説明

内燃機関のEGR制御装置

【課題】EGR装置を備えた内燃機関において、EGR実施中にEGR弁を閉弁し且つスロットル弁を開弁する加速要求があった場合の過渡状態において、吸気通路内の空気がEGR通路を逆流して排気通路に流入することによる燃焼の悪化や触媒の劣化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】EGR通路と、EGR通路に設けられたEGR弁と、スロットル弁と、EGR弁が開弁される運転状態において、該EGR弁を閉弁し且つスロットル弁をより開き側の開度まで開弁する制御要求があった場合に、EGR弁については、該制御要求に応じて閉弁制御を開始し、スロットル弁については、該制御要求があった時から該EGR弁の閉弁が完了するまでの間、該制御要求におけるスロットル弁の要求開度より閉じ側の所定開度まで開弁し、該EGR弁の閉弁が完了した後、前記要求開度まで開弁する、過渡時弁制御を行う制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のEGR制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気の一部をEGR通路を経由して吸気系に流入させるEGR装置を備えた内燃機関が知られている。
【0003】
特許文献1には、EGR装置と過給機とを備えた内燃機関において、EGR流量の時間的変化からEGRガスが逆流するタイミングを推定し、逆流が生じる前にEGR弁を閉弁する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、EGR通路の途中に逆止弁を設け、EGRガスの逆流を防止する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3には、排気浄化触媒へ空気を供給するために吸気通路と排気通路とを連通する通路を設け、排気圧と吸気圧に基づいて排気の吸気通路への逆流を防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2008−101498号公報
【特許文献2】特開2005−133605号公報
【特許文献3】特開2007−332925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加速要求によりスロットル弁が開弁されると、吸気圧力及び排気圧力がともに上昇するが、排気圧力は吸気圧力よりも遅れて上昇し始める。そのため、排気圧力がスロットル弁開弁前(加速前)の排気圧力からまだ余り上昇していない時に、吸気圧力がスロットル弁開弁後(加速後)に収束する吸気圧力近くまで上昇する場合がある。
【0007】
特に、軽負荷運転状態から高負荷運転状態への加速時のように、スロットル弁開弁前の排気圧力(軽負荷運転状態における排気圧力)が低く、スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力(高負荷運転状態における吸気圧力)が高い加速過渡時には、排気圧力の上昇が遅れている期間において一時的に吸気圧力が排気圧力より高くなる可能性がある。
【0008】
EGR装置を備えた内燃機関の加速過渡時においては、スロットル弁の開弁と同時にEGR弁が閉弁されることがあるが、スロットル弁とEGR弁とでは開度変化の速度に相異があるため、スロットル弁の開弁が完了して吸気圧力や排気圧力が変化し始めた時点でも未だEGR弁が閉弁完了していない、という場合があり得る。
【0009】
そのような場合に、上記のように吸気圧力が排気圧力より高くなると、吸気通路内の空気の一部がEGR通路を逆流して排気通路に流入する虞がある。
【0010】
そうすると、エアフローメータの計測値から算出される吸入空気量と実際にシリンダに吸入される空気量とがずれて燃焼が悪化したり、排気通路に配置される触媒が過剰にリーンなガスに曝されて劣化したり、といった問題が生じる虞がある。
【0011】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、EGR装置を備えた内燃機関において、EGR実施中にEGR弁を閉弁し且つスロットル弁を開弁する加速要求があっ
た場合の過渡状態において、吸気通路内の空気がEGR通路を逆流して排気通路に流入することによる燃焼の悪化や触媒の劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関のEGR制御装置は、
内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路と、
前記EGR通路に設けられたEGR弁と、
前記吸気通路における前記EGR通路の接続箇所より上流側の位置に設けられたスロットル弁と、
前記EGR弁が開弁される運転状態において、該EGR弁を閉弁し且つ前記スロットル弁をより開き側の開度まで開弁する制御要求があった場合に、
前記EGR弁については、該制御要求に応じて閉弁制御を開始し、
前記スロットル弁については、
該制御要求があった時から該EGR弁の閉弁が完了するまでの間、該制御要求における前記スロットル弁の要求開度より閉じ側の所定開度まで開弁し、
該EGR弁の閉弁が完了した後、前記要求開度まで開弁する、
過渡時弁制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記の「所定開度」は、スロットル弁の開弁に伴う吸気圧力及び排気圧力の上昇過程において、吸気圧力が排気圧力より高くなることがないように定められる、スロットル弁の開弁開度である。
【0014】
すなわち、スロットル弁開弁後、排気圧力がスロットル弁開弁前の圧力からまだ余り上昇していない時に、吸気圧力がスロットル弁開弁後に収束する圧力近くまで上昇し、その結果吸気圧力が排気圧力に接近した場合であっても、吸気圧力が排気圧力を超えることがないように定められる、スロットル弁の開弁開度である。
【0015】
ここで、スロットル弁の開弁開度が小さくなれば(閉じ側の開度になれば)、スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力が低くなる。スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力が、スロットル弁開弁前の排気圧力より低ければ、排気圧力がスロットル弁開弁前の圧力からほとんど上昇していない時に吸気圧力がスロットル弁開弁後に収束する吸気圧力近くまで上昇した場合においても、吸気圧力が排気圧力を超えることがないようにすることができる。
【0016】
従って、スロットル弁を要求開度まで開弁した場合に収束する吸気圧力がスロットル弁開弁前の排気圧力より高い場合には、「所定開度」を要求開度より閉じ側の開度であって、スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力がスロットル弁開弁前の排気圧力より高くならないような開度に設定する。
【0017】
但し、スロットル弁を要求開度まで開弁した場合であっても、当該スロットル弁の開弁に伴う圧力変化の過程で吸気圧力が排気圧力を超えるほどの圧力まで上昇しない場合は、スロットル弁の開度を要求開度と等しい開度に設定しても良い。
【0018】
なお、「吸気圧力が排気圧力より高くならない」という条件は、「排気圧力と吸気圧力との差圧(排気圧力から吸気圧力を減算した値)が所定値より小さくならない」という条件としても良い。
【0019】
この場合の「所定値」は、脈動等により排気圧力や吸気圧力が変動した場合においても、吸気圧力が排気圧力より高くなることがないような、吸気圧力と排気圧力との差圧の下
限値に基づいて定めることができる。
【0020】
このように吸気圧力が排気圧力より所定値以上の余裕代を有して低い圧力までしか上昇しないように「所定開度」を設定すれば、脈動があった場合等において一時的にでも吸気圧力が排気圧力を超えてしまうようなことをも、より確実に抑制することが可能となる。
【0021】
なお、「吸気圧力が排気圧力より高くならない」という条件は、「排気圧力と吸気圧力との差圧が所定値より小さくならない」という条件において「所定値」を0とした特別の場合と考えることもできる。
【0022】
また、以上のように、「所定開度」を、スロットル弁開弁に伴う圧力変化の過程において吸気圧力が排気圧力より高くなることが無いようなスロットル弁の開弁開度として設定する他に、本発明は、「所定開度」を、スロットル弁開弁に伴う圧力変化の過程において吸気圧力が排気圧力より高くなることをある程度までは許容する考え方に基づいて定めることを含んでも良い。
【0023】
すなわち、吸気圧力が排気圧力より高くなることにより、吸気通路内の空気がEGR通路を逆流して排気通路に流入したとしても、当該空気の逆流に起因する燃焼の悪化や触媒の劣化の程度が所定の許容範囲内に収まるようなスロットル弁の開弁開度として、「所定開度」を定めることができる。
【0024】
これは、上記の「排気圧力と吸気圧力との差圧が所定値より小さくならない」という条件において「所定値」を負の値とした特別の場合と考えることもできる。
【0025】
また、本発明の「所定開度」は、EGR弁が閉弁完了するまでの期間中に亘って一定の開度としても良いし、可変の開度としても良い。
【0026】
本発明によれば、EGR弁が閉弁完了するまでの期間は、スロットル弁が上記のように定められる「所定開度」までしか開弁されないので、EGR弁が開弁状態である時に吸気圧力が排気圧力より高い状態となることを抑制できる。
【0027】
従って、EGR弁の閉弁完了が遅れている期間中に吸気通路内の空気がEGR通路を逆流して排気通路に流入することを抑制できる。
【0028】
そして、EGR弁が閉弁完了した後に、スロットル弁が要求開度まで開弁される。スロットル弁を当該要求開度まで開弁することに伴う圧力変化の過程で一時的又は定常的に吸気圧力が排気圧力を超えることがあっても、既にEGR弁は閉弁しているので、吸気通路内の空気がEGR通路を逆流して排気通路に流入することはない。
【0029】
このように、本発明によれば、EGR弁が開弁される運転状態からEGR弁を閉弁し且つスロットル弁を開弁する運転状態への加速過渡時において、吸気通路内の空気がEGR通路を逆流して排気通路に流入することを抑制できる。
【0030】
よって、エアフローメータの計測値から算出される吸入空気量と実際にシリンダに吸入される空気量とがずれて燃焼が悪化したり、排気通路に配置される触媒が過剰にリーンなガスに曝されて劣化したり、といった問題の発生を抑制することが可能になる。
【0031】
本発明において、「所定開度」は、前記制御要求直前の運転状態における前記スロットル弁の開度としても良い。
【0032】
この場合、制御手段は、制御要求があった時からEGR弁が閉弁完了するまでの期間中、スロットル弁の開度を制御要求直前の運転状態におけるスロットル弁開度に維持する。そして、EGR弁が閉弁完了した後でスロットル弁を要求開度まで開弁する。
【0033】
これは、EGR弁の閉弁制御の開始タイミングに対して、スロットル弁を要求開度まで開弁する制御の開始タイミングを、EGR弁の閉弁が完了するまでの期間だけ遅延させることを意味する。
【0034】
これにより、EGR弁が閉弁完了するまでの期間は、吸気圧力及び排気圧力は加速要求前の圧力からほとんど変化しないので、EGR弁が未だ開弁状態にある期間中に吸気圧力が排気圧力より高くなることをより確実に抑制でき、空気の逆流による燃焼の悪化や触媒の劣化をより確実に抑制することが可能になる。
【0035】
このように、EGR弁が閉弁完了するまでの期間、スロットル弁の開度を変化させないようにすれば、EGR弁が開弁している時に吸気圧力が排気圧力を超えることを確実に抑制できるが、EGR弁が閉弁完了するまでの期間においても、吸気圧力が排気圧力を超えない範囲で、スロットル弁を徐々に開弁していくようにしても良い。
【0036】
例えば、本発明において、前記制御手段は、前記過渡時弁制御において、前記EGR弁が閉弁完了するまでの間、
排気圧力が吸気圧力より所定圧力以上高い場合には、前記スロットル弁の開度を所定開度変化量だけ開き側に変化させ、
そうでない場合には、前記スロットル弁の開度を変化させないことにより、
前記スロットル弁の開度を段階的に前記要求開度に向かって変化させていくようにしても良い。
【0037】
ここで、「所定開度変化量」は、少なくとも、制御要求直前のスロットル弁開度と要求開度との差よりも小さい開度変化量である。すなわち、制御要求直前のスロットル弁開度から、複数回、所定開度変化量だけスロットル弁を開弁することを経て、スロットル弁を要求開度まで開弁させる。
【0038】
「所定開度変化量だけ開き側に変化させる」ことには、スロットル弁の開度を階段状に変化させることや、時間に応じて連続的に変化させることを含む。例えば、「排気圧力が吸気圧力より所定圧力以上高い」という条件が満たされた時点で、スロットル弁の開度を現状の開度より所定開度変化量だけ開き側の開度に変更するようにしても良い。また、「排気圧力が吸気圧力より所定圧力以上高い」という条件が満たされている期間中、スロットル弁の開度をある変化速度で開き側に連続的に変化させていくようにしても良い。これらを適宜組み合わせた変化のさせ方としても良い。
【0039】
「所定圧力」は、排気圧力が吸気圧力より当該「所定圧力」以上高い場合に、スロットル弁の開度を「所定開度変化量」だけ開き側に開弁することに伴う排気圧力及び吸気圧力の上昇過程において、吸気圧力が排気圧力より高くなることが無いような、排気圧力と吸気圧力との差圧の下限値に基づいて定めることができる。
【0040】
或いは、吸気圧力が排気圧力より高くなった場合においても、その際に吸気通路からEGR通路を逆流して排気通路に流入する空気量が所定の許容量を超えることが無いような、排気圧力と吸気圧力との差圧の下限値に基づいて定めても良い。この考え方は上述した「所定開度」の定め方と共通である。
【0041】
「所定圧力」を0とすれば、上記の過渡時弁制御は、排気圧力が吸気圧力以上の場合に
は、スロットル弁を所定開度変化量だけ開弁し、吸気圧力が排気圧力より高い場合には、その時のスロットル弁の開度を維持する、という制御となる。
【0042】
「所定圧力」が負の値とすれば、上記の過渡時弁制御には、吸気圧力が排気圧力よりわずかに高い場合においても、スロットル弁を所定開度変化量だけ開弁することが含まれる。その場合、もちろん、吸気圧力が排気圧力より高いことによって空気の逆流が起こった場合であっても、その逆流量が所定の許容範囲内に収まるように、「所定圧力」や「所定開度変化量」が定められる。
【0043】
上記の過渡時弁制御においては、現状の排気圧力及び吸気圧力を測定又は計算により取得し、取得した排気圧力及び吸気圧力の比較に基づいて、スロットル弁の所定開度変化量の開弁又は開度維持を選択することができる。
【0044】
上記の過渡時弁制御によれば、スロットル弁は、EGR弁が閉弁完了するまでの期間中においても要求開度に向かって徐々に開弁されていくので、当該期間中にスロットル弁の開度を要求開度より閉じ側の開度までしか開弁しないことに起因するトルク不足を抑えることができる。
【0045】
軽負荷運転状態から高負荷運転状態への加速時においては、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度が小さいので、スロットル弁開弁前の排気圧力が低く、且つ、高負荷運転状態におけるスロットル弁開度が大きいので、スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力が高い。
【0046】
そのため、スロットル弁開弁に伴う圧力変化の過程で、排気圧力がスロットル弁開弁前の圧力からまだ余り上昇していない時に、吸気圧力がスロットル弁開弁後に収束する圧力近くまで上昇した場合に、吸気圧力が排気圧力を超える可能性が高い。
【0047】
そこで、本発明において、前記制御手段は、前記EGR弁が開弁され且つ機関負荷が所定負荷より小さい軽負荷運転状態から、前記EGR弁が閉弁され且つ前記スロットル弁が所定の基準開度より開き側の開度に開弁される高負荷運転状態への加速要求時に、前記過渡時弁制御を行うようにしても良い。
【0048】
このように、スロットル弁開弁に伴う圧力変化の過程で吸気圧力が排気圧力より高くなり易い過渡要求条件において、本発明に係る過渡時弁制御を行うことにより、吸気通路からEGR通路経由で排気通路へ空気が逆流することを好適に抑制することができる。
【0049】
ここで、「所定負荷」及び「所定の基準開度」は、当該「所定負荷」より軽負荷の運転状態における排気圧力より、当該「所定の基準開度」より開き側の開度までスロットル弁が開弁された時の収束後の吸気圧力の方が高くなるような、負荷及びスロットル弁の開弁開度である。
【0050】
或いは、「所定負荷」より軽負荷の運転状態における排気圧力と、「所定の基準開度」より開き側の開度までスロットル弁が開弁された時の収束後の吸気圧力と、の差(該排気圧力から該吸気圧力を減算した値)が、上述した「所定値」(すなわち脈動による圧力変動があった場合においても吸気圧力が排気圧力を超えないような両者の差圧の下限値)より小さくなるような、負荷及びスロットル弁の開弁開度である。
【0051】
スロットル弁が全開にされる加速過渡時においては、スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力は大気圧に近い圧力になるため、特にスロットル弁の開弁に伴う圧力変化の過程で吸気圧力が排気圧力より高くなり易い。
【0052】
そこで、本発明において、前記制御手段は、前記制御要求における前記スロットル弁の要求開度が全開である場合に、前記過渡時弁制御を行うようにしても良い。
【0053】
これにより、スロットル弁の要求開度が全開である加速過渡時において、吸気通路からEGR通路経由で排気通路へ空気が逆流することを確実に抑制することができる。
【0054】
スロットル弁を要求開度まで開弁したとしても、当該スロットル弁の開弁に伴う圧力変化の過程で、吸気圧力が排気圧力より高くなることがないのであれば、EGR弁が開弁状態であっても吸気通路からEGR通路経由で排気通路へ空気が逆流する虞はない。
【0055】
従って、そのような場合には、EGR弁が閉弁完了するまでスロットル弁の開弁開始を遅延させたり、スロットル弁の開弁開度を要求開度より閉じ側の開度に制限したり、といった本発明に係る過渡時弁制御を実行しなくても、燃焼の悪化や触媒の劣化といった問題が生じる虞はない。
【0056】
本発明に係る過渡時弁制御において、スロットル弁の開弁開度が要求開度より閉じ側の開度に制限されると、トルク不足が生じる場合があるため、過渡時弁制御を実行しなくても空気の逆流の虞が無い場合には、過渡時弁制御を行わないようにしても良い。
【0057】
そこで、本発明において、前記制御手段は、
前記スロットル弁の開度を前記要求開度まで開弁したと仮定した場合の収束後の吸気圧力を予測する手段と、
前記制御要求時における排気圧力を取得する手段と、
を有し、前記予測した吸気圧力が前記取得した排気圧力より高い場合に、前記過渡時弁制御を行うようにしても良い。
【0058】
スロットル弁を要求開度まで開弁したと仮定した場合の収束後の吸気圧力は、例えば、開弁前のスロットル弁開度、開弁後のスロットル弁開度(すなわち要求開度)、吸気流量、吸気バルブのバルブ特性(作用角、リフト量、開閉タイミング)、内燃機関の運転条件、吸気通路の配管長や配管容積、吸気温度等の諸量に基づく公知の計算方法により予測することができる。
【0059】
また、制御要求時における排気圧力は、例えば、定常状態における吸気流量と排気圧力との関係を予め求めたマップに対して1次遅れ演算をすることにより推定することができる。或いは、圧力センサによる計測によって排気圧力を取得することも可能である。
【0060】
このようにして予測された吸気圧力と取得された排気圧力との関係は、スロットル弁を要求開度まで開弁した場合の圧力変化の過程で、排気圧力がスロットル弁開弁前の圧力から全く上昇しておらず、且つ、吸気圧力がスロットル弁開弁後に収束する圧力まで上昇し終わっている、という最も極端な状況(最も吸気圧力が排気圧力に接近する状況)が実現した場合における吸気圧力と排気圧力との関係を表していると考えられる。
【0061】
従って、予測された吸気圧力が取得された排気圧力より高い場合に、本発明に係る過渡時弁制御を行うようにすれば、スロットル弁の開弁に伴う圧力変化の過程で吸気圧力が排気圧力を超えることを好適に抑制できる。
【0062】
逆に、このようにして予測された吸気圧力が取得された圧力より高くない場合には、本発明に係る過渡時弁制御を行わなくても、換言すれば、EGR弁の閉弁に対して遅延無くスロットル弁を要求開度まで開弁したとしても、当該スロットル弁の開弁に伴う圧力変化
の過程で吸気圧力が排気圧力を超える虞はないので、本発明に係る過渡時弁制御を実行しないようにすることができる。
【0063】
こうすることにより、不必要にスロットル弁の開弁開始を遅延させたりスロットル弁の開弁開度を制限したりすることを抑制でき、トルク不足が生じることを抑制することも可能になる。
【0064】
なお、「予測した吸気圧力が取得した排気圧力より高い」という条件は、「取得した排気圧力と予測した吸気圧力との差(排気圧力から吸気圧力を減算した値)が所定値より小さい」という条件に替えても良い。
【0065】
この場合の「所定値」は、脈動があって排気圧力や吸気圧力が変動した場合においても、吸気圧力が排気圧力を超えることが無いような排気圧力と吸気圧力の差圧の下限値に基づいて定めることができる。
【0066】
スロットル弁を要求開度まで開弁し、当該スロットル弁の開弁に伴う圧力変化の過程で、吸気圧力が排気圧力より高くなることがあったとしても、吸気通路からEGR通路経由で排気通路へ逆流する空気量がそれほど多くなく、それに起因する燃焼の悪化や触媒の劣化の程度が許容範囲に収まるのであれば、EGR弁が閉弁完了するまでスロットル弁の開弁開始を遅延させたり、スロットル弁の開弁開度を要求開度より閉じ側の開度に制限したり、といった本発明に係る過渡時弁制御を必ずしも実行する必要はない。
【0067】
上述のように、本発明に係る過渡時弁制御において、スロットル弁の開弁開度が要求開度より閉じ側の開度に制限されると、トルク不足が生じる場合があるため、過渡時弁制御を実行しなくても燃焼の悪化や触媒の劣化の程度が許容範囲に収まる場合には、過渡時弁制御を行わないようにしても良い。
【0068】
そこで、本発明において、前記制御手段は、前記制御要求があった時点で前記スロットル弁を前記要求開度まで開弁したと仮定した場合に、前記吸気通路から前記EGR通路を逆流して前記排気通路に流入する空気量を予測する手段を有し、前記予測した空気量が所定の許容量より多い場合に、前記過渡時弁制御を行うようにしても良い。
【0069】
「所定の許容量」とは、その量の空気が吸気通路からEGR通路を逆流して排気通路に流入したとしても、それに起因する燃焼の悪化や触媒の劣化の程度が許容範囲に収まるような空気量の上限値に基づいて定めることができる。
【0070】
制御要求があった時点でスロットル弁を要求開度まで開弁したと仮定した場合に起こると予測される空気の逆流量は、スロットル弁を要求開度まで開弁した場合に予測されるEGR通路の上流端の圧力(排気通路におけるEGR通路の接続箇所近傍の排気圧力)と、EGR通路の下流端の圧力(吸気通路におけるEGR通路の接続箇所近傍の吸気圧力)と、の差圧、EGR弁の開度、EGR通路の配管長や配管径等に基づいて計算することができる。
【0071】
このようにして予測された逆流空気量が許容量より多い場合に、本発明に係る過渡時弁制御を行うようにすれば、EGR弁が開弁される運転状態からEGR弁が閉弁され且つスロットル弁が開弁される運転状態への過渡時に、吸気通路からEGR通路経由で排気通路へ空気が逆流し、それに起因して許容範囲を超える程度の燃焼の悪化や触媒の劣化が起こることを、好適に抑制することができる。
【0072】
逆に、このようにして予測された逆流空気量が許容量以下である場合には、本発明に係
る過渡時弁制御を行わなくても、換言すれば、EGR弁の閉弁に対して遅延無くスロットル弁を要求開度まで開弁したとしても、上記過渡時に許容範囲を超える程度の燃焼の悪化や触媒の劣化が起こる虞はないと判断できるので、本発明に係る過渡時弁制御を実行しないようにすることができる。
【0073】
こうすることにより、不必要にスロットル弁の開弁開始を遅延させたりスロットル弁の開弁開度を制限したりすることを抑制でき、トルク不足が生じることを抑制することも可能になる。
【0074】
本発明において、前記EGR弁を駆動するアクチュエータとして、その応答速度が前記スロットル弁を駆動するアクチュエータの応答速度と略等しいものを用いるようにしても良い。
【0075】
EGR装置を備えた内燃機関において、EGR弁が開弁される運転状態からEGR弁が閉弁され且つスロットル弁が開弁される運転状態への過渡時に、吸気通路からEGR通路経由で排気通路へ空気の逆流が起こる要因は、上述したように、EGR弁の開度変化速度がスロットル弁の開度変化速度に比べて遅いため、スロットル弁開弁完了に伴う圧力変化の過程で吸気圧力が排気圧力より高くなった時に、未だEGR弁が閉弁完了していない場合があることにある。
【0076】
従って、EGR弁の開度変化速度が速ければ、上記過渡時においてEGR弁が閉弁完了するのに要する時間が短くなるので、本発明に係る過渡時弁制御においてスロットル弁の開弁開始を遅延させたり、スロットル弁の開弁開度を制限したりする期間を短縮することができる。
【0077】
また、EGR弁が閉弁完了するのに要する時間が短くなれば、加速要求時にスロットル弁を要求開度まで開弁しても空気の逆流量が許容量より多くなりにくくなると考えられる。
【0078】
従って、本発明において、空気の逆流量が許容量以下なら過渡時弁制御を実行しないような構成とした場合には、過渡時弁制御の実行が要求される機会を減らすことができる。
【0079】
これにより、スロットル弁を要求開度まで開弁することを遅延させることに起因するトルク不足を抑えることができる。
【0080】
本発明は、前記吸気通路における前記スロットル弁の設置箇所の上流の位置に設けられたコンプレッサと、前記排気通路に設けられたタービンと、を有するターボチャージャを更に備えた内燃機関に適用することもできる。
【0081】
このようなターボチャージャを備えた内燃機関においては、コンプレッサによって吸気が加圧されるので、軽負荷から高負荷への加速等の過渡時において吸気圧力が排気圧力より高くなる可能性が高い。
【0082】
この点、本発明を適用すれば、EGR弁が閉弁完了するまでの期間は、吸気圧力が排気圧力より高くならないような所定開度にスロットル弁が制御されるので、ターボチャージャを備えた内燃機関においても、加速過渡時における吸気通路から排気通路への空気の逆流を好適に抑制することができる。
【発明の効果】
【0083】
本発明により、EGR装置を備えた内燃機関において、EGR実施中にEGR弁を閉弁
し且つスロットル弁を開弁する加速要求があった場合の加速過渡において、吸気通路内の空気がEGR通路を逆流して排気通路に流入することによる燃焼の悪化や触媒の劣化を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0084】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0085】
図1は、本実施例に係るEGR制御装置を適用するエンジンとその吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す概念図である。
【0086】
図1において、エンジン1は4つの気筒5を有する火花点火式のガソリンエンジンである。各気筒5は吸気ポートを介して吸気通路6に連通している。また、各気筒5は排気ポートを介して排気通路9に連通している。エンジン1には吸気ポートを開閉する吸気バルブ及び排気ポートを開閉する排気バルブが備えられている。
【0087】
吸気通路6には上流側からエアフローメータ7、ターボチャージャ8のコンプレッサ2、スロットル弁14が設けられている。排気通路9には上流側からターボチャージャ8のタービン3、排気浄化用の触媒4が設けられている。触媒4は、具体的には、酸化触媒、三元触媒、吸蔵還元型NOx触媒、それらを担持するパティキュレートフィルタ等である。
【0088】
タービン3より上流側の排気通路9と、スロットル弁14より下流側の吸気通路6とは、EGR通路12によって連通している。EGR通路12にはEGR弁13が設けられている。EGR弁13の開度は開度センサ15によって測定される。排気通路9を流れる排気の一部がEGR通路12を通って吸気通路6に流入することにより、EGRが行われる。
【0089】
エンジン1にはエンジン1の運転状態を制御するコンピュータであるECU16が備えられている。ECU16には上述したエアフローメータ7、開度センサ15の他、クランク角度センサ10及びアクセル開度センサ11その他各種センサなどが接続され、その計測データがECU16に入力される。
【0090】
また、ECU16には上述したスロットル弁14やEGR弁13その他の各種機器が接続され、ECU16からこれら各種機器に制御信号が出力される。ECU16は各種センサから入力される測定データに基づいてエンジン1の運転状態やドライバーの要求を取得し、それに基づいてスロットル弁14の開度、EGR弁13の開度、その他各種機器の動作を制御する。
【0091】
例えば、図2は、エンジン1の運転領域とEGR弁13の開度制御との対応関係を定めたマップの一例を示す。
【0092】
図2の運転領域Aはアイドル運転領域であり、ここではEGR弁13は閉弁され、EGRは実施されない。
【0093】
運転領域Bは軽負荷運転領域であり、ここではEGR弁13が開弁され、EGRが実施される。実際にはクランク角度センサ10による計測値から把握される回転数及びアクセル開度センサ10による計測値から把握されるアクセル開度に応じてさらに細かくEGR
弁開度の目標値が定められる。
【0094】
運転領域Cはスロットル弁14が全開又は全開に近い大開度まで開弁される高負荷運転領域であり、ここではEGR弁13は閉弁され、EGRは実施されない。
【0095】
ここで、EGR弁13が開弁される軽負荷運転領域Bに属する運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が大開度に開弁される高負荷運転領域Cに属する運転状態への加速要求があった場合における、EGR弁13及びスロットル弁14の開度制御について説明する。
【0096】
このような加速要求があった場合、従来技術では、スロットル弁14を開弁する制御とEGR弁13を閉弁する制御とを同時に開始する制御が考えられる。
【0097】
図3はこのようなスロットル弁14及びEGR弁13の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁14の開度、EGR弁13の開度、吸気圧力、及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【0098】
図3(A)に示すように、時刻t1におけるアクセルの踏み込みによって軽負荷運転状態から高負荷運転状態への加速が要求されたとする。軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度は比較的小さい開度Dth1であり、加速要求におけるスロットル弁14の要求開度は比較的大きい開度Dth2(>Dth1)であるとする。
【0099】
この加速要求に応じて、EGR弁13について、図3(C)に示すように、加速要求のあった時刻t1において、軽負荷運転状態におけるEGR弁開度Deg1から、高負荷運転状態におけるEGR弁開度Deg2(全閉)を目標開度として、EGR弁13を閉弁する制御が開始される。
【0100】
また、スロットル弁14についても、図3(B)に示すように、加速要求のあった時刻t1において、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1から、高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2を目標開度として、スロットル弁14を開弁する制御が開始される。
【0101】
このスロットル弁14の開弁により、図3(B)に示すように、スロットル弁14は比較的短時間で高負荷運転状態における要求開度Dth2まで開弁し、このスロットル弁14の開弁に伴って、図3(D)に示すように、吸気圧力Pin及び排気圧力Pexが上昇する。
【0102】
ここで、スロットル弁14の開弁に伴う吸気圧力及び排気圧力の上昇過程においては、排気圧力の上昇は吸気圧力の上昇に遅れる。
【0103】
そのため、図3(D)に示すように、排気圧力が軽負荷運転状態における排気圧力(スロットル弁14の開弁前の排気圧力)Pex1から未だ余り上昇していない時刻t2近傍において、吸気圧力が高負荷運転状態における吸気圧力(スロットル弁14の開弁後に収束する吸気圧力)Pin2近くの圧力まで上昇し、吸気圧力の上昇より遅れた時刻t3近傍において排気圧力の上昇が始まる場合がある。
【0104】
特に、この例のように、軽負荷運転状態におけるスロットル弁14の開度が小さいために軽負荷運転状態における排気圧力(スロットル弁開弁前の排気圧力)Pex1が比較的低く、且つ、高負荷運転状態におけるスロットル弁14の開度が大きいために高負荷運転状態における吸気圧力(スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力)Pin2が比較的高い
場合には、図3(D)に示すように、吸気圧力の上昇に対して排気圧力の上昇が遅れている期間Δt(t2〜t3)において、吸気圧力が排気圧力にかなり接近することになる。
【0105】
このような場合、脈動により吸気圧力や排気圧力が変動した場合や、ターボチャージャ8による過給によって吸気圧力がさらに上昇した場合等において、吸気圧力が排気圧力を超える可能性が高い。
【0106】
ここで、図3(C)に示すように、時刻t1においてスロットル弁14の開弁開始と同時にEGR弁13の閉弁が開始された場合であっても、スロットル弁14の駆動アクチュエータの応答速度と比較してEGR弁13の駆動アクチュエータの応答速度が遅い場合、スロットル弁14が開弁完了して吸気圧力や排気圧力が上昇している時になっても未だEGR弁13の閉弁が完了しない場合がある。
【0107】
例えば、スロットル弁の駆動アクチュエータとして応答速度の速いDCモータを用いる場合、スロットル弁の開弁開始から全開完了までは概ね30〜50msのオーダーの遅延がある。
【0108】
一方、EGR弁の駆動アクチュエータとしては、弁開度を安定的に維持する性能及び耐熱性の観点からステップモータを用いる場合があるが、ステップモータの応答速度はDCモータと比較して遅いため、EGR弁の閉弁開始から閉弁完了までは400ms前後のオーダーの遅延がある。
【0109】
このような応答速度の相異によって、スロットル弁14の開弁動作の完了よりもEGR弁13の閉弁動作の完了が遅れる。
【0110】
EGR弁13の閉弁完了が遅れている期間Δt0(t1〜t4)と、排気圧力の上昇が遅れている期間Δt1(t2〜t3)とが、図3(C)及び(D)に示すように重なっている場合、EGR弁13が開弁している状態で、EGR通路12の下流側(吸気通路6側)の圧力(すなわち吸気圧力)がEGR通路12の上流側(排気通路9側)の圧力(すなわち排気圧力)より高くなる可能性がある。
【0111】
その場合、吸気通路6内の空気の一部がEGR通路12を逆流して排気通路9に流入する虞がある。
【0112】
そうすると、エアフローメータ7の計測値から算出される吸入空気量と実際にシリンダ5に吸入される空気量とがずれて燃焼が悪化したり、排気通路9に配置された触媒4が過剰にリーンなガスに曝されて劣化したり、といった問題が生じる虞がある。
【0113】
そこで、本実施例のEGR制御装置では、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が該軽負荷運転状態における開度より開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった場合、まずEGR弁13を閉弁する制御を開始し、EGR弁13の閉弁が完了した後、スロットル弁14を要求開度まで開弁する制御を開始するようにした。
【0114】
図4は、このようなスロットル弁14及びEGR弁13の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁14の開度、EGR弁13の開度、吸気圧力及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【0115】
図4(A)に示すように、時刻t1においてアクセルの踏み込みによって軽負荷運転状態から高負荷運転状態への加速が要求されたとする。
【0116】
この加速要求に応じて、EGR弁13にいては、図4(C)に示すように、加速要求のあった時刻t1において、軽負荷運転状態におけるEGR弁開度Deg1から、高負荷運転状態におけるEGR弁開度Deg2(全閉)を目標開度として、EGR弁13を閉弁する制御が開始される。
【0117】
一方、スロットル弁14については、図4(B)に示すように、加速要求のあった時刻t1においては、スロットル弁14を要求開度まで開弁する制御を開始しない。
【0118】
そして、EGR弁13の閉弁が完了する時刻t4において、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1から、高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2を目標開度として、スロットル弁14を開弁する制御を開始する。
【0119】
時刻t4においてスロットル弁14の開弁制御が開始されると、図4(B)に示すように、比較的短時間でスロットル弁14は要求開度であるDth2まで開弁される。
【0120】
そして、このスロットル弁14の開弁に伴って、図4(D)に示すように、吸気圧力Pin及び排気圧力Pexが上昇する。
【0121】
スロットル弁14の開弁に伴う吸気圧力及び排気圧力の上昇の態様は、図3で説明した場合と同様である。
【0122】
すなわち、排気圧力が軽負荷運転状態における排気圧力(スロットル弁14の開弁前の排気圧力)Pex1から未だ余り上昇していない時(時刻t5近傍)において、吸気圧力が高負荷運転状態における吸気圧力(スロットル弁14の開弁後に収束する吸気圧力)Pin2近くの圧力まで上昇し、この吸気圧力の上昇に遅れて(時刻t6近傍)排気圧力の上昇が始まる。
【0123】
そして、図3で説明した場合と同様に、吸気圧力の上昇に対して排気圧力の上昇が遅れている期間Δt’においては、吸気圧力が排気圧力にかなり接近することになり、場合によっては吸気圧力が排気圧力を超える可能性が高い。
【0124】
しかしながら、本実施例の弁制御を実行した場合には、このようなスロットル弁14の開弁に伴う圧力変化は、EGR弁13の閉弁が完了する時刻t4以降に生じる。
【0125】
従って、EGR弁13の閉弁完了が遅れている期間Δt0(t1〜t4)と、排気圧力の上昇が遅れている期間Δt1’(t5〜t6)とは、図4(C)及び(D)に示すように、重なることはない。
【0126】
よって、たとえEGR通路12の下流側(吸気通路6側)の圧力(すなわち吸気圧力)がEGR通路12の上流側(排気通路9側)の圧力(すなわち排気圧力)より高くなったとしても、その時EGR弁13は既に閉弁しているので、吸気通路6内の空気がEGR通路12を逆流して排気通路9に流入する虞は無い。
【0127】
従って、上述したような燃焼の悪化や触媒4の劣化といった問題の発生を抑制することが可能となる。
【0128】
ここで、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、本実施例のEGR弁13及びスロットル弁14
の開度制御の実行手順について、図5のフローチャートに基づいて説明する。図5のフローチャートで表される加速過渡時の弁制御ルーチンは、エンジン1の稼働中定期的にECU16によって実行される。
【0129】
ステップS101において、ECU16は、現在のスロットル弁14の開度よりもより開き側の開度までスロットル弁14を開弁する要求があったか否かを判定する。ステップS101でスロットル弁14の開弁が要求されていると判定された場合(Yes)、ECU16はステップS102に進む。ステップS101でスロットル弁14の開弁が要求されていないと判定された場合(No)、ECU16は本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0130】
ステップS102において、ECU16は、現在のEGR弁13が開弁状態であり、且つEGR弁13を閉弁する要求があったか否かを判定する。
【0131】
ステップS102でEGR弁13の開弁状態からのEGR弁13の閉弁が要求されていると判定された場合(Yes)、ECU16はステップS103に進む。
【0132】
一方、ステップS102でEGR弁13の開弁状態からのEGR弁13の閉弁が要求されていないと判定された場合(No)、ECU16は本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0133】
ステップS103において、ECU16は、スロットル弁14の目標開度を高負荷運転状態におけるスロットル弁14の開度Dth2(>Dth1)に設定するとともに、EGR弁13の目標開度を高負荷運転状態におけるEGR弁13の開度Deg2(全閉)に設定する。
【0134】
ステップS104において、ECU16は、EGR弁13について、前記ステップS103で設定した目標開度Deg2への閉弁制御を開始する。この時、スロットル弁14については、ステップS103で設定した目標開度Dth2への開弁制御を開始しない。
【0135】
ステップS105において、ECU16は、EGR弁13の実際の開度を取得する。本実施例では、開度センサ15による計測値に基づいてEGR弁13の実開度を取得する。
【0136】
ステップS106において、ECU16は、EGR弁13が閉弁完了したか否かを判定する。すなわち、ステップS105で取得した実EGR弁開度がステップS103で設定した目標開度Deg2に達したか否かを判定する。
【0137】
ステップS106でEGR弁13が閉弁完了したと判定された場合(Yes)、ECU16はステップS107に進む。
【0138】
一方、ステップS106でEGR弁13が未だ閉弁完了していないと判定された場合(No)、ECU16はステップS105に戻る。図4の例では、時刻t4以降に本ステップS106が実行された時に肯定判定されることになる。
【0139】
ステップS107において、ECU16は、スロットル弁14について、前記ステップS103で設定した目標開度Dth2への開弁制御を開始する。
【0140】
以上のルーチンを実行することにより、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速過渡時において、吸気通路6内の空気がEGR通路12を逆流して排気通路9に流入することを抑制できる。
【0141】
その結果、エアフローメータ7の計測値に基づいて算出される吸入空気量と実際にシリンダ5に吸入される空気量とがずれて燃焼が悪化したり、触媒4に過剰にリーンなガスが流入して触媒4が劣化したり、といった問題が生じることを抑制することが可能となる。
【0142】
本実施例において以上説明したルーチンを実行するECU16が、本発明における制御手段に相当する。
【実施例2】
【0143】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例におけるエンジンとその吸気系及び排気系の概略構成は実施例1で説明したものと特に記載のない限り同一である。実施例1と同一の構成要素については同一の名称及び符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0144】
本実施例は、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が該軽負荷運転状態における開度より開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった場合に実行されるEGR弁13及びスロットル弁14の開度制御内容が実施例1と異なる。
【0145】
本実施例では、このような加速要求があった時点で、実施例1同様にEGR弁13を閉弁する制御を開始するが、この時、本実施例では、スロットル弁14を開弁する制御も同時に開始する。
【0146】
但し、この時のスロットル弁14の開弁開度は、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度より開き側であって且つ加速要求におけるスロットル弁14の要求開度より閉じ側の開度とする。
【0147】
この点で、加速要求があった時点ではEGR弁13の閉弁制御のみ開始し、スロットル弁14の開度は軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度から変化させずにEGR弁13の閉弁が完了するまで軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度に維持するようにした実施例1と異なる。
【0148】
なお、本実施例においても、実施例1同様に、EGR弁13の閉弁が完了した後、スロットル弁14を高負荷運転状態における要求開度まで開弁する。
【0149】
図6は、このようなスロットル弁14及びEGR弁13の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁14の開度、EGR弁13の開度、吸気圧力及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【0150】
図6(A)に示すように、時刻t1においてアクセルの踏み込みによって軽負荷運転状態から高負荷運転状態への加速が要求されたとする。
【0151】
この加速要求に応じて、EGR弁13については、図6(C)に示すように、加速要求のあった時刻t1において、軽負荷運転状態におけるEGR弁開度Deg1から、高負荷運転状態におけるEGR弁開度Deg2(全閉)を目標開度として、EGR弁13を閉弁する制御が開始される。
【0152】
また、スロットル弁14については、図6(B)に示すように、加速要求のあった時刻t1において、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1から、所定開度Dth3を目標開度として、スロットル弁14を開弁する制御が開始される。
【0153】
所定開度Dth3は、図6(B)に示すように、軽負荷運転状態におけるスロットル弁
開度Dth1より開き側で且つ高負荷運転状態におけるスロットル弁14の要求開度Dth2よりも閉じ側の開度である。
【0154】
この所定開度Dth3は、スロットル弁14をその開度まで開弁することに伴う吸気圧力及び排気圧力の上昇過程において、排気圧力の上昇が吸気圧力の上昇に対して遅れることにより、排気圧力がスロットル弁開弁前の圧力から殆ど上昇していない時に吸気圧力がスロットル弁開弁後に収束する圧力近くまで上昇するような状況が生じた場合であっても、排気圧力と吸気圧力との差圧(排気圧力から吸気圧力を減算した値)が所定値α以下にならないような、スロットル弁14の開弁開度の上限値に基づいて定められる。
【0155】
この所定値αは、脈動により排気圧力や吸気圧力が変動したり、過給により吸気圧力が上昇したりした場合においても、吸気圧力が排気圧力より高くならないと判断することができるような、排気圧力と吸気圧力との差圧の下限値に基づいて定められる。
【0156】
このスロットル弁14の開弁により、図6(B)に示すように、スロットル弁14は応答性良く所定開度Dth3まで開弁し、このスロットル弁14の開弁に伴って、図6(D)に示すように、吸気圧力及び排気圧力が上昇する。
【0157】
ここで、排気圧力の上昇が吸気圧力の上昇に対して遅れることにより、図6(D)に示すように、排気圧力が軽負荷運転状態における排気圧力(スロットル弁14を所定開度Dth3まで開弁する前の排気圧力)Pex1から未だ余り上昇していない時刻t2近傍において、吸気圧力がスロットル弁14を所定開度Dth3まで開弁した後に収束する吸気圧力Pin3近くの圧力まで上昇する。そして、吸気圧力の上昇より遅れた時刻t3近傍において排気圧力の上昇が始まる。
【0158】
そのため、図6(D)に示すように、図3で説明した場合と同様に吸気圧力の上昇に対して排気圧力の上昇が遅れている期間Δt1(t2〜t3)が生じる。
【0159】
そして、EGR弁13の駆動アクチュエータの応答速度がスロットル弁14の駆動アクチュエータの応答速度より遅い場合には、やはり図3で説明した場合と同様に、EGR弁13の閉弁完了が遅れている期間Δt0(t1〜t4)と、排気圧力の上昇が吸気圧力の上昇に対して遅れている期間Δt1(t2〜t3)とが、図6(C)及び(D)に示すように重なる。
【0160】
しかしながら、本実施例の場合、この時のスロットル弁14の開弁開度である所定開度Dth3は、上記のように、スロットル弁開弁前の排気圧力Pex1と、スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力Pin3と、の差圧が所定値α以下にならないように定められているので、図6(D)に示すように、この期間Δt1において吸気圧力が排気圧力より高くなることはない。
【0161】
よって、たとえこの期間Δt1においてEGR弁13が開弁状態であっても、吸気通路6内の空気がEGR通路12を逆流して排気通路9に流入することはない。従って、燃焼の悪化や触媒の劣化といった問題の発生を抑制することができる。
【0162】
更に、本実施例の場合、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間において、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1よりも開き側の所定開度Dth3までスロットル弁14が開弁されるので、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間中においても好適にトルクを確保できるというメリットもある。
【0163】
本実施例では、EGR弁13が閉弁完了する時刻t4において、所定開度Dth3から
、高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2を目標開度として、スロットル弁14を開弁する制御が開始される。
【0164】
時刻t4においてスロットル弁14の開弁制御が開始されると、図6(B)に示すように、スロットル弁14は応答性良く要求開度Dth2まで開弁される。
【0165】
そして、このスロットル弁14の開弁に伴って、図6(D)に示すように、吸気圧力及び排気圧力が上昇する。
【0166】
この場合も、排気圧力の上昇は吸気圧力の上昇に対して遅れるため、時刻t5近傍において吸気圧力が高負荷運転状態における吸気圧力Pin2近い圧力まで上昇してから、時刻t6近傍において排気圧力が高負荷運転状態における排気圧力Pex2近い圧力まで上昇するまでに、遅れ期間Δt1’が生じることになるが、図6(D)に示すように、この期間Δt1’においても、吸気圧力(〜Pin2)と排気圧力(〜Pex3)とは、吸気圧力が排気圧力より高くなるほどまでには接近しない。
【0167】
また、この排気圧力の上昇が遅れる期間Δt1’において、吸気圧力が排気圧力より高くなることがあったとしても、図6(C)に示すように、この時点でEGR弁13は既に閉弁しているので、吸気通路6からEGR通路12経由で排気通路9へ空気が逆流することはない。
【0168】
従って、燃焼の悪化や触媒の劣化といった問題の発生を抑制することができる。
【0169】
ここで、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、本実施例のEGR弁13及びスロットル弁14の開度制御の実行手順について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0170】
図7のフローチャートで表される加速過渡時の弁制御ルーチンは、エンジン1の稼働中定期的にECU16によって実行される。図7のフローチャートにおいて、図5のフローチャートで説明した内容と同一の内容のステップについては、図5のフローチャートと同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0171】
ステップS101及びステップS102では、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求時において、肯定判定がなされ、その場合、ECU16は、ステップS203に進む。否定判定がなされた場合にはECU16は本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0172】
ステップS203において、ECU16は、スロットル弁14の目標開度を軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1と高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2の間の所定開度Dth3(Dth1<Dth3<Dth2)に設定するとともに、EGR弁13の目標開度を高負荷運転状態における要求EGR弁開度Deg2(全閉)に設定する。
【0173】
ステップS204において、ECU16は、EGR弁13について、前記ステップS203で設定した目標開度Deg2への閉弁制御を開始するとともに、スロットル弁14について、前記ステップS203で設定した目標開度Dth3への開弁制御を開始する。
【0174】
ステップS105及びステップS106においてEGR弁13の閉弁が完了したと判定
されるのを待って、ECU16は、ステップS207に進む。
【0175】
ステップS207において、ECU16は、スロットル弁14の目標開度を高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2に設定する。
【0176】
ステップS208において、ECU16は、スロットル弁14について、前記ステップS207で設定した目標開度Dth2への開弁制御を開始する。
【0177】
以上のルーチンを実行することにより、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速過渡時において、吸気通路6内の空気がEGR通路12を逆流して排気通路9に流入することを抑制できる。
【0178】
また、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間、スロットル弁14を高負荷運転状態における要求スロットル弁開度まで開弁することを遅延させることに起因するトルク不足を抑制することもできる。
【0179】
本実施例において以上説明したルーチンを実行するECU16が、本発明における制御手段に相当する。
【実施例3】
【0180】
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例におけるエンジンとその吸気系及び排気系の概略構成は実施例1で説明したものと特に記載のない限り同一である。実施例1と同一の構成要素については同一の名称及び符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0181】
本実施例は、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が該軽負荷運転状態における開度より開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった場合に実行されるEGR弁13及びスロットル弁14の開度制御内容が実施例1と異なる。
【0182】
本実施例では、このような加速要求があった時点で、実施例1同様にEGR弁13を閉弁する制御を開始する。
【0183】
スロットル弁14の開度制御については、加速要求があった時点からEGR弁13が閉弁完了するまでの期間、スロットル弁14の開度を高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2に向かって段階的に徐々に開弁していく制御を行う。
【0184】
この点で、加速要求があった時点からEGR弁13が閉弁完了するまでの期間、スロットル弁14の開度を軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1に維持する制御を行う実施例1や、加速要求があった時点からEGR弁13が閉弁完了するまでの期間、スロットル弁14の開度を所定開度Dth3(Dth1<Dth3<Dth2)まで開弁して該所定開度Dth3に維持する制御を行う実施例2とは、相異する。
【0185】
図8は、このようなスロットル弁14及びEGR弁13の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁14の開度、EGR弁13の開度、吸気圧力及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【0186】
図8(A)に示すように、時刻t1においてアクセルの踏み込みによって軽負荷運転状態から高負荷運転状態への加速が要求されたとする。
【0187】
この加速要求に応じて、EGR弁13については、図8(C)に示すように、加速要求のあった時刻t1において、軽負荷運転状態におけるEGR弁開度Deg1から、高負荷運転状態における要求EGR弁開度Deg2(全閉)を目標開度として、EGR弁13を閉弁する制御が開始される。
【0188】
また、スロットル弁14については、図8(B)に示すように、加速要求のあった時刻t1から、EGR弁13が閉弁完了する時刻t4までの期間、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1から高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2に向かって一定開度ΔDthずつ段階的に開弁していく過渡時弁制御を行う。
【0189】
この「一定開度ΔDth」は、スロットル弁14を開度変化量ΔDthだけ開弁することに伴う吸気圧力及び排気圧力の上昇過程において、及び、一定開度ΔDthずつの段階的な開度変化によってスロットル弁14を軽負荷運転状態における開度Dth1から高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2まで開弁していく過程において、排気圧力と吸気圧力との差圧が所定値α以下にならないような開度変化量として、過渡条件や運転状態に応じて予め求めておく。
【0190】
所定値αは実施例2で説明したものと同様である。すなわち、脈動により排気圧力や吸気圧力が変動したり、過給により吸気圧力が上昇したりした場合においても、吸気圧力が排気圧力より高くならないと判断することができるような、排気圧力と吸気圧力との差圧の下限値に基づいて定められる。
【0191】
なお、α=0とした場合は、単純に、開度変化量ΔDthを、吸気圧力が排気圧力より高くならないようなスロットル弁14の開度変化量として定めることに相当する。
【0192】
また、α<0とした場合は、スロットル弁14の開度変化に伴う圧力変化の過程で、吸気圧力が排気圧力より高くなり、吸気通路6から排気通路9へのEGR通路12経由での空気の逆流が起こった場合においても、その逆流量が許容量以下に収まるような開度変化量としてΔDthを定めることに相当する。
【0193】
このような段階的なスロットル弁14の開弁により、図8(D)に示すように、吸気圧力及び排気圧力が徐々に増加していく。
【0194】
この場合も、排気圧力の上昇は吸気圧力の上昇に対して遅れるが、両者は一挙に高負荷運転状態における圧力に収束するのではなく、図8(D)に示すように、互いの差圧がα以下にならないように段階的に高負荷運転状態における圧力まで上昇していく。
【0195】
よって、図8(D)に示すように、スロットル弁14の段階的な開弁に伴う吸気圧力及び排気圧力の上昇過程において、吸気圧力が排気圧力より高くなることを抑制できる。従って、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間において吸気通路6内の空気がEGR通路12経由で排気通路9に流入することを抑制できる。
【0196】
これにより、燃焼の悪化や触媒の劣化といった問題の発生を抑制することができる。
【0197】
更に、本実施例の場合、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間においても、高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2に向かって段階的にスロットル弁14が開弁されていくので、当該期間において高負荷運転状態における本来の要求スロットル弁開度Dth2よりも閉じ側の開度にスロットル弁14を制御することに起因するトルク不足を抑え、好適にトルクを確保できるというメリットもある。
【0198】
ここで、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、本実施例のEGR弁13及びスロットル弁14の開度制御の実行手順について、図9及び図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0199】
図9及び図10のフローチャートで表される加速過渡時の弁制御ルーチンは、エンジン1の稼働中定期的にECU16によって実行される。図9及び図10のフローチャートにおいて、実施例1で説明した図5のフローチャート又は実施例2で説明した図7のフローチャートにおけるステップと同一の内容のステップについては、図5又は図7と同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0200】
図9のステップS101及びステップS102において、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求時において、肯定判定がなされた場合、ECU16は、ステップS303に進む。否定判定がなされた場合には、ECU16は本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0201】
ステップS303において、ECU16は、EGR弁13の目標開度を高負荷運転状態における要求EGR弁開度Deg2(全閉)に設定する。スロットル弁14の目標開度については後述するステップS304−S307において設定するため、ここでは設定しない。
【0202】
ステップS104において、ECU16は、EGR弁13について、前記ステップS303で設定した目標開度Deg2への閉弁制御を開始する。
【0203】
次に、図10のステップS304において、ECU16は、吸気圧力Pin及び排気圧力Pexを取得する。吸気圧力はエアフローメータ7による計測値やスロットル弁14の開度、エンジン1の運転状態等に基づく計算により取得する。
【0204】
或いは、図1には図示していないが、吸気通路6に圧力センサを設置し、該圧力センサによる計測値に基づいて吸気圧力を取得しても良い。
【0205】
また、排気圧力は、エアフローメータ7による計測値に基づいて計算される吸気流量と排気圧力との定常時における関係を予め調べて作成したマップに対して一次遅れ演算を行うことによって取得する。
【0206】
或いは、吸気圧力の場合と同様に、図1には図示しない圧力センサを排気通路9に設置し、該圧力センサによる計測値に基づいて排気圧力を取得しても良い。
【0207】
ステップS305において、ECU16は、前記ステップS304で取得した吸気圧力Pin及び排気圧力Pexに基づいて、排気圧力Pexと吸気圧力Pinとの差圧(Pex−Pin)が所定値βより大きいか否かを判定する。
【0208】
ここで、所定値βは、スロットル弁14を開度変化量ΔDthだけ開弁しても、当該スロットル弁14の開弁に伴う圧力変化の過程で排気圧力と吸気圧力との差圧が所定値α以下にならないような、現状の吸気圧力と排気圧力との差圧の下限値に基づいて定められる。
【0209】
ステップS305で排気圧力Pexと吸気圧力Pinとの差圧が所定値βより大きいと判定された場合(Pex−Pin>β)(Yes)、ECU16は、ステップS306に
進む。
【0210】
一方、ステップS305で排気圧力Pexと吸気圧力Pinとの差圧が所定値βより大きくないと判定された場合(Pex−Pin≦β)(No)、ECU16は、ステップS307に進む。
【0211】
ステップS306において、ECU16は、スロットル弁14の目標開度を、現状のスロットル弁開度Dthから所定開度ΔDthだけ開き側の開度に設定する。
【0212】
ステップS307において、ECU16は、スロットル弁14の目標開度を、現状のスロットル弁開度Dthに維持する。
【0213】
ステップS308において、ECU16は、スロットル弁14について、前記ステップS306で設定した目標開度への開弁制御又はステップS307で設定した開度に維持する制御を行う。
【0214】
続いてステップS105及びステップS106において、EGR弁13が閉弁完了したか否かの判定を行い、EGR弁13の閉弁が完了したと判定された場合(ステップS106:Yes)、ECU16は、ステップS207に進む。EGR弁13の閉弁が完了していないと判定された場合(ステップS106:No)、ECU16はステップS304に戻る。
【0215】
すなわち、本実施例では、EGR弁13が閉弁するまでの期間中、吸気圧力と排気圧力をモニターし、開度変化量ΔDthだけスロットル弁14を開弁すると空気の逆流が起こると判断される場合には、スロットル弁14の開度を現状で維持し、開度変化量ΔDthだけスロットル弁14を開弁しても空気の逆流が起こらないと判断される場合には、ΔDthだけスロットル弁14を開弁する、ということを繰り返しながら、段階的にスロットル弁14の開度を開き側に変化させていくのである。
【0216】
そして、EGR弁13が閉弁完了したと判定されると、ECU16は、ステップS207においてスロットル弁14の目標開度を高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2に設定し、ステップS208において、当該目標開度Dth2までスロットル弁14を開弁する制御を開始する。
【0217】
以上のルーチンを実行することにより、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速過渡時において、吸気通路6内の空気がEGR通路12を逆流して排気通路9に流入することを抑制できる。
【0218】
また、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間、スロットル弁14を高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2まで開弁することを遅延させることに起因するトルク不足を抑制することもできる。
【0219】
本実施例において以上説明したルーチンを実行するECU16が、本発明における制御手段に相当する。
【実施例4】
【0220】
上記各実施例ではEGR弁13が開弁される軽負荷運転状態(図2の運転領域B)から、EGR弁13が閉弁され且つ運転領域Bよりもスロットル弁14の開度が開き側の開度に設定される高負荷運転状態(図2の運転領域C)への加速過渡時に、スロットル弁14
の開弁開始タイミングを遅延させたり、スロットル弁14の開度を高負荷運転状態の要求開度よりも閉じ側の開度に制限したりする過渡時弁制御を行う実施例について説明したが、このように本来の要求開度よりも閉じ側の開度にスロットル弁14の開度が制限されている期間は、実際にエンジン1が出力するトルクが要求トルクに対して不足する可能性がある。
【0221】
従って、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間において、スロットル弁14の開度を要求開度より閉じ側の開度に制限する過渡時弁制御を実行しなくても、吸気通路6から排気通路9へのEGR通路12経由での空気の逆流が発生しない場合には、本発明の過渡時弁制御を実行しないようにしても良い。
【0222】
そうすることによって、不必要なスロットル弁14の開度制限が行われることを抑制できるので、加速過渡時のトルクを良好に確保できるようになる。
【0223】
EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が開弁される加速過渡時に、吸気通路6から排気通路9へのEGR通路12経由での空気の逆流が発生する可能性が高いのは、吸気圧力と排気圧力が最も接近する場合、すなわち、スロットル弁14の開弁に伴う吸気圧力及び排気圧力の変化の過程で、排気圧力がスロットル弁開弁前の圧力から未だ殆ど上昇していない時であって、且つ、吸気圧力がスロットル弁開弁後に収束する圧力近くまで上昇するような態様の圧力変化が起こる場合である。
【0224】
このような圧力変化が起こる場合であって、更に、スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力がスロットル弁開弁前の排気圧力より高い場合や、スロットル弁開弁前の排気圧力とスロットル弁開弁後に収束する吸気圧力との差圧が所定値α以下になる場合に、吸気通路6から排気通路9へのEGR通路12経由での空気の逆流が発生する可能性が高い。
【0225】
そこで、本実施例では、加速要求があった時点で、スロットル弁14を当該加速要求における要求開度まで開弁した場合に収束する吸気圧力を予測し、当該予測した収束後の吸気圧力と、現在の排気圧力と、を比較して、予測した収束後の吸気圧力が現在の排気圧力より高い場合(或いは現在の排気圧力と予測した収束後の吸気圧力との差圧が所定値α以下である場合)に、加速要求時に要求開度までスロットル弁14を開弁すると空気の逆流が発生する可能性が高いと判断して、実施例1〜3で説明したような、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間スロットル弁14の開度を要求開度より閉じ側の開度に制限する過渡時弁制御を実行することとした。
【0226】
ここで、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、本実施例のEGR弁13及びスロットル弁14の開度制御の実行手順について、図11及び図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0227】
図11及び図12のフローチャートで表される加速過渡時の弁制御ルーチンは、エンジン1の稼働中定期的にECU16によって実行される。
【0228】
ここでは、実施例1において説明した加速要求時のEGR弁13及びスロットル弁14の過渡時弁制御ルーチンに、本実施例で説明した過渡時弁制御の実行要否の判定ステップを挿入した制御ルーチンを説明する。
【0229】
図11及び図12のフローチャートにおいて、実施例1における過渡時弁制御ルーチンを表す図5のフローチャートで説明した内容と同一の内容のステップについては、図5の
フローチャートと同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0230】
ステップS101及びステップS102において、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があったか否かを判定し、肯定判定された場合、ECU16はステップS103に進み、スロットル弁14の目標開度として高負荷運転状態における要求開度Dth2を設定するとともに、EGR弁13の目標開度として高負荷運転状態における要求開度Deg2を設定する。そして、EGR弁13については、ステップS104において閉弁制御を開始する。
【0231】
次に、図12のステップS401において、ECU16は、スロットル弁14を要求開度Dth2まで開弁した場合に、スロットル弁開弁後に収束する吸気圧力を予測する。本実施例では、エアフローメータ7による計測値、吸気通路6の管径や管長、吸気バルブのバルブ特性(開閉タイミング、リフト量、作用角)、エンジン1の運転状態等に基づく既知の物理モデルを用いて、収束後の吸気圧力の予測値Pin2calを計算する。
【0232】
ステップS402において、ECU16は、現在の排気圧力Pex1を取得する。本実施例では、エンジン1が定常運転状態である場合の吸気流量と排気圧力との関係を記憶したマップに対して、1次遅れ演算を行い、エアフローメータ7による計測値に基づいて取得される吸気流量から、現在の排気圧力Pex1を計算する。或いは、排気通路9に圧力センサを取り付けて、そのセンサによる計測値に基づいて現在の排気圧力を取得しても良い。
【0233】
ステップS403において、ECU16は、ステップS401で予測した収束後の吸気圧力Pin2calと、ステップS402で取得した現在の排気圧力Pex1と、を比較し、現在の排気圧力Pex1と収束後の吸気圧力Pin2calとの差圧が所定値αより大きいか否かを判定する。
【0234】
所定値αは実施例2で説明したものと同様である。すなわち、α=0とした場合は、単純に収束後の吸気圧力が現在の排気圧力より低いか否かを判定することになる。
【0235】
また、α>0とした場合は、脈動により排気圧力や吸気圧力が変動したり、過給により吸気圧力が上昇したりした場合においても、吸気圧力が排気圧力より高くならないと判断可能なための余裕分を含めて、収束後の吸気圧力と現在の排気圧力とを比較することになる。
【0236】
また、α<0とした場合は、たとえ吸気圧力が排気圧力より高くなって吸気通路6から排気通路9へのEGR通路12経由での空気の逆流が起こった場合であっても、その逆流量が許容範囲内に収まるか否かを基準として、収束後の吸気圧力と現在の排気圧力とを比較することになる。
【0237】
ステップS403で現在の排気圧力Pex1と収束後の吸気圧力の予測値Pin2calとの差圧が所定値αより大きいと判定された場合(Pex1−Pin2cal>α)(Yes)、ECU16はステップS107に進み、スロットル弁14を目標開度Dth2まで開弁する制御を開始する。
【0238】
すなわち、この場合、スロットル弁14の開弁開始タイミングをEGR弁13の閉弁完了まで遅延させることなく、EGR弁13の閉弁開始とともに即座にスロットル弁14の開弁を開始する。
【0239】
これは、現在の排気圧力Pex1と収束後の吸気圧力の予測値Pin2calとの差圧が所定値αより大きければ、排気圧力がスロットル弁開弁前の圧力から殆ど上昇していないにもかかわらず吸気圧力がスロットル弁開弁後に収束する圧力近くまで上昇するような態様で圧力変化が起こったとしても、吸気圧力が排気圧力を超える可能性は無いと判断でき、従って、たとえその時にEGR弁13が閉弁完了していなかったとしても(すなわちEGR弁13が未だ開弁状態であったとしても)、吸気通路6内の空気がEGR通路12を逆流して排気通路9に流入する虞は無いと判断できるからである。
【0240】
一方、ステップS403で現在の排気圧力Pex1と収束後の吸気圧力の予測値Pin2calとの差圧が所定値αより大きくないと判定された場合(Pex1−Pin2cal≦α)(No)、ECU16はステップS105及びステップS106において、EGR弁13が閉弁完了したか否かの判定を行い、EGR弁13の閉弁が完了した後、ステップS107に進んでスロットル弁14の開弁制御を開始する。
【0241】
すなわち、この場合、スロットル弁14の開弁開始タイミングをEGR弁13の閉弁完了まで遅延させる本発明に係る過渡時弁制御を実行する。
【0242】
これは、現在の排気圧力Pex1と収束後の吸気圧力の予測値Pin2calとの差圧が所定値α以下の場合、排気圧力がスロットル弁開弁前の圧力から殆ど上昇していないにもかかわらず吸気圧力がスロットル弁開弁後に収束する圧力近くまで上昇するような態様で圧力変化が起こった場合に、吸気圧力が排気圧力を超える可能性があると判断でき、従って、その時にEGR弁13が閉弁完了していない場合(すなわちEGR弁が未だ開弁状態である場合)、吸気通路6内の空気がEGR通路12を逆流して排気通路9に流入する虞があると判断できるからである。
【0243】
以上のルーチンを実行することにより、加速要求時にEGR弁13の閉弁開始とともに遅延無くスロットル弁14を要求開度まで開弁する制御を開始したとしても、EGR通路12経由での空気の逆流が発生する虞がない場合には、本発明に係る過渡時弁制御は実行されないので、加速過渡時に不必要にスロットル弁14の開弁を遅延させたり、スロットル弁14の開弁開度を制限したりすることによってトルク不足が生じることを好適に抑制することができる。
【0244】
上記の図11及び図12のフローチャートでは、実施例1に本実施例に係る過渡時弁制御の実行要否を判定するステップを適用した例について説明したが、本実施例に係る過渡時弁制御の実行要否の判定ステップは、実施例2の過渡時弁制御(EGR弁13の閉弁完了まで中間的な開度Dth3にスロットル弁14の開弁開度を制限する制御)や、実施例3の過渡時弁制御(EGR弁13の閉弁完了まで段階的にスロットル弁14の開度を開き側に変化させていく制御)にも適用することができる。
【実施例5】
【0245】
本実施例も、実施例4と同様に、本発明に係る過渡時弁制御の実行要否を判定する技術に関わる。本実施例では、加速要求があった時点で、スロットル弁14を加速要求における要求開度まで開弁した場合に吸気通路6から排気通路9へEGR通路12経由で逆流する空気量を予測し、当該予測した逆流する空気量が所定の許容量を超えている場合に、実施例1〜3で説明したような、EGR弁13が閉弁完了するまでスロットル弁14の開度を要求開度より閉じ側の開度に制限する本発明に係る過渡時弁制御を実行する必要があると判断し、過渡時弁制御を実行することとした。
【0246】
ここで、「所定の許容量」は、その量の空気が吸気通路6から排気通路9へEGR通路12経由で逆流した場合であっても、燃焼の悪化や触媒の劣化の程度が許容できる程度と
なるような空気量の上限値に基づいて定められる。
【0247】
ここで、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、本実施例のEGR弁13及びスロットル弁14の開度制御の実行手順について、図13及び図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0248】
図13及び図14のフローチャートで表される加速過渡時の弁制御ルーチンは、エンジン1の稼働中定期的にECU16によって実行される。
【0249】
ここでは、実施例2において説明した加速要求時のEGR弁13及びスロットル弁14の過渡時弁制御ルーチンに、本実施例で説明した過渡時弁制御の実行要否の判定ステップを挿入した制御ルーチンを説明する。
【0250】
図13及び図14のフローチャートにおいて、実施例2における過渡時弁制御ルーチンを表す図7のフローチャートで説明した内容と同一の内容のステップについては、図7のフローチャートと同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0251】
ステップS101及びステップS102において、EGR弁13が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁13が閉弁され且つスロットル弁14が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があったか否かを判定し、肯定判定された場合、ECU16はステップS503に進む。否定判定された場合は本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0252】
ステップS503において、ECU16は、EGR弁13の目標開度として高負荷運転状態における要求EGR弁開度Deg2を設定する。
【0253】
ステップS504において、ECU16は、EGR弁13について、ステップS503で設定した目標開度Deg2に向かって閉弁制御を開始する。
【0254】
続いて図14のステップS505において、ECU16は、EGR弁13の閉弁制御の開始と同時に、スロットル弁14を高負荷運転状態における要求開度Dth2まで開弁したと仮定した場合に、吸気通路6から排気通路9へEGR通路12経由で逆流する空気量Gaxを予測する。
【0255】
本実施例では、まず、スロットル弁14を要求開度Dth2まで開弁したと仮定した場合のEGR通路12の上流側(排気通路9側)と下流側(吸気通路6側)との差圧を予測する。また、EGR弁13の開度毎に、EGR通路12の上流側と下流側との差圧と、EGR通路12を流れるガス量と、の関係を予め求めてマップ化してECU16内に持っておく。
【0256】
そして、前記予測したEGR通路12の上流側と下流側との差圧と、EGR弁13の実際の開度と、前記マップと、に基づいて、逆流する空気量の予測値Gaxcalを算出する。
【0257】
ステップS506において、ECU16は、ECU16は、ステップS505で算出した逆流する空気量の予測値Gaxcalが許容量Gaxthより多いか否かを判定する。許容量Gaxthは上述した通り、燃焼の悪化や触媒の劣化の程度が許容範囲に収まるような逆流空気量の上限値に基づいて定められる。
【0258】
ステップS506で、逆流空気量の予測値が許容量を超えていないと判定された場合(Gaxcal≦Gaxth)(No)、ECU16はステップS207に進み、スロットル弁14の目標開度を高負荷運転状態における要求開度Dth2に設定し、続くステップS208において、スロットル弁14を当該目標開度Dth2まで開弁する制御を開始する。
【0259】
すなわち、この場合、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間、スロットル弁14の開弁開度を、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1と高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2との間の開度Dth3に制限し、本来の要求開度Dth2まで開弁するタイミングを遅延させる本発明(実施例2)に係る過渡時弁制御を実行することなく、EGR弁13の閉弁開始とともに即座にスロットル弁14を本来の要求開度Dth2まで開弁する制御を開始する。
【0260】
これは、ステップS506で否定判定された場合には、EGR弁13が未だ開弁状態の時に、吸気圧力が排気圧力より高くなって、吸気通路6からEGR通路12経由で排気通路9に空気が逆流したとしても、その逆流量は、燃焼の悪化や触媒の劣化が許容範囲に収まる程度の量でしかないと判断できるからである。
【0261】
一方、ステップS506で、逆流空気量の予測値が許容量を超えていると判定された場合(Gaxcal>Gaxth)(Yes)、ECU16はステップS507、ステップS508、ステップS105、ステップS106を実行し、本発明(実施例2)に係る過渡時弁制御を実行する。
【0262】
すなわち、ステップS507においてスロットル弁14の制御目標開度として、軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1と高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2との中間の開度Dth3を設定し、ステップS508において当該目標開度Dth3までスロットル弁14を開弁する制御を開始する。
【0263】
そして、ステップS105でEGR弁13の実際の開度を取得し、ステップS106においてEGR弁13が閉弁完了したと判定されるまで、スロットル弁14の開弁開度を前記中間の開度Dth3に制限する。
【0264】
そして、ステップS106でEGR弁13が閉弁完了したと判定された段階で、ステップS207以降に進み、スロットル弁14を本来の要求開度Dth2まで開弁する制御を開始する。
【0265】
以上のルーチンを実行することにより、加速要求時にEGR弁13の閉弁開始とともに遅延無くスロットル弁14を開弁開始したとしても、EGR通路12経由で許容量を超える量の空気の逆流が発生する虞がない場合には、本発明に係る過渡時弁制御は実行されないので、加速過渡時に不必要にスロットル弁14の開弁を遅延させたり、スロットル弁14の開弁開度を制限したりすることによってトルク不足が生じることを好適に抑制することができる。
【0266】
上記の図13及び図14のフローチャートでは、実施例2に本実施例に係る過渡時弁制御の実行要否を判定するステップを適用した例について説明したが、本実施例に係る過渡時弁制御の実行要否の判定ステップは、実施例1の過渡時弁制御(EGR弁13の閉弁完了までスロットル弁14の開度変更を遅延させる制御)や、実施例3の過渡時弁制御(EGR弁13の閉弁完了まで段階的にスロットル弁14の開度を開き側に変化させていく制御)にも適用することができる。
【0267】
なお、本実施例4及び実施例5では、加速要求時にEGR弁13の閉弁と同時にスロットル弁14を本来の高負荷運転状態における要求スロットル弁開度まで開弁したと仮定した場合に予測される収束後の吸気圧力や逆流空気量を計算して、該予測した吸気圧力や逆流空気量に基づいて、過渡時弁制御の実行要否の判定を行う例について説明したが、より単純に、空気の逆流が発生し易い特定の加速条件において、本発明の過渡時弁制御を実行するようにしても良い。
【0268】
例えば、加速要求時のスロットル弁14の目標開度が全開の場合や、全開に近い大開度である場合に、本発明の過渡時弁制御を実行するようにしても良い。
【0269】
すなわち、EGR弁13が開弁されてEGRが実施される軽負荷運転状態において、EGR弁13を閉弁してEGRを停止し且つスロットル弁を全開にするWOT(Wide Open Throttle)要求が発せられた場合に、本発明に係る過渡時弁制御を実行するようにしても良い。
【0270】
また、更に、WOT要求が発せられた時の軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度がある程度以上閉じ側の開度であった場合に、本発明に係る過渡時弁制御を実行するようにしても良い。
【0271】
これは、加速要求前後でのスロットル弁開度に大きな差がある場合には、特に、当該スロットル弁開弁に伴う圧力変化の過程で吸気圧力が排気圧力より高くなる現象が生じ易いと考えられるからである。
【0272】
従って、加速要求による遷移先の高負荷側の運転状態における目標スロットル弁開度がWOTでなくても、加速要求前後のスロットル弁開度に一定以上の開度差がある場合に、本発明に係る過渡時弁制御を実行するようにしても良い。
【0273】
本発明は、吸気圧力が排気圧力より高くならないのであれば、EGR弁13が閉弁完了する前にスロットル弁14の開度を高負荷運転状態における目標スロットル弁開度Dth2まで開弁することを排除しない。
【0274】
例えば、実施例3において、EGR弁13が閉弁完了するまでの期間、段階的にスロットル弁14を開弁していく過渡時弁制御の例を説明したが、この制御において、EGR弁13が閉弁完了する時刻t4以前の段階で、スロットル弁14を開度Dth2まで開弁しても吸気圧力が排気圧力より高くなる虞は無いと判断された場合には、EGR弁13が閉弁完了する前であっても、スロットル弁14を開度Dth2まで開弁するようにしても良い。
【実施例6】
【0275】
上記各実施例において説明したように、EGRが実施される軽負荷運転状態からEGRが停止され且つスロットル弁14が開弁される高負荷運転状態への加速過渡時において、スロットル弁14の開弁に伴う吸気圧力及び排気圧力の上昇過程により一時的に又は定常的に吸気圧力が排気圧力より高くなった時に、EGR弁13の閉弁が遅れることが原因となって、吸気通路6から排気通路9へのEGR通路12経由での空気の逆流が起こる。
【0276】
これに対し、上記各実施例では、EGR弁13の閉弁の遅れを見越して、EGR弁13が閉弁完了するまでの間、スロットル弁14の開弁を遅延させたり、スロットル弁14の開弁開度を制限したりすることによって、空気の逆流を抑制することを図っている。
【0277】
本実施例では、この空気の逆流が発生するそもそもの原因に着目して、EGR弁13の駆動アクチュエータとして従来よりも応答速度の速いものを用いるようにした。
【0278】
図15は、実施例1においてEGR弁13の駆動アクチュエータをより応答速度の速いものに替えて、その上で実施例1に係るスロットル弁14及びEGR弁13の過渡時弁制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁14の開度、EGR弁13の開度、吸気圧力及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【0279】
図15(C)に示すように、EGR弁13の駆動アクチュエータの応答速度が速くなることにより、EGR弁13の閉弁が完了する時刻t4’は実施例1の場合の閉弁時刻t4よりも早くなる。
【0280】
これに伴って、本実施例の過渡時弁制御においては、図15(B)に示すように、スロットル弁14を高負荷運転状態における要求スロットル弁開度Dth2まで開弁する制御の開始時刻も早くなる(t4→t4’)。
【0281】
これにより、加速過渡時において、スロットル弁14の開度が、本来の要求スロットル弁開度よりも閉じ側の開度(実施例1の場合は軽負荷運転状態におけるスロットル弁開度Dth1)に制限される期間が短縮されるので、スロットル弁14の開度を本来の目標スロットル弁開度まで開弁することを遅延させることに起因するトルク不足を抑制することが可能となる。
【0282】
応答速度の速いEGR弁13のための駆動アクチュエータとしては、例えばスロットル弁14と同様のDCモータを用いることができる。スロットル弁14の駆動アクチュエータと同等の応答速度を有するDCモータをEGR弁13の駆動アクチュエータとして用いるようにすれば、図15で示した時刻よりも更に早い時刻においてEGR弁13の閉弁が完了することになるので、スロットル弁14の開弁の遅延をより一層短縮することができる。
【0283】
図15では実施例1の構成に適用した場合について説明したが、その他の実施例の構成においても、EGR弁13の駆動アクチュエータとして応答速度の速いものを用いることにより、スロットル弁14の開弁を遅延させる期間を短縮することができるので、加速過渡時のトルク不足を抑制する効果を得ることができる。
【0284】
上記各実施例はディーゼルエンジンに適用することもできる。また、ターボチャージャを備えないガソリンエンジンやディーゼルエンジンに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0285】
【図1】実施例に係るEGR制御装置を適用するエンジンとその吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す概念図である。
【図2】実施例に係るエンジンの運転領域とEGR弁の開度制御との対応関係を定めたマップの一例を示す図である。
【図3】従来技術における加速過渡時のスロットル弁及びEGR弁の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁の開度、EGR弁の開度、吸気圧力、及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【図4】実施例1における加速過渡時のスロットル弁及びEGR弁の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁の開度、EGR弁の開度、吸気圧力、及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【図5】実施例1において、EGR弁が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁が閉弁され且つスロットル弁が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、EGR弁及びスロットル弁の開度制御の実行手順を表すフローチャートである。
【図6】実施例2における加速過渡時のスロットル弁及びEGR弁の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁の開度、EGR弁の開度、吸気圧力、及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【図7】実施例2において、EGR弁が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁が閉弁され且つスロットル弁が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、EGR弁及びスロットル弁の開度制御の実行手順を表すフローチャートである。
【図8】実施例3における加速過渡時のスロットル弁及びEGR弁の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁の開度、EGR弁の開度、吸気圧力、及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【図9】実施例3において、EGR弁が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁が閉弁され且つスロットル弁が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、EGR弁及びスロットル弁の開度制御の実行手順を表すフローチャートの前半を表す図である。
【図10】実施例3において、EGR弁が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁が閉弁され且つスロットル弁が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、EGR弁及びスロットル弁の開度制御の実行手順を表すフローチャートの後半を表す図である。
【図11】実施例4において、EGR弁が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁が閉弁され且つスロットル弁が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、EGR弁及びスロットル弁の開度制御の実行手順を表すフローチャートの前半を表す図である。
【図12】実施例4において、EGR弁が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁が閉弁され且つスロットル弁が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、EGR弁及びスロットル弁の開度制御の実行手順を表すフローチャートの後半を表す図である。
【図13】実施例5において、EGR弁が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁が閉弁され且つスロットル弁が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、EGR弁及びスロットル弁の開度制御の実行手順を表すフローチャートの前半を表す図である。
【図14】実施例5において、EGR弁が開弁される軽負荷運転状態から、EGR弁が閉弁され且つスロットル弁が当該軽負荷運転状態よりも開き側の開度まで開弁される高負荷運転状態への加速要求があった時に実行される、EGR弁及びスロットル弁の開度制御の実行手順を表すフローチャートの後半を表す図である。
【図15】実施例6における加速過渡時のスロットル弁及びEGR弁の開度制御を行う場合の、アクセル開度、スロットル弁の開度、EGR弁の開度、吸気圧力、及び排気圧力の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0286】
1 エンジン
2 コンプレッサ
3 タービン
4 触媒
5 気筒
6 吸気通路
7 エアフローメータ
8 ターボチャージャ
9 排気通路
10 クランク角度センサ
11 アクセル開度センサ
12 EGR通路
13 EGR弁
14 スロットル弁
15 開度センサ
16 ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路と、
前記EGR通路に設けられたEGR弁と、
前記吸気通路における前記EGR通路の接続箇所より上流側の位置に設けられたスロットル弁と、
前記EGR弁が開弁される運転状態において、該EGR弁を閉弁し且つ前記スロットル弁をより開き側の開度まで開弁する制御要求があった場合に、
前記EGR弁については、該制御要求に応じて閉弁制御を開始し、
前記スロットル弁については、
該制御要求があった時から該EGR弁の閉弁が完了するまでの間、該制御要求における前記スロットル弁の要求開度より閉じ側の所定開度まで開弁し、
該EGR弁の閉弁が完了した後、前記要求開度まで開弁する、
過渡時弁制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記所定開度は、前記制御要求直前の運転状態における前記スロットル弁の開度であることを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御手段は、前記過渡時弁制御において、前記EGR弁が閉弁完了するまでの間、
排気圧力が吸気圧力より所定圧力以上高い場合には、前記スロットル弁の開度を所定開度変化量だけ開き側に変化させ、
そうでない場合には、前記スロットル弁の開度を変化させないことにより、
前記スロットル弁の開度を段階的に前記要求開度に向かって変化させていくことを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記制御手段は、前記EGR弁が開弁され且つ機関負荷が所定負荷より小さい軽負荷運転状態から、前記EGR弁が閉弁され且つ前記スロットル弁が所定の基準開度より開き側の開度に開弁される高負荷運転状態への加速要求時に、前記過渡時弁制御を行うことを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記制御手段は、前記制御要求における前記スロットル弁の要求開度が全開である場合に、前記過渡時弁制御を行うことを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記制御手段は、
前記スロットル弁の開度を前記要求開度まで開弁したと仮定した場合の吸気圧力を予測する手段と、
前記制御要求時における排気圧力を取得する手段と、
を有し、前記予測した吸気圧力が前記取得した排気圧力より高い場合に、前記過渡時弁制御を行うことを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記制御手段は、前記制御要求があった時点で前記スロットル弁を前記要求開度まで開弁したと仮定した場合に、前記吸気通路から前記EGR通路を逆流して前記排気通路に流入する空気量を予測する手段を有し、前記予測した空気量が所定の許容量より多い場合に
、前記過渡時弁制御を行うことを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、
前記EGR弁を駆動するアクチュエータとして、その応答速度が前記スロットル弁を駆動するアクチュエータの応答速度と略等しいものを用いることを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項において、
前記吸気通路における前記スロットル弁の設置箇所の上流の位置に設けられたコンプレッサと、前記排気通路に設けられたタービンと、を有するターボチャージャを更に備えることを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−121497(P2010−121497A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294758(P2008−294758)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】