説明

逆ソース/ドレイン金属コンタクトを有する電界効果トランジスタ(FET)及びその製造方法

【課題】 コンタクト間隔及び寄生容量の問題に対する解決策を提供する、改善されたFET設計を構築する。
【解決手段】 本発明は、下方の第1の誘電体層内に配置された下部と上方の第2の誘電体層内に配置された上部とを有する逆ソース/ドレイン金属コンタクトを含む電界効果トランジスタ(FET)に関する。逆ソース/ドレイン金属コンタクトの下部は、上部より大きい断面積を有する。好ましくは、逆ソース/ドレイン金属コンタクトの下部は、約0.03μmから約3.15μmの範囲の断面積を有し、こうした逆ソース/ドレイン金属コンタクトは、約0.001μmから約5μmの範囲の距離だけ、FETのゲート電極から間隔を空けて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された電界効果トランジスタ(FET)に関し、より具体的には、逆ソース/ドレイン金属コンタクトを有する改善された金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、及び、こうしたFETデバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業においては、常に集積回路(IC)の動作速度を増大させることが要求されている。こうした要求の高まりは、コンピュータなどの電子デバイスをより高速で動作させる必要性によって増幅される。速度の増大に対する要求は、次に、半導体デバイスのサイズの継続的な縮小をもたらす。具体的には、電界効果トランジスタ(FET)のチャネル長さ、接合深さ、及び/又はゲート誘電体厚さが小さくなり、それが、所与の単一の半導体ウェハ上に製造することができるFETの密度及び数の増大につながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、FETの積極的なスケーリング又はサイズ縮小は、コンタクト間隔及び寄生容量に関連する様々な技術的問題も引き起こしており、それらの問題は、デバイスの性能及び製造の歩留まりの両方についての要求を満たすように対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、改善されたFET設計を構築することによって、コンタクト間隔及び寄生容量の問題に対する解決策を提供する。本発明の改善されたFET設計は、従来のFET設計と比較して、(1)ソース/ドレイン(S/D)金属コンタクト数の減少、(2)全コンタクト・レイアウト面積の減少、(3)実質的に同一の有効コンタクト面積、(4)コンタクト−ゲート間の距離の増大、(5)ゲート−コンタクト間の静電容量の低下、によって特徴付けられるという利点がある。さらに、本発明の改善されたFETは、従来のFETと比べて製造するのが比較的容易であり、削減された製造コストで製品歩留まりを著しく向上させて作ることができる。
【0005】
本発明は、1つの態様においては、ソース領域とドレイン領域の間に配置されたチャネル領域と、チャネル領域の上全体に配置されたゲート誘電体層と、ゲート誘電体層の上全体に配置されたゲート電極と、ソース領域、ドレイン領域及びゲート電極の上全体に配置され、これらを覆う第1の誘電体層と、第1の誘電体層の上全体に配置された第2の誘電体層と、ソース領域又はドレイン領域のいずれかに電気的に接続された少なくとも1つの金属コンタクトであって、少なくとも1つの金属コンタクトは第1の誘電体層内に配置された下部と第2の誘電体層内に配置された上部とを含み、下部は上部より大きい断面積を有する、少なくとも1つの金属コンタクトと、を含む半導体デバイスに関する。
【0006】
本明細書で用いられる「金属の(metallic)」という用語は、実質的に、元素の形態、合金の形態、又は化合物の形態の少なくとも1つの金属を含む導体材料で形成される構造体又は構成要素を指す。こうした導体材料の例として、元素金属、金属合金、金属窒化物、金属シリサイドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0007】
本明細書で用いられる「断面積(cross-sectionalarea)」という用語は、構造体又は構成要素が上に配置される半導体基板の表面と実質的に平行な仮想面で切断したときの構造体又は構成要素の面積を指す。
【0008】
本発明のさらなる態様は、ソース領域と、ドレイン領域と、チャネル領域と、チャネル領域の上全体に配置されたゲート誘電体層と、ゲート誘電体層の上全体に配置されたゲート電極と、ソース領域、ドレイン領域及びゲート電極の上全体に配置され、これらを覆う第1の誘電体層と、第1の誘電体層の上全体に配置された第2の誘電体層とを含む半導体デバイスを形成するステップと、ソース領域又はドレイン領域のいずれかを露出させる少なくとも1つのコンタクト・ホールを形成するために、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の一部を選択的に除去するステップと、少なくとも1つのコンタクト・ホールの側壁に沿って第1の誘電体層の一部を選択的に除去するステップと、ソース領域又はドレイン領域のいずれかに電気的に接続される少なくとも1つの金属コンタクトを形成するために、少なくとも1つのコンタクト・ホールを金属材料で充填するステップであって、少なくとも1つの金属コンタクトは第1の誘電体層内に配置される下部と第2の誘電体層内に配置される上部とを含み、下部は上部より大きい断面積を有する、ステップとを含む方法に関する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、下方の第1の誘電体層内に配置された下部と上方の第2の誘電体層内に配置された上部とを有する逆ソース/ドレイン金属コンタクトを含む電界効果トランジスタ(FET)であって、逆ソース/ドレイン金属コンタクトの下部はその上部より大きな断面積を有する、電界効果トランジスタ(FET)に関する。
【0010】
本発明の他の態様、特徴及び利点は、以下の開示及び特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の説明においては、本発明が完全に理解されるように、特定の構造体、構成要素、材料、寸法、処理ステップ及び技術などの多くの具体的な細部が示される。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの具体的な細部がなくても実施できることが分かるであろう。他の例においては、本発明を不明瞭にするのを避けるために、周知の構造体又は処理ステップは、詳しくは説明していない。
【0012】
層、領域、又は基板としての要素が別の要素の「上に(on)」あるというときは、その要素が、他の要素の上に直接あるものとすることができ、又は、介在する要素が存在する場合があることが分かるであろう。それに対して、要素が別の要素の「直接上に(directly on)」あるというときは、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続する(connected)」又は「結合する(coupled)」というときは、その要素は、他の要素に直接的に接続又は結合することができ、又は、介在する要素が存在する場合があることも分かるであろう。それに対して、ある要素が別の要素に「直接接続する(directlyconnected)」又は「直接結合する(directly coupled)」というときは、介在する要素は存在しない。
【0013】
ここで、本発明の改善されたFETデバイスと、それを製造するための例示的な処理ステップとを、添付の図1〜図9を参照してより詳細に説明する。一定の縮尺で描かれていないこれらの図面においては、同じ要素及び/又は対応する要素は、同じ参照数字で示されていることに留意されたい。これらの図面においては、1つのFETのみが半導体基板上に示されていることにさらに留意されたい。説明は、こうした実施形態に関して行われるが、本発明は、いずれかの特定の数のFETが半導体基板上に存在する形態に限定されるものではない。
【0014】
最初に図1を参照すると、この図は、半導体基板10の上に配置され、チャネル領域13を間に定めるソース(又はドレイン)領域12及びドレイン(又はソース)領域14を含む、従来のFETデバイスを示す。ゲート誘電体層16がチャネル領域13の上全体に直接配置され、ゲート電極18がゲート誘電体層16の上全体に直接配置される。従来のFETデバイスは、いずれも従来のFETデバイスにとっては任意である、ソース(又はドレイン)金属シリサイド・コンタクト層12Aと、ドレイン(又はソース)金属シリサイド・コンタクト層14Aと、ゲート金属シリサイド・コンタクト層18Aと、ソース/ドレイン延長領域12B及び14Bと、ソース/ドレイン・ハロ領域12C及び14Cと、1つ又は複数のゲート側壁スペーサ20とをさらに含むものとしてもよい。
【0015】
図1に示されるような従来のFETデバイスは、第1の誘電体層22及び第2の誘電体層24によって覆われ、これらは、同じ誘電体材料又は異なる誘電体材料のいずれかで形成することができる。多数の金属コンタクト26が、第1の誘電体層22及び第2の誘電体層24を通って延び、ドレイン(又はソース)領域14内のドレイン(又はソース)金属シリサイド・コンタクト層14Aと電気的に接続する。従来のFETデバイスの金属コンタクト26の各々は、コンタクトの高さ全体を通して実質的に均一な断面積によって特徴付けられる。
【0016】
図2は、第1の誘電体層22、スペーサ20、及びゲート電極18を露出させるように第2の誘電体層24が除去された、図1の従来のFETデバイスの上面図を示す。具体的には、従来のFETデバイスは4つの金属コンタクト26を含み、その各々は、約0.05μmから約0.5μmの範囲の断面半径(r)を有する。4つの金属コンタクト26は、それらの断面半径の少なくとも約2倍の距離、即ち2rだけ互いに間隔を空けて配置される。さらに、これらの4つの金属コンタクト26は、少なくとも0.001μmの距離(d)だけゲート電極18から間隔を空けて配置される。
【0017】
したがって、金属コンタクト26の数×各々の金属コンタクト26の断面積(=4πr)として計算される、図1及び図2に示される従来のFETデバイスの全有効コンタクト面積は、約0.03μmから約3.15μmの範囲になる。図2において点線ボックスで示される面積(=(d+6r)×6r)である、4つの金属コンタクト26によって費やされる全レイアウト面積は、約0.09μmから約9μmの範囲である。
【0018】
上述の従来のFETデバイスに対して、図3は、本発明の1つの実施形態による改善されたFETデバイスを示す。具体的には、本発明の改善されたFETデバイスは、半導体基板30の上に配置され、間にチャネル領域33を定めるソース(又はドレイン)領域32及びドレイン(又はソース)領域34を含む。ゲート誘電体層36はチャネル領域33の上全体に直接配置され、ゲート電極38はゲート誘電体層36の上全体に直接配置される。本発明の改善されたFETデバイスは、いずれも改善されたFETデバイスにとっては任意である、ソース(又はドレイン)金属シリサイド・コンタクト層32Aと、ドレイン(又はソース)金属シリサイド・コンタクト層34Aと、ゲート金属シリサイド・コンタクト層(ゲート・コンタクト)38Aと、ソース/ドレイン拡張注入部32B及び34Bと、ソース/ドレイン・ハロ注入部32C及び34Cと、1つ又は複数のゲート側壁スペーサ40とをさらに含むものとしてもよい。同じ誘電体材料又は異なる誘電体材料のいずれかを含むものとすることができる第1の誘電体層42及び第2の誘電体層44は、本発明の改善されたFETデバイスの上全体に形成される。
【0019】
上部46A及び下部46Bを含む金属コンタクトが、それぞれ第2の誘電体層42及び第1の誘電体層44を通って延び、ドレイン(又はソース)領域34内のドレイン(又はソース)金属シリサイド・コンタクト層34Aと電気的に接続する。こうした金属コンタクトの下部46Bは、上部46Aより大きな断面積を有する。したがって、金属コンタクトは、逆T字形として特徴付けられ、したがって「逆」金属コンタクトと呼ばれる。
【0020】
図4は、第1の誘電体層42、スペーサ40、及びゲート電極38を露出させるように第2の誘電体層44が除去された、本発明の改善されたFETデバイスの上面図を示す。具体的には、改善されたFETデバイスは、相対的に小さい断面積の上部46Aと相対的に大きい断面積の下部46Bとを有する単一の金属コンタクトを含む。好ましくは、単一の金属コンタクトの下部46Bは約0.10μmから約1.0μmの範囲の断面半径(r)を有し、上部46Aはrの半分を超えない断面半径を有する。さらに、金属コンタクトは、少なくとも0.001μmの距離(d)だけゲート電極38から間隔を空けて配置される。
【0021】
したがって、金属コンタクト46の断面積(=πr)として計算される、本発明の改善されたFETデバイスの全有効コンタクト面積は、約0.03μmから約3.15μmの範囲になる。図4において点線ボックスで示される面積(=(d+2r)×2r)である、本発明の金属コンタクト46によって費やされる全レイアウト面積は、約0.04μmから約4.0μmの範囲である。
【0022】
=2rのときには、本発明の改善されたFETデバイスの全有効コンタクト面積は、従来のFETデバイスの全有効コンタクト面積と実質的に同じである。しかしながら、d=3/2dと仮定した場合は、金属コンタクト46によって費やされる全レイアウト面積は、従来のFETデバイスより約20r、即ち約0.05μmから約5μm小さくなる。
【0023】
本発明のFETデバイスは、少ない数のS/D金属コンタクトの使用を可能にし、小さくなった全コンタクト・レイアウト面積の範囲内で実質的に同じ有効コンタクト面積を提供する。より重要なことは、本発明のFETデバイスは、S/D金属コンタクトをゲート電極からより離して(即ち、少なくとも1/2dだけ、即ち約0.0002μmから約2μmだけ離して)配置することができ、それによって、全コンタクト・レイアウト面積を大きくすることなくゲート−コンタクト間の静電容量を低減できることである。
【0024】
したがって、本発明のFETデバイスは、FETの積極的なスケーリング又はサイズ縮小と典型的に関連するコンタクト間隔の問題及び寄生容量の問題を解決し、少ないコストで、より小さく且つより高速の高性能な集積回路(IC)デバイスの製造を可能にする。
【0025】
図3及び図4に具体的に示されるような本発明の実施形態は、1つのソース/ドレイン金属コンタクト46のみを使用しているが、本発明のFETデバイスに含まれるソース/ドレイン金属コンタクトの総数が従来のFETデバイスに含まれる数より少ない限り、本発明は、任意の数のソース/ドレイン金属コンタクトを含むように容易に拡張できることが分かる。
【0026】
本発明のFETデバイスは、いずれかの適切な方法で容易に製造することができる。具体的には、図5〜図9は、本発明のFETデバイスを製造するために用いることができる一連の例示的な処理ステップを示す。
【0027】
図5は、半導体基板30の上に配置され、ソース(又はドレイン)領域32と、ドレイン(又はソース)領域34と、チャネル領域33と、ゲート誘電体層36と、ゲート電極38とを含むFETデバイスを示す。FETデバイスは、必ずしも含むわけではないが、必要に応じて、ソース(又はドレイン)金属シリサイド・コンタクト層32Aと、ドレイン(又はソース)金属シリサイド・コンタクト層34Aと、ゲート金属シリサイド・コンタクト層(ゲート・コンタクト)38Aと、ソース/ドレイン拡張注入部32B及び34Bと、ソース/ドレイン・ハロ注入部32C及び34Cと、1つ又は複数のゲート側壁スペーサ40とを含む。FETデバイスは、従来の前工程(FEOL)処理ステップによって容易に形成することができる。例えば、堆積、リソグラフィ、エッチング、注入、及び自己整合シリサイド化を含むがこれらに限定されない種々の処理ステップを用いるか、又は、リプレースメント・ゲート・プロセスを用いることができる。
【0028】
半導体基板30は、Si、SiC、SiGe、SiGeC、Ge合金、GaAs、InAs、InP、及び他のIII−V族又はII−VI族の化合物半導体を含むがこれらに限定されない、いずれかの半導体材料を含むものとすることができる。半導体基板30は、有機半導体構造体、Si/SiGeなどの層状半導体構造体、シリコン・オン・インシュレータ構造体、又はSiGeオン・インシュレータ構造体を含むものとすることもできる。半導体基板30は、ドープ型とするか、非ドープ型とするか、又は、内部にドープ領域と非ドープ領域とを含むものとすることができる(図示せず)。ドープされたデバイス領域は、典型的には「ウェル」として知られる。半導体基板30は、歪み型とするか、非歪み型とするか、又は、内部に歪み半導体材料の領域と非歪み半導体材料の領域とを含むものとすることができる。さらに、半導体基板30は、単結晶表面配向又は多結晶表面配向を有するものとすることができる。
【0029】
さらに、半導体基板30は、ドープされたデバイス領域の間を分離するために、1つ又は複数の浅いトレンチ分離領域(図示せず)を含むものとすることができる。浅いトレンチ分離領域は、当業者に周知の従来のトレンチ分離プロセスを利用して容易に形成することができる。例えば、リソグラフィ、エッチング、及び、トレンチ誘電体によるトレンチの充填を、トレンチ分離領域の形成に用いることができる。
【0030】
図5に示されるように、第1の誘電体層42がFETデバイスの上全体に形成される。第1の誘電体層42は、x、y及びzを整数とすると、SiO、Si、Si、Si、Siなどを含むがこれらに限定されない1つ又は複数のいずれかの適切な誘電体材料を含むものとすることができる。さらに、第1の誘電体層42は、高密度プラズマ堆積(HDP)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)などを含むがこれらに限定されないいずれかの適切な誘電体堆積プロセスによって、形成することができる。好ましくは、第1の誘電体層42は、HDPプロセスによって形成される。
【0031】
続いて、図6に示されるように、第2の誘電体層44が第1の誘電体層42の上全体に形成される。第2の誘電体層44は、x、y及びzを整数とすると、SiO、Si、Si、Si、Siなどを含むがこれらに限定されない1つ又は複数のいずれかの適切な誘電体材料を含むことができ、第1の誘電体層42とは異なる誘電体材料を含むことが好ましい。より好ましくは、第2の誘電体層44はSiOを含む。さらに、第2の誘電体層44は、高密度プラズマ堆積(HDP)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)などを含むがこれらに限定されないいずれかの適切な誘電体堆積プロセスによって、形成することができる。好ましくは、第2の誘電体層44は、HDPプロセスによって形成される。
【0032】
第2の誘電体層44の堆積後に、ドレイン(又はソース)領域34内のドレイン(又はソース)金属シリサイド・コンタクト層34Aの上面を露出させるコンタクト・ホール45を形成するために、例えばフォトリソグラフィ及びエッチングによって第1の誘電体層42及び第2の誘電体層44の一部が選択的に除去される。具体的には、フォトレジスト(図示せず)が、第2の誘電体層44の上の構造体全体に塗布される。フォトレジストは、コーティング又はスピン・オン技術を含むがこれらに限定されないいずれかの適切な技術によって、塗布することができる。形成されるコンタクト・ホールの形でパターン形成されたマスク(図示せず)がフォトレジストの上全体に施され、マスクのパターンは、フォトレジストで覆われていない領域に窪みを作るフォトリソグラフィ・プロセスを用いてフォトレジストに転写される。続いて、パターン形成されたフォトレジストを用いて、反応性イオン・エッチング(RIE)プロセス又は他のいずれかの適切な乾式若しくは湿式エッチング技術を利用して、第1の誘電体層42及び第2の誘電体層44内に同じパターンの窪みを作る。続いて、フォトレジストは、図7に示されるように、コンタクト・ホール45の形成後に剥離される。
【0033】
次に、コンタクト・ホール45の側壁に沿って第1の誘電体層42を横方向に選択的にエッチングし、これにより、図8に示されるように、コンタクト・ホール45を第1の誘電体層42内で横向きに拡張して狭い上部45Aと広い下部45Bとを形成するために、第2のエッチング・ステップが実行される。例えば、第1の誘電体層42がSiOを含み、第2の誘電体層44がSiを含む場合は、希釈HF暴露(dilute HF exposure)を用いて、第2の誘電体層44内のSiから第1の誘電体層42内のSiOを選択的にエッチング除去することができる。
【0034】
拡張されたコンタクト・ホール45の形成後に、図9に示されるように、相対的に小さい断面積の上部46Aと相対的に大きい断面積の下部46Bとを有する逆ソース/ドレイン金属コンタクトを形成するために、拡張されたコンタクト・ホール45の中に金属材料を堆積させる。必ずではないが好ましくは、本発明の逆ソース/ドレイン金属コンタクトの下部46Bは、約0.0314μmから約3.14μmの範囲の断面積を有し、上部46Aは、約0.008μmから約0.79μmの範囲の断面積を有する。本発明の実施においては、W、Al、Cu、Ag、Au、並びに、それらの合金、シリサイド、及び窒化物を含むがこれらに限定されない、いずれかの適切な金属材料を利用することができる。本発明の好ましい実施形態においては、本発明の逆ソース/ドレイン金属コンタクトを形成するための金属材料として、Wが用いられる。
【0035】
したがって、上述の処理ステップは、逆ソース/ドレイン金属コンタクトを有する改善されたFETデバイスを形成し、逆ソース/ドレイン金属コンタクトは、約0.05μmから約5μmの範囲の縮小された全レイアウト面積と、チャネル幅1ミクロン当たり約0.3フェムト・ファラッドより少ない低減されたゲート−コンタクト間静電容量とによって特徴付けられる。
【0036】
要約すれば、本発明は、相対的に低コストで高速高性能のICデバイスを製造する場合のFETのさらなるスケーリングについての必要性を満たす。
【0037】
図3〜図9は、本発明の特定の実施形態による、例示的なFET構造体と、それを製造するための例示的な処理ステップとを具体的に示しているが、当業者が、上記の説明と矛盾しない特定の用途の要件に合わせて、本明細書に示されるデバイス構造及び処理ステップを容易に変更できることは明らかである。したがって、本発明は、上記に示される特定の実施形態に限定されるものではなく、他のあらゆる変更、変形、用途及び実施形態に有用に拡大されることを認識すべきであり、したがって、こうした他の変更、変形、用途及び実施形態の全ては、本発明の趣旨及び範囲内にあると考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】多数のソース/ドレイン金属コンタクトを含む従来のFETデバイスの断面図を示す。
【図2】図1の従来のFETデバイスの上面図であり、互いに間隔を空けて配置された4つのソース/ドレイン金属コンタクトを示す。各々のソース/ドレイン金属コンタクトは、コンタクトの高さ全体を通して同じ断面積を有する。
【図3】本発明の1つの実施形態による、1つの逆ソース/ドレイン金属コンタクトを含む例示的なFETデバイスの断面図を示す。
【図4】図3の例示的なFETデバイスの上面図であり、下部において相対的に大きな断面積を有し、上部において相対的に小さな断面積を有する1つのソース/ドレイン金属コンタクトを示す。
【図5】図3の例示的なFETデバイスを形成するための処理ステップを説明する断面図を示す。
【図6】図3の例示的なFETデバイスを形成するための処理ステップを説明する断面図を示す。
【図7】図3の例示的なFETデバイスを形成するための処理ステップを説明する断面図を示す。
【図8】図3の例示的なFETデバイスを形成するための処理ステップを説明する断面図を示す。
【図9】図3の例示的なFETデバイスを形成するための処理ステップを説明する断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース領域とドレイン領域との間に配置されたチャネル領域と、
前記チャネル領域の上全体に配置されたゲート誘電体層と、
前記ゲート誘電体層の上全体に配置されたゲート電極と、
前記ソース領域、前記ドレイン領域、及び前記ゲート電極の上全体に配置され、これらを覆う第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の上全体に配置された第2の誘電体層と、
前記ソース領域又は前記ドレイン領域のいずれかに電気的に接続された少なくとも1つの金属コンタクトであって、前記少なくとも1つの金属コンタクトは前記第1の誘電体層内に配置された下部と前記第2の誘電体層内に配置された上部とを含み、前記下部は前記上部より大きい断面積を有する、少なくとも1つの金属コンタクトと、
を含む半導体デバイス。
【請求項2】
前記ソース領域又は前記ドレイン領域のいずれかに電気的に接続された1つの金属コンタクトのみを含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの金属コンタクトの前記下部は、0.03μmから3.15μmの範囲の断面積を有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの金属コンタクトの前記上部は、0.015μmから3.15μmの範囲の断面積を有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの金属コンタクトは、0.001μmから5μmの範囲の距離だけ前記ゲート電極から間隔を空けて配置される、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
チャネル幅1ミクロン当たり0.3フェムト・ファラッドより少ないゲート−コンタクト間静電容量を有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの金属コンタクトは、W、Al、Cu、Ag、Au、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1の誘電体層は、x、y及びzを整数とすると、SiO、Si、Si、Si、Si、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記第2の誘電体層は、x、y及びzを整数とすると、SiO、Si、Si、Si、Si、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
ソース/ドレイン延長注入部、ソース/ドレイン・ハロ注入部、ソース/ドレイン/ゲート・コンタクト、及びゲート側壁スペーサからなる群から選択された1つ又は複数の構成要素をさらに含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
ソース領域と、ドレイン領域と、チャネル領域と、前記チャネル領域の上全体に配置されたゲート誘電体層と、前記ゲート誘電体層の上全体に配置されたゲート電極と、前記ソース領域、前記ドレイン領域、及び前記ゲート電極の上全体に配置され、これらを覆う第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層の上全体に配置された第2の誘電体層とを含む半導体デバイスを形成するステップと、
前記ソース領域又は前記ドレイン領域のいずれかを露出させる少なくとも1つのコンタクト・ホールを形成するために、前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層の一部を選択的に除去するステップと、
前記少なくとも1つのコンタクト・ホールの側壁に沿って前記の第1誘電体層の一部を選択的に除去するステップと、
前記ソース領域又は前記ドレイン領域のいずれかに電気的に接続される少なくとも1つの金属コンタクトを形成するために、前記少なくとも1つのコンタクト・ホールを金属材料で充填するステップであって、前記少なくとも1つの金属コンタクトは前記第1の誘電体層内に配置される下部と前記第2の誘電体層内に配置される上部とを含み、前記下部は前記上部より大きい断面積を有する、ステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記ソース領域又は前記ドレイン領域のいずれかを露出させる1つのコンタクト・ホールのみを形成し、前記ソース領域又は前記ドレイン領域のいずれかに電気的に接続される1つの金属コンタクトのみを形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの金属コンタクトの前記下部は、0.03μmから3.15μmの範囲の断面積を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの金属コンタクトの前記上部は、0.015μmから3.15μmの範囲の断面積を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの金属コンタクトは、0.0001μmから5μmの範囲の距離だけゲート電極から間隔を空けて配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの金属コンタクトは、W、Al、Cu、Ag、Au、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の誘電体層は、x、y及びzを整数とすると、SiO、Si、Si、Si、Si、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の誘電体層は、x、y及びzを整数とすると、SiO、Si、Si、Si、Si、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記半導体デバイスは、ソース/ドレイン拡張注入部、ソース/ドレイン・ハロ注入部、ソース/ドレイン/ゲート・コンタクト、及びゲート側壁スペーサからなる群から選択された1つ又は複数の構成要素をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
下方の第1の誘電体層内に配置された下部と上方の第2の誘電体層内に配置された上部とを有する逆ソース/ドレイン金属コンタクトを含む電界効果トランジスタ(FET)であって、前記逆ソース/ドレイン金属コンタクトの前記下部はその前記上部より大きい断面積を有する、電界効果トランジスタ(FET)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−513007(P2009−513007A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536000(P2008−536000)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066530
【国際公開番号】WO2007/045532
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】