大面積で均一な低転位密度GaN基板およびその製造プロセス
【課題】大面積で均一な低転位密度窒化ガリウムおよびその製造プロセスを提供する。
【解決手段】15cmを超える大面積と、少なくとも1mmの厚さと、5E5cm−2を超えない平均転位密度と、25%未満の転位密度標準偏差比率と、を有する大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料、たとえば窒化ガリウム。かかる材料は、(I)たとえばIII−V族窒化物材料の成長表面の少なくとも50%にわたってピットを形成するピット化成長条件下で、III−V族窒化物材料を基板上に成長させる第1段階であって、成長表面上のピット密度が、成長表面において少なくとも102ピット/cm2である段階と、(II)ピット充填条件下でIII−V族窒化物材料を成長させる第2段階と、を含むプロセスによって基板上に形成することができる。
【解決手段】15cmを超える大面積と、少なくとも1mmの厚さと、5E5cm−2を超えない平均転位密度と、25%未満の転位密度標準偏差比率と、を有する大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料、たとえば窒化ガリウム。かかる材料は、(I)たとえばIII−V族窒化物材料の成長表面の少なくとも50%にわたってピットを形成するピット化成長条件下で、III−V族窒化物材料を基板上に成長させる第1段階であって、成長表面上のピット密度が、成長表面において少なくとも102ピット/cm2である段階と、(II)ピット充填条件下でIII−V族窒化物材料を成長させる第2段階と、を含むプロセスによって基板上に形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、発光ダイオード、レーザダイオード、光電子センサ、光電子スイッチ、高電子移動度トランジスタなどのマイクロエレクトロニクスおよび光電子デバイスの製造に有用であるような、大面積で均一に低い転位密度の窒化ガリウム材料と、同様に、このような窒化ガリウム材料を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
窒化ガリウム(GaN)および関連するIII−V族窒化物合金は、発光ダイオード(LED)およびレーザダイオード(LD)ならびにエレクトロニクスデバイスに用途がある。GaNベースのデバイスの性能は、デバイス層の結晶欠陥、特に貫通転位密度に強く依存する。青色およびUVレーザダイオードに関しては、3×106cm−2未満の転位密度が、より長い寿命のためには好ましい。さらに、ネイティブ窒化ガリウム基板上で成長されたGaNデバイスは、デバイス性能の改善ならびに設計および製作の単純化ために好ましい。
【0003】
窒化ガリウム基板は、様々な方法で作製することができる。ポロフスキ(Porowski)らの米国特許第5,637,531号明細書は、高い窒素圧力でバルクGaNを成長させる方法を開示している。金属ガリウムがガス状の窒素と反応して、溶融したガリウム表面に窒化ガリウム結晶を形成する。リアクタ容器において温度勾配が提供され、リアクタのより低温の領域における窒素原子の過飽和、および窒化ガリウム結晶の成長が結果としてもたらされる。ポロフスキらのプロセスにおける成長圧力は約10kbarであり、成長温度は約1400℃である。ポロフスキらのプロセスによって生成された材料の転位密度は100cm−2ほどの低さであるが、しかしながら、この方法によって生成されたGaNの最大サイズは、約10mmの小板に制限された(S.ポロフスキ(S.Porowski)およびI.グジェゴシ(I.Grzegory)、J.Cryst.Growth、第178、174巻、1997年、M.ボッコウスキ(M.Bockowski)、J.Cryst.Growth、第246、194巻、2002年)。
【0004】
ハイドライド気相エピタキシ(HVPE)が、窒化ガリウム基板を生成するために利用されてきた。ティシェラー(Tischler)らは、米国特許第5,679,152号明細書で、最初に相性のよい犠牲基板上で厚いGaNフィルムを生成し、次に、成長温度近くの温度で犠牲ベース基板をエッチングで除去して独立GaN基板を生成することによって、単結晶GaN基板を生成する方法を開示している。成長した窒化ガリウムフィルムを基板から分離する別の方法は、成長したフィルムと基板との間の界面で分解を光学的に引き起こすことである。ケリー(Kelly)らは、米国特許第6,559,075号明細書で、界面層を分解するためにレーザエネルギを用いることによって、2つの材料層を分離する方法を開示している。サファイア基板上で成長したGaNのためには、GaNのバンドギャップより大きいが、サファイアのバンドギャップより小さいエネルギのレーザが用いられる。レーザがサファイア基板を通して照射されると、レーザエネルギは、GaN−サファイア界面で吸収される。十分なレーザエネルギ密度を用いれば、界面領域のGaNは、金属ガリウムおよびガス状の窒素に分解され、それによって、サファイア基板からGaNフィルムを分離する。この方法を用いて、直径が2インチに近い独立GaNウエハが生成された(たとえばM.K.ケリー(M.K.Kelly)ら、Jpn.J.Appl.Phys.第38巻、ページL217〜L219、1999年、を参照されたい)。モトキ(Motoki)らは、米国特許第6,413,627号明細書で、最初にガリウム砒素基板上で厚いGaNフィルムを成長させ、次に基板を除去することによって、単結晶GaN基板材料を製造する方法を開示している。典型的なHVPE窒化ガリウムの転位密度は、約1×107cm−2である。
【0005】
モトキらは、米国特許第6,468,347号明細書ならびに米国特許出願公開第2003/0080345号明細書および第2003/0145783号明細書で、あるエリアでは低転位密度だが、他のエリアでは高転位密度を有する窒化ガリウム単結晶基板を生成する方法を説明している。高転位密度エリアは、ランダムに分布されるか、または所定のパターンたとえば周期的なストライプ形状で分布されるものとして、また低転位密度領域は、高転位密度エリア間に分散されるものとして、開示されている。米国特許第6,468,347号明細書において、モトキらは、生成されたGaN材料が、低転位密度を有すると考えたが、しかし米国特許出願公開第2003/0080345号明細書および第2003/0145783号明細書において、モトキらは、米国特許第6,468,347号明細書で開示されたプロセスによって生成された材料が、高転位密度エリアを低転位密度エリアにランダムに分散させていることを明確にした。米国特許出願公開第2003/0080345号明細書において、モトキらは、高転位密度エリアを周期的なドットとして所定のパターンで配置する方法を開示した。米国特許出願公開第2003/0145783号明細書において、モトキらは、高転位密度エリアを周期的なストライプ形状で配置する方法を開示した。
【0006】
GaN基板における高転位密度エリアの存在によって、デバイス構造を低欠陥エリアに正確に位置あわせすることが必要になる。さらに、欠陥の不均一な分布は、GaN基板上のデバイス層の成長に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
バウド(Vaudo)らの米国特許第6,440,823号明細書は、転位を集中させて消滅させるピット化成長と、続いてピットを閉じるための高い表面モルフォロジ条件との使用を教示している。
【0008】
GaNベースのレーザダイオードおよび他のデバイスの性能が、デバイス層における結晶欠陥の性質および程度に決定的に依存し、このデバイス層が今度は、GaN基板の欠陥構造およびモルフォロジに依存しているので、均一な低転位密度のGaN基板のためのいやおうなしの必要性がある。さらに、GaNベースのデバイスを低コストで製造するためには、大面積基板が必要になる。先行技術は、均一な低転位密度で大面積のGaN基板を提供することに失敗した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明は、大面積で均一な低転位密度窒化ガリウムおよびその製造プロセスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶III−V族窒化物材料に関する。
【0011】
別の態様において、本発明は、15cm2を超える大面積と、少なくとも0.1mmの厚さと、1×106cm−2を超えない平均転位密度と、25%未満の転位密度標準偏差比率とを有する、大面積で均一な低転位密度単結晶窒化ガリウムに関する。
【0012】
本発明の別の態様は、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶III−V族窒化物材料を含む物品に関する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶窒化物材料を含むウエハに関する。
【0014】
別の態様において、本発明は、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶窒化物材料を含むウエハを含むエレクトロニクスデバイス物品、およびかかるウエハに製作されたエレクトロニクスデバイス構造に関する。
【0015】
本発明の追加の態様は、最適な単結晶III−V族窒化物成長条件からわずかに逸脱した単結晶III−V族窒化物成長条件下で成長された、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶III−V族窒化物材料たとえばGaNと、同様に、かかる材料で形成されたウエハとに関する。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料を基板上に形成するための気相成長法に関し、かかる方法には、(I)ピット化成長条件下で気相成長技術によって、III−V族窒化物材料を基板上に成長させる1つまたは複数のステップを含む第1段階と、(II)III−V族窒化物材料の成長表面においてピットのクロージャ(closure)および欠陥の消滅を達成するピット充填条件下で、気相成長技術によってIII−V族窒化物材料を成長させる1つまたは複数のステップを含む第2段階と、が含まれる。
【0017】
本発明のさらなる態様は、大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料を基板上に形成するための気相成長法に関し、かかる方法には、(I)III−V族窒化物材料の成長表面の少なくとも50%にわたってピットを形成するピット化成長条件下で、気相成長技術によって、III−V族窒化物材料を基板に成長させる第1段階であって、成長表面上のピット密度が、第1段階の終わりに、成長表面において少なくとも100/cm2である段階と、(II)ピットを充填するピット充填条件下で、III−V族窒化物材料を成長させて本質的にピットのない表面を生成する第2段階と、が含まれる。
【0018】
本発明の他の態様、特徴および実施形態は、続く開示および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】1030℃の成長温度、30のNH3/HCl比率、1時間の成長時間および116ミクロン/時の成長速度を含む最適化された成長条件下で、サファイア基板上に成長されたHVPE GaNフィルムのテクスチャード表面モルフォロジの微分干渉コントラスト(DIC)光学顕微鏡写真である。
【図2】成長温度が1030℃、NH3/HClが58、成長時間が1時間、成長速度が268ミクロン/時である、最適条件よりもわずかに高いNH3フローの条件下で成長されたHVPE GaNフィルムのピット化表面モルフォロジのDIC光学顕微鏡写真である。
【図3】機械研磨および化学機械研磨(CMP)仕上げ後のGaN表面のDIC光学画像であるが、この場合に、かかる研磨およびCMPの前のas−grownブランクウエハは、図1に示した表面に類似したピットのないテクスチャード表面を示した。
【図4】機械研磨およびCMP仕上げ後のGaN表面のDIC光学の顕微鏡写真であるが、この場合に、かかる研磨およびCMPの前のas−grownブランクウエハは、図2に示す表面と類似した、表面上の高いピット密度を示し、ピットは、研磨中に除去された。
【図5】図4のGaNウエハのモルフォロジと類似したモルフォロジを有するGaN表面の室温全強度カソルミネセンス画像であるが、ダークスポットは、結晶欠陥に対応する。表面は機械的に研磨され、CMPプロセスで仕上げられた。
【図6】図4に示す表面を備えたウエハに類似した表面モルフォロジを有するCMP仕上げGaNの原子間力顕微鏡(AFM)画像(50ミクロン×50ミクロン)である。GaN材料は、ピット形成(ピット化プロセス)を支援する条件で成長され、成長ピットは、研磨中に除去された。エッチピットおよび転位密度の分布は均一ではなく、凹エリアの中央近くに集中した。
【図7】図3に示す表面を備えたウエハに類似した表面モルフォロジを有するCMP仕上げGaNの原子間力顕微鏡画像(50ミクロン×50ミクロン)である。GaN材料は、ピットのないプロセスで成長された。エッチピットおよび転位密度の分布は、均一だった。
【図8】CMP、および熱リン酸を用いたエッチング後のGaN表面のDIC光学画像である。GaNは、ピット化成長条件下で、5mmの厚さに成長された。CMPおよび熱リン酸エッチング後に、転位は、エッチングピットとしてデコレートされる。ピットの分布は、均一ではない。
【図9】本発明の一実施形態によるGaN基板物品の成長を示す一連の概略図であり、基板の作製(図9のA)と、より小さなピットを基板上のGaNフィルムに生成するピット化成長条件下のGaNの成長であって、成長表面に垂直なラインが貫通転位を表わす成長(図9のB)と、ピット化成長条件下でピットがより大きくなり、転位を集中させる継続された成長(図9のC)と、ピット充填成長条件下で、ピットが、より小さくなり、部分的に転位を消滅させ、ついにはピットが完全に充填されて全ての転位がピットクロージャの瞬間に出会い、少数の転位を残す、ピット充填条件下のGaNの成長(図9のD)と、製品の均一で低転位密度大面積GaN材料を生成する欠陥のないGaNのさらなる成長(図9のE)と、が含まれる。
【図10A】本発明によるGaNウエハの転位分布のDIC光学顕微鏡画像である(図10Aは、ウエハ表面に焦点を合わせ、図10Bは、図10Aと同じエリアの表面下に焦点を合わせている)。転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってエッチピットとしてデコレートされた。図10Aにおける画像は上面を示し、図10Bにおける画像は、異なるコントラストで表面下に焦点を合わせられ、表面下の材料の差を強調している。円は、表面下のピット充填成長を示す。各画像の幅は、250μmだった。
【図10B】本発明によるGaNウエハの転位分布のDIC光学顕微鏡画像である(図10Aは、ウエハ表面に焦点を合わせ、図10Bは、図10Aと同じエリアの表面下に焦点を合わせている)。転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってエッチピットとしてデコレートされた。図10Aにおける画像は上面を示し、図10Bにおける画像は、異なるコントラストで表面下に焦点を合わせられ、表面下の材料の差を強調している。円は、表面下のピット充填成長を示す。各画像の幅は、250μmだった。
【図11】本発明の一実施形態に従って生成された、直径2.3インチの両側を研磨された窒化ガリウムウエハの写真である。
【図12】本発明の一実施形態によるGaNウエハにおける転位の微分干渉コントラスト光学顕微鏡画像である。転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってデコレートされた。
【図13】本発明の一実施形態によるGaNウエハの100×100μmAFM走査である。転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってデコレートされた。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明およびその好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、均一な低転位密度で大面積の窒化ガリウム基板およびその製造方法に関する。
【0021】
本明細書で用いられているように、本発明の窒化ガリウム基板物品に関連する用語「大面積」は、かかる物品が、少なくとも2cm2の表面積を有することを意味する。好ましい実施において、本発明の大面積窒化ガリウム基板物品は、自身上でのGaNエピタキシャル成長のために、15cm2を超える表面積を有する。かかる大面積低転位密度GaN材料の厚さは、任意の適切な厚さでもよいが、少なくとも0.1ミリメートル(mm)が好ましい。
【0022】
本明細書で用いられているように、用語「低転位密度材料」は、成長表面積において3×106/cm2を超えない転位密度を有するGaNまたは他のIII−V族窒化物材料を指す。本発明の好ましい実施において、均一な低転位密度大面積材料の転位密度は、約1×106cm2を超えず、最も好ましくは、かかる転位密度は、基板の大面積成長表面において、1×105転位/cm2を超えない。
【0023】
本明細書で用いられているように、本発明の窒化ガリウムまたは他のIII−V族窒化物の単結晶低転位密度材料に関連する用語「均一な低転位密度」は、自身の大面積成長表面上のかかる材料が、転位をかかる大面積表面にランダムかつ均一に分布させていることを意味する。
【0024】
たとえば、ランダムに選択された測定エリア(たとえば50μm×50μm)において、ランダムに選択されたエリアの転位密度および転位の分布は、互いに類似している。大面積表面において測定される合計エリアは、転位密度が統計的に有意な方法で測定されるように、十分に大きくなければならず、かかる合計エリア内のランダムに選択される測定エリアが、小規模で周期的な変化に対する感受性を示すほど十分に小さくなければならないことが、理解されるであろう。大面積にわたりランダムに選択された位置で、多くの転位密度測定値が統計的にサンプリングされる場合には、測定値の平均値および測定値の標準偏差が得られる。
【0025】
大面積成長表面においてこのようにして決定された、本発明のGaNまたは他のIII−V族窒化物単結晶材料のための転位密度測定値の平均値(以下では平均転位密度(ADD)と呼ぶ)は、3×106cm−2を超えず、(大面積にわたってランダムに選択された位置における転位密度の標準偏差)/(平均転位密度)として決定される転位密度標準偏差比率(以下ではDDSDRと呼ぶ)は、50%未満が好ましい。本発明の様々な特定の実施形態において、ADDは、より好ましくは1×106cm−2未満であり、DDSDRは、より好ましくは25%未満である。さらにより好ましくは、DDSDRは10%未満であり、最も好ましくは、DDSDRは5%未満である。転位密度は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定できる。代替として、転位は、化学機械研磨および/または熱リン酸のエッチングによるエッチピットとしてデコレート(decorate)することができ、エッチピットの密度は、光学顕微鏡か、走査電子顕微鏡(SEM)かまたは原子間力顕微鏡(AFM)で測定できる(シュー(Xu)ら、J.Electronic Materials、第31,402巻、2002年、J.Crystal.Growth、第246,223巻、2002年、およびPhysica Status Solidi(c)、2003年)。
【0026】
本明細書で用いられているように、本発明の方法におけるピット充填成長の終わりに、単結晶III−V族窒化物材料の成長表面に適用されるような用語「本質的にピットのない表面」は、表面積において3ピット/cm2を超えないピット密度を有する表面を意味する。用語「ピット」は、本明細書で用いられているように、空洞、凹部、局所的な切れ込みおよび成長表面上の同様の表面アーティファクトを指す。ピットは、c面成長の場合に、常にではないが頻繁に、結晶境界たとえば六方晶系または十二辺形の境界を有するが、しかし、また、幾何学的に不規則な境界または他の形態の境界で形成される可能性がある。
【0027】
本発明は、先行技術が実現できなかった、大面積窒化ガリウム基板において低転位密度の均一性を達成する。ランダムかつ均一に分布された低レベルの転位を有する大面積成長表面を提供することによって、本発明は、当該技術分野において実質的な進歩を達成する。なぜなら、先行技術の実施に特有であるような高欠陥領域に対する懸念なしに、かかる大面積表面のどこにでもマイクロエレクトロニクスデバイスを製作できるからである。かかる先行技術の実施では、局所的な高欠陥領域の存在によって、集積回路製作の自由および柔軟性が厳しく制限され、かかる高欠陥領域を備えたマイクロエレクトロニクスおよび/または光電子デバイス構造のどんなレジストレーションも、最終的なマイクロエレクトロニクスおよび/または光電子デバイスを、その意図した目的には不十分かまたは無用にさえし得る。
【0028】
大面積で均一な低転位密度窒化ガリウム材料は、任意の適切な成長技術、たとえばハイドライド気相エピタキシ(HVPE)、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、有機金属塩化物法(MOC)、昇華、分子線エピタキシ(MBE)、ガス源MBE、有機金属MBE、スパッタリング、反応性スパッタリング、反応性昇華等を利用し、本発明に従って形成してもよい。さらに、1つまたは複数の技術の一緒または順の任意の組み合わせを、適切な成長技術を考えてもよい。一般に、GaNフィルム形成用の成長種を窒化ガリウム成長表面に効果的に送出する任意の適切な気相成長法を用いてもよい。
【0029】
したがって、続く開示は、HVPEによる大面積で均一な低転位密度GaNの気相形成に主として向けられているけれども、かかる開示が単に例示的な特徴であること、および代替のフィルム成長技術の使用が本発明の広範な実施において考えられることが理解されるであろう。
【0030】
本発明に従って、大面積で均一な低転位密度GaNを形成するHVPE処理を用いるときに、GaN成長速度、フィルムモルフォロジおよび材料品質は、本明細書の開示に基づいた当該技術分野の技術内で容易に決定できるように、用いられる特定のリアクタ構成のためにアンモニア流量、塩化水素流量および成長温度を適切に選択することによって、選択的に最適化可能である。したがって、本発明の均一な低転位密度の大面積窒化ガリウム材料を実現するための正確な成長パラメータが、本発明のGaN材料を形成するために用いられる特定の蒸着リアクタに応じて変化することが認識されるであろう。GaN成長プロセスの最適化は、たとえば、いくつかのパラメータが変更される実験計画法(DOE)アプローチを実行することによってか、またはアンモニア流量、HCl流量および成長温度パラメータのうちの1つを変更して他のパラメータを一定に保ち、結果としてGaNフィルムのために達成されるGaN成長速度、フィルムモルフォロジおよび材料品質を決定し、かつ今度は、(アンモニア流量、HCl流量および成長温度パラメータの)第2および第3のパラメータのプロセス条件のかかる反復的な変更を繰り返すことによって実行して、最適なプロセス条件セットを確立してもよく、これによって、下記でより完全に説明するように、ピット形成成長およびピット充填成長の連続的なプロセスステージにおいて所望の均一な低転位密度の大面積GaN材料を生成する条件が決定される。
【0031】
気相HVPEプロセスによって形成されるGaNフィルムの表面モルフォロジは、成長条件、特に成長温度およびNH3:HCl比率に強く依存する。2つの特徴的な表面モルフォロジが、HVPEによって成長される結晶窒化ガリウムフィルムには観察される。図1は、最適成長温度およびNH3/HCl比率で、サファイア基板上で成長された窒化ガリウムフィルムの1つの典型的なテクスチャード表面モルフォロジを示す。このGaN表面の成長のための特定の最適化された成長条件には、1030℃の成長温度、30のアンモニア対塩化水素比率NH3:HClおよび116μm/時の成長速度が含まれる。図1に示すように、これらの最適化されたGaN成長条件の下で生成されたGaN表面は、ヒロック状の表面モルフォロジを示した。
【0032】
図2は、最適なプロセス条件で用いられるよりもわずかに低い温度か、わずかに高いアンモニアフロー(より高いNH3/HCl比率)か、またはわずかに低い温度およびわずかに高いアンモニアフロー(より高いNH3/HCl比率)の両方の条件下で成長されるGaN材料に典型的なHVPE GaNフィルムのピット化表面モルフォロジを示す。表面は、最適なプロセス条件より低い温度および/または高いアンモニア流量のこの次善の状況において、ピットを示すが、GaNフィルムは、単結晶の特徴を示し、ピッティングの程度は望ましく高レベルであり、その結果、可能な限り多くの成長表面がピット形成で覆われる。本発明の成長プロセスのピット形成段階を実行して、成長表面積において少なくとも100ピット/cm2、好ましくはピット化成長段階の終わりに成長表面積において500ピット/cm2を超える、GaN材料の成長表面におけるピット密度を生じるのが望ましい。
【0033】
図2は、次のピット形成成長条件、すなわち成長温度=1030℃、NH3:HCl比率=58、成長時間=1時間および成長速度=268ミクロン/時間の下で成長されたGaN表面の光学顕微鏡画像である。
【0034】
相性のよい基板上におけるGaNの自立できる厚さの成長後、基板を除去して、独立GaNブランクウエハを生じることができる。次に、シュー(Xu)らの米国特許第6,488,767号明細書により完全に説明されているように、独立GaNブランクウエハを、ラッピング、研磨および化学機械研磨(CMP)などの成長後処理ステップにさらして、完成したGaNウエハを生成してもよい。CMP仕上げのGaNウエハの表面モルフォロジは、処理前のブランクウエハのモルフォロジと関連がある。
【0035】
図3は、CMP仕上げのGaNウエハの微分干渉コントラスト(DIC)光学顕微鏡画像である。出発as−grownブランクウエハは、図1に示す表面モルフォロジに類似した、ピットのないテクスチャード表面モルフォロジを有していた。図3に示すように、CMP仕上げのウエハは、非常に滑らかで特徴がなかった。
【0036】
他方で、出発as−grown GaNブランクウエハが、ピット化表面モルフォロジを有する場合には、CMP仕上げのウエハは、特徴がないわけではない。図4は、ラッピング、機械研磨およびCMP仕上げ後のピット化GaNウエハの微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡画像である。たとえピットが機械研磨ステップ中に完全に除去されても、CMP仕上げのウエハ表面は、一方が他方よりわずかに下にへこんでいる2つの領域を有するように見える。この凹領域の形状およびサイズは、同じ断面において、成長中に存在したピットの形状およびサイズに非常に類似している。凹領域は、ピットのファセットに沿った成長方向での、ピットにおける材料成長に対応し、もう一方の領域は、c軸に沿った成長方向で成長する材料に対応する。
【0037】
それぞれ異なる成長方向に成長した材料間には、微妙な差がある。不純物濃度は、c軸に沿って成長した材料よりも、ピットの表面に沿って成長した材料のほうがより高い。それに対応して、それぞれの材料の化学機械研磨のレートがわずかに異なり、ピットのファセットに沿った成長方向に成長した材料は、c軸に沿って成長した材料より高い除去レートを有し、目に付く切れ込みにつながる。ピット内部の顕微鏡的な結晶成長方向でさえピットのファセットに沿っており、表面は、研磨およびCMPによってピットを除去した後もやはりc軸表面である。切れ込みの程度は、CMPステップの前の機械研磨ステップにおいて、より小さな粒度のダイヤモンド材料を用いることおよびより短いCMP処理時間によって、最小限にすることができる。
【0038】
これらの2つの表面領域(ピットのファセットに沿った成長方向で、ピットにおいて成長する材料に対応する一領域、およびc軸に沿った成長方向で成長する材料に対応するもう一方の領域)は、わずかに異なるカソルミネセンス(catholuminescence:陰極蛍光)(CL)特性を有する。
【0039】
図5は、機械的に研磨され、かつCMP仕上げプロセスで仕上げられたGaN表面の室温全強度カソルミネセンス画像である。したがって、図5は、図4に示した光学顕微鏡写真のウエハに類似したモルフォロジを有するCMP仕上げのGaNウエハのための全室温カソルミネセンス強度の写像を反映する。表面には、異なるカソルミネセンス特性を有する2つの領域がある。凹エリアは、室温で高い全CL強度を示した。
【0040】
図5に示す材料の結晶欠陥(転位)は、転位に対応するダークスポットとしてCL写像において観察できる。転位は、凹エリアの中央近くに集中している。化学機械研磨プロセスはまた、AFMによって観察可能なピットとして貫通転位をデコレートする。
【0041】
図6は、本明細書の図4に示され、かつピット化表面成長プロセスによって成長された表面と類似の表面を有するCMP仕上げのGaNウエハにおける50ミクロン×50ミクロンエリアのAFM画像である。結晶欠陥の分布は均一ではなく、凹エリアの中央領域には、より高い転位密度があった。全体的な転位密度は、GaN表面積において約1×107/cm2であったが、表面の多くの10ミクロン×10ミクロンエリアは、転位密度が5×106/cm2より低い。この転位分布は、ピット化表面モルフォロジを生じるHVPE成長条件と関連していた。
【0042】
図1で示した表面のようにピットのないテクスチャード表面を生じるGaN成長条件を用いた場合には、転位の分布は全く異なっていた。図7は、図3に示され、かつピットのないプロセスを用いて成長されたGaN表面のモルフォロジと類似の表面モルフォロジを備えた、CMP仕上げのGaN材料における50ミクロン×50ミクロンエリアのAFM画像である。GaN表面のエッチピットおよび転位密度の分布は均一であり、GaN表面の平均転位密度は、約1×107転位/cm2だった。
【0043】
ピット化表面モルフォロジを生じる条件によって生成されたGaNフィルム(すなわち、ピット形成成長プロセスによって成長されたフィルム)の平均転位密度、およびピットのないテクスチャード表面を生じる条件によって生成されたGaNフィルムの平均転位密度はほぼ同じだったが、転位の分布は、2つのプロセスにおいて異なっていた。具体的には、ピット形成成長プロセスは、ランダムに分布された低転位エリアおよび高転位エリアを備えたフィルムをもたらした。ピット形成成長プロセスにおけるこの低転位密度エリアモルフォロジの根源は、ピット化成長条件下では表面ピットが、GaN材料の成長中に形成されたという事実に関連していた。これらのピットは、典型的には、逆六方晶系の角錐および時には逆十二辺形の角錐形状におけるファセットのあるピットだった。ピットのファセットは、典型的な<11−22>および<1−101>の一群の平面を含んでいた。
【0044】
ピット化成長条件下では、GaNのピット化表面上の成長中には、少なくとも2つの顕微鏡的な成長方向、すなわち、(1)前述の、c軸に沿った成長方向(平均的な成長方向である)、および(2)ピットのファセットに沿った成長方向がある。これらそれぞれのc軸およびファセット方向成長表面の結晶方位差のために、c面(c軸成長)およびピットのファセット上の成長速度は、互いに異なることもあり、成長条件の変化とともに、互いに対して異なって変化する可能性がある。
【0045】
ピットのファセット方向よりもc軸方向でのより高い成長速度を促進する条件下では、ピットはより大きくなり、結局、成長表面を覆う。c面よりもピットのファセットにおいてより高い成長速度を有する成長条件が課される場合には、ピットが充填される。
【0046】
成長中にピット化成長表面モルフォロジを維持するために、c面上の成長速度は、ピットのファセット上の成長速度に類似しているか、またはそれよりわずかに速くあるべきである。貫通転位は、典型的には成長方向に従い、したがって、ピット化表面モルフォロジを伴って成長されるGaNフィルムにおける貫通転位の方向は、c軸と平行ではなく、むしろ平均成長方向に対して傾斜角を有する。
【0047】
ピット化成長条件下でより長い期間GaNを成長させると、転位は、ピットの中央近くおよびピットのエッジに徐々に集中する。クラスタリングは、転位をまとめる役に立ち、そして反対方向のバーガーベクトルと出会った転位は消滅する。しかしながら、すべての転位が他の転位に出会うわけではないので、不完全な消滅が起こる。さらに、本発明者らは、ピットの中央近くに集中された転位が、ピットがより大きくなるにつれて、ときには外側に分散する可能性があることを観察した。
【0048】
図8は、CMP、および熱リン酸でのエッチング後のGaN表面のDIC光学画像である。この光学画像は、GaN材料の成長表面における転位の集中を示している。GaN材料は、ピット化成長モルフォロジ下で約5mmの厚さに成長された。CMPおよび熱リン酸エッチング後に、転位はエッチングピットとしてデコレートされ、DIC顕微鏡で観察された。ピットの分布は均一ではなかった。いくつかのエリアの低転位密度は極端に低かった(<1E5cm−2)が、他のエリアの転位密度は、ほどほどの高さだった(〜1E7cm−2)。転位は、成長プロセス中のピットの中央およびあるエッジを構成するエリアに集中した。ピット成長条件下では、GaN材料が5mmの厚さに成長したときであっても、転位が続いてほぼ消滅することはなかった。
【0049】
本発明に従って窒化ガリウム材料を成長させ、たとえば、ブールまたは単一ウエハ本体などの基板物品形状における、大面積で均一な低転位密度窒化ガリウム材料を生成するが、この生成は、最初に転位を集中させ、次に、成長プロセスのそれぞれの段階で転位を消滅させることによって行なわれる。GaN材料が成長されて成長表面にピットを形成しかつ発達させるピット化成長段階中に、少なくとも2つの顕微鏡的な成長方向、すなわちc軸に沿った一方向およびピットのファセットに沿ったもう一方の方向が存在する。c面上の成長速度は、安定したピット化成長段階において、ピットのファセット上の成長速度と類似しているかまたはそれよりわずかに速くあるべきであり、かかる成長プロセスは、成長表面上におけるピットの中央および底部近くに転位を集中する。
【0050】
転位がピットの底部領域近くにほぼ集中された後、成長条件は、ピットのファセット上の成長速度がc面上の成長速度より速くなるように変更される。成長プロセスのこの第2ステージ中に、ピットは、ピットのファセット上のより高い成長速度のために、より小さくなる。それによって、成長方向に従っている貫通転位は集中され、成長表面にわたるピットのピットサイズの低減とともに消滅する。すなわち、ピットのファセットは、c面上よりもファセット上のより速い成長速度ゆえに、結局、単一の点で出会うように成長し、その結果、互いに出会う集中された転位は、互いを消滅させるか、または単一の転位に吸収される。
【0051】
図9のA〜Eは、基板(図9のA)の供給を含めて、本発明の一実施形態によるGaN基板物品の成長を示す一連の概略図である。かかる基板上のGaNの成長は、基板表面上のGaNフィルムに小さなピットを生成するピット化成長条件下で実行され、成長表面に垂直なラインは、貫通転位(図9のB)を表わす。現象を示すために転位の角度が誇張されていることに注意されたい。ピット形成成長は、GaN材料におけるピットがより大きくなりかつ材料において転位を集中するように、継続される(図9のC)。次に、GaN材料の成長は、ピット充填成長条件へシフトされる。これらの条件下で、ピットはより小さくなって部分的に転位を消滅させ、ついには、ピットが完全に充填されて、全ての転位が、ピットクロージャの瞬間に出会い、少数の転位を残す(図9のD)。ピット充填成長ステップは、本質的にピットのない表面が生成されるまで実行されるのが好ましい。次に、GaN材料の成長は、GaN材料を所望の厚さに形成するまで続けられるが、かかるさらなる成長において、成長表面はほぼ転位フリーのGaNによって構成され、大面積で均一な低転位密度製品GaN材料を生成する(図9のE)。
【0052】
図10A〜10Bは、本発明の一実施形態に従って成長したGaNウエハの欠陥分布の微分干渉コントラスト(DIC)光学顕微鏡画像を示す(図10Aは、表面に焦点を合わせることによって得られたウエハの上面図;図10Bは、顕微鏡の焦点を底面に合わせることによる、図l0Aの図と同じエリアにおける表面下の画像である)。
【0053】
転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってエッチピットとしてデコレートされた。c軸に沿って成長した材料とピットのファセットに沿って成長した材料との間の微妙な差のために、2つの材料(c軸材料およびファセット方向材料)間の対応するコントラストが、DIC下で観察された。これによって、図10において丸で囲んだように、エリア、すなわちその下でピットのファセットに沿った成長(ピット充填)が行なわれるエリア、の識別が可能になった。1つのエリアでは、ピット充填後に、転位が完全に除去され、結果として完全な結晶特性がもたらされた。他のエリアでは、ピットクロージャ後に、ただ1つの転位だけが残った。ウエハ用の転位密度は、約1E6cm−2であり、欠陥は均一に分布された。
【0054】
本発明による均一な低転位密度窒化ガリウムの成長のための最初の基板は、たとえば窒化ガリウム、サファイア、炭化ケイ素、ガリウム砒素、シリコン、没食子酸リチウム、アルミン酸リチウム、没食子酸リチウムアルミニウム、酸化亜鉛、ダイヤモンド、スピネル、酸化マグネシウム等を始めとする任意の適切なタイプであってもよい。本明細書の開示に基づいた当該技術分野の技術内で容易に決定できるように、高い結晶品質を達成するために、窒化ガリウムの成長の前に、異なる基板が、異なる基板前処理を必要とすることが理解されるであろう。
【0055】
上記で例示的なHVPE成長プロセスに関連して、均一な低転位密度GaNウエハの成長を説明したけれども、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、有機金属塩化物法(MOC)、分子線エピタキシ(MBE)、昇華、スパッタリング、反応性スパッタリング、反応性昇華等の任意の他の適切な気相成長法を用いることができる。
【0056】
さらに、1つまたは複数の技術の一緒または順の任意の組み合わせを、適切な成長技術を考えてもよい。
【0057】
この点で、様々な気相成長法間の差は、GaN材料を形成するための成長表面へ成長種を送出する方法および用いられる成長種のタイプに存在する。たとえば、MOVPEでは、トリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)など、ガリウムの揮発性有機金属化合物をアンモニアと反応させて、窒化ガリウムを形成する。昇華では、固体の多結晶窒化ガリウムが、適切な周囲昇華環境で昇華されて、基板上に窒化ガリウムフィルムを形成する。スパッタリングおよび反応スパッタリングでは、窒化ガリウムまたはガリウムのターゲットが、窒素またはアンモニア環境など、適切な周囲環境においてイオンを注入されて、基板上にGaNが堆積される。反応性昇華では、ガリウムが窒素またはアンモニア中で昇華されて、基板上に窒化ガリウムを形成する。特定の成長方法におけるピット化成長のための、およびピット充填成長のための条件は、本明細書の開示に基づいた当該技術分野の技術内で容易に決定できる。
【0058】
例示的なHVPEプロセスを考えると、成長温度、成長速度およびNH3:HCl比率は、所望の大面積で均一な低転位密度GaN材料を生成するための2段階プロセスのそれぞれの段階において制御される。一定の温度(たとえば1030℃)および一定のHClフロー(一定の成長速度、たとえば150μm/時の成長速度をもたらすための)において、NH3フローの増加は、ピットのないテクスチャード表面を生成する最適なピット充填成長条件から、ピット化表面モルフォロジを生成するピット化成長条件に、GaN成長プロセスを変化させる。一定のHClおよびNH3フロー(一定のNH3/HCl比率で一定の成長速度をもたらす)において、成長温度の低減は、最適なピット充填成長条件からピット化成長条件へ、成長条件を変化させる。
【0059】
本発明のGaN材料を成長させるために用いられる特定のGaN成長リアクタのリアクタ形状は、成長プロセスのフローおよび局所的な成長環境に影響を及ぼす。したがって、本発明の所定の用途で用いられる特定のリアクタのためのピット化成長条件およびピット充填成長条件を識別するために、成長モルフォロジを、成長パラメータに応じて系統的に調べることが重要である。かかる決定は、GaN成長プロセスのピット形成およびピット充填段階において表面を特徴づけるために光学顕微鏡写真、SEMおよびAFM技術を利用し、大面積で均一な低転位密度GaN材料を形成するための適切な特定のプロセス条件を識別することによって、上記で説明したように、当該技術分野の技術内で容易になされる。
【0060】
適切なピット化成長条件およびピット充填成長条件の識別後に、それぞれの成長条件を連続的に実行して、均一な低転位密度窒化ガリウムを大面積単結晶材料として生成する。ピット化成長ステップ、すなわちピットを形成し、かつ材料におけるピットの底部に転位を集中させるのに役立つ条件下でのGaNの成長は、全体的な転位密度の低減に不可欠である。ピット充填ステップの前に、成長プロセスは、成長表面がピットで覆われるように実行され、その結果、転位は、ピットの底部へと押しやられて、第2成長ステップ(ピット充填ステップ)で消滅させることができる。
【0061】
この点で、ピット化成長の第1のステップは、ピット充填成長の第2のステップの前に、好ましくは成長表面の50%超をピットで覆い、より好ましくは、表面積の75%超をピットで覆い、さらにより好ましくは、成長表面の90%超をピットで覆うように実行される。
【0062】
成長表面上でピットのカバレッジが高いことが好ましい理由は、c軸に沿った成長(すなわちピットで覆われていないエリア)が、同じ方向に沿って成長する転位を含み、その結果、転位が消滅するチャンスが実質的に低減し、それに対応して、最終製品がより高い転位密度を有するからである。
【0063】
それに反して、ピット化成長プロセスは、転位を集中させるように機能する。成長表面がピットでほぼ覆われた場合には、ピット密度は、ピットサイズの2乗に反比例する。第2のピット充填ステップ後の最終転位密度は、ピットにおける全ての転位が必ずしも消滅するわけではないので、ピット密度に依存する。
【0064】
したがって、ピット化成長段階においてGaN成長表面の主な範囲(たとえば、>90%)にわたりピットを形成するGaN成長と、ピットのファセット方向における優先的な成長に有利な条件下でかかる成長を続けることとにより、ピット充填成長である第2段階を行なう前のピット化成長段階の終わりにより大きなサイズのピットを形成することによって、大面積で均一な低転位密度GaNを達成することが可能になる。
【0065】
ピット充填ステップ前のGaN表面におけるピットの平均ピットサイズは、好ましくは25μmを超え、より好ましくは50μmを超え、最も好ましくは100μmを超える。かかるピットサイズは、かかる表面の平面において、成長表面で測定されたピットの最大直径または横寸法である。ピット内の多結晶形成が、成長しているGaN材料の結晶特性を改善するのではなく劣化させるという可能性を、より大きなピットサイズでは増加させる結晶学的な要因によって、ピットサイズの上限が課される可能性がある。
【0066】
対応するピット化成長条件下のピット化成長プロセスによって確率論的に生成される、GaN表面上のピットの位置は、ランダムに分布させることができる。代替として、ピットの位置は、出発基板の適切な処理によって、予め決定することができる。
【0067】
ピットの内の転位の集中はピットにおけるファセット成長方向によるので、ファセットの性質は、ピット自体よりも重要である。所定のピットを生成するように出発基板をパターニングする代わりに、代替として、ファセット化成長モルフォロジを生成するために出発基板をパターニングすることができる。
【0068】
第1のステップにおいて、ピット化(ファセット化)成長条件を用いて、ファセットを生成する。c軸に沿った成長速度は、ファセット上の成長速度より速く、ファセットで覆われた表面を生成する。転位はファセット間の谷領域へ押しやられるが、実質的には消滅されない。ピット充填である第2のステップにおいて、ファセット上の成長速度はc軸上の成長速度より速く、その結果、ファセット間の谷は充填され、滑らかなc軸成長材料の形成につながる。谷のクロージャの瞬間に、転位は閉じ込められ、それらは互いを消滅させるか、より少数の転位に吸収される。第1のピット化成長段階および第2のピット充填段階は、それぞれ、1つまたは複数のステップで実行してもよく、気相成長法は、第1および第2段階ステップ以外の他のプロセスステップで実行してもよく、たとえば、本発明の方法の所定の用途において望ましい場合があり得るが、第1段階および第2段階ステップ間で中間プロセスステップを実行してもよい。
【0069】
ピット化またはファセット化成長層の厚さは、ピットの底部近くかまたはファセット間の谷の近くへの、転位の実質的な集中を可能にするほど十分に厚くすべきである。ピット化層が厚ければ厚いほど、転位集中ピットの表面カバレッジがそれだけ高い、したがって、最終製品の窒化ガリウム材料はそれだけよりよい。ピット化成長層は、好ましくは50μmを超える厚さに、より好ましくは100μmを超える厚さに、さらにより好ましくは200μmを超える厚さに成長される。
【0070】
ピット化層の成長後に、成長条件は、ピット充填条件に変更されるが、この条件では、ファセット上の成長速度は、c面上の成長速度より速い。ピット充填条件は、典型的には、ピット化成長条件より高い成長温度および/またはより低いNH3フロー(すなわち、より低いNH3/HCl比率)を含む。ピットが完全に充填された後、ピットにおける転位は実質的に消滅され、結果として均一な低転位密度GaNがもたらされる。ピット充填成長の期間は、最低でも、大多数のピットの充填およびクロージャを可能にするか、さもなければ所望の低ピット密度を達成して、適宜、均一な低転位密度GaNを生成するものにすべきである。ピットの充填に必要なピット充填成長プロセスの期間は、本明細書で説明するように、光学、SEMおよびAFM技術によって容易に決定できる。好ましくは、ピット充填成長ステップは、ピット密度が、成長表面において10ピット/cm2を超えないレベルに低減されるまで、行なわれる。より好ましくは、ピット充填ステップは、たとえば1ピット/cm2またはそれ未満のピット密度を有する本質的にピットのない表面を形成するまで継続される。最も好ましくは、成長プロセスは、完全にピットのない表面を有するIII−V族窒化物単結晶材料を生成するような方法で行なわれる。
【0071】
ピット充填の完了前に、2つの顕微鏡的な成長方向、すなわちc面上の成長およびピットのファセット上の成長、が存在する。ピットが完全に充填された後では、c面成長方向だけが存在する。前面(成長表面)のラッピング、研磨、および化学機械研磨と、同様に、裏面(基板側)の機械研削またはラッピングとを含む、GaNウエハを形成するために必要なステップを考えれば、最終的なc面成長の厚さは、GaNウエハ形成ステップ後に前面における材料が、均一なc面成長材料のままであることができるようにすべきである。かかる理由で、本発明の一実施形態では、ピットが完全に充填された後の完成したc面成長の厚さは、少なくとも50μmが有利である。より好ましくは、GaN材料の厚さは200μmを超え、最も好ましくは、かかる厚さは400μmを超える。
【0072】
c面成長の厚さは、部分的には、ウエハ製作が全てc面である上部表面を生じるように、決定してもよい。ピットクロージャの後にc面成長が十分に長い期間実行されない場合には、完成したウエハの表面には、図4で示したのと類似した凹領域が含まれる可能性がある。十分なc面成長が実行される場合には、図3に示すように、滑らかで凹部のない表面が生成される。
【0073】
追加的な厚さが、不純物濃度を低減するためか、転位密度を低減するためか、または同じ結晶方位を備えたオフカットウエハの角度研磨を可能にするために必要となる可能性がある。GaNインゴットを生成するための、ピット充填条件におけるより長い成長(>2mm)は有利である。なぜなら、より長い成長条件下では、転位がさらに消滅する可能性があり、さらに、長いインゴットを、大面積で均一な低転位密度および高品質の多数のウエハにスライスし、続いて、マイクロエレクトロニクスおよび光電子製品を生成するためにウエハ上にデバイスを製作することができるからである。代替として、転位密度をさらに低減するために、ピット形成およびピット充填ステップの多数のサイクルを用いることができる。ピットにおけるIII−V族窒化物材料の成長角度に関して、ピットにおける一般的な成長方向は、おおよそc軸成長だが、傾斜させるべきである。
【0074】
大面積で均一な低転位密度および高品質の単結晶III−V族窒化物材料を形成することに加えて、ピット成長を含む本発明のプロセスは、割れに対する製品III−V族窒化物材料の感受性を実質的に低減する役割を果たす。
【0075】
ピット化成長条件からピット充填成長への遷移は、突然か、徐々か、または多段式とすることができる。さらに、ピット化成長およびピット充填成長の各段階は、2つ以上の成長条件セットを含むことができる。たとえば、ピット化成長段階において、成長の開始時に、高密度のより小さなピットを生成する条件を有し、小さなピットを成長させ、合体させ、かつ/または部分的に充填して、ピット化成長段階の終わりにより大きなピットを形成する条件が後に続くことは有利であり得る。ピット充填段階では、ピットを完全に充填する条件を有し、より高い速度でc面表面上の成長をもたらす条件が後に続くのは有利であり得る。さらに、異なる成長条件間の遷移は、徐々または傾斜的であってもよく、その結果、ピット化成長およびピット充填成長の段階は、互いからそれほどはっきりと境界を定められなくなる。本発明の成長プロセスを、ピット成長およびピット充填成長ステップの交互の多数のサイクル(たとえば、ピット成長の第1のステップに、ピット充填成長の第2のステップが続き、ピット成長の第3のステップが続き、ピット充填成長の第4のステップが続き、任意に、追加的なピット成長およびピット充填成長ステップを次々に伴う)で実行してもよいことがまた、理解されるであろう。
【0076】
ピット化成長およびピット充填成長を含む成長プロセスが、最適条件からわずかに逸脱する場合には、少数の大きなピットが、ピット充填成長後にまだ残っている可能性がある。かかる成長ピットの密度は、1cm−2未満が好ましい。かかる成長ピットを除けば、GaN材料は、均一な低転位密度を有する。
【0077】
成長表面がピットを有する場合には、機械ラッピング、研磨およびCMPは、ピットを除去してピットのない表面を生成できる。しかしながら、この場合に、CMP後の表面は、図4に示すタイプの凹エリアを含む。成長表面にピットがない場合であっても、ラッピング、研磨およびCMPを含むウエハ処理の後、表面は、図4に示すタイプの凹エリアを含む可能性がある。凹エリアは、典型的には、酸素またはシリコンなどの、より高い濃度の不純物を有する。凹エリアにおける転位の分布は、典型的には均一ではない。凹エリアを除くと、表面は、均一な低転位密度を有する。凹エリアは、全体的なウエハ表面積の10%未満であるのが好ましい。
【0078】
半導体材料における不純物が材料の電気特性に影響することは、当該技術分野において周知である。たとえば、シリコンおよび酸素がGaNにおいて浅いドナーの役割を果たし、n型導電性を生成することは十分に確立されている。酸素は、ガス源不純物およびリアクタ漏れのために、HVPE成長中にGaNに意図せずに取り込まれることが往々にしてある。マグネシウムがまた、GaNにおけるアクセプタの役割を果たし、かつ適切な活性化でp型導電性のGaN材料を生成する不純物種として、GaN材料に導入される可能性がある。さらに、遷移金属が、GaN材料に導入され、GaN材料における残余のドナー種を補償することによって、半絶縁GaNを生成する深い準位のアクセプタとして機能する可能性がある。
【0079】
意図せずにドープされたHVPE GaNは、酸素またはシリコン不純物のために、典型的にはn型導電性であるが、n型導電性は、シランなどのシリコンソースからシリコン不純物を意図的に導入することによってか、またはGaN成長リアクタに供給されるガス流における二酸素などの酸素含有不純物を導入することによって増加および制御できる。不純物が成長リアクタにおける気相に存在する場合には、ピット化成長モルフォロジおよびピット充填をもたらす成長条件は、かかる不純物が導入されない状態で用いられる成長条件とはわずかに異なってもよく、かかる不純物の存在の結果として、それに対応して、2ステージプロセスのピット化成長およびピット充填段階において、ドーピングを最も有利に実行するためにプロセス条件を調節することが必要になり得る。さらに、成長環境における不純物の量および取り込みは、プロセスの各ステージ中で異なってもよい。不純物は、用いられ場合には、ピット化成長ステップか、ピット充填ステップか、またはピット化成長およびピット充填ステップの両方において導入できる。
【0080】
本発明に従い、ピット化成長およびピット充填成長の連続的なステップによる、基板上におけるGaNの成長によって、GaNウエハ製品が製造される。ウエハ形成プロセスの2つの主なタイプ−インゴットプロセスおよび単一ウエハプロセスを利用できる。
【0081】
成長されるGaN材料が厚い場合、たとえば、約2mmを超える長さのインゴットを形成する場合には、マルチウエハプロセスを用いるのが有利である。インゴットは方向を合わせられ、所定のサイズたとえば直径が≧2インチに研削され、多数のウエハにスライスされる。多数のウエハを製造するためのソース本体として機能するバルクGaN材料物品としてのインゴットは、典型的には厚さが少なくとも1mmであり、より好ましくは少なくとも5mmであり、最も好ましくは少なくとも10mmである。多数のウエハがインゴットからスライスされた後で、ウエハの裏および表の主面が処理される。GaNウエハの裏面は、ラッピングおよび/または研磨され、GaNウエハの前面は、ラッピング、研磨およびCMP仕上げを施されて、ホモエピタキシャル成長の準備ができたGaNウエハを生成する。ウエハは、任意の適切な厚さを有してもよい。たとえば、ウエハは、特定の用途に必要かまたは望ましければ、50μm、200μmまたは500μmを超える厚さを有するように形成してもよい。また、ブールからスライスして研磨されたウエハに仕上げるときに、たとえばa面ウエハ、m面ウエハなどの選択的な方位のウエハを生成するのに適したバルクIII−V族窒化物物品を生成するために、インゴットを均質なピット成長およびピット充填成長ステップで形成してもよい。
【0082】
成長したGaNがインゴットでない場合には、単一ウエハプロセスを有利に用いて、GaNウエハを形成する。典型的には、単一ウエハプロセスについては、GaN成長用の基板は窒化ガリウムではなく、異種基板(テンプレート)は、GaNウエハの形成前に除去される。テンプレートの除去は、任意の適切な手段または方法によって実行できる。たとえば、テンプレートの除去には、テンプレートの排除、テンプレートの一部もしくは全ての除去、またはテンプレートの全ておよびテンプレートに隣接するGaNの一部の除去を含んでもよい。かかる目的のために有用に利用可能な特定の技術には、機械研削、化学エッチング、界面分解、界面破壊、または特定のテンプレートに相応しい任意の他の手段または方法が含まれる。
【0083】
好ましい実施形態において、ヘテロエピタキシャル基板は、成長プロセスの終わりに成長温度の近くの温度で、成長したGaN材料からインサイチュで除去され、独立した特性の分離GaN基板物品が生成される。かかるインサイチュでの除去によって、別の状況では成長したGaN材料および異種基板を含むヘテロエピタキシャル構造が周囲(たとえば室内)温度に冷却される場合に生成されるような熱膨張係数(TCE)欠陥を自身に有しない独立GaNウエハ基板が生成される。例として、かかる目的に有効な化学的腐食剤を用い、成長温度、または成長温度の近く、たとえば成長温度から100℃内の温度において、異種基板をインサイチュでエッチング処理することは、単一ウエハプロセスで高品質のGaN基板物品を形成するための1つのアプローチである。
【0084】
次に、成長したGaNは、たとえば機械研削か、サンドブラストかまたはレーザ切断などの適切な技術によって、たとえば直径が≧2インチの所定サイズに適切に作られる。続いて、成長したGaNの裏面はラッピングかつ/または研磨され、成長したGaNの前面は、ラッピング、研磨およびCMP仕上げを施されて、ホモエピタキシャル成長の準備ができてGaNウエハが生成される。成長したGaNの前面は、成長したGaNの裏面より品質が高いので、前面からの材料除去は、最小限にするのが望ましい。前面のラッピングおよび研磨は、主に、平坦なウエハ形状を達成する目的で利用され、裏面のラッピングは、主に、望ましいGaNウエハ厚さを達成するために利用される。GaNウエハの前面は、均一な低転位密度を有する。裏面は前面よりも高い転位密度を有してもよく、転位密度の分布は、裏面では均一でなくてもよい。
【0085】
化学機械研磨(CMP)は、任意の適切なCMP方式およびCMPプロセスを用いて実行できる。CMPレートは、材料が成長表面におけるピットのファセットに沿った方向に成長され、かつより高い不純物濃度を有する凹エリアにおいて、わずかにより高い。CMPで研磨された表面は滑らかで、表面粗さ(RMS)は、10×10μmエリアにおいてAFMで測定するところでは、1nm未満である。
【0086】
ウエハプロセス中に、ウエハは、ウエハの表面がGaN結晶のc面と平行になるような方法で、処理できる。代替として、ウエハの表面は、結晶のc面に対して小さな角度(たとえば≦10°)をなすようにすることができる。かかる表面は、微斜面と呼ばれる。かかる微斜面のGaN表面は、ホモエピタキシャル成長には有利である。
【0087】
本明細書に開示する方法によって生成されるGaNウエハは、デバイス製作用途にとって高品質であり、大面積で、低転位密度を有し、転位は、大面積ウエハ表面にわたって均一に分布されている。ウエハ表面上の転位密度は、典型的には約1E6cm−2を超えない。先行技術は、低転位密度だが小面積のGaN(より大きなサイズに成長させることができない)か、または代替として、ウエハにわたって不均一に分布された欠陥を有する大面積GaNを製造してきた。本明細書の背景技術の部で論じたように、先行技術は、GaNの大面積単結晶成長と、GaN基板の大面積にわたって均一に低い低転位密度の提供との組み合わせを達成できなかった。
【0088】
本発明に従って生成される大面積で均一な低転位密度III−V族窒化物材料は、均一な低転位密度を有する少なくとも1つの表面で形成される。特定の実施形態において、III−V族窒化物材料は、材料の両方の主面が均一な低転位密度を有するように成長させてもよいし、またはIII−V族窒化物材料は、材料のかかる主面の1つが均一な低転位密度を有し、もう一方の主面が、転位の高いかつ/または不均一な分布を有し、転位密度が、後者(たとえば底部)表面から前者(たとえば上部)表面へ次第に減少するようにしてもよい。
【0089】
本発明のIII−V族窒化物材料は、その特定のモルフォロジの多様性にかかわらず、均一な低転位密度を備えた少なくとも1つの大面積表面を有する。
【0090】
本発明に従って生成される大面積で均一な低転位密度GaNウエハは、種々様々なエレクトロニクスおよび光電子デバイスならびに集積回路製品の製造のための基板として利用できる。したがって、本発明は、たとえばレーザダイオード、発光ダイオード、または高電子移動度トランジスタなどのデバイスがその上に製作される大面積で均一な低転位密度GaNウエハを含むエレクトロニクスデバイス構造と、同様に、かかるGaNウエハを含む集積回路、およびかかるタイプのGaNウエハであって、GaNウエハベース製品の特定の用途および最終用途に依存して、特性がホモエピタキシャルまたはヘテロエピタキシャルであってもよい少なくとも1つのエピタキシャル層を自身上に有するウエハとを考えている。
【0091】
本発明は、マイクロエレクトロニクスおよび光電子デバイスの製作に適した高性能窒化ガリウム基板を提供する点において、先行技術に勝る著しい改善を示す。
【0092】
本明細書において、主に窒化ガリウムに関連して本発明を説明したが、本発明がこのように限定されず、それどころか本発明の態様および利点には、たとえばAlN、InN、AlInN、GaAlN、GaInN、GaAlInNなど、GaN以外の大面積で均一な低転位密度III−V族窒化物材料の形成への、本明細書の一般化されたモルフォロジの適用が含まれることが理解されるであろう。
【0093】
本発明の特徴および利点を、次の非限定的な実施例に関連してより完全に示す。
【実施例】
【0094】
実施例1
単一ウエハプロセス
本実施例において、サファイア基板上の2ステップGaN HVPE成長を実行した。成長の第1ステージでは、成長温度は1010℃、NH3/HCl比率は17、成長速度は約160μm/時、成長したフィルムの厚さは約320μmだった。
【0095】
第1ステップの完了後、成長温度を1030℃に上昇させ、NH3/HCl比率を8.6に低減し、第2ステージのGaN材料の厚さが約640μmになるまで成長を継続させた。
【0096】
成長の完了後、サファイア基板を、厚いGaNフィルムから除去した。GaNブランクウエハは、最初に、そのエッジ近くを機械的手段によって研削した。GaNウエハには2つの表面があった。成長表面を構成する表面は、ガリウム終端だった。サファイア基板に付着された側は、窒素終端側だった。ウエハのガリウム側は、最初に、ラッピング機において粗いダイヤモンドスラリーでラッピングし、次に、微細ダイヤモンドスラリーを用いて研磨パッドで研磨した。前面(ガリウム側)は、コロイドシリカと希塩酸との混合物を用いて、化学機械研磨プロセスで仕上げた。裏面は、ラッピングしかつ研磨した。
【0097】
図11は、前述のプロセスによって生成された両側研磨窒化ガリウムウエハの写真である。ウエハの直径は、2.3インチだった。
【0098】
ガリウム終端表面の均一な成長エリアからのウエハ断片を、その転位密度を判定するために、CMPプロセスによって研磨し、熱リン酸においてエッチングした。CMPプロセスおよび熱リン酸エッチングは、転位をエッチピットとしてデコレートした。
【0099】
図12は、結果としてのエッチングされた表面の微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡画像を示す。示したように、エッチピットは、顕微鏡下で見ることができた。サンプルのエッチピット密度は、5.5E5cm−2だった。
【0100】
図13は、熱リン酸でエッチングされたGaNウエハ表面の100×100μm2AFM走査を示す。画像のエッチピット密度は、8.5E5cm−2であり、DIC光学顕微鏡を用いて数えたエッチピット密度とよく整合が取れていた。エッチングされたウエハを全体的に顕微鏡下で検査したところ、エッチピットがウエハ表面にわたって均一に分布されていることが示された。本実施例は、本発明の方法によって生成される均一な低転位密度の大面積窒化ガリウムウエハの成長を示す。
【0101】
実施例2
GaNインゴットプロセス
本実施例では、2ステップHVPE GaN成長プロセスを実行して、比較的長いGaNインゴットを成長させた。
【0102】
成長プロセスの第1ステージでは、成長温度は1010℃、NH3/HCl比率は17、成長速度は約160μm/時、成長したフィルムの厚さは約320μmだった。
【0103】
第1ステップの完了後、成長温度を1030℃に上昇させ、NH3/HCl比率を12.9に低減した。GaN材料の成長は、インゴットの長さが3.2mmになるまで継続された。
【0104】
形成後のインゴットは、スライシングならびに実施例1におけるような後続のラッピング、研磨および化学機械研磨ステップによって処理され、多数のウエハにされた。同様の2ステップHVPE GaN成長プロセスを実行して、10mmオーダの長さを有するGaNインゴットを成長させた。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の大面積で均一な低転位密度III−V族窒化物材料は、発光ダイオード、レーザダイオード、光電子センサ、光電子スイッチ、高電子移動度トランジスタなどのマイクロエレクトロニクスおよび光電子デバイスの製造のために有用に用いられる。例として、III−V族窒化物材料は、ウエハまたは他の基板物品の形状で用いられるような単結晶GaNにすることができる。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、発光ダイオード、レーザダイオード、光電子センサ、光電子スイッチ、高電子移動度トランジスタなどのマイクロエレクトロニクスおよび光電子デバイスの製造に有用であるような、大面積で均一に低い転位密度の窒化ガリウム材料と、同様に、このような窒化ガリウム材料を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
窒化ガリウム(GaN)および関連するIII−V族窒化物合金は、発光ダイオード(LED)およびレーザダイオード(LD)ならびにエレクトロニクスデバイスに用途がある。GaNベースのデバイスの性能は、デバイス層の結晶欠陥、特に貫通転位密度に強く依存する。青色およびUVレーザダイオードに関しては、3×106cm−2未満の転位密度が、より長い寿命のためには好ましい。さらに、ネイティブ窒化ガリウム基板上で成長されたGaNデバイスは、デバイス性能の改善ならびに設計および製作の単純化ために好ましい。
【0003】
窒化ガリウム基板は、様々な方法で作製することができる。ポロフスキ(Porowski)らの米国特許第5,637,531号明細書は、高い窒素圧力でバルクGaNを成長させる方法を開示している。金属ガリウムがガス状の窒素と反応して、溶融したガリウム表面に窒化ガリウム結晶を形成する。リアクタ容器において温度勾配が提供され、リアクタのより低温の領域における窒素原子の過飽和、および窒化ガリウム結晶の成長が結果としてもたらされる。ポロフスキらのプロセスにおける成長圧力は約10kbarであり、成長温度は約1400℃である。ポロフスキらのプロセスによって生成された材料の転位密度は100cm−2ほどの低さであるが、しかしながら、この方法によって生成されたGaNの最大サイズは、約10mmの小板に制限された(S.ポロフスキ(S.Porowski)およびI.グジェゴシ(I.Grzegory)、J.Cryst.Growth、第178、174巻、1997年、M.ボッコウスキ(M.Bockowski)、J.Cryst.Growth、第246、194巻、2002年)。
【0004】
ハイドライド気相エピタキシ(HVPE)が、窒化ガリウム基板を生成するために利用されてきた。ティシェラー(Tischler)らは、米国特許第5,679,152号明細書で、最初に相性のよい犠牲基板上で厚いGaNフィルムを生成し、次に、成長温度近くの温度で犠牲ベース基板をエッチングで除去して独立GaN基板を生成することによって、単結晶GaN基板を生成する方法を開示している。成長した窒化ガリウムフィルムを基板から分離する別の方法は、成長したフィルムと基板との間の界面で分解を光学的に引き起こすことである。ケリー(Kelly)らは、米国特許第6,559,075号明細書で、界面層を分解するためにレーザエネルギを用いることによって、2つの材料層を分離する方法を開示している。サファイア基板上で成長したGaNのためには、GaNのバンドギャップより大きいが、サファイアのバンドギャップより小さいエネルギのレーザが用いられる。レーザがサファイア基板を通して照射されると、レーザエネルギは、GaN−サファイア界面で吸収される。十分なレーザエネルギ密度を用いれば、界面領域のGaNは、金属ガリウムおよびガス状の窒素に分解され、それによって、サファイア基板からGaNフィルムを分離する。この方法を用いて、直径が2インチに近い独立GaNウエハが生成された(たとえばM.K.ケリー(M.K.Kelly)ら、Jpn.J.Appl.Phys.第38巻、ページL217〜L219、1999年、を参照されたい)。モトキ(Motoki)らは、米国特許第6,413,627号明細書で、最初にガリウム砒素基板上で厚いGaNフィルムを成長させ、次に基板を除去することによって、単結晶GaN基板材料を製造する方法を開示している。典型的なHVPE窒化ガリウムの転位密度は、約1×107cm−2である。
【0005】
モトキらは、米国特許第6,468,347号明細書ならびに米国特許出願公開第2003/0080345号明細書および第2003/0145783号明細書で、あるエリアでは低転位密度だが、他のエリアでは高転位密度を有する窒化ガリウム単結晶基板を生成する方法を説明している。高転位密度エリアは、ランダムに分布されるか、または所定のパターンたとえば周期的なストライプ形状で分布されるものとして、また低転位密度領域は、高転位密度エリア間に分散されるものとして、開示されている。米国特許第6,468,347号明細書において、モトキらは、生成されたGaN材料が、低転位密度を有すると考えたが、しかし米国特許出願公開第2003/0080345号明細書および第2003/0145783号明細書において、モトキらは、米国特許第6,468,347号明細書で開示されたプロセスによって生成された材料が、高転位密度エリアを低転位密度エリアにランダムに分散させていることを明確にした。米国特許出願公開第2003/0080345号明細書において、モトキらは、高転位密度エリアを周期的なドットとして所定のパターンで配置する方法を開示した。米国特許出願公開第2003/0145783号明細書において、モトキらは、高転位密度エリアを周期的なストライプ形状で配置する方法を開示した。
【0006】
GaN基板における高転位密度エリアの存在によって、デバイス構造を低欠陥エリアに正確に位置あわせすることが必要になる。さらに、欠陥の不均一な分布は、GaN基板上のデバイス層の成長に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
バウド(Vaudo)らの米国特許第6,440,823号明細書は、転位を集中させて消滅させるピット化成長と、続いてピットを閉じるための高い表面モルフォロジ条件との使用を教示している。
【0008】
GaNベースのレーザダイオードおよび他のデバイスの性能が、デバイス層における結晶欠陥の性質および程度に決定的に依存し、このデバイス層が今度は、GaN基板の欠陥構造およびモルフォロジに依存しているので、均一な低転位密度のGaN基板のためのいやおうなしの必要性がある。さらに、GaNベースのデバイスを低コストで製造するためには、大面積基板が必要になる。先行技術は、均一な低転位密度で大面積のGaN基板を提供することに失敗した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明は、大面積で均一な低転位密度窒化ガリウムおよびその製造プロセスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶III−V族窒化物材料に関する。
【0011】
別の態様において、本発明は、15cm2を超える大面積と、少なくとも0.1mmの厚さと、1×106cm−2を超えない平均転位密度と、25%未満の転位密度標準偏差比率とを有する、大面積で均一な低転位密度単結晶窒化ガリウムに関する。
【0012】
本発明の別の態様は、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶III−V族窒化物材料を含む物品に関する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶窒化物材料を含むウエハに関する。
【0014】
別の態様において、本発明は、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶窒化物材料を含むウエハを含むエレクトロニクスデバイス物品、およびかかるウエハに製作されたエレクトロニクスデバイス構造に関する。
【0015】
本発明の追加の態様は、最適な単結晶III−V族窒化物成長条件からわずかに逸脱した単結晶III−V族窒化物成長条件下で成長された、自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶III−V族窒化物材料たとえばGaNと、同様に、かかる材料で形成されたウエハとに関する。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料を基板上に形成するための気相成長法に関し、かかる方法には、(I)ピット化成長条件下で気相成長技術によって、III−V族窒化物材料を基板上に成長させる1つまたは複数のステップを含む第1段階と、(II)III−V族窒化物材料の成長表面においてピットのクロージャ(closure)および欠陥の消滅を達成するピット充填条件下で、気相成長技術によってIII−V族窒化物材料を成長させる1つまたは複数のステップを含む第2段階と、が含まれる。
【0017】
本発明のさらなる態様は、大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料を基板上に形成するための気相成長法に関し、かかる方法には、(I)III−V族窒化物材料の成長表面の少なくとも50%にわたってピットを形成するピット化成長条件下で、気相成長技術によって、III−V族窒化物材料を基板に成長させる第1段階であって、成長表面上のピット密度が、第1段階の終わりに、成長表面において少なくとも100/cm2である段階と、(II)ピットを充填するピット充填条件下で、III−V族窒化物材料を成長させて本質的にピットのない表面を生成する第2段階と、が含まれる。
【0018】
本発明の他の態様、特徴および実施形態は、続く開示および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】1030℃の成長温度、30のNH3/HCl比率、1時間の成長時間および116ミクロン/時の成長速度を含む最適化された成長条件下で、サファイア基板上に成長されたHVPE GaNフィルムのテクスチャード表面モルフォロジの微分干渉コントラスト(DIC)光学顕微鏡写真である。
【図2】成長温度が1030℃、NH3/HClが58、成長時間が1時間、成長速度が268ミクロン/時である、最適条件よりもわずかに高いNH3フローの条件下で成長されたHVPE GaNフィルムのピット化表面モルフォロジのDIC光学顕微鏡写真である。
【図3】機械研磨および化学機械研磨(CMP)仕上げ後のGaN表面のDIC光学画像であるが、この場合に、かかる研磨およびCMPの前のas−grownブランクウエハは、図1に示した表面に類似したピットのないテクスチャード表面を示した。
【図4】機械研磨およびCMP仕上げ後のGaN表面のDIC光学の顕微鏡写真であるが、この場合に、かかる研磨およびCMPの前のas−grownブランクウエハは、図2に示す表面と類似した、表面上の高いピット密度を示し、ピットは、研磨中に除去された。
【図5】図4のGaNウエハのモルフォロジと類似したモルフォロジを有するGaN表面の室温全強度カソルミネセンス画像であるが、ダークスポットは、結晶欠陥に対応する。表面は機械的に研磨され、CMPプロセスで仕上げられた。
【図6】図4に示す表面を備えたウエハに類似した表面モルフォロジを有するCMP仕上げGaNの原子間力顕微鏡(AFM)画像(50ミクロン×50ミクロン)である。GaN材料は、ピット形成(ピット化プロセス)を支援する条件で成長され、成長ピットは、研磨中に除去された。エッチピットおよび転位密度の分布は均一ではなく、凹エリアの中央近くに集中した。
【図7】図3に示す表面を備えたウエハに類似した表面モルフォロジを有するCMP仕上げGaNの原子間力顕微鏡画像(50ミクロン×50ミクロン)である。GaN材料は、ピットのないプロセスで成長された。エッチピットおよび転位密度の分布は、均一だった。
【図8】CMP、および熱リン酸を用いたエッチング後のGaN表面のDIC光学画像である。GaNは、ピット化成長条件下で、5mmの厚さに成長された。CMPおよび熱リン酸エッチング後に、転位は、エッチングピットとしてデコレートされる。ピットの分布は、均一ではない。
【図9】本発明の一実施形態によるGaN基板物品の成長を示す一連の概略図であり、基板の作製(図9のA)と、より小さなピットを基板上のGaNフィルムに生成するピット化成長条件下のGaNの成長であって、成長表面に垂直なラインが貫通転位を表わす成長(図9のB)と、ピット化成長条件下でピットがより大きくなり、転位を集中させる継続された成長(図9のC)と、ピット充填成長条件下で、ピットが、より小さくなり、部分的に転位を消滅させ、ついにはピットが完全に充填されて全ての転位がピットクロージャの瞬間に出会い、少数の転位を残す、ピット充填条件下のGaNの成長(図9のD)と、製品の均一で低転位密度大面積GaN材料を生成する欠陥のないGaNのさらなる成長(図9のE)と、が含まれる。
【図10A】本発明によるGaNウエハの転位分布のDIC光学顕微鏡画像である(図10Aは、ウエハ表面に焦点を合わせ、図10Bは、図10Aと同じエリアの表面下に焦点を合わせている)。転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってエッチピットとしてデコレートされた。図10Aにおける画像は上面を示し、図10Bにおける画像は、異なるコントラストで表面下に焦点を合わせられ、表面下の材料の差を強調している。円は、表面下のピット充填成長を示す。各画像の幅は、250μmだった。
【図10B】本発明によるGaNウエハの転位分布のDIC光学顕微鏡画像である(図10Aは、ウエハ表面に焦点を合わせ、図10Bは、図10Aと同じエリアの表面下に焦点を合わせている)。転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってエッチピットとしてデコレートされた。図10Aにおける画像は上面を示し、図10Bにおける画像は、異なるコントラストで表面下に焦点を合わせられ、表面下の材料の差を強調している。円は、表面下のピット充填成長を示す。各画像の幅は、250μmだった。
【図11】本発明の一実施形態に従って生成された、直径2.3インチの両側を研磨された窒化ガリウムウエハの写真である。
【図12】本発明の一実施形態によるGaNウエハにおける転位の微分干渉コントラスト光学顕微鏡画像である。転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってデコレートされた。
【図13】本発明の一実施形態によるGaNウエハの100×100μmAFM走査である。転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってデコレートされた。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明およびその好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、均一な低転位密度で大面積の窒化ガリウム基板およびその製造方法に関する。
【0021】
本明細書で用いられているように、本発明の窒化ガリウム基板物品に関連する用語「大面積」は、かかる物品が、少なくとも2cm2の表面積を有することを意味する。好ましい実施において、本発明の大面積窒化ガリウム基板物品は、自身上でのGaNエピタキシャル成長のために、15cm2を超える表面積を有する。かかる大面積低転位密度GaN材料の厚さは、任意の適切な厚さでもよいが、少なくとも0.1ミリメートル(mm)が好ましい。
【0022】
本明細書で用いられているように、用語「低転位密度材料」は、成長表面積において3×106/cm2を超えない転位密度を有するGaNまたは他のIII−V族窒化物材料を指す。本発明の好ましい実施において、均一な低転位密度大面積材料の転位密度は、約1×106cm2を超えず、最も好ましくは、かかる転位密度は、基板の大面積成長表面において、1×105転位/cm2を超えない。
【0023】
本明細書で用いられているように、本発明の窒化ガリウムまたは他のIII−V族窒化物の単結晶低転位密度材料に関連する用語「均一な低転位密度」は、自身の大面積成長表面上のかかる材料が、転位をかかる大面積表面にランダムかつ均一に分布させていることを意味する。
【0024】
たとえば、ランダムに選択された測定エリア(たとえば50μm×50μm)において、ランダムに選択されたエリアの転位密度および転位の分布は、互いに類似している。大面積表面において測定される合計エリアは、転位密度が統計的に有意な方法で測定されるように、十分に大きくなければならず、かかる合計エリア内のランダムに選択される測定エリアが、小規模で周期的な変化に対する感受性を示すほど十分に小さくなければならないことが、理解されるであろう。大面積にわたりランダムに選択された位置で、多くの転位密度測定値が統計的にサンプリングされる場合には、測定値の平均値および測定値の標準偏差が得られる。
【0025】
大面積成長表面においてこのようにして決定された、本発明のGaNまたは他のIII−V族窒化物単結晶材料のための転位密度測定値の平均値(以下では平均転位密度(ADD)と呼ぶ)は、3×106cm−2を超えず、(大面積にわたってランダムに選択された位置における転位密度の標準偏差)/(平均転位密度)として決定される転位密度標準偏差比率(以下ではDDSDRと呼ぶ)は、50%未満が好ましい。本発明の様々な特定の実施形態において、ADDは、より好ましくは1×106cm−2未満であり、DDSDRは、より好ましくは25%未満である。さらにより好ましくは、DDSDRは10%未満であり、最も好ましくは、DDSDRは5%未満である。転位密度は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定できる。代替として、転位は、化学機械研磨および/または熱リン酸のエッチングによるエッチピットとしてデコレート(decorate)することができ、エッチピットの密度は、光学顕微鏡か、走査電子顕微鏡(SEM)かまたは原子間力顕微鏡(AFM)で測定できる(シュー(Xu)ら、J.Electronic Materials、第31,402巻、2002年、J.Crystal.Growth、第246,223巻、2002年、およびPhysica Status Solidi(c)、2003年)。
【0026】
本明細書で用いられているように、本発明の方法におけるピット充填成長の終わりに、単結晶III−V族窒化物材料の成長表面に適用されるような用語「本質的にピットのない表面」は、表面積において3ピット/cm2を超えないピット密度を有する表面を意味する。用語「ピット」は、本明細書で用いられているように、空洞、凹部、局所的な切れ込みおよび成長表面上の同様の表面アーティファクトを指す。ピットは、c面成長の場合に、常にではないが頻繁に、結晶境界たとえば六方晶系または十二辺形の境界を有するが、しかし、また、幾何学的に不規則な境界または他の形態の境界で形成される可能性がある。
【0027】
本発明は、先行技術が実現できなかった、大面積窒化ガリウム基板において低転位密度の均一性を達成する。ランダムかつ均一に分布された低レベルの転位を有する大面積成長表面を提供することによって、本発明は、当該技術分野において実質的な進歩を達成する。なぜなら、先行技術の実施に特有であるような高欠陥領域に対する懸念なしに、かかる大面積表面のどこにでもマイクロエレクトロニクスデバイスを製作できるからである。かかる先行技術の実施では、局所的な高欠陥領域の存在によって、集積回路製作の自由および柔軟性が厳しく制限され、かかる高欠陥領域を備えたマイクロエレクトロニクスおよび/または光電子デバイス構造のどんなレジストレーションも、最終的なマイクロエレクトロニクスおよび/または光電子デバイスを、その意図した目的には不十分かまたは無用にさえし得る。
【0028】
大面積で均一な低転位密度窒化ガリウム材料は、任意の適切な成長技術、たとえばハイドライド気相エピタキシ(HVPE)、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、有機金属塩化物法(MOC)、昇華、分子線エピタキシ(MBE)、ガス源MBE、有機金属MBE、スパッタリング、反応性スパッタリング、反応性昇華等を利用し、本発明に従って形成してもよい。さらに、1つまたは複数の技術の一緒または順の任意の組み合わせを、適切な成長技術を考えてもよい。一般に、GaNフィルム形成用の成長種を窒化ガリウム成長表面に効果的に送出する任意の適切な気相成長法を用いてもよい。
【0029】
したがって、続く開示は、HVPEによる大面積で均一な低転位密度GaNの気相形成に主として向けられているけれども、かかる開示が単に例示的な特徴であること、および代替のフィルム成長技術の使用が本発明の広範な実施において考えられることが理解されるであろう。
【0030】
本発明に従って、大面積で均一な低転位密度GaNを形成するHVPE処理を用いるときに、GaN成長速度、フィルムモルフォロジおよび材料品質は、本明細書の開示に基づいた当該技術分野の技術内で容易に決定できるように、用いられる特定のリアクタ構成のためにアンモニア流量、塩化水素流量および成長温度を適切に選択することによって、選択的に最適化可能である。したがって、本発明の均一な低転位密度の大面積窒化ガリウム材料を実現するための正確な成長パラメータが、本発明のGaN材料を形成するために用いられる特定の蒸着リアクタに応じて変化することが認識されるであろう。GaN成長プロセスの最適化は、たとえば、いくつかのパラメータが変更される実験計画法(DOE)アプローチを実行することによってか、またはアンモニア流量、HCl流量および成長温度パラメータのうちの1つを変更して他のパラメータを一定に保ち、結果としてGaNフィルムのために達成されるGaN成長速度、フィルムモルフォロジおよび材料品質を決定し、かつ今度は、(アンモニア流量、HCl流量および成長温度パラメータの)第2および第3のパラメータのプロセス条件のかかる反復的な変更を繰り返すことによって実行して、最適なプロセス条件セットを確立してもよく、これによって、下記でより完全に説明するように、ピット形成成長およびピット充填成長の連続的なプロセスステージにおいて所望の均一な低転位密度の大面積GaN材料を生成する条件が決定される。
【0031】
気相HVPEプロセスによって形成されるGaNフィルムの表面モルフォロジは、成長条件、特に成長温度およびNH3:HCl比率に強く依存する。2つの特徴的な表面モルフォロジが、HVPEによって成長される結晶窒化ガリウムフィルムには観察される。図1は、最適成長温度およびNH3/HCl比率で、サファイア基板上で成長された窒化ガリウムフィルムの1つの典型的なテクスチャード表面モルフォロジを示す。このGaN表面の成長のための特定の最適化された成長条件には、1030℃の成長温度、30のアンモニア対塩化水素比率NH3:HClおよび116μm/時の成長速度が含まれる。図1に示すように、これらの最適化されたGaN成長条件の下で生成されたGaN表面は、ヒロック状の表面モルフォロジを示した。
【0032】
図2は、最適なプロセス条件で用いられるよりもわずかに低い温度か、わずかに高いアンモニアフロー(より高いNH3/HCl比率)か、またはわずかに低い温度およびわずかに高いアンモニアフロー(より高いNH3/HCl比率)の両方の条件下で成長されるGaN材料に典型的なHVPE GaNフィルムのピット化表面モルフォロジを示す。表面は、最適なプロセス条件より低い温度および/または高いアンモニア流量のこの次善の状況において、ピットを示すが、GaNフィルムは、単結晶の特徴を示し、ピッティングの程度は望ましく高レベルであり、その結果、可能な限り多くの成長表面がピット形成で覆われる。本発明の成長プロセスのピット形成段階を実行して、成長表面積において少なくとも100ピット/cm2、好ましくはピット化成長段階の終わりに成長表面積において500ピット/cm2を超える、GaN材料の成長表面におけるピット密度を生じるのが望ましい。
【0033】
図2は、次のピット形成成長条件、すなわち成長温度=1030℃、NH3:HCl比率=58、成長時間=1時間および成長速度=268ミクロン/時間の下で成長されたGaN表面の光学顕微鏡画像である。
【0034】
相性のよい基板上におけるGaNの自立できる厚さの成長後、基板を除去して、独立GaNブランクウエハを生じることができる。次に、シュー(Xu)らの米国特許第6,488,767号明細書により完全に説明されているように、独立GaNブランクウエハを、ラッピング、研磨および化学機械研磨(CMP)などの成長後処理ステップにさらして、完成したGaNウエハを生成してもよい。CMP仕上げのGaNウエハの表面モルフォロジは、処理前のブランクウエハのモルフォロジと関連がある。
【0035】
図3は、CMP仕上げのGaNウエハの微分干渉コントラスト(DIC)光学顕微鏡画像である。出発as−grownブランクウエハは、図1に示す表面モルフォロジに類似した、ピットのないテクスチャード表面モルフォロジを有していた。図3に示すように、CMP仕上げのウエハは、非常に滑らかで特徴がなかった。
【0036】
他方で、出発as−grown GaNブランクウエハが、ピット化表面モルフォロジを有する場合には、CMP仕上げのウエハは、特徴がないわけではない。図4は、ラッピング、機械研磨およびCMP仕上げ後のピット化GaNウエハの微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡画像である。たとえピットが機械研磨ステップ中に完全に除去されても、CMP仕上げのウエハ表面は、一方が他方よりわずかに下にへこんでいる2つの領域を有するように見える。この凹領域の形状およびサイズは、同じ断面において、成長中に存在したピットの形状およびサイズに非常に類似している。凹領域は、ピットのファセットに沿った成長方向での、ピットにおける材料成長に対応し、もう一方の領域は、c軸に沿った成長方向で成長する材料に対応する。
【0037】
それぞれ異なる成長方向に成長した材料間には、微妙な差がある。不純物濃度は、c軸に沿って成長した材料よりも、ピットの表面に沿って成長した材料のほうがより高い。それに対応して、それぞれの材料の化学機械研磨のレートがわずかに異なり、ピットのファセットに沿った成長方向に成長した材料は、c軸に沿って成長した材料より高い除去レートを有し、目に付く切れ込みにつながる。ピット内部の顕微鏡的な結晶成長方向でさえピットのファセットに沿っており、表面は、研磨およびCMPによってピットを除去した後もやはりc軸表面である。切れ込みの程度は、CMPステップの前の機械研磨ステップにおいて、より小さな粒度のダイヤモンド材料を用いることおよびより短いCMP処理時間によって、最小限にすることができる。
【0038】
これらの2つの表面領域(ピットのファセットに沿った成長方向で、ピットにおいて成長する材料に対応する一領域、およびc軸に沿った成長方向で成長する材料に対応するもう一方の領域)は、わずかに異なるカソルミネセンス(catholuminescence:陰極蛍光)(CL)特性を有する。
【0039】
図5は、機械的に研磨され、かつCMP仕上げプロセスで仕上げられたGaN表面の室温全強度カソルミネセンス画像である。したがって、図5は、図4に示した光学顕微鏡写真のウエハに類似したモルフォロジを有するCMP仕上げのGaNウエハのための全室温カソルミネセンス強度の写像を反映する。表面には、異なるカソルミネセンス特性を有する2つの領域がある。凹エリアは、室温で高い全CL強度を示した。
【0040】
図5に示す材料の結晶欠陥(転位)は、転位に対応するダークスポットとしてCL写像において観察できる。転位は、凹エリアの中央近くに集中している。化学機械研磨プロセスはまた、AFMによって観察可能なピットとして貫通転位をデコレートする。
【0041】
図6は、本明細書の図4に示され、かつピット化表面成長プロセスによって成長された表面と類似の表面を有するCMP仕上げのGaNウエハにおける50ミクロン×50ミクロンエリアのAFM画像である。結晶欠陥の分布は均一ではなく、凹エリアの中央領域には、より高い転位密度があった。全体的な転位密度は、GaN表面積において約1×107/cm2であったが、表面の多くの10ミクロン×10ミクロンエリアは、転位密度が5×106/cm2より低い。この転位分布は、ピット化表面モルフォロジを生じるHVPE成長条件と関連していた。
【0042】
図1で示した表面のようにピットのないテクスチャード表面を生じるGaN成長条件を用いた場合には、転位の分布は全く異なっていた。図7は、図3に示され、かつピットのないプロセスを用いて成長されたGaN表面のモルフォロジと類似の表面モルフォロジを備えた、CMP仕上げのGaN材料における50ミクロン×50ミクロンエリアのAFM画像である。GaN表面のエッチピットおよび転位密度の分布は均一であり、GaN表面の平均転位密度は、約1×107転位/cm2だった。
【0043】
ピット化表面モルフォロジを生じる条件によって生成されたGaNフィルム(すなわち、ピット形成成長プロセスによって成長されたフィルム)の平均転位密度、およびピットのないテクスチャード表面を生じる条件によって生成されたGaNフィルムの平均転位密度はほぼ同じだったが、転位の分布は、2つのプロセスにおいて異なっていた。具体的には、ピット形成成長プロセスは、ランダムに分布された低転位エリアおよび高転位エリアを備えたフィルムをもたらした。ピット形成成長プロセスにおけるこの低転位密度エリアモルフォロジの根源は、ピット化成長条件下では表面ピットが、GaN材料の成長中に形成されたという事実に関連していた。これらのピットは、典型的には、逆六方晶系の角錐および時には逆十二辺形の角錐形状におけるファセットのあるピットだった。ピットのファセットは、典型的な<11−22>および<1−101>の一群の平面を含んでいた。
【0044】
ピット化成長条件下では、GaNのピット化表面上の成長中には、少なくとも2つの顕微鏡的な成長方向、すなわち、(1)前述の、c軸に沿った成長方向(平均的な成長方向である)、および(2)ピットのファセットに沿った成長方向がある。これらそれぞれのc軸およびファセット方向成長表面の結晶方位差のために、c面(c軸成長)およびピットのファセット上の成長速度は、互いに異なることもあり、成長条件の変化とともに、互いに対して異なって変化する可能性がある。
【0045】
ピットのファセット方向よりもc軸方向でのより高い成長速度を促進する条件下では、ピットはより大きくなり、結局、成長表面を覆う。c面よりもピットのファセットにおいてより高い成長速度を有する成長条件が課される場合には、ピットが充填される。
【0046】
成長中にピット化成長表面モルフォロジを維持するために、c面上の成長速度は、ピットのファセット上の成長速度に類似しているか、またはそれよりわずかに速くあるべきである。貫通転位は、典型的には成長方向に従い、したがって、ピット化表面モルフォロジを伴って成長されるGaNフィルムにおける貫通転位の方向は、c軸と平行ではなく、むしろ平均成長方向に対して傾斜角を有する。
【0047】
ピット化成長条件下でより長い期間GaNを成長させると、転位は、ピットの中央近くおよびピットのエッジに徐々に集中する。クラスタリングは、転位をまとめる役に立ち、そして反対方向のバーガーベクトルと出会った転位は消滅する。しかしながら、すべての転位が他の転位に出会うわけではないので、不完全な消滅が起こる。さらに、本発明者らは、ピットの中央近くに集中された転位が、ピットがより大きくなるにつれて、ときには外側に分散する可能性があることを観察した。
【0048】
図8は、CMP、および熱リン酸でのエッチング後のGaN表面のDIC光学画像である。この光学画像は、GaN材料の成長表面における転位の集中を示している。GaN材料は、ピット化成長モルフォロジ下で約5mmの厚さに成長された。CMPおよび熱リン酸エッチング後に、転位はエッチングピットとしてデコレートされ、DIC顕微鏡で観察された。ピットの分布は均一ではなかった。いくつかのエリアの低転位密度は極端に低かった(<1E5cm−2)が、他のエリアの転位密度は、ほどほどの高さだった(〜1E7cm−2)。転位は、成長プロセス中のピットの中央およびあるエッジを構成するエリアに集中した。ピット成長条件下では、GaN材料が5mmの厚さに成長したときであっても、転位が続いてほぼ消滅することはなかった。
【0049】
本発明に従って窒化ガリウム材料を成長させ、たとえば、ブールまたは単一ウエハ本体などの基板物品形状における、大面積で均一な低転位密度窒化ガリウム材料を生成するが、この生成は、最初に転位を集中させ、次に、成長プロセスのそれぞれの段階で転位を消滅させることによって行なわれる。GaN材料が成長されて成長表面にピットを形成しかつ発達させるピット化成長段階中に、少なくとも2つの顕微鏡的な成長方向、すなわちc軸に沿った一方向およびピットのファセットに沿ったもう一方の方向が存在する。c面上の成長速度は、安定したピット化成長段階において、ピットのファセット上の成長速度と類似しているかまたはそれよりわずかに速くあるべきであり、かかる成長プロセスは、成長表面上におけるピットの中央および底部近くに転位を集中する。
【0050】
転位がピットの底部領域近くにほぼ集中された後、成長条件は、ピットのファセット上の成長速度がc面上の成長速度より速くなるように変更される。成長プロセスのこの第2ステージ中に、ピットは、ピットのファセット上のより高い成長速度のために、より小さくなる。それによって、成長方向に従っている貫通転位は集中され、成長表面にわたるピットのピットサイズの低減とともに消滅する。すなわち、ピットのファセットは、c面上よりもファセット上のより速い成長速度ゆえに、結局、単一の点で出会うように成長し、その結果、互いに出会う集中された転位は、互いを消滅させるか、または単一の転位に吸収される。
【0051】
図9のA〜Eは、基板(図9のA)の供給を含めて、本発明の一実施形態によるGaN基板物品の成長を示す一連の概略図である。かかる基板上のGaNの成長は、基板表面上のGaNフィルムに小さなピットを生成するピット化成長条件下で実行され、成長表面に垂直なラインは、貫通転位(図9のB)を表わす。現象を示すために転位の角度が誇張されていることに注意されたい。ピット形成成長は、GaN材料におけるピットがより大きくなりかつ材料において転位を集中するように、継続される(図9のC)。次に、GaN材料の成長は、ピット充填成長条件へシフトされる。これらの条件下で、ピットはより小さくなって部分的に転位を消滅させ、ついには、ピットが完全に充填されて、全ての転位が、ピットクロージャの瞬間に出会い、少数の転位を残す(図9のD)。ピット充填成長ステップは、本質的にピットのない表面が生成されるまで実行されるのが好ましい。次に、GaN材料の成長は、GaN材料を所望の厚さに形成するまで続けられるが、かかるさらなる成長において、成長表面はほぼ転位フリーのGaNによって構成され、大面積で均一な低転位密度製品GaN材料を生成する(図9のE)。
【0052】
図10A〜10Bは、本発明の一実施形態に従って成長したGaNウエハの欠陥分布の微分干渉コントラスト(DIC)光学顕微鏡画像を示す(図10Aは、表面に焦点を合わせることによって得られたウエハの上面図;図10Bは、顕微鏡の焦点を底面に合わせることによる、図l0Aの図と同じエリアにおける表面下の画像である)。
【0053】
転位は、化学機械研磨および熱リン酸エッチングによってエッチピットとしてデコレートされた。c軸に沿って成長した材料とピットのファセットに沿って成長した材料との間の微妙な差のために、2つの材料(c軸材料およびファセット方向材料)間の対応するコントラストが、DIC下で観察された。これによって、図10において丸で囲んだように、エリア、すなわちその下でピットのファセットに沿った成長(ピット充填)が行なわれるエリア、の識別が可能になった。1つのエリアでは、ピット充填後に、転位が完全に除去され、結果として完全な結晶特性がもたらされた。他のエリアでは、ピットクロージャ後に、ただ1つの転位だけが残った。ウエハ用の転位密度は、約1E6cm−2であり、欠陥は均一に分布された。
【0054】
本発明による均一な低転位密度窒化ガリウムの成長のための最初の基板は、たとえば窒化ガリウム、サファイア、炭化ケイ素、ガリウム砒素、シリコン、没食子酸リチウム、アルミン酸リチウム、没食子酸リチウムアルミニウム、酸化亜鉛、ダイヤモンド、スピネル、酸化マグネシウム等を始めとする任意の適切なタイプであってもよい。本明細書の開示に基づいた当該技術分野の技術内で容易に決定できるように、高い結晶品質を達成するために、窒化ガリウムの成長の前に、異なる基板が、異なる基板前処理を必要とすることが理解されるであろう。
【0055】
上記で例示的なHVPE成長プロセスに関連して、均一な低転位密度GaNウエハの成長を説明したけれども、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、有機金属塩化物法(MOC)、分子線エピタキシ(MBE)、昇華、スパッタリング、反応性スパッタリング、反応性昇華等の任意の他の適切な気相成長法を用いることができる。
【0056】
さらに、1つまたは複数の技術の一緒または順の任意の組み合わせを、適切な成長技術を考えてもよい。
【0057】
この点で、様々な気相成長法間の差は、GaN材料を形成するための成長表面へ成長種を送出する方法および用いられる成長種のタイプに存在する。たとえば、MOVPEでは、トリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)など、ガリウムの揮発性有機金属化合物をアンモニアと反応させて、窒化ガリウムを形成する。昇華では、固体の多結晶窒化ガリウムが、適切な周囲昇華環境で昇華されて、基板上に窒化ガリウムフィルムを形成する。スパッタリングおよび反応スパッタリングでは、窒化ガリウムまたはガリウムのターゲットが、窒素またはアンモニア環境など、適切な周囲環境においてイオンを注入されて、基板上にGaNが堆積される。反応性昇華では、ガリウムが窒素またはアンモニア中で昇華されて、基板上に窒化ガリウムを形成する。特定の成長方法におけるピット化成長のための、およびピット充填成長のための条件は、本明細書の開示に基づいた当該技術分野の技術内で容易に決定できる。
【0058】
例示的なHVPEプロセスを考えると、成長温度、成長速度およびNH3:HCl比率は、所望の大面積で均一な低転位密度GaN材料を生成するための2段階プロセスのそれぞれの段階において制御される。一定の温度(たとえば1030℃)および一定のHClフロー(一定の成長速度、たとえば150μm/時の成長速度をもたらすための)において、NH3フローの増加は、ピットのないテクスチャード表面を生成する最適なピット充填成長条件から、ピット化表面モルフォロジを生成するピット化成長条件に、GaN成長プロセスを変化させる。一定のHClおよびNH3フロー(一定のNH3/HCl比率で一定の成長速度をもたらす)において、成長温度の低減は、最適なピット充填成長条件からピット化成長条件へ、成長条件を変化させる。
【0059】
本発明のGaN材料を成長させるために用いられる特定のGaN成長リアクタのリアクタ形状は、成長プロセスのフローおよび局所的な成長環境に影響を及ぼす。したがって、本発明の所定の用途で用いられる特定のリアクタのためのピット化成長条件およびピット充填成長条件を識別するために、成長モルフォロジを、成長パラメータに応じて系統的に調べることが重要である。かかる決定は、GaN成長プロセスのピット形成およびピット充填段階において表面を特徴づけるために光学顕微鏡写真、SEMおよびAFM技術を利用し、大面積で均一な低転位密度GaN材料を形成するための適切な特定のプロセス条件を識別することによって、上記で説明したように、当該技術分野の技術内で容易になされる。
【0060】
適切なピット化成長条件およびピット充填成長条件の識別後に、それぞれの成長条件を連続的に実行して、均一な低転位密度窒化ガリウムを大面積単結晶材料として生成する。ピット化成長ステップ、すなわちピットを形成し、かつ材料におけるピットの底部に転位を集中させるのに役立つ条件下でのGaNの成長は、全体的な転位密度の低減に不可欠である。ピット充填ステップの前に、成長プロセスは、成長表面がピットで覆われるように実行され、その結果、転位は、ピットの底部へと押しやられて、第2成長ステップ(ピット充填ステップ)で消滅させることができる。
【0061】
この点で、ピット化成長の第1のステップは、ピット充填成長の第2のステップの前に、好ましくは成長表面の50%超をピットで覆い、より好ましくは、表面積の75%超をピットで覆い、さらにより好ましくは、成長表面の90%超をピットで覆うように実行される。
【0062】
成長表面上でピットのカバレッジが高いことが好ましい理由は、c軸に沿った成長(すなわちピットで覆われていないエリア)が、同じ方向に沿って成長する転位を含み、その結果、転位が消滅するチャンスが実質的に低減し、それに対応して、最終製品がより高い転位密度を有するからである。
【0063】
それに反して、ピット化成長プロセスは、転位を集中させるように機能する。成長表面がピットでほぼ覆われた場合には、ピット密度は、ピットサイズの2乗に反比例する。第2のピット充填ステップ後の最終転位密度は、ピットにおける全ての転位が必ずしも消滅するわけではないので、ピット密度に依存する。
【0064】
したがって、ピット化成長段階においてGaN成長表面の主な範囲(たとえば、>90%)にわたりピットを形成するGaN成長と、ピットのファセット方向における優先的な成長に有利な条件下でかかる成長を続けることとにより、ピット充填成長である第2段階を行なう前のピット化成長段階の終わりにより大きなサイズのピットを形成することによって、大面積で均一な低転位密度GaNを達成することが可能になる。
【0065】
ピット充填ステップ前のGaN表面におけるピットの平均ピットサイズは、好ましくは25μmを超え、より好ましくは50μmを超え、最も好ましくは100μmを超える。かかるピットサイズは、かかる表面の平面において、成長表面で測定されたピットの最大直径または横寸法である。ピット内の多結晶形成が、成長しているGaN材料の結晶特性を改善するのではなく劣化させるという可能性を、より大きなピットサイズでは増加させる結晶学的な要因によって、ピットサイズの上限が課される可能性がある。
【0066】
対応するピット化成長条件下のピット化成長プロセスによって確率論的に生成される、GaN表面上のピットの位置は、ランダムに分布させることができる。代替として、ピットの位置は、出発基板の適切な処理によって、予め決定することができる。
【0067】
ピットの内の転位の集中はピットにおけるファセット成長方向によるので、ファセットの性質は、ピット自体よりも重要である。所定のピットを生成するように出発基板をパターニングする代わりに、代替として、ファセット化成長モルフォロジを生成するために出発基板をパターニングすることができる。
【0068】
第1のステップにおいて、ピット化(ファセット化)成長条件を用いて、ファセットを生成する。c軸に沿った成長速度は、ファセット上の成長速度より速く、ファセットで覆われた表面を生成する。転位はファセット間の谷領域へ押しやられるが、実質的には消滅されない。ピット充填である第2のステップにおいて、ファセット上の成長速度はc軸上の成長速度より速く、その結果、ファセット間の谷は充填され、滑らかなc軸成長材料の形成につながる。谷のクロージャの瞬間に、転位は閉じ込められ、それらは互いを消滅させるか、より少数の転位に吸収される。第1のピット化成長段階および第2のピット充填段階は、それぞれ、1つまたは複数のステップで実行してもよく、気相成長法は、第1および第2段階ステップ以外の他のプロセスステップで実行してもよく、たとえば、本発明の方法の所定の用途において望ましい場合があり得るが、第1段階および第2段階ステップ間で中間プロセスステップを実行してもよい。
【0069】
ピット化またはファセット化成長層の厚さは、ピットの底部近くかまたはファセット間の谷の近くへの、転位の実質的な集中を可能にするほど十分に厚くすべきである。ピット化層が厚ければ厚いほど、転位集中ピットの表面カバレッジがそれだけ高い、したがって、最終製品の窒化ガリウム材料はそれだけよりよい。ピット化成長層は、好ましくは50μmを超える厚さに、より好ましくは100μmを超える厚さに、さらにより好ましくは200μmを超える厚さに成長される。
【0070】
ピット化層の成長後に、成長条件は、ピット充填条件に変更されるが、この条件では、ファセット上の成長速度は、c面上の成長速度より速い。ピット充填条件は、典型的には、ピット化成長条件より高い成長温度および/またはより低いNH3フロー(すなわち、より低いNH3/HCl比率)を含む。ピットが完全に充填された後、ピットにおける転位は実質的に消滅され、結果として均一な低転位密度GaNがもたらされる。ピット充填成長の期間は、最低でも、大多数のピットの充填およびクロージャを可能にするか、さもなければ所望の低ピット密度を達成して、適宜、均一な低転位密度GaNを生成するものにすべきである。ピットの充填に必要なピット充填成長プロセスの期間は、本明細書で説明するように、光学、SEMおよびAFM技術によって容易に決定できる。好ましくは、ピット充填成長ステップは、ピット密度が、成長表面において10ピット/cm2を超えないレベルに低減されるまで、行なわれる。より好ましくは、ピット充填ステップは、たとえば1ピット/cm2またはそれ未満のピット密度を有する本質的にピットのない表面を形成するまで継続される。最も好ましくは、成長プロセスは、完全にピットのない表面を有するIII−V族窒化物単結晶材料を生成するような方法で行なわれる。
【0071】
ピット充填の完了前に、2つの顕微鏡的な成長方向、すなわちc面上の成長およびピットのファセット上の成長、が存在する。ピットが完全に充填された後では、c面成長方向だけが存在する。前面(成長表面)のラッピング、研磨、および化学機械研磨と、同様に、裏面(基板側)の機械研削またはラッピングとを含む、GaNウエハを形成するために必要なステップを考えれば、最終的なc面成長の厚さは、GaNウエハ形成ステップ後に前面における材料が、均一なc面成長材料のままであることができるようにすべきである。かかる理由で、本発明の一実施形態では、ピットが完全に充填された後の完成したc面成長の厚さは、少なくとも50μmが有利である。より好ましくは、GaN材料の厚さは200μmを超え、最も好ましくは、かかる厚さは400μmを超える。
【0072】
c面成長の厚さは、部分的には、ウエハ製作が全てc面である上部表面を生じるように、決定してもよい。ピットクロージャの後にc面成長が十分に長い期間実行されない場合には、完成したウエハの表面には、図4で示したのと類似した凹領域が含まれる可能性がある。十分なc面成長が実行される場合には、図3に示すように、滑らかで凹部のない表面が生成される。
【0073】
追加的な厚さが、不純物濃度を低減するためか、転位密度を低減するためか、または同じ結晶方位を備えたオフカットウエハの角度研磨を可能にするために必要となる可能性がある。GaNインゴットを生成するための、ピット充填条件におけるより長い成長(>2mm)は有利である。なぜなら、より長い成長条件下では、転位がさらに消滅する可能性があり、さらに、長いインゴットを、大面積で均一な低転位密度および高品質の多数のウエハにスライスし、続いて、マイクロエレクトロニクスおよび光電子製品を生成するためにウエハ上にデバイスを製作することができるからである。代替として、転位密度をさらに低減するために、ピット形成およびピット充填ステップの多数のサイクルを用いることができる。ピットにおけるIII−V族窒化物材料の成長角度に関して、ピットにおける一般的な成長方向は、おおよそc軸成長だが、傾斜させるべきである。
【0074】
大面積で均一な低転位密度および高品質の単結晶III−V族窒化物材料を形成することに加えて、ピット成長を含む本発明のプロセスは、割れに対する製品III−V族窒化物材料の感受性を実質的に低減する役割を果たす。
【0075】
ピット化成長条件からピット充填成長への遷移は、突然か、徐々か、または多段式とすることができる。さらに、ピット化成長およびピット充填成長の各段階は、2つ以上の成長条件セットを含むことができる。たとえば、ピット化成長段階において、成長の開始時に、高密度のより小さなピットを生成する条件を有し、小さなピットを成長させ、合体させ、かつ/または部分的に充填して、ピット化成長段階の終わりにより大きなピットを形成する条件が後に続くことは有利であり得る。ピット充填段階では、ピットを完全に充填する条件を有し、より高い速度でc面表面上の成長をもたらす条件が後に続くのは有利であり得る。さらに、異なる成長条件間の遷移は、徐々または傾斜的であってもよく、その結果、ピット化成長およびピット充填成長の段階は、互いからそれほどはっきりと境界を定められなくなる。本発明の成長プロセスを、ピット成長およびピット充填成長ステップの交互の多数のサイクル(たとえば、ピット成長の第1のステップに、ピット充填成長の第2のステップが続き、ピット成長の第3のステップが続き、ピット充填成長の第4のステップが続き、任意に、追加的なピット成長およびピット充填成長ステップを次々に伴う)で実行してもよいことがまた、理解されるであろう。
【0076】
ピット化成長およびピット充填成長を含む成長プロセスが、最適条件からわずかに逸脱する場合には、少数の大きなピットが、ピット充填成長後にまだ残っている可能性がある。かかる成長ピットの密度は、1cm−2未満が好ましい。かかる成長ピットを除けば、GaN材料は、均一な低転位密度を有する。
【0077】
成長表面がピットを有する場合には、機械ラッピング、研磨およびCMPは、ピットを除去してピットのない表面を生成できる。しかしながら、この場合に、CMP後の表面は、図4に示すタイプの凹エリアを含む。成長表面にピットがない場合であっても、ラッピング、研磨およびCMPを含むウエハ処理の後、表面は、図4に示すタイプの凹エリアを含む可能性がある。凹エリアは、典型的には、酸素またはシリコンなどの、より高い濃度の不純物を有する。凹エリアにおける転位の分布は、典型的には均一ではない。凹エリアを除くと、表面は、均一な低転位密度を有する。凹エリアは、全体的なウエハ表面積の10%未満であるのが好ましい。
【0078】
半導体材料における不純物が材料の電気特性に影響することは、当該技術分野において周知である。たとえば、シリコンおよび酸素がGaNにおいて浅いドナーの役割を果たし、n型導電性を生成することは十分に確立されている。酸素は、ガス源不純物およびリアクタ漏れのために、HVPE成長中にGaNに意図せずに取り込まれることが往々にしてある。マグネシウムがまた、GaNにおけるアクセプタの役割を果たし、かつ適切な活性化でp型導電性のGaN材料を生成する不純物種として、GaN材料に導入される可能性がある。さらに、遷移金属が、GaN材料に導入され、GaN材料における残余のドナー種を補償することによって、半絶縁GaNを生成する深い準位のアクセプタとして機能する可能性がある。
【0079】
意図せずにドープされたHVPE GaNは、酸素またはシリコン不純物のために、典型的にはn型導電性であるが、n型導電性は、シランなどのシリコンソースからシリコン不純物を意図的に導入することによってか、またはGaN成長リアクタに供給されるガス流における二酸素などの酸素含有不純物を導入することによって増加および制御できる。不純物が成長リアクタにおける気相に存在する場合には、ピット化成長モルフォロジおよびピット充填をもたらす成長条件は、かかる不純物が導入されない状態で用いられる成長条件とはわずかに異なってもよく、かかる不純物の存在の結果として、それに対応して、2ステージプロセスのピット化成長およびピット充填段階において、ドーピングを最も有利に実行するためにプロセス条件を調節することが必要になり得る。さらに、成長環境における不純物の量および取り込みは、プロセスの各ステージ中で異なってもよい。不純物は、用いられ場合には、ピット化成長ステップか、ピット充填ステップか、またはピット化成長およびピット充填ステップの両方において導入できる。
【0080】
本発明に従い、ピット化成長およびピット充填成長の連続的なステップによる、基板上におけるGaNの成長によって、GaNウエハ製品が製造される。ウエハ形成プロセスの2つの主なタイプ−インゴットプロセスおよび単一ウエハプロセスを利用できる。
【0081】
成長されるGaN材料が厚い場合、たとえば、約2mmを超える長さのインゴットを形成する場合には、マルチウエハプロセスを用いるのが有利である。インゴットは方向を合わせられ、所定のサイズたとえば直径が≧2インチに研削され、多数のウエハにスライスされる。多数のウエハを製造するためのソース本体として機能するバルクGaN材料物品としてのインゴットは、典型的には厚さが少なくとも1mmであり、より好ましくは少なくとも5mmであり、最も好ましくは少なくとも10mmである。多数のウエハがインゴットからスライスされた後で、ウエハの裏および表の主面が処理される。GaNウエハの裏面は、ラッピングおよび/または研磨され、GaNウエハの前面は、ラッピング、研磨およびCMP仕上げを施されて、ホモエピタキシャル成長の準備ができたGaNウエハを生成する。ウエハは、任意の適切な厚さを有してもよい。たとえば、ウエハは、特定の用途に必要かまたは望ましければ、50μm、200μmまたは500μmを超える厚さを有するように形成してもよい。また、ブールからスライスして研磨されたウエハに仕上げるときに、たとえばa面ウエハ、m面ウエハなどの選択的な方位のウエハを生成するのに適したバルクIII−V族窒化物物品を生成するために、インゴットを均質なピット成長およびピット充填成長ステップで形成してもよい。
【0082】
成長したGaNがインゴットでない場合には、単一ウエハプロセスを有利に用いて、GaNウエハを形成する。典型的には、単一ウエハプロセスについては、GaN成長用の基板は窒化ガリウムではなく、異種基板(テンプレート)は、GaNウエハの形成前に除去される。テンプレートの除去は、任意の適切な手段または方法によって実行できる。たとえば、テンプレートの除去には、テンプレートの排除、テンプレートの一部もしくは全ての除去、またはテンプレートの全ておよびテンプレートに隣接するGaNの一部の除去を含んでもよい。かかる目的のために有用に利用可能な特定の技術には、機械研削、化学エッチング、界面分解、界面破壊、または特定のテンプレートに相応しい任意の他の手段または方法が含まれる。
【0083】
好ましい実施形態において、ヘテロエピタキシャル基板は、成長プロセスの終わりに成長温度の近くの温度で、成長したGaN材料からインサイチュで除去され、独立した特性の分離GaN基板物品が生成される。かかるインサイチュでの除去によって、別の状況では成長したGaN材料および異種基板を含むヘテロエピタキシャル構造が周囲(たとえば室内)温度に冷却される場合に生成されるような熱膨張係数(TCE)欠陥を自身に有しない独立GaNウエハ基板が生成される。例として、かかる目的に有効な化学的腐食剤を用い、成長温度、または成長温度の近く、たとえば成長温度から100℃内の温度において、異種基板をインサイチュでエッチング処理することは、単一ウエハプロセスで高品質のGaN基板物品を形成するための1つのアプローチである。
【0084】
次に、成長したGaNは、たとえば機械研削か、サンドブラストかまたはレーザ切断などの適切な技術によって、たとえば直径が≧2インチの所定サイズに適切に作られる。続いて、成長したGaNの裏面はラッピングかつ/または研磨され、成長したGaNの前面は、ラッピング、研磨およびCMP仕上げを施されて、ホモエピタキシャル成長の準備ができてGaNウエハが生成される。成長したGaNの前面は、成長したGaNの裏面より品質が高いので、前面からの材料除去は、最小限にするのが望ましい。前面のラッピングおよび研磨は、主に、平坦なウエハ形状を達成する目的で利用され、裏面のラッピングは、主に、望ましいGaNウエハ厚さを達成するために利用される。GaNウエハの前面は、均一な低転位密度を有する。裏面は前面よりも高い転位密度を有してもよく、転位密度の分布は、裏面では均一でなくてもよい。
【0085】
化学機械研磨(CMP)は、任意の適切なCMP方式およびCMPプロセスを用いて実行できる。CMPレートは、材料が成長表面におけるピットのファセットに沿った方向に成長され、かつより高い不純物濃度を有する凹エリアにおいて、わずかにより高い。CMPで研磨された表面は滑らかで、表面粗さ(RMS)は、10×10μmエリアにおいてAFMで測定するところでは、1nm未満である。
【0086】
ウエハプロセス中に、ウエハは、ウエハの表面がGaN結晶のc面と平行になるような方法で、処理できる。代替として、ウエハの表面は、結晶のc面に対して小さな角度(たとえば≦10°)をなすようにすることができる。かかる表面は、微斜面と呼ばれる。かかる微斜面のGaN表面は、ホモエピタキシャル成長には有利である。
【0087】
本明細書に開示する方法によって生成されるGaNウエハは、デバイス製作用途にとって高品質であり、大面積で、低転位密度を有し、転位は、大面積ウエハ表面にわたって均一に分布されている。ウエハ表面上の転位密度は、典型的には約1E6cm−2を超えない。先行技術は、低転位密度だが小面積のGaN(より大きなサイズに成長させることができない)か、または代替として、ウエハにわたって不均一に分布された欠陥を有する大面積GaNを製造してきた。本明細書の背景技術の部で論じたように、先行技術は、GaNの大面積単結晶成長と、GaN基板の大面積にわたって均一に低い低転位密度の提供との組み合わせを達成できなかった。
【0088】
本発明に従って生成される大面積で均一な低転位密度III−V族窒化物材料は、均一な低転位密度を有する少なくとも1つの表面で形成される。特定の実施形態において、III−V族窒化物材料は、材料の両方の主面が均一な低転位密度を有するように成長させてもよいし、またはIII−V族窒化物材料は、材料のかかる主面の1つが均一な低転位密度を有し、もう一方の主面が、転位の高いかつ/または不均一な分布を有し、転位密度が、後者(たとえば底部)表面から前者(たとえば上部)表面へ次第に減少するようにしてもよい。
【0089】
本発明のIII−V族窒化物材料は、その特定のモルフォロジの多様性にかかわらず、均一な低転位密度を備えた少なくとも1つの大面積表面を有する。
【0090】
本発明に従って生成される大面積で均一な低転位密度GaNウエハは、種々様々なエレクトロニクスおよび光電子デバイスならびに集積回路製品の製造のための基板として利用できる。したがって、本発明は、たとえばレーザダイオード、発光ダイオード、または高電子移動度トランジスタなどのデバイスがその上に製作される大面積で均一な低転位密度GaNウエハを含むエレクトロニクスデバイス構造と、同様に、かかるGaNウエハを含む集積回路、およびかかるタイプのGaNウエハであって、GaNウエハベース製品の特定の用途および最終用途に依存して、特性がホモエピタキシャルまたはヘテロエピタキシャルであってもよい少なくとも1つのエピタキシャル層を自身上に有するウエハとを考えている。
【0091】
本発明は、マイクロエレクトロニクスおよび光電子デバイスの製作に適した高性能窒化ガリウム基板を提供する点において、先行技術に勝る著しい改善を示す。
【0092】
本明細書において、主に窒化ガリウムに関連して本発明を説明したが、本発明がこのように限定されず、それどころか本発明の態様および利点には、たとえばAlN、InN、AlInN、GaAlN、GaInN、GaAlInNなど、GaN以外の大面積で均一な低転位密度III−V族窒化物材料の形成への、本明細書の一般化されたモルフォロジの適用が含まれることが理解されるであろう。
【0093】
本発明の特徴および利点を、次の非限定的な実施例に関連してより完全に示す。
【実施例】
【0094】
実施例1
単一ウエハプロセス
本実施例において、サファイア基板上の2ステップGaN HVPE成長を実行した。成長の第1ステージでは、成長温度は1010℃、NH3/HCl比率は17、成長速度は約160μm/時、成長したフィルムの厚さは約320μmだった。
【0095】
第1ステップの完了後、成長温度を1030℃に上昇させ、NH3/HCl比率を8.6に低減し、第2ステージのGaN材料の厚さが約640μmになるまで成長を継続させた。
【0096】
成長の完了後、サファイア基板を、厚いGaNフィルムから除去した。GaNブランクウエハは、最初に、そのエッジ近くを機械的手段によって研削した。GaNウエハには2つの表面があった。成長表面を構成する表面は、ガリウム終端だった。サファイア基板に付着された側は、窒素終端側だった。ウエハのガリウム側は、最初に、ラッピング機において粗いダイヤモンドスラリーでラッピングし、次に、微細ダイヤモンドスラリーを用いて研磨パッドで研磨した。前面(ガリウム側)は、コロイドシリカと希塩酸との混合物を用いて、化学機械研磨プロセスで仕上げた。裏面は、ラッピングしかつ研磨した。
【0097】
図11は、前述のプロセスによって生成された両側研磨窒化ガリウムウエハの写真である。ウエハの直径は、2.3インチだった。
【0098】
ガリウム終端表面の均一な成長エリアからのウエハ断片を、その転位密度を判定するために、CMPプロセスによって研磨し、熱リン酸においてエッチングした。CMPプロセスおよび熱リン酸エッチングは、転位をエッチピットとしてデコレートした。
【0099】
図12は、結果としてのエッチングされた表面の微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡画像を示す。示したように、エッチピットは、顕微鏡下で見ることができた。サンプルのエッチピット密度は、5.5E5cm−2だった。
【0100】
図13は、熱リン酸でエッチングされたGaNウエハ表面の100×100μm2AFM走査を示す。画像のエッチピット密度は、8.5E5cm−2であり、DIC光学顕微鏡を用いて数えたエッチピット密度とよく整合が取れていた。エッチングされたウエハを全体的に顕微鏡下で検査したところ、エッチピットがウエハ表面にわたって均一に分布されていることが示された。本実施例は、本発明の方法によって生成される均一な低転位密度の大面積窒化ガリウムウエハの成長を示す。
【0101】
実施例2
GaNインゴットプロセス
本実施例では、2ステップHVPE GaN成長プロセスを実行して、比較的長いGaNインゴットを成長させた。
【0102】
成長プロセスの第1ステージでは、成長温度は1010℃、NH3/HCl比率は17、成長速度は約160μm/時、成長したフィルムの厚さは約320μmだった。
【0103】
第1ステップの完了後、成長温度を1030℃に上昇させ、NH3/HCl比率を12.9に低減した。GaN材料の成長は、インゴットの長さが3.2mmになるまで継続された。
【0104】
形成後のインゴットは、スライシングならびに実施例1におけるような後続のラッピング、研磨および化学機械研磨ステップによって処理され、多数のウエハにされた。同様の2ステップHVPE GaN成長プロセスを実行して、10mmオーダの長さを有するGaNインゴットを成長させた。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の大面積で均一な低転位密度III−V族窒化物材料は、発光ダイオード、レーザダイオード、光電子センサ、光電子スイッチ、高電子移動度トランジスタなどのマイクロエレクトロニクスおよび光電子デバイスの製造のために有用に用いられる。例として、III−V族窒化物材料は、ウエハまたは他の基板物品の形状で用いられるような単結晶GaNにすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である、大面積単結晶III−V族窒化物材料。
【請求項2】
AlN、InN、GaN、AlInN、AlInGaN、InGaNおよびAlGaNからなる群から選択される、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
請求項1に記載のGaN材料。
【請求項4】
ドーパント種でドープされた、請求項1に記載の材料。
【請求項5】
p型にドープされたか、n型にドープされたか、または半絶縁にドープされた特性の、請求項4に記載の材料。
【請求項6】
ドーパント種でドープされた、請求項3に記載の材料。
【請求項7】
前記ドーパント種が、酸素およびシリコンからなる群から選択されるドーパントを含む、請求項6に記載の材料。
【請求項8】
2cm2を超える大面積を有する、請求項3に記載の材料。
【請求項9】
15cm2を超える大面積を有する、請求項3に記載の材料。
【請求項10】
少なくとも0.1mmの厚さを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項11】
2×106cm−2を超えないADDを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項12】
1×106cm−2を超えないADDを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項13】
5×105cm−2を超えないADDを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項14】
50%未満のDDSDRを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項15】
25%未満のDDSDRを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項16】
15cm2を超える大面積と、少なくとも0.1mmの厚さと、1×106cm−2を超えないADDと、25%未満のDDSDRと、を有する大面積で均一な低転位密度単結晶窒化ガリウム。
【請求項17】
請求項1に記載の材料を含む物品。
【請求項18】
前記材料が、ヘテロエピタキシャル基板上にある、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記ヘテロエピタキシャル基板が、サファイア、炭化ケイ素、ガリウム砒素、シリコン、没食子酸リチウム、アルミン酸リチウム、没食子酸リチウムアルミニウム、酸化亜鉛、ダイヤモンド、スピネルおよび酸化マグネシウムからなる群から選択される材料を含む、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記材料が、GaNである、請求項17に記載の物品。
【請求項21】
少なくとも50μmの厚さを有する結晶形状である、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記結晶の厚さが、500μmを超える、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記結晶の厚さが、2mmを超える、請求項21に記載の物品。
【請求項24】
前記結晶の厚さが、10mmを超える、請求項21に記載の物品。
【請求項25】
前記大面積を含む表面を有する請求項21に記載の物品であって、前記表面の直径が少なくとも2インチである物品。
【請求項26】
自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶窒化ガリウム材料を含むウエハ。
【請求項27】
2〜8インチの直径を有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項28】
長方形または正方形形状を有し、各側部のサイズが少なくとも15mmである、請求項26に記載のウエハ。
【請求項29】
前記単結晶窒化ガリウム材料の結晶面のc面と平行な表面を有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項30】
前記単結晶窒化ガリウム材料の前記c面と角度をなす表面を有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項31】
前記角度が、約0.1〜約10度の範囲にある、請求項30に記載のウエハ。
【請求項32】
自身の表面を鏡面仕上げに研磨された、請求項26に記載のウエハ。
【請求項33】
化学機械的に研磨されたガリウム終端表面を含む、請求項26に記載のウエハ。
【請求項34】
前記少なくとも1つの表面がc面表面を含む、請求項26に記載のウエハ。
【請求項35】
前記少なくとも1つの表面が、前記単結晶窒化ガリウム材料のc面から11−20または10−10方向に、約0.2〜約8度の範囲の角度のオフカットされた表面を含む、請求項26に記載のウエハ。
【請求項36】
ラッピング、研磨およびCMPの少なくとも1つを含むプロセスによって仕上げられた、請求項26に記載のウエハ。
【請求項37】
CMPを含むプロセスによって仕上げられた、請求項26に記載のウエハ。
【請求項38】
前記1つの表面が、50%未満のDDSDRを有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項39】
前記1つの表面が、25%未満のDDSDRを有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項40】
前記1つの表面が、10%未満のDDSDRを有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項41】
少なくとも1つのエピタキシャル層を自身の上に有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項42】
前記少なくとも1つのエピタキシャル層が、ヘテロエピタキシャル層を含む、請求項41に記載のウエハ。
【請求項43】
前記少なくとも1つのエピタキシャル層が、ホモエピタキシャル層を含む、請求項41に記載のウエハ。
【請求項44】
自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶窒化ガリウム材料を含むウエハと、前記ウエハ上に製作されたエレクトロニクスデバイス構造と、を含むエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項45】
前記エレクトロニクスデバイス構造が、レーザダイオードを含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項46】
前記エレクトロニクスデバイス構造が発光ダイオードを含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項47】
前記エレクトロニクスデバイス構造が、高電子移動度トランジスタを含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項48】
前記エレクトロニクスデバイス構造が、集積回路を含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項49】
前記エレクトロニクスデバイス構造が、光電子デバイスを含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項50】
最適な単結晶III−V族窒化物成長条件からわずかに逸脱した単結晶III−V族窒化物成長条件下で成長された、請求項1に記載の材料。
【請求項51】
請求項50に記載の材料を含むウエハ。
【請求項52】
大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料を基板上に形成するための気相成長法であって、(I)ピット化成長条件下で気相成長技術によって、前記III−V族窒化物材料を前記基板に成長させる1つまたは複数のステップを含む第1段階と、(II)前記III−V族窒化物材料の成長表面においてピットのクロージャおよび欠陥の消滅を達成するピット充填条件下で、前記気相成長技術によって前記III−V族窒化物材料を成長させる1つまたは複数のステップを含む第2段階と、を含む方法。
【請求項53】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料の前記成長表面の少なくとも50%にわたってピットを形成する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記成長表面の前記ピット密度が、前記第1段階の成長の終わりに、前記成長表面において少なくとも100ピット/cm2である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第2段階の成長が、前記成長表面が前記成長表面において10ピット/cm2を超えないピット密度を有するまで、継続される、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記第2段階の成長が、前記成長表面が本質的にピットのない表面を含むまで、継続される、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記第2段階の成長が、前記成長表面が前記成長表面において1ピット/cm2を超えないピット密度を有するまで、継続される、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記ピットのファセットにおける前記III−V族窒化物材料の成長速度が、前記第2段階の成長におけるc軸方向の成長速度より速い、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記第2段階の成長が、前記成長表面が本質的にピットのない表面を含むまで、継続される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記気相成長技術が、ハイドライド気相エピタキシ(HVPE)、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、有機金属塩化物法(MOC)、分子線エピタキシ(MBE)、昇華、スパッタリング、反応性スパッタリングおよび反応性昇華からなる群から選択される技術を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
前記単結晶III−V族窒化物材料が、AlN、InN、GaN、AlInN、AlInGaN、InGaNおよびAlGaNからなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項62】
前記単結晶III−V族窒化物材料が、GaNを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項63】
前記単結晶III−V族窒化物材料が、GaNと、HVPEを含む気相成長技術と、を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項64】
前記成長表面のピット密度が、前記第1段階の成長の終わりに、前記成長表面において100ピット/cm2を超える、請求項52に記載の方法。
【請求項65】
前記成長表面のピット密度が、前記第1段階の成長の終わりに、前記成長表面において1000ピット/cm2を超える、請求項52に記載の方法。
【請求項66】
前記第2段階の成長前の、c軸方向における前記III−V族窒化物材料の成長速度が、前記成長表面に形成されたピットのファセットにおけるファセット方向の成長速度より速い、請求項52に記載の方法。
【請求項67】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料の前記成長表面の少なくとも75%にわたりピットを形成する、請求項52に記載の方法。
【請求項68】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料の前記成長表面の少なくとも90%にわたりピットを形成する、請求項52に記載の方法。
【請求項69】
前記第1段階の成長において前記成長表面に形成されたピットが、前記第1段階の成長の終わりに25μmを超える平均サイズを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項70】
前記第1段階の成長において前記成長表面に形成されたピットが、前記第1段階の成長の終わりに50μmを超える平均サイズを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項71】
第1段階の成長において前記成長表面に形成されたピットが、前記第1段階の成長の終わりに100μmを超える平均サイズを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項72】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を50μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項73】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を100μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項74】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を200μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項75】
前記第1段階の成長における成長が、前記第2段階の成長ステップより低い温度で行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項76】
前記第1段階の成長から前記第2段階の成長ステップへの遷移が突然起こる、請求項52に記載の方法。
【請求項77】
前記第1段階の成長から前記第2段階の成長への遷移が徐々に起こる、すなわち多段式である、請求項52に記載の方法。
【請求項78】
前記第1段階の成長および前記第2段階の成長のうちの少なくとも1つが、2つ以上の成長条件セットを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項79】
前記第1段階の成長が2つ以上の成長条件セットを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項80】
前記第2段階の成長が、前記第1段階の成長条件で生成された前記ピットの充填をもたらす第1ステージの成長条件と、続いて、前記III−V族窒化物材料のc面上に優先的な成長をもたらす第2ステージの成長条件とを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項81】
成長条件セット間の徐々の遷移を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
成長条件セット間の傾斜遷移を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記気相成長技術がHVPEを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項84】
前記第2段階の成長が、前記第1段階の成長よりも高い成長温度および/または低いアンモニア流量を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
第2段階の成長が、前記第1段階の成長よりも高い成長温度を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
第2段階の成長が、前記第1段階の成長よりも低いアンモニア流量を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
第2段階の成長が、前記第1段階の成長よりも、塩化水素に対して低いアンモニアフロー比を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記第2段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を50μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項89】
前記第2段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を200μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項90】
前記第2段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を2mmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項91】
ドーパント種で前記III−V族窒化物材料をドープすることをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項92】
前記第2段階の成長後に、前記III−V族窒化物材料から少なくとも1つのウエハを形成することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項93】
前記ウエハが、前記III−V族窒化物材料のc面を備えた軸上の表面を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記ウエハが軸外し面を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記ウエハが、前記III−V族窒化物材料のc面から11−20または10−10方向へ、約0.2〜約8度の範囲の角度でオフカットされた表面を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
p型にドープされたか、n型にドープされたか、または半絶縁にドープされた特性を与えるために、前記III−V族窒化物材料をドープすることをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項97】
シリコンおよび/または酸素を含むドーパント種で前記III−V族窒化物材料をドープすることをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項98】
前記III−V族窒化物材料が、15cm2を超える大面積を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項99】
前記III−V族窒化物材料が、少なくとも1mmの厚さに成長される、請求項52に記載の方法。
【請求項100】
前記第2段階の成長の終わりにおける前記III−V族窒化物材料が、1×106cm−2を超えない転位密度を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項101】
前記第2段階の成長の終わりにおける前記III−V族窒化物材料が、5×105cm−2を超えない転位密度を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項102】
前記第2段階の成長の終わりにおける前記III−V族窒化物材料が、25%未満のDDSDRを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項103】
前記第2段階の成長の終わりにおける前記III−V族窒化物材料が、10%未満のDDSDRを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項104】
前記III−V族窒化物材料がGaNである請求項52に記載の方法であって、15cm2を超える大面積と、少なくとも1mmの厚さと、1×106cm−2を超えないADDと、25%未満のDDSDRと、を有するGaNを生成するプロセス条件下で行なわれる方法。
【請求項105】
前記III−V族窒化物材料がヘテロエピタキシャル基板上で成長される、請求項52に記載の方法。
【請求項106】
前記ヘテロエピタキシャル基板が、サファイア、炭化ケイ素、ガリウム砒素、シリコン、没食子酸リチウム、アルミン酸リチウム、没食子酸リチウムアルミニウム、酸化亜鉛、ダイヤモンド、スピネルおよび酸化マグネシウムからなる群から選択される材料を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記III−V族窒化物材料から前記ヘテロエピタキシャル基板を除去することをさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記ヘテロエピタキシャル基板を前記III−V族窒化物材料から除去して、独立した特性のIII−V族窒化物物品を生成する、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記ヘテロエピタキシャル基板が、前記成長ステップの終わりにおける、成長温度から100℃内の温度での基板のインサイチュエッチングと、前記基板の機械研削と、前記基板の化学研削と、からなる群から選択される除去技術によって前記III−V族窒化物材料から除去される、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記III−V族窒化物材料が、ホモエピタキシャル基板上で成長される、請求項52に記載の方法。
【請求項111】
前記成長ステップが、III−V族窒化物材料をインゴット形状で生成するプロセス条件下で行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項112】
前記インゴットが、少なくとも1mmの厚さに成長される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記インゴットが、5mmを超える厚さに成長される、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記インゴットが、10mmを超える厚さに成長される、請求項111に記載の方法。
【請求項115】
前記成長ステップが、III−V族窒化物材料を単一ウエハ本体の形状で生成するプロセス条件下で行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項116】
前記単一ウエハ本体が、少なくとも50μmの厚さに成長される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記単一ウエハ本体が、200μmを超える厚さに成長される、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記単一ウエハ本体が、500μmを超える厚さに成長される、請求項115に記載の方法。
【請求項119】
前記III−V族窒化物材料がGaNである請求項52に記載の方法であって、2〜8インチの直径を有するGaNを生成するプロセス条件下で行なわれる方法。
【請求項120】
大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料を基板上に形成するための気相成長法であって、(I)前記III−V族窒化物材料の前記成長表面の少なくとも50%にわたってピットを形成するピット化成長条件下で、気相成長技術によって、前記III−V族窒化物材料を前記基板に成長させる第1段階であって、前記成長表面上のピット密度が、前記第1段階の終わりに、前記成長表面において少なくとも100/cm2である段階と、(II)ピットを充填するピット充填条件下で、前記III−V族窒化物材料を成長させて本質的にピットのない表面を生成する第2段階と、を含む方法。
【請求項1】
自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である、大面積単結晶III−V族窒化物材料。
【請求項2】
AlN、InN、GaN、AlInN、AlInGaN、InGaNおよびAlGaNからなる群から選択される、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
請求項1に記載のGaN材料。
【請求項4】
ドーパント種でドープされた、請求項1に記載の材料。
【請求項5】
p型にドープされたか、n型にドープされたか、または半絶縁にドープされた特性の、請求項4に記載の材料。
【請求項6】
ドーパント種でドープされた、請求項3に記載の材料。
【請求項7】
前記ドーパント種が、酸素およびシリコンからなる群から選択されるドーパントを含む、請求項6に記載の材料。
【請求項8】
2cm2を超える大面積を有する、請求項3に記載の材料。
【請求項9】
15cm2を超える大面積を有する、請求項3に記載の材料。
【請求項10】
少なくとも0.1mmの厚さを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項11】
2×106cm−2を超えないADDを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項12】
1×106cm−2を超えないADDを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項13】
5×105cm−2を超えないADDを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項14】
50%未満のDDSDRを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項15】
25%未満のDDSDRを有する、請求項3に記載の材料。
【請求項16】
15cm2を超える大面積と、少なくとも0.1mmの厚さと、1×106cm−2を超えないADDと、25%未満のDDSDRと、を有する大面積で均一な低転位密度単結晶窒化ガリウム。
【請求項17】
請求項1に記載の材料を含む物品。
【請求項18】
前記材料が、ヘテロエピタキシャル基板上にある、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記ヘテロエピタキシャル基板が、サファイア、炭化ケイ素、ガリウム砒素、シリコン、没食子酸リチウム、アルミン酸リチウム、没食子酸リチウムアルミニウム、酸化亜鉛、ダイヤモンド、スピネルおよび酸化マグネシウムからなる群から選択される材料を含む、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記材料が、GaNである、請求項17に記載の物品。
【請求項21】
少なくとも50μmの厚さを有する結晶形状である、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記結晶の厚さが、500μmを超える、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記結晶の厚さが、2mmを超える、請求項21に記載の物品。
【請求項24】
前記結晶の厚さが、10mmを超える、請求項21に記載の物品。
【請求項25】
前記大面積を含む表面を有する請求項21に記載の物品であって、前記表面の直径が少なくとも2インチである物品。
【請求項26】
自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶窒化ガリウム材料を含むウエハ。
【請求項27】
2〜8インチの直径を有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項28】
長方形または正方形形状を有し、各側部のサイズが少なくとも15mmである、請求項26に記載のウエハ。
【請求項29】
前記単結晶窒化ガリウム材料の結晶面のc面と平行な表面を有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項30】
前記単結晶窒化ガリウム材料の前記c面と角度をなす表面を有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項31】
前記角度が、約0.1〜約10度の範囲にある、請求項30に記載のウエハ。
【請求項32】
自身の表面を鏡面仕上げに研磨された、請求項26に記載のウエハ。
【請求項33】
化学機械的に研磨されたガリウム終端表面を含む、請求項26に記載のウエハ。
【請求項34】
前記少なくとも1つの表面がc面表面を含む、請求項26に記載のウエハ。
【請求項35】
前記少なくとも1つの表面が、前記単結晶窒化ガリウム材料のc面から11−20または10−10方向に、約0.2〜約8度の範囲の角度のオフカットされた表面を含む、請求項26に記載のウエハ。
【請求項36】
ラッピング、研磨およびCMPの少なくとも1つを含むプロセスによって仕上げられた、請求項26に記載のウエハ。
【請求項37】
CMPを含むプロセスによって仕上げられた、請求項26に記載のウエハ。
【請求項38】
前記1つの表面が、50%未満のDDSDRを有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項39】
前記1つの表面が、25%未満のDDSDRを有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項40】
前記1つの表面が、10%未満のDDSDRを有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項41】
少なくとも1つのエピタキシャル層を自身の上に有する、請求項26に記載のウエハ。
【請求項42】
前記少なくとも1つのエピタキシャル層が、ヘテロエピタキシャル層を含む、請求項41に記載のウエハ。
【請求項43】
前記少なくとも1つのエピタキシャル層が、ホモエピタキシャル層を含む、請求項41に記載のウエハ。
【請求項44】
自身の少なくとも1つの表面が均一な低転位密度である大面積単結晶窒化ガリウム材料を含むウエハと、前記ウエハ上に製作されたエレクトロニクスデバイス構造と、を含むエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項45】
前記エレクトロニクスデバイス構造が、レーザダイオードを含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項46】
前記エレクトロニクスデバイス構造が発光ダイオードを含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項47】
前記エレクトロニクスデバイス構造が、高電子移動度トランジスタを含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項48】
前記エレクトロニクスデバイス構造が、集積回路を含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項49】
前記エレクトロニクスデバイス構造が、光電子デバイスを含む、請求項44に記載のエレクトロニクスデバイス物品。
【請求項50】
最適な単結晶III−V族窒化物成長条件からわずかに逸脱した単結晶III−V族窒化物成長条件下で成長された、請求項1に記載の材料。
【請求項51】
請求項50に記載の材料を含むウエハ。
【請求項52】
大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料を基板上に形成するための気相成長法であって、(I)ピット化成長条件下で気相成長技術によって、前記III−V族窒化物材料を前記基板に成長させる1つまたは複数のステップを含む第1段階と、(II)前記III−V族窒化物材料の成長表面においてピットのクロージャおよび欠陥の消滅を達成するピット充填条件下で、前記気相成長技術によって前記III−V族窒化物材料を成長させる1つまたは複数のステップを含む第2段階と、を含む方法。
【請求項53】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料の前記成長表面の少なくとも50%にわたってピットを形成する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記成長表面の前記ピット密度が、前記第1段階の成長の終わりに、前記成長表面において少なくとも100ピット/cm2である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第2段階の成長が、前記成長表面が前記成長表面において10ピット/cm2を超えないピット密度を有するまで、継続される、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記第2段階の成長が、前記成長表面が本質的にピットのない表面を含むまで、継続される、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記第2段階の成長が、前記成長表面が前記成長表面において1ピット/cm2を超えないピット密度を有するまで、継続される、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記ピットのファセットにおける前記III−V族窒化物材料の成長速度が、前記第2段階の成長におけるc軸方向の成長速度より速い、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記第2段階の成長が、前記成長表面が本質的にピットのない表面を含むまで、継続される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記気相成長技術が、ハイドライド気相エピタキシ(HVPE)、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、有機金属塩化物法(MOC)、分子線エピタキシ(MBE)、昇華、スパッタリング、反応性スパッタリングおよび反応性昇華からなる群から選択される技術を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
前記単結晶III−V族窒化物材料が、AlN、InN、GaN、AlInN、AlInGaN、InGaNおよびAlGaNからなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項62】
前記単結晶III−V族窒化物材料が、GaNを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項63】
前記単結晶III−V族窒化物材料が、GaNと、HVPEを含む気相成長技術と、を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項64】
前記成長表面のピット密度が、前記第1段階の成長の終わりに、前記成長表面において100ピット/cm2を超える、請求項52に記載の方法。
【請求項65】
前記成長表面のピット密度が、前記第1段階の成長の終わりに、前記成長表面において1000ピット/cm2を超える、請求項52に記載の方法。
【請求項66】
前記第2段階の成長前の、c軸方向における前記III−V族窒化物材料の成長速度が、前記成長表面に形成されたピットのファセットにおけるファセット方向の成長速度より速い、請求項52に記載の方法。
【請求項67】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料の前記成長表面の少なくとも75%にわたりピットを形成する、請求項52に記載の方法。
【請求項68】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料の前記成長表面の少なくとも90%にわたりピットを形成する、請求項52に記載の方法。
【請求項69】
前記第1段階の成長において前記成長表面に形成されたピットが、前記第1段階の成長の終わりに25μmを超える平均サイズを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項70】
前記第1段階の成長において前記成長表面に形成されたピットが、前記第1段階の成長の終わりに50μmを超える平均サイズを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項71】
第1段階の成長において前記成長表面に形成されたピットが、前記第1段階の成長の終わりに100μmを超える平均サイズを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項72】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を50μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項73】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を100μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項74】
前記第1段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を200μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項75】
前記第1段階の成長における成長が、前記第2段階の成長ステップより低い温度で行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項76】
前記第1段階の成長から前記第2段階の成長ステップへの遷移が突然起こる、請求項52に記載の方法。
【請求項77】
前記第1段階の成長から前記第2段階の成長への遷移が徐々に起こる、すなわち多段式である、請求項52に記載の方法。
【請求項78】
前記第1段階の成長および前記第2段階の成長のうちの少なくとも1つが、2つ以上の成長条件セットを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項79】
前記第1段階の成長が2つ以上の成長条件セットを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項80】
前記第2段階の成長が、前記第1段階の成長条件で生成された前記ピットの充填をもたらす第1ステージの成長条件と、続いて、前記III−V族窒化物材料のc面上に優先的な成長をもたらす第2ステージの成長条件とを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項81】
成長条件セット間の徐々の遷移を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
成長条件セット間の傾斜遷移を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記気相成長技術がHVPEを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項84】
前記第2段階の成長が、前記第1段階の成長よりも高い成長温度および/または低いアンモニア流量を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
第2段階の成長が、前記第1段階の成長よりも高い成長温度を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
第2段階の成長が、前記第1段階の成長よりも低いアンモニア流量を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
第2段階の成長が、前記第1段階の成長よりも、塩化水素に対して低いアンモニアフロー比を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記第2段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を50μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項89】
前記第2段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を200μmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項90】
前記第2段階の成長が、前記III−V族窒化物材料を2mmを超える厚さに成長させるために十分な時間行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項91】
ドーパント種で前記III−V族窒化物材料をドープすることをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項92】
前記第2段階の成長後に、前記III−V族窒化物材料から少なくとも1つのウエハを形成することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項93】
前記ウエハが、前記III−V族窒化物材料のc面を備えた軸上の表面を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記ウエハが軸外し面を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記ウエハが、前記III−V族窒化物材料のc面から11−20または10−10方向へ、約0.2〜約8度の範囲の角度でオフカットされた表面を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
p型にドープされたか、n型にドープされたか、または半絶縁にドープされた特性を与えるために、前記III−V族窒化物材料をドープすることをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項97】
シリコンおよび/または酸素を含むドーパント種で前記III−V族窒化物材料をドープすることをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項98】
前記III−V族窒化物材料が、15cm2を超える大面積を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項99】
前記III−V族窒化物材料が、少なくとも1mmの厚さに成長される、請求項52に記載の方法。
【請求項100】
前記第2段階の成長の終わりにおける前記III−V族窒化物材料が、1×106cm−2を超えない転位密度を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項101】
前記第2段階の成長の終わりにおける前記III−V族窒化物材料が、5×105cm−2を超えない転位密度を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項102】
前記第2段階の成長の終わりにおける前記III−V族窒化物材料が、25%未満のDDSDRを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項103】
前記第2段階の成長の終わりにおける前記III−V族窒化物材料が、10%未満のDDSDRを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項104】
前記III−V族窒化物材料がGaNである請求項52に記載の方法であって、15cm2を超える大面積と、少なくとも1mmの厚さと、1×106cm−2を超えないADDと、25%未満のDDSDRと、を有するGaNを生成するプロセス条件下で行なわれる方法。
【請求項105】
前記III−V族窒化物材料がヘテロエピタキシャル基板上で成長される、請求項52に記載の方法。
【請求項106】
前記ヘテロエピタキシャル基板が、サファイア、炭化ケイ素、ガリウム砒素、シリコン、没食子酸リチウム、アルミン酸リチウム、没食子酸リチウムアルミニウム、酸化亜鉛、ダイヤモンド、スピネルおよび酸化マグネシウムからなる群から選択される材料を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記III−V族窒化物材料から前記ヘテロエピタキシャル基板を除去することをさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記ヘテロエピタキシャル基板を前記III−V族窒化物材料から除去して、独立した特性のIII−V族窒化物物品を生成する、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記ヘテロエピタキシャル基板が、前記成長ステップの終わりにおける、成長温度から100℃内の温度での基板のインサイチュエッチングと、前記基板の機械研削と、前記基板の化学研削と、からなる群から選択される除去技術によって前記III−V族窒化物材料から除去される、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記III−V族窒化物材料が、ホモエピタキシャル基板上で成長される、請求項52に記載の方法。
【請求項111】
前記成長ステップが、III−V族窒化物材料をインゴット形状で生成するプロセス条件下で行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項112】
前記インゴットが、少なくとも1mmの厚さに成長される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記インゴットが、5mmを超える厚さに成長される、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記インゴットが、10mmを超える厚さに成長される、請求項111に記載の方法。
【請求項115】
前記成長ステップが、III−V族窒化物材料を単一ウエハ本体の形状で生成するプロセス条件下で行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項116】
前記単一ウエハ本体が、少なくとも50μmの厚さに成長される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記単一ウエハ本体が、200μmを超える厚さに成長される、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記単一ウエハ本体が、500μmを超える厚さに成長される、請求項115に記載の方法。
【請求項119】
前記III−V族窒化物材料がGaNである請求項52に記載の方法であって、2〜8インチの直径を有するGaNを生成するプロセス条件下で行なわれる方法。
【請求項120】
大面積で均一な低転位密度単結晶III−V族窒化物材料を基板上に形成するための気相成長法であって、(I)前記III−V族窒化物材料の前記成長表面の少なくとも50%にわたってピットを形成するピット化成長条件下で、気相成長技術によって、前記III−V族窒化物材料を前記基板に成長させる第1段階であって、前記成長表面上のピット密度が、前記第1段階の終わりに、前記成長表面において少なくとも100/cm2である段階と、(II)ピットを充填するピット充填条件下で、前記III−V族窒化物材料を成長させて本質的にピットのない表面を生成する第2段階と、を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−215506(P2010−215506A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−118675(P2010−118675)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【分割の表示】特願2006−540022(P2006−540022)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118675(P2010−118675)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【分割の表示】特願2006−540022(P2006−540022)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
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