説明

半導体装置の作製方法

【課題】少ない工程数で、コスト削減が可能な半導体装置の作製方法を提供する。また、レジストを用いずとも所望の形状の半導体層を有する半導体素子を有する半導体装置の作製方法を提供する。また、基板上に形成された配線の欠陥を修正する際の効率を上げ、歩留まり及び量産性を高めることが可能な半導体装の作製方法を提供する。
【解決手段】透光性を有する基板の一方の面に光吸収層を形成し、透光性を有する基板の他方の面側からマスクを介してレーザビームを光吸収層に照射する。当該照射により、レーザビームのエネルギーが光吸収層に吸収される。当該エネルギーによる光吸収層内における気体の放出や光吸収層の昇華等により光吸収層の一部を解離させ、透光性を有する基板から光吸収層の一部を剥離させ、対向する基板上に選択的に光吸収層の一部を転写し、基板上に層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームを用いた転写方法による導電層、半導体層、絶縁層等の層の作製方法に関する。また、当該層を用いて形成した半導体素子を有する半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄膜トランジスタ(以下「TFT」ともいう。)やMOSトランジスタに代表される半導体素子によって構成される所謂アクティブマトリクス駆動方式の表示パネル、又は半導体集積回路は、フォトマスクを使った光露光工程(以下、フォトリソグラフィー工程と示す。)により、レジストマスクを形成した後、各種薄膜を選択的にエッチングすることにより製造されている。
【0003】
フォトリソグラフィー工程は、レジストを基板全面に塗布しプリベークを行った後、フォトマスクを介して紫外線等をレジストに照射して露光し、現像してレジストマスクを形成する。この後、該レジストマスクをマスクとして、半導体層や配線となるべき部分以外に存在する薄膜(半導体材料、絶縁体材料、又は導電体材料で形成される薄膜)をエッチング除去して、半導体層や配線を形成している(特許文献1)。
【特許文献1】特開平05−144812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフォトリソグラフィー工程を用いた配線、半導体層、絶縁層等の形成工程において、レジストの材料の大部分が無駄になると共に、配線、半導体層、絶縁層等を形成するための工程数が多く、スループットが低下する。
【0005】
また、フォトリソグラフィー工程を用いて半導体膜をエッチングして、所望の形状の半導体層を形成する場合、半導体膜表面にレジストを塗布する。このとき、半導体膜表面がレジストに直接さらされるため、レジストに含まれる酸素、炭素、重金属元素等の不純物により、半導体膜が汚染されるという問題がある。この汚染により、半導体膜中に不純物元素が混入してしまい、半導体素子の特性が低下する。特に、TFTにおいては、トランジスタ特性のバラツキ及び低下の原因となるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであり、少ない工程数で、コスト削減が可能な半導体装置の作製方法を提供する。また、レジストを用いずとも所望の形状の半導体層を有する半導体素子を有する半導体装置の作製方法を提供する。また、基板上に形成された配線の欠陥を修正する際の効率を上げ、歩留まり及び量産性を高めることが可能な半導体装置の作製方法を提供する。更には、スループットの向上が可能で、量産性の高い半導体装置の作製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、透光性を有する基板の一方の面に光吸収層を形成し、透光性を有する基板の他方の面側からマスクを介してレーザビームを光吸収層に照射する。当該照射により、レーザビームのエネルギーが光吸収層に吸収される。当該エネルギーによる光吸収層内における気体の放出や光吸収層の昇華等により光吸収層の一部を解離させ、透光性を有する基板から光吸収層の一部を剥離させ、対向する基板上に選択的に光吸収層の一部を転写し、基板上に層を形成することを特徴とする。
【0008】
なお、光吸収層に接するように別の層を設け、同様に、透光性を有する基板側からマスクを介してレーザビームを光吸収層に照射してもよい。この場合、当該照射により、レーザビームのエネルギーが光吸収層に吸収される。当該エネルギーによる光吸収層内における気体の放出や光吸収層の昇華等により光吸収層の一部及び光吸収層に接する層の一部を解離させ、透光性を有する基板から光吸収層の一部及び光吸収層に接する層の一部を剥離させて、対向する基板上に選択的に転写し、基板上に層を形成することを特徴とする。
【0009】
または、光吸収層に接するように別の層を設け、同様に、透光性を有する基板側からマスクを介してレーザビームを光吸収層に照射し、光吸収層に接する層の一部を解離させ、光吸収層から光吸収層に接する層の一部を剥離させて、対向する基板上に選択的に光吸収層に接する層の一部を転写し、基板上に層を形成することを特徴とする。
【0010】
光吸収層は、レーザビームを吸収する導電層、半導体層、または絶縁層である。また、光吸収層に接する層は、導電層、半導体層、または絶縁層のいずれか一つ以上である。
【0011】
マスクとしては、バイナリーマスク、位相シフトマスク等を用いる。また、バイナリーマスク及び位相シフトマスクを重ねたものを用いることができる。また、マイクロレンズを有し、前記マイクロレンズの周辺には遮光層を有するマスクを用いることができる。
【0012】
上記レーザビームの照射は、透光性を有する基板及び前記基板を真空雰囲気に設置し、真空雰囲気で行うことができる。また、上記基板を加熱しながらレーザビームを照射することができる。さらには、真空雰囲気で、上記基板を加熱しながらレーザビームを照射することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、透光性を有する基板上に光吸収層を形成し、当該光吸収層にレーザビームを照射すると、レーザビームの照射領域に対応する光吸収層を対向する基板に転写することが可能である。このため、公知のレジストを用いたフォトリソグラフィー工程を用いずとも、所定の場所に、所望の形状を有する層を形成することが可能である。
【0014】
また、本発明では、透光性を有する基板上に光を吸収する第1の層を形成し、当該第1の層に接する第2の層を形成し、当該光吸収層にレーザビームを照射すると、レーザビームの照射領域に対応する第2の層を対向する基板に転写することが可能である。このため、公知のレジストを用いたフォトリソグラフィー工程を用いずとも、所定の場所に、所望の形状を有する層を形成することが可能である。
【0015】
また、本発明では、透光性を有する基板上に光を吸収する第1の層を形成し、当該第1の層に接する第2の層を形成し、当該光吸収層にレーザビームを照射すると、レーザビームの照射領域に対応する光を吸収する第1の層及び第2の層を対向する基板に転写することが可能である。このため、公知のレジストを用いたフォトリソグラフィー工程を用いずとも、所定の場所に、所望の形状を有する層を形成することが可能である。
【0016】
また、線状レーザビーム、矩形状レーザビーム、面状レーザビーム等のビームスポットの面積の大きなレーザビームを光吸収層に照射することで、短時間で複数の領域にレーザビームを照射することが可能であるため、半導体装置を量産性高く作製することが可能である。
【0017】
また、光吸収層が半導体層の場合、レジスト塗布による半導体膜への不純物元素の混入を避けつつ、所望の形状の半導体層を基板上に形成することが可能であり、当該半導体層を用いて半導体素子を形成することが可能である。このため、特性ばらつきが少なく、且つ高集積化された半導体装置を、量産性高く作製することが可能である。
【0018】
また、レジストを用いたフォトリソグラフィー工程を経ずとも、所望の形状を有する層を形成することが可能であり、当該層を用いて半導体素子を形成することが可能である。このため、少ない工程数で、且つ原料の削減が可能である。この結果、コスト削減が可能である。
【0019】
さらには、上記の作製工程により形成された半導体装置を有する液晶テレビジョン並びにELテレビジョンを、低コストで作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施の様態を、図面を用いて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態では、フォトリソグラフィー工程を経ずとも、基板上に選択的に任意の形状の層を形成する工程について、以下に示す。図1乃至4は、基板上に選択的に任意の形状の層を形成する工程を示す断面図である。
【0022】
図1(A)に示すように、透光性を有する基板102の一方の面に光吸収層103を形成する。また、透光性を有する基板102の他方の面側にマスク101を設置する。また、光吸収層103に対向するように基板100を設置する。なお、透光性を有する基板102の一方の面と他方の面は対向する面である。
【0023】
透光性を有する基板102としては、後に照射するレーザビームを透光する基板を用いることができる。このため、後に形成するレーザビームの波長を吸収しない基板を適宜選択すればよい。透光性を有する基板102の代表例としては、石英基板、ガラス基板、樹脂基板等がある。
【0024】
光吸収層としては、後に照射されるレーザビームを吸収する材料を用いて形成する。レーザビームを吸収する材料としては、照射するレーザビームのエネルギーよりも小さなバンドギャップエネルギーを有する材料を用いて形成する。
【0025】
光吸収層としては、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、バリウム(Ba)から選ばれた元素を用いることができる。また、該元素を主成分とする合金材料、窒素化合物、酸素化合物、炭素化合物、若しくはハロゲン化合物の単層で形成することができる。また、これらの積層を用いることができる。また、光を吸収することが可能な粒子が分散された絶縁膜、代表的には微結晶シリコンが分散された酸化ケイ素膜を用いることができる。また、色素が絶縁物に溶解または分散された絶縁層を用いることができる。
【0026】
光吸収層としては、後に照射されるレーザビームを吸収し、且つレーザビームのエネルギーにより光吸収層内における気体の放出や光吸収層の昇華等により光吸収層の一部または光吸収層に接する層の一部を解離させることが可能な材料を用いて形成することで、さらに光吸収層の転写を容易とすることができる。
【0027】
レーザビームのエネルギーにより光吸収層内における気体を放出することが可能な光吸収層としては、水素及び希ガス元素の少なくとも一方が含まれる材料で形成される層がある。代表的には、水素を含む半導体層、希ガスまたは水素を含む導電層、希ガスまたは水素を含む絶縁層等がある。この場合、光吸収層内における気体の放出とともに、光吸収層の一部において解離が生じるため、容易に光吸収層を転写することができる。
【0028】
レーザビームのエネルギーにより昇華することが可能な光吸収層としては、100〜2000℃程度の昇華点が低い材料が好ましい。または、融点が1500〜3500℃であり、且つ熱伝導率が0.1〜100W/mKである材料を用いることができる。昇華することが可能な光吸収層としては、100〜2000℃程度の昇華点が低い材料の代表例としては、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、窒化珪素、硫化水銀、塩化アルミニウム等がある。融点が1000〜2000℃であり、且つ熱伝導率が5〜100W/mKである材料としては、ゲルマニウム(Ge)、酸化珪素、クロム(Cr)、チタン(Ti)等がある。
【0029】
光吸収層103の形成方法としては、塗布法、電解メッキ法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、又はCVD法(Chemical Vapor Deposition)を用いる。
【0030】
マスク101としては、選択的にレーザビーム104を透過することが可能なマスク、選択的にレーザビームの位相差を制御することが可能なマスク、選択的にレーザビーム104を集光することが可能なマスクを適宜用いることができる。
【0031】
基板100としては、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、セラミック基板等を適宜用いることができる。
【0032】
次に、マスク101側から、マスク101及び透光性を有する基板102を介して光吸収層103にレーザビーム104を照射する。
【0033】
レーザビーム104としては、光吸収層103に吸収されるエネルギーを有するものを適宜選択する。代表的には、紫外領域、可視領域、又は赤外領域のレーザビームを適宜選択して照射する。
【0034】
このようなレーザビームを発振することが可能なレーザ発振器としては、ArF、KrF、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF等の気体レーザ発振器、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とする固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。
【0035】
また、レーザビーム104は、連続発振のレーザビームやパルス発振のレーザビームを適宜適用することができる。パルス発振のレーザビームにおいては、通常、数十Hz〜数百Hzの周波数帯を用いるが、それよりも著しく高い10MHz以上の発振周波数、パルス幅がピコ秒台、或いはフェムト秒(10−15秒)台の周波数を有するパルス発振レーザを用いてもよい。
【0036】
レーザビーム104の断面形状は、円形、楕円形、矩形、または線状(厳密には細長い長方形状)を適宜用いればよい。また、このような断面形状となるように光学系で加工すると好ましい。
【0037】
レーザビーム104のエネルギー又はパワーは、光吸収層内における気体の放出や光吸収層の昇華等をさせる程度が好ましい。
【0038】
基板上の所望領域に層を転写するためには、基板、透光性を有する基板、及びマスクを固定して、レーザビームを2次元的に走査すればよい。また、レーザビームの照射位置及びマスクを固定して、透光性を有する基板及び基板を2次元的に移動して、基板に所望の形状の層を転写することもできる。
【0039】
レーザビーム104の照射は大気圧下、または減圧下で行うことができる。減圧下で行うと、光吸収層の転写が容易となる。さらには、基板100を加熱しながらレーザビームを光吸収層103に照射してもよい。この場合も光吸収層の転写が容易となる。
【0040】
この結果、光吸収層103において、レーザビーム104が吸収され、レーザビーム104のエネルギーにより光吸収層103の一部が解離し、図1(B)に示すように、基板100上に層105aを転写することができる。また、透光性を有する基板102上には、光吸収層の残存部105bが残存する。なお、基板100上に層105aを転写した後、層105aにレーザビームを照射してもよい。また、基板100上に層105aを転写した後、層105aを加熱してもよい。このような工程により、転写した層と基板の密着性を高めることができる。また、転写した層の密度を高めることができる。更には、転写した層105aが半導体層の場合、結晶性半導体層または非晶質半導体層中に0.5nm〜20nmの結晶粒を観察することができる微結晶半導体層を形成することができる。
【0041】
なお、ここでは、レーザビームを用いた転写は、レーザビームが照射された光吸収層が、レーザビームのエネルギー吸収領域で分離せず、吸収領域及び非吸収領域の界面でのみ解離して基板に転写される場合や、レーザビームのエネルギー吸収領域で分離して基板に転写される場合を含む。さらには、レーザビームが照射された光吸収層において、レーザビームのエネルギーを吸収し溶融蒸発して基板に転写される場合も含む。
【0042】
以上の工程により、フォトリソグラフィー工程を用いずとも、基板上に選択的に光吸収層の一部を用いて層を形成することができる。
【0043】
次に、光吸収層及び光吸収層に接する層を選択的に、基板上に転写する方法について、図2を用いて説明する。
【0044】
図2(A)に示すように、透光性を有する基板102の一方の面に光吸収層111及び光吸収層111に接する層112を形成する。また、透光性を有する基板102の他方の面側にマスク101を設置する。また、光吸収層111に接する層112に対向するように基板100を設置する。
【0045】
ここでは、光吸収層111としては、図1に示す光吸収層103と同様の材料を用いて形成することができる。
【0046】
光吸収層111に接する層112は、導電層、半導体層、絶縁層を適宜形成することができる。また、光吸収層111に接する層112は単層のみではなく、複数の層が積層された多層であってもよい。
【0047】
次に、マスク101側から、マスク101及び透光性を有する基板102を介して光吸収層111にレーザビーム104を照射する。
【0048】
この結果、光吸収層111において、レーザビーム104が吸収され、レーザビーム104のエネルギーにより光吸収層111の一部が解離する。このとき、光吸収層111に接する層112にも当該エネルギーが伝達し、図2(B)に示すように、基板100上に層113aを転写することができる。また、透光性を有する基板102上には、光吸収層111及び光吸収層111に接する層112の残存部113bが残存する。
【0049】
なお、図2においては、光吸収層111及び光吸収層に接する層112が基板100に転写されたがそれに限定されるものではない。
【0050】
図3に示すように、光吸収層に接する層の一部115aのみが基板100上に転写され、透光性を有する基板102上には光吸収層111が残存してもよい。
【0051】
なお、図1乃至3においては、透光性を有する基板とマスクとを別にして示したがこれに限定されるものではなく、透光性を有する基板にマスクを形成してもよい。即ち、透光性を有する基板の一方の面には、光吸収層を形成し、透光性を有する基板の他方の面にマスクを形成してもよい。マスクの代表例としては、遮光層、反射層、マイクロレンズ、位相シフトマスク等がある。
【0052】
以上の工程により、フォトリソグラフィー工程を用いずとも、基板上に選択的に光吸収層に接する層の一部を用いて層を形成することができる。この結果、光を吸収しない層でも光吸収層に接するように設けることにより、選択的に基板上に転写することができる。
【0053】
ここで、上記レーザビームを用いた転写方法において、光吸収層が形成された透光性を有する基板、及び光吸収層に対向する基板の位置関係について、図4を用いて説明する。なお、図4は、光吸収層に対向する基板、及びマスクの位置関係を示す断面図である。また、ここでは、図1に示す構造を代表形態として用いるが、図2または3に示す構造に適宜用いることができる。
【0054】
図4(A)に示すように、基板100の表面と、光吸収層が形成される透光性を有する基板102は、光吸収層103を間にして配置される、いわゆるコンタクト方式を用いることができる。このときの、基板100及び光吸収層103が接してもよい。この場合、光吸収層にレーザビームを照射したとき、光吸収層の一部を転写する距離が短いため、光吸収層の一部を基板上に容易に転写することができるため、スループットを向上させることができる。
【0055】
また、図4(B)に示すように、基板100及び透光性を有する基板102は、枠等の保持部材116を挟むように配置され、基板100及び透光性を有する基板102の間に一定間隔を保つ、いわゆるプロキシミティ方式を用いることができる。この場合も、基板100の表面と、光吸収層103が形成される透光性を有する基板102は、光吸収層103を間にして配置される。この場合、光吸収層103の表面にダメージを与えること無しに、基板と透光性を有する基板を設置することができるため、歩留まりが向上する。
【0056】
また、図4(C)に示すように、光吸収層103及び基板100の間にスペーサ117を設け、基板100及び透光性を有する基板102は、スペーサ117を挟むように配置されてもよい。なお、スペーサは、図2及び図3に示すような工程の場合、光吸収層103に接する層と基板100とでスペーサ117を挟む。スペーサ117としては、球状スペーサ、柱状スペーサを適宜用いることができる。
【0057】
このときスペーサ117の高さHは、光吸収層103にレーザビームを照射することにより基板上に転写される層118の厚さdの2.5〜20倍であることが好ましい。この範囲よりスペーサの高さHが高いと、転写される層118の均一性を保つことが困難となる。
【0058】
図4(C)に示すように、基板100上に複数のスペーサ117を設けることにより、大面積基板を用いた場合でも、透光性を有する基板102と基板100の間隔を一定に保つことができる。
【0059】
なお、図4において、透光性を有する基板102を間にして基板100及びマスク101が設置される。
【0060】
さらには、ミラープロジェクション方式やステッパー方式を用いることができる。この場合、光源とミラーやレンズのような光学系との間にマスクを設け、ミラーやレンズのような光学系と基板の間において、基板に対向するように透光性を有する基板を設ければよい。ミラープロジェクション方式やステッパー方式を用いることにより、層の形状及び位置を精度高く転写することができる。
【0061】
次に、図1乃至4で用いることが可能なマスクについて以下に示す。以下、図1乃至4で用いることが可能なマスクについて図1に示す構造を代表形態として用いるが、図2または3に示す構造を適宜用いることができる。
【0062】
図1乃至4で用いることが可能なマスクとして、図5(A)に示すようなバイナリーマスク121aを用いることができる。バイナリーマスク121aは、石英等の透光性を有する基板122上に、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光層123が選択的に形成されている。遮光層123が形成されない領域において、光を透過することができる。
【0063】
また、光吸収層に照射されるレーザビームのエネルギーが高いとき、図5(B)に示すバイナリーマスク121bのように、透光性を有する基板122及び遮光層123の間に反射層124を形成することが好ましい。反射層124を設けることにより、遮光層におけるレーザビームの吸収量を低減することができる。このため、レーザビーム104の光吸収によるエネルギーの熱転化及び当該熱よる遮光層のパターンが変形することを回避することができる。
【0064】
反射層124としては、誘電体ミラーや反射性を有する層を用いることができる。誘電体ミラーとは、屈折率の異なる2種類の透明な絶縁層を交互に積層したものである。このとき2種類の透明な絶縁層の屈折率が大きいほど、また層数が多いほど反射効率は高くなる。なお、誘電体ミラーは照射されるレーザビームの波長により適宜積層する材料を選択する。例えば可視光を反射する誘電体ミラーの積層構造としては、二酸化チタン及び二酸化珪素の積層構造、硫化亜鉛及びフッ化マグネシウムの積層構造、アモルファスシリコン及び窒化珪素の積層構造などがある。
【0065】
また、反射性を有する層として、アルミニウム、金、銀、ニッケル等で形成される層を用いてもよい。さらには、誘電体ミラー及び反射性を有する層を積層させてもよい。
【0066】
また、図1乃至4で用いることが可能なマスクとして、位相シフトマスクを用いることができる。位相シフトマスクを用いることにより、微細な形状をもつ層、代表的には幅が小さい層、または幅及び長さが小さい層を形成することができる。
【0067】
はじめに、位相シフトマスクとしてレベンソン型位相シフトマスクについて説明する。図6(A)に示す位相シフトマスク131は、複数の細かい凹凸が規則的に基板表面に形成されたものである。当該凹凸により、位相シフトマスクを透過するレーザビームの位相を変調し、部分的に消滅干渉を生じさせて、レーザビームの強度の周期を変調することが可能である。ここでは、隣接する凹凸の間で位相差が180°となるような凹凸を設ける。この結果、図6(B)に示すように、位相132に180°の差がでる。これらの光を干渉させると、図6(C)に示すような、レーザビームの強度分布133を有する。
【0068】
図6(C)に示すようなレーザビームを、図6(A)に示すように光吸収層103に照射することで、光吸収層にレーザビームが吸収される領域と吸収されない領域の差を十分に確保することができる。
【0069】
この結果、図6(D)に示すように、微細な幅の層134aを基板100に転写することができる。なお、図6(D)において、光吸収層の残存部134bが透光性を有する基板102上に残存する。
【0070】
ここで、位相シフトマスクの凹凸とレーザビームのビームスポットの位置について図7を用いて説明する。図7は、位相シフトマスクの上面図である。
【0071】
図7(A)に示すように、位相シフトマスクの凸部131a及び凹部131bの界面とビームスポットの幅方向が平行となるように、ビームスポットを配置し、レーザビームを走査することができる。また、このときのレーザビームの走査方向は凸部131a及び凹部131bの界面と平行である。なお、レーザビーム及び位相シフトマスクの位置を固定し、透光性を有する基板及び基板を、凸部131a及び凹部131bの界面と平行な方向に移動して、基板に層を転写してもよい。
【0072】
また、図7(B)に示すように、位相シフトマスクの凸部131a及び凹部131bの界面とビームスポットの長さ方向が平行となるように、ビームスポットを配置し、レーザビームを走査することができる。また、このときのレーザビームの走査方向は凸部131a及び凹部131bの界面と垂直である。なお、レーザビーム及び位相シフトマスクの位置を固定し、透光性を有する基板及び基板を、凸部131a及び凹部131bの界面と垂直な方向に移動して、基板に層を転写してもよい。
【0073】
さらには、図7(C)に示すように、位相シフトマスクの凹凸を格子状としてもよい。即ち、凸部136aが対角線上に並び、その間を埋めるように凹部136bが配置されていても良い。このような場合、図6(C)に示すようなレーザビームの強度が2次元的に形成される。
【0074】
次に、位相シフトマスク及びバイナリーマスクを用い、選択的に基板上に層を転写する形態について、図8を用いて説明する。
【0075】
図8(A)は、ゲート配線及びゲート電極を形成するためのマスクの一形態の上面図である。ゲート配線及びゲート電極を形成する領域に開口部を有する遮光層143が設けられたバイナリーマスク121と、ゲート電極の形成領域に位相シフトマスク141とが重ねられる。図8(A)のA−Bの断面図を図8(B)に示す。
【0076】
図8(B)に示すように、ゲート電極を形成する領域においては位相シフトマスク141において凹部及び凸部が形成される。また、ゲート配線及びゲート電極を形成しない領域には、レーザビームは照射しないためバイナリーマスク121に遮光層143が形成される。なお、バイナリーマスク121としては、図5で示したバイナリーマスク121a、121bを適宜用いることができる。また、遮光層143は、図5(B)に示す遮光層123または反射層124と同様の材料で形成することができる。
【0077】
位相シフトマスク141を通過するレーザビームは、図8(C)に示すように、位相144に180°の差がでる。これらの光を干渉させると、図8(D)に示すように、レーザビームの強度145を有する。即ち、図8(D)に示すようなレーザビームを光吸収層103に照射することで、ゲート電極が形成される領域において、光吸収層にレーザビームが吸収される領域と吸収されない領域の差を十分に確保することができる。また、配線領域においては、レーザビームを照射することができる。
【0078】
この結果、幅の太いゲート配線及び、幅の狭いゲート電極146を同時に形成することができる。即ち、バイナリーマスク及び位相シフトマスクを重ねてレーザビームを照射することにより、所望の領域に所定の幅の層を選択的に形成することができる。
【0079】
ここでは、バイナリーマスク121及び位相シフトマスク141を重ねて光吸収層にレーザビームを照射したが、これの代わりに、位相シフトマスク141に遮光層143を設けてもよい。このようにすると、バイナリーマスク121及び位相シフトマスク141のアライメント精度を高めることが可能であり、歩留まりを向上させることができる。
【0080】
また、位相シフトマスクとして、凹部または凸部の上面形状が円形である位相シフトマスクを用いることができる。
【0081】
図9(A)は、凹部または凸部の上面形状が円形である位相シフトマスクの上面図である。ここでは、基板に上面形状が円形の凹部152を形成した例を示す。また、レーザビームを照射する必要のない領域においては、遮光層153を設けている。図9(A)のA−Bの断面を図9(B)及び(C)に示す。
【0082】
図9(B)に示すように、位相シフトマスク150及び透光性を有する基板102を介して光吸収層103にレーザビーム104を照射する。レーザビーム104の一部は遮光層153で遮光される。また、凹部152及び凸部において光の位相が180°ずれるため、光の強度差を十分確保することができる。なお、遮光層153は、図5(B)に示す遮光層123または反射層124と同様の材料で形成することができる。
【0083】
この結果、図9(C)に示すように、上面形状が円形の層154aを基板100に転写することができる。なお、図9(C)において、光吸収層103の残存部154bが透光性を有する基板102上に残存する。
【0084】
なお、図6乃至9においては、透光性を有する基板の表面に凹凸を形成してレーザビームの位相差を形成する形態を示したが、これの代わりに、遮光層及び位相シフタ材を用いてレーザビームの位相差を形成する位相シフトマスクを用いることができる。
【0085】
次に、位相シフトマスクとしてハーフトーン型位相シフトマスクについて説明する。
【0086】
ハーフトーン型位相シフトマスク160は、図10(A)に示すように、石英等の透光性を有する基板122上に、遮光層の代わりに半透過性の位相シフタ材162が選択的に形成されている。このときのレーザビームの振幅分布163は、図10(B)に示すように、位相シフタ材162を通過した光と、位相シフタ材162がない領域を通過した光とで振幅分布が反転する。
【0087】
この結果、図10(C)で示すように、位相シフタ材162の界面では、レーザビームの強度分布164が急峻に増加する。
【0088】
図10(C)に示すような強度分布を有するレーザビームを光吸収層103に照射することで、光吸収層にレーザビームが吸収される領域と吸収されない領域の差を十分に確保することができる。
【0089】
この結果、図10(D)に示すように、微細な幅の層165aを基板100に転写することができる。なお、図10(D)において、光吸収層の残存部165bが透光性を有する基板102上に残存する。
【0090】
また、図1乃至4で用いることが可能なマスクとして、マイクロレンズまたはマイクロレンズアレイ等の少なくとも頂部周辺に曲率を有し、好ましく全体が凸レンズまたは凹レンズのように半球状であるマイクロレンズを有するマスクを用いることができる。なお、マイクロレンズはレーザビームが照射される側に凸または凹であると、レーザビームを光吸収層で集光することができる。図11においては、マイクロレンズアレイを有するマスクを用いて説明する。
【0091】
マスク171の表面には、マイクロレンズアレイが形成される。また、レーザビームを照射する必要のない領域においては、遮光層173を設けている。なお、遮光層173は、図5(B)に示す反射層124と同様の材料で形成することができる。
【0092】
図11(A)に示すように、マスク171及び透光性を有する基板102を介して光吸収層103にレーザビーム104を照射する。レーザビーム104の一部は遮光層173で遮光される。また、マイクロレンズアレイの各レンズおいて光が集光される。このため、集光されたレーザビーム104が選択的に光吸収層103に照射される。
【0093】
この結果、図11(B)に示すように、微細な形状の層174aを基板100に転写することができる。なお、図11(C)において、光吸収層103の残存部174bが透光性を有する基板102上に残存する。
【0094】
なお、マイクロレンズアレイの代わりに、透光性を有する基板上に選択的に透明な組成物を吐出し焼成してマイクロレンズを形成してもよい。このようなマイクロレンズは、ポリイミド、アクリル、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロイド、酢酸繊維素プラスチック、ポリエチレン、メチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ユリア樹脂で形成することができる。また、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、シリケート系SOG(Spin on Glass)、ポリシラザン系SOGや、アルコキシシリケート系SOG、ポリメチルシロキサン等に代表されるSi−CH結合を有するSiOで形成することができる。
【0095】
本実施の形態で示すようなレーザビームを用いた転写方法により、基板上に導電層、半導体層、絶縁層を選択的に形成することができる。また、配線の欠陥を補修するリペア工程にも用いることができる。特にマスクとして位相シフトマスクやマイクロレンズを有するマスクを用いることで、配線間の幅が狭い領域における配線の欠陥の補修が可能である。この結果、半導体装置の歩留まりを向上させ、量産性を高めることが可能である。
【0096】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1を用いた半導体素子の作製方法について、図12を用いて説明する。
【0097】
ここでは、半導体素子として、逆スタガ型の薄膜トランジスタ188を用いて説明する。なお、逆スタガ型薄膜トランジスタに限らず、順スタガ型薄膜トランジスタ、コプレナー型薄膜トランジスタ、ダイオード、MOSトランジスタ等の半導体素子を作製することでもできる。
【0098】
図12(A)に示すように、透光性を有する基板102の一方の面上に光吸収層181を形成する。ここでは、光吸収層181として、透光性を有する基板102上にスパッタリング法により厚さ10〜1000nm以上のタングステン層を形成する。また、光吸収層181に対向するように基板100を設置する。また、透光性を有する基板の他方の面側にマスク101を設置する。なお、透光性を有する基板102の一方の面と他方の面は対向する面である。
【0099】
次に、マスク101及び透光性を有する基板102を介してレーザビーム104を照射する。この結果、図12(B)に示すように、レーザビームが照射された光吸収層を基板100上に転写する。ここで、転写された光吸収層を層182と示す。層182はゲート電極として機能する。
【0100】
なお、ゲート電極として機能する層182を、調整された組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状の層を形成する液滴吐出法を用いて形成してもよい。また、印刷法を用いて形成してもよい。また、CVD法、PVD法、塗布法等により基板上に導電層を形成した後、フォトリソグラフィー工程により選択的に導電層をエッチングして、層182を形成してもよい。
【0101】
次に、図12(C)に示すように、基板100及び層182上にゲート絶縁層180を形成する。ここでは、プラズマCVD法により、50〜200nmの窒化珪素層を形成する。
【0102】
次に、透光性を有する基板179上に光吸収層183、絶縁層184、及び半導体層185を形成する。ここでは、光吸収層183として、10〜50nmの酸化亜鉛層を形成し、絶縁層184として10〜50nmの酸化窒化珪素層、半導体層185として厚さ50〜150nmの非晶質珪素層をそれぞれプラズマCVD法により形成する。
【0103】
次に、基板100上のゲート絶縁層180及び透光性を有する基板179上の半導体層185が対向するように設置し、透光性を有する基板179上にマスク101を設置した後、マスク101及び透光性を有する基板179を介して光吸収層183にレーザビーム104を照射する。
【0104】
なお、このとき、減圧下においてレーザビーム104を光吸収層183に照射してもよい。また、基板100を加熱しながら光吸収層183にレーザビーム104を照射してもよい。
【0105】
この結果、図12(D)に示すように、基板100のゲート絶縁層180上に半導体層185a、絶縁層184a、及び光吸収層183aが転写される。この後、半導体層185a上の光吸収層183a及び絶縁層184aを除去する。なお、ここでは、絶縁層184aは光吸収層183aが、半導体層185aに混入するのを防ぐブロッキング層として機能する。また、光吸収層183aをエッチングするときのエッチングストッパ層として機能する。このため、光吸収層183に接するように絶縁層184を設けることで、転写による半導体層185aを作製する際に、不純物が半導体層に混入するのを防止することが可能であるとともに、半導体層185aの膜厚の均一性を高めることができる。
【0106】
また、絶縁層184a及び光吸収層183aを除去した後、半導体層185aにレーザビームを照射してもよい。また、半導体層185aを加熱してもよい。この結果、結晶性半導体層または微結晶半導体層を形成することができる。
【0107】
なお、半導体層185aを、調整された組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状の層を形成する液滴吐出法を用いて形成してもよい。また、印刷法を用いて形成してもよい。また、CVD法、PVD法、塗布法等により基板上に半導体層を形成した後、フォトリソグラフィー工程により選択的に導電層をエッチングして、半導体層185aを形成してもよい。
【0108】
次に、図12(E)に示すように、半導体層185a上にコンタクト層186を形成する。ここでは、層182と同様の形成方法により、コンタクト層186として、リンがドープされた非晶質珪素層を形成する。また、コンタクト層186を、調整された組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状の層を形成する液滴吐出法を用いて形成してもよい。また、印刷法を用いて形成してもよい。また、CVD法、PVD法、塗布法等により基板上に形成した後、フォトリソグラフィー工程により選択的にエッチングして、コンタクト層186を形成してもよい。
【0109】
次に、図12(F)に示すように、コンタクト層186上に配線187を形成する。配線187の形成方法としては、層182と同様に形成することができる。また、液滴吐出法により導電性ペーストを滴下し焼成して配線187を形成してもよい。ここでは、層182と同様の手法により、アルミニウム層を形成する。また、配線187を、調整された組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状の層を形成する液滴吐出法を用いて形成してもよい。また、印刷法を用いて形成してもよい。また、CVD法、PVD法、塗布法等により基板上に導電層を形成した後、フォトリソグラフィー工程により当該導電層を選択的にエッチングして、配線187を形成してもよい。
【0110】
さらには、図12(E)及び(F)のようにコンタクト層186及び配線187を別の工程で形成せず、層182と同様に、コンタクト層186及び配線187を同時に転写してもよい。
【0111】
なお、調整された組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状の層を形成する方法を、液滴吐出法という。
【0112】
以上の工程によりレーザビームを用いた転写方法により半導体素子を作製することができる。
【0113】
(実施の形態3)
本実施の形態では、信頼性も高く、より簡略化した工程で低コストに作製することを目的としたコンタクトホールの形成方法について、図13及び図14を用いて説明する。
【0114】
絶縁層を介して導電層同士を電気的に接続する場合、絶縁層に開口(いわゆるコンタクトホール)を形成する。この場合、絶縁層上にマスク層を形成せず、レーザビームの照射によって選択的に開口を形成する。第1の導電層を形成し、該第1の導電層上に絶縁層を積層形成し、第1の導電層及び絶縁層の積層において開口を形成する領域に選択的に、絶縁層側からレーザビームを照射する。第1の導電層をレーザビームを吸収する導電材料で形成することにより、レーザビームは絶縁層を透過するが、第1の導電層に吸収される。第1の導電層は吸収したレーザビームのエネルギーによって加熱され蒸発し、上に積層していた絶縁層を破壊する。よって、第1の導電層及び絶縁層に開口が形成され、絶縁層下の導電層の一部が開口の側壁及び底面(または側壁のみ)に露出する。露出した第1の導電層と接するように開口に第2の導電層を形成することによって、第1の導電層及び第2の導電層は絶縁層を介して電気的に接続することができる。つまり、本発明においては、導電層上に形成された絶縁層への開口形成を、導電層にレーザビームを照射して、レーザアブレーションによって導電層のレーザ照射領域を蒸発させて、絶縁層に開口を形成する。
【0115】
図13を用いて具体的に説明する。本実施の形態では、図13(A)に示すように、基板720上に、導電層721a、レーザビームを吸収する導電層721b、絶縁層722を形成する。
【0116】
導電層721a、及びレーザビームを吸収する導電層721bは積層構造となっており、本実施の形態は、レーザビームを吸収する導電層721bに比較的蒸発し易い低融点金属(本実施の形態ではクロム)を用い、導電層721aにはレーザビームを吸収する導電層721bよりも高融点金属(本実施の形態ではタングステン)を用いる。
【0117】
図13(B)に示すように、絶縁層722側よりレーザビームを吸収する導電層721bにレーザビーム723を選択的に照射する。レーザビームが照射された領域では、レーザビームのエネルギーにより導電層721bの照射領域が蒸発する。この結果、レーザビームを吸収する導電層721bの照射領域上の絶縁層722は除去され、開口725を形成することができる。また、レーザビームを吸収する導電層721bは導電層728a、728bに分離され、絶縁層722は絶縁層727aと727bとに分離される(図13(C)参照。)。開口725に導電層726を形成し、導電層721a、導電層728a、728bと、導電層726とを電気的に接続することができる(図13(D)参照。)。
【0118】
さらには、図13(C)に示すように、開口725を形成した後、導電層721aの表面に酸化物層が形成される場合、当該酸化物層を除去することが好ましい。酸化物層の除去方法としては、ウエットエッチング、ドライエッチング等を適宜用いることができる。なお、導電層721aがタングステン層の場合、フッ酸等の溶液を用いたウエットエッチングを行うと、導電層721aがもろくなるため、ドライエッチングで酸化物層を除去することが好ましい。
【0119】
レーザビーム723のビームスポット形状は、点、面、線、矩形等適宜選択することができる。上記形状のレーザビームを一点に照射して開口725を形成してもよい。また、上記形状のレーザビームを1次元的または2次元的に走査して、選択的に開口725を形成してもよい。レーザビーム723は、実施の形態1で示すレーザ発振器から射出されるレーザビームを適宜用いることができる。
【0120】
導電層721a、721bは蒸着法、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などを用いて形成することができる。また、構成物が所望のパターンに転写、または描写できる方法、例えば各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ディスペンサ法、選択的な塗布法なども用いることができる。導電層721a、721bとしてクロム、モリブデン、ニッケル、チタン、コバルト、銅、又はアルミニウムのうち一種又は複数を用いて形成することができる。
【0121】
図13においては、レーザビーム723の照射によってレーザビームを吸収する導電層721bが蒸発し、絶縁層722に開口725を形成しており、積層される導電層721aは残存する例を示した。絶縁層の下に形成された導電層に達する開口を形成する他の例を図14(A)乃至(D)に示す。
【0122】
図14(A)は、絶縁層の下に積層された導電層のうち上層の導電層をレーザビームを吸収する導電層とし、当該レーザビームを吸収する導電層の上方部のみがレーザビームによりレーザアブレーションされた例である。基板730上に導電層731、レーザビームを吸収する導電層732、絶縁層733が設けられ、導電層732、絶縁層733に形成された開口750に導電層734が設けられている。開口750においてレーザビームを吸収する導電層732が露出され、導電層734に接して電気的に接続している。
【0123】
絶縁層の下に形成される導電層は融点が異なる複数種の導電層を積層してもよいし、もちろん単層でもよい。絶縁層の下に形成されるレーザビームを吸収する導電層が単層の例を図14(B)(C)に示す。図14(B)は、レーザビームを吸収する導電層の上方部のみがレーザビームによりレーザアブレーションされた例であり、図14(C)はレーザビームを吸収する導電層において基板740が露出するまでレーザアブレーションによって除去された例である。
【0124】
図14(B)において、基板735上にレーザビームを吸収する導電層736、絶縁層738が設けられ、レーザビームを吸収する導電層736、絶縁層738に形成された開口751に導電層739が設けられている。開口751において導電層736が露出され、導電層739に接して電気的に接続している。図14(B)のように導電層の膜厚方向において上方のみを部分的に除去する場合、レーザビームの照射条件(エネルギー、照射時間など)を制御するか、導電層736を厚く形成すればよい。
【0125】
図14(C)において、基板740上にレーザビームを吸収する導電層741、絶縁層743が設けられ、レーザビームを吸収する導電層741の一部及び絶縁層743に形成された開口752に導電層744が設けられている。開口752においてレーザビームを吸収する導電層741が露出され、導電層744に接して電気的に接続している。図14(B)のように、開口底面において下部導電層と上部導電層とが必ずしも接しなくてもよく、開口の側面に露出した下部導電層に接するように上部導電層を形成し、電気的に接続する構成でもよい。
【0126】
また、コンタクトホールとして機能する開口の形状も側面が底面に対して垂直でなくてもよく、図14(D)のように開口の側面がテーパーを有する形状でもよい。図14(D)において、基板745上に導電層746、レーザビームを吸収する導電層747、絶縁層748が形成され、絶縁層748及び導電層747に開口753が形成されている。開口753はすり鉢状であり、開口753側面は底面に対してテーパーを有する形状となっている。
【0127】
このように、絶縁層に設けられた開口において絶縁層下の下部導電層と絶縁層上の上部導電層とを電気的に接続させる。本実施の形態では、第1の導電層上にレーザビームを吸収する第2の導電層を形成し、レーザビームによって第2の導電層を蒸発させることによって第1の導電層及び第2の導電層上に形成された絶縁層に開口を形成する。レーザビームの照射条件(エネルギー強度、照射時間など)及び絶縁層、導電層の材料の性質(熱伝導率、融点、沸点など)によって絶縁層及び導電層に形成される開口の大きさや形状は制御することができる。
【実施例1】
【0128】
本実施例では、薄膜トランジスタに接続される導電層を有する半導体装置の作製方法について、図15を用いて説明する。ここでは、半導体装置として液晶表示パネルを形成する。また、図15においては、液晶表示パネルの一画素の断面図を示して、以下説明する。
【0129】
図15(A)に示すように、基板100上に実施の形態2で示す薄膜トランジスタ188、及び薄膜トランジスタ188を覆う絶縁層190を形成する。ここでは塗布法により組成物を塗布し焼成してポリイミドで形成される絶縁層190を形成する。
【0130】
次に、実施の形態3で示す手法により絶縁層190の一部を除去して開口部を設け、開口部を有する絶縁層191を形成する。この後、配線187の表面に形成される酸化物を除去してもよい。
【0131】
次に、図15(B)に示すように、開口部及び絶縁層191の表面に配線187に接続する導電層192を形成する。なお、導電層192は画素電極として機能する。ここでは、実施の形態1で示す手法により酸化亜鉛を用いて導電層192を形成する。画素電極として透光性を有する導電層192を形成することで後に透過型液晶表示パネルを作製することができる。また、導電層192として、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の反射性を有する導電層を形成することで、後に反射型液晶表示パネルを作製することができる。さらには、上記透光性を有する導電層及び反射性を有する導電層を一画素ごとに形成することで、半透過型液晶表示パネルを作製することができる。
【0132】
なお、図15(B)に示すように、配線187の表面において配線187及び導電層192が接するように開口部を形成することができる。
【0133】
また、図15(C)に示すように、コンタクト層186の表面で配線187及び導電層192が接するように開口部を形成することができる。
【0134】
以上の工程により、アクティブマトリクス基板を形成することができる。
【0135】
次に、印刷法やスピンコート法により、絶縁膜を成膜し、ラビングを行って配向膜193を形成する。なお、配向膜193は、斜方蒸着法により形成することもできる。
【0136】
次に、配向膜264、第2の画素電極(対向電極)263、及び着色層262が設けられた対向基板261において、画素部の周辺の領域に液滴吐出法により閉ループ状のシール材(図示しない。)を形成する。シール材には、フィラーが混入されていてもよく、さらに、対向基板261にはカラーフィルタや遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。
【0137】
次に、ディスペンサ式(滴下式)により、シール材で形成された閉ループ内側に、液晶材料を滴下したのち、真空中で、対向基板とアクティブマトリクス基板とを貼り合わせ、紫外線硬化を行って、液晶材料が充填された液晶層265を形成する。なお、液晶層265を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)の代わりに、対向基板を貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶材料を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いることができる。
【0138】
この後、走査線、信号線の接続端子部に、接続導電層を介して配線基板、代表的にはFPC(Flexible Print Circuit)を貼り付ける。以上の工程により、液晶表示パネルを形成することができる。
【0139】
なお、本実施例ではTN型の液晶表示パネルについて示しているが、上記のプロセスは他の方式の液晶表示パネルに対しても同様に適用することができる。例えば、ガラス基板と平行に電界を印加して液晶を配向させる横電界方式の液晶表示パネルに本実施例を適用することができる。また、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示パネルに本実施例を適用することができる。
【0140】
図16と図17は、VA型液晶表示パネルの画素構造を示している。図16は平面図であり、図中に示す切断線I−Jに対応する断面構造を図17に表している。以下の説明ではこの両図を参照して説明する。
【0141】
この画素構造は、一つの画素に複数の画素電極が有り、それぞれの画素電極にTFTが接続されている。各TFTは、異なるゲート信号で駆動されるように構成されている。すなわち、マルチドメインが設計された画素において、個々の画素電極に印加する信号を、独立して制御する構成を有している。
【0142】
画素電極1624は開口(コンタクトホール)1623により、配線1618でTFT1628と接続している。また、画素電極1626は開口(コンタクトホール)1627により、配線1619でTFT1629と接続している。TFT1628のゲート配線1602と、TFT1629のゲート電極1603には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線として機能する配線1616は、TFT1628とTFT1629で共通に用いられている。
【0143】
画素電極1624と画素電極1626は、上記実施の形態と同様に作製することができる。
【0144】
画素電極1624と画素電極1626の形状は異なっており、スリット1625によって分離されている。V字型に広がる画素電極1624の外側を囲むように画素電極1626が形成されている。画素電極1624と画素電極1626に印加する電圧のタイミングを、TFT1628及びTFT1629により異ならせることで、液晶の配向を制御している。対向基板1601には、遮光膜1632、着色層1636、対向電極層1640が形成されている。また、着色層1636と対向電極層1640の間には平坦化膜1637が形成され、液晶の配向乱れを防いでいる。図18に対向基板側の構造を示す。対向電極層1640は異なる画素間で共通化されている電極であるが、スリット1641が形成されている。このスリット1641と、画素電極1624及び画素電極1626側のスリット1625とを交互に咬み合うように配置することで、斜め電界が効果的に発生させて液晶の配向を制御することができる。これにより、液晶が配向する方向を場所によって異ならせることができ、視野角を広げている。
【0145】
本実施例は、上記の実施の形態と適宜自由に組み合わせることができる。
【0146】
なお、静電破壊防止のための保護回路、代表的にはダイオードなどを、接続端子とソース配線(ゲート配線)の間または画素部に設けてもよい。この場合、上記したTFTと同様の工程で作製し、画素部のゲート配線とダイオードのドレイン又はソース配線とを接続することにより、静電破壊を防止することができる。
【0147】
本発明により、液晶表示パネルを構成する配線等の構成物を、所望の形状で形成できる。また複雑なフォトリソグラフィー工程を軽減し、簡略化された工程で液晶表示パネルを作製することができるので、材料のロスが少なく、コストダウンも達成できる。よって高性能、高信頼性の液晶表示パネルを歩留まりよく作製することができる。
【実施例2】
【0148】
本実施例では、半導体装置として発光表示パネルの作製方法について説明する。図19においては、発光表示パネルの一画素を示して、以下説明する。
【0149】
実施例1と同様に、図19(A)に示すように、基板100上に実施の形態2で示す薄膜トランジスタ188、及び薄膜トランジスタ188を覆い、且つ開口部を有する絶縁層191を形成する。
【0150】
次に、図19(B)に示すように、実施例1と同様に配線187に接続する第1の導電層201を形成する。なお、第1の導電層201は画素電極として機能する。
【0151】
次に、図19(C)に示すように、画素電極として機能する第1の導電層201の端部を覆う絶縁層202を形成する。このような絶縁層としては、絶縁層191及び第1の導電層201上に図示しない絶縁層を形成し、当該絶縁層に実施の形態3で示す手法を用いて導電層201上の絶縁層を選択的に除去することで形成することができる。
【0152】
次に、図19(D)に示すように、第1の導電層201の露出部及び絶縁層202の一部に発光材料を含む層203を形成し、その上に画素電極として機能する第2の導電層204を形成する。以上の工程により第1の導電層201、発光材料を含む層203、及び第2の導電層204で構成される発光素子205を形成することができる。
【0153】
ここで、発光素子205の構造について説明する。
【0154】
発光材料を含む層203に、有機化合物を用いた発光機能を担う層(以下、発光層343と示す。)を形成することで、発光素子205は有機EL素子として機能する。
【0155】
発光性の有機化合物としては、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、クマリン30、クマリン6、クマリン545、クマリン545T、ペリレン、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラセン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)等が挙げられる。また、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C’](ピコリナト)イリジウム(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C}(ピコリナト)イリジウム(略称:Ir(CFppy)(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C’)イリジウム(略称:Ir(ppy))、(アセチルアセトナト)ビス(2−フェニルピリジナト−N,C’)イリジウム(略称:Ir(ppy)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C’]イリジウム(略称:Ir(thp)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2−フェニルキノリナト−N,C)イリジウム(略称:Ir(pq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C’]イリジウム(略称:Ir(btp)(acac))などの燐光を放出できる化合物用いることもできる。
【0156】
また、図21(A)に示すように、第1の導電層201上に正孔注入材料で形成される正孔注入層341、正孔輸送性材料で形成される正孔輸送層342、発光性の有機化合物で形成される発光層343、電子輸送性材料で形成される電子輸送層344、電子注入性材料で形成される電子注入層345により形成された発光材料を含む層203、及び第2の導電層204で発光素子205を形成してもよい。
【0157】
正孔輸送性材料は、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)の他、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス{N−[4−ジ(m−トリル)アミノ]フェニル−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、4,4’−ビス[N−(4−ビフェニリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BBPB)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。また、上述した化合物の中でも、TDATA、MTDATA、m−MTDAB、TPD、NPB、DNTPD、BBPB、TCTA、NPBなどに代表される芳香族アミン化合物は、正孔を発生しやすく、有機化合物として好適な化合物群である。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。
【0158】
正孔注入性材料は、上記正孔輸送性材料の他、導電性高分子化合物に化学ドーピングを施した材料もあり、ポリスチレンスルホン酸(略称:PSS)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(略称:PEDOT)やポリアニリン(略称:PAni)などを用いることもできる。また、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどの無機半導体の薄膜や、酸化アルミニウムなどの無機絶縁体の超薄膜も有効である。
【0159】
ここで、電子輸送性材料は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料を用いることができる。また、この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。
【0160】
電子注入材料としては、上述した電子輸送性材料の他に、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、フッ化カルシウムのようなアルカリ土類ハロゲン化物、酸化リチウムなどのアルカリ金属酸化物のような絶縁体の超薄膜がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略称:Li(acac)や8−キノリノラト−リチウム(略称:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。さらに、上述した電子輸送性材料と、Mg、Li、Cs等の仕事関数の小さい金属とを共蒸着等により混合した材料を使用することもできる。
【0161】
また、図21(B)に示すように、第1の導電層201、発光性の有機化合物及び発光性の有機化合物に対して電子受容性を有する無機化合物で形成される正孔輸送層346、発光性の有機化合物で形成される発光層343、及び発光性の有機化合物に対して電子供与性を有する無機化合物で形成される電子輸送層347により形成された発光材料を含む層318、並びに第2の導電層204で発光素子205を形成してもよい。
【0162】
発光性の有機化合物、及び発光性の有機化合物に対して電子受容性を有する無機化合物で形成される正孔輸送層346は、有機化合物として、上記した正孔輸送性の有機化合物を適宜用いて形成する。また、無機化合物として、有機化合物から電子を受け取りやすいものであれば何であってもよく、種々の金属酸化物または金属窒化物が可能であるが、周期表第4族乃至第12族のいずれかの遷移金属酸化物が電子受容性を示しやすく好適である。具体的には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化ルテニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。また、上述した金属酸化物の中でも、周期表第4族乃至第8族のいずれかの遷移金属酸化物は電子受容性の高いものが多く、好ましい一群である。特に酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウムは真空蒸着が可能で扱いやすいため、好適である。
【0163】
発光性の有機化合物、及び発光性の有機化合物に対して電子供与性を有する無機化合物で形成される電子輸送層347は、有機化合物として上記した電子輸送性の有機化合物を適宜用いて形成する。また、無機化合物として、有機化合物に電子を与えやすいものであれば何であってもよく、種々の金属酸化物または金属窒化物が可能であるが、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類金属酸化物、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物、希土類金属窒化物が電子供与性を示しやすく好適である。具体的には、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化エルビウム、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化カルシウム、窒化イットリウム、窒化ランタンなどが挙げられる。特に酸化リチウム、酸化バリウム、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化カルシウムは真空蒸着が可能で扱いやすいため、好適である。
【0164】
発光性の有機化合物及び無機化合物で形成される電子輸送層347又は正孔輸送層346は、電子注入・輸送特性が優れているため、第1の導電層201、第2の導電層204共に、ほとんど仕事関数の制限を受けることなく、種々の材料を用いることができる。また駆動電圧を低減することが可能である。
【0165】
また、発光材料を含む層203として、無機化合物を用いた発光機能を担う層(以下、発光層349という。)を有することで、発光素子205は無機EL素子として機能する。無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光材料を含む層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる発光材料を含む層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。以下に、無機EL素子の構造について示す。
【0166】
本実施例で用いることのできる発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。発光材料の作製方法としては、固相法や液相法(共沈法)などの様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
【0167】
固相法は、母体材料と、不純物元素又はその化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い反応させ、母体材料に不純物元素を含有させる方法である。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
【0168】
液相法(共沈法)は、母体材料又はその化合物と、不純物元素又はその化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う方法である。発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さく低い焼成温度でも反応が進むことができる。
【0169】
無機EL素子の発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化カルシウム、硫化イットリウム、硫化ガリウム、硫化ストロンチウム、硫化バリウム等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化イットリウム等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛、テルル化亜鉛等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム、硫化ストロンチウム−ガリウム、硫化バリウム−ガリウム等の3元系の混晶であってもよい。
【0170】
局在型発光の発光中心として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、電荷補償として、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。
【0171】
一方、ドナー−アクセプター再結合型発光の発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
【0172】
ドナー−アクセプター再結合型発光の発光材料を固相法を用いて合成する場合、母体材料と、第1の不純物元素又はその化合物と、第2の不純物元素又はその化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。母体材料としては、上述した母体材料を用いることができ、第1の不純物元素又はその化合物としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、硫化アルミニウム等を用いることができる。また、第2の不純物元素又はその化合物としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、硫化銅、硫化銀等を用いることができる。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
【0173】
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、塩化銅、塩化銀等を用いることができる。
【0174】
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10atom%であればよく、好ましくは0.05〜5atom%の範囲である。
【0175】
図21(C)は、発光材料を含む層203が第1の絶縁層348、発光層349、及び第2の絶縁層350で構成される無機EL素子の断面を示す。
【0176】
薄膜型無機ELの場合、発光層349は、上記発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
【0177】
第1の絶縁層348及び第2の絶縁層350は、特に限定されることはないが、絶縁性を有し、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、窒化シリコン、酸化ジルコニウム等やこれらの混合膜又は2種以上の積層を用いることができる。第1の絶縁層348及び第2の絶縁層350は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。なお、本実施例の発光素子は、必ずしもホットエレクトロンを必要とはしないため、薄膜にすることもでき、駆動電圧を低下できる長所を有する。好ましくは、500nm以下の膜厚、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0178】
なお、図示しないが、発光層349と絶縁層348、350、又は発光層349と第1の導電層201、第2の導電層204の間にバッファ層を設けても良い。このバッファ層はキャリアの注入を容易にし、かつ両層の混合を抑制する役割をもつ。バッファ層としては、特に限定されることはないが、例えば、発光層の母体材料である硫化亜鉛、硫化セレン、硫化カドミウム、硫化ストロンチウム、硫化バリウム、硫化銅、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、またはフッ化マグネシウム等を用いることができる。
【0179】
また、図21(D)に示すように、発光材料を含む層203が発光層349及び第1の絶縁層348で構成されてもよい。この場合、図21(D)においては、第1の絶縁層348は第2の導電層204及び発光層349の間に設けられている形態を示す。なお、第1の絶縁層348は第1の導電層201及び発光層349の間に設けられていてもよい。
【0180】
さらには、発光材料を含む層203が、発光層349のみで構成されてもよい。即ち、第1の導電層201、発光材料を含む層203、第2の導電層204で発光素子205を構成してもよい。
【0181】
分散型無機ELの場合、粒子状の発光材料をバインダ中に分散させ膜状の発光材料を含む層を形成する。発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕などによって粒子状に加工すればよい。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、発光材料を含む層としての形状に保持するための物質である。発光材料は、バインダによって発光材料を含む層中に均一に分散し固定される。
【0182】
分散型無機ELの場合、発光材料を含む層の形成方法は、選択的に発光材料を含む層を形成できる液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む発光材料を含む層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
【0183】
図21(E)における素子は、第1の導電層201、発光材料を含む層203、第2の導電層204を有し、発光材料を含む層203が、発光材料352がバインダ351に分散された発光層及び絶縁層348で構成される。なお、絶縁層348は、図21(E)においては、第2の導電層204に接する構造となっているが、第1の導電層201に接する構造でもよい。また、素子は、第1の導電層201及び第2の導電層204それぞれに接する絶縁層を有してもよい。さらには、素子は、第1の導電層201及び第2の導電層204に接する絶縁層を有さなくてもよい。
【0184】
本実施例に用いることのできるバインダとしては、有機材料や無機材料を用いることができる。また、有機材料及び無機材料の混合材料を用いてもよい。有機材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。また光硬化型などを用いることができる。これらの樹脂に、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムどの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
【0185】
また、バインダに用いる無機材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸素及び窒素を含む珪素、窒化アルミニウム、酸素及び窒素を含むアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸鉛、酸化タンタル、タンタル酸バリウム、タンタル酸リチウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、その他の無機材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。有機材料に、誘電率の高い無機材料を含ませる(添加等によって)ことによって、発光材料及びバインダよりなる発光材料を含む層の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。
【0186】
作製工程において、発光材料はバインダを含む溶液中に分散されるが本実施例に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、発光層を形成する方法(各種ウエットプロセス)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。有機溶媒等を用いることができ、例えばバインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAともいう)、3−メトキシ−3メチル−1−ブタノール(MMBともいう)などを用いることができる。
【0187】
無機EL発光素子は、発光材料を含む層を挟持する一対の電極間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0188】
ここでは、赤色を表示する発光素子として、第1の画素電極として機能する第2の導電層として膜厚125nmの酸化珪素を含むITO層を形成する。また、発光層として、DNTPDを50nm、NPBを10nm、ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(Fdpq)(acac))が添加されたNPBを30nm、Alqを30nm、及びフッ化リチウムを1nm積層して形成する。第2の画素電極として機能する第3の導電層として、膜厚200nmのAl層を形成する。
【0189】
また、緑色を表示する発光素子として、第1の画素電極として機能する第2の導電層として膜厚125nmの酸化珪素を含むITO層を形成する。また、発光層として、DNTPDを50nm、NPBを10nm、クマリン545T(C545T)が添加されたAlqを40nm、Alqを30nm、及びフッ化リチウムを1nm積層して形成する。第2の画素電極として機能する第3の導電層として、膜厚200nmのAl層を形成する。
【0190】
また、青色を表示する発光素子として、第1の画素電極として機能する第2の導電層として膜厚125nmの酸化珪素を含むITO層を形成する。また、発光層として、DNTPDを50nm、NPBを10nm、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)が添加された、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)を30nm、Alqを30nm、及びフッ化リチウムを1nm積層して形成する。第2の画素電極として機能する第3の導電層として、膜厚200nmのAl層を形成する。
【0191】
次に、導電層204上に保護膜を形成することが好ましい。
【0192】
この後、走査線、信号線の接続端子部に、接続導電層を介して配線基板、代表的にはFPC(Flexible Print Circuit)を貼り付ける。以上の工程により、発光表示パネルを形成することができる。
【0193】
なお、静電破壊防止のための保護回路、代表的にはダイオードなどを、接続端子とソース配線(ゲート配線)の間または画素部に設けてもよい。
【0194】
ここで、図21(A)及び(B)で示す発光素子を有する発光表示パネルにおいて、基板100側に光を放射する場合、つまり下方放射発光を行う場合について、図22(A)を用いて説明する。この場合、薄膜トランジスタ188に電気的に接続するように、配線187に接して、透光性を有する導電層484、発光材料を含む層485、遮光性または反射性を有する導電層486が順に積層される。光が透過する基板100は少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する必要がある。
【0195】
次に、基板100と反対側に光を放射する場合、つまり上方放射発光を行う場合について、図22(B)を用いて説明する。薄膜トランジスタ188は、前述した薄膜トランジスタの同様に形成することができる。薄膜トランジスタ188に電気的に接続する配線187が遮光性または反射性を有する導電層463と接し、電気的に接続する。遮光性または反射性を有する導電層463、発光材料を含む層464、透光性を有する導電層465が順に積層される。導電層463は遮光性または反射性を有する金属層であり、発光素子から放射される光を矢印のように発光素子の上面に反射する。なお、遮光性または反射性を有する導電層463上に透光性を有する導電層を形成してもよい。発光素子から放出する光は導電層465を透過して放出される。
【0196】
次に、基板100側とその反対側の両側に光を放射する場合、つまり両方放射発光を行う場合について、図22(C)を用いて説明する。薄膜トランジスタ188の半導体層に電気的に接続する配線187に、透光性を有する第1の導電層472が電気的に接続している。透光性を有する第1の導電層472、発光材料を含む層473、透光性を有する第2の導電層474が順に積層される。このとき、第1の透光性を有する導電層472と透光性を有する第2の導電層474のどちらも、少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する材料、又は光を透過できる厚さで形成すると、両方放射が実現する。この場合、光が透過する絶縁層や基板100も少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する必要がある。
【0197】
ここで、図21(A)及び(B)で示す発光素子を有する発光表示パネルの画素回路、及びその動作構成について、図20を用いて説明する。発光表示パネルの動作構成は、ビデオ信号がデジタルの表示装置において、画素に入力されるビデオ信号が電圧で規定されるのものと、電流で規定されるものとがある。ビデオ信号が電圧によって規定されるものには、発光素子に印加される電圧が一定のもの(CVCV)と、発光素子に印加される電流が一定のもの(CVCC)とがある。また、ビデオ信号が電流によって規定されるものには、発光素子に印加される電圧が一定のもの(CCCV)と、発光素子に印加される電流が一定のもの(CCCC)とがある。本実施例では、CVCV動作をする画素を図20(A)及び(B)用いて説明する。また、CVCC動作をする画素を図20(C)を用いて説明する。
【0198】
図20(A)及び(B)に示す画素は、列方向に信号線3710及び電源線3711、行方向に走査線3714が配置される。また、スイッチング用TFT3701、駆動用TFT3703、容量素子3702及び発光素子3705を有する。
【0199】
なお、スイッチング用TFT3701及び駆動用TFT3703は、オンしているときは線形領域で動作する。また駆動用TFT3703は発光素子3705に電圧を印加するか否かを制御する役目を有する。スイッチング用TFT3701及び駆動用TFT3703は同じ導電型を有していると作製工程上好ましい。また駆動用TFT3703には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。
【0200】
図20(A)、(B)に示す画素において、スイッチング用TFT3701は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、スイッチング用TFT3701がオンとなると、画素内にビデオ信号が入力される。すると、容量素子3702にそのビデオ信号の電圧が保持される。
【0201】
図20(A)において、電源線3711の電位がVssで発光素子3705の対向電極の電位がVddの場合、発光素子の対向電極は陽極であり、駆動用TFT3703に接続される発光素子の電極は陰極である。この場合、駆動用TFT3703の特性バラツキによる輝度ムラを抑制することが可能である。
【0202】
図20(A)において、電源線3711の電位がVddで発光素子3705の対向電極の電位がVssの場合、発光素子の対向電極は陰極であり、駆動用TFT3703に接続される発光素子の電極は陽極である。この場合、駆動用TFT3703の特性バラツキによる輝度ムラを抑制することが可能である。
【0203】
図20(B)に示す画素は、TFT3706と走査線3715を追加している以外は、図20(A)に示す画素構成と同じである。
【0204】
TFT3706は、新たに配置された走査線3715によりオン又はオフが制御される。TFT3706がオンとなると、容量素子3702に保持された電荷は放電し、駆動用TFT3703がオフとなる。つまり、TFT3706の配置により、強制的に発光素子3705に電流が流れない状態を作ることができる。そのためTFT3706を消去用のTFTと呼ぶことができる。従って、図20(B)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、発光のデューティ比を向上することが可能となる。
【0205】
上記動作構成を有する画素において、発光素子3705の電流値は、線形領域で動作する駆動用TFT3703により決定することができる。上記構成により、TFTの特性のバラツキを抑制することが可能であり、TFT特性のバラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して、画質を向上させた表示装置を提供することができる。
【0206】
次に、CVCC動作をする画素を図20(C)を用いて説明する。図20(C)に示す画素は、図20(A)に示す画素構成に、電源線3712、電流制御用TFT3704が設けられている。なお、図20(C)に示す画素において、駆動用TFT3703のゲート電極に接続されているが、行方向に配置された電源線3712のかわりに、列方向に配置された電源線3712に接続されてもよい。
【0207】
なお、スイッチング用TFT3701は線形領域で動作し、駆動用TFT3703は飽和領域で動作する。また駆動用TFT3703は発光素子3705に流れる電流値を制御する役目を有し、電流制御用TFT3704は飽和領域で動作し発光素子3705に対する電流の供給を制御する役目を有する。
【0208】
なお、図20(A)及び(B)に示される画素でも、CVCC動作をすることは可能である。また、図20(C)に示される動作構成を有する画素は、図20(A)及び(B)と同様に、発光素子の電流の流れる方向によって、Vdd及びVssを適宜変えることが可能である。
【0209】
上記構成を有する画素は、電流制御用TFT3704が線形領域で動作するために、電流制御用TFT3704のVgsの僅かな変動は、発光素子3705の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子3705の電流値は、飽和領域で動作する駆動用TFT3703により決定することができる。上記構成により、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して、画質を向上させた表示装置を提供することができる。
【0210】
特に、非晶質半導体等を有する薄膜トランジスタを形成する場合、駆動用TFTの半導体膜の面積を大きくすると、TFTのバラツキの低減が可能であるため好ましい。また、図20(A)及び図20(B)に示す画素は、TFTの数が少ないため開口率を増加させることが可能である。
【0211】
なお、容量素子3702を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などで、容量をまかなうことが可能な場合には、容量素子3702を設けなくてもよい。
【0212】
また、薄膜トランジスタの半導体層が非晶質半導体膜で形成される場合は、しきい値がシフトしやすいため、しきい値を補正する回路を画素内又は画素周辺に設けることが好ましい。
【0213】
このようなアクティブマトリクス型の発光表示装置は、画素密度が増えた場合、各画素にTFTが設けられているため低電圧駆動でき、有利である。一方、パッシブマトリクス型の発光表示装置を形成することもできる。パッシブマトリクス型の発光表示装置は、各画素にTFTが設けられていないため、高開口率となる。
【0214】
また、本発明の表示装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、表示装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
【0215】
以上のように、多様な画素回路を採用することができる。
【実施例3】
【0216】
本実施例では、半導体装置の代表例を、図23及び24を用いて説明する。電気泳動素子とは、マイクロカプセルの中にプラスとマイナスに帯電した黒と白の粒子を閉じ込めた物を第1の導電層及び第2の導電層の間に配置し、第1の導電層及び第2の導電層に電位差を生じさせて黒と白の粒子を第1の導電層と第2の導電層の間で移動させて表示を行う素子である。
【0217】
実施例1と同様に、図23に示すように、基板100上に実施の形態2で示す薄膜トランジスタ188、及び薄膜トランジスタ188を覆い、且つ開口部を有する絶縁層191を形成する。
【0218】
次に、実施例1と同様に配線187に接続する第1の導電層1181を形成する。なお、第1の導電層1181は画素電極として機能する。ここでは、実施の形態1で示す手法によりアルミニウムを用いて第1の導電層1181を形成する。
【0219】
また、基板1172上に第2の導電層1173を形成する。ここでは、実施の形態1で示す手法により酸化亜鉛を用いて第2の導電層1173を形成する。
【0220】
次に、基板100及び基板1172をシール材で貼り合わせる。このとき、第1の導電層1181及び第2の導電層1173の間にマイクロカプセル1170を分散させて、基板100及び基板1172の間に電気泳動素子を形成する。電気泳動素子は、第1の導電層1181、マイクロカプセル1170、第2の導電層1173で構成される。また、マイクロカプセル1170はバインダにより第1の導電層1181及び第2の導電層1173の間に固定される。
【0221】
次に、マイクロカプセルの構造について、図24を用いて示す。図24(A)、及び(B)に示すように、マイクロカプセル1170は微細な透明容器1174内に透明の分散媒1176、帯電した黒色粒子1175a、及び白色粒子1175bが封入される。なお、黒色粒子1175aの代わりに、青色粒子、赤色粒子、緑色粒子、黄色粒子、青緑粒子、赤紫粒子を用いても良い。さらには、図24(C)及び(D)に示すように、微細な透明容器1331内に着色した分散媒1333及び白色粒子1332が分散されるマイクロカプセル1330を用いてもよい。なお、着色した分散媒1333は、黒色、青色、赤色、緑色、黄色、青緑色、赤紫色のいずれかに着色している。また、一画素に、青色粒子が分散されるマイクロカプセル、赤色粒子が分散されるマイクロカプセル、及び緑色粒子が分散されるマイクロカプセルをそれぞれ設けることで、カラー表示することができる。また、黄色粒子が分散されるマイクロカプセル、青緑粒子が分散されるマイクロカプセル、及び赤紫粒子が分散されるマイクロカプセルをそれぞれ設けることで、カラー表示することができる。また、一画素に青色の分散媒に白色粒子または黒色粒子が分散されたマイクロカプセル、赤色の分散媒に白色粒子または黒色粒子が分散されたマイクロカプセル、及び緑色の分散媒に白色粒子または黒色粒子が分散されたマイクロカプセルをそれぞれ設けることで、カラー表示することができる。また、一画素に黄色の分散媒に白色粒子または黒色粒子が分散されたマイクロカプセル、青緑色の分散媒に白色粒子または黒色粒子が分散されたマイクロカプセル、赤紫色の分散媒に白色粒子または黒色粒子が分散されたマイクロカプセルをそれぞれ設けることで、カラー表示することができる。
【0222】
次に、電気泳動素子を用いた表示方法を示す。具体的には、図24(A)及び(B)を用いて、二色の粒子を有するマイクロカプセル1170の表示方法について示す。ここでは、二色の粒子として白色粒子及び黒色粒子を用い、また透明な分散媒を有するマイクロカプセルについて示す。なお、二色の粒子の黒色粒子の代わりに他の色の粒子を用いてもよい。
【0223】
マイクロカプセル1170において、黒色粒子1175aがプラスに帯電されているものとし、白色粒子1175bがマイナスに帯電されているものとし、第1の導電層1171及び第2の導電層1173に電圧を印加する。ここでは、第2の導電層から第1の導電層の方向へ電界を生じさせると、図24(A)に示すように、第2の導電層1173側に黒色粒子1175aが泳動し、第1の導電層1171側に白色粒子1175bが泳動する。この結果、マイクロカプセルを第1の導電層1171側から見た場合には、白色に観察され、第2の導電層1173側から見た場合には黒色に観察される。
【0224】
一方、第1の導電層1171から第2の導電層1173の方向へ電圧が印加されると、図24(B)に示すように、第1の導電層1171側に黒色粒子1175aが泳動し、第2の導電層1173側に白色粒子1175bが泳動する。この結果、マイクロカプセルを第1の導電層1171側から見た場合には、黒色に観察され、第2の導電層1173側から見た場合には白色に観察される。
【0225】
次に、白色粒子を有し、且つ着色された分散媒を有するマイクロカプセル1330の表示方法について示す。ここでは、分散媒が黒色に着色された例を示すが、他の色に着色された分散媒を用いても同様である。
【0226】
マイクロカプセル1330において、白色粒子1332がマイナスに帯電されているものとし、第1の導電層1171及び第2の導電層1173に電圧を印加する。ここでは、第2の導電層から第1の導電層の方向へ電界を生じさせると、図24(C)に示すように、第1の導電層1171側に白色粒子1332が泳動する。この結果、マイクロカプセルを第1の導電層1171側から見た場合には、白色に観察され、第2の導電層1173側から見た場合には黒色に観察される。
【0227】
一方、第1の導電層から第2の導電層の方向へ電圧が印加されると、図24(D)に示すように、第2の導電層1173側に白色粒子1332が泳動する、この結果、マイクロカプセルを第1の導電層1171側から見た場合には、黒色に観察され、第2の導電層1173側から見た場合には白色に観察される。
【0228】
ここで、電気泳動素子を用いて説明したが、この代わりにツイストボール表示方式を用いた表示装置を用いてもよい。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を第1の導電層及び第2の導電層の間に配置し、第1の導電層及び第2の導電層に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法である。
【0229】
また、薄膜トランジスタの代わりに、スイッチング素子としてMIM(Metal−Insulator−Metal)、ダイオード等を用いることもできる。
【0230】
電気泳動素子を有する表示装置やツイストボール表示方式の表示装置は、電界効果トランジスタを取り去った後も長期にわたって、電圧印加時と同様の状態を保持する。よって、電源を切っても表示状態を維持することが可能である。このため低消費電力が可能である。
【0231】
以上の工程により、電気泳動素子を含む半導体装置を作製することができる。
【実施例4】
【0232】
実施例1乃至3によって作製される表示パネル(EL表示パネル、液晶表示パネル、電気泳動表示パネル)において、半導体層を非晶質半導体、又はSAS(セミアモルファスシリコン)で形成し、走査線側の駆動回路を基板上に形成する例を示す。
【0233】
図25は、1〜15cm/V・secの電界効果移動度が得られるSASを使ったnチャネル型のTFTで構成する走査線側駆動回路のブロック図を示している。
【0234】
図25において8500で示すブロックが1段分のサンプリングパルスを出力するパルス出力回路に相当し、シフトレジスタはn個のパルス出力回路により構成される。8501はバッファ回路であり、その先に画素8502が接続される。
【0235】
図26は、パルス出力回路8500の具体的な構成を示したものであり、nチャネル型のTFT8601〜8613で回路が構成されている。このとき、SASを使ったnチャネル型のTFTの動作特性を考慮して、TFTのサイズを決定すれば良い。例えば、チャネル長を8μmとすると、チャネル幅は10〜80μmの範囲で設定することができる。
【0236】
また、バッファ回路8501の具体的な構成を図27に示す。バッファ回路も同様にnチャネル型のTFT8620〜8635で構成されている。このとき、SASを使ったnチャネル型のTFTの動作特性を考慮して、TFTのサイズを決定すれば良い。例えば、チャネル長を10μmとすると、チャネル幅は10〜1800μmの範囲で設定することとなる。
【0237】
このような回路を実現するには、TFT相互を配線によって接続する必要がある。
【0238】
以上のようにして、表示パネルに駆動回路を組み入れることができる。
【0239】
次に、上記実施例に示した表示パネルへの駆動回路の実装について、図28を用いて説明する。
【0240】
図28(A)に示すように、画素部1401の周辺にソース線駆動回路1402、及びゲート線駆動回路1403a、1403bを実装する。図28(A)では、ソース線駆動回路1402、及びゲート線駆動回路1403a、1403b等として、公知の異方性導電接着剤、若しくは異方性導電フィルムを用いた実装方法、COG方式、ワイヤボンディング方法、または半田バンプを用いたリフロー処理等により、基板1400上にICチップ1405を実装する。ここでは、COG方式を用いる。そして、FPC(フレキシブルプリントサーキット)1406を介して、ICチップと外部回路とを接続する。
【0241】
なお、ソース線駆動回路1402の一部、例えばアナログスイッチを基板上に形成し、かつその他の部分を別途ICチップで実装してもよい。
【0242】
また、図28(B)に示すように、SASや結晶性半導体でTFTを形成する場合、画素部1401とゲート線駆動回路1403a、1403b等を基板上に形成し、ソース線駆動回路1402等を別途ICチップとして実装する場合がある。図28(B)において、ソース線駆動回路1402として、COG方式により、基板1400上にICチップ1405を実装する。そして、FPC1406を介して、ICチップと外部回路とを接続する。
【0243】
なお、ソース線駆動回路1402の一部、例えばアナログスイッチを基板上に形成し、かつその他の部分を別途ICチップで実装してもよい。
【0244】
さらに、図28(C)に示すように、COG方式に代えて、TAB方式によりソース線駆動回路1402等を実装する場合がある。そして、FPC1406を介して、ICチップと外部回路とを接続する。図28(C)において、ソース線駆動回路をTAB方式により実装しているが、ゲート線駆動回路をTAB方式により実装してもよい。
【0245】
ICチップをTAB方式により実装すると、基板に対して画素部を大きく設けることができ、狭額縁化を達成することができる。
【0246】
ICチップは、シリコンウェハを用いて形成するが、ICチップの代わりにガラス基板上に回路を形成したIC(以下、ドライバICと表記する)を設けてもよい。ICチップは、円形のシリコンウェハから取り出すため、母体基板形状に制約がある。一方ドライバICは、母体基板がガラスであり、形状に制約がないため、生産性を高めることができる。そのため、ドライバICの形状寸法は自由に設定することができる。例えば、ドライバICの長辺の長さを15〜80mmとして形成すると、ICチップを実装する場合と比較し、必要な数を減らすことができる。その結果、接続端子数を低減することができ、製造上の歩留まりを向上させることができる。
【0247】
ドライバICは、基板上に形成された結晶質半導体層を有する薄膜トランジスタを用いて形成することができ、結晶質半導体層は連続発振型のレーザビームを照射することで形成するとよい。連続発振型のレーザビームを照射して得られる半導体層は、結晶欠陥が少なく、大粒径の結晶粒を有する。その結果、このような半導体膜を有する薄膜トランジスタは、移動度や応答速度が良好となり、高速駆動が可能となり、ドライバICに好適である。
【0248】
次に、上記実施例で示される表示パネルを有するモジュールについて、図29を用いて説明する。図29は表示パネル9801と、回路基板9802を組み合わせたモジュールを示している。回路基板9802には、例えば、コントロール回路9804や信号分割回路9805などが形成されている。また、表示パネル9801と回路基板9802とは、接続配線9803で接続されている。表示パネル9801に実施例1乃至3で示すような、液晶表示パネル、発光表示パネル、電気泳動表示パネル等を適宜用いることができる。
【0249】
この表示パネル9801は、発光素子が各画素に設けられた画素部9806と、走査線駆動回路9807、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路9808を備えている。画素部9806の構成は、実施例1乃至3と同様である。また、走査線駆動回路9807や信号線駆動回路9808は、異方性導電接着剤、若しくは異方性導電フィルムを用いた実装方法、COG方式、ワイヤボンディング方法、または半田バンプを用いたリフロー処理等の手法により、基板上にICチップで形成される走査線駆動回路9807、信号線駆動回路9808を実装する。
【0250】
本実施例により、歩留まり高く表示パネルを有するモジュールを形成することが可能である。
【実施例5】
【0251】
上記実施の形態や実施例に示される半導体装置を有する電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図30を参照して説明する。
【0252】
図30(A)に示す携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202に、上記実施の形態や実施例に示すものを適用することにより、携帯情報端末を安価に提供することができる。
【0253】
図30(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701に、上記実施の形態や実施例に示すものを適用することにより、デジタルビデオカメラを安価に提供することができる。
【0254】
図30(C)に示す携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102に、上記実施の形態や実施例に示すものを適用することにより、携帯端末を安価に提供することができる。
【0255】
図30(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302に、上記実施の形態や実施例に示すものを適用することにより、携帯型のテレビジョン装置を安価に提供することができる。このようなテレビジョン装置は携帯電話などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広く適用することができる。
【0256】
図30(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402に、上記実施の形態や実施例に示すものを適用することにより、携帯型のコンピュータを安価に提供することができる。
【0257】
図30(F)に示すテレビジョン装置は、本体9601、表示部9602等を含んでいる。表示部9602に、上記実施の形態や実施例に示すものを適用することにより、テレビジョン装置を安価に提供することができる。
【0258】
ここで、テレビジョン装置の構成について、図31を用いて説明する。
【0259】
図31は、テレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図である。チューナ9511は映像信号と音声信号を受信する。映像信号は、映像検波回路9512と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路9513と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路9514により処理される。コントロール回路9514は、表示パネル9515の走査線駆動回路9516と信号線駆動回路9517にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路9518を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0260】
チューナ9511で受信した信号のうち、音声信号は音声検波回路9521に送られ、その出力は音声信号処理回路9522を経てスピーカー9523に供給される。制御回路9524は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部9525から受け、チューナ9511や音声信号処理回路9522に信号を送出する。
【0261】
このテレビジョン装置は、表示パネル9515を含んで構成されることにより、テレビジョン装置の低消費電力を図ることが可能である。
【0262】
なお、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニターをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0263】
【図1】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図5】本発明に適用可能なマスクを説明する断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の作製方法及び適用可能なマスクを説明する断面図である。
【図7】レーザビームの照射方法を説明する上面図である。
【図8】本発明の半導体装置の作製方法及び適用可能なマスクを説明する断面図及び上面図である。
【図9】本発明の半導体装置の作製方法及び適用可能なマスクを説明する断面図及び上面図である。
【図10】本発明の半導体装置の作製方法及び適用可能なマスクを説明する断面図である。
【図11】本発明の半導体装置の作製方法及び適用可能なマスクを説明する断面図である。
【図12】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図13】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図14】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図15】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図16】本発明の半導体装置の作製方法を説明する上面図である。
【図17】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図18】本発明の半導体装置の作製方法を説明する上面図である。
【図19】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図20】本発明に適応可能な発光素子の等価回路を説明する図である。
【図21】本発明に適応可能な発光素子の断面構造を説明する図である。
【図22】本発明に適応可能な発光素子の断面構造を説明する図である。
【図23】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図24】本発明に適応可能な電気泳動素子の断面構造を説明する図である。
【図25】本発明の表示パネルにおいて走査線側駆動回路をTFTで形成する場合の回路構成を説明する図である。
【図26】本発明の表示パネルにおいて走査線側駆動回路をTFTで形成する場合の回路構成を説明する図(シフトレジスタ回路)である。
【図27】本発明の表示パネルにおいて走査線側駆動回路をTFTで形成する場合の回路構成を説明する図(バッファ回路)である。
【図28】本発明の半導体装置を説明する上面図である。
【図29】本発明の半導体装置を説明する上面図である。
【図30】本発明の半導体装置を用いた電子機器を説明する斜視図である。
【図31】本発明の半導体装置を用いた電子機器を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基板の一方の面に光吸収層を形成し、
前記光吸収層に対向するように基板を設け、前記透光性を有する基板の他方の面に対向するようにマスクを設け、
前記マスクを介して前記光吸収層にレーザビームを照射し、前記光吸収層の一部を前記基板に転写することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
透光性を有する基板の一方の面に光吸収層を形成し、
前記透光性を有する基板の他方の面にマスクを形成し、
前記透光性を有する基板の他方の面側から前記光吸収層にレーザビームを照射し、前記光吸収層の一部を前記基板に転写することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記光吸収層は、前記レーザビームを吸収することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記光吸収層は、導電層、半導体層、または絶縁層であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
透光性を有する基板の一方の面に光を吸収する第1の層及び前記第1の層に接する第2の層を形成し、
前記第2の層に対向するように基板を設け、前記透光性を有する基板の他方の面に対向するようにマスクを設け、
前記マスクを介して前記光を吸収する第1の層にレーザビームを照射し、前記第2の層の一部を前記基板に転写することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
透光性を有する基板の一方の面に光を吸収する第1の層及び前記第1の層に接する第2の層を形成し、
前記透光性を有する基板の他方の面にマスクを形成し、
前記第2の層に対向するように基板を設け、
前記透光性を有する基板の他方の面側から前記光を吸収する第1の層にレーザビームを照射し、前記第2の層の一部を前記基板に転写することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項7】
透光性を有する基板の一方の面に光を吸収する第1の層及び前記第1の層に接する第2の層を形成し、
前記第2の層に対向するように基板を設け、前記透光性を有する基板の他方の面に対向するようにマスクを設け、
前記マスクを介して前記光を吸収する第1の層にレーザビームを照射し、前記第1の層の一部及び第2の層の一部を前記基板に転写することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
透光性を有する基板の一方の面に光を吸収する第1の層及び前記第1の層に接する第2の層を形成し、
前記透光性を有する基板の他方の面にマスクを形成し、
前記第2の層に対向するように基板を設け、
前記透光性を有する基板の他方の面側から前記光を吸収する第1の層にレーザビームを照射し、前記第1の層の一部及び第2の層の一部を前記基板に転写することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか一項において、前記光を吸収する第1の層は、前記レーザビームを吸収することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれか一項において、前記光を吸収する第1の層は、導電層、半導体層、または絶縁層であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項11】
請求項5乃至10のいずれか一項において、前記第2の層は、導電層、半導体層、及び絶縁層のいずれか一つ以上であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項において、前記マスクはバイナリーマスクであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか一項において、前記マスクは、位相シフトマスクであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか一項において、前記マスクはバイナリーマスク及び位相シフトマスクを重ねたものであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項15】
請求項1乃至11のいずれか一項において、前記マスクは、マイクロレンズを有する事を特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項16】
請求項15において、前記マイクロレンズの周辺には遮光層を有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項において、前記透光性を有する基板及び前記基板を真空雰囲気に設置し、前記光吸収層に前記レーザビームを照射することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか一項において、前記基板を加熱することを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2008−53698(P2008−53698A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187768(P2007−187768)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】