求項12】
前記第2の膜は、酸化物半導体からなる、請求項10及び請求項11のいずれか一に記載の成膜方法。
【請求項13】
前記第1の金属元素は、亜鉛である、請求項11及び請求項12のいずれか一に記載の成膜方法。
【請求項14】
前記第2の金属元素は、ガリウムである、請求項11乃至請求項13のいずれか一に記載の成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−84861(P2012−84861A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196959(P2011−196959)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】