説明

シード印刷及びめっきによるコンタクト金属及び相互接続金属の印刷

シリサイド形成金属を含むインクを用いて、コンタクト形成方法、そのコンタクト及び局所相互接続を含むダイオード及び/又はトランジスタ等の電気デバイスとその形成方法に関する。コンタクト形成方法は、露出したシリコン表面上にシリサイド形成金属インクを堆積させるステップと、インクを乾燥させ、シリサイド形成金属前駆体を形成するステップと、シリサイド形成金属前駆体及びシリコン表面を加熱して、金属スイサイドコンタクトを形成するステップとを含む。任意選択的に、露出したシリコン表面に隣接する誘電体層上に、金属前駆体インクを選択的に堆積させて、金属含有相互接続を形成できる。更に、1つ又は複数のバルク導電性金属を、残りの金属前駆体インク及び/又は誘電体層上に堆積させてもよい。かかる印刷したコンタクト及び/又は局所相互接続を用いて、ダイオード及びトランジスタ等を作製できる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本願は、2007年7月17日出願の米国特許仮出願第60/959,977号明細書(代理人登録番号IDR1051)の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、半導体デバイス、及びその製造方法の分野に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、金属インクを用いて電気コンタクト(及び任意選択で、局所相互接続)を形成する方法、かかるコンタクト及び(任意選択による)局所相互接続を含むダイオード及び/又はトランジスタ等の電気デバイス、並びにかかるデバイスを形成する方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本発明の態様は、金属インクを用いて、電子デバイス中にドープ又は非ドープシリコン層へのコンタクトを形成する方法、及び任意選択で、局所相互接続を形成する方法に関する。他の態様は、かかるコンタクト及び(任意選択による)局所相互接続を含む電気デバイス(例えば、ダイオード、トランジスタ等)、並びにかかるデバイスの作製方法に関する。概略的に述べると、シリサイド形成金属を含むインク(例えば、金属前駆体インク)を、(ドープ又は非ドープ)シリコン表面、又は(例えば、バイア又は縁部コンタクト開口中に露出した)基板上、並びに局所相互接続を形成することができる領域上に、印刷、被覆、又は選択的に堆積(deposit:付着ともいう)させることができる。次いで、インクを乾燥させて、溶媒(複数可)及び/又は添加剤を除去し、それによってシリサイド形成金属前駆体を形成する。その後の還元雰囲気、又は不活性雰囲気(例えば、窒素若しくはAr/H混合物等のフォーミングガス)中でのアニールによってインクを硬化させ、金属前駆体とシリコンとを反応させてシリサイドを形成し、一方、(例えば、金属シリサイドコンタクト以外の)他の領域には金属を残して局所相互接続を形成する。かかる工程では、シリサイド化の間、(例えば、トランジスタチャネル内の)非シリサイド化シリコンを水素化できることが有利となり得る。
【0004】
[0004]より具体的には、一態様では、露出したシリコン表面上に、シリサイドを形成する金属を含むインク(以下では、「金属前駆体インク」)を選択的に堆積させることによって、シリコンコンタクト及び/又は金属(又は金属シリサイド)相互接続を形成することができる。任意選択で、シリコン表面は、その上に自然酸化物を更に含んでもよい。他の任意選択では、金属前駆体インクを、露出したシリコン表面に隣接する誘電体(又は他の)層上にも選択的に堆積させて、金属相互接続を形成することができる。或いは、金属シリサイド相互接続を、パターン付きシリコン表面上に形成してもよい。その場合、パターン付きシリコン上に金属前駆体インクを堆積(及び、任意選択で、選択的に堆積)させ、アニールして、シリサイド相互接続を形成する。インクを堆積させてパターンを形成する場合、そのパターンは、様々なデバイスの所定の端子を互いに電気的に接続するように構成又は適合された局所又は金属相互接続層のパターンと一致し得る。誘電体層は、(ドープ)ガラス配合物を含むことができ、その中のドーパントには、B、P、As、又は他のドーパントが含まれ得、これらのドーパントは、その下にあるシリコン中に拡散させるのに十分な濃度である。金属前駆体インクを乾燥させて、シリサイド形成金属前駆体を形成し、この金属前駆体及びシリコン表面を、シリコンコンタクト(例えば、金属シリサイド)を形成するのに十分な時間長さの間、所定の温度まで加熱する。任意選択で、金属前駆体の金属を誘電体領域上に残し、この金属前駆体の金属上に導電性金属を(例えば、めっきによって)選択的に堆積させることができる。一般に、金属前駆体からの金属の形成は、導電性金属を選択的に堆積させる前に行うが、シリサイド形成は、この工程のどの時点でも(すなわち、金属前駆体から金属を形成する前、金属形成後であるが導電性金属を選択的に堆積させる前、又は導電性金属を選択的に堆積させた後)行うことができる。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態では、シリサイド形成金属は、シリサイド形成金属の前駆体を溶媒中に含むインクを印刷することによって堆積させることができる。従来の処理工程では、スパッタ堆積又は電子ビーム蒸着によって金属を急峻な段差(sharp step)を覆って堆積させることによって、金属に破断(break)又は不連続(discontinuity)が生じることがある。しかし、印刷工程では、上に重なる層の破断又は不連続を防止するために適切な材料が存在するように、余分のインクを縁部又は隅部、或いは上に重なる層の薄化が考えられる他の位置に配置することができる。余分のインクは、インクジェット式印刷で、所望の位置(複数可)に、余分のインク滴、又はより多量のインク滴を配置することによって供給することができる。グラビア印刷では、余分のインクは、より大きいセル容量のドラムを用いて供給することができる。更に、潜在的なエレクトロマイグレーション不良を回避するために、高電流密度流向けのある機構(例えば、電力バス、ボンドパッド、クロック信号線等)用には追加のインクを印刷してもよい。
【0006】
[0006]金属前駆体インクは、当技術分野で既知の様々な被覆方法又は印刷方法によって堆積させることができる。液体金属(前駆体)インクを印刷する技術が、米国特許第7,152,804号明細書、及び同第7,314,513号明細書に記載されている。様々な実施形態では、シリサイド形成金属インクを、インクジェット式印刷によって堆積させる。ある実施形態では、金属前駆体インクを選択的に堆積させることによって形成したパターンは、露出したシリコン表面を覆って、金属シリサイドと、非シリサイド化金属層とをその上に形成するのに十分な厚さを有し、この非シリサイド化金属層は、金属シリサイド上に残る。様々な実装形態では、金属前駆体インクの金属は、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ti、及びそれらの合金/混合物から成る群から選択される。好ましくは、この金属はPdである。
【0007】
[0007]金属前駆体配合物の溶媒及び/又は他の添加剤を、乾燥ステップで除去して、シリサイド形成金属前駆体を形成する(添加剤によっては、かかる添加剤を実質的に完全に除去するのに十分な条件下で加熱又はアニールしないと完全には除去できないことがある)。次いで、金属前駆体及びシリコン表面を、不活性雰囲気中で加熱(例えば、硬化)して、金属シリサイドコンタクトを形成することができ、不活性雰囲気には還元ガスを更に含めてもよい。或いは、又は更に、インクを乾燥させ、シリサイド形成前駆体を加熱することによって、露出したシリコン表面に隣接する誘電体層上に相互接続及び/又は金属シード層を形成することができる。好ましい実施形態では、加熱ステップによって、シリコン表面上の金属前駆体の一部分(又は実質的に厚さ全体)と、金属前駆体と接触しているシリコン表面の下にあるシリコン層の少なくとも一部分とから、金属シリサイドを形成する。金属前駆体を加熱する温度範囲は、一般に約100℃〜約1000℃であり、かかる加熱は約1秒〜約24時間の時間長さの間実施することができる。望むなら、金属シリサイドコンタクト及び金属相互接続の抵抗は、異なるガス雰囲気中でアニールする(例えば、フォーミングガス中でアニールするのではなく、N、O、NO、NO、O等を単独で、又はそれらを組み合わせた中でアニールする)ことによって容易に調整することができる。この場合、抵抗値は、ウェハ全体又は基板表面にわたって、全てのシリサイドコンタクトで概ね同じとなる。同様に、金属前駆体インクから形成された全ての金属相互接続の抵抗値もやはり、ウェハ全体又は基板表面にわたって概ね同じとなる。
【0008】
[0008]任意選択で、印刷する金属の厚さを変えることによって、単一の基板上で、金属相互接続と、金属シリサイドコンタクトとで異なる抵抗率を実現することができる。例えば、より低い抵抗が求められる領域には、より厚い金属又はより多量の金属インク(例えば、ある領域における滴下数、滴下量、又はインク量の増大、及び/又は滴下間隔の低減によって実現される)を印刷することができる。この技術は、同じ処理ステップ(例えば、印刷)の間に、基板上に異なる厚さの材料を配置することができるという点で、従来の処理に優る顕著な利点を有する。任意選択で、(例えば、基板の表面エネルギーを局所的に変えるように適合された予備印刷ステップを使用して)印刷インクの接触角を局所的に変えることができ、したがって、同じ印刷ステップで、異なる高さ及び線幅の金属を得ることができる。
【0009】
[0009]一変形形態では、コンタクトを設けたい領域上には、金属がシリコンの厚さ全体を消費(consume)してしまわないように、より少量の金属(又はより薄い金属)を印刷することができ、相互接続には、比較的低いシート抵抗を維持するように、より多量の金属(より厚い金属)を印刷することができる。更に、ソース、ドレイン、及び/又はゲートコンタクトの接触抵抗は、各領域に印刷する金属の厚さを制御することによって個別に制御することができる。所与のコンタクト領域について、シリコンと反応する間に金属前駆体が完全に消費されるようにシリサイド化アニールを実施する場合では、その接触抵抗は、主に、又は実質的に完全に金属シリサイドの厚さによって決まる。
【0010】
[0010]好むなら、ゲートを覆って金属前駆体インクを印刷し、ソースコンタクト及びドレインコンタクトを形成するのと同時にシリサイドを形成することによって、ポリシリコンゲートのゲート抵抗を下げることができる。同様に、印刷する金属の厚さ及び/又はパターンを変えることによって、ウェハ全体にわたってゲート抵抗を変えることができる。任意選択で、シリサイド化反応の間、ポリシリコンを完全に消費するのに十分な程厚く金属前駆体を印刷することによって、ポリシリコンゲートを金属シリサイドに完全に変換することができる。このように、単一の印刷ステップで、1つの基板上で、複数のゲート仕事関数を実現することができる。
【0011】
[0011]いくつかの実装形態では、シリサイド形成金属インクを選択的に堆積させる前に、任意選択で、シリコン層上に、1つ又は複数のバイアホールを中に有する誘電体層を形成することができる。好ましい実施形態では、誘電体層は、スピンオンドープガラス配合物を含むことができる。更に、スピンオンドープガラス配合物を形成(例えば、印刷)する直前、又は直後に金属前駆体インクを(例えば、印刷によって)堆積させる場合、ドーパント活性化工程と、金属シリサイド形成工程とを、単一のアニールステップに組み合わせることができる点で有利である。
【0012】
[0012]他の実装形態では、ドープ誘電体インクパターンを基板上に印刷することができ、シリコンフィーチャ(例えば、シリコン島)をその上に印刷することができる。このシリコンフィーチャ上に金属前駆体インクを直接印刷し、次いで、上述のようにアニールして、金属シリサイドコンタクトを形成することができる。その後、別のアニールステップ、又は金属シリサイドを形成するアニールステップのいずれかで、ドーパントをドープ誘電体インクからシリコンフィーチャ内に、好ましくはその厚さ全体にわたって拡散させることによって、シリコンフィーチャをドープすることができる。いずれの場合でも、金属シリサイドは、シリコンフィーチャの厚さ全体を消費しないことが好ましい。
【0013】
[0013]本発明の重要な一態様は、コンタクト及び局所相互接続を、単一の印刷ステップで両層ともに金属前駆体インクを用いて形成することに関する。この手法によって、処理ステップ数が減少し、また、どのようなエッチングステップも必要でなくなる。代替実施形態では、コンタクトと相互接続線とで異なる金属が求められる場合、印刷した金属パターン(例えばPd)は、コンタクト領域中に金属シリサイド(例えばPdSi)を形成するためのシード層として使用するだけでなく、他の金属(例えば、Ag、Cu、Ni等)を無電解めっき、又は電気めっきするためのシード層としても使用することができる。金属の厚さ、及びシリサイドを形成するための硬化工程は、コンタクト領域の金属が全ては消費されずに、尚且つ良好なシリサイドコンタクトが形成されるように選択又は決定することができる。相互接続領域及び/又はコンタクト領域中の金属シード層及び/又は金属シリサイド上に、追加の金属をめっきしてもよい。(例えば、めっき後の)追加のアニールステップによって、シリサイドとめっき金属との電気接触を更に改善することができる。この工程では、(例えば、金属層及び金属シリサイド層を形成するための)印刷し硬化させた金属前駆体膜は、連続している必要はない。更に、金属前駆体インクを印刷する前に、誘電体層に洗浄及び/又は粗面化ステップを行うことによって、めっき金属の誘電体層への接着を改善することができる。
【0014】
[0014]様々な実施形態では、金属前駆体インクを印刷し、乾燥させ、アニールした後に残るいずれの金属上にも、バルク導電性金属を選択的に堆積させることができる。バルク導電性金属は、残る(すなわち、インクから得られる)金属上にバルク導電性金属をめっきすることによって堆積させることができる。バルク導電性金属のめっきは、無電解めっき又は電気めっきを含むことができ、バルク導電性金属は、Al、Ag、Au、Cu、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、並びにそれらの合金及び/又は混合物から成る群から選択することができる。いくつかの実施形態では、バルク導電性金属は、シリサイドの形成前又は形成後にめっきすることができる。更に他の実施形態では、バルク導電性金属を(任意選択で、シリサイド形成と同じステップで)更にアニールして、バルク導電性金属の1つ又は複数の物理特性及び/又は電気特性を改善することができる。
【0015】
[0015]更に他の実施形態では、シリサイド形成金属インクを堆積させる前に、露出したシリコン表面を改変する(例えば、洗浄する)ことができる。他の実施形態では、露出したシリコン表面(その上に自然酸化物が存在する場合にはその自然酸化物も含めて)と、誘電体層とは、金属前駆体インクを選択的に堆積させる前にエッチングすることができる。別の変形形態では、露出したシリコン表面及び/又は誘電体層の表面エネルギーは、前駆体インクを選択的に堆積させる前に改変することができる。当然ながら、本方法(複数可)は、基板上にシリコン層を形成し、それによって露出したシリコン表面を設けるステップを更に含むことができる。
【0016】
[0016]本発明はまた、基板上に、ドーパントを含有するパターン付きドープ誘電体をまず形成することによって、トランジスタ等の電気デバイスを作製する方法に関する。パターン付きドープ誘電体の形成後、パターン付きドープ誘電体中の隣接する構造の少なくとも一部分上、及び隣接する構造間の間隙内に半導体層を形成する。次いで、半導体層上に、少なくともその間隙を覆ってゲート誘電体を形成し、パターン付きドープ誘電体の拡散距離の範囲内の半導体層領域中にドーパントを拡散させる。次いで、ゲート誘電体上にゲートを形成する。任意選択で、ゲート誘電体を形成する前に、ドーパントを半導体層中に拡散させてもよい。その後、金属シリサイドコンタクト(及び、任意選択で、金属相互接続)を形成する方法を実施して、電気デバイスを形成することができる。
【0017】
[0017]本発明の更に他の態様は、他の電気デバイス(ダイオード等)、及びその作製方法に関する。一般的な一実施形態では、ダイオード(又はコンデンサ、抵抗器、若しくはトランジスタ等の他の電気デバイス)は、シリコン表面と、シリコン表面の少なくとも一部分として金属シリサイド層とを有する基板を備えることができる。基板上に、又はそこを覆って、金属シード層を、金属シリサイド層と連続して、あるパターン(例えば、相互接続層のパターン)として形成する。いくつかの実施形態では、基板上に、シリコン表面に隣接して(本明細書に記載のようにドープすることができる)誘電体層を設け、その上にシード層を形成してもよい。金属シリサイド層及び金属シード層上に、導電性金属をめっきして、バルク導電性金属層(例えば、相互接続)を形成することができる。相互接続によって、トランジスタのソース/ドレイン端子をトランジスタのゲートに接続する場合、その結果形成されるデバイスは、一般にダイオードとなる。相互接続によって、トランジスタの2つのソース/ドレイン端子を互いに接続する場合、その結果形成されるデバイスは、一般にコンデンサとなる。相互接続によって、トランジスタの一方のソース/ドレイン端子を入力信号に接続し、トランジスタの他方のソース/ドレイン端子を出力信号に接続し、トランジスタのゲートを電源又は定電圧/基準電圧に接続する場合、その結果形成されるデバイスは、一般に抵抗器となる。
【0018】
[0018]第2の一般的な実施形態では、ダイオード(又は他のデバイス)は、基板のシリコン表面上のゲート誘電体上に(又はそこを覆って)ゲートを有する。ドーパントを含有したパターン付きドープ誘電体を、シリコン層、又はシリコン表面となるフィーチャを覆う領域に設けることができ、このパターン付きドープ誘電体は、シリコン表面が露出した領域には実質的に設けなくてよい。このデバイスはまた、ゲート上、及びシリコン表面中(又は上)のソース/ドレイン端子の少なくとも一部分上に、金属シリサイド層を有する。基板上に(又はそこを覆って)、金属相互接続又はシード層を、ゲート上の金属シリサイド層と、ソース/ドレイン端子の少なくとも一部分上の金属シリサイド層とのどちらとも連続して設け、それによって、金属相互接続状態を有するダイオードを形成する。(本明細書に記載のように)金属シード層上にバルク導電性層をめっきすることによってもやはり、ダイオードが形成される。他のデバイスを形成するための他の変形形態(例えば、上記段落で説明したようなもの、及び当業者の能力の範囲内のもの)もまた、企図される。
【0019】
[0019]上記で説明したダイオード及び電気デバイス、並びにその変形形態もやはり、基板上の露出したシリコン表面上にゲート誘電体を形成し、次いでそのゲート誘電体上にゲートを形成することによって作製することができる。次に、シリコン表面の少なくとも一部分(露出させることができる、又はその上にゲート誘電体の露出部分を有する)上に、パターン付きドープ誘電体を形成することができ、そのパターン付きドープ誘電体の拡散距離の範囲内のシリコン領域中にドーパントを拡散させる。シリサイド形成金属を含むインクを、シリコン表面の少なくとも露出した(ドープ又は非ドープ)部分上に印刷する。次いで、金属前駆体インクを乾燥させて、シリサイド形成金属前駆体を形成する。金属前駆体から金属膜又は層を形成する前又は後に、金属前駆体、及びそこに接触しているシリコン表面を十分に加熱して、金属シリサイド層を形成する。実際には、局所相互接続を形成しない場合、金属前駆体から金属膜又は層を形成する必要はない。一変形形態では、パターン付きドープ誘電体は、ゲートをドープ又は非ドープシリコン領域に接続するための1つ又は複数の金属シリサイド含有ストラップ用の空間又は開口を中に有するスピンオンドープ誘電体を含む。更に、様々な実装形態は、基板上、又はそこを覆って金属シード層を形成するステップを更に含むことができ、この金属シード層は、金属シリサイド層と連続する。かかる実施形態では、金属シード層及び/又は金属前駆体インクは、好ましくはPdを含む。
【0020】
[0020]本発明の別の態様では、電気デバイスが開示される。概略的に述べると、電気デバイスは、シリコン表面を上に有する基板と、基板上に、シリコン表面の一部分を露出させるバイアホールを中に有する誘電体材料と、シリコン表面の露出した部分上のバイアホール中の金属シリサイド層と、金属シリサイド層と連続し、相互接続のパターンとなっている、誘電体材料上の金属シード層とを備える。このデバイスは、金属シリサイド層及び金属シード層上にめっきされた導電性金属を更に有し、この導電性金属が相互接続を形成する。様々な実施形態では、金属シード層は、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ti、並びにそれらの合金及び混合物から成る群から選択され、この金属シード層は、誘電体材料上に印刷することができる。様々な実施形態では、導電性金属は、Al、Ag、Au、Cu、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、及びそれらの合金から成る群から選択される。
【0021】
[0021]例示的な実施形態では、シリサイド形成金属を含むインクを、半導体層の露出した(ドープ又は非ドープ)部分上に印刷することができる。インクを乾燥させてシリサイド形成金属前駆体を形成した後、金属前駆体、及びその前駆体と接触しているシリコン表面を十分に加熱して、金属シリサイド層を形成することができる。いくつかの変形形態では、金属相互接続前駆体は、金属シリサイド層を形成する半導体層部分に隣接し、そこと連続する基板領域上のシリサイド形成金属インクから印刷することができ、又は代替形態では、金属相互接続は、金属シリサイド層、及び金属相互接続前駆体から形成された金属上にめっきしてもよい。
【0022】
[0022]本発明は、金属前駆体インクからシリサイドを形成することによって、電子デバイス中のシリコン層へのコンタクト(及び、任意選択で、局所相互接続)を形成する方法を提供する。本発明はまた、かかるコンタクト及び/又は局所相互接続を含む、ダイオード及びトランジスタ等の電子デバイス、並びにかかるデバイスを形成する方法を提供する。シリサイド形成金属含有インクを印刷して、コンタクト及び局所相互接続を同時に形成することによって、処理ステップ数を減少させることができ、また、エッチングの必要を低減又はなくすことができる。本発明の上記及びその他の利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明による金属シリサイドコンタクトの形成を示す断面図である。
【図1B】本発明による金属シリサイドコンタクトの形成を示す断面図である。
【図1C】本発明による金属シリサイドコンタクトの形成を示す断面図である。
【図2A】印刷し、硬化させた金属前駆体膜が不連続である場合の、金属コンタクト及び/又は相互接続を形成する方法を示す上面図である。
【図2B】印刷し、硬化させた金属前駆体膜が不連続である場合の、金属コンタクト及び/又は相互接続を形成する方法を示す上面図である。
【図2C】印刷し、硬化させた金属前駆体膜が不連続である場合の、金属コンタクト及び/又は相互接続を形成する方法を示す上面図である。
【図2D】印刷し、硬化させた金属前駆体膜が不連続である場合の、金属コンタクト及び/又は相互接続を形成する方法を示す上面図である。
【図2E】印刷し、硬化させた金属前駆体膜が不連続である場合の、金属コンタクト及び/又は相互接続を形成する方法を示す上面図である。
【図3A】金属シリサイドが(任意選択で)凝集してコンタクトを形成し、シリコンを下からドープする場合の、金属コンタクトを形成する方法を示す上面図である。
【図3B】金属シリサイドが(任意選択で)凝集してコンタクトを形成し、シリコンを下からドープする場合の、金属コンタクトを形成する方法を示す上面図である。
【図3C】金属シリサイドが(任意選択で)凝集してコンタクトを形成し、シリコンを下からドープする場合の、金属コンタクトを形成する方法を示す上面図である。
【図3D】金属シリサイドが(任意選択で)凝集してコンタクトを形成し、シリコンを下からドープする場合の、金属コンタクトを形成する方法を示す上面図である。
【図3E】シリコンを下からドープする場合の、図3A〜3Dに従って作製したデバイスの断面図である。
【図4A】本発明による金属シリサイド相互接続の形成を示す断面図である。
【図4B】本発明による金属シリサイド相互接続の形成を示す断面図である。
【図5A】本発明の方法に従って作製したトランジスタの断面図である。
【図5B】本発明の方法に従って作製したトランジスタの断面図である。
【図5C】本発明の方法に従って作製したトランジスタの断面図である。
【図5D】本発明の方法に従って作製したトランジスタの断面図である。
【図5E】本発明の方法に従って作製したトランジスタの断面図である。
【図5F】本発明の方法に従って作製したトランジスタの断面図である。
【図5G】本発明の方法に従って作製したトランジスタの断面図である。
【図5H】本発明の方法に従って作製したトランジスタの断面図である。
【図6A】本発明の方法に従って作製したダイオードを示す上面図である。
【図6B】本発明の方法に従って作製したダイオードを示す上面図である。
【図6C】本発明の方法に従って作製したダイオードを示す上面図である。
【図7A】本発明による金属コンタクト及び/又は相互接続を用いて作製した電気デバイスの断面図である。
【図7B】本発明による金属コンタクト及び/又は相互接続を用いて作製した電気デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0031]次に、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照する。好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明するが、これらの好ましい実施形態は、本発明をこれらの実施形態に限定するものではないことを理解されたい。そうではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の主旨及び範囲内に含まれ得る代替形態、改変形態、及び均等物を包含するものである。更に、以下の本発明の詳細な説明では、本発明の完全な理解が得られるように、多数の具体的な詳細を記載する。しかし、本発明は、こうした具体的な詳細がなくとも実施できることが、当業者には容易に明らかであろう。他の例では、本発明の態様が不必要に分かり難くならないように、周知の方法、手順、構成要素、及び回路については詳細には記載していない。更に、本明細書に記載の実施可能な置換え及び組合せは、本発明を限定するものではないことを理解されたい。具体的には、諸変形形態は、矛盾しない限り、必要に応じて組み合わせ、整合させることができる。
【0025】
[0032]本発明では、用語「堆積させる(deposit)」(及び、その文法的変化形)は、ブランケット堆積(例えば、CVD及びPVD)、(スピン)コーティング、及び印刷を含めて、あらゆる形式の堆積を含むものである。金属含有インクを基板上に印刷する方法の様々な実施形態では、印刷には、金属配合物を基板上に、インクジェット式、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スプレーコーティング、スリットコーティング、押出しコーティング、メニスカスコーティング、マイクロスポッティング及び/又はペンコーティングすることが含まれ得る。また、便宜上分かり易くするために、用語「部分(part)」、「一部分(portion)」、及び「領域(region)」は、互いに置換え可能に使用することができるが、これらの用語はまた、当技術分野で認識されている意味も一般に有する。また、用語「既知の(known)」、「固定の(fixed)」、「所与の(given)」、「ある(certain)」、及び「所定の(predetermined)」は、本細書においてその使用法について別段の指示がない限り、値、量、パラメータ、制約、条件、状態、工程、手順、方法、慣例、又はそれらの組合せを一般に指し、すなわち、理論的には可変であるが、典型的には事前に設定され使用時にはその後も変動しないものである。更に、用語「(ドープ)(doped)」は、ドープされた、又は非ドープの材料を指す。
【0026】
[0033]便宜上分かり易くするために、用語「結合された(coupled to)」、「接続された(connected to)」、及び「連通した(in communication with)」(及びそれらの変化形)は、文脈による別段の明白な指示がない限り、直接又は間接的な結合、接続、又は連通を意味する。これらの用語は、本明細書では概ね互いに置換え可能に使用され、こうした用語を1つでも使用する場合には、その用語は、文脈による別段の明白な指示がない限り、他の用語をも包含する。更に、ある材料に関して、語句「本質的に〜から成る(consisting essentially of)」は、意図的に添加したドーパントを排除するものではなく、こうしたドーパントは、ドーパントを添加する材料(又は、かかる材料から形成される構造若しくはフィーチャ)に、ある所望の(また、潜在的に全く異なる)物理特性及び/又は電気特性を与えることができる。
【0027】
[0034]用語「(シクロ)シラン」とは、本質的に(1)シリコン及び/又はゲルマニウム、並びに(2)水素から成る化合物、又は化合物の混合物を指し、1つ又は複数のシクロ環を含有することができる。用語「ヘテロ(シクロ)シラン」は、本質的に(1)シリコン及び/又はゲルマニウム、(2)水素、並びに(3)従来の炭化水素、シラン、又はゲルマン置換基によって置換することができるB、P、As又はSb等のドーパント原子から成る化合物、又は化合物の混合物を指し、1つ又は複数のシクロ環を含むことができる。また、構造又はフィーチャの「主表面(major surface)」とは、構造又はフィーチャの最大軸によって、少なくとも部分的に画定される表面である(例えば、構造が丸く、その厚さよりも大きい半径を有する場合、その半径方向の表面(複数可)が、その構造の主表面となる。しかし、構造が正方形、長方形、又は楕円形である場合には、その構造の主表面は、典型的には、2つの最大軸[一般には、長さ及び幅]によって画定される表面となる)。更に、用語「金属前駆体インク」、「前駆体インク」、「金属インク」、及び「インク」は、シリサイド形成金属インクを指すように、互いに置換え可能に使用することができる。用語「金属前駆体」及び/又は「前駆体」は、シリサイド形成金属前駆体を指すように、互いに置換え可能に使用することができる。本発明の様々な実施形態に従って作製できる電気デバイスの例には、それだけに限られるものではないが、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、インダクタ、及び抵抗器が含まれる。
【0028】
[0035]本発明では、シリサイド形成金属としてパラジウムを使用することが、特に有利である。というのは、パラジウムシリサイドは、シリコン表面上に存在し得る自然酸化物又は化学酸化物の存在下でも形成することができるからである。これは、(ドープ又は非ドープ)シリコンと、相互接続金属との間のオームコンタクト等の構造を形成する際に重要であり、というのは、シリコン表面上に形成される自然酸化物又は化学酸化物が干渉し、コンタクトの不十分な導電率及び/又は性能の低減を招く恐れがあるからである。
【0029】
[0036]本発明の実施形態は、コンタクト及び/又は局所相互接続用の金属インクを、単一の印刷ステップで堆積させる(例えば、印刷する)という利点をもたらす。こうした堆積数、及び他の処理ステップ数の減少は、典型的には、当技術分野で既知の方法によって求められている。更に、本発明の多くの実施形態は、エッチングを必要とせず、したがって、比較的高価な材料をエッチング除去する際に生じるかなりの量の廃棄物を減少させることができる。
【0030】
[0037]本発明の様々な態様に関して、例示的な実施形態を参照しながら本発明を以下でより詳細に説明する。
【0031】
シリコンコンタクト及び/又は相互接続を形成する例示的方法
[0038]本発明の第1の態様は、シリコンコンタクト及び/又は相互接続を形成する方法に関する。図1A〜1Cは、シリコンコンタクトを形成する例示的な方法を示す。図1Aは、一部分が(例えば、誘電体層200中にバイア又はコンタクトホール300を形成することによって)露出したシリコン表面100を示す。露出したシリコン表面100及び誘電体層200上に、金属前駆体インク(例えば、シリサイド形成金属の前駆体を含む)を選択的に堆積させる。好ましい実施形態では、選択的堆積は、印刷(例えば、インクジェット式印刷)を含む。任意選択で、インクは、主に露出したシリコン表面100上に印刷し、隣接する誘電体層200には比較的小さい領域にしか重ねなくてもよい。
【0032】
[0039]一般に、金属前駆体インク配合物は、本質的に、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12族の金属塩又は金属錯体と、配合物の被覆及び/又は印刷を促進するように適合された1つ又は複数の溶媒と、任意選択で、金属塩又は金属錯体を還元して元素金属又はその合金とする際に、気体又は揮発性の副生成物を生成する1つ又は複数の添加剤とから成ることができる。様々な実装形態では、シリサイド形成金属は、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ti、及びそれらの合金又は混合物から成る群から選択される。好ましい実施形態では、シリサイド形成金属は、Pdを含むか、又は本質的にPdから成る。例えば、Pdインクを、露出したシリコン表面上に、又はそこを覆って印刷し、次いで、アニールして、トランジスタコンタクトを形成することができる。任意選択で、還元した金属前駆体から得られる金属によって、バルク金属相互接続をめっきするための局所相互接続又はシード層を形成することができ、それによって、異なるデバイスの同じ端子間の電気接続の形成を、単一の印刷又はパターニングステップで容易にすることができる。かかる実施形態では、金属前駆体インクは、金属ナノ粒子(例えば、Ag)及び/又は1つ若しくは複数の金属塩、金属酸化物及び/又は金属錯体等のバルク導体前駆体を更に含むことができる(例えば、米国特許第6,878,184号明細書、同第7,084,276号明細書、同第7,259,100号明細書、同第7,259,101号明細書、及び同第7,294,449号明細書参照)。
【0033】
[0040]次いで、金属前駆体インクを乾燥させて、配合物内に存在するいかなる溶媒(複数可)及び/又は添加剤も除去して、図1Bに示すように、金属前駆体パターン400を形成する。例示的な実施形態では、乾燥工程は、被覆又は印刷した金属前駆体インクを、実質的に全ての溶媒(複数可)が除去されるのに十分な温度及び/又は時間長さの間加熱するステップを含む。他の実施形態では、乾燥ステップは、加熱しながら、又は加熱せずに、真空中で溶媒(複数可)を除去するステップを含む。かかる実施形態のいずれにおいても、温度は、30℃〜300℃、50℃〜200℃、又はその範囲内の任意の値若しくは値範囲でもよい。時間長さは、被覆又は印刷した金属前駆体インクから、実質的に全ての溶媒及び/又は実質的に全ての添加剤(複数可)を除去するのに十分な長さでよい(例えば、1秒〜4時間、1分〜120分、又はその範囲内の他の任意の値範囲)。真空は、1ミリトール〜300トール、100ミリトール〜100トール、1〜20トール、又はその範囲内の他の任意の値範囲でよく、真空ポンプ、アスピレータ、ベンチュリ管等によって実施することができる。
【0034】
[0041]乾燥後、シリサイド形成金属前駆体を還元して、乾燥した金属前駆体から金属層を形成することができる(例えば、図1Cの層410)。例えば、金属含有前駆体膜を還元剤に露出させ、金属前駆体及び/又は基板に依存して、周囲温度から約100〜400℃の範囲の温度で加熱することができる。しかし、相互接続を形成しない場合は、金属前駆体を還元する必要はない。金属前駆体を還元しない場合、金属前駆体インク用の同一又は類似の溶媒によって、未反応の金属前駆体を金属シリサイドから選択的に除去することができる。
【0035】
[0042]次いで、シリサイド形成金属前駆体(又は、金属前駆体をまず還元する場合は金属)と、シリコン表面とを、図1Cに示すように、シリコンコンタクト(例えば、金属シリサイド)500を形成するのに十分な時間長さの間、第1の温度まで加熱する。いくつかの実施形態では、自然酸化物(図示せず)が、インクを選択的に堆積させる前の露出したシリコン表面上にあってもよい。様々な実施形態では、金属前駆体インクから得られる還元金属410上に、バルク導電性金属(図示せず)を電気めっき又は無電解めっきによって選択的に堆積させることができ、このバルク導電性金属が、バルク導電性金属から金属相互接続を形成するシード層となる。
【0036】
[0043]例示的な実施形態では、シリサイド形成金属を堆積させるステップは、シリサイド形成金属の前駆体を溶媒中に含むインクを印刷するステップを含む。印刷には、金属配合物を基板上に、インクジェット式、グラビア、オフセット、スクリーン、又はフレキソ印刷、スプレーコーティング、スリットコーティング、押出しコーティング、メニスカスコーティング、マイクロスポッティング及び/又はペンコーティングすることが含まれ得る。しかし、インクジェット印刷が好ましい。
【0037】
[0044]図1Aは、誘電体層200中のバイアホール又は開口300を示し、ここではシリコン表面100が露出しており、その中にインクを印刷することができる。いくつかの実施形態では、誘電体層200上にも、相互接続のパターンに対応したパターンとしてインクを印刷する。一例では、相互接続は、局所相互接続であり、第1のデバイスの1つ又は複数の端子を、同じデバイス又は隣接するデバイスの1つ又は複数の端子に電気的に接続することができる。バイアホール又は開口は、約1ミクロン〜約100ミクロンの幅を有することができ、又はその範囲内の任意の幅若しくは他の幅範囲でもよい。好ましい実施形態では、バイアホールの幅は、約2ミクロン〜約50ミクロンの範囲である。
【0038】
[0045]金属シリサイドコンタクトだけが求められるある実施形態では、金属前駆体インクは、露出したシリコンの、所定の領域だけに印刷する。露出したシリコン表面の(例えば、シリコンを囲む他の材料の表面(複数可)に対する)選択的ウェッティングは、周囲表面(複数可)の相対表面エネルギーを変える工程を用いて実施することができる。一例では、金属前駆体インクを選択的に堆積させる前に、露出したシリコン表面と、その上に自然酸化物がある場合にはその自然酸化物とを、水性HFを含むエッチング溶液中でエッチングすることができる。好ましくは、エッチング溶液は、希釈水性HF、又は代替形態では、緩衝酸化物エッチング溶液(例えば水性HF/NHF)を含む。基板表面を希釈、濃縮、及び/又は緩衝水性HF中でエッチングすることによって、露出したシリコンの表面エネルギーを変えることができ、金属前駆体インクによって、露出したシリコン領域(例えば、シリコン島及びゲート上)を優先的にウェッティングして、非改変領域(例えば、誘電体層及び任意のフィールド酸化物)は実質的に被覆せずに残すことができる。この優先ウェッティング方法によって、金属前駆体インク(例えばPd含有インク)で露出したシリコン表面を被覆することが可能となり、その結果その金属がシリコン(例えば、ドープ源が、隣接するドーパント含有誘電体材料であるドープシリコン)と確実に接触することになる。
【0039】
[0046]第2の例では、過フッ化炭化水素(例えば、CF、C等)ガスと、酸素(例えばO、O、NO)ガスとの組合せを用いて、例えば、ある露出した表面の表面エネルギーを、別の表面に比べて(例えば、シリコンを酸化物(複数可)に比べて)選択的に変えるのに十分な時間長さの間、プラズマ処理することによって、基板表面を改変することができる。また、このプラズマ処理によって、露出したシリコン領域の優先ウェッティングが行われることになる。(例えば、優先ウェッティングによって)コンタクトを形成するこの方法は、その下にあるシリコンのドーピングレベルの影響を受けず、したがって、無電解めっきよりも有利となり得る。というのは、無電解めっきでは、その下にあるシリコンが非ドープであるか、又は比較的低いドーピングレベルを有する場合、コンタクト形成が困難となり得るからである。この優先ウェッティング法によって、印刷の位置合せ、及び重ね合せ(overlay)に関する制約が緩和されることにも留意されたい。この工程フローでは、相互接続用の金属インク(Ag等)を、金属前駆体インクから得られる金属上に印刷し、シリサイド化及び金属インク硬化ステップを1つのアニールステップに組み合わせることができる。
【0040】
[0047]代替実施形態ではまた、上記で一部論じたように、露出したシリコン表面及び/又は誘電体層の表面エネルギーを、金属前駆体インクを選択的に堆積させる前に改変することができる。かかる表面エネルギーの改変は、露出したシリコン表面及び/又は誘電体層を、表面エネルギー改変剤で処理するステップを含むことができる。基板改変のために使用する特定の薬剤及び/又は組成物は、改変させる表面に合わせて調製する(tailor)ことができる。例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシラザン、及びトリメチルシリル塩化物等のシリルハロゲン化物は、Si又はSiO表面と反応し、それらの表面を改変することができる。いくつかの変形形態では、誘電体層だけを表面エネルギー改変剤で処理し、一方、他の変形形態では、露出したシリコン表面及び誘電体層の両方を処理する。好ましい一実施形態では、誘電体の表面エネルギーを改変する(且つ、シリコン表面から自然酸化物を除去する)薬剤は、水性HFを含む。別の好ましい実施形態では(先の段落参照)、CF及びOを用いたプラズマ処理によって、基板表面を改変(又は更に改変)する。
【0041】
[0048]或いは、又は更に、シリサイド形成金属インクを堆積させる前に、露出したシリコン表面を洗浄することができる。かかる工程によって、シリコン表面上の金属前駆体インクの接触角を低く(例えば、0度まで低く)することができる。例示的な実施形態では、洗浄は、シリコン表面を酸(例えば、水性HF又はHSO)で処理するステップ、基板を水ですすぐステップ、及び/又は基板を乾燥させるステップによって実現される。洗浄、すすぎ、及び/又は乾燥ステップは、所定の温度で、所定の時間長さの間実施することができる。例えば、シリコン又はシリコン酸化物表面は、水性H、又は濃縮水性HSO/H溶液で約10分間洗浄することができる。任意選択で、濃縮水性HSO/H処理ステップの後に、水性H洗浄工程を10分間行ってもよい。
【0042】
[0049](例えば、洗浄したシリコン及び/又はシリコン酸化物表面上に、HMDSコーティングを蒸着させることによって設けた)HMDSコーティング表面をまず設け、次いで、UV/オゾン制御処理によって、所定の時間の間、所定のUVパワーでHMDS被覆体を還元することによって、中位接触角(例えば、5〜30度)を得ることができる。代替形態では、O/プラズマ制御処理を、所定の時間の間、所定のRFパワーで使用してもよい。HMDSを部分的に、又は完全に除去する別の方法は、HMDS被覆表面を、H及びHSOの高温槽で所定の時間の間処理するステップを含む。これらの例は、限定的なものではなく、必要に応じて、表面エネルギー改変工程、及び表面処理ステップに適合させることができる。
【0043】
[0050]様々な実施形態では、印刷し硬化させた金属前駆体膜(例えば、金属膜及び/又は金属シリサイド膜)を、高温アニールステップ(例えば、650℃を超える温度のフォーミングガス中で)の間に形成する場合、不連続になるか、又は凝集することがある。不連続シリサイドを用いて縁部コンタクトを形成する場合、そのシリサイドを覆って印刷する金属相互接続もやはり、スピンオンドーパント(SOD)縁部に隣接して(又はそこと接触して)印刷しなければならない。これは、(ドープがSODから生じる場合)、ドープシリコン上の金属線を、シリサイドと確実に接触させるためである。
【0044】
[0051]図2A〜2Dは、金属シリサイド層が不連続である例示的な実施形態を示す。図2Aでは、シリコン島1000を基板上に印刷し、ゲート誘電体(図示せず)を、一般には熱酸化によってその上に形成するが、或いは、ゲート誘電体前駆体インクをその上に印刷することによって形成する。更に、当技術分野で既知のCVD法(例えば、PECVD、HDPCVD等)によってゲート誘電体を堆積させることができる。ゲート誘電体上に、又はそこを覆って、シリコンゲート1200を印刷する。次いで、スピンオンドーパント1300を、シリコン島1000とシリコンゲート1200とが交差するいかなる領域も含めてその上に印刷するが、シリコン島1000及びシリコンゲート1200の端部は被覆せずに残す。その後、スピンオンドーパント1300を乾燥させ、硬化させる。次に、スピンオンドーパント1300と接触し、その拡散距離内に含まれるシリコンゲート1200及びシリコン島1000を、スピンオンドーパント1300をアニールすることによってドープする。結果として得られる露出したドープシリコン領域1400(すなわち、スピンオンドーパント1300の拡散距離内にある領域)を、図2Bに示す。
【0045】
[0052](例えば、シリサイド形成金属の前駆体を含有する)金属前駆体インクを、ドープシリコン領域1400を含めて、シリコンゲート1200及びシリコン島1000の露出した端部上に、好ましくは、露出したシリコン表面及び/又は誘電体層1300の表面エネルギー改変後に、(例えば、印刷によって)選択的に堆積させる。金属前駆体インクを乾燥させ、(必要であれば)還元して、シリコンゲート1200及びシリコン島1000の端部上にシリサイド形成金属を形成し、次いで、このシリサイド形成金属をアニールして、図2Cに示すように、金属シリサイド1500を形成する。金属シリサイドコンタクト1500を、ドープ誘電体層の縁部に形成する場合、それらのコンタクトは「縁部」コンタクトと呼ぶことができる。金属シリサイド1500上に、導電性金属相互接続1600を、図2Dに示すように、スピンオンドーパントの縁部に隣接して(又は接触して、若しくは僅かに重ね合わせて)形成する。こうすることによって、金属シリサイドコンタクト1500と、金属コンタクトパッド(又は相互接続の端部)1600との接触が確実に最大となる。金属シリサイドが不連続である、ある実施形態では、図2Dに示すように、相互接続をドープ誘電体縁部まで印刷する必要がある。或いは、金属パッド/相互接続1600は、図2Eに示すように、スピンオンドーパント端部からずらして(offset)もよいが、シリサイド化したパターン付きシリコンフィーチャの周囲表面全てと実質的に接触させる。(図2D及び2Eに示す縁部コンタクトとは異なり)連続又は不連続シリサイドを、スピンオンドーパント、又は他の誘電体層中の開口内に形成する場合、金属パッド/相互接続は、単にコンタクト上に印刷するだけでよく、こうすることによって、バイアホールが確実に相互接続金属で完全に被覆されることになる。かかる実施形態、及びその変形形態について、例示的な電気デバイスを参照しながら、以下でより詳細に論じる(図7A及び7Bも参照)。
【0046】
[0053]図3A〜3Dは、金属シリサイドが凝集し得る(又は不連続となる)例示的な代替実施形態を示す。しかし、凝集は必ずしも必要というわけではない。図3Aでは、ドープ誘電体2000を、ドープシリコンが求められる領域に印刷する。次いで、図3Bに示すように、ドープ誘電体2000上に、一般にはシリコン前駆体インクを印刷し、インクを乾燥させ、シリコン前駆体を硬化させることによって、シリコン島2200を形成する。次いで、高温アニールステップの間、ドーパントを、下にあるドープ誘電体2000から、実質的にシリコン島2200の厚さ全体に拡散させる。本明細書で説明したように、ゲート誘電体2600(図3E参照)を、シリコン島2200の少なくともチャネル領域上に、又はそこを覆って形成することができる。次いで、図3Bに示すように、高ドープシリコン又は金属ゲート2300を、シリコン島2200のチャネル領域上で交差させて形成する。ゲートの印刷後、図3Cに示すように、シリサイド形成金属前駆体インクを、ソース及びドレイン領域上に印刷し、次いで、乾燥させ、硬化させ、アニールして、金属シリサイド領域2400を形成する。本方法では、島2200を下からドープしたため、比較的広いドープシリコン領域が得られるので、シリコン島2200のソース及びドレイン領域に沿ったどこにでも金属インクを印刷し、それを用いてシリサイドを形成することができる。次に、図3Dに示すように、金属シリサイド2400上に、又はそこを覆って、金属相互接続2500を印刷又は他の形で形成することができる。本方法では、図2Dに示すように、スピンオンドーパント又は層間誘電体の縁部まで金属相互接続を印刷する必要がないので、金属相互接続を印刷する際に自由度が更に得られることになる。本方式に従って製造したデバイスの断面図(原寸に比例して描かれてはいない)を図3Eに示す。
【0047】
[0054]別の工程フローでは、金属シリサイドは、連続する。例えば、シリコン島又はゲートを印刷するステップの間、局所相互接続が求められる基板領域に、シリコンインクをやはり印刷することができる。シリコンインクを作製する適当な配合物及び方法は、1つ又は複数のシラン、ゲルマン、シラゲルマン、ポリシラン、ポリゲルマン、ポリシラゲルマン、及び/又はシリコン及び/又はゲルマニウムナノ粒子を含むことができる。シランインクを局所相互接続用に(シリコン島又はゲートのいずれかと同時に)印刷した後、その上にドープ誘電体を印刷又は他の形で形成し、次いで、金属前駆体インクを(例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、又は無電解めっきによって)露出したシリコン領域上に堆積させることができる。シリサイド化アニールの後、金属シリサイドが、コンタクト領域、並びに露出した局所相互接続領域に形成される。当然ながら、この「連続シリサイド」工程はまた、ドープ誘電体層がシリコン島の前に形成される場合にも作用する。
【0048】
[0055]別の実施形態では、図4Aに示すように、シリサイド形成金属インク3400を選択的に堆積させる前に、シリコン層3300を(例えば、誘電体層3200、及び露出した基板3100の一部分上に)形成して、露出したシリコン表面を設けることができる。かかる実施形態では、基板3100は、当技術分野で既知の適当な任意の材料を含むことができる。例えば、基板は、それだけに限られるものではないが、ガラス(例えば、石英)シート若しくはスリップ、プラスチック及び/又は金属箔、シート、若しくはスラブ(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼箔、ポリカーボネート、ポリエチレン、及びポリプロピレンエステル、ポリイミド等のプラスチックシート又は膜等)、シリコンウェハ等を含むことができ、これらは全て、その上に1つ又は複数のバッファ層(ポリイミド又はその他のポリマー、シリコン及び/又は酸化アルミニウム等)を更に含むことができる。シリコン層3300は、シリコン含有インクを印刷し、次いでそのシリコン含有インクを乾燥させ、硬化させることによって形成することができる。かかる実施形態では、金属前駆体インクによって形成したパターンが相互接続パターンを含む場合、シリコン含有インクを、相互接続パターンを含む初期パターンとして印刷することができる。更に、この初期パターンは、1つ又は複数のシリコン島を更に含むことができる。シリコン層3300を乾燥させた(且つ、任意選択で硬化させた)後、その上に金属前駆体インクを印刷し、乾燥させて、金属前駆体層3400を形成することができる。任意選択で、シリサイド化の前に、金属前駆体層3400を還元して、金属膜を形成してもよい。図4Aの構造を、金属シリサイド相互接続(例えば、図4Bの構造3500)を形成するのに十分な温度及び時間の間加熱(例えば、アニール)することができる。
【0049】
[0056]好ましい実施形態では、金属前駆体インクを選択的に堆積させることによって、1ミクロン〜約200ミクロン、又はその範囲内の任意の値範囲(例えば、2〜約100ミクロン)の最小幅を有するパターンを形成する。様々な実施形態では、このパターンは、約25ナノメートル〜約10ミクロンの最大厚さ、又はその範囲内の任意の値範囲(例えば、25ナノメートル〜約1ミクロン)を有する。好ましい実施形態では、このパターンは、露出したシリコン表面を覆って金属シリサイドを形成するのに十分な厚さを有し、且つ、露出したシリコン表面を覆うシリサイド形成金属の残りのインクを有する。
【0050】
[0057]様々な実施形態では、シリコンコンタクトを形成するために、金属前駆体インク及びシリコン表面を、金属シリサイドを形成するのに十分な時間長さの間、第1の温度まで加熱する。その温度範囲は、100℃〜約1000℃(例えば、約200℃〜約700℃、又は250℃〜約400℃等、その範囲内の任意の値範囲)でよい。コンタクト及び/又は相互接続を形成する加熱時間は、1分〜約24時間(例えば、2分〜約240分、又は約10〜約120分等、その範囲内の任意の値範囲)でよい。かかる条件によって、硬化ステップ(例えば、シリコンフィーチャの形成中に、シランポリマーを脱水素する)又は固相結晶化ステップ(例えば、550〜900℃、一例として、約600℃の温度で)の一部として、シリサイド化を生じることが可能となり得る。
【0051】
[0058]一実施形態では、金属前駆体インクから得られた金属前駆体を加熱し、還元するステップによって、金属前駆体が露出したシリコン表面と接触していない領域にも金属を形成することができる。好ましくは、金属前駆体は不活性雰囲気中で加熱し、この雰囲気中には還元ガスを更に含めることができる。ある変形形態では、還元ガスは、水素(例えば、H)を含むか、又は本質的に水素(例えば、H)から成る。
【0052】
[0059]いくつかの実施形態では、シリサイド形成金属前駆体インクを、任意選択で、露出したシリコン表面に隣接する誘電体層上に選択的に堆積させて、相互接続を形成することができる。好ましい一変形形態では、金属前駆体インクを選択的に堆積させる前に、誘電体層中にバイアホールを形成して、露出シリコン表面を露出させておいてもよい。他の変形形態では、誘電体層は、スピンオンドープガラス配合物を含み、この配合物を印刷して、誘電体層を形成することができる。ある実装形態では(例えば、相互接続が金属シリサイドを含む場合)、スピンオンドープガラス配合物を、相互接続パターン及びバイアホールの露出シリコン表面を露出させる誘電体パターンとして選択的に印刷する。
【0053】
[0060]いくつかの変形形態では、露出したシリコンとは接触していない金属前駆体を還元して得られる金属によって、シード層を形成することができる。この金属シード層上に、バルク導電性金属を、例えばめっきによって選択的に堆積させることができる。めっきは、無電解めっきを含むことができ、又は代替形態では、導電性金属の電気めっきを含むことができる。一実施形態では、無電解めっきは、シリコンを有する基板、その表面上の金属シリサイド、及びそこに隣接し、シード層を上に有する誘電体材料を、周囲温度から85℃の温度で、シード層上にバルク導電性金属を所定の厚さまでめっきするのに十分な時間長さの間、バルク導電性金属塩又は錯体溶液に浸漬させるステップを含む。金属を電気めっきによって堆積させる変形形態では、シード層を上に有する基板を、バルク導電性金属塩又は錯体溶液に浸漬させ、機能材料上にバルク導電性金属を所定の厚さまでめっきするのに十分な時間長さの間、この基板及び溶液に電位を印加する。Pdがシード層に特に有用な金属である。というのは、他の任意の金属のほとんどを、その上にめっきすることができるからである。
【0054】
[0061]様々な実施形態では、バルク導電性金属は、Al、Ag、Au、Cu、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、及びそれらの合金/混合物から成る群から選択される。好ましくは、バルク導電性金属は、Ag、Au、Cu、Ni、及び/又はPdである。いくつかの実装形態では、バルク導電性金属をアニールする。アニールは、シリコンコンタクト及び/又はバルク導電性金属の抵抗を調整することが可能なガス雰囲気中で実施することができる。例示的な実施形態では、ガス雰囲気は、フォーミングガス、N、Ar、及びそれらの混合物から成る群から選択される。様々な実施形態では、バルク導電性金属は、少なくとも300℃の温度でアニールする。他の実施形態では、アニール温度は、900℃以下である。バルク導電性金属は、約1秒〜約24時間の時間長さ、又はその範囲内の任意の時間範囲(例えば、約2分〜約240分、10分〜120分等)の間アニールすることができる。
【0055】
[0062]いくつかの例示的な実装形態では、シリサイド形成金属インク部分は、様々な厚さを有することができる。例えば、インクの第1の部分は、第1の厚さを有することができ、インクの第2の部分は、第2の厚さを有することができ、第1の厚さと第2の厚さとは互いに異なる。より低い線抵抗又はシート抵抗が求められる場合には、より多量のインク(例えば、より厚いシリサイド形成金属)を堆積させることが好ましい。典型的には、コンタクトが求められる領域上には、より少量の金属前駆体インクを印刷し、一方、パターンの相互接続部分には、より多量の金属前駆体インクを印刷する。インクを選択的に堆積させる接触角は、パターン中で異なる金属高さ及び/又は線幅を設けるように、局所的に変えることができる。ある実施形態では、インクの厚さは、各領域(例えば、ソース、ドレイン、及び/又はゲートへのコンタクト)ごとに独立して制御する(ゲート上では比較的厚い金属シリサイド層を形成するが、ソース/ドレイン端子上ではより薄いコンタクト層を形成する、等)。
【0056】
[0063]例示的な実施形態では、シリサイド形成金属前駆体インク配合物を、ソース及びドレインコンタクト領域、及びゲート全体上に選択的に堆積させ、ソース及びドレインコンタクトと同時に、ゲート上にシリサイドを形成する。かかる実施形態では、ゲートは、アモルファスシリコン及び/又はポリシリコンを含むことができ、加熱ステップの間に、シリコンを完全に消費する程十分な厚さの金属前駆体インクを印刷することによって、金属シリサイドに完全に変換することができる。或いは、(例えば、多結晶及び/又はアモルファスシリコンゲートが実質的に一定の厚さを有する場合)、ゲートは、異なるゲート上のシリサイド形成金属の厚さを変えることによって、基板(又はその領域若しくは一部分)にわたって変動する抵抗を有することができる。他の実施形態では、ゲートは、ゲート用のシリコン層の厚さを変え、次いで、異なるゲート上に、シリサイド形成金属を実質的に一定の厚さで堆積させることによって、基板(又はその領域若しくは一部分)にわたって変動する抵抗を有することができる。(例えば、金属前駆体層又は膜の厚さを変え、露出したシリコン表面を覆う金属前駆体の実質的に全てから金属シリサイドを形成することによって)ゲートの抵抗率が基板にわたって変動する場合、異なる仕事関数、したがって、異なる機能性を有する様々な異なるトランジスタを設けることができる。
【0057】
[0064]一実施形態では、インク(又は、インクを乾燥させて得られる金属前駆体)の少なくとも一部分は、インク(又は金属前駆体)の少なくとも1つの他の部分よりも大きい厚さを有する。この実施形態では、厚さをこのように大きくすることによって、他の部分(複数可)に比べて線薄化及び/又は線破断を低減させるのに十分となる。
【0058】
[0065]いくつかの実施形態では、工程フローは、層間誘電体として使用し得るドープ誘電体が、デバイスを覆って連続して存在することには依存しない。例えば、一変形形態では、ドーパント(例えば、ポリイミド等の高分子バインダ又はキャリア及び溶媒中の従来の液相ドーパント)を、露出したシリコン表面上にスクリーン印刷し、活性化ステップ(例えば、高温アニールステップ)の間、ドーパントをシリコン中に拡散させる。活性化ステップ温度は、700〜1000℃の範囲でよく、アニール環境(例えば雰囲気)は、N、O、フォーミングガス、又はそれらの組合せを、真空又は周囲圧力で含むことができる。この高温アニールの間、スクリーン印刷したドーパントは好都合なことにバーンオフ(burn off)することができ、その後には、ドーパント原子又はドーパント(P、B、As等)をその下にあるシリコン中に拡散させる他のドーパント源材料だけが残ることになる。任意選択で、活性化ステップ後に残るいかなる炭素及び/又は酸素残留物も、酸素プラズマを用いて(例えば、灰化によって)、又は従来のウェットエッチング(例えば、水性HSO/H[ピラニア(Piranha)]エッチング)を用いて洗浄することができる。この方式では、酸素プラズマ及びウェットエッチングのどちらも、トランジスタ製造工程に適合するものであり、どちらの工程も、ゲート酸化物、シリコンチャネル、又はゲートが、ポリシリコンを含むか、又は本質的にポリシリコンから成る場合、それらに悪影響を及ぼすことはない。この工程では、シリコンをドープするが、酸化物又は層間誘電体は残らない。スクリーン印刷又はスピンオンしたドーパントが、活性化後も定位置に留まる代替実施形態では、こうしたドーパントを、リソグラフィ、ウェット又はドライエッチング等の従来の工程によって除去して、バイア及び/又はコンタクト開口を形成することができる。この工程は、金属シリサイドコンタクトを形成するのに有効である。
【0059】
[0066]しかし、基板表面上に酸化物がない場合、(ドープ、又は非ドープ)シリコン表面を、酸化物に対して選択的にウェッティングすることは可能でないことがある。したがって、金属前駆体インクを、その印刷表面上に付着させなければならない。このように、コンタクト及び相互接続(又は金属シード層)を、単一のステップで形成することができる。相互接続及び/又はシード層が求められる場合、当技術分野で既知の従来方法によってシリサイドを形成した後に、層間誘電体層を堆積させることができる。また、本明細書に記載の様式、及び/又は当技術分野で既知の様式で、層間誘電体中にコンタクトホールを形成し、コンタクトホール中、及び層間誘電体上に(例えば、相互接続用の)1つ又は複数のメタライゼーション層を形成することができる。
【0060】
トランジスタを作製する例示的な方法
[0067]本発明の別の態様は、トランジスタを作製する方法に関し、そのステップを図5A〜5Fに示す。一般に、基板4100上に、半導体層(例えば、シリコン)4200を形成する。その後、図5Bに示すように、半導体層上に、(例えば、ウェット若しくはドライ熱酸化、気相堆積法[例えば、CVD、PECVD、HDP−CVD等]、又は液相堆積法によって形成した)ゲート誘電体4300を形成し、その上にゲート4400を形成する。次いで、ゲート誘電体層4300の、ゲート4400によって露出した部分を除去する。図5Cに示すように、半導体層4200及びゲート4400を含めて、この基板上に、ドープ誘電体層4500をパターニング、又はブランケット堆積させる。その後、基板及びその上の構造を加熱して、半導体層4200の領域中にドーパントを拡散させ、それによって、ソース及びドレイン端子4210及び4220を形成する。ここで、半導体層領域はドープされる(例えば、構造4210及び4220)が、半導体層中のチャネル領域部分4230は、ドープされずに残る。ゲート4400がシリコンを含む場合、ドーパントが、ドープ誘電体4500からゲート4400中に拡散することになり、図5Cに示すように、ドープゲート構造4410を形成する。いくつかの実施形態では、図5Dに示すように、ドープ誘電体層4500を構造上に残し、その中にバイアホール4310を形成する。或いは、バイアホールは、ドープ誘電体を、バイアホールを含むパターンとして印刷することによって形成してもよい。金属前駆体インクを、露出したシリコン表面上、及び隣接する誘電体層上に堆積させ、インクを乾燥させて、図5Eに示すように、シリサイド形成金属前駆体4320を形成する。次いで、シリサイド形成金属前駆体4320を硬化及び/又は還元して、金属相互接続4350を形成し、その後、露出したシリコン表面(例えば、ソース/ドレイン端子4210及び4220)と接触している(還元した)シリサイド形成金属前駆体を加熱して、図5Fに示すように、シリコンコンタクト4340を形成する。
【0061】
[0068]代替実施形態では、ドープ誘電体層4500は、金属前駆体インクを堆積させる前に除去してもよい。一変形形態では、ドープ誘電体層4500は、ポリアミド、アクリル、又はポリ(エチレン酸化物)等、比較的可燃性の有機材料を含む。この場合、図5Cのドープ誘電体層4500は、上記段落[0065]で説明したように、高温雰囲気中での加熱によって「バーンオフ」することができ、それによって図5Gに示す構造の前駆体を形成することができる。或いは、本明細書に記載の方法(ウェットエッチング等)を用いて、ドープ誘電体層4500を除去してもよい。
【0062】
[0069]図5Gを参照すると、代替実施形態では、シリサイド形成金属含有インクを、基板4100の露出した部分、並びにドープしたソース及びドレイン端子4210及び4220上に印刷することができる。インクを乾燥させて、シリサイド形成金属前駆体(例えば、構造4600及び4610)を形成する。金属前駆体、及び前駆体と接触しているシリコン表面(例えば、ソース及びドレイン端子4210及び4220部分)をアニールして、図5Hに示すように、金属シリサイド縁部コンタクト4700及び金属相互接続4620を形成することができる。例示的な実施形態では、インクは、シリサイド形成金属前駆体及び溶媒を含む。好ましくは、シリサイド形成金属前駆体は、Pdを含む。
【0063】
[0070]任意選択で、層間誘電体を、ゲート及び半導体層上に堆積させることができる。次いで、シリサイド形成金属含有インクを、層間誘電体によって露出した、連続する半導体層の一部分及びゲート上に印刷する。更に、インクはまた、印刷前の層間誘電体の表面エネルギーの更なる改変の有無にかかわらず、層間誘電体の、半導体層露出領域に隣接する領域及びゲート上に印刷することができる。その後、インクを乾燥させて、シリサイド形成金属前駆体を形成することができ、次いで、この前駆体を十分に加熱して、(半導体層の露出領域及びゲート上に形成した金属シリサイドに加えて)層間誘電体上に金属シード層又は相互接続を形成することができる。
【0064】
[0071]上述の実施形態では、ゲート誘電体は、熱酸化によって形成することができる。代替形態では、ゲート誘電体は、液相誘電体前駆体を印刷又は被覆することによって形成することができる。一変形形態では、シリコン及び/又はゲルマニウム前駆体を含有する液相インクを、基板上にパターンとして印刷することによって、連続する半導体層を形成することができる。かかる変形形態では、シリコン及び/又はゲルマニウム前駆体は、ヒドロシラン、ヒドロゲルマン、ヒドロシラゲルマン、(シクロ)シラン、(シクロ)ゲルマン、(シクロ)シラゲルマン、(ポリ)シラン、(ポリ)ゲルマン、及び/又は(ポリ)シラゲルマン、及び/又はシリコン及び/又はゲルマニウムナノ粒子を含有したインクを含む。
【0065】
[0072]一実装形態では、ゲートを形成するステップは、相互接続パターンを形成するステップを更に含むことができる。いくつかの変形形態では、ゲート及び/又は相互接続パターンは、液相シリコン及び/又はゲルマニウム前駆体(例えば、(ポリ)シラン及び/又は(ポリ)ゲルマン含有インク)を、半導体層及びゲート誘電体を覆って印刷することによって形成することができる。先の実施形態及び変形形態に関して説明したように、金属相互接続前駆体を印刷する、又は金属相互接続を、印刷した相互接続パターン(印刷した金属シード層、金属シリサイド層、又はドープ半導体層を含み得る)上にめっきすることができる。好ましくは、金属相互接続は、金属シード層上に無電解めっきする。
【0066】
ダイオードを作製する例示的方法
[0073]本発明の追加の態様は、上述のコンタクト及び/又は相互接続から形成されるダイオード及び他のデバイスに関する。印刷した金属インクは、結合コンタクトを形成するのに有用となり得、この場合、印刷したトランジスタのソースとゲート、又はドレインとゲートを電気的に接続して、ダイオードを形成することができる。或いは、上記で説明したように、ソースとドレインを電気的に接続して、コンデンサを形成することができる。抵抗器等の他のデバイスを、本明細書に記載のように形成することもできる。コイル又は蛇行パターンを、電気回路等の(半)導体フィーチャを覆う誘電体又は他の絶縁表面上に印刷し、本発明に従って金属シリサイドコンタクトを形成する(例えば、誘電体又は他の絶縁層下の回路内の)2つのシリコン表面部分を露出させることによって、インダクタを形成することができる。
【0067】
[0074]この場合、金属を、コンタクト領域上、並びにフィールド酸化物及び/又は層間誘電体上に印刷又は選択的に堆積させて、適当な接続(複数可)を形成する。ポリシリコンゲートをダイオードワイヤ薄膜トランジスタに使用する場合、トランジスタが動作する周波数を増大させるために、その抵抗率を下げなければならない。この結果を得るために、図6A〜6Cに従ってダイオードを形成することができる。図6Aは、印刷したシリコン島5100及びゲート5200を示す。図6Bでは、ドープ誘電体層5300をゲート及びソース/ドレイン領域を覆って所定のパターンとして印刷し、ゲートをソース/ドレイン端子に接続する金属シリサイドストラップ用の空間又は開口5400を残すことができる。図6Cに示すように、次いで、誘電体層5300の開口5400中に金属層5500を(例えば、印刷又はブランケット堆積によって)形成することができる。先に説明したように、表面エネルギーの改変を用いることによって、金属インクは、シリコン層5100及び5200の主に露出領域上に、又は露出領域上だけにウェッティング又は印刷されることになり、誘電体5300は被覆されずに残る。シリサイド化ステップの完了後、次にゲートを複数箇所にある島の片側に接続すると、この薄膜トランジスタはダイオードとして動作する。複数のストラップを使用する利点は、ゲート抵抗率が低下し、それによってダイオードがより高い周波数で動作することが可能となる点である。ダイオードを形成する方法の諸ステップ、及びその例示的な変形形態について、以下でより詳細に論じる。
【0068】
[0075]一般的な方法によれば、ゲート誘電体を基板上の露出したシリコン表面(例えば、図6Aの5100)上に形成する。次いで、ゲート誘電体上に、ゲート(例えば、図6Aの5200)を形成する。次に、ドーパントを含有したパターン付きドープ誘電体(例えば、図6Bの5300)を、露出したシリコン表面の少なくとも一部分上に形成する。次いで、ドーパントをシリコン層5100及び5200の、パターン付きドープ誘電体5300の拡散距離の範囲内の領域中に拡散させる。シリコン表面の少なくとも露出した部分上に、シリサイド形成金属を含むインクを印刷し、その後乾燥させて、シリサイド形成金属前駆体を形成する。金属前駆体、及び金属前駆体と接触しているシリコン表面を十分に加熱して、金属シリサイド層を形成する。露出したシリコンと接触している領域以外の領域では、シリサイド形成金属前駆体は、かかるデバイスの局所相互接続として機能する金属を形成する。
【0069】
[0076]上述の一般的な方法に従って作製したダイオードのシリコン表面は、第1のシリコン島を備えることができる。いくつかの実施形態では、ゲートはポリシリコンを含み、金属前駆体及びシリコン表面を加熱するステップによって、金属前駆体及びゲートを更に十分に加熱して、ゲート上に(及び/又はゲートから)金属シリサイド層を形成する。好ましい実施形態では、パターン付きドープ誘電体は、スピンオンドープ誘電体配合物を含む。かかる実施形態では、スピンオンドープ誘電体を、ゲートをシリコンのドープ領域に接続する複数の金属シリサイドストラップ用の空間又は開口を中に有するパターンとして形成(又は印刷)する。例示的な実施形態では、シリサイド形成金属は、Pdを含む。
【0070】
例示的なダイオード
[0077]上述の方法に従って、様々なダイオードを形成することができる。一実施形態では、ダイオードは、シリコン表面を有する基板を備え、シリコン表面の少なくとも一部分上に金属シリサイド層を有する。このダイオードは、基板上、又はそこを覆う金属シード層を更に備え、この金属シード層は、金属シリサイド層と連続し、相互接続のパターンとなっている。金属シリサイド層及び金属シード層上に、バルク導電性金属をめっきして、相互接続を形成する。いくつかの実装形態では、金属シード層は、本明細書に記載のように印刷することができる。例示的な実施形態では、金属シード層は、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ti、並びにそれらの合金及び混合物から成る群から選択されたシード金属を含む。しかし、Pdが好まれる。というのは、ほぼ全ての他の金属が、Pd上に選択的にめっきされることになるからである。有利には、金属シリサイドはパラジウムシリサイドを含み、及び/又はシード金属は本質的にPdSiから成る。バルク導電性金属は、Al、Ag、Au、Cu、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、及びそれらの合金から成る群から選択することができる。好ましい実施形態では、バルク導電性金属は、Ag、Au、Cu、又はPdを含む。或いは、又は更に、バルク導電性金属は、本質的にAg又はCuから成ることができる。
【0071】
[0078]ダイオードに関する第2の実施形態では、基板のシリコン表面上のゲート誘電体上、又はそこを覆ってゲートを形成する。このダイオードは、ドーパントを含有したパターン付きドープ誘電体を更に含む。ドーパントは、パターン付きドープ誘電体下の基板領域中に存在し、パターン付きドープ誘電体によって露出した基板領域中には実質的に存在しない。このダイオードは、ゲート上、及びシリコン表面中又は上のソース/ドレイン端子の少なくとも一部分上に金属シリサイド層を有する。金属シード層を、基板上に、又はそこを覆って形成し、この金属シード層は、ゲート上の金属シリサイド層、及びソース/ドレイン端子の少なくとも一部分上の金属シリサイド層のどちらとも連続している。この一般的な実施形態には多くの変形形態がある。例えば、シリコン表面は第1のシリコンフィーチャを含むことができ、及び/又はゲートはポリシリコンを含むことができる。他の変形形態では、ドープ誘電体は、スピンオンドーパントを含み、ゲートをソース/ドレイン端子に接続する複数の金属シリサイドストラップ用の空間又は開口を中に有する。好ましい実施形態では、金属シリサイドは、Pdシリサイドである。
【0072】
例示的な電気デバイス
[0079]本発明の更なる態様は、本発明によるコンタクト及び/又は相互接続から作製した電気デバイスに関する。図7Aに示すように、一般的な一実施形態では、電気デバイスは、シリコン表面6200を上に有する基板6100と、バイアホール6400を有する誘電体材料6300とを備え、このバイアホール6400によってシリコン表面の一部分が露出している。図7Bに示すように、このデバイスは、露出したシリコン表面6200上のバイアホール6400中に金属シリサイド層6500を有し、また、この電気デバイスは、誘電体材料上に金属シード層6600を有し、この金属シード層は、金属シリサイド層と連続している。金属シード層は、相互接続のパターンになっている。このデバイスは、金属シリサイド層及び金属シード層上に相互接続を形成するようにめっきしたバルク導電性金属6700を更に有する。シード金属は、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ti、並びにそれらの合金及び混合物から成る群から選択することができる。好ましくは、シード金属は、Pdを含む。好ましい実施形態では、金属シリサイドはパラジウムシリサイドであり、及び/又はシード金属は本質的にPdSiから成る。いくつかの変形形態では、金属シード層は、(例えば、誘電体層上に)印刷することによって形成することができる。例示的な実装形態では、バルク導電性金属は、Al、Ag、Au、Cu、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、及びそれらの合金/混合物から成る群から選択される。好ましい実施形態では、バルク導電性金属は、Ag、Au、Cu又はPdである。
【実施例】
【0073】
コンタクト及び局所相互接続の形成
[0080]金属シリサイドの、コンタクト材料としての実現可能性を、蒸着Pdを用いて実証した。パラジムシリサイド(PdSi)の形成によって、シリコン上に表面酸化物が存在する問題を克服し、従来のスピンコートしたシリコン膜に低抵抗オームコンタクトを形成し、それによって、シリコン表面から汚染物質を洗浄するための特別な洗浄(例えば、スパッタリング工程)の必要をなくした。PdとSiとの反応は、X線回折、断面SEM、及び4点プローブ測定によって確認したところ、N又はAr/H中で300℃で生じた。PdSi及びAlの相互接続を用いた機能性バイアチェーン(コンタクト)についても同様に実証した。この場合の接触抵抗は、約10−6オームcmであった。
【0074】
結論/要約
[0081]したがって、本発明は、金属シリサイドを選択的に堆積させ、その後形成するステップと、任意選択で、同じ選択的堆積工程を用いて、局所相互接続を形成するステップとによって、コンタクトを形成する方法を提供する。本発明はまた、かかる印刷したコンタクト及び/又は局所相互接続から作製されるダイオード及び/又はトランジスタ等の電気デバイス、並びにかかるデバイスを形成する方法に関する。コンタクト用、並びに局所相互接続用の金属インクを同時に印刷することによって、従来の工程の欠点が低減又は解消される。例えば、この手法では、印刷ステップ数が減少し、また、いかなるエッチングステップも不要となる点が有利である。本発明の変形形態によって、相互接続線に異なる金属が求められる状況でも融通性が得られる。かかる状況では、印刷した金属は、コンタクト領域中の金属シリサイド用のシードとして働くだけでなく、無電解めっき又は他の金属用のシードとしても働くことができる。
【0075】
[0082]前述の本発明の特定の実施形態は、例示及び説明のために呈示してきたものである。それらの実施形態は、網羅的なものでも、本発明を上記開示の精密な形に限定するものでもなく、上記の教示に照らせば、多くの改変形態及び変形形態が可能であることは明らかである。上記の実施形態は、本発明の原理及びその実際的な応用を最も良く説明するために選択し、記載したものであり、上記実施形態によって、当業者は、本発明及び様々な実施形態を、特定の使用に適するように企図された様々な改変形態と共に、最も良く利用することが可能となるであろう。本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲、及びそれらの均等物によって規定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属シリサイドコンタクトを形成する方法であって、
a)露出したシリコン表面上にシリサイド形成金属含有インクを堆積させるステップと、
b)前記インクを乾燥させて、シリサイド形成金属前駆体を形成するステップと、
c)前記シリサイド形成金属前駆体及び前記シリコン表面を、前記金属シリサイドコンタクトを形成するのに十分な時間長さの間、第1の温度まで加熱するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記インクを堆積させるステップが、前記インクを選択的に堆積させてパターンを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パターンが、前記露出したシリコン表面に隣接する誘電体層上に選択的に堆積させた前記インクを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インクを乾燥させるステップ、及び前記シリサイド形成金属前駆体を加熱するステップによって、前記誘電体層上に、前記シリサイド形成金属前駆体から金属相互接続を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記インクを乾燥させるステップ、及び前記シリサイド形成金属前駆体を加熱するステップによって、前記誘電体層上に、金属シード層を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記金属シード層上に、バルク導電性金属を選択的に堆積させるステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バルク導電性金属を選択的に堆積させるステップが、前記金属シード層上に、前記バルク導電性金属をめっきするステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記インクを選択的に堆積させるステップが、前記インクを印刷するステップを含み、前記インクが、前記シリサイド形成金属前駆体及び溶媒を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記インクが、誘電体層中のバイアホール又は開口中に印刷され、前記バイアホールによって、前記露出したシリコン表面が露出する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
印刷するステップが、インクジェット式印刷を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記シリサイド形成金属インクを選択的に堆積させる前に、前記露出したシリコン表面及び前記誘電体層を、水性HFを含むエッチング溶液中でエッチングするステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記インクを堆積させる前に、前記露出したシリコン表面の表面エネルギーを改変するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記露出したシリコン表面が、自然酸化物を上に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記シリサイド形成金属前駆体及び前記シリコン表面を、不活性又は還元雰囲気中で加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の温度が、200℃〜約700℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記時間長さが、2分〜約240分である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記シリサイド形成金属が、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ti、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記シリサイド形成金属インクの前記金属が、Pdである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記誘電体層が、ドープ誘電体膜を備え、前記方法が、前記露出したシリコン表面のドープ領域上に前記インクを印刷するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
基板上にドープ誘電体インクを印刷するステップと、前記ドープ誘電体上にシリコンフィーチャを印刷するステップと、前記ドープ誘電体インクからドーパントを拡散させることによって、前記シリコンフィーチャをドープするステップとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記露出したシリコン表面上にドーパントをスクリーン印刷するステップと、バーンオフ工程を用いて前記ドーパントを前記シリコン中に拡散させるステップとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ドープシリコン表面上に、層間誘電体を堆積させるステップと、前記層間誘電体中にコンタクトホールを形成するステップと、前記層間誘電体上にメタライゼーション層を形成するステップとを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
a)基板の少なくとも一部分上に半導体層を形成するステップと、
b)前記半導体層上にゲート誘電体を形成するステップと、
c)前記ゲート誘電体上にゲートを形成するステップであって、前記ゲート及び前記半導体層の少なくとも一方が、シリコン元素を含むステップと、
d)前記半導体層中にドーパントを拡散させるステップと、
e)露出したシリコン表面上にシリサイド形成金属含有インクを堆積させるステップと、
f)前記シリサイド形成金属及び前記シリコンを加熱して、金属シリサイドコンタクトを形成するステップと
を含む、デバイス作製方法。
【請求項24】
前記インクが、シリサイド形成金属前駆体及び溶媒を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記半導体層を形成するステップが、前記基板上に、シリコン及び/又はゲルマニウム前駆体含有インクをパターンとして印刷するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ドーパントを拡散させる前に、前記半導体層上に、前記ドーパントを含有するドープ誘電体を堆積させるステップを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記シリサイド形成金属を加熱するステップによって、前記ドープ誘電体上に、前記シリサイド形成金属から金属相互接続を形成する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記シリサイド形成金属を加熱するステップによって、前記ドープ誘電体上に、金属シード層を形成する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記金属シード層上に、バルク導電性金属を選択的に堆積させるステップを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記バルク導電性金属を選択的に堆積させるステップが、前記金属シード層上に、前記バルク導電性金属をめっきするステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ゲートを形成するステップが、前記半導体層を覆って、シリコン及び/又はゲルマニウム前駆体含有インクをパターンとして印刷するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記ゲートが、ポリシリコンを含み、前記シリサイド形成金属インク及び前記シリコン表面を加熱するステップによって、前記シリサイド形成金属インク及び前記ゲートを更に十分に加熱して、前記ゲート上に前記金属シリサイド層を形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記ドープ誘電体が、前記ゲートを前記半導体層のドープ領域に接続する少なくとも1つの導電性ストラップ用の空間又は開口を中に有する、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記金属シード層及び前記シリサイド形成金属が、Pdを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
a)基板上に、ドーパントを含有するパターン付きドープ誘電体を形成するステップと、
b)前記パターン付きドープ誘電体中の、隣接する構造の少なくとも一部分上と、前記隣接する構造間の間隙とに、連続する半導体層を形成するステップと、
c)前記連続する半導体層上に、少なくとも前記間隙を覆ってゲート誘電体を形成するステップと、
d)前記連続する半導体層の、前記パターン付きドープ誘電体の拡散距離の範囲内の領域に前記ドーパントを拡散させるステップと、
e)前記ゲート誘電体上にゲートを形成するステップと
を含む、デバイス作製方法。
【請求項36】
前記連続する半導体層の露出した部分上に、シリサイド形成金属を含むインクを印刷するステップを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記インクを乾燥させるステップと、前記シリサイド形成金属、及び前記シリサイド形成金属と接触しているシリコン表面を十分に加熱して、金属シリサイド層を形成するステップとを更に含み、前記連続する半導体層及び前記ゲートの少なくとも一方が、前記シリコン表面を備える、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記連続する半導体層を形成するステップが、シリコン及び/又はゲルマニウム前駆体含有インクを印刷するステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記ゲートを形成するステップが、シリコン及び/又はゲルマニウム前駆体含有インクを印刷するステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記ゲート及び前記半導体層上に、層間誘電体を堆積させるステップを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記連続する半導体層の露出した部分及び前記ゲート上に、シリサイド形成金属を含むインクを印刷するステップを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記インクを乾燥させるステップと、前記シリサイド形成金属を十分加熱して、前記層間誘電体上に、金属シード層又は相互接続を形成するステップとを更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
a)シリコン表面を上に有する基板と、
b)前記シリコン表面の一部分を露出させる開口を中に有する誘電体材料と、
c)前記シリコン表面の前記露出した部分上の、前記開口中の金属シリサイド層と、
d)前記誘電体材料上の、前記金属シリサイド層と連続する金属シード層パターンと、
e)任意選択で、前記金属シリサイド層パターン及び前記金属シード層上にめっきされ、相互接続を形成する、バルク導電性金属と
を備える、電気デバイス。
【請求項44】
前記金属シリサイドが、パラジウムシリサイドを含む、請求項43に記載の電気デバイス。
【請求項45】
前記金属シード層が、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ti、並びにそれらの合金及び混合物から成る群から選択されたシード金属を含む、請求項43に記載の電気デバイス。
【請求項46】
前記バルク導電性金属が存在し、Al、Ag、Au、Cu、Pd、Pt、Ni、Cr、Mo、W、Ru、Rh、及びそれらの合金から成る群から選択される、請求項43に記載の電気デバイス。
【請求項47】
前記デバイスがダイオードであり、前記金属シード層が、前記基板上で前記金属シリサイド層と連続しており、且つ相互接続のパターンとなっている、請求項43に記載の電気デバイス。
【請求項48】
前記バルク導電性金属が、前記金属シリサイド層及び前記金属シード層上にめっきされて、前記相互接続を更に形成する、請求項47の電気デバイス。
【請求項49】
前記シード金属が、Pdを含む、請求項48に記載のダイオード。
【請求項50】
前記デバイスがダイオードであり、前記金属シード層が、前記ゲート上、及び前記シリコン表面中又は上のソース/ドレイン端子の少なくとも一部分上にある、請求項43に記載の電気デバイス。
【請求項51】
前記金属シード層が、前記基板上に、又は前記基板を覆って、前記ゲート上の前記金属シリサイド層、及び前記ソース/ドレイン端子の少なくとも一部分上の前記金属シリサイド層と連続している、請求項50に記載のダイオード。
【請求項52】
前記ゲートが、ポリシリコンを含む、請求項43に記載のダイオード。
【請求項53】
前記ドープ誘電体が、前記ゲートを前記ソース/ドレイン端子に接続する複数の金属シリサイドストラップ用の空間又は開口を中に有するスピンオンドーパント配合物を含む、請求項52に記載のダイオード。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図5F】
image rotate

【図5G】
image rotate

【図5H】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公表番号】特表2010−533983(P2010−533983A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517173(P2010−517173)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/070389
【国際公開番号】WO2009/012423
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(504263587)コヴィオ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】