説明

半導体装置及び半導体装置の作製方法

【課題】低消費電力で動作し、記憶情報の信頼性が高く、小型で軽量、安価な記憶装置と
その駆動方法を提供することを課題とする。さらに低消費電力で動作し、記憶情報の信頼
性が高く、無線通信距離の長い、小型で軽量、安価な半導体装置とその駆動方法を提供す
ることを課題とする。
【解決手段】記憶装置は、少なくとも記憶素子がマトリックス状に配置されたメモリセル
アレイと、書き込み回路とを有し、記憶素子は第一の導電層と、第二の導電層と第一の導
電層と第二の導電層とに挟まれて設けられた有機化合物層とを有し、書き込み回路は、複
数回印加する電圧を発生させる電圧発生回路と、電圧の出力時間を制御するタイミング制
御回路とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の回路が集積された記憶装置と、記憶装置の駆動方法に関する。また本発明
は記憶装置を有し、情報の送受信が可能な半導体装置と、半導体装置の駆動方法に関する

【背景技術】
【0002】
現在市場が大きく拡大している記憶装置の1つに不揮発性メモリがある。不揮発性メモリ
は電源を切っても記憶情報を失わないという利点から需要が高まっている。しかしながら
、例えばEPROMやEEPROM、フラッシュメモリは作製工程が煩雑で書き込み電圧
が高く、一回の書き込み動作では完全な書き込みが行われないといった問題点があった。
例えば、従来のEEPROMでは、メモリセルにある一定の書込電圧を一定時間印加して
書き込みを行った後、当該書き込み内容を読み出し、データが正確に書き込まれたかを確
認していた。そして、書き込みが完全でない場合は、再度書き込み動作を行う必要があっ
た。(例えば特許文献1)。また、マスクROMは作製工程中にしか情報の書き込みを行
えず追記が不可能であるといった欠点がある。
【0003】
不揮発性メモリの中でも記憶素子内の物質に不可逆的変化を与えることで情報を記憶する
ライトワンスメモリは、上記欠点を改善するメモリとして期待されている。
【0004】
また不揮発性メモリを内蔵し、無線により情報の送受信が可能な半導体装置の開発が進め
られ、大きな注目を浴びている。当該半導体装置の例として無線チップがあり、一部の市
場では導入が始められている。なかでも物品を管理するためのタグ(無線タグ)に使用さ
れる無線チップは小型で軽量、使い勝手がよく、情報の安全性が高く、かつ安価なものが
求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−314754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は低消費電力で動作し、記憶情報の信頼性が高く、小型で軽量、安価な記憶装置と
その駆動方法を提供することを課題とする。さらに本発明は低消費電力で動作し、記憶情
報の信頼性が高く、無線通信距離の長い、小型で軽量、安価な半導体装置とその駆動方法
を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では以下の手段を講ずる。
【0008】
本発明の記憶装置の駆動方法は第一の導電層と、第二の導電層と、第一の導電層と第二の
導電層とに挟まれて設けられた有機化合物層とを有する記憶素子に、電圧を複数回印加す
ることにより、記憶素子の電気特性を変化させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の記憶装置の駆動方法は二つの不純物領域を有する半導体膜と、ゲート電極
と、ゲート絶縁膜とを有する記憶素子のゲート電極と、二つの不純物領域のうち少なくと
も一方との間に、電圧を複数回印加することにより、記憶素子の電気特性を変化させるこ
とを特徴とする。ここで、本発明の記憶装置の駆動方法において、記憶素子は半導体膜及
びゲート絶縁膜の少なくとも一方の導電性の変化の有無を記憶することを特徴とする。
【0010】
本発明の記憶装置の駆動方法は二つの不純物領域を有する半導体領域上に、第一の導電層
と、絶縁膜により囲まれた第二の導電層とを有する記憶素子に、第1の導電層と、二つの
不純物領域を有する半導体領域の少なくとも一方との間に電圧を複数回印加することによ
り、記憶素子の電気特性を変化させることを特徴とする。
【0011】
本発明の記憶装置の駆動方法において、電圧を複数回印加するとは、第一の電圧を印加し
た後、階段状に増加した第2の電圧を印加することを特徴とする。
【0012】
本発明の記憶装置は、記憶素子をマトリックス状に配置したメモリセルアレイと、書き込
み回路とを有し、記憶素子は第一の導電層と、第二の導電層と、第一の導電層と第二の導
電層とに挟まれて設けられた有機化合物層とを有し、書き込み回路は、記憶素子に複数回
印加する電圧を発生させる電圧発生回路と、電圧の出力を制御するタイミング制御回路と
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の記憶装置は、メモリセルをマトリックス状に配置したメモリセルアレイと、書き
込み回路とを有し、メモリセルはトランジスタと記憶素子とを有し、記憶素子は第一の導
電層と、第二の導電層と、第一の導電層と第二の導電層とに挟まれて設けられた有機化合
物層とを有し、書き込み回路は、記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発生回
路と、電圧の出力を制御するタイミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の記憶装置が有する記憶素子は、有機化合物層の導電性の変化の有無を記憶
することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の記憶装置が有する記憶素子は、有機化合物層の導電性が低い状態から高い
状態への不可逆的な変化の有無を記憶することを特徴とする。
【0016】
本発明の記憶装置は、記憶素子をマトリックス状に配置したメモリセルアレイと、書き込
み回路とを有し、記憶素子は二つの不純物領域を有する半導体膜と、ゲート電極と、ゲー
ト絶縁膜とを有し、書き込み回路は、記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発
生回路と、電圧の出力を制御するタイミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の記憶装置は、メモリセルをマトリックス状に配置したメモリセルアレイと、書き
込み回路とを有し、メモリセルはトランジスタと記憶素子とを有し、記憶素子は二つの不
純物領域を有する半導体膜と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜とを有し、書き込み回路は、
記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発生回路と、電圧の出力を制御するタイ
ミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の記憶装置は、記憶素子が半導体膜及びゲート絶縁膜の少なくとも一方の導電性の
変化の有無を記憶することを特徴とする。
【0019】
本発明の記憶装置は、記憶素子をマトリックス状に配置したメモリセルアレイと、書き込
み回路とを有し、記憶素子は二つの不純物領域を有する半導体領域上に、第一の導電層と
、絶縁膜に囲まれた第二の導電層とを有し、書き込み回路は、記憶素子に複数回印加する
電圧を発生させる電圧発生回路と、電圧の出力を制御するタイミング制御回路とを有する
ことを特徴とする。
【0020】
本発明の記憶装置は、メモリセルをマトリックス状に配置したメモリセルアレイと、書き
込み回路とを有し、メモリセルはトランジスタと記憶素子とを有し、記憶素子は二つの不
純物領域を有する半導体領域上に、第一の導電層と、絶縁膜に囲まれた第二の導電層とを
有し、書き込み回路は、記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発生回路と、電
圧の出力を制御するタイミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の記憶装置が有する電圧発生回路は、電圧発生回路は第一の電圧と、第一の
電圧よりも大きい第二の電圧とを発生する機能を有し、タイミング制御回路は第一の電圧
を有する第一のパルスと、第二の電圧を有する第二のパルスとを連続的に生成する機能を
有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の記憶装置が有するメモリセルアレイ及び書き込み回路は、ガラス基板又は
可撓性基板上に設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の記憶装置が有する書き込み回路は薄膜トランジスタを含むことを特徴とす
る。
【0024】
本発明の半導体装置の駆動方法は、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続する
ための配線とを有し、不揮発性メモリは、第一の導電層と、第二の導電層と、第一の導電
層と第二の導電層とに挟まれて設けられた有機化合物層とで構成される記憶素子を有し、
記憶素子に電圧を複数回印加することにより、記憶素子の電気特性を変化させることを特
徴とする。
【0025】
本発明の半導体装置の駆動方法は、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続する
ための配線とを有し、不揮発性メモリは、二つの不純物領域を有する半導体膜と、ゲート
電極と、ゲート絶縁膜とで構成される記憶素子を有し、記憶素子に電圧を複数回印加する
ことにより、記憶素子の電気特性を変化させることを特徴とする。
【0026】
本発明の半導体装置の駆動方法において、記憶素子は半導体膜及びゲート絶縁膜の少なく
とも一方の導電性の変化の有無を記憶することを特徴とする。
【0027】
本発明の半導体装置の駆動方法は、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続する
ための配線とを有し、不揮発性メモリは、二つの不純物領域を有する半導体領域上に、第
一の導電層と、絶縁膜により囲まれた第二の導電層とで構成される記憶素子を有し、記憶
素子に電圧を複数回印加することにより、記憶素子の電気特性を変化させることを特徴と
する。
【0028】
本発明の半導体装置の駆動方法において、電圧を複数回印加するとは、第一の電圧を印加
した後、階段状に増加した第2の電圧を印加することを特徴とする。
【0029】
本発明の半導体装置は、制御回路と、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続す
るための配線とを有し、制御回路は不揮発性メモリを制御する機能を有し、不揮発性メモ
リは、マトリックス状に配置された記憶素子と、書き込み回路とを有し、記憶素子は第一
の導電層と、第二の導電層と、第一の導電層と第二の導電層とに挟まれて設けられた有機
化合物層とを有し、書き込み回路は、記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発
生回路と、電圧の出力を制御するタイミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0030】
本発明の半導体装置は、制御回路と、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続す
るための配線とを有し、制御回路は不揮発性メモリを制御する機能を有し、不揮発性メモ
リは、メモリセルがマトリックス状に配置されたメモリセルアレイと、書き込み回路とを
有し、メモリセルはトランジスタ及び記憶素子を有し、記憶素子は第一の導電層と、第二
の導電層と、第一の導電層と第二の導電層とに挟まれて設けられた有機化合物層とを有し
、書き込み回路は、記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発生回路と、電圧の
出力を制御するタイミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0031】
また、本発明の半導体装置が有する記憶素子は、有機化合物層の導電性の変化の有無を記
憶することを特徴とする。
【0032】
また、例えば、本発明の半導体装置が有する記憶素子は、有機化合物層の導電性が低い状
態から高い状態への不可逆的な変化の有無を記憶することを特徴とする。
【0033】
本発明の半導体装置は、制御回路と、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続す
るための配線とを有し、制御回路は不揮発性メモリを制御する機能を有し、記憶素子は、
マトリックス状に配置された記憶素子と、書き込み回路とを有し、不揮発性メモリは、二
つの不純物領域を有する半導体膜と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜とを有し、記書き込み
回路は、記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発生回路と、電圧の出力を制御
するタイミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0034】
本発明の半導体装置は、制御回路と、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続す
るための配線とを有し、制御回路は不揮発性メモリを制御する機能を有し、不揮発性メモ
リは、メモリセルがマトリックス状に配置されたメモリセルアレイと、書き込み回路とを
有し、メモリセルはトランジスタ及び記憶素子を有し、記憶素子は、二つの不純物領域を
有する半導体膜と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜とを有し、書き込み回路は、記憶素子に
複数回印加する電圧を発生させる電圧発生回路と、電圧の出力を制御するタイミング制御
回路とを有することを特徴とする。
【0035】
本発明の半導体装置は、記憶素子は半導体膜及びゲート絶縁膜の少なくとも一方の導電性
の変化の有無を記憶することを特徴とする。
【0036】
本発明の半導体装置は、制御回路と、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続す
るための配線とを有し、制御回路は不揮発性メモリを制御する機能を有し、不揮発性メモ
リは、マトリックス状に配置された記憶素子と、書き込み回路とを有し、記憶素子は、二
つの不純物領域を有する半導体領域上に、第一の導電層と、絶縁膜により囲まれた第二の
導電層とを有し、書き込み回路は、記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発生
回路と、電圧の出力を制御するタイミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0037】
本発明の半導体装置は、制御回路と、不揮発性メモリと、アンテナ又はアンテナを接続す
るための配線とを有し、制御回路は不揮発性メモリを制御する機能を有し、不揮発性メモ
リは、メモリセルがマトリックス状に配置されたメモリセルアレイと、書き込み回路とを
有し、メモリセルはトランジスタ及び記憶素子を有し、記憶素子は、二つの不純物領域を
有する半導体領域上に、第一の導電層と、絶縁膜により囲まれた第二の導電層とを有し、
書き込み回路は、記憶素子に複数回印加する電圧を発生させる電圧発生回路と、電圧の出
力を制御するタイミング制御回路とを有することを特徴とする。
【0038】
また、本発明の半導体装置が有する電圧発生回路は第一の電圧と、第一の電圧よりも大き
い第二の電圧とを発生する機能を有し、タイミング制御回路は第一の電圧を有する第一の
パルスと、第二の電圧を有する第二のパルスとを連続的に生成する機能を有することを特
徴とする。
【0039】
また、本発明の半導体装置が有するメモリセルアレイ及び書き込み回路は、ガラス基板又
は可撓性基板上に設けられていることを特徴とする。
【0040】
また、本発明の半導体装置が有する書き込み回路は薄膜トランジスタを含むことを特徴と
する。
【発明の効果】
【0041】
本発明の記憶装置の一形態として導電体と有機化合物とから成る構造の記憶素子、または
、別の形態としてトランジスタと同じ構成の記憶素子を有するため、ガラス等の安価な基
板上に低温プロセスを用いて容易に作製することができる。さらに本発明の記憶装置は、
記憶素子に電圧を複数回を印加することで低消費電力の書き込みを行うことができる。そ
の結果、回路面積を縮小することが可能である。また、電圧を複数回を印加する書き込み
は、複数の記憶素子の導電性の変化量を均一にできる。そのためばらつきを低減し、信頼
性の高い記憶装置を提供することができる。
【0042】
さらに非接触で通信を行う半導体装置に上記記憶装置を内蔵し、電圧を複数回に印加する
書き込み方法を用いることで信頼性が高く、小型で軽量、安価な半導体装置を提供するこ
とができる。また半導体装置を低消費電力で動作させることでリーダライタと半導体装置
との無線通信距離を拡大することができる。また、一回の書き込み動作で、確実な書き込
みを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の記憶装置が有する記憶素子の構成を説明する図。
【図2】電圧印加前後の記憶素子の電流電圧特性。
【図3】電圧印加前の記憶素子の断面図。
【図4】電圧印加後の記憶素子の断面図。
【図5】本発明の記憶装置の構成を説明する図。
【図6】本発明の記憶装置が有するメモリセルの構成を説明する図。
【図7】本発明の記憶装置が有する書き込み回路の構成を説明する図。
【図8】書き込みを説明するタイミングチャート。
【図9】書き込みを説明するタイミングチャート。
【図10】本発明の半導体装置の構成例を説明する図。
【図11】書き込みタイミングチャート例。
【図12】本発明の記憶装置が有する読み出し回路を説明する図。
【図13】記憶素子、抵抗素子の電流電圧特性。
【図14】本発明の記憶装置、半導体装置が有する半導体素子、記憶素子作成例。
【図15】本発明の記憶装置、半導体装置が有する半導体素子、記憶素子作成例。
【図16】本発明の記憶装置、半導体装置が有する半導体素子、記憶素子作成例。
【図17】本発明の記憶装置が有するメモリセルの構成を説明する図。
【図18】電圧印加前後の記憶素子の断面図。
【図19】4ビットのメモリセルアレイの記憶装置の構成を説明する図。
【図20】書き込みを説明するタイミングチャート。
【図21】書き込みを説明するタイミングチャート。
【図22】フラッシュメモリを有する記憶装置の構成を説明する図。
【図23】フラッシュメモリにおける記憶素子の構造を説明する図。
【図24】本発明の半導体装置利用例。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。しかしながら本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨から逸脱することなくその形態を様々に変更し得ることは当業者で
あれば容易に理解される。したがって本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定し
て解釈されるものではない。また、以下に説明する本発明の構成において同じものを指す
符号は異なる図面間で共通する場合がある。
【0045】
(実施の形態1)
本実施の形態では、有機物を含む記憶素子を有する記憶装置について説明する。図1に本
発明の記憶装置が有する記憶素子の構造を示す。記憶素子は第一の導電層101と、第二
の導電層103と、前記第一の導電層101と前記第二の導電層103とに挟まれた有機
化合物層102とから構成される。第一の導電層101と第二の導電層103の材料には
導電性の高い元素や化合物等用いる。有機化合物層102の材料には電気的作用により導
電性が変化する有機化合物を用いる。本実施の形態では初期状態でダイオード特性を示し
、高い電圧を印加した後に高い導電性を示す有機化合物を用いる。上記構成を有する記憶
素子は電圧印加前後で導電性が変化するので、「初期状態」と「導電性変化後」とに対応
した2値を記憶させることができる。
【0046】
図2に電圧印加前後における記憶素子の電流電圧特性(以降I−V特性と記載する)を示
す。記憶素子は第一の導電層が珪素を含有したインジウム錫酸化物(以降ITSOと記載
する)、有機化合物層が厚さ50nmのビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル]ベ
ンジジン(以降NPBと記載する)、第二の導電層がアルミニウム(Al)で構成され、
サイズが100μm×100μmである。ここで記憶素子のサイズとは、第一の導電層が
メモリとして機能する層(有機化合物層など)と接している面の大きさである。図2は、
初期状態の記憶素子に0Vから20Vまでの電圧を徐々に印加した時のI−V特性(A)
と、電圧を印加した後の記憶素子I−V特性(B)とを示す。初期状態の記憶素子のI−
V特性(A)は19V付近で電流値が突然増加し、記憶素子の導電性が変化したことが分
かる。電圧印加後の記憶素子のI−V特性(B)は、初期状態に比べて電流値が大幅に増
大している。また、初期状態の当該記憶素子に20V、10msecのパルス電圧を印加
しても導電性の変化が確認された。
【0047】
様々な構成を有する記憶素子に対して同様の実験を行ったところ、記憶素子の導電性が変
化する電圧は、記憶素子のサイズ、電圧の印加方法、有機化合物層の厚さ、大きさ、材料
等に依存することが分かった。例えば上記構成の記憶素子においてサイズを20μm×2
0μmとすると、20V以下の電圧で導電性は変化しなかった。また、上記構成の記憶素
子において有機化合物層の厚さを10nmとして、0Vから徐々に又は連続的に電圧を印
加していくと10Vで導電性が変化した。さらに記憶素子にパルス電圧を印加する場合は
、上記場合より0〜数V高い電圧を0.1msec〜100msec印加することで導電
性が変化することが確認された。
【0048】
上記結果から、記憶素子のサイズを小さくすると導電性の変化に必要な電圧は高くなる、
パルス電圧印加の場合は電圧を徐々に印加する場合よりも導電性の変化に必要な電圧は高
くなる、有機化合物層の膜厚を薄くすると導電性の変化に必要な電圧は低くなる、という
ことが分かった。
【0049】
ここで図3に電圧印加前の記憶素子の断面像を、図4に電圧印加後の記憶素子の断面像を
示す。断面像は透過電子顕微鏡(TEM)により撮影した。記憶素子は第一の導電層10
1が厚さ110nmのITO、有機化合物層102が厚さ35nmのN,N’−ジフェニ
ルN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン
(以降TPDと記載する)、第二の導電層103が厚さ270nmのアルミニウムで構成
されている。図3に示す電圧印加前の有機化合物層102は均一な厚さであるが、図4に
示す電圧印加後の有機化合物層102は厚さが不均一である。このように、電圧印加によ
り導電性が変化した記憶素子の有機化合物層では膜厚が15nm以下の領域が生じること
が確認された。
【0050】
以上の測定結果から、記憶素子の導電性が変化するメカニズムについて次のように考えら
れる。まず、記憶素子に電圧を印加すると有機化合物層に電流が流れて熱が発生する。そ
して、有機化合物の温度がガラス転移点まで上昇すると有機化合物がゴム状に変化して流
動し、膜厚が不均一になる。そのなかで特に膜厚の薄くなった部分において、第1の導電
層と第2の導電層がショートし、記憶素子の導電性が高くなると考えられる。
【0051】
また、有機化合物層で発生した熱は周囲の絶縁層や導電層から散逸する。このとき有機化
合物層の中心は放熱が起こりにくいために温度が最も高くなる。したがって、サイズが大
きい記憶素子は温度が高くなりやすく、サイズの小さい記憶素子より低い電圧で導電性が
変化すると考えられる。
【0052】
上記のようなメカニズムを考慮して、効率良く記憶素子の導電性を変化させる方法を示す
ことができる。その方法のひとつは記憶素子に2段階の電圧値、つまり第一の電圧と第二
の電圧とを印加することを特徴とする。更に好ましくは、第一の電圧と第二の電圧を連続
的に印加する。ここで第一の電圧は有機化合物の導電性が変化しない大きさであり、第二
の電圧は第一の電圧よりも大きく、有機化合物の温度がガラス転移点に達する大きさとす
るとよい。さらには、記憶素子に3段階以上の電圧値を印加してもよい。まず、有機化合
物の導電性を変化させない第一の電圧を印加し、その後有機化合物がガラス転移点に達す
る電圧を印加し、その後有機化合物からの放熱量と同等のエネルギーを与える電圧を印加
する。この場合も好ましくは、電圧を連続して印加する。
【0053】
上記のように電圧値が2段階、3段階等となるように複数段階の電圧値を印加することに
よって、記憶素子に発生する熱が散逸しにくい状態を作ることができるため、サイズの小
さい記憶素子でも低い電圧、短い電圧印加時間で導電性を変化させることが可能となる。
また上記のような電圧の印加によって書き込み時の消費電流を小さくし、消費電流が最大
となる時間を短かくすることができるので、書き込み回路が有する電圧発生回路の小型化
、記憶装置の小型化を実現することができる。
【0054】
また、記憶素子に高いパルス電圧を印加すると導電性の変化量にばらつきが生じ、記憶装
置の信頼性を低下させる。しかしながら、本発明のように複数段階の電圧値を印加する、
好ましくは連続的印加することで記憶素子の導電性の変化量が一定となり、記憶装置の信
頼性を向上させることができる。
【0055】
さらに本発明は、記憶素子の材料に有機化合物を用いるので、ガラス基板や可撓性基板上
に低温プロセスで作製することができ、安価な記憶装置を提供することができる。このよ
うなガラス基板や可撓性基板は大型なものを使用できるため、記憶装置の低コスト化を図
ることができる。
【0056】
(実施の形態2)
本実施の形態では本発明の記憶装置の構成とデータの書き込み方法について説明する。
【0057】
図5に本発明の記憶装置の構成を示す。本発明の記憶装置508はカラムデコーダ501
、ローデコーダ502、読み出し回路504、書き込み回路505、セレクタ503、メ
モリセルアレイ506を有する。メモリセルアレイ506はビット線Bm(1≦m≦x)
、ワード線Wn(1≦n≦y)、前記ビット線とワード線との交点にx×y個のメモリセ
ル507を有する。
【0058】
カラムデコーダ501はメモリセルアレイの行を指定するアドレス信号を受けて、指定行
のセレクタ503に信号を与える。セレクタ503はカラムデコーダ501の信号を受け
て指定行のビット線を選択する。ローデコーダ502はメモリセルアレイの列を指定する
アドレス信号を受けて、指定列のワード線を選択する。上記動作によりアドレス信号に対
応する一つのメモリセル507が選択される。読み出し回路504は選択されたメモリセ
ルが有するデータを読み出し、増幅して出力する。書き込み回路505は書き込みに必要
な電圧を生成し、選択されたメモリセルの記憶素子に電圧を印加することでデータの書き
込みを行う。
【0059】
図6(A)に示すように、メモリセルはトランジスタ601と記憶素子602とを有する
。トランジスタ601はゲート電極にワード線が接続され、一方の高濃度不純物領域にビ
ット線が接続され、もう一方の高濃度不純物領域に記憶素子602の第一の導電層が接続
されている。記憶素子602の第二の導電層はメモリセルアレイ内の全記憶素子の第二の
導電層と導通しており、記憶装置の動作時、つまり書き込み時、読み出し時に一定の電圧
が印加される。このような構成を有する第二の導電層を、本明細書では共通電極603と
記載する場合がある。
【0060】
図7に本発明の記憶装置が有する書き込み回路505の構成を示す。書き込み回路505
は電圧発生回路701、タイミング制御回路702、スイッチSW0、SW1、SW2、
出力端子Pwを有する。電圧発生回路701は昇圧回路等で構成され、書き込みに必要な
電圧V1、V2を生成し、それぞれ出力Pa、Pbから出力する。タイミング制御回路7
02は、書き込み制御信号(以降WEと記載する)、データ信号(以降DATAと記載す
る)、クロック信号(以降CLKと記載する)等からスイッチSW0、SW1、SW2を
制御する信号S0、S1、S2を生成し、それぞれ出力P0、P1、P2から出力する。
電圧発生回路の出力と、記憶装置内で基準となる電圧源との接続を切り換える。ここで基
準となる電圧源とは、記憶装置内での基準であり、設置、又は固定電位等と記載すること
ができるが、本明細書中では、主に設置と記載する。また、SW1により、Paと電圧発
生回路の出力が接続され、SW2により、Pbと電圧発生回路の出力が接続されることに
よって、電圧発生回路の出力のVwriteが切り替えられる。ここで、SW0〜SW2
は同時に接続されない。
【0061】
次に書き込みについて説明する。書き込みは、記憶素子の導電性を変化させる書き込みと
、導電性を変化させない書き込みとがあり、本明細書においては記憶素子の導電性を変化
させる場合を「1」の書き込み、導電性を変化させない場合を「0」の書き込みとする。
【0062】
図8に「1」の書き込みを説明するタイミングチャートを示す。タイミングチャートは、
外部からの入力信号WE、DATA、タイミング制御回路702の出力信号S0、S1、
S2、書き込み回路の出力電圧Vwrite、選択されたメモリセルに印加される電圧V
bit、Vword、Vcomのタイミングを示す。ここで入力信号WEは低い電圧(以
降Loと記載する)で書き込み不許可を示し、高い電圧(以降Hiと記載する)で書き込
み許可を示す。入力信号DATAはHiで「1」を示し、Loで「0」を示す。出力信号
S0、S1、S2はLoでスイッチのオフ、Hiでスイッチのオンを制御する。また印加
電圧Vbitはビット線に印加される電圧、Vwordはワード線に印加される電圧、V
comは共通電極に印加される電圧を示す。
【0063】
書き込みは以下のように行われる。まず入力信号WEがHiになると、行を指定するアド
レス信号を受けたカラムデコーダ501は指定行のセレクタに信号を与え、セレクタ50
3は指定行のビット線を書き込み回路の出力Pwに接続する。指定されていないビット線
は非接続(以降フローティングと記載する)状態となる。同様に列を指定するアドレス信
号を受けたローデコーダ502は指定列のワード線に電圧V2を印加し、指定されていな
いワード線に0Vを印加する。上記動作によりアドレス信号に対応する一つのメモリセル
507が選択される。ここで共通電極には0Vを印加する。
【0064】
同時に入力信号DATA=Hiを受け、電圧発生回路701は電圧V1、V2を生成し、
出力Pa、Pbから出力する。タイミング制御回路702は入力信号WE、DATA、C
LK等からスイッチを制御する信号S0、S1、S2を生成し、出力P0、P1、P2か
ら出力する。当該信号によりスイッチSW0、SW1、SW2が切り替わり、書き込み回
路は出力Pwから電圧V1、V2を連続的に出力する。
【0065】
選択されたメモリセルは、上記動作によりワード線に電圧V2が印加され、ビット線に2
段階の電圧値であるV1、V2が連続的に印加され、共通電極に0Vが印加される。この
とき、V1<V2を満たすようにする。したがってトランジスタの二つの高濃度不純物領
域が導通してビット線の電圧が記憶素子の第一の導電層に印加され、記憶素子の導電性が
変化することで「1」を記憶する。
【0066】
入力信号WEがLoになると、全てのワード線は0Vとなり、全てのビット線と共通電極
はフローティング状態となる。同時にタイミング制御回路は信号S0、S1、S2はそれ
ぞれLoを生成して出力P0、P1、P2から出力し、書き込み回路の出力Pwはフロー
ティング状態となる。上記動作により、書き込みは行われなくなる。図8においてフロー
ティング状態をFと記載する。
【0067】
例えば実施の形態1で示した、第一の導電層がITO、有機化合物層が厚さ50nmのN
PB、第二の導電層がアルミニウムで構成され、サイズが100μm×100μmの記憶
素子の場合、電圧V1が印加されている時間をt1、電圧V2が印加されている時間をt
2とすると、V1=10V、V2=19V、t1=t2=5msecで書き込みを行うこ
とができる。
【0068】
次に、図9に「0」の書き込みを説明するタイミングチャートを示す。タイミングチャー
トは図8と同様、入力信号WE、DATA、出力信号S0、S1、S2、出力電圧Vwr
ite、印加電圧Vbit、Vword、Vcomのタイミングを示す。「0」の書き込
みは記憶素子の導電性を変化させない書き込みであり、これは記憶素子に電圧を印加しな
いことで実現される。本実施の形態ではビット線と共通電極を0Vにする方法を説明する

【0069】
まず「1」の書き込みと同様に入力信号WEがHiになると、行を指定するアドレス信号
を受けたカラムデコーダ501は指定行のセレクタに信号を与え、セレクタ503は指定
行のビット線を書き込み回路の出力Pwに接続する。指定されていないビット線はフロー
ティング状態となる。同様に列を指定するアドレス信号を受けたローデコーダ502は指
定列のワード線に電圧V2を印加し、指定されていないワード線に0Vを印加する。上記
動作によりアドレス信号に対応する一つのメモリセル507が選択される。ここで共通電
極には0Vを印加する。
【0070】
同時に入力信号DATA=Loを受け、タイミング制御回路702は制御信号S0=Hi
、S1=Lo、S2=Loを生成し、出力P0、P1、P2から出力する。当該制御信号
によりスイッチSW0はオン、SW1、SW2はオフとなり、書き込み回路は出力Pwか
ら0Vを出力する。
【0071】
選択されたメモリセルは、上記動作によりワード線にV2が印加され、ビット線と共通電
極に0Vが印加される。したがって記憶素子は電圧が印加されず、導電性は変化しないの
で「0」を記憶する。
【0072】
入力信号WEがLoになると、全てのワード線は0V、全てのビット線と共通電極はフロ
ーティング状態となる。同時にタイミング制御回路は信号S0、S1、S2はそれぞれL
oを生成して出力P0、P1、P2から出力し、書き込み回路の出力はフローティング状
態となる。
【0073】
本発明の構成、手段によってサイズの小さい記憶素子でも低い電圧、短い電圧印加時間で
導電性を変化させることが可能となる。また、書き込み回路を構成する昇圧回路は、生成
する電圧が小さくなる程、回路面積、消費電力共に小さくなる。また、したがって、本発
明によって書き込み時の消費電流を小さくし、消費電流が最大となる時間を短くすること
ができるので、書き込み回路が有する電圧発生回路の小型化、記憶装置の小型化を実現す
ることができる。また、記憶素子に高いパルス電圧を印加すると導電性の変化量にばらつ
きが生じ、記憶装置の信頼性を低下させる。しかしながら、本発明のように複数段階の電
圧を連続的に印加することで記憶素子の導電性の変化量が一定となり、記憶装置の信頼性
を向上させることができる。
【0074】
なお、本実施の形態は上記実施の形態1と自由に組み合わせて行うことができる。
【0075】
(実施の形態3)
本実施の形態では、少なくとも制御回路、不揮発性メモリ、アンテナを有し、無線で情報
の送受信を行う半導体装置について説明する。
【0076】
図10に本発明の半導体装置の構成を示す。半導体装置1001はアンテナと共振容量か
らなる共振回路1002、電源回路1003、クロック発生回路1004、復調回路10
05、制御回路1006、不揮発性メモリ1007、符号化回路1008、変調回路10
09を有する。半導体装置は上記構成に制限されず、中央処理演算装置(CPU)、輻輳
制御回路等を有することもある。また半導体装置1001はアンテナを接続する配線のみ
を有してもよい。この場合は半導体装置を使用する時に、別途作製されたアンテナを当該
配線に接続する。
【0077】
本発明の半導体装置1001はリーダライタ1010より発せられる電磁波から電力供給
を受け、リーダライタ1010と無線で情報の送受信を行う。リーダライタ1010は通
信回線1011を介してコンピュータ1012と接続され、当該コンピュータ1012の
制御のもとに半導体装置1001への電力供給、半導体装置1001との情報の送受信を
行う。
【0078】
共振回路1002はリーダライタ1010より発せられる電磁波を受信し、誘導電圧を発
生させる。この誘導電圧は半導体装置1001の電力になるほか、リーダライタ1010
から送信される情報を含んでいる。電源回路1003は共振回路1002に発生した誘導
電圧をダイオードで整流し、容量を用いて安定化し、各回路へ供給する。クロック発生回
路1004は共振回路1002に発生した誘導電圧を基に、必要な周波数のクロック信号
を生成する。復調回路1005は共振回路に発生した誘導電圧からデータを復調する。制
御回路1006は不揮発性メモリ1007を制御する。ここではメモリ制御信号の生成の
ほか、リーダライタ1010からのデータを読み込む情報判定回路等を含む。不揮発性メ
モリ1007は半導体装置1001固有のデータを保持する。ここで不揮発性メモリは実
施の形態2の記憶装置とする。符号化回路1008は不揮発性メモリ1007が有するデ
ータを符号化信号に変換する。変調回路1009は符号化信号を基に搬送波を変調する。
【0079】
本実施の形態は半導体装置がリーダライタから電力供給を受ける例を示したが、本発明は
この形態に限定されない。すなわち半導体装置は内部に電池等を有して電力供給を行い、
リーダライタと無線で情報の送受信を行うことも可能である。
【0080】
次に、本発明の半導体装置が有する不揮発性メモリについて説明する。不揮発性メモリは
実施の形態2の記憶装置を適用し、図5に示す構成を有する。図6に不揮発性メモリが有
するメモリセルの構成を示す。図6(A)が示すメモリセルは実施の形態2の記憶装置が
有するメモリセルである。図6(B)が示すメモリセルは記憶素子602と整流素子60
4とを有する。当該メモリセルは、ビット線を構成する導電層とワード線を構成する導電
層との間に、有機化合物層と整流作用を有する層とを積層することで作製できる。また当
該メモリセルは、電圧印加前後で異なるダイオード特性を示す有機化合物を使用し、導電
層間に当該有機化合物の層を有する記憶素子で構成することも可能である。本発明の半導
体装置を構成する不揮発性メモリは、図6(A)、(B)どちらの構成を取ってもよい。
記憶素子602は初期状態でダイオード特性を示し、電圧を印加すると不可逆的に導電性
が高い状態へ変化する。本発明の記憶素子は複数段階の電圧を連続的に印加することで「
1」の書き込みが行われることを特徴とする。
【0081】
不揮発性メモリは実施の形態2の記憶装置が有する書き込み回路を適用する(図7)。し
たがって、図6(A)のメモリセルに「1」と「0」を書き込む動作も実施の形態2の記
憶装置が行う書き込み動作が適用される(図8、図9)。
【0082】
記憶素子に複数段階の電圧を連続的に印加させることで、サイズの小さい記憶素子でも低
い電圧、短い電圧印加時間で導電性を変化させることが可能となる。また、本発明の手段
により書き込み時の消費電流を小さくし、消費電流が最大となる時間を短かくすることが
できるので、書き込み回路が有する電圧発生回路の小型化、半導体装置の小型化を実現す
ることができる。また、記憶素子に高いパルス電圧を印加すると導電性の変化量にばらつ
きが生じ、半導体装置の信頼性を低下させる。しかしながら、本発明のように複数段階の
電圧を連続的に印加することで記憶素子の導電性の変化量が一定となり、半導体装置の信
頼性を向上させることができる。さらに本発明は、記憶素子の材料に有機化合物を用いる
ので、大判のガラス基板や可撓性基板上に低温プロセスで作製することができ、安価な半
導体装置を提供することができる。
【0083】
なお、本実施の形態は上記実施の形態1または2と自由に組み合わせて行うことができる

【実施例1】
【0084】
本実施例では、実施の形態2とは異なるメモリセルの構成について説明する。図6(B)
にメモリセルの構成を示す。メモリセルは記憶素子602と整流素子604とを有する。
当該メモリセルは、ビット線を構成する導電層とワード線を構成する導電層との間に、有
機化合物層と整流作用を有する層とを積層することで作製できる。また当該メモリセルは
、電圧印加前後で異なるダイオード特性を示す有機化合物を使用し、導電層間に当該有機
化合物の層を有する記憶素子で構成することも可能である。
【0085】
図6(B)のメモリセルに「1」を書き込む動作について説明する。ここで記憶装置の構
成は図5を適用し、書き込み回路の構成は図7を適用する。本発明は記憶素子に複数段階
の電圧を連続的に印加し、導電性を変化させることを特徴とする。本実施例では、メモリ
セル内のm行n列(1≦m≦x、1≦n≦y)で指定されるメモリセルに書き込みを行う

【0086】
図11に「1」の書き込みを説明するタイミングチャートを示す。タイミングチャートは
、入力信号WE、DATA、出力信号S0、S1、S2、出力電圧Vwrite、m行n
列のメモリセルに印加される電圧Vbit、Vwordのタイミングを示す。
【0087】
本実施例のメモリセルは第一の導電層がワード線で構成され、第二の導電層はビット線で
構成されている。したがってビット線Bmに接続されるm行a列(1≦a≦y、a≠n)
のメモリセルに誤った書き込みが起こらないように配慮する必要がある。タイミングチャ
ートは選択されていないm行a列のメモリセルの印加電圧Vbit、Vwordも示す。
【0088】
書き込みは以下のように行われる。まず入力信号WE、DATAがHiになると、電圧発
生回路701は電圧V1、V2を生成し、出力Pa、Pbから出力する。タイミング制御
回路702は、入力信号WE、DATA、CLK等からスイッチを制御する信号S0、S
1、S2を生成し、出力P0、P1、P2から出力する。当該信号によりスイッチSW0
、SW1、SW2が切り替わり、書き込み回路は出力Pwから電圧V1、V2を連続的に
出力する。
【0089】
同時に行を指定するアドレス信号を受けたカラムデコーダ501はm行のセレクタに信号
を与え、セレクタ503はm行のビット線Bmを書き込み回路の出力Pwに接続する。指
定されていないビット線はフローティング状態となる。同様に列を指定するアドレス信号
を受けたローデコーダ502はn列のワード線Wnを0Vにし、指定されていないワード
線Waに電圧V3を印加する。電圧V3は、記憶素子に電圧V1と電圧V3との差V4と
電圧V2と電圧V3との差V5を印加しても記憶素子の導電性が変化しない範囲から決定
する。
【0090】
上記動作によりワード線Wnに0Vが印加され、ビット線Bmに電圧V1、V2が連続的
に印加される。したがって記憶素子の導電性が変化し、m行n列のメモリセルは「1」を
記憶する。同時にワード線WaにはV3が印加され、ビット線BmにはV1、V2とが連
続的に印加される。したがって記憶素子には電圧V4と電圧V5とが連続的に印加され、
メモリセルに書き込みが行われないように制御される。
【0091】
入力信号WEがLoになると、全てのワード線は0Vとなり、全てのビット線はフローテ
ィング状態となる。同時にタイミング制御回路は信号S0、S1、S2はそれぞれLoを
生成して出力P0、P1、P2から出力し、書き込み回路の出力Pwはフローティング状
態となる。上記動作により、書き込みは行われなくなる。
【0092】
記憶素子に複数段階の電圧を連続的に印加させることで、サイズの小さい記憶素子でも低
い電圧、短い電圧印加時間で導電性を変化させることが可能となる。また、本発明の手段
により書き込み時の消費電流を小さくし、消費電流が最大となる時間を短かくすることが
できるので、書き込み回路が有する電圧発生回路の小型化、記憶装置の小型化を実現する
ことができる。また、記憶素子に高いパルス電圧を印加すると導電性の変化量にばらつき
が生じ、記憶装置の信頼性を低下させる。しかしながら、本発明のように複数段階の電圧
を連続的に印加することで記憶素子の導電性の変化量が一定となり、記憶装置の信頼性を
向上させることができる。
【0093】
なお、本実施例は上記実施の形態1乃至3と自由に組み合わせて行うことができる。
【実施例2】
【0094】
本実施例では実施の形態2と異なる記憶装置の書き込み方法を説明する。本発明の書き込
みは記憶素子に複数段階の電圧を連続的に印加し、記憶素子の導電性を変化させることを
特徴とする。したがってnを2以上の整数とすると、本発明の記憶装置が有する書き込み
回路はn段階の電圧V1からVnを発生する電圧発生回路と、前記n段階の電圧を連続的
に出力するように制御するタイミング制御回路とを有する。そして記憶素子に電圧V1か
らVnを印加時間t1からtnで連続的に印加し、導電性を変化させることを特徴とする
。本発明を実施する場合、記憶素子のサイズや有機化合物層の膜厚、材料等を考慮して整
数n、電圧Vn、印加時間tnを決定する。整数nは2から5程度が望ましい。
【0095】
次に書き込みの印加電圧について説明する。実施の形態2では、記憶素子の第一の導電層
に正の電圧V1、V2を連続的に印加し、第二の導電層に0Vを印加する方法を説明した
。しかしながら本発明は上記形態に限定されず、負の電圧を用いて書き込みを行うことも
可能である。具体的には第一の導電層に正の電圧V1、V2を連続的に印加し、第二の導
電層に負の電圧Vmを印加する方法がある。ここで電圧V1を0Vにすることも可能であ
る。さらには第一の導電層に正の電圧V1を印加し、第二の導電層に負の電圧Vm、Vn
を連続的に印加する方法がある。ここで電圧V1を0V、電圧Vm、Vnを負の電圧とす
ることが可能であり、または電圧V1を正の電圧、電圧Vmを0V、電圧Vnを負の電圧
とすることも可能である。これはすなわち、正の電圧と負の電圧を利用して記憶素子の第
一の導電層と第二の導電層との間に複数段階の電位差を与え、記憶素子に書き込みを行う
ことを示している。
【0096】
このように負電圧を用いて書き込みを行うと、回路面積を縮小できる利点がある。なぜな
ら書き込み回路は正の電圧を発生させる昇圧回路、負の電圧を発生させる降圧回路を有し
、昇圧回路、降圧回路の面積は発生させる電圧の絶対値に比例して大きくなるからである
。例えば第一の導電層に正の電圧V1、V2を印加して第二の導電層に0Vを印加する時
の書き込み回路の面積をS1とし、第一の導電層に0Vと正の電圧V1を印加して第二の
導電層に負の電圧Vmを印加する時の書き込み回路の面積をS2とする。負の電圧Vmを
用いる書き込みは|V1|+|Vm|=|V2|であるから|Vm|<|V2|となり、
面積S2は面積S1よりも小さくなる。
【0097】
さらに、昇圧回路、降圧回路は、アンテナから受け取った信号を元に発生させる電圧の絶
対値が小さくなるほど消費電力が小さくなる。したがって、本発明を適用し、複数段階で
記憶素子への書き込みを行うことで、消費電力を低減することが可能になる。さらに上記
のように昇圧回路、降圧回路を組み合わせることによってアンテナから受け取った信号を
元に発生させる電圧の絶対値を小さくすることで、消費電力をさらに低減することができ
る。
【0098】
次に書き込み電圧を印加する方法について説明する。実施の形態2では|V1|<|V2
|で与えられる電圧V1、V2を印加する方法を説明した。しかしながら本発明はこれに
限定されず、整数n≧2において電圧V(n−1)、Vnの大きさを自由に設定すること
が可能である。
【0099】
実施の形態1で示したように、記憶素子の導電性が変化するメカニズムは次のように考え
られる。まず時間t0に電圧を印加すると有機化合物層に熱が発生して温度が上昇する。
次に時間tA後に有機化合物層の温度がガラス転移点に達して流動が始まる。そして時間
tB後に導電性が変化する。ここで電圧を印加している間は常時放熱が起こっている。
【0100】
上記メカニズムからデータの書き込みは次のように実施することが望ましい。
(A)時間t0からtAまでの間、有機化合物層からの放熱を起こりにくくするために電
圧を段階的に印加し、有機化合物層の温度を段階的に上昇させる。
(B)時間tAからtB間での間、ガラス転移点の温度を保つために放熱と同量のエネル
ギーに相当する電圧を印加する。
【0101】
例えば時間t0からtAの間にある一点の時間をtCとし、t0からtCまでの印加電圧
をV1、tCからtAまでの印加電圧をV2、tAからtBまでの印加電圧をV3とする
と、電圧の大きさを|V1|<|V2|>|V3|とすることが可能である。
【0102】
また、この場合においても負電圧を用いて記憶素子に複数段階の電位差を与え、書き込み
を行うことも可能である。
【0103】
このように記憶素子に複数段階の電圧を連続的に印加させることで、サイズの小さい記憶
素子でも低い電圧、短い電圧印加時間で導電性を変化させることが可能となる。また、本
発明の手段により書き込み時の消費電流を小さくし、消費電流が最大となる時間を短かく
することができるので、書き込み回路が有する電圧発生回路の小型化、記憶装置の小型化
を実現することができる。また、記憶素子に高いパルス電圧を印加すると導電性の変化量
にばらつきが生じ、記憶装置の信頼性を低下させる。しかしながら、本発明のように複数
段階の電圧を連続的に印加することで記憶素子の導電性の変化量が一定となり、記憶装置
の信頼性を向上させることができる。
【0104】
なお、本実施例は上記実施の形態1乃至3、実施例1と自由に組み合わせて行うことがで
きる。
【実施例3】
【0105】
本実施例ではデータを読み出しについて説明する。図12には、読み出しを説明するため
に必要な部分を抽出した記憶装置を示す。記憶装置はカラムデコーダ2001、ローデコ
ーダ2002、読み出し回路2003、セレクタ2005、メモリセルアレイ2006を
有する。メモリセルアレイ2006はビット線Bm(1≦m≦x)、ワード線Wn(1≦
n≦y)、前記ビット線とワード線との交点にx×y個のメモリセル2011を有する。
メモリセル2011はトランジスタ2012、記憶素子2013、共通電極2014を有
する。読み出し回路2003は電圧発生回路2007、センスアンプ2008、抵抗素子
2009、データ出力回路2010、入出力端子Prを有し、抵抗素子2009と入出力
端子Prとの間からセンスアンプ2008に入力する点をαとする。
【0106】
電圧発生回路2007は読み出し動作に必要な電圧Vread、Vrefを生成し、それ
ぞれP1、P2から出力する。データの読み出しは低い電圧を使用するため、電圧Vre
adは電源電圧(VDD)を使用することも可能である。電圧Vrefは電圧Vread
よりも低い電圧であり、電源電圧と接地電圧との抵抗分割により生成する。したがって読
み出し回路2003が有する電圧発生回路2007は、書き込み回路が有する電圧発生回
路とは異なる構成を有する。センスアンプ2008は点αの電圧と電圧Vrefとの大小
を比較してその結果を出力する。データ出力回路2010は読み出し制御信号(以降RE
と記載する)により制御され、センスアンプ2008の出力からメモリセルが有するデー
タを取得し、当該データを増幅して出力する。
【0107】
次に、m列n行目のメモリセル2011が有するデータを読み出す動作を説明する。まず
、行を指定するアドレス信号を受けたカラムデコーダ2001はm行のセレクタ2005
に信号を与え、セレクタ2005はm行のビット線Bmを読み出し回路の入出力端子Pr
に接続する。指定されていないビット線はフローティング状態となる。同様に列を指定す
るアドレス信号を受けたローデコーダ2002はn列のワード線Wnに電圧Vreadを
印加し、指定されていないワード線に0Vを印加する。同時に電圧発生回路2007の出
力P1、P2から電圧Vread、Vrefを出力し、共通電極2014に0Vを印加す
る。上記動作によって抵抗素子2009と記憶素子2013の直列抵抗に電圧Vread
を印加した状態となり、点αの電圧はこれら二つの素子によって抵抗分割された値を取る

【0108】
ここで点αの取りうる電圧を説明するために、図13に「1」の書き込みを行った記憶素
子のI−V特性2015、「0」の書き込みを行った記憶素子のI−V特性2016、抵
抗素子2009のI−V特性2017を示す。ここで抵抗素子2009はトランジスタと
する。また図13の横軸は点αの電圧を示す。「1」の書き込みを行った記憶素子のI−
V特性2015は、記憶素子2013の電気抵抗が小さいため、点αの電圧が小さくても
電流値が急激に増大する。「0」の書き込みを行った記憶素子のI−V特性2016は、
記憶素子2013がダイオード特性を示すため、点αの電圧がある値以上になると電流値
が増大し始める。抵抗素子のI−V特性2017は、点αの電圧が上昇すると電流値が減
少し、点αの電圧がVreadで電流値が0となる。
【0109】
図13から点αの取りうる電圧は次のように説明できる。記憶素子2013に「1」が書
き込まれているときは、「1」の書き込みを行った記憶素子のI−V特性2015と抵抗
素子のI−V特性2017との交点Aの電圧VAが点αの電圧となる。また記憶素子20
13に「0」が書き込まれているときは、「0」の書き込みを行った記憶素子のI−V特
性2016と抵抗素子のI−V特性2017との交点Bの電圧VBが点αの電圧となる。
【0110】
次にセンスアンプ2008は点αの電圧とVrefとの大きさを比較する。ここで電圧V
refは電圧VAよりも大きく電圧VBよりも小さい電圧とし、望ましくは(VA+VB
)/2とする。このように電圧を設定することで、センスアンプ2008により点αの電
圧がVrefよりも小さいと判断された場合、点αの電圧は電圧VAであると考えられ、
記憶素子2013には「1」が書き込まれていることが分かる。逆に点αの電圧がVre
fよりも大きいと判断された場合、点αの電圧は電圧VBであると考えられ、記憶素子2
013には「0」が書き込まれていることが分かる。
【0111】
点αの電圧がVrefよりも小さい場合、センスアンプは「1」を示す信号を出力し、点
αの電圧がVrefよりも大きい場合、センスアンプは「0」を示す信号を出力する。デ
ータ出力回路2010は、外部から入力される制御信号REを基に、センスアンプ200
8の出力信号からデータを取り込み、当該データを増幅して出力する。上記の動作により
読み出しを行うことができる。
【0112】
本実施例は記憶素子の抵抗値を電圧の大きさに置き換えて読み取っているが、本発明はこ
れに限定されずに実施することができる。例えば記憶素子の抵抗値を電流の大きさに置き
換えて読みとる方法や、ビット線をプリチャージする方法を採用することも可能である。
【0113】
なお、本実施例は、上記実施の形態1乃至3、実施例1乃至2と自由に組み合わせて行う
ことができる。
【実施例4】
【0114】
本発明の記憶装置、半導体装置はおもに半導体素子、記憶素子から構成されている。本実
施例では当該半導体素子、記憶素子の作製例を、断面図を用いて説明する。本明細書では
当該半導体素子、記憶素子を総称して素子群と記載する。
【0115】
本実施例では上記素子群をガラス基板上に作製する。その後、半導体装置又は記憶装置に
可撓性、軽量性等の付加価値を付けるため、ガラス基板上に作製した素子群を剥離して可
撓性を有する基板又はフィルム等に張り合わせる例を説明するが、本発明はこれに限定さ
れない。
【0116】
まず、ガラス基板4001上に剥離層4002を形成する(図14(A))。基板はガラ
ス以外にも石英、シリコン、金属等を用いることができる。剥離層4002は金属、珪素
等の元素や化合物を基板全面もしくは部分的に形成する。なお、ガラス基板4001上に
記憶装置、半導体装置を作製する場合は剥離層4002を形成しなくてもよい。次に、剥
離層4002を覆うように絶縁層4003を形成する。絶縁層4003は珪素酸化物、珪
素窒化物等で形成する。次に、絶縁層4003上に半導体層4004を形成し、レーザ結
晶化、金属触媒を用いた熱結晶化等により結晶化させ、その後所望の形状に加工する。次
に、半導体層を覆うようにゲート絶縁層4005を形成する。ゲート絶縁層4005は珪
素酸化物、珪素窒化物等で形成する。
【0117】
次に、ゲート電極層4006を形成する。ゲート電極層4006は導電性を持つ元素や化
合物で形成し、その後所望の形状に加工する。フォトリソグラフィ法により形状を加工す
る場合、レジストマスクをプラズマ等でエッチングすることでゲート電極幅を短くするこ
とができ、トランジスタの性能を高めることができる。図14(A)はゲート電極層を積
層構造に形成した場合を示す。次に、半導体層4004に不純物元素を添加してN型不純
物領域4007、P型不純物領域4008を形成する。不純物領域はフォトリソグラフィ
法によりレジストマスクを形成し、燐、砒素、ボロン等の不純物元素を添加する。次に、
窒素化合物等により絶縁層を形成し、当該絶縁層を垂直方向の異方性エッチングすること
でゲート電極の側面に接する絶縁層4009(以降サイドウォールと記載する)を形成す
る(図14(B))。次に、N型不純物領域を有する半導体層に不純物を添加し、サイド
ウォール4009直下の第一のN型不純物領域4010と、第一の不純物領域よりも高い
不純物濃度を有する第二のN型不純物領域4011とを形成する。上記の工程によりN型
トランジスタ4012、P型トランジスタ4013が形成される。
【0118】
続いてN型トランジスタ4012、P型トランジスタ4013を覆うように絶縁層401
4を形成する(図14(C))。絶縁層4014は絶縁性を有する無機化合物、有機化合
物等により形成する。図14(C)は絶縁層4014を積層構造で形成したものを示す。
次に、第二のN型不純物領域4011、P型不純物領域4008を露出させるコンタクト
ホールを形成し、当該コンタクトホールを充填するように導電層4015を形成し、当該
導電層4015を所望の形状に加工する。導電層4015は導電性を有する金属元素や化
合物等で形成する。次に、導電層4015を覆うように絶縁層4016を形成する。絶縁
層4016は絶縁性を有する無機化合物、有機化合物等で形成する。
【0119】
次に記憶素子の構成を図15(A)に示す。まず、導電層4015を露出させるコンタク
トホールを形成し、当該コンタクトホールを充填するように導電層4017を形成し、当
該導電層4017を所望の形状に加工する。導電層4017は導電性を有する金属元素や
化合物等で形成する。導電層4017は記憶素子の第一の導電層となる。次に、導電層4
017を覆うように絶縁層4018を形成する。絶縁層4018は隣り合う記憶素子同士
を電気的に分離させるため、高い絶縁性を有する無機化合物、有機化合物等で形成する。
次に、導電層4017を露出させるコンタクトホールを形成する。半導体装置を作製する
場合はここでアンテナ、もしくはアンテナを接続するための配線を、導電層4017に接
するように形成する。図15(A)はアンテナ4019を示す。次に、導電層4017と
接するように有機化合物層4020を形成し、その後導電層4021を形成する。有機化
合物層4020は、電気的作用を加えることにより電気特性が変化する有機化合物を用い
て形成する。導電層4021は導電性を有する金属元素や化合物等で形成する。導電層4
021は記憶素子の第二の導電層となる。次に保護層4022を形成する。保護層402
2は絶縁性を有する化合物、樹脂等により形成する。
【0120】
また、上記と異なる構成の記憶素子の構成を図15(B)に示す。まず導電層4015を
露出させるコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールを充填するように導電層4
017を形成し、当該導電層4017を所望の形状に加工する。導電層4017は導電性
を有する金属元素や化合物等で形成する。導電層4017は記憶素子の第一の導電層とな
る。半導体装置を作製する場合はここでアンテナ、もしくはアンテナを接続するための配
線を、導電層4017と接するように形成する。図15(B)はアンテナ4019を示す
。次に導電層4017上に所望の形状の有機化合物層4023を形成する。有機化合物層
4023は、電気的作用を加えることにより電気特性が変化する有機化合物を用いて形成
する。次に有機化合物層4023の間を充填するように絶縁層4024を形成する。絶縁
層4024は隣り合う記憶素子同士を電気的に分離させるため、高い絶縁性を有する無機
化合物、有機化合物等で形成する。次に有機化合物層4023と絶縁層4024上に、所
望の形状の導電層4025を形成する。導電層4025は導電性を有する金属元素や化合
物等で形成する。導電層4025は記憶素子の第二の導電層となる。次に保護層4026
を形成する。保護層4026は絶縁性を有する化合物、樹脂等により形成する。
【0121】
絶縁層、導電層、素子を形成する各々の層は単一材料の単層構造、もしくは複数の材料の
積層構造で形成することができる。
【0122】
上記の工程により作製した半導体素子が有する半導体層は、非晶質半導体、微結晶半導体
、マイクロクリスタル半導体、多結晶半導体、有機半導体等のいずれを用いてもよい。良
好な特性の半導体素子を得るためには、200度から600度の温度(好適には350度
から500度)で結晶化した結晶質半導体層(低温ポリシリコン層)や、600度以上の
温度で結晶化した結晶質半導体層(高温ポリシリコン層)を用いることができる。さらに
良好な特性の半導体素子を得るためには、金属元素を触媒として結晶化した半導体層や、
レーザにより結晶化した半導体層を用いるとよい。また、プラズマCVD法によりSiH
/Fガス、SiH/Hガス等を用いて形成した半導体層や、前記半導体層にレー
ザ照射を行ったものを用いるとよい。さらに回路内の半導体素子が有する半導体層は、キ
ャリアの流れる方向(チャネル長方向)と平行に延びる結晶粒界を有する。このような半
導体層は連続発振レーザ(CWLC)や10MHz以上(好ましくは60〜100MHz
)で動作するパルスレーザで形成することができる。
【0123】
また、半導体層の厚さは20nm〜200nm(好ましくは50nm〜150nm)とす
るとよい。さらに、半導体層(特にチャネル形成領域)に1×1019atoms/cm
〜1×1022atoms/cmの濃度(好ましくは1×1019atoms/cm
〜5×1020atoms/cmの濃度)で水素又はハロゲン元素を添加すると、欠
陥が少なくクラックが生じにくい活性層を得ることができる。
【0124】
上記のように作製したトランジスタは、S値(サブスレッシュホールド値)が0.35V
/sec以下(好ましくは0.09〜0.25V/dec)を有する。また、移動度は1
0cm/Vs以上の特性を有するとよい。さらに当該トランジスタは、電源電圧が3〜
5Vで動作するリングオシレータで1MHz以上(好ましくは10MHz以上)の特性を
有することが望ましい。また、本実施例に示されたトランジスタは基板上に半導体層、ゲ
ート絶縁層、ゲート電極層を順に積層を積層させた構造を取るが、この例には限定されず
、ゲート電極層、絶縁膜、半導体層を順に積層させる構造を取ることも可能である。また
本実施例のN型のトランジスタは第一のN型不純物領域と第二のN型不純物領域を有する
が、この例には限定されず不純物領域における不純物濃度が一様であっても良い。
【0125】
また、素子群は複数の層に渡って設けられていてもよい。多層構造で作製する場合は、層
間での寄生容量を低減するために層間絶縁膜の材料として低誘電率材料を用いるとよい。
例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の樹脂材料、シロキサン系ポリマー等の重合によっ
てできた化合物材料などが挙げられる。寄生容量を低減した多層構造を採用すれば、小面
積化、動作の高速化、低消費電力化を実現することができる。また、アルカリ金属の汚染
を防ぐための保護層を設けることで、信頼性を向上することができる。当該保護層は窒化
アルミニウム、窒化珪素膜等の無機材料により形成し、回路内の素子を包むように、また
は回路全体を包むように設けるとよい。
【0126】
次に、上記のように構成した素子群をガラス基板4001から剥離し、可撓性を有する基
板又はフィルム等へ張り付ける方法を説明する。素子群をガラス基板4001から剥離し
て可撓性を有する基板、フィルム等へ張り付ける場合、当該素子群の厚さは5μm以下(
好ましくは1μm〜3μm)であることが望ましい。また、本発明の半導体装置を構成す
る場合、素子群の面積は5mm角以下(好ましくは0.3mm角〜4mm角)であること
が望ましい。
【0127】
まず剥離層4002が露出するように開口部4027を形成し、当該開口部4027にエ
ッチング剤を導入して剥離層4002を部分的に除去する図16(A)。次に、ガラス基
板上面方向から第一の可撓性基板4029を接着し、剥離層4002を境に素子群402
8をガラス基板4001から第一の可撓性基板4029側へ移し取る。次に、素子群40
28がガラス基板4001と接していた側に第二の可撓性基板4030を接着することで
、可撓性を有する記憶装置、半導体装置を作製することができる図16(B)。可撓性基
板としてはプラスティックフィルム、紙等を用いることができる。外部からの影響を最小
限にするため、第一の可撓性基板4029と第二の可撓性基板4030とが同一の厚さを
有し、素子群4028が断面の中心に存在することが望ましい。
【0128】
上記工程において素子群4028にアンテナを接続する配線のみを作製した場合、第一の
可撓性基板4029にアンテナを作製し、素子群4028と接着することで半導体装置を
作製することが可能である。また、曲面を有する可撓性基板に素子群4028を張り付け
る場合、半導体素子のキャリアの流れる方向(チャネル長方向)と曲線の方向とを同一に
すると半導体素子への影響を少なくすることができる。
【0129】
また、本実施例においては開口部4027から剥離層4002をエッチングした後に素子
群4028を第一の可撓性基板4029へ移し取る方法を挙げたが、本発明はこの例には
限定されない。例えば剥離層4002を開口部4027からのエッチング工程のみで除去
した後、素子群4028を可撓性基板へ移しかえる方法や、開口部4027を設けずに第
一の可撓性基板4029を貼り付けて素子群4028をガラス基板から剥がし取る方法、
さらにはガラス基板4001を裏面から研磨して素子群4028を得る方法などがあり、
これらの方法を組み合わせて行うことも可能である。ガラス基板を裏面から研磨する以外
の方法で素子群4028を可撓性基板へ移しかえる工程を用いれば、素子群4028を作
製するためのガラス基板4001が再利用できる利点がある。
【0130】
このように本発明は、記憶素子の材料に有機化合物を用いて大判のガラス基板や可撓性基
板上に低温プロセスで作製することができ、さらには基板の再利用も可能であるため安価
な半導体装置を提供することができる。
【0131】
また低温プロセスで作製することができるため、半導体装置や記憶装置が有するメモリセ
ルアレイ及び書き込み回路等の回路は、ガラス基板又は可撓性基板に一体形成することが
できる。その結果、半導体装置や記憶装置の小型化を達成することができる。
【0132】
なお、本実施例は上記実施の形態1乃至3、上記実施例1乃至3と自由に組み合わせて行
うことができる。
【実施例5】
【0133】
本実施例では記憶素子の作製方法を説明する。記憶素子は図1に示すように、第一の導電
層101と第二の導電層103との間に有機化合物層102が挟まれて設けられている。
本実施例ではこれら3つの層について層構造、材料、作製方法等を説明する。
【0134】
まず、基板上に第一の導電層を形成する。第一の導電層は導電性を有する材料によりプラ
ズマCVD法、はスパッタリング法を用いて形成し、所望の形状に加工を行う。第一の導
電層を形成する材料としては、実施の形態1で挙げたITOの他に、電気抵抗の低いチタ
ン(Ti)、チタンを主成分とする合金、チタン化合物材料、アルミニウム(Al)等が
ある。第一の導電層はこれらの材料のいずれか一つを用いて単層構造で形成するか、もし
くは複数の材料を用いて積層構造で形成する。また実施例4で示したように半導体素子上
に記憶素子を形成する場合は、下層の半導体素子に悪影響を与ないように配慮する必要が
ある。そのため、第一の導電層を形成するフォトグラフィ工程はウエットエッチング加工
を行い、エッチング剤にはフッ化水素(HF)、またはアンモニア過水を用いると良い。
【0135】
次に、第一の導電層上に有機化合物層を形成する。有機化合物層の材料は電気的作用を加
えることで電気特性が変化する有機化合物を用いる。例えば、電圧を加えることで、伝導
性が変化する(より具体的には、電気抵抗が変化する)有機化合物の例としては実施の形
態1で挙げたNPBやTPDの他に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェ
ニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N
−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’
−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン
(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ
)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミ
ン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物、ポリビニルカルバゾール(略
称:PVK)、又はフタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:Cu
Pc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物等がある
。上記の有機化合物は正孔輸送性が高い性質を有する。
【0136】
さらに、電気的作用を加えることで電気特性が変化する有機化合物の例として挙げられる
のは、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチ
ル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベ
ンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キ
ノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨
格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料や、ビス[2−(2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2
−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキ
サゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。さ
らに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェ
ニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−t
ert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称
:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビ
フェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチ
ルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−
トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、
バソキュプロイン(略称:BCP)等がある。上記の有機化合物は電子輸送性が高い性質
を有する。
【0137】
他にも有機化合物層の材料として使用できる有機化合物には、4−ジシアノメチレン−2
−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピ
ラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,
7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5
−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジ
ル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマ
リン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3
)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9
,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テト
ラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)等が挙げられる。また、上記材料を分散して層
を形成する場合、母体となる材料として9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−
ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、4,4’−ビス
(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、ビス[2−
(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−
ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)などの金属錯体等
を用いることができる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq
)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチ
ル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等
がある。
【0138】
有機化合物層は上記材料のいずれか一つを用いて単層構造で形成するか、もしくは複数の
材料を用いて積層構造で形成する。
【0139】
また、上記有機化合物材料に金属酸化物、金属窒化物等を混在させてもよい。当該金属酸
化物として周期表第4族から第12族のいずれかの遷移金属酸化物を用いるとよく、例え
ば酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化レニウム、酸化タングステン、酸化ルテニウム
、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル等がある
。有機化合物材料に金属酸化物、金属窒化物を混在させることによって有機化合物層の結
晶化を抑制することができ、抵抗の増加を伴わずに有機化合物層を厚く形成することが可
能となる。有機化合物層を厚膜化することで基板上にゴミや汚れ等に起因する凹凸がある
場合でも当該凹凸に起因する不良を防止することができる。また、本発明の記憶装置を可
撓性基板上に設ける場合、記憶素子の層を厚く形成することで物理的応力による記憶素子
の破壊を回避することができる。
【0140】
有機化合物層は液滴吐出法、スピンコート法、蒸着法等により形成する。有機化合物層は
使用する有機物材料等の条件により、成膜時に所望の形状に有機化合物層を形成する方法
と、有機化合物層を成膜した後所望の形状に加工する方法とがある。例えば使用する有機
化合物層が熱や化学的作用に弱い場合、有機化合物層は成膜時に所望の形状に加工するこ
とが望ましい。当該方法の例としてはメタルマスクを使用して所望の形状に有機化合物層
を形成する方法や、液滴吐出法により有機化合物層を所望の形状に描画する方法がある。
メタルマスクとは所望の形状に穴をあけた金属板であり、有機化合物の蒸着時に材料と基
板との間に当該金属板を置くことで当該形状の膜を作製することができる。また、液滴吐
出法とはインクジェット法やディスペンサ法等液滴を吐出してパターンを形成する方式の
総称であり、材料を無駄にしないという利点がある。また、有機化合物が熱や化学的作用
に比較的強い場合、有機化合物層を成膜した後に形成することができる。例えば蒸着法、
スピンコート法等で有機化合物層を成膜した後に、フォトリソグラフィ法により所望の形
状に加工する方法がある。スピンコート法による成膜は非常に容易に行うことができると
いう利点がある。
【0141】
次に、第二の導電層を形成する。第二の導電層はスパッタリング法、蒸着法等を用いて、
導電性を有する材料により形成する。第二の導電層を形成する材料としては実施の形態1
で挙げたアルミニウムの他に、第一の導電層と同様に電気抵抗の低いチタン(Ti)、チ
タンを主成分とする合金、チタン化合物材料等がある。第二の導電層はこれらの材料のい
ずれか一つを用いて単層構造で形成するか、もしくは複数の材料を用いて積層構造で形成
する。また第二の導電層には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウ
ム錫酸化物、酸化亜鉛を含む酸化インジウム等の透光性材料を用いることができる。
【0142】
第二の導電層は先に形成した有機化合物層の特性に影響を与えないように形成する。つま
り使用する有機化合物の材料により、成膜時に所望の形状を加工する方法と成膜後に所望
の形状に加工する方法とがある。これらの方法は、有機化合物層の形成と同様、メタルマ
スクでの蒸着法、液滴吐出法、蒸着やスピンコートによる成膜後に形成する方法等がある

【0143】
また実施例4でも示したように、隣接する記憶素子の間には絶縁層を設ける。記憶素子の
集積密度を高くすることは記憶装置の小型化にとって重要であるが、同時に記憶素子間の
距離が小さくなり隣接する記憶素子が電気的な相互作用を持ち、記憶装置の誤動作の原因
となる。したがって記憶素子間の絶縁層には非常に絶縁性の高い材料を使用することが望
ましく、例えば珪素の酸化物、珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベ
ンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料等で形成する。絶縁層はこれらの材
料のいずれか一つを用いて単層構造で形成するか、もしくは複数の材料を用いて積層構造
で形成する。当該絶縁層は液滴吐出法、スピンコート法等を用いて形成する。また、シロ
キサン等の材料を用いて、SOG法によって形成してもよい。また、絶縁層は0.75μ
m〜3μmの厚さを有することが望ましい。
【0144】
上記工程により本発明の記憶装置が有する記憶素子を作製することができる。当該記憶素
子は三層の薄膜から成る構造であり、容易に作製することが可能である。さらに当該記憶
素子は有機化合物を材料とする低温のプロセスで作製でき、ガラス等の大きな基板に作製
することが可能である。
【0145】
なお、本実例は、上記実施の形態1乃至3、実施例1乃至4と自由に組み合わせて行うこ
とができる。
【実施例6】
【0146】
上記実施の形態および実施例で説明したように、二つの電極間に複数段階の電圧を印加す
ることによって記憶素子に情報を記憶させる方法は、有機メモリ以外にも用いる事ができ
る。本実施例では、薄膜トランジスタと同じ形状を有する記憶素子に対して上記書き込み
方法を適用する例を説明する。まず、薄膜トランジスタ(TFTとも記載する。)と同じ
形状を記憶素子を有する半導体装置について説明する。
【0147】
絶縁基板上に作製したTFTは、ゲート電極と二つの不純物領域のうち少なくともどちら
か一方との間に通常の駆動電圧よりも高い電圧を印加すると、TFTのチャネル領域が絶
縁状態になる。このことを利用して記憶装置を構成することができる。このとき、全体の
回路構成は図5に示すものと同様である。
【0148】
記憶装置を構成するメモリセルの例を図17に示す。図17(B)はメモリセルが記憶素
子1707のみで構成される例を示している。記憶素子1707はTFTと同様の形状を
有することから三端子素子であり、ゲート電極はワード線1708に接続され、高濃度不
純物領域(ソースもしくはドレイン)の一方にビット線1709が接続される。そしても
う一方の高濃度不純物領域に信号線1710が接続される。
【0149】
図17(A)はメモリセルが選択用のトランジスタ1701および記憶素子1702で構
成される例を示す。選択用のトランジスタ1701は、ゲート電極がTFTを選択するワ
ード線1703に接続され、高濃度不純物領域の一方(ソースもしくはドレインの一方)
が接地等の定電位源1704に接続されている。そしてもう一方の高濃度不純物領域が記
憶素子と接続されている。記憶素子1702もTFTと同様ゲート電極と二つの高濃度不
純物領域の三端子により構成され、ゲート電極は記憶素子を選択するワード線1705に
接続され、高濃度不純物領域の一方はビット線1706に接続される。そして、もう一方
の高濃度不純物領域が選択用のトランジスタと接続される。
【0150】
記憶素子の断面図を図18(A)に示す。絶縁基板上に作製したTFTは、ゲート電極と
二つの不純物領域(ソースもしくはドレイン)のうち少なくともどちらか一方との間に、
通常TFTとして動作させる時よりも高い電圧を印加するとチャネル領域が絶縁状態にな
る。たとえば、図18(A)に示す記憶素子は、絶縁基板1801の上に半導体膜180
2、ゲート絶縁膜1805、ゲート電極1806を有する。ここで、絶縁基板1801上
には下地となる保護膜1809を形成した後に半導体膜1802を形成することも可能で
ある。そして半導体膜1802は二つの高濃度不純物領域1803とチャネル領域180
4とを有する。
【0151】
この記憶素子のゲート電極と二つの不純物領域のどちらか一方に高い電圧を印加した後の
模式図を図18(B)に示す。図18(B)に示す記憶素子は、少なくとも半導体膜のチ
ャネル領域1804が変質し、ゲート電極の下に絶縁化した領域1808ができる。そし
てゲート電極と二つの高濃度不純物領域1803の3端子間がすべて絶縁状態になる。図
18(B)に示す絶縁化した領域1808は模式的に示したものであり、実際の絶縁化し
た領域はさまざまな形状を取る。
【0152】
ゲート電極と二つの不純物領域の少なくとも一方との間にTFTの通常動作よりも高い電
圧(ここでは書き込み電圧と記載する。)を印加すると、ゲート絶縁膜に電流が流れて熱
が発生する。絶縁基板は基本的に熱伝導率が低いので、絶縁基板上に作製された素子の中
で大量の熱が発生しても熱の逃げる場所がなく、その熱がゲート絶縁膜や半導体膜を変質
てしまう。これによってゲート電極と二つの高濃度不純物領域の3端子間を絶縁状態にす
ることができる。
【0153】
本実施例では上記の機構を利用して、電圧をかける前の記憶素子を「1」の状態、記憶素
子に書き込み電圧を印加してチャネル領域を絶縁化したものを「0」の状態とする。記憶
素子の状態と符号「0」、「1」の対応はこの限りではないが、便宜上、本発明の明細書
内においては上記の対応を用いる。
【0154】
ここで簡単な回路動作を説明するために、4ビットのメモリセルアレイの記憶装置を図1
9に示す。メモリセルは記憶素子のみで構成される例を示している。メモリセルアレイは
、2本のワード線1901、1902、2本のビット線1903、1904、2本のソー
ス線1905、1906、4つの記憶素子1907乃至1910からなる。記憶素子19
07乃至1910は、例えば、ゲート電極と、高濃度不純物領域の一方もしくは両方の間
に電圧V1以上を時間t1秒以上印加することで、チャネル領域が絶縁状態になるもので
あるとする。
【0155】
ここで、記憶素子1907に「0」を書き込むための回路動作の一例を述べる。書き込み
は、記憶素子1907のゲート電極と二つの不純物領域のうち少なくともどちらか一方と
の間に書き込み電圧を印加すればよい。したがってワード線1901に電圧V1、ビット
線1903とソース線1905に0Vを、時間t1秒印加することで記憶素子に情報を書
き込むことができる。
【0156】
このとき、他の記憶素子に、「0」の書き込みが起こらないようにワード線1902、ビ
ット線1904、ソース線1906の電圧を決める必要がある。たとえば上記書き込み電
圧と同時に、ワード線1902に電圧0Vを印加、ビット線1904とソース線1906
とに電圧V2(0<V2<V1)を印加することで、記憶素子1907のみに書き込み電
圧が印加されて書き込みを行うことができる。ここで、電圧V2を0<V2<V1とした
が、電圧V2は電圧V1の半分程度が好ましいと考えられる。これは、記憶素子1907
への書き込み動作時に記憶素子1908へ印加される電位差が最小となり、誤った書き込
みを防止することができるためである。
【0157】
次に、記憶素子1907に「1」を書き込む回路動作の一例を述べる。記憶素子1907
に「1」を書き込むということは、書き込み電圧を印加せずに初期状態を保つということ
なので、たとえばすべてのワード線1901、1902、ビット線1903、1904、
ソース線1905、1906を同電圧にするなど、「0」の書き込み動作が起こらないよ
うにすればよい。これは一例であり、回路制御により各ワード線1901、1902、ビ
ット線1903、1904、ソース線1905、1906の電位を適当に決定してよい。
【0158】
次に、記憶素子1907の読み出し動作の例を示す。読み出し動作は、記憶素子1907
が書き込み処理を受けず、「1」の状態、つまりTFTのままであるか、書き込み処理を
受けて、「0」の状態、つまり記憶素子1907のチャネル領域が絶縁状態に変化してい
るかを判断すればよい。したがって、記憶素子1907のゲート電極に閾値以上の電圧V
3を印加し、二つの高濃度不純物領域間に電流が流れるか否かを判断する。
【0159】
例えば動作の一例を示すと、読み出し操作の前にビット線1903をプリチャージし、ワ
ード線1901に電圧V3、ソース線1905に電圧0Vを印加し、ビット線1903の
電位を読み出すように設定する。記憶素子1907が書き込み処理を受けておらず、「1
」の状態であったとすると、ワード線1901に電圧V3が印加されているので二つの不
純物領域は導通し、ビット線1903の電圧は0Vになる。逆に、記憶素子1907が書
き込み処理を受け、「0」の状態であったとすると、ビット線1903とソース線190
5は絶縁しているので、ビット線1903はプリチャージ電圧のままとなる。
【0160】
このとき、他の記憶素子の情報を間違えて読み出さないようにワード線1902、ビット
線1904、ソース線1906の電圧を決める必要がある。たとえば、ワード線1902
とソース線1906に電圧0Vを印加し、ビット線1904は読み出しの選択がされない
ようにすることでその問題を回避できる。
【0161】
例えば記憶素子1907に「0」を書き込む場合の例を図20を用いて示す。まず図20
(A)に示すように書き込み開始から時刻t2までの間に、ワード線1901に第一の電
圧V4、ビット線1903およびソース線1905に0Vを印加する。次いで時刻t2か
らt3までの間に、ワード線1901に第二の電圧V5、ビット線1903およびソース
線1905に0Vを印加する。
【0162】
図示した時刻tは書き込み開始時刻を0とし、電圧の切り替が時刻t2、書き込み終了は
時刻t2+t3である。ここで時刻t2およびt3は、0<t2<t2+t3であり、t
3はt1よりも小さくなることを特徴とする。また印加電圧V4、V5は、0<V4<V
5であり、V5はV1よりも小さくなることを特徴とする。
【0163】
このとき隣接する他の記憶素子に書き込みが起こらないようにワード線1902、ビット
線1904およびソース線1906の電圧を決める必要がある。例えば図20(B)に示
すように、上記書き込み期間中にワード線1902には0V、ビット線1904およびソ
ース線1906には電圧V6を印加することによって誤記を防ぐことができる。
さらには図20(C)に示すように書き込み期間において、ワード線1902には常時0
Vを印加する。そしてビット線1904およびソース線1906には、書き込み開始から
時刻t2までは電圧V7を印加し、時刻t3には電圧V8を印加することによって誤記を
防ぐことも可能である。
【0164】
上記のように書き込み電圧を複数段階に分けて印加することにより、ワード線やビット線
が共通している書き込み対象でない記憶素子に印加される電圧を低くすることが可能にな
る。したがって、本発明の書き込み方法を適用することによって、書き込み対象以外の記
憶素子への誤記を低減することが可能である。
【0165】
上記のような各線への印加電圧は、記憶素子の動作電圧や書き込み電圧等の動作特性によ
って任意に決定することができる。さらには印加電圧を上記のように2段階に分けて印加
することも可能であるが、それ以上(3段階以上)に分けて印加することも可能である。
【0166】
また記憶素子1907へ「0」を書き込む別の例を図21を用いて説明する。まず、ビッ
ト線1903は書き込み開始から終了まで0Vを印加し、ソース線1905には書き込み
開始から終了までの間、負の電圧V9を印加する。そして、ワード線1901には書き込
み開始から時刻t4までの間は0Vを印加し、時刻t4から時刻t5までは正の電圧V1
0を印加することで書き込みを行うことができる。
【0167】
図示した時刻tは上記同様書き込み開始時刻を0とし、電圧の切り替えが時刻t4、書き
込み終了は時刻t4+t5である。ここで、時刻t4およびt5は、0<t4<t4+t
5であり、t5はt1よりも小さくなることを特徴とする。また印加電圧V9、V10は
、0<|V9|<|V9|+|V10|であり、|V9|+|V10|はV1よりも小さ
くなることを特徴とする。
【0168】
このとき隣接する他の記憶素子に書き込みが起こらないようにワード線1902、ビット
線1904およびソース線1906へ印加する電圧を決める必要がある。例えば印加電圧
が|V9|=|V10|であるなら、ワード線1902、ビット線1904およびソース
線1906にはそれぞれ0Vを印加しても、他の記憶素子に印加される電圧は書き込み電
圧に到達しないので誤記は起こらない。
【0169】
さらには、電圧を時間的に変化させて書き込みを行っていることを利用して、他の記憶素
子への誤った書き込みを防ぐことができる。すなわち、書き込みを行わない記憶素子に書
き込み電圧V1ほどではないが高い電圧が印加される場合には、その高い電圧が書き込み
に必要な時間t1以上印加されないように、ワード線1902、ビット線1904および
ソース線1906に段階的に電圧を印加して誤記を回避することが可能である。
【0170】
ここで示した書き込み電圧の印加方法は上記方法のみに限定されず、印加電圧を変更した
り入れ替えたりすることも可能である。例えば上記例ではワード線1901に正の電圧を
段階的に印加し、ソース線1905に負の電圧を印加したが、ビット線1903に正の電
圧を印加し、ワード線1901に負の電圧を段階的に印加する等の方法をとることも可能
である。すなわち上記方法に限定されることなく、回路動作に応じて誤記が生じないよう
な電圧を印加することが可能である。
【0171】
このように本実施例では、メモリセルが「スイッチ素子」と「絶縁体」の2値をとること
から、メモリセルを1つのTFTのみで構成することができる。これは、周辺回路を構成
するTFTと同一に形成することができるので、製造コストを削減することができる。さ
らにメモリセルを1つの記憶素子のみで構成することができるので、メモリセルアレイの
面積を縮小することができ、記憶容量を増やすにも有利である。
【0172】
また、当該メモリに本発明の書き込み方法を適用することによって、隣接するメモリセル
への誤った書き込みが起こる確率を低減することができ、信頼性の高い記憶装置を提供す
ることができる。
【0173】
さらに、当該メモリに本発明の書き込み方法を適用する事によって、書き込み電圧を低く
することができ、低消費電力での駆動を実現することができる。例えばこのようなライト
ワンスメモリは、無線で通信を行うRFID(ICタグ、IDチップ等、様々な呼び方が
ある。)等に適用することが考えられる。RFIDは無線で電力を供給され、無線で通信
を行うことから少しでも少ない電力によって駆動することが望まれる。このような場合に
本発明の書き込み方法は低消費電力を実現する方法を提供することができる。
【0174】
なお、本実施例は上記実施の形態1乃至3、実施例1乃至5と自由に組み合わせて行うこ
とができる。
【実施例7】
【0175】
本実施例では、フラッシュメモリ等のフローティングゲート(浮遊ゲート)を有する不揮
発性メモリに本発明の書き込み方法を適用する例を示す。本発明の書き込み方法は、記憶
素子に複数段階の電圧を連続的に印加し、記憶素子の導電性を変化させることを特徴とす
る。したがってnを2以上の整数とすると、本発明の記憶装置が有する書き込み回路はn
段階の電圧V1からVnを発生する電圧発生回路と、前記n段階の電圧を連続的に出力す
るように制御するタイミング制御回路とを有する。そして、記憶素子に電圧V1からVn
を印加時間t1からtnで連続的に印加することで書き込みを行うことを特徴とする。
【0176】
図22に不揮発性メモリの一例として、記憶素子を直列に接続した構成のフラッシュメモ
リを有する記憶装置図を示す。図22において、記憶装置はカラムデコーダ2201、ロ
ーデコーダ2202、読み出し回路2204、書き込み回路2205、セレクタ2203
、メモリセルアレイ2206を有する。メモリセルアレイは記憶素子2207〜2215
、トランジスタ2216〜2218、信号線2219〜2224によって構成される。上
記回路構成を有する記憶装置においてm行n列の記憶素子へ書き込みを行う場合、セレク
タ2203を介してm行目の記憶素子を選択し、信号線2219〜2224を介してn列
目の記憶素子を選択する。そして、書き込み回路2205から記憶素子に複数段階の電圧
を連続的に印加することで書き込みを行うことができる。
【0177】
次に、フラッシュメモリが有する記憶素子の構成例を、図23に示す。記憶素子は基板2
301、高濃度不純物領域(ソースもしくはドレイン)2302、2303、第一の酸化
膜2304、フローティングゲート2305、第二の酸化膜2306、コントロールゲー
ト2307より構成される。また、フローティングゲート2305は酸化膜に包まれ、ど
ことも電気的に接続していない。
【0178】
次に、上記構成の記憶素子へ書き込みを行う方法の例を説明する。高濃度不純物領域(ソ
ースもしくはドレイン)の少なくとも一方に電圧V1、V2を連続的に印加し、コントロ
ールゲートに電圧V3、V4を、高濃度不純物領域(ソースもしくはドレイン)に対して
正になるように連続的に印加する。これはすなわち、記憶素子の高濃度不純物領域(ソー
スもしくはドレイン)とコントロールゲートとの間に電圧差を与えることにより、フロー
ティングゲートに自由電子を注入し、書き込みを行うことを示している。
【0179】
すなわち本発明の書き込み方法は、記憶素子に電圧V1からVnを印加時間t1からtn
で連続的に印加し、自由電子をフローティングゲート注入することを特徴とする。本発明
を実施する場合、記憶素子のサイズやフローティングゲート及び酸化膜の膜圧、材料等を
考慮して整数n、電圧Vn、印加時間tnを決定する。整数nは2から5程度が望ましい

【0180】
記憶素子のコントロールゲートとソース電極及びドレイン電極に、連続的に複数段階の電
圧を印加することで、フラッシュメモリ等のフローティングゲートを有する不揮発性メモ
リに書き込みを行うことが可能となる。本発明の手段を適用することにより書き込み時の
印加電圧を小さくでき、不揮発性メモリの消費電流を小さくすることができる。
【0181】
フラッシュメモリへの書き込みや消去には、12〜13V程度の高い電圧を必要とし、電
源電圧とクロックパルスを用いて高い電圧を作り出す昇圧回路によってこれらの電圧を生
成する。昇圧回路は、ダイオードとコンデンサ(またはインダクタ等)が形成され、昇圧
回路自体も、昇圧回路を駆動させるためのバッファ等も含めて非常に多くの電力を消費す
る。この消費電力は、生成する電圧の絶対値が大きくなる程大きくなる。したがって、本
発明を適用して複数段階の電圧を印加することで記憶素子に書き込みを行うことで、昇圧
回路の回路面積を小さくし、消費電力を低減することができる。
【0182】
また、記憶素子に高いパルス電圧を印加すると隣接する記憶素子に誤って書き込まれる場
合がある。本発明の書き込み方法を適用することで、隣接する記憶素子に高い電圧がかか
らないようにし、誤って書き込まれる可能性を低減することができる。また、例えばトン
ネル電流を利用した書き込みを行う場合に、書き込み電圧が最大となる時間を短くするこ
とができるので、ホット・エレクトロンの発生と注入が抑えられ、酸化膜の劣化を防止で
きる。
【0183】
なお、本実施の形態は上記実施の形態1乃至3、実施例1乃至6と自由に組み合わせて行
うことができる。
【実施例8】
【0184】
本実施の形態では本発明の半導体装置の具体的な使用例を説明する。
【0185】
本発明の半導体装置の用途は広範にわたるが、例えば本発明の半導体装置の一形態である
無線タグは紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記
録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子
機器等に設けて使用することができる。
【0186】
紙幣、硬貨とは市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの
(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指す。証
書類とは、運転免許証、住民票等を指す。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフ
ト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す。書籍類と
は、書物、本等を指す。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す。身の回り
品とは、鞄、眼鏡等を指す。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指す。食品類とは、
食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健
康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬
等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像
機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
【0187】
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等に無線タグを設けることにより、偽造
を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品
類、生活用品類、電子機器等に無線タグを設けることにより、検品システムやレンタル店
のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等に無線タグ
を設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止するこ
とができる。無線タグの設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりし
て設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有
機樹脂に埋め込んだりするとよい。
【0188】
このように半導体装置を物の管理や流通のシステムに応用することでシステムの高機能化
を図ることができる。例えば図24(A)に示すように、本発明の半導体装置3001が
実装された品物3002をベルトコンベアにより搬送し、ベルトコンベアの脇にリーダラ
イタ3003を設けることで品物3002の検品を簡単に行うことができる。
【0189】
さらに図24(B)に示すように、表示部3004を含む携帯端末3005の側面にリー
ダライタ3003を設け、上記検品された品物3002に実装された半導体装置3001
をかざすと、表示部3004に品物3002の原材料、原産地、流通過程の履歴等が表示
されるシステムにすることが可能である。
【0190】
本実施例は、上記実施の形態1乃至3、実施例1乃至7と自由に組み合わせて行うことが
できる。
【符号の説明】
【0191】
101 導電層
102 有機化合物層
103 導電層
501 カラムデコーダ
502 ローデコーダ
503 セレクタ
504 回路
505 回路
506 メモリセルアレイ
507 メモリセル
508 記憶装置
601 トランジスタ
602 記憶素子
603 共通電極
604 整流素子
701 電圧発生回路
702 タイミング制御回路
1001 半導体装置
1002 共振回路
1003 電源回路
1004 クロック発生回路
1005 復調回路
1006 制御回路
1007 不揮発性メモリ
1008 符号化回路
1009 変調回路
1010 リーダライタ
1011 通信回線
1012 コンピュータ
1701 トランジスタ
1702 記憶素子
1703 ワード線
1704 定電位源
1705 ワード線
1706 ビット線
1707 記憶素子
1708 ワード線
1709 ビット線
1710 信号線
1801 絶縁基板
1802 半導体膜
1803 高濃度不純物領域
1804 チャネル領域
1805 ゲート絶縁膜
1806 ゲート電極
1808 領域
1809 保護膜
1901 ワード線
1902 ワード線
1903 ビット線
1904 ビット線
1905 ソース線
1906 ソース線
1907 記憶素子
1908 記憶素子
1909 記憶素子
1910 記憶素子
2001 カラムデコーダ
2002 ローデコーダ
2003 回路
2005 セレクタ
2006 メモリセルアレイ
2007 電圧発生回路
2008 センスアンプ
2009 抵抗素子
2010 データ出力回路
2011 メモリセル
2012 トランジスタ
2013 記憶素子
2014 共通電極
2015 I−V特性
2016 I−V特性
2017 I−V特性
2201 カラムデコーダ
2202 ローデコーダ
2203 セレクタ
2204 回路
2205 回路
2206 メモリセルアレイ
2207 記憶素子
2216 トランジスタ
2219 信号線
2301 基板
2302 ドレイン
2304 酸化膜
2305 フローティングゲート
2306 酸化膜
2307 コントロールゲート
3001 半導体装置
3002 品物
3003 リーダライタ
3004 表示部
3005 携帯端末
4001 ガラス基板
4002 剥離層
4003 絶縁層
4004 半導体層
4005 ゲート絶縁層
4006 ゲート電極層
4007 N型不純物領域
4008 P型不純物領域
4009 絶縁層
4010 N型不純物領域
4011 N型不純物領域
4012 N型トランジスタ
4013 P型トランジスタ
4014 絶縁層
4015 導電層
4016 絶縁層
4017 導電層
4018 絶縁層
4019 アンテナ
4020 有機化合物層
4021 導電層
4022 保護層
4023 有機化合物層
4024 絶縁層
4025 導電層
4026 保護層
4027 開口部
4028 素子群
4029 可撓性基板
4030 可撓性基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域、第2の領域、及び前記第1の領域と前記第2の領域との間に設けられた第3の領域を有する半導体膜と電極とに挟まれて設けられた絶縁膜を有する記憶素子の、前記第1の領域又は前記第2の領域の少なくとも一方と前記電極との間に、少なくとも第1の電圧を印加した後、前記第1の電圧より高い第2の電圧を印加することにより、前記記憶素子の電気特性を変化させることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記電圧の印加により、前記第1の領域と前記第2の領域と前記電極との間を絶縁状態にすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
半導体膜、第1の絶縁膜、第1の導電層、第2の絶縁膜、及び第2の導電層が順次形成された構造を有する記憶素子の、前記半導体膜と前記第2の導電層との間に、少なくとも第1の電圧を印化した後、前記第1の電圧より高い第2の電圧を印加することにより、前記記憶素子の電気特性を変化させることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
第1の領域、第2の領域、及び前記第1の領域と前記第2の領域との間に設けられた第3の領域を有する半導体膜と電極とに挟まれて設けられた絶縁膜を有する記憶素子と、
前記第1の領域又は前記第2の領域の少なくとも一方と前記電極との間に、少なくとも第1の電圧を印加した後、前記第1の電圧より高い第2の電圧を印加する回路とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記電圧の印加により、前記第1の領域と前記第2の領域と前記電極との間が絶縁状態になることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
半導体膜、第1の絶縁膜、第1の導電層、第2の絶縁膜、及び第2の導電層が順次形成された構造を有する記憶素子と、
前記半導体膜と前記第2の導電層との間に、少なくとも第1の電圧を印加した後、前記第1の電圧より高い第2の電圧を印加する回路とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一において、
前記回路に信号を送信するアンテナを有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−33948(P2012−33948A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214261(P2011−214261)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2006−13880(P2006−13880)の分割
【原出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】