説明

半導体装置、電源装置、増幅器及び半導体装置の製造方法

【課題】半導体層とゲート電極との間に絶縁膜が形成された半導体装置の信頼性を高める。
【解決手段】基板の上方に形成された半導体層と、前記半導体層上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された電極と、を有し、前記絶縁膜は炭素を主成分とするアモルファス膜を含むものであることを特徴とする半導体装置により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、電源装置、増幅器及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体であるGaN、AlN、InNまたは、これらの混晶からなる材料等は、広いバンドギャップを有しており、高出力電子デバイスまたは短波長発光デバイス等に用いられている。このうち、高出力電子デバイスとしては、電界効果型トランジスタ(FET:Field effect transistor)、特に、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に関する技術が開発されている。このような窒化物半導体を用いたHEMTは、高出力・高効率増幅器、大電力スイッチングデバイス等に用いられる。
【0003】
ところで、このような用途に用いられるHEMTは、高いドレイン耐圧やゲート耐圧が求められるため、ゲート絶縁膜となる絶縁膜を形成したMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造が用いられている場合が多い。このようにMIS構造とすることにより、より電力用途に適した半導体デバイスとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359256号公報
【特許文献2】特開2008−218479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、トランジスタを用いた電力用の高効率なスイッチング素子を実現するためには、オン抵抗の低減、ノーマリーオフ動作の実現、スイッチング素子の高耐圧化が求められている。しかしながら、このようなスイッチング素子おいては、安定的にスイッチング動作を行なうことができ、高い信頼性を有していることも、併せて求められている。
【0006】
即ち、ゲート絶縁膜を有するトランジスタ等の半導体装置において、安定的にスイッチング動作を行なうことができ、信頼性の高い半導体装置及び半導体装置の製造方法が求められており、更には、このような半導体装置を用いた電源装置及び増幅器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態の一観点によれば、基板の上方に形成された半導体層と、前記半導体層上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された電極と、を有し、前記絶縁膜は炭素を主成分とするアモルファス膜を含むものであることを特徴とする。
【0008】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、基板の上方に半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に炭素を主成分とするアモルファス膜を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に電極を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の半導体装置及び半導体装置の製造方法によれば、ゲート電極と半導体層との間にゲート絶縁膜となる絶縁膜を形成した構造の半導体装置において、安定的にスイッチング動作を行なうことができ、半導体装置、電源装置及び増幅器の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】半導体素子の構造図
【図2】半導体素子における測定の説明図
【図3】印加電圧と容量との相関図
【図4】絶縁膜の説明図
【図5】アモルファスカーボン膜の膜厚としきい値電圧変動幅との相関図
【図6】第1の実施の形態における半導体装置の構造図
【図7】sp3の比率と膜密度及びプラズモンピークとの相関図
【図8】プラズモンピークの説明図
【図9】第1の実施の形態における半導体装置の製造工程図(1)
【図10】第1の実施の形態における半導体装置の製造工程図(2)
【図11】FCA成膜装置の構造図
【図12】第2の実施の形態における半導体装置の構造図
【図13】第2の実施の形態における絶縁膜の説明図
【図14】第3の実施の形態における半導体装置の構造図
【図15】第3の実施の形態における半導体装置の製造工程図(1)
【図16】第3の実施の形態における半導体装置の製造工程図(2)
【図17】第4の実施の形態におけるディスクリートパッケージされた半導体デバイスの説明図
【図18】第4の実施の形態における電源装置の回路図
【図19】第4の実施の形態における高出力増幅器の構造図
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
最初に、半導体装置においてスイッチング動作が安定的に行なわれなくなる場合について、半導体装置であるHEMTと同様の構造を有する半導体素子を作製し検討を行なった。作製した半導体素子は、図1に示すように、シリコンからなる基板1上に、バッファ層2、電子走行層3、スペーサ層4、電子供給層5、キャップ層6を積層形成し、更に、キャップ層6上に絶縁膜7を形成したものである。電子走行層3、スペーサ層4、電子供給層5、キャップ層6は、有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法により形成されている。バッファ層2は電子走行層3等をエピタキシャル成長させるために基板1上に形成されているものであり、基板1上にバッファ層2を形成することにより、バッファ層2上に電子走行層3等をエピタキシャル成長させることができる。
【0013】
電子走行層3は厚さが約3μmのi−GaNにより形成されており、スペーサ層4は厚さが約5nmのi−AlGaNにより形成されている。電子供給層5は厚さが約5nmのn−AlGaNにより形成されており、不純物元素としてシリコン(Si)が5×1018cm−3の濃度でドーピングされている。キャップ層6は厚さが10nmのn−GaNにより形成されており、不純物元素としてシリコン(Si)が5×1018cm−3の濃度でドーピングされている。尚、このような構造のものでは、通常、電子走行層3において電子供給層5に近い側に2次元電子ガス(2DEG:2 dimensional electron gas)3aが形成される。また、絶縁膜7は、ゲート絶縁膜に相当するものであり、酸化アルミニウムからなる膜をALD(Atomic Layer Dposition)法により約20nm成膜することにより形成されている。
【0014】
このように形成された絶縁膜7上に、図2に示すように水銀からなるアノード電極8及びカソード電極9を設置し、アノード電極8とカソード電極9との間の容量測定を行なった。尚、アノード電極8は、直径約500μmの円形状のものであり、カソード電極9は、内径が約1500μm、外径が約2500μmのドーナッツ状の形状のものであり、中心がアノード電極8の中心と一致するように設置されている。このカソード電極9は接地されており、接地電位となっている。図2(a)は、この状態を示す上面図であり、図2(b)は、図2(a)における一点鎖線2A−2Bにおいて切断した断面図である。
【0015】
図3は、アノード電極8に印加する電圧を変化させた場合において、アノード電極8とカソード電極9との間で検出される容量の値を示すものである。具体的には、カソード電極8を接地した状態において、アノード電極8に、100kHz、25mVの交流成分を重畳した印加電圧を印加し、印加電圧が印加された状態における容量を測定したものである。
【0016】
図3に示されるように、アノード電極8に印加される電圧を−30Vより10Vまで徐々に上昇させた場合では、最初に検出される容量が0であったのものが、−7V近傍において急激に増加する。この後、更に印加する電圧を上昇させても、容量はあまり変化することなく略一定のままであるが、0V近傍において再び急激に増加する。この後、印加される電圧の上昇に伴い容量は増加するものの次第に一定の値に収束する。逆に、アノード電極8に印加される電圧を10Vより−30Vまで徐々に降下させた場合では、最初は印加される電圧の降下に伴い容量が急激に低下するが、7V近辺で略一定の容量となり、0Vまで電圧を降下させても、検出される容量にあまり変化は見られない。この後、更に印加される電圧を降下させることにより、0Vを過ぎたあたりで急激に容量が低下し、−1.5V近傍では検出される容量は0となり、その後、印加される電圧を降下させても容量は0のままで変化はない。このように、図1に示す半導体素子において、絶縁膜7を酸化アルミニウムにより形成した場合では、電圧を上昇させた場合と、電圧を降下させた場合とで、印加される電圧と容量との関係を示す曲線が異なりシフトする。
【0017】
上記においては、低い電位より印加される電圧を上昇させた場合、空乏層厚が減少し、電子走行層3に2DEG3aが発生した時点で容量が発生し、検出される容量の値が急上昇する。一方、高い電位より印加される電圧を降下させた場合、空乏層厚が増加し、2DEG3aの減少に伴い、検出される容量の値は減少する。印加された電圧を上昇させた場合と、降下させた場合とで印加電圧と容量との関係を示す曲線がシフトするのは、絶縁膜7内にトラップ準位が形成されて、電子等がトラップされることにより、2DEG3aの分布に影響を与えることによるものと考えられる。即ち、絶縁膜7内にトラップ準位が形成されている場合には、電子等がトラップされると検出される容量が変化する。従って、印加される電圧を上昇させた場合と、降下させた場合とでは、同じ電圧を印加しても異なる値の容量が検出されるものと考えられる。
【0018】
このように、印加される電圧と容量との関係が、過去の印加電圧の履歴に依存して変化すると、安定したスイッチング動作を得ることができず、半導体装置の信頼性が低下してしまう。このように印加電圧を上昇させた場合と降下させた場合とにおける印加電圧と容量との関係を示す曲線のシフト量を本実施の形態ではしきい値電圧変動幅と呼ぶ。尚、上述した半導体素子において絶縁膜7を酸化アルミニウムにより形成した場合では、しきい値電圧変動幅は、約5.4Vであった。
【0019】
ところで、絶縁膜7は、酸化アルミニウム膜が化合物のアモルファス膜であるため、このようなトラップ準位が形成されやすいものと推察される。よって、絶縁膜7を酸化物及び窒化物等の化合物からなるアモルファス膜等により形成した場合には、同様のトラップ準位が形成されるものと推察される。
【0020】
次に、絶縁膜7を酸化物及び窒化物以外の材料により形成した場合について説明する。具体的には、絶縁膜7に代えて、図4(b)に示されるアモルファスカーボン膜からなる絶縁膜7aを形成したもの、また、図4(c)に示されるアモルファスカーボン膜と酸化アルミニウム膜とを積層した絶縁膜7bを形成したものを作製し同様の測定を行なった。尚、図4(a)に示される絶縁膜7は、前述した膜厚が約20nmの酸化アルミニウムにより形成されたものである。図4(b)に示される絶縁膜7aはアモルファスカーボン膜を約20nm成膜することにより形成したものである。また、図4(c)に示される絶縁膜7bはALD法により酸化アルミニウム膜を約10nm成膜した後、アモルファスカーボン膜を約10nm成膜し形成したものである。尚、アモルファスカーボン膜は、炭素を主成分とするアモルファス膜であり、アモルファスカーボン膜の形成方法は、後述するアーク蒸着法であるFCA(Filtered Cathodic Arc)により形成することができる。
【0021】
図5は、形成されるアモルファスカーボン膜の膜厚としきい値電圧変動幅との関係を示す。図に示されるように、アモルファスカーボン膜の膜厚を厚くすることにより、しきい値電圧変動幅が小さくなり、絶縁膜のすべてをアモルファスカーボン膜により形成した場合、しきい値電圧変動幅は略0になる。
【0022】
従って、絶縁膜の一部にアモルファスカーボン膜を含めることにより、しきい値電圧変動幅を小さくすることができ、更には、絶縁膜の全体をアモルファスカーボン膜により形成することにより、しきい値電圧変動幅を0にすることができる。このようにして、ゲート絶縁膜となる絶縁膜にアモルファスカーボン膜を用いることにより、安定的にスイッチング動作を行なうことができ、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。即ち、ゲート絶縁膜となる絶縁膜の一部または全部をアモルファスカーボン膜によって形成することにより、安定的にスイッチング動作を行なうことができ、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0023】
(半導体装置の構造)
次に、第1の実施の形態における半導体装置について説明する。本実施の形態における半導体装置の構造を図6に示す。本実施の形態における半導体装置はHEMTであり、半導体等からなる基板10上にバッファ層20が形成されており、バッファ層20上に、半導体層となる電子走行層21、電子供給層22、キャップ層23がエピタキシャル成長により積層して形成されている。また、キャップ層23上には絶縁膜30が形成されており、絶縁膜30上にはゲート電極41が形成されており、ソース電極42及びドレイン電極43は電子走行層21と接続されて形成されている。更に、露出している絶縁膜30の上には、絶縁体からなる保護膜50が形成されている。
【0024】
基板10はSi基板、SiC基板、サファイア(Al)基板等が用いられる。本実施の形態では、基板10としてSi基板を用いているため、バッファ層20を形成しているが、他の材料からなる基板10を用いた場合には、バッファ層20を形成する必要がない場合がある。第1の半導体層となる電子走行層21はi−GaNにより形成されており、第2の半導体層となる電子供給層22はn−AlGaNにより形成されており、第3の半導体層となるキャップ層23はn−GaNにより形成されている。これにより、電子走行層21において電子供給層22に近い側に2次元電子ガス(2DEG)21aが形成される。また、電子走行層21と電子供給層22との間には、不図示のスペーサ層を形成してもよい。
【0025】
ゲート電極41、ソース電極42及びドレイン電極43は金属材料により形成されている。ゲート絶縁膜となる絶縁膜30は、アモルファスカーボン膜により形成されており、厚さは20nmである。保護膜50は、プラズマALDにより酸化アルミニウム(Al)膜を成膜することにより形成されている。
【0026】
絶縁膜30として形成されるアモルファスカーボン膜は、炭素を主成分とするアモルファス膜であり、DLC(Diamond Like Carbon)とも呼ばれる。このアモルファスカーボン膜は、高密度な絶縁膜であり、高い絶縁性を有しており、また、表面平滑性も高い膜である。アモルファスカーボン膜において、高い絶縁性、高密度性等を得るためには、膜中の水素含有量が極力抑制されており、ダイヤモンドライクであることが好ましい。具体的には、膜密度が高く、炭素間結合においてsp2よりもsp3が多い状態であることが好ましい。尚、炭素間結合においてsp2よりもsp3が多い状態のアモルファスカーボン膜は、高密度なダイアモンドに近い状態の膜となるため、特に、トラップ準位等は形成されにくく、しきい値電圧変動幅が小さくなるものと考えられる。即ち、絶縁膜30をアモルファスカーボン膜により形成することにより、より安定的にスイッチング動作を行なうことができ、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0027】
より詳しく説明すると、カーボンにおける炭素間結合には、結合様式としてsp2とsp3があり、グラファイト(黒鉛)はsp2の結合により形成され、ダイアモンドはsp3の結合により形成されている。従って、アモルファスカーボン膜が、よりダイヤモンドライクであるためには、sp2の結合よりもsp3の結合が多い方が好ましく、即ち、炭素間結合が、sp2≦sp3であることが好ましい。
【0028】
ところで、図7に示すように、アモルファスカーボン膜の膜中における炭素間結合のsp3の比率と膜密度とは相関関係があり、炭素間結合のsp3の比率が高くなるに従い膜密度も高くなる。また、アモルファスカーボン膜の膜中の炭素間結合におけるsp3の比率とプラズモンピークとは相関関係があり、炭素間結合のsp3の比率が高くなるに従いプラズモンピークも高くなる。ここで、膜中における炭素間結合のsp3の比率が50%以上、即ち、sp2の結合よりもsp3の結合が多い水素を殆ど含まないアモルファスカーボン膜は、膜密度が2.6g/cm以上であり、プラズモンピークが28eV以上である。尚、膜密度は、シリコン基板上にアモルファスカーボン膜を成膜し、ラザフォード後方散乱法により得られた結果と、TEM(Transmission Electron Microscope)による断面測長により得られた膜厚に基づき算出している。
【0029】
膜密度が2.6g/cm以上、プラズモンピークが28eV以上となるアモルファスカーボン膜は、後述するアーク蒸着法であるFCA法により形成することが可能である。具体的には、FCA法により成膜されたアモルファスカーボン膜の膜密度は、3.2g/cmである。また、ダイアモンドの密度が3.56g/cmである。従って、アモルファスカーボン膜は、2.6g/cm以上、3.56g/cm以下であることが好ましい。また、FCA法により成膜されたアモルファスカーボン膜は、CVDにより成膜されたアモルファスカーボン膜と比較して水素含有量が極めて低く、FCA法により成膜されたアモルファスカーボン膜に含まれる水素含有量は1atm%以下である。尚、CVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜される水素を含むアモルファスカーボン膜では、膜密度が最も高いものでも約2.6g/cm未満である。
【0030】
図8は、FCA法により成膜したアモルファスカーボン膜とCVD法により成膜したアモルファスカーボン膜のプラズモンピークを示すものである。FCA法により成膜したアモルファスカーボン膜のプラズモンピーク8Aは約30eVであり28eV以上であるのに対し、CVD法により成膜したアモルファスカーボン膜のプラズモンピーク8Bは約23eVであり、28eV未満である。このように、FCA法により成膜したアモルファスカーボン膜のプラズモンピークは28eV以上となる。よって、本実施の形態における絶縁膜30は、FCA法により成膜されたアモルファスカーボン膜であり、炭素間結合がsp2≦sp3であり、密度は2.6g/cm以上、3.56g/cm以下、プラズモンピークは28eV以上のものである。
【0031】
また、絶縁膜30として成膜されるアモルファスカーボン膜の膜厚は、2nm以上、200nm以下であり、特に、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。アモルファスカーボン膜により全面を覆うためには、少なくとも数原子層以上の膜厚が必要となるため、2nm未満の膜厚では全面を覆うことができない。また、本実施の形態における効果を確実に得るためには、図5に示すように10nm以上形成されていることが好ましい。また、アモルファスカーボン膜は応力が大きいため、膜厚が厚くなると応力により膜剥がれが発生してしまい、アモルファスカーボン膜は30nmを超える膜厚で成膜した場合には、特に膜剥がれが発生しやすくなることが知見として得られている。よって、この観点に基づくならば、アモルファスカーボン膜は30nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0032】
(半導体装置の製造方法)
次に、図9及び図10に基づき本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。
【0033】
最初に、図9(a)に示すように、基板10上にバッファ層20を形成し、バッファ層20上に、電子走行層21、電子供給層22、キャップ層23等の半導体層をMOVPE(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)等によりエピタキシャル成長させて形成する。基板10は、Si、SiC、サファイア(Al)等からなる基板を用いることができ、基板10上には電子走行層21等をエピタキシャル成長させるためバッファ層20が形成されている。バッファ層20は、例えば、厚さ約0.1μmのノンドープのi−AlNにより形成されている。電子走行層21は、厚さ約3μmのノンドープのi−GaNにより形成されている。電子供給層22は、厚さ約30nmのn−Al0.25Ga0.75Nにより形成されており、不純物元素としてSiが5×1018cm−3の濃度でドーピングされている。キャップ層23は、厚さ約10nmのn−GaNにより形成されており、不純物元素としてSiが5×1018cm−3の濃度でドーピングされている。尚、半導体層は、MOVPEの他、MBE(Molecular Beam Epitaxy)により半導体層を結晶成長させることにより形成してもよい。
【0034】
次に、図9(b)に示すように、ソース電極42及びドレイン電極43を形成する。具体的には、キャップ層23上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、ソース電極42及びドレイン電極43が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、塩素ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)等によるドライエッチングを行なうことにより、レジストパターンが形成されていない領域におけるキャップ層23及び電子供給層22を除去し、電子走行層21の表面を露出させる。この際行なわれるドライエッチングは、チャンバー内にエッチングガスとして塩素ガスを約30sccmを導入し、チャンバー内の圧力を約2Paに設定し、RFパワーを20W印加することにより行なう。この後、真空蒸着等によりTa/Alの積層膜等からなる金属膜を成膜した後、有機溶剤等に浸漬させることによりレジストパターン上に形成されている金属膜をレジストパターンとともにリフトオフにより除去する。これによりレジストパターンの形成されていない領域にソース電極42及びドレイン電極43を形成することができる。また、リフトオフを行なった後に、例えば、550℃の温度で熱処理を行なうことによりオーミックコンタクトさせることができる。尚、上記においては、ドライエッチングを行なうためのレジストパターンとリフトオフを行なうためのレジストパターンとを兼用させた場合について説明したが、各々別個に形成してもよい。
【0035】
次に、図9(c)に示すように、キャップ層23上に、ゲート絶縁膜となる絶縁膜30を形成する。絶縁膜30は、FCA法によりアモルファスカーボン膜を成膜することにより形成する。具体的には、グラファイトターゲットを原料として、アーク電流70A、アーク電圧26Vの条件により、FCA法により、膜厚が約20nmのアモルファスカーボン膜を成膜することにより絶縁膜30を形成する。
【0036】
次に、図10(a)に示されるように、ゲート電極41を形成する。具体的には、絶縁膜30上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、ゲート電極41が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、全面に金属膜(Ni:膜厚約10nm/Au:膜厚約300nm)を真空蒸着により成膜した後、有機溶剤等に浸漬させることによりレジストパターン上に形成されている金属膜をレジストパターンとともにリフトオフにより除去する。これにより絶縁膜30上の所定の領域にNi/Auからなるゲート電極41を形成する。
【0037】
次に、図10(b)に示されるように、絶縁膜30上に、保護膜50を形成する。保護膜50としては、例えば、ALD法により成膜した酸化アルミニウム膜、FCA法により成膜したアモルファスカーボン膜、プラズマCVD法により成膜した窒化シリコン膜等が挙げられ、また、これらの膜を積層したものであってもよい。
【0038】
以上により、本実施の形態における半導体装置であるトランジスタを作製することができる。上記説明では、半導体層がGaN及びAlGaNにより形成されている半導体装置について説明したが、本実施の形態は半導体層としてInAlN、InGaAlN等の窒化物半導体を用いた半導体装置においても同様に適用することができる。
【0039】
(アモルファスカーボン膜の成膜)
次に、アモルファスカーボン膜を成膜するためのFCA法について説明する。図11に、FCA法に用いられるFCA成膜装置の構造を示す。このFCA成膜装置は、プラズマ発生部110、プラズマ分離部120、パーティクルトラップ部130、プラズマ移送部140、成膜チャンバー150を有している。プラズマ発生部110、プラズマ分離部120及びパーティクルトラップ部130は、いずれも筒状に形成されており、この順で連結されている。プラズマ移送部140も筒状に形成されており、一方の端部はプラズマ分離部120に略垂直に接続されており、他方の端部は、成膜チャンバー150に接続されている。成膜チャンバー150の内部には、成膜対象となる基板等151を設置するためのステージ152が設けられている。
【0040】
プラズマ発生部110の筐体下端部には絶縁板111が設けられており、この絶縁板111の上には、ターゲット(カソード)112となるグラファイトが設置されている。また、プラズマ発生部110の筐体下端部の外周には、カソードコイル114が設けられており、筐体の内壁面にはアノード113が設けられている。アモルファスカーボン膜を成膜する際には、不図示の電源より、ターゲット112とアノード113との間に、所定の電圧を印加し、アーク放電を発生させ、ターゲット112の上方にプラズマを発生させる。この際、カソードコイル114には、別の不図示の電源より所定の電流が供給され、アーク放電を安定化させるための磁場を発生させる。このアーク放電により、グラファイトのターゲット112を形成しているカーボンが蒸発し、プラズマ中に成膜材料のイオンとして供給される。
【0041】
プラズマ発生部110とプラズマ分離部120との境界部分には絶縁リング121が設けられており、この絶縁リング121によりプラズマ発生部110の筐体とプラズマ分離部120の筐体とが電気的に分離されている。プラズマ分離部120の筐体の外周には、プラズマ発生部110において発生したプラズマを筐体の中心部に収束させつつ所定の方向に移動させるための磁場を発生させるガイドコイル122a、122bが設けられている。また、プラズマ分離部120とプラズマ移送部140との接続部近傍には、プラズマの進行方向を略垂直に曲げる磁場を発生させる斜め磁場発生コイル123が設けられている。
【0042】
パーティクルトラップ部130には、プラズマ発生部110において発生したパーティクルがプラズマ分離部120における磁場の影響を殆ど受けることなく直進して進入する。パーティクルトラップ部130の上端部には、パーティクルを横方向に反射する反射板131と、反射板131により反射されたパーティクルを捕捉するパーティクル捕捉部132が設けられている。パーティクル捕捉部132には、複数のフィン133が筐体内部に対し斜めに配置されている。パーティクル捕捉部132に進入したパーティクルは、これらのフィン133により何度も反射され、運動エネルギーを失い、最終的には、フィン133またはパーティクル捕捉部132の筐体壁面等に付着し捕捉される。
【0043】
プラズマ移送部140には、プラズマ分離部120においてパーティクルと分離されたプラズマが進入する。プラズマ移送部140は、負電圧印加部142と連絡部146とに区画されている。負電圧印加部142とプラズマ分離部120との間及び負電圧印加部142と連絡部146との間には絶縁リング141が設けられている。これにより、プラズマ分離部120と負電圧印加部142とは電気的に分離されており、連絡部146と負電圧印加部142とは電気的に分離されている。
【0044】
負電圧印加部142は、更に、プラズマ分離部120側の入口部143と、連絡部146側の出口部145と、入口部143と出口部145の間の中間部144とに区画されている。入口部143の外周にはプラズマを収束しつつ成膜チャンバー150側に移動させるための磁場を発生させる143aが設けられている。また、入口部143の内側には、入口部143に進入したパーティクルを捕捉する複数のフィン143bが筐体内面に対し斜めに設置されている。
【0045】
中間部144の入口部143側及び出口部145側には、プラズマの流路を寄生する開口部を有するアパーチャ144a及び144bが設けられている。また、中間部144の外周には、プラズマの進行方向を曲げるための磁場を発生させるガイドコイル144cが設けられている。
【0046】
連絡部146は、負電圧印加部142側から成膜チャンバー150に向かって、徐々に径が広くなるように形成されている。この連絡部146の内側にも、複数のフィン146aが設置されており、連絡部146と成膜チャンバー150との境界部分の外周には、プラズマを収束しつつ成膜チャンバー150側に移動させるためのガイドコイル146bが設けられている。
【0047】
このFCA成膜装置では、プラズマ発生部110において、アーク放電させることにより、炭素イオンが含まれるプラズマを発生させ、斜め磁場発生コイル123等により、パーティクルとなる成分を除去しつつ、プラズマを基板151等まで到達させることができる。これにより、基板151等上にアモルファスカーボン膜を成膜することができる。
【0048】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、ゲート絶縁膜となる絶縁膜がアモルファスカーボン膜と酸化物または窒化物等からなる膜により形成され半導体装置である。
【0049】
図12に基づき、本実施の形態における半導体装置について説明する。本実施の形態における半導体装置は、第1の実施の形態における半導体装置のアモルファスカーボン膜からなる絶縁膜30に代えて、酸化アルミニウム膜231とアモルファスカーボン膜232とが積層された絶縁膜230を形成した構造のものである。即ち、酸化アルミニウム膜231上にアモルファスカーボン膜232が形成された絶縁膜230を形成した構造のものである。酸化アルミニウム膜231は、トリメチルアルミニウム(TMA)と、純水(HO)とを用いて、基板温度300℃に設定して、ALD法により約10nm成膜することにより形成されている。アモルファスカーボン膜232は、第1の実施の形態と同様のFCA法により約10nm成膜することにより形成されている。尚、図13(a)は、絶縁膜230を拡大した図である。
【0050】
このように、ゲート絶縁膜となる絶縁膜230を2つの異なる材料からなる膜を積層し形成することにより、ゲートリーク電流を低減することができる。即ち、ゲート絶縁膜となる絶縁膜をアモルファスカーボン膜のみにより形成した場合と比べて、アモルファスカーボン膜よりも絶縁性の高い酸化アルミニウム膜を積層することにより、ゲートリーク電流を少なくすることができる。
【0051】
尚、本実施の形態において、絶縁膜230は、しきい値電圧変動幅を小さくするため、図5に示されるように、アモルファスカーボン膜232の膜厚は、酸化アルミニウム膜231の膜厚以上となるように形成されていることが好ましい。また、アモルファスカーボン膜232は10nm以上形成されていることが好ましい。
【0052】
また、上記説明では、酸化アルミニウム膜231を形成した場合について説明したが、酸化アルミニウム膜231に代えて、酸化ハフニウム膜、窒化シリコン膜等を形成した場合も同様である。更に、図13(b)に示されるように、最初にアモルファスカーボン膜232を成膜し、成膜されたアモルファスカーボン膜232上に酸化アルミニウム膜231を成膜した絶縁膜233を絶縁膜230に代えて用いてもよい。
【0053】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0054】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0055】
(半導体装置の構造)
図14に基づき本実施の形態における半導体装置について説明する。本実施の形態における半導体装置は、HEMTであり、半導体等からなる基板310上にバッファ層320が形成されており、バッファ層320上に、電子走行層321、電子供給層322、キャップ層323がエピタキシャル成長により積層して形成されている。また、ソース電極342及びドレイン電極343は電子走行層321と接続されて形成されており、ゲート電極341は、キャップ層323及び電子供給層322の一部を除去することにより形成された開口部内に絶縁膜330を介して形成されている。尚、絶縁膜330はキャップ層323上にも形成されており、絶縁膜330の上には、絶縁体からなる保護膜350が形成されている。
【0056】
基板310はSi基板、SiC基板、サファイア(Al)基板等が用いられる。本実施の形態では、基板310としてSi基板を用いているため、バッファ層320を形成しているが、他の材料からなる基板310を用いた場合には、バッファ層320を形成する必要がない場合がある。第1の半導体層となる電子走行層321はi−GaNにより形成されており、第2の半導体層となる電子供給層322はn−AlGaNにより形成されており、第3の半導体層となるキャップ層323はn−GaNにより形成されている。これにより、電子走行層321において電子供給層322に近い側に2次元電子ガス(2DEG)321aが形成される。また、電子走行層321と電子供給層322との間には、不図示のスペーサ層を形成してもよい。
【0057】
ゲート電極341、ソース電極342及びドレイン電極343は金属材料により形成されている。ゲート絶縁膜となる絶縁膜330は、アモルファスカーボン膜により形成されており、厚さは20nmである。保護膜350は、プラズマALDにより酸化アルミニウム(Al)膜を成膜することにより形成されている。
【0058】
(半導体装置の製造方法)
次に、図15及び図16に基づき本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。
【0059】
最初に、図15(a)に示すように、基板310上にバッファ層320を形成し、バッファ層320上に、電子走行層321、電子供給層322、キャップ層323等の半導体層をMOVPE等によりエピタキシャル成長させることにより形成する。基板310は、Si、SiC、サファイア(Al)等からなる基板を用いることができ、基板310上には電子走行層321等をエピタキシャル成長させるためバッファ層320が形成されている。バッファ層320は、例えば、厚さ約0.1μmのノンドープのi−AlNにより形成されている。電子走行層321は、厚さ約3μmのノンドープのi−GaNにより形成されている。電子供給層322は、厚さ約30nmのn−Al0.25Ga0.75Nにより形成されており、不純物元素としてSiが5×1018cm−3の濃度でドーピングされている。キャップ層323は、厚さ約10nmのn−GaNにより形成されており、不純物元素としてSiが5×1018cm−3の濃度でドーピングされている。
【0060】
次に、図15(b)に示されるように、ソース電極342及びドレイン電極343を形成する。具体的には、キャップ層323上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、ソース電極342及びドレイン電極343が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、塩素ガスを用いたRIE等によるドライエッチングを行なうことによりレジストパターンが形成されていない領域におけるキャップ層323及び電子供給層322を除去し、電子走行層321の表面を露出させる。この後、真空蒸着等によりTa/Alの積層膜等からなる金属膜を成膜した後、有機溶剤等に浸漬させることにより、レジストパターン上に形成されている金属膜をレジストパターンとともにリフトオフにより除去する。これにより、レジストパターンの形成されていない領域にソース電極342及びドレイン電極343を形成することができる。また、リフトオフを行なった後に、例えば、550℃の温度で熱処理を行なうことによりオーミックコンタクトさせることができる。
【0061】
次に、図15(c)に示されるように、開口部361を形成する。具体的には、キャップ層323上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、開口部361の形成される領域に開口を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、レジストパターンをマスクとして、塩素を含むガスを導入してRIE等によるドライエッチングを行なう。これにより、レジストパターンの形成されていない領域におけるキャップ層323及び電子供給層322の一部を除去し、開口部361を形成する。この後、レジストパターンを除去する。
【0062】
次に、図16(a)に示されるように、開口部361の内部表面、キャップ層323上に、絶縁膜330を形成する。絶縁膜330は、FCA法によりアモルファスカーボン膜を成膜することにより形成する。具体的には、FCA法により、グラファイトターゲットを原料として、アーク電流70A、アーク電圧26Vの条件により、膜厚が約20nmのアモルファスカーボン膜を成膜することにより絶縁膜330を形成する。
【0063】
次に、図16(b)に示されるように、ゲート電極341を形成する。具体的には、絶縁膜330上に、不図示の下層レジスト(例えば、商品名PMGI:米国マイクロケム社製)及び不図示の上層レジスト(例えば、商品名PFI32−A8:住友化学社製)をそれぞれスピンコート法等により塗布することにより形成する。この後、露光装置による露光、現像を行なうことにより、上部レジストに開口部361が形成されている部分を含む領域に約0.8μm径程度の開口を形成する。次に、上層レジストをマスクとして、下層レジストをアルカリ現像液でウェットエッチングする。この後、全面に金属膜(Ni:膜厚約10nm/Au:膜厚約300nm)を真空蒸着により成膜した後、加温した有機溶剤を用いてリフトオフを行なうことにより下層レジスト及び上層レジストともに、上層レジスト上に成膜された金属膜を除去する。これにより、絶縁膜330を介した開口部361内にNi/Auからなるゲート電極341を形成することができる。
【0064】
次に、図16(c)に示されるように、絶縁膜330上に、保護膜350を形成する。保護膜350としては、例えば、ALD法により成膜した酸化アルミニウム膜、FCA法により成膜したアモルファスカーボン膜、プラズマCVD法により成膜した窒化シリコン膜等が挙げられ、また、これらの膜を積層したものであってもよい。
【0065】
以上により、本実施の形態における半導体装置であるトランジスタを作製することができる。
【0066】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様であり、第2の実施の形態における積層された絶縁膜を本実施の形態におけるゲート絶縁膜となる絶縁膜330として用いることも可能である。
【0067】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、半導体デバイス、電源装置及び高周波増幅器である。
【0068】
本実施の形態における半導体デバイスは、第1から第3の実施の形態における半導体装置をディスクリートパッケージしたものであり、このようにディスクリートパッケージされた半導体デバイスについて、図17に基づき説明する。尚、図17は、ディスクリートパッケージされた半導体装置の内部を模式的に示すものであり、電極の配置等については、第1から第3の実施の形態に示されているものとは、異なっている。
【0069】
最初に、第1から第3の実施の形態において製造された半導体装置をダイシング等により切断することにより、GaN系の半導体材料のHEMTの半導体チップ410を形成する。この半導体チップ410をリードフレーム420上に、ハンダ等のダイアタッチ剤430により固定する。
【0070】
次に、ゲート電極441をゲートリード421にボンディングワイヤ431により接続し、ソース電極442をソースリード422にボンディングワイヤ432により接続し、ドレイン電極443をドレインリード423にボンディングワイヤ433により接続する。尚、ボンディングワイヤ431、432、433はAl等の金属材料により形成されている。尚、本実施の形態におけるゲート電極441はゲート電極パッドであり、第1から第3の実施の形態におけるゲート電極41または341と接続されている。同様に、ソース電極442はソース電極パッドでありソース電極42または342と接続されており、ドレイン電極443はドレイン電極パッドでありドレイン電極43または343と接続されている。
【0071】
次に、トランスファーモールド法によりモールド樹脂440による樹脂封止を行なう。このようにして、GaN系の半導体材料を用いたHEMTのディスクリートパッケージされている半導体デバイスを作製することができる。
【0072】
また、本実施の形態における電源装置及び高周波増幅器は、第1から第3の実施の形態における半導体装置のいずれかを用いた電源装置及び高周波増幅器である。
【0073】
図18に基づき、本実施の形態における電源装置について説明する。本実施の形態における電源装置460は、高圧の一次側回路461、低圧の二次側回路462及び一次側回路461と二次側回路462との間に配設されるトランス463を備えている。一次側回路461は、交流電源464、いわゆるブリッジ整流回路465、複数のスイッチング素子(図18に示す例では4つ)466及び一つのスイッチング素子467等を備えている。二次側回路462は、複数のスイッチング素子(図18に示す例では3つ)468を備えている。図18に示す例では、第1から第3の実施の形態における半導体装置を一次側回路461のスイッチング素子466及び467として用いている。尚、一次側回路461のスイッチング素子466及び467は、ノーマリーオフの半導体装置であることが好ましい。また、二次側回路462において用いられているスイッチング素子468はシリコンにより形成される通常のMISFET(metal insulator semiconductor field effect transistor)を用いている。
【0074】
また、図19に基づき、本実施の形態における高周波増幅器について説明する。本実施の形態における高周波増幅器470は、例えば、携帯電話の基地局用パワーアンプに適用してもよい。この高周波増幅器470は、ディジタル・プレディストーション回路471、ミキサー472、パワーアンプ473及び方向性結合器474を備えている。ディジタル・プレディストーション回路471は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー472は、非線形歪みが補償された入力信号と交流信号とをミキシングする。パワーアンプ473は、交流信号とミキシングされた入力信号を増幅する。図19に示す例では、パワーアンプ473は、第1から第3の実施の形態における半導体装置を有している。方向性結合器474は、入力信号や出力信号のモニタリング等を行なう。図19に示す回路では、例えば、スイッチの切り替えにより、ミキサー472により出力信号を交流信号とミキシングしてディジタル・プレディストーション回路471に送出することが可能である。
【0075】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0076】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板の上方に形成された半導体層と、
前記半導体層上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電極と、
を有し、
前記絶縁膜は炭素を主成分とするアモルファス膜を含むものであることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記絶縁膜は、炭素を主成分とするアモルファス膜と、酸化物または窒化物からなる膜との積層膜であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記酸化物または窒化物からなる膜は、酸化アルミニウム膜であることを特徴とする付記2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記炭素を主成分とするアモルファス膜の膜厚は、前記前記酸化物または窒化物からなる膜の膜厚以上であることを特徴とする付記2または3に記載の半導体装置。
(付記5)
前記炭素を主成分とするアモルファス膜の膜厚は、10nm以上であることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の半導体装置。
(付記6)
前記炭素を主成分とするアモルファス膜における炭素間結合の比率は、sp2≦sp3であることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の半導体装置。
(付記7)
前記炭素を主成分とするアモルファス膜における膜密度は、2.6g/cm以上、3.56g/cm以下であることを特徴とする付記1から6のいずれかに記載の半導体装置。
(付記8)
前記炭素を主成分とするアモルファス膜は、炭素に起因するプラズモンピークが28eV以上であることを特徴とする付記1から7のいずれかに記載の半導体装置。
(付記9)
前記炭素を主成分とするアモルファス膜は、水素の含有量が1atm%以下であることを特徴とする付記1から8のいずれかに記載の半導体装置。
(付記10)
前記電極はゲート電極であり、
前記半導体層は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の上方に形成された第2の半導体層とを含むものであって、
前記第1の半導体層または第2の半導体層に接して形成されたソース電極及びドレイン電極を有することを特徴とする付記1から9のいずれかに記載の半導体装置。
(付記11)
前記電極はゲート電極であり、
前記半導体層は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の上方に形成された第2の半導体層とを含むものであって、
前記第1の半導体層または第2の半導体層に接して形成されたソース電極及びドレイン電極を有し、
前記第2の半導体層には開口部が形成され、前記絶縁膜は前記開口部の内部表面に形成されており、
前記ゲート電極は前記絶縁膜を介し前記開口部内に形成されていることを特徴とする付記1から9のいずれかに記載の半導体装置。
(付記12)
前記第1の半導体層は、GaNを含むものであることを特徴とする付記10または11に記載の半導体装置。
(付記13)
前記第2の半導体層は、AlGaNを含むものであることを特徴とする付記10から12のいずれかに記載の半導体装置。
(付記14)
付記1から13のいずれかに記載の半導体装置を有することを特徴とする電源装置。
(付記15)
付記1から13のいずれかに記載の半導体装置を有することを特徴とする増幅器。
(付記16)
基板の上方に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に炭素を主成分とするアモルファス膜を含む絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記絶縁膜を形成する工程は、炭素を主成分とするアモルファス膜を形成する工程と、酸化物または窒化物からなる膜を形成する工程とを含むものであることを特徴とする付記16に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記電極はゲート電極であり、
前記半導体層を形成する工程は、第1の半導体層を形成する工程と、前記第1の半導体層の上方に第2の半導体層を形成する工程を含み、
前記第1の半導体層または前記第2の半導体層に接してソース電極及びドレイン電極を形成する工程を有することを特徴とする付記16または17に記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記電極はゲート電極であり、
前記半導体層を形成する工程は、第1の半導体層を形成する工程と、前記第1の半導体層の上方に第2の半導体層を形成する工程を含み、
前記第1の半導体層または前記第2の半導体層に接してソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
前記第2の半導体層に開口部を形成する工程と、
を有し、
前記絶縁膜を形成する工程は、前記第2の半導体層の上方及び前記開口部の内部表面に前記絶縁膜を形成するものであって、
前記電極を形成する工程は、前記絶縁膜を介し前記開口部内にゲート電極を形成するものであることを特徴とする付記16または17に記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
前記炭素を主成分とするアモルファス膜は、アーク蒸着法により形成されるものであることを特徴とする付記16から19のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0077】
10 基板
20 バッファ層
21 電子走行層(第1の半導体層)
21a 2DEG
22 電子供給層(第2の半導体層)
23 キャップ層(第3の半導体層)
30 絶縁膜
41 ゲート電極
42 ソース電極
43 ドレイン電極
50 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に形成された半導体層と、
前記半導体層上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電極と、
を有し、
前記絶縁膜は炭素を主成分とするアモルファス膜を含むものであることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁膜は、炭素を主成分とするアモルファス膜と、酸化物または窒化物からなる膜との積層膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記炭素を主成分とするアモルファス膜は、炭素に起因するプラズモンピークが28eV以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電極はゲート電極であり、
前記半導体層は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の上方に形成された第2の半導体層とを含むものであって、
前記第1の半導体層または第2の半導体層に接して形成されたソース電極及びドレイン電極を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電極はゲート電極であり、
前記半導体層は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の上方に形成された第2の半導体層とを含むものであって、
前記第1の半導体層または第2の半導体層に接して形成されたソース電極及びドレイン電極を有し、
前記第2の半導体層には開口部が形成され、前記絶縁膜は前記開口部の内部表面に形成されており、
前記ゲート電極は前記絶縁膜を介し前記開口部内に形成されていることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の半導体装置を有することを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の半導体装置を有することを特徴とする増幅器。
【請求項8】
基板の上方に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に炭素を主成分とするアモルファス膜を含む絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁膜を形成する工程は、炭素を主成分とするアモルファス膜を形成する工程と、酸化物または窒化物からなる膜を形成する工程とを含むものであることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記炭素を主成分とするアモルファス膜は、アーク蒸着法により形成されるものであることを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−169544(P2012−169544A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31108(P2011−31108)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】