説明

半導体装置の製造方法

【課題】 層間絶縁膜の埋め込み性を向上させ、短絡防止のマージンを向上させる。
【解決手段】 上部がゲート上部絶縁膜で覆われたゲートを半導体基板上に形成し、全面に絶縁膜を形成した後に全面エッチバックを行うことでゲート上部絶縁膜及びゲートの側面に上部の形状が垂直方向から5°〜30°傾斜したテーパー形状のサイドウォールを形成し、全面に第1の層間絶縁膜を形成し、第1の層間絶縁膜のみをCMPにより平坦化し、ゲート上部絶縁膜よりも第1の層間絶縁膜の方が研磨選択比が高い条件でCMPを行って、第1の層間絶縁膜、ゲート上部絶縁膜及びサイドウォールを平坦化し、全面に第2の層間絶縁膜を形成し、フォトリソグラフィにより第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜にゲート側の側壁が平坦となったサイドウォールの上部にかかるようにコンタクトホールを形成し、コンタクトホールを導電物質で埋め込んでコンタクトパッドを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトパッドを有する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子が高集積化されるほど、その製造工程において工程マージンが減少する。例えば、DRAM,SRAM,フラッシュメモリ等のメモリの製造工程では、ビットラインとドレインのコンタクト面積や、キャパシタとソースのコンタクト面積が減少する。そこで、コンタクト面積を広げるためにコンタクトパッドが用いられている。
【0003】
このようなコンタクトパッドを有する半導体装置の従来の製造方法について説明する。まず、図4(a)に示すように、半導体基板11上に、SiNからなるゲート上部絶縁膜12で上部が覆われたゲート13を作成する。そして、全面にSiN膜を形成した後に全面エッチバックを行うことで、ゲート上部絶縁膜12及びゲート13の側面にサイドウォール14を形成する。その後、全面に層間絶縁膜15を形成する。
【0004】
次に、図4(b)に示すように、この層間絶縁膜15をCMPにより平坦化する。この際、ゲート上部絶縁膜12の損傷を防止するために、ゲート上部絶縁膜12の上に層間絶縁膜15が約50nm以上残るようにする。
【0005】
次に、図4(c)に示すように、フォトリソグラフィにより層間絶縁膜15にコンタクトホール16を形成する。そして、コンタクトホール16を導電物質で埋め込んでコンタクトパッド17を形成する。以上の工程により、コンタクトパッドを有する半導体装置が製造される。
【0006】
ところで、デバイスの集積化に伴い、ゲート同士の間隔が狭くなるため、ゲート間スペースのアスペクト比が高くなる。そして、このゲート間スペースにある層間絶縁膜をエッチングする場合、ゲートの上部及び側面がSiNで覆われていることで被エッチング膜からの酸素の供給量が少なくなるため、ゲート上の層間絶縁膜のエッチングに比べてエッチングテーパ形状が悪化する。従って、コンタクトパッドの開口が困難となり、開口不良が発生し、コンタクト抵抗が上昇する。
【0007】
そこで、コンタクトパッドの開口性を向上するエッチング条件に変更する必要がある。しかし、この場合、ゲートとコンタクトパッドの短絡を防止するために設けられているゲート上絶縁膜やサイドウォールと層間絶縁膜との研磨選択比が低下し、工程マージンが低下するという問題が発生する。例えば、DRAMにおいてゲートとビットラインが短絡するのを防ぐには、ゲートとコンタクトパッドの間を絶縁するSiN膜の膜厚を10nm以上確保する必要がある。また、半導体装置の集積化に伴い、サイドウォールやゲート上部絶縁膜の薄膜化が必要となるため、短絡防止のマージンを向上させることは更に難しくなっている。
【0008】
この問題を解消するため、ストッパー窒化膜肩部の形状を垂直化してコンタクトホールエッチングでの窒化膜の後退を低減する製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2000−91567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
L/S(ライン・アンド・スペース)が0.17μm以下の半導体装置では、ゲート間スペースの幅が狭まり、アスペクトが7.0以上となる。そこで、このような集積化された半導体装置の製造において、ストッパー窒化膜肩部の形状を垂直化させると、ゲート間スペースへの層間絶縁膜の埋め込み不良が発生し、コンタクトパッド間が導通するという問題があった。
【0011】
また、従来の製造方法では、図5(a)に示すように層間絶縁膜を形成した後、図5(b)に示すように層間絶縁膜を一度にCMPしていた。そのため、CMPのゲート上部絶縁膜での自動停止(auto-stop)が不完全となり、ゲート上部絶縁膜の膜厚の面内バラツキが大きくなって、短絡防止のマージンが劣化するという問題もあった。
【0012】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、層間絶縁膜の埋め込み性を向上させ、短絡防止のマージンを向上させることができる半導体装置の製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、上部がゲート上部絶縁膜で覆われたゲートを半導体基板上に形成する工程と、全面に絶縁膜を形成した後に全面エッチバックを行うことで、ゲート上部絶縁膜及びゲートの側面に、上部の形状が垂直方向から5°〜30°傾斜したテーパー形状のサイドウォールを形成する工程と、全面に第1の層間絶縁膜を形成する工程と、第1の層間絶縁膜のみをCMPにより平坦化する第1のCMP工程と、ゲート上部絶縁膜よりも第1の層間絶縁膜の方が研磨選択比が高い条件でCMPを行って、第1の層間絶縁膜、ゲート上部絶縁膜及びサイドウォールを平坦化する第2のCMP工程と、全面に第2の層間絶縁膜を形成する工程と、フォトリソグラフィにより第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜に、ゲート側の側壁が第2のCMP工程で平坦となったサイドウォールの上部にかかるようにコンタクトホールを形成する工程と、コンタクトホールを導電物質で埋め込んでコンタクトパッドを形成する工程とを有する。本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、層間絶縁膜の埋め込み性を向上させ、短絡防止のマージンを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について図1及び図2を参照しながら説明する。
【0016】
まず、図1(a)に示すように、素子分離膜(不図示)により領域が分離された半導体基板11上に、上部がゲート上部絶縁膜12で覆われたゲート13を作成する。
【0017】
ここで、ゲート13は、ポリシリコン膜21と、その上にタングステンシリサイド(WSi)又はタングステン(W)からなる層22とを有する。また、ゲート上部絶縁膜12として、SiN,A1,SiC等の絶縁膜を用いる。そして、ゲート上部絶縁膜12の膜厚は、50〜300nmであることが望ましく、ここでは260nmとする。なお、ゲート上部絶縁膜12は必ずしも形成しなくてもよい。
【0018】
そして、全面にSiN,A1,SiC等の絶縁膜を形成した後に全面エッチバックを行うことで、ゲート上部絶縁膜12及びゲート13の側面にサイドウォール23を形成する。サイドウォール23の膜厚は、5〜100nmであることが望ましく、例えば65mnとする。
【0019】
ただし、エッチング条件を調整して、サイドウォール23の上部の形状を電極22の上面横を始点として垂直方向から5°〜30°傾斜したテーパー形状とする。または、ゲート上部絶縁膜12及びゲート13をエッチングにより形成する際に、ゲート上部絶縁膜12の形状をテーパー形状にして電極22の上面横を始点として最終的に5°〜30°の角度を持つようにするか、両方の組み合わせを用いてもよい。
【0020】
次に、図1(b)に示すように、全面に停止膜24を形成する。ただし、サイドウォール23を形成するための絶縁膜を停止膜24として兼用することもできる。また、停止膜24は、5〜40nmであることが望ましく、ここでは15nmにする。そして、ゲート上部絶縁膜12、サイドウォール23及び停止膜24は、材質を統一することが望ましい。また、これらの絶縁膜の材質として、ゲートや層間絶縁膜を構成する材質とのエッチング選択比が大きい材質を用いるのが望ましい。ここでは、これらの絶縁膜をSiNで統一する。
【0021】
そして、全面に第1の層間絶縁膜25を形成する。層間絶縁膜25として、高密度プラズマ酸化膜(HDP Oxide),SOG(Spin On Glass),BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass),PSG(Phosphorus Silicate Glass),USG(Undoped Silicate Glass),PE-TEOS(Plasma Enhanced tetra-ethyl-ortho-silicate),Fox(Flowable Oxide),フォトレジスト及びポリマ等を用いる。ここで、上記のようにサイドウォール23の上部の形状がテーパー形状であるため、ゲート間スペースの間口が広がり、第1の層間絶縁膜25の埋め込み性が向上する。その後、更に埋込み性を向上させるためにリフローを実施する。
【0022】
次に、図1(c)に示すように、第1の層間絶縁膜25のみをCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化する(第1のCMP工程)。ここでは、第1の層間絶縁膜25が700nm程度の厚さになるまでCMPを続ける。このCMP工程において、第1の層間絶縁膜25の段差部と平坦部のエッチングレートの差が1.5倍以上となる希釈材を添加したスラリー(例えば、シリカ)を用いる。これにより、CMPが自動停止し、第1の層間絶縁膜25の段差が低減する。なお、このCMP条件では、SiNとの研磨選択比が低くなるため、ゲート上部絶縁膜12上でCMPを自動停止させることは困難である。
【0023】
次に、図1(d)に示すように、第1の層間絶縁膜25の方がゲート上部絶縁膜12及びサイドウォール23よりも研磨選択比が高い条件でCMPを行って、第1の層間絶縁膜25、ゲート上部絶縁膜12及びサイドウォール23の上面を平坦化する(第2のCMP工程)。このCMP工程において、スラリーとして、アルミナ、シリカ、セリア及びMnの何れかの研磨粉を用いることができる。そして、ゲート上部絶縁膜12よりも第1の層間絶縁膜25の方が研磨選択比が高くなる希釈材(実パターンウェハで1:5以上、ブランケットウェハで1:500以上)をスラリーに添加する。これにより、CMPが自動停止するため、平坦化バラツキを低減することができる。なお、終点検出(EPD: End Point Detection)を用いると、各ロット間やウェハ間の平坦化バラツキを低減することもできる。
【0024】
ただし、ゲート間スペースとゲート高さ(半導体基板11の上面からゲート上部絶縁膜12の上面までの高さ)との比(アスペクト比)が7.0以下になるまでCMPを続けることが望ましく、ここでは6.0以下になるまで続ける。但し、過度の研磨は短絡を引き起こすため、上部絶縁膜は20nm以上残すことが望ましく、ここでは200nm残す。
【0025】
図3は、CMPの過剰研磨量と研磨選択比の関係を調べた実験データである。ただし、ゲート配線ピッチを220nmとし、SiNに対する研磨選択比が5以上のセリアスラリーを用いた。この実験データより、CMPの過剰研磨量(Over Polishing)が75%以上の場合、研磨選択比が向上することが判明した。従って、ゲート上部絶縁膜を約30nm研磨するまでは研磨選択比が低いが、それ以降は研磨選択比が高くなる。
【0026】
上記のように、第1のCMP工程により第1の層間絶縁膜のみの段差を低減した後に、ゲート上部絶縁膜及びサイドウォールよりも第1の層間絶縁膜の方が研磨選択比が高い条件で第2のCMP工程を行うことによって、平坦化バラツキを低減することができる。これにより、ゲート上部絶縁膜の膜厚が均一化されるため、短絡防止のマージンが向上する。
【0027】
次に、図2(a)に示すように、全面に第2の層間絶縁膜26を形成する。この第2の層間絶縁膜26の材質として、第1の層間絶縁膜25の材質と同じものを用いることが望ましい。また、第2の層間絶縁膜26の膜厚は、30〜150nmが望ましく、ここでは100nmとする。この膜厚とする理由は、後述の反射防止膜をエッチング除去する工程で、反射防止膜とゲート上部絶縁膜12とはエッチング選択比が低いため、ゲート上部絶縁膜12がむき出しだと、短絡する危険が高いためである。
【0028】
そして、図2(b)に示すように、全面に反射防止膜27を形成し、その上にコンタクトホールをエッチングするためのフォトレジストパターン28を形成する。反射防止膜27として非晶質カーボンを用いるのが望ましい。その理由は、非晶質カーボンは、安価であり、フォトレジストパターン28と共に除去できるため別段の除去工程が不要だからである。
【0029】
次に、図2(c)に示すように、フォトレジストパターン28をマスクとして、第1の層間絶縁膜25及び第2の層間絶縁膜26を自己整合プロセスでドライエッチングしてコンタクトホール16を形成する。ただし、コンタクトホール16は、そのゲート側の側壁が第2のCMP工程で平坦となったサイドウォール23の上部にかかるように形成される。ここで、サイドウォール23の角部が最も削れてしまうのは、コンタクトホール16の乗り上げが最も大きい箇所である。しかし、この箇所が平坦であるため、高選択比が得られ、削れ量が低減して、短絡防止のマージンが向上する。従って、短絡防止のマージンが向上した分だけ、開口性の高いエッチング条件にすることができる。
【0030】
次に、ドライエッチングによってコンタクトホール16の底部で露出している停止膜24の一部を除去する。その後、反射防止膜27及びフォトレジストパターン28も除去する。
【0031】
ここで、ゲート上の層間絶縁膜をエッチングする時に比べてゲート間の層間絶縁膜をエッチングする時には、層間絶縁膜のエッチングテーパ角は約2〜3°程度悪化する。これは、ゲート上部及び側面がSiNで覆われているため、被エッチング膜からの酸素の供給量が少ないことが原因と考えられる。従って、可能な限りゲート高さを低くすることは開口マージン向上(高抵抗化抑制)に効果がある。
【0032】
そして、図2(d)に示すように、全面に導電物質を形成してコンタクトホールを埋め込む。ここで、導電物質として、Al,ポリシリコン,Ti,TiN,W等を用いることができ、ここではTiN及びWの積層膜を用いる。そして、導電物質に対してCMP又はドライエッチバックを実施して導電物質がコンタクトホール内のみに残るようにして、コンタクトパッドを形成する。このCMPにおいて、導電物質と層間絶縁膜との研磨選択比が1:5〜1:50であるスラリーを用いるのが望ましい。また、スラリーとして、アルミナ、シリカ、セリア、及びMn等の研磨粉を用いる。以上の工程により、コンタクトパッドを有する半導体装置が製造される。
【0033】
上記の半導体装置の製造方法は、ゲートとコンタクトパッドを有するDRAM,SRAM,DRAM混合素子(MDL)及びフラッシュメモリ等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】CMPの過剰研磨量と研磨選択比の関係を調べた実験データである。
【図4】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】従来の半導体装置の製造方法におけるCMP工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0035】
11 半導体基板
12 ゲート上部絶縁膜
13 ゲート
16 コンタクトホール
17 コンタクトパッド
23 サイドウォール
25 第1の層間絶縁膜
26 第2の層間絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部がゲート上部絶縁膜で覆われたゲートを半導体基板上に形成する工程と、
全面に絶縁膜を形成した後に全面エッチバックを行うことで、前記ゲート上部絶縁膜及び前記ゲートの側面に、上部の形状が垂直方向から5°〜30°傾斜したテーパー形状のサイドウォールを形成する工程と、
全面に第1の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜のみをCMPにより平坦化する第1のCMP工程と、
前記ゲート上部絶縁膜及び前記サイドウォールよりも前記第1の層間絶縁膜の方が研磨選択比が高い条件でCMPを行って、前記第1の層間絶縁膜、前記ゲート上部絶縁膜及び前記サイドウォールを平坦化する第2のCMP工程と、
全面に第2の層間絶縁膜を形成する工程と、
フォトリソグラフィにより前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜に、ゲート側の側壁が前記第2のCMP工程で平坦となった前記サイドウォールの上部にかかるようにコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホールを導電物質で埋め込んでコンタクトパッドを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1のCMP工程において、前記第1の層間絶縁膜の段差部と平坦部のエッチングレートの差が1.5倍以上ある希釈材を添加したスラリーを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2のCMP工程において、前記ゲート上部絶縁膜及び前記サイドウォールよりも前記第1の層間絶縁膜の方が研磨選択比が高い希釈材を添加したスラリーを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記スラリーとして、アルミナ、シリカ、セリア及びMnの何れかの研磨粉を用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2のCMP工程において、ゲート間スペースの幅とゲート高さの比が7.0以下になるまでCMPを続けることを特徴とする請求項1〜4に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−237082(P2006−237082A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46126(P2005−46126)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】