説明

自立III−N層の製造方法および自立III−N基板

【課題】実質的に非制御下の混入による不純物を実質的に含まず、好適な特性を備えるIII-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)の製造方法および自立III-N基板を提供する。
【解決手段】Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)7上に、分子線エピタキシ法により少なくとも1つの第一のIII-N層15を堆積させる工程を備える。厚い第二のIII-N層17は、ハイドライド気相成長により第一のIII-N層15上に堆積させる。このようにして製造された層15、17の冷却中、Li(Al, Ga)OX基板7は全てあるいは大部分がIII-N層15から脱落し、必要ならば、王水などのエッチング液により残留物7’を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立III-N(III族窒化物)層を製造するプロセスに関する。また本発明は、当該プロセスによって得られる自立III-N基板に関する。このような自立III-N層は、例えば素子(デバイス)製造用基板として、非常に好適である。III-Nという用語は、窒化物層を示しており、IIIは周期表第III族のうち、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも一元素を示している。従って、III-N化合物は、不純物は別として、ガリウムと窒素、アルミニウムと窒素、インジウムと窒素、ガリウムとアルミニウムと窒素、ガリウムとインジウムと窒素、アルミニウムとインジウムと窒素、またはガリウムとアルミニウムとインジウムと窒素を含んでいる。III-N化合物は、以下、必要に応じて(Ga,Al,In)Nと総称的に記載する。
【背景技術】
【0002】
(Ga,Al,In)N系の発光またはLASERダイオード用素子(デバイス)は、通常、Al2O3やSiCなどの異種基板上に成長させる。異種基板を使用することに起因する結晶品質、それに伴う素子寿命や素子効率に関する欠点は、(Ga,Al)N基板のようなIII-N基板上の成長によって軽減することができる。しかしながら、これまで、そのような基板は十分な量を得ることができず、それはそのような基板のバルク製造時に直面する深刻な問題によるところが大きかった。
【0003】
刊行物"Large Free-Standing GaN Substrates by Hydride Vapor Phase Epitaxy and LASER-Induced Liftoff", Michael Kelly et al. (Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 38, 1999, pp. L217-219) では、サファイア(AlO)基板上でのハイドライド気相成長法(HVPE法、場合によりハライド気相成長法とも称される)により、厚いGaN層を製造する方法が提案されている。この目的のため、当該文献には、GaNで覆われたサファイア基板をLASER照射することにより、GaN層がサファイア基板との界面で局所的に熱分解し、サファイア基板から剥離することが記載されている。
【0004】
刊行物"Comparison of HVPE GaN films and substrates grown on sapphire and on MOCVD GaN epi-layer", Kim et al., (Materials Letters 46, 2000, pp. 286-290) には、サファイア基板上に第一の薄いGaN層を有機金属気相成長法(MOCVD法)により形成し、続いて、第二の厚いGaN層を第一の層の上にHVPE法により成長させることが記載されている。Kim et al.には、サファイア基板を、機械的研磨によって除去し、自立GaN層を製造することも記載されている。
【0005】
GaN層の製造に使用する基板材料としてLiAlOを使用することが、多数の研究グループによって報告されている。Dikme et al.は、MOCVD法によりGaN層を堆積(成長)させる基板材料としてLiAlOを使用している("Growth studies of GaN and alloys on LiAlO2 by MOVPE", Dikme et al. Phys. Stat. Sol. (c)2, No. 7, pp. 2161-2165, 2005)。また"Impact of nucleation conditions on the structural and optical properties of M-plane GaN (1-100) grown on γ-LiAlO2" (Journal of Appl. Phys., Vol. 92, No. 10, pp. 5714-5719, 2002)において、Sun et al.は、プラズマ支援分子線エピタキシ法によって、γ-LiAlO2基板上に、GaN層を堆積させることを記載している。しかしながら、これらの方法はいずれも、自立(Al,Ga)N基板の製造に至るものではない。さらに、US6218280において、Kryliouk et al.は、酸化物基板上へIII-N層をMOVPE法により成長させた後、成長させたそのIII-N層(第一のIII-N層)上に第二のIII-N層をHVPE法により成長させることによる、III-N基板の製造方法を記載している。LiAlOは理論的に基板材料として挙げられている。また論文"Freestanding non-polar gallium nitride substrates" (OPTO ELECTRONICS REVIEW 11, No. 1, 7-17, 2003)において、Maruska et al.は、HVPE法によってγ-LiAlO2基板上にGaN層を堆積させることによる、自立GaN層の製造技術を記載している。層成長後、冷却中にγ-LiAlO2基板が殆ど脱落し、残った基板材料を塩酸により除去できることが記載されている。しかしながら、この方法では、この方法により製造された自立GaN層の欠陥密度が比較的高い(Maruska et al.、US6648966も参照)という欠点がある。
【0006】
高圧でのバルク材料の成長は、Porowskiによって報告されている(MRS internet J. Nitride Semicond. Res 4S1, 1999, G1.3)。この方法は、高品質GaNバルク材料を提供するものであるが、これまで最大でも面積100mmの小さなGaN基板しか製造できていないという欠点がある。さらに、この製造方法は、極度の高圧で成長させるため、他の方法に比べて長時間を要し、技術的にも複雑である。
【0007】
したがって、本発明の実施形態は、高品質な自立III-N層を迅速且つ確実に製造することができ、望ましくない不純物を本質的に含まず、さらには単純な方法で製造することができる方法を提供しようとするものであり、また相当する自立GaN基板を提供しようとするものである。
【0008】
【特許文献1】US 6218280
【特許文献2】US 6648966
【非特許文献1】Kelly et al., Japanese Journal of Applied Physics Vol. 38 (1999), L217-L219
【非特許文献2】Kim et al., Materials Letters 46 (2000), 286-290
【非特許文献3】Dikme et al., Phys. Stat. Sol. (c) 2, No. 7 (2005), pp. 2161-2165
【非特許文献4】Sun et al., Journal of Applied Physics Vol. 92 No. 10 (2002), 5714-5719
【非特許文献5】Maruska et al., Opto-Electronics Review 11(1) (2003), 7-17
【非特許文献6】Porowski, MRS Internet J. Nitride Semicond. Res 4S1 (1999) G1.3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、自立III-N層および自立III-N基板の製造方法を提供することにある。
【0010】
また本発明は、上記方法によって製造した自立III-N基板を提供することも目的とする。
【0011】
また本発明は、Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)上に、第一の温度で第一のIII-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)を堆積させ、第一のIII-N層上に、第二の温度で第二のIII-N層を堆積させるIII-N層製造方法であって、第一の温度が第二の温度より有意に低く、第一の温度が第二の温度より少なくとも200K低く、より特定的には第一の温度が第二の温度より少なくとも350K低いIII-N層製造方法を提供することも目的とする。
【0012】
また本発明は、Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)上に、第一の温度で第一のIII-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)を堆積させ、第一のIII-N層上に、第二の温度で第二のIII-N層を堆積させるIII-N層製造方法であって、第一の温度を第二の温度より有意に低くすることにより、第一の温度で堆積させる工程中、例えばLiやOなど、基板内の不純物を第一のIII-N層内に拡散させる度合を減少させるIII-N層製造方法を提供することも目的とする。
【0013】
また本発明は、Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)上に、イオンビーム源を備えた分子線エピタキシ法により第一の温度で第一のIII-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)を堆積させ、第一のIII-N層上に、第二の温度で第二のIII-N層を堆積させるIII-N層製造方法であって、第一の温度での堆積工程中、例えばLiやOなど、基板内の不純物を第一のIII-N層内に拡散させる度合を減少させ、第一の温度での表面移動度の低さが、イオンビーム源を使用することによって少なくとも部分的に補償されるIII-N層製造方法を提供することも目的とする。
【0014】
また本発明は、Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)上に、分子線エピタキシ(MBE)法により少なくとも1つの第一のIII-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)を堆積させ、少なくとも1つの第一のIII-N層上に、ハイドライド気相成長(HVPE)法により少なくとも1つの第二のIII-N層を堆積させるIII-N層製造方法を提供することも目的とする。
【0015】
また本発明は、本発明方法によって製造した改良されたIII-N基板を提供することも目的とする。
【0016】
また本発明は、厚さ2ミクロン未満のヘテロエピタキシャルIII-N層と、厚さ200ミクロン以上のホモエピタキシャルIII-N層とを有し、前記ホモエピタキシャルIII-N層が、場合により前記へテロエピタキシャルIII-N層と共に、異種基板由来の不純物またはエピタキシ工程における非制御下の混入による不純物を実質的に含まない改良されたIII-N基板を提供することも目的とする。
【0017】
また本発明は、直径が5cmを超える改良されたIII-N基板を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明は下記を備えることを特徴とする。
(1)III-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)の製造法であって、
a)Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)上に、第一の温度で第一のIII-N層を堆積させる工程と、
b)第一のIII-N層上に、第二の温度で第二のIII-N層を堆積させる工程とを備え、
前記工程において、前記第一の温度及び第二の温度は、前記第一の温度が前記第二の温度より有意に低くなるように設定されることを特徴とする方法。
【0019】
(2)請求項1に係る方法であって、前記第一の温度が前記第二の温度より少なくとも200K低いことを特徴とする方法。
【0020】
(3)自立III-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)の製造方法であって、
a)Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)上に、分子線エピタキシ(MBE)法により少なくとも1つの第一のIII-N層を堆積させる工程と、
b)前記少なくとも1つの第一のIII-N層上に、ハイドライド気相成長(HVPE)法により少なくとも1つの第二のIII-N層を堆積させる工程と、を備えることを特徴とする方法。
【0021】
(4)請求項1または請求項3に係る方法であって、少なくとも二つの第一のIII-N層を、少なくとも二つの異なる基板温度で堆積させる工程、および/または、少なくとも二つの異なる組成のIII-N層によって堆積させる工程を備えることを特徴とする方法。
【0022】
(5)請求項1または請求項3に係る方法であって、Li(Al, Ga)OX基板上に、前記少なくとも1つの第一のIII-N層を堆積させる工程において、イオンビーム支援分子線エピタキシ(IBA-MBE)を使用することを特徴とする方法。
【0023】
(6)請求項1または請求項3に係る方法であって、Li(Al, Ga)OX基板上に、前記少なくとも1つの第一のIII-N層を堆積させる工程において、プラズマ支援分子線エピタキシ(PAMBE)を使用することを特徴とする方法。
【0024】
(7)請求項1または請求項3に係る方法であって、前記第一のIII-N層の成長期間における基板温度は約800℃未満であることを特徴とする方法。
【0025】
(8)請求項1または請求項3に係る方法であって、さらに、前記Li(Al, Ga)OX基板を自発分離させる工程、および/または、前記b)の工程の後にLi(Al, Ga)OX残留物を除去して自立III-N基板を製造する工程を備えることを特徴とする方法。
【0026】
(9)請求項8に係る方法であって、さらに、前記第一のIII-N層を除去して前記第二のIII-N層により形成される自立III-N基盤を製造する工程を備えることを特徴とする方法。
【0027】
(10)請求項1または請求項3に係る方法であって、前記第一および/または第二のIII-N層がGaN層を備えることを特徴とする方法。
【0028】
(11)請求項1または請求項3に係る方法であって、さらに、前記第一のIII-N層を、少なくともアンモニアを含むガス雰囲気中で、湿式化学エッチング、乾式化学エッチング、機械的研磨および化学的機械的研磨(CMP)のいずれかより選択される一あるいは複数の方法によって平滑化する工程を備えることを特徴とする方法。
【0029】
(12)請求項1または請求項3に係る方法であって、前記Li(Al, Ga)OX基板はγ-LiAlOx基板を備えることを特徴とする方法。
【0030】
(13)請求項1または請求項3に係る方法であって、さらに、III-N層の上に中間層を更に設ける工程を備えることを特徴とする方法。
【0031】
(14)厚さ2ミクロン未満のヘテロエピタキシャルIII-N層と、少なくとも厚さ200ミクロンのホモエピタキシャルIII-N層とを有し、前記ホモエピタキシャルIII-N層が、場合により前記へテロエピタキシャルIII-N層と共に、異種基板由来の不純物またはエピタキシ工程における非制御下で混入する不純物を実質的に含まないことを特徴とする自立III-N基板。
【0032】
(15)請求項14に係る基板であって、前記ホモエピタキシャルIII-N層が、場合により前記へテロエピタキシャルIII-N層と共に、Li、O、HおよびCからなる群から選択されるいずれかの不純物を実質的に含まないことを特徴とする自立III-N基板。
【0033】
(16)請求項14に係る基板であって、前記ヘテロエピタキシャルIII-N層は、MBEヘテロエピタキシャル成長III層であり、ホモエピタキシャルIII-N層は、HVPEホモエピタキシャル成長III-N層であることを特徴とする基板。
【0034】
(17)請求項14に係る基板であって、請求項1または請求項3に係る方法により製造されることを特徴とする基板。
【0035】
(18)請求項14に係る基板であって、少なくとも5cmの直径を有することを特徴とする基板。
【0036】
(19)請求項14に係る基板であって、前記へテロエピタキシャルIII-N層が除去されていることを特徴とする基板。
【0037】
(20)請求項14に係る基板であって、前記ホモエピタキシャルIII-N層はGaN層を有することを特徴とする基板。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下に挙げる好適な実施形態の詳細な説明を、添付図面を参照しつつ読むことによって明らかになる。
【0039】
例えばMBE法などによって製造される自立層は、層成長中の比較的低い成長温度により、欠陥密度が小さく、結晶品質が高いという利点がある。MBE法によって、第一段階の成長工程中、III-N結晶内への基板不純物の拡散を抑えることができる。MBE成長工程における低い成長温度に起因する製造基板からIII-N層へのAlおよび/またはGa、LiおよびOの望ましくない拡散は、非常に少ないか全くない。したがって、製造時に使用するLi(Al,Ga)O2基板に起因するAlおよび/またはGa、LiおよびOを含む不純物、ならびにそれに伴う欠陥は、自立製品に殆どみられないか、あったとしても素子の欠陥や破損を殆ど生じないほど極微量である。
【0040】
低い第一の温度でヘテロエピタキシャルIII-N層を成長させることによる本発明に係る拡散制御効果は、上記Li(Al,Ga)OX基板以外の異種基板を使用した場合、例えばサファイアやシリコンカーバイド基板などを使用した場合でも、同様に実現可能である。したがって、他の異種基板から自立III-N基板を提供する場合でも、異種製造基板からIII-N層へのAlおよびO、またはSiおよびCの望ましくない拡散は非常に少ないか、全く生じない。このように、非制御下の不純物の存在を排除することができる一方で、好適な成長条件による制御下のドーピングも当然可能である。これについては後述する。
【0041】
本発明の好適な実施形態に係る製造方法において関連する利点をもったMBEとHVPEとを組み合わせて使用し、従来技術において自立III-N基板を提供する際に従来使用されてきたMOCVD法を使用しないことによって、本発明によって提供される自立III-N基板は、MOCVDに伴う非制御下の不純物、とりわけO、HおよびC不純物を実質的に排除できる。
【0042】
したがって本発明によれば、厚いホモエピタキシャルIII-N層(場合により薄いヘテロエピタキシャルIII-N層も)が、異種製造基板由来の不純物(例えば拡散による不純物)または非制御下のエピタキシ成長条件による不純物(MOCVD成長法において存在しがちなOおよびCおよびHなど)のいずれも実質的に含まない、とりわけ、Li、OおよびCからなる群から選択される不純物を含まない、好ましい自立III-N基板を提供することが可能である。LiAlOX基板上に成長させるGaN層の場合、LiGaOX基板上に成長させるAlN層の場合、またはLi(Al,Ga)OX基板上に成長させるInN層の場合、エピタキシ成長させたIII-N層は、AlやGaなどの、活性元素(active element)以外の異種基板不純物元素を本質的に排除することができる。さらに好適な実施形態において、本発明の自立III-N基板は、少なくとも厚いホモエピタキシャルIII-N層において、Li、OおよびCのいずれも本質的に含まず、場合により薄いヘテロエピタキシャルIII-N層においても含まない。
【0043】
本発明において、「不純物」とは、制御された量だけドープされる望ましい不純物とは異なり、工程条件に伴う(異種基板に由来するか、MOCVDのような、相対的に非制御下の不純物混入を伴う製造方法に由来する)望ましくない物質または元素を意味する。さらに本発明において、「本質的に含まない」とは、最大でも、本発明の自立基板上に組み込まれた素子(デバイス)が欠陥のない動作をするのに許容しうる見せかけの量を意味し、典型的には、望ましくない不純物夫々につき1019cm−3未満、好ましくは1018cm−3未満、より好ましくは1017cm−3未満、とりわけ1016cm−3未満の量である。上記不純物が検出限界以下であることが最も好ましい。
【0044】
他の不純物は、出発原料から生じる不可避的な量に抑えられる。これは、非常に高濃度の酸素(〜5×1019cm−3)およびリチウム(〜5×1018cm−3)がGaNに供給されるMOVPE成長(2005年Dikme et al.による上記参考文献を参照)によって得られるLiAlO上GaNとは異なる。
【0045】
本発明に係る自立基板は、このように、ユニークな組み合わせの特徴を提供するものであり、上記のような不純物の排除が、望ましくは2μm(ミクロン)未満の、薄いヘテロエピタキシャル層において可能になる。好ましくは、ヘテロエピタキシャルIII-N層は、1μm(ミクロン)以下の薄さ、さらに好ましくは0.2μm(ミクロン)未満の薄さである。
【0046】
本発明の自立基板の好適な一実施形態によれば、ヘテロエピタキシャルIII-N層は、MBEヘテロエピタキシャル成長III層であり、ホモエピタキシャルIII-N層は、HVPEホモエピタキシャル成長III-N層である。
【0047】
Li(Ga, Al)酸化物製造基板を使用すると共に、III-N結晶のためにMBE/HVPE成長法を組み合わせることにより、製造費が安価になるのみならず、欠陥密度、転位密度および不純物の組み合わせについて大きな利点が得られる。
【0048】
本発明の他の利点は、層成長後の冷却時に、基板からのIII-N層の除去が、完全に又は少なくともほぼ完全に行われることにより、複雑な再機械加工が不要になる点である。
【0049】
本発明の他の利点は、自立III-N層を基板として使用するのに必要な厚さの層を迅速に得ることができることにある。これはHVPEの高成長速度に拠っている。
【0050】
本発明によれば、自立III-N層のサイズは、Li(Al, Ga)O2基板のサイズによってのみ制限され、5cm以上の直径を実現できる。
【0051】
本発明は、結晶にも適用可能である。とりわけ単結晶III-N化合物に適用可能であり、ここでIIIは周期表第III族、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一の元素を示す。可能なIII-N化合物の例としては、(Ga, Al, In)Nのような四元化合物、(Ga, Al)N, (Ga, In)Nおよび(Al, In)Nのような三元化合物、またはGaNまたはAlNのような二元化合物を挙げることができる。例えば上記括弧内に示されたような、第III族から選択された元素間においては、あらゆる原子比率が考えられ、すなわち各元素について0乃至100原子%である(例えば(Ga, Al)N系においてはGayAl1-yN (0≦y≦1))。(Ga, Al)NおよびGaNが特に好ましい。以下の好適な実施形態の説明は、以下に挙げられているIII-N化合物のみならず、他のあらゆるIII-N化合物にも適用できる。
【0052】
製造基板の材料は、Li(Al, Ga)OX(但し1≦X≦3)が好ましく、1.5≦X≦2.5であることがより好ましい。添え字は、概ね2であることが好ましいが、正確に2.0であることがより好ましい。(Al, Ga)は、AlまたはGaが単独である場合も、0乃至100原子%の間の原子比率で所望に混合された場合も示している。好ましい製造基板は、LiAlOであり、特にガンマ(γ)・モディフィケーションしたものが好ましい。以下の好適な実施形態の説明は、以下に挙げられるLiAlO基板のみならず、他のLi(Al, Ga)OX基板にも適用できる。
【0053】
以下、図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる実施形態に限定されるものではない。
【0054】
第一の成長工程においては、10〜1000nmの範囲の好適な厚さ、例えば約100nmのIII-N層、より好ましくは(Ga, Al, In)N, (Ga, Al)N, (Ga, In)NまたはGaN層15が、イオンビーム支援分子線エピタキシ(IBA-MBE)などにより、図1aに示すγ-LiAlO基板7上に堆積する。基板の直径は例えば2インチ(約5cm)である。使用および入手可能な基板に応じて、3インチ(約7.6cm)または4インチ(約10cm)あるいはそれ以上大きな基板直径も可能である。
【0055】
分子線エピタキシ装置1(MBE装置)がこの目的に使用されるが、該装置はそれ自体公知であり、図2に模式的に示されている。MBE装置は、例えば、Riberによって製造された標準システムである。図2に示される態様例は、Ga噴散セル2および窒素源3を含んでおり、窒素源3は窒素中空アノードイオン源として設計されている。図2に示すように、MBE装置1は、(Ga, Al)N層を形成する場合、Al噴散セル4を備えていてもよい。GaN層の場合は、付加的なAl噴散セル4は省略することができる。(Ga, Al, In)Nまたは(Ga, In)Nの場合、例えばInなど、他の元素用の噴散源を設けることが可能であり、Al用噴散源の代わりにあるいはAl用噴散源に加えて使用することができる。
【0056】
MBE装置は成長室5を有しており、該成長室5は、二つの矢印PおよびP’で示されるポンプシステムを使用して、バックグラウンド圧力を、UHV領域にすることができる。ポンプシステムは、窒素を使用して冷却された冷却トラップ6により補助されている。成長室5内の圧力は、圧力測定装置Mで測定することができる。
【0057】
γ-LiAlO基板7は、移送機構8を使用してロック9を介して、成長室5内に導入され、基板ホルダ10によって成長室内に保持される。その後、成長室5は、約5×10−8Paの作動圧力にされ、基板ホルダ10に組み込まれた基板ヒータによって基板が好適な成長温度まで加熱される。成長温度は、好ましくは800℃未満、より好ましくは700℃未満、とりわけ600℃未満であり、例えば、約500〜800℃の範囲、好ましくは600〜700℃の範囲、とりわけ630〜650℃の範囲である。基板表面の温度は、成長室5の壁面のウィンドウ11を介して高温計12を使用して測定することができる。
【0058】
Ga噴散セル2、窒素セル3、およびAl噴散セル4(必要に応じて)によって放出される粒子ジェットは、シャッタ13、13’および13’’によって遮断されて、層成長が始まるまで基板7との接触が防止される。基板7の表面温度が所望の成長温度で所定時間安定した後、シャッタ13、13’および13’’(必要に応じて)を粒子ジェットの領域外へ移動させることにより、層成長が開始される。
【0059】
層成長の間、Ga粒子の流れは、例えば、約5×1013〜2×1014cm−2−1である。窒素源からの大部分のイオンのエネルギーは、25eV以下であることが好ましい。イオンエネルギーは、成長正面表面上での表面移動度を高く保つに十分なほど大きい一方で、結晶格子が損傷を受けない程度に小さいものである。好適な成長速度は、0.5〜2nm/minの範囲が好都合であり、例えば約1.25nm/minである。
【0060】
マニピュレータ14は、基板ホルダ10を基板7と共に、矢印Dで示されるよう、層成長時の基板表面に垂直な軸Nを中心に回転させるために使用される。基板7の回転は、成長条件の局所的差異を補正し、基板7の表面上の層成長を均一化するものである。
【0061】
III-N層、より好ましくは(Ga, Al, In)N, (Ga, Al)N, (Ga, In)NまたはGaN層を、例えば約10〜100nmの厚さに成長させた後、シャッタ13、13’および必要に応じて13’’を供給源2、3および必要に応じて4の正面の位置まで戻し、基板へ向かう粒子ジェットの流れを遮断し、層成長を停止させる。
【0062】
層成長が停止した直後、基板7の温度を室温近傍まで降下させ、III-N層15を表面に成長させたγ-LiAlO基板7を、移送機構8を使用してロック9を介して、成長室5から取り出す。
【0063】
例えばMBEにおいてN2イオン源などを使用することによって層形成温度が低下することにより、III-NとLiAlOの熱膨張係数の差によって冷却時に第一の層内に生じる圧縮応力を減少させることができる。その後の工程における初期加熱部分の間、熱的に誘発される圧縮応力がゼロになる点に第一の工程の温度が到達するまで、圧縮応力は次第に減少する。温度がこの点以上に増加すると、圧縮応力は引張応力になる。第一のIII-N層における補正された応力状態は、高温で形成された層と比較して、圧縮応力が全体的に小さくなる。
【0064】
続いて、図1cに係る工程に示すように、γ-LiAlO基板7とその上にMBE法によって堆積された第一のIII-N層15とからなるテンプレート16(図1b)上に、第二のIII-N層17が、HVPE法によって、堆積される。
【0065】
第二のIII-N層17の堆積は、それ自体公知のHVPE装置、例えばAixtron製の水平LP-VPE装置などを使用してなされる。一の可能な実施形態に係るHVPE装置20が、図3に断面図として模式的に示されているが、石英リアクタ21、それを取り囲むマルチゾーン・ファーネス22、矢印で示されるガス供給23、23’、ならびに矢印で示されるポンプおよび排気システム24を備えている。
【0066】
まず、基板ホルダ26上のテンプレート16が、搬入/搬出フランジ25を介して、リアクタ21内へ導入される。成長工程のため、ガス旋回装置(非図示)をテンプレート領域の基板ホルダ26に設けて、テンプレートを基板ホルダと接触しないように基板ホルダ上方に支持することもできる。その後、ポンプ/排気システム24を使用して、リアクタを所望の工程圧力、好ましくは1000mbar未満、例えば約950mbarにする。
【0067】
マルチゾーン・ファーネスは、基板表面における成長温度に設定された第一のゾーン22Aと、Gaウェル28領域内の温度に設定された第二のゾーン22Bを有している。キャリアガスであるH2またはN2は、ガス供給23、23’を介して、リアクタ内に導入される。塩化ガリウムをin situで製造するには、マルチゾーン・ファーネス22のゾーン22Bを好適な温度、例えば約850℃に設定することによって、Gaウェル内に存在するGaを蒸発させ、好適なガス混合比率および好適な流速でH2/N2キャリアガスを使用して、ガス供給23から流入させたHClと反応させる。In situで製造された塩化ガリウムは、流入管23の端部における開口部からリアクタ21内に流入し、リアクタ内でNH3と混合する。このNH3は、例えば約6〜7×10Paの、所望のNH3分圧となるよう好適なガス混合比率および好適な流速でH2/N2キャリアガスと共に流入管23’から流入されたものである。図3下部の温度プロファイルから明らかなように、好ましくは約950〜1100℃、例えば約1050℃の基板温度に設定するため、マルチゾーン・ファーネスのゾーン22Aの温度は、ゾーン22Bの温度よりも高くなっている。GaNは基板ホルダ上に堆積される。
【0068】
仮にGaN層の代わりに、例えば、(Ga, Al, In)N, (Ga, Al)Nまたは(Ga, In)N層17を堆積する場合、Alおよび/またはInウェルがHVPE装置20内に更に設けられる。相当する塩化アルミニウムおよび/または塩化インジウムのリアクタ内への流入は、図3におけるGa用流入管23で示したように、H2/N2などの好適なキャリアガスによってHClを流入させることにより行われる。
【0069】
HVPE法により堆積させる層の成長は、所望の層の厚さに達するまで続けられる。この方法により、例えば200μm以上、好ましくは300〜1000μmの厚さをもつ厚い層を効率的に得ることができる。
【0070】
第一の層15および第二の層17におけるIII-N化合物の組成は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、例えばそれぞれ、(Ga, Al, In)N, (Ga, Al)N, (Ga, In)NまたはGaNであってよい。またIII族源2、4等や23/28等の供給混合比を様々に設定することによって、同一層内の異なるIII族元素の比率を変化させることも可能である。この方法によって、例えば、層7と層15との間の界面および/または層15と層17との間の界面において、二つの界面の間で所望の傾斜プロファイルをもつような異なるIII-N組成にすることが可能になる。この傾斜プロファイルは、直線的に一様であってもよく、階段状に変化するものであってもよく、その他の曲線プロファイルであってもよい。
【0071】
リアクタ21内でIII-N層17をHVPE成長させた後、この方法で得られた製品を冷却する。冷却工程中、図1dおよび図1eに示すように、製造基板7は、MBE法によって製造した層15から自発的に脱落し、薄いMBE層15と厚いHVPE層17とからなる所望の自立III-N層18が得られる。
【0072】
冷却後、Li(Ga, Al)酸化物製造基板7の残留物7’が、MBE層15にまだ付着している場合がある(図1d’)。このような残留物7’は、所望の自立III-N基板18を得た後に(図1d’〜図1e)、好適な方法で取り除くことができるが、エッチング液を使用することが好ましく、とりわけ王水などのエッチング液を使用する湿式化学手段が最適である。あるいは、機械的研磨によって取り除くことができる。
【0073】
ここで説明した態様例は、改良可能であり、および/または、別の工程を追加してもよい。特に好ましい改良および/または追加の例を以下に挙げる。
【0074】
工程b)において、少なくとも二つのIII-N層を、異なる基板温度で堆積させるか、および/または、Ga/AlなどIII族元素の比率を変更して堆積させるか、および/または、第III族から第V族の元素の比率を変更して堆積させる。
【0075】
工程b)において、イオンビーム支援分子線エピタキシ(IBA-MBE)の代わりに、プラズマ支援分子線エピタキシ(PAMBE)を使用する。
【0076】
工程b)とc)との間で、MBE層の表面を、少なくともアンモニアを含むガス雰囲気中で、湿式化学エッチング、乾式化学エッチング、機械的研磨および化学的機械的研磨(CMP)のうち一つ以上の方法で、平滑化する。
【0077】
工程a)とb)および/または工程b)とc)との間で、III-N化合物または他の材料からなる中間層を更に設ける。通常は、塗布、堆積または成長によって設ける。このような中間層は、III-N化合物を含む多様な化合物で構成することができ、その下のIII-N層の一面の表面を全体的にまたは部分的に覆うものである。
【0078】
工程e)の後、有利な特性を持つ厚いIII-N層を提供するために、エッチング、グラインディング、CMPその他の研磨処理など好適な処理によって、薄いMBE層をさらに取り除く。
【0079】
本発明によって提供される自立III-N基板は、さらに加工することができる。特に、異種基板を、自発的におよび/または能動的な除去工程によって、エピタキシャルIII-N層から取り除いた後、必要があれば、厚さ2μm未満の薄いヘテロエピタキシャルIII-N層を、エッチング、グラインディング、CMPその他の研磨処理など適当な能動的除去工程によって更に取り除き、実質的に不純物を含まず、上記のような有利な特性を有する自立III-N基板として厚さが少なくとも200μmのホモエピタキシャルIII-N層を提供することも可能である。
【0080】
本発明による自立III-N基板は、所定の目的に応じて使用することができる。必要に応じて、更に加工することもできる。主な産業上の利用分野は、半導体産業であり、特にはオプトエレクトロニクスである。特に、本発明によって製造した自立III-N基板上に、エピタキシによって、(Al, In, Ga)N系の発光またはLASERダイオード用素子(デバイス)を製造することが可能である。当該基板は、高速、高温および高電圧用途においても有用である。オプトエレクトロニクスにおいては、シランを用いて製造されるSiドープ層のようなn型ドープ層を設けることが更に望ましい。またエレクトロニクス用途においては、例えばFeドーピングなどにより、半絶縁層を付加することが望ましい。III-N素子(デバイス)の製造は、これまで、比較的低品質かつウェハサイズであれば可能とされてきた。これは、ピーク電流密度や光学素子における明るさなどの性能パラメータと同様に、素子の平均寿命に密接な関係がある。
【0081】
本発明の好適な実施形態についての上記説明は、例示および説明のみを目的として記載されたものである。それらは網羅的なものではなく、また本発明を開示されたものと寸分たがわぬ形態に限定するものではない。改良および変更が可能であり、および/または、上記教示に照らして明らかである。あるいは改良および変更は本発明の実施から得られる。上記実施形態は、当業者が本発明を個別具体的用途に応じて適宜改良を施して各種態様で利用できるよう、本発明の原理および本発明の実用的用途を説明するために選ばれ記載されている。本発明の範囲は、添付のクレームによって画定され、当該クレームは本発明のあらゆる実施形態を含むものであり、その中には、ここに開示された実施形態およびそれらの均等物が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る自立III-N層の製造方法における各工程を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る方法で使用することができるMBE装置を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る方法で使用することができるHVPE装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0083】
7 γ-LiAlOx基板
7’ 残留物
15 III-N層
16 テンプレート
17 第二のIII-N層
18 自立III-N層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)の製造法であって、
a)Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)上に、第一の温度で第一のIII-N層を堆積させる工程と、
b)第一のIII-N層上に、第二の温度で第二のIII-N層を堆積させる工程とを備え、
前記工程において、前記第一の温度及び第二の温度は、前記第一の温度が前記第二の温度より有意に低くなるように設定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に係る方法であって、前記第一の温度が前記第二の温度より少なくとも200K低いことを特徴とする方法。
【請求項3】
自立III-N層(IIIが周期表第III族の、Al、GaおよびInから選択される少なくとも一元素を示す)の製造方法であって、
a)Li(Al, Ga)OX基板(1≦x≦3)上に、分子線エピタキシ(MBE)法により少なくとも1つの第一のIII-N層を堆積させる工程と、
b)前記少なくとも1つの第一のIII-N層上に、ハイドライド気相成長(HVPE)法により少なくとも1つの第二のIII-N層を堆積させる工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
少なくとも二つの第一のIII-N層を、少なくとも二つの異なる基板温度で堆積させる工程、および/または、少なくとも二つの異なる組成のIII-N層によって堆積させる工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
Li(Al, Ga)OX基板上に、前記少なくとも1つの第一のIII-N層を堆積させる工程において、イオンビーム支援分子線エピタキシ(IBA-MBE)を使用することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
Li(Al, Ga)OX基板上に、前記少なくとも1つの第一のIII-N層を堆積させる工程において、プラズマ支援分子線エピタキシ(PAMBE)を使用することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
前記第一のIII-N層の成長期間における基板温度は約800℃未満であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
さらに、前記Li(Al, Ga)OX基板を自発分離させる工程、および/または、前記b)の工程の後にLi(Al, Ga)OX残留物を除去して自立III-N基板を製造する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に係る方法であって、
さらに、前記第一のIII-N層を除去して前記第二のIII-N層により形成される自立III-N基盤を製造する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
前記第一および/または第二のIII-N層がGaN層を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
さらに、前記第一のIII-N層を、少なくともアンモニアを含むガス雰囲気中で、湿式化学エッチング、乾式化学エッチング、機械的研磨および化学的機械的研磨(CMP)のいずれかより選択される一あるいは複数の方法によって平滑化する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
前記Li(Al, Ga)OX基板はγ-LiAlOx基板を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1または請求項3に係る方法であって、
さらに、III-N層の上に中間層を更に設ける工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
厚さ2ミクロン未満のヘテロエピタキシャルIII-N層と、
少なくとも厚さ200ミクロンのホモエピタキシャルIII-N層とを有し、
前記ホモエピタキシャルIII-N層が、場合により前記へテロエピタキシャルIII-N層と共に、異種基板由来の不純物またはエピタキシ工程における非制御下で混入する不純物を実質的に含まないことを特徴とする自立III-N基板。
【請求項15】
請求項14に係る基板であって、
前記ホモエピタキシャルIII-N層が、場合により前記へテロエピタキシャルIII-N層と共に、Li、O、HおよびCからなる群から選択されるいずれかの不純物を実質的に含まないことを特徴とする自立III-N基板。
【請求項16】
請求項14に係る基板であって、
前記ヘテロエピタキシャルIII-N層は、MBEヘテロエピタキシャル成長III層であり、
ホモエピタキシャルIII-N層は、HVPEホモエピタキシャル成長III-N層であることを特徴とする基板。
【請求項17】
請求項14に係る基板であって、
請求項1または請求項3に係る方法により製造されることを特徴とする基板。
【請求項18】
請求項14に係る基板であって、
少なくとも5cmの直径を有することを特徴とする基板。
【請求項19】
請求項14に係る基板であって、
前記へテロエピタキシャルIII-N層が除去されていることを特徴とする基板。
【請求項20】
請求項14に係る基板であって、
前記ホモエピタキシャルIII-N層はGaN層を有することを特徴とする基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−204359(P2007−204359A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−344892(P2006−344892)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(500562905)フライベルガー・コンパウンド・マテリアルズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (23)
【氏名又は名称原語表記】FREIBERGER COMPOUND MATERIALS GMBH
【Fターム(参考)】