説明

自動車の安全システム

【課題】 車輛を運転中に、ドライバーなどの搭乗者が巻き込まれる交通事故などの予期せぬトラブルに対して、未然に対処することを可能とする。
【解決手段】 車輛の作動状態および搭乗者の運転状態を検出する車輛状態検出装置1と、車輛状態検出装置1からの信号を受けて内部演算処理によって車輛の作動状態および搭乗者の運転状態を安全な状態に制御するコントローラ2と、コントローラ2からの信号を受けて車輛の作動状態および搭乗者の運転状態を修正して車輛および搭乗者の安全を確保する安全装置3とから自動車の安全システムを構成する。車輛状態検出装置1においてセンサなどの検知器によって少なくとも1以上の危険状態を察知し、コントローラ2により安全装置3において少なくとも1以上のアクチュエータ310,320を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車又は搭乗者の安全を確保するための自動車の安全システムに係り、具体的にはコンピュータなどのコントローラを利用した自動車の安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動者においては、予期せぬトラブルに巻き込まれることが多い。そのトラブルは、停車中に起こる場合もあるが、多くは走行中において、ドライバーの運転ミスが原因となって起こる。その他にも、交通事故などの予期せぬ事象により起こる場合も多い。
【0003】
この種のトラブルを解決するための手段のひとつとして、特開平07−019882号公報(車両の走行域認識装置及びそれを備えた自動車の安全装置)に示すように、道路上に記された走行レーンの白線を検知して自車の走行域を認識するようにした車輛の走行域認識装置に関するものがある。この方法では、道路側方に該道路に沿って配置された特徴物を検知するレーザヘッドユニットを備え、走行域認識の基準とすべき基準白線が検知できない場合は、上記特徴物と自車との相対位置により自車の走行域を認識するようにしている。また、この方法では、このような走行域認識装置を備えると共に、該走行域認識装置で認識された走行域から逸脱しないように自車の走行状態を制御し、あるいはドライバに警報を発する安全機構を備えるようにしている。
【0004】
また、他の手段として、特表2002−514549号公報(安全ステアリングコラム、自動車の安全システムおよび安全システムを備える自動車ならびに安全方法)のように、軸方向に調整可能である安全ステアリングコラムに関するものがある。この方法では、事故の際にステアリングコラムのポジショニングが、その軸方向で乗員から遠方に動作し得るようにしている。具体的には、この発明では、最初に単一または第1の推進薬の点火によって、安全ステアリングコラムのロックまたはストップがその軸方向で解除またはリフトされ、その後、安全ステアリングコラムが、推進薬、第1の推進薬または妥当であれば別の第2の推進薬の作用によって運転者から遠方へその最大縮退位置の方向に処理するようにしている。
【特許文献1】特開平07−019882号公報
【特許文献2】特表2002−514549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述した前者の方法では、レーザヘッドユニットを備えた走行域認識装置によって、道路上に記された走行レーンの白線を検知して自車の走行域を認識するようにすると共に、走行域認識の基準とすべき基準白線が検知できない場合は、該レーザヘッドユニットによって、道路側方に該道路に沿って配置された特徴物を検知し、該特徴物と自車との相対位置により自車の走行域を認識するようにしている。そのため、この方法では、単に上記走行域認識装置で認識された走行域から逸脱しないように自車の走行状態を制御し、あるいは安全機構によってドライバーに警報を発することができるに過ぎない。
【0006】
したがって、上記方法においては、車輛前方に障害物があり、ドライバーのブレーキ操作が遅れて該障害物に車輛が衝突するような場合には、対応することができない。当然のことながら、この方法では、後方からの他車の衝突や、側方からの他車の衝突に対しては、全くの無防備となってしまう。
【0007】
また、通常の自動車においては、湖沼、河川や港湾に誤って落下した場合には、特殊なハンマーを使用して自動車ガラスを割って、搭乗者を車外へ脱出させるようにしている。
また、市街地から山道に差しかかると、特にサスペンションの軟らかい車輛においては、急カーブに沿って急ハンドルを切った場合などに、対向車線側にオーバーランしてしまうことがある。もし、自車が対向車と正面衝突した場合には、大きな事故となる危険性が高い。
【0008】
一方、前述した後者の方法では、軸方向に調整可能である安全ステアリングコラムによって、事故の際に、該安全ステアリングコラムがその軸方向で乗員(運転者)から遠方に動作し得るようにしているため、上記乗員の安全を確保することができるものの、他の搭乗者の安全を確保することができないという致命的な問題点を有する。
【0009】
また、この方法では、第1の推進薬と第2の推進薬の点火によって、安全ステアリングコラムのロックまたはストップをその軸方向で解除またはリフトすると共に、運転者から遠方へその最大縮退位置の方向に安全ステアリングコラムを移動させるようにしているため、現在主流となっているエアーバックと同様に、一旦使用してしまうと、上記安全ステアリングコラムまたは第1の推進薬及び第2の推進薬を取り替えなければならないという問題点を生ずることとなる。
【0010】
このように、背景技術において、解決しようとする問題点は、予期せぬトラブルが生じた場合に、車輛及び搭乗者の安全を十分に確保することができないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車輛の作動状態および搭乗者の運転状態に関して、検知器によって少なくとも1以上の危険状態を同時に察知する機能を有する車輛状態検出装置によって、車輛の作動状態および搭乗者の運転状態を検出すると共に、コンピュータなどのコントローラに対して上記車輛状態検出装置からの信号を入力し、該コントローラによって少なくとも1以上のアクチュエータを有する安全装置を作動させて、車輛および搭乗者の安全を確保することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、車輛状態検出装置の検知器によって、車輛の作動状態および搭乗者の運転状態を検出することができる。また、コントローラにおいて、上記車輛状態検出装置からの信号を演算したり、解析したりすることによって、車輛および搭乗者についての危険状態を察知することができる。そして、本発明においては、上記の危険状態の信号に基づいて、上記コントローラによって、安全装置のアクチュエータを作動させることができるので、車輛および搭乗者の安全を確保することが可能となるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
前記車輛状態検出装置が、検知器として、各種の物理量を測定するセンサや、マイクロ波を利用したレーダー、レーザー光線を利用したレーダー、カメラ、ジャイロスコープなどを備えており、これらによって車輛の作動状態および搭乗者の運転状態についての効率の良い検出を実現した。
また、前記コントローラが、高速で上記検知器からの信号を演算・解析することによって、制御用電気回路などの複雑なハードウェアについてのソフトウェアによる置き換えを実現すると共に、搭乗者に対する車輛の作動状態および搭乗者のビジュアルな表示を実現した。
前記安全装置が、アクチュエータとして、各種の電気式モータ、超音波モータ、油圧・空気圧式モータ、油圧・空気圧式シリンダなどを備えており、これによって車輛および搭乗者についての確実な安全を確保することを実現した。
以下に添付の各図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明にかかる自動車の安全システムの1実施例を図1〜図5に基づいて、詳細に説明する。図1は、本発明にかかる自動車の安全システムの1実施例の概略構成図であって、
主な構成要素のブロックチャートである。
本発明にかかる自動車の安全システムは、図1に示すように、車輛状態検出装置1と、コントローラ2と、安全装置3とからなる。
【0015】
上記車輛状態検出装置1は、各種の検知器10を有する。ここで、検知器10とは、車輛のアクセル開度、エンジンのクランク角度、エンジン回転数、カム角度などを検知するための各種センサ11や、走行レーダー12などを指す。これらのセンサ11の信号は、上記コントローラ2によって演算処理され、ドライバーにも認識できる形で該コントローラ2のディスプレイ上に表示するようにしている。また、上記走行レーダー12は、図2および図3に示すように、車輛のルーフ94の上面に固着してあって、360度角の探査範囲を有する。具体的には、該走行レーダー12は、所定角度90度の範囲内を一定の角速度で往復角運動する4つのマイクロ波送受信アンテナ121,122,123,124から成る。そして、これらのマイクロ波送受信アンテナ121,122,123,124は、上記車輛状態検出装置1を介してコントローラ2に接続してあり、該コントローラ2の内部において、演算・解析により360度角の探査範囲の情報に処理するようにしている。
【0016】
前記コントローラ2は、記憶装置と、演算回路と、その演算結果を表示するためのディスプレイとを有する。そして、該ディスプレイによって、車輛の状態、特に危険状態を表示するようにしている。上記コントローラ2は、車輛の大きさを把握しており、常時車輛の周囲の状況、特に車輛と周囲の障害物との距離間隔などを表示する機能を有する。また、上記コントローラ2は、例えばドライバーがハンドル操作を誤って、車輛が側方の障害物に接触しようとした場合に、アラームを鳴らしたり、車輛が狭いコーナーに沿って走行した際に、死角となる車輛の前部左隅と障害物との接触をさけるためにアラームを鳴らしたり、車輛が狭い通路を走行中に対向車と接触しようとした際に、対向車との接触をさけることができない場合に、通路幅を考慮してアラームを鳴らしたりする機能を有する。
【0017】
前記安全装置3は、図1に示すように、前記コントローラ2からの信号を受けて安全確保のために作動するアクチュエータ311,321と、これらのアクチュエータ311,321を作動させるための駆動源312を有する。コントローラ2が、前記走行レーダー12からの信号を解析して、車輛前方または車輛後方の安全性を危惧する判断を下した場合には、該コントローラ2から上記アクチュエータ311,321へこれらを制御するための信号を送るようにしている。該アクチュエータ311は、図1に示すように、安全装置3および上記駆動源312と一体になって、緊急時における車輛前部の衝撃を緩和するための衝撃吸収装置310を構成している。同じく、アクチュエータ321は、安全装置3および上記駆動源312と一体になって、緊急時における車輛後部の衝撃を緩和するための衝撃吸収装置320を構成している。
【0018】
前記アクチュエータ311は、図4に示すように、車輛の前部に車輛前方に向けて配設してあり、流体シリンダにより構成している。本実施例において、このように車輛の前部に衝撃吸収装置310を配設したのは、通常は、ドライバーの不注意による車輛の運転で、車輛の前部が障害物と衝突する場合が多いからである。
上記アクチュエータ311は、図4および図5に示すように、円筒状に形成したシリンダ311aと、該シリンダ311a内に進退自在に嵌挿した受け部材311bとを有する。該受け部材311bは、図示省略してあるが、上記シリンダ311a内に進退自在に嵌挿したスプールと、該スプールから延設したロッドと、該ロッドの先端部に固着した衝撃受け311cと、該衝撃受け311cの表面に一体形成したゴムなどの緩衝材とからなる。そして、上記アクチュエータ311には、上記スプールを進退作動させるための駆動源312を接続してある。図示省略してあるが、上記駆動源312は、高圧のエアーを発生させるためのエアーポンプと、該エアーポンプに接続した蓄圧器とからなり、該エアーポンプは、エンジンなどの動力によって回転駆動させるようにしている。
【0019】
車輛の後部にも、前記アクチュエータ311と同様の流体シリンダ構造のアクチュエータ321を車輛後方に向けて配設してある。この配置も、通常は、後続車が不注意により自車の後部に衝突する場合が多いことを考慮したものである。具体的には、該アクチュエータ321は、上記アクチュエータ311と同様に、シリンダ321aと、受け部材321bとを有する。前記内容と同様に、図示省略してあるが、該受け部材321bは、スプールとロッドと衝撃受けとからなり、該衝撃受けには、緩衝材321cが一体形成してある。該アクチュエータ321は、前記アクチュエータ311と駆動源312を共通としている。そして、両アクチュエータ311,321と駆動源312との接続は、それぞれの接続経路上に介設したそれぞれの制御弁313,323によって切り替えるようにしている。
【0020】
なお、図2、図4、図5において、91は障害物、97はヘッドランプ、98はGPSアンテナ、99はタイヤをそれぞれ示す。
上記GPSアンテナ98は、カーナビゲーションのGPS受信ユニットに接続されている。上記コントローラ2は、図示省略したGPS受信ユニット、方位センサなどから信号を受けて、カーナビゲーションとして機能するためのナビゲーション制御ユニットとしても作動する。また、上記コントローラ2は、自宅内のリモコンや携帯電話によるエンジン始動機能なども併せ持っている。
【0021】
次に、本発明の作用および効果について、図1〜図5を用いて詳細に説明する。
通常、車輛を運転するドライバーは、常に事故の危険性を伴う。運転中に、ついうっかりと恋人や家族などの同乗者の方を振り向いてしまった場合は、もちろんのこと、特に近年においては、携帯電話の普及に伴って、車輛運転中に携帯電話に夢中になってしまい、車輛前方に対する注意がおろそかになる傾向がある。
本発明においては、図2に示すように、車輛前方に障害物91が存在し、ドライバーが前述のような不注意によってその障害物91を見落とした場合には、前記車輛状態検出装置1の走行レーダー12が、該障害物91を検知し、その障害物91までの距離などの基本データを計測する。この種の情報は、信号となって車輛状態検出装置1に送られ、該車輛状態検出装置1において、その障害物91を検出する。そして、その信号は、該車輛状態検出装置1からコントローラ2へ送られて、該コントローラ2において、上記障害物91に関する情報、特にその障害物91の形状や大きさ、種類について認識する状態となる。
【0022】
具体的には、図3に示すように、前述の走行レーダー12は、車輛前方の障害物91を主にマイクロ波送受信アンテナ121によって認識するのであるが、該マイクロ波送受信アンテナ121が、車輛前方を90度角にわたって、一定の角速度で水平方向および垂直方向に走査するに伴って、コントローラ2が、上記マイクロ波送受信アンテナ121の0度付近と90付近については、角速度が0になるため、該コントローラ2の内部演算回路によってデータ補正するようにしている。また、走行レーダー121の認識対象物が、マイクロ波送受信アンテナ121,122,124にまたがって存在する場合には、これら3つのマイクロ波送受信アンテナ121,122,124の信号を合成して1つの信号と扱うように、データ補正している。
【0023】
一方、上記コントローラ2においては、車輛状態検出装置1のセンサ11から読み込んだエンジン回転数などの情報に基づいて、車輛の速度などの基本的な情報管理がなされており、該コントローラ2は、ドライバーに対してアラーム信号を発信してブレーキ操作を要求すると共に、車輛速度から算出された車輛制動距離との関係で、ブレーキ操作によっても障害物91との衝突が避けられないと判断した場合には、安全装置3へ衝撃吸収装置310を作動させるための制御信号を送る。
【0024】
上記衝撃吸収装置310においては、図5に示すように、制御弁313を操作して、駆動源312からアクチュエータ311へ作動流体を急速に送り込む。その結果、障害物91と衝突する頃には、シリンダ311aから受け部材311bが突出して、該受け部材311bの衝撃受け311cが障害物91と接触する状態となる。そして、上記アクチュエータ311が、車輛の前進に伴って、一種のダンパのような作用をして、上記受け部材311bに伝達された衝撃を吸収し始める状態となる。
【0025】
このようにして、障害物91からの衝撃を吸収した後、前記コントローラ2は、衝撃吸収装置310に制御信号を送って、制御弁313を再び操作し、アクチュエータ311の受け部材311bをシリンダ311aの内部に引っ込める。
上記のようにして、緊急時における車輛前方の障害物91による衝撃を吸収することができるので、ドライバーを含めた車輛の搭乗者は、安心して車輛を運転することが可能となる。
なお、本実施例においては、車輛前方の障害物について説明したが、車輛後方の後続車が、居眠り運転などにより、自車の後部に衝突しようとしてきた場合であっても、前述した衝撃吸収装置310と同様の作動が、車輛後部の衝撃吸収装置320においても行われる結果、後続車による自車に対する衝撃の吸収あるいは衝撃の緩和を効率よく行うことができる。
【0026】
また、本実施例では、前記コントローラ2は、専用リモコンにより、エンジンを始動させることもできる。更には、コントローラ2は、携帯電話とOS(オペレーティングシステム)を共通としているので、携帯電話からでもエンジンを始動させることができる。このような機能は、ひどく冷え込んだ真冬の早朝時など、ベッドから起きづらい時などに、特に効果がある。
さらに、本実施例に示したコントローラ2は、カーナビゲーション機能を持っており、上空の通信衛生から送信されてきた信号は、車輛の上に配設されたGPSアンテナ98によって受信されて、上記コントローラ2の内部のGPS受信ユニット、方位センサなどからなるカーナビション機能によって、ディスプレイ上に表示される。
【0027】
したがって、上記コントローラ2のカーナビゲーション機能を利用することによって、初めての未知の土地を通行する場合はもちろんのこと、既知の土地であっても、交通渋滞を避けて目的地に到達することができる。更には、複数の立ち寄り先があり、1日ですべての立ち寄り先に行かなければならない場合には、上記コントローラ2にすべての立ち寄り先を予めインプットしておくことにより、該コントローラ2の演算回路を用いて最短距離を算出し、上記カーナビゲーション機能の相乗効果もあいまって、交通渋滞を避けて短時間で複数の立ち寄り先をすべて回ることができる。このような使い方は、営業車において、特に有効な手段である。
【実施例2】
【0028】
本発明にかかる実施例について、図6および図7に基づいて詳細に説明する。
本実施例にかかる自動車の安全システムは、前記走行レーダー12に代えて、検知器として走行レーダー13を用いたものである。
上記走行レーダー13は、図6に示すように、所定角度の範囲内を一定の角速度で往復角運動する複数のレーザーレーダー131,132,133,134からなる。本実施例では、所定の角度を90度に設定している。上記レーザーレーダー131は、図7に示すように、円筒状のハウジング131aと、該ハウジング131aの外周面に固着させた多目的型のレーザー発振器131bと、ハウジング131aの底部に配設した反射鏡131cと、該反射鏡131cと対峙させて配設した反射鏡131dと、上記反射鏡131cの中央に配設した赤外線センサ131eと、上記ハウジング131aを所定範囲内において水平方向および垂直方向に回動駆動させるための走査装置131fとからなる。他のレーザーレーダー132,133,134の構造も、上記レーザーレーダー131の構造と同様である。
【0029】
前記レーザー発振器131bは、周波数の異なる2種類の発光源を有しており、前記コントローラ2の制御信号を受けて、湿度によって近赤外線と中赤外線を切り替えるようになっている。前記車輛状態検出装置1は、この切り替えを行うための湿度を検知する検知器として、センサ111を有する。
また、前記赤外線センサ131eは、車輛状態検出装置1に接続してあり、該車輛状態検出装置1から上記コントローラ2へ検出した信号を送るようになっている。
また、上記走査装置131fは、コントローラ2に接続してあり、該コントローラ2において、上記走査装置131fによって検出対象物を効率よく捉えるようにプログラムが組んである。
その他の構成は、前述の実施例1と同様である。
【0030】
本発明は、前記のような構造であるので、次のような特有の作用・効果を生ずる。
一般に、霧や雨などの気象条件によって、レーザー光が大きく減衰するが、本発明は、車輛の使用状況を車輛状態検出装置1のセンサ111が検知した湿度の信号がコントローラ2に送られ、該コントローラ2の制御信号を受けて、天候によってレーザー発振器131bの周波数を切り替える。そのため、気象条件に拘わらず、走行レーダー13によって、確実に障害物91を捉えることができる。
また、前述したように、捉えた障害物91は、コントローラ2の制御によって走査装置131fを狭い範囲内で作動させ、該障害物91のみに的を絞ってレーザーレーダー131を走査することができる。そのため、短時間で上記障害物91の全体像を把握することが可能となる。
【実施例3】
【0031】
本実施例にかかる発明について、図8および図9に基づいて詳細に説明する。
本発明は、前述の実施例1の走行レーダー12に代えて、前記車輛状態検出装置1に検知器としてのカメラ141,142を接続したものである。該カメラ141は、車輛の前部に配設してあって、左右一対のカメラユニット141L,141Rからなる。一方、カメラ142は、車輛の後部に配設してあって、左右一対のカメラユニット142L,142Rからなる。これらのカメラユニット141L,141R,142L,142Rは、前記コントローラ2に接続してあり、それぞれ該コントローラ2によって、水平方向および垂直方向に回動自在に制御するようにしている。そして、これらの装置を用いて、両眼立体視の原理により、対象物までの距離を測定するようにしている。なお、図8において、θは、車輛前方のカメラユニット141L,141Rと障害物91とがなす水平面角度、図9において、φは、垂直面角度(俯角または仰角)を表している。
その他の構成は、前述の実施例1と同様である。
【0032】
本発明の作用・効果について説明する。
本発明においては、両眼立体視の原理を用いて、左右一対のカメラユニット141L,141Rにより障害物91を捉えて、その障害物91までの距離を測定すると共に、前方視界の映像を車内のディスプレイに映し出すことが可能となる。これは、いわゆる「スーパーカー」と呼ばれている高速スポーツカーのように、車高が低くて前方視界を十分に確保することが困難な場合に、特に有効な手段である。
その他の作用・効果は、実施例1と同様である。
【実施例4】
【0033】
本実施例にかかる発明について、図10に基づいて詳細に説明する。
本発明は、前述の実施例1の走行レーダー12に代えて、車輛の前部および後部に、ステレオアダプタを利用した検知器としてのカメラ151,152をそれぞれ水平方向および垂直方向に回動自在に配設し、両カメラ151,152を前記車輛状態検出装置1に接続したものである。
その他の構成は、前述の実施例1と同様である。
【0034】
本発明の作用・効果について説明する。
本発明においては、ステレオアダプタを利用したカメラ151,152を用いているので、部品点数を減らすことができる。その結果、前述の実施例3と比べて、コストダウンを図ることが可能となる。
【実施例5】
【0035】
本実施例にかかる発明について、図11〜図14に基づいて詳細に説明する。
本発明は、図11に示すように、前述の衝撃吸収装置310,320に代えて、車輛の底部に衝撃吸収装置330を任意の位置に移動自在に配設すると共に、その配設位置に回動自在に枢着したものである。具体的には、図12に示すように、車輛の底部には、該車輛の長手方向に沿って左右一対の縦ガイド330aを敷設してあり、これら2つの縦ガイド330a,330aの間にまたがって横ガイド330bを横架してある。該横ガイド330bと上記縦ガイド330a,330aとは、図示省略したラック・ピニオン機構によって噛合させてあり、アクチュエータ330kの作動によって、横ガイド330Bが、縦ガイド330a,330aに沿って進退移動できるようになっている。
【0036】
また、上記横ガイド330bにも、同様のラック・ピニオン機構によって噛合されて、回動支持台330cが、該横ガイド330bに沿って進退移動できるようになっている。これらのピニオンは、上記コントローラ2の制御を介して、図示省略したアクチュエータによって駆動されて、回転駆動するようにしてあり、この回転駆動によって上記進退移動を可能としている。
そして、上記回動支持台330cには、枢軸330dによって上記衝撃吸収装置330を回動自在に枢着してある。
【0037】
前記衝撃吸収装置330は、前述の車輛状態検出装置1からの信号を受けて前記コントローラ2により回動作動するアクチュエータ330eを有する。また、前記衝撃吸収装置330は、その装置自体を任意の回動角度に固定するための回動角度固定手段として、クラッチ機構330fを有する。該クラッチ機構330fは、上記コントローラ2に接続してある。
【0038】
前記回動支持台330cには、上記クラッチ機構330fを介して、本体ケース330gを回動自在に取り付けてあり、該本体ケース330gの内部には、図示省略した駆動源に接続したアクチュエータ330hを装着してある。該アクチュエータ330hは、進退作動する受け部材330iを有する。該受け部材330iは、その先端部に衝撃受け330jを備えている。
その他の構造は、前述の実施例1と同様である。
【0039】
次に、本発明の作用・効果について、詳細に説明する。
本発明においては、図11に示すように、夜間に車輛が狭い屈曲した通路を通過する際に、車輛の左側のボデーを保護するという意味で、特に有効である。
通常、右ハンドルの車輛においては、ヘッドランプ97が前方のみを照らし出すに過ぎないことから、夜間に車輛の左側の視界を確保することは、困難な状況となる。その結果、車輛を極端に徐行運転したとしても、障害物91の角部911に対して車輛の左側ボーデーが接触した場合には、車輛自体の重量による運動量から過大な局所応力が働くこととなる。したがって、ドライバーがごく僅かな接触だと思っていても、無理やりこのような通路を通り抜けた場合は、もちろんのこと、車輛をバックさせてハンドルを切り返した場合であっても、車輛が大きなダメージを受けることが多く、このことは経験的にもよく知られている。
【0040】
本発明においては、図11に示すような危険な状態になった場合には、前述の車輛状態検出装置1の走行レーダー12が通路中に障害物91の角部911を検知して、上記車輛状態検出装置1から前述のコントローラ2に危険信号が出力される状態となる。その結果、上記コントローラ2が、安全装置3に指令して、衝撃吸収装置330を作動させることとなる。
上記衝撃吸収装置330は、コントローラ2からの信号を受けて、まず図示省略したアクチュエータが働き、該衝撃吸収装置330の回動支持台330cを車輛の左側へスムーズに移動させると共に、アクチュエータ330eの回動駆動力によって、該回動支持台330cが回動して障害物91と向かい合う状態となる。そして、この状態で、クラッチ機構330fが働いて、上記回動支持台330cが、その回動角度を固定されることによって、上述の向かい合う状態が強固にホールドされることになる。
【0041】
前述の状態のままで、ドライバーが無理やりに通路を通り抜けようとした場合には、上記衝撃吸収装置330の受け部材が障害物91の角部911と接触するので、通常のドライバーには、その接触状態が危険な状態であることが認識でき、車輛のボデーに大きな打撃を受ける前に、車輛を止めることができるようになる。
なお、本実施例では、衝撃吸収装置330に障害物91との接触を感知するセンサを取り付けていないが、この種のセンサを取り付けることによって、更に大きな危険回避効果を得ることができることは、言うまでもない。
【0042】
本発明は、図13および図14を比較してもわかるように、車輛に対して障害物91が傾斜している場合に、特に有効である。
図14に示すように、前述の実施例1のような構成の場合には、衝撃吸収装置310と障害物91が水平面角度θをなして力Fにて接触した際に、該衝撃吸収装置310が、支点Pを中心として反時計回りに回転しようとする結果、力のモーメントMを生ずることとなる。これでは、衝撃吸収装置310の本体に無理な応力が加わり、該衝撃吸収装置310の故障を招くこととなる。
【0043】
一方、本発明の場合には、図13に示すように、障害物91と衝撃吸収装置330が面接触することとなるので、力Fが障害物91との接触面に対して均一に働くことになり、該衝撃吸収装置330に無理な応力が加わることはない。
更に、本発明においては、例えば前述の実施例4に示すように、車輛の前後部および車輛の左右両サイドに4つの衝撃吸収装置を配置する場合と比較して、単一の衝撃吸収装置330のみで、同様の効果を得ることができる。その結果、大幅に部品点数を減らすことができ、ひいては著しいコストダウンにつながるという大きなメリットを得ることができる。
【実施例6】
【0044】
本実施例にかかる発明について、図15に基づいて詳細に説明する。
本発明においては、図15に示すように、前述の車輛状態検出装置1が、検知器として、前記センサ11に加えて、異常な水圧を検知するセンサ112と、車輛の窓ガラス95の周囲の圧力状況を検知するセンサ113とを有する。ここで、「異常な水圧」を条件としたのは、通常の雨天走行時におけるタイヤなどによる雨水の跳ね返りで、上記車輛状態検出装置1が誤動作しないようにするためである。また、「車輛の窓ガラス95の周囲の圧力状況」を条件としたのは、窓ガラス95まで浸水した状態で、急に該窓ガラスを開けると、かえって搭乗者の危険を招くからである。
【0045】
また、本発明においては、前述の安全装置3が、パワーウインド装置とは別個に車輛の両側方の窓ガラス95を昇降するウインド開閉装置340を含んでおり、該ウインド開閉装置340は、前述のコントローラ2に接続してある。
また、上記ウインド開閉装置340は、窓ガラス95を昇降させるためのアクチュエータ341と、該アクチュエータ341を駆動させるための駆動源342とを有する。
本実施例においては、上記アクチュエータ341として、エアー式の流体シリンダを用いている。また、上記駆動源342として、エアーコンプレッサーと蓄圧器を用いている。該アクチュエータ341は、蓄圧器内に貯留された高圧のエアーの圧力によって、窓ガラスを昇降するリンク機構を強制的に作動させるようになっている。この駆動源342は、前述の駆動源312と共通としても良い。
なお、上記アクチュエータとして、空気圧式モータを用いても良い。また、駆動源に浸水しないように、ハウジング内に駆動源を収納した上で、油圧式モータを作動させるようにしても良い。
【0046】
ところで、本発明においては、車輛入水時のフロントガラス96への衝撃に対する耐久性を向上させるために、該フロントガラス96の内部に補強繊維41を埋設している。該補強繊維41としては、通常の金属ワイヤの他、合成樹脂の繊維などが考えられるが、上記フロントガラス96の全面に衝撃による荷重が働いた場合には、一定の強度を確保しながらも、局所荷重が働いた場合には、フロントガラス96が壊れるように、上記補強繊維41の強度を設定する必要があることは、言うまでもない。
また、図示省略してあるが、車輛の通風孔においては、該通風孔を急速に閉塞する遮蔽蓋を付設しており、該遮蔽蓋は、前記センサ112の信号を受けたコントローラ2によって、作動するようになっている。
その他の構成は、前述の実施例1と同様である。
【0047】
次に、本発明の作用・効果について詳細に説明する。
図15に示すように、ドライバーが運転を誤って、車輛が湖沼、河川や港湾に落下した際には、通常は、電気系統にショートが起きるため、パワーウインドを備えた車輛の場合、搭乗者が、窓ガラスを開けられずに、溺死するケースが多い。そのため、通常は、特殊なハンマーを用いて窓ガラスを割ることによって、緊急時における搭乗者の脱出を図るようにしている。
しかしながら、上記のような特殊なハンマーは、自動車部品専門店しか取り扱っていないことに加えて、そのハンマーを使い慣れていなかったり、躊躇して車外への脱出が遅れて、溺死に至る場合が多い。
【0048】
本発明においては、上記のように、蓄圧器を有する駆動源342にアクチュエータ341を接続し、該蓄圧器内の高圧の作動流体によってアクチュエータ341を作動させるようにしているため、これまでのように、電気的ショートによって窓ガラスの開閉モータが作動せずに、溺死するという最悪のケースを避けることができる。
本実施例では、図15に示すように、車輛が水位レベルLの水92の中に浮かんだ状態で、まずセンサ112が、異常な水圧の水92を検知する。この時点で、コントローラ2において、車輛が水中に落下したことを認識することとなる。
また、センサ113が、窓ガラス95の周囲の圧力状況を検知して、上記コントローラ2が、未だ該窓ガラス95までは浸水していないことを認識する。
【0049】
上記コントローラ2においては、これらの情報を総合的に判断して、緊急に上記窓ガラス95を開ける必要があることを認識すると共に、安全装置3のアクチュエータ341に対して、駆動源342から作動流体を送り込むための指令を出す。その結果、該アクチュエータ341が、進退作動して、リンク機構を介して窓ガラス95を開けることとなる。
上記のようにして、作動流体を用いてアクチュエータ341を作動させ、強制的にリンク機構を作動させるようにしているので、電気系統とは無関係に、確実にウインド開閉装置340が作動する状態を得ることができる。
その結果、河川などへの落下による溺死を根絶することができるようになった。
【実施例7】
【0050】
本実施例にかかる発明について、図16に基づいて詳細に説明する。
前述の実施例6が、車輛が湖沼、河川などに誤って落下した場合に、窓ガラスから搭乗者を脱出させようとしたのに対して、本発明は、車輛のルーフに設けた開口部から搭乗者を脱出させようとするものである。そのため、前述の窓ガラス95の周囲の圧力状況を検知するセンサ113に代えて、検知器としてのセンサ114によって、車輛のルーフ上の圧力状況を検知するようにしている。
【0051】
したがって、本発明においては、前述の車輛状態検出装置1が、異常な水圧を検知するセンサ112と、車輛のルーフ上の圧力状況を検知するセンサ114とを有している。また、前述の安全装置3が、車輛の車内に配設した座席昇降装置350と、該座席昇降装置350と対応させて車輛のルーフ94に配設した脱出口開閉装置360とを含んでいる。
上記座席昇降装置350は、車内の座席シート93の真下に配設してあり、該座席昇降装置350によって座席シート93を昇降させるようにしている。該座席昇降装置350は、前述のコントローラ2に接続してあり、該コントローラ2から制御信号を送って座席昇降装置350のアクチュエータ351を作動させることにより、上記座席シート93を昇降自在なものとしている。該アクチュエータ351には、これを作動させるための駆動源352に接続してある。この駆動源352は、前述の駆動源312と共通としても良く、そうすることによって、部品低減・コストダウンを図ることができることは言うまでもない。
【0052】
この種のアクチュエータ351としては、ネジ機構を利用したもの、空気圧式・油圧式などの作動流体を利用したものなどがある。ただし、アクチュエータ351としては、電気的ショートを伴わない空気圧式のものが望ましい。浸水による電気的ショートを伴う場合には、防水用ハウジングによって、アクチュエータ351やその駆動源をカバーする必要がある。
なお、本発明においても、前述の実施例6と同様な補強繊維41をフロントガラス96の内部に埋設すると共に、通風孔には、図示省略した遮蔽蓋を付設おり、該遮蔽蓋は、前記コントローラ2によって、作動させるようにしている。
【0053】
また、車輛のルーフ94には、上記座席昇降装置350と対応させて、緊急時に搭乗者を車外へ脱出させるための緊急脱出口361を開口してあり、該緊急脱出口361には、上記脱出口開閉装置360を開閉自在に配設してある。該脱出口開閉装置360には、図示省略してあるが、扉開閉のためのワイヤー駆動式のアクチュエータが組み込んである。なお、この種のアクチュエータは、タイミングベルト駆動式としても良い。
そして、上記座席昇降装置350と上記脱出口開閉装置360とを接続して連動させている。また、座席昇降装置350と上記脱出口開閉装置360は、前記コントローラ2を介して、前記車輛状態検出装置1のセンサ112,114に接続させてある。
その他の構成は、前述の実施例1と同様である。
【0054】
次に、本発明の作用・効果について、詳細に説明する。
本発明においては、前述の実施例6と同様に、車輛が湖沼、河川などに誤って落下した場合には、まずセンサ112が異常な水圧を検知して、その信号がコントローラ2へと送られる。この時点で、コントローラ2において、車輛が水中に落下したことを認識する状態となる。
次に、センサ114によって、車輛のルーフ94の上における圧力状況が検知され、車輛が完全に水没している状態であるか否か、あるいは車輛が水中に飛び込んだ直後で車体が不安定な状態にあるか否かが、2つの圧力センサ114,116の情報からコントローラ2によって総合的に判断される。
【0055】
そして、上記コントローラ2において、図16に示すように、車輛が水92の上に浮かんだ状態であり、ルーフ94に配設した緊急脱出口361を開口しても良いと判断した場合には、該コントローラ2から座席昇降装置350と脱出口開閉装置360に制御信号を送って、上記座席昇降装置350のアクチュエータ351を作動させると共に、脱出口開閉装置360のアクチュエータも連動して作動させることとなる。
その結果、座席シート93が、上昇して搭乗者が、容易に緊急脱出口361から車外へ脱出することが可能となる。特に、小さな子供が搭乗者であるようなファミリーカーには、有効な手段となる。
【実施例8】
【0056】
本実施例にかかる発明について、図17〜図19に基づいて詳細に説明する。
本発明は、図17および図18に示すように、車輛のサスペンションを改良したものであって、前述の安全装置3が、可変サスペンション370を有している。該可変サスペンション370は、車輛のタイヤハウジング991に固着してあり、その内部にサスペンションのかたさを無段階に調整するためのアクチュエータ371を有している。
上記可変サスペンション370が、路上の状態に応じて、上述の無段階調整を行えるようにするため、前述の車輛状態検出装置1には、検知器として、路面の状態を検知するためのセンサ115と、サスペンションの負荷状態を検知するためのセンサ116とを接続してあり、前記コントローラ2によって、各種路上状態に応じたアクチュエータ371の最適制御を行うようにしている。
【0057】
前述した路面の状態を検知するためのセンサ115としては、温度センサ、湿度センサなどがある。天候の変化における路面とタイヤとのグリップ力の相違を考慮したものである。
また、サスペンションの負荷状態を検知するためのセンサ116としては、差動変圧器などの変位検出器があり、これにより路面の凹凸に伴う微妙なサスペンションの上下動の変位や、急カーブ走行時における車輛の傾き具合などを電気信号として、前述のコントローラ2に取り込むことができるようにしている。
【0058】
上記アクチュエータ371は、図18に示すように、円筒状に形成したシリンダ371aと、該シリンダ371aの内部に進退自在に嵌挿したピストン371bと、タイヤハウジング991とタイヤリンク機構372との間に介装した主スプリング371cと、上記ピストン371bの下端部とタイヤリンク機構372との間に介装した調整用の副スプリング371dとからなる。上記ピストン371bとシリンダ371aの内壁面との間には、シリンダ室371hが形成される。
上記シリンダ371aには、複数の通孔371eを穿設してあり、これらの通孔371eは、制御弁371fを介して駆動源371gに接続してあり、これらの操作を前記コントローラ2を介して行うことによって上記シリンダ室371hの内部における作動流体の量を微調整するようにしている。
その他の構成は、前述の実施例1と同様である。
【0059】
次に、本発明の作用・効果について詳細に説明する。
一般に、車輛は、晴天時、雨天時、降雪時など天候によって、路面に対するタイヤ99のグリップ力が、大きく異なる。この特性は、急カーブに沿って車輛を高速走行させる場合などに、考慮すべき事項である。そのため、本発明においては、図17に示すように、前記センサ115の各種信号データを用いて、コントローラ2の内部で、総合的に車輛走行時の天候を判断する。そして、コントローラ2は、上記天候判断に基づいて、路面の状態を検知し、タイヤ99のグリップ力が危険な状態であると判断した場合には、その旨を車内のディスプレイに表示すると共に、可変サスペンション370へ危険状態を脱出するための制御信号を送る。
【0060】
一方、路面の凹凸によってタイヤ99が上下に激しく動く場合には、その上下動がタイヤリンク機構92の上下方向の変位となって、センサ116によって読み取られることとなる。その結果、コントローラ2において、車輛が凹凸の激しい、いわゆる「悪路」を走行中であることを認識する状態となる。
また、車輛が急カーブを高速走行している場合には、該車輛に対して大きな遠心力が働き、車輛は遠心力方向に大きく傾く状態となる。このような状態で、急ブレーキを踏んであわてて減速しようとすれば、タイヤ99がスリップして、遠心力の影響で車輛が対向車線側に飛び出してしまうという危険を生ずる。通常、サスペンションのかたいスポーツタイプの車輛に比べて、サスペンションのやわらかい高級車は、遠心力による車輛の傾きが大きくなり、コーナリングが悪くなる傾向がある。
【0061】
本発明においては、前述のように、車輛が大きく傾くような力が加わった場合、図19に示すように、コントローラ2が、可変サスペンション370を操作して、車輛のサスペンションをかために設定しようとするのである。
具体的には、車輛が傾いてその一方のサイドがR方向に大きく沈みかけた場合には、センサ116がその変位を検知して、車輛状態検出装置1に変位量を知らせる。その信号は、車輛状態検出装置1からコントローラ2に送られて、該コントローラ2において、車輛の傾きを補正する必要があることを認識する状態となる。
【0062】
コントローラ2は、前記認識に基づき、制御弁371fに指令を出して、駆動源371gからシリンダ室371hへ作動流体を送り込む。その結果、作動流体の圧力に押されてピストン371bが下降し、副スプリング371dを圧縮する状態となる。
一般に、線形のばね系要素においては、次の数式に示すように、外力と変形量とが、弾性限界内で一定に保たれる。
したがって、外力と変形量とが比例するため、本発明のように、副スプリング371dを圧縮した場合には、その分だけ強い外力でタイヤリンク機構372を押さえ付けることとなる。
【0063】
【数1】



【0064】
このように、強い押圧力を保った状態で、副スプリングに対してさらに衝撃F3が加わった場合には、上式に示すように、該副スプリングの変形量を同一と仮定すると、調整後は調整前と比較して、より大きなばね定数で該副スプリングが圧縮されることになるので、可変スプリングは、かたいサスペンションの特性を示すこととなり、コーナリング時における車輛の走行性能が大幅に向上する。
したがって、本発明にかかる可変サスペンションによれば、路上状態に応じたフレキシブルなサスペンションを達成することが可能となる。
【実施例9】
【0065】
本実施例に係る発明について、図20に基づいて説明する。
本発明は、図20に示すように、前述した可変サスペンション370における作動流体方式のアクチュエータ371に代えて、ねじ方式のアクチュエータ381aを利用した可変サスペンション381を用いたものである。
用いたものである。
上記アクチュエータ381aは、ねじ部381mを有しており、該ねじ部381mは、前述のシリンダ371aの上部に対して、下向きに臨ませて進退自在に螺合させてある。そして、該アクチュエータ381aの先端部は、前述のピストン371bに当接させてある。
上記アクチュエータ381aは、ねじ部381mを回転させるための駆動源381bを有する。該駆動源381bは、前述のコントローラ2の信号を受けて駆動するようにしてある。
その他の構成は、前述の実施例8と同様である。
【0066】
本発明は、次の作用・効果を生ずる。
車輛のサスペンションを強化する必要がある場合には、図20において、図示省略したコントローラを介して安全装置に制御信号を送ることによって、駆動源381bが駆動してアクチュエータ381aのねじ部381mを右螺子方向に回転する。これにより、該ねじ部381mが下降してピストン371bを押し下げ、副スプリング371dを圧縮することとなる。
したがって、前述の実施例8と同様に、フレキシブルなサスペンションを得ることができる。
【実施例10】
【0067】
本実施例にかかる発明について、図21に基づいて説明する。
本発明にかかる可変サスペンション382は、図21に示すように、前述した可変サスペンション370のアクチュエータ371に代えて、アクチュエータ382aを用いることにより、サスペンションのダンパ機能を向上させたものである。
上記アクチュエータ382aは、主ピストン382bと副ピストン382cとを有しており、その内部をこれらの主ピストン382bと副ピストン382cとによって区画している。
【0068】
前記主ピストン382bと副ピストン382cとの間には、シリンダ室382dが区画形成される。また、シリンダ382fの天板と副ピストン382cとの間には、シリンダ室382eが区画形成される。
上記シリンダ室382d,382eは、複数の通孔382iを介して、前述の制御弁371fおよび駆動源371gに接続してある。
その他の構成は、前述の実施例8と同様である。
【0069】
次に、本発明の作用・効果について説明する。
本発明においては、シリンダ室382dの内部の作動流体をそのまま保った状態で、駆動源371gからシリンダ室382eへ高圧の作動流体を送り込むことにより、副ピストン382cが押し下げられて、上記シリンダ室382dの内部の作動流体が圧縮されることとなる。
その結果、主ピストン382bも、副ピストン382cに連動して下降して、副スプリング371dを圧縮することとなり、車輛のサスペンションのかたさを変化させることができる。
【0070】
さらに本発明においては、前述のように、副ピストン382cがシリンダ室382dの内部の作動流体を圧縮することにより、ボイルの法則に則って、体積の減少に伴って圧力が増加する状態を得ることができる。その結果、サスペンションのダンパ機能を微妙に変化させることができ、副スプリング371dとの相乗効果で、きめ細かなフレキシブルサスペンションを提供することが可能となる。
【実施例11】
【0071】
本実施例にかかる発明について、図22に基づいて説明する。
前述の実施例10では、作動流体を用いて副ピストン382cを加圧したが、本実施例においては、上記作動流体に代えて、ねじ機構を用いて副ピストン382cを加圧しようとするものである。
したがって、本発明にかかる可変サスペンション383は、図22に示すように、前述した可変サスペンション382の制御弁371fおよび駆動源371gに代えて、アクチュエータ383a及び駆動源383bを用いる。
【0072】
前記アクチュエータ383aは、ねじ部383mを有しており、該ねじ部383mは、前述のシリンダ382fの天板に対して螺合させてある。そして、該ねじ部383mの先端部は、前述の副ピストン382cに当接させてある。そして、該アクチュエータ383aには、上記駆動源383bを接続し、該駆動源383bを前述のコントローラ2によって作動させるようにしている。
また、前述のシリンダ室382dの内部には、ボイルの法則に則って体積および圧力を変化させるエアーなどの気体媒体を貯留してある。
その他の構成は、前述の実施例10と同様である。
【0073】
次に、本発明の作用・効果について説明する。
車輛のサスペンションを強化する必要がある場合には、図22において、図示省略したコントローラを介して安全装置に制御信号を送ることによって、駆動源381bが駆動してアクチュエータ383aのねじ部383mを右螺子方向に回転させる。これにより、該ねじ部383mが下降して副ピストン382cを押し下げ、シリンダ室382dの内部の気体媒体を圧縮すると共に、副スプリング371dを圧縮することとなる。
したがって、本実施例においても、前述の実施例9と同様に、ダンパ効果の効いたフレキシブルなサスペンションを得ることができる。
【実施例12】
【0074】
本実施例にかかる発明について、図23〜図26に基づいて説明する。
本発明は、車輛が車輪の一部を失うなどしてバランスを失った場合にも、車輛のバランスを補正して、少なくとも3本以上の車輪が残っていれば、続けて走行することができるようにしたものである。
したがって、本発明は、図23および図24に示すように、車輛の底部に、前述のコントローラ2からの信号を受けて車輛の重量バランスを修正するバランス修正装置390を配設してある。該バランス修正装置390は、バランスウエイト394を有する。
【0075】
上記バランスウエイト394は、支持台393に固着してあり、該支持台393は、横ガイド392に対して、ラック・ピニオン機構を介して、車輛の幅方向に進退自在に噛合させてある。
また、上記横ガイド392は、車輛の長手方向に敷設した縦ガイド391に横架してあり、同じくラック・ピニオン機構を介して、縦ガイド391に沿って進退自在に噛合させてある。
これらの支持台393および横ガイド392の進退移動は、コントローラ2の信号を受けたアクチュエータ396の作動によって行うようにしており、該コントローラ2は、上記支持台393に固着されているバランスウエイトを車輛の重量バランスを修正する方向に移動させるように、プログラムまたは演算回路を設定してある。
なお、上記ラック・ピニオン機構に代えて、ワイヤーやタイミングベルトなどを用いても、前述の進退移動は可能である。
【0076】
また、本発明においては、前述の車輛状態検出装置1が、車輛の重量バランス状態が異常となったことを検出するバランス検出センサとしてのセンサ116およびジャイロスコープ16を有する。
上記センサ116は、前述の実施例8と同様の構造のものであり、ここでは差動変圧器を利用している。
その他の構成は、前述の実施例8と同様である。
【0077】
次に、本発明の作用・効果について詳細に説明する。
本発明においては、図26に示すように、車輛が遠心力方向に傾斜角度Φだけ大きく傾いた場合、その傾斜変位d(以下、傾きによる変位を「傾斜変位」という。)が、センサ116によって検知される。
具体的には、上記傾斜変位dは、図25に示すように、前述の実施例8に示したセンサ116によって、出力電圧として取り出される。
また、図26に示すように、車輛が傾斜角度Φだけ右側に大きく傾いて車輛の右側が傾斜変位dだけ沈んだ場合、上記傾斜角度Φは、次式に示すように、上記傾斜変位dとトレッドWの幅寸法から逆三角関数で計算することができる。
【0078】
【数2】



【0079】
この種の演算は、コントローラ2において行われる。また、これと同時に、ジャイロスコープ16においても、車輛の運動角速度が検知され、コントローラ2は、これらの情報を総合的に判断して、車輛の運動特性上、車輛の重量バランスを修正する必要があるときには、その制御信号を前述の安全装置3を介して、バランス修正装置390に送信する。
【0080】
上記バランス修正装置390においては、図23及び図24に示すように、アクチュエータ395,396が作動して、バランスウエイト394を最適位置に移動させる。その結果、車輛は、不測のトラブルによって、万一タイヤ99の内のひとつを失った場合であっても、故障箇所の確認や走行を妨げる故障部品の除去などの暫定的な処置を施した上で、修理工場まで移動できる。
【0081】
なお、車輛の重量バランス上、本発明は、ミッドシップの車輛に適用した方が、より大きな効果を得ることができることは、いうまでもない。
また、この種の車種の搭乗者は、いわゆるVIP(要人)が多いのであるが、より一層搭乗者の安全性を完全なものとするには、車輛のボデーやタイヤ自体に、例えばケブラー繊維などの補強繊維を一体的に成形することが望ましい。
【実施例13】
【0082】
本実施例にかかる発明について、図27および図28を用いて説明する。
本発明は、夜間の運転中におけるドライバーの視界の確保を目的とするものである。
したがって、本発明においては、前述の車輛状態検出装置1が、検知器として、ハンドル961の回転方向および回転角度を検知するセンサ117を有している。また、前述の安全装置が、上記ハンドル961の回転に連動するヘッドランプ回動装置397を含んでおり、該ヘッドランプ回動装置397が、上記センサの信号を受けて、前述のコントローラ2によって水平方向に回動作動する機能を持っている。そのため、該ヘッドランプ回動装置397は、コントローラ2からの信号を受けて回転するアクチュエータ397aを有している。
【0083】
前記センサ117としては、ポテンショメータを利用したものなどがある。
前記アクチュエータ397aとしては、所定角度だけ回転作動するステッピングモータ(パルスモータ)やサーボモータなどがある。
その他の構成は、前述の実施例8と同様である。
【0084】
次に、本発明の作用・効果について説明する。
一般に、夜間走行時には、ヘッドランプが車輛前方を向いている関係上、車輛の両サイドは、ドライバーにとっては、死角となってほとんど見えないものである。特に、初心者ドライバーが、夜間に見知らぬ土地を車輛で走行する場合に、該車輛の両サイドが死角となることは、不測の事故を招くという危険を生じやすい。
例えば、道路が途中から急に鍵状に屈曲している場合などは、誤って直進してしまい、車輛が転落するおそれがある。また、左折して狭い橋を渡ろうとする場合にも、車輛と橋の欄干との間隔が認識できずに、車輛をその左サイドにある橋の欄干に接触させてしまうおそれが生ずる。これらの事象は、日常よく経験することである。
【0085】
本発明においては、ドライバーがハンドル961を回転させた場合に、その回転方向および回転角度を車輛状態検出装置1のセンサ117が検知すると共に、該車輛状態検出装置1からコントローラ2へその情報が伝達される。
上記コントローラ2は、これを受けて安全装置3のヘッドランプ回動装置397へ制御信号を送り、アクチュエータ397aを回転作動させる。
【0086】
前述のように、ハンドル961の動きに連動して、ヘッドランプ回動装置397が回転することから、ドライバーが車輛を侵入させようとする道路に対して、的確にヘッドランプを向けることが可能となる。その結果、これまでのような死角が生ずることもなく、ドライバーが見たいと考えている箇所を確実に視認することができ、不測の事故を未然に防止することが可能となる。
【実施例14】
【0087】
本実施例にかかる発明について、図29を用いて説明する。
本発明は、前述の車輛状態検出装置1に、前記センサ117に加えて、ドライバーの前方視線方向を検知する検知器としてのカメラ17をも接続させたものである。
また、前述の実施例と同様に、安全装置3が、アクチュエータ397aによって水平方向に回転作動するヘッドランプ回動装置397を含んでいる。
そして、上記アクチュエータ397aには、前述のコントローラ2を介して、前述のハンドル961の回転方向および回転角度を検知するセンサ117と、前述のドライバーの前方視線方向を検知するカメラ17とを選択的に接続している。
その他の構成は、前述の実施例13と同様である。
【0088】
次に、本発明の作用・効果について説明する。
本発明においては、通常の使用では、ドライバーがハンドル961を左に切った場合には、ハンドル961の回転方向および回転角度を検知するセンサ117からの信号を受けてコントローラ2が働き、ヘッドランプ回動装置397を作動させて、ヘッドランプ97を左サイド方向に向ける状態が得られる。
一方、前述のように、車輛が狭い橋を渡る場合などは、ドライバーがさらに左サイドの視界を確保したいと希望した場合には、ドライバーの前方視線方向を検知するカメラ17からの信号を受けてコントローラ2が働き、ドライバーの頭の動きや目の動きから、さらにヘッドランプ回動装置397を作動させて、ヘッドランプ97を左サイド方向に向ける状態が得られ、ドライバーに希望するエリアの視覚情報を提供することとなる。
【0089】
また、本発明では、ヘッドランプ回動装置397のアクチュエータ397aに対して、ハンドル961の回転方向および回転角度を検知するセンサ117からの情報と、ドライバーの前方視線方向を検知するカメラ17からの情報とを、コントローラ2が必要に応じて選択的に伝達する。このことから、ドライバーが車輛を左折しようとしている場合に、車輛の右側にいる顔見知りの通行人の方を振り向いた場合であっても、ヘッドランプ97が誤ってその通行人の方を向いてしまい、不測の事故の引き金になることはない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明にかかる自動車の安全システムの概略構成図である。(実施例1)
【図2】車輛状態検出装置の作動状況を示した説明図である。(実施例1)
【図3】車輛状態検出装置を構成する走行レーダーの拡大平面図である。(実施例1)
【図4】安全装置の概略説明図である。(実施例1)
【図5】安全装置を構成する衝撃吸収装置の作動状況を示した説明図である。(実施例1)
【図6】車輛状態検出装置を構成する走行レーダーの拡大平面図である。(実施例2)
【図7】車輛状態検出装置を構成するレーザーレーダーの詳細側面図である。(実施例2)
【図8】車輛状態検出装置を構成する左右一対のカメラユニットの作動状況を示した平面説明図である。(実施例3)
【図9】車輛状態検出装置を構成するカメラの作動状況を示した側面説明図である。(実施例3)
【図10】車輛状態検出装置を構成するカメラの作動状況を示した平面説明図である。(実施例4)
【図11】安全装置を構成する衝撃吸収装置の作動状況を示した説明図である。(実施例5)
【図12】衝撃吸収装置の詳細平面図である。(実施例5)
【図13】衝撃吸収装置の作動状況を示した説明図である。(実施例5)
【図14】本実施例にかかる衝撃吸収装置と他の実施例の衝撃吸収装置との比較説明図である。(実施例5)
【図15】安全装置を構成するウインド開閉装置の概略説明図である。(実施例6)
【図16】安全装置を構成する座席昇降装置と脱出口開閉装置の概略説明図である。(実施例7)
【図17】安全装置を構成する可変サスペンションの概略説明図である。(実施例8)
【図18】可変サスペンションの詳細断面図である。(実施例8)
【図19】可変サスペンションの作動説明図である。(実施例8)
【図20】可変サスペンションの詳細断面図である。(実施例9)
【図21】可変サスペンションの詳細断面図である。(実施例10)
【図22】可変サスペンションの詳細断面図である。(実施例11)
【図23】安全装置を構成するバランス修正装置を側面から見た概略説明図である。(実施例12)
【図24】バランス修正装置を底面から見た概略説明図である。(実施例12)
【図25】バランス修正装置の作動を説明するための詳細断面図である。(実施例12)
【図26】バランス修正装置の作動説明図である。(実施例12)
【図27】安全装置を構成するヘッドランプ回動装置の概略説明図である。(実施例13)
【図28】ヘッドランプ回動装置の作動説明図である。(実施例13)
【図29】安全装置を構成するヘッドランプ回動装置の概略説明図である。(実施例14)
【符号の説明】
【0091】
1 車輛状態検出装置
10 検知器
11 センサ
111 センサ
112 センサ
113 センサ
114 センサ
115 センサ
116 センサ
117 センサ
12 走行レーダー
121 マイクロ波送受信アンテナ
122 マイクロ波送受信アンテナ
123 マイクロ波送受信アンテナ
124 マイクロ波送受信アンテナ
13 走行レーダー
131 レーザーレーダー
131a ハウジング
131b レーザー発振器
131c 反射鏡
131d 反射鏡
131e 赤外線センサ
131f 走査装置
132 レーザーレーダー
133 レーザーレーダー
134 レーザーレーダー
141 カメラ
141L カメラユニット
141R カメラユニット
142 カメラ
142L カメラユニット
142R カメラユニット
151 カメラ
152 カメラ
16 ジャイロスコープ
17 カメラ
2 コントローラ
3 安全装置
310 衝撃吸収装置
311 アクチュエータ
311a シリンダ
311b 受け部材
311c 衝撃受け
312 駆動源
313 制御弁
320 衝撃吸収装置
321 アクチュエータ
321a シリンダ
321b 受け部材
323 制御弁
330 衝撃吸収装置
330a 縦ガイド
330b 横ガイド
330c 回転支持台
330d 枢軸
330e アクチュエータ
330f クラッチ機構
330g 本体ケース
330h アクチュエータ
330i 受け部材
330j 衝撃受け
330k アクチュエータ
340 ウインド開閉装置
341 アクチュエータ
342 駆動源
350 座席昇降装置
351 アクチュエータ
352 駆動源
360 脱出口開閉装置
361 緊急脱出口
370 可変サスペンション
371 アクチュエータ
371a シリンダ
371b ピストン
371c 主スプリング
371d 副スプリング
371e 通孔
371f 制御弁
371g 駆動源
372 タイヤリンク機構
381 可変サスペンション
381a アクチュエータ
381m ねじ部
381b 駆動源
382 可変サスペンション
382a アクチュエータ
382b 主ピストン
382c 副ピストン
382d シリンダ室
382e シリンダ室
382f シリンダ
382i 通孔
383 可変サスペンション
383a アクチュエータ
383m ねじ部
383b 駆動源
390 バランス修正装置
391 縦ガイド
392 横ガイド
393 支持台
394 ウエイト
395 アクチュエータ
396 アクチュエータ
397 ヘッドランプ回動装置
397a アクチュエータ
41 補強繊維
91 障害物
911 角部
92 水
93 座席シート
94 ルーフ
95 窓ガラス
96 フロントガラス
961 ハンドル
97 ヘッドランプ
98 GPSアンテナ
99 タイヤ
991 タイヤハウジング
θ 水平面角度
φ 垂直面角度
F 力
M 力のモーメント
P 支点
Φ 傾斜角度
d 傾き変位
W トレッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輛の作動状態および搭乗者の運転状態を検出する車輛状態検出装置と、該車輛状態検出装置からの信号を受けて内部演算処理によって車輛の作動状態および搭乗者の運転状態を安全な状態に制御するコントローラと、該コントローラからの信号を受けて車輛の作動状態および搭乗者の運転状態を修正して車輛および搭乗者の安全を確保する安全装置とからなり、上記車輛状態検出装置は、センサなどの検知器によって少なくとも1以上の危険状態を察知する機能を有し、また上記安全装置は、上記コントローラを介して車輛状態検出装置からの信号を受けて安全確保のために作動する少なくとも1以上のアクチュエータを有していることを特徴とする自動車の安全システム。
【請求項2】
前記車輛状態検出装置が、検知器として走行レーダーを有しており、該走行レーダーが、所定角度の範囲内を一定の角速度で往復角運動する複数のマイクロ波送受信アンテナを有し、前記コントローラが、該走行レーダーの信号を受けて内部演算処理によって探査範囲を360度角に補正する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項3】
前記車輛状態検出装置が、検知器として走行レーダーを有しており、該走行レーダーが、所定角度の範囲内を一定の角速度で往復角運動するレーザー光を利用した複数のレーザーレーダーを有し、それぞれのレーザーレーダーは、周波数の異なる複数の発光源からなり、前記コントローラは、車輛の周囲の気候状況に基づいて発光源を切り替える機能を有すると共に、上記走行レーダーの信号を受けて内部演算処理によって探査範囲を360度角に補正する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項4】
前記車輛状態検出装置が、検知器として少なくとも一対のカメラを有しており、該カメラが、水平方向および垂直方向に走査してその信号を前記コントローラへ送る一方、該コントローラにおいては、両眼立体視の原理に基づいて障害物を認識し、その認識結果をコントローラのディスプレイに表示すると共に、車輛と障害物との間の距離を明確に搭乗者が認識できる状態でコンピュータグラフィックスによりコントローラのディスプレイに表示する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項5】
前記安全装置が、車輛に対して相対的に近づく障害物と対向して配設した少なくとも1つの衝撃吸収装置を含んでおり、該衝撃吸収装置は、上記障害物との対向方向に沿って進退自在に嵌挿した受け部材を有すると共に、該受け部材に連設されて前記車輛状態検出装置からの信号を受けて前記コントローラにより車輛の進行方向に沿って進退作動するアクチュエータを有していることを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項6】
前記衝撃吸収装置が、車輛の底部に対して、該車輛の任意の位置に移動自在に配設してあると共に、その配設位置に回動自在に枢着してあり、また衝撃吸収装置は、前記車輛状態検出装置からの信号を受けた前記コントローラによって制御されて、該衝撃吸収装置を任意の位置に進退作動させるアクチュエータを有すると共に、該衝撃吸収装置を回動作動させるアクチュエータを有し、さらに該衝撃吸収装置を任意の回動角度に固定する回動角度固定手段を有していることを特徴とする請求項5に記載の自動車の安全システム。
【請求項7】
前記車輛状態検出装置が、検知器として、異常な水圧を検知するセンサと、車輛の窓ガラスの周囲の圧力状況を検知するセンサとを有しており、また前記安全装置が、パワーウインド装置とは別個に車輛の両側方の窓ガラスを強制的に昇降するウインド開閉装置を含んでおり、該ウインド開閉装置は、前記コントローラを介して上記両センサに接続してあることを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項8】
前記車輛状態検出装置が、検知器として、異常な水圧を検知するセンサと、車輛のルーフ上の圧力状況を検知するセンサとを有しており、また前記安全装置が、車輛内の座席シートを昇降させる座席昇降装置と、上記座席シートと対応させて車輛のルーフに開口した緊急脱出口に配設されて該緊急脱出口を開閉させる脱出口開閉装置とを含んでおり、上記座席昇降装置と脱出口開閉装置とは、連動するように接続すると共に、前記コントローラを介して、上記座席昇降装置と脱出口開閉装置とを上記両センサに接続したことを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項9】
前記車輛状態検出装置が、検知器として、路面の状態を検知するセンサと、サスペンションの負荷状態を検知するセンサとを有し、また前記安全装置が、路上の状態に応じてサスペンションのかたさを変化させる可変サスペンションを有しており、該可変サスペンションは、前記車輛状態検出装置からの信号を受けて前記コントローラによりサスペンションの作動方向に沿って進退作動してサスペンションのかたさを無段階に調整するアクチュエータを有していることを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項10】
前記車輛状態検出装置が、検知器として、車輛の重量バランス状態が異常となったことを検知するセンサを有し、また前記安全装置が、前記コントローラからの信号を受けて車輛の重量バランスを修正するバランス修正装置を含んでおり、上記バランス修正装置は、バランスウエイトと、該バランスウエイトを車輛の重量バランスを修正する方向に移動させるアクチュエータとを有することを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項11】
前記車輛状態検出装置が、検知器として、ハンドルの回転方向および回転角度を検知するセンサを有し、また前記安全装置が、アクチュエータによってヘッドランプを水平方向に回転作動させるヘッドランプ回動装置を含んでおり、上記センサとヘッドランプ回動装置とは、これらを連動させる前記コントローラを介して接続したことを特徴とする請求項1に記載の自動車の安全システム。
【請求項12】
前記車輛状態検出装置が、検知器として、ドライバーの前方視線方向を検知するカメラをも有しており、また前記安全装置が、アクチュエータによってヘッドランプを水平方向に回転作動させるヘッドランプ回動装置を含んでおり、上記アクチュエータには、前記コントローラを介して、前記のハンドルの回転方向および回転角度を検知するセンサと上記カメラとを選択的に接続したことを特徴とする請求項11に記載の自動車の安全システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2005−297863(P2005−297863A)
【公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−119410(P2004−119410)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【出願人】(303027911)
【Fターム(参考)】