説明

薄膜トランジスタ基板及びその製造方法

【課題】基板の大きさが大きくなっても信号遅延による問題が少なく、カラーフィルタが安定的に埋め込められる薄膜トランジスタ基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】薄膜トランジスタ基板は、絶縁基板と、絶縁基板上に形成され、ゲート電極を含むゲート線と、有機物質で形成され縦部を含む隔壁と、隔壁によって区画された領域に形成されたカラーフィルタと、ゲート電極を含み一部が隔壁上に形成される薄膜トランジスタと、ゲート線に交差し隔壁上で隔壁の縦部に沿って形成されるデータ線を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、現在、最も幅広く使用されている平板表示装置の1つであって、電極が形成されている2枚の基板と、その間に挿入されている液晶層とからなり、電極に電圧を印加して液晶層の液晶分子を再配列させることによって、透過する光の量を調節する表示装置である。
【0003】
液晶表示装置の中でも、現在、主に使用されているものは、電場生成電極が2つの基板にそれぞれ設けられている構造である。この中でも、1つの基板(以下、‘薄膜トランジスタ基板’という)には複数の薄膜トランジスタと画素電極がマトリックス状に配列されており、他の基板(以下、‘共通電極基板’という)には赤色、緑色、及び青色のカラーフィルタが形成され、その全面を共通電極が覆っている構造が主流である。
【0004】
しかし、このような液晶表示装置は、画素電極とカラーフィルタが異なる基板に形成されるため、画素電極とカラーフィルタとの間に正確な整列(align)が困難で、整列誤差が生じ得る。
【0005】
これを解決するために、カラーフィルタと画素電極とを同一の基板に形成するCoA構造(color filter on array)が提案されている。この場合、一般に、カラーフィルタだけでなく遮光部材も画素電極と同一の基板に形成している。
【0006】
画素電極と同一の基板にカラーフィルタを形成する場合、製造工程を単純化して製造時間及び費用を減少するために、カラーフィルタをインクジェット印刷方法で形成する。インクジェット方法を用いるために、遮光部材で隔壁を形成する。
【0007】
ところが、遮光部材で形成された隔壁は、その高さが十分ではなく、インクジェットで形成されたカラーフィルタを十分に区分することが困難であるという短所がある。
【0008】
CoA構造においては、画素電極とドレイン電極と間の電気的接続のためのコンタクトホールの形成が容易でないという問題点がある。これは、画素電極とドレイン電極との間に位置するカラーフィルタまたは遮光部材を除去する必要があるが、これを除去することが容易でないためである。
【0009】
また、最近、液晶表示装置の大きさが増加しているが、基板が大きくなるほどゲート線を通して印加されるゲート電圧が遅延する問題が発生する。ゲート電圧が遅延すれば、画素にデータ電圧が充電される十分な時間が提供されないため、画素が所望する輝度を表示できないという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、カラーフィルタをインクジェット印刷方法で形成する時、遮光部材を含まない他の構造の隔壁を使用して、カラーフィルタがより確実に形成されるようにし、ドレイン電極を露出させるコンタクトホールを容易に形成して、画素電極とドレイン電極と間の電気的接触に問題が発生しないようにすることにある。
【0011】
また、ゲート線の厚さを増加させてゲート線の抵抗値を低くし、その結果、ゲート線を通じて伝達される信号の遅延を防止する薄膜トランジスタ基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による薄膜トランジスタ基板は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成され、ゲート電極を含むゲート線と、有機物質で形成され、縦部を含む隔壁と、前記隔壁によって区画された領域に形成されたカラーフィルタと、前記ゲート電極を含み、一部分が前記隔壁上に形成される薄膜トランジスタと、前記ゲート線に交差し、前記隔壁上に前記隔壁の縦部に沿って形成されるデータ線とを含む。
【0013】
前記薄膜トランジスタの一部分は、ソース電極またはドレイン電極の部分であり得る。
【0014】
前記隔壁のうち、前記ゲート電極の上部に形成された隔壁は、その厚さが他の部分より薄いか、または前記ゲート電極が露出するように除去することができる。
【0015】
前記隔壁を形成する有機物質は、誘電率3.5以下の有機物質で形成することができる。
【0016】
前記隔壁上に形成されたゲート絶縁膜、及び前記薄膜トランジスタと前記ゲート絶縁膜の上に形成された保護膜をさらに含み、前記カラーフィルタは前記保護膜上に形成することができる。
【0017】
前記カラーフィルタと前記保護膜の上に形成される有機キャッピング膜、及び前記有機キャッピング膜上に形成された画素電極をさらに含むように構成できる。
【0018】
前記隔壁上に位置するゲート絶縁膜をさらに含み、前記カラーフィルタは前記絶縁基板と前記ゲート絶縁膜との間に位置するように構成できる。
【0019】
前記薄膜トランジスタ及び前記ゲート絶縁膜の上に形成された保護膜、前記保護膜上に形成された有機キャッピング膜、及び前記有機キャッピング膜上に形成された画素電極をさらに含むように構成できる。
【0020】
前記隔壁は遮光部材を含まない構成とすることも可能である。
【0021】
コンタクトホールによって前記薄膜トランジスタと接続される画素電極、及び前記画素電極の一部分の上に位置する遮光部材をさらに含み、前記コンタクトホールは前記カラーフィルタまたは前記遮光部材を貫通しない構成とすることができる。
【0022】
前記隔壁用有機物質は透明な有機物質であり得る。
【0023】
本発明の実施形態による薄膜トランジスタ基板の製造方法は、絶縁基板上にゲート線とゲート電極を形成する段階と、有機物質で縦部及び前記ゲート線と接触して重畳する横部を含む隔壁を形成する段階と、前記隔壁上にゲート絶縁膜及び半導体層を形成する段階と、前記ゲート絶縁膜及び前記半導体上にデータ線及びドレイン電極を形成する段階と、前記半導体、前記データ線、及び前記ドレイン電極を覆う保護膜を形成する段階と、前記保護膜上に隔壁によって区画された領域にインクジェット方式でカラーフィルタを形成する段階とを含む。
【0024】
前記隔壁のうち、前記ゲート電極の上部に形成された隔壁の一部は、その厚さを他の部分より薄くするか、または前記ゲート電極が露出するように除去する段階をさらに含む構成とすることができる。
【0025】
半透過領域やスリットパターンを含むマスクを使用して、一回の露光及び現像で前記隔壁を形成する段階をさらに含む構成とすることができる。
【0026】
前記隔壁を形成する有機物質は、誘電率3.5以下の物質で形成することができる。
【0027】
本発明の実施形態による薄膜トランジスタ基板の製造方法は、絶縁基板上にゲート線及びゲート電極を形成する段階と、有機物質で縦部及び前記ゲート線と接触して重畳する横部を含む隔壁を形成する段階と、前記隔壁上に隔壁によって区画された領域にインクジェット方式でカラーフィルタを形成する段階と、前記カラーフィルタ上にゲート絶縁膜及び半導体層を形成する段階と、前記ゲート絶縁膜及び前記半導体上にデータ線及びドレイン電極を形成する段階と、前記半導体、前記データ線、及び前記ドレイン電極を覆う保護膜を形成する段階とを含む。
【0028】
前記隔壁のうち、前記ゲート電極の上部に形成された隔壁の一部は、その厚さを他の部分より薄く形成するか、または前記ゲート電極が露出するように除去する段階をさらに含む構成とすることができる。
【0029】
前記隔壁を形成する段階は、前記ゲート電極と前記横部とが重畳する領域における隔壁は、一部除去するか、または完全に除去し、半透過領域またはスリットパターンを含むマスクを使用して、一回の露光及び現像によって前記隔壁を形成することができる。
【0030】
前記隔壁を形成する有機物質は誘電率3.5以下の物質で形成する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態によれば、遮光部材を含まず、有機膜で形成された隔壁を利用して隔壁を高く形成した後、カラーフィルタをインクジェット工程で形成することによって、カラーフィルタの色感を向上させ、隣接したカラーフィルタ間の混色を防止することができ、ドレイン電極を露出させるコンタクトホールも容易に形成できる。また、ゲート線の厚さを増加させることでゲート線を通じて伝えられる信号の遅延を減らすので、基板の大きさが大きくなったり解像度が向上したりしても画素の充電時間を十分に提供することができる。その結果、表示品質も向上する。一方、対向基板には共通電極以外に追加形成するものがないので、対向基板の製造工程が簡略になり、両基板を誤って整列する恐れが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図2】図1の薄膜トランジスタ基板の各断面線A‐A'、A'‐A’’及びA’’‐A’’’に沿った断面図である。
【図3】薄膜トランジスタ基板を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での配置図である。
【図4】図3のA‐A'、A'‐A’’、A’’‐A’’’線に沿った断面図である。
【図5】薄膜トランジスタ基板を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での配置図である。
【図6】図5のA‐A'、 A'‐A’’、A’’‐A’’’線に沿った断面図である。
【図7】薄膜トランジスタ基板を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での配置図である。
【図8】図7のA‐A'、 A'‐A’’、A’’‐A’’’線に沿った断面図である。
【図9】薄膜トランジスタ基板を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での配置図である。
【図10】図9のA‐A'、A'‐A’’、A’’‐A’’’線に沿った断面図である。
【図11】薄膜トランジスタ基板を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での配置図である。
【図12】図11のA‐A'、A'‐A’’、A’’‐A’’’線に沿った断面図である。
【図13】薄膜トランジスタ基板を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での配置図である。
【図14】図13のA‐A'、A'‐A’’、A’’‐A’’’線に沿った断面図である。
【図15】薄膜トランジスタ基板を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での配置図である。
【図16】図15のA‐A'、A'‐A’’、A’’‐A’’’線に沿った断面図である。
【図17】本発明の他の実施形態による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【図18】図17の薄膜トランジスタ基板のXVIII‐XVIII線に沿った断面図である。
【図19】図17の薄膜トランジスタ基板のXIX‐XIX線に沿った断面図である。
【図20】図17の薄膜トランジスタ基板のXX‐XX線に沿った断面図である。
【図21】図18の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図22】図18の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図23】図18の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図24】図18の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図25】図19の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図26】図19の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図27】図19の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図28】図19の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図29】図20の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図30】図20の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図31】図20の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図32】図20の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【図33】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスタ基板の断面図である。
【図34】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0034】
図面において、種々の層及び領域を明確に表すために厚さを拡大して示した。明細書の全体にわたって類似する部分については同一の図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるとする時、これは他の部分の“すぐ上”にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“すぐ上”にあるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【実施例】
【0035】
以下、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板について詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の配置図であり、図2は図1の薄膜トランジスタ基板の各断面線A‐A'、A'‐A’’及びA’’‐A’’’に沿った断面図である。
【0037】
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110の上に、複数のゲート線121が形成されている。
【0038】
ゲート線121は、ゲート信号を伝達し、主に図の横方向にのびている。各ゲート線121は、図の上下方向に突出した複数のゲート電極124と、他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広い端部(図示せず)とを含む。
【0039】
ゲート線121は、アルミニウム、銅、またはこれらの合金などで形成され、厚さが0.5μm以上5μm以下に形成する。ゲート線121の厚さが非常に厚くて、これを形成する時、絶縁基板110に変形が生じることがあるため、これを防止するために、窒化シリコン(SiNx)などで形成されたバッファ層(図33の115参照)を絶縁基板110とゲート線121との間に追加形成することもできる。ゲート線121の厚さが増加することによって、ゲート線を流れる信号のRC遅延(RC delay)が減少する長所を有する。しかし、ゲート線121は、その他にも種々の多様な金属または導電体で形成することができ、本発明ではゲート線121の厚さを増加させて形成するという点に特徴がある。
【0040】
ゲート線121の側面は、基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は約30°乃至約80°であることが好ましい。
【0041】
ゲート線121の上には3.5以下の誘電率を有する有機物質からなる隔壁215が形成されている。隔壁215は、ゲート線121を沿って形成された横部と、横方向に隣接した画素とを区分し、データ線が形成される位置に形成された縦部、及び画素電極とドレイン電極とが接続する位置に形成されたコンタクト部を含み、カラーフィルタが形成される領域を区画する。隔壁215は、0.5μm以上10μm以下の厚さに形成され、ゲート線121から1μm以上、4μm以下の高さを有し、ゲート電極124の上には隔壁215がエッチングされてその厚さが薄く形成される。一方、実施形態によっては、隔壁215を全てエッチングして、ゲート電極124を露出させることもできる。有機物質からなる隔壁215は、基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は50°乃至約120°であることが好ましい。ここで、傾斜角が90°を越えるときは、逆テーパ構造である場合を示す。また、隔壁を形成する有機物質として、誘電率3.5以下の低誘電率有機物質を用いるか、または界面活性剤、ケイ素(Si)系、フッ素(F)系のうち、1つ以上の物質を添加している有機物質を用いることができる。また、有機膜を形成する物質に添加剤(フッ素など)を調節するか、または有機膜で隔壁215を形成した後に表面処理を通じて、隔壁215のプロファイルを調節することができる。
【0042】
隔壁215及び基板110の上には、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。ゲート絶縁膜140は、実施形態によってその厚さが多様であり、0.3μm以上、3μm以下の厚さを有する。
【0043】
ゲート絶縁膜140の上には、水素化非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon)(非晶質シリコンは、略してa‐Siと記す)または多結晶シリコン(polysilicon)などからなる複数の島型半導体154が形成されている。半導体154は、隔壁215の厚さが薄く形成されるかまたは除去されたゲート電極124の上に位置し、隔壁215の高さより低い位置に形成されている。
【0044】
半導体154の上には、複数の島型オーミックコンタクト部材(ohmic contact)(図示せず)が形成されている。オーミックコンタクト部材は、リンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質、またはシリサイド(silicide)で作られる。オーミックコンタクト部材は、対を成して半導体154の上に配置されている。
【0045】
半導体154とオーミックコンタクト部材の側面も、基板110の面に対して傾斜しており、傾斜角は30°乃至80°程度である。
【0046】
半導体154及びゲート絶縁膜140の上には、複数のデータ線と、複数のドレイン電極175とが形成されている。
【0047】
データ線171は、データ信号を伝達し、主に図の縦方向に延長されておりゲート線121と交差する。各データ線171は、隔壁215の縦部上に形成されている。各データ線171は、ゲート電極124に向かって延長された複数のソース電極173と、他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広い端部(図示せず)とを含む。
【0048】
ドレイン電極175は、データ線171と分離され、ゲート電極124を中心としてソース電極173と対向する。各ドレイン電極175は、広い一端部と、棒状の他端部とを含む。広い端部は隔壁215のコンタクト部上に形成され、棒状の端部はU字状に曲がったソース電極173によって一部が取り囲まれている。
【0049】
1つのゲート電極124、1つのソース電極173、及び1つのドレイン電極175は、半導体154と共に1つの薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)を形成し、薄膜トランジスタのチャンネルは、隔壁215が除去された領域内であり、かつソース電極173とドレイン電極175との間の半導体154に形成される。
【0050】
データ線171及びドレイン電極175は、多様な金属で単一膜、二重膜、及び三重膜の構造に形成でき、データ線171及びドレイン電極175もその側面が基板110面に対して30°乃至80°程度の傾斜角で傾斜していることが好ましい。
【0051】
オーミックコンタクト部材(図示せず)は、その下の半導体154とその上のデータ線171及びドレイン電極175との間にだけ存在し、これらの間の接触抵抗を低くする。
【0052】
データ線171、ドレイン電極175、及び露出した半導体154部分の上には、保護膜180が形成されている。保護膜180は窒化ケイ素と酸化ケイ素などの無機絶縁物で形成される。
【0053】
保護膜180の上であり、隔壁215が形成されていない領域には、インクジェット方式でカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は少なくとも三原色(例えば、赤色、緑色、青色)を含み、各色別に異なる顔料を用いて形成する。有機物質で形成された隔壁215は、その高さが高くて、カラーフィルタ230が十分に隔壁215の内部に満たされ、隔壁215のテーパ角も大きくて、カラーフィルタ230が均等に形成できる。カラーフィルタ230は1μm以上4μm以下の厚さに形成される。また、図2においては、カラーフィルタ230が隔壁215より高く形成された構成を示しているが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、カラーフィルタ230が隔壁215より低いか、または同じ高さで形成することも可能である。また、カラーフィルタ230及び隔壁215の厚さの差は2μm以下であることが好ましい。
【0054】
保護膜180及びカラーフィルタ230の上には、有機キャッピング膜225が形成されている。有機キャッピング膜225のうち、ドレイン電極175に該当する領域には、保護膜180と共にドレイン電極175を露出する複数のコンタクトホール185が形成されている。有機キャッピング膜225は1μm以上5μm以下の厚さに形成されている。
【0055】
有機キャッピング膜225の上には、複数の画素電極191が形成されている。画素電極191は、図示しないが、左右2つの薄膜トランジスタからそれぞれデータ電圧の印加を受ける2つの副画素電極に分離されており、各副画素電極はマイクロスリットパターンを含む構成とすることができる。これについては図34で後述する。
【0056】
有機キャッピング膜225の上には遮光部材220が形成され、遮光部材220は隔壁215が形成された位置の上部に形成され、隔壁215より幅が広く形成される。一方、遮光部材220は、互いに異なる高さを有することができ、このうちの高さの高い遮光部材220を、上部基板及び下部基板の間隔を維持するスペーサの役割を果たすように構成できる。
【0057】
図1及び図2に示した薄膜トランジスタ基板の製造方法について図3乃至図16、図1、及び図2を参照して詳細に説明する。
【0058】
図3、図5、図7、図9、図11、図13、及び図15は、薄膜トランジスタ基板を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での配置図であり、図4、図6、図8、図10、図12、図14、及び図16は、それぞれ図3、図5、図7、図9、図11、図13、及び図15におけるA‐A'、A'‐A’’、A’’‐A’’’線に沿った断面図である。
【0059】
図3及び図4に示したように、基板110の上にアルミニウム、銅またはこれらの合金などで形成され、厚さが0.5μm以上5μm以下のゲート線121及びゲート電極124を形成する。ゲート線121の厚さが厚いため、これを形成する際に絶縁基板110に変形が生じることがあるので、これを防止するために窒化シリコン(SiNx)などで形成されたバッファ層(図33の115参照)を絶縁基板110とゲート線121との間に追加形成することもできる。
【0060】
次に、図5及び図6に示したように、ゲート線121を沿って形成された横部、図の横方向に隣接した画素を区分し、データ線が形成される位置に形成された縦部、及び画素電極とドレイン電極とが接続する位置に形成されたコンタクト部を含む隔壁215を形成する。隔壁215は、有機物質を利用して0.5μm以上10μm以下の厚さに形成し、カラーフィルタが形成される領域を区画する。隔壁215は、ゲート線121から1μm以上4μm以下の高さを有するように形成し、ゲート電極124の上では隔壁215をエッチングすることにより、その厚さを薄く形成するか、または完全にエッチングしてゲート電極124が露出するように構成できる。隔壁215を形成する時、マスクを使用して露光し、現像することが好ましく、マスクのうち、ゲート電極124に対応する部分には、半透過領域またはスリットパターンが形成されていて、一回の露光及び現像によって隔壁215の全てのパターンが同時に形成されるようにする。有機物質で形成された隔壁215は、基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は50°乃至約120°であることが好ましい。また、隔壁を形成する有機物質であって、誘電率3.5以下の低誘電率有機物質を用いるか、または界面活性剤、ケイ素(Si)系、フッ素(F)系のうちのいずれか1つ以上の物質を添加している有機物質を用いることができる。また、有機膜を形成する物質に添加剤(フッ素など)を調節するか、または有機膜で隔壁215を形成した後に表面処理を通じ、隔壁215のプロファイルを調節することができる。
【0061】
次に、図7及び図8に示したように、基板110の全領域に対して0.3μm以上3μm以下のゲート絶縁膜140を形成した後、ゲート絶縁膜140の上部のうち、ゲート電極124の上に半導体154を形成する。半導体154は、図8に示したように、その高さが隔壁215の高さより低くなるように形成することもできる。
【0062】
次に、図9及び図10に示したように、ソース電極173を含むデータ線171及びドレイン電極175を形成する。半導体154の上部であり、ソース電極173及びドレイン電極175の間には、オーミックコンタクト層(図示せず)を形成することができる。
【0063】
次に、図11及び図12に示したように、基板110の全領域に対して無機絶縁物質などで保護膜180を形成した後、隔壁215が形成されない領域を中心にインクジェット方式でカラーフィルタ230を形成する。各色のカラーフィルタ230は互いに異なる工程によって形成され、隔壁215の高さが高く、かつテーパ角が大きくて、カラーフィルタ230が均等に形成される。カラーフィルタ230は1μm以上4μm以下の厚さに形成される。また、図12では、カラーフィルタ230が隔壁215より高く形成されている構造となっているが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、カラーフィルタ230が隔壁215より低いか、または同一であるように形成することができる。また、カラーフィルタ230及び隔壁215の厚さの差は2μm以下であることが好ましい。
【0064】
次に、図13及び図14に示したように、保護膜180及びカラーフィルタ230の上に1μm以上5μm以下の有機キャッピング膜225を形成し、ドレイン電極175の上に形成された有機キャッピング膜225と保護膜180とを除去してコンタクトホール185を形成する。ここで、コンタクトホール185は、次のような方法で形成できる。最初に、ドレイン電極175の上部の有機キャッピング膜225を露光し、現像して除去した後、ドレイン電極175の上部の保護膜180をドライエッチングして除去する。その結果、ドレイン電極175が外部に露出される。
【0065】
次に、図15及び図16に示したように、有機キャッピング膜225の上に画素電極191を形成する。本発明の実施形態による薄膜トランジスタ基板においては、1つの画素当り2つの薄膜トランジスタを有し、2つの薄膜トランジスタにそれぞれ接続された2つの副画素電極を含む。2つの副画素電極は互いに電気的に絶縁されており、マイクロスリットパターンを含むように構成できる。各副画素電極の構造については図34で後述する。
【0066】
次に、図1及び図2に示したように、有機キャッピング膜225の上には遮光部材220を形成する。遮光部材220は隔壁215が形成された位置の上部に形成され、隔壁215の幅より広く形成されている。また、遮光部材220は互いに異なる高さを有するように形成でき、この中で高さが最も高いものは上下基板の間隔を一定に維持するスペーサの役割を果たすように構成できる。
【0067】
以上、図1乃至図16を参照しながら本発明の一実施形態による薄膜トランジスタ基板及びその製造方法について説明した。以上の実施形態では、1つの画素にそれぞれ2つのソース電極/ドレイン電極/画素電極が形成された構造を記述しているが、これとは異なって1つの画素に1つのソース電極/ドレイン電極/画素電極を形成することも可能である。
【0068】
図17乃至図20を参照して、本発明の他の実施形態による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板について詳細に説明する。
【0069】
図17は、本発明の他の実施形態による液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の配置図であり、図18は、図17の薄膜トランジスタ基板のXVIII‐XVIII線に沿った断面図であり、図19は、図17の薄膜トランジスタ基板のXIX‐XIX線に沿った断面図であり、図20は図17の薄膜トランジスタ基板のXX‐XX線に沿った断面図である。
【0070】
図17に示している本発明の他の実施形態による薄膜トランジスタ基板は、1つの画素に1つの薄膜トランジスタを形成し、1つの画素電極を有する構造を記述しており、ソース電極及びドレイン電極の形成において、半導体及びオーミックコンタクト層を同時にパターニングする特徴を有する。また、ゲート絶縁膜140の下部にカラーフィルタ230が積層される。以下に詳細に説明する。
【0071】
透明なガラスまたはプラスチックなどで作られた絶縁基板110の上に、複数のゲート線121が形成されている。
【0072】
ゲート線121は、ゲート信号を伝達し、主に図の横方向に延長されている。各ゲート線121は、上下に突出した複数のゲート電極124と、他の層または外部駆動回路との接続のために面積の広い端部(図示せず)とを含む。
【0073】
ゲート線121は、アルミニウム、銅、またはこれらの合金などで形成され、厚さは0.5μm以上5μm以下に形成する。ゲート線121の厚さが非常に厚いため、これを形成する際に絶縁基板110に変形が生じることがあって、これを防止するために窒化シリコン(SiNx)などで形成されたバッファ層(図33の115参照)を絶縁基板110とゲート線121との間に追加形成することもできる。この場合、ゲート線121の厚さが増加することによって、ゲート線を流れる信号のRC遅延(RC delay)が減少する長所を有する。しかし、ゲート線121は、その他にも多様な金属または導電体で形成することができ、本発明では、ゲート線121の厚さを増加させて形成するという点に特徴がある。
【0074】
ゲート線121の側面は、基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は約30°乃至約80°であることが好ましい。
【0075】
ゲート線121の上には3.5以下の誘電率を有する有機物質で構成される隔壁215が形成されている。隔壁215は、ゲート線121に沿って形成された横部と、横方向に隣接した画素とを区分し、データ線が形成される位置に形成された縦部、及び画素電極とドレイン電極とが接続される位置に形成されたコンタクト部を含み、カラーフィルタが形成される領域を区画する。隔壁215はゲート線121に比べてその幅が狭く形成されている。また、隔壁215は0.5μm以上10μm以下の厚さに形成され、ゲート線121から1μm以上4μm以下の高さを有し、ゲート電極124の上には隔壁215がエッチングされてその厚さが薄く形成されている。一方、実施形態によっては、隔壁215を全てエッチングして、ゲート電極124を露出させることもできる。有機物質で作られた隔壁215は基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は50°乃至約120°であることが好ましい。ここで、傾斜角が90°を越える場合には、逆テーパ構造であることを示す。また、隔壁を形成する有機物質として、誘電率3.5以下の低誘電率有機物質を用いるか、または界面活性剤、ケイ素(Si)系、フッ素(F)系のうちのいずれか1つ以上の物質を添加している有機物質を用いることができる。また、有機膜を形成する物質に添加剤(フッ素など)を調節するか、または有機膜で隔壁215を形成した後に表面処理を通じ、隔壁215のプロファイルを調節することができる。
【0076】
隔壁215が形成されていない領域には、インクジェット方式でカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は、少なくとも三原色(例えば、赤色、緑色、青色)を含み、各色別に異なる顔料を用いて形成する。この時、隔壁215の高さが十分にあり、隔壁215の内部にカラーフィルタ230が十分に満たされ、隔壁215のテーパ角も大きくてカラーフィルタ230が均等に形成できる。カラーフィルタ230は1μm以上4μm以下の厚さに形成される。また、図18では、カラーフィルタ230と隔壁215を同一高さで示しているが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、カラーフィルタ230が隔壁215より低いか、または高く形成することもできる。また、カラーフィルタ230及び隔壁215の厚さの差は2μm以下であることが好ましい。
【0077】
隔壁215及びカラーフィルタ230の上には、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などで作られたゲート絶縁膜140が形成されている。ゲート絶縁膜140は、実施形態によってその厚さが多様であり、0.3μm以上3μm以下の厚さを有する。
【0078】
ゲート絶縁膜140の上には、水素化非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon)(非晶質シリコンは、略してa‐Siと記す)または多結晶シリコン(polysilicon)などで作られた複数の線状半導体151が形成されている。線状半導体151は、主に図の縦方向に延長され、ゲート電極124に向かって延長された複数の突出部(projection)154を含む。半導体151の上には、複数の線状オーミックコンタクト部材161及び島型オーミックコンタクト部材165が形成されている。オーミックコンタクト部材161、165はリンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質、またはシリサイド(silicide)で作られる。線状オーミックコンタクト部材161は、複数の突出部163を有し、この突出部163と島型オーミックコンタクト部材165とは対を成して半導体151の突出部154の上に配置されている。
【0079】
半導体151とオーミックコンタクト部材13、165の側面も、基板110面に対して傾斜しており、傾斜角は30°乃至80°程度である。
【0080】
半導体151及びゲート絶縁膜140の上には、複数のデータ線171と複数のドレイン電極175とが形成されている。
【0081】
データ線171は、データ信号を伝達し、主に図の縦方向に延長されてゲート線121と交差する。各データ線171は隔壁215の縦部位に形成されている。各データ線171は、ゲート電極124に向かって延長された複数のソース電極173と、他の層または外部駆動回路との接続のために面積の広い端部(図示せず)とを含む。
【0082】
ドレイン電極175はデータ線171と分離されており、ゲート電極124を中心にソース電極173と対向する。各ドレイン電極175は、広い一端部と、棒状の他端部とを含む。広い端部は隔壁215のコンタクト部の上に形成され、棒状の端部は曲がったソース電極173によって一部取り囲まれている。
【0083】
1つのゲート電極124、1つのソース電極173、及び1つのドレイン電極175は、半導体154と共に1つの薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)を形成し、薄膜トランジスタのチャンネルは、隔壁215が除去された領域内であり、ソース電極173とドレイン電極175との間の半導体154に形成される。
【0084】
データ線171及びドレイン電極175は、多様な金属で単一膜、二重膜、及び三重膜の構造に形成でき、データ線171及びドレイン電極175も、その側面が基板110面に対して30°乃至80°程度の傾斜角で傾斜していることが好ましい。
【0085】
オーミックコンタクト部材161、163、165は、その下の半導体151と、その上のデータ線171及びドレイン電極175との間にだけ存在し、これらの間の接触抵抗を低くする。
【0086】
データ線171、ドレイン電極175、及び露出した半導体154部分の上には、保護膜(passivation layer)180が形成されている。保護膜180は窒化ケイ素と酸化ケイ素などの無機絶縁物で形成される。
【0087】
保護膜180の上には有機キャッピング膜225が形成されている。有機キャッピング膜225のうち、ドレイン電極175に該当する領域には、保護膜180と共にドレイン電極175を露出する複数のコンタクトホール185が形成されている。有機キャッピング膜225は1μm以上5μm以下の厚さに形成される。
【0088】
有機キャッピング膜225の上には複数の画素電極191が形成されている。画素電極191は、図示しないが、マイクロスリットパターンを含むことができる。これについては図34で後述する。
【0089】
有機キャッピング膜225の上には、遮光部材(図示せず)が形成され、遮光部材は隔壁215が形成された位置の上部に形成でき、隔壁215の幅よりも幅を広く形成することができる。また、遮光部材は互いに異なる高さとなるように形成することができ、このうち高さの高い遮光部材は上部基板及び下部基板の間隔を維持するスペーサの役割を果たすように構成できる。
【0090】
図17乃至図20に示した薄膜トランジスタ基板の製造方法について、図21乃至図32、及び図17乃至図20を参照して詳細に説明する。
【0091】
図21乃至図24は、図18の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図であり、図25乃至図28は、図19の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図であり、図29乃至図32は、図20の断面を本発明の一実施形態によって製造する方法の中間段階での断面図である。
【0092】
図21、図25、及び図29で示したように、基板110の上にアルミニウム、銅、またはこれらの合金などで構成され、厚さが0.5μm以上5μm以下であるゲート線121及びゲート電極124を形成する。ゲート線121の厚さが厚いため、これを形成する際に絶縁基板110に変形が生じることがあり、このような変形を防止するために窒化シリコン(SiNx)などで形成されたバッファ層(図33の115参照)を絶縁基板110とゲート線121との間に追加形成することもできる。その後、ゲート線121に沿って形成された横部、横方向に隣接した画素を区分し、データ線が形成される位置に形成された縦部、及び画素電極とドレイン電極とが接続する位置に形成されたコンタクト部を含む隔壁215を形成する。隔壁215は、有機物質を利用して0.5μm以上10μm以下の厚さに形成し、カラーフィルタが形成される領域を区画する。本実施形態における隔壁215は、図29で示したように、ゲート線121より狭い幅を有する。隔壁215は、ゲート線121から1μm以上4μm以下の高さを有し、図25で示したように、ゲート電極124の上では隔壁215がエッチングされてゲート電極124が露出している。但し、実施形態によっては、ゲート電極124の上に隔壁215の一部が残った構成とすることも可能である。隔壁215を形成する時、マスクを使用して露光し、現像することが好ましく、マスクのうち、ゲート電極124に対応する部分には半透過領域またはスリットパターンが形成され、1回の露光及び現像によって隔壁215の全てのパターンが同時に形成されるようにする。有機物質で作られた隔壁215は、基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は50°乃至約120°であることが好ましい。また、隔壁を形成する有機物質として、誘電率3.5以下の低誘電率有機物質を用いるが、または界面活性剤、ケイ素(Si)系、フッ素(F)系のうちのいずれか1つ以上の物質を添加している有機物質を用いることができる。また、有機膜を形成する物質に添加剤(フッ素など)を調節するか、または有機膜で隔壁215を形成した後に表面処理を通じ、隔壁215のプロファイルを調節することができる。
【0093】
次に、図22に示したように、隔壁215が形成されない領域を中心にインクジェット方式でカラーフィルタ230を形成する。各色のカラーフィルタ230は互いに異なる工程によって形成され、隔壁215の高さが高く、かつテーパ角を大きくすることにより、カラーフィルタ230を均等に形成することができる。カラーフィルタ230は1μm以上4μm以下の厚さに形成される。また、図18では、カラーフィルタ230と隔壁215を同一の高さで示しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、カラーフィルタ230が隔壁215より低いか、または高く形成することもできる。また、カラーフィルタ230及び隔壁215の厚さの差は2μm以下であることが好ましい。
【0094】
次に、図23、図26、及び図30に示したように、基板110の全領域に対して0.3μm以上3μm以下の厚さにゲート絶縁膜140を形成した後、その上に、半導体151、オーミックコンタクト層163、165、データ線171、及びドレイン電極175を形成する。半導体151、オーミックコンタクト層163、165、データ線171、及びドレイン電極175は、半透過領域またはスリットパターンを含む1つのマスクを使用し、1回のエッチングによって同時に形成する。その結果、半導体151、オーミックコンタクト層163、165、データ線171、及びドレイン電極175の外側端部が互いに一致する。
【0095】
次に、図27及び図31に示したように、基板110の全領域に対して保護膜180及び有機キャッピング膜225を順に積層する。保護膜180は、無機絶縁物質などで形成し、有機キャッピング膜225は3.5以下の低誘電率の誘電物質を用い、1μm以上5μm以下の厚さに形成する。その後、ドレイン電極175の上に形成された有機キャッピング膜225と保護膜180を除去し、コンタクトホール185を形成する。ここで、コンタクトホール185は、次のような方法で形成できる。最初に、ドレイン電極175の上部の有機キャッピング膜225を露光し、現像して除去した後、ドレイン電極175の上部の保護膜180をドライエッチングして除去する。その結果、ドレイン電極175が外部に露出される。
【0096】
次に、図24、図28、及び図32に示したように、有機キャッピング膜225の上に画素電極191を形成する。画素電極191は、コンタクトホール185によってドレイン電極175と電気的に接続され、図示しないが、スリットパターンを含むことができる。また、有機キャッピング膜225の上には遮光部材(図示せず)をさらに形成することができる。遮光部材は、隔壁215が形成された位置の上部に形成され、隔壁215の幅より広く形成する。また、遮光部材は互いに異なる高さを有するように形成でき、このうち、高い高さのものは上下基板の間隔を一定に維持するスペーサの役割を果たすように構成できる。
【0097】
一方、図33は図2に対応する図面であって、絶縁基板110と、ゲート線121及びゲート電極124との間にバッファ層115を有する実施形態を示している。前述の通り、バッファ層115は、ゲート線121の厚さが厚く形成されるため、基板の変形を招く恐れがあって、これを防止するために形成する層である。それ以外の全ての構造は図2と同一である。
【0098】
以下、図34を参照して、マイクロスリットパターンを有する画素電極の構造について詳細に説明する。
【0099】
図34は、本発明の他の実施形態による薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【0100】
図34の実施形態は、既存の実施形態とは異なって、維持電極線131、135を含み、画素電極のスリットパターンが明確に示されている。断面構造は、図1乃至図16の実施形態または図17乃至図32の実施形態のうちのいずれか1つと同一であってもよく、そのためカラーフィルタ230が基板110の上に形成されるか、または保護膜180の上に形成され得る。
【0101】
図34において、特徴的な部分のみを説明する。
【0102】
絶縁基板110の上にはゲート線121の他に維持電極線131、135が形成されている。維持電極線は、ゲート線121と実質的に平行に延長された幹線131と、これから延長された複数の維持電極135とを含む。維持電極135は、データ線171に沿って薄膜トランジスタに向かって直線状に形成されている。
【0103】
一方、画素電極191は、2つの副画素191a、191bを含む。
【0104】
第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bの全体的な形状は四角形であり、横幹部及びこれと直交する縦幹部からなる十字型幹部を含む。また、横幹部と縦幹部によって4つの副領域に分けられ、各副領域は複数の微細幹部を含む。
【0105】
微細幹部のうちの1つは、横幹部または縦幹部から図の左側上方に斜めに延長されており、他の1つの微細幹部は、横幹部または縦幹部から図の右側上方に斜めに延長されている。また、他の1つの微細幹部は、横幹部または縦幹部から左側下方に延長され、残りの1つの微細幹部は、横幹部または縦幹部から右側下方に斜めに延長されている。
【0106】
各微細幹部は、ゲート線121または横幹部とほぼ45°または135°の角をなす。また、隣接する2つの副領域の微細幹部は互いに直交するように構成できる。
【0107】
図示しないが、微細幹部の幅は、横幹部または縦幹部に近いほど広くなり得る。
【0108】
また、画素電極191の全体において、第2副画素電極191bが占める面積を、第1副画素電極191aが占める面積より大きく構成することができ、第2副画素電極191bは第1副画素電極191aの面積より1.0倍から2.2倍程度大きくすることができる。しかし、第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bの形態や面積比は、多様に変更可能である。
【0109】
上述のような構造の第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bは、それぞれ互いに異なる薄膜トランジスタを通じて互いに異なる電圧の印加を受けることができ、これによって視認性の向上及び視野角の増加などの長所がある。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれらに限定されず、請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の種々の変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0111】
3 液晶層
110 絶縁基板
121 ゲート線
124 ゲート電極
140 ゲート絶縁膜
154 半導体
171 データ線
173 ソース電極
175 ドレイン電極
180 保護膜
185 コンタクトホール
191 画素電極
215 隔壁
225 有機キャッピング膜
220 遮光部材
230 カラーフィルタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0112】
【特許文献1】特開2001−056467号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に形成され、ゲート電極を含むゲート線と、
有機物質で形成され、縦部を含む隔壁と、
前記隔壁によって区画された領域に形成されたカラーフィルタと、
前記ゲート電極を含み、一部が前記隔壁上に形成される薄膜トランジスタと、
前記ゲート線に交差し、前記隔壁上で前記隔壁の縦部に沿って形成されるデータ線と、
を含む薄膜トランジスタ基板。
【請求項2】
前記薄膜トランジスタの一部はソース電極またはドレイン電極の部分である、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項3】
前記隔壁のうち、前記ゲート電極の上部に形成された隔壁は、その厚さを他の部分より薄く形成するか、または前記ゲート電極が露出するように除去される、請求項1に記載の請求項薄膜トランジスタ基板。
【請求項4】
前記隔壁を形成する有機物質は誘電率3.5以下の有機物質で形成される、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項5】
前記隔壁上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記薄膜トランジスタと前記ゲート絶縁膜上に形成された保護膜をさらに含み、
前記カラーフィルタは前記保護膜上に形成される、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項6】
前記カラーフィルタと前記保護膜上に形成される有機キャッピング膜と、
前記有機キャッピング膜上に形成された画素電極をさらに含む、請求項5に記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項7】
前記隔壁上に位置するゲート絶縁膜をさらに含み、
前記カラーフィルタは前記絶縁基板と前記ゲート絶縁膜との間に位置する、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項8】
前記薄膜トランジスタ及び前記ゲート絶縁膜上に形成された保護膜と、
前記保護膜上に形成された有機キャッピング膜と、
前記有機キャッピング膜上に形成された画素電極と、
をさらに含む請求項7に記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項9】
前記隔壁は遮光部材を含まない、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項10】
コンタクトホールによって前記薄膜トランジスタと接続される画素電極と、
前記画素電極の一部の上に位置する遮光部材と、
をさらに含み、前記コンタクトホールは前記カラーフィルタまたは前記遮光部材を貫通しない、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項11】
前記隔壁用有機物質は透明な有機物質である、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2010−55065(P2010−55065A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142157(P2009−142157)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】