説明

車両の走行安全装置

【課題】 進行方向および通過中のカーブに対して適切に安全装置を作動させる。
【解決手段】 作動部64は、安全装置の作動時に運転意志検出部65にて運転者の加速意志が検出されないときには安全装置を作動させる所定期間を延長し、さらに、所定期間を延長している状態で運転意志検出部65により加速意志が検出されたときには所定期間を延長することを終了する。作動部64は、安全装置の作動時にヨーレートまたは横加速度の少なくとも何れかが増加傾向に変化することが検出されたときには安全装置を作動させる所定期間を延長し、さらに、所定期間を延長している状態でヨーレートまたは横加速度が増加傾向に変化しないことが検出されたときには所定期間を延長することを終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の走行安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両の進行方向前方に複数のカーブが連続してなる連続カーブが存在する場合に、各カーブの通過難度の判定結果に応じて、警報の内容を変更する車両の走行安全装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−367083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係る車両の走行安全装置においては、連続カーブを構成する複数のカーブの各通過難度を、各カーブへ侵入する以前のタイミングで、各カーブの径または曲率等のカーブ形状値もしくは各カーブに対する適正速度等に基づき判定するようになっている。しかしながら、各カーブの通過難度は、カーブへ侵入した以後において自車両の実際の走行状態や、自車両の位置でのカーブ形状値や、運転者の運転操作や運転意志等に応じて変化することから、これらの状態量を、各カーブに対する安全装置の作動状態に対して反映させることで安全装置の作動に対する信頼性を向上させることが望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、進行方向のカーブおよび通過中のカーブに対して適切に安全装置を作動させることが可能な車両の走行安全装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の車両の走行安全装置は、道路データを記憶する記憶手段(例えば、実施の形態での地図データ記憶部23)と、自車両の位置を検出する自車位置検出手段(例えば、実施の形態での現在位置検出部21)と、自車両の車両状態を検出する車両状態検出手段(例えば、実施の形態での車速センサ33、ジャイロセンサ32)と、前記記憶手段が記憶した前記道路データに基づき自車両の進行方向に存在するカーブの形状を認識するカーブ認識手段(例えば、実施の形態でのカーブ認識部61)と、前記カーブ認識手段が認識した前記カーブの形状に基づき該カーブを適正に通過可能な適正車両状態を設定する適正車両状態設定手段(例えば、実施の形態での適正車速設定部62)と、前記車両状態検出手段が検出した前記車両状態と、前記適正車両状態設定手段が設定した前記適正車両状態とを比較する比較手段(例えば、実施の形態での比較部63)と、前記比較手段による比較結果において前記自車両の車両状態が前記適正車両状態にないときに、自車両に設けられた安全装置(例えば、実施の形態でのブレーキアクチュエータ15)を所定期間に亘って作動させる作動手段(例えば、実施の形態での作動部64)とを備える車両の走行安全装置であって、運転者の加速意志を検出する意志検出手段(例えば、実施の形態での運転意志検出部65)を備え、前記作動手段は、前記安全装置の作動時に前記意志検出手段により加速意志が検出されないとき、前記所定期間を延長することを特徴としている。
【0005】
上記の車両の走行安全装置によれば、作動手段は、自車両の車両状態がカーブに対する適正車両状態にないときに自車両に設けられた安全装置を所定期間に亘って作動させる際に、加速意志が検出されないとき、つまり、運転者が減速の停止を望んでいないと判断できる場合には、所定期間に亘る安全装置の作動を延長することにより、安全装置の作動状態に運転者の意志を適切に反映させつつ、車両の走行安全性を向上させることができる。
しかも、安全装置を作動させる所定期間を、例えば、予め相対的に短い期間に設定しておき、運転者の意志に応じて所定期間を延長することにより、地図データの誤差等に起因して安全装置が不適切な状態で作動してしまうことを抑制することができる。
【0006】
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記作動手段は、前記所定期間を延長している状態で前記意志検出手段により加速意志が検出されたとき、前記所定期間を延長することを終了することを特徴としている。
【0007】
上記の車両の走行安全装置によれば、作動手段は、所定期間に亘る安全装置の作動を延長している状態で加速意志が検出されたときには、安全装置の延長作動を終了することにより、安全装置の作動中に運転者の意志が変化した場合であっても、安全装置の作動状態に運転者の意志を適切に反映させ、安全装置が過剰に作動してしまうことを防止することができる。
【0008】
さらに、請求項3に記載の本発明の車両の走行安全装置は、道路データを記憶する記憶手段と、自車両の位置を検出する自車位置検出手段と、自車両の車両状態を検出する車両状態検出手段と、前記記憶手段が記憶した前記道路データに基づき自車両の進行方向に存在するカーブの形状を認識するカーブ認識手段と、前記カーブ認識手段が認識した前記カーブの形状に基づき該カーブを適正に通過可能な適正車両状態を設定する適正車両状態設定手段と、前記車両状態検出手段が検出した前記車両状態と、前記適正車両状態設定手段が設定した前記適正車両状態とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果において前記自車両の車両状態が前記適正車両状態にないときに、自車両に設けられた安全装置を所定期間に亘って作動させる作動手段とを備える車両の走行安全装置であって、自車両の横加速度またはヨーレートの少なくとも何れかを検出する旋回状態量検出手段(例えば、実施の形態でのジャイロセンサ32、横加速度算出部62a)を備え、前記作動手段は、前記安全装置の作動時に前記旋回状態量検出手段により前記横加速度または前記ヨーレートが増加傾向に変化することが検出されたとき、前記所定期間を延長することを特徴としている。
【0009】
上記の車両の走行安全装置によれば、作動手段は、自車両の車両状態がカーブに対する適正車両状態にないときに自車両に設けられた安全装置を所定期間に亘って作動させる際に、横加速度またはヨーレートが増加傾向に変化することが検出されたとき、例えば車両が適正車両状態に到達しない状態でカーブに進入した場合等には、所定期間に亘る安全装置の作動を延長することにより、既に進入したカーブに対しても自車両を適正に通過させることができる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記作動手段は、前記所定期間を延長している状態で前記旋回状態量検出手段により前記横加速度または前記ヨーレートが増加傾向ではないことが検出されたとき、前記所定期間を延長することを終了することを特徴としている。
【0011】
上記の車両の走行安全装置によれば、作動手段は、所定期間に亘る安全装置の作動を延長している状態で横加速度またはヨーレートが増加傾向に変化しないことが検出されたときには、安全装置の延長作動を終了することにより、走行状態が変化した場合であっても安全装置が過剰に作動してしまうことを防止することができる。
【0012】
さらに、請求項5に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記安全装置は減速装置であり、前記作動手段は、前記所定期間を延長した場合に、延長期間中の前記減速装置による減速度を、前記延長期間以前の前記減速装置の減速度よりも小さな値に設定することを特徴としている。
【0013】
上記の車両の走行安全装置によれば、延長期間中に過剰な減速が行われてしまうことを防止することができる。
【0014】
さらに、請求項6に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記作動手段は、前記旋回状態量検出手段により検出される前記横加速度または前記ヨーレートが増大することに伴い、前記減速度が低下傾向に変化するように設定することを特徴としている。
【0015】
上記の車両の走行安全装置によれば、横加速度またはヨーレートが増大することに伴い、減速度を減少傾向に設定することにより、減速制御の実行により車両の走行挙動が不安定な状態になることを抑制し、所望の走行安全性を確保することができる。
【0016】
さらに、請求項7に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記車両状態は速度であり、前記作動手段は、前記適正車両状態に対応する適正速度を小さく変更することにより、前記所定期間を延長することを特徴としている。
【0017】
上記の車両の走行安全装置によれば、適正速度を小さく変更することにより、例えば所定の減速度を確保した状態では、この適正速度に到達するまでの減速に要する期間が実質的に延長される。
【0018】
さらに、請求項8に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記作動手段は、前記安全装置の作動終了位置を進行方向遠方へ所定距離だけずれた位置へ変更することにより、前記所定期間を延長することを特徴としている。
【0019】
上記の車両の走行安全装置によれば、安全装置の作動終了位置を進行方向遠方へ所定距離だけずれた位置へ変更することにより、例えば所定の減速度を確保した状態では、この作動終了位置に到達するまでに要する期間が実質的に延長される。
【0020】
さらに、請求項9に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記作動手段は、前記カーブ認識手段が認識したカーブの形状に基づき、カーブの深さまたはカーブの長さの少なくとも何れかを検知し、カーブの深さが深くなることに伴い、または、カーブの長さが長くなることに伴い、前記所定距離が増大傾向に変化するように設定することを特徴としている。
【0021】
上記の車両の走行安全装置によれば、安全装置の作動終了位置を進行方向遠方へ所定距離だけずれた位置へ変更する際に、この所定距離をカーブ形状値に応じて変更することにより、安全装置を作動させる所定期間をカーブの形状に応じて適切に設定することができる。
【0022】
さらに、請求項10に記載の本発明の車両の走行安全装置は、道路の勾配を検知する勾配検知手段(例えば、実施の形態でのジャイロセンサ32)を備え、前記作動手段は、前記勾配検知手段により検知される上り勾配の勾配が増大することに伴い、前記所定距離が減少傾向に変化するように設定し、前記勾配検知手段により検知される下り勾配の勾配が増大することに伴い、前記所定距離が増大傾向に変化するように設定することを特徴としている。
【0023】
上記の車両の走行安全装置によれば、上り勾配が存在することで自車両の速度が減少傾向に変化することが予想される場合には延長期間を減少傾向に変化させ、下り勾配が存在することで自車両の速度が増加傾向に変化することが予想される場合には延長期間を増大傾向に変化させることで、安全装置を作動させる所定期間を走行路の勾配状態に応じて適切に設定することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の車両の走行安全装置によれば、運転者が減速の停止を望んでいないと判断できる場合には、所定期間に亘る安全装置の作動を延長することにより、安全装置の作動状態に運転者の意志を適切に反映させつつ、車両の走行安全性を向上させることができる。
しかも、安全装置を作動させる所定期間を、例えば、予め相対的に短い期間に設定しておき、運転者の意志に応じて所定期間を延長することにより、地図データの誤差等に起因して安全装置が不適切な状態で作動してしまうことを抑制することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、安全装置の作動中に運転者の意志が変化した場合であっても、安全装置の作動状態に運転者の意志を適切に反映させ、安全装置が過剰に作動してしまうことを防止することができる。
【0025】
さらに、請求項3に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、例えば車両が適正車両状態に到達しない状態でカーブに進入した場合等のように、横加速度またはヨーレートが増加傾向に変化することが検出されたとき所定期間に亘る安全装置の作動を延長することにより、既に進入したカーブに対しても自車両を適正に通過させることができる。
さらに、請求項4に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、走行状態が変化した場合であっても安全装置が過剰に作動してしまうことを防止することができる。
さらに、請求項5に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、延長期間中に過剰な減速が行われてしまうことを防止することができる。
【0026】
さらに、請求項6に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、減速制御の実行により車両の走行挙動が不安定な状態になることを抑制し、所望の走行安全性を確保することができる。
さらに、請求項7に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、適正速度を小さく変更することにより、この適正速度に到達するまでの減速に要する期間を実質的に延長することができる。
さらに、請求項8に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、安全装置の作動終了位置を進行方向遠方へ所定距離だけずれた位置へ変更することにより、この作動終了位置に到達するまでに要する期間を実質的に延長することができる。
【0027】
さらに、請求項9に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、安全装置の作動終了位置を進行方向遠方へ所定距離だけずれた位置へ変更する際に、この所定距離をカーブ形状値に応じて変更することにより、安全装置を作動させる所定期間をカーブの形状に応じて適切に設定することができる。
さらに、請求項10に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、安全装置を作動させる所定期間を走行路の勾配状態に応じて適切に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る車両の走行安全装置について添付図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態による車両の走行安全装置10は、例えば、内燃機関11の駆動力を、オートマチックトランスミッション(AT)あるいは無段自動変速機(CVT)等のトランスミッション(T/M)12を介して車両の駆動輪に伝達する車両に搭載され、ナビゲーション装置13と、制御装置14と、ブレーキアクチュエータ15および警報装置(図示略)を具備する安全装置(図示略)とを備えて構成されている。
【0030】
ナビゲーション装置13は、例えば現在位置検出部21と、ナビゲーション処理部22と、地図データ記憶部23と、入力部24と、表示部25とを備えて構成されている。
さらに、現在位置検出部21は、例えば人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号や、例えば適宜の基地局を利用してGPS信号の誤差を補正して測位精度を向上させるためのD(Differential)GPS信号等の測位信号を受信する測位信号受信部31と、水平面内での自車両の向きや鉛直方向に対する傾斜角度(例えば、車両の前後方向軸の鉛直方向に対する傾斜角度や車両重心の上下方向軸回りの回転角であるヨー角等)および傾斜角度の変化量(例えば、ヨーレート等)を検出するジャイロセンサ32と、車両の速度(車速)を検出する車速センサ33とを備えて構成され、受信した測位信号によって、あるいは、車速やヨーレート等の検出信号に基づく自律航法の算出処理によって、車両の現在位置を算出する。
【0031】
地図データ記憶部23は、例えばハードディスク装置等の磁気ディスク装置や、例えばCD−ROMやCD−RやMOやDVD等の光ディスク装置等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からなる。そして、地図データ記憶部23は、例えば表示部25において地図を表示するための地図データとして、例えば道路の幅員データや複数の道路の交差角度や交差点の形状や位置等の道路データを格納している。
【0032】
ナビゲーション処理部22は、例えば、地図データ記憶部23から取得される道路データに対して、現在位置検出部21における測位信号および自律航法の算出処理のそれぞれ、又は、何れかから得られる車両の現在位置の情報に基づいてマップマッチングを行い、位置検出の結果を補正すると共に、検出された車両の現在位置、あるいは、各種スイッチやキーボード等からなる入力部24を介して操作者により入力された適宜の車両の位置に対して、表示部25での地図表示を制御する。
また、ナビゲーション処理部22は、例えば車両の経路探索や経路誘導等の処理を実行し、地図データ記憶部23から取得される道路データと共に、例えば目的地までの経路情報や各種の付加情報を表示部25へ出力する。
【0033】
制御装置14は、速度制御部41と、エンジン制御部42と、変速制御部43と、ブレーキ制御部44とを備えて構成され、さらに、速度制御部41は、カーブ認識部61と、適正車速設定部62と、比較部63と、作動部64と、運転意志検出部65とを備えて構成されている。
【0034】
カーブ認識部61は、地図データ記憶部23に記憶された道路データを取得し、この道路データに基づいて自車両の進行方向の道路形状として道路上に存在するカーブを検出する。
例えばカーブ認識部61は、道路データの基礎となるノードつまり道路形状を把握するための点(例えば、図2に示す白抜き丸および黒丸)と、リンクつまり各ノードを結ぶ線(例えば、図2に示す白抜き丸および黒丸を結ぶ線)とに基づいて、カーブの形状を認識する。そして、例えばカーブの径や曲率および極性、カーブの長さ(カーブの深さ)、カーブの通過に要する旋回角等からなるカーブ形状値を算出し、適正車速設定部62へ出力する。
【0035】
適正車速設定部62は、カーブ認識部61にて認識されたカーブ形状値に基づいて、このカーブを適正に通過可能な車両の速度(適正速度VS)を算出する。そして、適正車速設定部62は設定した適正速度VSのデータを比較部63へ出力する。
ここで、適正車速設定部62は、カーブ通過時に車両の横方向に発生する加速度(横加速度)を算出する横加速度算出部62aを備えている。すなわち、先ず、横加速度算出部62aは、カーブ認識部61にて認識されたカーブの形状に基づいて、このカーブを適正に通過する際に許容される横加速度を算出する。次に、適正車速設定部62は、この横加速度を車両に発生させる車両の速度を算出し、この速度を適正速度VSとして設定する。
なお、カーブ通過時に自車両に許容される横加速度は、路面状況、タイヤの状況、積載の状態等により変化するため、これらを更に考慮して適正速度VSを設定するようにしてもよい。
また、認識されたカーブの形状の手前に上り勾配または下り勾配が存在する場合には、勾配の大きさに応じて適正速度VSが設定されるようになっている。
【0036】
比較部63は、現在位置検出部21の車速センサ33にて検出した車両の速度(現在速度)VPと、適正車速設定部62にて設定した適正速度VSとを比較して、この比較結果を作動部64へ出力する。
作動部64は、比較部63での比較結果に基づいてエンジン制御部42および変速制御部43およびブレーキ制御部44の作動を制御する。例えば、比較部63での比較結果において、車速センサ33にて検出した現在速度VPと適正車速設定部62にて設定した適正速度VSとが異なる場合、例えば検出された車両の現在速度VPが適正速度VSよりも高い状態等のように車両が適正車両状態にない場合には、所定期間に亘って、警報装置を作動させて運転者の注意を喚起したり、ブレーキ制御部44を介してブレーキアクチュエータ15を作動させて自動的に車両を減速させる。
【0037】
作動部64にて警報装置およびブレーキアクチュエータ15等からなる安全装置を作動させるタイミングは、車両がカーブ認識部61にて認識したカーブの入口位置に到達するまでに、現在速度VPから適正速度VSまで減速する際に要する時間または距離等に基づいて設定される。
例えば図2に示すように、車両Aが速度V1(例えば、速度V1>適正速度VS)で走行している場合に、進行方向前方に存在するカーブCを適正に通過するためには、カーブCの入口位置CSにて車両の速度が適正速度VSとなるように設定する。
このとき、例えば所定の減速度GS(例えば、0.2G=0.2×9.8m/s)にて、現在の速度V1(例えば、100km/h)から適正速度VS(例えば、40km/h)まで減速する場合には、減速に要する時間TはT=(V1−VS)/GSにより求められる。そして、この時間Tに基づいて、減速に要する距離つまり減速必要距離L0が算出され、カーブCの入口位置CSから、減速必要距離L0だけ手前の減速開始位置C0(図2に示す黒丸C0)が設定される。
【0038】
さらに、例えば、警報を発して運転者に注意を促してから、実際に運転者が反応してブレーキを踏み込むまでの反応時間(例えば、約0.5s)と、運転者がブレーキを踏み込んでから実際にブレーキが効き始めるまでの空走時間(例えば、約0.3s)とを考慮して反応空走距離ΔL0を算出する。これにより、減速開始位置C0(図2に示す黒丸C0)から反応空走距離ΔL0だけ手前の警報開始位置CWが設定される。
すなわち、車両AがカーブCの手前に設定される警報開始位置CWに到達した時点、つまり車両Aの現在位置とカーブCの入口位置CSとの間の距離(減速対象地点間距離Ln)が、下記数式(1)に示すように設定される警報必要距離LWに等しくなった時点で警報を発する。
【0039】
【数1】

【0040】
運転意志検出部65は、例えば運転者によるアクセルペダルの踏み込み操作等を検出することにより運転者の加速意志の有無を検出すると共に、例えばブレーキペダルの踏み込み操作やアクセルペダルの踏み戻し操作等を検出することにより運転者の減速意志の有無を検出する。
このため、速度制御部41には、車速センサ33から出力される検出信号に加えて、運転者によるアクセルペダルの操作量に係るアクセル開度を検出するアクセル開度センサ51と、運転者によるブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダルセンサ52と、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ53とから出力される各検出信号が入力されている。
【0041】
そして、作動部64は、安全装置の作動時に運転意志検出部65にて運転者の加速意志が検出されないときには安全装置を作動させる所定期間を延長する。さらに、所定期間を延長している状態で運転意志検出部65により加速意志が検出されたとき、所定期間を延長することを終了する。
なお、作動部64は、適宜の延長期間を設定することに代えて、例えば適正速度VSを小さく変更したり、例えば安全装置の作動終了位置を進行方向遠方へ所定距離だけずれた位置へ変更することによって、所定期間を実質的に延長可能である。ここで、作動部64は、カーブ認識部61が認識したカーブの形状に基づき、カーブの深さまたはカーブの長さの少なくとも何れかを検知し、カーブの深さが深くなることに伴い、または、カーブの長さが長くなることに伴い、所定距離が増大傾向に変化するように設定すると共に、ジャイロセンサ32により検出される走行路上の上り勾配の勾配が増大することに伴い、所定距離が減少傾向に変化するように設定し、ジャイロセンサ32により検出される走行路上の下り勾配の勾配が増大することに伴い、所定距離が増大傾向に変化するように設定する。
【0042】
また、作動部64は、安全装置の作動時に、例えばジャイロセンサ32により検出されるヨーレートまたは横加速度算出部62aにより算出される横加速度の少なくとも何れかが増加傾向に変化することが検出されたときには安全装置を作動させる所定期間を延長する。さらに、所定期間を延長している状態でヨーレートまたは横加速度が増加傾向に変化しないことが検出されたとき、所定期間を延長することを終了する。
ここで、作動部64は、安全装置としてブレーキアクチュエータ15を作動させる状態で、所定期間を延長した場合には、延長期間中のブレーキアクチュエータ15による減速度を、延長期間以前の減速度よりも小さな値に設定すると共に、ヨーレートまたは横加速度が増大することに伴い、ブレーキアクチュエータ15による減速度が低下傾向に変化するように設定する。
【0043】
本実施の形態による車両の走行安全装置10は上記構成を備えており、次に、この車両の走行安全装置10の動作、特に、安全装置の制御を変更する処理について添付図面を参照しながら説明する。
【0044】
先ず、図3に示すステップS01においては、地図データ記憶部23に格納された道路データに基づいて、進行方向にカーブ形状が存在するか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS02に進む。
次に、ステップS02においては、車両の現在速度VPおよび現在位置を取得する。
次に、ステップS03においては、検出したカーブ形状に対して、例えばカーブの最小径や最大曲率や極性、カーブの長さ(カーブの深さ)、カーブの通過に要する旋回角等からなるカーブ形状値を推定し、推定したカーブ形状値に基づいてカーブ形状を適正に通過可能な適正速度VSを算出する。
【0045】
次に、ステップS04においては、例えば検出した現在速度VPが、算出した適正速度VSよりも大きいか否かを判定することにより、検出したカーブ形状を適正に通過するために減速制御が必要か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進む。
ステップS05においては、運転者による減速操作、例えばブレーキペダルの踏み込み操作等が無いか否かを判定する。
ステップS05の判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、ステップS05の判定結果が「YES」の場合には、カーブ走行に対する運転者の集中度合が低下していると判断して、ステップS06に進む。
そして、ステップS06においては、ブレーキアクチュエータ15を駆動する。
【0046】
次に、ステップS07においては、現在速度VPが適正速度VSよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS12に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS08に進む。
そして、ステップS08においては、カーブの入口位置に到達したか否かを判定する。
ステップS08の判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS07に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS09に進む。
そして、ステップS09においては、運転者によるアクセルペダルへの足載せ状態、つまりアクセルペダルの非開放状態であるか否かを判定する。
ステップS09の判定結果が「NO」の場合には、ステップS10に進む。
一方、ステップS09の判定結果が「YES」の場合には、ステップS11に進む。
【0047】
そして、ステップS10においては、速度超過の状態でカーブに到達していると共に、アクセルペダルが開放状態であることから運転者が減速を望んでいると判断して、減速制御の実行を延長し、一連の処理を終了する。このとき、例えば減速制御の実行を終了する目標位置(減速制御終了目標位置)を進行方向の遠方側にずれた位置に変更することによって、所定期間に亘る減速制御の実行を実質的に延長する。
また、ステップS11においては、減速制御を終了し、一連の処理を終了する。
また、ステップS12においては、運転者によるアクセルペダルへの足載せ状態、つまりアクセルペダルの非開放状態であるか否かを判定する。
ステップS12の判定結果が「NO」の場合には、ステップS13に進む。
一方、ステップS12の判定結果が「YES」の場合には、ステップS11に進む。
そして、ステップS13においては、現在速度VPが適正速度VSよりも小さい状態、つまり地図データ記憶部23に記憶された道路データに基づき設定された適正速度VSに対しては減速制御の実行終了が判定される状態であるにも関わらず、アクセルペダルが開放状態であって運転者が加速を望んでいない場合には、適正速度VSの設定が不適切であって実際には運転者が減速を望んでいると判断して、所定期間に亘る減速制御の実行を延長し、一連の処理を終了する。このとき、例えば適正速度VSを下方側に低下した値に変更することによって、所定期間に亘る減速制御の実行を実質的に延長する。
【0048】
例えば、図4に示すように、減速制御の実行状態で運転者によるアクセルペダルへの足載せ状態がオフ状態、つまりアクセルペダルの開放状態とされる時刻t0から時刻t1においては、検出される現在速度VPが低下傾向に変化する。
ここで、例えば時刻t1にて運転者のアクセルペダルへの足載せ状態がオン状態となった場合(例えば、図4に示す点線A)には、現在速度VPが実行中の減速制御に対して予め設定された適正速度VS0に到達していない状態であっても、運転者が減速の停止を望んでおり、この時点での現在速度VPが運転者が望む速度であると判断して、この時刻t1以降での減速制御の実行を停止する。
また、運転者のアクセルペダルへの足載せ状態がオフ状態で減速制御の実行が継続された状態で、車両が予め設定された減速制御の実行を終了する目標位置(減速制御終了目標位置)に到達して、現在速度VPが実行中の減速制御に対して予め設定された適正速度VS0に到達した時刻t2以降であっても、足載せ状態のオフ状態つまりアクセルペダルの開放状態が継続される場合(例えば、図4に示す実線B)には減速制御の実行を継続する。そして、継続された減速制御は、運転者のアクセルペダルへの足載せ状態がオン状態となった時刻t3において停止される。つまり、この場合には、予め設定された減速制御終了目標(時刻t2での現在位置)が進行方向の遠方側にずれた位置(時刻t3での現在位置)まで変更されると共に、予め設定された適正速度VS0(時刻t2での現在速度VP)が相対的に小さな適正速度VS1((時刻t3での現在速度VP)へ変更されることになる。
【0049】
なお、上述したステップS10またはステップS13において、所定期間に亘る減速制御の実行を延長する際には、カーブ形状値に応じて延長期間を設定する。
例えば図5に示すように、自車両Pの進行方向に存在する単一の回転半径を有するカーブ、例えば相対的に浅いカーブC1(入口位置CS〜出口位置CE1)と、相対的に深いカーブC2(入口位置CS〜出口位置CE2)とに対して、減速制御の実行を終了する目標位置(減速制御終了目標位置、例えば図5では入口位置CSと同等)を進行方向の遠方側にずれた位置に変更することによって所定期間に亘る減速制御の実行を実質的に延長する場合には、深いカーブC2に対する減速制御終了目標位置D2を、浅いカーブC1に対する減速制御終了目標位置D1よりも、進行方向の遠方側にずれた位置に設定する。つまり、深いカーブC2での延長量(延長距離L2)は、浅いカーブC1での延長量(延長距離L1)よりも大きな値となるように設定される。
【0050】
上述したように、本実施の形態による車両の走行安全装置10によれば、安全装置の作動により車両が減速された際に、運転者の加速意志が検出されない場合には、安全装置を作動させる期間を延長するように制御を変更し、車両をより一層減速させることにより、安全装置の作動状態に運転者の意志を適切に反映させ、車両の走行安全性を向上させることができる。これにより、例えば地図データ記憶部23に記憶されている道路データの誤差等により安全装置が過剰作動することを防止するために、予め安全装置の作用を弱めに設定している状態であっても、運転者が安全装置による減速が不十分であると感じている場合には、減速制御を継続する所定期間を延長することで、運転者の減速意志を適切に反映した減速制御を行うことができる。
さらに、減速制御を継続する所定期間を延長する際に、例えば速度超過の状態でカーブに到達している場合には減速制御の実行を終了する目標位置(減速制御終了目標位置)を進行方向の遠方側にずれた位置に変更し、現在速度VPが適正速度VSよりも小さい状態、つまり地図データ記憶部23に記憶された道路データに基づき設定された適正速度VSに対しては減速制御の実行終了が判定される状態であるにも関わらず、アクセルペダルが開放状態であって運転者が加速を望んでいない場合には、適正速度VSを下方側に低下した値に変更することによって、自車両の走行状態及び運転者の意志に応じた適切な方法で
所定期間に亘る減速制御の実行を実質的に延長することができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態においては、運転者のアクセルペダルへの足載せ状態に応じて減速制御を延長するか否かを判定するとしたが、これに限定されず、例えば図6および図7に示す上述した実施の形態の第1変形例のように、例えば横加速度算出部62aにより算出される横加速度またはジャイロセンサ32により検出されるヨーレートの少なくとも何れかの変化状態に応じて減速制御を延長するか否かを判定してもよい。
この第1変形例において上述した実施の形態と異なる点は、ステップS07以降の処理である。
すなわち、図6に示すステップS07の判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS34に進む。一方、ステップS07の判定結果が「YES」の場合には、ステップS31に進む。
そして、ステップS31においては、車両の横加速度を取得する。
そして、ステップS32においては、取得した横加速度が所定値以下であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS35に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS33に進む。
【0052】
そして、ステップS33においては、カーブに到達したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS33の処理を繰り返す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、車両の横加速度がカーブを適正に通過するための所定値以下であると判断して、ステップS34に進む。
そして、ステップS34においては、減速制御の実行を終了し、一連の処理を終了する。
また、ステップS35においては、取得した横加速度が増大傾向に変化しているか否かを判定する。
ステップS35の判定結果が「NO」の場合、つまり車両の横加速度がカーブを適正に通過するための所定値よりも大きい状態であっても横加速度が増大傾向に変化していない場合には、上述したステップS33に進む。
一方、ステップS35の判定結果が「YES」の場合には、ステップS36に進む。
そして、ステップS36においては、カーブに到達したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS36の処理を繰り返す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、車両の横加速度がカーブを適正に通過するための所定値よりも大きく、かつ、横加速度が増大傾向に変化することで、カーブを適正に通過することが困難であると判断して、ステップS37に進む。
そして、ステップS37においては、減速制御の実行を延長し、一連の処理を終了する。
なお、ステップS37にて延長された減速制御の実行は、横加速度が減少傾向に変化することが検出された時点で終了される。
また、ステップS37にて減速制御の実行を延長した場合には、延長期間中のブレーキアクチュエータ15による減速度を、延長期間以前の減速度よりも小さな値に設定すると共に、ヨーレートまたは横加速度が増大することに伴い、減速度が低下傾向に変化するように設定する。
【0053】
例えば、図7に示すように、減速制御の実行状態である時刻t10から時刻t11においては、検出される現在速度VPが低下傾向に変化する。
ここで、例えば、時刻t11において車両が予め設定された減速制御の実行を終了する目標位置(減速制御終了目標位置)に到達したことにより、たとえ横加速度が所定値以上であって増大傾向に変化している状態であっても減速制御の実行を停止する(例えば、図7に示す点線C)と、この時刻t11以降において横加速度が過剰に増大し、カーブを適正に通過することが困難となる虞がある。
これに対して、時刻t11において車両が予め設定された減速制御の実行を終了する目標位置(減速制御終了目標位置)に到達した場合であっても、横加速度が所定値以上であって増大傾向に変化している状態では、減速制御の実行を延長して継続する(例えば、図7に示す実線D)ことにより、この時刻t11以降において、検出される現在速度VPが低下傾向に変化すると共に、横加速度が過剰に増大することが防止される。そして、継続された減速制御は、横加速度が減少傾向に変化することが検出された時点、あるいは、現在速度VPが適正速度VSに到達する時刻t12近傍の時刻において停止される。
【0054】
この第1変形例によれば、例えば車両が適正車両状態に到達しない状態でカーブに進入した場合等のように、横加速度またはヨーレートが増加傾向に変化することが検出されたとき所定期間に亘る安全装置の作動を延長することにより、既に進入したカーブに対しても自車両を適正に通過させることができる。
【0055】
なお、上述した実施の形態においては、運転者のアクセルペダルへの足載せ状態に応じて減速制御を延長するか否かを判定するとしたが、これに限定されず、例えば図8に示す上述した実施の形態の第2変形例のように、例えばジャイロセンサ32により検出される走行路上の勾配状態に応じて減速制御を延長するか否かを判定してもよい。
この第2変形例においては、先ず、ステップS41において、地図データ記憶部23に格納された道路データに基づいて、進行方向にカーブ形状が存在するか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS42に進む。
そして、ステップS42においては、減速制御開始目標位置を設定する。
次に、ステップS43においては、検出したカーブ形状に対して、カーブの通過に要する旋回角を取得する。
そして、ステップS44においては、減速制御終了目標位置を設定する。
【0056】
そして、ステップS45においては、走行路に上り勾配(例えば、所定勾配以上等)が存在するか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、速度が減少傾向に変化すると判断して、ステップS46に進み、このステップS46においては、減速制御終了目標位置を進行方向の手前側にずれた位置に変更し、実質的に減速制御の実行期間を短縮し、後述するステップS49に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS47に進む。
そして、ステップS47においては、走行路に下り勾配(例えば、所定勾配以上等)が存在するか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、速度が増大傾向に変化すると判断して、ステップS48に進み、このステップS48においては、減速制御終了目標位置を進行方向の遠方側にずれた位置に変更し、実質的に減速制御の実行期間を延長し、ステップS49に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS49に進む。
【0057】
次に、ステップS49においては、検出したカーブ形状に対して、例えばカーブの最小径や最大曲率や極性、カーブの長さ(カーブの深さ)、カーブの通過に要する旋回角等からなるカーブ形状値を推定し、推定したカーブ形状値に基づいてカーブ形状を適正に通過可能な適正速度VSを算出する。
次に、ステップS50においては、例えば検出した現在速度VPが、算出した適正速度VSよりも大きいか否かを判定することにより、検出したカーブ形状を適正に通過するために減速制御が必要か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS51に進む。
そして、ステップS51においては、減速制御を実行する。
【0058】
そして、ステップS52においては、現在速度VPが適正速度VSよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS54に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS53に進む。
そして、ステップS53においては、車両が減速制御終了目標位置に到達したか否かを判定する。
ステップS53の判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS52に戻る。
一方、ステップS53の判定結果が「YES」の場合には、ステップS54に進む。
そして、ステップS54においては、減速制御の実行を終了し、一連の処理を終了する。
【0059】
この第2変形例によれば、安全装置を作動させる所定期間を走行路の勾配状態に応じて適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の走行安全装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】車両がカーブに進入する際の警報の作動タイミングを示す図である。
【図3】図1に示す車両の走行安全装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】車両の現在速度VPと運転者によるアクセルペダルへの足載せ状態との時間変化の一例を示すグラフ図である。
【図5】自車両Pの進行方向に存在する2つのカーブC1,C2に対して変更された減速制御終了目標位置の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の第1変形例に係る車両の走行安全装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の第1変形例に係る車両の現在速度VPと横加速度との時間変化の一例を示すグラフ図である。
【図8】本実施形態の第2変形例に係る車両の走行安全装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10 車両の走行安全装置
15 ブレーキアクチュエータ(安全装置)
21 現在位置検出部(自車位置検出手段)
23 地図データ記憶部(記憶手段)
32 ジャイロセンサ(勾配検知手段、旋回状態量検出手段)
33 車速センサ(車両状態検出手段)
61 カーブ認識部(カーブ認識手段)
62 適正車速設定部(適正車両状態設定手段)
62a 横加速度算出部(旋回状態量検出手段)
63 比較部(比較手段)
64 作動部(作動手段)
65 運転意志検出部(意志検出手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路データを記憶する記憶手段と、
自車両の位置を検出する自車位置検出手段と、
自車両の車両状態を検出する車両状態検出手段と、
前記記憶手段が記憶した前記道路データに基づき自車両の進行方向に存在するカーブの形状を認識するカーブ認識手段と、
前記カーブ認識手段が認識した前記カーブの形状に基づき該カーブを適正に通過可能な適正車両状態を設定する適正車両状態設定手段と、
前記車両状態検出手段が検出した前記車両状態と、前記適正車両状態設定手段が設定した前記適正車両状態とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果において前記自車両の車両状態が前記適正車両状態にないときに、自車両に設けられた安全装置を所定期間に亘って作動させる作動手段と
を備える車両の走行安全装置であって、
運転者の加速意志を検出する意志検出手段を備え、
前記作動手段は、前記安全装置の作動時に前記意志検出手段により加速意志が検出されないとき、前記所定期間を延長することを特徴とする車両の走行安全装置。
【請求項2】
前記作動手段は、前記所定期間を延長している状態で前記意志検出手段により加速意志が検出されたとき、前記所定期間を延長することを終了することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行安全装置。
【請求項3】
道路データを記憶する記憶手段と、
自車両の位置を検出する自車位置検出手段と、
自車両の車両状態を検出する車両状態検出手段と、
前記記憶手段が記憶した前記道路データに基づき自車両の進行方向に存在するカーブの形状を認識するカーブ認識手段と、
前記カーブ認識手段が認識した前記カーブの形状に基づき該カーブを適正に通過可能な適正車両状態を設定する適正車両状態設定手段と、
前記車両状態検出手段が検出した前記車両状態と、前記適正車両状態設定手段が設定した前記適正車両状態とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果において前記自車両の車両状態が前記適正車両状態にないときに、自車両に設けられた安全装置を所定期間に亘って作動させる作動手段と
を備える車両の走行安全装置であって、
自車両の横加速度またはヨーレートの少なくとも何れかを検出する旋回状態量検出手段を備え、
前記作動手段は、前記安全装置の作動時に前記旋回状態量検出手段により前記横加速度または前記ヨーレートが増加傾向に変化することが検出されたとき、前記所定期間を延長することを特徴とする車両の走行安全装置。
【請求項4】
前記作動手段は、前記所定期間を延長している状態で前記旋回状態量検出手段により前記横加速度または前記ヨーレートが増加傾向ではないことが検出されたとき、前記所定期間を延長することを終了することを特徴とする請求項3に記載の車両の走行安全装置。
【請求項5】
前記安全装置は減速装置であり、
前記作動手段は、前記所定期間を延長した場合に、延長期間中の前記減速装置による減速度を、前記延長期間以前の前記減速装置の減速度よりも小さな値に設定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両の走行安全装置。
【請求項6】
前記作動手段は、前記旋回状態量検出手段により検出される前記横加速度または前記ヨーレートが増大することに伴い、前記減速度が低下傾向に変化するように設定することを特徴とする請求項5に記載の車両の走行安全装置。
【請求項7】
前記車両状態は速度であり、
前記作動手段は、前記適正車両状態に対応する適正速度を小さく変更することにより、前記所定期間を延長することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかひとつに記載の車両の走行安全装置。
【請求項8】
前記作動手段は、前記安全装置の作動終了位置を進行方向遠方へ所定距離だけずれた位置へ変更することにより、前記所定期間を延長することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかひとつに記載の車両の走行安全装置。
【請求項9】
前記作動手段は、前記カーブ認識手段が認識したカーブの形状に基づき、カーブの深さまたはカーブの長さの少なくとも何れかを検知し、カーブの深さが深くなることに伴い、または、カーブの長さが長くなることに伴い、前記所定距離が増大傾向に変化するように設定することを特徴とする請求項8に記載の車両の走行安全装置。
【請求項10】
道路の勾配を検知する勾配検知手段を備え、
前記作動手段は、前記勾配検知手段により検知される上り勾配の勾配が増大することに伴い、前記所定距離が減少傾向に変化するように設定し、前記勾配検知手段により検知される下り勾配の勾配が増大することに伴い、前記所定距離が増大傾向に変化するように設定することを特徴とする請求項8に記載の車両の走行安全装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−137258(P2006−137258A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327078(P2004−327078)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】