説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】ゲート絶縁膜の信頼性および半導体装置の性能を確保可能である半導体装置の製造方法および半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる半導体装置の製造方法は、Si基板100上にゲート絶縁膜103を形成するゲート絶縁膜形成工程と、ゲート絶縁膜103上に第1の金属膜を形成する第1の金属膜形成工程と、第1の金属膜上に金属電極104を構成する第2の金属膜を形成する第2の金属膜形成工程と、熱処理を行なってゲート絶縁膜103と第1の金属膜との間にゲート絶縁膜103と第1の金属膜との反応膜118を形成する反応膜形成工程とを行なって、第1の金属膜形成工程時のゲート絶縁膜103の損傷を回復させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属電極構造を有する半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、半導体装置の高性能化を実現するため、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)の微細化が進められている。このMOSFETの微細化にともなってゲート絶縁膜であるシリコン酸化膜(SiO膜)を薄膜化させた場合、トンネル電流によるゲートリーク電流が増大するため、0.1μm世代以降のデバイスでは、ゲート酸化膜のスケーリングに限界があった。さらに、この0.1μm世代以降のデバイスでは、ゲート電極の空乏化が無視できなくなり、ゲート絶縁膜の実効酸化膜厚の薄膜化の実現が難しかった。
【0003】
そこで、近年では、ゲート絶縁膜材料として高誘電率材料であるHfSiON等の金属酸化物を採用し、SiO換算膜厚を薄くするとともに実際の物理的膜厚を厚くして、ゲートリーク電流の増大を抑制する方法が提案されている。そして、ゲート絶縁膜の物理的膜厚が1nm未満の領域では、従来の多結晶シリコンを用いたゲート電極ではFET自体を実現することが困難であることから、ゲート絶縁膜上に形成されるゲート電極材料として金属材料を採用することによって、電極空乏化による容量低下を防止し実効的なゲート絶縁膜の薄膜化を図る方法が提案されている(たとえば、特許文献1または2参照)。
【0004】
しかしながら、金属電極形成のためにゲート絶縁膜直上に金属膜を成膜した場合、この金属膜成膜処理によってゲート絶縁膜表面に損傷が発生する場合があり、この結果、ゲート絶縁膜の信頼性劣化や、固定電荷発生による移動度低下などのFET性能劣化が発生するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−343790号公報
【特許文献2】特開2007−243009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ゲート絶縁膜の信頼性および半導体装置の性能を確保可能である半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板上にゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、前記ゲート絶縁膜上に第1の金属膜を形成する第1の金属膜形成工程と、前記第1の金属膜上に第2の金属膜を形成する第2の金属膜形成工程と、熱処理を行なって前記ゲート絶縁膜と前記第1の金属膜との間に前記ゲート絶縁膜と前記第1の金属膜との反応膜を形成する反応膜形成工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、基板上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された第1の金属膜と前記ゲート絶縁膜との熱処理による反応で生成した前記ゲート絶縁膜と前記第1の金属膜との反応膜と、前記反応膜上に位置する第2の金属膜と、を備えたことを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、ゲート絶縁膜の信頼性および半導体装置の性能を確保することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる半導体装置の製造方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施の形態で用いられる半導体装置の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。さらに、実施の形態中に示した層の厚さは一例であり、これに限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施の形態)
まず、本第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置の構造について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における半導体装置の構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0012】
図1に示す半導体装置1は、nチャネル型のMIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタを備えた構成を有する。半導体装置1として、シリコン(Si)基板100に、素子分離領域101が形成されている。素子分離領域101は、Si基板100に形成される素子の活性領域間を分離する機能を有し、たとえばSTI(Shallow Trench Isolation)法によって形成される。nチャネル型のMISトランジスタは、p型不純物をSi基板100内にドーピングして形成されるp型ウェル上に形成される。
【0013】
図1に示すように、nチャネル型のMISトランジスタは、Si基板100上に形成されたSiO膜102、ゲート絶縁膜103、金属電極104、金属電極104上に形成され金属電極104とともにゲート電極として機能する多結晶シリコン膜105、多結晶シリコン膜105上に形成されたシリサイド膜112を有する電極構造を備える。そして、nチャネル型のMISトランジスタは、ゲート電極の側壁にSiO膜107、シリコン窒化膜(SiN膜)109およびSiO膜110によって形成された側壁膜を備えた構成を有する。これらの側壁膜直下のSi基板100内には、n型不純物が浅く拡散した拡散層108が形成されており、この拡散層108の外側にはn型不純物が深くまで拡散した拡散層111が形成されている。これらの拡散層上には、シリサイド膜112が形成されている。そして、半導体装置1は、拡散層108上のシリサイド膜112、ゲート電極上のシリサイド膜112と、第2の層間膜115内に形成された各配線116とをそれぞれ接続するコンタクト114が、第1の層間膜113内に設けられた構成を有する。
【0014】
ゲート絶縁膜103は、従来ゲート絶縁膜材料として選択されていたシリコン酸化膜(SiO膜)よりも誘電率の高い高誘電体膜によって形成される。この結果、SiO換算膜厚を薄くするとともに実際の物理的膜厚を厚くして、ゲートリーク電流の増大を抑制する。ゲート絶縁膜103は、たとえば、高誘電体材料であるハフニウム系絶縁膜のHfSiONを用いて形成される。
【0015】
金属電極104は、たとえば炭化タンタル(TaC)を用いて形成される。この金属電極104を採用することによって、電極空乏化による容量低下を防止することができるため、実効的なゲート絶縁膜をさらに薄膜化することができる。なお、多結晶シリコン膜105とTaCとの反応防止用に、多結晶シリコン膜105と金属電極104との界面に、たとえば窒化チタン膜(TiN膜)などのバリアメタル膜が設けられていてもよい。
【0016】
さらに、nチャネル型のMISトランジスタは、図1に示すように、ゲート絶縁膜103と金属電極104との間に、金属電極104を構成する金属膜とは別にゲート絶縁膜103上に形成された所定の金属膜とゲート絶縁膜103表層との、熱処理による反応で生成した反応膜118を備えた構成を有する。ここで、金属電極104を構成する金属膜は、特許請求の範囲における第2の金属膜に対応し、この金属電極104を構成する金属膜とは別にゲート絶縁膜103上に形成された金属膜は、特許請求の範囲における第1の金属膜に対応する。
【0017】
この反応膜118は、第1の金属膜形成時におけるゲート絶縁膜103表面の損傷を回復させるために形成されたものである。すなわち、この反応膜118が形成されることによって、ゲート絶縁膜103の損傷が残存することを防止できる。言い換えると、図1に示すMIS型トランジスタは、損傷の少ないゲート絶縁膜103によって構成されるため、ゲート絶縁膜103の信頼性および半導体装置の性能を確保することができる。
【0018】
そこで、図2−1〜図2−6を参照して、この損傷の少ないゲート絶縁膜103によって構成される半導体装置1の製造方法について説明する。図2−1〜図2−6は、図1に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。
【0019】
まず、図2−1に示すように、Si基板100の表面に、STI法などによって所定のパターンの素子分離領域101を形成する。具体的には、たとえばSi基板100上にバッファ膜を介してマスクとなるSiN膜を堆積し、レジストによるパターン転写法を用いて、SiN膜、バッファ膜、Si基板100を所定の深さまでエッチングする。そして、レジストを除去後に、Si基板100全面にSiO膜を堆積させ、CMP(Chemical-Mechanical Polishing)等で平坦化することによって素子分離領域101を形成する。そして、p型不純物をSi基板100内にドーピングしてp型ウェルを形成した後、Si基板100全面に、たとえば0.8nm程度の膜厚のSiO膜102aを形成する。その後、ゲート絶縁膜103を構成するハフニウム系絶縁膜103aを、有機ソースを用いたCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)で形成する。このハフニウム系絶縁膜103aとしては、HfSiON膜、HfO膜、HfSiO膜がある。このハフニウム系絶縁膜103aは、たとえば2nm程度の膜厚で形成される。
【0020】
その後、図2−2に示すように、ハフニウム系絶縁膜103a上に第1の金属膜117を形成する。この第1の金属膜117は、スパッタ法を用いて形成された、たとえば0.5nmの極薄膜のTa膜である。そして、この第1の金属膜117上に、炭化タンタル(TaC)であるTaCおよびTaCのうち、熱的安定性の高いTaCを材料として第2の金属膜104aを形成する。この第2の金属膜104aを構成するTaC膜は、たとえばスパッタ法を用いて形成され、膜厚はたとえば10nmである。なお、第2の金属膜104aとして、TaC膜上にバリアメタル膜として機能するTiN膜を形成してもよい。
【0021】
次いで、たとえば900℃10秒程度の熱処理を行なって、ハフニウム系絶縁膜103aと第1の金属膜117との間に、図2−3に示すように、ハフニウム系絶縁膜103aと第1の金属膜117との反応膜118aを形成する。ハフニウム系絶縁膜103aとしてHfSiON膜を形成した場合には、このHfSiON膜と第1の金属膜117を形成するTa膜とが反応し、TaHfSiON膜が反応膜118aとして形成される。この反応膜118aは、スパッタ法による第1の金属膜117の形成時において、第1の金属膜117直下のハフニウム系絶縁膜103a表面に与えられたプラズマを介した静電ダメージ部分と、第1の金属膜117とが反応したものである。したがって、この反応膜118aを形成するための熱処理は、ハフニウム系絶縁膜103a表面の静電ダメージ部分を回復させて、ハフニウム系絶縁膜103aの損傷が残存することを防止するものとなる。
【0022】
そして、図2−3に示すように、第2の金属膜104a上全面に、多結晶シリコン膜105aをたとえば膜厚80nmで形成し、この多結晶シリコン膜105aにPイオンを注入した後に、後述するエッチング処理やエッチバック処理においてゲート電極上部の保護膜として機能するSiN膜106aをたとえば膜厚100nmで形成する。
【0023】
続いて、SiN膜106a上にフォトレジストを塗布し、これを露光および現像処理することでゲート電極形成領域上方にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、ゲート電極形成領域以外の、SiN膜106a、多結晶シリコン膜105a、第2の金属膜104a、反応膜118a、ハフニウム系絶縁膜103a、SiO膜102aをエッチングする。たとえば、SiN膜106a、多結晶シリコン膜105a、第2の金属膜104a、反応膜118aに対しては、異方性エッチングを用いてエッチング処理を行ない、ハフニウム系絶縁膜103a、SiO膜102aに対しては、たとえば異方性エッチングまたは希釈Hf処理によってエッチング処理を行なう。この結果、図2−4に示すように、たとえば30nmのゲート幅パターンであって、SiO膜102、ゲート絶縁膜103、反応膜118、金属電極104、多結晶シリコン膜105によって構成されるゲート電極が形成される。なお、レジストパターンは、その後除去される。また、多結晶シリコン膜105上には、保護膜として機能するSiN膜106が残存しており、その後のエッチング処理においても保護膜として機能する。
【0024】
その後、基板全面にSiO膜を堆積した後、このSiO膜に対するエッチバック処理を行ない、図2−5に示すように、ゲート電極パターンの側壁部分をSiO膜107で囲む構造とする。そして、Si基板100内に、たとえば不純物としてAsイオンを注入後、たとえば800℃5秒の結晶回復用の熱処理を行なうことによって、拡散層108を形成する。次いで、SiN膜およびSiO膜を堆積した後、このSiN膜およびSiO膜のエッチバックを行い、ゲート電極パターン側壁部に、図2−6に示すように、SiN膜109およびSiO膜110による側壁膜を形成する。この場合、ゲート電極パターンを構成する多結晶シリコン膜105上に残存していたSiN膜106は除去される。その後、たとえば不純物としてPイオンを注入後、注入された不純物を活性化させるため、たとえば1030℃5秒の熱処理を行なうことによって、拡散層111を形成する。つぎに、たとえば膜厚10nmのニッケル(Ni)膜を形成し、350℃30秒程度の熱処理を行なって、NiとSi基板100におけるSi、および、Niとゲート電極パターン最上層の多結晶シリコン105表面とを反応させてから、未反応のNi膜を、たとえば硫酸と過酸化水素水との混合液で除去する。そして、500℃30秒程度の加熱処理を行なうことによって、ゲート電極上および拡散層108上に、シリサイド膜112を形成する。
【0025】
次いで、図1に示す第1の層間膜113を基板全面に堆積し、この第1の層間膜113上に所望のコンタクトパターンを形成してから、このコンタクトパターン内部に、たとえば、チタン(Ti)/TiN/タングステン(W)膜を埋め込み、CMP法を用いて平坦化することによって、図1に示すコンタクト114を形成する。その後、図1に示す第2の層間膜115を基板全面に堆積し、所望の溝パターンを形成した後に窒化タンタル(TaN)/銅(Cu)膜を埋め込み、CMP法を用いて平坦化することによって、コンタクト114を電気的に接続する配線116を形成することで、図1に示す半導体装置1が得られる。
【0026】
本第1の実施の形態では、ゲート絶縁膜103を構成するハフニウム系絶縁膜103aと、金属電極104を構成する第2の金属膜104aであるTaC膜との間に、極薄膜のTa膜を第1の金属膜117としてスパッタ法を用いて形成し、その後の熱処理によって第2の金属膜117とハフニウム系絶縁膜103aとを反応させた反応膜118を形成している。
【0027】
ここで、従来では、金属電極を構成する単層の金属膜をゲート絶縁膜にスパッタ法を用いて形成していた。具体的に、TaC膜のうち、熱的安定性に乏しく反応性に富むTaC膜を金属電極材料として用いた場合、および、熱的安定性に富み反応性に乏しいTaC膜を金属電極材料として用いた場合を例に、従来技術について説明する。
【0028】
まず、図3に、金属電極材料としてTaC膜を用い1000℃10秒の熱処理を行なった場合におけるゲート電極の断面模式図を示し、図4に、金属電極材料としてTaC膜を用い1000℃10秒の熱処理を行なった場合におけるゲート電極の断面模式図を示す。
【0029】
図3に示すように、金属電極を構成する金属膜としてTaC膜303をハフニウム系絶縁膜301上に形成した場合、1000℃10秒の熱処理によって、TaC膜303とハフニウム系絶縁膜301との間に、TaCとハフニウム系絶縁膜との反応膜302が形成される結果が得られた。たとえば、ハフニウム系絶縁膜301としてHfSiON膜を形成した場合には、この反応膜302として、TaHfSiON膜が局所的に形成される。TaC膜形成後に行なわれた各種熱処理によって、熱的安定性に乏しいTaC膜303下部表面と、接触するハフニウム系絶縁膜301の表面とが反応してしまったからである。
【0030】
これに対し、図4に示すように、金属電極を構成する金属膜としてTaC膜304をハフニウム系絶縁膜301上に形成した場合、1000℃10秒の熱処理が行なわれた場合であっても、TaC膜304とハフニウム系絶縁膜301との間に、TaCとハフニウム系絶縁膜との反応膜は形成されない。これは、TaC膜304は、TaC膜形成後に行なわれる各種熱処理によってもハフニウム系絶縁膜301とは反応しない程度に熱的安定性に富むためである。
【0031】
本来であれば、金属電極を構成する金属膜とゲート絶縁膜とが反応した場合、ゲート絶縁膜と金属膜との反応膜が局所的に形成してしまい、さらに、金属電極として機能する金属膜がゲート絶縁膜との反応に消費されてしまうことから電極の容量低下が懸念され、トランジスタの移動度が低下してしまうものと考えられる。このため、図3に示すハフニウム系絶縁膜301との間で反応膜302を形成するTaC膜303を金属電極材料として用いた場合には、図4に示すTaC膜304を金属電極材料として用いた場合よりもトランジスタ特性が劣化することが予想される。
【0032】
図3に示すTaC膜303を用いたトランジスタと図4に示すTaC膜304を用いたトランジスタにおける移動度を求めた。図6は、図3に示すTaC膜303を用いたトランジスタと図4に示すTaC膜304を用いたトランジスタにおける供給電界と移動度との関係を示す図である。図6に示す曲線l2は、図3に示すTaC膜303を用いたトランジスタの移動度特性に対応し、図6に示すl3は、図4に示すTaC膜304を用いたトランジスタの移動度特性に対応する。しかしながら、実際には、この図6の曲線l1および曲線l2に示すように、トランジスタ特性の劣化が予想された図3に示すTaC膜303を用いたトランジスタの方が、移動度が良好となる結果が得られた。
【0033】
ここで、金属電極を構成するTaC膜またはTaC膜は、スパッタ法を用いてハフニウム系絶縁膜301直上に形成される。スパッタ法は、ターゲット電極を放電させ、ターゲット表面近傍の気相中にプラズマ状態を作り、プラズマ中のターゲットとの間に直流的な電荷を生じさせて、この電界によって加速された正イオンのターゲット表面の衝突によって、ターゲット表面から放出された原子を、ターゲットに対向して配置された基板表面に被着、堆積させて薄膜を形成する技術である。このようにスパッタ法では、プラズマを介して成膜処理を行なうため、このスパッタ法を用いて金属膜が形成されるハフニウム系絶縁膜301表面には、プラズマを介した静電ダメージが与えられる。すなわち、スパッタ法を用いて金属電極を構成する金属膜をゲート絶縁膜上に形成する場合、この金属膜成膜処理によってゲート絶縁膜表面に損傷が発生する。
【0034】
この図6に示すように、トランジスタ特性の劣化が予想された図3に示すTaC膜303を用いたトランジスタの方が移動度が良好となる結果が得られたのは、このハフニウム系絶縁膜301の表面の損傷部分が、1000℃10秒の熱処理によって、反応性に富むTaC膜303と反応し、反応膜302が形成されることによって回復したことに起因すると考えられる。すなわち、図3に示すTaC膜303を用いた場合には、熱処理によって、ハフニウム系絶縁膜301の表面の損傷部分がTaC膜303との反応によって回復し、ハフニウム系絶縁膜301の損傷が残存することを防止できたため、トランジスタ特性の移動度が良好となる結果が得られたものと考えられる。そして、図4に示す反応性に乏しいTaC膜304を用いた場合には、熱処理を行なった場合であってもハフニウム系絶縁膜301の表面の損傷部分とTaC膜304とは反応しないため、ハフニウム系絶縁膜301の損傷が残存したままとなり、トランジスタ特性の移動度が劣化するという結果が得られたものと考えられる。
【0035】
しかしながら、この反応性に富むTaC膜303を用いてゲート電極を構成した場合には、不純物活性化などのために行なわれる各熱処理工程によって、図3に示すように、TaC膜303上部に形成された多結晶シリコン膜105とTaC膜303との界面でも局所的に反応が進んでしまい、TaC膜303と多結晶シリコン膜105との反応膜305が形成されてしまうという問題があった。すなわち、TaC膜303は、熱的安定性に乏しく反応性に富むため、上層にある多結晶シリコン膜105との反応を制御することが困難であり、多結晶シリコン膜105に対するバリア膜としての機能を持たせることができないため、ゲート電極自体の機能を阻害してしまうという問題があった。
【0036】
これに対し、本第1の実施の形態では、図5に示すように、金属電極104を構成するTaC膜とは別に、ゲート絶縁膜103と反応させるための第1の金属膜117としてたとえば反応性に富むTa膜を、ゲート絶縁膜103を構成するハフニウム絶縁膜上に形成し、所定の熱処理を行なって、このハフニウム絶縁膜表面と第1の金属膜117とを反応させた反応膜118を形成している。すなわち、熱処理によって、ハフニウム系絶縁膜表面の損傷部分が反応性に富むTa膜と反応して反応膜302が形成されることによって回復する。言い換えると、半導体装置1では、この反応膜118の形成によってゲート絶縁膜の損傷部分を回復して、ゲート絶縁膜の信頼性を保持している。
【0037】
さらに、本第1の実施の形態では、図5に示すように、金属電極104を構成する材料として熱的安定性に富むTaC膜を、多結晶シリコン膜105と第1の金属膜上との間に形成するため、TaC膜で形成される金属電極104と多結晶シリコン膜105との界面での反応が起こることもない。言い換えると、本第1の実施の形態では、熱的安定性に富むTaC膜を金属電極104の構成材料として採用しているため、多結晶シリコン膜105に対するバリア膜としての機能を持たせ、上層にある多結晶シリコン膜105との反応を的確に制御することができ、金属電極として機能する金属膜がゲート絶縁膜との反応に消費されてしまうこともないことから、ゲート電極自体の機能を正常に維持することができる。
【0038】
したがって、本第1の実施の形態における半導体装置1が有するトランジスタは、図3に示すTaC膜303を用いたトランジスタおよび図4に示すTaC膜304を用いたトランジスタよりも良好なトランジスタ特性が期待できる。実際に、図1に示すトランジスタにおける供給電界と移動度との関係を求めた結果を、図6の曲線l1に示す。図6のl1に示すように、半導体装置1のトランジスタは、従来のTaC膜またはTaC膜のみで金属電極を形成したトランジスタと比較して、移動度が格段に良好となる結果が得られた。これは、本第1の実施の形態における半導体装置1においては、反応膜118を形成してゲート絶縁膜の損傷部分を回復させることによってゲート絶縁膜の信頼性を高め、さらに熱的安定性の高い金属膜を金属電極として使用してゲート電極機能を適切に保持できたためであると考えられる。
【0039】
このように、本第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法によれば、金属電極104を構成する金属膜とは別にゲート絶縁膜103上に形成された所定の金属膜とゲート絶縁膜103表層とを熱処理によって反応させることによって、金属膜成膜時におけるゲート絶縁膜表面の損傷を回復させ、ゲート絶縁膜の信頼性および半導体装置の性能を確保できる半導体装置1を製造することが可能になる。
【0040】
(第2の実施の形態)
つぎに、第2の実施の形態について説明する。図7は、本第2の実施の形態における半導体装置の構造の一例を模式的に示す断面図である。第2の実施の形態では、図7に示すように、nMOSFETおよびpMOSFETが一対で形成されるCMOS構造の半導体装置2について説明する。
【0041】
図7に示すように、Si基板100には、nMOS領域とpMOS領域とがあり、nMOS領域にはnMOSFETが形成され、pMOS領域にはpMOSFETが形成されている。
【0042】
nMOSFETは、p型不純物をSi基板100内にドーピングして形成されるp型ウェル上に形成される。nMOSFETは、Si基板100上に形成されたSiO膜102、La膜によって形成される閾値制御膜202、ゲート絶縁膜103、TiN膜によって形成される金属電極204、多結晶シリコン膜105n、多結晶シリコン膜105n上に形成されたシリサイド膜112を有する電極構造を備える。そして、nMOSFETは、ゲート電極の側壁にSiO膜107、SiN膜109およびSiO膜110によって形成された側壁膜を備えた構成を有する。これらの側壁膜直下のSi基板100内には、n型不純物が浅く拡散した拡散層108nが形成されており、この拡散層108nの外側にはn型不純物が深くまで拡散した拡散層111nが形成されている。また、これらの拡散層上には、シリサイド膜112が形成されている。
【0043】
さらに、nMOSFETは、図7に示すように、ゲート絶縁膜103と金属電極204との間に、金属電極204を構成するTiN膜とは別にゲート絶縁膜103上に形成されたTi膜とゲート絶縁膜103表層との、熱処理による反応で生成した反応膜218を備えた構成を有する。この反応膜218は、第1の実施の形態における反応膜118と同様に、第1の金属膜であるTi膜形成時におけるゲート絶縁膜103表面の損傷を回復させるために形成されたものである。たとえばハフニウム系絶縁膜103aとしてHfSiON膜を形成した場合には、このHfSiON膜とTi膜とが反応したTiHfSiON膜が反応膜218として形成される。
【0044】
pMOSFETは、n型不純物をSi基板100内にドーピングして形成されるn型ウェル上に形成される。pMOSFETは、SiGe膜によって形成された閾値制御膜201、閾値制御膜201上に形成されるSiO膜102、ゲート絶縁膜103、TiN膜によって形成される金属電極204、多結晶シリコン膜105p、多結晶シリコン膜105p上に形成されたシリサイド膜112を有する電極構造を備える。そして、pMOSFETは、nMOSFETと同様に、SiO膜107、SiN膜109およびSiO膜110によって形成された側壁膜を備えた構成を有する。これらの側壁膜直下のSi基板100内には、p型不純物が浅く拡散した拡散層108pが形成されており、この拡散層108pの外側にはp型不純物が深くまで拡散した拡散層111pが形成されている。また、これらの拡散層111p上には、シリサイド膜112が形成されている。
【0045】
さらに、pMOSFETは、nMOSFETと同様に、図7に示すように、ゲート絶縁膜103と金属電極204との間に、金属電極204を構成するTiN膜とは別にゲート絶縁膜103上に形成されたTi膜と、ゲート絶縁膜103表層との熱処理による反応で生成した反応膜218を備えた構成を有する。
【0046】
そして、半導体装置2は、図1に示す半導体装置1と同様に、拡散層108n,108p上のシリサイド膜112、各ゲート電極上のシリサイド膜112と、第2の層間膜115内に形成された各配線116とをそれぞれ接続するコンタクト114が、第1の層間膜113内に設けられた構成を有する。
【0047】
このように、本第2の実施の形態における半導体装置2は、第1の実施の形態における半導体装置1と比して、第2の金属膜として、TaC膜ではなくTiN膜を用いており、第1の金属膜として、Ta膜ではなく、第2の金属膜であるTiN膜を構成する元素であるTi膜を用いて反応膜218を形成している。この反応膜218も、第1の実施の形態における反応膜118と同様に、第1の金属膜形成時におけるゲート絶縁膜103表面の損傷を回復させるために形成されたものであり、この反応膜118が形成されることによって、ゲート絶縁膜103の損傷が残存することを防止できる。言い換えると、図1に示す半導体装置2は、損傷の少ないゲート絶縁膜103によって各nMOSFETおよび各pMOSFETが構成されるため、ゲート絶縁膜の信頼性および半導体装置の性能を確保することができる。
【0048】
つぎに、図8−1〜8−5を参照して、図7に示す半導体装置2の製造方法について説明する。図8−1〜図8−5は、図7に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。
【0049】
まず、図8−1に示すように、第1の実施の形態と同様に、素子分離領域101を形成する。そして、p型不純物をnMOS領域のSi基板100内にドーピングしてp型ウェルを形成し、さらにn型不純物をpMOS領域のSi基板100内にドーピングしてn型ウェルを形成した後に、pMOS領域に閾値制御膜201を構成するSiGe膜201aを、たとえば厚さ10nmで形成する。次いで、Si基板100全面に、たとえば0.8nm程度の膜厚のSiO膜102aを形成した後、nMOS領域に、閾値制御膜202を構成するLa膜202aを、たとえば0.3nmの膜厚で形成する。そして、第1の実施の形態と同様に、ゲート絶縁膜103を構成するハフニウム系絶縁膜103aを、有機ソースを用いたCVD法で形成する。
【0050】
その後、図8−2に示すように、ハフニウム系絶縁膜103a上に第1の金属膜217を形成する。この第1の金属膜217は、スパッタ法を用いて形成された、たとえば0.3nmの極薄膜のTi膜である。そして、この第1の金属膜217上に、熱的安定性の高いTiNを材料として形成される第2の金属膜204aを形成する。この第2の金属膜204aを構成するTiN膜は、たとえばスパッタ法を用いて形成され、膜厚はたとえば5nmである。
【0051】
次いで、たとえば900℃10秒程度の熱処理を行なって、ハフニウム系絶縁膜103aと第1の金属膜217との間に、図8−3に示すように、ハフニウム系絶縁膜103aと第1の金属膜217との反応膜218aを形成する。たとえばハフニウム系絶縁膜103aとしてHfSiON膜を形成した場合には、このHfSiON膜と第1の金属膜217を形成するTi膜とが反応し、TiHfSiON膜が反応膜218aとして形成される。この反応膜218aは、第1の実施の形態と同様に、スパッタ法による第1の金属膜217の形成時において、第1の金属膜217直下のハフニウム系絶縁膜103a表面に与えられた静電ダメージ部分と、第1の金属膜217とが反応したものである。したがって、この反応膜218aを形成するための熱処理は、ハフニウム系絶縁膜103a表面の静電ダメージ部分を回復させて、ハフニウム系絶縁膜103aの損傷が残存することを防止するものとなる。
【0052】
そして、図8−3に示すように、第1の実施の形態と同様に、第2の金属膜204a上全面に、多結晶シリコン膜105aをたとえば膜厚80nmで形成する。その後、nMOS領域における多結晶シリコン膜105aにPイオンを注入し、pMOS領域における多結晶シリコン105aにBイオンを注入してから、第1の実施の形態と同様に、SiN膜106aをたとえば膜厚100nmで形成する。
【0053】
続いて、第1の実施の形態と同様に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、ゲート電極形成領域以外の、SiN膜106a、多結晶シリコン膜105a、第2の金属膜204a、反応膜218a、ハフニウム系絶縁膜103a、La膜202a、SiO膜102aおよびSiGe膜201aをエッチングする。たとえば、SiN膜106a、多結晶シリコン膜105a、第2の金属膜204a、反応膜218aに対しては、異方性エッチングを用いてエッチング処理を行ない、ハフニウム系絶縁膜103a、La膜202aおよびSiO膜102aに対しては、たとえば希釈Hf処理によってエッチング処理を行なう。この結果、図8−4に示すように、たとえば30nmのゲート幅パターンであって、SiO膜102、閾値制御膜202、ゲート絶縁膜103、反応膜218、金属電極204、多結晶シリコン膜105nによって構成されるゲート電極がnMOS領域に形成され、SiO膜102、ゲート絶縁膜103、反応膜218、金属電極204、多結晶シリコン膜105pによって構成されるゲート電極がpMOS領域に形成される。なお、レジストパターンは、その後除去される。
【0054】
その後、第1の実施の形態と同様に、基板全面にSiO膜を堆積した後、このSiO膜に対するエッチバック処理を行ない、図8−4に示すように、ゲート電極パターンの側壁部分をSiO膜107で囲む構造とする。そして、nMOS領域のSi基板100内に、たとえば不純物としてAsイオンを注入し、pMOS領域のSi基板100内に、たとえば不純物としてBイオンを注入後、たとえば800℃5秒の結晶回復用の熱処理を行なうことによって、拡散層108n,108pをそれぞれ形成する。次いで、SiN膜およびSiO膜を堆積した後、このSiN膜およびSiO膜のエッチバックを行い、ゲート電極パターン側壁部に、図8−5に示すように、SiN膜109およびSiO膜110による側壁膜を形成する。その後、nMOS領域のSi基板100内に、たとえば不純物としてPイオンを注入し、pMOS領域のSi基板100内に、たとえば不純物としてBイオンを注入後、注入された不純物を活性化させるため、たとえば1030℃5秒の熱処理を行なうことによって、拡散層111n,111pをそれぞれ形成する。つぎに、第1の実施の形態と同様に、ゲート電極上および拡散層108n,108p上に、シリサイド膜112を形成する。そして、第1の実施の形態と同様に、図7に示す第1の層間膜113を堆積して、図7に示すコンタクト114を形成し、その後、図1に示す第2の層間膜115を基板全面に堆積し、図7に示す配線116を形成することで、図7に示す半導体装置2が得られる。
【0055】
このように、第2の実施の形態におけるCMOS構造の半導体装置2についても、第1の実施の形態と同様に、金属電極204を構成する金属膜とは別にゲート絶縁膜103上に形成された所定の金属膜とゲート絶縁膜103表層とを熱処理によって反応させることによって、金属膜成膜時におけるゲート絶縁膜表面の損傷を回復させ、ゲート絶縁膜の信頼性および半導体装置の性能を確保することができる。
【0056】
なお、第1の実施の形態においては、第2の金属膜をTaC膜で形成し、第1の金属膜を、第2の金属膜を構成するTaC膜に含まれる元素であるTaで形成している。また、第2の実施の形態においては、第2の金属膜をTiN膜で形成し、第1の金属膜を、第2の金属膜を構成するTiN膜に含まれる元素であるTiで形成している。すなわち、本発明では、第1の金属膜に含まれる少なくとも一つの元素と第2の金属膜に含まれる少なくとも一つの元素とが同一となるように、各第1の金属膜および各第2の金属膜の構成材料を選択している。これによって、電極パターン形成時における異方性エッチング処理において、第2の金属膜と第1の金属膜とをエッチングする場合に、同一のエッチングガスをそのまま使用できるようにして、異方性エッチングの容易化を図ることが可能になる。たとえば、第1の実施の形態では、第1の金属膜として反応性に富むTaC膜を選択し、第2の金属膜としてTaC膜を選択してもよい。同様に、第1の金属膜に含まれる少なくとも一つの元素と第2の金属膜に含まれる少なくとも一つの元素とが同族となるように、各第1の金属膜および各第2の金属膜の構成材料を選択した場合も、第2の金属膜と第1の金属膜とをエッチングする場合に、同一のエッチングガスをそのまま使用できる場合が多いため、異方性エッチングの容易化を図ることが可能になる。
【0057】
もちろん、本発明では、第1の金属膜に含まれる少なくとも一つの元素と第2の金属膜に含まれる少なくとも一つの元素とが同一または同族となるように、各第1の金属膜および各第2の金属膜の構成材料を選択する必要はない。すなわち、第1の金属膜は、ハフニウム系絶縁膜と反応して反応膜を形成できる金属膜であれば足りる。
【0058】
たとえば、ハフニウム系絶縁膜としてHfSiOを用いた場合を例に説明する。この場合には、以下の(1)式における左辺から右辺に反応が進む金属材料を第1の金属膜として選択すれば足りる。
Me+HfSiO=MeO+HfO+MeSi ・・・(1)
この(1)式の左辺から右辺に進む金属材料として、第1の実施の形態で説明したTa膜、第2の実施の形態で説明したTi膜のほか、V,Nb,Zr,Hfのいずれかが該当し、また、これ以外にも、V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfの化合物のいずれかも該当する。このように、第1の金属膜として、ハフニウム系絶縁膜と反応可能であるV,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfのいずれか、または、V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfの化合物のいずれかを選択することによって、ハフニウム系絶縁膜表面の損傷を回復させることが可能である。
【0059】
また、本第1および第2の実施の形態においては、HfSiON、HfO膜、HfSiO膜等のハフニウム系絶縁膜を用いてゲート絶縁膜を形成した場合を例に説明したが、もちろんこれに限らず、金属電極を構成する金属膜が直上に形成可能である絶縁膜でゲート絶縁膜103を形成してもよい。たとえば、Zr,Ti,Ta,Al,Sr,Y,Laのいずれかの酸化膜、ZrSiなどのようなZr,Ti,Ta,Al,Sr,Y,Laのいずれかとシリコンとの酸化膜、または、シリコン酸化膜のいずれかを含んでゲート絶縁膜103を形成してもよい。また、これら酸化膜の積層膜でゲート絶縁膜103を形成してもよい。
【0060】
また、本第1および第2の実施の形態では、第1の金属膜117,217および第2の金属膜104a,204a形成後に、第1の金属膜117,217とハフニウム系絶縁膜103aとを反応させるための熱処理を行なったが、第1の金属膜117,217およびハフニウム系絶縁膜103a表面の損傷部分が反応すれば足りるため、第2の金属膜104a,204a形成前に第1の金属膜117,217とハフニウム系絶縁膜103aとを反応させるための熱処理を行なってもよい。また、本第1および第2の実施の形態では、第1の金属膜117,217とハフニウム系絶縁膜103aとを反応させるための熱処理(たとえば900℃10秒程度の熱処理)を独立して行なった場合を例に説明したが、後工程で第1の金属膜117,217およびハフニウム系絶縁膜103a表面の損傷部分が反応できる900℃を超える熱処理が行なわれるのであれば、この独立して行なった第1の金属膜117,217とハフニウム系絶縁膜103aとを反応させるための熱処理を省略することが可能である。また、ハフニウム系絶縁膜103a表面の損傷部分が反応すれば足りるため、第1の金属膜117,217全体をハフニウム系絶縁膜103aと反応させる必要はない。
【0061】
また、本第1および第2の実施の形態では、Si基板100を用いた場合を例に説明したが、もちろんSi基板100に限らず、たとえばSOI基板を用いて素子間リークを確実に防止するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施の形態における半導体装置の構造の一例を模式的に示す断面図である。
【図2−1】図1に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その1)である。
【図2−2】図1に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その2)である。
【図2−3】図1に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その3)である。
【図2−4】図1に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その4)である。
【図2−5】図1に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その5)である。
【図2−6】図1に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その6)である。
【図3】金属電極材料としてTaC膜を用い1000℃10秒の熱処理を行なった場合におけるゲート電極の断面模式図である。
【図4】金属電極材料としてTaC膜を用い1000℃10秒の熱処理を行なった場合におけるゲート電極の断面模式図である。
【図5】第1の実施の形態におけるゲート電極の断面模式図である。
【図6】従来技術におけるトランジスタの供給電界と移動度との関係を求めた結果および第1の実施の形態におけるトランジスタの供給電界と移動度との関係を求めた結果を示す図である。
【図7】第2の実施の形態における半導体装置の構造の一例を模式的に示す断面図である。
【図8−1】図7に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その1)である。
【図8−2】図7に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その2)である。
【図8−3】図7に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その3)である。
【図8−4】図7に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その4)である。
【図8−5】図7に示す半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図(その5)である。
【符号の説明】
【0063】
1,2 半導体装置
100 Si基板
101 素子分離領域
102 SiO
103 ゲート絶縁膜
104 金属電極
104a 第2の金属膜
105,105n,105p 多結晶シリコン膜
107,110 SiO
109 SiN
108,108n,108p,111,111n,111p 拡散層
112 シリサイド膜
113 第1の層間膜
114 コンタクト
115 第2の層間膜
116 配線
117,217 第1の金属膜
118,218 反応膜
201,202 閾値制御膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、
前記ゲート絶縁膜上に第1の金属膜を形成する第1の金属膜形成工程と、
前記第1の金属膜上に第2の金属膜を形成する第2の金属膜形成工程と、
熱処理を行なって前記ゲート絶縁膜と前記第1の金属膜との間に前記ゲート絶縁膜と前記第1の金属膜との反応膜を形成する反応膜形成工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記反応膜形成工程は、前記ゲート絶縁膜と前記第1の金属膜との間に前記反応膜を形成して、前記第1の金属膜形成工程における前記ゲート絶縁膜の損傷を回復させることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の金属膜に含まれる少なくとも一つの元素と前記第2の金属膜に含まれる少なくとも一つの元素とは、同一または同族であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の金属膜は、V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfのいずれか、または、前記V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfの化合物のいずれかによって形成され、
前記ゲート絶縁膜は、Hf,Zr,Ti,Ta,Al,Sr,Y,Laのいずれかの酸化膜、前記Zr,Ti,Ta,Al,Sr,Y,Laのいずれかとシリコンとの酸化膜、または、シリコン酸化膜のいずれかを含んで形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された第1の金属膜と前記ゲート絶縁膜との熱処理による反応で生成した前記ゲート絶縁膜と前記第1の金属膜との反応膜と、
前記反応膜上に位置する第2の金属膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図8−5】
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【公開番号】特開2009−267118(P2009−267118A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115594(P2008−115594)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】