説明

半導体装置の製造方法

【課題】 半導体装置の素子分離領域等における浅い溝に、ボイドが発生しないように絶縁膜を埋め込む方法を含む半導体装置の製造法方法を提供する。
【解決手段】 溝部の途中段階まで第1の埋込絶縁膜15を形成した後、オーバーハング部を除去し、続いて第2の埋込絶縁膜を溝部へ埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯機器等の電子機器は小型化、薄型化、高機能化が進み、集積回路は機器だけでなく、機器に挿入して用いられる携帯用記憶媒体等に広く応用されている。そのため、素子を微細化することによって、半導体装置に搭載されるメモリの大容量化を図ると共に、半導体装置を構成するCPU、メモリ等に関する回路動作の高速化等、高性能化が追求されている。
【0003】
これを実現するため、製造技術、回路技術等、評価技術等、様々な角度からMISFETの微細化が進められている。製造技術においては、スケーリング則に従って、ゲート寸法、素子分離領域、ソースドレイン領域の接合深さ、多層配線等を微細化するための技術開発が進んでいる。
【0004】
近年、素子分離技術においては、素子分離領域に熱酸化法を用いて酸化膜を形成する部分酸化法(LOCOS法)と共に、素子分離領域に絶縁膜を埋め込む、浅いトレンチ分離法(STI法)が用いられている。STI法により、素子分離領域に形成されたトレンチ溝に絶縁膜を埋め込む際、その絶縁膜側面がオーバーハング状態となり、微細化と共に高アスペクト比しているトレンチ溝に十分に絶縁膜を埋め込むことが出来ず、ボイドが発生するという問題点があった。ボイドが発生した場合、その大きさや位置によって、その後の工程である、例えばCMP等による平坦化工程において、開口が発生し、ゲート電極のショート或いは素子分離領域の上層での加工不具合を引き起こす。このため、半導体装置の歩留まりを低下させる要因となる。
【0005】
これを回避するため、例えば、絶縁膜成長時に形成されたオーバーハングを、等方性エッチングによって広げ、更にその広げられた溝に絶縁膜を埋め込む方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法では、エッチングによる絶縁膜側面のオーバーハングを除去する際の制御が難しく、半導体装置の歩留まりを十分に上げることができないという問題があった。
【特許文献1】特開2003−31649号公報(第4ページ、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、半導体装置の素子分離領域等における浅い溝に、ボイドが発生しないように絶縁膜を埋め込む方法、を含む半導体装置の製造法方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、半導体装置の製造方法であって、半導体基板上にマスク絶縁膜を形成する工程と、前記マスク絶縁膜及び半導体基板に溝部を形成する工程と、前記溝部の開口部を露出させつつ前記マスク絶縁膜上および前記溝部内に第1の埋込絶縁膜を形成する工程と、前記第1の埋込絶縁膜が形成された前記溝部内を埋込み、かつ前記マスク絶縁膜上に形成された前記第1の埋込絶縁膜上を覆うようにレジスト膜を形成する工程と、前記マスク絶縁膜上に形成された前記第1の埋込絶縁膜が露出するように前記レジスト膜を除去する工程と、前記レジスト膜をマスクに、前記マスク絶縁膜上の前記第1の埋込絶縁膜を除去する工程と、残存する前記レジスト膜を除去する工程と、前記第1の埋込絶縁膜が形成された前記溝部内に第2の埋込絶縁膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、半導体装置の製造方法であって、半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極膜を形成する工程と、前記ゲート電極膜上にマスク絶縁膜を形成する工程と、前記マスク絶縁膜、前記ゲート電極膜、前記ゲート絶縁膜及び前記半導体基板に溝部を形成する工程と、前記溝部の途中段階まで第1の埋込絶縁膜を形成する工程と、前記第1の埋込絶縁膜の間に埋込ながら、前記半導体基板を覆うようにレジスト膜を形成する工程と、前記第1の埋込絶縁膜の表面が少なくとも露出するまで前記レジスト膜を除去する工程と、前記レジスト膜をマスクにして、前記マスク絶縁膜上の前記第1の埋込絶縁膜を除去する工程と、残存する前記レジスト膜を除去する工程と、途中段階まで前記第1の埋込絶縁膜形成された前記溝部に埋め込みながら、前記半導体基板を覆うように第2の埋込絶縁膜を形成する工程と、溝部に形成された前記第2の埋込絶縁膜を残存させるように、前記第2の埋込絶縁膜を平坦化しながら除去する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体装置の素子分離領域における溝部に形成された第1の埋込絶縁膜側面のオーバーハングを、レジスト膜をマスクにして除去する。これにより、第2の埋込絶縁膜を、溝部の残された領域に、ボイドなしで容易に埋込形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
第1の実施例で示す半導体装置の製造方法は、本発明を素子分離領域の形成に適用したものである。
【0012】
先ず、図1(a)に示すように、半導体基板としてP型のシリコン基板10を用意する。次に、図示しないウェル及びチャネルを形成するための不純物ドーピングを必要であれば実施する。続いて、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜11を熱酸化法により、例えば5〜8nm形成する。ゲート絶縁膜11は、例えば、不揮発性メモリのトンネル酸化膜として使用されるが、この場合、続けて窒素が存在する雰囲気中で熱処理を実施しても良い。更に、多結晶シリコン膜からなるゲート電極膜12をCVD法により、例えば100〜200nm程度、更に、後のCMP等を用いた平坦化法によるシリコン酸化膜表面の平坦化の際に利用するため、シリコン窒化膜からなるマスク絶縁膜13を例えば20〜100nm、積層して形成する。
【0013】
次に図1(b)に示すように、リソグラフィ法、ドライエッチング法等を用いてマスク絶縁膜13、ゲート電極膜12、ゲート絶縁膜11、の積層構造膜を選択的にパターニングする。更に、パターニングされた積層構造膜をマスクにして、ドライエッチング法を用いてシリコン基板10をエッチングする。シリコン基板10に、溝部14が形成される。
【0014】
次に、図2(c)に示すように、HDP―CVD法を用いて、シリコン酸化膜からなる第1の埋込膜15をシリコン基板10の溝部14に埋め込みながら、マスク絶縁膜13の上にも形成する。HDP―CVD法では、比較的アスペクト比の高い溝に対して用い、成膜と共にイオンやラジカルによるスパッタエッチングも行い、凸部に付着した成分を削りながら、凹部に膜を埋込していく。しかし、半導体装置を構成する素子の微細化が進行するなかで、例えば、溝の幅が100nm程度に狭くなると、図2(c)に示すように、側壁の成膜が進むことにより、その部分にオーバーハングがでてくる。従って、オーバーハングによって表面が塞がり、内部にボイドができないように、その途中において、HDP―CVDによる第1の埋込絶縁膜15の成膜を止める。
【0015】
次に、スピンコート法或いはスキャンコート法により、シリコン基板10上にレジスト膜16を塗布する。続いて、塗布したレジスト膜16をドライエッチング法により第1の埋込絶縁膜15の先端部が露出するまで、第1の埋込絶縁膜15に対し選択的にエッチングする。ドライエッチング条件としては、酸素ガス系のプラズマにより第1の埋込絶縁膜15とレジスト膜16との選択比をとり、図2(d)に示すように、レジスト膜16が途中まで除去されるように時間等の条件を制御する。また、エッチング時の反応生成物である一酸化炭素の発光強度を計測し、その変化からエッチングの終点を定める方法を用いても良い。
【0016】
更に、弗化水素水溶液等により第1の埋込絶縁膜15を除去する。図3(e)に示すように、マスク絶縁膜13の表面が露出するまで、第1の埋込絶縁膜15をエッチングし、ストッパ用絶縁膜13の上に空間領域17を形成する。なお、マスク絶縁膜13とレジスト膜16との隙間部分からエッチング液がしみ込んで第1の埋込絶縁膜15を或る程度エッチングする場合があっても良い。
【0017】
その後、硫酸過水等の薬液でレジスト膜16を剥離する。シリコン基板10、ゲート絶縁膜11、ゲート電極膜12及びマスク絶縁膜13によって形成された浅い溝の途中まで、図3(f)に示すように、第1の埋込絶縁膜15が形成された状態となる。このように、浅い溝の底上げにより、アスペクト比を初期の状態に比べてかなり小さくすることができるため、更に、HDP法によりシリコン酸化膜からなる第2の埋込絶縁膜19を形成することにより、図4(g)に示すように、容易にボイドのない埋込を達成することが可能である。
【0018】
更に、CMP法等を用い、第2の埋込絶縁膜19を平坦化しながら研磨し、マスク絶縁膜13の表面が露出するまで除去する。続いて、燐酸等により、シリコン窒化膜からなるマスク絶縁膜13を、シリコン酸化膜からなる第1の埋込絶縁膜15及び第2の埋込絶縁膜19に対し、選択的に除去する。更に、ウェットエッチング法或いはドライエッチング法により、第1の埋込絶縁膜15及び第2の埋込膜絶縁19を、ゲート電極膜12に対し、選択的に除去する。図4(h)に示すように、第1の埋込絶縁膜15及び第2の埋込絶縁膜19によって埋め込まれた、ボイドのない素子分離領域14aが形成される。
【0019】
なお、微細化が更に進み、アスペクト比の更に大きくなり、埋込性が不十分な場合は、図2(c)乃至図4(g)のステップを繰り返せばよい。
【0020】
以上に示したように、本実施例によれば、埋込絶縁膜の埋込工程を複数回用いて、高いアスペクト比を有する素子分離領域に絶縁膜を埋め込む方法において、レジストをマスクにした第1の埋込絶縁膜のオーバーハング除去工程を導入することにより、ボイドのない埋込を容易に達成することが可能になり、高い歩留りを有する半導体装置の製造方法を提供できる。
【0021】
また、本実施例によれば、第1の埋込絶縁膜及び第2の埋込絶縁膜の形成には、共に、HDP―CVDを用いることができるため、高品質のシリコン酸化膜により素子分離領域を形成できる。
【実施例2】
【0022】
第2の実施例で示す半導体装置の製造方法は、基本的に第1の実施例と同様に、本発明を素子分離領域の形成に適用したものである。図4(a)から図8(h)において、第1の実施例と同様の箇所は同符号で示し、省略しながら説明する。
【0023】
先ず、図5(a)に示すように、半導体基板としてP型のシリコン基板10を用意する。続いて、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜11を熱酸化法により、例えば6〜8nm形成する。ゲート絶縁膜11は、例えば、不揮発性メモリのトンネル酸化膜として使用されるが、この場合、続けて窒素が存在する雰囲気中で熱処理を実施しても良い。更に、多結晶シリコン膜からなるゲート電極膜12をCVD法により、例えば100〜200nm程度、更に、後のCMP等を用いた平坦化法によるシリコン酸化膜表面の平坦化の際に利用するため、シリコン窒化膜からなるマスク絶縁膜13を例えば20〜100nm程度、積層して形成する。
【0024】
次に図5(b)に示すように、リソグラフィ法、ドライエッチング法等を用いてストッパ用絶縁膜13、ゲート電極膜12、ゲート絶縁膜11、の積層構造膜を選択的にパターニングする。更に、パターニングされた積層構造膜をマスクにして、ドライエッチング法を用いてシリコン基板10をエッチングする。シリコン基板10に、溝部14が形成される。
【0025】
次に、図6(c)に示すように、HDP―CVD法を用いて、シリコン酸化膜からなる第1の埋込膜15をシリコン基板10の溝部14に埋め込みながら、マスク絶縁膜13の上にも形成する。HDP―CVD法では、比較的アスペクト比の高い溝に対して用い、成膜と共にイオンやラジカルによるスパッタエッチングも行い、凸部に付着した成分を削りながら、凹部に膜を埋込していく。しかし、半導体装置を構成する素子の微細化が進行するなかで、例えば、溝の幅が狭くなると、図6(c)に示すように、側壁の成膜が進むことにより、その部分にオーバーハングがでてくる。従って、オーバーハングによって表面が塞がり、内部にボイドができないように、その途中において、HDP―CVDによる第1の埋込絶縁膜15の成膜を止める。
【0026】
次に、スピンコート法或いはスキャンコート法により、シリコン基板10上にレジスト膜16を塗布する。続いて、塗布したレジスト膜16をCMP法により、第1の埋込絶縁膜15の表面が露出するまで、表面を平坦化しながら研磨する。比較的軟質なレジスト膜16の研磨中に、比較的硬質な第1の埋込絶縁膜15が露出することにより、シリコン基板10とCMP装置における研磨パッド(図示せず)との間のトルクが変化することにより、その終点を検出する。また、図6(d)に示すように、第1の埋込絶縁膜15の先端部が多少研磨されても良い。
【0027】
更に、弗化水素水溶液等により第1の埋込絶縁膜15を除去する。図7(e)に示すように、マスク絶縁膜13の表面が露出するまで、第1の埋込絶縁膜15をエッチングし、マスク絶縁膜13の上に空間領域17を形成する。なお、マスク絶縁膜13とレジスト膜16との隙間部分からエッチング液がしみ込んで第1の埋込絶縁膜15を或る程度エッチングする場合があっても良い。
【0028】
その後、硫酸過水等の薬液でレジスト膜16を剥離する。シリコン基板10、ゲート絶縁膜11、ゲート電極膜12及びマスク絶縁膜13によって形成された浅い溝の途中まで、図7(f)に示すように、第1の埋込絶縁膜15が形成された状態となる。このように、浅い溝の底上げにより、アスペクト比を初期の状態に比べてかなり小さくすることができるため、更に、HDP法によりシリコン酸化膜からなる第2の埋込絶縁膜19を形成することにより、図8(g)に示すように、容易にボイドのない埋込を達成することが可能である。
【0029】
更に、CMP法等を用い、第2の埋込絶縁膜19を平坦化しながら研磨し、ストッパ用絶縁膜13の表面が露出するまで除去する。続いて、燐酸等により、シリコン窒化膜からなるマスク絶縁膜13を、シリコン酸化膜からなる第1の埋込絶縁膜15及び第2の埋込絶縁膜19に対し、選択的に除去する。更に、ウェットエッチング法或いはドライエッチング法により、第1の埋込絶縁膜15及び第2の埋込膜絶縁19を、ゲート電極膜12に対し、選択的に除去する。図8(h)に示すように、第1の埋込絶縁膜15及び第2の埋込絶縁膜19によって埋め込まれた、ボイドのない素子分離領域14aが形成される。
【0030】
なお、微細化が更に進み、アスペクト比の更に大きくなり、埋込性が不十分な場合は、図6(c)乃至図8(g)のステップを繰り返せばよい。
【0031】
以上に示したように、本実施例によれば、埋込絶縁膜の埋込工程を複数回用いて、高いアスペクト比を有する素子分離領域に絶縁膜を埋め込む方法において、レジストをマスクにした第1の埋込絶縁膜のオーバーハング除去工程を導入することにより、ボイドのない埋込を容易に達成することが可能になり、高い歩留りを有する半導体装置の製造方法を提供できる。
【0032】
また、本実施例によれば、第1の埋込絶縁膜及び第2の埋込絶縁膜の形成には、共に、HDP―CVDを用いることができるため、高品質のシリコン酸化膜により素子分離領域を形成できる。
【0033】
更に、本実施例によれば、レジスト膜の平坦化にCMP法を用いることにより、平坦性を比較的精度良く保つことができる。
【実施例3】
【0034】
第3の実施例で示す半導体装置の製造方法は、本発明を、不揮発性メモリを含む半導体装置のメモリセル領域における素子分離領域の形成に適用したものであり、素子分離領域の形成工程から半導体装置が形成されるまでの工程について、図9から図13(h)を用いて説明する。
【0035】
図9は本実施例における不揮発性メモリを含む半導体装置の不揮発性メモリセルアレイを示す平面の模式図である。各メモリセル20のゲート部を制御するワード線20aと、メモリセルのソース及びドレイン領域に対し、コンタクトホール20bを介して接続するビット線20cが平面上を直交するように形成されている。
【0036】
図10(a)乃至図11(c)は、図9のA―A断面を拡大し、本実施例による不揮発性メモリを含む半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。また、図11(d)乃至図13(h)は、図9のB―B断面を拡大して、本実施例による不揮発性メモリを含む半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0037】
先ず、図10(a)に示すように、半導体基板としてP型のシリコン基板30を用意する。次に、図示しないウェル及びチャネルを形成するための不純物ドーピングを必要であれば実施する。続いて、シリコン酸化膜からなる第1のゲート絶縁膜31を熱酸化法により、例えば6nm形成する。第1のゲート絶縁膜31は不揮発性メモリのトンネル酸化膜として使用されるが、この場合、続けて窒素が存在する雰囲気中で熱処理を実施しても良い。更に、多結晶シリコン膜からなる第1のゲート電極膜32をCVD法により、例えば100nm程度、更に、後のCMP法によるシリコン酸化膜表面の平坦化の際に利用するため、シリコン窒化膜からなるマスク絶縁膜33を、例えば20nm、積層して形成する。
【0038】
次に、リソグラフィ法、ドライエッチング法等を用いてストッパ用絶縁膜33、第1のゲート電極膜32、第1のゲート絶縁膜31、の積層膜を選択的にパターニングし、更にパターニングされた積層膜をマスクにドライエッチング法を用いてシリコン基板30をエッチングして、シリコン基板30に溝部を形成する。続いて、図10(b)に示すように、第1の実施例或いは第2の実施例で示した絶縁膜の埋込方法を用い、埋込絶縁膜34を形成する。
【0039】
更に、マスク絶縁膜33をCDE法或いは燐酸によるウェットエッチング法等で選択的に除去し、第1のゲート電極膜32の上面を露出させる。更に埋込絶縁膜34も、露出させた第1のゲート電極膜12に合わせてエッチングを行う。次に、多結晶シリコン膜からなる第2のゲート電極膜15をCVD法により、例えば100nm程度形成した後、N型不純物として燐イオンをドーズ量として1E15cm−2〜1E16cm−2程度イオン注入し、その後、例えば、950℃で熱処理を施し、第2のゲート電極膜35並びに第1のゲート電極膜32をN型半導体膜にする。
【0040】
更に、リソグラフィ法、ドライエッチング法等を用いて第2のゲート電極膜35を選択的にパターニングし、隣接するゲート電極間の電気的分離を図る。続いて、図11(c)に示すように、シリコン酸化膜からなる第2のゲート絶縁膜36をCVD法により、例えば15nm形成し、その後、多結晶シリコン膜からなる第3のゲート電極膜37をCVD法により、例えば100nm程度形成する。
【0041】
図11(d)は、図11(c)と同じ工程における図9のB―B断面の状態を示している。更に、図12(e)乃至図13(h)は、以降の工程について同じB―B断面の状態を示している。図11(d)に示した断面においては、素子分離領域は形成されておらず、第1のゲート絶縁膜31、第1のゲート電極膜32、第2のゲート電極膜35、第2のゲート絶縁膜36、第3のゲート電極膜37を積層した状態になっている。
【0042】
次に、図12(e)に示すように、積層化している第3のゲート電極膜37、第2のゲート絶縁膜36、第2のゲート電極膜35、第1のゲート電極膜32、第1のゲート絶縁膜31をリソグラフィ法、ドライエッチング法により選択的にパターニングし、シリコン基板30の上面を露出させる。なお、選択的に除去された領域がコンタクト電極形成領域37aとなる。
【0043】
次に、図12(f)に示すように、シリコン酸化膜からなる後酸化絶縁膜38を熱酸化法、或いはCVD法により、例えば10乃至20nm程度、シリコン基板30に形成する。更に、残存する積層膜をマスクとしてシリコン基板30にイオン注入法より不純物を導入し、第1のソース及びドレイン領域39を形成する。即ち、砒素イオンもしくは燐イオンをドーズ量として1E13cm−2〜1E15cm−2程度注入し、その後、急速加熱法を用いて例えば、800℃、数秒程度の熱処理を施し、導入した不純物を活性化する。
【0044】
更に、CVD法によってシリコン窒化膜を20〜40nm程度、シリコン基板30の全面に形成した後、RIE法によってシリコン基板30の上面にあるシリコン窒化膜だけを選択的に除去する異方性エッチングを行い、図12(f)に示すように、側壁絶縁膜40を形成する。続いて、シリコン基板30に砒素イオンをドーズ量として1E15cm−2〜1E16cm−2程度注入し、その後、例えば、950℃熱処理を施し、不純物を活性化して第2のソース及びドレイン領域41を形成する。
【0045】
そして、図13(g)に示すように、シリコン窒化膜からなるバリヤ絶縁膜42をCVD法により、例えば20nm程度形成し、更に、ボロン並びに燐を添加したシリコン酸化膜(BPSG膜)からなるメルト絶縁膜43をCVD法により、バリヤ絶縁膜42の上に形成すると共に、空間領域37aに埋め込む。更に、メルト絶縁膜43を、例えば900℃、20分間の熱処理を行い、ガラス状に流動化し、ボイド等がなく、また、緻密な膜として高品質化させ、かつ、表面を平坦化する。
【0046】
次に、図13(h)に示すように、CMP法によってバリヤ絶縁膜42の上面が露出するまでメルト絶縁膜43を研摩しその表面を平坦化する。更に残存するバリヤ絶縁膜42及び後酸化絶縁膜39をドライエッチング法若しくは燐酸によるウェットエッチング法等で選択的に除去し、第3のゲート電極膜37の上面を露出させる。
【0047】
その後、図示してないSiO2等の層間絶縁膜をシリコン基板全面に堆積する。この層間絶縁膜にコンタクト孔を開口し、ゲート電極膜やソース及びドレイン領域にAl、Cu等の金属配線を形成する。さらに、必要に応じて層間絶縁膜の堆積と、金属配線の形成を繰り返して多層配線構造を形成したうえで、全面を表面保護膜で覆い、パッド部を開口して不揮発性メモリを含む半導体装置を完成させる。
【0048】
以上に示したように、本実施例によれば、埋込絶縁膜の埋込工程を複数回用いて、高いアスペクト比を有する素子分離領域に絶縁膜を埋め込む方法において、レジストをマスクにした第1の埋込絶縁膜のオーバーハング除去工程を導入することにより、ボイドのない埋込を容易に達成することが可能な第1の実施例あるいは第2の実施例で示した方法を、不揮発性メモリを含む半導体装置の製造方法に適用することにより、高い歩留りを可能にできる。
【0049】
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0050】
第1乃至第3の実施例において、本発明を半導体基板に素子分離領域を形成する工程に適用したが、例えば配線工程のように、半導体基板上に形成された膜パターンによる凹凸部を表面に有する基板面上の凹部に埋込絶縁膜を形成する工程へ適用可能なことは勿論である。また、不揮発性メモリセルの素子分離領域だけでなく、論理回路あるいは他のメモリセルにも適用できる。
【0051】
第1の埋込絶縁膜及び第2の埋込絶縁膜は、HDP―CVD法用いて形成したが、例えば、バイアススパッタ法、原子層デポジション法等の方法を用いても同様の効果を上げることができる。更に、これらの方法を組み合わせても良い。
【0052】
また、素子分離工程では、ゲート絶縁膜及びゲート電極膜のゲート構造形成後に、素子分離領域を形成したが、ゲート絶縁膜及びゲート電極膜のゲート構造形成前に、素子分離領域を形成しても良い。この時、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜をマスクにして、半導体基板をエッチングし、素子分離領域を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による半導体装置の製造方法の第1の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図2】本発明による半導体装置の製造方法の第1の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図3】本発明による半導体装置の製造方法の第1の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図4】本発明による半導体装置の製造方法の第1の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図5】本発明による半導体装置の製造方法の第2の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図6】本発明による半導体装置の製造方法の第2の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図7】本発明による半導体装置の製造方法の第2の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図8】本発明による半導体装置の製造方法の第2の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図9】本発明による半導体装置の第3の実施の形態におけるメモリセル部を概略的に示す平面図。
【図10】本発明による半導体装置の製造方法の第3の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図11】本発明による半導体装置の製造方法の第3の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図12】本発明による半導体装置の製造方法の第3の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【図13】本発明による半導体装置の製造方法の第3の実施の形態を工程順に示す断面の模式図。
【符号の説明】
【0054】
10、30 シリコン基板
11 ゲート絶縁膜
12 ゲート電極膜
13、33 マスク絶縁膜
14 溝部
14a 素子分離領域
15 第1の埋込絶縁膜
16 レジスト膜
17 空間領域
18 隙間
19 第2の埋込絶縁膜
20 メモリセル
20a ワード線
20b コンタクトホール
20c ビット線
31 第1のゲート絶縁膜
32 第1のゲート電極膜
34 埋込絶縁膜
35 第2のゲート電極膜
36 第2のゲート絶縁膜
37 第3のゲート電極膜
37a コンタクト電極形成領域
38 後酸化絶縁膜
39 第1のソース及びドレイン領域
40 側壁絶縁膜
41 第2のソース及びドレイン領域
42 バリヤ絶縁膜
43 メルト絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にマスク絶縁膜を形成する工程と、
前記マスク絶縁膜及び半導体基板に溝部を形成する工程と、
前記溝部の開口部を露出させつつ前記マスク絶縁膜上および前記溝部内に第1の埋込絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の埋込絶縁膜が形成された前記溝部内を埋込み、かつ前記マスク絶縁膜上に形成された前記第1の埋込絶縁膜上を覆うようにレジスト膜を形成する工程と、
前記マスク絶縁膜上に形成された前記第1の埋込絶縁膜が露出するように前記レジスト膜を除去する工程と、
前記レジスト膜をマスクに、前記マスク絶縁膜上の前記第1の埋込絶縁膜を除去する工程と、
残存する前記レジスト膜を除去する工程と、
前記第1の埋込絶縁膜が形成された前記溝部内に第2の埋込絶縁膜を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記レジスト膜を除去する工程では、ドライエッチング法が用いられることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記レジスト膜を除去する工程では、CMP法が用いられることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記レジスト膜を除去する工程では前記ドライエッチング法が用いられ、前記レジスト膜は、酸素ガス系のプラズマを含むガスによって除去され、かつ、前記ドライエッチング法の終点は、一酸化炭素ガスの発光を検出することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極膜を形成する工程と、
前記ゲート電極膜上にマスク絶縁膜を形成する工程と、
前記マスク絶縁膜、前記ゲート電極膜、前記ゲート絶縁膜及び前記半導体基板に溝部を形成する工程と、
前記溝部の途中段階まで第1の埋込絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の埋込絶縁膜の間に埋込ながら、前記半導体基板を覆うようにレジスト膜を形成する工程と、
前記第1の埋込絶縁膜の表面が少なくとも露出するまで前記レジスト膜を除去する工程と、
前記レジスト膜をマスクにして、前記マスク絶縁膜上の前記第1の埋込絶縁膜を除去する工程と、
残存する前記レジスト膜を除去する工程と、
途中段階まで前記第1の埋込絶縁膜形成された前記溝部に埋め込みながら、前記半導体基板を覆うように第2の埋込絶縁膜を形成する工程と、
溝部に形成された前記第2の埋込絶縁膜を残存させるように、前記第2の埋込絶縁膜を平坦化しながら除去する工程とを
有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−269765(P2006−269765A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85989(P2005−85989)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】