説明

酸化物半導体、薄膜トランジスタ並びに表示装置

【課題】酸化物半導体の組成若しくは欠陥制御をすることを目的の一とし、また、薄膜トランジスタの電界効果移動度を高め、オフ電流を抑えつつ十分なオンオフ比を得ることを他の目的の一とする。
【解決手段】InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素、nは1以上50未満の非整数)でありさらに水素を含む。この場合において、Znの濃度がIn及びM(M=Fe、Ga、Ni及びAlから選ばれた一又は複数の元素)よりも低くする。また、当該酸化物半導体はアモルファス構造を有している。ここでnの値は、好ましくは1以上50未満の非整数、より好ましくは10未満の非整数とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸化物半導体、該酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ、若しくは該薄膜トランジスタを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタの材料として水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)が主に用いられている。水素化アモルファスシリコンは300℃以下の低温で薄膜の堆積が可能であるが、移動度(薄膜トランジスタにおいては電界効果移動度)が1cm/V・sec程度しか得られないという欠点がある。
【0003】
一方、a−Si:Hと同様に低温で薄膜の形成が可能である酸化物半導体材料として、ホモロガス化合物InMO(ZnO)(M=In,Fe,Ga,又はAl,m=1以上50未満の整数)薄膜を活性層として用いる透明薄膜電界効果型トランジスタが開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、チャネル層に、電子キャリア濃度が1018/cm未満であるアモルファス酸化物が用いられ、該アモルファス酸化物が、In、Ga、Znを含む酸化物であり、原子数比In:Ga:Zn=1:1:m(m<6)である薄膜トランジスタが開示されている。
【特許文献1】特開2004−103957号公報
【特許文献2】国際公開第05/088726号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、オンオフ比が10程度しか得られていない。すなわち、薄膜トランジスタとして所定のオン電流が得られているとしても、オフ電流が増加してしまいノーマリーオフのトランジスタが構成されているとはいえず、実用的なレベルに達していない。オンオフ比が10程度であれば、従来のアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタでも容易に達成できるレベルなのである。
【0006】
そこで、酸化物半導体の組成若しくは欠陥制御をすることを目的の一とし、また、薄膜トランジスタの電界効果移動度を高め、オフ電流を抑えつつ十分なオンオフ比を得ることを他の目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な一態様として酸化物半導体は、In、Ga、Znを構成成分として含みさらに水素を含む。水素と同等な効果を得るためにフッ素、塩素などのハロゲンを含んでいても良い。酸化物半導体はIn、Ga、Znを構成成分とするが、Znの濃度をIn及びGaの濃度よりも低くすることは好ましい態様となる。また、当該酸化物半導体はアモルファス構造を有していることが好ましい態様となる。
【0008】
例示的な一態様として酸化物半導体は、InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素、nは1以上50未満の非整数)でありさらに水素を含む。この場合において、Znの濃度がIn及びM(M=Fe、Ga、Ni及びAlから選ばれた一又は複数の元素)よりも低くすることは好ましい態様となる。また、当該酸化物半導体はアモルファス構造を有していることが好ましい態様となる。
【0009】
ここでnの値は、好ましくは1以上50未満の非整数、より好ましくは10未満の非整数とする。nの値は50以上の非整数でも可能であるが、nの値が大きくなるとアモルファス状態を維持するのが困難になる。その結果、水素の欠陥修復効果を十分得られなくなる。
【0010】
例示的な一態様として酸化物半導体は、In、Ga、Znを含む酸化物であり原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:x(x<10)であってさらに水素を含む。また、当該酸化物半導体はアモルファス構造を有していることが好ましい態様となる。
【0011】
例示的な一態様として酸化物半導体は、InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた元素、m=1以上50未満の整数)であって水素を含む。また、当該酸化物半導体はアモルファス構造を有していることが好ましい態様となる。
【0012】
ここでmの値は、好ましくは1以上50未満の整数、より好ましくは10未満の整数とする。mの値が大きくなりすぎると、アモルファス状態を維持するのが困難になる。その結果、水素の欠陥修復効果を十分得られなくなり、電気伝導度が大きくなり、ノーマリオフ型のトランジスタが得られなくなる。
【0013】
例示的な一態様として薄膜トランジスタは、上記態様から選択される酸化物半導体層をチャネル形成領域とする。該酸化物半導体層に接して水素を含む酸化物絶縁層が設けられていることは好ましい。水素を含む酸化物絶縁層は酸化物半導体層の上層側及び下層側に設けられていることはより好ましい一態様となる。酸化物半導体層の外側に窒化物絶縁層が設けられていることは好ましい。
【0014】
例示的な一態様として表示装置は、上記態様から選択される薄膜トランジスタが少なくとも一の画素に設けられている。
【0015】
例示的な一態様として表示装置は、上記態様から選択される薄膜トランジスタが少なくとも一の画素と該画素に設けられた薄膜トランジスタに送る信号を制御する駆動回路とに設けられている。
【発明の効果】
【0016】
酸化物半導体の構成成分に加え水素を含むことにより、酸化物半導体の欠陥を低減することができる。
【0017】
酸化物半導体の構成成分として含むIn、Ga、Znの内、Znの濃度をIn及びGaの濃度よりも低くすることでキャリア濃度を低くすることができ、また、酸化物半導体をアモルファス構造とすることができる。
【0018】
このような酸化物半導体層をチャネル形成領域とすることにより、薄膜トランジスタのオフ電流を低減することができ、高いオンオフ比を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、開示される発明の実施の形態について図面を用いて以下に説明する。但し、開示される発明は以下の説明に限定されず、その発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細をさまざまに変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、開示される発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。以下に説明する実施の形態において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。
【0020】
(酸化物半導体材料について(1))
本形態に係る例示的な酸化物半導体材料は、In、Ga、Znを構成成分として含みさらに水素を含んでいる。例えば、水素を含みInMO(ZnO)で示される酸化物半導体材料である(以下、便宜上「第1の酸化物半導体材料」又は「第1の酸化物半導体」ともいう)。ここで、Mは、Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一の金属元素又は複数の金属元素を示す。例えばMとしてGaの場合があることの他、GaとNi又はGaとFeなど、Ga以外の上記金属元素が含まれる場合がある。また、上記酸化物半導体において、Mとして含まれる金属元素の他に、不純物元素としてFe、Niその他の遷移金属元素、又は該遷移金属の酸化物が含まれているものがある。
【0021】
InMO(ZnO)で示される第1の酸化物半導体材料において、nは1以上50未満の非整数である。結晶状態における組成がInGaO(ZnO)であってnが1以上50未満の整数であるものが知られているが、製造における制御性を考慮するとmが整数となる組成よりは、InMO(ZnO)であってnが非整数となる組成とする方が制御しやすく好ましい。また、第1の酸化物半導体材料のアモルファス構造を安定的に維持するためにもnを非整数とすることが好ましい。
【0022】
ここでnの値は、好ましくは1以上50未満の非整数、より好ましくは10未満の非整数とする。nの値は50以上の非整数でも可能であるが、nの値が大きくなるとアモルファス状態を維持するのが困難になる。その結果、水素の欠陥修復効果を十分得られなくなる。
【0023】
第1の酸化物半導体層の水素は二次イオン質量分析法によって検出される濃度が1×1018/cm以上5×1020/cm以下とすることが好ましい。該水素は第1の酸化物半導体層の膜中よりも表面側で高濃度となっていることが好ましい。
【0024】
InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素、nは1以上50未満の非整数)でありさらに水素を含み、第1の酸化物半導体材料の組成としては、In、M、Zn、Oの合計を100%としたときに、それぞれの元素の組成としてInを20原子%未満、M(例えばGa)を20原子%未満、Znを10原子%未満含むようにすることが好ましい。In、Ga及びZnを含む第1の酸化物半導体材料として、より好ましい組成比は、In及びGaを15.0原子%以上20.0原子%以下、Znを5.0原子%以上10.0原子%以下含むものである。
【0025】
第1の酸化物半導体の構造はアモルファス構造であり、窒素雰囲気中500℃の熱処理によっても結晶化することはない。熱処理温度を700℃まで高めると、アモルファス構造の中にナノクリスタルが生成する場合がある。いずれにしても第1の酸化物半導体は非単結晶半導体である。
【0026】
第1の酸化物半導体としてアモルファス構造を有するようにするためにZnの濃度がIn及びGaの濃度よりも低くすることで構造が安定化するからである。より好ましくはIn及びGaに対してZnの割合が半分以下とするのが良い。Zn若しくはZnOの割合が増えると結晶化しやすくなる傾向があり、Zn若しくはZnOの割合が増えた場合にはスパッタリング法等による成膜したままの状態、又は数百度の熱処理によって結晶化してしまう。また、Znの濃度がIn及びGaの濃度よりも低くすることで、酸化物半導体においてアモルファス構造が得られる組成範囲を広げることができる。
【0027】
(酸化物半導体材料について(2))
本形態に係る例示的な酸化物半導体材料は、In、Ga、Znを含む酸化物であり原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:x(x<10)であってさらに水素を含む。例えば、水素を含みInMO(ZnO)で示される酸化物半導体材料である(以下、便宜上「第2の酸化物半導体材料」又は「第2の酸化物半導体」ともいう)。ここで、Mは、Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた金属元素を示す。また、上記酸化物半導体において、Mとして含まれる金属元素の他に、不純物元素としてFe、Niその他の遷移金属元素、又は該遷移金属の酸化物が含まれているものがある。
【0028】
InMO(ZnO)で示される第2の酸化物半導体材料において、mの値は、好ましくは1以上50未満の整数、より好ましくは10未満の整数とする。mの値が大きくなりすぎると、アモルファス状態を維持するのが困難になる。すなわち、ZnOの割合が高くなると結晶化しやすくなる。したがって、第2の酸化物半導体においてmの値は10未満とすることが好ましい。このことは、In、Ga及びZnの原子数比からも同様なことが示唆され、In及びGaに対してZnの割合を10以下とすることで結晶化を阻害できる。
【0029】
第2の酸化物半導体層の水素は二次イオン質量分析法によって検出される濃度が1×1018/cm以上5×1020/cm以下とすることが好ましい。
【0030】
水素は第2の酸化物半導体の欠陥を補償する。ある元素の未結合手に水素が結合することにより、その元素の配位数が変化し、原子間の結合において構造柔軟性が高くなる。上記のような濃度範囲を含むことにより、第2の酸化物半導体をアモルファス構造の膜として作製しやすくなる。また、第2の酸化物半導体から水素が放出されない温度では結晶化するのを阻害する作用がある。
【0031】
(酸化物半導体層の作製方法)
上記した第1の酸化物半導体材料、第2の酸化物半導体材料は所定の基板上に薄膜として作製することができる。第1の酸化物半導体材料及び第2の酸化物半導体材料は共通の作製方法を適用することができる。
【0032】
酸化物半導体層は物理気相成長(Physical Vapor Deposition:PVD)法で作製することが好ましい。酸化物半導体層を作製するためのPVD法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビーム堆積法などを適用することができるが、生産性及び大面積基板への成膜を容易なものとするためにはスパッタリング法を適用することが好ましい。
【0033】
好ましい成膜法として、In、M(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素)、Zn等の金属ターゲットを用い酸素と反応させながら基板上に酸化物半導体層を堆積させる反応性スパッタリング法、In、M(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素)、Znの酸化物の焼結体をターゲットをして基板上に酸化物半導体層を堆積させるスパッタリング法、若しくは当該焼結体をターゲットをして用い酸素と反応させながら基板上に酸化物半導体層を堆積させる反応性スパッタリング法が適用される。
【0034】
スパッタリング法において用いられるターゲットの一例として、In、Ga及びZnOの焼結体が適用可能である。このようなターゲットの組成比としては、In、Ga及びZnOの割合を等量又はIn及びGaに対してZnOの割合を少なくすることが好ましい。基板上に堆積される酸化物半導体層の組成は、ターゲット材のスパッタガスに対するスパッタリングレートによっても変わってくるが、少なくともターゲットの組成比とすることでIn、Ga、Znを構成成分として含み、ZnがIn及びGaの濃度よりも低い酸化物半導体層を得ることができる。すなわち、ターゲットの組成比を上記のようにすることで、アモルファス構造を安定して得ることができる。
【0035】
スパッタリングは上記ターゲットに直流電力を印加し、成膜チャンバー内にプラズマを生成して行う。パルス直流電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0036】
酸化物半導体層に水素を含ませるためには、スパッタリング雰囲気に水素、HOを含ませておけば良い。すなわち、アルゴン等のスパッタガスに水素又はHOを加えることの他、スパッタリング装置の成膜チャンバー内に水素又はHOが残留するようにして成膜しても良い。また、酸化物半導体層の成膜後に水素雰囲気又は水素を含む雰囲気中で熱処理をすることで酸化物半導体層に水素を含ませることができる。例えば、窒素、アルゴンその他の不活性ガスに水素ガスを混合させた水素を含む雰囲気中で熱処理を行うことで酸化物半導体層に水素を含ませることができる。その他の方法として、水素ラジカルに酸化物半導体層を晒すことによっても水素を含ませることができる。水素ラジカルは水素ガスのグロー放電プラズマを生成することによって得ることができる。
【0037】
酸化物半導体層の水素は二次イオン質量分析法によって検出される濃度が1×1018/cm以上5×1020/cm以下とする。水素を含むことで酸化物半導体の欠陥を低減することができる。なお、水素は酸化物半導体中において、In、Ga、Zn等の構成成分と結合して含まれるものの他、OHとして含まれていても良い。水素又はOHによって酸化物半導体中の不対結合手を低減することで、該酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタのサブスレッショルド値(以下、S値という)を小さくすることができる。
【0038】
(薄膜トランジスタについて)
第1の酸化物半導体層又は第2の酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタを作製するための基板として、ガラス基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム等を用いることができる。ガラス基板としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス及びアルミノシリケートガラスなどのガラス基板を用いることができる。例えば、成分比としてホウ酸(B)よりも酸化バリウム(BaO)を多く含み、歪み点が730℃以上のガラス基板を用いると好ましい。また、酸化物半導体層はスパッタリング法により200℃以下で成膜することが可能であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミドに代表されるプラスチック基板、該プラスチック材料の厚さを200μm以下とするプラスチックフィルムを用いることができる。
【0039】
図1(A)、(B)はそのような基板101の表面に作製される薄膜トランジスタの一例を示す。ここで図1(A)は薄膜トランジスタの平面図の一例であり、図1(B)はA1−B1切断線に対応した断面図を示す。
【0040】
図1(A)、(B)で示す薄膜トランジスタは、基板101側からゲート電極102、ゲート絶縁層103が形成され、該ゲート絶縁層103の上に酸化物半導体層106が形成されたボトムゲート型の構造を有している。ソース電極104及びドレイン電極105は、ゲート絶縁層103と酸化物半導体層106の間に設けられている。すなわち、ゲート電極102と重畳し、ゲート絶縁層103及びソース電極104及びドレイン電極105の側面部と上面部の一部と接するように設けられている。ゲート絶縁層103上にソース電極104及びドレイン電極105を先に設ける構造は、酸化物半導体層106を成膜する前の下地表面を、プラズマ処理によって清浄化できるという利点を有している。
【0041】
ゲート電極102はTi、Mo、Cr、Ta、W等の高融点金属で形成することが好ましい。また、ゲート電極102をAl膜又は、Si、Ti、Nd、Sc若しくはCu等の金属が添加されたAl膜の上層側にMo、Cr、Tiに代表される高融点金属の層が設けられている構成を有していても良い。
【0042】
ゲート絶縁層103は、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸化窒化シリコンなどシリコン酸化物又は窒化物で形成することが好ましい。ゲート絶縁層103中に水素又はOH基を含ませることができ、水素又はOH基を酸化物半導体層106に作用させることができるからである。特に、酸化シリコンでゲート絶縁層103を形成すると、薄膜トランジスタのソース電極とゲート電極間及びドレイン電極とゲート電極間のリーク電流を約10−10A以下にすることができる。これらの絶縁層は、プラズマCVD法又はスパッタリング法で形成することができる。
【0043】
例えば、ゲート絶縁層103として、有機シランガスを用いたCVD法により酸化シリコン層を形成することができる。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。有機シランガスを用いて作製される酸化シリコン膜は膜中若しくは表面にOH基を含ませることが可能であり、OH基を酸化物半導体層106に作用させて欠陥を不活性化(未結合手の終端)をすることができる。
【0044】
ソース電極104及びドレイン電極105はTi、Mo、Cr、Ta、W等の高融点金属で形成することが好ましい。特にTiに代表されるように酸素と親和力の高い金属材料を用いることが好ましい。酸化物半導体層106とオーミックコンタクトを形成しやすいからである。Tiの他にMoによって同様の効果を得ることができる。ソース電極104及びドレイン電極105の端面形状は、テーパ状となるようにエッチング加工することが好ましい。酸化物半導体層106との接触面積を増やすことができるからである。また、ソース電極104及びドレイン電極105と酸化物半導体層との間に、酸素欠乏欠陥を有する酸化物半導体層(チャネル形成領域を構成する酸化物半導体層よりも低抵抗の酸化物半導体層)を設けても良い。
【0045】
ソース電極104及びドレイン電極105の他の態様として、当該電極は、Al膜又は、Si、Ti、Nd、Sc若しくはCu等の金属が添加されたAl膜の上層側及び/又は下層側にMo、Cr、Tiに代表される高融点金属の層が設けられている構成を有していても良い。ソース電極104及びドレイン電極105を形成する層と同時に、同じ層で信号を伝達する配線を形成する際に有利である。当該Al膜に接して設けられる高融点金属の層は、Al膜にヒロックやウィスカーが生じてしまうことを防ぐために設けられていることが好ましい。なお、ヒロックとは、Alが結晶成長してその成長成分がぶつかりあうことで盛り上がりが生じてしまう現象をいう。また、ウィスカーは、Alの異常成長によって針状の成長が行われてしまう現象をいう。
【0046】
酸化物半導体層106はスパッタリング法に代表されるPVD法によって形成する。スパッタリングにおけるターゲットは、前述のようにIn、M(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素)、Znの酸化物の焼結体を用いることが好ましい。例えば、In、Ga及びZnOの焼結体をターゲットとして用いてスパッタリング法により酸化物半導体層を形成する。
【0047】
スパッタガスはアルゴンに代表される希ガスを用いる。酸化物半導体層の酸素欠乏欠陥を制御するには希ガスに酸素ガスを所定量添加しても良い。スパッタガスとして希ガスに対する酸素ガスの割合を増加させることで酸化物半導体中の酸素欠乏欠陥を少なくすることができる。酸化物半導体中の酸素欠乏欠陥を制御することにより薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御することが可能である。
【0048】
酸化物半導体層106を成膜する前に、スパッタリング装置の成膜チャンバーにアルゴンガスを導入してプラズマを発生させ、堆積表面を清浄化する処理を行うことは好ましい。アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いても良い。また、アルゴン雰囲気に酸素、水素、NOなどを加えた雰囲気で行っても良い。また、アルゴン雰囲気にCl、CFなどを加えた雰囲気で行っても良い。
【0049】
酸化物半導体層106を形成後、大気中又は窒素雰囲気中において、200℃以上600℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下の熱処理を行う。この熱処理により薄膜トランジスタの電界効果移動度を高めることができる。本形態で示す酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタの電界効果移動度としては、5cm/Vsec以上を実現することが可能である。
【0050】
上記のような薄膜トランジスタにおいて、ソース電極とドレイン電極間に5V程度の電圧を印加したとき、ゲート電極に電圧を印加しないときのソース電極とドレイン電極間の電流を1×10−11A以下にすることが可能である。また、ゲート電極に−10Vの電圧を印加した状態でもソース電極とドレイン電極間の電流は1×10−11A以下である。
【0051】
図2(A)、(B)は基板101の表面に作製される薄膜トランジスタの一例を示す。ここで図2(A)は薄膜トランジスタの平面図の一例であり、図2(B)はA2−B2切断線に対応した断面図を示す。
【0052】
図2(A)、(B)で示す薄膜トランジスタは、基板101側からゲート電極102、ゲート絶縁層103が形成され、該ゲート絶縁層103の上に酸化物半導体層106が形成されたボトムゲート型の構造を有している。ソース電極104及びドレイン電極105は酸化物半導体層106の側面及び上面で接触する構造である。
【0053】
このような構造の薄膜トランジスタは、ゲート絶縁層103及び酸化物半導体層106と、ソース電極104及びドレイン電極105を形成する導電層を連続して形成することが可能である。すなわち、ゲート絶縁層103と酸化物半導体層106の界面、及び酸化物半導体層106と該導電層の界面が大気に晒されることなく積層されるので、それぞれの界面が汚染されることを防ぐことができる。
【0054】
また、ソース電極104とドレイン電極105の間に露出する酸化物半導体層106の表層部をエッチングにより除去することで、オフ電流を低減するこことができる。また、酸化物半導体層106の当該露出部分、又はエッチングにより除去された表面に対し酸素プラズマ処理を行うことによって、プラズマに晒された表層部を高抵抗化することができる。酸化物半導体の酸素欠乏欠陥が酸化され、キャリア濃度(電子濃度)が低減するためである。この酸素プラズマ処理によっても薄膜トランジスタのオフ電流を低減することが可能である。
【0055】
図3(A)、(B)は基板101の表面に作製される薄膜トランジスタの一例を示す。ここで図3(A)は薄膜トランジスタの平面図の一例であり、図2(B)はA3−B3切断線に対応した断面図を示す。
【0056】
図3(A)、(B)で示す薄膜トランジスタは、基板101側からソース電極104及びドレイン電極105、酸化物半導体層106、ゲート絶縁層103及びゲート電極102が形成されたトップゲート型の構造を有している。このような構造の薄膜トランジスタであっても、酸化物半導体層106を、InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素、nは1以上50未満の非整数)でありさらに水素を含み酸化物半導体材料の組成としては、In、M、Zn、Oの合計を100%としたときに、それぞれの元素の組成としてInを20原子%未満、M(例えばGa)を20原子%未満、Znを10原子%未満含むようにすることで、薄膜トランジスタのオフ電流を低減することができ、高いオンオフ比を得ることができる。また、酸化物半導体層106として、InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた元素、m=1以上50未満の整数)であって水素を含むものを適用しても良い。水素を含む酸化物半導体層を薄膜トランジスタのチャネル形成領域として用いることで高いオンオフ比を得ることができる。
【0057】
図1(A)、(B)で示す薄膜トランジスタにおいて説明したように、ゲート絶縁層103に水素又はOHを含ませることにより、酸化物半導体層106の欠陥を低減させることができる。図4(A)は、この構成に加え、酸化物半導体層106のゲート絶縁層103とは反対側(バックチャネル側)にも酸化物絶縁層107を設けた一例である。酸化物絶縁層107は、前述のように酸化シリコンの他、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウムを適用することができる。図4(A)の構成では、酸化物半導体層106がゲート絶縁層103である酸化シリコンと、酸化物絶縁層107によって挟まれることから、酸化物半導体層106から酸素が抜けて酸素欠乏欠陥が形成されることを防ぐことができる。
【0058】
図4(B)は酸化物絶縁層107の外側に窒化物絶縁層108を設けた構成である。窒化物絶縁層108としては、窒化シリコン、窒化アルミニウム等を適用することができる。窒化物絶縁層108を設けることで、水蒸気、有機物及びイオン性金属による外部環境からの汚染を防ぐことができる。なお、図4(B)の構成においてゲート絶縁層103を窒化シリコン層と酸化シリコン層の二層構造とすることも有効である。これにより、酸化物半導体層106の上層側及び下層側が酸化物絶縁層と窒化物絶縁層で挟まれることになり、上記効果をより一層高めることができる。
【0059】
(薄膜トランジスタを用いた装置について)
本形態で示す酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、電界効果移動度が高く、またオンオフ比も高いことから、様々な用途に応用することができる。その一例として表示装置の態様について説明する。
【0060】
図5は、画素部110、走査線駆動回路111及び信号線側にセレクタ回路112が基板101上に設けられた表示装置109を示す。画素部110に設けられるスイッチング素子、走査線駆動回路111及び信号線側にセレクタ回路112は酸化物半導体層にチャネル形成領域が設けられる薄膜トランジスタで構成されている。電界効果移動度が5cm/V・sec乃至20cm/V・secの酸化物半導体層にチャネル形成領域が設けられる薄膜トランジスタを用いれば、走査線駆動回路111及び信号線側のセレクタ回路112を構成することが可能である。セレクタ回路112は信号線116を選択する回路であり、ドライバIC114から送られてくる映像信号を、所定のタイミングで所定の信号線116に振り分ける回路である。ここで、当該薄膜トランジスタはnチャネル型であるので、走査線駆動回路111及び信号線側のセレクタ回路112はnチャネル型の薄膜トランジスタで構成される回路である。
【0061】
走査線115と信号線116がそれぞれ複数本交差して構成される画素部110には、画素トランジスタ117が設けられている。そして画素トランジスタ117は、マトリクス状に配設されている。画素トランジスタ117は走査線115から走査信号が入力され、信号線116から映像信号が入力される。入力端子113にはドライバIC114から映像信号が入力される。ドライバIC114は単結晶基板上に形成されている回路であり、TAB(tape−automated bonding)方式又はCOG(chip on glass)方式によって実装されている。
【0062】
図6はnチャネル型薄膜トランジスタで構成されるセレクタ回路112の一構成例を示す。セレクタ回路112はスイッチ回路119が複数配列することによって構成されている。一のスイッチ回路119は、一の映像信号入力線120に対して複数の信号線116(S1〜S3)が画素部110に延びるように構成されている。スイッチ回路119には信号線116の本数に応じてスイッチング素子121が設けられている。このスイッチング素子121は酸化物半導体層にチャネル形成領域が設けられる薄膜トランジスタで構成されることにより、スイッチ回路119を映像信号の周波数に応じて高速で動作させることを可能としている。図6では、信号線116(S1)に対応してスイッチング素子121a、信号線116(S2)に対応してスイッチング素子121b、信号線116(S3)に対応してスイッチング素子121cが設けられているスイッチ回路119の一例を示している。スイッチング素子121のオン・オフは、映像信号入力線120とは別の経路で入力される同期信号入力線122の信号によって制御される。
【0063】
図6で示すセレクタ回路112の動作について図7で示すタイミングチャートを参照して説明する。図7で例示するタイミングチャートは、i行目の走査線が選択され、ある列の映像信号入力線120がセレクタ回路112に接続されている場合について示す。i行目の走査線の選択期間は、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3に分割されている。そして、このタイミングチャートは、i行目の走査線が選択されるとき、スイッチング素子121a、スイッチング素子121b及びスイッチング素子121cがオン・オフするタイミング、及び映像信号入力線120に入力される信号を示している。
【0064】
図7で示すように、第1のサブ選択期間T1においてスイッチング素子121aがオンとなり、スイッチング素子121b及びスイッチング素子121cがオフとなる。このとき映像信号入力線120に入力される映像信号VD(1)が、スイッチング素子121aを介して信号線116(S1)に出力される。第2のサブ選択期間T2では、スイッチング素子121bがオン、スイッチング素子121a及びスイッチング素子121cがオフとなり、映像信号VD(2)が、スイッチング素子121bを介して信号線116(S2)に出力される。第3のサブ選択期間T3では、スイッチング素子121cがオン、スイッチング素子121a及びスイッチング素子121bがオフとなり、映像信号VD(3)が、スイッチング素子121cを介して信号線116(S3)に出力される。
【0065】
このように、図6のセレクタ回路112は、1ゲート選択期間を3つに分割することで1ゲート選択期間中に一つの映像信号入力線120からS1〜S3の3つの信号線116に映像信号を入力することができる。したがって、画素トランジスタ117と共にセレクタ回路112を基板101に設けることで、ドライバICの信号を入力する入力端子113の数を、セレクタ回路112を設けない場合に比べて1/3に減らすことができる。それによりドライバICと入力端子113との間における接触不良の発生頻度を低減することができる。
【0066】
走査線駆動回路111も酸化物半導体層にチャネル形成領域が設けられる薄膜トランジスタによって構成することができる。走査線駆動回路111においてシフトレジスタは一構成要素として含まれる。シフトレジスタにクロック信号(CLK)及びスタートパルス信号(SP)が入力されることによって選択信号が生成される。生成された選択信号はバッファにおいて緩衝増幅され、対応する走査線115に供給される。一本の走査線115には、1ライン分の画素トランジスタ117のゲート電極が接続されている。ここで、走査線駆動回路111の一部に用いるシフトレジスタ123の一形態について図8及び図9を用いて説明する。
【0067】
図8にシフトレジスタ123の構成を示す。シフトレジスタ123はフリップフロップ回路124を複数段連結して構成されている。フリップフロップ回路124の一例を図9に示す。図9に示すフリップフロップ回路124は複数の薄膜トランジスタ(以下、図9の説明において「TFT」と記す)によって構成されている。図9で示すフリップフロップ回路124はnチャネル型のTFTで構成されており、TFT(1)125、TFT(2)126、TFT(3)127、TFT(4)128、TFT(5)129、TFT(6)130、TFT(7)131及びTFT(8)132によって回路が構成されている。酸化物半導体層をチャネル形成領域とするnチャネル型のTFTはゲート・ソース間電圧(Vgs)がしきい値電圧(Vth)を上回ったとき導通状態になるものとする。
【0068】
図9で示すフリップフロップ回路124において、全てのTFTは、エンハンスメント型のnチャネル型トランジスタとして説明するが、例えば、TFT(3)127はデプレッション型のnチャネル型トランジスタを用いても駆動回路を駆動させることもできる。
【0069】
TFT(1)125の第1の電極(ソース電極又はドレイン電極の一方)が配線(4)136に接続され、TFT(1)125の第2の電極(ソース電極又はドレイン電極の他方)が配線(3)135に接続される。
【0070】
TFT(2)126の第1の電極が配線(6)138に接続され、TFT(2)126の第2の電極が配線(3)135に接続される。
【0071】
TFT(3)127の第1の電極が配線(5)137に接続され、TFT(3)127の第2の電極がTFT(2)126のゲート電極に接続され、TFT(3)127のゲート電極が配線(5)137に接続される。
【0072】
TFT(4)128の第1の電極が配線(6)138に接続され、TFT(4)128の第2の電極がTFT(2)126のゲート電極に接続され、TFT(4)128のゲート電極がTFT(1)125のゲート電極に接続される。
【0073】
TFT(5)129の第1の電極が配線(5)137に接続され、TFT(5)129の第2の電極がTFT(1)125のゲート電極に接続され、TFT(5)129のゲート電極が配線(1)133に接続される。
【0074】
TFT(6)130の第1の電極が配線(6)138に接続され、TFT(6)130の第2の電極がTFT(1)125のゲート電極に接続され、TFT(6)130のゲート電極がTFT(2)126のゲート電極に接続される。
【0075】
TFT(7)131の第1の電極が配線(6)138に接続され、TFT(7)131の第2の電極がTFT(1)125のゲート電極に接続され、TFT(7)131のゲート電極が配線(2)134に接続される。TFT(8)132の第1の電極が配線(6)138に接続され、TFT(8)132の第2の電極がTFT(2)126のゲート電極に接続され、TFT(8)132のゲート電極が配線(1)133に接続される。
【0076】
酸化物半導体層にチャネル形成領域が設けられる薄膜トランジスタは、電界効果移動度が大きいため動作周波数を高くすることが可能である。また、薄膜トランジスタの周波数特性が高いため、走査線駆動回路111を高速で動作させることが可能であり、フレーム周波数を高くして表示装置を動作させることができる。
【0077】
図5において、画素部110の構成は表示媒体118によって構成が変わってくる。電極間に液晶材料が介在する液晶素子を表示媒体118とする場合には、図5で示すように画素トランジスタ117によって該表示媒体118を制御することができる。一対の電極間にコントラスト媒体(電子インク、電気泳動材料)を挟んだ表示媒体118の場合も同様である。これらの表示媒体118によって構成される画素部110は、上記の駆動回路と組み合わせることにより動作させることができる。
【0078】
表示媒体118として、エレクトロルミネセンス材料を用いて構成される発光素子を適用する場合には、液晶素子などに比べて応答速度が高いので、液晶素子よりも時間階調法に適している。例えば、時間階調法で表示を行う場合、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する。そしてビデオ信号に従い、各サブフレーム期間において発光素子を発光又は非発光の状態にする。複数のサブフレーム期間に分割することによって、1フレーム期間中に画素が実際に発光する期間のトータルの長さを、ビデオ信号により制御することができ、階調を表示することができる。
【0079】
画素部110を発光素子によって構成するときの画素の一例を図10に示す。図10は、デジタル時間階調駆動を適用可能な画素の構成について示す。ここでは酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるnチャネル型の薄膜トランジスタを一つの画素に二つ用いる例を示す。
【0080】
画素139は、スイッチング用TFT140、駆動用TFT141、発光素子142及び容量素子145を有している。スイッチング用TFT140はゲートが走査線115に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)が信号線116に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆動用TFT141のゲートに接続されている。駆動用TFT141は、ゲートが容量素子145を介して電源線146に接続され、第1電極が電源線146に接続され、第2電極が発光素子142の第1電極(画素電極)143に接続されている。発光素子142の第2電極(対向電極)144は共通電位線147に接続されている。
【0081】
発光素子142の第2電極(対向電極)144には低電源電位が設定されている。なお、低電源電位とは、電源線146に設定される高電源電位を基準にして低電源電位<高電源電位を満たす電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設定されていても良い。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子142に印加して、発光素子142に電流を流して発光素子142を発光させるため、高電源電位と低電源電位との電位差が発光素子142の順方向しきい値電圧以上となるようにそれぞれの電位を設定する。
【0082】
電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用TFT141のゲートには、駆動用TFT141が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を入力する。つまり、駆動用TFT141は線形領域で動作させる。駆動用TFT141は線形領域で動作させるため、電源線146の電圧よりも高い電圧を駆動用TFT141のゲートにかける。なお、信号線116には、(電源線電圧+駆動用TFT141のしきい値電圧)以上の電圧を印加する。
【0083】
図10で示す画素の構成は、デジタル時間階調駆動に代えてアナログ階調駆動を行うことも可能である。アナログ階調駆動を行う場合、駆動用TFT141のゲートに発光素子142の順方向電圧+駆動用TFT141のしきい値電圧以上の電圧を印加する。発光素子142の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。なお、駆動用TFT141が飽和領域で動作するようなビデオ信号を入力することで、発光素子142に電流を流すことができる。駆動用TFT141を飽和領域で動作させるため、電源線146の電位は、駆動用TFT141のゲート電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子142にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0084】
図10では、発光素子142の駆動を制御する駆動用TFT141と発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用TFT141と発光素子142との間に電流制御用TFTが接続されている構成であっても良い。
【0085】
図5で示す表示装置109は、信号線116を選択するセレクタ回路112を設ける例を示しているが、酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタの電界効果移動度として10cm/V・sec以上が得られる場合には、ドライバIC114の機能を該薄膜トランジスタで実現することもできる。すなわち、基板101上に酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタによって、走査線駆動回路と信号線駆動回路を形成することができる。
【0086】
(発光装置)
表示装置の一態様として、発光装置の画素の構成について図11及び図12(A)、(B)を参照して説明する。ここで図11は画素の平面図の一例であり、図12(A)はC1−D1切断線に対応した断面、図12(B)はC2−D2切断線に対応した断面図を示す。以下の説明では、図11及び図12(A)、(B)を参照する。なお、図11で示す画素の等価回路は図10と同様である。
【0087】
スイッチング用TFT140のチャネル形成領域は、酸化物半導体層153に形成される。酸化物半導体層153は本形態で示すものと同等なものである。スイッチング用TFT140は、走査線115と同じ層で形成されるゲート電極148を有し、ゲート絶縁層152上に酸化物半導体層153が設けられている。酸化物半導体層153は、ゲート絶縁層152上に信号線116と同じ層で形成されるソース/ドレイン電極155及びソース/ドレイン電極156と接触している。ソース/ドレイン電極156は、ゲート絶縁層152に設けられたコンタクトホール159によって、駆動用TFT141のゲート電極149と接続している。
【0088】
なお、ソース/ドレイン電極とは、ソース、ドレイン及びゲートを主な要素として構成される薄膜トランジスタにおいて、ソース又はドレインとして機能する部位に設けられる電極をいう。
【0089】
信号線116、ソース/ドレイン電極155及びソース/ドレイン電極156は、Al膜又は、Si、Ti、Nd、Sc若しくはCu等の金属が添加されたAl膜で形成されていることが好ましい。配線又は電極の抵抗を低くするためである。前記Al膜の上層側及び/又は下層側にはMo、Cr、Tiに代表される高融点金属の層が設けられていることが好ましい。Al膜にヒロックやウィスカーが生じてしまうことを防ぐためである。
【0090】
ゲート電極149は、容量素子145の容量電極150を兼ねている。容量素子145は容量電極150、ゲート絶縁層152及び電源線146と同じ層で形成される容量電極151が積層されることによって形成されている。
【0091】
駆動用TFT141のゲート電極149は、走査線115と同じ層で形成され、ゲート絶縁層152上に酸化物半導体層154が設けられている。酸化物半導体層154は、ゲート絶縁層152上に電源線146と同じ層で形成されるソース/ドレイン電極157及びソース/ドレイン電極158と接触している。
【0092】
酸化物半導体層153及び酸化物半導体層154には酸化物絶縁層107が設けられている。第1電極(画素電極)143は酸化物絶縁層107上に設けられている。第1電極(画素電極)143とソース/ドレイン電極158は、酸化物絶縁層107に設けられたコンタクトホール160によって接続されている。第1電極(画素電極)143を開口する隔壁層161は無機絶縁材料又は有機絶縁材料によって形成されている。隔壁層161の開口部の端は勾配がなだらかな曲面状に形成されている。
【0093】
発光素子142は、第1電極(画素電極)143と第2電極(対向電極)144の間にEL層162が設けられた構成を有している。第1電極(画素電極)143と第2電極(対向電極)144の一方をホール注入用の電極、他方を電子注入用の電極とする。ホール注入用の電極は、仕事関数が4eV以上の材料で形成することが好ましく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物等の材料を用いる。電子注入用の電極は仕事関数が4eV未満の材料で形成することが好ましく、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましいEL層162は、エレクトロルミネッセンスによる発光を得るための層であり、キャリア(ホール又は電子)を輸送する層及び発光層を適宜組み合わせて構成される。
【0094】
図13は発光装置の入力端子113の構成を示す。図13(A)は入力端子113の平面図を示す。入力端子113は基板101の端部に設けられている。図13(A)に示すG−H切断線に対応する断面図を図14(A)又は図13(C)で示す。
【0095】
図13(B)は入力端子層170を走査線115と同じ層で形成する例を示す。入力端子層170の上層側にはゲート絶縁層152、酸化物絶縁層107が積層されるが、これらの絶縁層に開口部173設けることにより入力端子層170が絶縁層から露出するように形成されている。開口部173を覆い入力端子層170と接触する透明導電膜172が設けられている。透明導電膜172は、フレキシブルプリント配線と入力端子113を接続するときに接触抵抗が高くならないようにするために設けられている。金属で形成される入力端子層170の表面が酸化すると接触抵抗が増大してしまうが、酸化物導電材料である透明導電膜172を設けておけば接触抵抗の増大を防ぐことができる。
【0096】
図13(C)は入力端子層171を信号線116と同じ層で形成する例を示す。入力端子層171の上層側には酸化物絶縁層107が設けられるが、この絶縁層に開口部173設けることにより入力端子層171が絶縁層から露出するように形成されている。透明導電膜172は上記と同じ理由で設けられている。
【0097】
(コントラスト媒体表示装置)
図14(A)はコントラスト媒体163を用いた表示装置(「電子ペーパー」とも呼ばれる)の一態様を示す。コントラスト媒体163は充填材164とともに第1電極(画素電極)143と第2電極(対向電極)144の間に保持されており、両電極間に電位差を与えるとコントラストが変化するものである。第2電極(対向電極)144は対向基板165に設けられている。
【0098】
例えば、ツイストボール表示方式として、白と黒に塗り分けられた球形粒子を第1電極(画素電極)143と第2電極(対向電極)144の間に配置し、両電極間に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方式がある。
【0099】
また、ツイストボールの代わりに電気泳動素子を用いることも可能である。透明な充填材164と、正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子とを封入した直径10μm〜200μm程度のマイクロカプセルを用いる。第1電極(画素電極)143と第2電極(対向電極)144の間に該マイクロカプセルを挟み、両電極間の電位差によって正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子をそれぞれ別の方向に移動させる。この原理を応用した表示素子が電気泳動表示素子であり、一般的に電子ペーパーと呼ばれている。電気泳動表示素子は、液晶表示素子に比べて反射率が高いため、補助ライトは不要であり、また消費電力が小さく、薄暗い場所でも表示部を認識することが可能である。また、表示部に電源が供給されない場合であっても、一度表示した像を保持することが可能であるため、電波発信源から表示機能付き半導体装置(単に表示装置、又は表示装置を具備する半導体装置ともいう)を遠ざけた場合であっても、表示された像を保存しておくことが可能となる。
【0100】
(液晶表示装置)
表示装置の一態様として、液晶表示装置の画素の構成について図15及び図16を参照して説明する。ここで図15は画素の平面図の一例であり、図16はE1−F1切断線に対応した断面を示す。以下の説明では、図15及び図16を参照する。
【0101】
図15及び図16で示す液晶表示装置の画素は、走査線115及び信号線116と接続するスイッチング用TFT140を有している。スイッチング用TFT140のソース/ドレイン電極155は信号線116に接続し、ソース/ドレイン電極156は、酸化物絶縁層107に設けられたコンタクトホール167を介して第1電極(画素電極)143と接続している。容量素子145はゲート電極102と同じ層で形成される容量線166、ゲート絶縁層103及びソース/ドレイン電極156の積層構造によって形成されている。スイッチング用TFT140は、第1電極(画素電極)143に与える信号のオン・オフを制御する。スイッチング用TFT140の構成は図12(A)で説明するものと同様である。
【0102】
液晶層169は第1電極(画素電極)143と第2電極(対向電極)144の間に設けられている。第1電極(画素電極)143は、酸化物絶縁層107上に設けられている。第1電極(画素電極)143及び第2電極(対向電極)144上には配向膜168が設けられている。
【0103】
上記のように、本形態に係る酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタによって、動作特性に優れる表示装置を完成させることができる。
【実施例1】
【0104】
(酸化物半導体層の組成)
スパッタリング法により、以下に示す条件で酸化物半導体層をガラス基板上に作製した。
(条件1)
ターゲット組成:In:Ga:ZnO=1:1:1
(In:Ga:Zn=1:1:0.5)
Arガス流量:40sccm
圧力:0.4Pa
電力(DC):500W
基板温度:室温
(条件2)
ターゲット組成:In:Ga:ZnO=1:1:1
(In:Ga:Zn=1:1:0.5)
Arガス流量:10sccm
酸素ガス流量:5sccm
圧力:0.4Pa
電力(DC):500W
基板温度:室温
【0105】
上記の条件で作製された酸化物半導体層をラザフォード後方散乱分析(RBS分析)によって定量化した代表的な結果を表1に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
条件1の試料をRBS分析で測定した結果、酸化物半導体膜は、InGa0.93Zn0.443.49である。また、条件2の試料をRBS分析で測定した結果、酸化物半導体膜は、InGa0.92Zn0.453.86である。このように、RBS分析によればInMO(ZnO)におけるmが整数でないことが確認できる。また、組成比からZnの濃度がIn及びGaの各元素の濃度よりも少ないことが確認される。
【0108】
(酸化物半導体層の構造)
上記条件2で、ガラス基板上に400nmの厚さで作製された酸化物半導体層の構造をX線回折によって評価した。
【0109】
図17は、条件2で作製されたままの試料(as−depo)、成膜後に窒素雰囲気で350℃、1時間の熱処理を行った試料、成膜後に窒素雰囲気で500℃、1時間の熱処理を行った試料のX線回折パターンを示す。いずれの試料もハローパターンが観測され、アモルファス構造であることが確認されている。
【0110】
なお、ターゲットの組成として、In:Ga:ZnO=1:1:2の試料についても調べたが、X線回折法による評価結果は同様の傾向を示し、本実施例で作製される酸化物半導体層がアモルファス構造であることが確認されている。
【0111】
(水素の含有について)
図18は、酸化物半導体層の組成を二次イオン質量分析法で評価した結果を示す。試料は条件2で作製したものである。図18の縦軸は二次イオンのカウント数を示す。
【0112】
酸化物半導体層の構成成分としてIn、Ga、Zn(Zn+Oとしてカウントしている)が検出されていることの他、膜中に水素が含まれていることが確認されている。水素のカウント数は、酸化物半導体層の中央付近から表面側に向かって増加する傾向が観測されている。水素は酸化物半導体の欠陥(未結合手)を低減する。
【0113】
なお、ガラス基板の構成成分であるSiをマトリクスマーカーとして測定している。Siは基板側で観測されており試料膜側で観測されていないことから、この試料が酸化物半導体であることが確認されている。
【0114】
(薄膜トランジスタの特性)
図19に薄膜トランジスタのゲート電圧(Vg)対ドレイン電流(Id)の特性を示す。薄膜トランジスタの構造は図2で示すボトムゲート型の構造であり、チャネル長100μm、チャネル幅100μmである。酸化物半導体層は上記の条件2で作製されている。電界効果移動度として15cm/V・sec以上、1×10−11A以下のオフ電流、オン電流とオフ電流の比(オン・オフ比)で10以上が得られている。このように、本実施例では、従来にないオン・オフ比の高い薄膜トランジスタが得られている。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】酸化物半導体層を用いたTFTの構造を示す断面図。
【図2】酸化物半導体層を用いたTFTの構造を示す断面図。
【図3】酸化物半導体層を用いたTFTの構造を示す断面図。
【図4】酸化物半導体層を用いたTFTの構造を示す断面図。
【図5】酸化物半導体層を用いたTFTで構成される表示装置の一態様を示す図。
【図6】酸化物半導体層を用いたTFTで構成されるセレクタ回路の構成を示す回路図。
【図7】セレクタ回路の動作の一例を説明するタイミングチャート図。
【図8】酸化物半導体層を用いたTFTで構成されるシフトレジスタを示すブロック図。
【図9】酸化物半導体層を用いたTFTで構成されるフリップフロップ回路を示す回路図。
【図10】酸化物半導体層を用いたTFTと発光素子で構成される画素の等価回路図。
【図11】酸化物半導体層を用いたTFTで構成される発光装置の画素構造を示す平面図。
【図12】酸化物半導体層を用いたTFTで構成される発光装置の画素構造を示す断面図。
【図13】酸化物半導体層を用いたTFTで構成される発光装置の入力端子部の構成を示す図。
【図14】酸化物半導体層を用いたTFTで構成されるコントラスト媒体表示装置(電子ペーパー)の構成を示す断面図。
【図15】酸化物半導体層を用いたTFTで構成される液晶表示装置の画素構造を示す平面図。
【図16】酸化物半導体層を用いたTFTで構成される液晶表示装置の画素構造を示す断面図。
【図17】酸化物半導体層のX線回折パターン(成膜後、350℃熱処理後、500℃熱処理後)を示す図。
【図18】酸化物半導体層の組成を二次イオン質量分析法で評価した結果を示すグラフ。
【図19】薄膜トランジスタのゲート電圧(Vg)対ドレイン電流(Id)の特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0116】
101 基板
102 ゲート電極
103 ゲート絶縁層
104 ソース電極
105 ドレイン電極
106 酸化物半導体層
107 酸化物絶縁層
108 窒化物絶縁層
109 表示装置
110 画素部
111 走査線駆動回路
112 セレクタ回路
113 入力端子
114 ドライバIC
115 走査線
116 信号線
117 画素トランジスタ
118 表示媒体
119 スイッチ回路
120 映像信号入力線
121 スイッチング素子
121a スイッチング素子
121b スイッチング素子
121c スイッチング素子
122 同期信号入力線
123 シフトレジスタ
124 フリップフロップ回路
125 TFT(1)
126 TFT(2)
127 TFT(3)
128 TFT(4)
129 TFT(5)
130 TFT(6)
131 TFT(7)
132 TFT(8)
133 配線(1)
134 配線(2)
135 配線(3)
136 配線(4)
137 配線(5)
138 配線(6)
139 画素
140 スイッチング用TFT
141 駆動用TFT
142 発光素子
143 第1電極(画素電極)
144 第2電極(対向電極)
145 容量素子
146 電源線
147 共通電位線
148 ゲート電極
149 ゲート電極
150 容量電極
151 容量電極
152 ゲート絶縁層
153 酸化物半導体層
154 酸化物半導体層
155 ソース/ドレイン電極
156 ソース/ドレイン電極
157 ソース/ドレイン電極
158 ソース/ドレイン電極
159 コンタクトホール
160 コンタクトホール
161 隔壁層
162 EL層
163 コントラスト媒体
164 充填材
165 対向基板
166 容量線
167 コンタクトホール
168 配向膜
169 液晶層
170 入力端子層
171 入力端子層
172 透明導電膜
173 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
In、Ga、Znを構成成分として含みさらに水素を含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項2】
請求項1において、Znの濃度がIn及びGaの濃度よりも低いことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項3】
InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素、nは1以上50未満の非整数)でありさらに水素を含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項4】
請求項3において、Znの濃度がIn及びM(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素)よりも低いことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項5】
In、Ga、Znを含む酸化物であり原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:x(x<10)であってさらに水素を含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項6】
InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた元素、m=1以上50未満の整数)であって水素を含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、アモルファス構造を有することを特徴とする酸化物半導体。
【請求項8】
In、Ga、Znを構成成分として含みさらに水素を含む酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタ。
【請求項9】
請求項8において、Znの濃度がIn及びGaの濃度よりも低いことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項10】
InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素、nは1以上50未満の非整数)でありさらに水素を含む酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタ。
【請求項11】
請求項10において、Znの濃度がIn及びM(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた一又は複数の元素)よりも低いことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項12】
In、Ga、Znを含む酸化物であり原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:x(x<10)であってさらに水素を含む酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタ。
【請求項13】
InMO(ZnO)(M=Ga、Fe、Ni、Mn、Co及びAlから選ばれた元素、m=1以上50未満の整数)であって水素を含む酸化物半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタ。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれか一項において、前記酸化物半導体層がアモルファス構造を有することを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれか一項において、前記酸化物半導体層に接して水素を含む酸化物絶縁層が設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項16】
請求項15において、前記酸化物絶縁層が前記酸化物半導体層の上層側及び下層側に設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項17】
請求項15又は16において、前記酸化物半導体層の外側に窒化物絶縁層が設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項18】
請求項8乃至17のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタが少なくとも一の画素に設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項19】
請求項8乃至17のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタが、少なくとも一の画素と該画素に設けられた薄膜トランジスタに送る信号を制御する駆動回路とに設けられていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−103340(P2010−103340A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274083(P2008−274083)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】