説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】金属電極と該金属電極の上に形成されたシリコン電極とを有するゲート電極を備えた電界効果型トランジスタを実現する際に、金属電極とシリコン電極との界面に生じる界面抵抗を低減できるようにする。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板100における第1の活性領域103aに形成されたP型の電界効果型トランジスタを備えている。第1の電界効果型トランジスタは、第1の活性領域103aの上に形成された第1のゲート絶縁膜106aと、第1のゲート絶縁膜106aの上に形成された第1のゲート電極115aとを有している。第1のゲート電極115aは、第1のゲート絶縁膜106aの上に形成された第1の金属電極107aと、該第1の金属電極107aの上に形成された第1の界面層110aと、該第1の界面層110aの上に形成された第1のシリコン電極111aとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属電極と該金属電極の上に形成されたシリコン電極とを有するゲート電極を備えた電界効果型トランジスタを含む半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のデザインルールの縮小に伴い、半導体集積回路の集積度は飛躍的に向上し、1チップに1億個以上の電界効果型トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)の搭載も可能となっている。高性能なトランジスタを実現するには、該トランジスタのゲート長を縮小するだけでなく、ゲート絶縁膜の薄膜化も求められる。従来、ゲート絶縁膜として、シリコン酸化膜又はその窒化膜であるシリコン酸窒化膜が用いられてきたが、等価酸化膜厚(Equivalent Oxide Thickness:EOT)が2nm以下の薄膜領域となると、ゲートリーク電流が増大して、集積回路の消費電力が増大するという不具合が発生する。
【0003】
そこで、ゲートリーク電流を低減しつつ、EOTの薄膜化を実現するために、高誘電体からなるゲート絶縁膜に関心が寄せられている。また、さらなるEOTの薄膜化を図るために、窒化チタン又は窒化タンタル等からなる金属電極を、従来からゲート電極として用いられているシリコン電極とゲート絶縁膜との間に挟み込んだ(Metal Inserted Poly-silicon Stacked FET:MIPS FET)について、多くの研究及び開発がなされている(例えば、特許文献1を参照。)。このMIPS FETは、金属電極がシリコン電極の下側(ゲート絶縁膜側)に形成されるため、シリコン電極の空乏化を抑制することが可能となるので、トランジスタの高性能化を図ることができる。
【0004】
MIPS FETは、従来からゲート電極として用いられている膜厚が50nm〜100nmと比較的に厚い膜厚を有するシリコン電極の下に、膜厚が5nm程度と比較的に薄い金属電極を形成することにより実現される。ゲート電極の形状、すなわちゲート電極の寸法及び高さ等を従来から用いられているシリコン電極と同程度とすることが容易であるため、32nm以細のFETに対する有力なゲート電極構造の1つとして、研究及び開発がなされている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−023152号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】X. Chen et al., "A Cost Effective 32nm High-K/ Metal Gate CMOS Technology for Low Power Applications with Single-Metal/Gate-First Process", Symposium on VLSI Tech., p.88, 2008.
【非特許文献2】K. Kita & A. Toriumi, "Intrinsic Origin of Electric Dipoles Formed at High-k/SiO2 Interface", IEDM, p.29, 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、MIPS構造を有するFET(MIPS FET)を実現しようとすると、金属電極とシリコン電極との界面に生じる界面抵抗のために、半導体集積回路の交流特性が劣化するという問題がある。
【0008】
図10は従来のMIPS構造を有するP型FETの模式的な断面構成を示している。Nウェル等のN型不純物を含むシリコンからなる半導体基板300の上部に、素子分離領域301に囲まれた活性領域302が形成されている。活性領域302の上には、例えばシリコン酸化膜303とハフニウム酸化膜304との積層膜からなるゲート絶縁膜305が形成されている。ゲート絶縁膜305の上には、例えば、窒化タンタルからなる金属電極306とP型ポリシリコンからなるシリコン電極307とから構成されたゲート電極308が形成されている。
【0009】
ゲート絶縁膜305及びゲート電極308の両側面上には、サイドウォールスペーサ309がそれ形成されている。
【0010】
活性領域302の上部であってゲート電極308の両側方に位置する領域にはP型エクステンション領域310が形成され、さらに、活性領域302の上部におけるゲート電極308の両側方であって、P型エクステンション領域310の両外側の領域には、各P型エクステンション領域310と接続されたP型ソース/ドレイン領域311が形成されている。
【0011】
金属電極306とシリコン電極307との界面に生じる界面抵抗は、各構成材料が持つ仕事関数の差であるショットキーバリアの高さに依存する。窒化タンタルの仕事関数は4.5eV程度であるのに対し、P型ポリシリコンの仕事関数は5.1eV程度である。従って、金属電極306とシリコン電極307との界面に形成されるショットキーバリアの高さは0.6eV程度と比較的に大きな値となる。
【0012】
図11は、窒化タンタルからなる金属電極306とP型のシリコン電極307とを接触させた場合のエネルギーバンドを示している。窒化タンタルの仕事関数に対して、P型ポリシリコンの仕事関数が大きいため、両者を接触させた場合は、P型ポリシリコンのエネルギーバンドが下方に曲がり、両者の界面に空乏層(バンドが曲がっている部分)が形成される。その結果、金属電極306とシリコン電極307との界面に界面抵抗が発生する。
【0013】
P型のシリコン電極307は、一般にアンドープのシリコン電極にボロン等のP型の不純物をイオン注入することにより形成される。具体的には、注入イオンであるボロンが半導体基板300に突き抜けることを抑制するため、アンドープのシリコン電極の上部、例えば上面から20nm〜30nmの深さにイオン注入を行い、その後の熱処理によってシリコン電極307の全体をP型半導体にするという手法が採られる。
【0014】
このため、シリコン電極307の金属電極306との界面、すなわち、シリコン電極307の下部におけるP型の不純物濃度はその上部と比べて小さくなる。ここで、シリコン電極307と金属電極306との界面のP型不純物濃度を7×1019atoms/cmとし、ショットキーバリアの高さを0.6eVとした場合は、その界面抵抗は2×10−6Ωcm程度となる。この値は、32nm世代で一般的に要望されている、1×10−7Ωcm以下という値に対して極めて大きい。
【0015】
界面抵抗の低減は、シリコン電極307の下部のP型不純物濃度を高めることによって実現可能ではあるが、注入イオンの基板中への突き抜け防止の観点から、また、上述したP型不純物濃度の7×1019atoms/cmが不純物固溶限界である2×1020atoms/cm(1050℃の活性化アニール後)に近い値であることから、P型不純物濃度を増大させるという手法により界面抵抗を大幅に低減することは困難である。
【0016】
また、N型FETに対しても、P型FETと同様の問題が発生する。
【0017】
本発明は、前記の問題を解決し、金属電極と該金属電極の上に形成されたシリコン電極とを有するゲート電極を備えた電界効果型トランジスタを実現する際に、金属電極とシリコン電極との界面に生じる界面抵抗を低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成するため、本発明は、半導体装置を金属電極とシリコン電極との間に、金属電極とシリコン電極との界面に生じる界面抵抗を低減可能な界面層を設ける構成とする。
【0019】
具体的に、本発明に係る半導体装置は、半導体基板における第1の活性領域に形成された第1導電型の第1の電界効果型トランジスタを備え、第1の電界効果型トランジスタは、第1の活性領域の上に形成された第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜の上に形成された第1のゲート電極とを有し、第1のゲート電極は、第1のゲート絶縁膜の上に形成された第1の金属電極と、該第1の金属電極の上に形成された第1の界面層と、該第1の界面層の上に形成された第1のシリコン電極とを有している。
【0020】
本発明の半導体装置によると、第1のゲート電極は、第1の金属電極と第1のシリコン電極との間に形成される第1の界面層を有しているため、該第1の界面層が第1の金属電極と第1のシリコン電極との間に形成されるショットキーバリアの高さを低減する双極子を有していると、この界面層によって第1の金属電極と第1のシリコン電極との界面におけるエネルギーバンドが変調されてショットキーバリアの高さが低減する。これにより、第1の金属電極と第1のシリコン電極との間に生じる界面抵抗が小さくなる。
【0021】
本発明の半導体装置において、第1の界面層は、第1の金属電極の上に形成された第1の下層膜と、該第1の下層膜の上に形成された第1の上層膜とを有し、第1の下層膜と第1の上層膜とは、互いに異なる絶縁材料からなっていてもよい。
【0022】
この場合に、第1の下層膜及び第1の上層膜のうち、一方は第1のシリコン酸化膜であり、他方は第1の金属酸化膜であってもよい。
【0023】
さらにこの場合に、第1の電界効果型トランジスタはN型トランジスタであり、第1の下層膜は第1の金属酸化膜であり、第1の上層膜は第1のシリコン酸化膜であり、第1の金属酸化膜は酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウムからなっていてもよい。
【0024】
また、この場合に、第2の構成として、第1の電界効果型トランジスタはN型トランジスタであり、第1の下層膜は第1のシリコン酸化膜であり、第1の上層膜は第1の金属酸化膜であり、第1の金属酸化膜は酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウムからなっていてもよい。
【0025】
このようにすると、第1の金属電極と第1のシリコン電極との間の界面抵抗を下げるだけでなく、アルミニウムに代表されるトランジスタのしきい値電圧を変動させる金属原子のゲート絶縁膜中への拡散を抑制することができる。
【0026】
また、第1の電界効果型トランジスタはN型トランジスタであり、第1の下層膜は第2の上層膜に対して酸素原子の面密度が小さいことが好ましい。
【0027】
このように、第1のシリコン電極として、N型のシリコン電極(仕事関数:4.1eV程度)を用いるN型FETの場合は、第1の下層膜には第1の上層膜と比べて酸素原子の面密度が小さい材料を用いる。この場合、第1の下層膜と第1の上層膜との界面において、酸素原子の面密度が大きい第1の上層膜から酸素原子の面密度が小さい第1の下層膜に負の酸素イオンが移動する(例えば、非特許文献2を参照。)。これにより、第1の上層膜が正に帯電し、第1の下層膜が負に帯電して双極子が形成されるため、第1の金属電極と第1のシリコン電極との界面におけるショットキーバリアの高さが低減する。
【0028】
また、第1の電界効果型トランジスタはP型トランジスタであり、第1の下層膜は第1の金属酸化膜であり、第1の上層膜は第1のシリコン酸化膜であり、第1の金属酸化膜は酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウムからなっていてもよい。
【0029】
また、第2の構成として、第1の電界効果型トランジスタはP型トランジスタであり、第1の下層膜は第1のシリコン酸化膜であり、第1の上層膜は第1の金属酸化膜であり、第1の金属酸化膜は酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウムからなっていてもよい。
【0030】
このようにすると、第1の金属電極と第1のシリコン電極との間の界面抵抗を下げるだけでなく、ランタンに代表されるトランジスタのしきい値電圧を変動させる金属原子のゲート絶縁膜中への拡散を抑制することができる。
【0031】
また、第1の電界効果型トランジスタはP型トランジスタであり、第1の下層膜は第2の上層膜に対して酸素原子の面密度が大きいことが好ましい。
【0032】
このように、第1のシリコン電極として、P型のシリコン電極(仕事関数:5.1eV程度)を用いるP型FETの場合は、第1の下層膜には第1の上層膜と比べて酸素原子の面密度が大きい材料を用いることにより、界面抵抗の低減が可能となる。この場合、第1の下層膜が正に帯電し、第1の上層膜が負に帯電することにより、双極子が形成されて、第1の金属電極と第1のシリコン電極との界面におけるショットキーバリアの高さが低減する。
【0033】
これらの場合に、第1のシリコン酸化膜は、0.3nm以上且つ1.0nm以下の膜厚を有し、第1の金属酸化膜の膜厚は、0.3nm以上且つ2.0nm以下の膜厚を有していてもよい。
【0034】
本発明の半導体装置は、半導体基板における第2の活性領域に形成された第2導電型の第2の電界効果型トランジスタをさらに備え、第2の電界効果型トランジスタは、第2の活性領域の上に形成された第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜の上に形成された第2のゲート電極とを有し、第2のゲート電極は、第2のゲート絶縁膜の上に形成された第2の金属電極と、該第2の金属電極の上に形成された第2の界面層と、該第2の界面層の上に形成された第2のシリコン電極とを有し、第1の界面層と第2の界面層とは、互いに異なる絶縁材料を有していてもよい。
【0035】
このようにすると、MIPS構造を有する相補型MISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Fielf Effect Transistor)における金属電極とシリコン電極との界面抵抗を低減することができる。
【0036】
この場合に、第2の界面層は、第2の金属電極の上に形成された第2の下層膜と、第2の下層膜の上に形成された第2の上層膜とを有し、第2の下層膜と第2の上層膜とは、互いに異なる絶縁材料からなることが好ましい。
【0037】
この場合に、第1の電界効果型トランジスタはN型トランジスタであり、第2の電界効果型トランジスタはP型トランジスタであり、第1の下層膜は第1の金属酸化膜であり、第1の上層膜は第1のシリコン酸化膜であり、第2の下層膜は第2の金属酸化膜であり、第2の上層膜は第2のシリコン酸化膜であり、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜とは、互いに異なる絶縁材料からなることが好ましい。
【0038】
この場合に、第1の金属酸化膜には、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウムを用いることができ、第2の金属酸化膜には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウムを用いることができる。
【0039】
また、この場合に、第2の構成として、第1の電界効果型トランジスタはN型トランジスタであり、第2の電界効果型トランジスタはP型トランジスタであり、第1の下層膜は第1のシリコン酸化膜であり、第1の上層膜は第1の金属酸化膜であり、第2の下層膜は第2のシリコン酸化膜であり、第2の上層膜は第2の金属酸化膜であり、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜とは、互いに異なる絶縁材料からなることが好ましい。
【0040】
この場合に、第1の金属酸化膜には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウムを用いることができ、第2の金属酸化膜には、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウムを用いることができる。
【0041】
本発明の半導体装置において、第1の界面層は、第1の金属電極と第1のシリコン電極との間に形成されるショットキーバリアの高さを低減する双極子を有していることが好ましい。
【0042】
この場合に、第1の金属電極は、第1のシリコン電極と直接に接触させた場合に、その接触した界面にショットキーバリアが発生する金属材料により構成されていることが好ましい。
【0043】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板における第1の活性領域の上にゲート絶縁膜を形成する工程(a)と、ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程(b)とを備え、ゲート電極は、ゲート絶縁膜の上に形成された金属電極と、該金属電極の上に形成された界面層と、該界面層の上に形成されたシリコン電極とを有している。
【0044】
本発明の半導体装置の製造方法によると、ゲート電極は、ゲート絶縁膜の上に形成された金属電極と、該金属電極の上に形成された界面層と、該界面層の上に形成されたシリコン電極とを有しているため、界面層が金属電極とシリコン電極との間に形成されるショットキーバリアの高さを低減する双極子を有していると、この界面層によって金属電極とシリコン電極との界面におけるエネルギーバンドが変調されてショットキーバリアの高さが低減する。これにより、金属電極とシリコン電極との間に生じる界面抵抗が小さくなる。
【0045】
本発明の半導体装置の製造方法において、界面層は、金属電極上に形成された下層膜と、該下層膜の上に形成された上層膜とを有し、下層膜と上層膜とは、互いに異なる絶縁材料からなっていてもよい。
【0046】
この場合に、下層膜及び上層膜のうち、一方はシリコン酸化膜であり、他方は金属酸化膜であってもよい。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、金属電極と該金属電極の上に形成されたシリコン電極とを有するゲート電極を備えた電界効果型トランジスタを実現する際に、シリコン電極中の不純物濃度が容易に実現できる程度の低い値であっても、金属電極とシリコン電極との界面に生じる界面抵抗を低減することができる。その結果、半導体集積回路の交流特性の劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す模式的な断面図である。
【図2】図2は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における金属電極とシリコン電極との間のエネルギーバンドを示す図である。
【図3】図3(a)〜図3(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式的な工程順の断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式的な工程順の断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式的な工程順の断面図である。
【図6】図6は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式的な一工程の断面図である。
【図7】図7は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す模式的な断面図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す要部の模式的な工程順の断面図である。
【図9】図9(a)〜図9(c)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す要部の模式的な工程順の断面図である。
【図10】図10は従来のMIPS構造を有する半導体装置を示す模式的な断面図である。
【図11】図11は従来のMIPS構造を有する半導体装置における金属電極とシリコン電極との間のエネルギーバンドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について図1を参照しながら説明する。
【0050】
図1に示すように、第1の実施形態に係る半導体装置は、例えば、P型シリコン(Si)からなる半導体基板100に形成されたP型FET領域10とN型FET領域20とを有している。半導体基板100の上部におけるP型FET領域10には、Nウェル領域101aと、該Nウェル領域101aのうち素子分離領域102に囲まれてなるN型の第1の活性領域103aとが形成されている。同様に、半導体基板100の上部におけるN型FET領域20には、Pウェル領域101bと、該Pウェル領域101bのうち素子分離領域102に囲まれてなるP型の第2の活性領域103bとが形成されている。
【0051】
(P型FET)
半導体基板100のP型FET領域10に形成されるP型FETは、第1の活性領域103aの上に第1のゲート絶縁膜106aを介在させて形成された第1の金属電極107aと、第1の金属電極107aの上に形成された第1の界面層110aと、該第1の界面層110aの上に形成されたP型の第1のシリコン電極111aと、第1のゲート絶縁膜106aから第1のシリコン電極111aまでの両側面上に形成された第1のサイドウォールスペーサ112aと、第1の活性領域103aの上部における第1のシリコン電極111aの両側方の領域に形成されたP型の第1のエクステンション領域113aと、第1の活性領域103aの上部における第1のエクステンション領域113aの外側の領域に形成されたP型の第1のソース/ドレイン領域114aとを有している。ここで、第1のソース/ドレイン領域114aは、第1のエクステンション領域113aよりも高濃度のP型の不純物を含んでいる。また、P型FETにおいて、第1の金属電極107a、第1の界面層110a及び第1のシリコン電極111aを併せて第1のゲート電極115aと呼ぶ。
【0052】
第1のゲート絶縁膜106aは、例えば膜厚が1nmの酸化シリコンからなる第1の下地絶縁膜104aと、該第1の下地絶縁膜104aの上に形成され、例えば膜厚が2nmの酸化ハフニウム等の高誘電率絶縁体である金属酸化物からなる第1の高誘電率絶縁膜105aとから構成される。ここで、高誘電率絶縁体とは、窒化シリコン(SiN)よりも誘電率が高い物質(例えば、比誘電率が8以上の絶縁体)を指す。
【0053】
第1のゲート電極115aは、第1のゲート絶縁膜106aの上に形成された金属又は導電性を持つ金属化合物からなる第1の金属電極107aと、第1の金属電極107aの上に順次形成された酸化アルミニウムからなる第1の下層膜108a及び酸化シリコンからなる第1の上層膜109aにより構成された第1の界面層110aと、該第1の界面層110aの上に形成されたP型のポリシリコン等からなる第1のシリコン電極111aとから構成される。
【0054】
例えば、第1の金属電極107aは、膜厚が5nmの窒化タンタル(TaN)等からなる。また、第1の界面層110aを構成する第1の下層膜108a及び第1の上層膜109aの膜厚は、それぞれ0.5nmである。第1の界面層110aの上に形成された第1のシリコン電極111aの膜厚は100nmである。第1のシリコン電極111aの下部、すなわち、第1の界面層110aとの界面における、例えばボロン(B)からなるP型の不純物の不純物濃度は7×1019atoms/cm程度である。また、例えば、第1のゲート電極115aのゲート長は40nm程度であり、第1のサイドウォールスペーサ112aの幅は、40nm程度である。
【0055】
P型の第1のエクステンション領域113aは、第1の活性領域103aの上部における第1のサイドウォールスペーサ112aの下側に位置すると共に、平面視において第1のゲート電極115aのゲート長方向側の各端部とそれぞれ重なるように設けられる。さらに、第1のエクステンション領域113aは、ボロン(B)等のP型の不純物がドープされ、その最大の不純物濃度は2×1020atoms/cm程度である。第1のエクステンション領域113aの接合深さ、すなわちN型の第1の活性領域103aとの間で形成されるPN接合面の、第1のサイドウォールスペーサ112aの下面(半導体基板100の表面)からの深さは20nm程度である。また、図示はしていないが、半導体基板100の第1の活性領域103aにおいて第1のエクステンション領域113aを下方及び側方からそれぞれ覆うように、砒素(As)又はリン(P)等のN型の不純物をドープした公知のポケット領域(例えばN型の不純物濃度は3×1018atoms/cm程度)を形成してもよい。このようなN型のポケット領域を第1の活性領域103aに形成することにより、P型FETの短チャネル特性を改善することが可能となる。
【0056】
P型の第1のソース/ドレイン領域114aは、第1の活性領域103aの上部における第1のゲート電極115aに対して第1のエクステンション領域113aの外側の領域に該第1のエクステンション領域113aと接続されて形成される。第1のソース/ドレイン領域114aは、ボロン(B)等のP型の不純物がドープされ、その最大の不純物濃度は1×1021atoms/cm程度である。第1のソース/ドレイン領域114aの接合深さ、すなわちN型の第1の活性領域103aとの間で形成されるPN接合面の、半導体基板100の表面からの深さは80nm程度である。
【0057】
また、第1の活性領域103aのうち、第1のゲート電極115aの下側に位置する部分は、Nウェル領域101の形成及びしきい値電圧の制御のためのN型の不純物がドープされる。N型の不純物は、砒素(As)又はリン(P)等であり、その不純物濃度は1×1017atoms/cm程度である。
【0058】
(N型FET)
一方、半導体基板100のN型FET領域20に形成されるN型FETは、第2の活性領域103bの上に第2のゲート絶縁膜106bを介在させて形成された第2の金属電極107bと、第2の金属電極107bの上に形成された第2の界面層110bと、第2の界面層110bの上に形成されたN型の第2のシリコン電極111bと、第2のゲート絶縁膜106bから第2のシリコン電極111bまでの両側面上に形成された第2のサイドウォールスペーサ112bと、第2の活性領域103bの上部における第2のシリコン電極111bの両側方の領域に形成されたN型の第2のエクステンション領域113bと、第2の活性領域103bの上部における第2のエクステンション領域113bの外側の領域に形成されたN型の第2のソース/ドレイン領域114bとを有している。ここで、第2のソース/ドレイン領域114bは、第2のエクステンション領域113bよりも高濃度のN型の不純物を含んでいる。また、N型FETにおいて、第2の金属電極107b、第2の界面層110b及び第2のシリコン電極111bを併せて第2のゲート電極115bと呼ぶ。
【0059】
第2のゲート絶縁膜106bは、例えば膜厚が1nmの酸化シリコンからなる第2の下地絶縁膜104bと、該第2の下地絶縁膜104bの上に形成され、膜厚が2nmの酸化ハフニウムからなる第2の高誘電率絶縁膜105bとから構成されている。
【0060】
第2のゲート電極115bは、第2のゲート絶縁膜106bの上に形成された金属又は導電性を持つ金属化合物からなる第2の金属電極107bと、第2の金属電極107bの上に順次形成された酸化ランタンからなる第2の下層膜108b及び酸化シリコンからなる第2の上層膜109bにより構成された第2の界面層110bと、該第2の界面層110bの上に形成されたN型のポリシリコン等からなる第2のシリコン電極111bとから構成される。
【0061】
例えば、第2の金属電極107bは、膜厚が5nmの窒化タンタル(TaN)等からなる。また、第2の界面層110bを構成する第2の下層膜108b及び第2の上層膜109bの膜厚は、それぞれ0.5nmである。第2の界面層110bの上に形成された第2のシリコン電極111bの膜厚は100nmである。第2の シリコン電極111bの下部、すなわち、第2の界面層110bとの界面における、例えばリン(P)からなるN型の不純物の不純物濃度は7×1019atoms/cm程度である。また、例えば、第2のゲート電極115bのゲート長は40nm程度であり、第2のサイドウォールスペーサ112bの幅は、40nm程度である。
【0062】
N型の第2のエクステンション領域113bは、第2の活性領域103bの上部における第2のサイドウォールスペーサ112bの下側に位置すると共に、平面視において第2のゲート電極115bのゲート長方向側の各端部とそれぞれ重なるように設けられる。さらに、第2のエクステンション領域113bは、砒素(As)等のN型の不純物がドープされ、その最大の不純物濃度は2×1020atoms/cm程度である。第2のエクステンション領域113bの接合深さ、すなわちP型の第2の活性領域103bとの間で形成されるPN接合面の、第2のサイドウォールスペーサ112bの下面(半導体基板100の表面)からの深さは20nm程度である。また、図示はしていないが、半導体基板100の第2の活性領域103bにおいて第2のエクステンション領域113bを下方及び側方からそれぞれ覆うように、ボロン(B)又はインジウム(In)等のP型の不純物をドープした公知のポケット領域(例えばP型の不純物濃度は3×1018atoms/cm程度)を形成してもよい。このようなP型のポケット領域を第2の活性領域103bに形成することにより、N型FETの短チャネル特性を改善することが可能となる。
【0063】
N型の第2のソース/ドレイン領域114bは、第2の活性領域103bの上部における第2のゲート電極115bに対して第2のエクステンション領域113bの外側の領域に該第2のエクステンション領域113bと接続されて形成される。第2のソース/ドレイン領域114bは、砒素(As)又はリン(P)等のN型の不純物がドープされ、その最大の不純物濃度は1×1021atoms/cm程度である。第2のソース/ドレイン領域114bの接合深さ、すなわちP型の第2の活性領域103bとの間で形成されるPN接合面の、半導体基板100の表面からの深さは80nm程度である。
【0064】
また、第2の活性領域103bのうち、第2のゲート電極115aの下側に位置する部分は、Pウェル領域101bの形成及びしきい値電圧の制御のためのP型の不純物がドープされる。P型不純物は、ボロン又はインジウム等であり、その不純物濃度は1×1017atoms/cm程度である。
【0065】
以下、前記のように構成された半導体装置において、第1の金属電極107aと第1のシリコン電極111aとの界面及び第2の金属電極107bと第2のシリコン電極111bとの界面にそれぞれ形成されるショットキーバリアの高さが低減するメカニズムについて図2を用いて説明する。
【0066】
図2は、図1に示したP型FETを構成する第1のゲート電極の基板面に垂直な方向におけるエネルギーバンド図を示している。前述したように、TaN(仕事関数:4.5eV)からなる金属電極とP型ポリシリコン(仕事関数:5.1eV)からなるシリコン電極とを直接に接触させた場合は、エネルギーバンドは図11に示したようになる。すなわち、金属電極とP型のシリコン電極との界面において、P型ポリシリコンのエネルギーバンドが下側に曲がり、ショットキーバリア(バリア高さ=0.6eV)が形成される。
【0067】
これに対し、第1の実施形態に係るP型FETにおいては、窒化タンタル(TaN)からなる第1の金属電極107aとP型ポリシリコンからなる第1のシリコン電極111aとの界面に双極子(電気双極子)を生成する第1の界面層110aを形成しており、双極子の影響によってエネルギーバンドの曲がりを変調することが可能となる。ここで、第1の金属電極107aの上に形成される第1の下層膜108aに酸化アルミニウム(Al)を用い、第1の下層膜108aの上に形成される第1の上層膜109aに酸化シリコン(SiO)を用いた場合は、両者の酸素原子の面密度の差によって、酸素原子の面密度が大きい第1の下層膜108aから酸素原子の面密度が小さい第1の上層膜109aに負電荷の酸素イオンが移動する(例えば、非特許文献2を参照。)。その結果、第1の下層膜108aが正に帯電し且つ第1の上層膜109aが負に帯電することにより、双極子が生成される。生成した双極子によるエネルギーバンドの変調量は、第1の下層膜108a及び第1の上層膜109aの構成材料における酸素原子の面密度の比の値に依存し、上記の場合は、0.5eV程度となる。その結果、図2に示すように、P型の第1のシリコン電極111aのエネルギーバンドの曲がりが小さくなる。この場合、ショットキーバリアの高さは、元の0.6eVから0.1eV(=0.6eV−0.5eV)程度と小さくなって、ショットキーバリアによる界面抵抗は、1×10−7Ωcm以下と極めて小さくなる。
【0068】
双極子は第1の界面層110aのうち、第1の下層膜108a及び第1の上層膜109aの界面に形成される。従って、第1の下層膜108a及び第1の上層膜109aの各膜厚が非常に薄くても、例えば、本実施形態のようにそれぞれ0.5nmであっても、双極子によるエネルギーバンドの変調が可能となる。その結果、第1の界面層110aを第1の金属電極107aと第1のシリコン電極111aとの界面に設けることによる抵抗値の増大を十分に小さくすることができる。これにより、第1の金属電極107aと第1のシリコン電極111aとの界面に生じる抵抗(ショットキーバリアの形成による界面抵抗と第1の界面層110aによる抵抗)を低減することができるので、P型FETを含む半導体集積回路の交流特性の劣化を抑制することが可能となる。
【0069】
また、N型FETにおいても、P型FETと同様のメカニズムにより、第2の金属電極107bとN型の第2のシリコン電極111bとの界面に生じる界面抵抗を低減することができる。従って、半導体集積回路の交流特性の劣化を抑制することができる。但し、N型FETの場合は、ショットキーバリアを形成するエネルギーバンドの曲がる向きがP型FETと反対に上側に曲がるため、第2の金属電極107bの上に形成する第2の下層膜108bとして、第2の上層膜109bに用いる酸化シリコンに対して酸素原子の面密度が小さい酸化ランタン(La)等を用いる必要がある。この場合、第2の下層膜108bが負に帯電し、第2の上層膜109bが正に帯電することにより双極子が形成されるため、エネルギーバンドの曲がりを小さくすることが可能となる。その結果、第2の金属電極107bと第2のシリコン電極111bとの間の界面抵抗が小さくなる。
【0070】
このように、第1の実施形態に係る半導体装置は、金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとの各界面に、該金属電極107a、107bとシリコン電極111a、111bとが接触した場合に生じるショットキーバリアを低減する向きに双極子を生成する界面層110a、110bを設けることを特徴とする。その上、双極子を生成する界面層110a、110bの膜厚は極めて薄くすることが可能であり、例えば1層の膜厚が0.5nmの下層膜108a、108b及び上層膜109a、109bをそれぞれ積層するため、各界面層110a、110bによる抵抗の上昇を抑制できる。その結果、金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとの各界面に生じる抵抗(ショットキーバリアの形成による界面抵抗と各界面層110a、110bによる抵抗)を低減することができるので、P型FET及びN型FETを含む半導体集積回路の交流特性の劣化を抑制できる。
【0071】
なお、P型FETにおける第1の界面層110aのうち第1の下層膜108aには酸化アルミニウムを用い、N型FETにおける第2の界面層110bのうち第2の下層膜108bには酸化ランタンを用いたが、膜の構成材料は上記に限定されない。すなわち、下層膜108a、108bと上層膜109a、109bとの各界面に生成される双極子の向きが、金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとを互いに接触させた場合に生じるショットキーバリアを低減する向きであれば良く、任意に選択することができる。
【0072】
例えば、P型FETの場合は、第1の下層膜108aとして、酸化アルミニウムに代えて、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウム等の、酸化シリコンに対して酸素原子の面密度が大きい材料を用いることができる。一方、N型FETの場合は、第2の下層膜108bとして、酸化ランタンに代えて、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム又は酸化ストロンチウム等の、酸化シリコンに対して酸素原子の面密度が小さい材料を用いることができる。
【0073】
また、下層膜108a、108b及び上層膜109a、109bのそれぞれ好ましい膜厚を以下に示す。下層膜108a、108bは、エネルギーバンドギャップが比較的に小さい材料であるため、0.3nm以上且つ2nm以下とすることが、該下層膜108a、108bによる抵抗成分を低減する観点から望ましい。一方、上層膜109a、109bを構成する酸化シリコンは、エネルギーバンドギャップが比較的に大きい材料であるため、0.3nm以上且つ1nm以下の範囲とすることが、該上層膜109a、109bによる抵抗成分を低減する観点から望ましい。
【0074】
また、下層膜108a、108b及びそれと対応する上層膜109a、109bは完全に分離している必要はない。P型FETを例に採ると、第1の下層膜108aは酸化アルミニウムが主要な構成要素であるが、その中に若干のシリコン原子が第1の上層膜109aから拡散し、一方、第1の上層膜109aは酸化シリコンが主要な構成要素であるが、その中に若干のアルミニウム原子が第1の下層膜108aから拡散しているような状態であってもよい。すなわち、第1の界面層110aに酸化アルミニウムと酸化シリコンとの分布に偏りがあり、この材料分布により第1の界面層110aに双極子が形成される状態であれば、本発明は有効である。
【0075】
また、各金属電極107a、107bの構成材料は、窒化タンタルに限定されない。本発明は、金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとをそれぞれ接触させた場合に生じるショットキーバリアを低くして、界面抵抗の低減を図るために、両者の界面に双極子を生成する界面層110a、110bを設ける構成を特徴とする。従って、P型FETの場合は、第1の金属電極107aの仕事関数がP型の第1のシリコン電極111aの仕事関数よりも小さいという関係を有する材料を第1の金属電極107aに用いる場合に、本発明が有効となる。同様に、N型FETの場合は、第2の金属電極107bの仕事関数がN型の第2のシリコン電極111bの仕事関数よりも大きいという関係を有する材料を第2の金属電極107bに用いる場合に、本発明が有効となる。特に、金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとの仕事関数の差、すなわちショットキーバリアの高さが0.2eV以上生じる場合に、本発明はより効果的である。
【0076】
また、各シリコン電極111a、111bの下部における不純物濃度は、上記の例に限定されない。シリコンと金属との界面抵抗の値は、ショットキーバリアの高さと不純物濃度との組み合わせにより決定される。従って、ショットキーバリアの高さを低くすることができれば、不純物濃度は小さくてもよい。逆に、ショットキーバリアの高さを十分に低くすることができなければ、不純物濃度を可能な限り高くすることが望ましい。特に、シリコン電極111a、111bの下部における不純物濃度が1×1019atoms/cm以上且つ2×1020atoms/cm以下である場合に、本発明は効果的である。
【0077】
また、各シリコン電極111a、111bには、ボロン等の不純物の固溶限界を向上させることができる、ゲルマニウム(Ge)を含むポリシリコン、すなわちポリシリコンゲルマニウムを用いることができる。
【0078】
なお、図1に示したように、P型FETには、第1の下層膜108a及び第1の上層膜109aからなる第1の界面層110aを設け、N型FETには、第2の下層膜108b及び第2の上層膜109bからなる第2の界面層110bを設けたが、これら界面層110a、110bは必ずしも双方のFETに設ける必要はない。例えば、金属電極107a、107bとして、タングステン(仕事関数:4.9eV程度)等の、仕事関数が大きい材料を用いた場合は、P型FETにおける第1の金属電極107aと第1のシリコン電極111aとで形成されるショットキーバリアの高さは0.2eV程度と小さくなる。このため、P型FETに対しては、第1の界面層110aは必ずしも設ける必要はない。
【0079】
一方、N型FETの場合は、第2の金属電極107bにタングステンを用いると、ショットキーバリアの高さが0.8eV(=4.9eV−4.1eV)程度と非常に大きくなる。このため、第2の界面層110bを設けることにより、界面抵抗を効果的に低減することができるようになる。同様に、アルミニウム(仕事関数:4.1eV程度)等の、仕事関数が小さい材料を第1の金属電極107aに用いる場合は、P型FETにのみ第1の界面層110aを設けることにより、効果的に界面抵抗を低減することが可能となる。
【0080】
(第1の実施形態に係る製造方法)
以下、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図3〜図6を参照しながら説明する。
【0081】
まず、図3(a)に示すように、シャロウトレンチ分離(Shallow Trench Isolation:STI)法等により、ボロン等のP型の不純物を含むシリコンからなる半導体基板100の上部に、P型FET領域10とN型FET領域20とを区画する素子分離領域102を選択的に形成する。続いて、P型FET領域10とN型FET領域20とに、それぞれNウェル領域101a及びPウェル領域101bを形成する。その後、しきい値電圧調整用の不純物をNウェル領域101a及びPウェル領域101bにそれぞれドープすることにより、P型FET及びN型FETにそれぞれ適した、不純物濃度がいずれも1×1017atoms/cm程度の第1の活性領域103a及び第2の活性領域103bを形成する。
【0082】
次に、図3(b)に示すように、各活性領域103a、103bの上に、ゲート絶縁膜形成用の膜厚が1nmのシリコン酸化膜104と膜厚が2nmのハフニウム酸化膜105とを順次堆積する。ここで、シリコン酸化膜104の形成には、例えば熱酸化法を用いることができ、ハフニウム酸化膜105の形成には、例えば化学気相堆積(CVD)法を用いることができる。続いて、ハフニウム酸化膜105の上に金属電極形成用の膜厚が5nmのタンタル窒化膜107を堆積する。続いて、タンタル窒化膜107の上に、P型FETの第1の界面層における第1の下層膜となる膜厚が0.5nmのアルミニウム酸化膜108Aと、第1の上層膜となる膜厚が0.5nmのシリコン酸化膜109Aとを順次堆積する。
【0083】
次に、図3(c)に示すように、リソグラフィ法により、半導体基板100の上にN型FET領域20に開口パターンを有する第1のレジストパターン201を形成する。その後、第1のレジストパターン201をマスクとして、N型FET領域20に形成されたシリコン酸化膜109A及びアルミニウム酸化膜108Aを順次除去する。具体的には、フッ酸によりシリコン酸化膜109Aを除去し、続いて、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液により、アルミニウム酸化膜108Aを除去する。これにより、N型FET領域20に、タンタル窒化膜107を露出させる。その後、第1のレジストパターン201を除去する。
【0084】
次に、図4(a)に示すように、半導体基板100の上の全面に、すなわち、P型FET領域10においてはシリコン酸化膜109Aの上に、N型FET領域20においてはタンタル窒化膜107の上に、N型FETの第2の界面層における第2の下層膜となる膜厚が0.5nmのランタン酸化膜108Bと、第2の上層膜となる膜厚が0.5nmのシリコン酸化膜109Bとを順次堆積する。
【0085】
次に、図4(b)に示すように、リソグラフィ法により、半導体基板100の上に、P型FET領域10に開口パターンを有する第2のレジストパターン202を形成する。その後、第2のレジストパターン202をマスクとして、P型FET領域10に形成されたシリコン酸化膜109B及びランタン酸化膜108Bを順次除去する。具体的には、フッ酸によりシリコン酸化膜109Bを除去し、続いて、塩酸によりランタン酸化膜108Bを除去する。これにより、P型FET領域10に、シリコン酸化膜109Aを露出させる。なお、アルミニウム酸化膜108A及びシリコン酸化膜109Aと、ランタン酸化膜108B及びシリコン酸化膜109Bとの形成順序は特に問われない。
【0086】
次に、図4(c)に示すように、第2のレジストパターン202を除去した後、半導体基板100の上の全面に、すなわち、P型FET領域10においてはシリコン酸化膜109Aの上に、N型FET領域20においてはシリコン酸化膜109Bの上に、シリコン電極形成用であって、膜厚が100nmで不純物がドープされていないポリシリコン膜111を堆積する。なお、シリコン酸化膜109A、109Bを、図3(b)及び図4(a)に示す工程で別々に形成するのではなく、本工程で一度に形成してもよい。このようにすると、N型FET及びP型FETに対して各上層膜形成用のシリコン酸化膜109A、109Bを一の工程で形成することが可能となるので、プロセスフローの簡略化を図ることができる。また、ポリシリコン膜111には、アンドープのポリシリコン膜を用いたが、ポリシリコンゲルマニウム膜を用いてもよい。
【0087】
次に、図5(a)に示すように、N型FET領域20を第3のレジストパターン(図示せず)でマスクして、ポリシリコン膜111のP型FET領域10にボロンを選択的にイオン注入することにより、P型FET領域10のポリシリコン膜111をP型ポリシリコン膜111Aとする。ここでのボロンのイオン注入は、加速エネルギーを3keVとし、ドーズ量を4×1015atoms/cmとする条件(注入深さRp+ΔRp=25nm)により行う。続いて、第3のレジストパターンを除去した後、P型FET領域10を第4のレジストパターン(図示せず)でマスクして、ポリシリコン膜111のN型FET領域20にリンを選択的にイオン注入することにより、N型FET領域20のポリシリコン膜111をN型ポリシリコン膜111Bとする。ここでのリンのイオン注入は、加速エネルギーを8keVとし、ドーズ量を4×1015atoms/cmとする条件(注入深さRp+ΔRp=25nm)により行う。その後、第4のレジストパターンを除去し、イオン注入によりドープされた各ポリシリコン膜111A、111Bに対して、アモルファス領域と結晶欠陥とを回復(結晶化)する、温度が750℃の窒素雰囲気で30秒間のアニールを行う。なお、P型ポリシリコン膜111AとN型ポリシリコン膜111Bとの形成順序は特に問われない。
【0088】
次に、図5(b)に示すように、ドープされた各ポリシリコン膜111A、111Bの上に、第1のゲート電極形成用及び第2のゲート電極形成用の第5のレジストパターン(図示せず)を形成し、形成した第5のレジストパターンをマスクとして、P型FET領域10においては、P型ポリシリコン膜111A、シリコン酸化膜109A、アルミニウム酸化膜108A、タンタル窒化膜107、ハフニウム酸化膜105及びシリコン酸化膜104に対してドライエッチングを行って順次パターニングする。同様に、第5のレジストパターンをマスクとして、N型FET領域20においては、N型ポリシリコン膜111B、シリコン酸化膜109B、ランタン酸化膜108B、タンタル窒化膜107、ハフニウム酸化膜105及びシリコン酸化膜104に対してドライエッチングを行って順次パターニングする。ここで、エッチングガスには、例えばCl/HBrを用いることができる。
【0089】
これにより、P型FET領域10には、パターニングされたシリコン酸化膜104から第1の下地絶縁膜104aが形成され、パターニングされたハフニウム酸化膜105から第1の高誘電率絶縁膜105aが形成されて、第1の下地絶縁膜104a及び第1の高誘電率絶縁膜105aからなる第1のゲート絶縁膜106aが形成される。また、パターニングされたタンタル窒化膜107から第1の金属電極107aが形成される。また、パターニングされたアルミニウム酸化膜108Aから第1の下層膜108aが形成され、パターニングされたシリコン酸化膜109Aから第1の上層膜109aが形成されて、第1の下層膜108a及び第1の上層膜109aからなる第1の界面層110aが形成される。また、パターニングされたP型ポリシリコン膜111AからP型の第1のシリコン電極111aが形成され、第1のゲート電極115aを得る。
【0090】
同様に、N型FET領域20には、パターニングされたシリコン酸化膜104から第2の下地絶縁膜104bが形成され、パターニングされたハフニウム酸化膜105から第2の高誘電率絶縁膜105bが形成されて、第2の下地絶縁膜104b及び第2の高誘電率絶縁膜105bからなる第2のゲート絶縁膜106bが形成される。また、パターニングされたタンタル窒化膜107から第2の金属電極107bが形成される。また、パターニングされたランタン酸化膜108Bから第2の下層膜108bが形成され、パターニングされたシリコン酸化膜109Bから第2の上層膜109bが形成されて、第2の下層膜108b及び第2の上層膜109bからなる第2の界面層110bが形成される。また、パターニングされたN型ポリシリコン膜111BからN型の第2のシリコン電極111bが形成され、第2のゲート電極115bを得る。なお、各ゲート電極115a、115bのゲート長寸法は40nmとしている。
【0091】
次に、図5(c)に示すように、第5のレジストパターンを除去し、その後、N型FET領域20をマスクする第6のレジストパターン(図示せず)を形成する。続いて、形成した第6のレジストパターン及び第1のゲート電極115aをマスクとして、P型FET領域10における第1の活性領域103aに、二フッ化ボロン(BF)をイオン注入する。これにより、第1の活性領域103aの上部であって、第1のゲート電極115aの両側方の領域にP型の第1のエクステンション注入領域113Aをそれぞれ形成する。ここで、二フッ化ボロンのイオン注入は、加速エネルギーを2keVとし、ドーズ量を1×1015atoms/cmとする条件(注入深さRp+ΔRp=4nm)で行う。
【0092】
続いて、第6のレジストパターンを除去し、その後、P型FET領域10をマスクする第7のレジストパターン(図示せず)を形成する。続いて、形成した第7のレジストパターン及び第2のゲート電極115bをマスクとして、N型FET領域20における第2の活性領域103bに、砒素(As)をイオン注入する。これにより、第2の活性領域103bの上部であって、第2のゲート電極115bの両側方の領域にN型の第2のエクステンション注入領域113Bをそれぞれ形成する。ここで、砒素のイオン注入は、加速エネルギーを2keVとし、ドーズ量を1×1015atoms/cmとする条件(注入深さRp+ΔRp=7nm)で行う。なお、第1のエクステンション注入領域113Aの形成と第2のエクステンション注入領域113Bの形成の順序は特に問われない。
【0093】
また、短チャネル特性の改善を図るために、P型エクステンション注入の前又は後に、P型FET領域10にN型ポケット注入を行ってもよい。N型ポケット注入の条件は、例えば、砒素を加速エネルギーが3keV、ドーズ量が3×1013atoms/cmで、チルト角が15°及びツイスト角が0°の4回転注入の条件下(注入深さRp+ΔRp=30nm)で行う。同様に、N型エクステンション注入の前又は後に、N型FET領域20にP型ポケット注入を行ってもよい。P型ポケット注入の条件は、例えば、ボロンを加速エネルギーが5keV、ドーズ量が3×1013atoms/cmで、チルト角が15°及びツイスト角が0°の4回転注入の条件下(注入深さRp+ΔRp=30nm)で行う。その後、第7のレジストパターンを除去する。
【0094】
次に、図6に示すように、CVD法により、各ゲート電極115a、115bを含む半導体基板100の上に膜厚が40nm程度のシリコン窒化膜を形成する。その後、形成したシリコン窒化膜をドライエッチングにより全面エッチバックをすることにより、各ゲート電極115a、115bの側面上に幅が40nmのシリコン窒化膜からなる第1のサイドウォールスペーサ112a及び第2のサイドウォールスペーサ112bをそれぞれ形成する。続いて、N型FET領域20を覆う第8のレジストパターン(図示せず)を形成し、形成した第8のレジストパターンと第1のゲート電極115a及び第1のサイドウォールスペーサ112aとをマスクとして、P型FET領域10の第1の活性領域103aにボロンをイオン注入する。これにより、第1の活性領域103aにおける第1のゲート電極115aの側方で第1のエクステンション注入領域113Bと接続されるP型の第1のソース/ドレイン注入領域を形成する。ここで、ボロンのイオン注入は、加速エネルギーが3keVで、ドーズ量が4×1015atoms/cmの条件で行う。
【0095】
続いて、第8のレジストパターンを除去した後、P型FET領域10を覆う第9のレジストパターン(図示せず)を形成し、形成した第9のレジストパターンと第2のゲート電極115b及び第2のサイドウォールスペーサ112bとをマスクとして、N型FET領域20の第2の活性領域103bにリンをイオン注入する。これにより、第2の活性領域103bにおける第2のゲート電極115bの側方で第2のエクステンション注入領域113Bと接続されるN型の第2のソース/ドレイン注入領域を形成する。ここで、リンのイオン注入は、加速エネルギーが8keVで、ドーズ量が4×1015atoms/cmの条件で行う。なお、P型ソース/ドレイン注入領域とN型ソース/ドレイン注入領域との形成順序は、特に問われない。
【0096】
続いて、第9のレジストパターンを除去した後、温度が1000℃のスパイクアニールを行うことにより、イオン注入により導入された不純物を活性化する。この活性化アニールにより、第1のエクステンション注入領域113Aのボロンが拡散して、P型の第1のエクステンション領域113aが形成される。同時に、第2のエクステンション注入領域113Bの砒素が拡散して、N型の第2のエクステンション領域113bが形成される。さらに、第1のソース/ドレイン注入領域のボロン、及び第2のソース/ドレイン注入領域のリンが拡散して、それぞれ、P型の第1のソース/ドレイン領域114a及びN型の第2のソース/ドレイン領域114bが形成される。なお、各エクステンション領域113a、113b、及び各ソース/ドレイン領域114a、114bにおける活性化アニール後の接合深さは、それぞれ20nm及び80nm程度である。
【0097】
このように、第1の実施形態に係る半導体装置の方法は、図5(b)に示したように、金属電極107a、107bとその上に形成されるシリコン電極111a、111bとの間に、双極子を生成する界面層110a、110bをそれぞれ形成する工程を有していることを特徴とする。これにより、各金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとを接触させた場合に形成される、ショットキーバリアの高さを低減することが可能となる。その結果、各ゲート電極115a、115bにおける界面抵抗の低減、及びそれによる半導体集積回路の交流特性の劣化を抑制することが可能となる。
【0098】
なお、界面層110a、110bをそれぞれ構成する、第1の下層膜108a及び第1の上層膜109a、並びに第2の下層膜108b及び第2の上層膜109bの形成方法は、特に限定しないが、膜厚のばらつきを低減するため、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法によって形成することが望ましい。
【0099】
また、P型FETにおいて、第1の界面層110aにおける第1の下層膜108aとして、酸化アルミニウムを用いたが、第1の下層膜108aは、酸化アルミニウムに限られず、上述したように、第1の上層膜109aに用いる酸化シリコンと比べて酸素原子の面密度が大きい材料を選択すればよい。また、N型FETにおいて、第2の界面層110bにおける第2の下層膜108bとして、酸化ランタンを用いたが、第2の下層膜108bは、酸化ランタンに限られず、上述したように、第2の上層膜109bに用いる酸化シリコンと比べて酸素原子の面密度が小さい材料を選択すればよい。
【0100】
また、第1の実施形態においては、P型FET及びN型FETの両方に、双極子を生成する界面層を形成しているが、いずれか一方のFETにのみ界面層を形成してもよい。すなわち、金属電極とシリコン電極との間に生じるショットキーバリアが低く、両者の界面抵抗の値が問題とならない程度に小さい場合は、界面抵抗の値が小さいFETには界面層を設ける必要はない。
【0101】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について図7を参照しながら説明する。
【0102】
第2の実施形態に係る半導体装置は、双極子を生成する界面層の構成を第1の実施形態と異ならせることにより、金属とシリコンとの間の界面抵抗を低減するのに加え、トランジスタのしきい値電圧の変動を抑制することができる。
【0103】
以下、第1の実施形態に係る半導体装置との相違点について説明する。なお、図1に示す半導体装置に付した符号と同一の構成部材には、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0104】
図7に示すように、第2の実施形態に係る半導体装置は、図1に示す第1の実施形態に係る半導体装置とは、P型FETの第1のゲート電極115aのうち、第1の金属電極107aとP型の第1のシリコン電極111aとの間に形成される第1の界面層120a、及びN型FETの第2のゲート電極115bのうち、第2の金属電極107bとN型の第2のシリコン電極111bとの間に形成される第2の界面層120bの構成が異なる。
【0105】
第1のゲート電極115aを構成する第1の界面層120aは、例えば、第1の金属電極107aの上に形成された、厚さが0.5nmの酸化シリコンからなる第1の下層膜118aと、該第1の下層膜118aの上に形成された、厚さが0.5nmの酸化ランタンからなる第1の上層膜119aとから構成される。
【0106】
第2のゲート電極115bを構成する第2の界面層120bは、例えば、第2の金属電極107bの上に形成された、厚さが0.5nmの酸化シリコンからなる第2の下層膜118bと、該第2の下層膜118bの上に形成された、厚さが0.5nmの酸化アルミニウムからなる第2の上層膜119bとから構成される。
【0107】
このように、各金属電極107a、107bとその上に形成される各シリコン電極111a、111bとの間に、それぞれ互いに逆向きの双極子を生成する第1の界面層120a及び第2の界面層120bを形成することにより、各金属電極107a、107bと各シリコン電極111a、111bとの界面にそれぞれ形成されるショットキーバリアの高さを低減することができる。このショットキーバリアの高さが低減するメカニズムは、第1の実施形態で示した図2を用いた説明と実質的に同一である。
【0108】
但し、第2の実施形態においては、各金属電極107a、107bの上に、それぞれ酸化シリコンからなる下層膜118a、118bを形成するため、各下層膜118a、118bの上に形成される各上層膜119a、119bに求められる材料が、第1の実施形態とは異なる。
【0109】
すなわち、P型FET領域10におけるP型FETにおいては、第1の金属電極107aと第1のシリコン電極111aとの間に形成されるショットキーバリアの高さを低減するために、第1の上層膜119aは第1の下層膜118aよりも酸素原子の面密度が小さい絶縁膜で形成する必要がある。従って、第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なり、第1の下層膜118aとして酸化シリコンを用い、第1の上層膜119aとして、該酸化シリコンよりも酸素原子の面密度が小さい酸化ランタン等を用いる。
【0110】
一方、N型FET領域20におけるN型FETにおいては、第2の金属電極107bとその上の第2のシリコン電極111bとの間に形成されるショットキーバリアの高さを低減するために、第2の上層膜119bは第2の下層膜118bよりも酸素原子の面密度が大きい絶縁膜で形成する必要がある。従って、第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なり、第2の下層膜118bとして酸化シリコンを用い、第2の上層膜119bとして、該酸化シリコンよりも酸素原子の面密度が大きい酸化アルミニウム等を用いる。
【0111】
さらに、第2の実施形態に係る半導体装置は、P型FET及びN型FETにおける各しきい値電圧の変動を抑制することが可能となる。以下、そのメカニズムについて説明する。
【0112】
上述したように、本発明は、金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとの界面に生じるショットキーバリアの高さを、それぞれ双極子を有する界面層120a、120bを両者の界面に設けることにより低減している。これにより、金属電極107a、107bとシリコン電極111a、111bとの界面抵抗の低減を図っている。この界面抵抗の低減を図るために、界面層120a、120bとして、例えばシリコン酸化膜とアルミニウム酸化膜とを積層してなり、双極子が生成される積層絶縁膜を用いている。しかしながら、界面層120a、120bに含まれるアルミニウム又はランタン等の金属原子が製造中の熱処理等によって、金属電極107a、107bの下側に形成されているゲート絶縁膜106a、106bにまで拡散すると、トランジスタのしきい値電圧が変動することが知られている(例えば、非特許文献2を参照。)。
【0113】
そこで、第2の実施形態においては、各金属電極107a、107bの上に直接に形成する下層膜118a、118bとしてシリコン酸化膜を用い、該シリコン酸化膜の上に形成する上層膜119a、119bとして、P型FETにおいては酸化ランタンを用い、N型FETにおいては酸化アルミニウムを用いる。これにより、各トランジスタのしきい値電圧の変動を抑制することが可能となる。
【0114】
すなわち、各金属電極107a、107bの上に直接に形成するシリコン酸化膜により、アルミニウム原子又はランタン原子がゲート絶縁膜106a、106bにまで拡散することを抑制できる。これにより、各トランジスタのしきい値電圧を変動させるおそれがあるアルミニウム又はランタン等を含む界面層120a、120bを金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとの間に設ける構成であっても、各トランジスタのしきい値電圧の変動を抑制することが可能となる。
【0115】
なお、各上層膜119a、119bの膜種は、上記の酸化ランタン及び酸化アルミニウムに限定されない。すなわち、各下層膜118a、118bと各上層膜119a、119bとの界面にそれぞれ形成される双極子の向きが、金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとを互いに接触させた場合に生じるショットキーバリアを低減する向きであれば良く、任意に選択することができる。
【0116】
例えば、P型FETの場合は、第1の上層膜119aとして、酸化ランタン以外にも、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウム等の、第1の下層膜118aを構成する酸化シリコンに対して、酸素原子の面密度が小さい材料を用いることができる。
【0117】
一方、N型FETの場合は、第2の上層膜119bとして、酸化アルミニウム以外にも、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウム等の、第2の下層膜118bを構成する酸化シリコンに対して、酸素原子の面密度が大きい材料を用いることができる。
【0118】
なお、各下層膜118a、118b及び各上層膜119a、119bのそれぞれ好ましい膜厚を以下に示す。下層膜118a、118bにおいては、これらを構成する酸化シリコンはエネルギーバンドギャップが比較的に大きい材料であるため、0.3nm以上且つ1nm以下とすることが、下層膜118a、118bによる抵抗成分を低減する観点から望ましい。一方、上層膜119a、119bはエネルギーバンドギャップが比較的に小さい材料であるため、0.3nm以上且つ2nm以下の範囲で形成することが、該上層膜119a、119bによる抵抗成分を低減する観点から望ましい。
【0119】
また、下層膜118a、118b及びそれと対応する上層膜119a、119bは完全に分離している必要はない。P型FETを例に採ると、第1の上層膜119aは酸化ランタンが主要な構成要素であるが、その中に若干のシリコン原子が第1の下層膜118aから拡散し、一方、第1の下層膜118aは酸化シリコンが主要な構成要素であるが、その中に若干のランタン原子が第1の上層膜119aから拡散しているような状態であってもよい。すなわち、第1の界面層120aに酸化ランタンと酸化シリコンとの分布に偏りがあり、この材料分布により第1の界面層120aに双極子が形成される状態であれば、本発明は有効である。
【0120】
上述した第1の界面層120a及び第2の界面層120b以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0121】
(第2の実施形態に係る製造方法)
以下、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の要部について図8及び図9を参照しながら説明する。
【0122】
まず、図8(a)に示すように、STI法等により、ボロン等のP型の不純物を含むシリコンからなる半導体基板100の上部に、P型FET領域10とN型FET領域20とを区画する素子分離領域102を選択的に形成する。続いて、P型FET領域10とN型FET領域20とに、それぞれNウェル領域101a及びPウェル領域101bを形成する。その後、しきい値電圧調整用の不純物をNウェル領域101a及びPウェル領域101bにそれぞれドープすることにより、P型FET及びN型FETにそれぞれ適した、不純物濃度がいずれも1×1017atoms/cm程度の第1の活性領域103a及び第2の活性領域103bを形成する。
【0123】
次に、図8(b)に示すように、各活性領域103a、103bの上に、ゲート絶縁膜形成用の膜厚が1nmのシリコン酸化膜104と膜厚が2nmのハフニウム酸化膜105とを順次堆積する。ここで、シリコン酸化膜104の形成には、例えば熱酸化法を用いることができ、ハフニウム酸化膜105の形成には、例えばCVD法を用いることができる。続いて、ハフニウム酸化膜105の上に金属電極形成用の膜厚が5nmのタンタル窒化膜107を堆積する。続いて、タンタル窒化膜107の上に、P型FETの第1の界面層における第1の下層膜となる膜厚が0.5nmのシリコン酸化膜118Aと、第1の上層膜となる膜厚が0.5nmのランタン酸化膜119Aとを順次堆積する。
【0124】
次に、図8(c)に示すように、リソグラフィ法により、半導体基板100の上にN型FET領域20に開口パターンを有する第1のレジストパターン201を形成する。その後、第1のレジストパターン201をマスクとして、N型FET領域20に形成されたランタン酸化膜119A及びシリコン酸化膜118Aを順次除去する。具体的には、塩酸によりランタン酸化膜119Aを除去し、続いて、フッ酸によりシリコン酸化膜118Aを除去する。これにより、N型FET領域20に、タンタル窒化膜107を露出させる。その後、第1のレジストパターン201を除去する。
【0125】
次に、図9(a)に示すように、半導体基板100の上の全面に、すなわち、P型FET領域10においてはランタン酸化膜119Aの上に、N型FET領域20においてはタンタル窒化膜107の上に、N型FETの第2の界面層における第2の下層膜となる膜厚が0.5nmのシリコン酸化膜118Bと、第2の上層膜となる膜厚が0.5nmのアルミニウム酸化膜119Bとを順次堆積する。
【0126】
次に、図9(b)に示すように、リソグラフィ法により、半導体基板100の上に、P型FET領域10に開口パターンを有する第2のレジストパターン202を形成する。その後、第2のレジストパターン202をマスクとして、P型FET領域10に形成されたアルミニウム酸化膜119B及びシリコン酸化膜118Bを順次除去する。具体的には、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液によりアルミニウム酸化膜119Bを除去し、続いて、フッ酸によりシリコン酸化膜118Bを除去する。これにより、P型FET領域10に、ランタン酸化膜119Aを露出させる。なお、シリコン酸化膜118A及びランタン酸化膜119Aと、シリコン酸化膜118B及びアルミニウム酸化膜119Bとの形成順序は特に問われない。また、シリコン酸化膜118A、118Bを、図8(b)及び図9(a)に示す工程で別々に形成するのではなく、図8(c)に示す工程でランタン酸化膜119Aのみを除去して、シリコン酸化膜118Aを残しておき、続く図9(a)に示す工程でアルミニウム酸化膜119Bのみを堆積し、さらに、続く図9(b)に示す工程で、P型FET領域10のアルミニウム酸化膜119Bのみを選択的に除去してもよい。これにより、N型FET及びP型FETにおける各界面層の下層膜となるシリコン酸化膜118A、118Bを共通化することが可能となるので、プロセスフローの簡略化を図ることができる。
【0127】
次に、図9(c)に示すように、第2のレジストパターン202を除去した後、半導体基板100の上の全面に、すなわち、P型FET領域10においてはランタン酸化膜119Aの上に、N型FET領域20においてはアルミニウム酸化膜119Bの上に、シリコン電極形成用であって、膜厚が100nmで不純物がドープされていないポリシリコン膜111を堆積する。ここで、ポリシリコン膜111には、アンドープのポリシリコン膜を用いたが、ポリシリコンゲルマニウム膜を用いてもよい。
【0128】
これ以降は、第1の実施形態に係る製造方法における図5(a)以降に示す工程と同様であり、それらの製造工程により、図7に示す第2の実施形態に係る半導体装置を実現することができる。
【0129】
以上説明したように、第2の実施形態に係る製造方法は、金属電極107a、107bとその上に形成されるシリコン電極111a、111bとの間に、双極子を生成する界面層120a、120bをそれぞれ形成する工程を有していることを特徴とする。これにより、金属電極107a、107bとその上のシリコン電極111a、111bとを互いに接触させた場合に形成される、ショットキーバリアの高さを低減することが可能となる。その結果、各ゲート電極115a、115bにおける界面抵抗の低減、及びそれによる半導体集積回路の交流特性の劣化を抑制することができる。さらに、第2の実施形態においては、各界面層120a、120bは、酸化シリコンからなる下層膜118a、118bを各金属電極107a、107bの上に形成し、各下層膜118a、118bの上に酸化シリコンとは酸素原子の面密度が異なる、例えば、酸化ランタン又は酸化アルミニウムに代表される上層膜119a、119bを形成する。これにより、下層膜であるシリコン酸化膜により、上層膜119a、119bに含まれるアルミニウム原子又はランタン原子のゲート絶縁膜106a、106bへの拡散が抑制されるため、各トランジスタのしきい値電圧変動を抑制することが可能となる。
【0130】
なお、各下層膜118a、118b及び各上層膜119a、119bの形成方法は、特に限定しないが、膜厚のばらつきを低減するため、ALD法で形成することが望ましい。
る。
【0131】
また、P型FETにおいて、第1の界面層120aにおける第1の上層膜119aとして、酸化ランタンを用いたが、第1の上層膜119aは、酸化ランタンに限られず、上述したように、第1の下層膜118aに用いる酸化シリコンと比べて酸素原子の面密度が小さい材料を選択すればよい。また、N型FETにおいて、第2の界面層120bにおける第2の上層膜119bとして、酸化アルミニウムを用いたが、第2の上層膜119bは、酸化アルミニウムに限られず、上述したように、第2の下層膜118bに用いる酸化シリコンと比べて酸素原子の面密度が大きい材料を選択すればよい。
【0132】
また、第2の実施形態においては、P型FET及びN型FETの両方に、双極子を生成する界面層を形成しているが、いずれか一方のFETにのみ界面層を形成してもよい。すなわち、金属電極とシリコン電極との間に生じるショットキーバリアが低く、両者の界面抵抗の値が問題とならない程度に小さい場合は、界面抵抗の値が小さいFETには界面層を設ける必要はない。
【0133】
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した、各ゲート絶縁膜106a、106b、各金属電極107a、107b、各シリコン電極111a、111b、各サイドウォールスペーサ112a、112bの材料及び膜厚、並びに各シリコン電極111a、111b、各エクステンション領域113a、113b、各ソース/ドレイン領域114a、114bにドープされる不純物材料、注入条件及び熱処理条件等は一例に過ぎない。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、各材量及びプロセス条件は適宣変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明に係る半導体装置は、金属電極と該金属電極の上に形成されたシリコン電極とを有するゲート電極を備えた電界効果型トランジスタを実現する際に、金属電極とシリコン電極との界面に生じる界面抵抗を低減することができ、良好な交流特性を要求される半導体集積回路装置等に有効である。
【符号の説明】
【0135】
10 P型FET領域
20 N型FET領域
100 半導体基板
101a Nウェル領域
101b Pウェル領域
102 素子分離領域
103a 第1の活性領域
103b 第2の活性領域
104a 第1の下地絶縁膜
104b 第2の下地絶縁膜
104 シリコン酸化膜
105a 第1の高誘電率絶縁膜
105b 第2の高誘電率絶縁膜
105 ハフニウム酸化膜
106a 第1のゲート絶縁膜
106b 第2のゲート絶縁膜
107a 第1の金属電極
107b 第2の金属電極
107 タンタル窒化膜
108a 第1の下層膜
108A アルミニウム酸化膜
108b 第2の下層膜
108B ランタン酸化膜
109a 第1の上層膜
109A シリコン酸化膜
109b 第2の上層膜
109B シリコン酸化膜
110a 第1の界面層
110b 第2の界面層
111a 第1のシリコン電極
111b 第2のシリコン電極
111A P型ポリシリコン膜
111B N型ポリシリコン膜
112a 第1のサイドウォールスペーサ
112b 第2のサイドウォールスペーサ
113a 第1のエクステンション領域
113A 第1のエクステンション注入領域
113b 第2のエクステンション領域
113B 第2のエクステンション注入領域
114a 第1のソース/ドレイン領域
114b 第2のソース/ドレイン領域
115a 第1のゲート電極
115b 第2のゲート電極
118a 第1の下層膜
118A シリコン酸化膜
118b 第2の下層膜
118B シリコン酸化膜
119a 第1の上層膜
119A ランタン酸化膜
119b 第2の上層膜
119B アルミニウム酸化膜
120a 第1の界面層
120b 第2の界面層
201 第1のレジストパターン
202 第2のレジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板における第1の活性領域に形成された第1導電型の第1の電界効果型トランジスタを備え、
前記第1の電界効果型トランジスタは、
前記第1の活性領域の上に形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜の上に形成された第1のゲート電極とを有し、
前記第1のゲート電極は、前記第1のゲート絶縁膜の上に形成された第1の金属電極と、該第1の金属電極の上に形成された第1の界面層と、該第1の界面層の上に形成された第1のシリコン電極とを有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の界面層は、前記第1の金属電極の上に形成された第1の下層膜と、該第1の下層膜の上に形成された第1の上層膜とを有し、
前記第1の下層膜と前記第1の上層膜とは、互いに異なる絶縁材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の下層膜及び前記第1の上層膜のうち、一方は第1のシリコン酸化膜であり、他方は第1の金属酸化膜であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の電界効果型トランジスタは、N型トランジスタであり、
前記第1の下層膜は、前記第1の金属酸化膜であり、
前記第1の上層膜は、前記第1のシリコン酸化膜であり、
前記第1の金属酸化膜は、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウムからなることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の電界効果型トランジスタは、N型トランジスタであり、
前記第1の下層膜は、前記第1のシリコン酸化膜であり、
前記第1の上層膜は、前記第1の金属酸化膜であり、
前記第1の金属酸化膜は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウムからなることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の電界効果型トランジスタは、N型トランジスタであり、
前記第1の下層膜は、前記第2の上層膜に対して酸素原子の面密度が小さいことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の電界効果型トランジスタは、P型トランジスタであり、
前記第1の下層膜は、前記第1の金属酸化膜であり、
前記第1の上層膜は、前記第1のシリコン酸化膜であり、
前記第1の金属酸化膜は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウムからなることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の電界効果型トランジスタは、P型トランジスタであり、
前記第1の下層膜は、前記第1のシリコン酸化膜であり、
前記第1の上層膜は、前記第1の金属酸化膜であり、
前記第1の金属酸化膜は、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウムからなることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の電界効果型トランジスタは、P型トランジスタであり、
前記第1の下層膜は、前記第2の上層膜に対して酸素原子の面密度が大きいことを特徴とする請求項2、3、7及び8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1のシリコン酸化膜は、0.3nm以上且つ1.0nm以下の膜厚を有し、
前記第1の金属酸化膜の膜厚は、0.3nm以上且つ2.0nm以下の膜厚を有していることを特徴とする請求項3〜5、7及び8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板における第2の活性領域に形成された第2導電型の第2の電界効果型トランジスタをさらに備え、
前記第2の電界効果型トランジスタは、
前記第2の活性領域の上に形成された第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜の上に形成された第2のゲート電極とを有し、
前記第2のゲート電極は、前記第2のゲート絶縁膜の上に形成された第2の金属電極と、該第2の金属電極の上に形成された第2の界面層と、該第2の界面層の上に形成された第2のシリコン電極とを有し、
前記第1の界面層と前記第2の界面層とは、互いに異なる絶縁材料を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の界面層は、前記第2の金属電極の上に形成された第2の下層膜と、前記第2の下層膜の上に形成された第2の上層膜とを有し、
前記第2の下層膜と前記第2の上層膜とは、互いに異なる絶縁材料からなることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の電界効果型トランジスタは、N型トランジスタであり、
前記第2の電界効果型トランジスタは、P型トランジスタであり、
前記第1の下層膜は、第1の金属酸化膜であり、
前記第1の上層膜は、第1のシリコン酸化膜であり、
前記第2の下層膜は、第2の金属酸化膜であり、
前記第2の上層膜は、第2のシリコン酸化膜であり、
前記第1の金属酸化膜と前記第2の金属酸化膜とは、互いに異なる絶縁材料からなることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1の金属酸化膜は、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウムからなり、
前記第2の金属酸化膜は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウムからなることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1の電界効果型トランジスタは、N型トランジスタであり、
前記第2の電界効果型トランジスタは、P型トランジスタであり、
前記第1の下層膜は、第1のシリコン酸化膜であり、
前記第1の上層膜は、第1の金属酸化膜であり、
前記第2の下層膜は、第2のシリコン酸化膜であり、
前記第2の上層膜は、第2の金属酸化膜であり、
前記第1の金属酸化膜と前記第2の金属酸化膜とは、互いに異なる絶縁材料からなることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1の金属酸化膜は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、又は酸化スカンジウムからなり、
前記第2の金属酸化膜は、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム、又は酸化ストロンチウムからなることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1の界面層は、前記第1の金属電極と前記第1のシリコン電極との間に形成されるショットキーバリアの高さを低減する双極子を有していることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1の金属電極は、前記第1のシリコン電極と直接に接触させた場合に、その接触した界面にショットキーバリアが発生する金属材料により構成されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項19】
半導体基板における第1の活性領域の上にゲート絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程(b)とを備え、
前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜の上に形成された金属電極と、該金属電極の上に形成された界面層と、該界面層の上に形成されたシリコン電極とを有していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記界面層は、前記金属電極上に形成された下層膜と、該下層膜の上に形成された上層膜とを有し、
前記下層膜と前記上層膜とは、互いに異なる絶縁材料からなることを特徴とする請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記下層膜及び前記上層膜のうち、一方はシリコン酸化膜であり、他方は金属酸化膜であることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−64695(P2012−64695A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206601(P2010−206601)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】