説明

半導体装置の製造方法

【課題】ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅を充分に確保する。
【解決手段】半導体基板10の上に、エッチングストッパー膜17、第1の層間絶縁膜18及び第2の層間絶縁膜19を順次形成する。次に、第1,第2の層間絶縁膜18,19を貫通し、且つ、エッチングストッパー膜17を露出する第1のホール23を形成する。次に、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマ処理により、第2の層間絶縁膜19における第1のホール23の側壁に露出する部分を変質して、第1の変質層25を形成する。次に、第1の変質層25を除去して、第2のホール27を形成する。次に、エッチングストッパー膜17における第2のホール27に露出する部分を除去して、第1のコンタクトホール29を形成する。次に、第1のコンタクトホール29に、第1のコンタクトプラグ32Aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、ゲート電極及びソース・ドレイン領域と接続するコンタクトプラグを有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VLSIの集積度の向上に伴い、微細加工技術に対する要求は、益々厳しくなってきている。例えば、リソグラフィにより、レジストに開口部を形成し、開口部が形成されたレジストパターンをマスクとして、エッチングにより、コンタクトホールを形成する場合、コンタクトホールの底面の底面幅を、レジストパターンの開口部の開口幅よりも小さくすることが要求されている。
【0003】
そこで、コンタクトホールの底面の底面幅を、レジストパターンの開口部の開口幅よりも小さくする技術として、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の技術では、多層レジストプロセスにより、コンタクトホールを形成する。
【0004】
以下に、従来の半導体装置の製造方法について、図10(a) 〜(c) 及び図11(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図10(a) 〜図11(b) は、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【0005】
まず、図10(a) に示すように、半導体基板100の上部に、素子分離領域101を形成する。これにより、半導体基板100に、素子分離領域101に囲まれた活性領域100a,100bを形成する。その後、活性領域100a,100bの上に、ゲート絶縁膜102a,102b及びゲート電極103a,103bを順次形成する。その後、ゲート電極103a,103bの側面の上に、内側サイドウォール104a,104b及び外側サイドウォール105a,105bを有するサイドウォール105A,105Bを形成する。その後、活性領域100a,100bにおけるサイドウォール105A,105Bの外側方下に、ソース・ドレイン領域106a,106bを形成する。
【0006】
次に、図10(b) に示すように、半導体基板100上の全面に、エッチングストッパー膜107を形成する。その後、エッチングストッパー膜107の上に、層間絶縁膜108を形成する。
【0007】
次に、図10(c) に示すように、層間絶縁膜108の上に、下層レジスト109A、中間層レジスト109B及び上層レジストを形成する。その後、リソグラフィにより、上層レジストに、第1の開口部110及び第2の開口部111を形成する。これにより、第1,第2の開口部110,111が形成された上層レジストパターン109cを形成する。このようにして、層間絶縁膜108の上に、下層レジスト109A、中間層レジスト109B及び上層レジストパターン109cが順次積層されてなる多層構造のレジストパターン109を形成する。
【0008】
次に、図11(a) に示すように、上層レジストパターン109cをマスクとして、中間層レジスト109B、下層レジスト109A及び層間絶縁膜108に対して、エッチングを順次行う。これにより、層間絶縁膜108を貫通し、且つ、エッチングストッパー膜107を露出する第1,第2のホールを形成する。
【0009】
その後、アッシング処理又は洗浄処理により、下層レジスト109Aを除去する。
【0010】
その後、エッチングにより、第1,第2のホールに露出するエッチングストッパー膜107を除去する。これにより、層間絶縁膜108及びエッチングストッパー膜107を貫通し、且つ、ゲート電極103aの上面及びソース・ドレイン領域106aの表面を露出する第1のコンタクトホール112を形成する。それと共に、層間絶縁膜108及びエッチングストッパー膜107を貫通し、且つ、ソース・ドレイン領域106bの表面を露出する第2のコンタクトホール113を形成する。
【0011】
次に、図11(b) に示すように、第1,第2のコンタクトホール112,113内に、バリアメタル膜114a,114bを介して、金属膜115a,115bが埋め込まれてなる第1,第2のコンタクトプラグ115A,115Bを形成する。
【0012】
以上のようにして、従来の半導体装置を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−76555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の半導体装置では、以下に示す問題がある。この問題について、図12及び図13を参照しながら説明する。図12及び図13は、従来の半導体装置の構成を示す図である。図12及び図13の各々において、上側に、平面図を示し、下側に、断面図を示す。ここで、便宜上、平面図は矩形で示しているが、実際にはパターンのコーナー部は加工により丸みを帯びている。具体的には、図12及び図13に示す断面図は、それぞれ、平面図に示すXII-XII線及びXIII-XIII線のそれぞれにおける断面図である。なお、図12〜図13において、ゲート電極及び第1,第2のコンタクトプラグ等は、その配置関係(特にゲート電極と第1のコンタクトプラグの重なりや、ゲート電極と第2のコンタクトプラグの離間している位置関係)を示すためのものであり、各々の寸法や大小関係等は、実際と異なる。また、便宜上、図12において、第1のコンタクトプラグの平面形状を、左端の幅と右端の幅とが同一の矩形状で示しているが、第1のコンタクトプラグの断面形状はテーパー形状のため、厳密には、左端の幅と右端の幅とは異なる。同様に、図13において、第1のコンタクトプラグの平面形状を、左端の幅と右端の幅とが同一の矩形状で示しているが、第1のコンタクトプラグの断面形状はテーパー形状のため、厳密には、左端の幅と右端の幅とは異なる。
【0015】
例えば45nm以細のデザインルールの場合、第2のコンタクトプラグの底面の底面幅(図12,13:Y参照)は、例えば60nmであることが望ましい。底面幅は、ゲート長方向の幅である。第1のコンタクトプラグの仮想幅(図13:Z参照)は、例えば70nmであることが望ましい。仮想幅は、ゲート幅方向の幅である。
【0016】
ゲート長方向のリソグラフィの解像限界は、80nmである。このため、第2のコンタクトプラグの底面の底面幅を、所望の幅、即ち、60nmにするには、図11(a) に示す工程において、第2のコンタクトホール113の形状を、テーパー形状とし、第2のコンタクトホール113の底面の底面幅を、80nmから20nmだけ縮小して60nmにする必要がある。
【0017】
そこで、仮に、エッチング条件を、第2のコンタクトホールの底面の底面幅を、20nmだけ縮小するエッチング条件とし、エッチングにより、第1,第2のコンタクトホールを形成した場合、第1のコンタクトホールの仮想幅が、第2のコンタクトホールの底面の底面幅と同様に、20nmだけ縮小される。
【0018】
ゲート幅方向のリソグラフィの解像限界は、85nmである。このため、第1のコンタクトホールの仮想幅が、85nmから20nmだけ縮小されて65nmになり、所望の幅、即ち、70nmにすることができない。
【0019】
このため、接触幅(図12,図13:X参照)が小さくなり、充分な接触幅を確保することができず、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとの接触不良を招く。接触幅は、ゲート電極200a,200bと第1のコンタクトプラグ201a,201bとが接触するゲート幅方向の幅である。
【0020】
このように、半導体装置の微細化に伴い、第2のコンタクトホールの底面の底面幅を、比較的小さい幅にすることが求められる一方、半導体装置が微細化されることがあっても、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅を、充分な幅にすることが求められる。ここで、「充分な幅」とは、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとの接触不良を招かない幅をいう。
【0021】
従来では、上述の通り、第2のコンタクトホールの底面の底面幅を、所望の幅(比較的小さい幅)にした場合、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅を、所望の幅(充分な幅)にすることができない。その反対に、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅を、所望の幅(充分な幅)にした場合、第2のコンタクトホールの底面の底面幅を、所望の幅(比較的小さい幅)にすることができない。
【0022】
なお、第1のコンタクトプラグの仮想幅を、65nmから70nm(即ち、所望の幅)に拡げる為に、図10(c) に示す工程において、第1の開口部110のゲート幅方向の開口幅を、85nm(リソグラフィの解像限界)から90nmに拡げる手段が考えられる。しかしながら、第1の開口部のゲート幅方向の開口幅を拡げると、ゲート幅方向に隣り合う第1の開口部同士が接触する虞がある。例えば、図12及び図13に示すように、第1のコンタクトプラグ201bと対応する第1の開口部と、第1のコンタクトプラグ201aと対応する第1の開口部とが接触する虞がある。
【0023】
前記に鑑み、本発明の目的は、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅を充分に確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板における活性領域の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する工程(a)と、ゲート電極の側面の上にサイドウォールを形成する工程(b)と、活性領域におけるサイドウォールの外側方下に、ソース・ドレイン領域を形成する工程(c)と、工程(c)よりも後に、半導体基板の上に、エッチングストッパー膜、第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜を順次形成する工程(d)と、第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜を貫通し、且つ、エッチングストッパー膜を露出する第1のホールを形成する工程(e)と、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマ処理により、第2の層間絶縁膜における第1のホールの側壁に露出する部分を変質して、第1の変質層を形成する工程(f)と、第1の変質層を除去して、第2のホールを形成する工程(g)と、エッチングストッパー膜における第2のホールに露出する部分を除去して、第1のコンタクトホールを形成する工程(h)と、第1のコンタクトホールに、第1のコンタクトプラグを形成する工程(i)とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマ処理により、第2の層間絶縁膜における第1のホールの側壁に露出する部分を変質して、第1の変質層を形成した後、第1の変質層を除去して、第2のホールを形成する。これにより、第2のホールにおける第2の層間絶縁膜に形成された部分の開口幅(以下、「上側開口幅」という)を、第1のホールにおける第2の層間絶縁膜に形成された部分の開口幅(以下、「上側開口幅」という)よりも、第1の変質層の変質深さの2倍分だけ大きくすることができる。このため、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅を、充分に確保することができるので、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとの接触不良を抑制することができる。
【0026】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(e)は、第2の層間絶縁膜の上に、第1の開口部を有するレジストパターンを形成する工程(e1)と、エッチングにより、レジストパターンをマスクとして、第1の開口部と対応する第1のホールを形成する工程(e2)とを含み、工程(f)は、プラズマ処理により、レジストパターンを除去する工程を含むことが好ましい。
【0027】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(g)において、フッ化水素酸液を用いた洗浄処理により、第1の変質層を除去することが好ましい。
【0028】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第1のコンタクトホールは、ゲート電極の上面及びソース・ドレイン領域の表面を露出するコンタクトホールであり、第1のコンタクトプラグは、ゲート電極及びソース・ドレイン領域と接続するシェアードコンタクトであることが好ましい。
【0029】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(e)は、第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜を貫通し、且つ、エッチングストッパー膜を露出する第3のホールを形成する工程を含み、工程(f)は、プラズマ処理により、第2の層間絶縁膜における第3のホールの側壁に露出する部分を変質して、第2の変質層を形成する工程を含み、工程(g)は、第2の変質層を除去して、第4のホールを形成する工程を含み、工程(h)は、エッチングストッパー膜における第4のホールに露出する部分を除去して、第2のコンタクトホールを形成する工程を含み、工程(i)は、第2のコンタクトホールに、第2のコンタクトプラグを形成する工程を含み、第2のコンタクトホールは、ソース・ドレイン領域の表面を露出するコンタクトホールであり、第2のコンタクトプラグは、ソース・ドレイン領域と接続するノーマルコンタクトであることが好ましい。
【0030】
このようにすると、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマ処理により、第2の層間絶縁膜における第3のホールの側壁に露出する部分のみを変質して、第2の変質層を形成した後、第2の変質層を除去して、第4のホールを形成する。これにより、第4のホールにおける第2の層間絶縁膜に形成された部分の開口幅(以下、「上側開口幅」という)のみを、第3のホールにおける第2の層間絶縁膜に形成された部分の開口幅(以下、「上側開口幅」という)よりも大きくする一方、第4のホールにおける第1の層間絶縁膜に形成された部分の開口幅(以下、「下側開口幅」という)を、第3のホールにおける第1の層間絶縁膜に形成された部分の開口幅(以下、「下側開口幅」という)と同じにすることができ、第4のホールの下側開口幅が、第3のホールの下側開口幅よりも大きくなることはない。このため、第2のコンタクトプラグの底面の底面幅を、所望の幅(比較的小さい幅)にすることができる。
【0031】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(e)は、第2の層間絶縁膜の上に、第1の開口部及び第2の開口部を有するレジストパターンを形成する工程(e1)と、エッチングにより、レジストパターンをマスクとして、第1の開口部と対応する第1のホール、及び第2の開口部と対応する第3のホールを形成する工程(e2)とを含み、工程(f)は、プラズマ処理により、レジストパターンを除去する工程を含み、第2のコンタクトホールの底面の底面幅は、第2の開口部の開口幅よりも小さいことが好ましい。
【0032】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第2の層間絶縁膜の比誘電率は、第1の層間絶縁膜の比誘電率よりも低いことが好ましい。
【0033】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第2の層間絶縁膜は、比誘電率が2.5以上で且つ3.5以下の低誘電率膜であることが好ましい。
【0034】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第2の層間絶縁膜は、比誘電率が2.2以上で且つ2.8以下の多孔質低誘電率膜であることが好ましい。
【0035】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第1の層間絶縁膜の膜厚は、ゲート絶縁膜の膜厚とゲート電極の膜厚とを合計した合計膜厚と同じ、又は合計膜厚よりも小さく、工程(d)において、第2の層間絶縁膜を、エッチングストッパー膜におけるゲート電極の上に形成された部分と接して形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマ処理により、第2の層間絶縁膜における第1のホールの側壁に露出する部分を変質して、第1の変質層を形成した後、第1の変質層を除去して、第2のホールを形成する。これにより、第2のホールの上側開口幅を、第1のホールの上側開口幅よりも、第1の変質層の変質深さの2倍分だけ大きくすることができる。このため、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅を、充分に確保することができるので、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとの接触不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【図2】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【図3】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【図4】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【図5】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態のその他の例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【図6】SiOC膜及び多孔質SiOC膜の脱離ガスの強度を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す図であり、上側に示す図は、平面図であり、下側に示す図は、該平面図に示すVII-VII線における断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す図であり、上側に示す図は、平面図であり、下側に示す図は、該平面図に示すVIII-VIII線における断面図である。
【図9】本発明の一実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図10】(a) 〜(c) は、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【図11】(a) 〜(b) は、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【図12】従来の半導体装置の構成を示す図であり、上側に示す図は、平面図であり、下側に示す図は、該平面図に示すXII-XII線における断面図である。
【図13】従来の半導体装置の構成を示す図であり、上側に示す図は、平面図であり、下側に示す図は、該平面図に示すXIII-XIII線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図1(a) 〜(b) 、図2(a) 〜(b) 、図3(a) 〜(b) 及び図4(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図1(a) 〜図4(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。
【0039】
まず、図1(a) に示すように、半導体基板10の上部に、素子分離領域11を形成する。これにより、半導体基板10に、素子分離領域11に囲まれた活性領域10a,10bを形成する。
【0040】
次に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、半導体基板10上の全面に、ゲート絶縁膜用膜を形成する。又は例えばISSG(In-Situ Steam Generation)酸化法により、活性領域10a,10bの上に、ゲート絶縁膜用膜を形成する。その後、ゲート絶縁膜用膜の上に、例えばポリシリコンからなるゲート電極用膜を形成する。その後、ゲート電極用膜の上に、レジストパターンを形成した後、レジストパターンをマスクとして、ゲート電極用膜及びゲート絶縁膜用膜を順次パターニングする。これにより、活性領域10a,10bの上に、ゲート絶縁膜12a,12b及びゲート電極13a,13bを順次形成する。
【0041】
次に、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、内側サイドウォール用膜及び外側サイドウォール用膜を順次形成する。その後、外側サイドウォール用膜及び内側サイドウォール用膜に対して、異方性エッチングを順次行う。これにより、ゲート電極13a,13bの側面の上に、断面形状がL字状の内側サイドウォール14a,14b、及び外側サイドウォール15a,15bを有するサイドウォール15A,15Bを形成する。
【0042】
次に、イオン注入により、ゲート電極13a,13b及びサイドウォール15A,15Bをマスクとして、活性領域10a,10bに、導電型不純物を注入する。これにより、活性領域10a,10bにおけるサイドウォール15A,15Bの外側方下に、ソース・ドレイン領域16a,16bを自己整合的に形成する。
【0043】
次に、図1(b) に示すように、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、例えば窒化シリコン(SiN)からなるエッチングストッパー膜17を形成する。
【0044】
その後、例えばLP(Low Pressure)−CVD法により、例えばテトラエトキソオキソシランを原料として、エッチングストッパー膜17の上に、例えば膜厚が100nmのTEOSからなる第1の層間絶縁膜18を形成する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、第1の層間絶縁膜18を平坦化する。平坦化された第1の層間絶縁膜18は、膜厚が、ゲート絶縁膜12a,12bの膜厚とゲート電極13a,13bの膜厚とを合計した合計膜厚と同じである。このように、エッチングストッパー膜17におけるゲート電極13a,13bの上に形成された部分が露出されるように、第1の層間絶縁膜18を形成する。
【0045】
その後、例えばプラズマCVD法により、例えば直鎖型分子構造を有するトリメチルシラン又はテトラメチルシランを原料として、第1の層間絶縁膜18の上に、例えば膜厚が200nmのSiOCからなる第2の層間絶縁膜19を形成する。SiOC膜は、Sixyzで表される酸化シリコン系の膜であり、低誘電率膜である。SiOC膜は、有機・無機ハイブリッド膜と称される。SiOC膜の比誘電率は、2.5以上で且つ3.5以下であり、TEOS膜の比誘電率(3.9以上で且つ4以下)よりも低い。
【0046】
次に、図2(a) に示すように、第2の層間絶縁膜19の上に、例えば膜厚が200nmの下層レジスト20Aを形成する。下層レジスト20Aの材料としては、例えば、炭素を含み芳香環を有する材料、具体的には例えば、ノボラック系の材料を用いる。
【0047】
その後、下層レジスト20Aの上に、例えば膜厚が70nmの中間層レジスト20Bを形成する。中間層レジスト20Bの材料としては、例えば、シリコンを含む材料、具体的には例えば、シロキサン系の材料を用いる。
【0048】
その後、中間層レジスト20Bの上に、例えば膜厚が150nmの上層レジストを形成する。上層レジストは、例えば、アクリル系ポリマーをベースとした化学増幅型レジストである。
【0049】
次に、リソグラフィにより、上層レジストに、ゲート電極及びソース・ドレイン領域と接続するシェアードコンタクト形成用(以下、SC形成用とする)第1の開口部21、及びソース・ドレイン領域と接続するノーマルコンタクト形成用(以下、CA形成用とする)第2の開口部22を形成する。これにより、SC用第1の開口部21及びCA用第2の開口部22が形成された上層レジストパターン20cを形成する。
【0050】
ここで、図示を省略するが、SC用第1の開口部21は、その平面形状が、長方形状であり、その長辺方向の開口幅(言い換えれば、ゲート長方向の開口幅)W21は、例えば185nmであり、その短辺方向の開口幅(言い換えれば、ゲート幅方向の開口幅)は、例えば85nmである。CA用第2の開口部22は、その平面形状が、正方形状であり、そのゲート長方向の開口幅W22及びゲート幅方向の開口幅は、例えば80nmである。SC用第1,CA用第2の開口部21,22は、便宜上、矩形としているが、実際の加工後は、コーナー部は丸く形成されている。
【0051】
このようにして、第2の層間絶縁膜19の上に、下層レジスト20A、中間層レジスト20B及び上層レジストパターン20cが順次積層されてなる多層構造のレジストパターン20を形成する。
【0052】
次に、図2(b) に示すように、上層レジストパターン20cをマスクとして、中間層レジスト20B、下層レジスト20A、第2の層間絶縁膜19及び第1の層間絶縁膜18に対して、エッチングを順次行う。
【0053】
具体的には、まず、例えば2周波RIE(Reactive Ion Etching)方式のプラズマエッチング装置を用いて、中間層レジスト20Bに対して、次のようなエッチング条件で、エッチングを行う。エッチング条件は、例えば、CF4流量=200ml/min(標準状態)、圧力:10Pa〜15Pa、上部電極のRF電力:1000W〜1200W(13.56MHz)、下部電極のRF電力:500W〜700W(2MHz)、下部温度(基板温度):20℃、エッチング時間:90秒である。
【0054】
次に、下層レジスト20Aに対して、次のようなエッチング条件で、エッチングを行う。エッチング条件は、例えば、CO2/O2/Ar流量=100/50/500ml/min(標準状態)、圧力:2Pa〜4Pa、上部電極のRF電力:1300W〜1500W(13.56MHz)、下部電極のRF電力:500W〜700W(2MHz)、下部温度:20℃、エッチング時間:60秒である。
【0055】
次に、第2の層間絶縁膜19及び第1の層間絶縁膜18に対して、次のようなエッチング条件で、エッチングを行う。エッチング条件は、例えば、C46/O2/Ar流量=25/20/1000ml/min(標準状態)、圧力:4Pa〜6Pa、上部電極のRF電力:1000W〜1200W(13.56MHz)、下部電極のRF電力:1800W〜2000W(2MHz)、下部温度:20℃、エッチング時間:90秒である。
【0056】
これにより、図2(b) に示すように、下層レジスト20A、第2の層間絶縁膜19及び第1の層間絶縁膜18を貫通し、且つ、エッチングストッパー膜17を露出するSC用第1のホール23及びCA用第3のホール24を形成する。
【0057】
次に、図3(a) に示すように、例えば酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマアッシング処理により、下層レジスト20Aを除去する。
【0058】
具体的には、例えば平行平板電極が搭載されたRIE方式のプラズマアッシング装置を用いて、下層レジスト20Aに対して、次のようなプラズマアッシング条件で、プラズマアッシングを行う。プラズマアッシング条件は、例えば、O2流量=300ml/min(標準状態)、酸素ガス圧力:30Pa〜35Pa、被処理基板が載置された下部電極の印加電力:300W〜400W、アッシング時間:30秒である。
【0059】
このとき、酸素ガスを含むプラズマにより、第2の層間絶縁膜19における、SC用第1,CA用第3のホール23,24の側壁に露出する部分を変質させて、第1,第2の変質層25,26を形成する。第1の変質層25の変質深さD25は、第2の変質層26の変質深さD26の例えば約2倍程度である(D25=D26×2)。第1,第2の変質層25,26は、酸素ガスを含むプラズマにより、第2の層間絶縁膜19に衝撃を与えることによって生成された欠陥生成層であると推定される。
【0060】
ここで、第2の層間絶縁膜19が変質して第1,第2の変質層25,26が形成される一方、第1の層間絶縁膜18は殆ど変質せずに変質層が形成されないのは、次のような理由によるものと考えられる。第1の層間絶縁膜18(TEOS膜)と第2の層間絶縁膜19(SiOC膜)とは、膜質が互いに異なるため、変質度合が互いに異なる。具体的には、第2の層間絶縁膜19(SiOC膜)の変質度合は、第1の層間絶縁膜18(TEOS膜)の変質度合よりも大きい。このため、図2(a) に示すように、第2の層間絶縁膜19が変質して第1,第2の変質層25,26が形成される一方、第1の層間絶縁膜18は殆ど変質せずに変質層が形成されない。
【0061】
またここで、第1の変質層25の変質深さD25が、第2の変質層26の変質深さD26よりも深くなるのは、次のような理由によるものと考えられる。SC用第1のホール23の開口面積は、CA用第3のホール24の開口面積よりも大きいため、SC用第1のホール23は、CA用第3のホール24に比べて、酸素ガスを含むプラズマが入り込み易い。このため、SC用第1のホール23に入り込むプラズマの量は、CA用第3のホール24に入り込むプラズマの量よりも多いため、第1の変質層25の変質深さD25が、第2の変質層26の変質深さD26よりも深くなる。
【0062】
次に、図3(b) に示すように、例えば希釈フッ化水素酸(HF)液を用いた洗浄処理により、第1,第2の変質層25,26を除去する。第1,第2の変質層25,26のエッチング速度は、第2の層間絶縁膜19、第1の層間絶縁膜18及びエッチングストッパー膜17のエッチング速度よりも速いため、第1,第2の変質層25,26を選択的に除去することができる。これにより、SC用第2のホール27及びCA用第4のホール28を形成する。
【0063】
SC用第2のホール27の上側開口幅(図3(b):W27x参照)は、SC用第1のホール23の上側開口幅(図2(b):W23x参照)よりも、第1の変質層25の変質深さD25の2倍分だけ大きくなる(W27x>W23x)。同様に、CA用第4のホール28の上側開口幅(図3(b):W28x参照)は、CA用第3のホール24の上側開口幅(図2(b):W24x参照)よりも、第2の変質層26の変質深さD26の2倍分だけ大きくなる(W28x>W24x)。ここで、「上側開口幅」とは、SC用第1,SC用第2,CA用第3,CA用第4のホール23,27,24,28における、第2の層間絶縁膜19に形成された部分の開口幅をいう。
【0064】
一方、SC用第2のホール27の下側開口幅(図3(b):W27y参照)は、SC用第1のホール23の下側開口幅(図2(b):W23y参照)と同じである(W27y=W23y)。同様に、CA用第4のホール28の下側開口幅(図3(b):W28y参照)は、CA用第3のホール24の下側開口幅(図2(b):W24y参照)と同じである(W28y=W24y)。ここで、「下側開口幅」とは、SC用第1,SC用第2,CA用第3,CA用第4のホール23,27,24,28における、第1の層間絶縁膜18に形成された部分の開口幅をいう。
【0065】
次に、図4(a) に示すように、例えばエッチングにより、エッチングストッパー膜17におけるSC用第2,CA用第4のホール27,28に露出する部分を除去する。
【0066】
具体的には、例えば2周波RIE方式のプラズマエッチング装置を用いて、エッチングストッパー膜17に対して、次のようなエッチング条件で、エッチングを行う。エッチング条件は、例えば、CF4/CHF3/Ar流量=50/150/1000ml/min(標準状態)、圧力:5Pa〜7Pa、上部電極のRF電力:500W〜700W(13.56MHz)、下部電極のRF電力:300W〜500W(13.56MHz)、下部温度:30℃、エッチング時間:20秒である。
【0067】
これにより、ゲート電極13aの上面及びソース・ドレイン領域16aの表面を露出するSC用第1のコンタクトホール29を形成する。それと共に、ソース・ドレイン領域16bの表面を露出するCA用第2のコンタクトホール30を形成する。
【0068】
第2のコンタクトホール30の底面幅Yは、上層レジストパターン(図2(a):20c参照)に形成されたCA用第2の開口部(図2(a):22参照)の開口幅(図2(a):W22参照)よりも小さい。
【0069】
その後、アッシング処理又は洗浄処理により、SC用第1,CA用第2のコンタクトホール29,30に残存するポリマー(図示省略)を除去する。
【0070】
次に、図4(b) に示すように、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD法又はALD(Atomic Layer Deposition)法により、SC用第1,CA用第2のコンタクトホール29,30の底面及び側壁の上、並びに第2の層間絶縁膜19の上に、例えばチタン(Ti)/窒化チタン(TiN)からなるバリアメタル膜を形成する。バリアメタル膜におけるSC用第1,CA用第2のコンタクトホール29,30の側壁の上に形成された部分の膜厚は、例えば1nm〜5nm程度である。バリアメタル膜におけるSC用第1,CA用第2のコンタクトホール29,30の底面の上に形成された部分の膜厚は、例えば1nm〜10nm程度である。
【0071】
その後、例えばCVD法又はALD法により、バリアメタル膜の上に、SC用第1,CA用第2のコンタクトホール29,30内を埋め込むように、例えばタングステン(W)からなる金属膜を形成する。
【0072】
その後、例えばCMP法により、金属膜及びバリアメタル膜におけるSC用第1,CA用第2のコンタクトホール29,30外に形成された部分を除去する。これにより、SC用第1,CA用第2のコンタクトホール29,30内に、バリアメタル膜31a,31bを介して、金属膜32a,32bが埋め込まれてなる第1,第2のコンタクトプラグ32A,32Bを形成する。
【0073】
第1のコンタクトプラグ32Aは、ゲート電極13a及びソース・ドレイン領域16aと接続するシェアードコンタクト(SC)である。第2のコンタクトプラグ32Bは、ソース・ドレイン領域16bと接続するノーマルコンタクト(CA)である。
【0074】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0075】
本実施形態によると、図3(a) に示すように、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマアッシング処理により、第2の層間絶縁膜19におけるSC用第1のホール23の側壁に露出する部分を変質して、第1の変質層25を形成した後、図3(b) に示すように、第1の変質層25を除去して、SC用第2のホール27を形成する。これにより、SC用第2のホール27の上側開口幅(図3(b):W27x参照)を、SC用第1のホール23の上側開口幅(図2(b):W23x参照)よりも、第1の変質層25の変質深さD25の2倍分だけ大きくすることができる。このため、図4(a) に示すように、ゲート電極13aと第1のコンタクトプラグ32Aとが接触する接触幅を、所望の幅(充分な幅)にし、接触幅を充分に確保することができるので、ゲート電極13aと第1のコンタクトプラグ32Aとの接触不良を抑制することができる。
【0076】
さらに、図3(a) に示すように、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマアッシング処理により、第2の層間絶縁膜19におけるCA用第3のホール24の側壁に露出する部分のみを変質して、第2の変質層26を形成した後、図3(b) に示すように、第2の変質層26を除去して、CA用第4のホール28を形成する。これにより、CA用第4のホール28の上側開口幅(図3(b):W28x参照)のみを、CA用第3のホール24の上側開口幅(図2(b):W24x参照)よりも大きくする一方、CA用第4のホール28の下側開口幅(図3(b):W28y参照)を、CA用第3のホール24の下側開口幅(図2(b):W24y参照)と同じにすることができ、CA用第4のホール28の下側開口幅が、CA用第3のホール24の下側開口幅よりも大きくなることはない。このため、図4(a) に示すように、第2のコンタクトプラグ32Bの底面の底面幅Yを、所望の幅(比較的小さい幅)にすることができる。
【0077】
従って、ゲート電極13aと第1のコンタクトプラグ32Aとが接触する接触幅を充分に確保すると共に、第2のコンタクトプラグ32Bの底面の底面幅Yを所望の幅にすることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、図3(a) に示すように、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマアッシング処理により、下層レジスト20Aを除去し、この際に、第1,第2の変質層25,26を形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、酸素ガスを含むプラズマを用いたドライエッチングにより、SC用第1,CA用第3のホールを形成し、この際に、第1,第2の変質層を形成してもよい。即ち、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマ処理により、第1,第2の変質層を形成すればよい。
【0079】
また、本実施形態では、第1の層間絶縁膜18の膜厚が、ゲート絶縁膜12a,12bの膜厚とゲート電極13a,13bの膜厚とを合計した合計膜厚と同じ場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の層間絶縁膜の膜厚が、合計膜厚よりも小さい場合でもよい。
【0080】
このように、第1の層間絶縁膜の膜厚を、合計膜厚と同じ、又は合計膜厚よりも小さくすることが好ましい。即ち、エッチングストッパー膜におけるゲート電極の上に形成された部分が露出されるように、第1の層間絶縁膜を形成し、第2の層間絶縁膜を、該部分と接して形成することが好ましい。
【0081】
その他に例えば、第1の層間絶縁膜の膜厚が、合計膜厚よりも大きい場合でもよい。但し、この場合、本実施形態における図1(a) 〜(b) 、図2(a) 〜(b) 及び図3(a) 〜(b) に示す工程と同様の工程を順次行い、図5(a) に示す構成を得た後、図5(b) に示すように、エッチングにより、SC用第2,CA用第4のホール27,28に露出する第1の層間絶縁膜18及びエッチングストッパー膜17を除去して、SC用第1,CA用第2のコンタクトホール29,30を形成する。その後、本実施形態における図4(b) に示す工程と同様の工程を行う。
【0082】
また、本実施形態では、レジストパターンとして、下層レジスト20A、中間層レジスト20B及び上層レジストパターン20cが順次積層されてなる積層構造のレジストパターン20を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、単層構造のレジストパターンを用いてもよい。
【0083】
<一実施形態の変形例>
以下に、本発明の一実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法について説明する。本変形例では、一実施形態と相違する点について主に説明し、一実施形態と共通する点については説明を適宜省略する。
【0084】
本変形例と一実施形態との相違点は、以下に示す点である。
【0085】
一実施形態では、第2の層間絶縁膜19として、比誘電率が、例えば2.5以上で且つ3.5以下のSiOCからなる低誘電率膜を用いる。低誘電率膜は、微視的に見て、概ね一様な原子密度の分布を持つ。
【0086】
これに対し、本変形例では、第2の層間絶縁膜として、比誘電率が、例えば2.2以上で且つ2.8以下のSiOCからなる多孔質低誘電率膜を用いる。ここで、多孔質低誘電率膜とは、膜中に複数の空孔を含む膜をいう。
【0087】
SiOCからなる多孔質低誘電率膜は、次のようにして形成される。まず、トリメチルシラン又はテトラメチルシランと、ポロジェンとを混在させた材料を原料として、プラズマCVD法により、ポロジェンからなる複数の粒子を含むSiOC膜を形成する。ポロジェンは、例えば、Si−O結合を含み環状分子構造を持つ有機化合物、具体的には例えば、環状型シロキサンである。その後、例えば、紫外線照射により、SiOC膜に含まれる複数の粒子を脱離させて、複数の空孔を含むSiOCからなる多孔質低誘電率膜を形成する。多孔質低誘電率膜は、膜中に比誘電率が真空に近い空孔を複数含むため、その比誘電率は、低誘電率膜の比誘電率よりも低い。
【0088】
このように、本変形例では、第2の層間絶縁膜として、多孔質低誘電率膜を用いる点以外は、一実施形態と同様である。
【0089】
ここで、低誘電率膜と多孔質低誘電率膜との変質度合の差異について、以下に説明する。
【0090】
多孔質低誘電率膜の変質度合は、低誘電率膜の変質度合よりも大きい。これは、次のような理由によるものと考えられる。多孔質低誘電率膜は、複数の空孔を含むため、SC用第1,CA用第3のホール(図2(b):23,24参照)の側壁には、空孔が曝露されている。このため、酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマ処理時に、曝露された空孔に、プラズマが入り込む。このため、多孔質低誘電率膜に入り込むプラズマの量は、低誘電率膜に入り込むプラズマの量よりも多いため、多孔質低誘電率膜の変質度合は、低誘電率膜の変質度合よりも大きい。
【0091】
SiOCからなる多孔質低誘電率膜(以下、「多孔質SiOC膜」という)を変質させることができるのは、次のような理由によるものと考えられる。酸素ガスを含むプラズマにより、多孔質SiOC膜に衝撃を与えることによって、トリメチルシラン又はテトラメチルシランを起源とするSi−CH3結合、及びポロジェンを起源とするSi−O結合を切断する。このように、多孔質SiOC膜に、分子構造的なダメージを与えて、ダメージを受けた部分を変質させる。
【0092】
低誘電率膜と多孔質低誘電率膜との変質度合の差異は、以下のような結果からも示唆される。低誘電率膜と多孔質低誘電率膜との変質度合の差異について、図6を参照しながら説明する。図6は、SiOC膜及び多孔質SiOC膜の脱離ガスの強度を示すグラフである。
【0093】
図6において、縦軸は、脱離ガスの強度を示す。脱離ガスの強度は、昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy:法)により得た。具体的には、真空中で、試料(具体的には、SiOC膜及び多孔質SiOC膜)にランプ光を照射し、光吸収により試料が昇温した際に、試料から脱離する脱離ガスの成分を質量分析計で検出し、検出された結果から脱離ガスの強度を得た。
【0094】
図6に示すように、多孔質SiOC膜の脱離ガスの強度は、SiOC膜の脱離ガスの強度よりも大きい。具体的には例えば、多孔質SiOC膜の脱離ガスの強度は、SiOC膜の脱離ガスの強度の約2倍である。
【0095】
図6の結果から判るように、多孔質SiOC膜から脱離する脱離ガスの量は、SiOC膜から脱離する脱離ガスの量よりも多く、多孔質SiOC膜の吸湿性は、SiOC膜の吸湿性よりも高い。このため、多孔質SiOC膜は、SiOC膜よりも、ダメージを受け易く、多孔質SiOC膜が変質してなる変質層の変質深さは、SiOC膜が変質してなる変質層の変質深さよりも深い。具体的には例えば、図6の結果から、多孔質SiOC膜が変質してなる変質層の変質深さは、SiOC膜が変質してなる変質層の変質深さの約2倍であることが推定される。
【0096】
本変形例によると、第2の層間絶縁膜として、多孔質低誘電率膜を用いるため、酸素を含むプラズマを用いたプラズマ処理時に、第2の層間絶縁膜が変質してなる第1,第2の変質層の変質深さを、深くすることができる。
【0097】
−接触幅の比較−
以下に、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅について、図7〜図9を参照しながら説明する。図7及び図8は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。図9は、本発明の一実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。図7及び図8の各々において、上側に、平面図を示し、下側に、断面図を示す。具体的には、図7及び図8に示す断面図は、それぞれ、平面図に示すVII-VII線及びVIII-VIII線のそれぞれにおける断面図である。なお、図7及び図8に示す平面図、並びに図9において、簡略的に図示する為に、ゲート電極、第1,第2のコンタクトプラグのみを図示する。また、第1,第2のコンタクトプラグは、その平面形状が、実際には、角部が丸みを帯びた形状になるが、簡略的に図示する為に、その平面形状を、矩形状として図示する。また、図7〜図9において、ゲート電極及び第1,第2のコンタクトプラグ等は、その配置関係(特にゲート電極と第1のコンタクトプラグの重なりや、ゲート電極と第2のコンタクトプラグの離間している位置関係)を示すためのものであり、各々の寸法や大小関係等は、実際と異なる。また、簡略的に図示する為に、図7において、第1のコンタクトプラグの平面形状を、左端の幅と右端の幅とが同一の矩形状で図示しているが、第1のコンタクトプラグの断面形状はテーパー形状のため、厳密には、左端の幅と右端の幅とは異なる。同様に、図8〜図9において、第1のコンタクトプラグの平面形状を、左端の幅と右端の幅とが同一の矩形状で図示しているが、第1のコンタクトプラグの断面形状はテーパー形状のため、厳密には、左端の幅と右端の幅とは異なる。
【0098】
例えば45nm以細のデザインルールの場合、接触幅は、15nm以上であることが望ましい。
【0099】
しかしながら、前述の図12及び図13に示すように、従来の場合、接触幅Xは、14nm程度であり、充分な幅を確保することができない。
【0100】
これに対し、図7及び図8に示すように、一実施形態の場合、X線小角散乱(SAXS:Small Angle X-Ray Scattering)測定により、接触幅Xは、16nm程度であり、充分な幅を確保することができる。一実施形態の場合、従来に比べて、2nm程度だけ、接触幅を大きくすることができる。ここで、「SAXS」測定とは、試料にX線を照射し、散乱するX線のうち、散乱角が小さいX線を測定することにより、試料の構造情報が得られる測定である。接触幅Xは、ゲート電極50a,50bと第1のコンタクトプラグ51a,51bとが接触するゲート幅方向の幅である。
【0101】
図9に示すように、変形例の場合、SAXS測定により、接触幅Xは、20nm程度であり、充分な幅を確保することができる。変形例の場合、従来に比べて、6nm程度だけ、接触幅を大きくすることができる。接触幅Xは、ゲート電極50a,50bと第1のコンタクトプラグ61a,61bとが接触するゲート幅方向の幅である。
【0102】
従って、必要とされる接触幅に応じて、第2の層間絶縁膜として、低誘電率膜又は多孔質低誘電率膜を選択して用いることにより、接触幅を所望の幅にすることができる。
【0103】
また、図7及び図8に示すように、底面幅Yは、例えば60nmである。同様に、図9に示すように、底面幅Yは、例えば60nmである。底面幅Yは、第2のコンタクトプラグ52a,52b,62a,62bの底面のゲート長方向の幅である。
【0104】
図7及び図8に示す接触幅X(X=16nm)と、図9に示す接触幅X(X=20nm)とは、互いに異なるものの、図7及び図8に示す底面幅Y(Y=60nm)と、図9に示す底面幅Y(Y=60nm)とは、互いに同じである。このように、第2の層間絶縁膜として、多孔質低誘電率膜を用いた場合、低誘電率膜を用いた場合に比べて、4nm程度だけ、接触幅Xを大きくすることができる。一方、第2の層間絶縁膜として、低誘電率膜を用いた場合、及び多孔質低誘電率膜を用いた場合の何れであっても、底面幅Yを所望の幅(比較的小さい幅)にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上説明したように、本発明は、ゲート電極と第1のコンタクトプラグとが接触する接触幅を充分に確保することができ、ゲート電極及びソース・ドレイン領域と接続する第1のコンタクトプラグを有する半導体装置の製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0106】
10 半導体基板
10a,10b 活性領域
11 素子分離領域
12a,12b ゲート絶縁膜
13a,13b ゲート電極
14a,14b 内側サイドウォール
15a,15b 外側サイドウォール
15A,15B サイドウォール
16a,16b ソース・ドレイン領域
17 エッチングストッパー膜
18 第1の層間絶縁膜
19 第2の層間絶縁膜
20A 下層レジスト
20B 中間層レジスト
20c 上層レジストパターン
20 レジストパターン
21 SC用第1の開口部
22 CA用第2の開口部
23 SC用第1のホール
24 CA用第3のホール
25 第1の変質層
26 第2の変質層
27 SC用第2のホール
28 CA用第4のホール
29 SC用第1のコンタクトホール
30 CA用第2のコンタクトホール
31a,31b バリアメタル膜
32a,32b 金属膜
32A 第1のコンタクトプラグ(SC,シェアードコンタクト)
32B 第2のコンタクトプラグ(CA,ノーマルコンタクト)
50a,50b,ゲート電極
51a,51b,61a,61b 第1のコンタクトプラグ
52a,52b,62a,62b 第2のコンタクトプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板における活性領域の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する工程(a)と、
前記ゲート電極の側面の上にサイドウォールを形成する工程(b)と、
前記活性領域における前記サイドウォールの外側方下に、ソース・ドレイン領域を形成する工程(c)と、
前記工程(c)よりも後に、前記半導体基板の上に、エッチングストッパー膜、第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜を順次形成する工程(d)と、
前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜を貫通し、且つ、前記エッチングストッパー膜を露出する第1のホールを形成する工程(e)と、
酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマ処理により、前記第2の層間絶縁膜における前記第1のホールの側壁に露出する部分を変質して、第1の変質層を形成する工程(f)と、
前記第1の変質層を除去して、第2のホールを形成する工程(g)と、
前記エッチングストッパー膜における前記第2のホールに露出する部分を除去して、第1のコンタクトホールを形成する工程(h)と、
前記第1のコンタクトホールに、第1のコンタクトプラグを形成する工程(i)とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(e)は、
前記第2の層間絶縁膜の上に、第1の開口部を有するレジストパターンを形成する工程(e1)と、
エッチングにより、前記レジストパターンをマスクとして、前記第1の開口部と対応する前記第1のホールを形成する工程(e2)とを含み、
前記工程(f)は、前記プラズマ処理により、前記レジストパターンを除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(g)において、フッ化水素酸液を用いた洗浄処理により、前記第1の変質層を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1のコンタクトホールは、前記ゲート電極の上面及び前記ソース・ドレイン領域の表面を露出するコンタクトホールであり、
前記第1のコンタクトプラグは、前記ゲート電極及び前記ソース・ドレイン領域と接続するシェアードコンタクトであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(e)は、前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜を貫通し、且つ、前記エッチングストッパー膜を露出する第3のホールを形成する工程を含み、
前記工程(f)は、前記プラズマ処理により、前記第2の層間絶縁膜における前記第3のホールの側壁に露出する部分を変質して、第2の変質層を形成する工程を含み、
前記工程(g)は、前記第2の変質層を除去して、第4のホールを形成する工程を含み、
前記工程(h)は、前記エッチングストッパー膜における前記第4のホールに露出する部分を除去して、第2のコンタクトホールを形成する工程を含み、
前記工程(i)は、前記第2のコンタクトホールに、第2のコンタクトプラグを形成する工程を含み、
前記第2のコンタクトホールは、前記ソース・ドレイン領域の表面を露出するコンタクトホールであり、
前記第2のコンタクトプラグは、前記ソース・ドレイン領域と接続するノーマルコンタクトであることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記工程(e)は、
前記第2の層間絶縁膜の上に、第1の開口部及び第2の開口部を有するレジストパターンを形成する工程(e1)と、
エッチングにより、前記レジストパターンをマスクとして、前記第1の開口部と対応する前記第1のホール、及び前記第2の開口部と対応する前記第3のホールを形成する工程(e2)とを含み、
前記工程(f)は、前記プラズマ処理により、前記レジストパターンを除去する工程を含み、
前記第2のコンタクトホールの底面の底面幅は、前記第2の開口部の開口幅よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2の層間絶縁膜の比誘電率は、前記第1の層間絶縁膜の比誘電率よりも低いことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2の層間絶縁膜は、比誘電率が2.5以上で且つ3.5以下の低誘電率膜であることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2の層間絶縁膜は、比誘電率が2.2以上で且つ2.8以下の多孔質低誘電率膜であることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1の層間絶縁膜の膜厚は、前記ゲート絶縁膜の膜厚と前記ゲート電極の膜厚とを合計した合計膜厚と同じ、又は前記合計膜厚よりも小さく、
前記工程(d)において、前記第2の層間絶縁膜を、前記エッチングストッパー膜における前記ゲート電極の上に形成された部分と接して形成することを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−204985(P2011−204985A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72333(P2010−72333)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】