説明

回路パターンの検査装置及び検査方法

【課題】レシピ作成及び欠陥確認の使い勝手がよく、かつ明確に行うことのできる回路パターンの検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】レシピ作成及び欠陥確認において、対話形式の操作機能を搭載する。レシピ作成の各項目(コントラスト、キャリブレーション等)で必要な入力及び入力目的を明確にする。あわせて、欠陥確認での各項目(クラスタリング、フィルタリング等)で必要な入力及び入力目的を明確にする。これら入力されて得られた結果はレシピに登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置や液晶等といった微細な回路パターンを有する基板、特に半導体ウエハ上の回路パターンの検査技術に係り、半導体ウエハ上に形成した回路パターンに光,レーザ光,又は荷電粒子線を照射して得られるウエハの外観画像を使用して検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、半導体ウエハ上にフォトマスクによって回路パターンを形成し、これをリソグラフィー処理及びエッチング処理により半導体ウエハ上に転写する工程を繰り返すことによって製造される。半導体装置の製造では、上述したリソグラフィー処理やエッチング処理をはじめとする各処理の良否、並びに製造過程での異物発生等が、製品としての半導体装置の歩留り等に大きな影響を及ぼす。そのため、半導体装置の製造では、各処理の異常や不良の発生を早期に検知し、又は事前に察知することが重要になってくる。そこで、半導体装置の製造では、製造工程毎に、半導体ウエハ上に形成された回路パターンの検査を行い、対処をはかっている。
【0003】
このような半導体装置の製造過程で用いられる検査装置の例としては、レーザ光等をパターンに照射して得られる光学画像を用いて異常を判断する光学式外観検査装置、電子線等の荷電粒子線でパターンを走査して発生する二次電子や反射電子の信号強度に基づき取得した画像を用いて異常を判断する電子線式検査装置、等が知られている。そして、これら各種の検査装置が、半導体ウエハ上に形成した回路パターンの検査に実際に用いられている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−258703号公報
【特許文献2】米国特許明細書USP5,502,306
【特許文献3】特開昭59−160948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の検査装置にあっては、光,レーザ光,又は荷電粒子線を照射することにより得られた半導体ウエハの基板表面の外観画像を用いて、半導体ウエハ上に形成された回路パターンの異常や不良の発生の検査を行う場合、種々の検査条件を予め装置に設定しておかなければならない。また、これら種々の検査条件としての、例えば、光,レーザ光,又は荷電粒子線を半導体ウエハに照射する条件、この照射条件のもとで検出器の出力に基づき取得する半導体ウエハの取得画像についての明るさ条件、取得画像における所定画像を装置に欠陥部分として認識させるための閾値条件、等の主要な検査条件をとってみても、各検査条件の設定内容の違いが検査結果に多大な影響を及ぼすばかりか、この各検査条件の設定自体や各検査条件相互の調整も複雑であるため、検査条件の設定作業や調整作業が難しかった。そのため、この種の検査装置を用いれば、利用するユーザ誰もが、半導体ウエハの基板表面の外観画像の取得や当該外観画像を用いた異常判断等を、的確かつ容易に行うことがきるとは必ずしも限らず、装置としてのその使い勝手が悪かった。特に、この種の検査装置では、検査結果を表示するための画面機能が備えられているが、検査条件の設定作業時は、単に設定が必要な主要な検査条件の項目を画面上に羅列して表示するものに過ぎず、この画面機能が検査条件の的確かつ容易な設定や調整のために充分に生かされていなかった。
【0006】
そのため、半導体ウエハの基板表面に生じた求めたい異常や不良といった欠陥をこの種の検査装置を用いて的確に検出するためには、これら検査条件のそれぞれ設定や相互の組み合わせによる調整を的確に行うことができる、半導体検査の熟練者が検査作業に従事する必要があった。
【0007】
本発明は、従来のこのような問題点を鑑みなされたものであって、これら検査するための主要な条件を羅列するのではなく、対話形式により必要な検査条件を順次、的確にユーザに入力させ、その入力目的を明確にすることにより、ユーザが半導体検査の熟練者でなくても、検出したい欠陥を素早く的確に検知することができる回路パターンの検査装置及び検査方方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の回路パターンの検査装置は、ウエハの回路パターンが形成された基板表面に光、レーザ光又は荷電粒子線のいずれかを照射する照射手段と、該照射によって基板から発生する信号を検出する検出手段と、該検出手段によって検出された信号を画像化して前記ウエハの回路パターンの画像を検査画像として取得する検査画像取得手段と、該検査画像取得手段によって取得された検査画像を、当該検査画像とは別の同一の回路パターンから取得された基準画像と比較し、当該比較結果から当該検査画像の取得先の回路パターン上に生じた欠陥部を判別する欠陥判別手段とを備えた回路パターンの検査装置であって、前記検査画像取得手段によって取得された検査画像に基づく分析画像、及び前記欠陥判別手段の欠陥判別結果に基づく分析画像を同一画面上に配置した欠陥確認画面を生成する分析結果表示手段と、該分析結果表示手段によって生成された欠陥確認画面上から、対話形式で情報を入力させる入力手段と、該入力手段によって前記欠陥確認画面上に配置された検査画像に基づく分析画像又は判別結果に基づく分析画像のいずれか一方に対して前記入力手段によって操作入力がなされた場合は、前記入力手段による一方の分析画像に対する操作入力に連動させて他方の分析画像の表示内容を対応変更させる画像連動手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の回路パターンの検査方法は、ウエハの回路パターンが形成された基板表面に光、レーザ光又は荷電粒子線のいずれかを照射する照射し、該照射によって基板から発生する信号を検出し、当該検出された信号を画像化して前記ウエハの回路パターンの画像を検査画像として取得して、該検査画像を、当該検査画像とは別の同一の回路パターンから取得された基準画像と比較し、当該比較結果から当該検査画像の取得先の回路パターン上に生じた欠陥部を判別する回路パターンの検査方法であって、前記検査画像に基づく分析画像、及び前記欠陥判別結果に基づく分析画像を同一画面上に配置した欠陥確認画面を生成する分析結果表示工程、該分析結果表示工程によって生成された欠陥確認画面上から、対話形式で情報を入力させる入力工程、該入力工程によって前記欠陥確認画面上に配置された検査画像に基づく分析画像又は判別結果に基づく分析画像のいずれか一方に対して前記入力工程によって操作入力がなされた場合は、前記入力工程による一方の分析画像に対する操作入力に連動させて他方の分析画像の表示内容を対応変更させる画像連動工程
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明は、更にウェハマップからドラッグ選択又はチップで選択された欠陥の画像を一覧表示出来る手段を有する回路パターン検査装置を提供する。
【0011】
そして、本発明では、欠陥確認画面上に配置された一の分析画像としてのウェハマップからドラッグ選択又はチップで選択された欠陥の詳細情報を、別の分析画像としてグラフ表示できる回路パターン検査装置を提供する。
【0012】
また、本発明では、欠陥確認画面上に配置された一の分析画像としてのウェハマップからドラック選択又はチップで選択された欠陥について、別の分析画像から少なくとも分類コード、クラスタリンググループを設定できる回路パターン検査装置を提供する。
【0013】
また、本発明では、欠陥確認画面上に配置された一の分析画像としてのウェハマップからドラック選択又はチップで選択された欠陥について、少なくとも別の分析画像から設定した分類コード、クラスタリンググループからフィルタ情報を作成することができる回路パターン検査装置を提供する。
【0014】
また、本発明では、更に上記作成したフィルタをレシピに登録できる回路パターン検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検査装置のレシピ作成が飛躍的に容易化され、検出したい欠陥を素早く的確に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態による回路パターンの検査装置及び検査方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
なお、説明に当たり、本発明の回路パターンの検査装置及び検査方法とは、光、レーザ光又は荷電粒子線の中の少なくとも何れかを利用し、回路パターンが形成された半導体ウエハ等の被検査基板の寸法測定,観察,又は外観検査を可能とする検査装置及び検査方法として定義する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態による回路パターンの検査装置の構成図である。
図2は、図1に示した検査装置の部分拡大構成図である。
【0019】
本実施の形態による回路パターンの検査装置1は、上述の荷電粒子線を利用した検査装置の適用した場合の一実施例である。
【0020】
図1において、回路パターンの検査装置1は、室内が真空排気される検査室2と、検査室2内に被検査基板9を搬送するための予備室(本実施例では図示せず)を備えている。この検査室2及び予備室は、図示省略した排気手段によって、それぞれ独立に真空排気できる構成になっている。また、検査装置1は、上記検査室2と予備室の他に、画像処理部5及び制御部6を備えている。さらに、検査室2には、電子光学系3,二次電子検出部7,試料室8,光学顕微鏡部4の各部が設けられている。
【0021】
ここで、検査装置1における検査室2,画像処理部5及び制御部6の中の、検査室2の構成について、まず説明する。
【0022】
電子光学系3は、電子銃10,電子線引き出し電極11,コンデンサレンズ12,ブランキング偏向器13,絞り14,走査偏向器15,対物レンズ16,反射板17,ExB偏向器18を有する。
【0023】
電子銃10は、図示した例の場合、拡散補給型の熱電界放出電子源を用いて構成されている。この拡散補給型の熱電界放出電子源は、従来の例えばタングステン(W)フィラメント電子源や冷電界放出型電子源といった電子源に比べて、安定した電子線電流を確保することができ、明るさ変動の少ない電子線画像が得られる。また、電子銃10からの電子線電流も大きく設定することができるため、高速検査が実現できる。
【0024】
電子銃10の熱電界放出電子源によって生成された電子線、すなわち試料に照射する電子線(以下、一次電子線と称す)19は、電子銃10と引き出し電極11との間に引き出し電圧を印加することで、電子銃10から引き出される。この一次電子線19の加速は、電子銃10に高電圧の負の電位を印加することでなされる。これにより、一次電子線19は、その電位に相当するエネルギーで後述する試料台30の方向に進み、コンデンサレンズ12で収束され、ブランキング偏向器13,絞り14,走査偏向器15を経て、さらに対物レンズ16により細く絞られて、試料台30上のX−Yステージ31,32上に搭載された被検査基板9(半導体ウエハ,チップあるいは液晶、又はマスク等微細回路パターンを有する基板)に照射される。
【0025】
その際、ブランキング偏向器13は、一次電子線19をブランキングする必要がある時に、一次電子線19を偏向して、一次電子線19が絞り14を通過しないように制御する。また、走査偏向器15は、走査信号に基づいて一次電子線19を偏向して、一次電子線19の被検査基板9上における照射位置を走査する。
【0026】
なお、ブランキング偏向器13及び走査偏向器15には、走査信号及びブランキング信号を発生する走査信号発生器44が接続され、コンデンサレンズ12及び対物レンズ16には、各々レンズ電源45が接続されている。
【0027】
一方、ExB偏向器18は、X−Yステージ31,32上に搭載された被検査基板9の上方に配置される。ExB偏向器18は、被検査基板9上に一次電子線19を照射することによって発生した二次電子51に、電圧と磁界を印加して、二次電子51を所定の方向に偏向する。ExB偏向器18は、二次電子51に印加する電圧と磁界の強度に応じて、二次電子51の偏向量を調整することができる。ExB偏向器18は、後述のリターディング電源36により試料としての被検査基板9に印加した負の電圧に連動させて、その電圧と磁界の印加量を可変できる。
【0028】
ExB偏向器18により偏向された二次電子51は、所定の条件で反射板17に衝突する。この反射板17は、被検査基板9に照射する一次電子線19の走査偏向器15のシールドパイプと一体的に構成され、円錐形状をしている。この反射板17に、加速された二次電子51が衝突すると、反射板17からは数V〜50eVのエネルギーを持つ第二の二次電子(以下、二次電子線と称す)52が発生する。
【0029】
二次電子検出部7は、真空排気される検査室2内の対物レンズ16の上方に二次電子検出器20を配置し、この検査室2の外にプリアンプ21,AD変換器22,光変換手段23,光伝送手段24,電気変換手段25,高圧電源26,プリアンプ駆動電源27,AD変換器駆動電源28,逆バイアス電源29、及び検査室2を配置して構成されている。そして、二次電子検出器20,プリアンプ21,AD変換器22,光変換手段23,プリアンプ駆動電源27,AD変換器駆動電源28は、高圧電源26により正の電位にフローティングされている。このフローティング電位に基づく吸引電界によって、二次電子51が反射板17に衝突して発生した二次電子線52は、二次電子検出器20に導かれる。
【0030】
二次電子検出器20は、反射板17に加速された二次電子51が衝突することによって発生した二次電子線52を、走査偏向器15による一次電子線19の走査のタイミングと連動して検出する。このとき、二次電子検出器20から出力されるアナログ検出信号は、検査室2の外に設置されたプリアンプ21に供給され、プリアンプ21により増幅されて、AD変換器22に供給される。
【0031】
AD変換器22は、二次電子検出器20からプリアンプ21を介して供給されるアナログ検出信号をデジタル信号に逐次変換し、デジタルデータからなる画像信号を生成する。このように、AD変換器22は、二次電子検出器20から供給されるアナログ検出信号をその供給直後にデジタル化してから画像信号を生成するので、従来よりも高速で且つSN比の高い画像信号を得ることができる。そして、AD変換器22の出力であるデジタル画像信号は、光変換手段23で光信号に変換され、光伝送手段24によって画像処理部5に伝送される。
【0032】
次に、試料室8の構成について説明する。図示の例の場合、試料室8は、試料台30,Xステージ31,Yステージ32,位置モニタ測長器34,被検査基板高さ測定器35が備えられた構成になっている。
【0033】
X−Yステージ31,32上には、試料としての被検査基板9が搭載される。検査実行時には、X−Yステージ31,32を静止させて一次電子線19を二次元に走査する検査方法と、X−Yステージ31,32をY方向に連続して一定速度で移動されるようにして一次電子線19をX方向に直線に走査する検査方法とのいずれかが選択可能になっている。ある特定の比較的小さい領域を検査する場合には、前者のステージを静止させて一次電子線19を走査する検査方法が、比較的広い領域を検査するときは、ステージを連続的に一定速度で移動させながら一次電子線19を走査する検査方法が有効である。
【0034】
位置モニタ測長器34は、例えばレーザ干渉による測長計を用いて構成され、Xステージ31及びYステージ32の位置を実時間でモニタする。そのモニタ結果は、補正制御回路43を介して、制御部6に転送される。また、Xステージ31,Yステージ32それぞれのモータの回転数等のデータも同様に各々のドライバから、補正制御回路43を介して、制御部6に転送される構成されている。後述する制御部6は、これらのデータに基づいて一次電子線19が照射されている領域や位置が正確に把握できるようになっている。一次電子線19の照射位置の位置ずれは、必要に応じて実時間で、制御部6と接続された補正制御回路43によって補正されるようになっている。また、被検査基板9毎に、電子線19を照射した領域を記憶できるようにもなっている。
【0035】
被検査基板高さ測定器35は、電子ビーム以外の測定方式である光学式測定器、例えばレーザ干渉測定器や反射光の位置で変化を測定する反射光式測定器によって構成され、X−Yステージ上31,32に搭載された被検査基板9の高さを実時間で測定する。図示の例では、被検査基板高さ測定器35は、スリットを通過した細長い白色光を透明な窓越しに被検査基板9に照射し、反射光の位置を位置検出モニタにて検出し、位置の変動から高さの変化量を算出する方式が用いられている。この被検査基板高さ測定器35の測定データは補正制御回路43に供給され、補正制御回路43はこの測定データに基づいて、一次電子線19を細く絞るための対物レンズ16の焦点距離をダイナミックに補正し、常に非検査領域に焦点が合った一次電子線19を照射するようになっている。また、被検査基板9の反りや高さ歪みを電子線照射前に予め測定しておき、そのデータを基に対物レンズ16の検査領域毎の補正条件を設定する構成とすることも可能である。
【0036】
さらに、X−Yステージ31,32は、搭載された被検査基板9にリターディング電源36から負の電圧を印加できる構成になっている。このリターディング電源36の電圧を調節することにより一次電子線19を減速し、電子銃10の電位を変えずに被検査基板9への電子線照射エネルギーを最適な値に調節することができる。また、被検査基板9上に一次電子線19を照射することによって発生した二次電子51は、被検査基板9に印加された負の電圧によって加速される。
【0037】
次に、検査装置1の光学顕微鏡部4についてその構成を説明する。
光学顕微鏡部4は、光源40,光学レンズ41,CCDカメラ42を備えて構成され、検査室2の室内における電子光学系3の近傍であって、互いに影響を及ぼさない程度離れた位置に配備されている。その際、電子光学系3と光学顕微鏡部4との間の距離は既知の所定距離になっている。そして、Xステージ31又はYステージ32が電子光学系3と光学顕微鏡部4との間の既知の距離を往復移動し、被検査基板9が電子光学系3、光学顕微鏡部4それぞれで検査可能になっている。
【0038】
そして、本実施の形態では、光学顕微鏡部4のCCDカメラ42により撮像された被検査基板9の基板表面のデジタル画像信号も、前述の二次電子検出器20の検出信号に基づく被検査基板9の基板表面のデジタル画像信号と同様に、光変換手段23で光信号に変換され、光伝送手段24によって画像処理部5に伝送される構成になっている。
【0039】
次に、検査装置1の画像処理部5についてその構成を説明する。
画像処理部5は、第一画像記憶部46,第二画像記憶部47,演算部48,欠陥判定部49,モニタ50を備えて構成されている。
【0040】
検査装置1における検査室2に設けられた二次電子検出器20で検出されデジタル化された被検査基板9の電子線画像信号、及びCCDカメラ42で撮像された被検査基板9の光学画像信号は、図示の例の場合、それぞれ光信号に変換されて光伝送手段24を介して、画像処理部5に伝送される。
【0041】
この検査室2から伝送される光信号に変換された被検査基板9の電子線画像信号及び光学画像信号は、画像処理部5に備えられた電気変換手段25によって再び電気信号に変換された後に、制御部6による制御下で、被検査基板9の電子線画像信号は、第1画像記憶部46又は第2画像記憶部47に取り込まれ、記憶されるようになっている。
【0042】
演算部48は、この中の一方の記憶部46(47)に記憶された画像信号ともう一方の記憶部47(46)に記憶された画像信号との位置合わせ,信号レベルの規格化,ノイズ信号を除去するための各種画像処理を施し、双方の画像信号を比較演算する。
【0043】
欠陥判定部49は、演算部48にて比較演算された差画像信号の絶対値を所定のしきい値と比較し、所定のしきい値よりも差画像信号レベルが大きい場合にその画素を欠陥候補と判定し、その位置や欠陥数等を取得する。
【0044】
そして、画像処理部5に取り込まれた電子線画像又は光学画像、また欠陥判定部49による判定結果をはじめとする欠陥位置や欠陥数等の結果情報は、後述する制御部6によって、欠陥毎に識別のための欠陥ID(Identification)を付され、例えば検査対象の被検査基板9毎に纏められて検査結果データとして後述する記憶部56に記憶・蓄積されるとともに、表示制御部57を介してモニタ50に表示される構成になっている。本実施の形態では、この表示制御部57は、OSD(On Screen Display)手段58を備えている。
【0045】
次に、検査装置1の制御部6についてその構成を説明する。
制御部6は、検査装置1の装置各部を制御する。これに伴い、制御部6は、装置各部に対してその作動制御命令を供給する構成になっており、そのための指示及び動作条件が入力可能な可能な構成になっている。本実施の形態の場合は、制御部6には、キーボード,マウスといった指示及び動作条件を設定入力するための入力操作部53と、検査結果や後述するレシピを記憶しておくための記憶部56とが接続されて設けられており、さらに、制御部6には、モニタ50に検査結果やGUI(Graphical User Interface)を表示制御し、表示制御部57に備えられたOSD手段58を作動制御するためのするための条件設定・調整制御手段70としての機能を備えている。
【0046】
この入力操作部53の操作に基づき、制御部6では、予め電子線発生時の加速電圧,電子線偏向幅,偏向速度,二次電子検出装置の信号取り込みタイミング,試料台移動速度等の観察条件を、目的に応じて任意にあるいは選択して設定できる構成になっている。
【0047】
また、制御部6は、補正制御回路43を用いて、位置モニタ測長器34,被検査基板高さ測定器35の信号から位置や高さのずれをモニタし、その結果より補正信号を生成し、電子線が常に正しい位置に照射されるように対物レンズ電源45や走査信号発生器44に補正信号を供給する構成にもなっている。
【0048】
また、制御部6は、その電子光学系3を用いて被検査基板9の画像を取得するために、細く絞った一次電子線19を該被検査基板9に照射し、二次電子51を発生させ、これらを一次電子線19の走査及びX−Yステージ31,32の移動と同期して検出することで、二次電子検出部7のAD変換器22から被検査基板9表面の画像信号を得る構成になっている。
【0049】
さらに、本実施の形態の検査装置1では、制御部6は、電子光学系3を用いて被検査基板9を検査するにあたって必要な検査条件を設定入力するための制御を、その条件設定・調整制御手段70等が行う構成になっている。なお、この条件設定・調整制御手段70による制御構成については、追って詳細に説明する。
【0050】
そして、上述したような構成を採用した検査装置1の場合、回路パターンの自動検査では検査速度が速いことが必須となる。そのため、その電子光学系3では、通常のSEM(scanning electron microscope)のようにpAオーダーの電子線電流の電子線を低速で走査したり、多数回の走査を行って各々の走査画像を重ね合せたりすることは行わない。また、検査装置では、絶縁材料への帯電を抑制するためにも、電子線走査は高速で一回あるいは数回程度にする必要がある。そこで、本実施の形態の検査装置1では、その電子光学系3は、通常SEMに比べ約100倍以上の、例えば100nAの大電流電子線を一回のみ走査することにより画像を形成する構成になっている。そのために、走査幅は100μmとし、1画素は0.1μmの大きさとし、1回の走査を1μsで行う構成になっている。
【0051】
次に、この回路パターンの検査装置1および方法を用いて半導体ウエハを検査した適用例について述べる。
【0052】
図3は、半導体装置の製造プロセスの一実施例の説明図である。
図3に示すように、半導体装置は多数のパターン形成工程P1〜Pnを繰り返している。例えば、パターン形成工程Pk(整数1〜nのいずれか)では、大まかに、成膜Pk-1・感光レジスト塗布Pk-2・感光Pk-3・現像Pk-4・エッチングPk-5・レジスト除去Pk-6・洗浄Pk-7の各ステップにより構成されているものとする。
【0053】
ところで、このような半導体装置の製造プロセスでは、各ステップPk-1〜Pk-7において加工のための製造条件が最適化されていないと、基板上に形成する半導体装置の回路パターンが正常に形成されない。
【0054】
例えば、図3の成膜工程Pk-1で異常が発生すると、パーティクルが発生し、半導体ウエハ表面に付着し、孤立欠陥等になる。また、感光工程Pk-3で、感光時に感光のための露光装置の焦点や露光時間等の条件が最適でないと、レジストの照射する光の量や強さが多すぎる箇所や足りない箇所が発生し、ショートや断線,パターン細りとなる。同じく感光工程Pk-3で、感光時のマスク・レチクルに欠陥があると、感光単位であるショット毎に同一箇所に同様のパターン形状異常が発生する。また、エッチング工程Pk-5で、エッチング量が最適化されていない場合や、エッチング途中に生成された薄膜やパーティクルによって、ショートや突起,孤立欠陥,開口不良等が発生する。洗浄工程Pk-7では、洗浄層の汚れや剥離した膜や異物の再付着により微小なパーティクルが発生すると、乾燥時の水切れ条件により表面に酸化膜の厚さむらを発生し易い。
【0055】
そこで、図1に示した回路パターン検査方法及び装置1を半導体装置の製造プロセスに適用することにより、異常の発生を高精度かつ早期に検知することができ、当該工程に異常対策処置を講ずることができ、さらには、これらの不良が発生しないように加工条件を最適化することができる。
【0056】
例えば、現像工程Pk-4後に回路パターン検査工程Qk-4を実施すれば、フォトレジストパターンの欠陥や断線が検出された場合には、感光工程Pk-3の露光装置の露光条件や焦点条件が最適でないという事態が推定され、焦点条件あるいは露光量の調整等によってこれらの条件が即座に改善される。また、これらの欠陥が各ショット間で共通して発生しているか否かを欠陥分布から調べることにより、パターン形成に用いられているフォトマスク・レチクルの欠陥が推定され、フォトマスク・レチクルの検査や交換がいち早く実施される。その他の工程についても同様であり、本発明の回路パターンの検査装置および方法を適用し、検査工程を実施することにより、各種欠陥が検出され、検出された欠陥の内容によって各製造工程の異常の原因が推定される。
【0057】
したがって、このような半導体装置の製造プロセスにおいて、本実施の形態による回路パターンの検査装置1及び方法をインラインで実施することにより、各種製造条件の変動や異常発生を検査実時間内に検知することができるため、多量の不良発生を未然に防ぐことができる。また、本実施の形態による回路パターンの検査装置1及び方法を適用し、検出された欠陥の程度や発生頻度等から当該半導体装置全体の良品取得率を予測することができ、半導体装置の生産性を高めることができるようになる。
【0058】
図4は、本実施の形態の回路パターンの検査装置及び方法によってモニタに表示される欠陥確認画面である。
【0059】
本実施の形態の回路パターンの検査装置及び方法による欠陥確認画面100は、4つの表示部、マップ表示部110,画像表示部120,リスト表示部130,グラフ表示部140に大別して構成され、図1に示すモニタ50に表示される。
【0060】
図4に示した欠陥確認画面100において、マップ表示部110は、欠陥があったウエハ90及びダイ91について、そのウエハ90又はダイ91内における欠陥部の所在を示したマップMpを表示する。画像表示部120は、マップ表示部110に表示されたマップMpから選択された欠陥部の画像を表示する。リスト表示部130は、マップMpから選択された対応する欠陥部の情報をリスト表示し、本実施の形態では、欠陥情報を設定するために利用されるものである。グラフ表示部140は、マップMpから選択された欠陥部に関しての種々の詳細情報をグラフで表示し、本実施の形態では、欠陥判定のための検査条件等を設定するために利用されるものである。
【0061】
これら4つの表示部110,120,130,140を備えた欠陥確認画面100は、それぞれのモニタ50の画面エリアを使用したユーザ動作と連動して変化することで、より迅速で容易な欠陥確認及びレシピ作成を可能としている。
【0062】
ここで、ウエハ90を検査するために必要なレシピRpについて説明する。
本実施の形態の回路パターンの検査装置1では、レシピRpは、ウエハ90を検査するためのデータの集まりを指す。また、本実施の形態では、レシピRpは、品種データDqと工程データDpとの階層構造を取って構成されている。本実施の形態の回路パターンの検査装置1の場合、レシピRpは図1に示した記憶部56に予め格納されて記憶されており、制御部6が検査作業を行う都度、ユーザにより指示されたレシピRpを読み出し、補正制御回路43,欠陥判定部49といった検査装置1の各部に必要なデータやレシピRpに基づく指示等を供給する構成になっている。
【0063】
図5は、本実施の形態の回路パターンの検査装置及び方法に採用されているレシピのデータ構成図である。
【0064】
レシピRp中における品種データDqは、例えば64M‐DRAM等といった、検査対象である回路パターンの種別データを示すものである。本実施の形態では、品種データDqとして、ウエハ情報データDq1、ダイレイアウトデータDq2が含まれている。
【0065】
この場合、ウエハ情報データDq1は、ウエハ径が200mmや300mmといったウエハの大きさによる種別と、ウェハタイプがオリフラかノッチかといったウエハの位置合わせの方法による種別とを表す。ダイレイアウトデータDq2は、ウエハ転写する単位であるショットのサイズやショット数、ショット内のダイのサイズやダイ数を表す。
【0066】
また、レシピRp中における工程データDpは、例えば配線接続を表す「LINE」等といった、検査対象の回路パターンの作業工程の種別データを示す。そして、本実施の形態では、工程データDpとしては、照射条件データDp1,アライメントデータDp2,検査領域データDp3,検査条件データDp4,レビュー条件データDp5が含まれている。
【0067】
この場合、照射条件データDp1は、ウエハに照射する荷電粒子線に対するリターディング電圧等の荷電粒子線の照射条件を示す。検査実行時は、検査装置1は、制御回路6が補正制御回路43を用いてこの電圧値を設定し、画像を取得する。アライメントデータDp2は、予備室から検査室2(試料室)にウエハを搬入した際のずれを補正するデータを示す。例として、ダイ番号やダイレイアウト内アライメント座標、そしてダイ原点オフセットデータがある。検査領域データDp3は、ウエハを検査する際の領域を示す。この領域は、例えば領域の始点と終点等の座標で管理される。検査条件データDp4は、実際に検査する際に適応する画像処理用のフィルタの種別やしきい値、画像の明るさやコントラスト等を示す。例としては、フィルタの種別としては、検査時の画像のノイズを低減させるスムージングフィルタ等がある。レビュー条件データDp5は、検査が終了して欠陥を観察する条件を示す。例としては、観察用の照射条件,クラスタ条件,欠陥分類条件,フィルタ条件等がある。
【0068】
本実施の形態の場合、この工程データDpは品種データDqを介して他の工程データDpとリンクされる構造を取り、例えば一つに品種データDqに対して、「工程A」,「工程B」の2種類の工程データDp(A),Dp(B)があった場合、「工程B」の工程データDp(B)を読み出して、この「工程B」が付随する品種データDqのダイレイアウトデータDq2を変更したならば、「工程A」が付随する品種データDq2の「ダイレイアウト」も変更されることなる。しかし、「工程B」自身のアライメントデータDp2(B)を書き換えた場合(例えば、「アライメントダイ」を変更した)は、「工程A」のアライメントデータDp2(A)への影響はない。
【0069】
本実施の形態の検査装置1では、このようなレシピ構造を採ることにより、同一工程の一斉変更が可能となる。
【0070】
また、図5に示したレシピRpのデータ構成に代えて、工程データDp毎に対応した複数の品種データDqを採る構造への変更した場合には、「工程A」と「工程B」それぞれ独立に「ウエハ情報」,「ダイレイアウト」情報を持つことも可能である。
【0071】
次に、ウエハの検査を行った結果の検査結果データDrのデータ構造について説明する。検査結果データDrは、検査対象の被検査基板9の検査後(すなわち、ウエハ90の検査後)、例えば検査対象の被検査基板9毎に纏められて、図1に示した記憶部56に格納され、記憶されている。
【0072】
図6は、本実施の形態の回路パターンの検査装置による検査結果データのデータ構成図である。
【0073】
本実施の形態の場合、検査結果データDrとしては、欠陥情報データDr1,レシピ情報データDr2,検査情報データDr3等がある。
【0074】
この場合、欠陥情報データDr1は、画像処理部5が参照画像と比較して検出した欠陥の情報データを示す。レシピ情報データDr2とは、回路パターンを検査した際に使用したレシピの情報を示す。例としては、図5に示したレシピRpに格納されているデータ全てを格納する。検査情報データDr3は、ウエハ90を検査した際における上述した欠陥の検出に伴い、取得した様々なデータを示す。例として、「欠陥個数」,「検査面積に対する欠陥密度」,「検査した時間」,「検査した日時」等がある。
【0075】
そして、本実施の形態の場合、欠陥情報データDr1には、検出した欠陥箇所毎、すなわち、欠陥IDデータDrs毎の項目情報データDrs1〜Drsnが付随する構成になっている。検出した欠陥IDデータDrs毎の項目情報データDrs1〜Drsnは、本実施の形態では、欠陥それぞれを識別するために付された欠陥IDに関連付けられて記憶された、欠陥座標データDrs1,欠陥アドレスデータDrs2,欠陥面積データDrs3,欠陥サイズデータDrs4,アスペクト比データDrs5,分類コードデータDrs6,クラスタ番号データDrs7,検査方式データDrs8,濃淡差データDrs8,欠陥画像情報データDrs10がある。
【0076】
ここで、欠陥座標データDrs1は、検出した欠陥の位置(座標位置)を示すもので、「ステージ座標」,「ダイ内座標」,「ショット内座標」の3種類ある。欠陥アドレスデータDrs2は、欠陥を検出したダイアドレス及びショットアドレスを示すものである。欠陥面積データDrs3は、その欠陥の面積を示す。欠陥サイズデータDrs4は、欠陥のX方向及びY方向のサイズを示すものである。アスペクト比データDrs5は、欠陥の縦横比を示すものである。
【0077】
また、分類コードデータDrs6は、欠陥の種別を所定のコードで表したもので、その「分類コード」を付与した主体に応じて、図1に示した検査装置1自体がレシピから指定された分類条件に従って分類した自動分類コードと、ユーザが欠陥画像を目視してレシピで指定した分類条件に沿って分類した手動分類コードとの2種類がある。クラスタ番号データDrs7は、レシピRpに指定されたクラスタ条件に従ってクラスタリングした番号を設定する。
【0078】
また、検査方式データDrs8は、欠陥を検出した検査方式を示す。例えば、検査方式は、検査対象のセル画像を予め定められた参照セル画像と比較して欠陥を検出するセル比較検出と、検査対象のダイ画像を予め定められた参照ダイ画像と比較して欠陥を検出するダイ比較検出と、セル比較及びダイ比較の両方で検出する場合を表す混合比較検出との3種類で表される。
【0079】
また、濃淡差データDrs8は、欠陥部と参照部との明るさの差を示したものである。例としては、「濃淡差」の値は、参照部に対して画像上で黒く表れる欠陥部はマイナス値、白く表れる欠陥部はプラス値をとる。欠陥画像情報データDrs10の「欠陥画像情報」は、欠陥画像にリンクされた画像情報を示す。例として欠陥画像アドレスを設定する。
【0080】
このようなデータ構成からなる検査結果データDrは、検査対象の被検査基板9の検査後(すなわち、ウエハ90の検査後)、例えば検査対象の被検査基板9毎に纏められて、画像処理部5の各部の処理結果に基づいて、制御部6により記憶部56に格納され、検査結果として蓄積される。
【0081】
次に、上述した記憶部56に格納された検査結果データに基づき、制御部6によって表示制御部57を介して、モニタ50の画面上に表示される欠陥確認画面100の構成について、さらに詳細に説明する。
【0082】
図4に示した欠陥確認画面100は、マップ表示部110,画像表示部120,リスト表示部130,グラフ表示部140それぞれが、各表示部110,120,130,140で選択された情報により連動して動作する構成になっている。
【0083】
そのために、本実施の形態の制御部6は、検査するための必要なレシピRp中の様々な条件の設定や調整を入力制御するために、図4に示した欠陥確認画面100を生成し、その画面100上に表示されたGUIボタン等を用いたユーザの選択操作又は入力操作によって、レシピRp中の様々な条件の設定や調整を行える構成になっている。
【0084】
そのために、制御部6は、図1に示した入力操作部53からの操作入力、及び記憶部56に記憶・蓄積された図6に示したような検査結果データを基に、検査結果やレシピRp中の様々な条件の設定や調整を行うためのGUIを表示制御し、表示制御部57のOSD手段58を作動制御するための条件設定・調整制御手段70としても機能する構成になっている。
【0085】
図7は、本実施の形態の検査装置において、その制御部に備えられた条件設定・調整制御手段の一実施例を示したものである。
【0086】
図7に図示した例では、条件設定・調整制御手段70は、欠陥確認画面100のマップ表示部110の表示画面の表示制御及びその表示画面上のGUIボタン等を用いたユーザの入力操作部53からの操作入力を受付制御するマッププロセス処理部72と、同じく画像表示部120の表示画面の表示制御及びその表示画面上のGUIボタン等を用いたユーザの入力操作部53からの操作入力を受付制御する画像プロセス処理部74と、同じくリスト表示部130の表示画面の表示制御及びその表示画面上のGUIボタン等を用いたユーザの入力操作部53からの操作入力を受付制御するリストプロセス処理部76と、同じくグラフ表示部140の表示画面の表示制御及びその表示画面上のGUIボタン等を用いたユーザの入力操作部53からの操作入力を受付制御するグラフプロセス処理部78とを備えている。
【0087】
さらに、各プロセス処理部72〜78は、それぞれが図1に示した入力操作部53,記憶部56,並びに表示制御部57にそれぞれ接続されている場合の構成と等価な構成になっており、各プロセス処理部72〜78同士は、制御部6の条件設定・調整制御手段70内に構成されているメッセージサーバ部80を介して、お互いに情報データの交換がブロードキャスト又はファイル経由で可能な構成になっている。そして、各プロセス処理部72〜78は、欠陥確認画面100の対応する表示部110〜140の表示及びこの表示画面上のGUIボタン等を用いたユーザの入力操作部53からの操作入力の受付を専ら制御する構成になっている。
【0088】
この場合、各プロセス処理部72〜78とメッセージサーバ部80とのそれぞれ接続は、予め定められたネットワークアドレスを用いたソケット接続によって、データ接続されている。したがって、各プロセス処理部72〜78は、他のプロセス処理部72〜78を意識せずに、メッセージサーバ部80への接続だけを意識した接続構造になっている。
【0089】
また、各プロセス処理部72〜78又はメッセージサーバ部80に対するユーザ設定によっては、各プロセス処理部72〜78の中の特定のプロセス処理部同士を連動させない設定もできる構成になっている。例えば、ユーザによっては、リストプロセス処理部76により欠陥確認画面100のリスト表示部130の表示画面には、常に全欠陥を表示させたいという場合は、リストプロセス処理部76のみ他のプロセス処理部72,74,78の処理との連動機能をオフにすることが可能である。
【0090】
また、モニタ50に表示される欠陥確認画面100の画面上において、これら各表示部110〜140の画面の大きさ及び表示位置も、ユーザ設定によって自由に変更することができる。本実施の形態の場合は、例えば、各プロセス処理部72〜78それぞれの欠陥確認画面100の画面上における表示部部位の枠線を入力操作部53のマウスを使用してドラックすることにより表示サイズ変更し、各プロセス処理部72〜78それぞれの欠陥確認画面100の画面上における表示部部位自体をドラックすることにより欠陥確認画面100の画面上における表示位置を変更できる構成になっている。また、各プロセス処理部72〜78それぞれの表示部110〜140の画面の大きさ及び表示位置の設定は、次回起動時にも有効になり、いつでもデフォルトの起動座標及びサイズに戻すことができるようになっている。このように、本実施の形態では、これら各プロセス処理部72〜78それぞれの表示部110〜140の画面の大きさ及び表示位置を自由に変更することにより、よりユーザに使い勝手の良い欠陥確認画面100となっている。
【0091】
次に、各プロセス処理部72〜78が生成する欠陥確認画面100の画面上における対応する表示部110〜140の画面について詳細に説明する。
【0092】
マッププロセス処理部72は、例えば、記憶部56に記憶されている一の検査結果データDrの欠陥情報データDr1と、その対応するレシピ情報データDr2として記憶されている当該検査に用いたレシピRpのウエハ情報データDq1に基づいて、ウエハ90全体のマップMpを、欠陥確認画面100のマップ表示部110に描画する。この場合、マッププロセス処理部72は、ウエハ情報データDq1に基づいて少なくともウエハ90の外周、各ダイ91を作成し、ウエハ90の全体画面を構築する。
【0093】
他にも、マッププロセス処理部72は、一又は複数の欠陥情報データDr1の検出した欠陥ID(欠陥IDデータDrs)毎の欠陥の項目情報データDrs1〜Drs10に基づいて、ダイ内検査エリアをマップ表示部110に描画することより、実際に検査したエリアが明確になり、欠陥が分り易くなる。
【0094】
そこで、マッププロセス処理部72は、図8に示すように、欠陥確認画面100のマップ表示部110への描画に関し、3つのマップ描画モードを備え、マップ表示部110に対し、マップ描画モードに対応した3種類の描画方法による表示が行える構成になっている。
【0095】
図8は、マッププロセス処理部によるマップ表示部の表示仕様の説明図である。
本実施の形態の場合、マップ描画モードは、
(1) ウエハ90の全体をマップ表示部110に表示するウエハ全体描画モード、
(2) ウエハ90のダイ91を1つ以上重ねてマップ表示部110に表示するダイ描画モード、
(3) ウエハ90のショットを1つ以上重ねて表示するショット描画モード、
といった3種類の描画モードが備えられた構成になっている。
【0096】
それぞれの描画モードは、欠陥確認画面100の画面上にマッププロセス処理部72によって表示されたGUIボタン111〜113の操作によって切り替え可能で、現在どの描画モードでマップ表示されているかが分り易いように、マッププロセス処理部72は、入力操作部53のユーザ操作に基づいて受付設定した描画モードに合わせて、設定操作された描画モードのGUIボタン111〜113の表示色を残りの非設定モードのGUIボタン111〜113の表示色に対して切り替え、識別表示する構成になっている。
【0097】
本実施の形態として、図8における(1)のウエハ全体描画モードを図4に示した欠陥確認画面100の「ウエハ」ボタン111に、同様に、 (2)のダイ描画モードを「ダイ」ボタン112に、(3)のショット描画モードを「ショット」ボタン113に割り当てている。
【0098】
これらGUIボタン111〜113は、マップ描画モード入力のための矩形領域(テキストボックス)とマップ描画モード選択リスト(リストボックス)を組み合わせたコンボボックス表示や、複数の選択可能なマップ描画モードの中から、その中のただ1つのマップ描画モードだけをONにできるラジオボタン表示等のGUI表示で構成することもできる。
【0099】
加えて、上述した各マップ描画モードには、それぞれ3つのマップ操作モードが備えられている。各マップ操作モードがそれぞれ選択操作されると、マッププロセス処理部72は、マップ描画モードでマップ表示部110に描画されたマップMpに対して、図8にも示したような、以下3つの操作を行う。
(1) マップの任意欠陥を選択する任意欠陥選択操作、
(2) マップの任意エリアの欠陥を選択する任意エリア選択操作、
(3) マップの任意エリアを拡大/縮小する任意エリア拡大/縮小操作、
【0100】
それぞれのマップ操作モードの設定操作は、同じく欠陥確認画面100の画面上にマッププロセス処理部72によって表示されたGUI表示されたボタン114〜116で切り替え操作が可能で、現在どのマップ操作モードになっているかかが分り易いように、マッププロセス処理部72は、入力操作部53のユーザ操作に基づいて受付設定したマップ操作モードに合わせて、設定操作されたマップ操作モードのGUIボタン114〜116の表示色を残りの非設定モードのGUIボタン114〜116の表示色に対して切り替え、識別表示する構成になっている。
【0101】
本実施の形態として、図8における (1)の任意欠陥選択操作を図4に示した欠陥確認画面100の「矢印」ボタン114に、同様に、(2) の任意エリア選択操作を「虫眼鏡+四角」ボタン115に、(3)の任意エリア拡大/縮小操作を「虫眼鏡」ボタン116に割り当てている。
【0102】
これらGUIボタン114〜116は、マップ操作モード入力のための矩形領域(テキストボックス)とマップ操作モード選択リスト(リストボックス)を組み合わせたコンボボックス表示や、複数の選択可能なマップ操作モードの中から、その中のただ1つのマップ操作モードだけをONにできるラジオボタン表示等に変更してもよい。
【0103】
このそれぞれ3つのマップ描画モードと3つのマップ操作モードとを組み合わせることにより、マップ表示部110に画像表示された各欠陥部と、図6に示した検査結果データDrの欠陥情報Dr1における検出した欠陥ID毎(欠陥IDデータDrs毎)の項目情報データDrs1〜10との結びつきが判り易くなる。
【0104】
例えば、ウエハ90のある一部分に集中した複数の欠陥部を一括して観察したい場合は、入力操作部53のマウスによって欠陥確認画面100の「ウエハ」ボタン111を操作してマップ描画モードの(1)ウエハ全体描画モードを選択し、マップ操作モードの(2)任意エリア選択操作を欠陥確認画面100のマップ表示部110に表示されたGUIボタン111〜116を選択することで、一部分に集中している欠陥を容易に全て選択することが可能となる。
【0105】
さらに、本実施の形態では、マッププロセス処理部72は、前述したマップ操作モードの(2)任意エリア選択操作における任意エリアの選択方法には、図9,図10,図11に示すような、以下の3つの操作方法による任意エリアの選択操作が行える構成になっている。
(1) 始点及び終点入力によるマップドラック始点・終点設定操作、
(2) 中心点及び半径入力によるマップドラック円領域設定操作、
(3) ダイ指定によるマップクリックダイ指定操作、
【0106】
図9は、マップドラック始点・終点設定操作によってマップの任意エリアの欠陥を選択する場合の説明図である。
【0107】
図9に示すように、ウエハ全体描画モードで表示されたマップ表示部110の画面上で、マップの任意エリアArの欠陥部をマップの任意の始点S及び終点Eをドラックにより指定することで、マッププロセス処理部72は、選択されたエリアAr内の欠陥部に対応した検査結果データDrの欠陥情報データDr1の欠陥箇所毎の欠陥IDデータDrs、さらには必要に応じてこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10をメッセージサーバ部80に供給する。そして、メッセージサーバ部80は、このマッププロセス処理部72から供給を受けた欠陥IDデータDrsやこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10を、他のプロセス処理部74,76,78に供給する。
【0108】
図10は、マップドラック円領域設定操作によってマップの任意エリアの欠陥を選択する場合の説明図である。
【0109】
図10に示すように、マップの任意エリアの欠陥をマップ内の任意の点O及び半径rをドラックにより指定することで、選択された円形エリアAr内の欠陥部に対応した欠陥IDデータDrsや必要に応じて項目情報データDrs1〜Drs10を、マッププロセス処理部72は、同様にメッセージサーバ部80に供給する。そして、メッセージサーバ部80は、これを他のプロセス処理部74,76,78に供給する。
【0110】
図11は、マップクリックダイ指定操作によってマップの任意のダイの欠陥を選択する場合の説明図である。
【0111】
図11に示すように、マップ内の任意のダイ91をクリックにより指定することで、選択されたダイ91内の欠陥部に対応した欠陥IDデータDrsや項目情報データDrs1〜Drs10を、マッププロセス処理部72は、同様にメッセージサーバ部80に供給する。そして、メッセージサーバ部80は、これを他のプロセス処理部74,76,78に供給する。
【0112】
この結果、マッププロセス処理部72は、欠陥部のマップを生成して表示制御するマップ表示制御部としての機能に加え、マップ上で欠陥部の確認を行いたい任意領域Arを設定する欠陥部確認領域設定部としての機能を備える。
【0113】
次に、画像プロセス処理部74が生成する欠陥確認画面100の画面上における画像表示部120の画面について説明する。
【0114】
画像プロセス処理部74は、マッププロセス処理部72からメッセージサーバ部80に欠陥IDデータDrsやその項目情報データDrs1〜Drs10が供給されたのに伴い、メッセージサーバ部80からその欠陥IDデータDrs等が供給されると、その選択された任意のAr内に所在する欠陥部の個別画像121を、図4に示したように、画像表示部120に欠陥部毎に分けて表示する。その際、画像プロセス処理部74は、少なくとも1つ以上の欠陥部の個別画像121を、画像表示部120に表示する。また、画像プロセス処理部74は、現在、画像表示部120に表示している欠陥部の個別画像121の欠陥IDデータと画像表示部120上における表示位置関係との対応も、随時記憶する。
【0115】
各個別画像121の大きさは入力操作部53の所定操作に基づいてピクセルサイズ等で任意の大きさに指定可能で、画像プロセス処理部74は、この指定された個別画像121の大きさと画像表示部120の大きさとに応じて、適宜個数の個別画像121が表示されている画像表示部120の表示画面を生成する。
【0116】
また、画像プロセス処理部74が画像表示部120に表示する個別画像121の全体数は、マッププロセス処理部72からの通知されるマップ表示部110のマップ描画モード及びマップ操作モードの選択操作状況に基づき規定された任意エリアAr内の欠陥IDデータDrsの数に応じているため、1個から数十万個と大きな開きがある。そのため、画像プロセス処理部74は、画像表示部120に設けられたツールバー122が操作された場合は、画像表示部120に表示される個別画像121をスクロールする等して、画像表示部120に表示される個別画像121を変更する。この変更の際の画像表示部120の画面操作は、ツールバー122を利用するものに限るものではなく、タブ形式等を利用することも可能である。
【0117】
なお、画像プロセス処理部74は、表示する欠陥部の個別画像121は、記憶部56に既に記憶・蓄積されている個別画像121でなくとも、欠陥判定部49による欠陥判定のために画像記憶部46,47に取り込んだ検査中の画像であってもよく、さらには検査後に再取得した欠陥箇所と同じ箇所の画像を表示することもできる。
【0118】
そして、この画像表示部120に表示されている個別画像121の中からユーザが入力操作部53のマウスをクリック操作する等して所望の個別画像121を選択すると、画像プロセス処理部74は、現在、画像表示部120に表示している欠陥部の個別画像121の欠陥IDデータと画像表示部120上における表示位置関係との対応を基に、選択された個別画像121の欠陥IDデータDrsを識別し、選択された個別画像121に該当する欠陥部の欠陥IDデータDrsや必要に応じてその項目情報データDrs1〜Drs10を、メッセージサーバ部80に供給する。そして、この画像プロセス処理部74から供給を受けた欠陥IDデータDrsやこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10を、メッセージサーバ部80は、他のプロセス処理部72,76,78に供給する。
【0119】
なお、この画像表示部120に表示されている個別画像121の中からユーザが所望の個別画像121を複数選択したい場合は、例えば、入力操作部53のキーボードのShiftボタン及びCtrlボタンの操作と合わせて、同じく入力操作部53のマウスをそれぞれ所望の個別画像121までドラックしてクリック操作することによって、所望の個別画像121を複数選択することもできる。
【0120】
この結果、画像プロセス処理部74は、欠陥部の個別画像を生成して表示制御する欠陥部表示制御部としての機能に加え、その確認を行いたい欠陥部を設定する確認欠陥部設定部としての機能を備える。
【0121】
そして、メッセージサーバ部80からマッププロセス処理部72へは、画像プロセス処理部74によって上述のようにユーザが選択した欠陥IDデータDrsが供給され、マッププロセス処理部72は、そのマップ表示部110に表示している(描画した)マップMp上において、この欠陥IDデータDrsに対応する欠陥部をハイライト表示する等して強調表示する。これにより、マッププロセス処理部72は、確認欠陥部設定部としての画像プロセス処理部74によって指定された欠陥部の案内報知部としての機能も備えている。
【0122】
次に、リストプロセス処理部76が生成する欠陥確認画面100の画面上におけるリスト表示部130の画面について説明する。
【0123】
リストプロセス処理部76は、
(1) 欠陥情報のリスト表示機能、
(2) 欠陥部に対しての情報付加機能、
を備えている。
【0124】
まず、リストプロセス処理部76による欠陥情報のリスト表示機能について説明する。
前述したマッププロセス処理部72からメッセージサーバ部80へのマッププロセス処理部72で選択されたエリアAr内の欠陥部に対応した欠陥IDデータDrsや必要に応じてこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10の供給に基づいて、メッセージサーバ部80から欠陥部の欠陥IDデータDrs等の供給をリストプロセス処理部76が受けると、リストプロセス処理部76は、このメッセージサーバ部80からの供給データに基づいて、そのリスト表示機能により、図4に示すような欠陥情報リスト131を生成し、リスト表示部130に表示する。
【0125】
その際、リストプロセス処理部76は、予め入力操作部53の所定操作に基づいて、欠陥IDデータDrsの項目情報データDrs1〜Drs10の中から欠陥情報リスト131に表示させたい項目を選択して記憶しておくことができ、この表示項目の設定内容を基づき、欠陥情報リスト131を生成し、リスト表示部130に表示する。
【0126】
そして、画像プロセス処理部74からメッセージサーバ部80への選択された個別画像121に該当する欠陥部の欠陥IDデータDrsや必要に応じてのこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10の供給に基づく、メッセージサーバ部80から欠陥部の欠陥IDデータDrs等の供給をリストプロセス処理部76が受けると、リストプロセス処理部76は、供給を受けた欠陥情報リスト131の欠陥IDデータDrs部分の表示内容をハイライト表示したり、その表示色を他の欠陥IDデータDrs部分の表示内容に対して変更したり、ナビゲート線を引く等して強調表示する。これにより、画像プロセス処理部74で新たに選択された個別画像121の欠陥IDデータDrs部分が、欠陥情報リスト131の他の欠陥IDデータDrs部分に対して、ユーザが把握し易くなっている。
【0127】
これにより、メッセージサーバ部80から供給された欠陥IDデータDrsが画像プロセス処理部74からメッセージサーバ部80へ供給された欠陥IDデータDrsである場合には、リスト表示部130に表示されている欠陥情報リスト131上でも、確認欠陥部設定部としての画像プロセス処理部74によって指定された欠陥部に対応する欠陥IDデータDrsを、ユーザは容易に識別できるようになっている。
【0128】
また、メッセージサーバ部80から供給された欠陥IDデータDrsがマッププロセス処理部72からの供給データの場合は、リストプロセス処理部76がリスト表示部130に表示する欠陥部(欠陥IDデータDrs)の全体数は1個から数十万個と大きな開きがあるため、リストプロセス処理部76は、リスト表示部130に設けられたツールバー132が操作された場合は、リスト表示部130に表示されるリスト部分をスクロールする等して、リスト表示部130に表示される欠陥IDデータDrs部分を変更する。この変更の際のリスト表示部130の画面操作は、ツールバー132を利用するものに限るものではなく、タブ形式等を利用することも可能である。
【0129】
そして、ユーザは、この欠陥情報リスト131上で所望の欠陥部を入力操作部53のマウスクリック操作等によりリスト表示部130の欠陥情報リスト131の画面上で指定することができる。そのために、リストプロセス処理部76は、現在、リスト表示部130に表示している欠陥部の欠陥IDデータDrs部分とリスト表示部130上における表示位置関係との対応も、随時記憶している。
【0130】
なお、このリスト表示部130に表示されている欠陥情報リスト131上からユーザが所望の欠陥IDデータDrsのリスト部分を複数選択したい場合は、例えば、入力操作部53のキーボードのShiftボタン及びCtrlボタンの操作と合わせて、同じく入力操作部53のマウスをそれぞれ所望の欠陥IDデータDrsのリスト部分までドラックしてクリック操作することによって、所望の欠陥IDデータDrsのリスト部分を複数選択することもできる。
【0131】
また、ユーザが入力操作部53を操作して、欠陥情報リスト131に表示されている、例えば欠陥ID,欠陥面積,濃淡差,分類コードといった項目名の中にいずれか1つを選択して、その並び順を指定した場合には、リストプロセス処理部76は、この指定に基づいて、リスト表示されている欠陥部それぞれの詳細情報を、選択項目の指定した並び順、例えばデータの値の昇順又は降順にソートして、欠陥情報リストを表示し直す構成になっている。
【0132】
また、リストプロセス処理部76は、欠陥情報リスト131の作成にあたって、欠陥IDデータDrsに対応する欠陥部それぞれの項目情報データDrs1〜Drs10の表示選択された項目以外に、選択チェックボックスを加えて、欠陥情報リスト1を構成する。この場合、リスト表示部130に表示されている欠陥情報リスト131上で、ユーザが入力操作部53を操作して所望の選択チェックボックスをチェックすることによって、リストプロセス処理部76は、そのチェックされた欠陥部のデータについてだけ、チェックされていない欠陥部のデータとの連動を外す構成になっている。
【0133】
図4に示したリスト表示部130の画面は、この選択チェックボックスとして、一括選択のための選択チェックボックス133を設けた例を示している。この例では、ユーザがこの一括選択チェックボックス133を画面上でチェックすると、例えば、欠陥情報リスト131に新たに分類コードを一括で設定したり、クラスタリング番号を付与したりする場合、ユーザは、入力操作部53から分類コードやクラスタリング番号について1回の設定入力を行うだけで、リストプロセス処理部76は、欠陥情報リスト131の全欠陥部に対して、設定入力された一の分類コードやクラスタリング番号を設定する。また、前述したソート機能の場合は、他の項目についてのソート機能は動作せずに、全選択及び全解除の機能が動作する。
【0134】
続いて、リストプロセス処理部76による欠陥部に対しての情報付加機能について説明する。
【0135】
リストプロセス処理部76は、ユーザが入力操作部53を操作して欠陥情報リスト131上で選択した欠陥部(欠陥IDデータDrs)について、少なくとも1つ以上の情報を付与して、欠陥情報リスト131の既存の項目以外に、選択した欠陥部に対して情報付加する構成を備えている。
【0136】
本実施の形態の場合は、図4に示したリスト表示部130の画面上に、分類コード入力ボックス133が設けられ、ユーザが入力操作部53からのマニュアル入力により、図6に示した検査結果データDrの分類コードデータ(自動分類コードデータ)Drs6とは別の分類コードデータ(マニュアル分類コードデータ)を、欠陥情報リスト131の欠陥部個別に、又は全欠陥部に対して付与できる構成になっている。欠陥情報リスト131の欠陥部個別に、このマニュアル分類コードを入力操作部53からマニュアル入力する場合は、上述した選択チェックボックス133がチェックされていない状態で、欠陥情報リスト131上で設定する欠陥部を入力操作部53のマウスクリック操作等により指定して、分類コード入力ボックス134に入力操作部53のキーボードから分類コードをマニュアル入力することができる。この場合、リストプロセス処理部76は、入力操作部53からのこれら操作入力に基づき、新たにマニュアル分類コードを付与する欠陥情報リスト131の欠陥部を強調表示する等して案内し、欠陥情報リスト131の対応する欠陥部に関して、選択チェックボックス133に入力されたマニュアル分類コードを項目付加する構成になっている。その後、リストプロセス処理部76は、今回マニュアル分類コードを付与した欠陥部の欠陥情報リスト131上における次の欠陥部に強調表示等による案内を移動させ、分類コード入力状態とする。これに対して、欠陥情報リスト131の全欠陥部に対して同じマニュアル分類コードを付与する場合は、選択チェックボックス133を予めチェックしてから、分類コード入力ボックス133に分類コードを入力する。なお、上記した分類コード以外に欠陥情報リスト131に付与する情報例としては、クラスタリング番号や、ポイントとなる欠陥部を他のポイントとならない欠陥部に対して顕在化させるためのマーキング情報等がある。
【0137】
ここで、上述したように、欠陥情報リスト131上で所望の欠陥部を入力操作部53のマウスクリック操作等によりリスト表示部130の欠陥情報リスト131の画面上で指定すると、リストプロセス処理部76は、指定された欠陥情報リスト131の欠陥部の欠陥IDデータDrsや必要に応じてその項目情報データDrs1〜Drs10等をメッセージサーバ部80に供給する。そして、このリストプロセス処理部76から供給を受けた欠陥IDデータDrsやこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10等を、メッセージサーバ部80は、他のプロセス処理部72,74,78に供給する。
【0138】
この結果、リストプロセス処理部76は、上記機能に加え、その確認を行いたい欠陥部を設定する確認欠陥部設定部としての機能も備える。
【0139】
メッセージサーバ部80からマッププロセス処理部72へは、リストプロセス処理部76によって上述のようにユーザが選択した欠陥IDデータDrsが供給され、マッププロセス処理部72は、そのマップ表示部110に表示しているマップMp上において、この欠陥IDデータDrsに対応する欠陥部をハイライト表示する等して強調表示する。
【0140】
メッセージサーバ部80からは、同様に画像プロセス処理部74へも、リストプロセス処理部76によって上述のようにユーザが選択した欠陥IDデータDrsが供給され、画像プロセス処理部74は、その画像表示部120にこの欠陥IDデータDrsに対応する欠陥部の個別画像121をハイライト表示等で強調表示する。
【0141】
また、前述の画像プロセス処理部74及びこのリストプロセス処理部76は、ユーザが選択した欠陥IDデータDrsに加えて、画像表示部120に現在、表示されている欠陥部の個別画像121の欠陥IDデータDrsや、リスト表示部130に現在、表示されている欠陥部の欠陥IDデータDrsを、メッセージサーバ部80に供給する構成とするとともに、また、メッセージサーバ部80は、このリスト表示部130に表示されている欠陥部の欠陥IDデータDrsを画像プロセス処理部74に、画像表示部120に表示されている欠陥情報リスト131中の欠陥部の欠陥IDデータDrsをリストプロセス処理部76に、互いに供給する構成とすれば、画像プロセス処理部74及びリストプロセス処理部76は、お互いのツールバー122,132を連動させることができ、この結果、画像表示部120に表示される欠陥部の個別画像121とリスト表示部130に表示される欠陥情報リスト131との表示を、お互いに同期させることができる。
【0142】
次に、グラフプロセス処理部78が生成する欠陥確認画面100の画面上におけるリスト表示部130の画面について説明する。
【0143】
グラフプロセス処理部78は、
(1) 欠陥情報のグラフ表示機能、
(2) マップMpに表示する欠陥の表示フィルタ機能、
を備えている。
【0144】
まず、グラフプロセス処理部78による欠陥情報のグラフ表示機能について説明する。
前述したマッププロセス処理部72からメッセージサーバ部80へのマッププロセス処理部72で選択されたエリアAr内の欠陥部に対応した欠陥IDデータDrsや必要に応じてこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10の供給に基づいて、メッセージサーバ部80から欠陥部の欠陥IDデータDrs等の供給をグラフプロセス処理部78が受けると、この供給に基づいて、グラフプロセス処理部78は、その欠陥情報のグラフ表示機能により、通知された欠陥IDデータDrsに対応した図6に示す欠陥面積データDrs3,分類コードDrs6,濃淡差データDrs9,‥に基づいて、これら項目の中の指定された情報項目と欠陥数(すなわち、欠陥IDデータDrs数)との関係を示す欠陥分析グラフ141を生成し、グラフ表示部140に表示する。図4に示した場合は、指定された情報項目として「欠陥面積」を横軸とし、「欠陥面積」の値毎に該当する表示欠陥数すなわち「欠陥ID」の数を縦軸にした欠陥分析グラフ141を生成し、グラフ表示部140に表示する。
【0145】
なお、グラフプロセス処理部78は、この欠陥分析グラフ141のグラフ形式を、入力操作部53の所定操作に基づいて、ユーザの選択により棒グラフでも折れ線グラフでも表示可能な構成になっている。
【0146】
また、グラフプロセス処理部78は、項目情報データDrs1〜Drs10中の欠陥分析グラフ141としてグラフ表示する情報項目の指定及び変更のために、グラフ表示部140に情報項目の指定用のコンボボックス142もGUI表示し、ユーザは入力操作部53を用いてグラフ表示部140の画面上で情報項目の指定・変更を行える構成になっている。このコンボボックス142では、項目情報データDrs1〜Drs10全ての中から任意の情報項目を選択可能になっている。なお、グラフ表示部140の画面上における情報項目の指定は、コンボボックス142に限るものではなく、ラジオボタンやプリセット式ボタン等を用いてもよい。
【0147】
そして、グラフプロセス処理部78は、このコンボボックス142の操作によってグラフ表示部140の画面上で情報項目の指定が変更されると、この指定変更された情報項目のデータ値を横軸とし、この情報項目のデータ値毎に該当する表示欠陥数を縦軸にした欠陥分析グラフ141を生成し、グラフ表示部140に表示されている欠陥分析グラフ141の表示内容を更新する。
【0148】
また、グラフプロセス処理部78は、画像プロセス処理部74又はリストプロセス処理部76からメッセージサーバ部80へ選択された個別画像121又は欠陥部に該当する欠陥IDデータDrs等の供給に基づき、メッセージサーバ部80からこの欠陥部の欠陥IDデータDrs等の供給を受けると、現在グラフ表示部140に表示している欠陥分析グラフ14を参照し、この欠陥部の欠陥IDデータDrsをその欠陥数の計数として含むグラフ部分の表示内容を、ハイライト表示したり、表示色を他のグラフ部分の表示色に対して変更したり、ナビゲート線を引く等して強調表示する構成になっている。
【0149】
これにより、画像表示部120に表示されている個別画像121群の中からユーザが選択した個別画像121、及びリスト表示部130に表示されている欠陥情報リスト131の中からユーザが選択した欠陥部に関しの、グラフ表示部140に表示されている欠陥分析グラフ141上における位置づけを、ユーザは容易に識別できるようになっている。
【0150】
ところで、本実施の形態では、マップ表示部110に描画されたマップMpの任意エリアについて拡大及び縮小表示を行うためマップ表示部110にGUI表示された「虫眼鏡」ボタン116は、このグラフ表示部140に表示された欠陥分析グラフ141の任意エリアについても使用可能になっている。この場合、グラフプロセス処理部78は、「虫眼鏡」ボタン116の指定操作により欠陥分析グラフ141の任意部分が指定された場合には、この任意指定部分のみをグラフ表示部140に拡大又は縮小表示する。このときグラフ表示部140に拡大又は縮小された欠陥分析グラフ141の任意指定部分の表示(グラフ情報)は、再び「虫眼鏡」ボタン116が指定操作されるまで、グラフプロセス処理部78は欠陥分析グラフ141のその任意指定部分の表示を保持する。
【0151】
また、この任意指定部分については、グラフプロセス処理部78は、この任意指定部分に欠陥数として計数されて含まれる欠陥部の欠陥IDデータDrsや必要に応じてこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10を、メッセージサーバ部80に供給する。そして、このグラフプロセス処理部78から供給を受けた欠陥IDデータDrsやこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10等を、メッセージサーバ部80は、他のプロセス処理部72,74,76に供給する。メッセージサーバ部80からの、グラフプロセス処理部78からの欠陥分析グラフ141上の任意指定部分に含まれる欠陥部の欠陥IDデータDrs等の供給を受けたマッププロセス処理部72は、そのマップ表示部110に表示しているマップMp上において、この欠陥IDデータDrsに対応する欠陥部をハイライト表示する等で強調表示する。同様にして、画像プロセス処理部74は、その画像表示部120にこの欠陥IDデータDrsに対応する欠陥部の個別画像121をハイライト表示等によって強調表示し、リストプロセス処理部76は、そのリスト表示部130にこの欠陥IDデータDrsに対応する欠陥部の表示内容を欠陥分析グラフ141中でハイライト表示等によって強調表示する。
【0152】
これにより、グラフ表示部140に表示されている欠陥分析グラフ141上で、ユーザが選択したグラフの特徴部分に該当する欠陥部について、マップ表示部110のマップMp上、画像表示部120の個別画像121上、及びリスト表示部130の欠陥情報リスト131上で、その詳細について把握することができる。
【0153】
次に、グラフプロセス処理部78によるマップMpに表示する欠陥の表示フィルタ機能について説明する。
【0154】
図4に示すように、グラフプロセス処理部78は、グラフ表示部140に表示した欠陥分析グラフ141上で、前述のマッププロセス処理部72によってマップ表示部110に表示される欠陥部を規制するためのフィルタリング情報を設定するために、GUIボタンからなるグラフ入力ボタン144及び表示フィルタボタン143を、グラフ表示部140に欠陥分析グラフ141とともに表示している。
【0155】
図12は、マップ表示部に表示される欠陥部を規制するフィルタリング情報を設定するための説明図である。
【0156】
本実施の形態では、このグラフ表示部140にGUI表示されているグラフ入力ボタン144を、ユーザが入力操作部53のマウスでクリック操作すると、グラフプロセス処理部78はこれを検出して、グラフ表示部140に現在表示されている欠陥分析グラフ141で選択されている情報項目(図12の場合は、面積情報)に関して、この欠陥分析グラフ141の表示を利用して設定可能になる。すなわち、グラフプロセス処理部78は、マップ表示部110に表示する欠陥のフィルタリング情報を設定するためのフィルタリング情報設定部としても機能し、このグラフプロセス処理部78のフィルタリング情報設定状態では、ユーザは、入力操作部53のマウスをドラッグ及びクリック操作して、欠陥分析グラフ141上でフィルタリング情報の上限値Fmaxと下限値Fminとが設定可能になる。本実施の形態では、フィルタリング情報の上限値Fmaxと下限値Fminとの設定操作を、次のようにして行う。まず、例えば上限値Fmaxを設定する場合は、欠陥分析グラフ141上における情報項目(図12の場合は、面積情報)の所望の上限値Fmaxに対応する欠陥分析グラフ141上の項目座標位置fmaxにマウスのポインタをドラッグして移動させた上で、マウスを右クリックすることにより設定できる構成になっている。これに対して、下限値Fminを設定する場合は、欠陥分析グラフ141上における情報項目の所望の下限値Fminに対応する欠陥分析グラフ141上の項目座標位置fminにマウスのポインタをドラッグして移動させた上で、マウスを左クリックすることによって設定する。
【0157】
グラフプロセス処理部78は、マウスが右クリック又は左クリックされたときの欠陥分析グラフ141上のマウスのポインタに関してのグラフ表示部140の画面上の座標位置を取り込んで、マウスのポインタの項目座標上の座標位置(図12の場合は、面積情報についての座標軸上の座標位置)fに変換し、これに基づいてフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fminとして設定し、この設定したフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fminを、図12で示すようにしてグラフ表示部140の欠陥分析グラフ141上に対応した境界線145を表示する。
【0158】
そして、グラフプロセス処理部78は、このフィルタリング情報設定状態で、入力操作部53のマウスの操作に基づいてフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fminを設定する度に、設定したフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fminとともに、このフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fmi、若しくは両者によって規定される情報項目のデータ範囲内の欠陥部の欠陥IDデータDrsや必要に応じてこの欠陥IDデータDrsに対応した項目情報データDrs1〜Drs10を、メッセージサーバ部80に供給する。そして、フィルタリング情報設定状態のグラフプロセス処理部78によって設定したフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fminや、このフィルタリング情報設定状態のグラフプロセス処理部78から供給を受けた欠陥IDデータDrs等を、メッセージサーバ部80は、他のプロセス処理部72,74,76に供給する。
【0159】
メッセージサーバ部80からの、フィルタリング情報設定状態のグラフプロセス処理部78によって設定されたフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fminや、このフィルタリング情報設定状態のグラフプロセス処理部78から供給を受けた欠陥IDデータDrs等の供給を受けたマッププロセス処理部72は、例えば、そのマップ表示部110に表示しているマップMp上からその供給を受けた欠陥IDデータDrs以外の欠陥IDデータDrsの表示を消去し、フィルタリング情報設定状態のグラフプロセス処理部78によって新たに設定されたフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fmin、若しくは両者によって規定される情報項目のデータ範囲(Fmin〜Fmax)内に合わせた欠陥部のマップMpを表示する。同様にして、画像プロセス処理部74は、フィルタリング情報設定状態のグラフプロセス処理部78によって新たに設定されたフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fmi、若しくは両者によって規定される情報項目のデータ範囲内に含まれる欠陥部の個別画像121を、画像表示部120に表示し、リストプロセス処理部76は、そのリスト表示部130にフィルタリング情報設定状態のグラフプロセス処理部78によって新たに設定されたフィルタリング情報の上限値Fmax又は下限値Fmi、若しくは両者によって規定される情報項目のデータ範囲(Fmin〜Fmax)内の欠陥部のリストをリスト表示部130に表示する。
【0160】
したがって、本実施の形態では、このフィルタリング情報設定状態のグラフプロセス処理部78でグラフ表示部140に表示されている情報項目の欠陥分析グラフ141上で規定した当該情報項目のデータ範囲(Fmin〜Fmax)内に含まれる欠陥部の数に応じて、マップ表示部110に表示されているマップMp上の欠陥部の個数、画像表示部120に表示されている欠陥部の個別画像121の個数、リスト表示部130に表示されている欠陥部の個数も変化し、増減することになる。
【0161】
なお、このグラフプロセス処理部78によるフィルタリング情報設定状態は、グラフ入力ボタン144の再操作によって設定解除される。
【0162】
また、「表示フィルタ」ボタンによって実行したフィルタ条件を確認することができる。図13のようにグラフから入力したフィルタ条件は「表示フィルタ」で確認が可能である。本機能によりグラフから視覚的に入力したフィルタ条件を編集、再実行が可能である。
【0163】
図13は、グラフプロセス処理部によるフィルタリング情報設定状態の確認画面の説明図である。
【0164】
本実施の形態のフィルタリング情報設定状態の確認画面200では、グラフからの入力が困難なフィルタ条件も表示し、実行可能にすることでより効果的な表示フィルタが実行できる。
【0165】
上述した欠陥確認画面100のマップ表示部110,画像表示部120,リスト表示部130,グラフ表示部140のそれぞれ表示内容の連動説明では、欠陥確認画面100のマップ表示部110には、前述した図8に示したマップ描画モードのウエハ90の全体をマップ表示部110に表示するウエハ全体描画モードが設定されている状態を例に説明したが、図8に示したマップ描画モードにおいて、ウエハ90のダイ91を1つ以上重ねてマップ表示部110に表示するダイ描画モード、又はウエハ90のショットを1つ以上重ねて表示するショット描画モードを選択した場合であっても、同様である。
【0166】
例えば、ダイ描画モード、又はショット描画モードを選択した場合であっても、図6に示した検査結果データDrに基づき、検査結果データDrの欠陥情報データDr1における欠陥座標データDrs1としての「ダイ内座標」又は「ショット内座標」に着目して、欠陥分布マップMpを作成することができる。
【0167】
図14は、マップ描画モードとしてダイ描画モードが設定されている場合の欠陥確認画面の説明図である。
【0168】
図15は、マップ描画モードとしてショット描画モードが設定されている場合の欠陥確認画面の説明図である。
【0169】
このように、図14に示すダイ描画モードによる欠陥確認画面100、又は図15に示すショット描画モードによる欠陥確認画面100では、欠陥確認画面100のマップ表示部110のそれぞれ表示がダイ又はショットで異なり、同一ダイ又は同一ショットに出現している欠陥を容易に検出が可能である。
【0170】
また、このダイ描画モードによる欠陥確認画面100又はショット描画モードによる欠陥確認画面100いずれの場合も、マップ表示部110,画像表示部120,リスト表示部130,グラフ表示部140のそれぞれ表示内容の連動動作は、前述したウエハ全体描画モードが設定されている場合と同様である。このようにダイ描画モード又はショット描画モードを利用することによって、同一のダイ91あるいは同一ショットに出現している欠陥が容易に検出可能になる。
【0171】
以上、説明した機能は、通常の検査実行後の欠陥確認でも有効であるが、レシピ作成中の欠陥確認画面100では、更に有効な機能となる。
【0172】
次に、図5に示したレシピRpの作成中は、以下に述べる3つの検査後の自動実行処理としてレシピ情報に登録できる。
(1) 欠陥情報による分類コード付与機能
(2) 欠陥座標によるクラスタリング機能
(3) 自動フィルタリング機能
【0173】
まず、1つ目の図6に示した検査結果データDrの欠陥情報Dr1による自動分類コード付与機能は、ユーザが入力した欠陥の分類コードに、最大限分類できるよう分類するエリア(以下、分類エリア)を作成し、レシピRpに登録する機能である。
【0174】
図16は、欠陥情報による分類方法の説明図である。
例えば、ユーザが入力した欠陥の分類コード1に該当する欠陥部の内容が、図16に示す欠陥情報毎の分散値を示したグラフ161で表されるような、特徴的な欠陥情報Dr1の濃淡差データDrs8,欠陥サイズデータDrs4,欠陥面積データDrs3,アスペクト比(縦と横の比率)データDrs5を有する場合、分類コード1に割り当てられている各欠陥部の個別画像121の画像内容の、濃淡差データDrs8,欠陥サイズデータDrs4,欠陥面積データDrs3,アスペクト比データDrs5の各項目を、検査装置1の制御部6が、検査結果データDrの欠陥情報Dr1において集計し、各項目の分散値を計算する。そして、計算した集計結果のグラフ161を、モニタ50の画面上に表示する。
【0175】
そして、図16のグラフ161で示すように、検査装置1の制御部6は、この計算した項目毎の分散値の小さい値から少なくとも1項目以上を、自動で選択する。本実施例では、濃淡差データDrs8及び欠陥面積データDrs3の2項目を選択して、2次元で分類する例を示す。
【0176】
その上で、選択された欠陥部の指定された分類パーセント以上の欠陥部に、設定した分類コード1が付くように、濃淡差―欠陥部マップ162上で、矩形又は楕円で分類する領域(分類エリア)163を指定する。そして、検査装置1の制御部6は、指定された分類エリアが表示された濃淡差―欠陥部マップ162を、グラフ161とともに、モニタ50の同一画面上に表示する。
【0177】
指定する分類パーセントは、デフォルト3σとし、パラメータとして変更可能にする。
分類コード2についても、同様な処理を行い、分類エリア163を作成する。
重複してしまう分類コードは、予め設定しておいた分類コード別優先度に従って、分類コードを決定する。
【0178】
ユーザは、これら分類エリア163を、グラフでグラフィカルに確認ができて、かつ変更も容易に可能にする。
【0179】
変更するには、モニタ50の画面上に表示した図16の濃淡差―欠陥部マップ162上での分類エリア163を指定している線を、ドラックすることによりダイナミックに分類エリア163が変更される。
【0180】
分類コードの優先度についても、ユーザがレシピRp毎に設定が可能で、分類エリア163もデフォルトは楕円であるが、矩形等も選択できる。
【0181】
この分類エリア163の軸構成要素に、「ダイ内座標」「ショット内座標」を追加すれば、他ダイの同一座標上及び他ショットの同一座標上で検出される「レチクル欠陥」も簡単に認識することができる。
【0182】
次に2つ目の欠陥クラスタリング機能は、ユーザが入力したクラスタリング条件を図5に示したレシピRpに登録する機能である。
【0183】
ユーザが入力したクラスタリンググループの最低要素の欠陥数と、最低欠陥間の距離をクラスタリング条件としてレシピRpに登録する。
【0184】
クラスタリング条件は、最低要素数(クラスタを構成する最低欠陥数)と、要素間距離(欠陥間の距離)を数値入力することでも指定可能とする。
【0185】
そして3つ目のフィルタリング機能は、図15のフィルタ機能を利用してユーザが入力したフィルタリング情報をレシピRpに登録する機能である。
【0186】
マップMpからの入力ができないフィルタ項目は、指定ダイアログから入力する。
例えば、この項目としては、任意欠陥IDから任意個数分のフィルタや、検査方式(セル比較検出欠陥、ダイ比較検出欠陥、混合比較検出欠陥)等がある。
【0187】
欠陥分類中の一時的に使用するフィルタと明確に区別するため、検査装置1の制御部6は、ユーザにレシピRpに登録を意識した操作を要求する。
【0188】
この実施の形態では、欠陥確認終了後に使用した現在有効になっているフィルタをレシピRpに登録するかどうかのダイアログボックスを表示する。
【0189】
これら3つの処理を検査後に実行して、図17示すようにレシピに階層構造の欠陥画像サンプル条件を設定することで、検査後に極めて効率の良い欠陥確認を行うことができる。
【0190】
図17は、欠陥画像サンプル条件の処理についてのフローチャートである。
図17に示すように、この階層構造の欠陥画像サンプル条件は、「クラスタ欠陥」−「分類コード」の指定も可能であり、「分類コード」−「クラスタ欠陥」の指定も可能である。
【0191】
このような階層構造化した欠陥画像サンプル条件は、画像サンプル条件としてだけではなく、欠陥確認にも使用できる。
【0192】
そのため、レシピRpに登録すると同時に外部にもレビュー条件ファイルとして登録しておき、他のレシピRpをロードした時にも、簡単にレビュー条件としてロードできる。
【0193】
発明適応前のレシピRpで検査した結果の欠陥分布マップと、発明適応後のレシピRpで検査した結果の欠陥分布マップを、図18、図19に示す。
【0194】
図からも理解できるとおり、発明適応前の欠陥分布マップは集中欠陥部分を多くサンプリングしてしまい効果的な欠陥確認が行えないのに対して、発明適応後の欠陥分布マップはウエハ全体をほぼ均一にサンプリングしており、より効果的な欠陥確認が行える。
【0195】
本実施の形態の回路パターンの検査装置及び検査方法は、以上説明したとおりであるが、その具体的構成については、種々の変形例が可能である。
【0196】
例えば、図20に示すような光源に光、レーザ光を用いた場合のウエハ外観検査装置301についても、適用可能である。
【0197】
図20は、本発明の他の実施形態によるウエハ外観検査装置の全体構成を示すブロック図である。
【0198】
検査ウエハ309は、X−Yステージ331の上に載置される。検査ウエハ309の上には、格子状にチップが規則的に配列形成されている。制御部306は、X−Yステージ331をチップピッチの整数倍の距離を動かす。光源306からの光が検査ウエハ309に照射される。検査ウエハ309から反射された光は、対物レンズ316を通し、ハーフミラー317により光路分割され、CCDカメラ320により2次元画像として検出される。
【0199】
制御部306によって、X−Yステージ331をチップピッチ動かし、検査チップ310と比較チップ311の同一ポイントの画像を得ることができる。
【0200】
制御部306は、検査チップ310と比較チップ311の同一ポイントの濃淡差に基づいて、所定のしきい値より大きいときは、検査チップ310の検査したポイントに欠陥があると判断する構成になっている。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】本発明の一実施の形態による回路パターンの検査装置の構成図である。
【図2】図1に示した検査装置の部分拡大構成図である。
【図3】半導体装置の製造プロセスの一実施例の説明図である。
【図4】本実施の形態の回路パターンの検査装置及び方法によって図1に示すモニタに表示される欠陥確認画面である。
【図5】本実施の形態の回路パターンの検査装置及び方法に採用されているレシピのデータ構成図である。
【図6】本実施の形態の回路パターンの検査装置による検査結果データのデータ構成図である。
【図7】本実施の形態の検査装置において、その制御部に備えられた条件設定・調整制御手段の一実施例を示したものである。
【図8】マッププロセス処理部によるマップ表示部の表示仕様の説明図である。
【図9】マップドラック始点・終点設定操作によってマップの任意エリアの欠陥を選択する場合の説明図である。
【図10】マップドラック円領域設定操作によってマップの任意エリアの欠陥を選択する場合の説明図である。
【図11】マップクリックダイ指定操作によってマップの任意のダイの欠陥を選択する場合の説明図である。
【図12】マップ表示部に表示される欠陥部を規制するフィルタリング情報を設定するための説明図である。
【図13】グラフプロセス処理部によるフィルタリング情報設定状態の確認画面の説明図である。
【図14】マップ描画モードとしてダイ描画モードが設定されている場合の欠陥確認画面の説明図である。
【図15】マップ描画モードとしてショット描画モードが設定されている場合の欠陥確認画面の説明図である。
【図16】欠陥情報による分類方法の説明図である。
【図17】欠陥画像サンプル条件の処理についてのフローチャートである。
【図18】発明適応前の検査後の欠陥分布マップである。
【図19】発明適応後の検査後の欠陥分布マップ
【図20】本発明の他の実施形態によるウエハ外観検査装置の全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0202】
51 二次電子
52 二次電子線
53 入力操作部
56 記憶部
57 表示制御部
58 OSD手段
72 マッププロセス処理部
74 画像プロセス処理部
76 リストプロセス処理部
78 グラフプロセス処理部
80 メッセージサーバ部
90 ウエハ
91 ダイ
100 欠陥確認画面
110 マップ表示部
120 画像表示部
130 リスト表示部
140 グラフ表示部
200 フィルタリング情報設定状態の確認画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの回路パターンが形成された基板表面に光、レーザ光又は荷電粒子線のいずれかを照射する照射手段と、
該照射によって基板から発生する信号を検出する検出手段と、
該検出手段によって検出された信号を画像化して前記ウエハの回路パターンの画像を検査画像として取得する検査画像取得手段と、
該検査画像取得手段によって取得された検査画像を、当該検査画像とは別の同一の回路パターンから取得された基準画像と比較し、当該比較結果から当該検査画像の取得先の回路パターン上に生じた欠陥部を判別する欠陥判別手段と
を備えた回路パターンの検査装置であって、
前記検査画像取得手段によって取得された検査画像に基づく分析画像、及び前記欠陥判別手段の欠陥判別結果に基づく分析画像を同一画面上に配置した欠陥確認画面を生成する分析結果表示手段と、
該分析結果表示手段によって生成された欠陥確認画面上から、対話形式で情報を入力させる入力手段と、
該入力手段によって前記欠陥確認画面上に配置された検査画像に基づく分析画像又は判別結果に基づく分析画像のいずれか一方に対して前記入力手段によって操作入力がなされた場合は、前記入力手段による一方の分析画像に対する操作入力に連動させて他方の分析画像の表示内容を対応変更させる画像連動手段と
を備えていることを特徴とする回路パターンの検査装置。
【請求項2】
前記分析結果表示手段は、該入力手段によって前記欠陥確認画面上に配置された検査画像に基づき少なくとも一枚以上の分析画像を生成し、又は前記欠陥判別手段の欠陥判別結果に基づき少なくとも一枚以上の分析画像を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の回路パターンの検査装置。
【請求項3】
前記入力手段は、前記欠陥確認画面上から前記照射手段の照射条件を選択させる手段
であることを特徴とする請求項1記載の回路パターンの検査装置。
【請求項4】
前記入力手段は、前記欠陥確認画面上から選択させた前記照射手段の照射条件をレシピデータとして設定するレシピ設定手段を兼ねる
ことを特徴とする請求項2記載の回路パターン検査装置。
【請求項5】
ウエハの回路パターンが形成された基板表面に光、レーザ光又は荷電粒子線のいずれかを照射する照射し、該照射によって基板から発生する信号を検出し、当該検出された信号を画像化して前記ウエハの回路パターンの画像を検査画像として取得して、該検査画像を、当該検査画像とは別の同一の回路パターンから取得された基準画像と比較し、当該比較結果から当該検査画像の取得先の回路パターン上に生じた欠陥部を判別する回路パターンの検査方法であって、
前記検査画像に基づく分析画像、及び前記欠陥判別結果に基づく分析画像を同一画面上に配置した欠陥確認画面を生成する分析結果表示工程、
該分析結果表示工程によって生成された欠陥確認画面上から、対話形式で情報を入力させる入力工程、
該入力工程によって前記欠陥確認画面上に配置された検査画像に基づく分析画像又は判別結果に基づく分析画像のいずれか一方に対して前記入力工程によって操作入力がなされた場合は、前記入力工程による一方の分析画像に対する操作入力に連動させて他方の分析画像の表示内容を対応変更させる画像連動工程
を有することを特徴とする回路パターンの検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−234798(P2007−234798A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53520(P2006−53520)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】