説明

相変化メモリデバイスに電極を形成する気相法

サブリソグラフィック寸法又は高アスペクト比を含む小寸法を有する開口内に均一で均質に電極材料を形成する方法を提供する。この方法は、内側に形成された開口を有する絶縁層を提供し、開口上及び開口内に均質な導電又は準抵抗材料を形成するステップを含んでいる。この方法は、金属窒化物、金属アルミニウム窒化物及び金属ケイ素窒化物電極組成を形成するCLD又はALDプロセスである。この方法は、アルキル、アリル、アルケン、アルキン、アシル、アミド、アミン、イミン、イミド、アジド、ヒドラジン、シリル、アルキルシリル、シリルアミン、キレーティング、ヒドリド、サイクリック、カルボサイクリック、シクロペンタジエニル、ホスフィン、カルボニル又はハライドから選択された1以上のリガンドを含む金属前駆体を利用する。公的な前駆体は、一般式MRnを有し、Mは金属、Rは上述のリガンド、nは主要な金属原子に結合したリガンドの数に対応している。Mは、Ti、Ta、W、Nb、Mo、Pr、Cr、Co、Ni又は他の遷移金属である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、概して、プログラマブル抵抗及び1以上の電極を有するスイッチング抵抗に関する。より詳しくは、この発明は、プログラマブル抵抗及びスイッチングデバイス構造について電極を形成する方法に関する。さらに詳しくは、この発明は、プログラマブル抵抗及びスイッチングデバイスの小型化を容易にするために閉じ込め領域に電極を形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル抵抗材料及び高速スイッチング材料は、次世代電子ストレージ、計算及び信号伝送デバイスに用いる活物質として期待されている。プログラマブル抵抗材料は、電気抵抗が異なる2以上の状態を有している。この物質は、エネルギーを供給することによって、抵抗の変化を明示する物質の内部の化学的、電子的又は物理的変化を引き起こし、状態間を往復させるようにプログラムすることができる。異なる抵抗の状態は、データの記憶又は処理に使用することができる。
【0003】
高速スイッチング材料は、相対的な抵抗状態(静止低導電状態)と相対的な導電状態間でスイッチングされる。典型的には電気的なエネルギー信号のようなエネルギー信号を加えることによって、相対的な抵抗状態から相対的な導電状態への変化が引き起こされる。相対的な導電状態は、エネルギーが供給される限り継続する。ひとたびエネルギー信号が除かれると、スイッチング材料は緩和して静止状態に戻る。スイッチング材料を組み込んだデバイスは、電圧クランプデバイス、サージ抑制デバイス、信号ルーティングデバイス及び固体メモリアクセスデバイスとして有用である。
【0004】
相変化材料は、プログラマブル抵抗材料の期待される種類である。相変化材料は、2以上の異なる構造状態間で、好ましくは可逆に変化することができる材料である。ありふれた実施の形態において、相変化材料は、結晶状態とアモルファス状態間で可逆に変化する。結晶状態において相変化材料は低抵抗であり、アモルファス状態においては高抵抗である。相変化材料の異なる構造状態は、例えば結晶構造、原子配置、秩序又は無秩序、部分結晶、2以上の異なる構造状態の相対比、物理的(例えば電気的、光学的、磁気的、機械的)又は化学的性質等に基づいて区別される。結晶状態間の変化の可逆性により、材料を複数回の動作にわたって再使用することができるようになる。
【0005】
典型的には、プログラマブル抵抗材料又はスイッチングデバイスは、2つの電極間に相変化材料のような活物質を配置することにより形成される。これらのデバイスの動作は、2つの電極間に活物質にわたって電気信号を供給することによって実現される。プログラマブル抵抗材料は、メモリデバイスの活物質として利用される。本明細書においてプログラミング動作として言及される、メモリデバイスへの書き込み動作も、メモリデバイスに電気パルスを印加する。読み出し動作は、メモリデバイスの抵抗又は閾値電圧を測定し、2つの電極を介して電流又は電圧信号を供給することによって実行される。スイッチングデバイスの相対的な抵抗状態と相対的な導電状態は、同様に電流又は電圧信号をスイッチング材料と接触している2つの電極間に供給することによって引き起こされる。プログラマブル抵抗メモリ及びスイッチングデバイスが直面する実際上の顕著な問題は、活物質に接触する1以上の接触領域を縮小することである。接触領域を縮小することによって、メモリデバイス又はスイッチングデバイスをプログラムするのに要するエネルギーを低減することができ、より効率的なデバイスを達成することができる。
【0006】
ロジック及びメモリデバイスのような半導体デバイスの製造は、典型的には、半導体ウエハー又は他の適切な基板の表面上に種々の形状及び半導体デバイスの多レベル又は多層を形成するために用いられる多数のプロセスを含んでいる。物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、及び、反応、分解又は気相、液相又は固相前駆体の反応、分解又は塗布を含む他の堆積プロセスが、半導体デバイスの形成に使用される。リソグラフィーは、小スケールの形状を画定し、しばしばデバイスの小型化の達成に限界を設ける半導体デバイスの形成におけるパターン形成処理である。さらなる半導体製造プロセスは、化学機械研磨(CMP)、エッチング、アニーリング、イオン注入、めっき、洗浄を含んでいる。通常の製造においては、多数の半導体素子を含むアレイが半導体ウエハー上に形成される。
【0007】
半導体デバイス製造においては、デバイスの長さスケール又は形状サイズをできる限り低減することは、単位基板領域ごとに形成されるデバイス数を増加させることができるので望ましい。しかしながら、デバイスの形状サイズが小型化されると、デバイスを加工することが非常に困難になる。小スケールの形状は、リソグラフィーの分解能の限界に達すると画定することが非常に困難になり、画定される形状は加工するのが非常に困難になる。
【0008】
加工における共通のステップは、層を堆積し、それに開口を形成することを含む。チャネル、溝、孔、ビア、細孔、くぼみのような開口は、デバイス又は構造の層の間の相互接続が可能になるように一般的に使用されている。典型的には、開口は、リソグラフィーにより形成され、そしてエッチングされ、それに続いて他の材料によって充填される。開口の寸法又は長さスケールは、小型化に応じて減少するので、開口を他の材料で充填することは性能又は耐久性を犠牲にすることなしには次第に困難になる。
【0009】
物理気相堆積(CVD)又はスパッタリングのような技術は、開口の寸法が臨界的寸法より小さくなったときにときに、開口の高密度又は完全な充填を提供することはできない。高密度で均一な充填を提供することに代わって、これらの技術は、開口の形状サイズが減少するにつれて次第に開口を不完全に充填する。形状サイズが減少するにつれて、開口に形成される材料の充填密度は、開口の深さ又は横の寸法にわたって変化する傾向があり、その結果、開口に堆積された層は、空隙、空孔、間隙、細孔、鍵穴、又は他の非等質領域を含み得る。開口の充填の不完全性は、開口のアスペクト比(形状の深さ寸法の横寸法に対する比)が増加するにつれて顕著になる。例えば、狭く、深いチャネルは、浅く広いチャネルより均一に充填するのがより困難である。深く、狭い形状について、スパッタリング及び他の物理堆積技術は、しばしば、形状の底部に十分な材料を供給するのは困難である。むしろ、材料の層は形状の上又は頂部の近くのみに形成され、形状の下部は塞がれて大部分充填されないままである。開口の充填における構造上の非均一性は、性能を犠牲にするが、これは、(1)デバイス間での非均一な充填の程度又は性質における相違により、アレイにわたってデバイス特性の変化が発生し、(2)開口内の材料の欠陥特性により、各デバイスについて達成される特性は最適特性より劣る。
【0010】
堆積の等質性(conformality)は、形状サイズが減少するにつれて低下し、加工が困難になる。半導体デバイスの製造は、概して、層の重なりを含み、個別の層は、(基板の横又は法線方向に対する)寸法及び組成が異なる。半導体デバイスを製造するプロセスは、概して、(前に形成された)下側の層上に1つの層を順に堆積することを含んでいる。最適なデバイス性能は、後に形成された層の前に形成された層に対する等質性を要求する。重なりにおける各層は、その上に層が形成される重なりにおいて、層の形状と輪郭に等質でなければならない。平坦で均一な被覆が望まれる。
【0011】
均一な充填を達成するための困難に加えて、開口も、開口の寸法が減少するにつれてより顕著になる等質な堆積を達成するために、面倒な問題を生じる。開口の境界又は周囲は、しばしば、縁、段、又は他の比較的に不連続な形状によって画定されている。開口の形状は、概して、側壁又は周囲境界及び下面又は底境界によって画定されている。例えば、溝開口は、概して、垂直側壁及び概して基板に平行な底面によって画定されている。
【0012】
半導体デバイスを製造するとき、しばしば、最初に開口を有する層を形成し、続いてこの層の上に他の層を形成することが必要である。等質性は、次の層が、開口を有する下部の層の形状及びテクスチャに忠実に等質であることを要求する。次の層は、開口が形成されていない下部の層の部分の上と開口自体の上の両方に均一に堆積されなければならない。開口上の等質性は、開口の境界を形成する縁又は段の均一な被覆を要求する。不連続な形状の上に等質性を達成することは、開口の形状寸法の減少又は開口のアスペクト比の増加につれて次第に困難になる。
【0013】
プログラマブル抵抗及びスイッチングデバイスの製造は、しばしば、誘電層における開口の形成と、開口を導電物質で充填して電気接点を形成するステップを含む。プログラマブル抵抗及びスイッチングデバイスの小型化は、電気接点の寸法を小型化する方法を要求する。小寸法の接点は、プログラマブル抵抗及びスイッチングデバイスを動作させるエネルギーが接点の寸法が小さくなるにつれて減少するので有用である。したがって、スパッタリング又は物理気相堆積のような標準先行技術に関連した充填の不完全性及び等質性に煩わされることなく、小寸法の開口を形成及び充填する技術を開発することが望ましい。理想的には、この技術は、リソグラフィック限界近く、リソグラフィック限界、又はリソグラフィック限界より小さい寸法を有するプログラマブル抵抗及びスイッチングデバイスについての電気接点の製造を可能にする。
【0014】
図面を参照すると、図1は、接点がスパッタリング又は物理気相堆積により堆積されたとき、サブリソグラフィック寸法を有する電気接点に形成される不完全性の性質を説明する相変化材料の代表的構造を描いている。導電層106は、基板102上に形成される。次に、基板102に形成される開口を有する絶縁層110は、導電層106上に形成される。下部電気接点128は、物理気相堆積プロセス及び化学機械研磨(CMP)平坦化を用いて絶縁層110の開口に形成される。次に、相変化材料114の層は、下部電極128上に堆積され、頂部電極層116は、相変化層114の上に堆積される。下部電気接点128は、内部空隙120及び非等質領域112の形態の不完全性を含んでいる。不完全性は、デバイス性能を低下させる。
【0015】
高アスペクト比デバイスにおける電気接点の質を向上させるため、新たな方法が必要とされる。この方法は、一般的な方法よりも、電気接点が形成される開口のより均一な充填を提供するとともに、下部及び周囲層とのより優れた等質性を提供するものである。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、プログラマブル抵抗材料、スイッチング材料又は他の活物質に基づくロジック、メモリ、スイッチング又はプロセッシング機能を有する電子デバイス及びその製造方法を提供する。
【0017】
本発明の1つの実施形態によると、プログラマブル抵抗又はスイッチングデバイスは、底部電極層、底部導電層を露出する開口を内側に有する絶縁層、堆積及び平坦化によって開口に形成された下部電極プラグ又はライナー、電極プラグ上及び絶縁層上に堆積された活物質、活物質上に堆積された頂部電極層を含む複数の重なった層を有する基板を含む。
【0018】
活物質は、プログラマブル抵抗材料、スイッチング材料又は他の電子材料である。代表的な活物質は、カルコゲニド材料、相変化材料及び閾値スイッチング材料を含む。
【0019】
1つの実施形態においては、1以上の電極は、導電又は半抵抗材料を含み、電極の少なくとも一部は開口を占め又は充填する。電極は、プラグ電極、側壁電極(例えば、リング又はライナー)、直線電極、又は平面電極であり、抵抗ヒーターとしても機能する。電極は、単一層又は多層又は領域を含む複合電極である。電極は、外部回路からの電気信号の伝送又は受信を可能にするようにワード線又はビット線で電気接続又は通信する。
【0020】
開口は、円、楕円、湾曲、直線又は他の周縁形状である。1つの実施形態においては、開口は、電極材料によって充填され又は敷き詰められた丸い孔である。他の実施形態においては、開口は、電極材料によって充填され又は敷き詰められた溝である。開口は、0.25と5の範囲にあるアスペクト比を有する。
【0021】
電極材料を形成する方法は、化学気相堆積、原子層堆積、選択的堆積を含む。電極形成方法は、開口を電極材料で選択的で等質に充填し又は占めるように策定される。これらの方法は、開口内における電極材料の構造的な不規則性を低減するので、より均一で高密度の充填を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】二端子デバイスの開口領域に欠陥を有する従来の二端子電子デバイスの概略図である。
【図2】化学気相堆積又は原子層堆積によって絶縁体又は他の周囲の層を等質で均一に充填する導電底部複合電極を有する活物質層を含む電子デバイスの複合構造を説明する図である。
【図3】基板及び第1積層導電下部接触層、及び堆積した導電第1積層下部制御層上の第2積層絶縁層を含む活物質を有する電子デバイスの一部断面を説明する図である。
【図4】絶縁層内にリソグラフィーで形成された開口を有する図3に示した電子デバイスの概略図である。
【図5】開口上に形成された空隙又は欠陥を有する電極材料をさらに含む図4に示した電子デバイスの概略図である。
【図6】平坦化前に本発明によるCVD又はALDによって形成された導電層を含む電子デバイスを説明する図である。
【図7】細孔セルデバイス構造及びフィラープラグセルデバイス構造の概略図である。
【図8】くぼんだフィラープラグセルデバイス及びマイクロ溝デバイスの概略図である。
【図9】2つの囲まれたセルデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
現在の好ましい実施の形態の作成と使用については、以下で詳細に説明する。しかしながら、本発明は、特定の状況の幅広い種類において実現される多数の適用可能な発明の概念を提供するものと理解されなければならない。特定の実施の形態は、発明の作成と使用の特定の方法を単に説明するものであり、発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
本発明は、概して、活物質と接触又は電気的に通信する2以上の電極を含む電子デバイスに関する。本明細書では、活物質とは、概して、メモリ、プログラマブルロジック、又は他の応用に用いられるプログラマブル抵抗材料、他のメモリ材料、又は他の電気スイッチング材料のような電気的に刺激できる材料(electrically stimulable material)である。プログラマブル抵抗材料は、電気抵抗に基づいて区別できる2以上の状態を有する材料である。2以上の状態は、結晶状態、化学状態、電気状態、光学状態、磁気状態、又はこれらの組み合わせである。プログラマブル抵抗材料は、適切な量のエネルギーを材料に供給することによっていくつかの対の状態間を転換することができる(「プログラマブル」)。供給されるエネルギーは、「プログラミングエネルギー」と称される。特定の状態に転換される(「プログラムされる」)とき、プログラマブル抵抗材料は、追加のエネルギーが材料に供給されるまでその状態に留まる。プログラマブル抵抗材料の異なる状態は、外部エネルギーが存在しないと安定であり、プログラミングエネルギー源が除かれてもかなりの時間にわたって持続する。プログラマブル抵抗材料は、相変化材料、カルコゲニド材料、ニクティド材料、及び他の多抵抗状態材料を含む。
【0025】
相変化材料は、2以上の結晶学的に異なる構造状態間を転換可能な材料を含む。状態は、結晶構造、単位セル構造、単位セルの寸法、無秩序の程度、粒子の大きさ、粒の大きさ、又は組成が異なる。カルコゲニド材料は、顕著な構成要素として周期表のVI列の元素とともに、周期表のIII列(例えばB,Al,Ga,In),IV列(例えばSi,Ge,Sn)及び/又はV列(例えばSb,Bi,P,As)からの1以上の修飾する元素を含む材料である。ニクティド材料は、顕著な構成要素として周期表のV列の元素とともに、III列、IV列又はVI列からの1以上の修飾する元素を含む。多くのカルコゲニド及びニクティド材料は、複数の結晶、部分結晶、及びアモルファス状態間で転換可能な相変化材料である。他の多抵抗状態材料は、薄膜絶縁体を有する金属−絶縁体−金属構造、PRAMデバイスに用いられるCuO材料族のような導電性酸化物を含む。プログラマブル抵抗材料は、非揮発性メモリデバイスを含むメモリデバイスの活物質として働く。本発明の代表的なプログラマブル抵抗材料は、米国特許出願5543737、5694146、6087674、6967344、6969867、7020006に記載され、これらは参照され、これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる。これらの引用文献は、カルコゲニド相変化材料の動作の基本的な動作の特徴も記載している。
【0026】
電気スイッチング材料は、電気伝導度が異なる2つの状態間をスイッチングできる材料である。2つの状態は、伝導度が、相対的に抵抗性(例えば誘電体と同程度)から相対的に導電性(例えば金属と同程度)までの範囲にある。電気スイッチング材料は、概して、静止又は緩和状態、通常は相対的により抵抗性の状態であり、これらは電気エネルギーがないと存在する。電気エネルギーが印加されると、スイッチング材料は、より導電性の状態に転換し、外部源から臨界量のエネルギーを与えられている限りその状態を一時的に持続する。外部エネルギーが臨界レベルより低くなるまで減少すると、スイッチング材料は緩和して静止状態に戻る。スイッチング材料は、オボニク閾値スイッチ(Ovonic Threshold Switch:OTS)材料、負性微分抵抗材料、及び金属−絶縁体−金属構造を含む。あるカルコゲニド及びニクティド組成は、電気スイッチングを示す。説明となるスイッチング材料は、米国特許出願6967344及び6969867に記載されたものであり、参照により組み込まれる。
【0027】
図2は、二電極を有する電子デバイス200の典型的な構造を説明するものである。電極は、本明細書において接点又は電気接点とも称される。デバイス200の構造の本体は、基板202上に積み重なった層として形成されている。基板202は、ケイ素基板又は他の半導体材料から構成される基板である。基板202は、ドープ半導体材料とともに、アクセスデバイス、パワーデバイス、又は他の電子回路を含む。積み重なった層は、下部導電層206、絶縁層210の開口212内の下部電気接点228、電気的に刺激できる活性層214、及び上部電極層216を含む。電気接点228は、下部導電層206と電気的に接触している開口212内に形成された制限された形状の電極である。下部導電層206は、下部接点228及び外部回路間の電気的な通信を可能にする。1つの実施の形態においては、下部導電層206は、アレイ構造のワード線又はビット線のようなグリッド線に対応している。図2においては、上部電極216は、全面的な接点として描かれているが、制限された形状であってもよく、デバイスのアレイのワード線又はビット線のような他の導電層に相互接続してもよい。
【0028】
図3は、製造の中間段階におけるデバイス構造200の下部の断面図である。下部導電層206は、基板202上に形成され、絶縁層210は、下部導電層206上に形成される。下部導電層206は、金属、金属合金、又は金属化合物である。下部導電層206の代表的な金属は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)又はこれらの合金を含む。下部導電層206の抵抗率は、金属又は金属合金に加えられた窒素又はケイ素のような元素のレベルを変化させることによって制御される。導電層206を形成するために使用される化合物材料は、金属窒化物、金属キレート、有機金属化合物、又はこれらの組み合わせを含む。代表例は、TiN、TiSiN、TiAlN、TiW、MoN、MoAlN、及びMoSiNを含む。
【0029】
1つの実施の形態において、下部電極206はスパッタリングプロセスで形成され、抵抗率は、成長環境に存在する窒素対金属比を変化させることによって調整される。窒素濃度が高くなると抵抗率は増加する。又は、下部導電層206の抵抗率は、ケイ素対金属比を変化させることによって調整される。ケイ素濃度が高くなると抵抗率は増加する。窒素又は酸素環境における金属の反応性スパッタリングにより、下部導電層206の抵抗率の制御が可能になる。
【0030】
絶縁層210は、下部電極228の電気的及び熱的絶縁を提供する。絶縁層210は、概して、酸化物、窒化物又は他の誘電材料である。絶縁体層210の代表的な材料は、ケイ素酸化物(例えばSiO、SiO)及びケイ素窒化物(例えばSi、SiN)を含む。絶縁層210は、プラズマ支援プロセスを含む化学又は物理気相堆積プロセスによって形成される。
【0031】
図4に示すように、絶縁体層210に開口212が形成され、絶縁体210の開口は、下部導電層206の部分218を露出している。開口212は、所定の深さ、幅、及び形状を有している。代表的な開口は、くぼみ、細孔、ビア、溝、孔、及びチャネルを含む。開口は、絶縁層210の部分にパターンを形成して選択的に除去することによって形成される。標準的なフォトグラフィー、マスク及びエッチング、及び反応性イオンエッチング技術が開口212を形成するために使用される。複数の開口212は、デバイスのアレイの製造を可能にするために、基板にわたって形成される。
【0032】
絶縁体層210及び下部導電層206の露出部218は、開口212の寸法を確定するために協働している。開口212は、側壁面220、側壁面222、底部226(下部導電層206の露出部218の頂面に対応する)を含んでいる。開口212の形状又は断面は、パターン形成処理プロセスによって制御されている。開口212の断面形状は、丸い形(例えば円または楕円)、湾曲、線、直線(例えば溝)、多角形、又は屈曲である。したがって、下部接点228は、丸い形又は丸くない形の形状であり、囲まれた又は囲まれていない(例えば弧、線、線分)構造を形成している。この技術分野で知られているパターン及びマスク形状は、すべて本発明の範囲内にある。図4の実施形態においては、側壁面220及び222は、異なる側壁(例えば溝の左及び右側壁)又は同一側壁の異なる部分(例えば円形孔の対向する部分)に対応している。
【0033】
本発明の実施形態においては、開口の幅又は横方向の寸法は、リソグラフィック限界にある。リソグラフィック限界は、フォトリソグラフィックプロセスの性能によって課される形状サイズ又は物理寸法限界である。リソグラフィック限界は、通常、プロセス中に形状のパターン形成又は分割に使用される光源の波長をどれだけ低くできるかの限界に帰される。現在の技術のロードマップによると、フラッシュ技術による形状サイズ限界は、65nm(NOR)/57nm(NAND)である。プロセス技術が向上するにつれ、形状サイズ限界は将来的に低下し、小型化の目標に向けてさらに進むであろう。予測される形状サイズ限界は、2010年には45nm(NOR)/40nm(NAND)であり、2013年には32nm(NOR)/28nm(NAND)である。本明細書の接点を形成する方法は、将来的にサイズ限界が減少しても有効性を尺度に沿って維持する。
【0034】
他の実施形態においては、開口212の幅又は横方向の寸法は、サブリソグラフィックである。サブリソグラフィック寸法を有する開口は、例えば、まず最小のリソグラフィック寸法又はこれに近い寸法の開口を形成し、次に開口内に側壁層を堆積して寸法を狭くすることによって形成される。サブリソグラフィック寸法を有する開口は、他の例では、下部基板上に誘電材料を形成し、側壁面を露出させるように誘電材料をエッチングし、側壁にリソグラフィック限界より小さい厚さを有する犠牲層を形成し、異方的に犠牲層をエッチングして水平部分を除去し、犠牲層の残った垂直部分上に誘電層を形成し、平坦化して垂直犠牲層の頂面を露出し、垂直犠牲層を除去して開口を形成することによっても形成される。この後者の方法においては、開口の寸法は、堆積された犠牲層の厚さによって制御され、この厚さは、多くの堆積技術(例えば化学気相堆積又は原子層堆積)を利用することによって容易にリソグラフィック限界よりも十分に小さくすることができる。
【0035】
1つの実施形態においては、開口212の幅又は横方向の寸法は、1000Åより小さい。他の実施形態においては、開口212の幅又は横方向の寸法は、600Åより小さい。さらに他の実施形態においては、開口212の幅又は横方向の寸法は、300Åより小さい。開口212の幅又は横方向の寸法は、概して、基板202に平行な方向な開口の物理寸法である。例えば、図4においては、幅又は横方向の寸法は、側壁220と側壁222との間の距離である。開口の形状が丸いとき、横方向の寸法は、開口の直径又はそれと同等のものである。
【0036】
開口212のアスペクト比は、開口の幅又は横方向の寸法に対する開口の高さ又は通常の寸法の比として定義される。開口212の高さ又は通常の寸法は、概して、基板202に対して垂直な開口の物理寸法である。例えば、図4においては、開口212の高さ又は通常の寸法は、絶縁層212の厚さに対応している。本発明の1つの実施形態においては、開口212の高さ又は通常の寸法は、少なくとも100Åである。本発明の他の実施形態においては、開口212の高さ又は通常の寸法は、少なくとも500Åである。さらに他の実施形態においては、開口212の高さ又は通常の寸法は、少なくとも1000Åである。本発明の1つの実施形態においては、開口212のアスペクト比は、少なくとも0.5:1である。本発明の他の実施形態においては、開口212のアスペクト比は、少なくとも2:1である。本発明のさらに他の実施形態においては、開口212のアスペクト比は、少なくとも4:1である。
【0037】
本発明による開口212は、電気接点材料228によって充填され、デバイス構造200(図2参照)を形成する。電気接点228は、導電又は準抵抗材料の単一均一層又は組成及び/又は抵抗率が異なる2以上の層の組み合わせである。電気接点228は、概して、金属、金属合金又は金属化合物である。適切な電気接点材料は、耐火金属(例えばNi、Co、Cr、Pt、Ti、Ta、W、Mo、Nb)、耐火金属の合金(例えばPtIr)、耐火金属の窒化物(例えばMoN、TiN、TiAlN、TiSiN、TiCN、TiSiC、TaN、TaCN、TaSiN、WN、WSiN、NbN)、炭素、窒素化炭素、二重層金属及び窒化金属の組み合わせ(例えばTi/TiN)を含んでいる。1つの実施形態においては、二重層構造は、開口内に形成され、開口の側壁上に形成される第1層は、拡散障壁層として働き、第2層は、第1層内に形成される。拡散障壁層は、内側の第2層と開口が形成される層の材料との間で原子移動又は質量交換を防止するように働いている。窒化金属(例えばTiN)は、しばしば、金属(例えばW)の拡散又は移動を防止する障壁の役目を果たす。
【0038】
上述のように、金属又は金属合金組成に窒素を導入することによって、電極材料の抵抗率を制御することができるようになる。抵抗率の制御は、少なくとも部分的に熱的機構によって動作する活物質に望ましい。例えば、相変化材料の場合、結晶相状態からのアモルファス相状態の形成は、材料が融解するのに局所的に十分な温度を要求する。抵抗性接点228は、電流がデバイスを通るときに局所的にジュール熱による熱エネルギーを発生し、効率のよいプログラミングエネルギー源を提供する。
【0039】
寸法が縮小された開口に電気接点228を形成することによって、電気接点228と活性層214との間の電気接続する領域を縮小することができる。電気接続の領域の縮小は、デバイスが低電流で動作することができるので有益である。例えば、電気接点228の縮小された領域は、下部導電層206が受け取る外部プログラミング電流をより有効に伝送する。閉じ込められた電気接点228は、電気的に刺激できる活物質214のより制御され空間的に制限された領域に動作電流を供給する。動作電流によって変換される活物質214の有効体積は縮小され、デバイスを作動させるのに必要な全エネルギーは電流損失として減少し、プログラミングに本質的ではない電気的に刺激できる活性層214の部分への熱損失は最小化される。ひとたび開口212が充填され平坦化されると、カルコゲニド又は他の活物質層214が絶縁層210の上側表面及び堆積層228の上側表面に堆積し、頂部電極層216は、電気的に刺激できる活物質層214の頂部に形成される。
【0040】
電気接続の縮小された領域の利益を実現させるため、電気接点228が開口212を空隙又はギャップなしに均一に充填又は占め、電気接点228が下部導電層206の露出した頂面218及び側壁面220及び228にできる限り等質に付着することが必要である(図4参照)。空隙、ギャップ、非等質性及び他の欠陥は、電気接点228への内部であれ、電気接点228と周囲の材料とのインターフェースであれ、電気接点228の頂面と底面における望ましくない接触抵抗をもたらし、時間の経過又は繰り返しによって変化し、デバイスの耐久性又は信頼性を劣化させ得る特徴を表している。
【0041】
上述のように、物理気相堆積(例えばスパッタリング)は、電気接点を形成するために広範に利用されている。この方法は、電極組成の広範囲にわたって簡単で多用途であるので有益であるが、空隙及び非等質性を有する層を形成する傾向があるという欠点がある。これらの傾向は、堆積が生成される形状のアスペクト比が増加するにつれて顕著になり、主として堆積の見通し線の特性に帰せられる。図5は、非等質堆積技術により導電層224を堆積した後(平坦化前)における図4の構造を示している。導電層224は、開口212内であって、絶縁層210の頂面に形成されている。導電層224は、平坦化後に電極228として動作する導電層224の性能及び耐久性を損なう1以上の空隙215を含んでいる。さらなる技術が、縮小した寸法の電極の利益を実現するために求められる。
【0042】
同時係属している米国特許出願第11/880587(「587出願」)は、参照により本明細書に組み込まれ、開口に導電材料を充填する液相方法が記載されている。587出願で議論されている方法は、浸漬被覆、電気めっき、及び選択的堆積を含んでいる。これらの方法は、開口のより均一な充填及び構造において周囲の層との充填材料のよりよい等質性を提供することが示されている。この出願においては、開口212のような縮小された寸法又は高いアスペクト比の形状内に導電材料又は準抵抗性材料を充填又は堆積するさらなる方法が記載されている。これらの方法は、化学気相堆積、原子層堆積及び選択的堆積を含んでいる。
【0043】
化学気相堆積は、材料を合成するために広範に使用される方法であり、これ以降、本明細書ではCVDと称することにする。CVDプロセスにおいて、材料の構成元素の前駆体は、基板上に薄膜を生成するように反応する。CVD前駆体の反応は、気相において均一に、又は基板表面の固気相界面において異方的に、いずれかで発生する。多くの元素の前駆体が入手可能であり、CVDを用いて様々な薄膜組成を合成することができる。本発明の1つの実施形態において、電極材料は、CVDを用いて形状に堆積される。本明細書では、CVDは、有機金属化学気相堆積(MOCVD)及びプラズマ支援化学気相堆積(PECVD)を含むあらゆる形態の化学気相堆積を指すものとする。
【0044】
CVDプロセスにおいて、前駆体は、反応炉に気相形態で導入される。室内条件において又は加熱により気相である前駆体は、反応炉に直接導入され、典型的には搬送ガスによって希釈されている。液相又は固相の前駆体は、蒸発(気化)又は昇華された後、反応炉に導入され、これらも典型的には搬送ガスによって希釈されている。反応炉に導入されると、所望の材料の化学成分を含む前駆体は、(熱的、光化学的、又はプラズマ状態で)反応又は分解し、基板又は下部構造上に所望の組成の薄膜を形成する。薄膜の堆積、化学量論、組成及び形態は、反応温度、基板、前駆体の選択、反応炉の圧力、反応炉への前駆体の導入の速度のようなプロセスパラメータを適切に制御することによって変化させることができる。CVDは、比較的低温で高純度の薄膜を提供することができるという利益を有する。CVD前駆体及び中間体は分子の大きさを有するので、高アスペクト比の形状のくぼみ部分には容易に到達することができる。したがって、CVDプロセスは、開口の高密度で均一な充填を促進する。また、CVDプロセスは、等質な性質も有し、下部の、傾斜した、垂直な壁の、及び隣接する面に平滑な被覆を提供する。
【0045】
図6は、本発明に従いCVD(又はALD)によって形成されたとき堆積されたままの状態(図5に対して)における電極の等質性の向上を示している。平坦化の後、図2に示されたデバイス200のバランスは、最初に、電極228及び絶縁体210上に電子的に刺激できる活物質214を形成し、次いで頂部電極層216を形成することによって形成される。電子的に刺激できる活物質214及び頂部電極層216は、物理気相堆積、化学気相堆積、選択的堆積、溶液相堆積又は他の従来の技術によって製造される。電子的に刺激できる活物質214は、相変化材料、カルコゲニド材料、プログラマブル抵抗物質、閾値スイッチング材料又はこれらの組み合わせを含んでいる。
【0046】
本発明においては、いくつかのCVDプロセッシング手法が、電極材料を形成するために使用される。単一元素導電材料については、所望の元素(通常は金属又は炭素)を含む前駆体は、反応又は分解して開口212(図2)内に電気接点228を形成する。多元素導電材料(例えば、金属合金、金属炭化物、金属窒化物、金属ケイ化物)については、種々の堆積方法が利用できる。1つの実施形態においては、多元素電極材料は、直接CVDプロセスによって生成され、最終的な薄膜材料の各元素の前駆体が同時にCVD反応炉に導入されて反応する。
【0047】
他の実施形態においては、多元素電極材料の各元素の前駆体は、別々に、続けて又は交互に導入される。例えば、第1の元素の前駆体は、反応炉で反応又は分解して基板上に第1の元素を含む副層を形成し、これに続いて第1の元素を含む副層上で第2の元素の前駆体が反応又は分解して2つの元素を含む層を形成する。この一連の堆積プロセスは、所望の厚さを有する層が構築されるまで数回繰り返すことができる。2つの元素の相対的な量は、前駆体の反応性(例えば、前駆体の化学組成による)及び/又は前駆体のそれぞれの堆積の条件(例えば、温度、圧力、時間)を調整することによって制御することができる。
【0048】
さらに他の実施形態においては、所望の電極組成の2以上の元素は、単一の前駆体に、組み入れられ、堆積される。単一源の前駆体の実施形態においては、所望の電極組成のすべての元素は、単一の前駆体に組み入れられ、前駆体の分解又は反応によって成長する電極に堆積される。他の実施形態においては、所望の電極組成の少なくとも2つを含むが全部ではない元素が、所望の電極組成に必要とされる残りの元素を含む1以上の追加の前駆体とともに反応又は分解する。
【0049】
さらなる実施形態においては、所望の電極組成に必要とされる元素の全部ではないものを含む層が形成され、これに続いて形成後気相処理を施され、1以上の追加の元素が供給される。1つの実施形態においては、金属または金属合金層が形成され、これに続いて表面窒化プロセスで処理され(例えば、表面をアンモニアのような窒素源ガスにさらすことによって)金属又は金属合金窒化電極組成を形成する。他の実施形態においては、金属又は金属合金層が形成され、これに続いて表面ケイ化プロセスで処理され(例えば、シラン又はジシランのようなケイ素源ガスにさらすことによって)金属又は金属合金ケイ化電極組成を形成する。
【0050】
多元素が堆積されるとき(同時であれ逐次であれ)、堆積後プロセス処理ステップ(例えば、アニーリング)は、オプションとして、反応を終了させる又は堆積されたままの電極材料を均質にするために実行することができる。例えば、本電極が交互のCVDプロセスによって準備されたとき、最後から2つめの多層構造は、交互に堆積した層のそれぞれが所望の最終的な組成に含まれる元素の異なったサブセットを含むように堆積する。典型的には熱プロセスのようなCVD後プロセスは、最後から2つめの多層構造の最終的な電極組成への転換を促すために用いられる。
【0051】
CVD反応炉に2以上の前駆体が導入されるとき、プロセスの複雑さは、反応環境において異なる前駆体の反応又は分解を同程度に確保することを必要とするために増加する。多元素材料が生成されるとき、ほぼ均一で均質により近い薄膜が形成されるように、必要な元素を同様の速度で供給することが、異なる前駆体について有益である。1つの前駆体が他の前駆体よりも著しく高速に反応すると、非均質又は望まない組成の薄膜を形成する可能性が生じる。例えば、高速に反応する前駆体は、低速に反応する前駆体の相当の反応が起こる前に基板上に単一元素の層を堆積する。したがって、堆積した材料における所望の理論混合比が得られない。3元以上の組成の場合、前駆体のサブセット間の優先的な反応も起き、優先的に反応しない前駆体の元素について、残された薄膜の形成につながる。堆積した薄膜における所望の元素(又は元素を含む反応種)の揮発性が相当に異なると、さらなる複雑さが生じる。揮発性は、関連のある検討事項であるが、これは、所望の元素(又は所望の元素を含む種)の表面脱着がCVD堆積間に起こり得るためである。多元素組成の異なる元素が表面から相当に異なる速度で脱着又は揮発すると、所望の化学量論は達成できない。
【0052】
大部分の前駆体は、CVD薄膜に組み入れることを意図する主要な元素(又は複数の元素)を主要な元素に結合したペンダント基とともに含んでいる。例えば、多くの前駆体は、1以上のリガンドによって結合した主要な金属又は非金属原子を含んできる。堆積の間、主要な元素を成長する薄膜に供給する反応中間体の形成の間にわたってリガンドは関係を絶つこと及び/又は分解することが必要である。リガンドと主要な元素の間の結合強度は、前駆体の反応又は分解速度における重要な寄与因子である。リガンドの思慮深い制御を介し、堆積した薄膜における所望の元素の組み入れに関する前駆体の選択性は最適化され、リガンドからの不純物の組み入れは最小化される。CVD前駆体の化学的調整により、多成分材料における異なる元素の分解、反応及び脱着の相対速度にわたる制御が提供される。また、化学的調整により、CVD反応炉に供給する前駆体の揮発性にわたる制御も提供される。プロセスの利便性の観点から、概して、CVD前駆体は高蒸気圧の液体であることが望ましい。
【0053】
ALC(原子層堆積)は、CVDの一種であり、気相前駆体が交互のシーケンスに別々に導入され、所望の組成を構築する。典型的なALDプロセスにおいては、所望の組成の第1元素を含む前駆体は、所定の期間にわたって反応炉にパルス状に入射され、基板上に第1の元素の層を堆積する。その後、反応炉はパルス状の不活性ガスによりパージされ、所望の組成の第2の元素を含む前駆体が反応炉にパルス状に入射されて第2の元素の層を堆積する。次に、第2の不活性ガスパージが適用され、プロセスは、所望の組成の各元素について継続する。多重連続サイクルが完了され、所望の組成の所望の厚さを形成する。各ALDサイクルにおいて、目的は、各前駆体の露出時間を制御し、下部の成長表面上における飽和被覆及び自己限定的な成長を確保することである。このように、組成は、単層レベル上で制御することができ、正確な組成及び厚さを有する材料は、前駆体パルスの繰り返しシーケンスを通じて生成することができる。所望の化学量論は、一連のALDサイクルにわたって各所望の元素についての前駆体パルスの回数と順序を制御することによって達成することができる。異なる前駆体を別々に導入し、不活性ガスでパージすることによって、ALDは、前駆体間で起こり得る望ましくない気相反応を回避している。CVD堆積に適する前駆体は、しばしたALD堆積にも適している。
【0054】
CVD及びALDプロセスにおける高アスペクト比の形状内に均一又は等質な電極を形成するために用いられる前駆体は、単一又は多金属複合体又は化合物又は次のグループの1以上から選択した1以上のリガンドRを有する化合物である:アルキル、アリル、アルケン、アルキン、アシル、アミド、アミン、イミン、イミド、アジド、ヒドラジン、シリル、アルキルシリル、シリルアミン、キレーティング、ヒドリド、サイクリック、カルボサイクリック、シクロペンタジエニル、ホスフィン、カルボニル又はハライド。好適な前駆体は、Mを金属とし、Rは前記リガンドを指し、nを主要な金属原子に結合したリガンドの数に相当する整数として、一般式MRを有する単一金属前駆体を含む。Mは、Ti、Ta、W、Nb、Mo、Pt、Cr、Co、Niであるか、又は他の遷移金属である。Mは、Alのようなポスト遷移金属であってもよい。前駆体に含まれるリガンドRは、同一の種類であっても異なった種類であってもよく、前記リガンドの同一のクラス又は異なるクラス内からの2以上の種類のリガンドの組み合わせを含んでもよい。リガンドnの数は、金属Mに依存し、概して、2〜6の範囲にある。1つの実施形態においては、nは、金属Mのホルマール酸化状態に等しい。さらなる前駆体は、R及びnは前記の通り、M及びM´は金属として、一般式MM´Rを有する二金属前駆体を含んでいる。M及びM´は、同じ又は異なる金属である。
【0055】
金属窒化物電極は、CVD又はALDプロセスにおいて窒素前駆体を1以上の金属前駆体に反応させることによって形成することができる。窒素前駆体は、窒素ガス、アンモニア、一般式NRを有するアミン、ヒドラジン(N)、ジアゼン(N)又はアルキル置換のヒドラジン(N4−xR´)又はジアゼン(N2−xR´)を含んでいる。各窒素前駆体内の異なるリガンドR及びR´は、同じ又は異なる化学基である。
【0056】
代表例においては、金属窒化物は、金属アミドにアンモニア又はアミンを反応させることによって形成される。説明例では、TiNは、チタンアミド前駆体(TiR4−x、Lはアミドリガンド(例えばジメチルアミド)である。)をアンモニアと反応させることで生成することができる。同様にMoNは、モリブデンアミド前駆体(MoR4−x、Lはアミドリガンドである。)をアンモニアと反応させることで生成することができる。同様な反応が、W、Ta、Ni、Co、Cr、Pt及びNbについて起きる。金属窒化物も、金属アミン又は金属アジドの反応又は分解によって形成される。説明例では、TiNは、チタンアジド(R4−xTiL、Lはアジド(N)リガンドである。)又はチタンアミン(R4−xTiL、Lはアミン(NR)リガンドである。)の反応又は分解によって生成することができる。同様の反応が、Mo、W、Ta及びNbにも起きる。アンモニアが存在する又は存在しないときの反応又は分解により、最終的な薄膜における窒素のレベルにわたるさらなる制御が提供される。
【0057】
さらなる例において、金属窒化物は、最初に金属前駆体を反応又は分解して金属層を形成し、次に金属層に窒化プロセスを施すことによって生成することができる。説明例では、TiNは、チタンアルキル(TiR)を反応させ又は分解してTi層を形成し、次にTi層に高温及び/又はプラズマの存在下においてアンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、ジアゼン(N)又は他の窒素前駆体を施してTiN又は窒化Ti層を形成することによって生成することができる。この2ステッププロセスは、多数回繰り返し、層の厚さを増加させることができる。
【0058】
他の例においては、金属アルミニウム窒化物は、金属アミドをCVD又はALDプロセスにおいてトリアルキルアルミニウム前駆体及びアンモニア又はアミンと反応させることによって形成される。説明例においては、TiAlNは、チタンアミドをトリメチルアルミニウム及びアンモニアと反応させることによって生成できる。同様に、MoAlNは、モリブデンアミドをトリメチルアルミニウム及びアンモニアと反応させることによって生成できる。同様の反応は、W、Ta、Ni、Co、Cr、Pt及びNbについても起きる。金属アルミニウム窒化物も、トリアルキルアルミニウム前駆体の存在下において金属アミン又は金属アジドを反応させ又は分解することによって形成することができる。説明例においては、TiAlNは、チタンアジドをトリメチルアルミニウムと反応させ又は分解することによって生成できる。同様の反応は、W、Ta、Ni、Co、Cr、Pt、Mo及びNbについても起きる。反応及び分解は、アンモニアが存在する又は存在しないことによって、最終的な薄膜における窒素のレベルにわたるさらなる制御が提供される。
【0059】
他の例においては、金属アルミニウム窒化物は、窒素前駆体の存在下において金属アルミニウム前駆体(RMAlR)を反応させ又は分解することによって生成することができる。説明例においては、TiAlNは、チタンアルミニウム前駆体(RTiAlR)をアンモニアの存在下において反応させ又は分解することによって生成することができる。同様の反応は、W、Ta、Ni、Co、Cr、Pt、Mo及びNbについて起きる。1以上のリガンドRがアミン、アミド、イミド又は他の窒素含有基であるとき、TiAlNは、単一前駆体から生成することができる。
【0060】
他の例においては、金属ケイ素窒化物は、CVD又はALDプロセスにおいて金属前駆体をケイ素前駆体及び窒化物前駆体と反応させ又は分解することによって生成することができる。説明例においては、TiSiNは、チタンアルキル前駆体(TiR4−x、Lはアルキルリガンドである。)をシラン(SiH)又はジシラン(Si)及びアンモニアと反応させることによって生成することができる。他の説明例においては、TaSiNは、タンタルアルキル前駆体(TaR4−x、Lはアルキルリガンドである。)をシラン(SiH)又はジシラン(Si)及びアンモニアと反応させることによって生成することができる。同様の反応は、W、Mo、Ni、Co、Cr、Pt及びNbについても起きる。
【0061】
他の例においては、金属ケイ素窒化物は、CVD又はALDプロセスにおいて金属窒化物前駆体をケイ素前駆体と反応させ又は分解することによって生成することができる。説明例においては、TiSiNは、チタンアミン、チタンアミド、チタンヒドラジン又はチタンアジド前駆体(TiR4−x、Lはアミン(例えばジメチルアミン)、アミド(例えばジメチルアミド)、ヒドラジン又はアジドリガンドである。)をシラン又はジシランと反応させることによって生成することができる。同様の反応は、W、Mo、Ni、Co、Cr、Pt及びNbについても起きる。
【0062】
他の例においては、金属ケイ素窒化物は、CVD又はALDプロセスにおいて金属窒化物前駆体を窒素前駆体と反応させ又は分解することによって生成することができる。説明例においては、TiSiNは、チタンシリル前駆体(TiR4−x、Lはシリル(SiR)リガンドである。)をアンモニア、アミン、ヒドラジン又は他の窒素含有ガスと反応させることによって生成することができる。他の説明例においては、TaSiNは、タンタルシリル前駆体(TiR4−x、Lはシリル(SiR(例えばSi(CH))リガンドである。)をアンモニア、アミン、ヒドラジン又は他の窒素含有ガスと反応させることによって生成することができる。同様の反応は、W、Mo、Ni、Co、Cr、Pt及びNbについても起きる。
【0063】
他の例においては、金属ケイ素窒化物は、CVD又はALDプロセスにおいて金属窒化物前駆体を金属ケイ素前駆体と反応させ又は分解することによって生成することができる。金属窒化物前駆体は、金属アミン、金属アミド、金属ヒドラジン又は金属アジドである。金属ケイ素前駆体は、ケイ素リガンドを含む金属複合体である。説明例においては、TiSiNは、TiR4−x、(Lはアミン(例えばジメチルアミン)、アミド(例えばジメチルアミド)、ヒドラジン又はアジドリガンドであり、Rは、シクロピンタジエニル又はC−Cアルキルである。)をTiR4−x(Lはシリルリガンド(例えばSi(CH)及びRはシクロペンタジエニル又はC−Cアルキルである。)と反応させ又は分解することによって生成することができる。同様の反応は、W、Mo、Ni、Co、Cr、Pt及びNbについても起きる。
【0064】
他の例においては、金属ケイ素窒化物は、CVD又はALDプロセスにおける単一源前駆体の反応又は分解によって生成することができる。単一源前駆体は、共通の分子構造における金属、ケイ素及び窒化物を含んでいる。単一源前駆体は、1以上のシリルリガンドとともに1以上の窒素を含むリガンド(例えばアミン、アミド、ヒドラジン、アジド)を含む金属前駆体、並びに1以上のシリルアミン(NR(SiR2−x)及び/又はアミノシリル(SiR(NR3−x)を含むリガンドを含んでいる。説明例においては、TiSiNは、RTiL4−xの反応又は分解から形成することができ、Lはアミノシリルリガンド(例えばN(C)(Si(CH)又はN(Si(CH)である。他の実施形態においては、TiSiNは、RTiL4−xの反応又は分解から生成することができ、Lはアミノシリルリガンド(例えばSi(CH(N(CH)又はSi(N(CH)である。他の実施形態においては、TiSiNは、RTiQ4−x−yの反応又は分解から生成することができ、Qはシリルアミンリガンド(例えばN(C)(Si(CH)又はN(Si(CH)及びLはアミノシリルリガンド(例えばSi(CH(N(CH)又はSi(N(CH)である。同様の反応は、W、Ta、Ni、Co、Cr、Pt、Mo及びNbについても起きる。
【0065】
さらなる例においては、金属ケイ素窒化物は、最初に金属前駆体を反応させ又は分解することによって生成して金属層を形成し、次に金属層に窒化プロセスを施し、次に窒化金属層にケイ化プロセスを施す。1つの実施形態においては、TiNは、チタンアルキル(TiR)を反応させ又は分解することによって生成してTi層を形成し、次にTi層をアンモニア(NH)、ヒドラジン(N)又は他の窒素前駆体に高温及び/又はプラズマの存在下においてさらし、TiN又は窒化Ti層を形成する。次に、窒化プロセスは、シラン又はジシランをTiN又は窒化Ti層に反応させ又は分解させることによるケイ化プロセスに継続する。これらのプロセスのステップは、複数回繰り返して層の厚さを増したり、ステップの順序を変化させたり逆にしたりすることができる。同様の反応は、W、Ta、Ni、Co、Cr、Pt、Mo及びNbについても起きる。同様に、上述したように、金属ケイ素窒化物層は、金属窒素前駆体を反応させ又は分解することによって金属窒化物を形成し、次に金属窒化物をケイ化プロセスにさらして金属ケイ素窒化物を形成することによって形成することができる。金属ケイ素窒化物層は、金属ケイ素前駆体を反応させ又は分解することによって金属ケイ化物を形成し、次に金属ケイ化物を窒化プロセスにさらして金属ケイ素窒化物を形成することによって形成することもできる。
【0066】
前述の例が示すように、金属窒化物、金属アルミニウム窒化物及び金属ケイ素窒化物電極材料は、CVD又はALDプロセスにおける種々の前駆体から生成することができる。電極材料は、単一源前駆体の反応又は分解又はそれぞれが所望の組成の少なくとも1つを含む2以上の前駆体の反応又は分解から生成することができる。反応し又は分解する前駆体は、反応炉に同時又は順次に(パージの介在あり又はなしで)導入される。所望の組成の全てを含まない中間体組成は、所望の元素のサブセットを含む前駆体の同時の反応又は分解によって形成され、その結果生じた層は、気相プロセスにおいて所望の元素の残りを含む前駆体と反応させ又は分解することによって処理される。
【0067】
窒素含有電極材料の形成において、所望の金属及び窒素を含む異なる前駆体のモル比又は単一前駆体における窒素対金属比に反映される高い窒素対金属比を有することが望ましい。金属窒素前駆体においては、2以上の窒素原子を含む個々のリガンド(アジド、二座アミン又はヒドラジンリガンドのような)が、1つの好ましい実施形態である。1つの実施形態においては、金属前駆体は、アジドリガンド及びアミノリガンドを含んでいる。他の実施形態においては、金属前駆体は、ヒドラジンリガンド及びアミンリガンドを含んでいる。さらなる実施形態においては、金属リガンドは、アジド又はヒドラジンリガンド及びシリルアミンリガンドを含んでいる。追加の実施形態においては、金属前駆体は、アジド又はヒドラジン及びアミノシリルリガンドを含んでいる。他の実施形態においては、金属前駆体は、二重結合を有する窒素原子を含んでいる。例は、アジド、イミド及びイミンリガンドを含んでいる。
【0068】
上述のように、しばしば、電極に隣接する電気的に刺激できる材料の熱的環境に合わせるために電極材料の抵抗率を制御することが望ましい。電極の高い抵抗率によって、所与の電流密度について電気的に刺激できる材料の近傍において高い局部温度が生成される。本明細書の1つの実施形態においては、本CVD及びALD方法にしたがい生成される電極材料の抵抗率は、電極組成の窒素含有量を変化させることによって制御することができる。概して、金属窒化物、金属アルミニウム窒化物及び金属ケイ素窒化物電極材料の抵抗率は、窒素含有量が増加するにつれて増加する。電極組成における窒素の化学量論を越えた含有によって、抵抗率は増加する。窒素の混入のレベルは、CVD又はALD堆積プロセスにおける窒素前駆の対金属前駆体に対する比率を増加することによって制御される。又は、専用の窒化ステップが、堆積した電極材料の窒素含有量を増加するために用いられる。窒素が増加するレベルは、堆積した電極材料の全体で均一であるか、又は堆積した電極材料の表面近くに局在している。
【0069】
1つの実施形態においては、x>1として一般式MNを有する金属窒化物組成が生成される。他の実施形態においては、x>1.1として一般式MNを有する金属窒化物組成が生成される。さらなる実施形態においては、x>1.25として一般式MNを有する金属窒化物組成が生成される。他の実施形態においては、x>1として一般式MAlNを有する金属アルミニウム窒化物組成が生成される。他の実施形態においては、x>1.1として一般式MNを有する金属アルミニウム窒化物組成が生成される。さらなる実施形態においては、x>1.25として一般式MNを有する金属アルミニウム窒化物組成が生成される。他の実施形態においては、x>1として一般式MSiNを有する金属ケイ素窒化物組成が精製される。他の実施形態においては、x>1.1として一般式MSiNを有する金属ケイ素窒化物組成が生成される。さらなる実施形態においては、x>1.25として一般式MNを有する金属ケイ素窒化物組成が生成される。
【0070】
電極材料の抵抗率は、本CVD又はALCプロセスの成長環境におけるO又は酸素含有前駆体の含有によって制御することもできる。酸素の存在によって、電極組成への酸素及び/又は酸化物の混入によってより抵抗性の材料が生成される。概して、金属は、酸素含有前駆体の存在下において、容易に酸化して抵抗相を形成する。成長環境における酸素の量を制御することによって、電極材料に混入する酸素のレベルを制御することができる。高レベルの酸素混入によって、電極材料の高い抵抗が得られる。酸素は、CVD又はALD前駆体の金属原子に結合した1以上のリガンド内の元素としての酸素の含有によって混入することもできる。カルボニル、アルコキシ及びケトンリガンドは、酸素を含むリガンドの説明例である。酸素の混入は、堆積後の酸化処理を用いることによっても達成することができる。さらに、本発明は、酸素及び窒素の両方を含む酸窒化物の形成による抵抗率の制御に拡張することができる。金属窒化物、金属アルミニウム窒化物及び金属ケイ素窒化物組成は、本発明の範囲内にある。
【0071】
開口内に電極を形成する本CVD及びALD方法は、低次元又は高アスペクト比を有するデバイス構造に適用して均一で、均質な充填を得ることができる。代表的なデバイス構造は、図7−9に図示され、電気的に刺激できる材料を含むデバイスの中央部、電気的に刺激できる材料と電気的に通信する抵抗電極及び周囲の絶縁材料が示されている。電気的に刺激できる材料、抵抗電極及び構造の絶縁体領域は、図7−9のそれぞれにおいて区別できる陰影によって別々に示されている。電気的に刺激できる材料は、電流、電圧及び電場に応答し、上述のように、プログラマブル抵抗性材料、相変化材料、カルコゲニド材料及びスイッチング材料を含む材料である。
【0072】
図7は、細孔セル又はフィラープラグセル構造に基づくデバイスを示している。細孔セルにおいて、電気的に刺激できる材料は、下部抵抗電極と接触する狭まった領域まで先細になり、その上に上部抵抗電極が形成される不規則な形状の頂面を含んでいる。図7に示す細孔セルにおいて、上部抵抗電極は、電気的に刺激できる材料の頂面のくぼみ上に形成されている。くぼみは、本明細書における及び細孔セルにおける開口の実施形態であり、くぼみの形状、寸法及びアスペクト比は変化し、従来の電極堆積技術が上述のように空隙又は他の欠陥を有する電極を形成した体制に近い。本CVD又はALD技術を提供することによって、開口内で優れた構造的均一性を有する上部抵抗性部電極を形成することができる。同様に、フィラープラグセルの下部抵抗電極は、典型的には、周囲の誘電材料における高アスペクト比の開口内に形成され、本CVD又はALD方法を用いることによって優れた均一性及び少ない欠陥を有して形成することができる。
【0073】
図8は、くぼんだフィラープラグセル構造及びマイクロ溝セル構造を示している。くぼんだフィラープラグセルは、フィラープラグセルの一種であり、電気的に刺激できる材料の一部が高アスペクト比の開口にくぼみ、開口内には下部電極が形成されている。本発明は、上述のCVC及びALD方法を用いて開口内に複数の層を形成する実施形態を含んでいる。この実施形態においては、2以上の材料又は抵抗率が異なる隣接領域を含む複合抵抗性電極は、第1抵抗電極材料がCVD又はALCによって形成され、次に第2抵抗電極材料がCVD又はALDによって形成される一連のプロセスによって形成される。第2の抵抗電極材料が電気的に刺激できる材料に隣接し、第1の抵抗電極材料より高い抵抗率を有すると、複合電極は、電流の生ずる熱エネルギーを電気的に刺激できる材料に近接してより有効に局在化し、より効率的な動作を提供する。例として、Ti層が形成され、次にTiN層がTi層上に形成される。マイクロ溝セルは、細孔セル構造の一種であり、下部抵抗電極は、下部接触領域を最小にするため、1以上の横方向の寸法が縮小している。マイクロ溝セルの上部又は下部電極のいずれか又は両方は、本CVD又はALCプロセスによって生成される。
【0074】
図9は、閉じ込めセル構造の2つの変形例を示している。閉じ込めセルにおいては、電気的に刺激できる材料を、動作できる電気的状態の解像度を許容する最小の寸法に閉じ込めることを目的としている。小さな寸法は、プログラミングに少ないエネルギーを要し、低い熱伝導度を有する周囲の絶縁体による外部の閉じ込めは、プログラミングの領域からの熱損失を最小にすることによって効率をさらに向上させる。閉じ込めセルの他の実施形態において、電極は、電極を抵抗によってプログラミングに十分な温度まで熱する(ジュール加熱)のに必要な電流を低下させるためにサイズの限定もされている。例えば、相変化材料においては、リセット状態へのプログラミングは、相変化材料を融解するのに十分な温度の生成を要する。相変化材料及び/又は電極を小さい寸法に閉じ込めることによって、電流増加及び高温の特定レベルに付随する電流密度は、低い電流レベルにおいて生成することができる。本CVD及びALD方法は、閉じ込めセル構造における電気的に刺激できる材料又は抵抗電極のいずれか又は両方を閉じ込め堆積を形成するのに用いることができる。下部又は上部電極のいずれか又は両方は、本発明の方法を用いることによって閉じ込め構造に形成することができる。
【0075】
本明細書で説明した開示及び記載は、例示のためのものであり、本発明の実施を制限することを意図するものではない。本発明の好ましい実施形態と思われるものを記載したが、当業者は、本発明の要旨から逸脱することなくさらなる変更及び修正を認め、このような変更及び修正は、本発明の全範囲に該当することを意図している。以下の特許請求の範囲は、すべての同等なものを含み、上述の記載と当業者が共通して利用できる知識との組み合わせにより、本発明の範囲を規定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に画定される開口を有する絶縁層を提供し、前記開口は側壁を有し、
第1の前駆体を蒸発させ、前記第1の前駆体は、金属及び第1のリガンドを含み、前記第1のリガンドは窒素を含み、
前記蒸発した第1の前駆体を前記開口に供給し、
前記蒸発した第1の前駆体を反応させ又は分解して前記開口内に第1の電極層を形成し、前記第1の電極層は、前記金属及び前記窒素を含み、前記第1の電極層は前記側壁と等質に接触する
電子デバイスを形成する方法。
【請求項2】
前記第1のリガンドは、アジド又はヒドラジンリガンドである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の前駆体は、第2のリガンドをさらに含み、前記第2のリガンドは窒素を含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第2のリガンドは、アジド、ヒドラジン、アミン又はアミドリガンドである請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の前駆体は、第2のリガンドをさらに含み、前記第2のリガンドはケイ素を含む請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記第2のリガンドは、シリルアミン又はアミノシリルリガンドを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1の電極層は、前記ケイ素をさらに含む請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記第1のリガンドは、イミン又はイミドリガンドである請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第1の前駆体は、第2のリガンドをさらに含み、前記第2のリガンドは窒素を含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第2のリガンドは、アジド、ヒドラジン、アミン又はアミドリガンドである請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記第1の前駆体は、第2のリガンドをさらに含み、前記第2のリガンドはケイ素を含む請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記第2のリガンドは、シリルアミン又はアミノシリルリガンドである請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記金属は、W、Ti又はTaである請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記金属は、Nb、Mo、Pt、Cr、Co又はNiである請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記第1の電極層は、金属窒化物化合物を含む請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記第1の電極における前記窒素の前記金属に対する原子比率は、1より大きい請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記第1の電極における前記窒素の前記金属に対する原子比率は、1.1より大きい請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記第1の電極は、前記開口を充填する請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記開口は、少なくとも1:1のアスペクト比を有する請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記開口は、少なくとも3:1のアスペクト比を有する請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記開口の寸法は、リソグラフィック限界である請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記開口の寸法は、サブリソグラフィックである請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記開口の寸法は、1000Åより小さい請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記開口の寸法は、500Åより小さい請求項18記載の方法。
【請求項25】
前記開口の寸法は、300Åより小さい請求項18記載の方法。
【請求項26】
第2の前駆体を蒸発させ、前記第2の前駆体はアルミニウムを含み、
前記蒸発した第2の前駆体を前記開口に供給し、
前記蒸発した第1の前駆体の存在下において、前記蒸発した第2の前駆体を反応させ又は分解して前記開口内に第1の電極層を形成し、前記第1の電極層は、前記金属、前記窒素及び前記アルミニウムを含み、前記第1の電極層は前記側壁と等質に接触する
ことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記第2の前駆体は、アルキルアルミニウム前駆体である請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第1の電極層は、金属アルミニウム窒化物化合物を含む請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記第2の前駆体を蒸発させ、前記第2の前駆体はケイ素を含み、
前記蒸発した第2の前駆体を前記開口に供給し、
前記蒸発した第1の前駆体の存在下において、前記蒸発した第2の前駆体を反応させ又は分解して前記開口内に第1の電極層を形成し、前記第1の電極層は、前記金属、前記窒素及び前記ケイ素を含み、前記第1の電極層は前記側壁と等質に接触する
ことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記第1の電極層は、金属ケイ素窒化物化合物を含む請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記第2の前駆体を蒸発させ、前記第2の前駆体は酸素を含み、
前記蒸発した第2の前駆体を前記開口に供給し、
前記蒸発した第1の前駆体の存在下において、前記蒸発した第2の前駆体を反応させ又は分解して前記開口内に第1の電極層を形成し、前記第1の電極層は、前記金属、前記窒素及び前記酸素を含み、前記第1の電極層は前記側壁と等質に接触する
ことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記第1の電極層は、金属オキシ窒化物化合物を含む請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記蒸発した第1の前駆体の供給を打ち切り、
第2の前駆体を蒸発させ、前記第2の前駆体はアルミニウムを含み、
前記蒸発した第2の前駆体を前記開口に供給し、
前記第1の電極層の存在下において、前記蒸発した第2の前駆体を反応させ又は分解し、前記反応又は分解により、前記第1の電極層に前記アルミニウムの混入を生じる
ことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記蒸発した第1の前駆体の供給を打ち切り、
第2の前駆体を蒸発させ、前記第2の前駆体はケイ素を含み、
前記蒸発した第2の前駆体を前記開口に供給し、
前記第1の電極層の存在下において、前記蒸発した第2の前駆体を反応させ又は分解し、前記反応又は分解により、前記第1の電極層に前記ケイ素の混入を生じる
ことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項35】
前記蒸発した第1の前駆体の供給を打ち切り、
第2の前駆体を蒸発させ、前記第2の前駆体は酸素を含み、
前記蒸発した第2の前駆体を前記開口に供給し、
前記第1の電極層の存在下において、前記蒸発した第2の前駆体を反応させ又は分解し、前記反応又は分解により、前記第1の電極層に前記酸素の混入を生じる
ことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項36】
前記開口の深さは、前記絶縁層の厚さに等しい請求項1記載の方法。
【請求項37】
前記前記絶縁層は前記第2の電極層上に形成され、前記開口は前記第2の電極の頂面を露出し、前記第1の電極層は前記第2の電極層の前記露出された部分に等質に接触している請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記第1の電極上に電気的に刺激できる材料を形成することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項39】
前記電気的に刺激できる材料は、非揮発メモリ材料、プログラマブル抵抗材料、電子スイッチング材料、カルコゲニド材料、相変化材料及びニクティド材料からなるグループから選択される請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記電気的に刺激できる材料は、化学気相堆積又は原子層堆積により形成される請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記電気的に刺激できる材料は、Te及びSbを含む請求項38記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−523503(P2011−523503A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507412(P2011−507412)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/002444
【国際公開番号】WO2009/134329
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(505052836)オヴォニクス,インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】