説明

半導体装置

【課題】 埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】 絶縁膜14,15に配線溝を形成し、その配線溝の底面および側面上を含む絶縁膜15上に導電性バリア膜18と銅の主導体膜19を形成し、CMP法により不要な部分を除去して配線20を形成する。そして、主導体膜19上にタングステンからなる金属キャップ膜22を選択成長させてから、配線20を埋込んだ絶縁膜15上に絶縁膜23〜26を形成し、ビア30が金属キャップ膜22を貫通して主導体膜19を露出するようにビア30及び配線溝31を形成し、ビア30の底部で露出した主導体膜19上にタングステンからなる金属キャップ膜32を選択成長させた後に、ビア30および配線溝31の内部を含む絶縁膜26上に導電性バリア膜33と銅の主導体膜34を形成し、CMP法により不要な部分を除去して配線35を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、銅を主成分とする主導体膜を含む埋込配線を有する半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の素子間は、例えば多層配線構造により結線され回路が構成される。微細化に伴い配線構造として埋込配線構造が開発されている。埋込配線構造は、例えば絶縁膜に形成された配線溝や孔(ビア)などのような配線開口部内に、ダマシン(Damascene)技術、シングルダマシン(Single-Damascene)技術およびデュアルダマシン(Dual-Damascene)技術によって、配線材料を埋め込むことで形成される。
【0003】
特開2002−343859号公報には、銅配線のビア部でのボイドの発生を防止するために上層配線とバリア金属の密着性とバリア金属と下層配線の密着性を上げるために、W−WN−WまたはTa−TaN−Ta構造にする開示がある(特許文献1参照)。また、特開2003−68848号公報には、ビア部において下層銅配線上に選択的にWを成長させた構造の開示がある(特許文献2参照)。また、特開2001−319928号公報には、下層配線のCu上にWを選択成長させてWプラグをそのW選択成長膜の上に形成する開示がある(特許文献3参照)。また、特開2002−64138号公報には、プラグと下層配線の接触面積を大きくするために下層配線の表面をオーバーエッチングした後にWプラグを形成する開示がある(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−343859号公報
【特許文献2】特開2003−68848号公報
【特許文献3】特開2001−319928号公報
【特許文献4】特開2002−64138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者の検討によれば、次のような問題があることを見出した。
【0005】
銅を主成分とする埋込銅配線構造においては、ストレスマイグレーションなどにより不良が発生することがある。例えば、高温放置試験のように埋込銅配線へ熱ストレス負荷をかけると、埋込銅配線の電気抵抗が上昇する。これは、下層埋込銅配線の上面と上層埋込銅配線のビア部(ビア埋込部)との間に空隙またはボイドが形成され、下層配線と上層配線の間の接続面積が低減するためである。このような現象は、埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性を低減させる。
【0006】
本発明の目的は、埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性を向上させることができる技術を提供することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
本発明は、下層銅配線上にキャップ導体膜を形成し、下層銅配線に接続するビア形成時にビア底部でそのキャップ導体膜を除去し、ビア底部の下層銅配線上に再度キャップ導体膜を形成した後に、上層銅配線形成用のバリア導体膜と銅を主成分とする導体膜とを形成したものである。
【0010】
また、本発明は、半導体基板と、半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、第1絶縁膜に形成された第1開口部と、第1開口部の側壁および底部上に形成された第1バリア導体膜と第1開口部内を埋めるように第1バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第1導体膜とを有する第1配線と、第1導体膜上に形成された第1キャップ導体膜と、第1絶縁膜および第1キャップ導体膜上に形成された第2絶縁膜と、第2絶縁膜に形成されその底部で第1導体膜を露出する第2開口部と、第2開口部の底部で露出する第1導体膜上に形成された第2キャップ導体膜と、第2開口部の側壁上と底部の第2キャップ導体膜上に形成された第2バリア導体膜と、第2開口部内を埋めるように第2バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第2導体膜とを有するものである。
【0011】
更に、本願に記載されたその他の発明の概要を箇条書きにして以下に示す。すなわち、
項1:(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記第1絶縁膜に第1開口部を形成する工程、
(d)前記第1開口部の側壁および底部上に形成された第1バリア導体膜と、前記第1開口部内を埋めるように前記第1バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第1導体膜とを有する第1配線を形成する工程、
(e)前記第1配線上に第1キャップ導体膜を形成する工程、
(f)前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に第2絶縁膜を形成する工程、
(g)前記第2絶縁膜および前記第1キャップ導体膜を選択的に除去して、その底部で前記第1導体膜を露出する第2開口部を形成する工程、
(h)前記第2開口部の底部で露出する前記第1導体膜上に第2キャップ導体膜を形成する工程、
(i)前記第2開口部の内部を含む前記第2絶縁膜上に第2バリア導体膜を形成する工程、
(j)前記第2開口部内を埋めるように前記第2バリア導体膜上に銅を主成分とする第2導体膜を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項2:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程は、
(d1)前記第1開口部の内部を含む前記第1絶縁膜上に前記第1バリア導体膜を形成する工程、
(d2)前記第1開口部内を埋めるように前記第1バリア導体膜上に銅を主成分とする前記第1導体膜を形成する工程、
(d3)前記第1開口部外部の前記第1導体膜および前記第1バリア導体膜を除去して前記第1開口部内に前記第1配線を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項3:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(j)工程後に、更に、
(k)前記第2開口部外部の前記第2導体膜および前記第2バリア導体膜を除去する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項4:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程では、前記第1配線上に前記第1キャップ導体膜を選択成長または優先成長させることにより、前記第1キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項5:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程では、前記第2開口部の底部で露出する前記第1導体膜上に前記第2キャップ導体膜を選択成長または優先成長させることにより、前記第2キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項6:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1キャップ導体膜は、タングステン、タングステン合金、コバルト、コバルト合金、ニッケルまたはニッケル合金からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
項7:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2キャップ導体膜は、タングステン、タングステン合金、コバルト、コバルト合金、ニッケルまたはニッケル合金からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
項8:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程で形成される前記第1キャップ導体膜の膜厚は、2〜20nmの範囲内であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
項9:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程で形成される前記第2キャップ導体膜の膜厚は、2〜20nmの範囲内であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
項10:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1バリア導体膜がタングステン以外の高融点金属膜を含み、
前記(e)工程では、無電解めっき法により前記第1キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項11:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1バリア導体膜がタングステン以外の高融点金属膜を含んでおらず、
前記(e)工程では、CVD法または無電解めっき法により前記第1キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項12:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記第2開口部の底部で第1バリア導体膜が露出しないように前記第2開口部を形成し、
前記(h)工程では、CVD法または無電解めっき法により前記第2キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項13:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1バリア導体膜がタングステン以外の高融点金属膜を含んでおらず、
前記(g)工程では、前記第2開口部の底部で第1バリア導体膜が露出するように前記第2開口部を形成し、
前記(h)工程では、CVD法または無電解めっき法により前記第2キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項14:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1バリア導体膜がタングステン以外の高融点金属膜を含み、
前記(g)工程では、前記第2開口部の底部で第1バリア導体膜が露出するように前記第2開口部を形成し、
前記(h)工程では、無電解めっき法により前記第2キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項15:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程前に、更に、
(e1)前記第1配線の上面を前記第1絶縁膜の上面よりも後退させる工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項16:項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程では、前記第1キャップ導体膜の上面と前記第1絶縁膜の上面とが略平面になるように、前記第1キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項17:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記第2絶縁膜に形成された配線溝と前記配線溝の底部から前記第1導体膜まで到達するビアとを有する前記第2開口部を形成し、
前記(h)工程では、前記ビアの底部で露出する前記第1導体膜上に前記第2キャップ導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項18:項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に形成されたバリア絶縁膜を含む複数の絶縁膜からなる前記第2絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項19:(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記第1絶縁膜に第1開口部を形成する工程、
(d)前記第1開口部の側壁および底部上に形成された第1バリア導体膜と、前記第1開口部内を埋めるように前記第1バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第1導体膜とを有する第1配線を形成する工程、
(e)前記第1配線上に選択的に第1キャップ導体膜を形成する工程、
(f)前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に第2絶縁膜を形成する工程、
(g)前記第2絶縁膜および前記第1キャップ導体膜の一部分を選択的に除去して、その底部で前記第1導体膜を露出する第2開口部を形成する工程、
(h)前記第2開口部の底部で露出する前記第1導体膜上に第2キャップ導体膜を形成する工程、
(i)前記第2開口部の内部を含む前記第2絶縁膜上に第2バリア導体膜を形成する工程、
(j)前記第2開口部内を埋めるように前記第2バリア導体膜上に銅を主成分とする第2導体膜を形成し、前記第2絶縁膜上の前記第2バリア導体膜および第2導体膜を除去して前記第2開口部内に前記第2バリア導体膜および第2導体膜を残して埋め込む工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
項20:(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記第1絶縁膜に第1開口部を形成する工程、
(d)前記第1開口部の側壁および底部上に形成された第1バリア導体膜と、前記第1開口部内を埋めるように前記第1バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第1導体膜とを有する第1配線を形成し、前記第1導体膜の上面を選択的にエッチングして前記第1絶縁膜の上面より低く形成する工程、
(e)前記第1配線上に選択的に第1キャップ導体膜を形成する工程、
(f)前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に第2絶縁膜を形成する工程、
(g)前記第2絶縁膜および前記第1キャップ導体膜の一部分を選択的に除去して、その底部で前記第1導体膜を露出する第2開口部を形成する工程、
(h)前記第2開口部の底部で露出する前記第1導体膜上に第2キャップ導体膜を形成する工程、
(i)前記第2開口部の内部を含む前記第2絶縁膜上に第2バリア導体膜を形成する工程、
(j)前記第2開口部内を埋めるように前記第2バリア導体膜上に銅を主成分とする第2導体膜を形成し、前記第2絶縁膜上の前記第2バリア導体膜および第2導体膜を除去して前記第2開口部内に前記第2バリア導体膜および第2導体膜を残して埋め込む工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
下層銅配線上にキャップ導体膜を形成し、下層銅配線に接続するビア形成時にビア底部でそのキャップ導体膜を除去し、ビア底部の下層銅配線上に再度キャップ導体膜を形成したことにより、埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0016】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置およびその製造工程を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置、例えばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、の製造工程中の要部断面図である。
【0017】
図1に示すように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1の主面に素子分離領域2が形成される。素子分離領域2は酸化シリコンなどからなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより形成される。
【0018】
次に、半導体基板1のnチャネル型MISFETを形成する領域にp型ウエル3を形成する。p型ウエル3は、例えばホウ素(B)などの不純物をイオン注入することなどによって形成される。
【0019】
次に、p型ウエル3の表面にゲート絶縁膜4が形成される。ゲート絶縁膜4は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。
【0020】
次に、p型ウエル3のゲート絶縁膜4上にゲート電極5が形成される。例えば、半導体基板1上に多結晶シリコン膜を形成し、その多結晶シリコン膜にリン(P)などをイオン注入して低抵抗のn型半導体膜とし、その多結晶シリコン膜をドライエッチングによってパターニングすることにより、多結晶シリコン膜からなるゲート電極5を形成することができる。
【0021】
次に、p型ウエル3のゲート電極5の両側の領域にリンなどの不純物をイオン注入することにより、n-型半導体領域6が形成される。
【0022】
次に、ゲート電極5の側壁上に、例えば酸化シリコンなどからなる側壁スペーサまたはサイドウォール7が形成される。サイドウォール7は、例えば、半導体基板1上に酸化シリコン膜を堆積し、この酸化シリコン膜を異方性エッチングすることによって形成することができる。
【0023】
サイドウォール7の形成後、n+型半導体領域8(ソース、ドレイン)が、例えば、p型ウエル3のゲート電極5およびサイドウォール7の両側の領域にリンなどの不純物をイオン注入することにより形成される。n+型半導体領域8は、n-型半導体領域6よりも不純物濃度が高い。
【0024】
次に、ゲート電極5およびn+型半導体領域8の表面を露出させ、例えばコバルト(Co)膜を堆積して熱処理することによって、ゲート電極5とn+型半導体領域8との表面に、それぞれシリサイド膜5aおよびシリサイド膜8aを形成する。これにより、n+型半導体領域8の拡散抵抗と、コンタクト抵抗とを低抵抗化することができる。その後、未反応のコバルト膜は除去する。
【0025】
このようにして、p型ウエル3にnチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)9が形成される。
【0026】
次に、半導体基板1上に窒化シリコンなどからなる絶縁膜10と、酸化シリコンなどからなる絶縁膜11を順次堆積する。それから、絶縁膜11および絶縁膜10を順次ドライエッチングすることにより、n+型半導体領域(ソース、ドレイン)8の上部などにコンタクトホール12を形成する。コンタクトホール12の底部では、半導体基板1の主面の一部、例えばn+型半導体領域8の一部、やゲート電極5の一部などが露出される。
【0027】
次に、コンタクトホール12内に、タングステン(W)などからなるプラグ13が形成される。プラグ13は、例えば、コンタクトホール12の内部を含む絶縁膜11上にバリア膜として例えば窒化チタン膜13aを形成した後、タングステン膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって窒化チタン膜13a上にコンタクトホール12を埋めるように形成し、絶縁膜11上の不要なタングステン膜および窒化チタン膜13aをCMP(Chemical Mechanical Polishing)法またはエッチバック法などによって除去することにより形成することができる。
【0028】
図2〜図8は、図1に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図を示している。なお、理解を簡単にするために、図2〜図8では、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。
【0029】
図2に示されるように、プラグ13が埋め込まれた絶縁膜11上に絶縁膜(エッチングストッパ膜)14を形成する。絶縁膜14は、例えば炭化シリコン(SiC)膜からなる。絶縁膜14の他の材料として、窒化シリコン(Sixy)膜などを用いることもできる。絶縁膜14は、炭化シリコン(SiC)膜と窒化シリコン(Sixy)膜との積層膜で構成してもよい。絶縁膜14は、その上層の絶縁膜(層間絶縁膜)15に配線形成用の溝や孔をエッチングにより形成する際に、その掘り過ぎにより下層に損傷を与えたり、加工寸法精度が劣化したりすることを回避するために形成される。すなわち、絶縁膜14は絶縁膜(層間絶縁膜)15をエッチングする際にエッチングストッパとして機能することができる。
【0030】
次に、絶縁膜14上に絶縁膜(層間絶縁膜)15を形成する。絶縁膜15は、低誘電率材料(いわゆるLow−K絶縁膜、Low−K材料)からなることが好ましい。低誘電率材料を用いることで絶縁膜15の誘電率を下げることができるので、半導体装置の配線の総合的な誘電率を下げることが可能であり、配線遅延を改善できる。なお、低誘電率な絶縁膜(Low−K絶縁膜)とは、パッシベーション膜に含まれる酸化シリコン膜(たとえばTEOS(Tetraethoxysilane)酸化膜)の誘電率よりも低い誘電率を有する絶縁膜を例示できる。一般的には、TEOS酸化膜の比誘電率ε=4.1〜4.2程度以下を低誘電率な絶縁膜と言う。絶縁膜15に用いることができる低誘電率材料としては、例えば、有機ポリマー、有機シリカガラス、FSG(SiOF系材料、フッ素(F)が添加された酸化シリコン)、HSQ(hydrogen silsesquioxane)系材料、MSQ(methyl silsesquioxane)系材料、ポーラスHSQ系材料、ポーラスMSQ材料またはポーラス有機系材料などを用いることができる。
【0031】
また、絶縁膜15を上記のような低誘電率材料膜とその上に形成された保護膜との積層膜により構成することもできる。この低誘電率材料膜上の保護膜は、例えば二酸化シリコン(SiO2)に代表される酸化シリコン(SiOx)膜または酸窒化シリコン(SiON)膜を用いることができ、例えばCMP処理時における絶縁膜15の機械的強度の確保、表面保護および耐湿性の確保等のような機能を有することができる。また、低誘電率材料膜が例えばフッ素(F)を含む酸化シリコン膜(SiOF膜)からなる場合は、上記保護膜は、フッ素の拡散を防止するように機能することもできる。また、例えば低誘電率材料膜がCMP工程における耐性を有する場合などは、上記保護膜の形成を省略することもできる。また、配線間の容量がそれほど問題にならない場合などは、絶縁膜15を酸化シリコン膜の単体膜などにより形成することもできる。
【0032】
次に、図3に示されるように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜15および絶縁膜14を選択的に除去して配線開口部としての配線溝(開口部)17を形成する。このとき、配線溝17の底部では、プラグ13の上面が露出される。その後、エッチングマスクとして用いた図示しないフォトレジストパターン(および反射防止膜)をアッシングなどにより除去する。絶縁膜15が、例えば有機ポリマー系の材料やポーラス有機系材料などのように酸素プラズマによりダメージを受け得る材料からなる場合は、絶縁膜15をNH3プラズマ処理またはN2/H2プラズマ処理などの還元性プラズマ処理によってエッチングしながら、フォトレジストパターン(および反射防止膜)をアッシングして除去することもできる。
【0033】
次に、図4に示されるように、半導体基板1の主面上の全面(すなわち配線溝17の底部および側壁上を含む絶縁膜15上)に、例えば厚さ50nm程度の比較的薄い導電性バリア膜(バリア導体膜)18を形成する。導電性バリア膜18の成膜には、スパッタリング法、CVD法または原子層デポジション(ALD:Atomic Layer Deposition)法などを用いることができる。導電性バリア膜18は、例えば後述の主導体膜形成用の銅の拡散を抑制または防止する機能や主導体膜のリフロー時に銅の濡れ性を向上させる機能、あるいは銅(銅膜)の接着性を高める機能などを有している。このような導電性バリア膜18の材料としては、例えばチタン(Ti)、タンタル(Ta)またはタングステン(W)などのような高融点金属や、その合金膜(例えば窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)または窒化タングステン(WN)などのような高融点金属窒化物、またはそのような高融点金属窒化物にシリコン(Si)を添加した材料(例えばTiSiN,TaSiN,WSiN)など)を用いることができる。また、導電性バリア膜18としては、上記材料膜の単体膜だけでなく積層膜を用いることもできる。
【0034】
次に、図5に示されるように、導電性バリア膜18上に、相対的に厚い銅からなる主導体膜(銅膜)19を形成する。主導体膜19は、例えばCVD法、スパッタリング法またはめっき法などを用いて形成することができる。また、主導体膜19は銅を主成分とする導体膜、例えば銅または銅合金(Cuを主成分とし、例えばMg,Ag,Pd,Ti,Ta,Al,Nb,ZrまたはZnなどを含む)により形成することができる。また、導電性バリア膜18上に、相対的に薄い銅(または銅合金)などからなるシード膜をスパッタリング法またはCVD法などによって形成し、その後、シード膜上に相対的に厚い銅(または銅合金)などからなる主導体膜19をめっき法(電解めっき法)などによって形成することもできる。このシード膜は、主導体膜19と導電性バリア膜18の密着性を向上させるよう機能することができる。その後、例えば475℃程度の非酸化性雰囲気(例えば水素雰囲気)中において半導体基板1に対して熱処理を施すことにより主導体膜19をリフローさせ、銅を配線溝17の内部に隙間なく埋め込む。
【0035】
次に、図6に示されるように、主導体膜19および導電性バリア膜18を例えばCMP法によって、絶縁膜15の上面が露出するまで研磨する。絶縁膜15上の(すなわち配線溝17外部の)不要な導電性バリア膜18および主導体膜19を除去し、配線開口部としての配線溝17内に導電性バリア膜18および主導体膜19を残すことにより、図6に示されるように、相対的に薄い導電性バリア膜18と相対的に厚い主導体膜19とからなる配線(第1層配線)20を配線溝17内に形成する(埋込む)。形成された配線20は、プラグ13を介してn+型半導体領域(ソース、ドレイン)8やゲート電極5と電気的に接続されている。あるいはエッチング(電解エッチングなど)により、不要な導電性バリア膜18および主導体膜19を除去することもできる。
【0036】
次に、図7に示されるように、配線溝17内に残存する主導体膜19の上部を除去して、配線溝17内の主導体膜19の上面を絶縁膜15の上面よりも後退させ、窪み(Recess:リセス)21を形成する。これにより、主導体膜19の上面は、絶縁膜15の上面よりも下方に位置することになる。すなわち、主導体膜19の上面は、絶縁膜15の上面よりも低くなる。この窪み21は、例えば化学的にエッチングする手法などにより形成することができる。この場合、例えば過酸化水素水(H22)と塩酸(HCl)との混合液などを用いて、銅膜(主導体膜19)を高選択比で(すなわち銅膜のエッチングレートが高くなるような条件で選択的に)エッチングし、エッチング時間を調整して主導体膜19の上部だけを除去して、窪み21を形成することができる。また、窪み21を形成する他の手法として、主導体膜19および導電性バリア膜18をCMP処理する際に(すなわち図6の工程で)、オーバーポリッシングを行って、窪み21を形成することもできる。オーバーポリッシングによって窪み21を形成する場合は、主導体膜19の上面が皿型形状となるディッシングが生じないようにする。
【0037】
次に、絶縁膜15上の金属汚染を除去する処理を行う。例えば、半導体基板1の表面(主導体膜19および絶縁膜15の表面)をフッ化水素(HF)を含む溶液で洗浄することにより、絶縁膜15上の金属汚染を除去することができる。絶縁膜15上に金属汚染が生じていると、後述する金属キャップ膜22の成膜の際に、その金属汚染物上にも金属キャップ膜22の材料が成長してしまう可能性があるが、上記のように絶縁膜15上の金属汚染を除去することで、そのような金属キャップ膜22の材料の絶縁膜15上での成長を抑制または防止し、配線20(主導体膜19)上に金属キャップ膜22をより選択性よく(または優先性よく)形成することが可能になる。
【0038】
それから、絶縁膜15表面の未結合手(ダングリングボンド)の活性を低下させる処理を行う。例えば、還元性ガスを含む雰囲気中(例えば水素を含む雰囲気中)でアニール処理(熱処理)することにより、絶縁膜15表面の未結合手の活性を低下させることができる。これにより、後述する金属キャップ膜22の成膜の際に、配線20(主導体膜19)上に金属キャップ膜22をより選択性よく(または優先性よく)形成することが可能になる。なお、この処理においては、モノシランガス(SiH4)などの銅(Cu)と反応して合金を形成するような雰囲気は、配線抵抗値を著しく増大させてしまう可能性があるので、適していない。
【0039】
次に、図8に示されるように、配線20(主導体膜19)上に第1の金属キャップ膜として金属キャップ膜(第1キャップ導体膜)22を選択成長または優先成長させる。金属キャップ膜22は、例えばタングステン(W)膜またはタングステン合金膜(あるいはタングステンを主成分とする導体膜)などからなる。金属キャップ膜22は、選択タングステンCVD法などによって形成することができる。例えば、六フッ化タングステン(WF6)および水素(H2)ガスを用いたCVD法により、絶縁膜15から露出した配線20(主導体膜19)の上面上にタングステン膜を選択的に堆積することにより、金属キャップ膜22を形成することができる。また、無電解めっき法によって、CoWP、CoWBまたはCoWなどからなる金属キャップ膜22を絶縁膜15から露出した配線20(主導体膜19)の上面上に選択的に形成することもできる。金属キャップ膜22の材料としては、タングステン(W)、タングステン合金(W合金、Wを主成分とする合金)、コバルト(Co)、コバルト合金(Co合金、Coを主成分とする合金)、ニッケル(Ni)またはニッケル合金(Ni合金、Niを主成分とする合金)などを用いることができ、例えば、Wを材料(主成分)とするW,WN,WNCまたはコバルトを材料(主成分)とするCo,CoP,CoW,CoWP,CoWB,CoSnP,CoMoPまたはNiを材料(主成分)とするNi,NiW,NiPなどを用いることができる。
【0040】
図9は、導電性バリア膜18の材料と金属キャップ膜22の形成方法の関係を示す説明図(表)である。
【0041】
金属キャップ膜22の形成法として選択タングステンCVD法を用いる場合は、導電性バリア膜18が高融点金属膜(例えばチタン(Ti)膜、タンタル(Ta)膜、タングステン(W)膜などの純金属膜)を含んでいなければより好ましい。この場合、導電性バリア膜18として、例えば窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)または窒化タングステン(WN)などのような高融点金属窒化物、またはそのような高融点金属窒化物にシリコン(Si)を添加した材料を用いることができる。
【0042】
本発明者の検討によれば、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含んでいる場合(例えばタンタル(Ta)膜の単体膜またはタンタル(Ta)膜と窒化タンタル(TaN)膜との積層膜により導電性バリア膜18を形成した場合など)には、配線20上に金属キャップ膜22を選択タングステンCVD法を用いて形成すると、導電性バリア膜18の露出する端部上でタングステン(金属キャップ膜22)が異常成長する可能性があることが分かった。導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含んでいる場合に上記異常成長が生じる原因は、高融点金属(純金属)による還元作用によって六フッ化タングステン(WF6)ガスがそこで優先的に還元され、タングステン(金属キャップ膜22)が優先的に成長する作用によるものと考えられる。導電性バリア膜18の端部上でのタングステンの異常成長は、配線20の上面端部(金属キャップ膜22の端部)近傍領域において後述する絶縁膜23のカバレージ(coverage)を低下させ、隣り合う配線間の絶縁破壊耐性を低下させる可能性がある。このため、上記のように、金属キャップ膜22の形成法として選択タングステンCVD法を用いる場合は、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含んでいなければより好ましい。
【0043】
また、本発明者の検討によれば、金属キャップ膜22の形成法として無電解めっき法を用いる場合は、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含んでいてもタングステン(金属キャップ膜22)の異常成長は生じないことが分かった。このため、金属キャップ膜22の形成法として無電解めっき法を用いる場合は、導電性バリア膜18が高融点金属膜を含んでいてもよい。このため、金属キャップ膜22の形成法として無電解めっき法を用いる場合は、導電性バリア膜18として、例えばチタン(Ti)、タンタル(Ta)またはタングステン(W)などのような高融点金属や、その合金膜(例えば窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)または窒化タングステン(WN)などのような高融点金属窒化物、またはそのような高融点金属窒化物にシリコン(Si)を添加した材料など)の単体膜または積層膜を用いることができる。
【0044】
従って、図9に示されるように、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含む場合は金属キャップ膜22を無電解めっき法により形成することが好ましく、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含まない場合は金属キャップ膜22を選択タングステンCVD法または無電解めっき法により形成することができる。
【0045】
また、金属キャップ膜22の膜厚(堆積厚み)W1は、2〜20nmの範囲内であることが好ましい。金属キャップ膜22の膜厚W1が20nmよりも厚いと、金属キャップ膜22の選択性が破れやすくなり、絶縁膜15上にも金属キャップ膜22の材料が堆積する可能性がある。これは、隣り合う同層配線間の絶縁破壊耐性(TDDB(Time Dependence on Dielectric Breakdown)寿命)を低下させる可能性がある。また、金属キャップ膜22の膜厚W1が2nmよりも薄いと、金属キャップ膜22を形成したことにより得られる効果、すなわち後述するように配線のエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション特性を向上し、埋込銅配線の信頼性および埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性を向上できるという効果が低下してしまう可能性がある。
【0046】
また、上記の窪み21の深さD1は、金属キャップ膜22の膜厚W1とほぼ同じであれば、より好ましい。窪み21の深さD1と金属キャップ膜22の膜厚W1とを同じにすることで、金属キャップ膜22の上面の高さ位置(半導体基板1の主面に垂直な方向の高さ位置)と絶縁膜15の上面の高さ位置(半導体基板1の主面に垂直な方向の高さ位置)とをほぼ同じにすることができる。これにより、金属キャップ膜22の上面と絶縁膜15の上面とがほぼ同一面上にあることになり、金属キャップ膜22の上面と絶縁膜15の上面とが略平面になる。
【0047】
また、金属キャップ膜22の成膜の際には、金属キャップ膜22の選択成長性が破れて絶縁膜15上にも金属キャップ膜22の材料(導体材料、ここではタングステンまたはタングステン合金)が堆積する可能性がある。配線を微細化した場合は、この絶縁膜15上に堆積した導体材料が、隣り合う同層配線間の絶縁破壊耐性を低下させる可能性がある。このため、金属キャップ膜22の形成後に、例えばフッ酸(フッ化水素酸:HF)を少量含む溶液などを用いて半導体基板1の表面を洗浄し、絶縁膜15の極表面近傍領域ごとリフトオフして、絶縁膜15上の不要な導体材料を完全に除去することがより好ましい。これにより、金属キャップ膜22の成膜の際に絶縁膜15上に導体材料が成長し(選択性の破れが生じ)、あるいは絶縁膜15上の金属汚染物上に導体材料が成長した場合であっても、絶縁膜15上のこれらの不要な導体材料および金属汚染物をエッチングし、除去することが可能となる。
【0048】
次に、図10に示されるように、配線20が埋め込まれた絶縁膜15上に(すなわち、絶縁膜15および金属キャップ膜22上に)、絶縁膜(バリア絶縁膜)23を形成する。図10は、図8に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図であり、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。絶縁膜23は、例えば炭窒化シリコン(SiCN)膜などからなり、銅配線のバリア絶縁膜として機能する。従って、絶縁膜23は、配線20の主導体膜19中の銅が、絶縁膜24中などに拡散するのを抑制または防止する。絶縁膜23の他の材料として、例えば窒化シリコン(Sixy)膜、炭化シリコン(SiC)膜、酸窒化シリコン(SiON)膜または酸炭化シリコン(SiOC)膜を用いても良い。
【0049】
本実施の形態とは異なり、窪み21を形成せずに金属キャップ膜22の上面の高さ位置と絶縁膜15の高さ位置とが異なっている(金属キャップ膜22の上面の高さ位置が絶縁膜15上面の高さ位置よりも高い)場合は、金属キャップ膜22の上面と絶縁膜15の上面との間に段差が生じ、絶縁膜23を形成した際に、絶縁膜23にも下地の段差を反映して段差が生じてしまう。図11は、窪み21を形成せずに金属キャップ膜22の上面の高さ位置と絶縁膜15の高さ位置とが異なっている場合に絶縁膜23を形成した状態を示す要部断面図であり、本実施の形態の図10に対応する。この場合、図11に示されるように、配線20の上面端部(金属キャップ膜22の端部)近傍領域において絶縁膜23のカバレージ(coverage)またはステップカバレージが悪くなる。絶縁膜(キャップ絶縁膜)23のステップカバレージが悪いと、配線20の端部での銅(Cu)のバリア性が劣化して隣り合う配線間のリーク電流レベルが増加し、絶縁破壊耐性が低下する(TDDB寿命が短くなる)可能性がある。
【0050】
このため、本実施の形態のように、金属キャップ膜22の形成前に窪み21を形成し、この窪み21の深さD1を金属キャップ膜22の膜厚W1とほぼ同じにすることが好ましい。これにより、金属キャップ膜22の上面と絶縁膜15の上面とを略平面(略同一平面)にすることができる。従って、図10に示されるように、絶縁膜23に段差が生じるのを防止し、配線20の上端部(金属キャップ膜22の端部)近傍領域における絶縁膜23のカバレージを向上することができ、隣り合う配線間の絶縁破壊耐性を向上することができる。また、窪み21の深さD1を深くしすぎると、配線20の銅(Cu)成分が減少して配線20の抵抗値が増加する恐れがあるが、窪み21の深さD1を金属キャップ膜22の膜厚W1とほぼ同じにすることで、配線20の銅(Cu)成分の減少を抑制し、配線20の抵抗増加を抑制または防止することができる。また、上記のように金属キャップ膜22の膜厚は比較的薄いが、絶縁膜15および金属キャップ膜22上に銅のバリア性を有する絶縁膜23を形成しているので、この絶縁膜23により配線20に対するバリア性を十分に確保することができ、隣り合う配線20間のリーク電流レベルを低下し、絶縁破壊耐性を向上(TDDB寿命を長く)することができる。
【0051】
図12〜図18は、図10に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図を示している。なお、理解を簡単にするために、図12〜図18においても、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。
【0052】
絶縁膜23の形成後、図12に示されるように、絶縁膜23上に絶縁膜(層間絶縁膜)24、絶縁膜(エッチングストッパ膜)25および絶縁膜(層間絶縁膜)26を形成する。絶縁膜24は絶縁膜15と同様の材料(低誘電率材料)により形成することができ、絶縁膜25は絶縁膜14または絶縁膜23と同様の材料により形成することができ、絶縁膜26は絶縁膜15と同様の材料(低誘電率材料)により形成することができる。
【0053】
次に、図13に示されるように、フォトリソグラフィ法などを用いて絶縁膜23〜26をドライエッチング(選択的に除去)することなどによって、配線開口部すなわち、配線20に達するスルーホールまたはビア(開口部)30および配線溝(開口部)31を形成する。このとき、ビア30の底部では、金属キャップ膜22の全部または一部が除去(エッチング)されており、主導体膜19の上面が露出される。配線溝31は絶縁膜25,26を選択的に除去することにより形成されており、ビア30は、配線溝31の底部で、絶縁膜23,24および金属キャップ膜22の一部を選択的に除去することにより形成されている。このため、ビア30は、配線溝31の底部から絶縁膜23,24と金属キャップ膜22の一部を貫通して主導体膜19に到達し、ビア30の底部で主導体膜19が露出する。
【0054】
上記のように金属キャップ膜22の膜厚は比較的薄いので、本実施の形態とは異なり、もしビア30の底部で金属キャップ膜22が残存するようにビア30形成のドライエッチングを行うと、エッチング不足によりビア30底部で金属キャップ膜22上の絶縁膜23の一部が残存してビア20が配線20に到達しない可能性が生じる。これは、上層配線(後述する配線35)と下層配線(配線20)との間の電気的接続の信頼性を低下させる。本実施の形態では、ビア30の底部で金属キャップ膜22も除去し、ビア30の底部で主導体膜19が露出するように、ビア30形成のドライエッチングを行う。すなわち、ビア30形成の際に、すなわち主導体膜19が露出するまでオーバーエッチングを行い、ビア30が配線溝31の底部から絶縁膜23,24と金属キャップ膜22とを貫通して主導体膜19に到達するようにする。このため、エッチング不足(ビア30底部での絶縁膜23の残存)は生じにくく、ビア30を配線20に確実に到達させることができる。従って、上層配線(後述する配線35)と下層配線(配線20)との間の電気的接続の信頼性を向上することができる。
【0055】
次に、必要に応じて、ビア30の底部および側壁のエッチング残渣物を取り除く洗浄処理と、還元性ガスを含む雰囲気中でのアニール処理を行う。これにより、ビア30の底部および側壁のエッチング残渣物を除去して清浄化し、ビア30の底部で露出する配線20(主導体膜19)の表面に形成された酸化銅を除去(還元)して配線20(主導体膜19)の露出面を清浄化(クリーニング)することができる。
【0056】
次に、図14に示されるように、ビア30の底部で露出する主導体膜19を塞ぐために、ビア30底部で露出する配線20(主導体膜19)上に第2の金属キャップ膜として金属キャップ膜(第2キャップ導体膜)32を選択成長または優先成長させる。これにより、金属キャップ膜32は金属キャップ膜22につながり、主導体膜19の上面が金属キャップ膜22および金属キャップ膜32によって覆われることになる。金属キャップ膜32は、金属キャップ膜22と同様の材料により形成することができ、例えばタングステン(W)膜またはタングステン合金膜(あるいはタングステンを主成分とする導体膜)などからなる。また、金属キャップ膜32は、金属キャップ膜22と同様の手法により形成することができる。例えば選択タングステンCVD法によって金属キャップ膜32を形成することができる。この場合、例えば六フッ化タングステン(WF6)および水素(H2)ガスを用いたCVD法により、ビア30底部で露出した配線20(主導体膜19)上にタングステン膜を選択的に堆積することにより、金属キャップ膜32を形成することができる。また、無電解めっき法によって、CoWP、CoWBまたはCoWなどからなる金属キャップ膜32をビア30底部で露出した配線20(主導体膜19)上に選択的に形成することもできる。金属キャップ膜32の材料としては、タングステン(W)、タングステン合金(W合金、Wを主成分とする合金)、コバルト(Co)、コバルト合金(Co合金、Coを主成分とする合金)、ニッケル(Ni)またはニッケル合金(Ni合金、Niを主成分とする合金)などを用いることができ、例えば、Wを材料(主成分)とするW,WN,WNCまたはコバルトを材料(主成分)とするCo,CoP,CoW,CoWP,CoWB,CoSnP,CoMoPまたはNiを材料(主成分)とするNi,NiW,NiPなどを用いることができる。
【0057】
金属キャップ膜32の膜厚(堆積厚み)W2は、2〜20nmの範囲内であることが好ましい。金属キャップ膜32の膜厚W2が20nmよりも厚いと、W(タングステン)膜の比抵抗はCu(銅)膜よりも大きいためW(タングステン)成分の増加によって抵抗が増加する、あるいはW(タングステン)膜(金属キャップ膜32)の表面凹凸の増大によって導電性バリア膜33の被覆率の低下を招く恐れがある。また、金属キャップ膜22の膜厚W1が2nmよりも薄いと、金属キャップ膜22を形成したことにより得られる効果、すなわち後述するように配線のエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション特性を向上し、埋込銅配線の信頼性および埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性を向上できるという効果が低下してしまう可能性がある。
【0058】
また、金属キャップ膜32を形成する際には、選択性の破れが多少あっても差し支えない。その理由は、絶縁膜26上に金属キャップ膜32の材料(導体材料)が多少堆積したとしても、後述する配線35を形成するためのCMP工程で絶縁膜26上の不要な導体材料を除去できるからである。このため、金属キャップ膜22の形成前にはフッ化水素(HF)を含む溶液による洗浄で絶縁膜15上の金属汚染を除去する処理を行ったが、金属キャップ膜32の形成前には、このフッ化水素(HF)を含む溶液による洗浄で絶縁膜26上の金属汚染を除去する処理を省略することも可能である。これにより、製造工程数を低減できる。
【0059】
また、金属キャップ膜22の形成前には、還元性ガスを含む雰囲気中(例えば水素を含む雰囲気中)でアニール処理することにより、絶縁膜15表面の未結合手(ダングリングボンド)の活性を低下させる処理を行ったが、この還元性ガスを含む雰囲気中でのアニール処理は、金属キャップ膜32の形成前にも行うことがより好ましい。このような処理により、ビア30底部で露出する主導体膜19表面に形成された酸化銅を還元し、界面抵抗を下げる効果を得ることができる。
【0060】
また、金属キャップ膜22の形成後には、フッ酸(フッ化水素酸:HF)を少量含む溶液などを用いて半導体基板1の表面を洗浄して絶縁膜15上の不要な導体材料を完全に除去する処理を行ったが、金属キャップ膜32の選択性の破れが大きな問題とならなければ、金属キャップ膜32の形成後には、このフッ酸を含む溶液による洗浄処理を省略することもできる。これにより、製造工程数を低減できる。
【0061】
金属キャップ膜32の形成後、図15に示されるように、半導体基板1の主面上の全面(すなわちビア30の底部および側壁上と配線溝31の底部および側壁上とを含む絶縁膜26上)に、例えば厚さ50nm程度の比較的薄い導電性バリア膜(バリア導体膜)33を形成する。従って、ビア30の底部では、金属キャップ膜32上に導電性バリア膜33が形成されることになる。導電性バリア膜33は、導電性バリア膜18と同様の手法により形成することができ、スパッタリング法、CVD法または原子層デポジション(ALD:Atomic Layer Deposition)法などを用いて形成することができる。導電性バリア膜33は、導電性バリア膜18と同様、例えば後述の主導体膜形成用の銅の拡散を抑制または防止する機能や主導体膜のリフロー時に銅の濡れ性を向上させる機能、あるいは銅(銅膜)の接着性を高める機能などを有している。導電性バリア膜33の材料としては、導電性バリア膜18と同様の材料を用いることができ、例えばチタン(Ti)、タンタル(Ta)またはタングステン(W)などのような高融点金属や、その合金膜(例えば窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)または窒化タングステン(WN)などのような高融点金属窒化物、またはそのような高融点金属窒化物にシリコン(Si)を添加した材料(例えばTiSiN,TaSiN,WSiN)など)を用いることができる。また、導電性バリア膜33としては、上記材料膜の単体膜だけでなく積層膜を用いることもできる。
【0062】
また、導電性バリア膜33形成前の前処理として、一般的なダマシン配線ではアルゴン(Ar)イオンによる物理的スパッタエッチングを行うことが多いが、アルゴン(Ar)イオンによる物理的スパッタエッチングを行うとビア30底部の金属キャップ膜32が除去される可能性があるので、本実施の形態では、導電性バリア膜33形成前の前処理として、還元性ガスを含む雰囲気(例えば水素雰囲気)中における反応性プラズマ処理を行うことがより好ましい。これにより、ビア30底部の金属キャップ膜32が除去されるのを防止するとともに、金属キャップ膜32の表面を還元処理することができ、金属キャップ膜32上を含むビア30および配線溝31の底面および側壁上に導電性バリア膜33を的確に形成することができる。
【0063】
次に、図16に示されるように、導電性バリア膜33上に(すなわち半導体基板1上に)、相対的に厚い銅からなる主導体膜(銅膜)34を形成する。主導体膜34は、主導体膜19と同様の手法により形成することができ、例えばCVD法、スパッタリング法またはめっき法などを用いて形成することができる。また、主導体膜34は、主導体膜19と同様の材料により形成することができ、銅を主成分とする導体膜、例えば銅または銅合金(Cuを主成分とし、例えばMg,Ag,Pd,Ti,Ta,Al,Nb,ZrまたはZnなどを含む)により形成することができる。また、導電性バリア膜33上に、相対的に薄い銅(または銅合金)などからなるシード膜をスパッタリング法またはCVD法などによって形成し、その後、シード膜上に相対的に厚い銅(または銅合金)などからなる主導体膜34をめっき法(電解めっき法)などによって形成することもできる。このシード膜は、主導体膜34と導電性バリア膜33の密着性を向上させるよう機能することができる。その後、例えば475℃程度の非酸化性雰囲気(例えば水素雰囲気)中において半導体基板1に対して熱処理を施すことにより主導体膜34をリフローさせ、銅をビア30および配線溝31の内部に隙間なく埋め込む。
【0064】
次に、図17に示されるように、主導体膜34および導電性バリア膜33を例えばCMP法によって、絶縁膜26の上面が露出するまで研磨する。絶縁膜26上の(すなわちビア30および配線溝31の外部の)不要な導電性バリア膜33および主導体膜34を除去し、配線溝31およびビア30内に導電性バリア膜33および主導体膜34を残すことにより、図17に示されるように、相対的に薄い導電性バリア膜33と相対的に厚い主導体膜34とからなる配線(第2層配線)35を形成する(配線溝31およびビア30内に埋込む)。形成された配線35の配線部(配線溝31に埋込まれた導電性バリア膜33および主導体膜34)は、配線35のビア部(ビア30に埋込まれた導電性バリア膜33および主導体膜34)を介して配線20と電気的に接続されている。また、選択性の破れによって絶縁膜26上に金属キャップ膜32の材料が堆積した場合は、このCMP工程で主導体膜34および導電性バリア膜33と一緒に除去することができる。また、CMPの代わりにエッチング(電解エッチングなど)により、不要な導電性バリア膜33および主導体膜34を除去することもできる。
【0065】
その後、図7、図8、図10および図12〜17の工程を繰り返して、更に上層配線を形成することができる。例えば、図18に示されるように、配線35に対して窪み21と同様の窪みを形成した後、配線35上に第1の金属キャップ膜として金属キャップ膜42を金属キャップ膜22と同様の材料および手法により形成し、その後、配線35が埋め込まれた絶縁膜26上に、上記絶縁膜23〜26を形成した工程と同様の工程および材料によって、絶縁膜(バリア絶縁膜)43、絶縁膜(層間絶縁膜)44、絶縁膜(エッチングストッパ膜)45および絶縁膜(層間絶縁膜)46を形成する。それから、フォトリソグラフィ法などを用いて絶縁膜43〜46をドライエッチングすることなどによって、ビア30および配線溝31と同様にして、配線35に達し金属キャップ膜42を貫通して配線35の主導体膜34を露出するビア(開口部)50と配線溝(開口部)51とを形成し、ビア50底部で露出する配線35(主導体膜34)上に第2の金属キャップ膜として金属キャップ膜52を金属キャップ膜32と同様の材料および手法により形成する。その後、半導体基板1上(ビア50および配線溝51の底部および側壁を含む絶縁膜46上)に、導電性バリア膜(バリア導体膜)53を導電性バリア膜18,33と同様の材料および手法により形成し、導電性バリア膜53上にビア50および配線溝51を埋めるように主導体膜54を主導体膜19,34と同様の材料および手法により形成し、CMP法により絶縁膜46上の不要な主導体膜54および導電性バリア膜53を除去してビア50および配線溝51を埋めかつ配線35と電気的に接続された配線(第3層配線)55を形成する。更に同様にして、上層配線(第4層配線)を形成することができるが、ここではその図示および説明は省略する。
【0066】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0067】
図19は、比較例の半導体装置の要部断面図であり、配線20,35近傍領域の部分拡大図である。図19の構造は、本実施の形態の配線20,35において、金属キャップ膜22,32,42,52の形成を省略したものにほぼ対応する。
【0068】
一般に埋込銅配線は、絶縁膜にビアや配線溝となるパターンを形成し、銅(Cu)の拡散防止膜である導電性バリア膜と主配線部分である銅の主導体膜をビアや配線溝に埋込み、不要な部分を研磨(CMP)で除去して配線を形成するダマシン法を採用している。このため、その加工方法上、図19に示されるように、銅の主導体膜19の底面および側面は導電性バリア膜18で被覆されるが、主導体膜19の上面は銅の拡散防止性能の高い絶縁膜23で覆われる構造となるのが一般的である。
【0069】
銅(Cu)原子のマイグレーションは、結晶内部の拡散よりも表面拡散が支配的であるが、図19に示されるような埋込銅配線構造においては、配線20上部の絶縁膜23で覆われた面の接着性が他の面よりも低いため、絶縁膜23と銅配線の主導体膜19との界面が、銅(Cu)原子のマイグレーションパスとなり得る。配線35についても同様である。
【0070】
また、ストレスマイグレーションによって銅配線のビア部(配線35のビア30に埋め込まれた部分)の抵抗が上昇する現象(SIV:Stress-Induced Voiding)が生じる。ストレスマイグレーションによる不良現象としては、ビア30内部の銅(Cu)が上部の配線部に吸い上げられてボイドが発生するモードと、ビア30と下層銅配線としての配線20との界面にボイドが発生するモードがある。前者は、導電性バリア膜としてのタンタル(Ta)の採用や、ビア形状の改善、あるいは導電性バリア膜や銅のシード膜のカバレージの改善などによって対策することができる。
【0071】
ビア底に生じるボイドの形態としては、熱負荷温度200℃近傍で生じるケース(低温ストレスマイグレーション)が顕著であり、不良率の下層配線(図19では配線20)幅依存性が大きく、配線幅が大きい程ビア部の劣化が進行する。この現象は、銅配線内部に内在する空隙(Vacancy)が、絶縁膜(バリア絶縁膜)と銅配線の応力差を駆動力として銅の結晶粒界を拡散し、ビア底に集まってボイドを形成するためと考えられる。ビア下部周辺が最も応力勾配が大きく、配線幅が大きい程、拡散する空隙の量も多いため、不良率が高くなる。応力勾配が発生する理由は、ビアは銅配線上の絶縁膜(バリア絶縁膜)によってビアの直径を圧縮する方向の力を受けるが、ビア底の銅配線(銅の主導体膜)は、この反作用によってビアを膨張させようとするので、ビア底部分と下層の配線部分との間に大きな応力差が発生するためである。空隙の拡散は、相対的には銅(Cu)が逆方向に拡散していることを意味しており、銅(Cu)の拡散パス(拡散経路)を抑制する(なくす)ことが、ビア底のボイドの発生およびそれに起因した不良を防止するために有効であると考えられる。
【0072】
このように、エレクトロマイグレーションや低温ストレスマイグレーションの抑制に対して、銅(Cu)原子の拡散現象を抑制することが有効である。これを実現する手段として、銅配線の上面に選択的に金属キャップ膜を成長させて、銅配線の上面を金属キャップ膜で被覆することが考えられる。図20は、銅配線の上面を金属キャップで被覆した半導体装置の要部断面図であり、配線20,35近傍領域の部分拡大図である。図19の構造に、更に金属キャップ膜22,42を形成したものに対応する。
【0073】
しかしながら、本発明者の実験によれば、金属キャップ膜22の膜厚を厚くするほど、金属キャップ膜22の選択性が低下または劣化することが分かった。すなわち、金属キャップ膜22の選択成長の際の選択性は完全ではなく、部分的に破れてしまい、配線20を埋め込んだ絶縁膜15の表面にも金属キャップ膜22を構成する金属材料が成長してしまう可能性がある。金属キャップ膜42についても同様である。選択性が破れる原因としては、絶縁膜表面の金属汚染により、そこ(金属汚染物)を基点として金属膜(金属キャップ膜を構成する金属材料)が成長することによるものと考えられる。金属キャップ膜を構成する金属材料の絶縁膜上への成長(選択性の破れ)は、隣り合う同層配線間の絶縁破壊耐性を低下させ、半導体装置の信頼性を低下させる可能性がある。
【0074】
半導体装置は微細化する傾向にあり、配線間のスペースは小さくなってきている。金属キャップ膜の選択成長の際の上記のような選択性の破れは、隣り合う配線間の絶縁破壊耐性を低下させる可能性があるので、半導体装置の微細化に対して不利である。このため、金属キャップ膜22はあまり厚くすることができない。また、配線抵抗を増加させないためにも、金属キャップ膜はあまり厚くすることができない。本発明者の検討によれば、上記のように金属キャップ膜22の膜厚は20nm以下であることが好ましい。金属キャップ膜42についても同様である。しかしながら、金属キャップ膜22の膜厚を薄くした場合、次のような問題が生じる。すなわち、配線20上にビア30を形成(開孔)する際に、金属キャップ膜22上でエッチングストップできずに、配線20上に形成した金属キャップ膜22までエッチング除去されてしまう点である。
【0075】
もし、ビア30底部で金属キャップ膜22が残存するようにビア30形成のドライエッチングを行うと、エッチング不足によりビア30底部で金属キャップ膜22上の絶縁膜23の一部が残存してビア30が配線20に到達しない可能性が生じる。これは、上層配線である配線35と下層配線である配線20との間の電気的接続の信頼性を低下させる。これを防いでビア30底部で配線20を確実に露出しようとすると、上記のように配線20上にビア30を形成(開孔)する際に、金属キャップ膜22上でエッチングストップできずに、配線20上に形成した金属キャップ膜22まで除去され、図20に示されるように、金属キャップ膜22の下の銅の主導体膜19が露出し、ビア30底部では主導体膜19上に金属キャップ膜が無い状態になってしまう。銅配線のボリューム(長さ、幅、深さ)が大きい場合には、内在する空隙の総量も大きくなってしまうため、金属キャップ膜の無い場所(ビア30底部)が、唯一のウィークポイント、すなわち、導電性バリア膜18および金属キャップ膜22で被覆されていない唯一の部分であり銅の拡散パス(拡散経路)となる部分になってしまう。また、ビア30底部で露出する銅の主導体膜19上に上層配線である配線35用の導電性バリア膜33を形成したとしても、主導体膜19と導電性バリア膜33との接着性(密着性)は比較的低いため、上記のように主導体膜19の金属キャップ膜22で被覆されていないビア30底部の部分が銅の拡散パス(拡散経路)となってしまう。
【0076】
図21は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、配線20,35近傍領域の部分拡大図である。本実施の形態では、金属キャップ膜22,32,42,52を形成している(なお、図21では金属キャップ膜52は図示を省略している)。
【0077】
本実施の形態では、上記のように、配線20上にビア30を形成(開孔)する際にビア30底部で金属キャップ膜22を除去するが、ビア30底部で露出した配線20(主導体膜19)上に金属キャップ膜32を付け直すことにより、接着性のよい材料(導電性バリア膜18および金属キャップ膜22,32)で配線20の表面(上面、底面および側面)を完全に被覆する。このため、配線20の銅の主導体膜19が露出した部分(ウィークポイント、銅の拡散経路)を無くし、空隙がビア30底部周辺に集中することを防止することができる。配線35についても同様である。このため、電気的、熱的または機械的ストレスによる不良(例えば配線抵抗が増大する現象など)を抑制または防止することができる。従って、形成された配線のエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション特性を向上し、埋込銅配線の信頼性および埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性を向上できる。
【0078】
また、配線20上に金属キャップ膜22を比較的薄く形成するので、金属キャップ膜22の選択成長性を向上して隣り合う配線間の絶縁破壊耐性を向上することができ、またビア30底部で金属キャップ膜22を除去するように配線20上にビア30を形成(開孔)するので、ビア30の底部で配線20を確実に露出させることができ、上層配線と下層配線との間の電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0079】
また、多層配線構造を構成するいずれの埋込銅配線についても、本実施の形態を適用することができるが、多層配線構造のうち、任意の配線層、例えばストレスマイグレーションによる劣化が生じやすい構造の配線層についてだけ、本実施の形態を適用することもできる。ストレスマイグレーションに起因した不良が生じやすいのは、比較的幅広の配線部に比較的小さな径のビア部が接続された構造の配線層である。そのような配線構造においては、高温放置による抵抗上昇のようなストレスマイグレーションによる劣化が生じやすい。そのようなストレスマイグレーションによる劣化が生じやすい構造の配線層は、多層配線構造のうち比較的下層側の配線層であるので、例えば下層側の銅配線(例えば配線20、35)で本実施の形態を適用し、銅配線(配線20、35)上に第1の金属キャップ膜(金属キャップ膜22,42)を形成し、その銅配線に接続するビア(ビア30,50)形成時にビア底部で第1の金属キャップ膜を除去し、ビア底部で露出した銅配線上に第2の金属キャップ膜(金属キャップ膜32,52)を形成することができる。
【0080】
(実施の形態2)
図22および図23は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。図12までの製造工程は上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略し、図12に続く製造工程について説明する。なお、図22および図23においても、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。
【0081】
上記実施の形態1と同様にして図12の構造が得られた後、図22に示されるように、フォトリソグラフィ法などを用いて絶縁膜23〜26をドライエッチングすることなどによって、配線開口部すなわち、配線20に達するスルーホールまたはビア(開口部)30および配線溝(開口部)31を形成する。
【0082】
例えばフォトレジストパターン形成工程での露光のフォトマスクの位置合わせのずれなどのために、図22に示されるように、ビア30が配線20のパターンからずれる、いわゆる目外れが発生する場合がある。半導体装置の設計では、マージンが少ないぎりぎりの設計を行ったり、あるいは、半導体装置の配線パターンの設計上目外れを避けられない設計、目外れを含む設計、または目外れを許容した設計とする場合もある。このような目外れを防止するためには、配線パターンの幅を広くする必要があるが、これは半導体装置の大型化を招く。また、ビアの径を小さくして目外れを防止することも考えられるが、これはビアのアスペクト比の更なる増大を招き、ビアを埋める導電性バリア膜および銅の主導体膜の形成を困難にしてしまう。このため、高密度な配線パターンを有する半導体装置においては、このような目外れが生じ得る。従って、半導体装置には目外れが発生したビアと目外れが生じていないビアとが混在することになる。
【0083】
配線20を露出するために形成したビア30のうち、図22に示されるビア30aで目外れが発生している。目外れが発生したビア30a内では、主導体膜19の上面と導電性バリア膜18の端部とが露出する。すなわち、目外れが発生したビア30aの底部では主導体膜19だけでなく導電性バリア膜18の一部も露出することになる。
【0084】
次に、図23に示されるように、ビア30の底部で露出する配線20上に金属キャップ膜(導電性キャップ膜)32を選択成長または優先成長させる。金属キャップ膜32は、例えばタングステン(W)膜またはタングステン合金膜(あるいはタングステンを主成分とする導体膜)などからなる。金属キャップ膜22は、選択タングステンCVD法などによって形成することができる。例えば、六フッ化タングステン(WF6)および水素(H2)ガスを用いたCVD法により、ビア30底部で露出した配線20の上面上にタングステン膜を選択的に堆積することにより、金属キャップ膜32を形成することができる。また、無電解めっき法によって、CoWP、CoWBまたはCoWなどからなる金属キャップ膜32をビア30底部で露出した配線20の上面上に選択的に形成することもできる。
【0085】
図24は、ビア30に目外れが生じ得る場合の導電性バリア膜18の材料と金属キャップ膜32の形成方法の関係を示す説明図(表)である。
【0086】
上記のように、本実施の形態では、ビア30のうち、ビア30aでは目外れが生じているので、目外れが発生したビア30aの底部では主導体膜19だけでなく導電性バリア膜18の一部も露出している。このため、もし導電性バリア膜18が高融点金属膜(例えばチタン(Ti)膜、タンタル(Ta)膜、タングステン(W)膜などの純金属膜)を含んでいた場合、金属キャップ膜32の形成法として選択タングステンCVD法を用いると、ビア30aの底部で露出する導電性バリア膜18の端部上でタングステン(金属キャップ膜32)が異常成長してしまう。これは、高融点金属(純金属)による還元作用によって六フッ化タングステン(WF6)ガスがそこで優先的に還元され、タングステンが優先的に成長する作用によるものと考えられる。このタングステンの異常成長は、導電性バリア膜33や導電性バリア膜33上に形成する銅のシード膜のカバレージ(ステップカバレージ)を低下させるので、ビア30a内部でボイドを発生させる可能性がある。このため、ビア30に目外れが発生し得るようなレイアウトルールにおいては、金属キャップ膜32の形成法として選択タングステンCVD法を用いる場合は、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含んでいなければより好ましい。この場合、導電性バリア膜18として、例えば窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)または窒化タングステン(WN)などのような高融点金属窒化物、またはそのような高融点金属窒化物にシリコン(Si)を添加した材料を用いることができる。
【0087】
導電性バリア膜18が高融点金属膜を含んでいる場合、すなわち導電性バリア膜18として高融点金属の単体膜または高融点金属膜と高融点金属合金膜(例えば高融点金属窒化物膜)との積層膜を用いた場合は、ビア30形成のレイアウトルールの目外れ規制を行ってビア30に目外れが生じないようにするか、あるいはビア30の目外れを許容して金属キャップ膜32を無電解めっき法により形成する。目外れが発生したビア30aにおいて導電性バリア膜18が露出していたとしても、金属キャップ膜32を無電解めっき法で形成することで、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含んでいるかどうかにかかわらず、タングステン(金属キャップ膜32)の異常成長を防止することができる。
【0088】
従って、ビア30に目外れが生じ得るレイアウトルールにおいては、図24に示されるように、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含む場合は金属キャップ膜32を無電解めっき法で形成し、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含まない場合は金属キャップ膜32を選択タングステンCVD法または無電解めっき法で形成する。また、多層配線構造を有する半導体装置においては、比較的下層の配線層では、配線間隔が比較的狭く目外れが生じやすいので、図24に示されるような金属キャップ膜32の成膜法を適用すればよい。これにより、埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性をより向上することができる。
【0089】
図25は、ビア30に目外れが生じない場合の導電性バリア膜18の材料と金属キャップ膜32の形成方法の関係を示す説明図(表)である。ビア30に目外れが生じない場合は、上記実施の形態1における図13のように、ビア30の底部では主導体膜19が露出し、導電性バリア膜18は露出しないので、金属キャップ膜32を選択タングステンCVD法または無電解めっき法のいずれで形成したとしてもタングステン(金属キャップ膜32)の異常成長は生じない。このため、ビア30に目外れが生じないレイアウトルールにおいては、図25に示されるように、導電性バリア膜18が高融点金属膜(純金属膜)を含む場合および含まない場合のいずれにおいても、金属キャップ膜32を選択タングステンCVD法または無電解めっき法で形成することができる。また、多層配線構造を有する半導体装置においては、比較的上層の配線層では、配線間隔が比較的広く目外れが生じにくいので、図25に示されるような金属キャップ膜32の成膜法を適用すればよい。これにより、埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性をより向上することができる。
【0090】
図26は、図23に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図を示している。なお、理解を簡単にするために、図26においても、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。
【0091】
金属キャップ膜32の形成工程以降の工程については、上記実施の形態1とほぼ同様である。すなわち、図26に示されるように、半導体基板1の主面上の全面(すなわちビア30(ビア30a)の底部および側壁上と配線溝31の底部および側壁上とを含む絶縁膜26上)に導電性バリア膜33および主導体膜34を形成し、主導体膜34および導電性バリア膜33をCMP法によって絶縁膜26の上面が露出するまで研磨して、配線35を形成する。
【0092】
本実施の形態では、上記のように、ビア30に目外れが生じてビア30底部で配線20の導電性バリア膜18が露出するかどうかに応じて、ビア30の底部で付け直す金属キャップ膜32の成膜方法を選択する。これにより、金属キャップ膜32をより的確に形成することができ、埋込銅配線を有する半導体装置の信頼性をより向上することができる。
【0093】
(実施の形態3)
図27〜図30は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。図17までの製造工程は上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略し、図17に続く製造工程について説明する。なお、図27〜図30においても、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。
【0094】
上記実施の形態1と同様にして図17の構造が得られた後、図27に示されるように、配線35に対して窪み21と同様の窪みを形成した後、配線35上に金属キャップ膜42を金属キャップ膜22と同様の材料および手法により形成し、その後、配線35が埋め込まれた絶縁膜26上に、上記絶縁膜23〜26を形成した工程と同様の工程および材料によって、絶縁膜(バリア絶縁膜)43、絶縁膜(層間絶縁膜)44、絶縁膜(エッチングストッパ膜)45および絶縁膜(層間絶縁膜)46を形成する。それから、図28に示されるように、配線開口部として、ビア30および配線溝31と同様にして、配線35に達して配線35の主導体膜34を露出するビア(開口部)50と配線溝(開口部)51とを形成する。その後、図29に示されるように、本実施の形態では、ビア50から露出する配線35(主導体膜34)上に金属キャップ膜を形成せずに(すなわち上記実施の形態1における金属キャップ膜52を省略し)、半導体基板1上(ビア50および配線溝51の底部および側壁を含む絶縁膜46上)に導電性バリア膜53を導電性バリア膜18,33と同様の材料および手法により形成し、導電性バリア膜53上にビア50および配線溝51を埋めるように主導体膜54を主導体膜19,34と同様の材料および手法により形成する。そして、図30に示されるように、CMP法により絶縁膜46上の不要な主導体膜54および導電性バリア膜53を除去してビア50および配線溝51を埋めかつ配線35と電気的に接続された配線(第3層配線)55を形成する。
【0095】
下層配線(ここでは配線35)のボリュームが小さい場合には、本実施の形態のように下層配線に接続(到達)するビア(ここではビア50)の底部の金属キャップ膜(ここでは金属キャップ膜52)を省略することもできる。下層配線のボリュームが小さい場合というのは、配線の幅、深さが概ね主導体膜を構成する銅(Cu)の結晶粒径以下である場合を言う。銅(Cu)の結晶粒径は、例えば1.5μm程度である。多層配線構造を有する半導体装置において、下層配線のボリュームが小さい場合は、ストレスマイグレーションに起因した不良が生じにくいので、本実施の形態のように、その下層配線に接続(到達)するビア(ここではビア50)の底部の金属キャップ膜(ここでは金属キャップ膜52)を省略することも可能である。これにより、製造工程数を低減して半導体装置の製造工程を簡略化でき、また配線のビア部の抵抗増加を防止することができる。
【0096】
また、ビア50の底部での金属キャップ膜の形成を省略しているので、導電性バリア膜53形成前の前処理として、アルゴン(Ar)イオンによる物理的スパッタエッチングや、あるいは還元性ガスを含む雰囲気(例えば水素雰囲気)中における反応性プラズマ処理を用いることができる。
【0097】
(実施の形態4)
図31〜図34は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。図17までの製造工程は上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略し、図17に続く製造工程について説明する。なお、図31〜図34においても、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。
【0098】
上記実施の形態1と同様にして図17の構造が得られた後、図31に示されるように、配線35が埋め込まれた絶縁膜26上に、上記絶縁膜膜23〜26を形成した工程と同様の工程および材料によって、絶縁膜(バリア絶縁膜)43、絶縁膜(層間絶縁膜)44、絶縁膜(エッチングストッパ膜)45および絶縁膜(層間絶縁膜)46を形成する。本実施の形態では、配線35の形成後、配線35上に金属キャップ膜を形成せずに(すなわち上記実施の形態1における金属キャップ膜42を省略し)、配線35が埋め込まれた絶縁膜26上に絶縁膜43〜46を形成する。それから、図32に示されるように、配線開口部として、ビア30および配線溝31と同様にして、配線35に達して配線35の主導体膜34を露出するビア(開口部)50と配線溝(開口部)51とを形成する。その後、図33に示されるように、本実施の形態では、ビア50から露出する配線35(主導体膜34)上に金属キャップ膜を形成せずに(すなわち上記実施の形態1における金属キャップ膜52を省略し)、半導体基板1上(ビア50および配線溝51の底部および側壁を含む絶縁膜46上)に導電性バリア膜53を導電性バリア膜18,33と同様の材料および手法により形成し、導電性バリア膜53上にビア50および配線溝51を埋めるように主導体膜54を主導体膜19,34と同様の材料および手法により形成する。そして、図34に示されるように、CMP法により絶縁膜46上の不要な主導体膜54および導電性バリア膜53を除去してビア50および配線溝51を埋めかつ配線35と電気的に接続された配線(第3層配線)55を形成する。
【0099】
多層配線構造を有する半導体装置において、下層配線(ここでは配線35)のボリュームが小さい場合には、ストレスマイグレーションに起因した不良が生じにくいので、本実施の形態のように、その下層配線(ここでは配線35)の金属キャップ膜(ここでは金属キャップ膜42)と、その下層配線に接続(到達)するビア(ここではビア50)の底部の金属キャップ膜(ここでは金属キャップ膜52)とを省略することもできる。これにより、製造工程数を低減して半導体装置の製造工程を簡略化でき、また配線のビア部の抵抗増加を防止することができる。
【0100】
(実施の形態5)
図35〜図38は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。図17までの製造工程は上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略し、図17に続く製造工程について説明する。なお、図35〜図38においても、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。なお、本実施の形態では、配線35を半導体装置の比較的上層の配線であると想定して説明する。
【0101】
上記実施の形態1と同様にして図17の構造が得られた後、図35に示されるように、配線35に対して窪み21と同様の窪みを形成した後、配線35上に金属キャップ膜42を金属キャップ膜22と同様の材料および手法により形成する。それから、配線35が埋め込まれた絶縁膜26上に、上記絶縁膜23,24を形成した工程と同様の工程および材料によって、絶縁膜(バリア絶縁膜)63および絶縁膜(層間絶縁膜)64を形成する。
【0102】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜63,64をドライエッチングすることなどによって、配線35に達するスルーホールまたはビア65を形成する。このとき、ビア65の底部では、金属キャップ膜42の全部または一部が除去(エッチング)されており、主導体膜34の上面が露出される。これにより、図35の構造が得られる。
【0103】
次に、半導体基板1の主面上の全面(すなわちビア65の底部および側壁上を含む絶縁膜64上)に、例えばチタン(Ti)膜および窒化チタン(TiN)膜の積層膜からなる導電性バリア膜66を形成する。導電性バリア膜66の成膜には、スパッタリング法、CVD法または原子層デポジション(ALD)法などを用いることができる。導電性バリア膜66の成膜の際には、チタン(Ti)膜を最初に成膜することが好ましい。ビア65の形成後で導電性バリア膜66の形成前に、ビア65底部で金属キャップ膜は形成しなくともよい。これは、導電性バリア膜66の成膜の際に、最初にチタン(Ti)膜を成膜するので、ビア65底部で露出する配線35(主導体膜34)上にチタン(Ti)膜が形成されることになり、このチタン(Ti)膜をビア65底に挿入することによってビア65底部での接着強度が向上し、SIV(Stress-Induced Voiding)が抑制されるためである。
【0104】
それから、CVD法などによってタングステン膜67を導電性バリア膜66上にビア65を埋めるように形成し、絶縁膜64上の(すなわちビア65外部の)不要なタングステン膜67および導電性バリア膜66を例えばCMP法などによって除去することにより、ビア65を埋める導電性バリア膜66およびタングステン膜67からなるプラグ68を形成する。これにより、図36の構造が得られる。
【0105】
次に、プラグ68が埋め込まれた絶縁膜64上に、例えばスパッタリング法を用いて、チタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜との積層膜からなる導体膜69aと、相対的に厚いアルミニウム(Al)単体またはアルミニウム合金などのアルミニウムを主成分とする導体膜(アルミニウム膜)69bと、チタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜との積層膜からなる導体膜69cとを順に形成する。導体膜69bの材料として、銅(Cu)を例えば0.5重量%程度含むアルミニウム合金などを用いることができるが、アルミニウムが主成分であれば、Cuやその他の添加物(Siなど)を任意の割合で含んでいてもよい。導体膜69a,69cは、下層側がチタン膜で、上層側が窒化チタン膜である積層膜である。導体膜69a,69cはバリア導体膜として機能することができ、導体膜69cはフォトリソグラフィ工程における反射防止膜としても機能することができる。
【0106】
それから、フォトリソグラフィ法などを用いて導体膜69a、69b、69cの積層構造(積層膜)をドライエッチングして所定のパターンに加工し、配線(アルミニウム配線)69を形成する。これにより、図37の構造が得られる。配線69は、プラグ68を介して配線35に電気的に接続されている。この上層配線である配線69は、パッド(PAD)電極として機能することができる。
【0107】
次に、図38に示されるように、パッド電極としての配線69の保護層(Protection Layer)として、絶縁膜64上に配線69を覆うように、絶縁膜70を形成する。絶縁膜70は、例えば、酸化シリコン膜(TEOS酸化膜)、窒化シリコン(SiN)膜またはSOG(Spin On Glass)膜などから選択された少なくとも一種類以上の材料膜を含む単体膜または積層膜で形成されている。
【0108】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜70をエッチングすることなどによって、絶縁膜70にビア71を形成する。ビア71の底部ではパッド電極としての配線69が露出する。その後、図示はしないけれども、ビア71から露出する配線69に引出し電極を結線し、半導体装置をパッケージと一体化させることができる。
【0109】
(実施の形態6)
図39〜図41は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。図17までの製造工程は上記実施の形態5とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略し、図17に続く製造工程について説明する。なお、図39〜図41においても、図1の絶縁膜11より下の構造に対応する部分は図示を省略している。なお、本実施の形態では、配線35を半導体装置の比較的上層の配線であると想定して説明する。
【0110】
上記実施の形態1と同様にして図17の構造が得られた後、図39に示されるように、配線35に対して窪み21と同様の窪みを形成した後、配線35上に金属キャップ膜42を金属キャップ膜22と同様の材料および手法により形成する。それから、配線35が埋め込まれた絶縁膜26上に、上記絶縁膜23,24を形成した工程と同様の工程および材料によって、絶縁膜(バリア絶縁膜)63および絶縁膜(層間絶縁膜)64を形成する。
【0111】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜63,64をドライエッチングすることなどによって、配線35に達するスルーホールまたはビア85を形成する。このとき、ビア85の底部では、金属キャップ膜42の全部または一部が除去(エッチング)されており、主導体膜34の上面が露出される。
【0112】
次に、ビア85が形成された絶縁膜64上に、上記実施の形態5の導体膜69a,69b,69cと同様の手法および材料を用いて、チタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜との積層膜からなる導体膜89aと、相対的に厚いアルミニウム(Al)単体またはアルミニウム合金などのアルミニウムを主成分とする導体膜(アルミニウム膜)89bと、チタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜との積層膜からなる導体膜89cとを順に形成する。この際、下地の銅の主導体膜34との接着性(密着性)を高めるために、ビア85形成後に最初に形成する材料膜はチタン(Ti)膜であることが好ましい。導体膜89a,89cは、下層側がチタン膜で、上層側が窒化チタン膜である積層膜である。導体膜89bの材料として、銅(Cu)を例えば0.5重量%程度含むアルミニウム合金を用いることができるが、アルミニウムが主成分であれば、Cuやその他の添加物(Siなど)を任意の割合で含んでいてもよい。
【0113】
次に、図40に示されるように、フォトリソグラフィ法などを用いて導体膜89a,89b,89cの積層構造(積層膜)をドライエッチングして所定のパターンに加工し、パッド電極層として機能する配線(アルミニウム配線)89を形成する。配線89は、ビア85に埋め込まれた部分を介して配線35に電気的に接続されている。
【0114】
次に、図41に示されるように、パッド電極層としての配線89の保護層(Protection Layer)として、絶縁膜64上に配線89を覆うように、上記実施の形態5の絶縁膜70と同様の材料用いて絶縁膜90を形成する。
【0115】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜90をエッチングすることなどによって、絶縁膜90にビア(開口部)91を形成する。ビア91の底部ではパッド電極層としての配線89が露出する。その後、図示はしないけれども、ビア91から露出するパッド電極層としての配線89に引出し電極を結線し、半導体装置をパッケージと一体化させることができる。
【0116】
(実施の形態7)
図42は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【0117】
図42に示されるように、本実施の形態の半導体装置は、多層配線構造を有している。例えば上記実施の形態1と同様にして、半導体基板101に、素子分離領域102、ウエル領域(p型またはn型のウエル領域)103が形成され、ゲート絶縁膜104、ゲート電極105およびソース、ドレインとしての半導体領域(n型またはp型の半導体領域)108を有する複数のMISFET(nチャネル型またはpチャネル型のMISFET)109が形成されている。そして、それらのMISFET109に電気的に接続された第1層配線111、第2層配線112、第3層配線113、第4層配線114、第5層配線115および第6層配線116が、半導体基板101上に形成された層間絶縁膜としての絶縁膜121、エッチングストッパ膜としての絶縁膜122、バリア絶縁膜としての絶縁膜123および保護膜としての絶縁膜124の積層構造内に形成されている。
【0118】
プラグ131を介してMISFET109に電気的に接続されている第1層配線111はダマシン法(シングルダマシン法)により形成されているが、本実施の形態では第1層配線111にはタングステン配線を用いている。従って、第1層配線111は、絶縁膜121,122に形成された配線溝内に窒化チタンなどのバリア膜とタングステン膜とを形成し、配線溝外部の不要なタングステン膜および窒化チタン膜をCMP法によって除去することにより形成されている。タングステン配線においては、銅膜を有していないために銅の拡散現象は生じない。このため、タングステン配線からなる第1層配線111の上面には、金属キャップ膜を形成する必要はない。
【0119】
第2層配線112〜第5層配線115はダマシン法(図42の例ではデュアルダマシン法)により形成されている。従って、第2層配線112〜第5層配線115のそれぞれは、絶縁膜に形成された配線開口部(配線溝およびビア)内に導電性バリア膜と銅の主導体膜とを形成し、配線開口部外部の不要な主導体膜および導電性バリア膜をCMP法によって除去することにより形成されている。
【0120】
第2層配線112〜第5層配線115のうち、第2層配線112から第3層配線113にかけての工程は、上記実施の形態1における配線35から配線55にかけての工程と同様にして形成されている。すなわち領域132aの構造は、図18に示されるような上記実施の形態1の配線35の上面近傍領域の構造と同様である。このため、第2層配線112上には、金属キャップ膜42に対応する金属キャップ膜112aが形成され、更に金属キャップ膜52に対応する金属キャップ膜112bが、第3層配線113形成用のビア底部で露出する第2層配線112の銅の主導体膜上に形成されている。また、比較的下層の配線層である第2層配線112は、配線間隔が比較的狭いので、領域132bでは上記実施の形態2のビア30aのように目外れが生じている。このため、金属キャップ膜112bの成膜法には、上記実施の形態2の手法(図24)を適用することが好ましい。
【0121】
第3層配線113から第4層配線114にかけての工程は、上記実施の形態4における配線35から配線55にかけての工程と同様にして形成されている。すなわち領域133の構造は、図34に示されるような上記実施の形態4の配線35の上面近傍領域の構造と同様である。このため、第3層配線113上には、金属キャップ膜は形成されていない。
【0122】
第4層配線114から第5層配線115にかけての工程は、上記実施の形態1における配線35から配線55にかけての工程と同様にして形成されている。すなわち領域134の構造は、図18に示されるような上記実施の形態1の配線35の上面近傍領域の構造と同様である。このため、第4層配線114上には、金属キャップ膜42に対応する金属キャップ膜114aが形成され、更に金属キャップ膜52に対応する金属キャップ膜114bが、第5層配線115形成用のビア底部で露出する第4層配線114の銅の主導体膜上形成されている。また、比較的上層の配線層である第4層配線114は、配線間隔が比較的広いので、上記実施の形態2のビア30aのように目外れは生じない。
【0123】
第5層配線115はプラグ116aを介してアルミニウム配線である第6層配線116に電気的に接続されている。第5層配線115、プラグ116aおよび第6層配線116は、上記実施の形態5の配線35、プラグ68および配線69と同様にして形成されている。すなわち領域135の構造は、図38に示されるような上記実施の形態5の配線35の上面近傍領域の構造と同様である。このため、第5層配線115上には、金属キャップ膜42に対応する金属キャップ膜115aが形成されている。
【0124】
保護膜としての絶縁膜124に形成されたビアから露出した第6層配線116上には、引き出し電極(例えばバンプ電極)141が形成されている。
【0125】
このように、上記実施の形態1〜6を適宜組み合わせて半導体装置の多層配線構造を形成することができる。
【0126】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0127】
前記実施の形態では、MISFETを有する半導体装置について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、銅を主成分とする主導体膜を含む配線を有する種々の半導体装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の半導体装置は、埋込銅配線を有する半導体装置に適用して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図2】図1に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図3】図2に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図9】導電性バリア膜の材料と金属キャップ膜の形成方法の関係を示す説明図である。
【図10】図8に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図11】窪み21を形成せずにバリア絶縁膜を形成した状態を示す要部断面図である。
【図12】図10に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図19】比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図20】銅配線の上面を金属キャップで被覆した半導体装置の要部断面図である。
【図21】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【図22】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図24】ビアに目外れが生じ得る場合の導電性バリア膜の材料と金属キャップ膜の形成方法の関係を示す説明図である。
【図25】ビアに目外れが生じない場合の導電性バリア膜の材料と金属キャップ膜の形成方法の関係を示す説明図である。
【図26】図23に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図27】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図31】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図34】図33に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図35】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図39】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図41】図40に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図42】本発明の他の実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0130】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3 p型ウエル
4 ゲート絶縁膜
5 ゲート電極
5a シリサイド膜
6 n-型半導体領域
7 サイドウォール
8 n+型半導体領域
8a シリサイド膜
9 nチャネル型MISFET
10 絶縁膜
11 絶縁膜
12 コンタクトホール
13 プラグ
13a 窒化チタン膜
14 絶縁膜
15 絶縁膜
17 配線溝
18 導電性バリア膜
19 主導体膜
20 配線
21 窪み
22 金属キャップ膜
23 絶縁膜
24 絶縁膜
25 絶縁膜
26 絶縁膜
30 ビア
30a ビア
31 配線溝
32 金属キャップ膜
33 導電性バリア膜
34 主導体膜
35 配線
42 金属キャップ膜
43 絶縁膜
44 絶縁膜
45 絶縁膜
46 絶縁膜
50 ビア
51 配線溝
52 金属キャップ膜
53 導電性バリア膜
54 主導体膜
55 配線
63 絶縁膜
64 絶縁膜
65 ビア
66 導電性バリア膜
67 タングステン膜
68 プラグ
69 配線
69a 導体膜
69b 導体膜
69c 導体膜
70 絶縁膜
71 ビア
85 ビア
89 配線
89a 導体膜
89b 導体膜
89c 導体膜
90 絶縁膜
91 ビア
101 半導体基板
102 素子分離領域
103 ウエル領域
104 ゲート絶縁膜
105 ゲート電極
108 半導体領域
109 MISFET
111 第1層配線
112 第2層配線
112a 金属キャップ膜
112b 金属キャップ膜
113 第3層配線
114 第4層配線
114a 金属キャップ膜
114b 金属キャップ膜
115 第5層配線
115a 金属キャップ膜
116 第6層配線
116a プラグ
121 絶縁膜
122 絶縁膜
123 絶縁膜
124 絶縁膜
131 プラグ
132a 領域
132b 領域
133 領域
134 領域
135 領域
141 引き出し電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に形成された第1開口部と、
前記第1開口部の側壁および底部上に形成された第1バリア導体膜と、前記第1開口部内を埋めるように前記第1バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第1導体膜とを有する第1配線と、
前記第1導体膜上に形成された第1キャップ導体膜と、
前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜に形成され、その底部で前記第1導体膜を露出する第2開口部と、
前記第2開口部の底部で露出する前記第1導体膜上に形成された第2キャップ導体膜と、
前記第2開口部の側壁上と底部の前記第2キャップ導体膜上に形成された第2バリア導体膜と、
前記第2開口部内を埋めるように前記第2バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第2導体膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2開口部は、前記第1キャップ導体膜を貫通して前記第1導体膜に到達していることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1キャップ導体膜は、タングステン、タングステン合金、コバルト、コバルト合金、ニッケルまたはニッケル合金からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2キャップ導体膜は、タングステン、タングステン合金、コバルト、コバルト合金、ニッケルまたはニッケル合金からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1キャップ導体膜の膜厚は、2〜20nmの範囲内であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2キャップ導体膜の膜厚は、2〜20nmの範囲内であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1導体膜の上面は前記第1絶縁膜の上面よりも低く、前記第1キャップ導体膜の上面と前記第1絶縁膜の上面とが略平面であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に形成されたバリア絶縁膜とその上に形成された層間絶縁膜とを含む複数の絶縁膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1および第2バリア導体膜は、高融点金属膜または高融点金属合金膜の単体膜または積層膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2開口部は、前記第2絶縁膜に形成された配線溝と、前記配線溝の底部から前記第1キャップ導体膜を貫通して前記第1導体膜に到達するビアとを有し、
前記ビアの底部で露出する前記第1導体膜上に前記第2キャップ導体膜が形成され、
前記ビアの底部の前記第2キャップ導体膜上と前記ビアの側壁および前記配線溝の底部および側壁上に前記第2バリア導体膜が形成され、
前記ビアおよび前記配線溝内を埋めるように前記第2バリア導体膜上に前記第2導体膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板上の前記第1絶縁膜より上層に位置し、第3開口部を有する第3絶縁膜と、
前記第3開口部の側壁および底部上に形成された第3バリア導体膜と、前記第3開口部内を埋めるように前記第3バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第3導体膜とを有する第2配線と、
前記第3導体膜上に形成された第3キャップ導体膜と、
前記第3絶縁膜および前記第3キャップ導体膜上に形成された第4絶縁膜と、
前記第4絶縁膜に形成され、その底部で前記第3導体膜を露出する第4開口部と、
前記第4開口部の側壁および底部上に形成された第4バリア導体膜と、
前記第4開口部内を埋めるように前記第4バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第4導体膜と、
を前記第1配線よりも上層の配線層で有することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板上の前記第1絶縁膜より上層に位置し、第3開口部を有する第3絶縁膜と、
前記第3開口部の側壁および底部上に形成された第3バリア導体膜と、前記第3開口部内を埋めるように前記第3バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第3導体膜とを有する第2配線と、
前記第3絶縁膜および前記第3配線上に形成された第4絶縁膜と、
前記第4絶縁膜に形成され、その底部で前記第3導体膜を露出する第4開口部と、
前記第4開口部の側壁および底部上に形成された第4バリア導体膜と、
前記第4開口部内を埋めるように前記第4バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第4導体膜と、
を前記第1配線よりも上層の配線層で有することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板上の前記第1絶縁膜より上層に位置し、第3開口部を有する第3絶縁膜と、
前記第3開口部の側壁および底部上に形成された第3バリア導体膜と、前記第3開口部内を埋めるように前記第3バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第3導体膜とを有する第2配線と、
前記第3導体膜上に形成された第3キャップ導体膜と、
前記第3絶縁膜および前記第3キャップ導体膜上に形成された第4絶縁膜と、
前記第4絶縁膜に形成され、その底部で前記第3導体膜を露出する第4開口部と、
前記第4開口部の底部で露出する前記第3配線に電気的に接続され、アルミニウムを主成分とする第4導体膜を有する第3配線と、
を前記第1配線よりも上層の配線層で有することを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に形成された第1開口部と、
前記第1開口部の側壁および底部上に形成された第1バリア導体膜と、前記第1開口部内を埋めるように前記第1バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第1導体膜とを有する第1配線と、
前記第1導体膜上に形成された第1キャップ導体膜と、
前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜に形成され、その底部で前記第1キャップ導体膜の一部を貫通して前記第1導体膜を露出する第2開口部と、
前記第2開口部の底部で露出する前記第1導体膜上に形成され前記第1キャップ導体膜につながる第2キャップ導体膜と、
前記第2開口部の側壁上と底部の前記第2キャップ導体膜上に形成された第2バリア導体膜と、
前記第2開口部内を埋めるように前記第2バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第2導体膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置において、
前記第1開口部内の前記第1導体膜の上面は前記第1絶縁膜の上面よりも低く形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項14記載の半導体装置において、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に形成されたバリア絶縁膜とその上に形成された層間絶縁膜とで形成され、前記第2開口部は前記層間絶縁膜と前記バリア絶縁膜と前記第1キャップ導体膜を貫通して前記第1導体膜を露出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に形成された第1開口部と、
前記第1開口部の側壁および底部上に形成された第1バリア導体膜と、前記第1開口部内を埋めるように前記第1バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第1導体膜とを有する第1配線と、
前記第1導体膜上に形成された第1キャップ導体膜と、
前記第1絶縁膜および前記第1キャップ導体膜上に形成されたバリア絶縁膜と、
前記バリア絶縁膜上に形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜の途中の深さまで形成された配線溝部分と、前記配線溝部分の底部から前記第2絶縁膜とバリア絶縁膜と前記第1キャップ導体膜の一部を貫通して前記第1導体膜に到達するビアとからなる第2開口部と、
前記ビアの底部で露出する前記第1導体膜上に形成され前記第1キャップ導体膜につながる第2キャップ導体膜と、
前記ビアの底部の前記第2キャップ導体膜上と前記ビアの側壁および前記配線溝部分の底部および側壁上に形成された第2バリア導体膜と、
前記ビアおよび前記配線溝部分を埋めるように前記第2バリア導体膜上に形成された銅を主成分とする第2導体膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置において、
前記第1開口部内の前記第1導体膜の上面は前記第1絶縁膜の上面よりも低く形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項17記載の半導体装置において、
前記第1キャップ導体膜は、タングステン、タングステン合金、コバルト、コバルト合金、ニッケルまたはニッケル合金からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項17記載の半導体装置において、
前記第1キャップ導体膜の膜厚は、2〜20nmの範囲内であることを特徴とする半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2007−42662(P2007−42662A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−359673(P2003−359673)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】