説明

半導体素子の製造方法及び半導体素子

【課題】II族酸化物半導体を用いた半導体素子における新規な絶縁層形成技術を提供する。
【解決手段】半導体素子の製造方法は、(a)基板上方に、II族酸化物半導体層を成長させる工程と、(b)II族酸化物半導体層上に、窒素をドープしつつOリッチ条件での成長を行い抵抗率が10Ωcm以上のII族酸化物絶縁層を成長させる工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造方法及び半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ZnO等のII族酸化物半導体は、各種の半導体素子の材料として研究されている。例えば、紫外線透過性を有するPEDOT:PSSなどの有機物導電材料をショットキー電極としてZnO層上に形成した光起電力型の紫外線センサが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008‐211203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、II族酸化物半導体を用いた半導体素子における新規な絶縁層形成技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、(a)基板上方に、II族酸化物半導体層を成長させる工程と、(b)前記II族酸化物半導体層上に、窒素をドープしつつOリッチ条件での成長を行い抵抗率が10Ωcm以上のII族酸化物絶縁層を成長させる工程とを有する半導体素子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
II族酸化物半導体層上に配置される絶縁層を、窒素をドープしたII族酸化物の成長により形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実験で得られた窒素ドープMgZnO層におけるキャリア濃度、窒素濃度、及び抵抗率を、Znフラックスに対して示したグラフである。
【図2】図2A〜図2Dは、第1実施例による受光装置の主要な製造工程を示す概略断面図である。
【図3】図3は、第1実施例の受光装置の全体構造を示す概略断面図である。
【図4−1】図4A〜図4Cは、第2実施例による受光装置の主要な製造工程を示す概略断面図である。
【図4−2】図4D〜図4Fは、第2実施例による受光装置の主要な製造工程を示す概略断面図である。
【図5】図5は、第2実施例の変形例による半導体紫外線受光素子のワイヤーボンディング用電極近傍を示す概略断面図である。
【図6】図6は、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)のエッチング速度のMg組成xに対する依存性を示すグラフである。
【図7】図7は、ZnO、MgO、及びBeOの物性をまとめた表である。
【図8】図8は、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)のエネルギーギャップとMg組成xとの関係を示すグラフである。
【図9−1】図9A〜図9Cは、第3実施例の受光装置の主要な製造工程を示す概略断面図である。
【図9−2】図9D〜図9Fは、第3実施例の受光装置の主要な製造工程を示す概略断面図である。
【図10】図10A〜図10Cは、第4実施例のトランジスタの主要な製造工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、窒素ドープのMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層の抵抗率を調べた実験について説明する。結晶成長方法として、分子線エピタキシ(MBE)を用いた。Zn面(+c面)ZnO基板上に、ZnOバッファー層を介して、窒素がドープされたMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層を形成した。
【0009】
例えば以下のような成長条件で、窒素ドープMgZnO層を形成した。成長温度700℃、MgフラックスFMg=0.02nm/s、OラジカルソースガンのO流量2sccm/RFパワー300W、及び、NラジカルソースガンのN流量0.5sccm/RFパワー90Wを一定とした。そして、ZnフラックスFZnを0.05nm/s〜0.28nm/sの範囲で変化させることにより、VI/IIフラックス比を変化させた。この成長条件例では、得られた窒素ドープMgZn1−xO層のMg組成xが0.2であった。
【0010】
ZnOにMgを添加することにより、バンドギャップを広げることができる。ただし、ZnOはウルツ鉱構造(六方晶)で、MgOは岩塩構造(立方晶)であるため、Mg組成が高すぎると相分離を起こしてしまう。MgZn1−xOのMg組成xは、ウルツ鉱構造を保つため0.6以下とするのが好ましい。なお、Mg組成x=0も含めることにより、MgZn1−xOという表記に、Mgの添加されていないZnOも含める。
【0011】
ここで、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)の成長を例として、II族酸化物の成長におけるVI/IIフラックス比の定義等について説明する。Znのフラックス強度をJZn、Mgのフラックス強度をJMgとし、Oラジカルのフラックス強度をJとする。又、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)結晶のO終端面へのZnの付着のしやすさを示す係数(Znの付着係数)をKZn、Mgの付着のしやすさを示す係数(Mgの付着係数)をKMgとし、Zn終端面へのOの付着のしやすさを示す係数(Oの付着係数)をKとする。
【0012】
このとき、Znの付着係数KZnとフラックス強度JZnとの積であるKZn・JZnは、基板の単位面積に単位時間あたりに付着するZn原子の個数に対応する。Mgの付着係数KMgとフラックス強度JMgとの積であるKMg・JMgは、基板の単位面積に単位時間あたりに付着するMg原子の個数に対応する。又、Oの付着係数Kとフラックス強度Jとの積であるK・Jは、基板の単位面積あたりに付着するO原子の個数に対応する。
【0013】
VI/IIフラックス比は、(KZn・JZn+KMg・JMg)に対するK・Jの比である(K・J)/(KZn・JZn+KMg・JMg)と定義される。VI/IIフラックス比が1より大きい場合をVI族リッチ条件(Oリッチ条件)、1に等しい場合をストイキオメトリ条件、1未満である場合をII族リッチ条件と呼ぶ。
【0014】
なお、Zn面での結晶成長においては、基板表面温度850℃以下であれば、付着係数KZn、KMg、及びKを1と見なすことができ、VI/IIフラックス比をJ/(JZn+JMg)と表すことができる。
【0015】
図1は、上記の成長条件で得られた窒素ドープMgZnO層におけるキャリア濃度、窒素濃度、及び抵抗率を、Znフラックスに対して示したグラフである。横軸が、nm/s単位で示したZnフラックス(FZn)であり、左側の縦軸が、cm−3単位で示したキャリア濃度及び窒素濃度であり、右側の縦軸が、Ωcm単位で示した抵抗率である。キャリア濃度、窒素濃度、及び抵抗率を、それぞれ、四角、丸、及び菱形のプロットで示す。ZnフラックスFZn=0.13nm/sがストイキオメトリ条件(KZn・JZn+KMg・JMg=K・J)である。なお、MgフラックスFMgは0.02nm/sである。
【0016】
抵抗率は、VI/IIフラックス比によって大きく変化し、ストイキオメトリ条件から少しVI族リッチ(Oリッチ)条件側で、10Ωcm以上に達し非常に高くなっている。抵抗率が10Ωcm以上(より望ましくは10Ωcm以上)の層は、実質的に電気的絶縁層として扱うことができる。
【0017】
抵抗率が10Ωcm以上となる範囲は、ZnフラックスFZnとしては0.11nm/s〜0.13nm/sであり、ZnフラックスとMgフラックスを加算したフラックスとしては、FZn+Mg=0.13nm/s〜0.15nm/sである。これを、一般化してVI/IIフラックス比の範囲で表すと、1.2〜1.0(1.0より大きく1.2未満)となる。
【0018】
キャリア濃度は、抵抗率と対応した変化が観測され、抵抗率が10Ωcm以上程度に高くなっている範囲では、キャリア濃度が(低くなりすぎて)測定不能であった。
【0019】
N濃度は、抵抗率やキャリア濃度のような急激な変化は見られず、Znフラックス増加に伴い(VI/IIフラックス比減少に伴い)、増加する傾向が見られる。抵抗率が10Ωcm以上程度に高くなっている範囲では、N濃度は1〜3×1019cm−3程度(1018cm−3以上)となっている。
【0020】
成長条件の一例として、Mg組成xが0.2となる場合を説明した。Mg組成xは、Mgフラックスを変化させることにより制御することができる。本実験では、Znフラックス一定の下Mgフラックスを変化させて、Mg組成xを変化させた窒素ドープMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層も作製し、Mg組成xと窒素ドープMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層の抵抗率との関係についても調べた。
【0021】
得られた抵抗率は、Mg組成x=0(つまりZnO)のとき5.0×10Ωcm、Mg組成x=0.2のとき5.0×10Ωcm、Mg組成x=0.3のとき7.0×10Ωcmであった。このように、Mg組成を大きくするほど、抵抗率は高くなる傾向があることがわかった。
【0022】
上述の実験より、以下のようなことが言えるであろう。MgZn1−xO(0≦x≦0.6)に窒素をドープし、ストイキオメトリ条件からややOリッチ側の条件(例えばVI/IIフラックス比1.0〜1.2の範囲)で成長させることにより、抵抗率が例えば10Ωcm以上程度に高いMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層を得ることができる。なお、Mgフラックスがある程度変化しても、高抵抗が得られるVI/IIフラックス比の範囲は同様であろう。
【0023】
MgZn1−xO(0≦x≦0.6)のMg組成xを高めるほど、抵抗率は高くなる傾向がある。抵抗率を高めることを容易にする観点からは、Mg組成xは例えば0.1以上とすることが好ましい。
【0024】
次に、本発明の実施例として、窒素ドープのMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層を絶縁層に利用したZnO系半導体素子について説明する。実施例では、ZnO系半導体層及び絶縁層の成長方法としてMBEを用いる。なお、ZnO系半導体は、少なくともZnとOとを含む。
【0025】
まず、第1実施例によるZnO系半導体紫外線受光装置について説明する。図2A〜図2Dは、第1実施例による受光装置の主要な製造工程を示す概略断面図である。
【0026】
図2Aを参照する。Alが添加されたn型Zn面ZnO(0001)基板1上に、成長温度300℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.1nm/s)、及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、ZnOバッファー層2を厚さ30nm成長させる。900℃でアニールを行い、結晶性及び表面平坦性の改善を行う。
【0027】
ZnOバッファー層2上に、成長温度900℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.15nm/s)、及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、アンドープZnO層3を厚さ約1.5μm成長させる。ZnO基板1及びアンドープZnO層3のキャリア濃度は、それぞれ、例えば3.0×1017cm−3及び5.2×1015cm−3である。
【0028】
アンドープZnO層3上に、成長温度700℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.12nm/s)、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.02nm/s)、Oラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)、及びNラジカルビーム(N流量0.5sccm/RFパワー90W)を同時照射し、絶縁層として窒素ドープMgZnO層4を厚さ100nm成長させる。
【0029】
このように、窒素ドープのMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層を絶縁層として利用することにより、ZnO系半導体層と絶縁層とを単一の装置で一貫して成長させることができる。
【0030】
ZnO系半導体エピ層上に形成する絶縁層として、SiO膜等をスパッタリングや化学気相堆積(CVD)で堆積する方法を比較例とする。実施例の方法は、比較例と比べて、スパッタリング装置やCVD装置等を必要とせず、また半導体層と絶縁層との界面を清浄に保つことができる。
【0031】
図2Bを参照する。窒素ドープMgZnO絶縁層4上に、有機物電極の形成領域を露出するレジストパターンRP1を形成する。レジストパターンRP1をマスクとし、酸により窒素ドープMgZnO絶縁層4をエッチングして、アンドープZnO層3を露出させる。
【0032】
次に、導電性ポリマーによる有機物電極5を形成する。有機物電極5の材料として、例えばPEDOT:PSSを用いることができる。PEDOT:PSSは、キャリアドーパント兼水分散剤としてポリスチレンスルホン酸(PSS)を含んだ、ポリチオフェン誘導体のポリ3,4‐エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である。PEDOT:PSSは、導電率増加剤として例えばジメチルスルホキシド(DMSO)を添加して使用することができる。
【0033】
レジストパターンRP1は残したまま、UVオゾン洗浄を行った後、スピンコートによりPEDOT:PSSを厚さ30nm塗布する。リフトオフにより、レジストパターンRP1及びレジストパターンRP1上の余分なPEDOT:PSSを除去して、アンドープZnO層3上に有機物電極5を形成する。ホットプレートにより200℃、20分加熱処理を施す。なお、有機物電極5の加熱処理には、真空乾燥炉、クリーンオーブン等を用いてもよい。
【0034】
有機物電極5は、アンドープZnO層3に対してショットキー電極を形成するとともに、紫外線透過性である。有機物電極5を透過してアンドープZnO層3に入射した紫外線により、光起電力が生じる。なお、このような半導体紫外線受光素子では、ショットキー電極を用いることにより、n型半導体層に比べて形成が難しいp型半導体層を形成しなくてすむ。
【0035】
図2Cを参照する。有機物電極5上に、ワイヤーボンディング用金属電極6を形成する。ワイヤーボンディング用金属電極6は、有機物電極5上から窒素ドープMgZnO絶縁層4上にまたがるように配置され、透光領域を確保するため有機物電極5の一部上を覆い、窒素ドープMgZnO絶縁層4の上方部分に、ワイヤーボンディング領域となる程度の広い面積を確保する。
【0036】
ワイヤーボンディング用金属電極6の形成領域に開口を有する金属マスクを用い、電子ビーム(EB)蒸着により、厚さ10nmのTi層6aと厚さ500nmのAu層6bとを積層して、ワイヤーボンディング用金属電極6を形成する。Ti層6aが、絶縁層4との密着層として働く。
【0037】
そして、ZnO基板1の裏面上に、厚さ10nmのTi層7aと厚さ500nmのAu層7bとを積層して、オーミック電極7を形成する。このようにして、第1実施例の受光素子が作製される。その後、ダイボンディング及びワイヤーボンディングにより、第1実施例の受光素子をステム上に接合して、第1実施例の受光装置を作製する。
【0038】
図2Dは、ワイヤーボンディングされた第1実施例の受光素子を示す。Auワイヤー12の先端を溶融して丸めたAuボール11を、ワイヤーボンディング用金属電極6に接合している。第1実施例の受光素子は、有機物電極5上から窒素ドープMgZnO絶縁層4上にまたがるようにワイヤーボンディング用金属電極6が形成されていることにより、ワイヤーボンディング用金属電極6と有機物電極5との密着性が低くても、ワイヤーボンディング用金属電極6の剥離を抑制して、ワイヤーボンディングを行うことができる。
【0039】
図3は、第1実施例の受光装置の全体構造を示す概略断面図である。受光素子のオーミック電極7が、ステム21の一方の電極21a上に銀ペースト22を介してダイボンディングされている。受光素子のワイヤーボンディング用金属電極6と、ステム21の他方の電極21bとが、Auボール11、13を介してAuワイヤー12でワイヤーボンディングされている。Auボール11が、絶縁層4の上方部分のワイヤーボンディング用金属電極6上に配置されている。受光素子の上方が、紫外線透過窓23の形成された容器24で覆われている。
【0040】
次に、第2実施例によるZnO系半導体紫外線受光装置について説明する。第1実施例は、導電性の成長基板を用いたが、第2実施例では、絶縁性の成長基板を用いる。図4A〜図4Fは、第2実施例による受光装置の主要な製造工程を示す概略断面図である。
【0041】
図4Aを参照する。c面サファイア基板31上に、成長温度650℃で、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.05nm/s)とOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、MgO層32を厚さ約10nm成長させる。
【0042】
MgO層32は、その上に成長させるZnO系半導体層をZn極性面(+c面)で成長させる極性制御層となる。なお、無極性単結晶基板上方に成長させるZnO系半導体層の極性を、MgO層を介して制御する技術については、特開2005‐197410号公報の「発明を実施するための最良の形態」の欄に説明されている。
【0043】
MgO層32上に、成長温度300℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.1nm/s)及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、低温ZnOバッファー層33を厚さ約30nm成長させる。低温ZnOバッファー層33の成長後、結晶性及び表面平坦性改善のため、900℃、30分のアニールを施す。
【0044】
ZnOバッファー層33上に、成長温度900℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.15nm/s)、Oラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)、及びGaビーム(Gaセル温度380℃)を同時照射して、Gaドープn型ZnO層34を厚さ約2.0μm成長させる。
【0045】
n型ZnO層34上に、成長温度900℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.15nm/s)及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、アンドープZnO層35を厚さ約1.5μm成長させる。
【0046】
n型ZnO層34及びアンドープZnO層35のキャリア濃度は、それぞれ例えば、9.0×1017cm−3及び9.8×1015cm−3である。
【0047】
アンドープZnO層35上に、成長温度700℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.12nm/s)、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.02nm/s)、Oラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)、及びNラジカルビーム(N流量0.5sccm/RFパワー90W)を同時照射し、絶縁層として窒素ドープMgZnO層36を厚さ100nm成長させる。
【0048】
図4Bを参照する。窒素ドープMgZnO絶縁層36上に、オーミック電極の形成領域を露出するレジストパターンRP31を形成する。レジストパターンRP31をマスクとし、酸により窒素ドープMgZnO絶縁層36及びアンドープZnO層35をエッチングして、n型ZnO層34を露出させる。
【0049】
図4Cを参照する。レジストパターンRP31を除去して洗浄を行い、n型ZnO層34上に、金属マスクを使用したEB蒸着により、厚さ50nmのTi層37aと厚さ500nmのAu層37bとを積層して、オーミック電極37を形成する。
【0050】
図4Dを参照する。有機物電極の形成領域を露出するレジストパターンRP32を形成する。レジストパターンRP32をマスクとし、酸により窒素ドープMgZnO絶縁層36をエッチングして、アンドープZnO層35を露出させる。
【0051】
レジストパターンRP32は残したまま、UVオゾン洗浄を行った後、スピンコートによりPEDOT:PSSを厚さ30nm塗布する。リフトオフにより、レジストパターンRP32及びレジストパターンRP32上の余分なPEDOT:PSSを除去して、アンドープZnO層35上に有機物電極38を形成する。ホットプレートにより200℃、20分加熱処理を施す。
【0052】
図4Eを参照する。金属マスクを使用したEB蒸着により、厚さ50nmのTi層39aと厚さ500nmのAu層39bとを積層して、有機物電極38上から窒素ドープMgZnO絶縁層36上にまたがるワイヤーボンディング用金属電極39を形成する。このようにして、第2実施例の受光素子が作製される。その後、ダイボンディング及びワイヤーボンディングにより、第2実施例の受光素子をステム上に接合して、第2実施例の受光装置を作製する。
【0053】
図4Fは、ワイヤーボンディングされた第2実施例の受光素子を示す。第2実施例の受光素子は、有機物電極38に接続されたワイヤーボンディング用金属電極39が、Auボール41を介してAuワイヤー42でステムの一方の電極にワイヤーボンディングされるとともに、オーミック電極37が、Auボール43を介してAuワイヤー44でステムの他方の電極にワイヤーボンディングされる。第1実施例と同様に、有機物電極38に接続されたワイヤーボンディング用金属電極39の剥離が抑制されている。
【0054】
図5は、第2実施例の変形例による半導体紫外線受光素子の、ワイヤーボンディング用電極39近傍を示す概略断面図である。有機物電極38が絶縁層36の縁部に乗り上げるように形成されている。このような電極構造とすることもできる。
【0055】
図6は、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)のエッチング速度のMg組成xに対する依存性を示すグラフである。王水(HNO:HCl=1:3)によるエッチング速度、及びEDTA−2Na:EDA=10:1混合溶液(pH=10.6)によるエッチング速度を示す。EDTA−2Naはエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム、EDAはエチレンジアミンである。これらのエッチャントを用いた場合、Mg組成xの増加によってエッチング速度が減少することがわかる。
【0056】
図7は、II族酸化物であるZnO、MgO、及びBeOの物性をまとめた表である。MgO、BeOは、ZnOに比べて、融点、結合エネルギーが非常に高い。すなわち化学的に安定な物質であると言える。このことから、ZnOとMgOの混晶であるMgZnO結晶は、Mg組成が高くなるに従い、化学的な安定性が向上し、エッチャントが酸であるかアルカリであるかにかかわらず、エッチング速度が減少したものと推察される。なお、BeOはウルツ鉱構造であるため、ZnOとBeOとの混晶であるBeZn1−xOは、Be組成xが1までウルツ鉱構造である。
【0057】
図6及び図7より、以下のようなことが言える。MgZn1−xO(0≦x≦0.6)層上にMgZn1−yO(0≦y≦0.6)層を積層する場合、下層のMg組成xを、上層のMg組成yより大きくすることにより、下層のMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層をエッチングストップ層として機能させることができる。これにより、エッチング加工を容易にすることができる。
【0058】
同様に、ZnOとBeOとの混晶、ZnOとMgOとBeOとの混晶などでも、Be組成、Mg組成が高くなるに従い、化学的な安定性が向上し、エッチング速度が減少するものと推察される。このことから、下層に、Be、Mg組成の高い層、上層にBe、Mg組成の低い層を積層することにより、エッチングストップの効果を利用して、エッチング加工を容易にすることができると考えられる。
【0059】
なお、第1実施例及び第2実施例では、アンドープZnO層上に窒素ドープMgZnO絶縁層を積層した。つまり、下層のMg組成の方が低い積層構造を形成した。このような場合でも、例えば時間制御エッチングにより、上層の窒素ドープMgZnO絶縁層を選択的にエッチングすることができる。
【0060】
第1実施例及び第2実施例では、受光半導体層としてZnOを用いたが、受光半導体層として、MgZnOを用いることもできる。
【0061】
図8は、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)のエネルギーギャップとMg組成xとの関係を示すグラフである。Mg組成xを0から0.6まで大きくすると、エネルギーギャップは3.3eV(波長376nm)から4.4eV(波長282nm)まで大きくなる。エネルギーギャップが大きくなることにより、受光感度波長が短波長側へシフトする。これを利用することにより波長選択が可能となる。
【0062】
次に、第3実施例によるZnO系半導体紫外線受光装置について説明する。第3実施例の受光素子は、受光感度波長帯域の異なる2つの受光半導体層を有する。図9A〜図9Fは、第3実施例の受光装置の主要な製造工程を示す概略断面図である。
【0063】
図9Aを参照する。Alが添加されたn型Zn面ZnO(0001)基板51上に、成長温度300℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.1nm/s)、及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、ZnOバッファー層52を厚さ30nm成長させる。900℃でアニールを行い、結晶性及び表面平坦性の改善を行う。
【0064】
ZnOバッファー層52上に、成長温度900℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.15nm/s)、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.04nm/s)、及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、アンドープMgZnO層53を厚さ約1.5μm成長させる。
【0065】
アンドープMgZnO層53上に、成長温度900℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.15nm/s)、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.03nm/s)、及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、アンドープMgZnO層54を厚さ約1.5μm成長させる。
【0066】
アンドープMgZn1−xO層53のMg組成xは0.36となり、エネルギーギャップは4.0eVとなり、受光感度波長帯域は310nm以下となる。アンドープMgZn1−yO層54のMg組成yは0.24となり、エネルギーギャップは3.7eVとなり、受光感度波長帯域は335nm以下となる。
【0067】
キャリア濃度は、例えば、ZnO基板51が2.1×1017cm−3、アンドープMgZnOエピ層53が1.6×1015cm−3、アンドープMgZnOエピ層54が3.3×1015cm−3である。
【0068】
アンドープMgZnO層54上に、成長温度700℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.12nm/s)、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.02nm/s)、Oラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)、及びNラジカルビーム(N流量0.5sccm/RFパワー90W)を同時照射し、絶縁層として窒素ドープMgZnO層55を厚さ100nm成長させる。
【0069】
図9Bを参照する。窒素ドープMgZnO絶縁層55上に、レジストパターンRP51を形成する。レジストパターンRP51は、アンドープMgZnO層53を受光半導体層とする領域を露出する。レジストパターンRP51をマスクとし、酸により窒素ドープMgZnO絶縁層55及びアンドープMgZnO層54をエッチングして、アンドープMgZnO層53を露出させる。その後、レジストパターンRP51を除去する。
【0070】
図9Cを参照する。アンドープMgZnO層54を受光半導体層とする領域を露出するレジストパターンRP52を形成する。レジストパターンRP52をマスクとし、酸により窒素ドープMgZnO絶縁層55をエッチングして、アンドープMgZnO層54を露出させる。
【0071】
図9Dを参照する。有機物電極の形成領域を露出するレジストパターンRP53を形成する。UVオゾン洗浄を行った後、スピンコートによりPEDOT:PSSを厚さ30nm塗布する。リフトオフにより、レジストパターンRP53及びレジストパターンRP53上の余分なPEDOT:PSSを除去して、アンドープMgZnO層54上に有機物電極56Aを形成し、アンドープMgZnO層53上に有機物電極56Bを形成する。ホットプレートにより200℃、20分加熱処理を施す。
【0072】
図9Eを参照する。金属マスクを使用したEB蒸着により、厚さ50nmのTi層57aと厚さ500nmのAu層57bとを積層して、ワイヤーボンディング用金属電極57A及び57Bを形成する。ワイヤーボンディング用金属電極57Aは、有機物電極56A上から窒素ドープMgZnO絶縁層55上にまたがるように形成され、ワイヤーボンディング用金属電極57Bは、有機物電極56B上から窒素ドープMgZnO絶縁層55上にまたがるように形成される。
【0073】
そして、ZnO基板51の裏面上に、厚さ10nmのTi層58aと厚さ500nmのAu層58bとを積層して、オーミック電極58を形成する。このようにして、第3実施例の受光素子が作製される。
【0074】
第3実施例の受光素子は、受光半導体層をアンドープZnO層54とする受光素子部分LSAと、受光半導体層をアンドープMgZnO層53とする受光素子部分LSBとを含む。
【0075】
ワイヤーボンディング用金属電極57Aが、有機物電極56Aを介して、アンドープZnO層54に電気的に接続され、ワイヤーボンディング用金属電極57Bが、有機物電極56Bを介して、アンドープMgZnO層53に電気的に接続されている。オーミック電極58が、アンドープZnO層54とアンドープMgZnO層53の両方に電気的に接続されて、両受光素子部分LSA及びLSBで共通である。
【0076】
その後、ダイボンディング及びワイヤーボンディングにより、第3実施例の受光素子をステム上に接合して、第3実施例の受光装置を作製する。
【0077】
図9Fは、ワイヤーボンディングされた第3実施例の受光素子を示す。オーミック電極58が、ステムの両受光素子LSA及びLSBに共通な電極上にダイボンディングされる。ワイヤーボンディング用金属電極57Aが、Auボール61Aを介してAuワイヤー62Aで、ステムの受光素子LSA側の電極に接続され、ワイヤーボンディング用金属電極57Bが、Auボール61Bを介してAuワイヤー62Bで、ステムの受光素子LSB側の電極に接続される。
【0078】
なお、アンドープMgZnO層53、アンドープMgZnO層54、及び窒素ドープMgZnO絶縁層55の積層構造において、Mg組成を上層ほど低くなるように調整することにより、上層のエッチング時に直下の層をエッチングストップ層として働かせることができ、エッチング加工が容易になる。つまり、このような観点からは、下層側のMgZnO受光層53よりも、上層側のMgZnO層54でMg組成を低くして、上層側のMgZnO層54の受光感度波長帯域を長波長側に設定する構造が好ましい。
【0079】
次に、第3実施例の変形例について説明する。一方の受光半導体層をZnO層(受光感度波長帯域376nm以下)とし、他方の受光半導体層をMg組成x=0.31のMgZn1−xO層(受光感度波長帯域320nm以下)とする。
【0080】
太陽光の紫外線は、UV−A(320〜400nm)、UV‐B(280〜320nm)、及びUV−C(280nm以下)に分類されるが、UV−Cはオゾン層で吸収されて地表まで届かないので、通常の紫外線は、実質的にUV−AとUV‐Bである。
【0081】
受光半導体層をZnO層とする一方の受光素子部分は、UV−A(320〜400nm)及びUV‐B(280〜320nm)の測定に適する。一方、受光半導体層をMgZn1−xO層(x=0.31)とする他方の受光素子部分は、UV‐B(280〜320nm)の測定に適する。UV−Aは、一方の受光素子部分の光電流から、他方の受光素子部分の光電流を引くことで見積もることができ、UV−Bは、他方の受光素子部分の光電流から見積もることができる。
【0082】
なお、第1実施例〜第3実施例により説明した受光素子において、有機物電極(PEDOT:PSS)の導電率増加剤として、ジメチルスルホキシド(DMSO)を添加して使用したが、エチレングリコールや1‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)などの非プロトン性極性溶媒を使用してもよい。
【0083】
また、有機物電極形成において、スピンコートによりPEDOT:PSSを塗布し、リフトオフしてパターン形成したが、スクリーン印刷用の導電性ポリマーを使用して、スクリーン印刷により直接パターン形成してもよい。スクリーン印刷用の導電性ポリマーもポリチオフェン誘導体から形成されている。
【0084】
次に、第4実施例による、高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造のZnO系トランジスタについて説明する。図10A〜図10Cは、第4実施例のトランジスタの主要な製造工程を示す概略断面図である。
【0085】
図10Aを参照する。c面サファイア基板71上に、成長温度650℃で、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.05nm/s)とOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射し、極性制御層としてMgO層72を厚さ約10nm成長させる。
【0086】
MgO層72上に、成長温度300℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.1nm/s)及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、ZnOバッファー層73を厚さ30nm成長させる。900℃でアニールを行い、結晶性及び表面平坦性の改善を行う。
【0087】
ZnOバッファー層73上に、成長温度900℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.15nm/s)、及びOラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)を同時照射して、アンドープZnO層74を厚さ約1.5μm成長させる。
【0088】
アンドープZnO層74上に、成長温度850℃〜1050℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.1nm/s〜0.5nm/s)、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.02nm/s〜0.15nm/s)、Oラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー200W〜300W)、及びGaビーム(Gaセル温度350℃〜420℃)を同時照射して、n型MgZnO層75を厚さ20nm成長させる。アンドープZnO層74と、アンドープZnO層74に対しバンドギャップの異なるn型MgZnO層75との界面に、2次元電子ガス層を形成することができる。
【0089】
n型MgZnO層75上に、成長温度700℃で、Znビーム(ZnフラックスFZn=0.12nm/s)、Mgビーム(MgフラックスFMg=0.02nm/s)、Oラジカルビーム(O流量2sccm/RFパワー300W)、及びNラジカルビーム(N流量0.5sccm/RFパワー90W)を同時照射し、絶縁層として窒素ドープMgZnO層76を厚さ100nm成長させる。
【0090】
上述した受光素子の実施例と同様に、窒素ドープのMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層を絶縁層として利用することにより、ZnO系半導体層と絶縁層とを単一の装置で一貫して作製することができる。
【0091】
図10Bを参照する。窒素ドープMgZnO絶縁層76上に、ソース電極及びドレイン電極の形成領域を露出するレジストパターンRP71を形成する。レジストパターンRP71をマスクとし、酸により窒素ドープMgZnO絶縁層76をエッチングして、ソース電極及びドレイン電極の形成領域でn型MgZnO層75を露出させる。その後、レジストパターンRP71を除去する。
【0092】
図10Cを参照する。ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極の形成領域を露出するレジストパターンRP72を形成する。EB蒸着により、厚さ10nmのNi層77aと厚さ500nmのAu層77bとを積層する。リフトオフにより、レジストパターンRP72及びレジストパターンRP72上の余分な金属膜を除去して、ソース電極77S、ドレイン電極77D、及びゲート電極77Gを形成する。このようにして、第4実施例のZnO系トランジスタが作製される。
【0093】
窒素ドープMgZnO絶縁層76は、ソース電極77Sとドレイン電極77Dとの間の領域を覆うとともに、ゲート電極77Gとn型MgZnO層75との間に介在するゲート絶縁膜となる。このようにして、絶縁ゲート電極構造が形成される。
【0094】
以上説明したように、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)に窒素をドープし、ストイキオメトリ条件からややOリッチ側の条件で成長させることにより、抵抗率が例えば10Ωcm以上程度に高いMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層を得ることができる。
【0095】
例えば受光素子やトランジスタ等のZnO系半導体素子における絶縁層として、このような高抵抗の窒素ドープのMgZn1−xO(0≦x≦0.6)層を利用することができる。ZnO系半導体層と絶縁層とを単一の装置で一貫して成長させることができる。
【0096】
上記実験では、ZnO、あるいは、ZnOとMgOとの混晶であるMgZnOを高抵抗化できることを確認した。その他のII族酸化物、例えば、ZnOとBeOとの混晶、BeO、ZnOとMgOとBeOとの混晶等についても、窒素をドープし、ストイキオメトリ条件からややOリッチ側の条件(例えばVI/IIフラックス比1.0〜1.2の範囲)で成長させることにより、(例えば10Ωcm以上程度に)高抵抗化できることが期待されよう。
【0097】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0098】
1 ZnO基板
2 ZnOバッファー層
3 アンドープZnO層
4 窒素ドープMgZnO絶縁層
5 有機物電極
6 ワイヤーボンディング用金属電極
7 オーミック電極
11、13 Auボール
12 Auワイヤー
21 ステム
21a、21b 電極
22 銀ペースト
23 紫外線透過窓
24 容器
31 サファイア基板
32 MgO層
33 ZnOバッファー層
34 n型ZnO層
35 アンドープZnO層
36 窒素ドープMgZnO絶縁層
37 オーミック電極
38 有機物電極
39 ワイヤーボンディング用金属電極
41、43 Auボール
42、44 Auワイヤー
51 ZnO基板
52 ZnOバッファー層
53、54 アンドープMgZnO層
55 窒素ドープMgZnO絶縁層
56A、56B 有機物電極
57A、57B ワイヤーボンディング用金属電極
58 オーミック電極
61A、61B Auボール
62A、62B Auワイヤー
LSA、LSB 受光素子部分
71 サファイア基板
72 MgO層
73 ZnOバッファー層
74 アンドープZnO層
75 n型MgZnO層
76 窒素ドープMgZnO絶縁層
77S、77G、77D ソース電極、ゲート電極、ドレイン電極
RP1〜RP72 レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板上方に、II族酸化物半導体層を成長させる工程と、
(b)前記II族酸化物半導体層上に、窒素をドープしつつOリッチ条件での成長を行い抵抗率が10Ωcm以上のII族酸化物絶縁層を成長させる工程と
を有する半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記工程(b)は、VI/IIフラックス比を1.0より大きく1.2未満として、前記II族酸化物絶縁層を成長させる請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記II族酸化物半導体層は、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)で形成され、前記II族酸化物絶縁層は、MgZn1−yO(0≦y≦0.6)で形成される請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記II族酸化物絶縁層のMg組成yが0.1以上である請求項3に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記II族酸化物半導体層のMg組成xが、前記II族酸化物絶縁層のMg組成yよりも高く、さらに、
(c)前記II族酸化物絶縁層をエッチングする工程
を有する請求項3または4に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
基板と、
前記基板上方に形成されたII族酸化物半導体層と、
前記II族酸化物半導体層上に形成され、窒素がドープされて抵抗率が10Ωcm以上のII族酸化物絶縁層と
を有する半導体素子。
【請求項7】
前記II族酸化物半導体層は、MgZn1−xO(0≦x≦0.6)で形成され、前記II族酸化物絶縁層は、MgZn1−yO(0≦y≦0.6)で形成されている請求項6に記載の半導体素子。
【請求項8】
前記II族酸化物絶縁層は、前記II族酸化物半導体層上の第1領域上に形成され、さらに、
前記II族酸化物半導体層上の、前記第1領域に隣接する第2領域上に形成された有機物電極と、
前記有機物電極上から前記II族酸化物絶縁層上に延在して形成された金属電極と
を有する請求項7に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記半導体素子は、絶縁ゲート電極構造を有するトランジスタであり、前記II族酸化物絶縁層が、ゲート絶縁膜として用いられる請求項7に記載の半導体素子。
【請求項10】
さらに、前記II族酸化物半導体層の下に配置され、MgZn1−zO(0≦z≦0.6)で形成され、前記II族酸化物半導体層とバンドギャップの異なる、他のII族酸化物半導体層を有する請求項9に記載の半導体素子。

【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−102093(P2013−102093A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245753(P2011−245753)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】