説明

非対称性誘電領域を備える半導体装置の形成方法及びその半導体装置の構造

半導体基板(12)を形成するステップ、半導体基板の上方に第一側面及び第二側面を備えるゲート電極(16)を形成するステップ、及びゲート電極の下方にゲート誘電体を形成するステップを含む半導体装置(10)の形成方法。ゲート誘電体は、ゲート電極の下方でゲート電極の第一側面に隣接した第一領域(42)と、ゲート電極の下方でゲート電極の第二側面に隣接した第二領域(44)と、ゲート電極の下方で第一領域及び第二領域間にある第三領域(14)とを備えている。第一領域は、第二領域よりも薄く、第三領域は、第一領域よりも薄く、更に第二領域よりも薄い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に係り、詳しくは、非対称性誘電領域を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(金属酸化膜半導体電解効果トランジスタ)などの半導体装置は、非対称性ドープソース・ドレイン領域を備えることによって、駆動電流を増大させると共にパリティを減少させている。先行技術において、非対称性ソース・ドレインドープ領域は、種々のドーパント又は様々な数の注入領域を備えている。更に、種々のドーパント領域を形成するため、ゲート電極の両側のスペーサは、異なる形状又は寸法を有している。これら先行技術は、駆動電流の増大を可能にするものの、これら非対称性ドープ半導体装置を形成するのに、サイクル時間を増加させてしまう更に別の工程段階が使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、サイクル時間を大幅に増加させることなく、非対称性ドープソース・ドレイン領域の利点を得ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、半導体装置を形成する方法は、半導体基板を形成するステップと、半導体基板の上方に第一側面及び第二側面を備えたゲート電極を形成するステップと、ゲート電極の下方にゲート誘電体を形成するステップを含む。ゲート誘電体は、ゲート電極の下方でゲート電極の第一側面に隣接した第一領域と、ゲート電極の下方でゲート電極の第二側面に隣接した第二領域と、ゲート電極の下方で第一領域及び第二領域の間にある第三領域とを備える。第一領域は、第二領域よりも薄く、第三領域は、第一領域よりも薄く、更に第二領域よりも薄い。一実施形態において、ゲート電極の下方にゲート誘電体を形成するステップは、更に、第一誘電体層を形成するステップと、半導体基板内に酸化促進種を注入して酸化促進領域を形成するステップと、酸化促進領域を酸化するステップとを含む。一実施形態において、酸化促進種を注入するステップは、更に、ゲート電極内に酸化促進種を注入して酸化促進領域を形成するステップを含み、更に一実施形態において、注入は斜めに行われる。一実施形態において、ゲート電極の下方にゲート誘電体を形成するステップは、更に、第一誘電体層を形成するステップと、半導体基板内に酸化低減種を注入して酸化低減領域を形成するステップと、半導体基板を酸化するステップとを含む。一実施形態において、酸化促進種を注入するステップは更に、ゲート電極内に酸化低減種を注入して酸化低減領域を形成するステップを含み、更に一実施形態において、注入は斜めに行われる。一実施形態において、ゲート電極の下方にゲート誘電体を形成するステップは、更に、第一誘電体層を形成するステップと、半導体基板内に酸化促進種を注入して酸化促進領域を形成するステップと、半導体基板内に酸化低減種を注入して酸化低減領域を形成するステップと、半導体基板を酸化するステップとを含む。酸化は、酸化促進領域に誘電体を形成するステップを含む。一実施形態において、方法はまた、ゲート誘電体の形成後、ソース・エクステンション領域とドレイン・エクステンション領域を形成するステップを含む。ソース・エクステンション領域は、ドレイン・エクステンション領域よりも深い。一実施形態において、方法はまた、ゲート誘電体の形成後、ゲート電極の第一側面に隣接した第一スペーサと、ゲート電極の第二側面に隣接した第二スペーサとを形成するステップを含む。
【0005】
一実施形態において、半導体装置を形成する方法は、半導体基板を提供するステップと、半導体基板の上方に誘電体層を形成するステップと、誘電体層の上方に第一側面と、第一側面に対向する第二側面とを備えるゲート電極を形成するステップと、ゲート電極の第一側面と半導体基板の第一領域内に酸化促進種を注入するステップであって、第一領域はゲート電極の下方でゲート電極の第一側面に隣接するステップ、第一領域を第一誘電体に変換し、かつ半導体基板の第二領域を第二誘電体に変換するステップであって、第二領域はゲート電極の下方でゲート電極の第二側面に隣接し、第一誘電体の厚さは第二誘電体の厚さよりも大きいステップを含む。一実施形態において、変換は、半導体基板のアニーリングを含む。一実施形態において、注入するステップは、ゲルマニウム、酸素、フッ素と塩素からなる群より選択された少なくとも一つの種を注入するステップからなる。一実施形態において、方法はまた、第二領域に酸化低減種を注入するステップ含む。一実施形態において、酸化低減種を注入するステップは、窒素を注入するステップを含む。一実施形態において、方法はまた、第一領域及び第二領域の変換後にソース・エクステンション領域とドレイン・エクステンション領域とを形成するステップを含み、ソース・エクステンション領域は、ドレイン・エクステンション領域よりも深い。一実施形態において、方法はまた、変換後にゲート電極の第一側面に隣接した第一スペーサと、ゲート電極の第二側面に隣接した第二スペーサとを形成するステップを含む。一実施形態において、注入は、斜めに行われる。
【0006】
一実施形態において、半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の上方に第一側面と第二側面を備えるゲート電極と、ゲート電極の下方のゲート誘電体とを備える。ゲート誘電体は、ゲート電極の下方でゲート電極の第一側面に隣接した第一領域と、ゲート電極の下方でゲート電極の第二側面に隣接した第二領域と、ゲート電極の下方で第一領域及び第二領域間にある第三領域とを備え、第一領域は第二領域よりも薄く、第三領域は第一領域よりも薄く、更に第二領域よりも薄い。一実施形態において、ゲート電極の第一側面は、第一誘電体を含み、第二側面は、第二誘電体を含む。第二誘電体は、第一誘電体よりも厚い。一実施形態において、第一領域は、第二領域の厚さの少なくとも約2倍である。一実施形態において、半導体装置はまた、エクステンション領域を含み、第一領域の下方の領域は、第二領域の下方の領域よりも深い。一実施形態において、第一領域はソース領域であり、第二領域はドレイン領域である。一実施形態において、第一領域はドレイン領域であり、第二領域はソース領域である。
【0007】
例えば半導体装置のドレイン側といったゲート電極の片側にバーズビーク誘電体がより厚く形成される構造が提供されたことは明らかである。また、より厚い誘電体は、ソース側でも可能である。更に、そのような構造を製造する方法は、酸化促進注入、酸化低減注入又は両方を行うことで示唆される。一実施形態において、片側に陰影、他方に酸化促進か低減種を可能にする傾斜注入が用いられる。この方法は、無マスク注入操作又は付加マスクを一つだけ用いる工程が使用されるので、注入の費用効率は高い。得られる構造は、電流を低下させないで、遅延低下と静電容量の減少(Cgdとミラ静電容量)などの高い性能を提供する。更に、最高磁場点(例えば、ゲート電極に隣接したドレイン領域)に厚い酸化物を備えることは、漏洩を減少させ、また信頼性が向上する。
【0008】
本発明は、一例として例示され、添付図面に制限されない。図中、同じ部材番号は、類似の要素を示す。
図中の要素は、簡単さ、明確さのために例示されており、必ずしも実寸に従い図示されていないことは、当業者にとって明白である。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、他の要素と比べて誇張されており、それにより、本発明の実施形態の理解を容易にしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、注入が行われているときの半導体基板12、第一誘電体層14、ゲート電極16、ソース領域18、及びドレイン領域20を備えるワークピース10の一部を示す断面図である。ワークピース10は、半導体ウエハの一部であり、種々の処理を受けて、半導体装置に形成される。半導体基板12は、ガリウムヒ素、シリコンゲルマニウム、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)(例えば、完全に空乏化したSOI(FDSOI))、シリコン、単結晶シリコン等の任意の半導体材料又は材料の組み合わせ、及びそれらの組み合わせからなる。第一誘電体層14は、二酸化ケイ素、高誘電率(hi−k)誘電体(酸化ハフニウム又は酸化ジルコニウム)等、又はそれらの組み合わせからなる。一実施形態において、第一誘電体層14は、例えば天然二酸化ケイ素などの二酸化ケイ素を下層に備えた酸化ハフニウムからなる。図1に示すように、第一誘電体層14は、パターニングされていないが、パターニングしてもよい。例えば、ゲート電極16の下にはない第一誘電体層14の部分は、ゲート電極層をパターニングしてゲート電極16を形成する際に除去される。ゲート電極16は、ポリシリコン(次にドープされる)、金属ゲート等の任意の適切な材料、又はそれらの組み合わせからなる。第一誘電体層14及びゲート電極16は、熱酸化、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)等の任意の適切な工程、及びそれらの組み合わせによって形成される。ソース領域18とドレイン領域20とを入れ替えて、ソース領域18をゲート電極16の右側にし、ドレイン領域20をゲート電極16の左側にしてもよいことは、当業者にとって明白である。一実施形態において、処理におけるこの時点で、ソース領域18又はドレイン領域20にソース・ドレイン領域を形成するためのドーピングがなされていない。即ち、エクステンションもハロ注入も生じていない。
【0010】
図1に示すワークピース10には、酸化促進種22が注入されている。以降の説明により理解が深められるように、酸化促進種22は、これらの領域内で酸化成長が増大するように、半導体基板12及びゲート電極16の部分内に注入されている。図示しないが、フォトレジストなどのマスクをワークピース10上(及び半導体基板12上)に形成し、ワークピース10内に酸化促進種22が存在すべき領域を露出させるようにパターニングしてもよい。マスクを使用する場合、注入は、ワークピース10に対し垂直に行われるか、又は半導体基板12と注入との間の角度が90°未満になるよう斜めに行われる。マスクを使用しない場合か、又はソース領域18及びドレイン領域20を露出するようにマスクがパターニングされる場合、一つの領域、すなわち、好適な実施形態ではソース領域18に陰影領域24を形成するのに斜めの方が好まれる。陰影領域24は、酸化促進種22が移動できない領域であるため、陰影領域24の周りの領域に酸化促進種22が注入されることはない。図1に示す実施形態において、陰影領域24は、図2の討議後により理解が深められるように、酸化促進種22が第一誘電体層14、ゲート電極16及び半導体基板12の部分内に注入されないようにしている。一実施形態において、傾斜は約5〜30°である。しかし、最も望ましい傾斜は、ゲート電極16の高さ及び密度に依存している。ゲート電極16がより高く、より高密度になるほど、より低い傾斜角を用いることが望まれる。
【0011】
酸化促進種22は、酸素、ゲルマニウム、フッ素、塩素等、又はそれらの組み合わせからなる。使用されるエネルギは、酸化促進種22が半導体基板12及びゲート電極16にて所望の深度にまで到達するのに十分に低いことが望ましい。一実施形態において、所望の深度は、約5〜10nmである。一実施形態において、エネルギは、約2〜8keVである。選択される実際のエネルギは、所望の深度に依存しており、それは、形状の寸法、行われる他の処理、及び使用される種に基づいて変更される。しかも、任意の用量を使用できる。一実施形態において、1E15/cmの用量が使用される。好適な実施形態において、酸化促進種22としてゲルマニウムが5keV及び1E15/cmの用量で用いられる。一実施形態において、N型半導体装置にはフッ素を用い、P型半導体装置にはゲルマニウムを用いることが望ましい。
【0012】
図2は、図1に示す実施形態により酸化促進種22を斜めに注入した後に得られる注入酸化促進領域26を示す。酸化促進領域26は、ドレイン領域20、ゲート電極16の上面及びゲート電極16の第一側面に存在している。また、酸化促進領域26は、ソース領域18の第一部分とゲート電極16の第二側面の第一部分とに存在している。ソース領域18の第二部分とゲート電極16の第二側面の第二部分とに酸化促進領域26が存在しないのは、陰影領域のためである。従って、ゲート電極の第二側面の下方で隣接する領域、及びゲート電極の第二側面に隣接するゲート電極の領域は、酸化促進領域26を含まない。一方で、ゲート電極の第一側面の下方で隣接する領域の部分及びゲート電極の第一側面に隣接するゲート電極の領域の一部は、酸化促進領域26を含む。
【0013】
図3に示すように、酸化促進領域26の形成後、半導体基板12の部分と、ゲート電極16の任意の部分とが、第二誘電体層40に変換される。半導体基板12の部分を酸化するのに用いられる環境に晒される場合、ゲート電極16に選択された材料が酸化しないのであれば、ゲート電極16の部分が変換されることはない。つまり、結果として得られる誘電体材料は、ゲート電極16と半導体基板12とに用いられる材料に依存する。ゲート電極16と半導体基板12とがシリコンを含有する実施形態において、第二誘電体層40は二酸化ケイ素からなる。第二誘電体層40には、第一誘電体層14と同じ材料を用いても、用いなくてもよい。
【0014】
一実施形態において、変換は、ワークピース10のアニーリングにより生じる。例えば、変換は、約700〜1000℃の温度で、乾燥酸素の環境の下で熱酸化により生じる。窒素、できれば、酸素の環境を使用することができる。熱酸化の時間は、使用する温度に基づいて変更される。例えば、熱酸化の時間は、10分〜2時間である。しかし、熱酸化の温度が約1,000℃の場合、熱酸化の期間は、例えば10分間といった短時間にすることができる。温度の低下に伴い、時間は増加する。しかし、第二誘電体層40は、熱酸化に加えて他の酸化工程などの任意の適切な方法により形成することができる。
【0015】
図3に示すように、ゲート電極16及び半導体基板12の酸化促進領域26に形成された第二誘電体層40の部分は、残りの第二誘電体層40よりも大きい厚さを有している。ゲート電極16の部分が第二誘電体層40に変換される場合、ゲート電極16の第二側面上の第二誘電体層40の厚さは、ゲート電極16の第一側面上に酸化促進領域26が存在すること、並びにゲート電極16の第二側面に隣接する領域に酸化促進領域26が存在しないことによって、ゲート電極16の第一側面上の第二誘電体層40の厚さよりも薄くなっている。
【0016】
酸化促進領域26によって、ソース領域18における領域46は、ドレイン領域20の領域48よりも厚くなっている。ゲート電極16と、第一誘電体層14と、ゲート電極16の第一側面に隣接する半導体基板12との交差部分は第一誘電領域44となっている。ゲート電極16と、第一誘電体層14と、ゲート電極16の第二側面に隣接する半導体基板12との交差部分は第二誘電領域42となっている。第一誘電領域44及び第二誘電領域42はいずれも、バーズビーク(鳥のくちばし)を形成する。バーズビークは、隔離領域を形成するためLOCOS(局所酸化)処理中に生成される鳥のくちばし状の誘電領域に与えられた名称である。第二誘電領域42及びその付近に酸化促進領域26が存在しないため、第二誘電領域42は第一誘電領域44よりも小さい。一実施形態において、第二誘電領域42の厚さは、第一誘電領域44の厚さの約1/2である。一実施形態において、第二誘電領域42の厚さは、約2nmであり、第一誘電領域44の厚さは、約4nmである。図3に示すように、第三誘電領域は、第一誘電領域44と第二誘電領域42の間に設けられている。第三誘電領域は、変換処理中に実質的に酸化されなかったため、第一誘電領域44及び第二誘電領域42よりも薄くなっている。第三誘電領域は、第一誘電体層14の一部をなす。従って、ゲート電極16の下方の誘電体であるゲート誘電体は、第一誘電領域44、第二誘電領域42、及び第一誘電体層14の一部を含む。つまり、ゲート誘電体は、非対称性のバーズビーク又は誘電領域を備えた誘電体である。誘電領域の一端は、他端の誘電領域よりも厚くなっている。第一誘電体層14は、第二誘電体層40と同じ材料からなる。また、異なる材料を使用してもよい。一実施形態において、ゲート誘電体は、末端が同じ材料からなり、両末端間の領域が異なる材料からなる二つの誘電体により形成されている。更に、末端は、非対称性誘電領域であり、誘電領域の一端は、他端の誘電領域よりも厚くなっている。
【0017】
ゲート誘電体の一部として第一誘電領域44及び第二誘電領域42が存在することによって、電流を低下させることなく、半導体装置における遅延と静電容量の低下とを減らしている。第一誘電領域44及び第二誘電領域42の幅が増加すると、駆動電流が低下する。第一誘電領域44の厚さはゲート誘電体を形成する第一誘電体層14よりも大きいため、半導体装置の機能中に形成される反転層は、飽和ドレイン電流をゲート・ドレイン・オーバーラップに対し反応しにくくするドレイン飽和領域の付近でピンチオフされている。第一誘電領域44の厚さが増加すると、ゲート・ドレイン・オーバーラップ静電容量が向上する。得られる大幅な最大改善は、約3.4%である。
【0018】
第一誘電領域44と第二誘電領域42は、その全体がゲート電極の下方又はゲート電極16及びゲート電極16を取り囲む第二誘電体層40の下方に存在しているが、これらの領域の一部は、ゲート電極16及び第二誘電体層40により覆われる領域の外側へと延びてもよい。いずれにせよ、第一誘電領域44及び第二誘電領域42のうちの少なくとも一部は、ゲート電極16の下方にある。
【0019】
第二誘電体層40の形成後、従来の処理を続けることによって、図4に示す半導体装置が形成される。まず、ソース・エクステンション50及びドレイン・エクステンション52がソース領域18及びドレイン領域20にそれぞれ形成される。ソース・エクステンション50及びドレイン・エクステンション52の形成後、窒化ケイ素等の第三誘電体層が、例えばCVDによって形成され、パターニングされてスペーサ54が形成される。次に、深部ソース領域56は、ソース領域18に形成され、深部ドレイン領域58は、ドレイン領域20に形成される。第二誘電体層40の部分は、スペーサ54が形成される場合か、或いは深部ソース領域56及び深部ドレイン領域58の形成後の何れかにおいて、第四誘電体49と第五誘電体43とを形成するように除去される。第四誘電体49に変換された領域よりも、第五誘電体43に変換された領域の方により多くの酸化促進種が存在していたため、第四誘電体49は第五誘電体43よりも薄くなっている。
【0020】
次に、ケイ化物60が、深部ソース領域56及び深部ドレイン領域58の上方に形成される。更に、ゲート電極16がケイ素を含有する場合、ケイ化物は、ゲート電極16上に形成される。次に、中間誘電体層64がワークピース10上に形成され、パターニングされることによって、開口が形成され、その開口が後に導体材料により充填されることによって、接触部62が形成される。図4に示す断面において、接触部62は、ソース領域18及びドレイン領域20に形成される。更に、接触部(図示せず)が形成され、ゲート電極16に接続される。
【0021】
図1〜図4に示す実施形態において酸化促進種が注入された。それに代えて、酸化低減種が注入される。別の実施形態において、図5及び図6に示すように酸化促進種に加えて、酸化低減種を注入してもよい。すなわち、酸化促進種及び酸化低減種の同時注入が一実施形態において実行される。
【0022】
図5に示すように、窒素などの酸化低減種28は、酸化促進領域26を形成した後、ワークピース10内に注入される。酸化低減種28は、半導体基板12及びゲート電極16の部分内に注入され、その結果、これらの領域において酸化の成長が抑止される。図示しないが、フォトレジストなどのマスクをワークピース10上(及び半導体基板12上に)形成し、パターニングすることによって、酸化低減種28が注入される領域を露出する。マスクが使用される場合、注入は、ワークピース10に垂直か、或いは半導体基板12及び注入間の角度を90℃未満にするよう斜めに行われる。マスクを使用しないか、或いはマスクをパターニングすることによって、ソース領域18及びドレイン領域20の両方を露出する場合、陰影領域30を一つの領域に、好適な実施形態ではドレイン領域20に形成するのに斜めの方が好まれる。陰影領域30の周囲に酸化低減種28が注入されないように酸化低減種28の何れもが移動しないとの理由から、陰影領域30は、図1に示す陰影領域24と類似している。図5に示す実施形態において、陰影領域30は、図6の討議後により良く理解できるように、酸化低減種28を第一誘電体層14、ゲート電極16及び半導体基板12の部分内に注入させないようにしている。一実施形態において、傾斜は約5〜30°である。しかし、最も望ましい傾斜は、ゲート電極16の高さと密度とに依存する。ゲート電極16がより高く、より高密度であるほど、より低い傾斜角の使用が望まれる。
【0023】
一実施形態において、酸化低減種28は窒素である。使用されるエネルギは、酸化低減種28が半導体基板12とゲート電極16とに所望深度にまで到達できるよう十分に低いことが望ましい。一実施形態において、所望の深度は、約5〜10nmである。一実施形態において、エネルギは、約1〜3keVである。選択されるエネルギは、所望の厚さに依存し、形状構成の寸法、生じ得る他の処理及び使用される種に基づいて変更してもよく、任意の用量を使用することができる。一実施形態において、1E15/cmの用量が用いられる。
【0024】
図6は、酸化低減種28及び酸化促進種22の斜め注入が行われた後に得られる注入酸化促進領域26と、酸化低減領域32と、酸化低減種及び酸化促進種の両方を含有する結合領域34とを示す。酸化促進領域26は、酸化促進種に露出されており、更に陰影領域30の付近であった領域に存在する。酸化促進領域26は、ゲート電極16の第一側面付近にある。酸化低減領域32は、酸化低減種に露出されており、更に陰影領域24の付近であった領域にある。酸化低減領域は、ゲート電極16の第一側面付近にある。結合領域34は、ゲート電極16の下層からある距離だけ離間したドレイン領域20と、ゲート電極16の下層からある距離だけ離間したソース領域18と、ゲート電極16の最上部領域とに設けられている。
【0025】
酸化低減領域32の形成後、半導体基板12の部分とゲート電極16の任意の部分は、図3について討議された何れかの工程を用いて、誘電体層に変換される。酸化低減領域32は、誘電体の成長を阻止し、酸化促進領域26は、誘電体の成長を増加させる。酸化物の成長に及ぼす結合領域34の作用は、酸化低減種及び酸化促進種の相対量に依存する。結合領域34は、誘電体の成長を阻害又は増大させる。それどころか、酸化低減種及び酸化促進種の作用は互いに打ち消し合い、それゆえに、結合領域34は、酸化低減種も酸化促進種もない材料と同じ挙動をする。従って、結合領域34の存在が誘電体の成長に影響を及ぼすことはない。誘電体層の形成後、図4について討議された更に別の処理が行われる。
【0026】
前述の明細書において、本発明は、具体的な実施例を参照して述べてきた。しかし、以下の請求項に示す本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形や変更を行えることは、当業者にとって明白である。例えば、図に示す物と異なる半導体装置を使用してもよい。例えば、半導体装置は、FinFETや不揮発性メモリ(NVM)デバイスであってもよい。
【0027】
従って、明細書及び図面は、制限的な意味よりはむしろ例示的な意味としてみなすべきであり、そのような変更例の全てを本明細書の範囲内に含めることを意図している。
しかも、説明及び請求項において、用語「後ろ」、「上端」、「底」、「上方」、「下方」等は、存在する場合、説明目的で使用され、必ずしも永久的な相対位置を述べるためではない。当然のことながら、そのように用いられる用語は、本明細書に記載された本発明の実施形態が、例えば、本明細書に例示されるか、そうでなければ、説明にはない方向への動作を実現すべく、適切な状況の下で置換することができる。
【0028】
利益、他の優位性、及び問題に対する解決方法を特定の実施例に関して上述してきた。しかし、これらの利益、優位性、問題に対する解決方法、及び任意の利益、優位性、又は解決方法を生じさせるか又はより顕著にする如何なる要素も、何れかの又は全ての請求項の重要な、必須な、又は本質的な特徴又は要素であるとして解釈してはならない。本明細書で用いる場合、用語「備える」、「備えている」、又はその他の如何なる変形も、非排他的な包含を網羅することを意図している。つまり、列挙された要素を備えるプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素のみを含むのではなく、明確には列挙されていないか、又はこのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含むことができる。「ある(一つの)」は、本明細書で用いられる場合、一つ以上として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態により酸化促進種を注入しているときのワークピースの部分断面図。
【図2】本発明の実施形態により酸化促進種を注入した後の図1のワークピース。
【図3】本発明の実施形態により誘電体層を形成した後の図2のワークピース。
【図4】本発明の実施形態により半導体装置を形成するために更に処理した後の図3のワークピース。
【図5】本発明の実施形態により酸化低減種を注入しているときの図2のワークピース。
【図6】本発明の実施形態により酸化低減種を注入した後の図5のワークピース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置を形成する方法であって、
半導体基板を形成するステップ、
前記半導体基板の上方に、第一側面及び第二側面を備えたゲート電極を形成するステップ、及び
前記ゲート電極の下方にゲート誘電体を形成するステップであって、前記ゲート誘電体は、前記ゲート電極の下方で前記ゲート電極の前記第一側面に隣接した第一領域と、前記ゲート電極の下方で前記ゲート電極の前記第二側面に隣接した第二領域と、前記ゲート電極の下方で前記第一領域及び前記第二領域間にある第三領域とからなるステップを備え、
前記第一領域は前記第二領域よりも薄く、前記第三領域は前記第一領域よりも薄く、更に前記第二領域よりも薄い方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記ゲート電極の下方に前記ゲート誘電体を形成するステップは、更に、
第一誘電体層を形成するステップ、
前記半導体基板内に酸化促進種を注入して酸化促進領域を形成するステップ、及び前記酸化促進領域を酸化するステップ
を備える方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
前記酸化促進種を注入するステップは、更に、前記酸化促進種を前記ゲート電極内に注入して酸化促進領域を形成するステップを備える方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、
前記注入は斜めに行われる方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記ゲート電極の下方に前記ゲート誘電体を形成するステップは、更に、
第一誘電体層を形成するステップ、
酸化低減種を前記半導体基板内に注入して酸化低減領域を形成するステップ、及び
前記半導体基板を酸化するステップ
を備える方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
前記酸化促進種を注入するステップは、更に、前記酸化低減種を前記ゲート電極内に注入して酸化低減領域を形成するステップを備える方法。
【請求項7】
請求項5記載の方法において、
前記注入は斜めに行われる方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記ゲート電極の下方に前記ゲート誘電体を形成するステップは、更に、
第一誘電体層を形成するステップ、
酸化促進種を前記半導体基板内に注入して酸化促進領域を形成するステップ、
酸化低減種を前記半導体基板内に注入して酸化低減領域を形成するステップ、及び
前記半導体基板を酸化するステップであって、前記酸化は前記酸化促進領域に誘電体を形成するステップ
を備える方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法は、更に
前記ゲート誘電体を形成した後にソース・エクステンション領域及びドレイン・エクステンション領域を形成するステップを備え、前記ソース・エクステンション領域は、前記ドレイン・エクステンション領域よりも深い方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法は、更に、前記ゲート誘電体を形成した後に前記ゲート電極の前記第一側面に隣接する第一スペーサと、前記ゲート電極の前記第二側面に隣接する第二スペーサとを形成するステップを備える方法。
【請求項11】
半導体装置の形成方法であって、
半導体基板を提供するステップ、
前記半導体基板の上方に誘電体層を形成するステップ、
前記誘電体層の上方に、第一側面及び前記第一側面と対向する第二側面を備えるゲート電極を形成するステップ、
酸化促進種を前記ゲート電極の前記第一側面及び前記半導体基板の第一領域内に注入するステップであって、前記第一領域は、前記ゲート電極の下方で前記ゲート電極の前記第一側面に隣接するステップ、及び
前記第一領域を第一誘電体に変換し、かつ前記半導体基板の第二領域を第二誘電体に変換するステップであって、前記第二領域は、前記ゲート電極の下方で前記ゲート電極の前記第二側面に隣接し、前記第一誘電体の前記厚さは、前記第二誘電体の前記厚さよりも大きいステップ
を備える方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、
前記変換するステップは、前記半導体基板をアニーリングするステップからなる方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、
前記注入するステップは、ゲルマニウム、酸素、フッ素及び塩素からなる群より選択された少なくとも一つの種を注入するステップからなる方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法は、更に、酸化低減種を前記第二領域内に注入するステップを備える方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、
前記酸化低減種を注入するステップは窒素を注入するステップからなる方法。
【請求項16】
請求項11記載の方法は、更に、前記第一領域及び前記第二領域の前記変換後にソース・エクステンション領域とドレイン・エクステンション領域とを形成するステップであって、前記ソース・エクステンション領域は、前記ドレイン・エクステンション領域よりも深いステップを備える方法。
【請求項17】
請求項11記載の方法は、更に、前記変換後、前記ゲート電極の前記第一側面に隣接した第一スペーサと、前記ゲート電極の前記第二側面に隣接した第二スペーサとを形成するステップを備える方法。
【請求項18】
請求項11記載の方法において、
前記注入は斜めに行われる方法。
【請求項19】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に、第一側面と第二側面を備えるゲート電極と、
前記ゲート電極の下方のゲート誘電体であって、前記ゲート誘電体は、前記ゲート電極の下方で前記ゲート電極の前記第一側面に隣接した第一領域、前記ゲート電極の下方で前記ゲート電極の前記第二側面に隣接した第二領域、及び前記ゲート電極の下方で前記第一領域及び前記第二領域間にある第三領域とを備え、
前記第一領域は前記第二領域よりも薄く、前記第三領域は前記第一領域よりも薄く、更に前記第二領域よりも薄い半導体装置。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置において、
前記ゲート電極の前記第一側面は第一誘電体を備え、前記第二側面は第二誘電体を備え、前記第二誘電体は前記第一誘電体よりも厚い半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−501432(P2009−501432A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504031(P2008−504031)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/003528
【国際公開番号】WO2006/104562
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】