説明

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

【課題】本発明は、温度状態の管理をより正確に行うことができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、前記処理容器の内部に設けられた被処理物を載置する載置部と、内部にプラズマを発生させる領域を有し、前記処理容器から離隔された位置に設けられた放電管と、マイクロ波発生部から放射されたマイクロ波を伝播させて、前記プラズマを発生させる領域にマイクロ波を導入する導入導波管と、前記プラズマを発生させる領域にプロセスガスを供給するガス供給部と、前記放電管と、前記処理容器と、を連通させる輸送管と、前記放電管の温度を検出する第1の温度検出部と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを利用したドライプロセスは、半導体装置の製造、金属部品の表面硬化、プラスチック部品の表面活性化、無薬剤殺菌など、幅広い技術分野において活用されている。例えば、半導体装置や液晶ディスプレイなどの製造に際しては、アッシング処理、エッチング処理、薄膜堆積(成膜)処理あるいは表面改質処理などの各種のプラズマ処理が行われている。プラズマを利用したドライプロセスは、低コストで、高速であり、薬剤を用いないために環境汚染を低減できる点でも有利である。
【0003】
このようなプラズマ処理においては、発生させたプラズマによりプロセスガスを励起、活性化させて中性活性種やイオンなどのプラズマ生成物を生成する。そして、この生成した中性活性種やイオンなどにより被処理物に対するプラズマ処理(例えば、エッチング処理やアッシング処理など)を行う。
【0004】
ところで、近年においては、プラズマ処理の安定性に対する要求が厳しくなってきている。例えば、プラズマ処理における処理精度(例えば、エッチング処理における寸法精度など)の安定性に対する要求が厳しくなってきている。この場合、プラズマ処理の安定性は、プラズマ処理装置の状態によって変動する。例えば、プラズマ処理装置の処理容器などの要素の温度、処理容器の内部に堆積した堆積物の量などによって変動する。
【0005】
そのため、被処理物に対するプラズマ処理を繰り返す場合などにおいては、処理容器などの要素の温度を制御する「暖機処理」、処理容器の内部に堆積した堆積物を除去する「クリーニング処理」などの「前処理」を適宜行うようにしている。
【0006】
ここで、被処理物に対するプラズマ処理に先立って、予め設定された時間の間プラズマを発生させて処理容器の内壁面を加熱し、内壁面温度を制御する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
この特許文献1に開示がされた技術によれば、被処理物に対するプラズマ処理に先立って処理容器の内壁面温度を制御することができるので、プラズマ処理装置の温度状態を安定させることができる。その結果、プラズマ処理の安定性を向上させることができる。
しかしながら、特許文献1に開示がされた技術においては、予め設定された時間に基づいて処理容器の内壁面温度を間接的に制御するようにしている。そのため、プラズマ処理装置またはプラズマ処理における温度状態の管理をより正確に行うという点に改善の余地を残していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−210948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、温度状態の管理をより正確に行うことができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、前記処理容器の内部に設けられた被処理物を載置する載置部と、内部にプラズマを発生させる領域を有し、前記処理容器から離隔された位置に設けられた放電管と、マイクロ波発生部から放射されたマイクロ波を伝播させて、前記プラズマを発生させる領域にマイクロ波を導入する導入導波管と、前記プラズマを発生させる領域にプロセスガスを供給するガス供給部と、前記放電管と、前記処理容器と、を連通させる輸送管と、前記放電管の温度を検出する第1の温度検出部と、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【0010】
また、本発明の他の一態様によれば、内部にプラズマを発生させる領域を有し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、前記処理容器の内部に設けられた被処理物を載置する載置部と、前記プラズマを発生させる領域に電磁エネルギーを供給することでプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記プラズマを発生させる領域にプロセスガスを供給するガス供給部と、前記プラズマを発生させる領域に面する位置に設けられた部材の温度を検出する第2の温度検出部と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【0011】
また、本発明の他の一態様によれば、大気圧よりも減圧された雰囲気においてプラズマを発生させ、前記プラズマに向けて供給されたプロセスガスを励起させてプラズマ生成物を生成し、前記プラズマ生成物を用いて被処理物に対するプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、プラズマを発生させる領域に面する位置に設けられた部材の温度に基づいてプラズマの発生を制御することで、前記部材の温度を制御する第1の処理工程と、前記プラズマ生成物を用いて被処理物に対するプラズマ処理を行う第2の処理工程と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度状態の管理をより正確に行うことができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
【図3】図2におけるA−A矢視断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
図1に例示をするプラズマ処理装置1は、一般に「CDE(Chemical Dry Etching;ケミカルドライエッチング)装置」と呼ばれるマイクロ波励起型のプラズマ処理装置である。すなわち、マイクロ波により励起、発生させたプラズマを用いてプロセスガスからプラズマ生成物を生成し、被処理物の処理を行うプラズマ処理装置の一例である。
【0015】
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、プラズマ発生部2、減圧部3、ガス供給部4、マイクロ波発生部5、処理容器6、温度検出部7、制御部8などを備えている。
プラズマ発生部2には、放電管9、導入導波管10が設けられている。
放電管9は、内部にプラズマを発生させる領域を有し、処理容器6から離隔された位置に設けられている。また、放電管9は管状を呈し、マイクロ波Mに対する透過率が高くエッチングされにくい材料からなる。例えば、放電管9をアルミナや石英などの誘電体からなるものとすることができる。
【0016】
放電管9の外周面を覆うようにして管状の遮蔽部18が設けられている。遮蔽部18の内周面と放電管9の外周面との間には所定の隙間が設けられ、遮蔽部18と放電管9とが略同軸となるようにして配設されている。なお、この隙間は、マイクロ波Mが漏洩しない程度の寸法とされている。そのため、遮蔽部18によりマイクロ波Mが漏洩することを抑制することができる。
【0017】
また、遮蔽部18には、放電管9と略直交するように導入導波管10が接続されている。導入導波管10の終端には終端整合器11aが設けられている。また、導入導波管10の入口側(マイクロ波Mの導入側)にはスタブチューナ11bが設けられている。導入導波管10は、後述するマイクロ波発生部5から放射されたマイクロ波Mを伝播させて、プラズマPを発生させる領域にマイクロ波Mを導入する。
【0018】
導入導波管10と遮蔽部18との接続部分には、環状のスロット12が設けられている。スロット12は、導入導波管10の内部を導波されてきたマイクロ波Mを放電管9に向けて放射するためのものである。後述するように、放電管9の内部にはプラズマPが発生するが、スロット12に対向する部分がプラズマPを発生させる領域の略中心となる。
【0019】
放電管9の外部には、プラズマPを発生させる領域と対向させて温度検出部7が設けられている。温度検出部7としては、特に限定がなく、例えば、熱電対、測温抵抗体、サーミスタなどを用いた接触式のものとしてもよいし、放射温度計のような非接触式のものとしてもよい。なお、図1においては、一例として、非接触式のものを例示することにした。
【0020】
この場合、被処理物Wに対するプラズマ処理の安定性に影響を及ぼすおそれのある部分の温度を検出できるように温度検出部7を配設することが好ましい。すなわち、プラズマPを発生させる領域に面する位置に設けられ、ある程度の熱容量を有する部材の温度を検出できるように温度検出部7を配設することが好ましい。そのため、本実施の形態においては放電管9の温度を検出できるように温度検出部7を配設している。
【0021】
ここで、温度検出部7を放電管9の内部に設けるようにすれば、プラズマPにより温度検出部7が損傷したり、金属汚染などが引き起こされるおそれがある。そのため、本実施の形態においては放電管9の外部に温度検出部7を設けて放電管9の温度を検出するようにしている。
【0022】
また、温度検出部7により検出された放電管9の温度を、必要に応じて補正することもできる。すなわち、被処理物Wに対するプラズマ処理に与える影響を考慮して、最も適切な温度、例えば、プラズマPを発生させる領域により近い放電管9の内壁面温度や放電管9の平均温度などに補正することもできる。検出位置における温度とこれらの温度との間には一定の相関関係があるので、この相関関係を予め実験などにより求めることで補正値を求めることができる。
【0023】
また、温度検出部7は、プラズマPを発生させる領域と対向させて設けられている。そのため、遮蔽部18が設けられる領域に温度検出部7が設けられることになる。この場合、遮蔽部18の内周面と放電管9の外周面との間に設けられた隙間に温度検出部7、または温度検出部7のプローブ部分を設けるようにすることができる。ただし、前述したようにこの隙間はマイクロ波Mが漏洩しない程度の寸法とされているため、小型の温度検出部7、または小型のプローブ部分でなければ設置することが難しい。
【0024】
そのため、本実施の形態においては、遮蔽部18の外側に温度検出部7を設けるようにしている。そして、遮蔽部18の外側に温度検出部7を設けるようにしているため、遮蔽部18の温度検出部7に面する部分には検出用の孔部18aが設けられている。この場合、孔部18aの開閉を行うための開閉部19を設けることもできる。この開閉部19には図示しない駆動部が接続されている。そして、図示しない駆動部により開閉部19を遮蔽部18の軸方向に移動させることができるようになっている。そのため、開閉部19を移動させることで孔部18aの開閉を行うことができる。
【0025】
開閉部19を設けるようにすれば、温度検出を行わない時には孔部18aを塞ぐことができる。そのため、孔部18aからマイクロ波が漏洩することを抑制することができる。なお、遮蔽部18の内壁面側に開閉部19を設ける場合を例示したが、外壁面側に開閉部19を設けるようにすることもできる。また、遮蔽部18の軸方向に開閉部19を移動させる場合を例示したが、遮蔽部18の円周方向に沿うように開閉部19を移動させることもできる。
なお、温度検出部7が接触式のものの場合には、遮蔽部18にプローブ部分を保持させることもできる。その様にすれば、保持されたプローブ部分により孔が塞がれるので開閉部19を不要とすることができる。
【0026】
導入導波管10の一端には、マイクロ波発生部5が設けられている。このマイクロ波発生部5は、所定周波数(例えば2.75GHz)のマイクロ波Mを発生させ、導入導波管10に向けて放射することができるようになっている。
【0027】
放電管9の一端には流量制御部(Mass Flow Controller:MFC)13を介してガス供給部4が接続されている。そして、流量制御部13を介して、ガス供給部4から放電管9内のプラズマを発生させる領域にプロセスガスGを供給することができるようになっている。また、制御部8により流量制御部13を制御することで、プロセスガスGの供給量が調整できるようになっている。
【0028】
放電管9の他端には輸送管14の一端が接続され、輸送管14の他端は処理容器6に接続されている。すなわち、輸送管14は、放電管9と処理容器6とを連通させている。輸送管14は、中性活性種による腐蝕に耐え得る材料、例えば、石英、ステンレス鋼、セラミックス、フッ素樹脂などからなる。
【0029】
処理容器6は、有底の略円筒形状を呈し、その上端が天板6aで塞がれている。処理容器6の内部には、図示しない静電チャックを内蔵した載置部15が設けられ、その上面(載置面)に被処理物W(例えば、半導体ウェーハやガラス基板など)を載置、保持することができるようになっている。
【0030】
処理容器6の底面には、圧力制御部(Auto Pressure Controller:APC)16を介してターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧部3が接続されている。減圧部3は、処理容器6の内部を所定の圧力まで減圧する。圧力制御部16は、処理容器6の内圧を検出する図示しない真空計の出力に基づいて、処理容器6の内圧が所定の圧力となるように制御する。すなわち、処理容器6は、半導体ウェーハやガラス基板などの被処理物Wを収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。
【0031】
輸送管14との接続部分よりは下方であって載置部15の上方には、載置部15の上面(載置面)と対向させるようにして整流板17が設けられている。整流板17は、輸送管14から導入される中性活性種を含んだガスの流れを整流し、被処理物Wの処理面上における中性活性種の量が略均一となるようにするためのものである。整流板17は、多数の孔部17aが設けられた略円形の板状体であり、処理容器6の内壁に固定されている。そして、整流板17と載置部15の上面(載置面)との間の領域が、被処理物に対する処理が行われる処理空間20となる。また、処理容器6の内壁面、整流板17の表面は、中性活性種と反応しにくい材料(例えば、四弗化樹脂(PTFE)またはアルミナ等のセラミック材料など)で覆われている。
【0032】
制御部8は、減圧部3、ガス供給部4、マイクロ波発生部5、圧力制御部16、流量制御部13などの制御を行う。また、制御部8は、温度検出部7からの検出信号(温度の検出値)に基づいて放電管9の温度状態(プラズマ処理装置1の温度状態)を判定する。そして、温度検出部7からの検出信号に基づいてプラズマPの発生を制御することで、放電管9の温度を制御する。この場合、放電管9の温度の制御は、被処理物Wに対するプラズマ処理に先立って行われるようにすることができる。
なお、制御部8に電気的に接続された図示しない表示装置に温度情報を表示し、この表示に基づいて作業者が放電管9の温度状態(プラズマ処理装置1の温度状態)を判定するようにすることもできる。
放電管9の温度状態(プラズマ処理装置1の温度状態)の判定は、予め実験などにより求められた閾値(例えば、エッチングレートの安定性に関する温度の限界値など)などに基づいて行うようにすることができる。
【0033】
次に、プラズマ処理装置1の作用とともに本実施の形態に係るプラズマ処理方法について例示をする。
まず、被処理物Wに対するプラズマ処理に先立って「前処理」が行われる。なお、本実施の形態においては、「前処理」として放電管9の温度を制御する「暖機処理」を例に挙げて説明をする。
【0034】
「暖機処理」は、処理容器6内に被処理物Wが搬入されていない状態において行うようにすることができる。この場合、載置部15の上面(載置面)がダメージを受けないようにいわゆるダミーウェーハを載置、保持させるようにすることもできる。
【0035】
まず、放電管9の温度が温度検出部7により検出され、温度検出部7からの検出信号(温度の検出値)が制御部8に送られる。なお、前述した開閉部19が設けられている場合には、開閉部19が開かれ、孔部18aを介して放電管9の温度が検出される。
制御部8は、温度検出部7からの検出信号(温度の検出値)に基づいて放電管9の温度状態(プラズマ処理装置1の温度状態)を判定する。この場合、放電管9の温度状態(プラズマ処理装置1の温度状態)の判定は、予め実験などで求められた閾値(例えば、エッチングレートの安定性に関する温度の限界値など)などに基づいて行うようにすることができる。
【0036】
放電管9の温度が低いと判定された場合には、プラズマPを発生させて放電管9の温度を上昇させる。まず、処理容器6内が減圧部3により所定圧力まで減圧される。この際、圧力制御部16により処理容器6内の圧力が調整される。また、処理容器6と連通する放電管9の内部も減圧される。
そして、プラズマ発生部2により放電管9内にプラズマPを発生させ、発生させたプラズマPの熱で放電管9の温度を上昇させる。この場合、ガス供給部4から流量制御部13を介して所定流量のガス(例えば、後述する被処理物Wに対するプラズマ処理に用いられるプロセスガスG、Ar(アルゴン)ガスなどの不活性ガスなど)が放電管9内に供給されるようにすることもできる。なお、プラズマPの発生に関する詳細は後述する。
【0037】
制御部8により、放電管9の温度が適正な範囲内に入ったと判定された場合には、プラズマPの発生を停止させて「暖機処理」を終了させる。なお、制御部8に電気的に接続された図示しない表示装置に温度情報を表示し、この表示に基づいて作業者が放電管9の温度状態(プラズマ処理装置1の温度状態)を判定するようにすることもできる。この場合には、作業者がプラズマPの発生を停止させるための指令を制御部8に入力することになる。
一方、放電管9の温度が高いと判定された場合には、ガス供給部4から放電管9内にガスを供給することで放電管9の冷却を行うようにすることができる。あるいは、放電管9の外周壁に巻きつけられた図示しない冷却管の内部に冷却媒体を流すことで放電管9を冷却するようにしてもよい。
【0038】
以上は、「前処理」が放電管9の温度を制御する「暖機処理」の場合である。「前処理」として「クリーニング処理」を行う場合も同様の手順とすることができる。この場合、放電管9内に供給されるガスはクリーニングガス(例えば、酸素を含有したガス、Ar(アルゴン)などの不活性ガスなど)とされる。また、図示しない分光器などを設けて「クリーニング処理」の終点判定をすることもできる。すなわち、所定の波長の光の発光強度から「クリーニング処理」の終点判定をすることもできる。ただし、「前処理」の主目的が「クリーニング処理」であっても放電管9の温度状態(プラズマ処理装置1の温度状態)を適正な範囲内に収める必要がある。そのため、所定の波長の光の発光強度から「クリーニング処理」が終了したと判定された場合であっても、放電管9の温度が所定の温度より低い場合には、放電管9の温度が適正な範囲内に収まるまではプラズマPの発生を継続させるようにする。そして、制御部8により、放電管9の温度が適正な範囲内に入ったと判定された場合には、プラズマPの発生を停止させて「クリーニング処理」を終了させる。なお、「クリーニング処理」の終了時において放電管9の温度が所定の温度より高い場合には、「クリーニング処理」を終了させて放電管9の温度が適正な範囲内に収まるのを待って「前処理」を終了させるようにする。この場合、ガス供給部4から放電管9内にガスを供給することで放電管9の冷却を行うようにすることもできる。あるいは、放電管9の外周壁に巻きつけられた図示しない冷却管の内部に冷却媒体を流すことで放電管9を冷却するようにしてもよい。
【0039】
次に、被処理物Wに対するプラズマ処理が行われる。
被処理物Wに対するプラズマ処理においては、まず、図示しない搬送装置により被処理物W(例えば、半導体ウェーハやガラス基板など)が、処理容器6内に搬入され、載置部15上に載置、保持される。
次に、処理容器6内が減圧部3により所定圧力まで減圧される。この際、圧力制御部16により処理容器6内の圧力が調整される。また、処理容器6と連通する放電管9の内部も減圧される。
【0040】
次に、プラズマ発生部2により中性活性種を含むプラズマ生成物が生成される。すなわち、まず、ガス供給部4から流量制御部13を介して所定流量のプロセスガスG(例えば、CFなど)が放電管9内に供給される。一方、マイクロ波発生部5から所定のパワーのマイクロ波Mが導入導波管10内に放射される。放射されたマイクロ波Mは導入導波管10内を導波され、スロット12を介して放電管9に向けて放射される。
【0041】
放電管9に向けて放射されたマイクロ波Mは、放電管9の表面を伝搬して、放電管9内に放射される。このようにして放電管9内に放射されたマイクロ波Mのエネルギーにより、プラズマPが発生する。そして、発生したプラズマP中の電子密度が、放電管9を介して供給されるマイクロ波Mを遮蔽できる密度(カットオフ密度)以上になると、マイクロ波Mは放電管9の内壁面から放電管9内の空間に向けて一定距離(スキンデプス)だけ入るまでの間に反射されるようになる。そのため、このマイクロ波Mの反射面とスロット12の下面との間にはマイクロ波Mの定在波が形成されることになる。その結果、マイクロ波Mの反射面がプラズマ励起面となって、このプラズマ励起面で安定的にプラズマPが励起、発生するようになる。このプラズマ励起面で励起、発生したプラズマP中において、プロセスガスGが励起、活性化されて中性活性種、イオンなどのプラズマ生成物が生成される。
【0042】
生成されたプラズマ生成物を含むガスは、輸送管14を介して処理容器6内に搬送される。この際、寿命の短いイオンなどは処理容器6にまで到達できず、寿命の長い中性活性種のみが処理容器6に到達することになる。処理容器6内に導入された中性活性種を含むガスは、整流板17で整流されて被処理物Wの表面に到達し、エッチング処理などのプラズマ処理が行われる。本実施の形態においては、主に中性活性種による等方性処理(例えば、等方性エッチングなど)が行われることになる。
【0043】
処理が終了した被処理物Wは、図示しない搬送装置により処理容器6外に搬出される。この後、必要があれば、被処理物Wに対するプラズマ処理が繰り返される。なお、前述した「前処理」は、プラズマ処理装置1の稼働開始時、ロットの切り替え時などに行うようにすることができる。また、生産の過程において「前処理」を適宜行うようにすることもできる。この場合、定期的に「前処理」を行うようにすることもできるし、温度検出部7や図示しない分光器などからの信号に基づいて「前処理」の必要性を判定することもできる。
【0044】
以上に例示をしたように、本実施の形態に係るプラズマ処理方法は、大気圧よりも減圧された雰囲気においてプラズマPを発生させ、プラズマPに向けて供給されたプロセスガスGを励起させてプラズマ生成物を生成し、生成されたプラズマ生成物を用いて被処理物Wに対するプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、プラズマPを発生させる領域に面する位置に設けられた部材(放電管9)の温度に基づいてプラズマPの発生を制御することで、前記部材の温度を制御する第1の処理工程(「前処理」工程)と、生成されたプラズマ生成物を用いて被処理物Wに対するプラズマ処理を行う第2の処理工程と、を有している。
【0045】
本実施の形態によれば、温度検出部7を設けることで、被処理物に対するプラズマ処理の安定性に影響を及ぼす部分の温度を直接的に検出することができる。そのため、時間管理などによりプラズマ処理装置1の温度状態を推測する場合などと比べてより正確にプラズマ処理装置1の温度状態を知ることができる。そして、より適切な「前処理」を行うことができるようになるので、プラズマ処理装置1の温度状態管理をより正確に行うことができる。
この場合、被処理物Wに対するプラズマ処理の安定性は、プラズマ処理装置1の温度状態によって変動する。そのため、プラズマ処理装置1の温度状態管理をより正確に行うことで、生産性、歩留まり、品質などの向上を図ることができる。
【0046】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
また、図3は、図2におけるA−A矢視断面図である。
図2に例示をするプラズマ処理装置30は、一般に「SWP(Surface Wave Plasma:表面波プラズマ)装置」と呼ばれるマイクロ波励起型のプラズマ処理装置である。すなわち、マイクロ波により励起、発生させたプラズマを用いてプロセスガスからプラズマ生成物を生成し、被処理物の処理を行うプラズマ処理装置の一例である。
【0047】
図2に示すように、プラズマ処理装置30は、プラズマ発生部31、減圧部3、ガス供給部4、マイクロ波発生部5、処理容器32、温度検出部7、制御部33などを備えている。
プラズマ発生部31は、プラズマPを発生させる領域にマイクロ波(電磁エネルギー)を供給することでプラズマPを発生させる。
プラズマ発生部31には、透過窓34、導入導波管35が設けられている。透過窓34は平板状を呈し、マイクロ波Mに対する透過率が高くエッチングされにくい材料からなる。例えば、透過窓34をアルミナや石英などの誘電体からなるものとすることができる。透過窓34は、処理容器32の上端に気密となるようにして設けられている。
【0048】
処理容器32の外側であって、透過窓34の上面には導入導波管35が設けられている。なお、図示は省略したが終端整合器やスタブチューナを適宜設けるようにすることもできる。導入導波管35は、マイクロ波発生部5から放射されたマイクロ波Mを透過窓34に向けて導波する。
導入導波管35と透過窓34との接続部分には、スロット36が設けられている。スロット36は、導入導波管35の内部を導波されてきたマイクロ波Mを透過窓34に向けて放射するためのものである。
【0049】
前述したように、被処理物Wに対するプラズマ処理の安定性に影響を及ぼすおそれのある部分の温度を検出できるように温度検出部7を配設することが好ましい。すなわち、プラズマPを発生させる領域に面する位置に設けられ、ある程度の熱容量を有する部材の温度を検出できるように温度検出部7を配設することが好ましい。そのため、本実施の形態においては透過窓34の温度を検出できるように温度検出部7を配設している。なお、整流板17や処理容器32の壁面などの温度を検出できるように温度検出部7を配設することもできる。以下においては、透過窓34の温度を検出する場合について例示をする。
【0050】
図2、図3に示すように、導入導波管35の側方には、プラズマPを発生させる領域と対向させるようにして温度検出部7が設けられている。
また、温度検出部7により検出された透過窓34の温度を、必要に応じて補正することもできる。すなわち、被処理物Wに対するプラズマ処理に与える影響を考慮して、最も適切な温度、例えば、プラズマPを発生させる領域により近い透過窓34の内壁面温度や透過窓34の平均温度などに補正することができる。検出位置における温度とこれらの温度との間には一定の相関関係があるので、この相関関係を予め実験などにより求めることで補正値を求めることができる。
【0051】
また、図1に例示をしたものと同様に、透過窓34の外側に設けられ、マイクロ波Mの漏洩を抑制する遮蔽部28と、遮蔽部28の温度検出部7に面する部分に設けられた孔部28aと、孔部28aの開閉を行う開閉部29とを設けることもできる。
【0052】
導入導波管35の一端には、マイクロ波発生部5が設けられている。このマイクロ波発生部5は、所定周波数(例えば2.75GHz)のマイクロ波Mを発生させ、導入導波管35に向けて放射することができるようになっている。
処理容器32の側壁上部には、流量制御部(Mass Flow Controller:MFC)13を介してガス供給部4が接続されている。そして、ガス供給部4から流量制御部13を介して処理容器32内のプラズマPを発生させる領域にプロセスガスGを供給することができるようになっている。また、制御部33により流量制御部13を制御することで、プロセスガスGの供給量が調整できるようになっている。
【0053】
処理容器32は、有底の略円筒形状を呈し、その内部には、図示しない静電チャックを内蔵した載置部15が設けられている。そして、載置部15の上面(載置面)に被処理物W(例えば、半導体ウェーハやガラス基板など)を載置、保持することができるようになっている。
処理容器32の底面には、圧力制御部(Auto Pressure Controller:APC)16を介してターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧部3が接続されている。減圧部3は、処理容器32の内部を所定の圧力まで減圧する。圧力制御部16は、処理容器32の内圧を検出する図示しない真空計の出力に基づいて、処理容器32の内圧が所定の圧力となるように制御する。すなわち、処理容器32は、内部にプラズマPを発生させる領域を有し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。
【0054】
ガス供給部4との接続部分よりは下方であって載置部15の上方には、載置部15の上面(載置面)と対向させるようにして整流板17が設けられている。整流板17は、プラズマPを発生させる領域において生成されたプラズマ生成物を含んだガスの流れを整流し、被処理物Wの処理面上におけるプラズマ生成物の量が略均一となるようにするためのものである。
【0055】
また、整流板17は、多数の孔部17aが設けられた略円形の板状体であり、処理容器32の内壁に固定されている。そして、整流板17と載置部15の上面(載置面)との間の領域が、被処理物に対する処理が行われる処理空間20となる。また、処理容器32の内壁面、整流板17の表面は、中性活性種と反応しにくい材料(例えば、四弗化樹脂(PTFE)またはアルミナ等のセラミック材料など)で覆われている。
【0056】
制御部33は、減圧部3、ガス供給部4、マイクロ波発生部5、圧力制御部16、流量制御部13などの制御を行う。また、温度検出部7からの検出信号(温度の検出値)に基づいて透過窓34の温度状態(プラズマ処理装置30の温度状態)を判定する。そして、温度検出部7からの検出信号に基づいてプラズマPの発生を制御することで、透過窓34の温度を制御する。この場合、透過窓34の温度の制御は、被処理物Wに対するプラズマ処理に先立って行われるようにすることができる。
【0057】
なお、制御部33に電気的に接続された図示しない表示装置に温度情報を表示し、この表示に基づいて作業者が透過窓34の温度状態(プラズマ処理装置30の温度状態)を判定するようにすることもできる。
この場合、透過窓34の温度状態(プラズマ処理装置30の温度状態)の判定は、予め実験などで求められた閾値(例えば、エッチングレートの安定性に関する温度の限界値など)などに基づいて行うようにすることができる。
【0058】
次に、プラズマ処理装置30の作用とともに本実施の形態に係るプラズマ処理方法について例示をする。
本実施の形態においても被処理物Wに対するプラズマ処理に先立って「前処理」が行われる。なお、本実施の形態においては、「前処理」として透過窓34の温度を制御する「暖機処理」を例に挙げて説明をする。
【0059】
「暖機処理」は、処理容器32内に被処理物Wが搬入されていない状態において行うようにすることができる。この場合、載置部15の上面(載置面)がダメージを受けないようにいわゆるダミーウェーハを載置、保持させるようにすることもできる。
まず、透過窓34の温度が温度検出部7により検出され、温度検出部7からの検出信号(温度の検出値)が制御部33に送られる。なお、前述した開閉部29が設けられている場合には、開閉部29が開かれて孔部28aを介して透過窓34の温度が検出される。
制御部33は、温度検出部7からの検出信号(温度の検出値)に基づいて透過窓34の温度状態(プラズマ処理装置30の温度状態)を判定する。この場合、透過窓34の温度状態(プラズマ処理装置30の温度状態)の判定は、予め実験などで求められた閾値(例えば、エッチングレートの安定性に関する温度の限界値など)などに基づいて行うようにすることができる。
【0060】
透過窓34の温度が低いと判定された場合には、プラズマPを発生させて透過窓34の温度を上昇させる。まず、処理容器32内が減圧部3により所定圧力まで減圧される。この際、圧力制御部16により処理容器32内の圧力が調整される。
そして、プラズマ発生部31によりプラズマPを発生させ、発生させたプラズマPの熱で透過窓34、整流板17、処理容器32の壁面などの温度を上昇させる。この場合、ガス供給部4から流量制御部13を介して所定流量のガス(例えば、後述する被処理物Wに対するプラズマ処理に用いられるプロセスガスG、Ar(アルゴン)ガスなどの不活性ガスなど)が処理容器32内のプラズマPを発生させる領域に供給されるようにすることもできる。なお、プラズマPの発生に関する詳細は後述する。
【0061】
制御部33により、透過窓34の温度が適正な範囲内に入ったと判定された場合には、プラズマPの発生を停止させて「暖機処理」を終了させる。なお、制御部33に電気的に接続された図示しない表示装置に温度情報を表示し、この表示に基づいて作業者が透過窓34の温度状態(プラズマ処理装置30の温度状態)を判定するようにすることもできる。この場合には、作業者がプラズマPの発生を停止させるための指令を制御部33に入力することになる。
【0062】
一方、透過窓34の温度が高いと判定された場合には、ガス供給部4から処理容器32内にガスを供給することで透過窓34の冷却を行うようにすることができる。
【0063】
以上は、「前処理」が透過窓34の温度を制御する「暖機処理」の場合である。「前処理」として「クリーニング処理」を行う場合も同様の手順とすることができる。この場合、処理容器32内のプラズマPを発生させる領域に供給されるガスはクリーニングガス(例えば、酸素を含有したガス、Ar(アルゴン)などの不活性ガスなど)とされる。また、図示しない分光器などを設けて「クリーニング処理」の終点判定をすることもできる。すなわち、所定の波長の光の発光強度から「クリーニング処理」の終点判定をすることもできる。ただし、「前処理」の主目的が「クリーニング処理」であっても透過窓34の温度状態(プラズマ処理装置30の温度状態)を適正な範囲内に収める必要がある。そのため、所定の波長の光の発光強度から「クリーニング処理」が終了したと判定された場合であっても、透過窓34の温度が所定の温度より低い場合には、透過窓34の温度が適正な範囲内に収まるまではプラズマPの発生を継続させるようにする。そして、制御部33により、透過窓34の温度が適正な範囲内に入ったと判定された場合には、プラズマPの発生を停止させて「クリーニング処理」を終了させる。なお、「クリーニング処理」の終了時において透過窓34の温度が所定の温度より高い場合には、「クリーニング処理」を終了させて透過窓34の温度が適正な範囲内に収まるのを待って「前処理」を終了させるようにする。この場合、ガス供給部4から処理容器32内にガスを供給することで透過窓34の冷却を行うようにすることもできる。
【0064】
次に、被処理物Wに対するプラズマ処理が行われる。
被処理物Wに対するプラズマ処理においては、まず、図示しない搬送装置により被処理物W(例えば、半導体ウェーハやガラス基板など)が、処理容器32内に搬入され、載置部15上に載置、保持される。
次に、処理容器32内が減圧部3により所定圧力まで減圧される。この際、圧力制御部16により処理容器32内の圧力が調整される。
【0065】
次に、プラズマ発生部31により中性活性種を含むプラズマ生成物が生成される。すなわち、まず、ガス供給部4から所定量のプロセスガスG(例えば、CFなど)が、流量制御部13を介して処理容器32内のプラズマPを発生させる領域に供給される。一方、マイクロ波発生部5から所定のパワーのマイクロ波Mが導入導波管35内に放射される。放射されたマイクロ波Mは、導入導波管35内を導波され、スロット36を介して透過窓34に向けて放射される。
【0066】
透過窓34に向けて放射されたマイクロ波Mは、透過窓34の表面を伝搬して、処理容器32内に放射される。このようにして処理容器32内に放射されたマイクロ波Mのエネルギーにより、プラズマPが発生する。そして、発生したプラズマP中の電子密度が、透過窓34を介して供給されるマイクロ波Mを遮蔽できる密度(カットオフ密度)以上になると、マイクロ波Mは透過窓34の下面から処理容器32内の空間に向けて一定距離(スキンデプス)だけ入るまでの間に反射されるようになる。そのため、このマイクロ波Mの反射面とスロット36の下面との間にはマイクロ波Mの定在波が形成されることになる。その結果、マイクロ波Mの反射面がプラズマ励起面となって、このプラズマ励起面で安定的にプラズマPが励起、発生するようになる。
【0067】
このプラズマ励起面で励起、発生したプラズマP中において、プロセスガスGが励起、活性化されて中性活性種、イオンなどのプラズマ生成物が生成される。生成されたプラズマ生成物を含むガスは、整流板17で整流されて被処理物Wの表面に到達し、エッチング処理などのプラズマ処理が行われる。
【0068】
本実施の形態においては、プラズマ生成物を含むガスが整流板17を通過する際に、イオンや電子が除去される。そのため、主に中性活性種による等方性処理(例えば、等方性エッチングなど)が行われることになる。なお、バイアス電圧を付加してイオンが整流板17を通過できるようにすることで、異方性処理(例えば、異方性エッチングなど)を行うようにすることもできる。
【0069】
処理が終了した被処理物Wは、図示しない搬送装置により処理容器32外に搬出される。この後、必要があれば、被処理物Wに対するプラズマ処理が繰り返される。なお、前述した「前処理」は、プラズマ処理装置30の稼働開始時、ロットの切り替え時などに行うようにすることができる。また、生産の過程において「前処理」を適宜行うようにすることもできる。この場合、定期的に「前処理」を行うようにすることもできるし、温度検出部7や図示しない分光器などからの信号に基づいて「前処理」の必要性を判定することもできる。
【0070】
以上に例示をしたように、本実施の形態に係るプラズマ処理方法は、大気圧よりも減圧された雰囲気においてプラズマPを発生させ、プラズマPに向けて供給されたプロセスガスGを励起させてプラズマ生成物を生成し、生成されたプラズマ生成物を用いて被処理物Wに対するプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、プラズマPを発生させる領域に面する位置に設けられた部材(例えば、透過窓34など)の温度に基づいてプラズマPの発生を制御することで、前記部材の温度を制御する第1の処理工程(「前処理」工程)と、生成されたプラズマ生成物を用いて被処理物Wに対するプラズマ処理を行う第2の処理工程と、を有している。
【0071】
本実施の形態によれば、温度検出部7を設けることで、被処理物に対するプラズマ処理の安定性に影響を及ぼす部分の温度を直接的に検出することができる。そのため、時間管理などによりプラズマ処理装置30の温度状態を推測する場合などと比べてより正確にプラズマ処理装置30の温度状態を知ることができる。そして、より適切な「前処理」を行うことができるようになるので、プラズマ処理装置30の温度状態管理をより正確に行うことができる。
この場合、被処理物Wに対するプラズマ処理の安定性は、プラズマ処理装置30の温度状態によって変動する。そのため、プラズマ処理装置30の温度状態管理をより正確に行うことで、生産性、歩留まり、品質などの向上を図ることができる。
【0072】
図4は、本発明の第3の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
図4に例示をするプラズマ処理装置40は、一般に「平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置」と呼ばれる容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)処理装置である。すなわち、平行平板電極に高周波電力を印加することで発生させたプラズマを用いてプロセスガスGからプラズマ生成物を生成し、被処理物の処理を行うプラズマ処理装置の一例である。
【0073】
図4に示すように、プラズマ処理装置40は、プラズマ発生部43、減圧部3、ガス供給部4、電源部44、処理容器42、温度検出部47、制御部41などを備えている。
処理容器42は、両端が閉塞された略円筒形状を呈し、減圧雰囲気が維持可能な気密構造となっている。
【0074】
処理容器42の内部にはプラズマPを発生させるプラズマ発生部43が設けられている。プラズマ発生部43には、下部電極48、上部電極49が設けられている。
下部電極48は、処理容器42内のプラズマPを発生させる領域の下方に設けられている。下部電極48には、被処理物Wを保持するための図示しない保持部が設けられている。図示しない保持部は、例えば静電チャックなどとすることができる。そのため、下部電極48は、上面(載置面)に被処理物Wを載置、保持する載置部ともなる。
【0075】
上部電極49は、下部電極48に対向させるようにして設けられている。そして、下部電極48にはブロッキングコンデンサ46を介して電源45が接続され、上部電極49は接地されている。そのため、プラズマ発生部43は、プラズマPを発生させる領域に電磁エネルギーを供給することでプラズマPを発生させることができる。
【0076】
ここで、被処理物Wに対するプラズマ処理の安定性に影響を及ぼすおそれのある部分の温度を検出できるように温度検出部47を配設することが好ましい。すなわち、プラズマPを発生させる領域に面する位置に設けられ、ある程度の熱容量を有する部材の温度を検出できるように温度検出部47を配設することが好ましい。以下においては、上部電極49の温度を検出する場合について例示をする。
【0077】
上部電極49には、温度検出部47が内蔵されている。温度検出部47としては、特に限定がなく、例えば、熱電対、測温抵抗体、サーミスタなどを用いた接触式のものとしてもよいし、放射温度計のような非接触式のものとしてもよい。なお、本実施の形態においては、温度検出部47を上部電極49に内蔵させるため接触式のものを用いている。
【0078】
ここで、温度検出部47を処理容器42の内部に露出するようにして設けるようにすれば、プラズマPにより温度検出部47が損傷したり、金属汚染などが引き起こされるおそれがある。そのため、本実施の形態においては上部電極49に温度検出部47を内蔵させるようにしている。なお、温度検出部47を下部電極48に内蔵させるようにすることもできるし、温度検出部47を処理容器42の壁面に内蔵させるようにすることもできる。 また、温度検出部47を処理容器42の外部に設け、処理容器42の壁面温度などを検出するようにすることもできる。また、温度検出部47を接触式のものとしてもよいし、前述した温度検出部7と同様に非接触式のものとしてもよい。
【0079】
また、温度検出部47により検出された上部電極49の温度を、必要に応じて補正することもできる。すなわち、被処理物Wに対するプラズマ処理に与える影響を考慮して、最も適切な温度、例えば、プラズマPを発生させる領域により近い上部電極49の表面温度や上部電極49の平均温度などに補正することができる。検出位置における温度とこれらの温度との間には一定の相関関係があるので、この相関関係を予め実験などにより求めることで補正値を求めることができる。
【0080】
電源部44には、電源45、ブロッキングコンデンサ46が設けられている。
電源45は、100KHz〜100MHz程度の高周波電力を下部電極48に印加する。ブロッキングコンデンサ46は、プラズマPの中で発生し下部電極48に到達した電子の移動を阻止するために設けられている。
【0081】
処理容器42の底面には、圧力制御部(Auto Pressure Controller:APC)16を介してターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧部3が接続されている。減圧部3は、処理容器42の内部を所定の圧力まで減圧する。圧力制御部16は、処理容器42の内圧を検出する図示しない真空計の出力に基づいて、処理容器42の内圧が所定の圧力となるように制御する。すなわち、処理容器42は、内部にプラズマPを発生させる領域を有し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。
【0082】
処理容器42の側壁上部には、流量制御部(Mass Flow Controller:MFC)13を介してガス供給部4が接続されている。そして、ガス供給部4から流量制御部13を介して処理容器42内のプラズマPを発生させる領域にプロセスガスGを供給することができるようになっている。また、制御部41により流量制御部13を制御することで、プロセスガスGの供給量が調整できるようになっている。
【0083】
制御部41は、減圧部3、ガス供給部4、電源45、圧力制御部16、流量制御部13などの制御を行う。
また、温度検出部47からの検出信号(温度の検出値)に基づいて上部電極49の温度状態(プラズマ処理装置40の温度状態)を判定する。そして、温度検出部47からの検出信号に基づいてプラズマPの発生を制御することで、上部電極49の温度を制御する。この場合、上部電極49の温度の制御は、被処理物Wに対するプラズマ処理に先立って行われるようにすることができる。
【0084】
なお、制御部41に電気的に接続された図示しない表示装置に温度情報を表示し、この表示に基づいて作業者が上部電極49の温度状態(プラズマ処理装置40の温度状態)を判定するようにすることもできる。
この場合、上部電極49の温度状態(プラズマ処理装置40の温度状態)の判定は、予め実験などで求められた閾値(例えば、エッチングレートの安定性に関する温度の限界値など)などに基づいて行うようにすることができる。
【0085】
次に、プラズマ処理装置40の作用とともに本実施の形態に係るプラズマ処理方法について例示をする。
本実施の形態においても被処理物Wに対するプラズマ処理に先立って「前処理」が行われる。なお、本実施の形態においては、「前処理」として上部電極49の温度を制御する「暖機処理」を例に挙げて説明をする。
【0086】
「暖機処理」は、処理容器42内に被処理物Wが搬入されていない状態において行うようにすることができる。この場合、下部電極48の上面(載置面)がダメージを受けないようにいわゆるダミーウェーハを載置、保持させるようにすることもできる。
まず、上部電極49の温度が温度検出部47により検出され、温度検出部47からの検出信号(温度の検出値)が制御部41に送られる。
制御部41は、温度検出部47からの検出信号(温度の検出値)に基づいて上部電極49の温度状態(プラズマ処理装置40の温度状態)を判定する。この場合、上部電極49の温度状態(プラズマ処理装置40の温度状態)の判定は、予め実験などで求められた閾値(例えば、エッチングレートの安定性に関する温度の限界値など)などに基づいて行うようにすることができる。
【0087】
上部電極49の温度が低いと判定された場合には、プラズマPを発生させて上部電極49の温度を上昇させる。まず、処理容器42内が減圧部3により所定圧力まで減圧される。この際、圧力制御部16により処理容器42内の圧力が調整される。
そして、プラズマ発生部43によりプラズマPを発生させ、発生させたプラズマPの熱で上部電極49、下部電極48、処理容器42の壁面などの温度を上昇させる。この場合、ガス供給部4から流量制御部13を介して所定流量のガス(例えば、後述する被処理物Wに対するプラズマ処理に用いられるプロセスガスG、Ar(アルゴン)ガスなどの不活性ガスなど)が処理容器42内のプラズマPを発生させる領域に供給されるようにすることもできる。なお、プラズマPの発生に関する詳細は後述する。
【0088】
制御部41により、上部電極49の温度が適正な範囲内に入ったと判定された場合には、プラズマPの発生を停止させて「暖機処理」を終了させる。なお、制御部41に電気的に接続された図示しない表示装置に温度情報を表示し、この表示に基づいて作業者が上部電極49の温度状態(プラズマ処理装置40の温度状態)を判定するようにすることもできる。この場合には、作業者がプラズマPの発生を停止させるための指令を制御部41に入力することになる。
【0089】
一方、上部電極49の温度が高いと判定された場合には、ガス供給部4から処理容器42内にガスを供給することで上部電極49の冷却を行うようにすることができる。
【0090】
以上は、「前処理」が上部電極49の温度を制御する「暖機処理」の場合である。「前処理」として「クリーニング処理」を行う場合も同様の手順とすることができる。この場合、処理容器42内のプラズマPを発生させる領域に供給されるガスはクリーニングガス(例えば、酸素を含有したガス、Ar(アルゴン)などの不活性ガスなど)とされる。また、図示しない分光器などを設けて「クリーニング処理」の終点判定をすることもできる。すなわち、所定の波長の光の発光強度から「クリーニング処理」の終点判定をすることもできる。ただし、「前処理」の主目的が「クリーニング処理」であっても上部電極49の温度状態(プラズマ処理装置40の温度状態)を適正な範囲内に収める必要がある。そのため、所定の波長の光の発光強度から「クリーニング処理」が終了したと判定された場合であっても、上部電極49の温度が所定の温度より低い場合には、上部電極49の温度が適正な範囲内に収まるまではプラズマPの発生を継続させるようにする。そして、制御部41により、上部電極49の温度が適正な範囲内に入ったと判定された場合には、プラズマPの発生を停止させて「クリーニング処理」を終了させる。なお、「クリーニング処理」の終了時において上部電極49の温度が所定の温度より高い場合には、「クリーニング処理」を終了させて上部電極49の温度が適正な範囲内に収まるのを待って「前処理」を終了させるようにする。この場合、ガス供給部4から処理容器42内にガスを供給することで上部電極49の冷却を行うようにすることもできる。
【0091】
次に、被処理物Wに対するプラズマ処理が行われる。
被処理物Wに対するプラズマ処理においては、まず、図示しない搬送装置により被処理物W(例えば、半導体ウェーハやガラス基板など)が、処理容器42内に搬入され、下部電極48上に載置、保持される。
次に、処理容器42内が減圧部3により所定圧力まで減圧される。この際、圧力制御部16により処理容器42内の圧力が調整される。
【0092】
次に、プラズマ発生部43により中性活性種を含むプラズマ生成物が生成される。すなわち、まず、ガス供給部4から所定量のプロセスガスG(例えば、CFなど)が、流量制御部13を介して処理容器42内のプラズマPを発生させる領域に供給される。
一方、電源部44より100KHz〜100MHz程度の高周波電力が下部電極48に印加される。すると、下部電極48と上部電極49とが平行平板電極を構成するため、電極間に放電が起こりプラズマPが発生する。発生したプラズマPによりプロセスガスGが励起、活性化されて中性活性種、イオン、電子などのプラズマ生成物が生成される。この生成されたプラズマ生成物が、処理容器42内を下降して被処理物Wの表面に到達し、エッチング処理などのプラズマ処理が行われる。
【0093】
この場合、生成されたイオンと電子のうち、質量の軽い電子は動きが速く、下部電極48と上部電極49にすぐに到達する。下部電極48に到達した電子は、ブロッキングコンデンサ46により移動を阻止され下部電極48を帯電させる。下部電極48の帯電圧は400V〜1000V程度に達するが、これを「陰極降下」という。一方、上部電極49は接地されているため、到達した電子は移動が阻止されず、上部電極49はほとんど帯電しない。
【0094】
そして、陰極降下により発生する垂直な電界に沿ってイオンが下部電極48(被処理物W)方向に移動し、被処理物Wの表面に入射することで物理的なプラズマ処理(異方性処理)が行われる。なお、中性活性種は、ガス流や重力により下降して被処理物Wの表面に到達し、化学的なプラズマ処理(等方性処理)が行われる。
【0095】
処理が終了した被処理物Wは、図示しない搬送装置により処理容器42外に搬出される。この後、必要があれば、被処理物Wに対するプラズマ処理が繰り返される。なお、前述した「前処理」は、プラズマ処理装置40の稼働開始時、ロットの切り替え時などに行うようにすることができる。また、生産の過程において「前処理」を適宜行うようにすることもできる。この場合、定期的に「前処理」を行うようにすることもできるし、温度検出部47や図示しない分光器などからの信号に基づいて「前処理」の必要性を判定することもできる。
【0096】
以上に例示をしたように、本実施の形態に係るプラズマ処理方法は、大気圧よりも減圧された雰囲気においてプラズマPを発生させ、プラズマPに向けて供給されたプロセスガスGを励起させてプラズマ生成物を生成し、生成されたプラズマ生成物を用いて被処理物Wに対するプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、プラズマPを発生させる領域に面する位置に設けられた部材(例えば、上部電極49など)の温度に基づいてプラズマPの発生を制御することで、前記部材の温度を制御する第1の処理工程(「前処理」工程)と、生成されたプラズマ生成物を用いて被処理物Wに対するプラズマ処理を行う第2の処理工程と、を有している。
【0097】
本実施の形態によれば、温度検出部47を設けることで、被処理物に対するプラズマ処理の安定性に影響を及ぼす部分の温度を直接的に検出することができる。そのため、時間管理などによりプラズマ処理装置40の温度状態を推測する場合などと比べてより正確にプラズマ処理装置40の温度状態を知ることができる。そして、より適切な「前処理」を行うことができるようになるので、プラズマ処理装置40の温度状態管理をより正確に行うことができる。
この場合、被処理物Wに対するプラズマ処理の安定性は、プラズマ処理装置40の温度状態によって変動する。そのため、プラズマ処理装置40の温度状態管理をより正確に行うことで、生産性、歩留まり、品質などの向上を図ることができる。
【0098】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1、プラズマ処理装置30、プラズマ処理装置40が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0099】
また、マイクロ波励起型、容量結合型のプラズマ処理装置を例に挙げて説明したが、プラズマの発生方式はこれらに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、プラズマ処理は、エッチング処理やアッシング処理などに限定されるわけではなく、例えば、表面活性化処理、成膜処理(スパッタリングやプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)など)、無薬剤殺菌処理など各種のプラズマ処理とすることができる。
【0100】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0101】
1 プラズマ処理装置、2 プラズマ発生部、3 減圧部、4 ガス供給部、5 マイクロ波発生部、6 処理容器、7 温度検出部、8 制御部、9 放電管、10 導入導波管、14 輸送管、15 載置部、16 圧力制御部、30 プラズマ処理装置、31 プラズマ発生部、32 処理容器、33 制御部、34 透過窓、35 導入導波管、40 プラズマ処理装置、41 制御部、42 処理容器、43 プラズマ発生部、44 電源部、45 電源、46 ブロッキングコンデンサ、47 温度検出部、48 下部電極、49 上部電極、M マイクロ波、P プラズマ、W 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、
前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、
前記処理容器の内部に設けられた被処理物を載置する載置部と、
内部にプラズマを発生させる領域を有し、前記処理容器から離隔された位置に設けられた放電管と、
マイクロ波発生部から放射されたマイクロ波を伝播させて、前記プラズマを発生させる領域にマイクロ波を導入する導入導波管と、
前記プラズマを発生させる領域にプロセスガスを供給するガス供給部と、
前記放電管と、前記処理容器と、を連通させる輸送管と、
前記放電管の温度を検出する第1の温度検出部と、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1の温度検出部からの検出信号に基づいて前記プラズマの発生を制御することで、前記放電管の温度を制御する第1の制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の制御部は、前記放電管の温度の制御を、被処理物に対するプラズマ処理に先立って実行することを特徴とする請求項2記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
内部にプラズマを発生させる領域を有し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、
前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、
前記処理容器の内部に設けられた被処理物を載置する載置部と、
前記プラズマを発生させる領域に電磁エネルギーを供給することでプラズマを発生させるプラズマ発生部と、
前記プラズマを発生させる領域にプロセスガスを供給するガス供給部と、
前記プラズマを発生させる領域に面する位置に設けられた部材の温度を検出する第2の温度検出部と、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第2の温度検出部からの検出信号に基づいて前記プラズマの発生を制御することで、前記部材の温度を制御する第2の制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第2の制御部は、前記部材の温度の制御を、被処理物に対するプラズマ処理に先立って実行することを特徴とする請求項5記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
大気圧よりも減圧された雰囲気においてプラズマを発生させ、前記プラズマに向けて供給されたプロセスガスを励起させてプラズマ生成物を生成し、前記プラズマ生成物を用いて被処理物に対するプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、
プラズマを発生させる領域に面する位置に設けられた部材の温度に基づいてプラズマの発生を制御することで、前記部材の温度を制御する第1の処理工程と、
前記プラズマ生成物を用いて被処理物に対するプラズマ処理を行う第2の処理工程と、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記部材は、内部にプラズマを発生させる領域を有する放電管であることを特徴とする請求項7記載のプラズマ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−29475(P2011−29475A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175076(P2009−175076)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】