説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】炭素含有シリコン領域を有するn型MISトランジスタを備えた半導体装置において、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを、効果的に増大させる。
【解決手段】少なくともn型MISトランジスタNTrを有する半導体装置において、n型MISトランジスタnTrは、半導体基板10における第1の半導体領域10a上に形成された第1のゲート絶縁膜13aと、第1のゲート絶縁膜13a上に形成された第1のゲート電極14aと、第1のゲート電極14aの側面上に形成された第1のサイドウォール18Aと、第1のサイドウォール18Aの外側方に形成された炭素含有シリコン領域27とを備え、炭素含有シリコン領域27の上面高さは、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面高さよりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、炭素等を含有するシリコン領域を有するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MISFET(以下、「MISトランジスタ」と称す)の駆動能力を向上させる手段として、チャネル領域に応力を印加し、キャリアの移動度を高める試みが行われている。ここで、チャネル領域に応力を印加する方法として、n型MISトランジスタのソースドレイン領域に、炭素含有シリコン領域を設ける方法が挙げられる。
【0003】
以下に、従来の半導体装置の製造方法について、図7(a) 〜(c) を参照しながら説明する(例えば非特許文献1参照)。図7(a) 〜(c) は、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【0004】
まず、図7(a) に示すように、シリコンからなる半導体基板100の上部に素子分離領域101を形成する。これにより、半導体基板100に、素子分離領域101に囲まれた半導体領域100aが形成される。その後、半導体基板100にp型ウェル領域102を形成する。
【0005】
次に、半導体領域100a上に、ゲート絶縁膜103、ゲート電極104、及びキャップ膜105を順次形成する。その後、半導体領域100aにおけるゲート電極104の側方下に位置する領域にn型エクステンション注入領域106を形成する。その後、ゲート電極104の側面上に、内側サイドウォール107と外側サイドウォール108とからなるサイドウォール108Aを形成する。
【0006】
次に、図7(b) に示すように、サイドウォール108Aをマスクにして、半導体領域100aにn型不純物イオンを注入することにより、半導体領域100aにおけるサイドウォール108Aの外側方下に位置する領域にn型ソースドレイン注入領域109を形成する。
【0007】
次に、サイドウォール108Aをマスクにして、半導体領域100aに炭素イオンを注入することにより、半導体領域100aにおけるサイドウォール108Aの外側方下に位置する領域に炭素イオン注入領域110を形成する。
【0008】
次に、図7(c) に示すように、熱処理により、n型エクステンション注入領域106に含まれるn型不純物を活性化し、n型エクステンション領域111を形成すると共に、n型ソースドレイン注入領域109に含まれるn型不純物を活性化し、n型ソースドレイン領域112を形成する。それと共に、炭素イオン注入領域110を結晶化し、炭素含有シリコン領域113を形成する。
【0009】
次に、図示を省略するが、キャップ膜105を除去し、ゲート電極104の上面を露出する。その後、炭素含有シリコン領域113上にシリサイド層を形成すると共に、ゲート電極104上にシリサイド層を形成する。その後、層間絶縁膜、コンタクト、及び配線等を形成する。
【0010】
以上のようにして、従来の半導体装置を製造する。
【0011】
ここで、一般に、炭素含有シリコン領域における炭素濃度が1%の場合、炭素含有シリコン領域の格子定数は、半導体基板の格子定数に比べて、0.4%程度だけ小さくなる。そのため、従来では、炭素含有シリコン領域113により、半導体領域100aにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、キャリアの移動度を高めて、n型MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【非特許文献1】Y. Liu et al., “Strained Si Channel MOSFETs with Embedded Silicon Carbon Formed by Solid Phase Epitaxy”, 2007 Symposium on VLSI technology digest of technical papers、pp44-45.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の半導体装置では、以下に示す問題がある。
【0013】
ここで、従来の半導体装置における、炭素含有シリコン領域の深さと、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさとの関係について、図8を参照しながら説明する。図8は、従来の半導体装置における、炭素含有シリコン領域の深さと、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさとの関係について示すグラフである。
【0014】
図8に示す横軸は、炭素含有シリコン領域の深さを示す。ここで、「炭素含有シリコン領域の深さ」とは、半導体領域100aにおけるゲート絶縁膜103の下に位置する領域の上面深さを基準深さ(即ち、0nm)とし、半導体領域100aにおけるゲート絶縁膜103の下に位置する領域の上面から、炭素含有シリコン領域113における最も深くに位置する下面までの深さ(例えば、図7(c):D参照)をいう。
【0015】
一方、図8に示す縦軸は、深さがX(X=5,10,20,30,40,50,60)nmの炭素含有シリコン領域113により、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを示す。
【0016】
図8に示すように、炭素含有シリコン領域の深さXが比較的浅い範囲において、引っ張り応力の大きさは、炭素含有シリコン領域の深さが深くなるに連れて、比較的大きな割合で増大する。一方、炭素含有シリコン領域の深さXが比較的深い範囲において、引っ張り応力の大きさは、炭素含有シリコン領域の深さが深くなるに連れて、比較的小さな割合で増大する。これは、炭素含有シリコン領域の深さXが、所定深さ(具体的には例えば、X=50nm)を超えた場合、炭素含有シリコン領域の下面が、キャリアが移動する領域(即ち、チャネル領域)から離れるため、炭素含有シリコン領域による引っ張り応力を、チャネル領域のゲート長方向に効果的に印加することができないことによるものと考えられる。
【0017】
このように、引っ張り応力の大きさは、炭素含有シリコン領域の深さが深くなるに連れて、一定の割合で増大するのではなく、引っ張り応力の大きさが増大する割合は、炭素含有シリコン領域の深さが深くなるに連れて、小さくなる。
【0018】
そのため、単に炭素含有シリコン領域の深さを、所定深さを超えてさらに深くしても、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを、大きな割合で増大させることができず、n型MISトランジスタの駆動能力を効果的に向上させることはできない。
【0019】
前記に鑑み、本発明の目的は、炭素含有シリコン領域を有するn型MISトランジスタを備えた半導体装置において、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを、効果的に増大させることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、少なくともn型MISトランジスタを有する半導体装置において、n型MISトランジスタは、半導体基板における第1の半導体領域上に形成された第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、第1のゲート電極の側面上に形成された第1のサイドウォールと、第1のサイドウォールの外側方に形成された炭素含有シリコン領域とを備え、炭素含有シリコン領域の上面高さは、第1の半導体領域における第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高いことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る半導体装置によると、炭素含有シリコン領域の上面高さは、第1の半導体領域における第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高く、炭素含有シリコン領域は、第1の半導体領域における第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部を有する。そのため、厚膜部によって、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を効果的に印加することができるため、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを、効果的に増大させることができるので、n型MISトランジスタの駆動能力を効果的に向上させることができる。
【0022】
本発明に係る半導体装置において、炭素含有シリコン領域は、第1の半導体領域及び第1の半導体領域上に形成された第1のシリコン層に形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明に係る半導体装置において、炭素含有シリコン領域には、n型不純物拡散領域が形成されていることが好ましい。
【0024】
本発明に係る半導体装置において、第1のサイドウォールは、第1のゲート電極の側面上に形成された断面形状がL字状の第1の内側サイドウォールと、第1の内側サイドウォール上に形成された第1の外側サイドウォールとからなることが好ましい。
【0025】
本発明に係る半導体装置において、第1の半導体領域上に形成され、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力絶縁膜をさらに備え、第1のサイドウォールは、第1のゲート電極の側面上に形成された断面形状がL字状の第1の内側サイドウォールからなり、応力絶縁膜は、第1の内側サイドウォールに接して形成されていることが好ましい。
【0026】
このようにすると、応力絶縁膜により、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、n型MISトランジスタの駆動能力をさらに向上させることができる。
【0027】
加えて、応力絶縁膜を、第1の外側サイドウォールを介さずに、第1の内側サイドウォールに接して形成することにより、応力絶縁膜を、第1の外側サイドウォールの除去分だけ、第1の半導体領域におけるチャネル領域に近付けて形成することができるため、応力絶縁膜による引っ張り応力を、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に効果的に印加することができる。
【0028】
さらに、応力絶縁膜を、第1の外側サイドウォールを介さずに、第1の内側サイドウォールに接して形成することにより、応力絶縁膜を、第1の外側サイドウォールの除去分だけ、厚く形成することができるため、応力絶縁膜による引っ張り応力を、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に効果的に印加することができる。
【0029】
本発明に係る半導体装置において、炭素含有シリコン領域上に形成された第1のシリサイド層をさらに備えていることが好ましい。
【0030】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート絶縁膜は、第1の高誘電率絶縁膜を有し、第1のゲート電極は、第1のゲート絶縁膜上に接して設けられた第1の金属膜を有することが好ましい。
【0031】
本発明に係る半導体装置において、炭素含有シリコン領域における炭素濃度は、0.5%以上であることが好ましい。
【0032】
本発明に係る半導体装置において、半導体装置はp型MISトランジスタをさらに有し、p型MISトランジスタは、半導体基板における第2の半導体領域上に形成された第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、第2のゲート電極の側面上に形成された第2のサイドウォールと、第2のサイドウォールの外側方に形成されたゲルマニウム含有シリコン領域とを備えていることが好ましい。
【0033】
このようにすると、ゲルマニウム含有シリコン領域により、第2の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に圧縮応力を印加することができるため、p型MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0034】
本発明に係る半導体装置において、ゲルマニウム含有シリコン領域上に形成された第2のシリコン層と、第2のシリコン層上に形成された第2のシリサイド層とをさらに備え、第2のシリコン層の少なくとも上部領域は、ゲルマニウム含有シリコン領域に比べてゲルマニウム濃度が低いことが好ましい。
【0035】
本発明に係る半導体装置において、ゲルマニウム含有シリコン領域の上面高さは、第2の半導体領域における第2のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高いことが好ましい。
【0036】
このようにすると、ゲルマニウム含有シリコン領域の上面高さは、第2の半導体領域における第2のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高く、ゲルマニウム含有シリコン領域は、第2の半導体領域における第2のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部を有する。そのため、厚膜部によって、第2の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に圧縮応力を効果的に印加することができるため、第2の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に印加される圧縮応力の大きさを、効果的に増大させることができるので、p型MISトランジスタの駆動能力を効果的に向上させることができる。
【0037】
本発明に係る半導体装置において、ゲルマニウム含有シリコン領域には、p型不純物拡散領域が形成されていることが好ましい。
【0038】
本発明に係る半導体装置において、第2のゲート絶縁膜は、第2の高誘電率絶縁膜を有し、第2のゲート電極は、第2のゲート絶縁膜上に接して設けられた第2の金属膜を有することが好ましい。
【0039】
本発明に係る半導体装置において、ゲルマニウム含有シリコン領域におけるゲルマニウム濃度は、15%以上であることが好ましい。
【0040】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板における第1の半導体領域上に第1のゲート絶縁膜を形成する工程(a)と、第1のゲート絶縁膜上に第1のゲート電極を形成する工程(b)と、第1のゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成する工程(c)と、第1のサイドウォールの外側方に炭素含有シリコン領域を形成する工程(d)とを備え、炭素含有シリコン領域の上面高さは、第1の半導体領域における第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高いことを特徴とする。
【0041】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、炭素含有シリコン領域の上面高さは、第1の半導体領域における第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高く、炭素含有シリコン領域は、第1の半導体領域における第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部を有する。そのため、厚膜部によって、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を効果的に印加することができるため、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを、効果的に増大させることができるので、第1のゲート電極を有するn型MISトランジスタの駆動能力を効果的に向上させることができる。
【0042】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(d)は、第1の半導体領域における第1のサイドウォールの外側方下に位置する領域上に第1のシリコン層を形成する工程(d1)と、第1のシリコン層及び第1の半導体領域における第1のシリコン層の下に位置する領域に炭素を含むイオンを注入して炭素イオン注入領域を形成する工程(d2)と、熱処理により炭素イオン注入領域を結晶化して炭素含有シリコン領域を形成する工程(d3)とを有していることが好ましい。
【0043】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(a)は、半導体基板における第2の半導体領域上に第2のゲート絶縁膜を形成する工程を含み、工程(b)は、第2のゲート絶縁膜上に第2のゲート電極を形成する工程を含み、工程(c)は、第2のゲート電極の側面上に第2のサイドウォールを形成する工程を含み、工程(d)は、第2のサイドウォールの外側方にゲルマニウム含有シリコン領域を形成する工程(X)を含んでいることが好ましい。
【0044】
このようにすると、ゲルマニウム含有シリコン領域により、第2の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に圧縮応力を印加することができるため、第2のゲート電極を有するp型MISトランジスタの駆動能力を向上させることができる。
【0045】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(X)は、第2の半導体領域における第2のサイドウォールの外側方下に位置する領域をエッチングしてリセス部を形成する工程(X1)と、エピタキシャル成長法によりリセス部内にゲルマニウム含有シリコン領域を形成する工程(X2)とを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、炭素含有シリコン領域の上面高さは、第1の半導体領域における第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高く、炭素含有シリコン領域は、第1の半導体領域における第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部を有する。そのため、厚膜部によって、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を効果的に印加することができるため、第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを、効果的に増大させることができるので、n型MISトランジスタの駆動能力を効果的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0048】
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図1(a) 〜(c) 、図2(a) 〜(c) 、図3(a) 〜(c) 、及び図4を参照しながら説明する。
【0049】
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図1(a) 〜図3(c) を参照しながら説明する。図1(a) 〜図3(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の要部工程断面図である。図1(a) 〜図3(c) において、左側に「NMIS領域」を示し、右側に「PMIS領域」を示す。ここで、「NMIS領域」とは、n型MISトランジスタが形成される領域をいう。一方、「PMIS領域」とは、p型MISトランジスタが形成される領域をいう。また、図1(a) 〜図3(c) において、簡略的に図示するために、NMIS領域とPMIS領域とを互いに隣接して図示する。
【0050】
まず、図1(a) に示すように、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、例えばシリコンからなる半導体基板10の上部に、トレンチ内に例えばシリコン酸化膜が埋め込まれた素子分離領域11を形成する。これにより、NMIS領域における半導体基板10に、素子分離領域11に囲まれた第1の半導体領域10aが形成されると共に、PMIS領域における半導体基板10に、素子分離領域11に囲まれた第2の半導体領域10bが形成される。その後、イオン注入法により、NMIS領域における半導体基板10に例えばB(ホウ素)等のp型不純物イオンを注入する一方、PMIS領域における半導体基板10に例えばP(リン)等のn型不純物イオンを注入した後、熱処理により、NMIS領域における半導体基板10にp型ウェル領域12aを形成すると共に、PMIS領域における半導体基板10にn型ウェル領域12bを形成する。
【0051】
次に、半導体基板10上に、例えば、膜厚が2nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜形成膜、膜厚が90nmのポリシリコン膜からなるゲート電極形成膜、及び膜厚が20nmのシリコン酸化膜からなるキャップ膜形成膜を順次形成する。その後、リソグラフィ法により、キャップ膜形成膜上に、ゲート電極形状を有するレジスト(図示せず)を形成した後、レジストをマスクにして、ドライエッチング法により、キャップ膜形成膜、ゲート電極形成膜、及びゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングする。これにより、第1の半導体領域10a上に、第1のゲート絶縁膜13a、第1のゲート電極14a、及び第1のキャップ膜15aを順次形成すると共に、第2の半導体領域10b上に、第2のゲート絶縁膜13b、第2のゲート電極14b、及び第2のキャップ膜15bを順次形成する。その後、レジストを除去する。なお、第1のゲート電極14aは、n型不純物が導入されたn型ゲート電極であり、第2のゲート電極14bは、p型不純物が導入されたp型ゲート電極である。ここで、n型の第1のゲート電極14a、及びp型の第2のゲート電極14bを形成する方法としては、例えば、ゲート電極形成膜の形成後でキャップ膜形成膜の形成前に、NMIS領域におけるゲート電極形成膜にn型不純物を注入する一方、PMIS領域におけるゲート電極形成膜にp型不純物を注入する。その後、上記の通り、キャップ膜形成膜を形成した後、キャップ膜形成膜、ゲート電極形成膜、及びゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングする。これにより、n型の第1のゲート電極14a、及びp型の第2のゲート電極14bを形成する。
【0052】
次に、イオン注入法により、第1のキャップ膜15a、第1のゲート電極14a、及び第1のゲート絶縁膜13aをマスクにして、第1の半導体領域10aに、例えばAs(ヒ素)等のn型不純物イオンを注入する。これにより、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート電極14aの側方下に位置する領域に、接合深さの比較的浅いn型エクステンション注入領域16aを自己整合的に形成する。このとき、第1のゲート電極14aの上面は第1のキャップ膜15aで覆われているため、n型不純物イオンは第1のゲート電極14aに注入されない。一方、第2のキャップ膜15b、第2のゲート電極14b、及び第2のゲート絶縁膜13bをマスクにして、第2の半導体領域10bに、例えばBF2等のp型不純物イオンを注入する。これにより、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート電極14bの側方下に位置する領域に、接合深さの比較的浅いp型エクステンション注入領域16bを自己整合的に形成する。このとき、第2のゲート電極14bの上面は第2のキャップ膜15bで覆われているため、p型不純物イオンは第2のゲート電極14bに注入されない。
【0053】
次に、図1(b) に示すように、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が10nmのシリコン酸化膜、及び膜厚が30nmのシリコン窒化膜を順次形成した後、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜に対して異方性エッチングを順次行う。これにより、第1,第2のゲート絶縁膜13a,13b、第1,第2のゲート電極14a,14b、及び第1,第2のキャップ膜15a,15bの側面上に、断面形状がL字状のシリコン酸化膜からなる第1,第2の内側サイドウォール17a,17bと、シリコン窒化膜からなる第1,第2の外側サイドウォール18a,18bとからなる第1,第2のサイドウォール18A,18Bを形成する。
【0054】
次に、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が10nmのシリコン酸化膜からなる保護膜19を形成する。
【0055】
次に、図1(c) に示すように、リソグラフィ法により、保護膜19上に、NMIS領域を覆いPMIS領域を開口するレジスト(図示せず)を形成した後、レジストをマスクとして、ウエットエッチング法により、保護膜19におけるPMIS領域に形成された部分を除去し、NMIS領域に保護膜19aを残存させる。その後、レジストを除去する。
【0056】
次に、ドライエッチング法により、第2の半導体領域10bにおける第2のサイドウォール18Bの外側方下に位置する領域をエッチングして、リセス部20を形成する。
【0057】
次に、図2(a) に示すように、リセス部20内に形成された自然酸化膜(図示せず)等を除去する。その後、エピタキシャル成長法により、例えば、650℃〜700℃の下、シランガス(SiH4)及びゲルマンガス(GeH4)を、ジボランガス(B26)等のp型不純物ガスと共に供給する。これにより、リセス部20内の領域、及びリセス部20内の領域上に、その上面高さが、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート絶縁膜13bの下に位置する領域の上面高さよりも高くなるまで、例えばゲルマニウム濃度が30%(15%以上で50%以下の範囲が望ましい)のp型ゲルマニウム含有シリコン領域21を堆積する。このとき、第1の半導体領域10aにおける第1のサイドウォール18Aの外側方下に位置する領域の上面は、保護膜19aで覆われているため、p型ゲルマニウム含有シリコン領域は、第1の半導体領域10aにおける第1のサイドウォール18Aの外側方下に位置する領域上に堆積されない。またこのとき、第1のゲート電極14aの上面は、第1のキャップ膜15a及び保護膜19aで順次覆われている一方、第2のゲート電極14bの上面は、第2のキャップ膜15bで覆われているため、p型ゲルマニウム含有シリコン領域は、第1,第2のゲート電極14a,14b上に堆積されない。
【0058】
このようにして、第2のサイドウォール18Bの外側方に、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21を形成する。ここで、p型不純物ガスを導入しながら、エピタキシャル成長を行うため、導電型がp型のゲルマニウム含有シリコン領域が形成され、ゲルマニウム含有シリコン領域は、p型不純物ガスが導入された領域(即ち、p型不純物導入領域)に形成される。また、その上面高さが、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート絶縁膜13bの下に位置する領域の上面高さよりも高くなるまで、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21を堆積するため、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21は、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート絶縁膜13bの下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部(図2(a):21t参照)を有する。
【0059】
次に、図2(b) に示すように、ウエットエッチング法により、保護膜19aを除去する。その後、エピタキシャル成長法により、第1の半導体領域10aにおける第1のサイドウォール18Aの外側方下に位置する領域上に、例えば膜厚が20nmの第1のシリコン層22aを堆積する。それと共に、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21上に、例えば膜厚が20nmの第2のシリコン層22bを堆積する。このとき、エピタキシャル成長法における熱処理により、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21のGe(ゲルマニウム)が、第2のシリコン層22bに、下面(即ち、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21と接する面)から上面に向かって拡散する。そのため、第2のシリコン層22bに拡散されるゲルマニウム量は、下面から上面に向かって減少し、第2のシリコン層22bにおけるゲルマニウム濃度は、下面から上面に向かって低くなる(但し、第2のシリコン層22bの上面領域にまで、ゲルマニウムが拡散することはなく、第2のシリコン層22bの上面領域におけるゲルマニウム濃度は、0%である)。
【0060】
このようにして、第1の半導体領域10aにおける第1のサイドウォール18Aの外側方下に位置する領域上に、第1のシリコン層22aを形成すると共に、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21上に、下面から上面に向かってゲルマニウム濃度が低くなる第2のシリコン層22bを形成する。ここで、導電型不純物ガスを導入することなく、エピタキシャル成長を行うため、ノンドープ型の第1,第2のシリコン層22a,22bが形成される。
【0061】
次に、図2(c) に示すように、リソグラフィ法により、半導体基板10上に、NMIS領域を覆いPMIS領域を開口するレジスト(図示せず)を形成した後、イオン注入法により、例えば注入エネルギーが2keV,注入ドース量が3×1015/cm2のイオン注入条件で、第2のシリコン層22bに、例えばボロン等のp型不純物イオンを注入する。これにより、第2のシリコン層22bにp型不純物イオンが注入されてなるp型第2のシリコン層22bpを形成する。このとき、第2のゲート電極14bの上面は第2のキャップ膜15bで覆われているため、p型不純物イオンは第2のゲート電極14bに注入されない。その後、レジストを除去する。
【0062】
ここで、既述の通り、第2のシリコン層22bにおけるゲルマニウム濃度は、下面から上面に向かって低くなる(但し、第2のシリコン層22bの上面領域におけるゲルマニウム濃度は、0%である)ため、当然ながら、第2のシリコン層22bにp型不純物イオンが注入されてなるp型第2のシリコン層22bpにおけるゲルマニウム濃度は、下面から上面に向かって低くなる(但し、p型第2のシリコン層22bpの上面領域におけるゲルマニウム濃度は、0%である)。
【0063】
次に、図3(a) に示すように、リソグラフィ法により、半導体基板10上に、NMIS領域を開口しPMIS領域を覆うレジスト(図示せず)を形成した後、イオン注入法により、第1のサイドウォール18Aをマスクにして、例えば注入エネルギーが10keV,注入ドーズ量が2.5×1015/cm2のイオン注入条件で、第1のシリコン層22a及び第1の半導体領域10aに、例えばAs等のn型不純物イオンを注入する。これにより、第1のシリコン層22a、及び第1の半導体領域10aにおける第1のシリコン層22aの下に位置する領域(即ち、第1の半導体領域10aにおける第1のサイドウォール18Aの外側方下に位置する領域)に、接合深さの比較的深いn型ソースドレイン注入領域23を自己整合的に形成する。このとき、第1のゲート電極14aの上面は第1のキャップ膜15aで覆われているため、n型不純物イオンは第1のゲート電極14aに注入されない。またこのとき、第1のシリコン層22a及び第1の半導体領域10aへのn型不純物イオンの注入により、n型ソースドレイン注入領域23における少なくとも上部領域は、アモルファス化される。このようにして、第1のサイドウォール18Aの外側方に、n型ソースドレイン注入領域23を形成する。
【0064】
次に、イオン注入法により、第1のサイドウォール18Aをマスクにして、例えば注入エネルギーが2keV,注入ドーズ量が2.5×1015/cm2のイオン注入条件で、第1のシリコン層22a及び第1の半導体領域10aに、例えばC1610イオン等の炭素を含むイオンを注入する。これにより、第1のシリコン層22a、及び第1の半導体領域10aにおける第1のシリコン層22aの下に位置する領域(即ち、第1の半導体領域10aにおける第1のサイドウォール18Aの外側方下に位置する領域)に、炭素イオン注入領域24を形成する。このとき、第1のゲート電極14aの上面は第1のキャップ膜15aで覆われているため、炭素を含むイオンは第1のゲート電極14aに注入されない。その後、レジストを除去する。
【0065】
このようにして、第1のサイドウォール18Aの外側方に、炭素イオン注入領域24を形成する。ここで、炭素イオン注入領域24は、第1の半導体領域10aにおける第1のシリコン層22aの下に位置する領域、及び第1のシリコン層22aに形成されるため、炭素イオン注入領域24の上面高さは、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面高さよりも、第1のシリコン層(図2(b) 〜(c):22a参照)の膜厚分だけ高い。なお、図3(a) 及びそれ以降の図3(b) 〜(c) において、第1のシリコン層が存在することはないものの、第1のシリコン層の下面位置を、点線で図示する。
【0066】
ここで、アモルファス状態の領域及び結晶状態の領域の各々に、同一のイオン注入条件で、同一のイオンを注入した場合、アモルファス状態の領域は、結晶状態の領域に比べて、イオンが注入され難いため、アモルファス状態の領域に形成されるイオン注入領域の注入深さを、結晶状態の領域に形成されるイオン注入領域の注入深さよりも浅くすることができる。またここで、一般に、炭素を含む分子イオンは、炭素イオン(Cイオン)に比べて、重量の重いイオンであるため、炭素を含む分子イオン及び炭素イオンの各々を、同一のイオン注入条件で、同一の領域に注入した場合、炭素を含む分子イオンが注入された領域の注入深さを、炭素イオンが注入された領域の注入深さよりも浅くすることができる。そこで、本実施形態では、n型不純物イオンの注入により、少なくとも上部領域がアモルファス化されたn型ソースドレイン注入領域23を形成した後、炭素を含むイオンとして、炭素を含む分子イオン(具体的には例えば、C1610イオン)を採用し、炭素を含む分子イオンの注入により、炭素イオン注入領域24を形成する。これにより、炭素イオン注入領域24の注入深さが、n型ソースドレイン注入領域23の注入深さを超えることを効果的に防止することができる。
【0067】
次に、図3(b) に示すように、例えば650℃,1分の熱処理を行う。熱処理により、n型エクステンション注入領域16aに含まれるn型不純物を活性化し、n型エクステンション領域25aを形成すると共に、p型エクステンション注入領域16bに含まれるp型不純物を活性化し、p型エクステンション領域25bを形成する。このようにして、第1,第2の半導体領域10a,10bにおける第1,第2のゲート電極14a,14bの側方下に位置する領域に、n型,p型エクステンション領域25a,25bを形成する。
【0068】
それと共に、熱処理により、n型ソースドレイン注入領域23に含まれるn型不純物を活性化し、n型ソースドレイン領域26aを形成すると共に、p型ゲルマニウムシリコン領域21に含まれるp型不純物を活性化し、p型不純物拡散領域26bを形成する。このようにして、第1のサイドウォール18Aの外側方に、n型ソースドレイン領域(n型不純物拡散領域)26aを形成すると共に、第2のサイドウォール18Bの外側方に、p型不純物拡散領域26bを形成する。
【0069】
それと共に、熱処理により、炭素イオン注入領域24を結晶化して、例えば炭素濃度が1%(0.5%以上で5%以下の範囲が望ましい)の炭素含有シリコン領域27を形成する。このようにして、第1のサイドウォール18Aの外側方に、炭素含有シリコン領域27を形成する。
【0070】
ここで、炭素含有シリコン領域27は、n型ソースドレイン領域(n型不純物拡散領域)26aに形成される。また、ゲルマニウム含有シリコン領域は、p型不純物拡散領域26bに形成される。またここで、既述の通り、炭素イオン注入領域24の上面高さは、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面高さよりも、第1のシリコン層(図2(b) 〜(c):22a参照)の膜厚分だけ高いため、炭素含有シリコン領域27の上面高さは、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面高さよりも高い。そのため、炭素含有シリコン領域27は、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部(図3(b):27t参照)を有する。
【0071】
次に、図3(c) に示すように、第1,第2のキャップ膜15a,15bを除去し、第1,第2のゲート電極14a,14bの上面を露出する。その後、炭素含有シリコン領域27(n型ソースドレイン領域26a)の上面に形成された自然酸化膜(図示せず)等、p型第2のシリコン層22bpの上面に形成された自然酸化膜(図示せず)等、及び第1,第2のゲート電極14a,14bの上面に形成された自然酸化膜(図示せず)等を除去する。その後、スパッタ法により、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が11nmのNi(ニッケル)からなるシリサイド化用金属膜(図示せず)を堆積する。その後、1回目のRTA(Rapid Thermal Annealing)処理により、炭素含有シリコン領域27のSi(シリコン)、p型第2のシリコン層22bpのSi、及び第1,第2のゲート電極14a,14bのSiと、シリサイド化用金属膜のNiとを反応させる。これにより、炭素含有シリコン領域27上に、膜厚が15nmのニッケルシリサイド(又は炭素を含むニッケルシリサイド)からなる第1のシリサイド層28aを形成すると共に、p型第2のシリコン層22bp上に、膜厚が15nmのニッケルシリサイドからなる第2のシリサイド層28bを形成する。それと共に、第1,第2のゲート電極14a,14b上に、膜厚が15nmのニッケルシリサイドからなる第3,第4のシリサイド層29a,29bを形成する。
【0072】
ここで、既述の通り、第2のシリサイド層28bが形成される前のp型第2のシリコン層22bpにおけるゲルマニウム濃度は、下面から上面に向かって低くなる(但し、上面領域におけるゲルマニウム濃度は、0%である)ため、p型第2のシリコン層22bpにおける上面領域は、ゲルマニウムを含まない。そのため、p型第2のシリコン層22bpにおけるシリサイド化用金属膜と接する領域(即ち、p型第2のシリコン層22bpの上面領域)に含まれるSiのみが、シリサイド化用金属膜に含まれるNiと反応するため、p型第2のシリコン層22bp上に形成される第2のシリサイド層28bは、ゲルマニウムを含まないニッケルシリサイドからなる。またここで、既述の通り、第2のシリサイド層28bが形成される前のp型第2のシリコン層22bpにおけるゲルマニウム濃度は、下面から上面に向かって低くなるため、第2のシリサイド層28bが形成された後のp型第2のシリコン層22bpにおけるゲルマニウム濃度は、下面から上面に向かって低くなる。そのため、第2のシリサイド層28bが形成された後のp型第2のシリコン層22bpの上部領域は、下部領域に比べてゲルマニウム濃度が低く、p型第2のシリコン層22bpの少なくとも上部領域は、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21に比べて、ゲルマニウム濃度が低い。なお、第2のシリサイド層28bが形成された後のp型第2のシリコン層22bp(図3(c) 参照)とは、第2のシリサイド層28bが形成される前のp型第2のシリコン層22bp(図2(c) 〜図3(b) 参照)のうち、シリサイド化用金属膜と反応する領域以外の領域をいう。
【0073】
その後、エッチング液中への浸漬により、素子分離領域11,第1,第2のサイドウォール18A,18B等の上に残存する未反応のシリサイド化用金属膜を除去した後、1回目のRTA処理温度よりも高い温度の下、2回目のRTA処理により、第1,第2,第3,第4のシリサイド層28a,28b,29a,29bのシリサイド組成比を安定化させる。
【0074】
次に、図示を省略するが、半導体基板10上の全面に、層間絶縁膜を形成した後、層間絶縁膜に、第1,第2のシリサイド層28a,28bの各々と接続するコンタクトプラグを形成する。その後、層間絶縁膜上に、各コンタクトプラグと接続する配線を形成する。
【0075】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0076】
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成について、図3(c) を参照しながら説明する。
【0077】
図3(c) に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、NMIS領域における半導体基板10に形成されたn型MISトランジスタNTrと、PMIS領域における半導体基板10に形成されたp型MISトランジスタPTrとを有している。
【0078】
n型MISトランジスタNTrは、第1の半導体領域10a上に形成された第1のゲート絶縁膜13aと、第1のゲート絶縁膜13a上に形成された第1のゲート電極14aと、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート電極14aの側方下に位置する領域に形成されたn型エクステンション領域25aと、第1のゲート電極14aの側面上に形成された第1のサイドウォール18Aと、第1のサイドウォール18Aの外側方に形成されたn型ソースドレイン領域26aと、第1のサイドウォール18Aの外側方に形成された炭素含有シリコン領域27と、炭素含有シリコン領域27(n型ソースドレイン領域26a)上に形成された第1のシリサイド層28aと、第1のゲート電極14a上に形成された第3のシリサイド層29aとを備えている。
【0079】
一方、p型MISトランジスタPTrは、第2の半導体領域10b上に形成された第2のゲート絶縁膜13bと、第2のゲート絶縁膜13b上に形成された第2のゲート電極14bと、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート電極14bの側方下に位置する領域に形成されたp型エクステンション領域25bと、第2のゲート電極14bの側面上に形成された第2のサイドウォール18Bと、第2のサイドウォール18Bの外側方に形成されたp型ゲルマニウム含有シリコン領域21と、第2のサイドウォール18Bの外側方に形成されたp型不純物拡散領域26bと、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21上に形成されたp型第2のシリコン層22bpと、p型第2のシリコン層22b上に形成された第2のシリサイド層28bと、第2のゲート電極14b上に形成された第4のシリサイド層29bとを備えている。
【0080】
炭素含有シリコン領域27の上面高さは、図3(c) に示すように、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面高さよりも高い。また、炭素含有シリコン領域27は、第1の半導体領域10aにおける第1のサイドウォール18Aの外側方下に位置する領域、及び第1のシリコン層(図3(c):点線参照)に形成されている。また、炭素含有シリコン領域27には、図3(c) に示すように、n型ソースドレイン領域(n型不純物拡散領域)26aが形成されている。
【0081】
p型第2のシリコン層22bpの少なくとも上部領域は、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21に比べて、ゲルマニウム濃度が低い。
【0082】
p型ゲルマニウム含有シリコン領域21の上面高さは、図3(c) に示すように、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート絶縁膜13bの下に位置する領域の上面高さよりも高い。また、ゲルマニウム含有シリコン領域には、p型不純物拡散領域26bが形成されている。
【0083】
第1,第2のサイドウォール18A,18Bは、第1,第2のゲート電極14a,14bの側面上に形成された断面形状がL字状の第1,第2の内側サイドウォール17a,17bと、第1,第2の内側サイドウォール17a,17b上に形成された第1,第2の外側サイドウォール18a,18bとからなる。
【0084】
ここで、本実施形態の効果を有効に説明するために、本実施形態に係る半導体装置と、従来の半導体装置とを比較する。図4は、本実施形態に係る半導体装置、及び従来の半導体装置の各々における、炭素含有シリコン領域の深さと、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさとの関係について示すグラフである。
【0085】
図4に示す横軸は、炭素含有シリコン領域の深さを示す。ここで、「炭素含有シリコン領域の深さ」とは、本実施形態の場合、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面深さを基準深さ(即ち、0nm)とし、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面から、炭素含有シリコン領域27における最も深くに位置する下面までの深さ(例えば、図3(c):D参照)をいう。一方、「炭素含有シリコン領域の深さ」とは、従来の場合、半導体領域100aにおけるゲート絶縁膜103の下に位置する領域の上面深さを基準深さ(即ち、0nm)とし、半導体領域100aにおけるゲート絶縁膜103の下に位置する領域の上面から、炭素含有シリコン領域113における最も深くに位置する下面までの深さ(例えば、図7(c):D参照)をいう。
【0086】
図4に示す縦軸は、本実施形態の場合、厚膜部27tを有し、且つ深さがX(X=5,10,20,30,40,50,60)nmの炭素含有シリコン領域27により、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを示す。一方、従来の場合、深さがX(X=5,10,20,30,40,50,60)nmの炭素含有シリコン領域113により、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを示す。
【0087】
図4に示す□は、本実施形態に係る半導体装置について示し、一方、図4に示す◆は、従来の半導体装置について示す。
【0088】
ここで、本実施形態と従来との構成上の相違点について、以下に説明する。
【0089】
本実施形態では、炭素含有シリコン領域27は、図3(c) に示すように、第1の半導体領域10aにおける第1のシリコン層(図3(c):点線参照)の下に位置する領域(即ち、第1の半導体領域10aにおける第1のサイドウォール18Aの外側方下に位置する領域)、及び第1のシリコン層に形成されている。そのため、炭素含有シリコン領域27の上面高さは、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面高さよりも高く、炭素含有シリコン領域27は、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部(図3(b):27t参照)を有する。
【0090】
これに対し、従来では、炭素含有シリコン領域113は、図7(c) に示すように、半導体領域100aにおけるサイドウォール108Aの外側方下に位置する領域にのみ形成されている。そのため、炭素含有シリコン領域113の上面高さは、半導体領域100aにおけるゲート絶縁膜103の下に位置する領域の上面高さと同じであり、炭素含有シリコン領域113は、半導体領域100aにおけるゲート絶縁膜103の下に位置する領域の上面よりも上に形成されることはなく、本実施形態のような厚膜部を有さない。
【0091】
そのため、図4に示すように、本実施形態における炭素含有シリコン領域の深さと、従来における炭素含有シリコン領域の深さとが同一の場合であっても、本実施形態における炭素含有シリコン領域の上面高さは、従来における炭素含有シリコン領域の上面高さよりも高く、本実施形態における炭素含有シリコン領域は、厚膜部を有するため、本実施形態における引っ張り応力の大きさを、厚膜部による引っ張り応力の大きさ分だけ、従来における引っ張り応力の大きさよりも大きくすることができる。
【0092】
本実施形態によると、炭素含有シリコン領域27の上面高さは、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面高さよりも高く、炭素含有シリコン領域27は、第1の半導体領域10aにおける第1のゲート絶縁膜13aの下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部27tを有する。そのため、厚膜部27tによって、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を効果的に印加することができるため、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを、効果的に増大させることができるので、n型MISトランジスタの駆動能力をさらに向上させることができる。
【0093】
一方、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21の上面高さは、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート絶縁膜13bの下に位置する領域の上面高さよりも高く、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21は、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート絶縁膜13bの下に位置する領域の上面よりも上に形成された厚膜部21tを有する。そのため、厚膜部21tによって、第2の半導体領域10bにおけるチャネル領域のゲート長方向に圧縮応力を効果的に印加することができるため、第2の半導体領域10bにおけるチャネル領域のゲート長方向に印加される圧縮応力の大きさを、効果的に増大させることができるので、p型MISトランジスタの駆動能力をさらに向上させることができる。
【0094】
加えて、第2のシリサイド層28bが形成される前のp型第2のシリコン層22bpの上面領域(即ち、p型第2のシリコン層22bpにおけるシリサイド化用金属膜と接する領域)には、ゲルマニウムが含まれないため、p型第2のシリコン層22bp上に形成された第2のシリサイド層28bに、ゲルマニウムが含まれることはなく、第2のシリサイド層28bの耐熱性を確保することができる。
【0095】
一方、第1のシリサイド層28aが形成される前の炭素含有シリコン領域27には、炭素が含まれるため、炭素含有シリコン領域27上に形成された第1のシリサイド層28aに、炭素が含まれる可能性があるものの、炭素を含むシリサイド層は、ゲルマニウムを含むシリサイド層のように耐熱性が悪化することがないため、仮に第1のシリサイド層28aに炭素が含まれることがあっても、第1のシリサイド層28aの耐熱性を確保することができる。
【0096】
さらに、本実施形態では、図3(a) に示すように、n型不純物イオンの注入により、少なくとも上部領域がアモルファス化されたn型ソースドレイン注入領域23を形成した後、炭素を含むイオンとして、炭素を含む分子イオン(具体的には例えば、C1610イオン)を採用し、炭素を含む分子イオンの注入により、炭素イオン注入領域24を形成する。これにより、炭素イオン注入領域24の注入深さが、n型ソースドレイン注入領域23の注入深さを超えることを効果的に防止することができる。そのため、図3(b) に示すように、炭素含有シリコン領域27の深さが、n型ソースドレイン領域26aの深さを超えて、接合リークが発生することを防止することができる。
【0097】
なお、本実施形態では、図3(a) に示すように、炭素イオン注入領域24の注入深さを、n型ソースドレイン注入領域23の注入深さと同じにし、図3(b) に示すように、炭素含有シリコン領域27の深さを、n型ソースドレイン領域26aの深さと同じにする場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、炭素イオン注入領域の注入深さを、n型ソースドレイン注入領域の注入深さよりも浅くし、炭素含有シリコン領域の深さを、n型ソースドレイン領域の深さよりも浅くしてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、炭素イオン注入領域24の注入深さが、n型ソースドレイン注入領域23の注入深さを超えることを効果的に防止することを目的に、図3(a) に示すように、n型不純物イオンの注入により、少なくとも上部領域がアモルファス化されたn型ソースドレイン注入領域23を形成した後、炭素を含むイオンとして、炭素を含む分子イオンを採用し、炭素を含む分子イオンの注入により、炭素イオン注入領域24を形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
第1に例えば、炭素を含むイオンとして、炭素を含む分子イオンを採用し、炭素を含む分子イオンの注入により、炭素イオン注入領域を形成した後、n型不純物イオンの注入により、n型ソースドレイン注入領域を形成してもよい。
【0100】
第2に例えば、n型不純物イオンの注入により、少なくとも上部領域がアモルファス化されたn型ソースドレイン注入領域を形成した後、炭素を含むイオンとして、炭素イオンを採用し、炭素イオンの注入により、炭素イオン注入領域を形成してもよい。
【0101】
また、本実施形態では、図2(a) に示すように、エピタキシャル成長法により、リセス部20内の領域、及びリセス部20内の領域上に、その上面高さが、第2の半導体領域10bにおける第2のゲート絶縁膜13bの下に位置する領域の上面高さよりも高くなるまで、p型ゲルマニウム含有シリコン領域21を堆積する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エピタキシャル成長法により、リセス部内にp型ゲルマニウム含有シリコン領域を堆積してもよい。
【0102】
また、本実施形態では、図2(b) に示すように、第1,第2のシリコン層22a,22bを形成した後、図2(c) に示すように、p型第2のシリコン層22bpを形成し、その後、図3(a) に示すように、n型ソースドレイン注入領域23、及び炭素イオン注入領域24を順次形成した後、図3(b) に示すように、熱処理を行う場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
例えば、第1,第2のシリコン層を形成した後、p型第2のシリコン層を形成することなく、n型ソースドレイン注入領域、及び炭素イオン注入領域を順次形成し(又は炭素イオン注入領域、及びn型ソースドレイン注入領域を順次形成し)、その後、p型第2のシリコン層を形成した後、熱処理を行ってもよい。
【0104】
即ち、第1,第2のシリコン層の形成工程の後で熱処理工程の前に、1)p型第2のシリコン層の形成工程と、2)n型ソースドレイン注入領域、及び炭素イオン注入領域を順次形成する工程(又は炭素イオン注入領域、及びn型ソースドレイン注入領域を順次形成する工程)とを行えばよい。
【0105】
また、本実施形態では、図1(a) に示すように、第1,第2のゲート電極14a,14bをマスクにして、第1,第2の半導体領域10a,10bに、n型,p型不純物イオンを注入し、n型,p型エクステンション注入領域16a,16bを形成した後、第1,第2のゲート電極14a,14bの側面上に、第1,第2のサイドウォール18A,18Bを形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、n型,p型エクステンション注入領域の形成前に、第1,第2のゲート電極の側面上に、第1,第2のオフセットスペーサを形成した後、側面上に第1,第2のオフセットスペーサが形成された第1,第2のゲート電極をマスクにして、第1,第2の半導体領域に、n型,p型不純物イオンを注入し、n型,p型エクステンション注入領域を形成し、その後、第1,第2のゲート電極の側面上に、第1,第2のオフセットスペーサを介して、第1,第2のサイドウォールを形成してもよい。
【0106】
<一実施形態の変形例1>
以下に、本発明の一実施形態の変形例1に係る半導体装置について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の一実施形態の変形例1に係る半導体装置の製造方法を示す要部工程断面図である。図5において、一実施形態における構成要素と同一の構成要素には、一実施形態における図3(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、一実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0107】
まず、図示を省略するが、一実施形態における図1(a) 〜図3(c) に示す工程を順次行い、図3(c) に示す構成を得る。
【0108】
次に、図5に示すように、第1の外側サイドウォール18aを除去し、第1の内側サイドウォール17aの表面を露出する。その後、半導体基板10上の全面に、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力絶縁膜30を形成する。
【0109】
次に、図示を省略するが、一実施形態と同様に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、及び配線等を形成する。
【0110】
このようにして、本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0111】
ここで、本変形例と一実施形態との構成上の相違点は、以下に示す点である。
【0112】
本変形例におけるn型MISトランジスタNTrは、図5に示すように、第1の内側サイドウォール17aからなる第1のサイドウォール18Aを備えている。これに対し、一実施形態におけるn型MISトランジスタNTrは、図3(c) に示すように、第1の内側サイドウォール17aと、第1の外側サイドウォール18aとからなる第1のサイドウォール18Aを備えている。
【0113】
また、本変形例におけるn型MISトランジスタNTrは、図5に示すように、第1の半導体領域10a上に、第1の内側サイドウォール17aに接して形成され、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力絶縁膜30をさらに備えている。
【0114】
本変形例によると、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
加えて、応力絶縁膜30により、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるため、n型MISトランジスタNTrの駆動能力をさらに向上させることができる。
【0116】
さらに、応力絶縁膜30を、第1の外側サイドウォールを介さずに、第1の内側サイドウォール17aに接して形成することにより、応力絶縁膜30を、第1の外側サイドウォールの除去分だけ、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域に近付けて形成することができるため、応力絶縁膜30による引っ張り応力を、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に効果的に印加することができる。
【0117】
さらに、応力絶縁膜30を、第1の外側サイドウォールを介さずに、第1の内側サイドウォール17aに接して形成することにより、応力絶縁膜30を、第1の外側サイドウォールの除去分だけ、厚く形成することができるため、応力絶縁膜30による引っ張り応力を、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に効果的に印加することができる。
【0118】
なお、本変形例では、応力絶縁膜30による引っ張り応力を、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に効果的に印加することを目的に、第1の外側サイドウォール18aを除去した後、応力絶縁膜30を、第1の内側サイドウォール17aに接して形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の外側サイドウォールを除去せずに、応力絶縁膜を形成してもよい。
【0119】
また、本変形例では、n型MISトランジスタNTrの駆動能力をさらに向上させることを目的に、第1の半導体領域10a上に、第1の半導体領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力絶縁膜30を形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2の半導体領域上に、第2の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に圧縮応力を生じさせる応力絶縁膜を形成してもよい。この場合、p型MISトランジスタの駆動能力をさらに向上させることができる。
【0120】
<一実施形態の変形例2>
以下に、本発明の一実施形態の変形例2に係る半導体装置について、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の一実施形態の変形例2に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【0121】
ここで、本変形例と一実施形態との構成上の相違点は、以下に示す点である。
【0122】
本変形例におけるn型MISトランジスタNTrは、図6に示すように、第1の半導体領域10a上に形成された第1のゲート絶縁膜32Aと、第1のゲート絶縁膜32A上に形成された第1のゲート電極34Aとを備えている。ここで、第1のゲート絶縁膜32Aは、例えばシリコン酸化膜からなる第1の絶縁膜31aと、第1の絶縁膜31a上に形成され、例えばランタンを含むハフニウム絶縁膜からなる第1の高誘電率絶縁膜32aとを有している。またここで、第1のゲート電極34Aは、第1のゲート絶縁膜32A上に接して形成され、例えばTaN(窒化タンタル)膜からなる第1の金属膜33aと、第1の金属膜33a上に形成され、例えばポリシリコン膜からなる第1の導電膜34aとを有している。
【0123】
これに対し、一実施形態におけるn型MISトランジスタNTrは、図3(c) に示すように、第1の半導体領域10a上に形成され、例えばシリコン酸化膜からなる第1のゲート絶縁膜13aと、第1のゲート絶縁膜13a上に形成され、例えばポリシリコン膜からなる第1のゲート電極14aとを備えている。
【0124】
一方、本変形例におけるp型MISトランジスタPTrは、図6に示すように、第2の半導体領域10b上に形成された第2のゲート絶縁膜32Bと、第2のゲート絶縁膜32B上に形成された第2のゲート電極34Bとを備えている。ここで、第2のゲート絶縁膜32Bは、例えばシリコン酸化膜からなる第2の絶縁膜31bと、第2の絶縁膜31b上に形成され、例えばアルミニウムを含むハフニウム絶縁膜からなる第2の高誘電率絶縁膜32bとを有している。またここで、第2のゲート電極34Bは、第2のゲート絶縁膜32B上に接して形成され、例えばTiN(窒化チタン)膜からなる第2の金属膜33bと、第2の金属膜33b上に形成され、例えばポリシリコン膜からなる第2の導電膜34bとを有している。
【0125】
これに対し、一実施形態におけるp型MISトランジスタPTrは、図3(c) に示すように、第2の半導体領域10b上に形成され、例えばシリコン酸化膜からなる第2のゲート絶縁膜13bと、第2のゲート絶縁膜13b上に形成され、例えばポリシリコン膜からなる第2のゲート電極14bとを備えている。
【0126】
なお、本変形例では、第1の金属膜33aとして、TaN膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばTiN膜を用いてもよい。また、第2の金属膜33bとして、TiN膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばTaN膜を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさを、効果的に増大させることができるため、炭素含有シリコン領域を有するn型MISトランジスタを備えた半導体装置及びその製造方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】(a) 〜(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図2】(a) 〜(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図3】(a) 〜(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る半導体装置、及び従来の半導体装置の各々における炭素含有シリコン領域の深さと、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさとの関係について示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態の変形例1に係る半導体装置の製造方法を示す要部工程断面図である。
【図6】本発明の一実施形態の変形例2に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図7】(a) 〜(c) は、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図8】従来の半導体装置における炭素含有シリコン領域の深さと、チャネル領域のゲート長方向に印加される引っ張り応力の大きさとの関係について示すグラフである。
【符号の説明】
【0129】
10 半導体基板
11 素子分離領域
12a p型ウェル領域
12b n型ウェル領域
13a 第1のゲート絶縁膜
13b 第2のゲート絶縁膜
14a 第1のゲート電極
14b 第2のゲート電極
15a 第1のキャップ膜
15b 第2のキャップ膜
16a n型エクステンション注入領域
16b p型エクステンション注入領域
17a 第1の内側サイドウォール
17b 第2の内側サイドウォール
18a 第1の外側サイドウォール
18b 第2の外側サイドウォール
18A 第1のサイドウォール
18B 第2のサイドウォール
19,19a 保護膜
20 リセス部
21 p型ゲルマニウム含有シリコン領域
21t 厚膜部
22a 第1のシリコン層
22b 第2のシリコン層
22bp p型第2のシリコン層
23 n型ソースドレイン注入領域
24 炭素イオン注入領域
25a n型エクステンション領域
25b p型エクステンション領域
26a n型ソースドレイン領域
26b p型不純物拡散領域
27 炭素含有シリコン領域
27t 厚膜部
28a 第1のシリサイド層
28b 第2のシリサイド層
29a 第3のシリサイド層
29b 第4のシリサイド層
30 応力絶縁膜
31a 第1の絶縁膜
32a 第1の高誘電率絶縁膜
32A 第1のゲート絶縁膜
31b 第2の絶縁膜
32b 第2の高誘電率絶縁膜
32B 第2のゲート絶縁膜
33a 第1の金属膜
34a 第1の導電膜
34A 第1のゲート電極
33b 第2の金属膜
34b 第2の導電膜
34B 第2のゲート電極
D 炭素含有シリコン領域の深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともn型MISトランジスタを有する半導体装置において、
前記n型MISトランジスタは、
半導体基板における第1の半導体領域上に形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の側面上に形成された第1のサイドウォールと、
前記第1のサイドウォールの外側方に形成された炭素含有シリコン領域とを備え、
前記炭素含有シリコン領域の上面高さは、前記第1の半導体領域における前記第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記炭素含有シリコン領域は、前記第1の半導体領域及び前記第1の半導体領域上に形成された第1のシリコン層に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記炭素含有シリコン領域には、n型不純物拡散領域が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のサイドウォールは、前記第1のゲート電極の側面上に形成された断面形状がL字状の第1の内側サイドウォールと、前記第1の内側サイドウォール上に形成された第1の外側サイドウォールとからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の半導体領域上に形成され、前記第1の半導体領域におけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を生じさせる応力絶縁膜をさらに備え、
前記第1のサイドウォールは、前記第1のゲート電極の側面上に形成された断面形状がL字状の第1の内側サイドウォールからなり、
前記応力絶縁膜は、前記第1の内側サイドウォールに接して形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記炭素含有シリコン領域上に形成された第1のシリサイド層をさらに備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート絶縁膜は、第1の高誘電率絶縁膜を有し、
前記第1のゲート電極は、前記第1のゲート絶縁膜上に接して設けられた第1の金属膜を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記炭素含有シリコン領域における炭素濃度は、0.5%以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記半導体装置はp型MISトランジスタをさらに有し、
前記p型MISトランジスタは、
前記半導体基板における第2の半導体領域上に形成された第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、
前記第2のゲート電極の側面上に形成された第2のサイドウォールと、
前記第2のサイドウォールの外側方に形成されたゲルマニウム含有シリコン領域とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記ゲルマニウム含有シリコン領域上に形成された第2のシリコン層と、
前記第2のシリコン層上に形成された第2のシリサイド層とをさらに備え、
前記第2のシリコン層の少なくとも上部領域は、前記ゲルマニウム含有シリコン領域に比べてゲルマニウム濃度が低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の半導体装置において、
前記ゲルマニウム含有シリコン領域の上面高さは、前記第2の半導体領域における前記第2のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項9〜11のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲルマニウム含有シリコン領域には、p型不純物拡散領域が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項9〜12のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2のゲート絶縁膜は、第2の高誘電率絶縁膜を有し、
前記第2のゲート電極は、前記第2のゲート絶縁膜上に接して設けられた第2の金属膜を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項9〜13のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲルマニウム含有シリコン領域におけるゲルマニウム濃度は、15%以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
半導体基板における第1の半導体領域上に第1のゲート絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記第1のゲート絶縁膜上に第1のゲート電極を形成する工程(b)と、
前記第1のゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成する工程(c)と、
前記第1のサイドウォールの外側方に炭素含有シリコン領域を形成する工程(d)とを備え、
前記炭素含有シリコン領域の上面高さは、前記第1の半導体領域における前記第1のゲート絶縁膜の下に位置する領域の上面高さよりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)は、前記第1の半導体領域における前記第1のサイドウォールの外側方下に位置する領域上に第1のシリコン層を形成する工程(d1)と、前記第1のシリコン層及び前記第1の半導体領域における前記第1のシリコン層の下に位置する領域に炭素を含むイオンを注入して炭素イオン注入領域を形成する工程(d2)と、熱処理により前記炭素イオン注入領域を結晶化して前記炭素含有シリコン領域を形成する工程(d3)とを有していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)は、前記半導体基板における第2の半導体領域上に第2のゲート絶縁膜を形成する工程を含み、
前記工程(b)は、前記第2のゲート絶縁膜上に第2のゲート電極を形成する工程を含み、
前記工程(c)は、前記第2のゲート電極の側面上に第2のサイドウォールを形成する工程を含み、
前記工程(d)は、前記第2のサイドウォールの外側方にゲルマニウム含有シリコン領域を形成する工程(X)を含んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(X)は、前記第2の半導体領域における前記第2のサイドウォールの外側方下に位置する領域をエッチングしてリセス部を形成する工程(X1)と、エピタキシャル成長法により前記リセス部内に前記ゲルマニウム含有シリコン領域を形成する工程(X2)とを有していることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−161223(P2010−161223A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2786(P2009−2786)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】