説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】素子特性を悪化させず、アクティブ領域を終端領域に対して、簡単な方法により電気的に独立させることができ、さらには素子サイズの小型化を図ることができる半導体装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】エピタキシャル層23のアクティブ領域12と終端領域11との間に、エピタキシャル層23の表面24を形成するように、当該表面24に沿って全体にわたって形成されたチャネル層26を、ゲートトレンチ28の深さDと同じ深さDを有するアイソレーショントレンチ39で分断する。互いに同じ深さのゲートトレンチ28およびアイソレーショントレンチ39は、同一のエッチング工程で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチゲート構造のトランジスタが形成されたアクティブ領域と、アクティブ領域の外周を取り囲み、半導体装置の外縁を形成する終端領域とを分離する領域を備える半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同一の半導体基板上に形成された複数の素子が互いに干渉しないようにするために、隣り合う素子を電気的にそれぞれ独立させることが知られている。
たとえば、特許文献1は、シリコン基板上に酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を順に積層し、フォトレジスをマスクにして、窒化シリコン膜の一部をエッチングで除去する工程と、窒化シリコン膜の除去により露出した酸化シリコン膜の部分を選択的に酸化することにより、当該露出部分にLOCOS酸化膜を形成する工程と、LOCOS酸化膜の両側のシリコン基板に埋め込み酸化膜を形成する工程とを実行し、これにより、LOCOS酸化膜および埋め込み酸化膜により構成される素子間分離領域を形成する方法を開示している。
【0003】
このような素子分離技術は、たとえば、素子が形成されるアクティブ領域を、半導体装置の外縁を形成する終端領域に対して電気的に独立させる場合にも用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−340045号公報
【特許文献2】特開2001−257349号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の半導体装置は、複数の不純物領域を有するトランジスタが形成されたアクティブ領域と、前記アクティブ領域の外周を取り囲む終端領域とを有する第1導電型の半導体層と、前記半導体層の表面を形成するように前記アクティブ領域と前記終端領域との間に跨って形成された第2導電型のチャネル層と、前記アクティブ領域において、前記半導体層の前記表面から前記チャネル層を貫通するように形成されたゲートトレンチと、前記ゲートトレンチの内面に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲートトレンチにおいて前記ゲート絶縁膜の内側に形成されたゲート電極と、前記アクティブ領域と前記終端領域との間において前記アクティブ領域の外周を取り囲み、前記半導体層の前記表面から前記チャネル層を貫通するように形成され、前記ゲートトレンチと同じ深さを有するアイソレーショントレンチとを含む。
【0006】
この構成によれば、アクティブ領域と終端領域との間に跨るチャネル層を、アイソレーショントレンチで分断することにより、アクティブ領域と終端領域との間を絶縁分離している。これにより、アクティブ領域のチャネル層を、終端領域のチャネル層に対して電気的に独立させることができる。
アクティブ領域のチャネル層を電気的に独立させることは、従来も行われていたが、従来の手法は、この半導体装置のようなアイソレーショントレンチを形成する手法とは異なり、問題点もある。
【0007】
具体的には、従来は、熱酸化により、半導体層の表層部にLOCOS酸化膜を形成するか、もしくはリセスLOCOS酸化膜を形成した後に、チャネル層を形成するためのイオン注入を行っていた。これにより、半導体層の表面全体へ向けてイオンを加速させても、LOCOS酸化膜もしくはリセスLOCOS酸化膜の部分では、加速したイオンがこれらの膜でブロックされるので、これらの膜の直下への注入が防止される。したがって、チャネル層は、LOCOS酸化膜に対してアクティブ領域側と終端領域側との両側に互いに分離されて形成される。その結果、アクティブ領域のチャネル層を、終端領域のチャネル層に対して電気的に独立させることができる。
【0008】
しかしながら、従来の手法では、トランジスタの端子からの電界を調節する目的を兼ねるため、LOCOS酸化膜を比較的厚くする必要がある。そのため、LOCOS酸化膜を形成するときの熱処理時間を長くしなければならず、長時間熱処理することによって、半導体装置の素子特性を悪化させるおそれがある。
また、LOCOS酸化膜は、その幅(素子分離幅)が小さすぎると、アクティブ領域と終端領域との間を適切に分離できなくなる場合がある。そのため、素子分離に広い面積が必要であり、素子サイズが大きくなるという問題もある。
【0009】
これに対し、本発明の半導体装置によれば、アクティブ領域と終端領域との間を絶縁分離するものが、アイソレーショントレンチであるため、LOCOS酸化膜に比べて狭い幅であっても、チャネル層を完全に分断することができる。そのため、素子サイズの小型化を図ることができる。
本発明の半導体装置は、アクティブ領域および当該アクティブ領域の外周を取り囲む終端領域を有する第1導電型の半導体層にハードマスクを形成し、当該ハードマスクを利用して前記半導体層を表面から選択的にエッチングすることにより、前記アクティブ領域にゲートトレンチを形成し、同時に、前記アクティブ領域と前記終端領域との間において前記アクティブ領域の外周を取り囲むアイソレーショントレンチを形成する工程と、前記半導体層の前記表面全体を露出させた状態で、前記半導体層の表層部に第2導電型不純物を注入することにより、前記アクティブ領域と前記終端領域との間において前記アイソレーショントレンチにより分断されたチャネル層を、前記アクティブ領域と前記終端領域との間に跨るように形成する工程と、前記ゲートトレンチの内面にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲートトレンチにおいて前記ゲート絶縁膜の内側に電極材料を埋め込むことにより、ゲート電極を形成する工程と、前記半導体層の表層部に選択的に不純物を注入することにより、前記ゲート電極と協働してトランジスタを構成するための複数の不純物領域を前記アクティブ領域に形成する工程とを含む、本発明の半導体装置の製造方法により製造することができる。
【0010】
この方法によれば、アイソレーショントレンチが、ゲートトレンチと同時に形成されるため、半導体装置の製造方法を簡略化することができ、さらに、LOCOS酸化膜を形成する場合とは異なり、長時間の熱酸化が必要ないので、素子(MOSFET)特性を向上させることもできる。
また、本発明の半導体装置は、前記アイソレーショントレンチの内面に形成されたトレンチ絶縁膜と、前記アイソレーショントレンチにおいて前記トレンチ絶縁膜の内側に形成された埋め込み電極とをさらに含むことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、アイソレーショントレンチの内面にトレンチ絶縁膜が形成され、トレンチ絶縁膜の内側に埋め込み電極が埋め込まれているので、この埋め込み電極の電界により、アクティブ領域のチャネル層から発生する空乏層を、半導体層の表面に平行な横方向に沿って終端領域へ向かって良好に広げることができる。そのため、半導体装置の耐圧を十分確保することができる。
【0012】
トレンチ絶縁膜および埋め込み電極は、前記ゲート絶縁膜を形成する工程が、前記アイソレーショントレンチの内面にトレンチ絶縁膜を形成する工程を含み、前記ゲート電極を形成する工程が、前記アイソレーショントレンチにおいて前記トレンチ絶縁膜の内側に前記電極材料を埋め込むことにより、埋め込み電極を形成する工程を含む、本発明の半導体装置の製造方法により製造することができる。
【0013】
この方法により、ゲート絶縁膜とトレンチ絶縁膜を同時に形成でき、また、ゲート電極と埋め込み電極とを同時に形成することができる。
また、本発明の半導体装置は、前記アイソレーショントレンチの底面に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1高濃度不純物領域をさらに含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、アイソレーショントレンチの底面に第1高濃度不純物領域が形成されているため、アクティブ領域のチャネル層から発生する空乏層を、第1高濃度不純物領域を避けるように横方向に広げることができる。そのため、アイソレーショントレンチの底面への電界集中を低減することができる。
第1高濃度不純物領域は、本発明の半導体装置の製造方法において、前記アイソレーショントレンチの底面に第1導電型不純物を注入することにより、前記半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1高濃度不純物領域を、前記アイソレーショントレンチの前記底面に形成する工程を行うことにより形成することができる。
【0015】
また、本発明の半導体装置が、前記半導体層に積層された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記ゲート電極に接続された第1端子と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記トランジスタの所定の前記不純物領域に接続された第2端子とを含む場合、前記アイソレーショントレンチは、前記第2端子の直下に配置されるように形成されていることが好ましい。
【0016】
この場合、前記第2端子は、その直下に配置された前記アイソレーショントレンチの前記埋め込み電極に対して、前記層間絶縁膜を貫通して接続されていることが好ましい。
この構成によれば、第2端子から直下に向かって層間絶縁膜を貫通するプラグを用いて、第2端子と埋め込み電極と接続することができる。そのため、埋め込み電極から水平方向に配線を引き回す必要がないので、省スペース化を図ることができる。
【0017】
このような構造は、本発明の半導体装置の製造方法において、前記半導体層に層間絶縁膜を積層する工程と、前記層間絶縁膜上に、前記ゲート電極に接続する第1端子を形成する工程と、前記層間絶縁膜上に、前記半導体層の所定の前記不純物領域および前記埋め込み電極に接続する第2端子を形成する工程とを実行することにより、作製することができる。
【0018】
この場合、前記第1端子および前記第2端子を形成する工程は、前記層間絶縁膜の全面に金属材料を堆積させた後、当該金属材料を所定の形状にパターニングすることにより、前記第1端子および前記第2端子を同時に形成する工程を含むことが好ましい。
この方法によれば、第1端子および第2端子を同一工程で形成できるので、より簡易にかつ低コストで、半導体装置を製造することができる。
【0019】
前記アイソレーショントレンチは、互いに周長が異なる複数のアイソレーショントレンチを含んでいてもよい。
この場合、前記第2端子は、前記複数のアイソレーショントレンチの前記埋め込み電極のうち、前記アクティブ領域に最も近い埋め込み電極に接続されていることが好ましく、当該第2端子に接続された前記埋め込み電極の幅は、前記第2端子に接続されていない他の埋め込み電極の幅に比べて広いことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第2端子を埋め込み電極に接続する際のアライメントマージンを確保でき、さらに、第2端子に対する埋め込み電極のコンタクト面積を広くすることができる。なお、前記複数のアイソレーションの幅は一定であってもよい。
前記複数の前記アイソレーショントレンチのピッチは、前記アクティブ領域から前記終端領域へ向かうに従って狭くなっていてもよいし、広くなっていてもよい。さらに、前記複数の前記アイソレーショントレンチのピッチは、一定であってもよい。
【0021】
とくに、前記アクティブ領域から前記終端領域へ向かうに従って狭くなっている場合には、アクティブ領域から比較的遠い位置においても、アクティブ領域のチャネル層から発生する空乏層を安定的に広げることができる。
また、前記複数の前記アイソレーショントレンチのピッチは、前記ゲートトレンチのピッチよりも狭いことが好ましく、たとえば、0.3μm〜5.0μmであることが好ましい。これにより、半導体装置の耐圧を向上させることができる。
【0022】
また、前記アイソレーショントレンチは、単数のアイソレーショントレンチを含んでいてもよい。
また、本発明の半導体装置が、前記半導体層に積層された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記ゲート電極に接続された第1端子と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記トランジスタの所定の前記不純物領域に接続された第2端子とを含む場合、前記アイソレーショントレンチは、前記第1端子の直下に配置されるように形成されていてもよい。
【0023】
本発明の半導体装置は、前記ゲートトレンチの底面に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第2高濃度不純物領域をさらに含んでいてもよい。
第2高濃度不純物領域は、第1高濃度不純物領域と同時に形成することができる。すなわち、前記第1高濃度不純物領域を形成する工程が、前記ハードマスクを利用して前記第1導電型不純物を注入する工程を含み、前記半導体装置の製造方法が、前記ハードマスクから露出する前記ゲートトレンチの底面にも前記第1導電型不純物を注入することにより、前記ゲートトレンチの前記底面に第2高濃度不純物領域を、前記第1高濃度不純物領域と同時に形成する工程をさらに含む、本発明の半導体装置の製造方法により製造することができる。
【0024】
この方法によれば、ゲートトレンチおよびアイソレーショントレンチの形成に利用したハードマスクを利用して不純物を注入することにより、第1および第2高濃度不純物領域を形成することができる。そのため、工程数を減らすことができる。
また、前記第2端子が、前記アクティブ領域を覆うように形成され、前記第1端子が、前記第2端子の外周を取り囲むように形成されていて、ボンディングワイヤが接続されるゲートパッドを含む場合、前記アイソレーショントレンチは、平面視において前記ゲートパッドを迂回するように形成されていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、たとえば、ゲートパッドへのワイヤボンディング時など、ゲートパッドに衝撃が加わったときにアイソレーショントレンチに伝わる力を低減することができる。
この場合、前記アイソレーショントレンチは、平面視で前記ゲートパッドに対して前記アクティブ領域に近づく側に窪むことにより、前記ゲートパッドの内側を迂回していてもよいし、平面視で前記ゲートパッドに対して前記アクティブ領域から遠ざかる側に張り出すことにより、前記ゲートパッドの外側を迂回していてもよい。
【0026】
また、本発明の半導体装置では、複数の前記不純物領域が、前記ゲート電極と協働してトレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を構成するMOS構造を含み、前記MOS構造は、前記半導体層の前記表面側に露出するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第1導電型のソース領域と、前記チャネル層からなり、前記ソース領域に対して前記半導体層の裏面側に前記ソース領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第2導電型のチャネル領域と、前記チャネル領域に対して前記半導体層の前記裏面側に前記チャネル領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの底面を形成する第1導電型のドレイン領域とを含んでいてもよい。
【0027】
これにより、トレンチゲート型MOSFETが形成されたアクティブ領域を、アイソレーショントレンチにより、終端領域から電気的に独立させることができる。
この場合、前記第2端子は、前記ソース領域に接続されたソース端子を含んでいてもよい。
また、本発明の半導体装置では、複数の前記不純物領域が、前記ゲート電極と協働してトレンチゲート型IGBT(Insulated Gate Bipolar Semiconductor)トランジスタを構成するIGBT構造を含み、前記IGBT構造は、前記半導体層の前記表面側に露出するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第1導電型のエミッタ領域と、前記チャネル層からなり、前記エミッタ領域に対して前記半導体層の裏面側に前記エミッタ領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第2導電型のベース領域と、前記ベース領域に対して前記半導体層の前記裏面側に前記ベース領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの底面を形成する第1導電型のコレクタ領域とを含んでいてもよい。
【0028】
これにより、トレンチゲート型IGBTが形成されたアクティブ領域を、アイソレーショントレンチにより、終端領域から電気的に独立させることができる。
この場合、前記第2端子は、前記エミッタ領域に接続されたエミッタ端子を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
【図2】図2は、図1の半導体装置の模式的な部分断面図である。
【図3A】図3Aは、図1の半導体装置の製造工程の一部を示す図であって、図2と同じ切断面を示している。
【図3B】図3Bは、図3Aの次の工程を示す図である。
【図3C】図3Cは、図3Bの次の工程を示す図である。
【図3D】図3Dは、図3Cの次の工程を示す図である。
【図3E】図3Eは、図3Dの次の工程を示す図である。
【図3F】図3Fは、図3Eの次の工程を示す図である。
【図3G】図3Gは、図3Fの次の工程を示す図である。
【図3H】図3Hは、図3Gの次の工程を示す図である。
【図3I】図3Iは、図3Hの次の工程を示す図である。
【図3J】図3Jは、図3Iの次の工程を示す図である。
【図3K】図3Kは、図3Jの次の工程を示す図である。
【図3L】図3Lは、図3Kの次の工程を示す図である。
【図4】図4は、図2の高濃度不純物領域の第1変形例を示す図である。
【図5】図5は、図2の高濃度不純物領域の第2変形例を示す図である。
【図6】図6は、図1のトレンチ分離領域の配置形態の他の例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施形態(幅広トレンチなし)に係る半導体装置を示す図であって、図2と同じ切断面を示している。
【図8】図8は、図7のゲート端子の変形例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態(トレンチピッチ大→小)に係る半導体装置を示す図であって、図2と同じ切断面を示している。
【図10】図10は、本発明の他の実施形態(トレンチピッチ小→大)に係る半導体装置を示す図であって、図2と同じ切断面を示している。
【図11】図11は、本発明の他の実施形態(トレンチ単数)に係る半導体装置を示す図であって、図2と同じ切断面を示している。
【図12】図12は、本発明の他の実施形態(IGBT)に係る半導体装置を示す図であって、図2と同じ切断面を示している。
【図13】図13は、アイソレーショントレンチの本数およびピッチを変化させたときのブレークダウン電圧(BVDSS)の変化を示すグラフである。
【図14】図14は、参考例の一実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
【図15】図15は、図14の半導体装置の要部拡大図である。
【図16】図16(a)(b)は、図1の半導体装置の模式的な断面図であって、図16(a)は図15の切断線A−Aでの切断面を示し、図16(b)は図15の切断線B−Bでの切断面を示す。
【図17】図17は、図1の半導体装置の等価回路を説明する回路図である。
【図18A】図18Aは、図1の半導体装置の製造工程の一部を示す図であって、図16(a)(b)と同じ切断面を示している。
【図18B】図18Bは、図18Aの次の工程を示す図である。
【図18C】図18Cは、図18Bの次の工程を示す図である。
【図18D】図18Dは、図18Cの次の工程を示す図である。
【図18E】図18Eは、図18Dの次の工程を示す図である。
【図18F】図18Fは、図18Dの次の工程を示す図である。
【図18G】図18Gは、図18Dの次の工程を示す図である。
【図18H】図18Hは、図18Dの次の工程を示す図である。
【図18I】図18Iは、図18Dの次の工程を示す図である。
【図19】図19は、双方向ツェナーダイオードの変形例を示す図である。
【図20】図20は、ソース端子およびゲート端子の第1の変形例を示す図である。
【図21】図21は、ソース端子およびゲート端子の第2の変形例を示す図である。
【図22】図22(a)(b)は、参考例の他の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図であって、図16(a)(b)と同じ切断面を示している。
【図23】図23は、参考例の他の実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図(要部拡大図)である。
【図24】図24(a)(b)は、図23の半導体装置の模式的な断面図であって、図24(a)は図23の切断線C−Cでの切断面を示し、図24(b)は図23の切断線D−Dでの切断面を示す。
【図25】図25は、図24の半導体装置の等価回路を説明する回路図である。
【図26】図26(a)(b)は、参考例の他の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図であって、図24(a)(b)と同じ切断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<半導体装置の全体的な平面構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。
半導体装置1は、たとえば、平面視四角形のチップ状である。チップ状の半導体装置1は、図1の紙面における上下左右方向の長さがそれぞれ数mm程度である。
【0031】
半導体装置1の表面には、ソース端子2およびゲート端子3を含む電極膜4が形成されている。電極膜4は、ソース端子2を、半導体装置1の側端面5に沿う四角環状のゲート端子3が取り囲むように形成されており、ゲート端子3の一つの角部にはゲートパッド6が設置されている。ゲートパッド6には、ボンディングワイヤ7が接続されている。なお、図1では、ソース端子2は、後述するMOSFET14の単位セル13が表れるように透視して示されている。
【0032】
ソース端子2とゲート端子3との間およびゲート端子3に対して外側(半導体装置1の側端面5側)の部分には、除去領域8が形成されている(図1のクロスハッチングの部分)。この除去領域8は、ソース端子2とゲート端子3との接触を防止するために、電極膜4が取り除かれた部分である。
ソース端子2とゲート端子3との間の除去領域8は、この実施形態では、ゲートパッド6の内側に迂回するように半導体装置1の側端面5に沿う四角形の一つの角部をソース端子2側に窪ませることにより形成された形状を有しており、この窪みによって設けられたゲート端子3のパッドスペース9にゲートパッド6が設置されている。
【0033】
半導体装置1には、この除去領域8に沿って環状のトレンチ分離領域10が設定され、当該トレンチ分離領域10から半導体装置1の側端面5に至るまでの部分に、トレンチ分離領域10の外周を取り囲む環状の終端領域11が設定され、トレンチ分離領域10に対して終端領域11の反対側の部分に、トレンチ分離領域10により区画されたアクティブ領域12が設定されている。
【0034】
トレンチ分離領域10は、除去領域8と同様にゲートパッド6の内側に迂回して設定されているので、たとえば、ゲートパッド6へのワイヤボンディング時など、ゲートパッド6に衝撃が加わったときにトレンチ分離領域10に伝わる力を低減することができる。
アクティブ領域12には、複数の単位セル13が格子状に配列されたMOSFET14が形成されている。なお、単位セル13の配列形態は、格子状に限らず、たとえば、ストライプ状、千鳥状等であってもよい。
【0035】
ソース端子2は、アクティブ領域12の直上に形成され、格子状の単位セル13全体を覆うソース中央部15と、当該ソース中央部15からトレンチ分離領域10側へ引き出され、後述する複数のアイソレーショントレンチ39の一部を覆うソース引出し部16とを含む。ソース端子2は、当該ソース引出し部16にグランドコンタクト17を有している。グランドコンタクト17は、後述する幅広電極49に接続されている。
【0036】
また、ソース中央部15には、ボンディングワイヤ18が接続されるソースパッド19が設置されている。ソースパッド19は、たとえば、パッドスペース9の対角をなす位置からソース端子2の周縁に沿って複数(この実施形態では、3つ)設けられている。
ゲート端子3は、終端領域11の直上に形成されており、ゲート引出し配線(図示せず)により、MOSFET14のゲート電極37(後述)に接続されている。
<半導体装置1の部分的な断面構成>
図2は、図1の半導体装置1の模式的な部分断面図である。
【0037】
前述のように、半導体装置1には、アクティブ領域12、トレンチ分離領域10および終端領域11が設定されている。半導体装置1は、これらの領域間で共有される要素として、n型(たとえば、濃度が1.0×1019〜1.0×1021atoms・cm−3である。以下同じ。)のシリコンからなる基板20と、基板20の表面21(上面)に積層されたn型(たとえば、濃度が5.0×1016〜5.0×1014atoms・cm−3である。以下同じ。)のシリコンからなるエピタキシャル層23(半導体層)と、エピタキシャル層23の表面24を形成するように、当該表面24に沿って全体にわたって形成されていて、半導体装置1の側端面5から露出するp型(たとえば、濃度が1.0×1015〜1.0×1018atoms・cm−3である。以下同じ。)のチャネル層26と、当該チャネル層26に対して基板20側にチャネル層26に接するように形成され、チャネル層26と同様にエピタキシャル層23の表面24に沿って全体にわたって形成されたドレイン層27とを備えている。
【0038】
エピタキシャル層23の厚さは、たとえば、3μm〜100μmであり、チャネル層26の厚さは、たとえば、0.3μm〜2.0μmである。基板20およびエピタキシャル層23には、n型不純物として、たとえば、リン(P)、ヒ素(As)などが含まれている。また、チャネル層26には、p型不純物として、ボロン(B)、アルミニウム(Al)などが含まれている。
【0039】
アクティブ領域12に形成されたMOSFET14は、トレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、エピタキシャル層23には、その表面24からチャネル層26を貫通し、最深部がドレイン層27に達するゲートトレンチ28が格子状に形成されている。
エピタキシャル層23には、格子状のゲートトレンチ28で取り囲まれる各窓部分に、直方体形状(平面視正方形状)の単位セル13が多数形成されている。
【0040】
また、エピタキシャル層23の表面24から測定されるゲートトレンチ28の深さDは、たとえば、0.5μm〜5.0μmであり、ゲートトレンチ28の幅Wは、たとえば、0.10μm〜1.0μmである。また、ゲートトレンチ28のピッチPは、たとえば、0.5μm〜5.0μmである。
各単位セル13において、チャネル層26の表層部には、n型のソース領域31が形成されている。ソース領域31は、エピタキシャル層23の表面24に露出して当該表面24を形成するとともに、ゲートトレンチ28の側面29の上部を形成するように、各単位セル13の表層部に形成されている。表面24から基板20へ向かう方向に沿うソース領域31の厚さは、たとえば、0.1μm〜1.0μmである。
【0041】
なお、格子の外周縁を形成するように最も外側に配列され、MOSFET14の機能が付与されない単位セル13(ダミーセル32)においては、ソース領域31が形成されておらず、これらのダミーセル32では、エピタキシャル層23の表面24はチャネル層26により形成されている。
一方、各単位セル13のチャネル層26において、ソース領域31に対して基板20側(エピタキシャル層23の裏面25側)の部分は、チャネル層26の導電型が維持されたチャネル領域33である。チャネル領域33の厚さは、たとえば、0.2μm〜1.0μmであり、チャネル領域33の最深部は、ゲートトレンチ28の底面30よりもエピタキシャル層23の表面24側に位置している。
【0042】
エピタキシャル層23における、チャネル領域33に対して基板20側の領域は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、n型のドレイン領域34となっている。ドレイン領域34は、チャネル領域33に対して基板20側にチャネル領域33に接している。
また、各単位セル13の中央部には、エピタキシャル層23の表面24からソース領域31を貫通してチャネル領域33に達するp型(たとえば、濃度が1.0×1018〜1.0×1020atoms・cm−3である。以下同じ。)のチャネルコンタクト領域35が形成されている。
【0043】
ゲートトレンチ28の内面には、その全域を覆うように、酸化シリコン(SiO)からなるゲート絶縁膜36が形成されている。そして、ゲート絶縁膜36の内側を不純物がドーピングされたポリシリコンで埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ28にゲート電極37が埋め込まれている。
ゲート電極37は、エピタキシャル層23の表面24と面一な上面38を有している。面一とは、ゲート電極37の上面38とエピタキシャル層23の表面24とが同一平面上に形成されていることを意味しているが、ゲート電極37の作製途中に意図せずに形成される小さな窪み等がある場合も概念的には含む。
【0044】
一方、トレンチ分離領域10においてエピタキシャル層23には、その表面24から基板20へ向かって掘り下がったアイソレーショントレンチ39が複数形成されている。複数のアイソレーショントレンチ39の数は、半導体装置1の耐圧を向上させつつ、素子サイズの小型化を図る観点から、たとえば、2〜20本、好ましくは、5〜15本、さらに好ましくは、10〜15本である。この実施形態では、8本である。
【0045】
複数のアイソレーショントレンチ39は、互いに周長が異なり、それぞれがMOSFET14(アクティブ領域12)を取り囲む環状に、トレンチ分離領域10の周方向全周にわたって設けられている。これにより、トレンチ分離領域10では、環状のアイソレーショントレンチ39と、互いに隣り合うアイソレーショントレンチ39により分断された環状のチャネル層26とが交互に配列されている。
【0046】
複数のアイソレーショントレンチ39は、ゲートトレンチ28の幅Wと同じ幅Wを有する幅狭トレンチ42と、ゲートトレンチ28の幅Wよりも大きい幅W´を有する幅広トレンチ43とを含んでいる。幅広トレンチ43の幅W´は、たとえば、ゲートトレンチ28の幅Wの1.2〜5.0倍であり、具体的には、0.12μm〜5.0μmである。
【0047】
この実施形態では、幅広トレンチ43は、最も内側(アクティブ領域12に近い側)のアイソレーショントレンチ39に採用されており、後述するグランドコンタクト17を形成する際のアライメントマージンを確保すること、およびグランドコンタクト17とのコンタクト面積を広くすることを目的で、幅広に形成されている。
また、幅狭トレンチ42は、互いに一定の間隔を空けて設けられている。互いに隣り合う幅狭トレンチ42の中心間の距離(トレンチピッチP)は、ゲートトレンチ28のピッチPよりも狭いことが好ましいが、ピッチPと同じか広くてもよい。幅狭トレンチ42のピッチPは、たとえば、0.3μm〜5.0μmである。
【0048】
また、エピタキシャル層23の表面24から測定されるアイソレーショントレンチ39の深さDは、ゲートトレンチ28と同じ深さD(たとえば、0.5μm〜5.0μm)である。
また、複数のアイソレーショントレンチ39により占有される幅W(トレンチ分離領域10の幅)は、たとえば、20μm程度である。
【0049】
複数のアイソレーショントレンチ39の下方部には、n型のドレイン層27よりも高い不純物濃度を有するn型の高濃度不純物領域44(第1高濃度不純物領域)が、チャネル層26に対して間隔を隔てて(チャネル層26に接しないように)形成されている。高濃度不純物領域44は、互いに隣り合うアイソレーショントレンチ39の間に跨って形成され、各アイソレーショントレンチ39の底面41および側面40の下端を形成している。
【0050】
アイソレーショントレンチ39の内面には、その全域を覆うように、酸化シリコン(SiO)からなるトレンチ絶縁膜45が形成されている。
そして、トレンチ絶縁膜45の内側を、不純物がドーピングされたポリシリコンで埋め尽くすことにより、アイソレーショントレンチ39には、埋め込み電極46(幅狭電極48および幅広電極49)が埋め込まれている。埋め込み電極46は、エピタキシャル層23の表面24と面一な上面47を有している。
【0051】
エピタキシャル層23上には、SiOからなる層間絶縁膜50が積層されている。
層間絶縁膜50には、各単位セル13のソース領域31および幅広電極49の直上に、層間絶縁膜50を厚さ方向に貫通するコンタクトホール51,52が、それぞれ形成されている。
これらのコンタクトホール51,52には、たとえば、その内面にTi/TiNバリア膜が形成されており、このバリア膜の内側をタングステン(W)で埋め尽くすことにより、プラグ状のコンタクト(ソースコンタクト53およびグランドコンタクト17)がそれぞれ形成されている。
【0052】
ソースコンタクト53は、エピタキシャル層23の表面24において、その底面だけでソース領域31に接続されている。一方、グランドコンタクト17は、エピタキシャル層23の表面24よりも幅広トレンチ43の底面側へ向かって幅広電極49の表層部に入り込み、その底面および側面の一部(下端)で幅広電極49に接続されている。
層間絶縁膜50上には、前述のソース端子2およびゲート端子3が形成されており、これらの間には、たとえば、4μm程度の間隔(除去領域8の幅W)が設けられている。
【0053】
ソース端子2は、前述のように、アクティブ領域12の直上に形成され、格子状の単位セル13全体を覆うソース中央部15と、当該ソース中央部15からトレンチ分離領域10側へ引き出され、複数のアイソレーショントレンチ39の一部を覆うソース引出し部16とを含む。この実施形態では、ソース引出し部16は、幅広トレンチ43および当該幅広トレンチ43に隣り合う幅狭トレンチ42の2つのみを覆っているが、幅広トレンチ43のみを覆っていてもよいし、幅広トレンチ43に加えて幅狭トレンチ42を2つ以上覆っていてもよい。
【0054】
そして、ソース端子2は、各ソースコンタクト53およびグランドコンタクト17を介して、全ての単位セル13のソース領域31および幅広電極49に一括して接続されている。すなわち、ソース端子2は、全ての単位セル13のソース領域31および幅広電極49に対して共通の端子となっている。これにより、幅広電極49を、ソース端子2の電位に固定することができる。一方、幅狭電極48にはソース端子2は接続されておらず、トレンチ絶縁膜45および層間絶縁膜50で囲まれた幅狭電極48は、半導体装置1の他の部分から電気的に分離(フローティング)されている。
【0055】
ゲート端子3は、トレンチ分離領域10に対して間隔を隔ててトレンチ分離領域10を取り囲むように、終端領域11の直上に形成されている。
基板20の裏面22には、その全域を覆うようにドレイン端子54が形成されている。このドレイン端子54は、全ての単位セル13に対して共通の端子となっている。
<半導体装置1の製造方法>
図3A〜図3Lは、図1の半導体装置1の製造工程の一部を示す図であって、図2と同じ切断面を示している。
【0056】
半導体装置1を製造するには、図3Aに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法、LPE(Liquid Phase Epitaxy:液相エピタキシ)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法などのエピタキシャル成長法により、ウエハ状態の基板20の表面21上に、n型不純物をドーピングしながらシリコン結晶を成長させる。これにより、基板20上に、n型のエピタキシャル層23(ドレイン領域34)が形成される。
【0057】
次に、エピタキシャル層23にハードマスク55を形成し、当該ハードマスク55をパターニングした後、エピタキシャル層23をドライエッチングする。これにより、エピタキシャル層23が表面24から選択的に掘り込まれて、ゲートトレンチ28およびアイソレーショントレンチ39が同時に形成される。それとともに、エピタキシャル層23に複数の単位セル13が形成される。この後、ハードマスク55を剥離する。
【0058】
次に、図3Bに示すように、ゲートトレンチ28およびエピタキシャル層23の表面24を覆うように、ハードマスク56を形成する。そして、当該ハードマスク56から露出するアイソレーショントレンチ39へ向けてn型不純物を加速させ、アイソレーショントレンチ39の底面41にn型不純物を注入する(イオンインプランテーション(インプラ))。次に、エピタキシャル層23をアニール処理する。これにより、アイソレーショントレンチ39の底面41に注入されたn型不純物が活性化され、ドレイン領域34に高濃度不純物領域44が形成される。
【0059】
次に、図3Cに示すように、たとえば、熱酸化法により、エピタキシャル層23の表面24、ゲートトレンチ28の内面(側面29および底面30)およびアイソレーショントレンチ39の内面(側面40および底面41)に、ゲート絶縁膜36およびトレンチ絶縁膜45を同時に形成する。ゲート絶縁膜36およびトレンチ絶縁膜45の膜厚は、たとえば、150Å〜1500Åである。
【0060】
次に、図3Dに示すように、たとえば、CVD法により、ポリシリコン(電極材料)を、エピタキシャル層23の上方から堆積する。ポリシリコンは、ゲートトレンチ28およびアイソレーショントレンチ39を埋め尽くし、さらにエピタキシャル層23の表面24から適当な厚さになるまで堆積させる。
次に、堆積したポリシリコンを、エッチバック面がエピタキシャル層23の表面24と面一になるまでエッチバックする。これにより、ゲートトレンチ28およびアイソレーショントレンチ39に残存するポリシリコンからなり、それぞれがエピタキシャル層23の表面24と面一な上面38,47を有するゲート電極37および埋め込み電極46が同時に形成される。
【0061】
次に、図3Eに示すように、エピタキシャル層23の表面24全体を、ハードマスクやフォトレジスト等のインプラ用のマスクで覆わない状態で、エピタキシャル層23の表面24へ向けてp型不純物を加速させ、エピタキシャル層23の表層部にp型不純物を注入する。次に、エピタキシャル層23をアニール処理する。これにより、エピタキシャル層23の表層部に注入されたp型不純物が活性化され、アクティブ領域12、トレンチ分離領域10および終端領域11の全てにおいてチャネル層26が形成される。トレンチ分離領域10においては、互いに隣り合うアイソレーショントレンチ39の各間にチャネル層26が形成されることとなる。
【0062】
次に、図3Fに示すように、各単位セル13の上面を除くエピタキシャル層23の部分を覆うように、ハードマスク57を形成する。そして、当該ハードマスク57から露出する単位セル13の上面へ向けてn型不純物を加速させ、各単位セル13の表層部にn型不純物を注入する。次に、エピタキシャル層23をアニール処理する。これにより、各単位セル13の表層部に注入されたn型不純物が活性化され、各単位セル13にソース領域31が形成される。この際、ダミーセル32にはソース領域31を形成しないので、ダミーセル32の上面はハードマスク57で覆っておく。
【0063】
次に、図3Gに示すように、チャネルコンタクト領域35形成すべき部分(各単位セル13の上面の中央部)を除くエピタキシャル層23の部分を覆うように、ハードマスク58を形成する。そして、当該ハードマスク58から露出する単位セル13の上面へ向けてp型不純物を加速させ、各単位セル13の表層部にp型不純物を注入する。次に、エピタキシャル層23をアニール処理する。これにより、各単位セル13の表層部に注入されたp型不純物が活性化され、各単位セル13にチャネルコンタクト領域35が形成される。
【0064】
次に、図3Hに示すように、たとえば、CVD法により、エピタキシャル層23上に層間絶縁膜50を積層する。
次に、図3Iに示すように、層間絶縁膜50を選択的にドライエッチングすることにより、コンタクトホール51,52を同時に形成する。この際、層間絶縁膜50のエッチングに用いるガスに対するエッチングレートが、ソース領域31を構成するシリコン(Si)よりも、幅広電極49を構成するポリシリコン(Poly−Si)の方が大きいため(Poly−Si>Si)、コンタクトホール52は、幅広電極49の内部へ入り込む。
【0065】
次に、各コンタクトホール51,52の内面にTi/TiNバリア膜を形成した後、当該バリア膜の内側を埋め尽くすようにタングステンを堆積させる。そして、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法により、タングステンの上面が層間絶縁膜50の上面と面一になるまで、堆積したタングステンを研磨する。これにより、各コンタクトホール51,52に埋め込まれたソースコンタクト53およびグランドコンタクト17が同時に形成される。
【0066】
次に、図3Jに示すように、たとえば、スパッタ法により、層間絶縁膜50の表面全面に、AlCu(金属材料)からなる電極膜4を堆積させる。
次に、図3Kに示すように、堆積した電極膜4をパターニングして除去領域8を形成することにより、ソース端子2およびゲート端子3が同時に形成される。
その後は、図3Lに示すように、たとえば、スパッタ法により、基板20の裏面22にドレイン端子54を形成した後、ダイシングブレード59を用いて、ウエハ状態の基板20に設定されたダイシングラインに沿って各半導体装置1の個片(チップ)に分割する。
【0067】
これにより、図1および図2に示す半導体装置1の個片が得られ、各半導体装置1の側端面5には、終端領域11のチャネル層26が露出することとなる。
半導体装置1のMOSFET14は、たとえば、スイッチング素子として利用することができる。この場合、ソース端子2(ソースパッド19)とドレイン端子54との間(ソース−ドレイン間)にドレイン側が正となるドレイン電圧(ソース端子2はグランド電位)を印加した状態で、ゲート端子3(ゲートパッド6)に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)を印加する。これにより、チャネル領域33におけるゲート絶縁膜36との界面近傍にゲートトレンチ28の深さ方向に沿ってチャネルが形成され、ゲートトレンチ28の深さ方向に電流が流れる。
【0068】
そして、この半導体装置1によれば、アクティブ領域12と終端領域11との間に跨り、半導体装置1の側端面5に露出するチャネル層26を、アイソレーショントレンチ39で分断することにより、アクティブ領域12と終端領域11との間を絶縁分離している。これにより、アクティブ領域12のチャネル層26を、終端領域11のチャネル層26に対して電気的に独立させることができる。
【0069】
アクティブ領域12のチャネル層26を電気的に独立させることは、従来も行われていたが、従来の手法は、この半導体装置1のようなアイソレーショントレンチ39を形成する手法とは異なり、問題点もある。
具体的には、従来は、熱酸化により、エピタキシャル層23の表層部にLOCOS酸化膜を形成するか、もしくはリセスLOCOS酸化膜を形成した後に、チャネル層26を形成するためのイオン注入を行っていた。これにより、エピタキシャル層23の表面24全体へ向けてイオンを加速させても、LOCOS酸化膜もしくはリセスLOCOS酸化膜の部分では、加速したイオンがこれらの膜でブロックされるので、これらの膜の直下への注入が防止される。したがって、チャネル層26は、LOCOS酸化膜に対してアクティブ領域12側と終端領域11側との両側に互いに分離されて形成される。その結果、アクティブ領域12のチャネル層26を、終端領域11のチャネル層26に対して電気的に独立させることができる。
【0070】
しかしながら、従来の手法では、ソース端子2からの電界を調節する目的を兼ねるため、LOCOS酸化膜を比較的厚くする必要がある。そのため、LOCOS酸化膜を形成するときの熱処理時間を長くしなければならず、長時間熱処理することによって、半導体装置1の素子特性を悪化させるおそれがある。
また、LOCOS酸化膜は、その幅(素子分離幅)が小さすぎると、アクティブ領域12と終端領域11との間を適切に分離できなくなる場合がある。そのため、素子分離に広い面積が必要であり、素子サイズが大きくなるという問題もある。さらに、たとえば、定格電圧が100Vを超えるようなパワーデバイスにおいては、高耐圧を確保する観点から、アクティブ領域12の周縁から空乏層をできるだけ横方向に広げる必要がある。この場合は、LOCOS酸化膜の幅が大きくても、その幅を空乏層の拡大スペースとして利用できるが、デバイスの定格電圧が大きくない場合には、空乏層の拡大スペースはそれほど大きくなくてもよく、その結果、空乏層の拡大スペースに必要な幅を超えるLOCOS酸化膜の部分が無駄になる。
【0071】
これに対し、この実施形態の半導体装置1によれば、アクティブ領域12と終端領域11との間を絶縁分離するものが、アイソレーショントレンチ39であるため、LOCOS酸化膜に比べて狭い幅であっても、チャネル層26を完全に分断することができる。そのため、素子サイズの小型化を図ることができる。
また、アイソレーショントレンチ39は、ゲートトレンチ28と同時に形成されるため(図3A)、半導体装置1の製造方法を簡略化することができ、さらに、LOCOS酸化膜を形成する場合とは異なり、長時間の熱酸化が必要ないので、素子(MOSFET14)特性を向上させることもできる。
【0072】
また、ゲート電極37の作用によりチャネル層26(チャネル領域33)に正常にチャネルを形成する観点から、チャネル層26は通常、その最深部がゲートトレンチ28の底面30と同じ深さ位置か、もしくは当該底面30よりもエピタキシャル層23の表面24側に位置し、チャネル層26がゲートトレンチ28の下方部に回り込んで、その下方部で一体化することはない。
【0073】
したがって、アイソレーショントレンチ39をゲートトレンチ28と同じ工程で形成し、これらのトレンチの深さDとDとを同じ(D=D)に設計すれば、その後のイオン注入工程では、チャネル層26の深さを設計する際の注入条件(加速エネルギ等)は、MOSFET14のチャネル領域33として必要な条件に基づくだけで定めることができる。
【0074】
すなわち、イオン注入工程において、チャネル層26をチャネル領域33として機能させるための深さにする条件と、チャネル層26をアイソレーショントレンチ39で確実に分断するための深さにする条件との2つの条件を設定する必要がない。前者の条件を定めれば、その条件で形成されるチャネル層26の最深部は、ゲートトレンチ28の下方部に回り込まず、さらには、当該ゲートトレンチ28の深さDと同じ深さDを有するアイソレーショントレンチ39の下方部にも回り込まないように形成される。その結果、トレンチ分離領域10においてチャネル層26は、アイソレーショントレンチ39により確実に分断されることとなる。
【0075】
また、ソース端子2がトレンチ分離領域10を覆うソース引出し部16を有しているので、このソース引出し部16の電界により、ダミーセル32のチャネル層26から発生する空乏層を、エピタキシャル層23の表面24に平行な横方向に沿って、半導体装置1の側端面5へ向かって良好に広げることができる。さらに、アイソレーショントレンチ39の内面にトレンチ絶縁膜45が形成され、トレンチ絶縁膜45の内側に埋め込み電極46が埋め込まれているので、この埋め込み電極46の電界により、当該空乏層を一層良好に広げることができる。そのため、半導体装置1の耐圧を十分確保することができる。
【0076】
さらに、ダミーセル32の外側にある幅広電極49にもソース端子2を接続することにより、トレンチ分離領域10の内周縁にあたる幅広電極49の電位をソース端子2の電位(グランド電位)に固定することができるので、トレンチ分離領域10にある他の埋め込み電極46(この実施形態では、幅狭電極48)の電位を安定させることができる。その結果、ダミーセル32のチャネル層26から発生する空乏層を安定的に横方向に広げることができる。
【0077】
また、アイソレーショントレンチ39の底面41に高濃度不純物領域44が形成されているため、ダミーセル32のチャネル層26から発生する空乏層を、高濃度不純物領域44を避けるように横方向に広げることができる。そのため、アイソレーショントレンチ39の底面41への電界集中を低減することができる。
なお、この半導体装置1において、高濃度不純物領域44は、図4に示すように、省略されていてもよく、また、図5に示すように、ゲートトレンチ28の下方部に高濃度不純物領域60(第2高濃度不純物領域)が形成されていてもよい。図5の場合には、高濃度不純物領域44,60を形成するにあたって、ゲートトレンチ28の底面30をハードマスクで覆う必要がないので、図3Aで形成したハードマスク55(ゲートトレンチ28およびアイソレーショントレンチ39の形成に利用したハードマスク55)を利用して、n型不純物を注入すればよい。そのため、工程数を減らすことができる。
【0078】
また、トレンチ絶縁膜45は、図5に示すように、アイソレーショントレンチ39の底面41に形成され、相対的に厚い底部451と、アイソレーショントレンチ39の側面40に形成され、底部451に比べて相対的に薄い側部452とを含んでいてもよい。つまり、底部451の厚さtが、側部452の厚さtよりも厚くてもよい。この構成は、アイソレーショントレンチ39の底面41が高濃度不純物領域44で形成されているため、アイソレーショントレンチ39の内面(側面40および底面41)を熱酸化したときに(図3C参照)、底面41の酸化レートが側面4の酸化レートより速くなるために生じるものである。これにより底部451を比較的厚くできるので、トレンチ絶縁膜45の耐圧を向上させることができる。底部451と側部452との膜厚差は、全てのアイソレーショントレンチ39に設けてもよい。とりわけ、グランドコンタクト17を介してソース端子2に接続された幅広電極49にはソース−ドレイン間に印加された電圧と同じ大きさの電圧がかかるため、この幅広電極49の直下に膜厚差が設けられていることが好ましい。なお、この膜厚差は、図2および図12の構成においても適用できる。
【0079】
また、トレンチ分離領域10は、図1では除去領域8と同様に、半導体装置1の側端面5に沿う四角形の一つの角部がソース端子2側に窪むことにより、ゲートパッド6の内側(ゲートパッド6に対してアクティブ領域12側)に迂回して設定されているが、たとえば、図6に示すように、半導体装置1の4つの側端面5に沿って、ゲートパッド6に対してアクティブ領域12から遠ざかる側に張り出すことにより、ゲートパッド6の外側(ゲートパッド6に対して半導体装置1の側端面5側)に回り込むように設定されていてもよい。
<半導体装置1の他の実施形態>
本発明の半導体装置1は、以下の図7〜図12に示す形態で実施することもできる。なお、図7〜図12において、前述の図1〜図6に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
(1)幅広トレンチ43なしの形態(図7および図8)
たとえば、複数のアイソレーショントレンチ39は、図7の半導体装置61のように、全てのアイソレーショントレンチ39の幅Wが一定であり、トレンチピッチPが一定であってもよい。
【0080】
この場合、アイソレーショントレンチ39の幅Wは、ゲートトレンチ28の幅Wと同じであることが好ましく、トレンチピッチPは、ゲートトレンチ28のピッチPよりも狭いことが好ましい。
そして、埋め込み電極46は、除去領域8の直下のみに形成されていて、半導体装置61の他の部分から電気的に分離(フローティング)されていてもよい。すなわち、ソース端子2は、ソース引出し部16を有していなくてもよい。一方、図8の半導体装置62のように、ゲート端子3が、終端領域11の直上に形成されたゲート中央部63と、当該ゲート中央部63からトレンチ分離領域10側へ引き出され、複数のアイソレーショントレンチ39の一部を覆うゲート引出し部64とを含んでいてもよい。
(2)トレンチピッチ大→小の形態(図9)
たとえば、複数のアイソレーショントレンチ39のピッチは、図9の半導体装置65のように、アクティブ領域12から終端領域11へ向かうに従って、P>P´>P´´>P´´´・・・というように、段階的に狭くなっていてもよい。
【0081】
この半導体装置65によれば、アイソレーショントレンチ39のピッチが段階的に小さくなっているので、ダミーセル32から比較的遠い位置においても、ダミーセル32から発生する空乏層を安定的に広げることができる。
(3)トレンチピッチ小→大の形態(図10)
また、複数のアイソレーショントレンチ39のピッチは、たとえば、図10の半導体装置66のように、アクティブ領域12から終端領域11へ向かうに従って、P<P´<P´´<P´´´・・・というように、段階的に広くなっていてもよい。
(4)トレンチ単数の形態(図11)
また、アイソレーショントレンチ39は、図11の半導体装置67のように、単数であってもよい。この単数のアイソレーショントレンチ39は、アクティブ領域12と終端領域11との間でチャネル層26を分断できるのであれば、図11のように、除去領域8の直下に形成されていてもよいし、ソース端子2もしくはゲート端子3の直下に形成されていてもよい。
(5)IGBT(Insulated Gate Bipolar Semiconductor)の形態(図12)
たとえば、半導体装置1のアクティブ領域12には、図12に示すように、トレンチゲート型MOSFET14に代えて、トレンチゲート型IGBT68が形成されていてもよい。
【0082】
図12の半導体装置69は、n型の基板20に代えて、p型のシリコンからなる基板70を有している。また、MOSFET14のソース領域31はIGBT68のエミッタ領域71に対応し、チャネル領域33はベース領域72に対応し、ドレイン領域34はコレクタ領域73に対応している。また、ソース端子2はエミッタ端子74に対応し、ドレイン端子54はコレクタ端子75に対応している。
【0083】
そして、この半導体装置69においても、半導体装置69の側端面5に露出するチャネル層26がアイソレーショントレンチ39で分断されているので、前述の実施形態の半導体装置1と同様の効果を得ることができる。
<トレンチ本数およびピッチと、ブレークダウン電圧との関係>
図13は、アイソレーショントレンチ39の本数およびピッチを変化させたときのブレークダウン電圧(BVDSS)の変化を示すグラフである。
【0084】
図13に示すように、以下の(1)〜(4)の条件以外、全く同じ構造(図2の構造)の半導体装置1を用いて、アイソレーショントレンチ39の本数の変化に応じて、ブレークダウン電圧がどのように変化するかを調べた。なお、ソース−ドレイン間には1nAの電流を流すようにした。
(1)埋め込み電極46を電気的にフローティング(フロート)し、アイソレーショントレンチ39のピッチを0.9μm(ゲートトレンチ28のピッチと同じ)にした。
(2)最も内側の埋め込み電極46のみをソース端子2に接続してグランド電位とし(その他はフロート)、アイソレーショントレンチ39のピッチを0.9μm(ゲートトレンチ28のピッチと同じ)にした。
(3)最も内側の埋め込み電極46のみをソース端子2に接続してグランド電位とし(その他はフロート)、アイソレーショントレンチ39のピッチを0.7μm(ゲートトレンチ28のピッチよりも小さい)にした。
(4)最も内側の埋め込み電極46のみをソース端子2に接続してグランド電位とし(その他はフロート)、アイソレーショントレンチ39のピッチを0.5μm(ゲートトレンチ28のピッチよりも小さい)にした。
【0085】
図13によると、アイソレーショントレンチ39のピッチが狭いと(0.7μm以下)、それよりも広い場合に比べて、半導体装置1の耐圧を向上できることがわかった。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、アイソレーショントレンチ39のピッチは、図2、図7〜図10に示した例に限らず、たとえば、第1のピッチ(相対的に広いピッチ)と、第1のピッチよりも狭い第2のピッチ(相対的に狭いピッチ)とが交互に形成されていてもよい。
【0086】
また、ソース端子2を埋め込み電極46に接続する場合、接続される埋め込み電極46は、最も内側のトレンチに採用されている必要はなく、最も外側(終端領域11に近い側)のトレンチに採用されてもよいし、最も内側と最も外側との間の中間のトレンチに採用されてもよい。
また、半導体装置1,61,62,65〜67,69の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置1において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
【0087】
また、半導体装置1,61,62,65〜67,69において、エピタキシャル層23を構成する層は、Siからなるエピタキシャル層23に限らず、たとえば、ワイドバンドギャップ半導体、たとえば、SiC、GaN、ダイヤモンドからなる層などであってもよい。
また、前述の実施形態の開示から把握される特徴は、異なる実施形態間でも互いに組み合わせることができる。また、各実施形態において表した構成要素は、本発明の範囲で組み合わせることができる。
【0088】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
<参考例に係る発明>
(参考例の背景技術)
従来、ゲート保護用のツェナーダイオードを有する半導体装置が知られている。
【0089】
たとえば、特許文献2は、n型の半導体基板と、半導体基板上に順に積層されたn型のエピタキシャル層からなるドレイン領域およびp型のチャネル層と、チャネル層からドレイン領域まで到達するゲートトレンチと、ゲートトレンチに充填されたポリシリコンからなるゲート電極と、チャネル層の表面に形成されたn型のソース領域と、ソース領域にコンタクトするソース電極と、チャネル層からドレイン領域まで到達するダイオードトレンチと、ダイオードトレンチの内壁に付着したポリシリコン層とを備えるパワーMOSFETを開示している。
【0090】
ポリシリコン層は、その一端および他端がダイオードトレンチの内壁からエピタキシャル層の表面にはみ出すように形成されている。エピタキシャル層の表面にはみ出したポリシリコン層の一端はソース電極に接続されており、他端はゲート電極に接続されている。当該ポリシリコン層は、一端から他端へ向かってゼブラ状に、n型領域、p型領域、n型領域、p型領域、n型領域およびp型領域を有している。これにより、6個のツェナーダイオード(pn接合)がポリシリコン層において直列に接続されている。
(参考例の実施形態)
以下では、参考例の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<半導体装置の全体的な平面構成>
図14は、参考例の一実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
【0091】
半導体装置101は、たとえば、平面視四角形のチップ状である。チップ状の半導体装置101は、図14の紙面における上下左右方向の長さがそれぞれ数mm程度である。
半導体装置101の表面には、第2端子の一例としてのソース端子102、および第1端子および環状端子の一例としてのゲート端子103を含む電極膜104が形成されている。電極膜104は、ソース端子102を、半導体装置101の周縁に沿う四角環状のゲート端子103が取り囲むように形成されており、ゲート端子103の一つの角部にはゲートパッド105が設置されている。ゲートパッド105には、ボンディングワイヤ106が接続されている。なお、図14では、ソース端子102は、後述するMOSFET113の単位セル112が表れるように透視して示されている。
【0092】
ソース端子102とゲート端子103との間およびゲート端子103に対して外側の部分には、除去領域107が形成されている(図14のクロスハッチングの部分)。この除去領域107は、ソース端子102とゲート端子103との接触を防止するために、電極膜104が取り除かれた部分である。
ソース端子102とゲート端子103との間の除去領域107は、この実施形態では、ゲートパッド105を迂回するように半導体装置101の周縁に沿う四角形の一つの角部をソース端子102側に窪ませることにより形成された形状を有しており、この窪みによって設けられたゲート端子103のパッドスペース108にゲートパッド105が設置されている。
【0093】
半導体装置101には、この除去領域107に沿って環状のダイオード領域109が設定され、当該ダイオード領域109に取り囲まれる部分にアクティブ領域110が設定されている。
ダイオード領域109には、その周方向全周にわたって環状の双方向ツェナーダイオード111が形成されている。このダイオード領域109は、除去領域107と同様にゲートパッド105を迂回して設定されているので、たとえば、ゲートパッド105へのワイヤボンディング時など、ゲートパッド105に衝撃が加わったときにダイオード領域109(双方向ツェナーダイオード111)に伝わる力を低減することができる。
【0094】
アクティブ領域110には、複数の単位セル112が格子状に配列されたMOSFET113が形成されている。なお、単位セル112の配列形態は、格子状に限らず、たとえば、ストライプ状、千鳥状等であってもよい。
また、ソース端子102とゲート端子103との間の除去領域107は、ほぼ全周にわたって葛折り状に形成されている。これにより、当該除去領域107により区画されたソース端子102およびゲート端子103は、ゲート端子103の周方向に沿って櫛歯状に噛み合うように交互に配置され、それぞれの周縁部から他方の端子102,103へ向かって直線状に引き出された複数のソース引出し部114および複数のゲート引出し部115を有している。各ソース引出し部114および各ゲート引出し部115は、アクティブ領域110とダイオード領域109との境界を横切るように形成されている。なお、ソース引出し部114が第2引出し部の一例であり、ゲート引出し部115が第1引出し部の一例である。
【0095】
ソース引出し部114は、ダイオード領域109の直上にソースコンタクト116有しており、当該ソースコンタクト116は、双方向ツェナーダイオード111に接続されている。ソースコンタクト116は、ソース引出し部114の先端から基端へ向かう長手方向に沿って複数(この実施形態では、2つ)形成されている。各ソース引出し部114におけるソースコンタクト116の数は、後述するダイオードトレンチ135の本数に対応させればよい。
【0096】
また、ソース端子102におけるMOSFET113の直上には、ボンディングワイヤ117が接続されるソースパッド118が設置されている。ソースパッド118は、たとえば、パッドスペース108の対角をなす位置からソース端子102の周縁部に沿って複数(この実施形態では、3つ)設けられている。
ゲート引出し部115は、アクティブ領域110の直上にMOSゲートコンタクト119を有し、ダイオード領域109の直上にゲートコンタクト120を有している。MOSゲートコンタクト119は、除去領域107を横切るゲート引出し配線121により、MOSFET113のゲート電極133(後述)に接続されている。また、ゲートコンタクト120は双方向ツェナーダイオード111に接続されている。MOSゲートコンタクト119およびゲートコンタクト120は、ゲート引出し部115の先端(単位セル112に近い側)から基端へ向かう長手方向に沿って、この順に形成されている。さらにゲートコンタクト120は、当該長手方向に沿って複数(この実施形態では、2つ)形成されている。各ゲート引出し部115におけるゲートコンタクト120の数も、ソースコンタクト116と同様に、後述するダイオードトレンチ135の本数に対応させればよい。
<半導体装置の部分的な平面および断面構成>
図15は、図14の半導体装置の要部拡大図である。図16(a)(b)は、図14の半導体装置の模式的な断面図であって、図16(a)は図15の切断線A−Aでの切断面を示し、図16(b)は図15の切断線B−Bでの切断面を示す。図17は、図14の半導体装置の等価回路を説明する回路図である。
【0097】
半導体装置101は、アクティブ領域110にMOSFET113が形成され、ダイオード領域109に双方向ツェナーダイオード111が形成されており、これらに共有される要素として、n型(たとえば、濃度が1.0×1019〜1.0×1021atoms・cm−3である。以下同じ。)のシリコンからなる基板122と、基板122の表面123(上面)に積層されたn型(たとえば、濃度が5.0×1016〜5.0×1014atoms・cm−3である。以下同じ。)のシリコンからなるエピタキシャル層124とを備えている。半導体層としてのエピタキシャル層124の厚さは、たとえば、3μm〜100μmである。基板122およびエピタキシャル層124には、n型不純物としては、たとえば、たとえば、リン(P)、ヒ素(As)などが含まれている。
【0098】
アクティブ領域110に形成されたMOSFET113は、トレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、エピタキシャル層124には、その表面125から基板122へ向かって掘り下がったゲートトレンチ126が格子状に形成されている。なお、ゲートトレンチ126はストライプ状であってもよい。エピタキシャル層124には、格子状のゲートトレンチ126で取り囲まれる各窓部分に、直方体形状(平面視正方形状)の単位セル112が多数形成されている。
【0099】
また、エピタキシャル層124の表面125から測定されるゲートトレンチ126の深さDは、たとえば、0.5μm〜5.0μmであり、ゲートトレンチ126の幅Wは、たとえば、0.10μm〜1.0μmである。また、互いに隣り合う単位セル112の距離(セルピッチP)は、0.5μm〜5.0μmである。
エピタキシャル層124においてゲートトレンチ126の周囲には、n型のソース領域127およびp型(たとえば、濃度が1.0×1015〜1.0×1018atoms・cm−3である。以下同じ。)のチャネル領域128が、エピタキシャル層124の表面125に近い側からこの順に形成されている。チャネル領域128には、p型不純物として、ボロン(B)、アルミニウム(Al)などが含まれている。
【0100】
ソース領域127は、エピタキシャル層124の表面125に露出するとともに、ゲートトレンチ126の側面の上部を形成するように、各単位セル112の表層部に形成されている。表面125から基板122へ向かう方向に沿うソース領域127の厚さは、たとえば、0.1μm〜1.0μmである。なお、以下の説明で厚さを定義する場合には、特に断りのない限り、エピタキシャル層124の表面125から基板122へ向かう方向に沿った厚さのことをいう。
【0101】
チャネル領域128は、ソース領域127に対して基板122側(エピタキシャル層124の裏面129側)にソース領域127に接するように形成されている。チャネル領域128の厚さは、たとえば、0.2μm〜1.0μmであり、チャネル領域128の最深部は、ゲートトレンチ126の底面よりもエピタキシャル層124の表面125側に位置している。
【0102】
エピタキシャル層124における、チャネル領域128に対して基板122側の領域は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、n型のドリフト領域130となっている。ドリフト領域130は、チャネル領域128に対して基板122側にチャネル領域128に接している。
また、各単位セル112の中央部には、エピタキシャル層124の表面125からソース領域127を貫通してチャネル領域128に達するp型(たとえば、濃度が1.0×1018〜1.0×1020atoms・cm−3である。以下同じ。)のボディコンタクト領域131が形成されている。
【0103】
ゲートトレンチ126の内面には、その全域を覆うように、酸化シリコン(SiO)からなるゲート絶縁膜132が形成されている。そして、ゲート絶縁膜132の内側をn型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンで埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ126にゲート電極133が埋設されている。
ゲート電極133は、エピタキシャル層124の表面125と面一な上面134を有している。面一とは、ゲート電極133の上面134とエピタキシャル層124の表面125とが同一平面上に形成されていることを意味しているが、ゲート電極133の作製途中に意図せずに形成される小さな窪み等がある場合も概念的には含む。また、ゲート電極133の一部は、平面視で除去領域107を横切るように、格子の枠部分からゲート引出し部115の直下にゲート引出し配線121として引き出されている。
【0104】
一方、ダイオード領域109においてエピタキシャル層124には、その表面125から基板122へ向かって掘り下がったダイオードトレンチ135が複数(この実施形態では、2本)形成されている。複数のダイオードトレンチ135は、MOSFET113(アクティブ領域110)を取り囲む環状に、ダイオード領域109の周方向全周にわたって互いに一定の間隔を空けて設けられている。互いに隣り合うダイオードトレンチ135の中心間の距離(トレンチピッチP)は、たとえば、0.5μm〜5.0μmである。各ダイオードトレンチ135は、平面視でソース引出し部114およびゲート引出し部115の双方を横切る位置に形成されている。なお、ダイオードトレンチ135の数は、2本に限らず、1本であってもよく、また3本以上であってもよい。つまり、後述する双方向ツェナーダイオード111は、2本に限らず、1本であってもよく、また3本以上であってもよい。
【0105】
また、エピタキシャル層124の表面125から測定されるダイオードトレンチ135の深さDは、ゲートトレンチ126と同じ深さD(たとえば、0.5μm〜5.0μm)である。また、ダイオードトレンチ135の幅Wは、たとえば、ゲートトレンチ126の幅Wの1.2〜5.0倍であり、具体的には、0.12μm〜5.0μmである。
【0106】
ダイオードトレンチ135の内面には、その全域を覆うように、酸化シリコン(SiO)からなるダイオード絶縁膜136が形成されている。
そして、ダイオード絶縁膜136の内側を、n型不純物およびp型不純物がドーピングされた埋め込み層としてのポリシリコンで埋め尽くすことにより、ダイオードトレンチ135には、当該ポリシリコンからなる双方向ツェナーダイオード111が形成されている。この双方向ツェナーダイオード111も、ゲート電極133と同様に、エピタキシャル層124の表面125と面一な上面137を有している。
【0107】
第1ダイオードとしての双方向ツェナーダイオード111は、ダイオードトレンチ135の周方向に沿って交互に配列され、互いに接する複数のn型部分138とp型(たとえば、濃度が1.0×1016〜1.0×1019atoms・cm−3である。以下同じ。)部分139とを有している。これにより、双方向ツェナーダイオード111では、n型部分138とp型部分139とのpn接合からなるツェナーダイオードがダイオードトレンチ135の周方向に沿って直列に接続されている。
【0108】
この実施形態では、たとえば、連続するn型部分138、p型部分139、n型部分138、p型部分139およびn型部分138の5つに区画された部分によって形成されたnp接合、pn接合、np接合およびpn接合の合計4つの接合により、ダイオード(Di)ユニット140(1単位)が構成されている。すなわち、双方向ツェナーダイオード111は、ダイオードトレンチ135の周方向に沿って配列された複数のDiユニット140により構成されており、隣接するDiユニット140間において、各Diユニット140の端部にあるn型部分138が共有されている。
【0109】
Diユニット140のダイオードトレンチ135の周方向に沿う長さLは、Diユニット140に一定の耐圧を確保する観点から、たとえば、10μm〜50μmであることが好ましい。また、各n型部分138および各p型部分139の同方向における長さl,lはそれぞれ、たとえば、3μm〜5μmである。
このようなDiユニット140のツェナー降伏電圧は、たとえば、5V〜50Vであり、各Diユニット140のpn接合1つ当たりのツェナー降伏電圧は、たとえば、5V〜10Vである。
【0110】
なお、各Diユニット140を構成するn型部分およびp型部分の組み合わせは、n型部分138とp型部分139との組み合わせに限らず、これらをn型(たとえば、濃度が1.0×1016〜1.0×1019atoms・cm−3である。以下同じ。)、n型、p型およびp型にそれぞれ置き換えることもできる。たとえば、Diユニットは、その両端にp型部分を配置し、当該両端のp型部分を含めて、連続するp型部分、n型部分、p型部分、n型部分およびp型部分の5つに区画された部分によって形成されたpn接合、np接合、pn接合およびnp接合の合計4つの接合により構成されていてもよい。
【0111】
エピタキシャル層124上には、SiOからなる層間絶縁膜141が積層されている。
層間絶縁膜141には、各単位セル112のソース領域127、各Diユニット140の両端のn型部分138の直上およびゲート引出し配線121の直上に、層間絶縁膜141を厚さ方向に貫通するコンタクトホール142〜145が、それぞれ形成されている。
【0112】
層間絶縁膜141上には、前述のソース端子102およびゲート端子103が形成されている。
ソース端子102は、各コンタクトホール142を介して、全ての単位セル112のソース領域127に一括して接続されるとともに、各コンタクトホール143を介して、各Diユニット140の一端のn型部分138に、ソースコンタクト116として接続されている。すなわち、ソース端子102は、全ての単位セル112のソース領域127およびDiユニット140に対して共通の端子となっている。なお、以下では、各Diユニット140におけるソース端子102に接続されたn型部分138を、ソース側n型部分138Sということがある。
【0113】
ゲート端子103は、各コンタクトホール144を介して、MOSゲートコンタクト119としてゲート引出し配線121に接続されるとともに、各コンタクトホール145を介して、各Diユニット140のソース側n型部分138Sとは反対端のn型部分138に、ゲートコンタクト120として接続されている。すなわち、ゲート端子103は、ゲート電極133およびDiユニット140に対して共通の端子となっている。なお、以下では、各Diユニット140におけるゲート端子103に接続されたn型部分138を、ゲート側n型部分138Gということがある。
【0114】
基板122の裏面146には、その全域を覆うようにドレイン端子147が形成されている。このドレイン端子147は、全ての単位セル112に対して共通の端子となっている。
以上説明した半導体装置101では、図17に示すように、ソース端子102(S)とゲート端子103(G)との間(ソース−ゲート間)に双方向ツェナーダイオード111(Z)が接続されることとなる。なお、Dは、基板ダイオードであり、ソース端子102(S)とドレイン端子147(D)との間に接続されている。
<半導体装置の製造方法>
図18A〜図18Iは、図14の半導体装置の製造工程の一部を示す図であって、図16(a)(b)と同じ切断面を示している。
【0115】
半導体装置101を製造するには、図18Aに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法、LPE(Liquid Phase Epitaxy:液相エピタキシ)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法などのエピタキシャル成長法により、基板122の表面123上に、n型不純物をドーピングしながらシリコン結晶を成長させる。これにより、基板122上に、n型のエピタキシャル層124(ドリフト領域130)が形成される。
【0116】
次に、図18Bに示すように、エピタキシャル層124の表面125へ向け、p型不純物を注入する。注入は、たとえば、30keV〜200keVで、表面125から所定の深さ位置に1段注入する。このときのドーズ量は、たとえば、1.0×1012atoms・cm−2〜1.0×1014atoms・cm−2である。続いて、たとえば、850℃〜1100℃でエピタキシャル層124をアニール処理する。これにより、エピタキシャル層124の表層部に注入されたp型不純物が活性化され、チャネル領域128が形成される。
【0117】
次に、図18Cに示すように、エピタキシャル層124にハードマスク(図示せず)を形成し、当該ハードマスクをパターニングした後、エピタキシャル層124をドライエッチングする。これにより、エピタキシャル層124が表面125から選択的に掘り込まれて、ゲートトレンチ126およびダイオードトレンチ135が同時に形成される。それとともに、エピタキシャル層124に複数の単位セル112が形成される。
【0118】
次に、図18Dに示すように、たとえば、熱酸化法により、エピタキシャル層124の表面125、ゲートトレンチ126の内面(側面および底面)およびダイオードトレンチ135の内面(側面および底面)に、ゲート絶縁膜132およびダイオード絶縁膜136を同時に形成する。ゲート絶縁膜132およびダイオード絶縁膜136の膜厚は、たとえば、150Å〜1500Åである。
【0119】
次に、図18Eに示すように、たとえば、CVD法により、p型のポリシリコン148(半導体材料)を、エピタキシャル層124の上方から堆積する。ポリシリコン148は、ゲートトレンチ126およびダイオードトレンチ135を埋め尽くし、さらにエピタキシャル層124の表面125から6000Å程度の厚さTになるまで堆積させる。
次に、図18Fに示すように、堆積したポリシリコン148を、エッチバック面がエピタキシャル層124の表面125と面一になるまでエッチバックする。これにより、ゲートトレンチ126およびダイオードトレンチ135に残存するポリシリコン148からなり、それぞれがエピタキシャル層124の表面125と面一な上面134,137を有するゲート電極133および埋め込み層149が同時に形成される。
【0120】
次に、図18Gに示すように、エピタキシャル層124にハードマスク150を形成し、当該ハードマスク150をパターニングした後、ハードマスク150から露出するゲート電極133にn型不純物を注入し、同時に埋め込み層149に対して、埋め込み層149の不純物濃度よりも高い濃度のn型不純物を選択的に注入する。注入は、たとえば、30keV〜200keVで、表面から所定の深さ位置に1段注入する。このときのドーズ量は、たとえば、5.0×1014〜5.0×1016atoms・cm−2である。これにより、n型のゲート電極133が形成され、同時に、埋め込み層149においてn型部分138およびp型部分139が交互に配列されて、双方向ツェナーダイオード111が形成される。
【0121】
次に、図18Hに示すように、エピタキシャル層124の表面125へ向け、n型不純物およびp型不純物を順に、選択的に注入する。そして、たとえば、850℃〜1100℃でエピタキシャル層124をアニール処理することにより、注入されたn型不純物およびp型不純物が活性化され、ソース領域127およびボディコンタクト領域131が形成される。
【0122】
その後、たとえば、CVD法により、エピタキシャル層124上に層間絶縁膜141を積層し、その後、当該層間絶縁膜141を選択的にドライエッチングすることにより、コンタクトホール142〜145を形成する。
次に、図18Iに示すように、たとえば、スパッタ法により、層間絶縁膜141の表面全面に、AlCu(金属材料)からなる電極膜104を堆積させる。電極膜104は、少なくとも全てのコンタクトホール142〜145を埋め尽くし、さらにエピタキシャル層124の表面125から30000Å程度の厚さになるまで堆積させる。そして、堆積した電極膜104をパターニングして除去領域107を形成することにより、ソース端子102およびゲート端子103が同時に形成される。その後は、たとえば、スパッタ法により、基板122の裏面146にドレイン端子147を形成する。
【0123】
以上の工程を経ることにより、図14に示す半導体装置101を得ることができる。
半導体装置101のMOSFET113は、たとえば、スイッチング素子として利用することができる。この場合、ソース端子102(ソースパッド118)とドレイン端子147との間(ソース−ドレイン間)にドレイン側が正となるドレイン電圧を印加した状態で、ゲート端子103(ゲートパッド105)に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)を印加する。これにより、チャネル領域128におけるゲート絶縁膜132との界面近傍にゲートトレンチ126の深さ方向に沿ってチャネルが形成され、ゲートトレンチ126の深さ方向に電流が流れる。
【0124】
そして、この半導体装置101によれば、図17に示すように、ソース端子102(S)とゲート端子103(G)との間(ソース−ゲート間)に双方向ツェナーダイオード111(Z)が接続されることとなる。そのため、たとえ半導体装置101に静電気やサージ電圧などが入力されても、その静電気やサージ電圧などを双方向ツェナーダイオード111により吸収することができる。したがって、半導体装置101に静電気やサージ電圧などが入力されることに起因する絶縁破壊を防止することができる。その結果、半導体装置101の信頼性を向上させることができる。
【0125】
また、半導体装置101によれば、ゲート電極133の上面134および双方向ツェナーダイオード111の上面137がともに、エピタキシャル層124の表面125と面一である。そのため、エピタキシャル層124を表面125からエッチングしてゲートトレンチ126およびダイオードトレンチ135を同時に形成した後(図18Cの工程)、これらのトレンチ126,135を埋め尽くすようにp型のポリシリコン148を堆積させ(図18Eの工程)、その後、堆積したポリシリコン148をエッチバックすることにより、ゲート電極133と双方向ツェナーダイオード111(双方向ツェナーダイオード111の本体を形成する埋め込み層149)とを同時に形成することができる(図18Fの工程)。
【0126】
したがって、その上面がエピタキシャル層の表面と面一になるようにゲート電極を形成する工程と、ダイオードトレンチからエピタキシャル層の表面にはみ出すようにツェナーダイオードを形成する工程とを別々に行う従来の方法(たとえば、特許文献2の方法)に比べて、半導体装置の製造工程を簡易にすることができ、製造コストを低減することができる。
【0127】
従来の方法では、ツェナーダイオードをダイオードトレンチからはみ出す形状にするために、ダイオードトレンチを埋め尽くすようにポリシリコンを堆積させた後、このポリシリコンを、マスクを使ってパターニングする工程を行う必要があり、効率がよいとは言えない。
また、従来の方法では、ダイオードトレンチからはみ出したツェナーダイオードが、エピタキシャル層の表面に対する段差として残る結果、エピタキシャル層の表面を覆うように形成した層間絶縁膜にも段差(高さのズレ)が生じる。そのため、層間絶縁膜にコンタクトホールを開けるためのフォトレジストの露光時に、フォーカス異常を生じるおそれもある。さらに、層間絶縁膜が当該段差で不連続となり、その部分に配線メタルが入り込みやすくなるので、配線メタルをパターニングしてソース電極等を形成する際に、当該配線メタルが残渣(メタル残渣)として残り、結果的に配線間のショート(短絡)を引き起こすおそれもある。
【0128】
これに対して、前述の製造方法では、ゲート電極133の上面134および双方向ツェナーダイオード111の上面137を、ともにエピタキシャル層124の表面125と面一に形成することができるので、従来のようなフォーカス異常およびメタル残渣といった問題も解決することができる。その結果、半導体装置101の品質・性能を向上させることができる。
【0129】
さらに前述の方法では、ゲートトレンチ126およびダイオードトレンチ135を同時に形成し(図18Cの工程)、ソース端子102およびゲート端子103を同時に形成するので(図18Iの工程)、より一層簡易にかつ低コストで、半導体装置101を製造することができる。
また、ダイオードトレンチ135の幅Wが、ゲートトレンチ126の幅Wの1.2〜5.0倍であるため、ダイオードトレンチ135の幅Wとゲートトレンチ126の幅Wとのばらつきを、ある程度の範囲に収めることができる。そのため、ポリシリコン148をエッチバックする際に(図18Fの工程)、ゲート電極133や双方向ツェナーダイオード111(埋め込み層149)にディッシングが発生することを防止することができる。
【0130】
また、半導体装置101によれば、各Diユニット140のソース側n型部分138Sとソース端子102との間、およびゲート側n型部分138Gとゲート端子103との間を、それぞれソース引出し部114およびゲート引出し部115から直下に向かって層間絶縁膜141を貫通する柱状のプラグコンタクト116,120を用いて接続することができる。そのため、各Diユニット140のソース側n型部分138Sおよびゲート側n型部分138Gそれぞれから、基板122に対して水平方向に配線を引き回す必要がないので、省スペース化を図ることができる。
【0131】
しかも、ソース端子102とゲート端子103との間を絶縁する除去領域107を葛折り状に形成することにより、各Diユニット140へのコンタクトに必要なソース引出し部114およびゲート引出し部115が、ゲート端子103の周方向に沿って櫛歯状に噛み合うように交互に複数配置されている。これにより、各ソース引出し部114と、当該ソース引出し部114に隣り合うゲート引出し部115との間に接続されるDiユニット140を、ゲート端子103の周方向に沿って複数形成することができる。そのため、各ソース引出し部114および各ゲート引出し部115の位置を適切に定め、それらの間に挟まれる各Diユニット140の長さLを10μm〜50μmに調節することにより、良好な保護耐量を有するDiユニット140を複数形成することができる。また、ソース端子102とゲート端子103との間の余ったスペースを双方向ツェナーダイオード111へのコンタクトという用途に有効利用することができる。
【0132】
また、図14に示すように、双方向ツェナーダイオード111が、アクティブ領域110を取り囲むように、ダイオード領域109の周方向全周にわたって形成されているため、双方向ツェナーダイオード111が当該周方向に沿って局所的に設けられている場合に比べて、双方向ツェナーダイオード111全体としての面積を増やすことができる。その結果、双方向ツェナーダイオード111の保護耐量(静電破壊電圧)を向上させることができる。なお、双方向ツェナーダイオード111は、図14の双方向ツェナーダイオード111´(図14の斜線ハッチングの部分)のように、たとえば、ゲートパッド105を取り囲む部分に局所的に形成されていてもよい。
<双方向ツェナーダイオードの変形例>
図19は、双方向ツェナーダイオードの変形例を示す図である。図20は、ソース端子およびゲート端子の第1の変形例を示す図である。図21は、ソース端子およびゲート端子の第2の変形例を示す図である。
【0133】
図14および図15では、双方向ツェナーダイオードの一例として、Diユニット140がダイオード領域109(ゲート端子103)の周方向に沿って連続して形成されることにより、環状に形成された双方向ツェナーダイオード111を採り上げたが、たとえば、図19に示す第2ダイオードとしての双方向ツェナーダイオード151のように、各Diユニット152がダイオード領域109(ゲート端子103)を横切る方向に沿って別々に形成されていてもよい。
【0134】
具体的には、図19の双方向ツェナーダイオード151では、ダイオードトレンチ135が、図15のように複数のDiユニット140が一括して収容するものとは異なり、各ソース引出し部114の引き出し方向に沿って、ソース引出し部114とゲート端子103(ゲート引出し部115ではない本体部分)との間に跨って形成されている。これにより、各Diユニット152は、ソース側n型部分138Sがソース引出し部114の直下に配置されるように、かつゲート側n型部分138Gがゲート端子103(ゲート引出し部115ではない本体部分)の直下に配置されるように、各ソース引出し部114の引き出し方向に沿って、ソース引出し部114とゲート端子103との間に跨っている。
【0135】
また、各Diユニット152(ダイオードトレンチ135)は、ソース引出し部114ごとに1つずつ形成されており、双方向ツェナーダイオード151全体としてアクティブ領域110を取り囲むように設けられている。むろん、Diユニット152は、全てのソース引出し部114に設ける必要はなく、数本のソース引出し部114とゲート端子103との間に局所的に設けられていてもよい。
【0136】
この変形例によれば、Diユニット152を、ダイオード領域109の適切な場所に、適切な数だけ形成することができる。
また、図19のような双方向ツェナーダイオード151を設ける場合には、たとえば、図20に示すように、ゲート引出し配線121を長くしてゲート端子103(本体部分)まで引き出し、その末端にMOSゲートコンタクト119を形成することにより、ゲート引出し部115を省略することができる。
【0137】
さらに、たとえば、図21に示すように、ソース引出し部114のように局所的ではなく、単位セル112の直上部分からソース端子102の周縁部を全体的に引き出し、当該引き出された部分にソースコンタクト116を形成することにより、ソース引出し部114を省略することもできる。
以上、参考例の実施形態を説明したが、参考例は、他の形態で実施することもできる。
【0138】
たとえば、前述の実施形態では、半導体装置101のアクティブ領域110には、トレンチゲート型MOSFET113が形成されていたが、図22の半導体装置153のように、トレンチゲート型IGBT154(Insulated Gate Bipolar Semiconductor)が形成されていてもよい。
図22の半導体装置153は、n型の基板122に代えて、p型のシリコンからなる基板155を有している。また、MOSFET113のソース領域127はIGBT154のエミッタ領域156に対応し、チャネル領域128はベース領域157に対応し、ドリフト領域130はコレクタ領域158に対応している。また、ソース側n型部分138Sはエミッタ側n型部分138Eに対応している。さらに、ソース端子102はエミッタ端子159に対応し、ドレイン端子147はコレクタ端子160に対応している。
【0139】
そして、このIGBT154では、エミッタ端子159とゲート端子103との間(エミッタ−ゲート間)に双方向ツェナーダイオード111が接続されているので、前述の実施形態の半導体装置101と同様の効果を得ることができる。
また、各Diユニット140,152のゲート側n型部分138Gとは反対端のn型部分は、ソース端子102およびエミッタ端子159ではなく、ドレイン端子147やコレクタ端子160に接続することもできる。これにより、ドレイン−ゲート間およびコレクタ−ゲート間に双方向ツェナーダイオード111,151を接続することができる。
【0140】
当該n型部分138をドレイン端子147に接続する場合には、たとえば、図23および図24に示すように、ダイオードトレンチ135の底面からエピタキシャル層124を貫通して基板122に達するコンタクトホール161を形成し、当該コンタクトホール161の内面に絶縁膜162を形成し、その絶縁膜162の内側を金属材料で埋め尽くすことにより、ドレインコンタクト163を形成する。このドレインコンタクト163を介して、n型部分138(ドレイン側n型部分138D)とドレイン端子147とを接続することができる。
【0141】
これにより、図25に示すように、半導体装置101において、ソース端子102(S)とゲート端子103(G)との間(ソース−ゲート間)、ドレイン端子147(D)とゲート端子103(G)との間(ドレイン−ゲート間)の両方に双方向ツェナーダイオード111(Z)を接続することができる。なお、Dは、基板ダイオードであり、ソース端子102(S)とドレイン端子147(D)との間に接続されている。また、この構成では、ソースコンタクト116を省略することによって、ソース−ゲート間の双方向ツェナーダイオード111を省略してもよい。
【0142】
一方、当該n型部分138をコレクタ端子160に接続する場合には、たとえば、図26に示すように、ダイオードトレンチ135の底面からエピタキシャル層124を貫通して基板155に達するコンタクトホール164を形成し、当該コンタクトホール164の内面に絶縁膜165を形成し、その絶縁膜165の内側を金属材料で埋め尽くすことにより、コレクタコンタクト166を形成する。このコレクタコンタクト166を介して、n型部分138(コレクタ側n型部分138C)とコレクタ端子160とを接続することができる。
【0143】
また、前述の実施形態では、各Diユニット140,152と各端子とは、層間絶縁膜141を厚さ方向に貫通する柱状のプラグコンタクトにより接続されていたが、たとえば、Diユニット140,152と各端子との間に多層配線構造を形成して各層に再配線を形成することにより、当該複数層の再配線を用いて接続されていてもよい。
また、ゲート端子103は、各Diユニット140,152のゲート側n型部分138Gに接続可能な形状であれば、図14のように、ソース端子102を取り囲んでいる必要はない。たとえば、ダイオード領域109が、平面視でソース端子102の周辺に局所的に形成されている場合には、当該ダイオード領域109を覆う程度に形成されていてもよい。
【0144】
また、ゲートトレンチ126およびダイオードトレンチ135は、図18Cの工程のように同一工程で形成する必要はなく、それぞれを形成する工程を別々に実行することにより形成してもよい。
また、半導体装置101,153の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置101,153において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
【0145】
また、半導体装置101,153において、エピタキシャル層124を構成する層は、Siからなるエピタキシャル層124に限らず、たとえば、ワイドバンドギャップ半導体、たとえば、SiC、GaN、ダイヤモンドからなる層などであってもよい。
(参考例の実施形態の開示から把握されるべき特徴)
たとえば、参考例の実施形態の開示からは、下記(1)〜(20)の発明を把握することができる。
(1)トランジスタを構成する複数の不純物領域を有する半導体層と、
前記半導体層に形成されたゲートトレンチと、
前記ゲートトレンチに埋め込まれ、前記半導体層の表面と面一な上面を有するゲート電極と、
前記半導体層に形成されたダイオードトレンチと、
前記ダイオードトレンチに埋め込まれ、前記半導体層の前記表面と面一な上面を有しており、前記ダイオードトレンチの深さ方向に直交する方向に沿ってn型部分とp型部分とが交互に配列されて構成された複数のpn接合を有する双方向ツェナーダイオードとを含む、半導体装置。
(2)前記半導体装置は、前記半導体層に積層された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記ゲート電極に接続された第1端子と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記半導体層の所定の前記不純物領域に接続された第2端子とを含み、
前記第1端子および前記第2端子は、前記層間絶縁膜をそれぞれ貫通して、互いに離れて配置された前記n型部分または前記p型部分に、それぞれ接続されている、(1)に記載の半導体装置。
(3)前記双方向ツェナーダイオードは、互いに離れて配置された前記n型部分または前記p型部分がそれぞれ、前記第1端子および前記第2端子の直下に配置されるように、平面視で前記第1端子および前記第2端子に跨るように形成されている、(2)に記載の半導体装置。
(4)前記第1端子は、前記第2端子を取り囲む環状端子を含む、(2)または(3)に記載の半導体装置。
(5)前記環状端子は、前記第2端子へ向かって引き出された第1引出し部を有し、
前記環状端子で取り囲まれた前記第2端子は、前記環状端子へ向かって引き出された第2引出し部を有しており、
前記双方向ツェナーダイオードは、互いに離れて配置された前記n型部分または前記p型部分がそれぞれ、前記第1引出し部および前記第2引出し部の直下に配置されるように、前記複数のpn接合が前記環状端子の周方向に沿って配列された第1ダイオードを含む、(4)に記載の半導体装置。
(6)前記第1ダイオードは、前記第2端子を取り囲む環状に形成されている、(5)に記載の半導体装置。
(7)前記第1引出し部および前記第2引出し部は、前記環状端子の前記周方向に沿って交互に配列されている、(5)または(6)に記載の半導体装置。
(8)前記双方向ツェナーダイオードは、互いに離れて配置された前記n型部分または前記p型部分がそれぞれ、前記環状端子および前記第2端子の直下に配置されるように、前記複数のpn接合が前記環状端子を横切る方向に沿って配列された第2ダイオードを含む、(4)に記載の半導体装置。
(9)複数の前記不純物領域は、前記ゲート電極と協働してトレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を構成するMOS構造を含み、
前記MOS構造は、
前記半導体層の前記表面側に露出するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域に対して前記半導体層の裏面側に前記ソース領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第2導電型のチャネル領域と、
前記チャネル領域に対して前記半導体層の前記裏面側に前記チャネル領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの底面を形成する第1導電型のドレイン領域とを含む、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(10)前記第2端子が、前記ソース領域に接続されたソース端子を含む、(2)〜(8)に係る(9)に記載の半導体装置。
(11)前記第2端子が、前記ドレイン領域に接続されたドレイン端子を含む、(2)〜(8)に係る(9)に記載の半導体装置。
(12)複数の前記不純物領域は、前記ゲート電極と協働してトレンチゲート型IGBT(Insulated Gate Bipolar Semiconductor)トランジスタを構成するIGBT構造を含み、
前記IGBT構造は、
前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第1導電型のエミッタ領域と、
前記エミット領域に対して前記半導体層の裏面側に前記エミッタ領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの底面を形成する第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域に対して前記半導体層の前記裏面側に前記チャネル領域に接するように形成された第1導電型のコレクタ領域とを含む、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(13)前記第2端子が、前記エミッタ領域に接続されたエミッタ端子を含む、(2)〜(8)に係る(12)に記載の半導体装置。
(14)前記第2端子が、前記コレクタ領域に接続されたコレクタ端子を含む、(2)〜(8)に係る(12)に記載の半導体装置。
(15)前記ダイオードトレンチの幅は、前記ゲートトレンチの幅の1.2〜5.0倍である、(1)〜(14)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(16)前記双方向ツェナーダイオードは、ポリシリコンからなる、(1)〜(15)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(17)半導体層に、トランジスタを構成する複数の不純物領域を形成する工程と、
前記半導体層を表面からエッチングすることにより、ゲートトレンチを形成する工程と、
前記半導体層を前記表面からエッチングすることにより、ダイオードトレンチを形成する工程と、
前記ゲートトレンチおよび前記ダイオードトレンチを埋め尽くすように、n型またはp型の半導体材料を前記半導体層に堆積させる工程と、
堆積した前記半導体材料をエッチバックすることにより、前記半導体層の前記表面と面一な上面を有するゲート電極を形成し、同時に、前記半導体層の前記表面と面一な上面を有する埋め込み層を形成する工程と、
前記埋め込み層に、当該埋め込み層とは異なる導電型のn型またはp型不純物を選択的に注入し、前記ダイオードトレンチの深さ方向に直交する方向に沿ってn型部分とp型部分とが交互に配列させて複数のpn接合を形成することにより、前記ダイオードトレンチ内に双方向ツェナーダイオードを形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
(18)前記半導体装置の製造方法は、
前記半導体層に層間絶縁膜を積層する工程と、
前記層間絶縁膜上に、前記層間絶縁膜を貫通して、前記ゲート電極および前記双方向ツェナーダイオードの一つの前記n型部分または前記p型部分に接続する第1端子を形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に、前記層間絶縁膜を貫通して、前記半導体層の所定の前記不純物領域、および前記第1端子と接続された前記n型部分または前記p型部分から離れており、当該部分と同一導電型の前記n型部分または前記p型部分に接続する第2端子を形成する工程とを含む、(17)に記載の半導体装置の製造方法。
(19)前記第1端子および前記第2端子を形成する工程は、前記層間絶縁膜の全面に金属材料を堆積させた後、当該金属材料を所定の形状にパターニングすることにより、前記第1端子および前記第2端子を同時に形成する工程を含む、(18)に記載の半導体装置の製造方法。
(20)前記ゲートトレンチを形成する工程および前記ダイオードトレンチを形成する工程を、同一のエッチング処理により行う、(17)〜(19)のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(上記把握されるべき特徴の効果)
(1)の発明によれば、ゲート電極の上面および双方向ツェナーダイオードの上面がともに、半導体層の表面と面一である。そのため、半導体層を表面からエッチングしてゲートトレンチおよびダイオードトレンチを形成した後、これらのトレンチを埋め尽くすようにn型またはp型の半導体材料を堆積させ、その後、堆積した半導体材料をエッチバックすることにより、ゲート電極と双方向ツェナーダイオード(双方向ツェナーダイオードの本体を形成する埋め込み層)とを同時に形成することができる。
【0146】
したがって、その上面がエピタキシャル層の表面と面一になるようにゲート電極を形成する工程と、ダイオードトレンチからエピタキシャル層の表面にはみ出すようにツェナーダイオードを形成する工程とを別々に行う従来の方法(たとえば、特許文献2の方法)に比べて、半導体装置の製造工程を簡易にすることができ、製造コストを低減することができる。
【0147】
従来の方法では、ツェナーダイオードをダイオードトレンチからはみ出す形状にするために、ダイオードトレンチを埋め尽くすようにポリシリコンを堆積させた後、このポリシリコンを、マスクを使ってパターニングする工程を行う必要があり、効率がよいとは言えない。
また、従来の方法では、ダイオードトレンチからはみ出したツェナーダイオードが、エピタキシャル層の表面に対する段差として残る結果、エピタキシャル層の表面を覆うように形成した層間絶縁膜にも段差(高さのズレ)が生じる。そのため、層間絶縁膜にコンタクトホールを開けるためのフォトレジストの露光時に、フォーカス異常を生じるおそれもある。さらに、層間絶縁膜が当該段差で不連続となり、その部分に配線メタルが入り込みやすくなるので、配線メタルをパターニングしてソース電極等を形成する際に、当該配線メタルが残渣(メタル残渣)として残り、結果的に配線間のショート(短絡)を引き起こすおそれもある。
【0148】
これに対して、参考例に係る発明では、ゲート電極の上面および双方向ツェナーダイオードの上面を、ともに半導体層の表面と面一に形成することができるので、従来のようなフォーカス異常およびメタル残渣といった問題も解決することができる。その結果、半導体装置の品質・性能を向上させることができる。
そして、(1)の半導体装置は、たとえば、(17)の半導体装置の製造方法により製造することができる。
【0149】
また、(1)の半導体装置が、(2)記載のように、前記半導体層に積層された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記ゲート電極に接続された第1端子と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記半導体層の所定の前記不純物領域に接続された第2端子とを含む場合、前記第1端子および前記第2端子を、前記層間絶縁膜をそれぞれ貫通して、互いに離れて配置された前記n型部分または前記p型部分に、それぞれ接続することができる。
【0150】
すなわち、第1端子および第2端子を、双方向ツェナーダイオードの互いに離れたn型部分に接続するか、または、双方向ツェナーダイオードの互いに離れたp型部分に接続することができる。これにより、双方向ツェナーダイオードを、ゲート電極と所定の不純物領域との間(ゲート−不純物領域間)に接続することができる。
このような構造は、たとえば、(18)に記載のように、前記半導体層に層間絶縁膜を積層する工程と、前記層間絶縁膜上に、前記層間絶縁膜を貫通して、前記ゲート電極および前記双方向ツェナーダイオードの一つの前記n型部分または前記p型部分に接続する第1端子を形成する工程と、前記層間絶縁膜上に、前記層間絶縁膜を貫通して、前記半導体層の所定の前記不純物領域、および前記第1端子と接続された前記n型部分または前記p型部分から離れており、当該部分と同一導電型の前記n型部分または前記p型部分に接続する第2端子を形成する工程とを実行することにより、作製することができる。
【0151】
この場合、前記第1端子および前記第2端子を形成する工程は、(19)記載のように、前記層間絶縁膜の全面に金属材料を堆積させた後、当該金属材料を所定の形状にパターニングすることにより、前記第1端子および前記第2端子を同時に形成する工程を含むことが好ましい。
この方法によれば、第1端子および第2端子を同一工程で形成できるので、より簡易にかつ低コストで、半導体装置を製造することができる。
【0152】
さらには、(20)記載のように、前記ゲートトレンチを形成する工程および前記ダイオードトレンチを形成する工程を、同一のエッチング処理により行えば、製造工程をさらに簡易にでき、製造コストを一層低減することができる。
また、(3)記載のように、前記双方向ツェナーダイオードは、互いに離れて配置された前記n型部分または前記p型部分がそれぞれ、前記第1端子および前記第2端子の直下に配置されるように、平面視で前記第1端子および前記第2端子に跨るように形成されていることが好ましい。
【0153】
この構成によれば、第1端子および第2端子から直下に向かって層間絶縁膜を貫通するプラグを用いて、第1端子および第2端子それぞれと、n型部分またはp型部分と接続することができる。そのため、n型部分およびp型部分から水平方向に配線を引き回す必要がないので、省スペース化を図ることができる。
また、前記第1端子は、(4)記載のように、前記第2端子を取り囲む環状端子を含んでいてもよい。
【0154】
そして、(5)記載のように、前記環状端子が、前記第2端子へ向かって引き出された第1引出し部を有し、前記環状端子で取り囲まれた前記第2端子が、前記環状端子へ向かって引き出された第2引出し部を有している場合、前記双方向ツェナーダイオードは、互いに離れて配置された前記n型部分または前記p型部分がそれぞれ、前記第1引出し部および前記第2引出し部の直下に配置されるように、前記複数のpn接合が前記環状端子の周方向に沿って配列された第1ダイオードを含んでいてもよい。
【0155】
この構成によれば、第1端子と第2端子とを絶縁するために設けたスペースに、第1引出し部および第2引出し部が形成されているので、余ったスペースを双方向ツェナーダイオードに接続するという用途に有効利用することができる。
また、(6)記載のように、第1ダイオードは、前記第2端子を取り囲む環状に形成されていることが好ましい。
【0156】
この構成によれば、第1ダイオードが環状端子の周方向に沿って局所的に設けられている場合に比べて、ダイオードの面積を増やすことができるので、保護耐量(静電破壊電圧)を向上させることができる。
また、(7)記載のように、前記第1引出し部および前記第2引出し部は、前記環状端子の前記周方向に沿って交互に配列されていることが好ましい。
【0157】
この構成によれば、各第1引出し部と、当該第1引出し部に隣り合う第2引出し部との間に接続される双方向ツェナーダイオードの単位(ユニット)を、環状端子の周方向に沿って複数形成することができる。そのため、各第1および第2引出し部の位置を適切に定め、それらの間に挟まれる各双方向ツェナーダイオードのpn繰り返し単位の長さを調節することにより、良好な保護耐量を有する双方向ツェナーダイオードを複数設けることができる。
【0158】
また、前記第1端子が、前記第2端子を取り囲む環状端子を含む場合、前記双方向ツェナーダイオードは、(8)記載のように、互いに離れて配置された前記n型部分または前記p型部分がそれぞれ、前記環状端子および前記第2端子の直下に配置されるように、前記複数のpn接合が前記環状端子を横切る方向に沿って配列された第2ダイオードを含んでいてもよい。
【0159】
この構成によれば、第2ダイオードを環状端子に沿って形成する必要がないので、適切な場所に適切な量だけ双方向ツェナーダイオードを形成することができる。
また、(9)記載のように、複数の前記不純物領域は、前記ゲート電極と協働してトレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を構成するMOS構造を含んでいてもよく、その場合、前記MOS構造は、前記半導体層の前記表面側に露出するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第1導電型のソース領域と、前記ソース領域に対して前記半導体層の裏面側に前記ソース領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第2導電型のチャネル領域と、前記チャネル領域に対して前記半導体層の前記裏面側に前記チャネル領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの底面を形成する第1導電型のドレイン領域とを含む。
【0160】
これにより、双方向ツェナーダイオードを、トレンチゲート型MOSFETのゲート保護用のダイオードとして利用することができる。その場合、(10)記載のように、ソース領域に接続されたソース端子(第2端子)を双方向ツェナーダイオードに接続して、ゲート電極とソース領域との間(ゲート−ソース間)に双方向ツェナーダイオードを接続するか、または、(11)記載のように、ドレイン領域に接続されたドレイン端子(第2端子)を双方向ツェナーダイオードに接続して、ゲート電極とドレイン領域との間(ゲート−ドレイン間)に双方向ツェナーダイオードを接続すればよい。
【0161】
また、(12)記載のように、複数の前記不純物領域は、前記ゲート電極と協働してトレンチゲート型IGBT(Insulated Gate Bipolar Semiconductor)トランジスタを構成するIGBT構造を含んでいてもよく、その場合、前記IGBT構造は、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第1導電型のエミッタ領域と、前記エミット領域に対して前記半導体層の裏面側に前記エミッタ領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの底面を形成する第2導電型のベース領域と、前記ベース領域に対して前記半導体層の前記裏面側に前記チャネル領域に接するように形成された第1導電型のコレクタ領域とを含む。
【0162】
これにより、双方向ツェナーダイオードを、トレンチゲート型IGBTのゲート保護用のダイオードとして利用することができる。その場合、(13)記載のように、エミッタ領域に接続されたエミッタ端子(第2端子)を双方向ツェナーダイオードに接続して、ゲート電極とエミッタ領域との間(ゲート−エミッタ間)に双方向ツェナーダイオードを接続するか、または、(14)記載のように、コレクタ領域に接続されたコレクタ端子(第2端子)を双方向ツェナーダイオードに接続して、ゲート電極とコレクタ領域との間(ゲート−コレクタ間)に双方向ツェナーダイオードを接続すればよい。
【0163】
また、前記ダイオードトレンチの幅は、(15)記載のように、前記ゲートトレンチの幅の1.2倍〜5倍であることが好ましい。
これにより、ダイオードトレンチの幅とゲートトレンチの幅とのばらつきを、ある程度の範囲に収めることができるので、たとえば、半導体材料をエッチバックする際に、ゲート電極や双方向ツェナーダイオード(埋め込み層)にディッシングが発生することを防止することができる。
【0164】
また、前記双方向ツェナーダイオードは、(16)記載のように、ポリシリコンからなることが好ましい。
電極材料として汎用されているポリシリコンを使用することにより、より簡易にかつ低コストで、半導体装置を製造することができる。
【符号の説明】
【0165】
1 半導体装置
2 ソース端子
3 ゲート端子
4 電極膜
5 (半導体装置の)側端面
6 ゲートパッド
7 ボンディングワイヤ
8 除去領域
9 パッドスペース
10 トレンチ分離領域
11 終端領域
12 アクティブ領域
13 単位セル
14 MOSFET
15 ソース中央部
16 ソース引出し部
17 グランドコンタクト
18 ボンディングワイヤ
19 ソースパッド
20 基板
21 (基板の)表面
22 (基板の)裏面
23 エピタキシャル層
24 (エピタキシャル層の)表面
25 (エピタキシャル層の)裏面
26 チャネル層
27 ドレイン層
28 ゲートトレンチ
29 (ゲートトレンチの)側面
30 (ゲートトレンチの)底面
31 ソース領域
32 ダミーセル
33 チャネル領域
34 ドレイン領域
35 チャネルコンタクト領域
36 ゲート絶縁膜
37 ゲート電極
38 (ゲート電極の)上面
39 アイソレーショントレンチ
40 (アイソレーショントレンチの)側面
41 (アイソレーショントレンチの)底面
42 幅狭トレンチ
43 幅広トレンチ
44 高濃度不純物領域
45 トレンチ絶縁膜
46 埋め込み電極
47 (埋め込み電極の)上面
48 幅狭電極
49 幅広電極
50 層間絶縁膜
51 コンタクトホール
52 コンタクトホール
53 ソースコンタクト
54 ドレイン端子
55 ハードマスク
56 ハードマスク
57 ハードマスク
58 ハードマスク
59 ダイシングブレード
60 高濃度不純物領域
61 半導体装置
62 半導体装置
63 ゲート中央部
64 ゲート引出し部
65 半導体装置
66 半導体装置
67 IGBT
68 半導体装置
69 基板
70 エミッタ領域
71 ベース領域
72 コレクタ領域
73 エミッタ端子
74 コレクタ端子
101 半導体装置
102 ソース端子
103 ゲート端子
109 ダイオード領域
110 アクティブ領域
111,111´ 双方向ツェナーダイオード
112 単位セル
113 MOSFET
114 ソース引出し部
115 ゲート引出し部
116 ソースコンタクト
120 ゲートコンタクト
124 エピタキシャル層
125 (エピタキシャル層の)表面
126 ゲートトレンチ
127 ソース領域
128 チャネル領域
129 (エピタキシャル層の)裏面
130 ドリフト領域
132 ゲート絶縁膜
133 ゲート電極
134 (ゲート電極の)上面
135 ダイオードトレンチ
136 ダイオード絶縁膜
137 (双方向ツェナーダイオードの)上面
138 n型部分
138S ソース側n型部分
138G ゲート側n型部分
139 p型部分
140 Diユニット
141 層間絶縁膜
147 ドレイン端子
148 ポリシリコン
149 埋め込み層
151 双方向ツェナーダイオード
152 Diユニット
153 半導体装置
154 IGBT
156 エミッタ領域
157 ベース領域
158 コレクタ領域
159 エミッタ端子
160 コレクタ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の不純物領域を有するトランジスタが形成されたアクティブ領域と、前記アクティブ領域の外周を取り囲む終端領域とを有する第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の表面を形成するように前記アクティブ領域と前記終端領域との間に跨って形成された第2導電型のチャネル層と、
前記アクティブ領域において、前記半導体層の前記表面から前記チャネル層を貫通するように形成されたゲートトレンチと、
前記ゲートトレンチの内面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲートトレンチにおいて前記ゲート絶縁膜の内側に形成されたゲート電極と、
前記アクティブ領域と前記終端領域との間において前記アクティブ領域の外周を取り囲み、前記半導体層の前記表面から前記チャネル層を貫通するように形成され、前記ゲートトレンチと同じ深さを有するアイソレーショントレンチとを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記アイソレーショントレンチの内面に形成されたトレンチ絶縁膜と、
前記アイソレーショントレンチにおいて前記トレンチ絶縁膜の内側に形成された埋め込み電極とをさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記アイソレーショントレンチの底面に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1高濃度不純物領域をさらに含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体装置は、前記半導体層に積層された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記ゲート電極に接続された第1端子と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記トランジスタの所定の前記不純物領域に接続された第2端子とを含み、
前記アイソレーショントレンチは、前記第2端子の直下に配置されるように形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2端子は、その直下に配置された前記アイソレーショントレンチの前記埋め込み電極に対して、前記層間絶縁膜を貫通して接続されている、請求項2に係る請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記アイソレーショントレンチは、互いに周長が異なる複数のアイソレーショントレンチを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2端子は、前記複数のアイソレーショントレンチの前記埋め込み電極のうち、前記アクティブ領域に最も近い埋め込み電極に接続されている、請求項5に係る請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2端子に接続された前記埋め込み電極の幅は、前記第2端子に接続されていない他の埋め込み電極の幅に比べて広い、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数のアイソレーションの幅は一定である、請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数の前記アイソレーショントレンチのピッチは、前記アクティブ領域から前記終端領域へ向かうに従って狭くなっている、請求項6〜9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の前記アイソレーショントレンチのピッチは、前記アクティブ領域から前記終端領域へ向かうに従って広くなっている、請求項6〜9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の前記アイソレーショントレンチのピッチは一定である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の前記アイソレーショントレンチのピッチは、前記ゲートトレンチのピッチよりも狭い、請求項6〜12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記複数の前記アイソレーショントレンチのピッチは、0.3μm〜5.0μmである、請求項6〜13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記アイソレーショントレンチは、単数のアイソレーショントレンチを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記半導体装置は、前記半導体層に積層された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記ゲート電極に接続された第1端子と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜を貫通して前記トランジスタの所定の前記不純物領域に接続された第2端子とを含み、
前記アイソレーショントレンチは、前記第1端子の直下に配置されるように形成されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記ゲートトレンチの底面に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第2高濃度不純物領域をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に半導体装置。
【請求項18】
前記第2端子は、前記アクティブ領域を覆うように形成され、
前記第1端子は、前記第2端子の外周を取り囲むように形成されていて、ボンディングワイヤが接続されるゲートパッドを含み、
前記アイソレーショントレンチは、平面視において前記ゲートパッドを迂回するように形成されている、請求項4または請求項4に係る請求項5〜16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記アイソレーショントレンチは、平面視で前記ゲートパッドに対して前記アクティブ領域に近づく側に窪むことにより、前記ゲートパッドの内側を迂回している、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記アイソレーショントレンチは、平面視で前記ゲートパッドに対して前記アクティブ領域から遠ざかる側に張り出すことにより、前記ゲートパッドの外側を迂回している、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項21】
複数の前記不純物領域は、前記ゲート電極と協働してトレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を構成するMOS構造を含み、
前記MOS構造は、
前記半導体層の前記表面側に露出するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第1導電型のソース領域と、
前記チャネル層からなり、前記ソース領域に対して前記半導体層の裏面側に前記ソース領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第2導電型のチャネル領域と、
前記チャネル領域に対して前記半導体層の前記裏面側に前記チャネル領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの底面を形成する第1導電型のドレイン領域とを含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第2端子が、前記ソース領域に接続されたソース端子を含む、請求項4または請求項4に係る請求項5〜20のいずれか一項に係る、請求項20に記載の半導体装置。
【請求項23】
複数の前記不純物領域は、前記ゲート電極と協働してトレンチゲート型IGBT(Insulated Gate Bipolar Semiconductor)トランジスタを構成するIGBT構造を含み、
前記IGBT構造は、
前記半導体層の前記表面側に露出するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第1導電型のエミッタ領域と、
前記チャネル層からなり、前記エミッタ領域に対して前記半導体層の裏面側に前記エミッタ領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの側面の一部を形成する第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域に対して前記半導体層の前記裏面側に前記ベース領域に接するように形成され、前記ゲートトレンチの底面を形成する第1導電型のコレクタ領域とを含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記第2端子が、前記エミッタ領域に接続されたエミッタ端子を含む、請求項4または請求項4に係る請求項5〜20のいずれか一項に係る、請求項22に記載の半導体装置。
【請求項25】
アクティブ領域および当該アクティブ領域の外周を取り囲む終端領域を有する第1導電型の半導体層にハードマスクを形成し、当該ハードマスクを利用して前記半導体層を表面から選択的にエッチングすることにより、前記アクティブ領域にゲートトレンチを形成し、同時に、前記アクティブ領域と前記終端領域との間において前記アクティブ領域の外周を取り囲むアイソレーショントレンチを形成する工程と、
前記半導体層の前記表面全体を露出させた状態で、前記半導体層の表層部に第2導電型不純物を注入することにより、前記アクティブ領域と前記終端領域との間において前記アイソレーショントレンチにより分断されたチャネル層を、前記アクティブ領域と前記終端領域との間に跨るように形成する工程と、
前記ゲートトレンチの内面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲートトレンチにおいて前記ゲート絶縁膜の内側に電極材料を埋め込むことにより、ゲート電極を形成する工程と、
前記半導体層の表層部に選択的に不純物を注入することにより、前記ゲート電極と協働してトランジスタを構成するための複数の不純物領域を前記アクティブ領域に形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項26】
前記ゲート絶縁膜を形成する工程は、前記アイソレーショントレンチの内面にトレンチ絶縁膜を形成する工程を含み、
前記ゲート電極を形成する工程は、前記アイソレーショントレンチにおいて前記トレンチ絶縁膜の内側に前記電極材料を埋め込むことにより、埋め込み電極を形成する工程を含む、請求項25に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
前記アイソレーショントレンチの底面に第1導電型不純物を注入することにより、前記半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1高濃度不純物領域を、前記アイソレーショントレンチの前記底面に形成する工程を含む、請求項25または26に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項28】
前記第1高濃度不純物領域を形成する工程は、前記ハードマスクを利用して前記第1導電型不純物を注入する工程を含み、
前記半導体装置の製造方法は、前記ハードマスクから露出する前記ゲートトレンチの底面にも前記第1導電型不純物を注入することにより、前記ゲートトレンチの前記底面に第2高濃度不純物領域を、前記第1高濃度不純物領域と同時に形成する工程をさらに含む、請求項27に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項29】
前記半導体装置の製造方法は、
前記半導体層に層間絶縁膜を積層する工程と、
前記層間絶縁膜上に、前記ゲート電極に接続する第1端子を形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に、前記半導体層の所定の前記不純物領域および前記埋め込み電極に接続する第2端子を形成する工程とを含む、請求項26または請求項26に係る請求項27もしくは28に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項30】
前記第1端子および前記第2端子を形成する工程は、前記層間絶縁膜の全面に金属材料を堆積させた後、当該金属材料を所定の形状にパターニングすることにより、前記第1端子および前記第2端子を同時に形成する工程を含む、請求項29に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図18F】
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【図18G】
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【図18H】
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【図18I】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−33931(P2013−33931A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111746(P2012−111746)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】