説明

100%又はそれより大きい段差被覆性を有する相互接続部金属化プロセス

【課題】 構造底部のバリア材料厚と比べると、構造側壁においてより厚いバリア材料被覆範囲を有する相互接続構造体、及び、そのような相互接続構造体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 構造底部のバリア材料厚と比べると、構造側壁においてより厚いバリア材料被覆範囲を有する相互接続構造体、及び、そのような相互接続構造体を製造する方法が提供される。本発明の相互接続構造体は、従来のPVDプロセス、従来のイオン化プラズマ堆積、CVD、又はALDによってバリア材料が形成される従来技術の相互接続構造体と比べると、半導体業界のための改善された技術拡張性を有する。本発明によると、構造底部のバリア材料厚(h)より厚い、構造側壁のバリア材料厚(w)を有する相互接続構造体が提供される。すなわち、本発明の相互接続構造体において、w/h比は、100%に等しいか又はそれより大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造体及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、誘電体材料内に形成された構造内の少なくともバリア材料の段差被覆性が100%に等しいか、又はこれより大きい、シングル・ダマシン型又はデュアル・ダマシン型相互接続構造体に関する。本発明は又は、こうした半導体構造体を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスは、半導体基板上に製造された集積回路を形成する複数の回路を含む。複雑な信号経路網は、通常、基板の表面上に分散された回路要素を接続するように経路指定される。デバイスにまたがるこれらの信号の効率的な経路指定には、例えば、シングル・ダマシン又はデュアル・ダマシン配線構造体のようなマルチレベルすなわち多層のスキームの形成が必要とされる。Cuベースの相互接続部は、アルミニウム(Al)ベースの相互接続部に比べると、複雑な半導体チップ上にある多数のトランジスタ間に高速の信号伝送を提供するので、配線構造体は、一般に、銅(Cu)を含む。
【0003】
典型的な相互接続構造体内では、金属ビアは、半導体基板に対して垂直に通り、金属ラインは、半導体基板に対して平行に通る。今日のIC製品チップにおいては、二酸化シリコンより低い誘電率を有する誘電体材料内に、金属ライン及び金属ビア(例えば、導電性構造)を埋め込むことによって、信号速度のさらなる増大、及び、隣接する金属ラインにおける信号(「クロストーク」として知られる)の減少が達成される。
【0004】
現在の技術においては、高度な相互接続用途のために、物理気相堆積(PVD)によるTaN層がCu拡散バリアとして用いられ、PVDによるCuシード層がめっきシードとして用いられる。しかしながら、限界寸法(CD:critical dimension)が減少するにつれて、PVDベースの堆積技術は、共形性(comformality)及び段差被覆性(step coverage)の問題に行き当たることが予想される。その結果、それらの問題は、例えば、中心部及び縁部のボイドのようなめっきの充填問題をもたらし、このことは、信頼性の問題及び歩留まりの低下を引き起こす。
【0005】
PVDのような従来型の金属中性スパッタ堆積に由来する段差被覆性が低いため、PVDプロセスの共形性の限界を劇的に改善するイオン化プラズマ堆積技術が開発された。イオン化プラズマを含む、この第二世代の物理スパッタ堆積が、90nm及びこれを超える高度な相互接続用途において用いられた。このような堆積プロセスにおいては、中性金属Mに対するイオン化金属Mの比は、一般的に、約200又はそれより大きい。段差被覆性は改善できるが、この従来技術は、側壁よりも構造の底部により厚い材料を堆積させる。また、構造側壁に最小量のバリア材料を与えるために、従来技術は、構造底部に必要とされるより過剰なバリア材料を堆積させる。このライナ体積含有率の増大が、構造内の導電性材料すなわちCuに利用可能な全体の体積含有率を低減させ、全体の回路性能を低下させる。
【0006】
集積回路の限界寸法(CD)が縮小し続けるので、同等の回路性能を維持するために、CDの減少と共にバリア材料の厚さを減少させなければならない。しかしながら、上述のイオン化プラズマ・プロセスは、常に、構造側壁よりも構造底部により厚いバリア材料の被覆率を提供する。したがって、上述のイオン化プラズマ堆積プロセスは、常に、構造底部に過剰のバリア材料を提供する必要があり、このことは、高度な半導体製品における電気抵抗低減のために望ましいことではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、構造底部よりも構造側壁においてより厚いバリア被覆範囲を有する、相互接続構造体を提供することができる、新規な方法が必要とされる。従来のPVD、イオン化プラズマPVD、化学気相堆積(CVD)及び原子層堆積(ALD:Atomic layer deposition)を含む全ての従来の堆積プロセスは、例えば、w/hのような、構造底部のバリア材料厚(h)に対する構造側壁のバリア材料厚(w)の比が100%より小さい、段差被覆性をもたらすことが留意される。バリア材料厚のw/h比が、100%に等しいか又はこれより大きい方法が必要とされる。このことは、技術の拡張性のために重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、構造底部のバリア材料の厚さと比べて、構造の側壁においてより厚いバリア材料被覆範囲を有する相互接続構造体、及び、そのような相互接続構造体を製造する方法を提供する。従来のPVDプロセス、従来のイオン化プラズマ堆積、CVD、又はALDによってバリア材料が形成される従来技術の相互接続構造体と比べると、本発明の相互接続構造体は、半導体業界のための改善された技術拡張性を有する。本発明によると、構造底部のバリア材料厚(h)より厚い、構造側壁のバリア材料厚(w)を有する相互接続構造体が提供される。すなわち、本発明の相互接続構造体において、w/h比は、100%に等しいか又はそれより大きい。
【0009】
大まかに言うと、本発明は、
底壁部分に延び、これと接触状態にある側壁を含む少なくとも1つの開口部が内部に配置された誘電体材料と、
側壁部分及び底壁部分を覆っている、少なくとも1つの開口部内に配置された少なくとも1つの拡散バリア材料を含む材料スタックであって、材料スタックは、該底壁部分の厚さより厚い該側壁の厚さを有する、材料スタックと、
少なくとも1つの開口部内の材料スタック上に配置された導電性材料と
を含む半導体構造体を提供する。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態において、材料スタックは、拡散バリア材料に加えて、金属シード層も含む。本発明のさらに別の実施形態において、誘電体材料と前段落において言及された材料スタックとの間の、開口部の側壁上に、付加的な材料スタック(拡散バリア/シード層)が配置される。
【0011】
上述された一般的な半導体構造体に加えて、本発明は、これを製造する方法も提供する。本発明の方法は、一般に、
底壁部分に延び、これと接触状態にある側壁を含む少なくとも1つの開口部が内部に配置された誘電体材料を準備するステップと、
側壁部分及び底壁部分を覆っている、少なくとも1つの開口部内の少なくとも拡散バリア材料を含む材料スタックであって、該材料スタックは、底壁部分の厚さより厚い側壁の厚さを有する、材料スタックを形成するステップと、
少なくとも1つの開口部内の材料スタック上に導電性材料を形成するステップと
を含む。
【0012】
本発明によると、開口部の側壁の厚さが底壁部分の厚さより厚い材料スタックを形成するステップは、中性金属に対するイオン化金属の比が約50又はそれより小さい、イオン化制御金属プラズマ堆積プロセスを含む。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態において、上述された厚さのばらつきを有する材料スタックを形成する前に、付加的な材料スタックが開口部の側壁に準備される。少なくとも拡散バリアと、随意的にシード層とを含む付加的な材料スタックは、スパッタリングに続いて、従来の堆積プロセスによって形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ここで、100%に等しいか又はこれより大きい段差被覆性をもった少なくともバリア材料を有する相互接続構造体、及び、こうした相互接続構造体を製造する方法を提供する本発明がより詳細に説明される。以下により詳細に参照される本出願の図面は、説明のために与えられるものであり、よって、縮尺に合わせて描かれてはいない。
【0015】
本発明のプロセスの流れは、図1に示される最初の相互接続構造体10を準備するステップで始まる。具体的には、図1に示される最初の相互接続構造体10は、幾つかの実施形態においては、誘電体キャップ層(図示せず)によって部分的に分離される、下部相互接続レベル12及び上部相互接続レベル16を含む、多層の相互接続部を含む。1つ又は複数の半導体デバイスを含む半導体基板の上に配置することができる下部相互接続レベル12は、バリア層(図示せず)によって第1の誘電体材料18から分離された少なくとも1つの導電性構造(すなわち、導電性領域)20を有する第1の誘電体材料18を含む。上部相互接続レベル16は、少なくとも1つの開口部28(すなわち、構造)が内部に配置された第2の誘電体材料24を含む。少なくとも1つの開口部28は、ビア開口部、ライン開口部、又はビア開口部とライン開口部との組み合わせとすることができる。
【0016】
図1に示される最初の相互接続構造体10は、当該技術分野において公知の標準的な相互接続処理を用いて製造される。例えば、最初の相互接続構造体10は、まず、第1の誘電体材料18を基板(図示せず)の表面に適用することによって形成することができる。図示されていない基板は、半導体材料、絶縁材料、導電性材料、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。基板が半導体材料からなる場合、Si、SiGe、SiGeC、SiC、Ge合金、GaAs、InAs、InP及び他のIII/V族又はII/VI族化合物半導体を用いることができる。これらの列挙されたタイプの半導体材料に加えて、本発明は、半導体基板が、例えば、Si/SiGe、Si/SiC、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、又はシリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SGOI)のような層状半導体である場合も考慮する。
【0017】
基板が絶縁材料である場合、絶縁材料は、有機絶縁体、無機絶縁体、又は多層構造を含むそれらの組み合わせとすることができる。基板が導電性材料である場合、基板は、例えば、ポリSi、元素状金属、元素状金属の合金、金属シリサイド、金属窒化物、又は多層構造を含むこれらの組み合わせを含むことができる。基板が半導体材料を含む場合、その上に、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスのような1つ又は複数の半導体デバイスを製造することができる。
【0018】
下部相互接続レベル12の第1の誘電体材料18は、無機誘電体又は有機誘電体を含む任意の層間誘電体又は層内誘電体を含むことができる。第1の誘電体材料18は、多孔性であっても、無孔性であってもよい。第1の誘電体材料18として用いることが可能な好適な誘電体の幾つかの例は、これらに限られるものではないが、SiO、シルセスキオキサン、Si、C、O及びHの原子を含むCドープされた酸化物(すなわち、有機シリケート)、熱硬化性ポリアリレン・エーテル、又はそれらの多層構造を含む。「ポリアリレン」という用語は、本出願においては、結合基、縮合環基、又は、例えば酸素基、硫黄基、スルホン基、スルホキシド基、カルボニル基等などの不活性結合基によって互いに結合されたアリール部分又は不活性置換アリール部分を示すように用いられる。
【0019】
第1の誘電体材料18は、典型的には、約4.0又はこれより小さい誘電率を有し、約2.8又はこれより小さい誘電率がより典型的である。こうした誘電体は、一般に、4.0より大きい誘電率を有する誘電体材料と比べると、寄生クロストークが低い。第1の誘電体材料18の厚さは、用いられる誘電体材料、及び、下部相互接続レベル12内の正確な誘電体数によって違ってくる。典型的には、通常の相互接続構造体については、第1の誘電体材料18は、約200nmから約450nmまでの厚さを有する。
【0020】
下部相互接続レベル12はまた、第1の誘電体材料18内に埋め込まれた(すなわち、第1の誘電体材料18内に配置された)少なくとも1つの導電性構造20も有する。導電性構造20は、拡散バリア層(図示せず)によって、第1の誘電体材料18から分離された導電性領域を含む。導電性構造20は、リソグラフィ(すなわち、第1の誘電体材料18の表面にフォトレジストを適用し、該フォトレジストを所望のパターンの放射に露光させ、従来のレジスト現像液を用いて、露光されたレジストを現像する)、第1の誘電体材料18内に開口部をエッチング(乾式エッチング又は湿式エッチング)すること、エッチングされた領域を拡散バリア層(図示せず)、次いで導電性材料で充填し、導電性領域を形成することによって形成される。Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、W、WN、又は導電性材料が拡散するのを防ぐバリアとして働くことができる他のいずれかの材料を含むことができる拡散バリア層が、例えば、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、物理気相堆積(PVD)、スパッタリング、化学溶液堆積、又はめっきのような堆積プロセスによって形成される。
【0021】
拡散バリア層(図示せず)の厚さは、堆積プロセスの正確な手段及び用いられる材料によって違ってくる。典型的には、バリア層は、約4nmから約40nmまでの厚さを有し、約7nmから約20nmまでの厚さがより典型的である。
【0022】
本発明の方法用いて、導電性構造20内の拡散バリア層を形成し、側壁におけるバリア材料厚が底壁におけるバリア材料厚より厚くなるようにもできることが留意される。
【0023】
拡散バリア層の形成に続いて、第1の誘電体材料18内の開口部の残りの領域を導電性材料で充填し、導電性構造20を形成する。導電性構造20を形成するのに用いられる導電性材料は、例えば、ポリSi、導電性金属、少なくとも1つの導電性金属を含む合金、導電性金属シリサイド、又はこれらの組み合わせを含む。導電性構造20を形成するのに用いられる導電性材料は、Cu、W、又はAlのような導電性金属であることが好ましく、本発明においては、Cu又はCu合金(AlCuのような)が非常に好ましい。導電性材料が、これらに限定されるものではないが、CVD、PECVD、スパッタリング、化学溶液堆積、又はめっきを含む従来の堆積プロセスを用いて、第1の誘電体材料18内の残りの開口部の中に充填される。堆積後、例えば、化学機械研磨(CMP)のような従来の平坦化プロセスを用いて、拡散バリア層及び導電性構造20の各々が、第1の誘電体材料18の上面と実質的に同一平面上にある上面を有する、構造体を提供することができる。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態において、例えば、CVD、PECVD、化学溶液堆積、又は蒸着のような従来の堆積プロセスを用いて、誘電体キャップ層(図示せず)が、下部相互接続レベル12の表面上に形成される。本発明においては随意的なものある誘電体キャップ層は、例えば、SiC、SiNH、SiO、炭素がドープされた酸化物、窒素及び水素がドープされた炭化シリコンSiC(N,H)、又はそれらの多層構造といった、任意の適切な誘電体キャップ材料を含む。キャップ層の厚さは、キャップ層を形成するのに用いられる技術、及び層の材料構成によって違ってくる。典型的には、キャップ層は、約15nmから約55nmまでの厚さを有し、約25nmから約45nmまでの厚さがより典型的である。
【0025】
次に、第2の誘電体材料24を、存在する場合にはキャップ層の上部露出面に、又は下部相互接続レベル12の上に適用することによって、上部相互接続レベル16を形成する。第2の誘電体材料24は、下部相互接続レベル12の第1の誘電体材料18のものと同じ誘電体材料又は異なる誘電体材料を、好ましくは同じ誘電体材料を含む。ここで、第1の誘電体材料18についての処理技術及び厚さの範囲は、第2の誘電体材料24にも適用可能である。次に、上述のようなリソグラフィ及びエッチングを用いて、第2の誘電体材料24内に少なくとも1つの開口部28を形成する。エッチングは、乾式エッチング・プロセス、湿式化学エッチング、又はそれらの組み合わせを含むことができる。「乾式エッチング」という用語は、ここでは、反応性イオン・エッチング、イオン・ビーム・エッチング、プラズマ・エッチング、又はレーザ・アブレーションのようなエッチング技術を指すように用いられる。幾つかの実施形態においては、このエッチング・ステップは、相互接続レベル12と相互接続レベル16との間に電気的な接触を形成するために、導電性構造20の上に配置された誘電体キャップ層の一部も除去する。
【0026】
次に、図2に示されるように、下から上に、拡散バリア材料及びシード層を含む材料スタック30が、少なくとも1つの開口部28内、及び、第2の誘電体材料24の上部露出面上に形成される。示されるように、材料スタック30は、開口部28の側壁上及び開口部28の底部上に形成され、該開口部の底部は、導電性構造20及び第1の誘電体材料18の一部を露出させる。
【0027】
示されるように、材料スタック30は、開口部の底部に沿った厚さ(h)より厚い、側壁に沿った厚さ(w)を有する。本発明によると、hに対するwの比は、100%に等しいか又はこれより大きく、典型的には、120%より大きい。
【0028】
材料スタック30は、金属シード層を含む必要がないことが留意される。したがって、金属シード層は、随意的なものであるが、一般的には、導電体金属が、後に少なくとも1つの開口部28内に形成されるときに用いられる。
【0029】
材料スタック30の拡散バリア材料は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、RuTa、RuTaN、W、WN、又は導電性材料がそこを通って拡散するのを防止するバリアとして働くことができる他の任意の材料を含むことができる。積み重ねられた多層の拡散バリア層を形成する、これらの材料の組み合わせも考慮される。拡散バリア材料は、開口部の底部の厚さより、開口部の側壁の厚さの方が厚い。典型的には、側壁に沿った拡散バリア層の厚さは、約4nmから約40nmまでであり、約7nmから約20nmまでの厚さが、さらにより典型的である。開口部の底部に沿った拡散バリア材料の厚さは、典型的には、約3nmから約30nmまでであり、約6nmから約17nmまでの厚さが、さらにより典型的である。
【0030】
上述のように、材料スタック30は、随意的に、金属シード層を含むことができる。随意的なものではあるが、導電対材料の成長を助けるために、材料スタック30内に金属シード層を含むことが好ましい。このことは、導電性金属又は金属合金が、後に少なくとも1つの開口部内に形成される場合に特に当てはまる。Ru、Cu及びIrは、本発明に用いることが可能な金属シード層の幾つかの例である。存在する場合には、金属シード層は、以下により詳細に説明される導電性材料38を形成するのに用いられるような導電体金属又は金属合金を含むことができる。典型的には、導電性材料38がCuを含む場合、金属シード層は、Cu、CuAl、CuIr、CuTa、CuRh、TaRu、又は他のCuの合金すなわちCu含有合金を含む。金属シード層の厚さは、異なることがあり、当業者には公知の範囲内にある。典型的には、金属シード層は、約2nmから約80nmまでの厚さを有する。開口部の側壁に沿った金属シード層の厚さは、開口部の底部に沿った厚さより厚いことにも留意される。
【0031】
拡散バリア/シード層スタックを形成するのに、従来のPVP、イオン化プラズマPVP、CVD、又はALDプロセスが用いられる従来技術とは異なり、本発明は、イオン化比が制御されたプラズマ堆積プロセスを用いる。このようなプロセスにおいては、中性金属Mに対するイオン化金属種Mの比は、約50又はそれより小さく、Mに対するMの比は、30又はそれより小さいことがさらにより好ましい。本発明においては、中性金属に対するイオン化金属の比が制御されるので、構造底部と構造側壁との間の金属堆積速度の差は、従来のイオン化プロセスより小さい。
【0032】
本発明のイオン化比制御プラズマ堆積プロセスは、従来のイオン化プラズマ堆積装置を用いて実行される。本発明においては、装置内で生成される中性金属に対するイオン化金属の比は、ACバイアス、DC出力、又は処理圧力のうちの少なくとも1つを調整することによって制御される。これらのパラメータの任意の組み合わせを調整して、上述の範囲内で中性金属に対するイオン化金属の比を制御することもできる。中性金属に対するイオン化金属の比を制御するようにDC電力が選択される場合、DC電力は、15kWより小さい値、好ましくは10kWより小さい値に低減される。中性金属に対するイオン化金属の比を制御するのにACバイアスが選択される場合、ACバイアスは、1000Wより下の値、好ましくは500Wより下の値に低減される。制御されたM対Mの比を達成するように処理圧力が選択される場合、処理圧力は、10mTより上の値、好ましくは20mTより上の値に設定される。
【0033】
本発明の図面には示されないが、材料スタック30の最初の形成後に、更に別の拡散バリア/シード層を形成することができる。更に別の拡散バリア/シード層は、上述されたイオン化比制御プロセスを用いて形成することができる。
【0034】
次に、図3に示されるように、材料スタック30を含む少なくとも1つの開口部内に、相互接続導電性材料38が形成される。相互接続導電性材料38は、導電性構造20のものと同じ導電性材料又は異なる誘電体材料を含むことができ、同じ導電性材料が好ましい。Cu、Al、W、又はそれらの合金を用いることが好ましく、Cu又はAlCuが最も好ましい。導電性材料38は、導電性構造20を形成する際の上述のものと同じ堆積プロセスを用いて形成され、導電性材料の堆積に続いて、構造体に平坦化が施される。平坦化プロセスは、上部相互接続レベル16の上部水平面より上方に存在する材料スタック30及び導電性材料38を除去し、図3に示された構造体を提供するものである。
【0035】
図3に示される構造体は、底部が閉鎖された構造体を形成する本発明の1つの可能な実施形態を表す。底部閉鎖構造体においては、材料スタック30が、導電性構造20の一部の上に存在する。底部が開放された構造体及び底部が固定された構造体も、可能である。底部開放構造体は、上部相互接続レベルの他の要素を堆積させる前に、イオン打ち込み又は別の同様の指向性エッチング・プロセスを用いて、開口部の底部から材料スタック30を除去することによって形成される。底部固定構造体は、最初に選択性エッチング・プロセスを用いて導電性構造20内に凹部をエッチングし、ガウジング構造を形成することによって形成される。
【0036】
図4−図7は、上述のように、最初に、図1に示されるような最初の相互接続構造体10が準備される、本発明の別の実施形態を示す。図1に示される最初の相互接続構造体10が準備された後、従来の堆積プロセスを用いて、少なくとも拡散バリア材料と随意的な金属シード層とを含む材料スタック30’が準備される。結果として得られる構造体が、例えば、図4に示される。
【0037】
材料スタック30’を形成する際に、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、物理気相堆積(PVD)、イオン化プラズマ堆積、スパッタリング、化学溶液堆積、又はめっきを用いることができる。この実施形態においては、構造底部の材料スタック30’の厚さは、構造側壁の材料スタック30’の厚さよりも厚い。したがって、材料スタック30’についてのhに対するwの比は、100%より小さい。
【0038】
材料スタック30’の形成に続いて、次に、材料スタック30’を開口部の底部から除去し、下にある導電性構造20を露出させるスパッタリング・プロセスが、図4に示される構造体に施される。スパッタリング・プロセスの際に結果として得られる構造体が、例えば、図5に示される。このスパッタリング・プロセスは、上部相互接続レベル16の水平面上に配置された材料スタック30’も除去することが観察される。スパッタリング・プロセスは、Ar、He、Ne、Xe、N、H、NH、N、又はそれらの混合物を用いて実行される。典型的には、Arが、スパッタリング・ガスとして用いられる。このスパッタリング・プロセスについての条件は、当業者には公知のものである。
【0039】
図6は、上述のイオン化比制御プロセスを用いて、材料スタック30を形成した後に形成される構造体を示す。構造側壁が、材料スタック30’及び材料スタック30を含むことに留意されたい。本発明の図面には示されないが、材料スタック30を最初に形成した後、更に別の拡散バリア/シード層を形成することができる。更に別の拡散バリア/シード層は、上述のイオン化比制御プロセスを用いて形成することができる。
【0040】
図7は、導電性材料38を充填し、平坦化した後の構造体を示す。底部開放構造体及び底部固定構造体も考慮される。
【0041】
ここで、従来のプロセスによって形成された相互接続構造体の走査電子顕微鏡写真(SEM)である図8、及び、本発明の方法を用いて形成された相互接続構造体の走査電子顕微鏡写真である図9を参照する。SEMは、図9に示されるような本明の相互接続構造体が、構造底壁に比べると、構造の側壁の厚さがより厚い材料スタック(例えば、拡散バリア/シード層)を有することを明確に示すが、従来技術の構造体においては、その逆が観察される。すなわち、図8に示される従来技術の構造体においては、構造底部における材料スタック(例えば、拡散バリア/シード層)の厚さは、構造側壁に沿った厚さより厚い。
【0042】
このように、ここに上述された本発明の方法は、100%に等しいか又はこれより大きい段差被覆性を有する(すなわち、側壁の厚さが底部の厚さより厚い)相互接続構造体を製造するための技術を提供するものであり、この段差被覆性は、従来技術のプロセスを用いては達成されないものである。
【0043】
本発明は、特にその好ましい実施形態に関して示され、説明されたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部における上記の及びその他の変更を行い得ることを理解するであろう。したがって、本発明は、説明され、示された正確な形態及び細部に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】誘電体材料内に少なくとも1つの開口部が設けられた、本発明の方法の最初の段階による相互接続構造体を示す図形表示(断面図による)である。
【図2】本発明のイオン化比制御プラズマ堆積プロセスを用いて、下から上に、バリア材料及びシード層を含む材料スタックを形成した後の図1の構造体を示す図形表示(断面図による)である。
【図3】少なくとも1つの開口部内に導電性材料が形成された後の、図2の構造体を示す図形表示(断面図による)である。
【図4】本発明の代替的な実施形態を示す図形表示(断面図による)である。
【図5】本発明の代替的な実施形態を示す図形表示(断面図による)である。
【図6】本発明の代替的な実施形態を示す図形表示(断面図による)である。
【図7】本発明の代替的な実施形態を示す図形表示(断面図による)である。
【図8】従来のプロセスを介して形成された相互接続構造体の走査電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の方法を用いて形成された相互接続構造体の走査電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0045】
12:下部相互接続レベル
16:上部相互接続レベル
18:第1の誘電体材料
20:導電性領域
24:第2の誘電体材料
30、30’:材料スタック
38:導電性材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部分に延び、これと接触状態にある側壁を含む少なくとも1つの開口部が内部に配置された誘電体材料と、
前記側壁部分及び前記底壁部分を覆っている、前記少なくとも1つの開口部内に配置された少なくとも拡散バリア材料を含む材料スタックであって、前記材料スタックは、該底壁部分の厚さより厚い該側壁の厚さを有する、材料スタックと、
前記少なくとも1つの開口部内の前記材料スタック上に配置された導電性材料と
を含む半導体構造体。
【請求項2】
前記誘電体材料は、SiO、シルセスキオキサン、Si、C、O及びHの原子を含むCがドープされた酸化物、又は熱硬化性ポリアリレン・エーテルのうちの1つである、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの開口部は、ライン開口部、ビア開口部、又はライン開口部とビア開口部の組み合わせである、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項4】
前記拡散バリア材料は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、RuTa、RuTaN、W、WN、又は導電性材料がそこを通って拡散するのを防止するバリアとして働くことができる他の任意の材料を含む、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項5】
前記材料スタックは、前記拡散バリア材料の上に配置された金属シード層をさらに含む、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項6】
前記金属シード層は、導電性金属又は金属合金を含む、請求項5に記載の半導体構造体。
【請求項7】
前記金属シード層は、Cu、CuAl、CuIr、CuTa、CuRh、又はTaRuを含む、請求項6に記載の半導体構造体。
【請求項8】
前記導電性材料は、ポリSi、導電体金属、少なくとも1つの導電体金属を含む合金、導電性金属シリサイド、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項9】
前記誘電体材料と、前記底壁部分の厚さより厚い前記側壁の厚さを有する前記材料スタックとの間に、前記少なくとも1つの開口部内の側壁上に配置された、少なくとも別の拡散バリア材料を含む付加的な材料スタックをさらに含む、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項10】
半導体構造を製造する方法であって、
底壁部分に延び、これと接触状態にある側壁を含む少なくとも1つの開口部が内部に配置された誘電体材料を準備するステップと、
前記側壁部分及び前記底壁部分を覆っている、前記少なくとも1つの開口部内の少なくとも拡散バリア材料を含む材料スタックであって、前記材料スタックは、該底壁の厚さより厚い該側壁の厚さを有する、材料スタックを形成するステップと、
前記少なくとも1つの開口部内の前記材料スタック上に導電性材料を形成するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの開口部を有する前記誘電体材料を準備するステップは、堆積、リソグラフィ及びエッチングを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
材料スタックを形成する前記ステップは、イオン化比制御プラズマ堆積プロセスを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン化比制御プラズマ堆積プロセスは、約50又はそれより小さい、中性金属に対するイオン化金属の比を提供するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記イオン化比制御プラズマ堆積プロセスは、DC出力、ACバイアス及び処理圧力からなる群から選択された少なくとも1つのパラメータを調整するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記イオン化比制御プラズマ堆積プロセスは、前記DC出力を15kWより小さい値に調整するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記イオン化比制御プラズマ堆積プロセスは、前記ACバイアスを1000Wより小さい値に調整するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記イオン化比制御プラズマ堆積プロセスは、前記処理圧力を10mTより小さい値に調整するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記底壁部分の厚さより厚い前記側壁の厚さを有する前記材料スタックを形成する前に、前記少なくとも拡散バリア材料を含む付加的な材料スタックを形成するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記付加的な材料スタックは、堆積及びスパッタとエッチングによって形成され、前記堆積は、該付加的な材料スタックが、前記側壁に沿った厚さより厚い前記底壁部分の厚さを有するプロセスを含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−300113(P2007−300113A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118453(P2007−118453)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】